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特許7002445ユニバーサル血液製剤並びにそれを調製及び使用する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-04
(45)【発行日】2022-01-20
(54)【発明の名称】ユニバーサル血液製剤並びにそれを調製及び使用する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/14 20150101AFI20220113BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20220113BHJP
   A61M 1/02 20060101ALI20220113BHJP
【FI】
A61K35/14
A61P7/00
A61M1/02 130
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2018513747
(86)(22)【出願日】2016-05-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-07-12
(86)【国際出願番号】 US2016034679
(87)【国際公開番号】W WO2016191691
(87)【国際公開日】2016-12-01
【審査請求日】2019-05-15
(31)【優先権主張番号】62/167,743
(32)【優先日】2015-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517413720
【氏名又は名称】イムトリクス セラピューティクス、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レイ、キャロル エイ.
(72)【発明者】
【氏名】シモーニ、ジャン エス.
(72)【発明者】
【氏名】メラー、ジョン エフ.
【審査官】長谷川 茜
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-016044(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0072845(US,A1)
【文献】特表2014-531966(JP,A)
【文献】特開昭58-054959(JP,A)
【文献】特表2013-500797(JP,A)
【文献】特開2011-097918(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 35/14
A61M 1/02
A61P 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユニバーサル血液製剤を調製する方法であって、
全血又は血漿を含む血液製剤と、(i)約0.2cm /gから約2.0cm /gの範囲の孔サイズを有するミクロ多孔質/メソ多孔質/マクロ多孔質ヒドロキシアパタイト、(ii)直径<2nmのミクロ細孔を有する第1の炭素粒子及び直径約2nmから約50nmのメソ細孔を有する第2の炭素粒子の混合物を少なくとも含むミクロ多孔質/メソ多孔質炭素質材料、並びに(iii)抗原決定基が化学的に結び付いた少なくとも1つの担体マトリクスとを接触させて、浄化された製剤を形成するステップ、並びに
上記浄化された製剤を回収するステップ
を含
該抗原決定基がA-三糖[Ga1NAcalpha1-3(Fucalpha1-2)Ga1]及びB-三糖[Ga1alpha1-3(Fucalpha1-2)Ga1]であり、かつこれらの抗原決定基が該ミクロ多孔質/メソ多孔質/マクロ多孔質ヒドロキシアパタイト及び該ミクロ多孔質/メソ多孔質炭素質材料に固定されている、
上記ユニバーサル血液製剤を調製する方法。
【請求項2】
ヒドロキシアパタイトが天然の、合成の、又はその組み合わせである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ヒドロキシアパタイトが約200m/gから約3000m/gのブルナウアー・エメット・テラー表面積を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ヒドロキシアパタイトが約300μmから約1000μmの粒子サイズを有するビーズの形態である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ヒドロキシアパタイトが、孔サイズが約2nmから約1000nm超の範囲である単峰形の孔サイズ分布を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
抗原決定基が化学的に結び付いた担体マトリクスが、ポリエチレン(PE)、セファロース、シリカ、ポリオキシメチレン(POM)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ酢酸ビニル(PVA)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリスチレン(PS)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアクリラート、ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)、ポリアクリルアミド、ポリメタクリル酸グリシジル(PGMA)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリエステル、ポリカーボナート、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリアミド、ポリアラミド、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリスルホン(PS)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアリールエーテルスルホン(PEAS)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、エチレンビニルアルコール(EVOH)、ポリアミド-イミド、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、ポリブタジエン(PBD)、ポリブチレン(PB)、ポリブチレンテレフタラート(PBT)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリイミド、ポリ乳酸(PLA)、ポリメチルペンテン(PMP)、ポリ(p-フェニレンエーテル)(PPE)、ポリウレタン(PU)、スチレンアクリロニトリル(SAN)、ポリブテン酸、ポリ(4-アリル-安息香酸)、ポリ(アクリル酸グリシジル)、ポリメタクリル酸グリシジル(PGMA)、ポリ(アリルグリシジルエーテル)、ポリ(ビニルグリシジルエーテル)、ポリ(ビニルグリシジルウレタン)、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、前記ポリマーのコポリマー、前記ポリマーの誘導体、及びその組み合わせからなる群から選択される担体マトリクスに固定されている、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
担体マトリクスが、セルロース、ニトロセルロース、キトサン、コラーゲン、デンプン、架橋多糖ゲル、及びその組み合わせからなる群から選択される多糖を含む、請求項に記載の方法。
