(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-04
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】合成床版の接合方法
(51)【国際特許分類】
E01D 19/12 20060101AFI20220203BHJP
E01D 21/00 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
E01D19/12
E01D21/00 B
(21)【出願番号】P 2018074554
(22)【出願日】2018-04-09
【審査請求日】2020-01-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000142492
【氏名又は名称】株式会社駒井ハルテック
(73)【特許権者】
【識別番号】592173124
【氏名又は名称】日本ファブテック株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】509338994
【氏名又は名称】株式会社IHIインフラシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110001863
【氏名又は名称】特許業務法人アテンダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橘 肇
(72)【発明者】
【氏名】中本 啓介
(72)【発明者】
【氏名】村上 健二
(72)【発明者】
【氏名】大久保 宣人
(72)【発明者】
【氏名】山本 将士
(72)【発明者】
【氏名】中村 隆志
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 統
(72)【発明者】
【氏名】河原 美和
(72)【発明者】
【氏名】北村 耕一
【審査官】荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】特公平06-025453(JP,B2)
【文献】米国特許出願公開第2011/0271617(US,A1)
【文献】特開2015-086594(JP,A)
【文献】特許第4106317(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01D 19/12
E01D 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼製の底板上に鉄筋を配置してコンクリートを打設することにより形成され
た合成床版の
底板の端部同士を連結するとともに、合成床版との間の端面間に間詰め材
を充填
することにより、
複数の合成床版
を接合
する合成床版
の接合方法において、
前記合成床版
の所定方向の端部に底板から上方に延出する端板を設け
るとともに、
端板の厚さ方向一方の面に
、先端側に頭部を有するボルト状の先端側部材が着脱可能に形成された複数の継手部材を前記所定方向に突出する
ように設け
、
各継手部材に先端側部材が装着されていない状態で合成床版の底板の端部同士をボルトで連結した後、
各継手部材に先端側部材を装着し、
合成床版の端板間に間詰め材を充填する
ことを特徴とする合成床版
の接合方法。
【請求項2】
前記継手部材は、
前記先端側部材と、継手部材の基端側をなす基端側部材と、
先端側部材と
基端側部材とを連結する連結部材とから形成され、基端側部材は端板に固定されている
ことを特徴とする請求項
1記載の合成床版
の接合方法。
【請求項3】
互いに隣り合う一方の合成床版と他方の合成床版とを互いに前記継手部材の位置が前記所定方向に直交する方向にずれるように
配置する
ことを特徴とする請求項1
または2記載の合成床版
の接合方法。
【請求項4】
前記合成床版は、各端板間にコンクリートを打設することによりコンクリート部が形成されている
ことを特徴とする請求項1、2
または3記載の合成床版
の接合方法。
【請求項5】
前記各端板の厚さ方向他方の面に
は前記コンクリート部内に埋設されるずれ止め部材
が設け
られている
ことを特徴とする請求項
4記載の合成床版
の接合方法。
【請求項6】
前記合成床版は、各端板間に互いに前記所定方向に間隔をおいて配置された複数の中間板と、前記所定方向に直交する方向に互いに間隔をおいて配置され、それぞれ前記所定方向に延びる複数の棒状部材とを有し、各中間板は底板に固定され、各棒状部材は各中間板に設けた孔に挿通されている
