(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-04
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】部品冷却装置
(51)【国際特許分類】
F28F 13/02 20060101AFI20220128BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20220128BHJP
H01L 23/473 20060101ALI20220128BHJP
F28F 13/12 20060101ALI20220128BHJP
【FI】
F28F13/02 Z
H05K7/20 P
H05K7/20 T
H01L23/46 Z
F28F13/12 A
(21)【出願番号】P 2018112301
(22)【出願日】2018-06-12
【審査請求日】2020-06-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】特許業務法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】郭 暁琳
(72)【発明者】
【氏名】朝柄 浩嗣
(72)【発明者】
【氏名】竹内 和哉
【審査官】伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-266937(JP,A)
【文献】特開2002-163041(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0077818(US,A1)
【文献】特開2009-182313(JP,A)
【文献】特開2009-266936(JP,A)
【文献】特開2005-079337(JP,A)
【文献】特開2015-023044(JP,A)
【文献】特開2007-005673(JP,A)
【文献】特開2010-040757(JP,A)
【文献】特開2016-205802(JP,A)
【文献】特開2018-032816(JP,A)
【文献】特開2012-186344(JP,A)
【文献】特開2017-143171(JP,A)
【文献】米国特許第05031693(US,A)
【文献】国際公開第2016/067501(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/094366(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/473
H05K 7/20
F28G
F28F
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に冷媒を流通させる冷媒流路(30)を設けた冷却管(3)と、
上記冷却管の冷却面(31)に熱的に接触配置された第1電子部品(21)及び第2電子部品(22)と、を有し、
上記第1電子部品は、上記第2電子部品よりも、上記冷媒流路における上流側に配置されており、
上記冷媒流路は、上記第1電子部品よりも下流側かつ上記第2電子部品よりも上流側の中間領域(3M)と、上記第1電子部品の上流端と下流端との間の上流側領域(3U)と、上記第2電子部品の上流端と下流端との間の下流側領域(3D)と、を有
し、
上記中間領域には、上記下流側領域から上記上流側領域へ向かう方向の流路抵抗を、上記上流側領域から上記下流側領域へ向かう方向の流路抵抗よりも大きくする、流体ダイオード部(32)が設けてあ
り、
上記流体ダイオード部は、上記冷媒流路の流路方向(Y)に対して傾斜した部分を有する傾斜フィン(41)と、該傾斜フィンの下流側端部よりも上流側において上記傾斜フィンと接続された接続フィン(42)とによって構成されており、該接続フィンは上記傾斜フィンとの接続部から下流側へ延びるように形成されている、部品冷却装置(1)。
【請求項2】
上記冷却管の上流側領域および上記下流側領域には、上記冷媒流路を、流路方向(Y)に沿って並走する複数の分岐流路(37)に仕切る内部フィン(4)を有する、請求項1に記載の部品冷却装置。
【請求項3】
上記冷媒流路には、上記冷却面の法線方向(X)から見て、流路方向に対する傾斜方向が交互に変化する波型のウェーブフィン(4W)が配置されており、上記流体ダイオード部は、上記ウェーブフィンの一部に形成されている、請求項1又は2に記載の部品冷却装置。
【請求項4】
上記流体ダイオード部は、上記冷媒流路の流路方向と上記冷却面の法線方向との双方に直交する幅方向(Z)において、上記冷媒を外側から内側へ導くガイド面(410)を備えている、請求項1~3のいずれか一項に記載の部品冷却装置。
【請求項5】
上記冷却管は、上記冷媒流路の流路方向と上記冷却面の法線方向との双方に直交する幅方向が鉛直方向となる姿勢にて配設されており、上記冷媒流路は、上記中間領域において、上記第1電子部品の中央よりも下側から、上記第2電子部品の上端よりも上側まで、鉛直方向に連通した上下連通部(35)が形成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の部品冷却装置。
【請求項6】
上記上下連通部の下流側に、上記流体ダイオード部が形成されている、請求項5に記載の部品冷却装置。
【請求項7】
内部に冷媒を流通させる冷媒流路(30)を設けた冷却管(3)と、
上記冷却管の冷却面(31)に熱的に接触配置された第1電子部品(21)及び第2電子部品(22)と、を有し、
上記第1電子部品は、上記第2電子部品よりも、上記冷媒流路における上流側に配置されており、
上記冷却管は、上記冷媒流路を、流路方向(Y)に沿って並走する複数の分岐流路(37)に仕切る内部フィン(4)を有し、
上記冷媒流路は、上記第1電子部品よりも下流側かつ上記第2電子部品よりも上流側の中間領域(3M)と、上記第1電子部品の上流端と下流端との間の上流側領域(3U)と、上記第2電子部品の上流端と下流端との間の下流側領域(3D)と、を有し、
上記内部フィンは、上記上流側領域と上記中間領域と上記下流側領域とのうち、上記中間領域のみにおいて、隣り合う上記分岐流路を連通させる拡散部(5)を設けている、部品冷却装置(10)。
【請求項8】
上記内部フィンは、上記冷却面の法線方向から見て、流路方向に対する傾斜方向が交互に変化する波型のウェーブフィン(4W)を有し、上記拡散部は、上記ウェーブフィンの一部に形成されている、請求項7に記載の部品冷却装置。
【請求項9】
上記拡散部は、上記内部フィンの一部をいずれかの上記分岐流路側へ突き出した突出部(51)を有する、請求項7又は8に記載の部品冷却装置。
【請求項10】
上記突出部は、板厚方向に湾曲している、請求項9に記載の部品冷却装置。
【請求項11】
上記拡散部は、上記内部フィンの一部に形成された開口部と、該開口部を閉塞する蓋部とを有し、該蓋部は、所定の圧力が板厚方向に作用したときに弾性変形するよう構成されている、請求項7又は8に記載の部品冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品を冷却する部品冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品を冷却する部品冷却装置として、例えば、特許文献1に開示されているような積層型冷却器がある。この冷却器においては、冷却管の内部の冷媒流路に冷媒を流通させることで、冷却管に接触配置された電子部品を冷却するよう構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような部品冷却装置において、複数の電子部品を冷却管における冷媒流路の上流側と下流側とに並べて配置したとき、以下のような課題が生じ得る。