【請求項8】
担体マトリクスが、ビーズ、シート、又は中空繊維膜の形態である、請求項に記載の方法。
【請求項9】
担体マトリクス及び抗原決定基が化学的に結び付いた担体マトリクスの両方と結合したリンカー基をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
リンカー基がアミノ酸を含む、請求項に記載の方法。
【請求項11】
浄化された製剤の、TNF-α、IL-1β、IL-4、IL-6、IL-8、IL-10、IFN-γ、及びTGF-βからなる群から選択される少なくとも1つの分子の量が、血漿製剤内に存在する量と比較して約10%から約50%低減している、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
血漿製剤が単一の対象から得られる、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
血漿製剤が少なくとも2人の対象から得られる、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
(i)約0.2cm /gから約2.0cm /gの範囲の孔サイズを有するミクロ多孔質/メソ多孔質/マクロ多孔質ヒドロキシアパタイト、(ii)直径<2nmのミクロ細孔を有する第1の炭素粒子及び直径約2nmから約50nmのメソ細孔を有する第2の炭素粒子の混合物を少なくとも含むミクロ多孔質/メソ多孔質炭素質材料、並びに(iii)抗原決定基が化学的に結び付いた少なくとも1つの担体マトリクスを含有する中空繊維膜を含むハンドヘルド装置であって、
該抗原決定基がA-三糖[Ga1NAcalpha1-3(Fucalpha1-2)Ga1]及びB-三糖[Ga1alpha1-3(Fucalpha1-2)Ga1]であり、かつこれらの抗原決定基が該ミクロ多孔質/メソ多孔質/マクロ多孔質ヒドロキシアパタイト及び該ミクロ多孔質/メソ多孔質炭素質材料に固定されている、
上記ハンドヘルド装置
【請求項15】
ユニバーサル血液製剤を調製する方法であって、
全血又は血漿を含む血液製剤と、(i)約0.2cm /gから約2.0cm /gの範囲の孔サイズを有するミクロ多孔質/メソ多孔質/マクロ多孔質ヒドロキシアパタイト、(ii)直径<2nmのミクロ細孔を有する第1の炭素粒子及び直径約2nmから約50nmのメソ細孔を有する第2の炭素粒子の混合物を少なくとも含むミクロ多孔質/メソ多孔質炭素質材料、並びに(iii)抗原決定基が化学的に結び付いた少なくとも1つの担体マトリクスとを接触させて、浄化された製剤を形成するステップ
を含み、
該抗原決定基がA-三糖[Ga1NAcalpha1-3(Fucalpha1-2)Ga1]及びB-三糖[Ga1alpha1-3(Fucalpha1-2)Ga1]であり、かつこれらの抗原決定基が該ミクロ多孔質/メソ多孔質/マクロ多孔質ヒドロキシアパタイト及び該ミクロ多孔質/メソ多孔質炭素質材料に固定されており、並びに
上記ヒドロキシアパタイト、炭素質材料、及び担体マトリクスのうちの少なくとも1つに反応性部位を導入するように1つ又は複数の部分で上記ヒドロキシアパタイト、炭素質材料、及び担体マトリクスのうちの少なくとも1つが機能化されている、
上記ユニバーサル血液製剤を調製する方法。
【請求項16】
機能化が多糖の組み込みを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
多糖が酸化されている、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
担体マトリクスが過ヨウ素酸塩で酸化されたポリビニルアルコールを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
担体マトリクスが、アミノ酸又はペプチドを介してポリビニルアルコールと化学的に結び付いている多糖をさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
アミノ酸又はペプチドが少なくとも2つのアミン基を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
(i)約0.2cm /gから約2.0cm /gの範囲の孔サイズを有するミクロ多孔質/メソ多孔質/マクロ多孔質ヒドロキシアパタイト、(ii)直径<2nmのミクロ細孔を有する第1の炭素粒子及び直径約2nmから約50nmのメソ細孔を有する第2の炭素粒子の混合物を少なくとも含むミクロ多孔質/メソ多孔質炭素質材料、並びに(iii)抗原決定基が化学的に結び付いた少なくとも1つの担体マトリクスを含有する中空繊維膜を含む装置であって、
該抗原決定基がA-三糖[Ga1NAcalpha1-3(Fucalpha1-2)Ga1]及びB-三糖[Ga1alpha1-3(Fucalpha1-2)Ga1]であり、かつこれらの抗原決定基が該ミクロ多孔質/メソ多孔質/マクロ多孔質ヒドロキシアパタイト及び該ミクロ多孔質/メソ多孔質炭素質材料に固定されている、
上記装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
生体液から、前記生体液が対象に投与されると起こり得る望ましくない生理学的応答を引き起こし得る分子を除去するための組成物、系、及び方法が本明細書において概して開示される。さらに具体的には、ユニバーサル血液製剤を調製するための組成物、系、及び方法が本明細書において開示される。
【背景技術】
【0002】
ヒト血漿は700を超えるタンパク質の源であり、それらの多く、例えば、アルブミン、凝固因子(因子VIII、IX、XIII、プロトロンビン、フィブリノーゲン、ヴォン・ヴィレブランド因子)、免疫グロブリン(Ig)、プロテアーゼ阻害剤などは、かなりの治療における価値を有する。治療血漿は、良く確立された血液バンク分離技術を使用して、ボランティアから提供された全血から得られる。これらの技術はウイルス病原体及び細菌病原体の除去において効果的であるが、自己抗体、及び炎症性サイトカインなどの疾患メディエーターなどの除去においては効果的でない。診断未確定及び無症候の自己免疫疾患のキャリアである1人のドナーの血漿が大きな血漿プールを汚染し得、多くのレシピエントをこれらの疾患メディエーターに曝露し得る、多くの例がある。高レベルの炎症性サイトカイン及び代謝性疾患において形成される他の活性分子を有する診断未確定及び無症候の血液ドナーでも類似の状況が存在し得る。
【0003】
多くの標準的な血漿プールの試験は、ある割合が「免疫」抗A又は抗B抗体を含有していたことを示した。抗A抗体は、そのエピトープが抗原性となるために十分に類似しているインフルエンザウイルスに対する免疫応答に由来する。抗B抗体は赤血球上で見られる抗原に対して反応性であり、細菌抗原に対しても形成され得る。抗A及び抗B抗体は通常、約100kDaから約1000kDaの範囲の分子量、及び5.5~7.4の範囲のpIを有する免疫グロブリンである。これらの抗体は、特定の条件下で、望ましくない臨床的及び血液学的副作用をもたらし得る。血漿における抗A及び抗B抗体の存在のため、全血漿ドナープールは著しく限定され、時間を消費するスクリーニング試験が必要となり、これにより輸血が複雑になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ユニバーサル血液製剤を効果的に生産し得る組成物及び方法が現在必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