ことを特徴とする請求項1、2、3、4
または5記載の合成床版
の接合方法。
【請求項7】
前記各棒状部材は鋼製のパイプからなる
ことを特徴とする請求項
6記載の合成床版
の接合方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば一般道や高速道路等の高架橋の架設に用いられる合成床版の接合方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の高架橋の架設においては、例えば工場で製作した鋼製の底板を現場で主桁上に固定し、その上に鉄筋を配置してコンクリートを打設することにより合成床版を構築するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、現場で床版全体のコンクリートを打設する工法では、コンクリートの打設及びその養生期間(28日間)を必要とするため、交通規制による渋滞や工期の長期化を生ずるという問題がある。
【0003】
そこで、予め工場で製作したコンクリート製のプレキャスト床版を現場で主桁上に敷設し、床版端面間の間詰め部にコンクリートを打設することにより、現場施工の効率化及び工期の短縮化を図るようにしたものが知られている(例えば、特許文献2参照)。この工法では、床版間における荷重の伝達力を確保するため、床版の端面から間詰め部内に延出する複数の継手部材を設け、各継手部材により各床版と間詰めコンクリートとの結合強度を高めるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4106317号公報
【文献】特許第5337122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前述のようにプレキャスト床版を現場で主桁上に敷設する工法では、前記継手部材として、例えば床版本体内の上側に配置される鉄筋と下側に配置される鉄筋が床版本体の端面から延出してループ状に連続したものが用いられる。しかしながら、このループ状部分は鉄筋を曲げて形成しているため、上側の鉄筋と下側の鉄筋との間隔はループ状部分の直径と等しくなり、しかもループ状部分の直径を小さくするには鉄筋の曲げ強度上の限度がある。このため、床版の設計条件では上側の鉄筋と下側の鉄筋との間隔がループ状部分の直径よりも小さくなる場合でも、ループ状部分の直径に合わせなければならず、床版厚が必要以上に大きくなる。これにより、床版の重量による主桁への負荷や床版本体のコンクリート使用量を無用に増大させるという問題点があった。
【0006】
また、床版本体内に配置される鉄筋の端部を継手部材として用いる場合、継手鉄筋の位置が床版用の鉄筋の位置に依存するため、継手部材の配置に制約を受けるという問題点もあった。
【0007】
本発明は前記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、床版間の継手部材によって床版厚を無用に増大させることがなく、しかも床版用の鉄筋の位置に依存することなく継手部材を配置することのできる合成床版の接合方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は前記目的を達成するために、鋼製の底板上に鉄筋を配置してコンクリートを打設することにより形成された合成床版の底板の端部同士を連結するとともに、合成床版との間の端面間に間詰め材を充填することにより、複数の合成床版を接合する合成床版の接合方法において、前記合成床版の所定方向の端部に底板から上方に延出する端板を設けるとともに、端板の厚さ方向一方の面に、先端側に頭部を有するボルト状の先端側部材が着脱可能に形成された複数の継手部材を前記所定方向に突出するように設け、各継手部材に先端側部材が装着されていない状態で合成床版の底板の端部同士をボルトで連結した後、各継手部材に先端側部材を装着し、合成床版の端板間に間詰め材を充填するようにしている。
【0009】