すなわち、電子部品に流れる電流の量が増えると、電子部品の発熱量も上昇する。これにより、電子部品の発熱部に近い位置において、局部的に水等の液冷媒の温度が上昇して、沸騰するという事態も生じ得る。
【0005】
そうすると、冷却管内の液冷媒の円滑な流れが、気化した冷媒に阻害されるおそれがある。これにより、冷媒流路における電子部品に近い位置に、液体の冷媒が供給され難くなり、冷却性能を向上させ難くなるおそれがある。
【0006】
これに加え、特に、冷媒流路における下流側の電子部品が配置された領域においては、上流側の電子部品の熱によって気化した冷媒が供給されると共に、下流側の電子部品の熱によっても冷媒の蒸発が生じやすい。そうすると、下流側の電子部品の近傍においては、液冷媒の供給量が少なくなりやすく、いわゆるドライアウトによって、冷却性能が低下するおそれが懸念される。
【0007】
そこで、充分な冷却性能を確保するために、全体の冷媒の流量を増加させるなど、適切な熱設計を行うことが必要となる。しかし、その場合には、冷却のための必要エネルギーが増えるため、冷却効率の観点で不利となりやすい。
【0008】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、円滑な冷媒の流れを確保して、電子部品の冷却性能を向上させることができる、部品冷却装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様は、内部に冷媒を流通させる冷媒流路(30)を設けた冷却管(3)と、
上記冷却管の冷却面(31)に熱的に接触配置された第1電子部品(21)及び第2電子部品(22)と、を有し、
上記第1電子部品は、上記第2電子部品よりも、上記冷媒流路における上流側に配置されており、
上記冷媒流路は、上記第1電子部品よりも下流側かつ上記第2電子部品よりも上流側の中間領域(3M)と、上記第1電子部品の上流端と下流端との間の上流側領域(3U)と、上記第2電子部品の上流端と下流端との間の下流側領域(3D)と、を有し、
上記中間領域には、上記下流側領域から上記上流側領域へ向かう方向の流路抵抗を、上記上流側領域から上記下流側領域へ向かう方向の流路抵抗よりも大きくする、流体ダイオード部(32)が設けてあり、
上記流体ダイオード部は、上記冷媒流路の流路方向(Y)に対して傾斜した部分を有する傾斜フィン(41)と、該傾斜フィンの下流側端部よりも上流側において上記傾斜フィンと接続された接続フィン(42)とによって構成されており、該接続フィンは上記傾斜フィンとの接続部から下流側へ延びるように形成されている、部品冷却装置(1)にある。
【0010】
本発明の第2の態様は、内部に冷媒を流通させる冷媒流路(30)を設けた冷却管(3)と、
上記冷却管の冷却面(31)に熱的に接触配置された第1電子部品(21)及び第2電子部品(22)と、を有し、
上記第1電子部品は、上記第2電子部品よりも、上記冷媒流路における上流側に配置されており、
上記冷却管は、上記冷媒流路を、流路方向(Y)に沿って並走する複数の分岐流路(37)に仕切る内部フィン(4)を有し、
上記冷媒流路は、上記第1電子部品よりも下流側かつ上記第2電子部品よりも上流側の中間領域(3M)と、上記第1電子部品の上流端と下流端との間の上流側領域(3U)と、上記第2電子部品の上流端と下流端との間の下流側領域(3D)と、を有し、
上記内部フィンは、上記上流側領域と上記中間領域と上記下流側領域とのうち、上記中間領域のみにおいて、隣り合う上記分岐流路を連通させる拡散部(5)を設けている、部品冷却装置(10)にある。
【発明の効果】
【0011】
上記第1の態様の部品冷却装置においては、上記中間領域に、上記流体ダイオード部が設けてある。これにより、下流側の第2電子部品の熱によって、下流側領域の液冷媒の一部が蒸発して蒸気となった場合にも、この蒸気が上流側領域にまで逆流することを抑制することができる。その結果、蒸気を冷媒流路の下流端から早期に排出させやすくなる。
【0012】
それゆえ、冷媒流路における、上流側から下流側へ向かう冷媒の円滑な流れを確保することができる。その結果、第1電子部品のみならず、第2電子部品の冷却性能を向上させることができる。
【0013】
上記第2の態様の部品冷却装置においては、上記中間領域に上記拡散部が形成されている。これにより、第1電子部品及び第2電子部品の熱によって冷媒が蒸発して蒸気になった場合にも、この蒸気を、拡散部を介して、流路方向に直交する方向に拡散させることができる。すなわち、冷媒流路の中央付近の分岐流路において発生した蒸気を、外側へ逃がすことができる。これにより、中央付近において、液冷媒を円滑に導入することができ、第1電子部品及び第2電子部品の効率的な冷却を確保することができる。
【0014】
以上のごとく、上記態様によれば、円滑な冷媒の流れを確保して、電子部品の冷却性能を向上させることができる、部品冷却装置を提供することができる。
なお、特許請求の範囲及び課題を解決する手段に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
参考形態1における、部品冷却装置の平面説明図。
【
図3】実施形態2における、部品冷却装置の平面説明図。
【
図6】実施形態2における、流体ダイオード部の拡大説明図。
【
図7】実施形態2における、冷媒の流れを説明する冷却管の断面説明図。
【
図8】比較形態1における、冷媒の流れを説明する冷却管の断面説明図。
【
図10】実施形態3における、流体ダイオード部の拡大説明図。
【
図11】実施形態3の部品冷却装置の、非沸騰状態における効果確認試験の結果を示す線図。
【
図12】実施形態3の部品冷却装置の、沸騰状態における効果確認試験の結果を示す線図。
【
図14】実施形態4における、冷却管の断面説明図。
【
図15】実施形態5における、冷却管の断面説明図。
【
図16】実施形態6における、冷却管の断面説明図。
【
図17】実施形態7における、冷却管の断面説明図。
【
図18】実施形態8における、冷却管の断面説明図。
【
図19】実施形態9における、冷却管の断面説明図。
【
図20】実施形態10における、冷却管の断面説明図。
【
図21】実施形態11における、冷却管の断面説明図。
【
図22】実施形態12における、冷却管の断面説明図。
【
図23】実施形態13における、冷却管の断面説明図。
【
図24】実施形態13における、冷媒の流れを説明する冷却管の断面説明図。
【
図25】実施形態14における、冷却管の断面説明図。
【
図26】実施形態14における、流体ダイオード部の拡大説明図。
【
図27】実施形態15における、冷却管の断面説明図。
【
図28】実施形態16における、冷却管の断面説明図。
【
図29】実施形態16における、流体ダイオード部の拡大説明図。
【
図30】実施形態17における、冷却管の断面説明図。
【
図31】実施形態17における、拡散部の斜視説明図。
【
図33】実施形態17における、蒸気の流れを説明する冷却管の断面説明図。
【
図34】実施形態17における、蒸気の流れを説明する拡大斜視説明図。
【
図35】拡散部を有さない冷却管における、蒸気の流れを説明する冷却管の断面説明図。
【
図36】拡散部を有さない冷却管における、蒸気の流れを説明する拡大斜視説明図。
【
図37】実施形態17の部品冷却装置の、効果確認試験の結果を示す線図。
【
図38】実施形態18における、拡散部の斜視説明図。
【
図39】実施形態19における、拡散部の斜視説明図。
【
図40】実施形態19の変形例における、拡散部の斜視説明図。
【
図41】実施形態20における、拡散部の斜視説明図。
【
図42】実施形態21における、拡散部の斜視説明図。
【
図43】実施形態22における、拡散部の斜視説明図。
【
図44】実施形態23における、拡散部の斜視説明図。
【
図45】実施形態24における、拡散部の斜視説明図。
【
図46】実施形態25における、拡散部の斜視説明図。