全血又は血漿を含む血液製剤を得るステップ、血液製剤と、(i)ヒドロキシアパタイト、(ii)マクロ多孔質サイズαを有する第1の炭素粒子及びマクロ多孔質サイズβを有する第2の炭素粒子の混合物を少なくとも含む炭素質材料、並びに(iii)抗原決定基が化学的に結び付いた少なくとも1つの担体マトリクスとを接触させて、浄化された製剤を形成するステップ、並びに浄化された製剤を回収するステップを含む、ユニバーサル血液製剤を調製する方法が本明細書において開示される。
【0006】
全血又は血漿を含む血液製剤を得るステップ、血液製剤と、(i)ヒドロキシアパタイト、(ii)マクロ多孔質サイズαを有する第1の炭素粒子及びマクロ多孔質サイズβを有する第2の炭素粒子の混合物を少なくとも含む炭素質材料、並びに(iii)抗原決定基が化学的に結び付いた少なくとも1つの担体マトリクスとを接触させて、浄化された製剤を形成するステップを含む、ユニバーサル血液製剤を調製する方法であって、ヒドロキシアパタイト、炭素質材料、及び担体マトリクスのうちの少なくとも1つが機能化されている方法が同様に本明細書において開示される。
【0007】
本開示及びその利点をさらに完全に理解するために、同様の参照数字が同様の部分を表す添付の図面及び詳細な説明に関連して記載される、以下の簡単な説明が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本明細書において開示されるタイプの装置の代替的な構成を示す図である。
図2図2Aは、本明細書において開示されるタイプの装置の代替的な構成を示す図である。図2Bは、本明細書において開示されるタイプの装置の代替的な構成を示す図である。図2Cは、本明細書において開示されるタイプの装置の代替的な構成を示す図である。
図3】本明細書において開示されるタイプのシステムを示す。
図4図4Aは、示されたクレンジング製剤と接触させた後の時間に応じた、新鮮な凍結血漿試料内の示された分子量のプロットである。図4Bは、示されたクレンジング製剤と接触させた後の時間に応じた、新鮮な凍結血漿試料内の示された分子量のプロットである。図4Cは、示されたクレンジング製剤と接触させた後の時間に応じた、新鮮な凍結血漿試料内の示された分子量のプロットである。図4Dは、示されたクレンジング製剤と接触させた後の時間に応じた、新鮮な凍結血漿試料内の示された分子量のプロットである。図4Eは、示されたクレンジング製剤と接触させた後の時間に応じた、新鮮な凍結血漿試料内の示された分子量のプロットである。図4Fは、示されたクレンジング製剤と接触させた後の時間に応じた、新鮮な凍結血漿試料内の示された分子量のプロットである。図4Gは、示されたクレンジング製剤と接触させた後の時間に応じた、新鮮な凍結血漿試料内の示された分子量のプロットである。図4Hは、示されたクレンジング製剤と接触させた後の時間に応じた、新鮮な凍結血漿試料内の示された分子量のプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ユニバーサル血液製剤(UBP)の生産において有用な組成物、プロセス、及び装置が本明細書において開示される。一態様ではUBPは全血であり、代替的にUBPは血漿である。「全血」は、構成要素(例えば、血漿、血小板、又は赤血球)が除去されていない血液である。全血は、場合によって、外部から添加された抗凝固剤を含む。「血漿」は、末梢血細胞が懸濁している、全血の液体構成要素である。血漿は、典型的には、場合によって抗凝固剤を添加した後に全血を遠心分離して血漿を血球から分離することによって得られる。この場合、UBPは、抗A抗体(IgG)及び抗B抗体(IgM)を少なくとも欠くユニバーサル血液製剤(すなわち、全血又は血漿)を指す。開示対象の一態様は、炎症性分子(例えばサイトカイン)のレベルがUBPを生成するために使用される原料試料と比較して低減している、UBPの調製物である。開示対象のさらなる態様は、UBPの小規模生産のための携帯用装置である。開示対象のさらに他の態様は、UBPの大規模生産のための据え付け用装置である。
【0010】
本開示の態様は、全血又は血漿を含む血液試料を、(i)ヒドロキシアパタイト、(ii)炭素質材料、並びに(iii)抗原決定基が化学的に結び付いた担体マトリクスを含む製剤に導入するステップを含む方法である。このような製剤は「クレンジング製剤」と呼ばれ、それは、クレンジング製剤との接触後に回収される材料であり、低減したレベルのIgG、IgM、及び炎症性メディエーターを含有する。本開示における使用に適したクレンジング製剤構成要素には、衛生化プロセスに供された材料が含まれる。一態様では、クレンジング製剤構成要素の1つ又は複数は、クロマトグラフィー材料として作用し得る。例えば、クレンジング製剤の1つ又は複数の構成要素は、吸着材として作用し得る。本明細書において、用語「吸着剤」は簡略化のために使用されており、用語「吸着剤」は必ずしも材料の作用メカニズムを指す必要はないことが理解される。
【0011】
本開示のさらなる態様は、本明細書において開示されるタイプのクレンジング製剤を含有する装置である。クレンジング製剤が装置の最終用途に応じて特定の装置における使用に最適化され得、その結果、携帯用装置に適したクレンジング製剤が据え付け用装置に適したクレンジング製剤と異なり得るようになることが検討される。本開示の態様では検討される携帯用及び据え付け用装置は、本明細書において独立して記載されている。
【0012】
図1を参照すると、本開示100の方法論の略図は、血漿又は全血10を含む試料をクレンジング製剤20に導入するステップを含む。クレンジング製剤20は適切な管に収納されていてよく、(i)ヒドロキシアパタイト15、炭素質材料25、及び抗原決定基が化学的に結び付いた担体マトリクス35を含み得る。一態様では、クレンジング製剤20との接触の後、ユニバーサル血液製剤30は回収され、次いで、それを必要とする対象に投与され得る。本明細書において使用される用語「対象」は、あらゆる及び全ての生物を含み、用語「患者」を含む。
【0013】
一態様では、クレンジング製剤はヒドロキシアパタイトを含む。ヒドロキシアパタイトは、式Ca(PO(OH)を有するカルシウムアパタイトの天然の無機物形態であるが、通常は、結晶単位細胞が2つの実態を有することを示すためにCa10(PO(OH)と書かれる。構造1は、ヒドロキシアパタイト結晶構造の描写である。
【化1】
【0014】
本開示の一態様では、ヒドロキシアパタイトは天然の材料であるか、代替的に、ヒドロキシアパタイトは合成材料である。本開示の一部の態様では、クレンジング製剤は、少なくとも一部が天然であり、残り部分が合成ヒドロキシアパタイトである、ヒドロキシアパタイトの組み合わせを含む。本開示における使用に適したヒドロキシアパタイトは、約0.2cm/gから約2.0cm/g、代替的に約0.5cm/gから約1.5cm/g、又は代替的に約0.5cm/gから約1.0cm/gの範囲の孔サイズを特徴とし得る。ヒドロキシアパタイトはさらに、約10m/gから約300m/g、代替的に約50m/gから約250m/g、又は代替的に約100m/gから約200m/gの範囲の表面積を特徴とし得る。本明細書において開示されるあらゆる材料の孔サイズは、例えば窒素吸着多孔度測定などのあらゆる適切な方法論を利用して判定され得る。本明細書において開示されるあらゆる材料の表面積は、ブルナウアー・エメット・テラー(BET)法などのあらゆる適切な方法論を利用して判定され得る。例えば、表面積は、ASTM D1993-91又はASTM D6556-04に従って判定され得る。
【0015】