これにより、各継手部材が端板に設けられていることから、従来のように上下の鉄筋をループ状に曲げた継手部材に比べ、各継手部材の上下方向の寸法が小さくなり、各継手部材によって床版厚が制約を受けることがない。また、各継手部材が床版用の鉄筋とは独立して設けられていることから、各継手部材の位置が床版用の鉄筋の位置に依存することがない。更に、底板同士を連結するボルトの締結作業が完了するまでは継手部材の先端側部材を外しておき、底板の連結作業後に装着することにより、継手部材の先端側部材がボルトの締結作業の妨げになることがない。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、従来のように上下の鉄筋をループ状に曲げた継手部材に比べ、各継手部材の上下方向の寸法を小さくすることができるので、継手部材の上下寸法による床版厚の制約を受けることなく床版を設計することができ、床版の重量による主桁への負荷や床版本体のコンクリート使用量を無用に増大させることがないという利点がある。また、各継手部材が床版用の鉄筋とは独立して設けられているので、床版用の鉄筋の位置に依存することなく各継手部材を配置することができ、各継手部材を最適な位置に設けることができる。更に、底板同士をボルトで連結する際、継手部材の先端側部材がボルトの締結作業の妨げになることがないので、底板の連結作業を効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1乃至
図12は本発明の一の実施形態を示すもので、例えば一般道や高速道路等に用いられる高架橋の架設に用いられる合成床版の接合構造を示すものである。
【0013】
同図に示す合成床版1は、床版本体の底面をなす鋼製の底板2と、底板2上に互いに橋軸方向に間隔をおいて固定された複数の中間板3と、中間板3を貫通するように配置される棒状部材としての複数のパイプ4と、底板2の両端側にそれぞれ固定された一対の端板5と、各端板5に設けられた複数の継手部材6と、底板2上に配置される複数の配力鉄筋7と、底板2上に配置される複数の主鉄筋8と、底板2上に打設されるコンクリート部9とから構成されている。
【0014】
底板2は平板状の鋼板からなり、その橋軸方向両端側には他の床版と連結するためのボルトを挿通する複数のボルト挿通孔2aが設けられている。各ボルト挿通孔2aは互いに橋軸直角方向に間隔をおいて配置され、それぞれ底板2を厚さ方向に貫通するように設けられている。
【0015】
各中間板3は、底板2の幅方向(橋軸直角方向)の一端から他端に亘って延びる横長の鋼板からなり、底板2に対して垂直をなすように底板2の上面に溶接により固定されている。中間板3には各パイプ4を挿通する複数のパイプ挿通孔3aが設けられ、各パイプ挿通孔3aは互いに橋軸直角方向に間隔をおいて設けられている。また、各パイプ挿通孔3aは、横長の長孔状に形成され、それぞれ中間板3を厚さ方向に貫通するように設けられている。
【0016】
各パイプ4は橋軸方向に延びる鋼管からなり、互いに橋軸直角方向に間隔をおいて配置されている。また、各パイプ4は、各中間板3のパイプ挿通孔3aをそれぞれ挿通している。
【0017】
各端板5は、底板2の幅方向一端から他端に亘って延びる横長の鋼板からなり、底板2に対して垂直をなすように底板2の上面に溶接により固定されている。この場合、底板2の端部側は端板5よりも外側に延出しており、この延出部分にボルト挿通孔2aが配置されている。また、各端板5の厚さ方向一方の面には、橋軸方向に延びるずれ止め部材としての複数のスタッド5aが設けられ、各スタッド5aは互いに橋軸直角方向に間隔をおいて配置されている。各スタッド5aは、一端を端板5の背面に溶接等により固定されたシャフト状の部材からなり、その他端には径方向に拡大した頭部が設けられている。
【0018】
各継手部材6は、継手部材6の基端側をなす基端側部材6aと、継手部材6の先端側をなす先端側部材6bと、基端側部材6aと先端側部材6bとを連結する連結部材6cとからなり、端板5の厚さ方向他方の面に各スタッド5aの反対側にそれぞれ位置するように設けられている。基端側部材6aは、雄ネジが形成されたシャフト状の部材からなり、一端を端板5の厚さ方向外側の面に溶接により固定されている。先端側部材6bは、雄ネジが形成されたシャフト状の部材からなり、その他端にはボルトと同様の頭部が形成されている。連結部材6cは高ナットからなり、一端側を基端側部材6aの他端側に螺合し、他端側を先端側部材6bの他端側に螺合することにより、基端側部材6aと先端側部材6bとを連結するようになっている。
【0019】
各配力鉄筋7は、底板2の長手方向(橋軸方向)の一端側から他端側に亘って一直線状に延びる鉄筋からなり、互いに橋軸直角方向に間隔をおいて配置されている。各配力鉄筋7は端板5の上方に配置され、その両端側は端板5の外側に延出している。
【0020】
各主鉄筋8は、底板2の幅方向(橋軸直角方向)の一端から他端に亘って一直線状に延びる鉄筋からなり、互いに橋軸方向に間隔をおいて配置されている。また、各主鉄筋8は、各配力鉄筋7の上方に配置されている。尚、床版厚が薄い場合は、鉄筋かぶりを確保するために主鉄筋8を配力鉄筋8の下方に配置するようにしてもよい。