【
図47】実施形態26における、開口部が塞がれた拡散部の斜視説明図。
【
図48】実施形態26における、開口部が開放された拡散部の斜視説明図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(
参考形態1)
部品冷却装置に係る
参考形態について、
図1、
図2を参照して説明する。
本形態の部品冷却装置1は、冷却管3と、第1電子部品21及び第2電子部品22と、を有する。冷却管3は、内部に冷媒を流通させる冷媒流路30を設けている。第1電子部品21及び第2電子部品22は、冷却管3の冷却面31に熱的に接触配置されている。なお、
図1、
図2に示す矢印wは、沸騰が生じていないときの冷媒の流れを表す。以降の図においても同様である。
【0017】
第1電子部品21は、第2電子部品22よりも、冷媒流路30における上流側に配置されている。
冷媒流路30は、下記のように定義される、中間領域3Mと上流側領域3Uと下流側領域3Dとを有する。中間領域3Mは、冷媒流路30における、第1電子部品21よりも下流側かつ第2電子部品22よりも上流側の領域である。上流側領域3Uは、冷媒流路30における、上記第1電子部品の上流端と下流端との間の領域である。下流側領域3Dは、冷媒流路30における、上記第2電子部品の上流端と下流端との間の領域である。
【0018】
中間領域3Mには、流体ダイオード部32が設けてある。流体ダイオード部32は、下流側領域3Dから上流側領域3Uへ向かう方向の流路抵抗を、上流側領域3Uから下流側領域3Dへ向かう方向の流路抵抗よりも大きくする。
【0019】
なお、下流側領域3Dから上流側領域3Uへ向かう方向の流路抵抗は、下流側領域3Dから上流側領域3Uへ向かう冷媒の流れに対する流路抵抗を表す。また、上流側領域3Uから下流側領域3Dへ向かう方向の流路抵抗は、上流側領域3Uから下流側領域3Dへ向かう冷媒の流れに対する流路抵抗を表す。
【0020】
本形態の部品冷却装置1は、冷却管3の主面の一方に、冷却面31を有する。そして、この冷却面31に、第1電子部品21及び第2電子部品22を接触配置している。冷却管3は、長手方向に冷媒が流れるような状態で、冷媒流路30を内部に設けてある。
【0021】
冷却面31の法線方向、すなわち、冷却管3と第1電子部品21及び第2電子部品22の積層方向を、適宜、X方向という。また、冷媒流路30における冷媒が流通する流路方向を、適宜Y方向ともいう。また、X方向とY方向との双方に直交する方向を、適宜Z方向という。第1電子部品21と第2電子部品22とは、Y方向に並んで配置されている。
【0022】
本形態において、流体ダイオード部32は、冷媒流路30における、X方向の両端の内壁面から、それぞれ内側へ突出した一対の突出片321によって構成されている。突出片321は、Z方向における、冷媒流路30の内側へ向かうにつれて、下流側へ向かうように、傾斜した板状体とすることができる。これにより、流体ダイオード部32は、上述の機能を有する。
【0023】
なお、流体ダイオード部32は、上述した所定の機能を備えるものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、1枚の突出片321にて構成してもよい。また、流体ダイオード部32は、冷却管3と一体的に形成されていてもよいし、冷却管3に接合されていてもよい。
【0024】
第1電子部品21及び第2電子部品22は、例えば、パワー半導体素子とすることができる。また、第1電子部品21及び第2電子部品22は、例えば、電力変換装置のスイッチング回路部を構成するパワー半導体素子とすることができる。電力変換装置としては、例えば、車両に搭載されて、直流電力と交流電力との電力変換を行うよう構成されたものとすることができる。
【0025】
また、冷媒流路30に流通させる冷媒としては、例えば、水等の液冷媒を用いる。ただし、液冷媒の一部が、沸騰して気体となることがある。
【0026】
次に、本形態の作用効果につき説明する。
上記部品冷却装置1においては、中間領域3Mに、流体ダイオード部32が設けてある。これにより、下流側の第2電子部品22の熱によって、下流側領域3Dの液冷媒の一部が蒸発して蒸気となった場合にも、この蒸気が上流側領域3Uにまで逆流することを抑制することができる。その結果、蒸気を冷媒流路30の下流端から早期に排出し、液冷媒を円滑に冷媒流路に導入し、流通させやすくなる。
【0027】
それゆえ、冷媒流路30における、上流側から下流側へ向かう液冷媒の円滑な流れを確保することができる。その結果、第1電子部品21及び第2電子部品22の冷却性能を向上させることができる。
【0028】
以上のごとく、本形態によれば、円滑な冷媒の流れを確保して、電子部品の冷却性能を向上させることができる、部品冷却装置を提供することができる。
【0029】
(実施形態2)
本形態は、
図3~
図7に示すごとく、複数の冷却管3を、第1電子部品21及び第2電子部品22と共に積層してなる、部品冷却装置1の形態である。
すなわち、複数の冷却管3を、X方向に略平行に並べると共に、隣り合う冷却管3の間に、第1電子部品21及び第2電子部品22を配置する。これにより、第1電子部品21及び第2電子部品22は、X方向に隣り合う2つの冷却管3の間に挟持された状態となる。つまり、第1電子部品21及び第2電子部品22は、両面から冷却されることとなる。
【0030】
なお、第1電子部品21及び第2電子部品22は、それぞれ樹脂にてモールドされて、部品モジュール20を構成している。部品モジュール20は、第1電子部品21又は第2電子部品22に熱的に接続された放熱面を、両主面に有する。部品モジュール20は、これらの放熱面を冷却管3に熱的に接触させて配されている。
【0031】
また、冷却管3は、Y方向の両端部付近において、X方向に隣り合う他の冷却管3と、連結管113を介して連結されている。そして、X方向の一端に配置された冷却管3に、冷媒を導入する導入口111と、冷媒を排出する排出口112とを設けてある。なお、各冷却管3は、
図5に示すごとく、連結管113に接続される部分に、各冷却管3に冷媒が導入される導入部341と、各冷却管3から冷媒が排出される排出部342と、を形成している。
【0032】
各冷却管3は、
図4、
図5に示すごとく、内側に、内部フィン4を設けてなる。内部フィン4は、冷却管3の外殻を構成する外殻プレート33とは別部材にて構成されている。すなわち、冷却管3は、
図4に示すごとく、一対の外殻プレート33と、その間に形成される内部空間に配置される内部フィン4とによって構成されている。
【0033】
一対の外殻プレート33は、互いに、端縁において接合されている。内部フィン4は、Y方向に沿って形成されたフィン本体部40を有する。フィン本体部40は、Y方向に直交する断面の形状が、
図4に示すごとく、連続する凹凸形状を有する。フィン本体部40の凸部が、外殻プレート33の内面に当接している。また、内部フィン4は、凸部において外殻プレート33に接合されている。
【0034】
本形態において、
図5、
図6に示すごとく、流体ダイオード部32は、内部フィン4の一部として形成されている。すなわち、流体ダイオード部32は、傾斜フィン41と接続フィン42とによって構成されている。傾斜フィン41は、冷媒流路30の流路方向(すなわちY方向)に対して傾斜した部分を有する。接続フィン42は、傾斜フィン41の下流側端部419よりも上流側において傾斜フィン41と接続されている。接続フィン42は傾斜フィン41との接続部から下流側へ延びるように形成されている。また、フィン本体部40の一部が、接続フィン42を構成している。
【0035】
図5に示すごとく、フィン本体部40は、冷媒流路30における、Y方向の上流側部分と下流側部分とに分けて配置されている。そして、中間領域3Mの一部に、上流側のフィン本体部40の下流端と、下流側のフィン本体部40の上流端とが配置されている。下流側のフィン本体部40の上流端に、傾斜フィン41が配置されている。そして、