ヒドロキシアパタイトは、あらゆる適切な形態、例えば顆粒であり得る。本明細書において使用される場合、「顆粒」は、物質のあらゆる微粒子形態を意味する。この用語には、したがって、粉末、粒、断片、粒子、ちりなどが含まれる。
【0016】
一態様では、本開示における使用に適したヒドロキシアパタイトは、セラミックヒドロキシアパタイトである。セラミックヒドロキシアパタイト球は、典型的には、小さい結晶(50~100nmサイズ範囲)の凝集と、その後の高温での焼結とによって製造される。このプロセスの結果、各球は多孔質であり、約1μmから約1000μm、代替的に約10μmから約500μm、又は代替的に約100μmから約300μmの範囲の平均粒子サイズを有し得る。
【0017】
一態様では、クレンジング製剤は炭素質材料を含む。炭素質材料は、ミクロ細孔、メソ細孔、及びマクロ細孔形態の多孔質フェノール樹脂を含有する合成炭素粒子(SCP)であり得る。本明細書において使用される場合、用語「ミクロ細孔」は、窒素吸着及び水銀多孔度測定方法によって測定すると、並びにIUPACによる規定によると、直径<2nmの孔を指す。本明細書において使用される場合、用語「メソ細孔」は、窒素吸着及び水銀多孔度測定方法によって測定すると、並びにIUPACによる規定によると、約2nmから約50nmの直径を有する孔を指す。本明細書において使用される場合、用語「マクロ細孔」は、窒素吸着及び水銀多孔度測定方法によって測定すると、並びにIUPACによる規定によると、50nmより大きな直径を有する孔を指す。本発明に関連して、2つのタイプのマクロ細孔が存在する。マクロ多孔質ビーズでは、これらはビーズ内に位置し、孔形成体によって形成される。これらのサイズは50~500nm、典型的には70~200nmである。これらのマクロ細孔は、サイトカインの吸着において非常に効果的である。典型的には、大部分が孔形成体である前駆体樹脂製剤が使用される(例えば、100部の樹脂形成構成要素に対して250部のエチレングリコール又は他の孔形成体)。
【0018】
本明細書において、メソ多孔質樹脂は、フェノール化合物又はフェノール凝縮プレポリマーを含む求核構成要素と、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、フルフラール、及びヘキサメチレンテトラミンから選択される少なくとも1つの求電子性架橋剤とを、ジオール(例えばエチレングリコール)、ジオールエーテル、環状エステル、置換された環状エステル、置換された直鎖状アミド、置換された環状アミド、アミノアルコール、及び上記のいずれかと水との混合物からなる群から選択される孔形成体の存在下で凝縮して樹脂を形成することによって形成され得る。孔形成体は、樹脂をメソ多孔質又はマクロ多孔質にするために効果的な量で存在し(例えば、少なくとも120重量部の孔形成体が、100重量部の総樹脂形成構成要素、すなわち求核構成要素プラス求電子性構成要素を溶解するために使用される)、水でのカスケード洗浄又は真空乾燥による凝縮後に多孔質樹脂から除去される。得られた樹脂は、不活性環境で少なくとも600℃の温度まで加熱することによって炭素化されて、二峰性分布の孔を有する材料が得られ得、孔構造は、窒素吸着多孔度測定によって推定すると、ミクロ細孔及びメソ細孔又はマクロ細孔を含む。メソ細孔についての、孔半径の対数に関する孔容量の微分の値(dV/dlogR)は、20Å~500Åの範囲の孔サイズの少なくとも一部の値については0.2より大きい。メソ多孔質炭素は、活性化せずに、250m/g~800m/gのBET表面積を有し得る。メソ多孔質炭素は、二酸化炭素、蒸気、若しくはその混合物の存在下で高温でそれを加熱することによって、例えば、800℃を超える二酸化炭素内でそれを加熱することによって活性化され得るか、又は400℃を超える空気内でそれを加熱することによって活性化され得る。メソ多孔質炭素は、その結果、最大2000m/g及びそれ以上、例えば1000m/g~2000m/gの表面積を有し得る。
【0019】
一態様では、クレンジング製剤は、抗原決定基が化学的に結び付いた担体マトリクスを含む。このような態様では、担体マトリクスは、1つ又は複数の抗原決定基と化学的に結び付き得るあらゆる材料を含み得る。一態様では、化学的結び付きは化学結合を含む。他の態様では、化学的結び付きは、水素結合、ファンデルワールス相互作用、静電気的相互作用などを含む。一部の態様では、化学的結び付きは、化学結合、水素結合、ファンデルワールス相互作用、静電気的相互作用などの組み合わせを含む。さらに、担体マトリクスは、成分への全血若しくは血漿の分離において、及び/又は全血若しくは血漿からの選択分子の除去において役立つ、クロマトグラフィー材料として機能し得る。
【0020】
一態様では、担体マトリクスは、ポリエチレン(PE)、セファロース、シリカ、ポリオキシメチレン(POM)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ酢酸ビニル(PVA)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリスチレン(PS)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアクリラート、ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)、ポリアクリルアミド、ポリメタクリル酸グリシジル(PGMA)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリエステル、ポリカーボナート、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリアミド、ポリアラミド、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリスルホン(PS)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアリールエーテルスルホン(PEAS)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、エチレンビニルアルコール(EVOH)、ポリアミド-イミド、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、ポリブタジエン(PBD)、ポリブチレン(PB)、ポリブチレンテレフタラート(PBT)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリイミド、ポリ乳酸(PLA)、ポリメチルペンテン(PMP)、ポリ(p-フェニレンエーテル)(PPE)、ポリウレタン(PU)、スチレンアクリロニトリル(SAN)、ポリブテン酸、ポリ(4-アリル-安息香酸)、ポリ(アクリル酸グリシジル)、ポリメタクリル酸グリシジル(PGMA)、ポリ(アリルグリシジルエーテル)、ポリ(ビニルグリシジルエーテル)、ポリ(ビニルグリシジルウレタン)、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、前記ポリマーのコポリマー、前記ポリマーの誘導体、又はその組み合わせを含む。
【0021】
一態様では、抗原決定基は、血液型決定基、例えば、血液型A抗原決定基、血液型B抗原決定基、又はその組み合わせである。あらゆる適切な血液型A又は血液型B抗原決定基が、担体マトリクスに結合され得る。一態様では、抗原決定基は三糖である。一態様では、血液型A抗原決定基は、α-D-GalNAc-(1→3)-(α-L-Fuc-[1→2])-D-Galと呼ばれ、構造2に示す、血液型A三糖である。一態様では、血液型B抗原決定基は、[Ga1alpha1-3(Fucalpha1-2)Ga1と呼ばれ、構造3に示す、血液型B三糖である。