【0021】
コンクリート部9は工場等で型枠を用いて打設され、各端板5の間に底板2の全幅に亘る床版部分を形成している。この場合、各中間板3、各パイプ4、各スタッド5a、各配力鉄筋7及び各主鉄筋8はコンクリート部9内に埋設され、各端板5はコンクリート打設時の型枠の一部としても用いられる。
【0022】
以上のように構成された合成床版1は、工場等で製作された後、施工現場に搬送されて他の合成床版1と接合される。尚、各継手部材6は、工場搬出時には基端側部材6aに先端側部材6b及び連結部材6cが装着されておらず、これらは後述するように現場で装着される。
【0023】
現場に搬入された合成床版1は、図示しない主桁上に橋軸方向に並べて設置される。その際、
図6に示すように合成床版1の底板2同士が僅かな間隔をおいて橋軸方向に突き合わされるとともに、各合成床版1の端板5間に間詰め部1aとしての隙間が形成される。次に、各底板2の端部上面に添接板10を配置し、
図7に示すように高力ボルト11及びナット12によって底板2同士を添接板10で連結する。添接板10は、底板2の幅方向(橋軸直角方向)の一端から他端に亘って延びる横長の鋼板からなり、高力ボルト11を挿通する複数のボルト挿通孔10aが互いに底板2の幅方向に間隔をおいて二列に設けられている。この場合、高力ボルト11を底板2のボルト挿通孔2a及び添接板10のボルト挿通孔10aに下方から挿通し、上方からナット12を高力ボルト11に螺合することにより各底板2及び添接板10が締結される。その際、継手部材6の基端側部材6aには先端側部材6b及び連結部材6cが装着されていないので、先端側部材6b及び連結部材6cが高力ボルト11の締結作業の妨げになることはない。
【0024】
次に、
図8に示すように各合成床版1の継手部材6の基端側部材6aに先端側部材6b及び連結部材6cを装着し、端板5から間詰め部1a内に向かって垂直に突出する複数の継手部材6を形成する。この場合、互いに隣り合う合成床版1は、各継手部材6の位置が底板2の幅方向に互い違いにずれているので、各合成床版1の継手部材6が互いに干渉することがない。
【0025】
この後、
図9に示すように、合成床版1間の間詰め部1a内に、橋軸方向に延びる複数の第1の補強鉄筋13と、橋軸直角方向に延びる複数の第2の補強鉄筋14を配置する。各第1の補強鉄筋13は互いに橋軸直角方向に間隔をおいて配置され、各第2の補強鉄筋14は互いに橋軸方向に間隔をおいて配置されている。この場合、各第2の補強鉄筋14は各第1の補強鉄筋13の下方に配置され、各第1の補強鉄筋13に予め結束されている。このように互いに格子状に組み付けられた各補強鉄筋13,14は、間詰め部1a内に突出する各配力鉄筋7の端部に各第2の補強鉄筋14を載置することにより間詰め部1a内に配置される。また、
図11に示すように、互いに隣り合う一方の合成床版1と他方の合成床版1は、各継手部材6の位置が橋軸直角方向に半ピッチずつずれており、これにより間詰め部1a内では一方の合成床版1側の各継手部材6と他方の合成床版1側の各継手部材6が千鳥状に位置するようになっている。即ち、互いに各継手部材6の位置を橋軸直角方向にずらした複数の合成床版1が橋軸直角方向に交互に配置される。
【0026】
続いて、
図10に示すように、間詰め部1a内に、例えば間詰め材としての速硬性コンクリートを充填することにより、間詰めコンクリート15を打設する。これにより、各継手部材6と間詰めコンクリート15との間に生ずる付着力と支圧力(水平方向のせん断力に抗する力)によって各合成床版1と間詰めコンクリート15との結合強度が高められる。その際、各継手部材6が端板5にスタッド状に設けられていることから、従来のように上下の鉄筋をループ状に曲げた継手部材に比べ、各継手部材6の上下方向の寸法が極めて小さくなり、各継手部材6によって床版厚が制約を受けることがない。また、各継手部材6が床版用の鉄筋(配力鉄筋7)とは独立して設けられていることから、各継手部材6の位置が各配力鉄筋7の位置に依存することがない。
【0027】
このように、本実施形態によれば、合成床版1の橋軸方向両端部に底板2から上方に延出する一対の端板5を設けるとともに、各端板5には合成床版1の端面間に突出する複数の継手部材6を設け、互いに隣り合う合成床版1の端板5間に間詰めコンクリート15を充填するようにしたので、従来のように上下の鉄筋をループ状に曲げた継手部材に比べ、各継手部材6の上下方向の寸法を極めて小さくすることができる。これにより、継手部材の上下寸法による床版厚の制約を受けることなく床版を設計することができるので、床版の重量による主桁への負荷や床版本体のコンクリート使用量を無用に増大させることがないという利点がある。