図6に示すごとく、この傾斜フィン41に接続されるフィン本体部40の上流端の一部が、接続フィン42となる。つまり、下流側のフィン本体部40の一部と、それに接続された傾斜フィン41とによって、流体ダイオード部32が形成されているとも言える。
【0036】
図6に示すごとく、X方向から見たとき、傾斜フィン41は、直線状に形成されていると共に、Y方向に対して傾斜している。接続フィン42は、Y方向に沿った直線状に形成されている。傾斜フィン41と接続フィン42との間には、X方向から見たとき、鋭角に形成された鋭角空間301と、鈍角に形成された鈍角空間302とが、存在する。
【0037】
鋭角空間301及び鈍角空間302は、いずれも傾斜フィン41の下流側に面して配置された空間である。そして、下流側領域3Dから上流側領域3Uへ向かう冷媒は、鋭角空間301によって一部が堰き止められる。特に、蒸発して気泡となった冷媒は、鋭角空間301に入り込み、そこよりも上流側へ向かうことが阻止されやすい。このようにして、下流側領域3Dから上流側領域3Uへ向かう方向の流路抵抗を大きくする流体ダイオード部32が、中間領域3M形成されている。
【0038】
なお、流体ダイオード部32は、冷媒流路30における、Z方向の中央部付近に形成され、Z方向の外側部分には形成されていない。また、複数の傾斜フィン41は、冷媒流路30におけるZ方向の中央部を境にして、傾斜方向が互いに逆向きになるように、形成されている。つまり、傾斜フィン41は、Y方向において下流側へ向かうほど、冷媒流路30におけるZ方向の中央に近づくように傾斜している。
【0039】
換言すると、流体ダイオード部32は、
図6に示すごとく、冷媒流路30の流路方向(すなわちY方向)と冷却面31の法線方向(すなわちX方向)との双方に直交する幅方向(すなわちZ方向)において、冷媒を外側から内側へ導くガイド面410を備えている。ガイド面410は、傾斜フィン41の主面のうち、上流側の面である。
【0040】
また、
図5に示すごとく、上流側の内部フィン4と下流側の内部フィン4との間に、隣り合う分岐流路37を連通させる拡散部5を設けている。拡散部5は、上流側領域3Uと中間領域3Mと下流側領域3Dとのうち、中間領域3Mのみに設けてある。
【0041】
その他の構成は、参考形態1と同様である。なお、実施形態2以降において用いた符号のうち、既出の実施形態において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、既出の実施形態におけるものと同様の構成要素等を表す。
【0042】
本実施形態においては、傾斜フィン41と接続フィン42とによって、流体ダイオード部32を形成している。これにより、流体ダイオード部32には、下流側を向いた鋭角空間301が形成される。それゆえ、効果的に、下流側領域3Dから上流側領域3Uへ向かう方向の流路抵抗を大きくすることができる。その結果、冷媒の蒸気が上流側領域3Uへ逆流することを抑制し、液冷媒を円滑に流通させやすくなる。
【0043】
また、流体ダイオード部32は、ガイド面410を有する。これにより、
図7に示すごとく、ガイド面410が冷媒をZ方向の中央側へ導き、Z方向における中央部分における冷媒の流量を増大させることができる。また、この流量が増大することにより、鋭角空間301に捕捉されていた気泡を、下流側へ導きやすくなる。その結果、下流側領域3Dにおけるドライアウトを抑制し、第2電子部品22の冷却性能を向上させることができる。
【0044】
また、中間領域3Mには、拡散部5が形成されているため、後述する実施形態17にて詳述する作用効果と同様の作用効果にて、冷却性能を効果的に向上させることができる。
その他、実施形態1と同様の作用効果を有する。
【0045】
(比較形態1)
本比較形態は、
図8に示すごとく、流体ダイオード部を備えていない冷却管9を有する、部品冷却装置の形態である。より具体的には、実施形態2に示した冷却管3において、傾斜フィン41を設けていない形態としてある。また、内部フィン4は、上流側領域3Uの上流側から下流側領域3Dの下流側まで、Y方向に沿って連続して形成されている。
その他の構成は、実施形態2と同様である。
【0046】
下流側領域において蒸発した冷媒の蒸気の一部は、中間領域3Mを介して上流側領域3Uへ向かうことがある。このとき、中間領域3Mには、流体ダイオード部が形成されていないと、冷媒の蒸気は、矢印wrに示すように逆流して、上流側領域3Uにまで達する。そうすると、冷媒の蒸気は、円滑に排出部342から排出され難くなる。
【0047】
これに対して、
図7に示すごとく、実施形態2の部品冷却装置1においては、冷媒の蒸気が、流体ダイオード部32によって上流側領域3Uまで向かうことを抑制することができる。そのため、蒸気を排出部342から排出して、液冷媒の流れを円滑にすることができる。
【0048】
(実施形態3)
本実施形態は、
図9、
図10に示すごとく、流体ダイオード部32が、内部フィン4としてのウェーブフィン4Wの一部に形成されている、部品冷却装置1の形態である。
本形態においては、
図9に示すごとく、冷媒流路30には、ウェーブフィン4Wが配置されている。ウェーブフィン4Wは、冷却面31の法線方向(すなわちX方向)から見て、流路方向(すなわちY方向)に対する傾斜方向が交互に変化する波型形状を有する。流体ダイオード部32は、ウェーブフィン4Wの一部に形成されている。
【0049】
すなわち、
図10に示すごとく、ウェーブフィン4Wにおける、Y方向に対する傾斜方向が反転する部位の一部において、流体ダイオード部32が形成されている。つまり、ウェーブフィン4Wの一部を変形することにより、流体ダイオード部32が形成されている。
【0050】
また、流体ダイオード部32が形成されたウェーブフィン4Wの一部は、Y方向に対して傾斜した傾斜フィン41でもある。傾斜フィン41の下流端が、突出していることにより、流体ダイオード部32が形成されている。なお、本形態においても、
図9に示すごとく、流体ダイオード部32は、冷媒流路30におけるZ方向の一部に形成されている。すなわち、Z方向の中央部付近に、流体ダイオード部32が形成され、Z方向の外側部分には、流体ダイオード部32は形成されていない。
【0051】
また、本形態においては、冷却管3は、冷媒流路30の流路方向と冷却面31の法線方向との双方に直交する幅方向が鉛直方向(すなわち重力方向)となる姿勢にて配設されている。すなわち、冷却管3は、Z方向が鉛直方向となる姿勢にて配設されている。冷媒流路30は、中間領域3Mにおいて、上下連通部35が形成されている。上下連通部35は、第1電子部品21の中央よりも下側から、第2電子部品22の上端よりも上側まで、鉛直方向に連通している。
【0052】
なお、冷媒流路30の幅方向(すなわちZ方向)は、鉛直方向に対して多少傾斜していてもよい。また、上下連通部35も、鉛直方向に対して平行である必要は必ずしもなく、後述する機能が得られれば、多少の傾斜は許容される。
【0053】
本形態において、上下連通部35は、内部フィン4の一部を途切れさせることによって形成されている。つまり、本形態において、内部フィン4であるウェーブフィン4Wが、上流側領域3Uと中間領域3Mと下流側領域3Dとを含む領域に、連続的に形成されている。そのウェーブフィン4Wの一部を破るように、上下方向につながる複数の連通空間351、352が、中間領域3Mに設けてある。
【0054】
上下連通部35は、鉛直方向下方に形成された2つの連通空間351と、鉛直方向上方に形成された2つの連通空間352とを有する。これらは、互いにY方向にずれて形成されている。ただし、これらは、互いに、ウェーブフィン4Wに沿った流路を介して互いに接続されている。その結果、下側の連通空間351と、上側の連通空間352とは、互いに連通している。