【化2】
【0022】
一部の態様では、抗原決定基は、あらゆる適切な方法論を使用して、本明細書において開示されるタイプの担体マトリクスと結び付けられ得る。例えば、抗原決定基は、抗原決定基が担体マトリクスと化学的に結び付くことを可能にする条件(例えば、温度、時間)下で、担体マトリクスとインキュベートされ得る。一部の態様では、化学的結び付きは永続的であり、その結果、化学的結び付きの中断には、典型的には、抗原決定基と担体マトリクスとの間の結合を壊すための別の化学反応を行うことが必要となる。他の態様では、化学的結び付きは一時的であり、数日間、数週間、又は数か月間といった一定期間持続し得、この場合、抗原決定基と担体マトリクスとの間の化学結合は、さらなる化学反応を行わない場合、壊れ得る。
【0023】
一部の態様では、クレンジング製剤の構成要素のいずれか(例えば、ヒドロキシアパタイト、炭素質材料、抗原決定基が化学的に結び付いた担体マトリクス)は、1つ又は複数の部分で機能化されて、全血又は血漿から除去される分子に対する材料の親和性を選択的に増強し得る。例えば、クレンジング製剤の構成要素は、1つ又は複数のアミノ酸で機能化されたヒドロキシアパタイトであり得る。
【0024】
本開示の一態様では、分子(例えば、抗A、抗B、抗抗体、抗サイトカインなど、及び又は合成リガンドに対する抗体)は、化学反応を介してクレンジング製剤の構成要素の1つ又は複数と化学的に結び付いて、前記分子とクレンジング製剤の構成要素とを連結し得る。例えば、このような分子は、ポリビニルアミン/ポリスルホン混成の中空繊維に、又はグルタルアルデヒド架橋方法に基づくシッフ反応を介して膜に付着し得る。本開示の代替的態様では、1つ又は複数の目的の分子(例えば、抗A、抗B、抗抗体、抗サイトカインなど、及び又は合成リガンドに対する抗体)は、1つ又は複数の目的の分子と反応(例えば結合)し得る機能的部分を生じさせるための酸化剤(例えばメタ過ヨウ素酸ナトリウム)によって活性化されたアルデヒドであり得る。このタイプの反応の例を、以下に図式化する。
【化3】
【0025】
一態様では、共に本明細書において開示されるタイプの担体マトリクス及び抗原決定基は、反応性部位をこれらの材料内に導入するように機能化され得る。一態様では、抗原決定基が化学的に結び付いた担体マトリクスは、M-L-Aと呼ばれる構築物として形成され、式中、Mは担体マトリクスを示し、Lはリンカー剤を示し、Aは抗原決定基を示す。M及びAは本明細書において独立して開示される。一態様では、Lは、担体マトリクス及び抗原決定基の両方に同時に結合して分子間架橋を形成し得る、あらゆる化合物であり得る。例えば、Lはアミノ酸又はペプチドであり得、代替的に、リシンなどの少なくとも2つのアミン基を含むアミノ酸であり得る。一態様では、担体マトリクス及び抗原決定基の酸化によってアルデヒド結合が形成され、これは、リンカー剤(例えばL-リシン)と反応して、L-リシンリンカー剤を介して抗原決定基を担体マトリクスに結合させる。
【0026】
一態様では、抗原決定基(例えばA-三糖)は、基質及び抗原決定基の両方が酸化された後(例えば、過ヨウ素酸塩との接触を介して)、基質(例えばポリビニルアルコールビーズ)上に共有結合によって固定される。リンカー剤(L-リシン)は、酸化されたPVA及び抗原決定基の両方に存在するアルデヒド基と反応性の遊離アミン基と複合して、還元剤(例えば水素化ホウ素ナトリウム)との反応によって還元されるカルボニル結合を形成し得る。
【0027】
本明細書において開示される材料の機能化のための他の方法論が、クレンジング製剤が1つ若しくは複数の分子を除去する効率、及び/又は特定の適用において使用するためにクレンジング製剤を改変する効率を向上させるために行われ得ることが検討される。
【0028】
一態様では、クレンジング製剤の構成要素(例えば、ヒドロキシアパタイト、炭素質材料、抗原決定基が化学的に結び付いた担体マトリクス)のいずれか又は全てが、全血又は血漿の接触の前に衛生化プロセスに供され得る。本明細書において、衛生化プロセスは、(i)病原体を除去するため、(ii)微小粒子及び浸出物の量を低減させるため、(iii)閉じ込められる空気の量を低減させるため、並びに(iv)材料を滅菌するために、クレンジング製剤の構成要素(CFC)を処理する方法を指す。本明細書において開示される衛生化プロセスに供されたCFCは、血液適合性の増大を伴って、産業グレードの材料から薬学的グレードの材料に変換されたと考えられる。
【0029】
一態様では、CFCを衛生化する方法は、乾熱処理を含む。CFCの乾熱処理は、約180℃以上の温度で約4時間以上の時間、代替的に、約200℃以上の温度で約1時間以上の時間、又は代替的に、250℃の温度で約30分以上の時間、行われ得る。CFCの乾熱処理は、材料のバイオバーデン、特に、CFCに関連する病原性物質(例えば、細菌、ウイルス、真菌など)及び発熱性物質(例えばエンドトキシン)物質の量を低減させるために機能し得る。例えば、熱処理されたCFCに関連する病原性物質の総量は、熱処理前のCFCに存在する量と比較して、約50%超、代替的に約90%超、代替的に約91%超、代替的に約92%超、代替的に約93%超、代替的に約94%超、代替的に約95%超、代替的に約96%超、代替的に約97%超、代替的に約98%超、代替的に約99%超、又は代替的に約100%低減し得る。
【0030】
一態様では、CFCのバイオバーデンは、乾熱処理の使用を介して約100%低減する。代替的に、CFCのバイオバーデンは、CFC及び本開示の他の態様と合致するあらゆる適切な方法論の使用を介して低減する。一部の態様では、CFCのバイオバーデンは、哺乳動物の血液を接触させ、哺乳動物においてその後利用される生成物を生産する、材料の衛生化のための管轄のガイドラインと合致する方法論を利用して100%低減する。
【0031】
一態様では、衛生化の方法はさらに、熱処理されたCFCからの微小粒子及び浸出物の除去を含む。本明細書において、約30ミクロンより小さな微粒子は、「微粉」と呼ばれ、一方、「浸出物」は、適用された試料の存在下/不存在下でクレンジング製剤から溶出され得る有機化合物を説明する。一態様では、熱処理されたCFCからの微小粒子及び浸出物の除去は、熱処理されたCFCと水とを接触させるステップ、水を熱処理されたCFCから除去して洗浄されたCFCを得るステップ、洗浄されたCFCと塩溶液とを接触させて修飾されたCFCを得るステップ、及び塩溶液を修飾されたCFCから除去して処理されたCFCを得るステップを含む。熱処理されたCFCは、約4容量から約10容量の水、代替的に約5容量から約10容量の水、又は代替的に約6容量から約8容量の水と接触させられ得る。CFCと物質との接触は、あらゆる適切な容器内で行われ得る。例えば、CFCは、本明細書において開示されるタイプの1つ又は複数の物質との接触を容易にするために、カートリッジ又はカラム内に置かれ得る。例えば、洗浄されたCFCは、3g/dLの濃度で塩化ナトリウム塩を含む溶液と接触させられ得る。洗浄されたCFCは、CFCの総容量に基づいて約4容量から約10容量の塩溶液、代替的に約6容量から約10容量の塩溶液、又は代替的に約6容量から約8容量の塩溶液と接触させられ得る。当業者に知られており本開示の他の方法及び組成物と適合するもののような、類似のpH及びモル浸透圧濃度を提供する他の塩溶液を、CFCからの微小粒子及び浸出物の除去を容易にするために利用し得ることが検討される。
【0032】