【0028】
また、各継手部材6が床版用の鉄筋(配力鉄筋7)とは独立して設けられているので、各配力鉄筋7の位置に依存することなく各継手部材6を配置することができ、各継手部材6を最適な位置に設けることができる。尚、本実施形態では、各継手部材6と各配力鉄筋7の位置が、上下方向では異なるが配列方向(橋軸直角方向)では一致したものを示したが、各継手部材6を配列方向においても各配力鉄筋7の位置と異なるように配置することが可能である。
【0029】
更に、各継手部材6を、継手部材6の基端側をなす基端側部材6aと、継手部材6の先端側をなす先端側部材6bと、基端側部材6aと先端側部材6bとを連結する連結部材6cとから形成し、基端側部材6aを端板5に固定するとともに、先端側部材6b及び連結部材6cを基端側部材6aに着脱自在に設けたので、現場で高力ボルト11の締結作業が完了するまでは先端側部材6b及び連結部材6cを外しておき、高力ボルト11の締結作業後に装着することにより、先端側部材6b及び連結部材6cが高力ボルト11の締結作業の妨げになることがなく、高力ボルト11の締結作業を効率よく行うことができる。
【0030】
また、互いに隣り合う一方の合成床版1と他方の合成床版1とを互いに継手部材6の位置が橋軸直角方向にずれるように形成したので、間詰め部1aにおける各端板5の間隔を狭くしても各合成床版1の継手部材6が互いに干渉することがなく、間詰め部1aを小さくすることができる。
【0031】
更に、合成床版1は、予め工場等で各端板6間にコンクリートを打設することによりコンクリート部9が形成されているので、間詰め部1aを除くコンクリートを現場で打設する必要がなく、現場施工の効率化及び工期の短縮化を図ることができる。この場合、各端板6間にコンクリートを打設する際に各端板6を型枠として用いることができるので、コンクリート部9を効率よく形成することができる。
【0032】
また、各端板5の厚さ方向他方の面にコンクリート部9内に埋設される複数のスタッド5aを設けたので、各端板5とコンクリート部9との剥離を各スタッド5aによって防止することができるとともに、各スタッド5aを介して各合成床版1間の橋軸方向の引張荷重をコンクリート部9及びその内部の鉄筋7,8に伝達することができる。これにより、各端板5が継手部材6のみならずスタッド5aによっても各合成床版1間の応力伝達に寄与することから、各合成床版1の結合強度をより高めることができる。
【0033】
更に、合成床版1は、各端板6間に互いに橋軸方向に間隔をおいて配置された複数の中間板3と、橋軸直角方向に互いに間隔をおいて配置され、それぞれ橋軸方向に延びる複数の鋼製のパイプ4とを有し、各中間板3は底板2に固定され、各パイプ4は各中間板3のパイプ挿通孔3aに挿通されているので、各中間板3及び各パイプ4によって底板2とコンクリート部9との結合強度を高めることができるとともに、各パイプ4の中空部分によってコンクリートの量を少なくすることができ、軽量化を図ることもできる。
【0034】
尚、前記各実施形態では、合成床版20同士を橋軸方向に接合するようにしたものを示したが、橋軸直角方向に接合する場合にも適用することができる。
【0035】
また、前記各実施形態では、継手部材6の一部(先端側部材6b及び連結部材6c)を着脱可能に設けたものを示したが、継手部材全体を着脱するようにしてもよい。例えば、端板にナットを溶接等により固定し、または端板自体に雌ネジ部を形成し、ボルトからなる継手部材を螺合するように構成することができる。
【0036】
更に、前記各実施形態では、各中間板3のパイプ挿通孔3aに挿通を挿通する棒状部材としてパイプ4を用いたものを示したが、パイプ以外の棒状部材を用いることもできる。
【0037】
また、前記各実施形態では、各端板5にずれ止め部材としての複数のスタッド5aを設けたものを示したが、スタッド5aに代えて、厚さ方向に貫通する孔を有する板状部材をずれ止め部材として設けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0038】
1…合成床版、1a…間詰め部、2…底板、3…中間版、4…パイプ、5…端板、5a…スタッド、6…継手部材、6a…基端側部材、6b…先端側部材、6c…連結部材、7…配力鉄筋、8…主鉄筋、9…コンクリート部、15…間詰めコンクリート。