【0055】
下側の連通空間351の下端は、少なくとも、第1電子部品21の中央よりも下側に配され、上側の連通空間352の上端は、少なくとも第2電子部品22の上端よりも上方に配置されている。これにより、これらの連通空間352からなる上下連通部35は、第1電子部品21の中央よりも下側から、第2電子部品22の上端よりも上側まで、鉛直方向に連通している。
【0056】
上下連通部35の下流側に、流体ダイオード部32が形成されている。
特に、本形態においては、上下連通部35の下流端に隣接して、傾斜フィン41が形成されている。そして、この傾斜フィン41の下流端付近に、流体ダイオード部32が形成されている。また、傾斜フィン41の上流側の主面が、ガイド面410となる。
【0057】
また、本形態において、上下連通部35は、拡散部5としても機能する。すなわち、本形態の部品冷却装置1において、内部フィン4は、上流側領域3Uと中間領域3Mと下流側領域3Dとのうち、中間領域3Mのみにおいて、隣り合う分岐流路37を連通させる拡散部5を設けている。
その他の構成は、参考形態1と同様である。
【0058】
本形態においては、内部フィン4がウェーブフィン4Wを有するため、冷媒への伝熱面積を増大させることができ、冷却性能を向上させることができる。そして、ウェーブフィン4Wの一部に、流体ダイオード部32を形成している。そのため、ウェーブフィン4Wの波型形状を利用して、その一部を変形させることで、流体ダイオード部32を設けることができる。それゆえ、流体ダイオード部32を低コストにて容易に形成することができる。
【0059】
また、蒸発した冷媒を、上下連通部35によって、第2電子部品22よりも上方に移動させることができる。すなわち、例えば、第1電子部品21によって加熱されて蒸発した冷媒が、気泡となって中間領域3Mに達したとき、気泡は上下連通部35を通って上方へ移動する。これにより、下流側領域3Dへ気泡が流れても、第2電子部品22よりも上側を通るため、気泡に起因する第2電子部品22の冷却性の低下を抑制することができる。
【0060】
また、上下連通部35の下流側に、流体ダイオード部32が形成されている。これにより、流体ダイオード部32からその上流側へ漏れた気泡の一部を、上下連通部35を介して、第2電子部品22よりも上方へ移動させることができる。
【0061】
また、上下連通部35は、拡散部5としても機能する。そのため、後述する実施形態17にて詳述する作用効果と同様の作用効果にて、冷却性能を効果的に向上させることができる。
その他、実施形態2と同様の作用効果を有する。
【0062】
次に、実施形態3の部品冷却装置1による効果確認試験を行った結果を、
図11、
図12に示す。すなわち、第2電子部品22から冷媒への熱伝達率を、冷媒の非沸騰状態と沸騰状態との双方にて解析した。比較として、
図13に示すように、流体ダイオード部及び拡散部(すなわち上下連通部)を備えていない冷却管93を用いた部品冷却装置90(すなわち比較試料)による熱伝達率についても解析した。
【0063】
熱伝達率の解析あたっては、第2電子部品22に対向する位置における冷媒の流量をシミュレーションにて算出した。そして、予め実機にて取得された冷媒の流量と熱伝達率との関係から、熱伝達率を算出した。
【0064】
非沸騰状態における第2電子部品22から冷媒への熱伝達率を、
図11に示す。また、沸騰状態における第2電子部品22から冷媒への熱伝達率を、
図12に示す。各図において、比較試料と実施形態3の試料との双方の結果を、並べて記載する。
【0065】
これらの図から分かるように、非沸騰状態においても、沸騰状態においても、実施形態3の部品冷却装置1を用いることで、第2電子部品22の熱伝達率が向上する。特に、沸騰状態においては、
図12に示すように、比較試料による熱伝達率に対して、その5割程度の向上が、実施形態3の部品冷却装置1によって図られている。
【0066】
非沸騰状態においては、特にガイド面410によって、下流側領域3Dへ向かう液冷媒を、冷媒流路30のZ方向の中央付近に集めやすくなり、第2電子部品22と熱交換する冷媒の流量を増やすことができるためと考えられる。
沸騰領域においては、流体ダイオード部32によって、下流側領域3Dから上流側領域3Uへの冷媒の逆流を抑制し、下流側領域3DのZ方向の中央付近への冷媒の導入量を増やすことができるためと考えられる。
【0067】
(実施形態4)
本形態は、
図14に示すごとく、実施形態3に対して、上下連通部35の配置を変更した形態である。
すなわち、上側の連通空間352の一つを、Y方向において、下側の連通空間351よりも下流側に配置している。
【0068】
そして、上側の連通空間352の下流側に配置された流体ダイオード部32が、下側の連通空間351の下流側に配置された流体ダイオード部32よりも、Y方向の下流側位置に配置されている。
その他、実施形態3と同様の構成および作用効果を有する。
【0069】
(実施形態5)
本形態は、
図15に示すごとく、実施形態3に対して、上下連通部35と流体ダイオード部32との位置関係を変更した形態である。
すなわち、下側の流体ダイオード部32を、下側の2つの連通空間351の間に配置している。
その他、実施形態3と同様の構成および作用効果を有する。
【0070】
(実施形態6)
本形態は、
図16に示すごとく、1本の下側の連通空間351と、1本の上側の連通空間352とによって、上下連通部35が形成された形態である。本形態においては、下側の連通空間351が、上側の連通空間352よりも、Y方向の上流側に配置されている。また、下側の流体ダイオード部32が、上側の流体ダイオード部32よりも上流側に配置されている。
その他の構成は、実施形態3と同様である。
【0071】
本形態においては、実施形態3に比べて、内部フィン4の伝熱面積を大きくすることができる。
その他、実施形態3と同様の作用効果を有する。
【0072】
(実施形態7)
本形態も、
図17に示すごとく、1本の下側の連通空間351と、1本の上側の連通空間352とによって、上下連通部35が形成された形態である。本形態においては、下側の連通空間351が、上側の連通空間352よりも、Y方向の下流側に配置されている。また、下側の流体ダイオード部32が、上側の流体ダイオード部32よりも下流側に配置されている。
その他、実施形態3と同様の構成および作用効果を有する。
【0073】
(実施形態8)
本形態は、
図18に示すごとく、上下連通部35が、Z方向の位置が互いに異なる6個の連通空間353によって構成されている形態である。
6個の連通空間353は、Z方向の中央部に近いものほど、Y方向の下流側に位置するように配置されている。そして、Z方向の中央付近に配された2つの連通空間353の下流側に、それぞれ、流体ダイオード部32が形成されている。
その他、実施形態3と同様の構成および作用効果を有する。
なお、本形態において、連通空間353の個数は、3個以上であれば、特に限定されるものではない。
【0074】
(実施形態9)
本形態は、
図19に示すごとく、下側の連通空間351が、上側の連通空間352よりも、Y方向の幅が大きい形態である。
上側の連通空間352と下側の連通空間351とは、直接接続されている。また、上側の連通空間352と下側の連通空間351とは、Y方向の中心位置を、互いに略同一の位置に配置している。
その他、実施形態3と同様の構成および作用効果を有する。
【0075】
(実施形態10)
本形態は、
図20に示すごとく、上側の連通空間352が、下側の連通空間352よりも、Y方向の幅が大きい形態である。
上側の連通空間352と下側の連通空間351とは、直接接続されている。また、上側の連通空間352と下側の連通空間351とは、Y方向における上流端の位置を、互いに略同一の位置に配置している。