洗浄されたCFCを得るための水の除去、又は処理されたCFCを得るための塩の除去では、除去は、あらゆる適切な方法論を使用して行われ得る。例えば、微小粒子及び浸出物の除去は、さらなる濾液が検出されなくなるまで重力下でドレインすることが可能であり得るカラム内にCFCを置くことによって行われ得る。一部の態様では、CFCは、微小粒子及び浸出物の除去のための複数のプロセスに供され得る。さらに、一部の態様では、CFCと水及び/又は塩溶液とを接触させることによって得られた溶液を分析して、接触後に除去された微小粒子及び/又は浸出物の量を判定することができる。このような判定が行われ得、微小粒子及び/又は浸出物を除去するためのプロセスは、一部のユーザー及び/又はプロセスが望むレベルの微小粒子及び/又は浸出物が得られるまで反復される。
【0033】
一態様では、衛生化の方法はさらに、処理されたCFCを脱水することを含む。CFCと共に存在する水は材料から分離する傾向があり、その結果、圧縮及び流動性の低減が生じる。脱水は、粒子内の流体を除去することなく、湿潤粒子又はスラリー粒子から外来流体(典型的には水又は水溶液)を除去する(すなわち、粒子の蒸発乾燥を防ぐ)プロセスである。本明細書において、「外来の」は、粒子外部のあらゆる流体を意味する。したがって、ポリマーマトリクス内に吸収された又は孔内に存在するあらゆる流体は、外来であるとは考えられない。
【0034】
あらゆる適切な方法論を、処理されたCFCの脱水に利用することができる。処理されたCFCの脱水における使用に適した方法論の例には、限定はしないが、粒子を通す通気が含まれる。得られた材料は、脱水されたCFCと呼ばれる。一態様では、処理されたCFCの脱水は、脱水器具を使用して行われる。
【0035】
一態様では、衛生化の方法はさらに、無菌充填及び衛生化されたCFCを得るための滅菌とも呼ばれる、脱水されたCFCの無菌処理を含む。無菌状態は、あらゆる適切な方法論を使用して達成され得る。例えば、無菌処理には、無菌室、細菌保持フィルター、及び乾燥又は蒸気熱の使用が含まれ得る。一態様では、脱水されたCFCの無菌処理は、オートクレーブ(例えば、121℃、15psiで30分)、ガス滅菌、eビーム滅菌、ガンマ放射線照射、又はその組み合わせによる最終滅菌を含む。
【0036】
一態様では、CFCのいずれも、CFCの表面積の少なくとも一部を被覆するために機能する相溶化剤と接触させられ得る。本明細書において、相溶化剤は、CFCと生体液(例えば血漿)との生体適合性を増大させるために機能し、CFCへの非標的分子の結合を減少させるために役立ち得る、物質を指す。一態様では、相溶化剤は、多糖、グルカン、アルブミン、マンニトール、デンプン、又はその組み合わせを含む。
【0037】
一態様では、相溶化剤はデキストランを含む。デキストランは、表示を図1に示すが、α-連結型D-グルコピラノシル反復単位の直鎖状骨格を有する多糖である。一態様では、本開示における使用に適したデキストランは、約1kDaから約500kDa、代替的に約1kDaから約70kDa、代替的に約1kDaから約40kDa、又は代替的に約40kDaから約70kDaの範囲の平均分子量を有する。本開示における使用に適した相溶化剤の非限定的な例には、Hospira Inc.から市販されているDEXTRAN-1、DEXTRAN-40、及びDEXTRAN-70が含まれる。
【化4】
【0038】
一態様では、相溶化剤はヒドロキシエチルデンプンを含む。ヒドロキシエチルデンプンは、式IIに示すが、循環系のための容量を提供する機能を有する、静脈内療法のタイプの増量剤として一般的に使用される非イオン性糖誘導体である。
【化5】
【0039】
一態様では、相溶化剤は、アルブミン及びマンニトールの混合物を含む。血清アルブミンは、ヒト血漿の主なタンパク質であり、その主な機能は、血液のコロイド浸透圧を調節することである。マンニトール、すなわち(2R,3R,4R,5R)-ヘキサン-1,2,3,4,5,6-ヘキソールは、浸透圧性利尿薬として機能し得る糖アルコールである。相溶化剤内でのアルブミン対マンニトールの重量比は、20:1から1:1、代替的に18:1から1:1、又は代替的に15:1から10:1の範囲であり得る。
【0040】
理論に拘束されることは望まないが、相溶化剤(例えばデキストラン)は、装置(すなわち、クレンジング製剤を含有するカラムを有する器具)をプライミングするために機能し得、高レベルのコロイド浸透圧を維持しながら異種表面への血液成分及び血漿の最初の曝露をブロックすることによって合併症を減らし得る。一態様では、相溶化剤は、(i)潤滑効果を介して、せん断誘発型の微粉形成を予防すること、(ii)初期の最初の曝露後の血漿及び他の血液成分の活性化を防ぐためのプライミング剤として機能すること、並びに(iii)合成メソ多孔質/ミクロ多孔質炭素などの多孔質吸着剤の吸着能力を調節することにおいて機能し得るデキストラン40である。例えば、保管/配送の際に本明細書において開示されるタイプの器具の構成要素としてカラム内に梱包されるCFCは、微粒子の連続的源であり得る比較的高いせん断応力に曝露され得るが、一方、デキストランは、いかなるせん断条件でも潤滑によって微粉形成を防ぎ得る。
【0041】
本開示における使用に適したCFCは、あらゆる適切な方法論を使用して相溶化剤と接触させられ得る。一態様では、相溶化剤は、約1重量パーセント(重量%)のデキストランから約10重量%のデキストラン、代替的に約2重量%から約9重量%、又は代替的に約3重量%から約7重量%のデキストランを有する、本開示における使用に適した溶液として製剤され得るデキストランである。一態様では、相溶化剤は、約1重量%から約6重量%のヒドロキシエチルデンプン、代替的に約1.5重量%から約6重量%のヒドロキシエチルデンプン、又は代替的に約2重量%から約6重量%のヒドロキシエチルデンプンを有する、本開示における使用に適した溶液として製剤され得るヒドロキシエチルデンプンである。得られた相溶化されたCFCは、被覆が粒子表面の約50%超、代替的に、粒子表面の約60%、70%、80%、又は90%超を被覆するような、CFC粒子上での相溶化剤の被覆の形成を特徴とし得る。
【0042】
一態様では、CFCは、例えば、未知の対象から単離された血漿試料のUBPへの変換などの特定の適用を効果的に行うのに適切なあらゆる量で存在する。したがって、ヒドロキシアパタイト:炭素質材料:抗原決定基が化学的に結び付いた担体マトリクスの比率は、1:1000:1000から1000:1:1、代替的に10:100:500から500:100:10、代替的に100:10:500から500:10:100、代替的に0.1:1:10から10:1:0.1、又は代替的に1:1:1の範囲であり得る。
【0043】
一態様では、本明細書において開示されるタイプのクレンジング製剤と接触させられる全血又は血漿は、単一の対象から得ることができる。代替的な態様では、本明細書において開示されるタイプのクレンジング製剤と接触させられる全血又は血漿は、2人以上の対象、又は10人以上の対象、又は20人以上の対象などの複数の対象から得ることができる。このような試料は、全血又は血漿を回収及び/又は保管するためのあらゆる適切な方法論を使用して回収及び/又は保管され得る。
【0044】
一態様では、試料(例えば全血又は血漿)は、体外装置の構成要素である本明細書において開示されるタイプのクレンジング製剤と接触させられる。本開示における使用に適した装置の態様を図2に示す。例えば、図2Aは、携帯に適したスケールの装置を開示する。このような装置は携帯用(例えばハンドヘルド)であり得、また、単一の対象から得られた試料を使用するUBPの生成に利用され得る(すなわち、個人用装置である)。クレンジング製剤を含有する装置は、試料回収、及び重力のみを介して個々の対象に対して行われるUBP注入の時点で使用され得る。