その他の構成、実施形態9と同様の構成および作用効果を有する。
【0076】
(実施形態11)
本形態は、
図21に示すごとく、1本の連通空間によって、上下連通部35を形成している形態である。
すなわち、1本の連通空間からなる上下連通部35が、第1電子部品21の中央よりも下側から、第2電子部品22の上端よりも上側までZ方向に直線的に形成されている。特に、本形態においては、上下連通部35の下端は、Z方向における、第2電子部品22の下端位置に配置されている。
その他の構成は、実施形態3と同様である。
【0077】
本形態においては、上下連通部35を簡素化することができる。また、内部フィン4を除去する領域を少なくすることができる。そのため、冷媒との間の伝熱面積を大きく保ちつつ、気泡を上方へ荷がしやすくすることができる。
その他、実施形態3と同様の作用効果を有する。
【0078】
(実施形態12)
本形態は、
図22に示すごとく、上側の連通空間352を2本、下側の連通空間351を1本とした形態である。
そして、上側の流体ダイオード部32は、Y方向に並んだ2本の連通空間352のうち、下流側の連通空間352の下流側に形成されている。
その他、実施形態3と同様の構成および作用効果を有する。
【0079】
(実施形態13)
本形態は、
図23に示すごとく、冷媒流路30の中間領域3Mにおける、Z方向の両端部に、絞り部36を配置した形態である。
すなわち、一対の絞り部36は、冷媒流路30のZ方向の両端から、中央に向って突出している。そして、一対の絞り部36の間には、冷媒流路30をY方向に連通させる絞り開口部360が形成されている。絞り開口部360は、Z方向において、第1電子部品21及び第2電子部品22に対応する位置に形成されている。
【0080】
内部フィン4は、絞り部36よりも上流側と下流側とに分離して設けてある。そして、下流側の内部フィン4の上流端に、流体ダイオード部32が形成されている。流体ダイオード部32は、絞り開口部360のZ方向の形成範囲において、形成されている。
【0081】
また、流体ダイオード部32は、傾斜フィン41を有する。ただし、実施形態2に示した傾斜フィン41(
図5、
図6参照)に比べて、本形態の部品冷却装置1における傾斜フィン41は、長さが短い。本形態においては、傾斜フィン41の上流端が、フィン本体部40の上流端とつながっている。
また、上流側の内部フィン4と下流側の内部フィン4との間の空間は、隣り合う分岐流路37を連通させる拡散部5を構成している。
その他の構成は、実施形態2と同様である。
【0082】
本形態においては、
図24に示すごとく、下流側領域3Dにおける冷媒の流れを、Z方向の中央付近に集中させることができる。すなわち、下流側領域3DにおけるZ方向の中央付近の冷媒の流量を、増加させることができる。これにより、第2電子部品22の冷却性能を向上させることができる。
また、中間領域3Mには、拡散部5が形成されているため、後述する実施形態17にて詳述する作用効果と同様の作用効果にて、冷却性能を効果的に向上させることができる。
その他、実施形態2と同様の作用効果を有する。
【0083】
(実施形態14)
本形態は、
図25、
図26に示すごとく、流体ダイオード部32の形状を、実施形態13のものに対して変更した形態である。
すなわち、本形態においては、流体ダイオード部32は、内部フィン4のフィン本体部40の上流端におけるZ方向の両側に、傾斜フィン41を設けてなる。これにより、フィン本体部40の両側に、鋭角空間301がそれぞれ設けられる。
その他の構成は、
参考形態1と同様である。
【0084】
本形態においては、流体ダイオード部32における、下流側領域3Dから上流側領域3Uへ向かう方向の流路抵抗をより大きくすることができる。これにより、下流側領域3Dから上流側領域3Uへの、蒸発した冷媒の逆流を、より効果的に抑制することができる。
その他、参考形態1と同様の作用効果を有する。
【0085】
(実施形態15)
本形態は、
図27に示すごとく、実施形態14に対して、絞り部36の形状を変更した形態である。
本形態においては、絞り部36のZ方向における突出端に、Y方向の下流側へ向かうにつれてZ方向の中央側へ向かうように傾斜した傾斜端面361を設けている。
その他の構成は、実施形態14と同様である。
【0086】
本形態においては、絞り部36が傾斜端面361を有するため、絞り開口部360を、下流側へ向かって通過する冷媒の流れを円滑にすることができる。この絞り部36によっても、下流側領域3Dから上流側領域3Uへ向かう方向の流路抵抗を、上流側領域3Uから下流側領域3Dへ向かう方向の流路抵抗よりも大きくすることができる。すなわち、この絞り部36も、流体ダイオード部32として機能し得る。
その他、実施形態14と同様の作用効果を有する。
【0087】
(実施形態16)
本形態は、
図28、
図29に示すごとく、実施形態9に対して、内部フィン4の形状を変更した形態である。
本形態においては、実施形態9と同様に、中間領域3Mに、上下連通部35を有する。上下連通部35は、下側の連通空間351と上側の連通空間352とを、Z方向に接続してなる。下側の連通空間351と上側の連通空間352とは、下流端の位置が揃っている。
【0088】
上下連通部35の下流側に、流体ダイオード部32が形成されている。
図29に示すごとく、流体ダイオード部32は、傾斜フィン41と、接続フィン42とによって構成されている。接続フィン42は、Y方向に対する傾斜フィン41の傾斜方向と同じ側に傾斜している。ただし、Y方向に対する接続フィン42の傾斜角度は、Y方向に対する傾斜フィン41の傾斜角度よりも小さい。これにより、傾斜フィン41と接続フィン42との間に、鋭角空間301が形成される。
【0089】
また、接続フィン42の下流端には、接続フィン42の傾斜方向と逆向きに傾斜した下流端フィン421が形成されている。また、傾斜フィン41の上流端には、Y方向に沿った上流端フィン411が形成されている。
また、内部フィン4の全体にわたり、分岐流路37同士を連通させる連絡部370が形成されている。
その他の構成は、実施形態9と同様である。
【0090】
本形態においては、冷媒の逆流を抑制すると共に、Z方向への冷媒の分散が容易となる。それゆえ、第1電子部品21及び第2電子部品22の冷却性を一層向上させやすい。
その他、実施形態9と同様の作用効果を有する。
【0091】
(実施形態17)
本形態は、
図30~
図34に示すごとく、内部フィン4における特定の一部に、下記の拡散部5を設けた部品冷却装置10の形態である。
冷却管3は、冷媒流路30を、流路方向Yに沿って並走する複数の分岐流路37に仕切る内部フィン4を有する。
【0092】
内部フィン4は、
図30に示すごとく、上流側領域3Uと中間領域3Mと下流側領域3Dとのうち、中間領域3Mのみにおいて、隣り合う分岐流路を連通させる拡散部5を設けている。
なお、流路方向Yに沿って並走するとは、複数の分岐流路37が、全体的に流路方向Yに沿うように、並列して形成されている状態を表し、流路方向Yに対して傾斜した部分を有している場合も含む。
【0093】
内部フィン4は、
図31、
図32に示すごとく、厚み方向に曲げ加工された金属板からなり、X方向に凹凸を有する。本形態においては、一枚の金属板を曲げ加工してなる内部フィン4が、
図30に示すごとく、上流側領域3Uと中間領域3Mと下流側領域3Dとを含む領域に配置されている。
【0094】
内部フィン4は、冷却面31の法線方向Xから見て、流路方向Yに対する傾斜方向が交互に変化する波型のウェーブフィン4Wを有する。拡散部5は、ウェーブフィン4Wの一部に形成されている。
【0095】