【0045】
別の態様である図2Bでは、本明細書において開示されるタイプのクレンジング製剤を含有するカラムは、複数の対象から得られた試料を使用するUBPの生成のための据え付け用器具の構成要素に適切にスケーリングされ得る。
【0046】
さらに別の態様である図2Cでは、クレンジング製剤が化学的に結び付いた中空繊維系が、高流速で動く大容量のプールされた血漿のクレンジングを行うための器具の構成要素として使用され得る。
【0047】
あらゆる態様を手動で行うことができる。代替として、本明細書において開示される1つ又は複数の態様が自動化され得る。図3は、本明細書において開示される1つ又は複数の態様を行うのに適したコンピュータシステム780を説明する。コンピュータシステム780は、第2の記憶装置784、リードオンリーメモリ(ROM)786、ランダムアクセスメモリ(RAM)788、入力/出力(I/O)装置790、及びネットワーク接続装置792を含むメモリデバイスと通信しているプロセッサ782(これは、セントラルプロセッサユニット又はCPUと呼ばれ得る)を含む。プロセッサ782は、1つ又は複数のCPUチップとして実現され得る。
【0048】
実行可能な命令をコンピュータシステム780にプログラム及び/又はロードすることよって、CPU782、RAM788、及びROM786のうちの少なくとも1つが変化し、コンピュータシステム780が一部、本開示によって教示される新規な機能性を有する特定の機械又は器具に変換されることが理解される。電気工学及びソフトウェア工学の分野では、実行可能なソフトウェアをコンピュータにロードすることによって実現され得る機能性が、周知の設計ルールによるハードウェア実装に変換され得ることは基本的なことである。ソフトウェアのコンセプトの実行とハードウェアでのコンセプトの実行との間の決定は、典型的には、ソフトウェアドメインからハードウェアドメインへの翻訳に関与するいかなる問題よりも、設計の安定性及び生産されるユニット数についての考慮に依存する。通常、依然として頻繁に変更される設計がソフトウェアにおいて実現されることが好ましい場合があり、それは、ハードウェア実装のリスピンがソフトウェア設計のリスピンよりも高価であるためである。通常、大容量で生産される安定な設計が、ハードウェアにおいて、例えば特定用途向け集積回路(ASIC)において実現されることが好ましい場合があり、それは、大量生産の実行では、ハードウェア実装がソフトウェア実装ほどに高価ではない可能性があるためである。設計は、ソフトウェア形成で開発及び試験され、その後、周知の設計ルールによって、ソフトウェアの命令をハードウェアにより実現する特定用途向け集積回路における同等のハードウェア実装に変換されることが多い。同様に、新規なASICで制御される機械は特定の機械又は器具であるため、同様に、実行可能な命令でプログラム及び/又はロードされたコンピュータは、特定の機械又は器具として見られ得る。
【0049】
第2の記憶装置784は、典型的には、1つ又は複数のディスクデバイス又はテープデバイスを含み、不揮発性のデータ記憶装置に使用され、また、RAM788が全ての作業データを保持するために十分大きくはない場合にはオーバーフローデータ記憶装置として使用される。第2の記憶装置784は、プログラムが実行のために選択される場合に、RAM788にロードされるこのようなプログラムを保存するために使用され得る。ROM786は、命令と、場合によっては、プログラム実行の間に読まれるデータとを保存するために使用される。ROM786は、典型的には、第2の記憶装置784の大きめの記憶容量よりも記憶容量が小さい、不揮発性の記憶装置である。RAM788は、揮発性データを保存するため、及び場合によっては、命令を保存するために使用される。ROM786及びRAM788の両方へのアクセスは、典型的には、第2の記憶装置784へのアクセスよりも速い。第2の記憶装置784、RAM788、及び/又はROM786は、一部の文脈では、コンピュータ可読記憶媒体及び/又は非一時的なコンピュータ可読媒体と呼ばれ得る。
【0050】
I/O装置790には、プリンタ、ビデオモニタ、液晶ディスプレイ(LCD)、タッチスクリーンディスプレイ、キーボード、キーパッド、スイッチ、ダイアル、マウス、トラックボール、音声認識機、カードリーダ、紙テープリーダ、又は他の周知の入力装置が含まれ得る。
【0051】
ネットワーク接続装置792は、モデム、モデムバンク、イーサネット(登録商標)カード、ユニバーサル・シリアル・バス(USB)インターフェースカード、シリアルインターフェース、トークンリングカード、光ファイバ分散データインターフェース(FDDI)カード、ワイアレスローカルエリアネットワーク(WLAN)カード、無線トランシーバカード、例えば、符号分割多元接続(CDMA)、汎欧州デジタル移動電話方式(GSM)、ロングタームエボリューション(LTE)、世界規模相互運用マイクロ波アクセス(WiMAX)、及び/又は他のエアインターフェースプロトコル無線トランシーバカード、並びに他の周知のネットワーク装置の形態を取り得る。これらのネットワーク接続装置792は、プロセッサ782をインターネット又は1つ若しくは複数のイントラネットと接続させることができ得る。このようなネットワーク接続を用いて、上記の方法ステップを行う過程で、プロセッサ782がネットワークから情報を受け取り得ること、又は情報をネットワークに出力し得ることが検討される。プロセッサ782を使用して実行される一連の命令として表されることが多いこのような情報は、例えば、搬送波に載せられたコンピュータデータシグナルの形態で、ネットワークから受け取られ得、またネットワークに出力され得る。
【0052】
プロセッサ782を使用して実行されるデータ又は命令を含み得るこのような情報は、例えば、コンピュータデータベースバンドシグナル又は搬送波に載せられたシグナルの形態で、ネットワークから受け取られ得、またネットワークに出力され得る。ネットワーク接続装置792によって生成されるベースバンドシグナル又は搬送波に載せられたシグナルは、電気伝導体の表面内若しくは表面上、同軸ケーブル内、導波管内、光コンジット、例えば光ファイバ内、又は、エアー若しくは自由空間内で伝播し得る。ベースバンドシグナル又は搬送波に組み込まれたシグナルに含まれる情報は、情報の処理若しくは生成、又は情報の伝達若しくは受け取りに望ましいように、異なる配列に従って並び得る。ベースバンドシグナル若しくは搬送波に組み込まれたシグナル、又は、現在使用されている若しくは今後開発される他のタイプのシグナルは、当業者に周知のいくつかの方法に従って生成され得る。ベースバンドシグナル及び/又は搬送波に組み込まれたシグナルは、一部の文脈では、一時的シグナルと呼ばれ得る。
【0053】
プロセッサ782は、命令、コード、コンピュータプログラム、スクリプトを実行し、プロセッサ782はこれらに、ハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、光ディスク(これらの様々なディスクに基づくシステムは全て、第2の記憶装置784と考えられ得る)、ROM786、RAM788、又はネットワーク接続装置792からアクセスする。ただ1つのプロセッサ782が示されているが、複数のプロセッサが存在し得る。したがって、命令はプロセッサによって実行されると論じられ得るが、命令は、1つ又は複数のプロセッサによって同時に、連続して、又はその他の形で実行され得る。第2の記憶装置784、例えば、ハードドライブ、フロッピー(登録商標)ディスク、光ディスク、及び/又は他の装置、ROM786、及び/又はRAM788からアクセスされ得る命令、コード、コンピュータプログラム、スクリプト、及び/又はデータは、一部の文脈では、非一時的な命令及び/又は非一時的な情報と呼ばれ得る。