すなわち、内部フィン4の一部に、ウェーブフィン4Wが形成されている。そのウェーブフィン4Wの一部に、拡散部5が形成されている。本形態においては、ウェーブフィン4Wは、上流側領域3Uと中間領域3Mと下流側領域3Dとの全域に形成されている。そして、ウェーブフィン4Wの上流側と下流側に、Y方向に平行なストレートフィン4Sが形成されている。
【0096】
拡散部5は、
図31に示すごとく、内部フィン4の一部をいずれかの分岐流路37側へ突き出した突出部51を有する。
本形態においては、内部フィン4を構成する金属板の一部に、切り込みを入れると共に、切り込みを入れた部分に曲げ加工を施す。これにより、内部フィン4の一部に、突出部51が形成されると共に、開口部52が形成される。
【0097】
より具体的には、内部フィン4は、
図31、
図32に示すごとく、Z方向に平行な底壁部401と、Z方向に立設した側壁部402とを有する。底壁部401と側壁部402とが、Z方向に交互に連続することで、内部フィン4が一体的に形成されている。また、側壁部402が板厚方向に屈曲していることで、波型のウェーブフィン4Wが形成されている。Z方向に隣り合う側壁部402の間に、分岐流路37が形成されている。
【0098】
拡散部5の突出部51は、
図31に示すごとく、側壁部402の一部に形成されている。すなわち、側壁部402の一部から、一方の分岐流路37側へ突出するように、突出部51が形成されている。突出部51は、一方の底壁部401に近い側が側壁部402又は底壁部401に接続され、他方側が切断されている。
【0099】
そして、側壁部402における、突出部51が形成された部分に、開口部52が形成されている。すなわち、開口部52は、突出部51の上流側と下流側とにそれぞれ隣接して形成されている。
【0100】
ウェーブフィン4Wの側壁部402は、Y方向に対する傾斜の向きが交互に変化するように、波型に形成されている。側壁部402における、Y方向に対する傾斜の向きが逆転する部分を、山部及び谷部とすると、Y方向に隣り合う山部と谷部との間の側壁部402の一部である単位側壁部402aの一部に、拡散部5(すなわち突出部51及び開口部52)が形成されている。
【0101】
図30に示すごとく、上流側領域3U及び下流側領域3Dには、拡散部5は形成されていない。中間領域3Mに形成された拡散部5は、Z方向における、冷媒流路30の略全域に、形成されている。
【0102】
なお、本形態の部品冷却装置10は、実施形態1~実施形態16の部品冷却装置1とは異なり、流体ダイオード部を備えていない。ただし、本形態において、流体ダイオード部を適宜設けることもできる。
その他の構成は、実施形態2と同様である。
【0103】
本形態においては、中間領域3Mに拡散部5が形成されている。これにより、
図33、
図34に示すごとく、第1電子部品21及び第2電子部品22の熱によって冷媒が蒸発して蒸気になった場合にも、この蒸気sを、拡散部5を介して、Z方向の両側に拡散させることができる。すなわち、Z方向の中央付近の分岐流路37において発生した蒸気sを、Z方向の両側へ逃がすことができる。これにより、Z方向の中央付近において、液冷媒を円滑に導入することができ、第1電子部品21及び第2電子部品22の効率的な冷却を確保することができる。
【0104】
すなわち、仮に、
図35、
図36に示すごとく、内部フィン4に拡散部を設けていない場合、Z方向の中央付近の分岐流路37において発生した蒸気sは、Y方向に広がる。このとき、蒸気sの膨脹圧力が、導入される液冷媒の供給圧力よりも大きいと、蒸気sの一部は下流側領域3Dから上流側領域3Uへ向かって逆流する。そうすると、Z方向の中央付近の分岐流路37において、蒸気sが排出部342へ向かい難くなる。これにより、蒸気sが冷媒流路30内に停滞し、ドライアウトの状態を招きかねない。そして、第1電子部品21及び第2電子部品22の冷却性能を低下させる要因となり得る。
【0105】
これに対して、実施形態17に示した部品冷却装置10は、拡散部5を有するため、上述のように、蒸気sをZ方向の両側へ逃がすことができる(
図33参照)。これにより、Z方向の中央付近において、液冷媒を円滑に導入することができ、第1電子部品21及び第2電子部品22の効率的な冷却を確保することができる。
【0106】
また、内部フィン4は、上流側領域3Uと中間領域3Mと下流側領域3Dとのうち、中間領域3Mのみにおいて、拡散部5を設けている。それゆえ、第1電子部品21及び第2電子部品22の近傍において、冷媒と内部フィン4との伝熱面積を確保しやすい。
【0107】
また、中間領域3Mのみにおいて、拡散部5が設けてあるため、第1電子部品21及び第2電子部品22の近傍において、冷媒の圧損を低減することができる。それゆえ、非沸騰状態において、第1電子部品21及び第2電子部品22と熱交換する冷媒の流量を確保しやすい。
【0108】
また、上記のように、拡散部5を設けることによる伝熱面積の低下や圧損の上昇があったとしても、そのことによる電子部品の冷却への影響が小さい。それゆえ、拡散部5を大きくすることも可能となり、上述のような沸騰状態における冷媒の分散をより円滑に行いやすくなる。
【0109】
また、内部フィン4はウェーブフィン4Wを有する。そして、拡散部5はウェーブフィン4Wの一部に形成されている。これにより、内部フィン4と冷媒との伝熱面積を効果的に増大させることができ、冷却性能を向上させることができる。また、ウェーブフィン4Wに拡散部5を設けることにより、より効果的に、冷媒をZ方向に拡散させることができる。
【0110】
また、拡散部5は突出部51を有する。これにより、内部フィン4と冷媒との伝熱面積を、一層増大させることができる。それゆえ、電子部品の冷却性能を、一層向上させることができる。
【0111】
以上のように、本実施形態の場合にも、円滑な冷媒の流れを確保して、電子部品の冷却性能を向上させることができる、部品冷却装置を提供することができる。
【0112】
次に、実施形態17の部品冷却装置10による効果確認試験を行った結果を、
図37に示す。すなわち、第2電子部品22から冷媒への熱伝達率と、過熱度ΔTとの関係を、冷媒の非沸騰状態と沸騰状態との双方にて解析した。比較として、
図35に示すように、拡散部を備えていない冷却管を用いた部品冷却装置(すなわち比較試料)による熱伝達率についても解析した。
【0113】
熱伝達率の解析は、上述の実施形態3における効果確認試験と同様の方法にて行った。なお、過熱度ΔTは、熱伝達面の温度と冷媒の飽和温度との差分である。
【0114】
同図に示すごとく、過熱度ΔTが小さく冷媒が非沸騰状態にある間は、比較試料と実施形態17とにおける熱伝達率の差は、特にない。そして、過熱度ΔTが大きくなり、沸騰状態となると、沸騰冷却効果によって熱伝達率は向上し、ある限界点までは、過熱度ΔTが大きくなるほど、熱伝達率も大きくなる。ところが、比較試料においては、その限界点が早く到来し、それ以上過熱度ΔTを大きくすると、ドライアウトの状態(すなわち、伝熱面の全体において冷媒が気化した状態)となり、熱伝達率が急激に低下する。
【0115】
これに対し、実施形態17の部品冷却装置10においては、過熱度ΔTが大きくなっても、熱伝達率の上昇が継続する。それゆえ、第2電子部品22の温度が上昇しても、ドライアウトの状態になり難く、熱伝達率を高くすることができる。すなわち、ドライアウトとなるまでの過熱度ΔTを、比較試料の場合と比べて、約20%程度高くすることができている。
【0116】
この効果の差は、
図30に示すごとく、中間領域3Mに拡散部5を設けたことによるものと考えられる。すなわち、冷媒が沸騰状態となったときに、上述のように、蒸気sをZ方向の外側へ逃がすことができ、下流側の第2電子部品22の近傍への冷媒の流量を確保することができるためと考えられる。
【0117】
(実施形態18)
本形態は、
図38に示すごとく、突出部51を大きくした形態である。
すなわち、突出部51が、単位側壁部402aの一端から中央部までの間の全域に形成されている。これに伴い、開口部52も、単位側壁部402aの一端から中央部までの間の全域に形成されている。
【0118】
また、突出部51の下流側の端縁は、側壁部402と連続しており、突出部51の上流端側に、開口部52が形成されている。
その他の構成は、実施形態17と同様である。
【0119】
本形態においては、比較的冷媒が衝突しやすい突出部51の表面積を大きくすることができる。それゆえ、冷媒と内部フィン4との伝熱面積を大きくすることができる。
また、拡散部5の構成を簡素化することができ、内部フィン4を製造容易にすることができる。その結果、生産性に優れた部品冷却装置10を得ることができる。
その他、実施形態17と同様の作用効果を有する。
【0120】
(実施形態19)
本形態は、
図39に示すごとく、突出部51の一部を屈曲させて、分岐流路37側へ延ばした延設部511を有する形態である。
すなわち、側壁部402に対して傾斜するように突出させた突出部51の一部を、底壁部401に沿った方向に延設して、延設部511が形成されている。
その他の構成は、実施形態18と同様である。
【0121】
本形態においては、延設部511を設けた分、突出部51における冷媒との伝熱面積を大きくすることができる。
その他、実施形態18と同様の作用効果を有する。
【0122】
なお、上記実施形態19は、実施形態18と同様に、突出部51が、単位側壁部402aの一端から中央部までの間の全域に形成されている。ただし、実施形態19の変形例として、
図40に示すごとく、突出部51を、実施形態17と同様に、単位側壁部402aの中央部の一部に形成しつつ、延設部511を設けた態様とすることもできる。
【0123】
(実施形態20)
本形態は、
図41に示すごとく、突出部51が、板厚方向に湾曲している形態である。
すなわち、突出部51は、開口部52側に凸となるような曲面部を有する。
また、側壁部402における突出部51との接続部と反対側の底壁部401と、開口部52の一端との間に、段差がある。
その他の構成は、実施形態17と同様である。
【0124】
本形態においては、突出部51における冷媒との伝熱面積を大きくすることができる。また、突出部51の形成を容易にすることができる。
その他、実施形態17と同様の作用効果を有する。
【0125】
(実施形態21)
本形態は、
図42に示すごとく、実施形態20に対して、突出部51の向きを変更した形態である。
すなわち、突出部51における、側壁部402との接続部を、冷媒流路30の上流側としている。
その他、実施形態20と同様の構成および作用効果を有する。
【0126】
(実施形態22)
本形態も、
図43に示すごとく、実施形態20に対して、突出部51の向きを変更した形態である。
ただし、本形態においては、一部の突出部51における、側壁部402との接続部を、冷媒流路30の下流側としている。
【0127】
具体的には、上流側に配された拡散部5の突出部51は、側壁部402との接続部を上流側とし、下流側に配された拡散部5の突出部51は、側壁部402との接続部を下流側としている。
その他、実施形態20と同様の構成および作用効果を有する。
【0128】
(実施形態23)
本形態も、
図44に示すごとく、実施形態20に対して、突出部51の向きを変更した形態である。
ただし、本形態においては、いずれの突出部51も、側壁部402との接続部を、冷媒流路30の下流側としている。
その他、実施形態20と同様の構成および作用効果を有する。
【0129】
(実施形態24)
本形態は、
図45に示すごとく、拡散部5に、突出部51を設けていない形態である。
すなわち、実施形態17とは異なり、拡散部5が、突出部51を有さない。そして、側壁部402に形成された開口部52によって、拡散部5を構成している。なお、本形態においては、開口部52は、略矩形状を有する。
その他の構成は、実施形態17と同様である。
【0130】
本形態においては、拡散部5を簡素化することができる。その結果、部品冷却装置10の生産性を向上させることができ、製造コストを低減することができる。
その他、実施形態17と同様の作用効果を有する。
【0131】
(実施形態25)
本形態も、
図46に示すごとく、拡散部5に、突出部51を設けていない形態である。
本形態においては、拡散部5を構成する開口部52の形状を、略円形としたものである。
その他の構成は、実施形態24と同様である。
本形態においても、実施形態24と同様の作用効果を得ることができる。
【0132】
(実施形態26)
本形態は、
図47、
図48に示すごとく、拡散部5が、内部フィン4の一部に形成された開口部52と、開口部52を閉塞する蓋部53とを有する形態である。
蓋部53は、所定の圧力が板厚方向に作用したときに弾性変形するよう構成されている。
【0133】
すなわち、所定の圧力が蓋部53に作用していないときは、
図47に示すごとく、蓋部53が開口部52を塞いだ状態にある。例えば、冷媒が沸騰していない非沸騰状態においては、蓋部53に作用する圧力が所定の圧力未満にあり、蓋部53が開口部52を塞いでいる。これにより、冷媒は、拡散部5においても、各分岐流路37を流れる。すなわち、拡散部5において他の分岐流路37へ拡散することなく、分岐流路37を流れる。
【0134】
一方、所定の圧力が蓋部53に作用しているときは、
図48に示すごとく、蓋部53が弾性変形して、開口部52が開放される。例えば、冷媒が沸騰している沸騰状態においては、蓋部53に作用する圧力が所定の圧力以上となり、蓋部53が厚み方向に弾性変形し、開口部52が露出する。これにより、冷媒(特に蒸気)は、拡散部5において分岐流路37間を移動する。
【0135】
また、沸騰状態が治まって、蓋部53に作用する圧力が所定の圧力未満となると、再び蓋部53が開口部52を塞ぐこととなる。これにより、再び、冷媒が各分岐流路37を流れることとなる。
なお、蓋部53に作用する圧力が所定の圧力未満のとき、蓋部53は、開口部52を完全に塞いでもよいし、完全に塞がなくてもよい。蓋部53に作用する圧力が所定の圧力未満のときの開口部52の開放度合が、蓋部53に作用する圧力が所定の圧力以上のときの開口部52の開放度合よりも小さければよい。
その他の構成は、実施形態17と同様である。
【0136】
本形態においては、非沸騰状態など、平常時においては、冷媒が各分岐流路37を流れるようにすることができる。それゆえ、流路抵抗を小さくすることができると共に、Z方向における冷媒の流量の均等化を図りやすい。その結果、全体として、電子部品の冷却性能を向上させやすい。
【0137】
そして、冷媒が沸騰したときに、上記のように拡散部5が機能することによって、蒸気をZ方向の外側へ逃がすことができる。それゆえ、沸騰状態においても、冷却性能を向上させることができる。
その他、実施形態17と同様の作用効果を有する。
なお、本形態において、開口部52及び蓋部53の形状は、適宜変更することができる。
【0138】
なお、上記各実施形態においては、第1電子部品21及び第2電子部品22を、それぞれ個別の部品モジュール20に分けて配置した形態を示したが、第1電子部品及び第2電子部品を一つの部品モジュールに内蔵した上で、冷却管と熱的に接触させた構成とすることもできる。
【0139】
本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の実施形態に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0140】
1、10 部品冷却装置
21 第1電子部品
22 第2電子部品
3 冷却管
30 冷媒流路
31 冷却面
32 流体ダイオード部
3U 上流側領域
3D 下流側領域
3M 中間領域