【0054】
一態様では、コンピュータシステム780は、タスクの実行のために協働する、互いに通信した2つ以上のコンピュータを含み得る。例えば、限定はしないが、アプリケーションは、アプリケーションの命令の同時の及び/又は並行した処理を可能にするような様式で分割され得る。代替的に、アプリケーションによって処理されたデータは、2つ以上のコンピュータによるデータセットの異なる部分の同時の及び/又は並行した処理を可能にするような様式で分割され得る。一態様では、仮想化ソフトウェアをコンピュータシステム780に採用して、コンピュータシステム780におけるコンピュータ数に直接接続していない多くのサーバの機能性を提供することができる。例えば、仮想化ソフトウェアは、20のバーチャルサーバを4つの物理コンピュータに提供し得る。一態様では、上記で開示される機能性は、1つ及び/又は複数のアプリケーションをクラウドコンピューティング環境で実行することによって提供され得る。クラウドコンピューティングは、ダイナミックにスケーラブルなコンピューティング資源を使用するネットワーク接続を介してコンピューティングサービスを提供することを含み得る。クラウドコンピューティングは、仮想化ソフトウェアによって少なくとも部分的にサポートされ得る。クラウドコンピューティング環境は、企業によって確立され得、且つ/又はサードパーティプロバイダから必要に応じてレンタルされ得る。一部のクラウドコンピューティング環境は、企業が所有し管理するクラウドコンピューティング資源、並びにサードパーティプロバイダがレンタル及び/又はリースするクラウドコンピューティング資源を含み得る。
【0055】
一態様では、上記で開示される機能性の一部又は全ては、コンピュータプログラム製品として提供され得る。コンピュータプログラム製品は、上記で開示される機能性を実行するために、コンピュータが使用可能なプログラムコードが搭載された、1つ又は複数のコンピュータ可読記憶媒体を含み得る。コンピュータプログラム製品は、データ構造、実行可能な命令、及び他のコンピュータが使用可能なプログラムコードを含み得る。コンピュータプログラム製品は、取り外し可能なコンピュータ記憶媒体及び/又は取り外し不可能なコンピュータ記憶媒体に搭載され得る。取り外し可能なコンピュータ可読記憶媒体は、限定はしないが、紙テープ、磁気テープ、磁気ディスク、光ディスク、ソリッドステートメモリチップ、例えばアナログ磁気テープ、コンパクトディスクリードオンリーメモリ(CD-ROM)ディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、ジャンプドライブ、デジタルカード、マルチメディアカードなどを含み得る。コンピュータプログラム製品は、コンピュータシステム780によって、コンピュータプログラム製品のコンテンツの少なくとも一部を第2の記憶装置784に、ROM786に、RAM788に、並びに/又はコンピュータシステム780の他の不揮発性メモリ及び揮発性メモリにロードするのに適していてよい。プロセッサ782は、実行可能な命令及び/又はデータ構造を、一部ではコンピュータプログラム製品に直接アクセスすることによって、例えば、コンピュータシステム780のディスクドライブ周辺機器に挿入されたCD-ROMディスクから読み取ることによって処理し得る。代替的に、プロセッサ782は、実行可能な命令及び/又はデータ構造を、コンピュータプログラム製品にリモートでアクセスすることによって、例えば、ネットワーク接続装置792を介してリモートサーバから実行可能な命令及び/又はデータ構造をダウンロードすることによって処理し得る。コンピュータプログラム製品は、データ、データ構造、ファイル、及び/又は実行可能な命令の、第2の記憶装置784、ROM786、RAM788、並びに/又はコンピュータシステム780の他の不揮発性メモリ及び揮発性メモリへのロード及び/又はコピーを促進する命令を含み得る。
【0056】
一部の文脈では、ベースバンドシグナル及び/又は搬送波に載せられたシグナルは、一時的シグナルと呼ばれ得る。一部の文脈では、第2の記憶装置784、ROM786、及びRAM788は、非一時的なコンピュータ可読媒体又はコンピュータ可読記憶媒体と呼ばれ得る。RAM788のダイナミックRAMの態様も、同様に、ダイナミックRAMが電力を受け取り、その設計に従って操作されている間、例えば、コンピュータ780がオンの状態で操作可能である一定期間の間に、ダイナミックRAMがそれに書かれた情報を記憶するという点で、非一時的なコンピュータ可読媒体と呼ばれ得る。同様に、プロセッサ782は、内蔵RAM、内蔵ROM、キャッシュメモリ、及び/又は、一部の文脈では非一時的なコンピュータ可読媒体若しくはコンピュータ可読記憶媒体と呼ばれ得る他の内蔵の非一時的な記憶ブロック、セクション、若しくはコンポーネントを含み得る。
【0057】
本開示の1つ又は複数の態様では、本明細書において開示されるクレンジング製剤は、血漿の回収又は注入の時点で使用され得、重力のみで駆動される装置の構成要素である。本明細書において開示されるクレンジング製剤のさらなる利点は、経時的に浸出又は分解し得る生物製剤、抗体、又はリガンドが不存在であること、及び周囲温度での2年を超える保存期間である。一部の態様では、本明細書において開示されるタイプのハンドヘルド装置は、軍人の標準仕様装備の構成要素であり、リュックサックなどの区域に収納可能である。代替的な態様では、クレンジング製剤は、2人以上の対象から得られた試料を使用するUBPのハイスループット生成のための据え付け用装置の構成要素である。
【0058】
一態様では、クレンジング製剤は、IgG及び/又はIgMと結び付くための材料の親和性を増強するための1つ又は複数の部分で機能化され得る。一態様では、クレンジング製剤はヒドロキシアパタイトであり、1つ又は複数のアミノ酸で機能化される。本開示における使用に適したヒドロキシアパタイトは、あらゆる適切な形態を取り得る。例えば、ヒドロキシアパタイトは、ナノ粒子、ビーズ、又は顆粒であり得る。抗A及び抗B抗体、他の自己抗体、並びに疾患分子などの疾患メディエーターを含有する個体から得られた血漿の曝露と、合成リガンドによって担持されている活性炭ビーズ及び大きな多孔質吸着剤を含むクレンジング製剤を接触させて、前記対象に投与することができるこれらのメディエーターを有さない溶離液を得ることとを含む方法が本明細書において開示される。
【0059】
一態様では、本明細書において開示される組成物及び方法は、1つ又は複数の医学的状態の治療において利用される。一態様では、医学的状態は、代謝障害、炎症性疾患、変性疾患、腫瘍性疾患、及び全身性免疫応答(SIRS)障害又はSIRS様障害からなる群から選択され、体液は、血球成分を有する血漿である。ここで、炎症性疾患は、体が炎症によって有害物質に反応するものを指す。ここで、変性疾患は、原発性の異常が体の一部の変性である疾患を指す。ここで、代謝性疾患は、原発性の異常が体内の重要な代謝プロセスの妨害であるものを指す。ここで、腫瘍性疾患は、原発性の異常が様々なタイプの良性及び悪性腫瘍の形成をもたらす未調節細胞成長である疾患を指す。以下、簡略化のために、代謝障害、炎症性疾患、変性疾患、腫瘍性疾患、及びSIRS又はSIRS様障害からなる群から選択される医学的状態は、まとめてクラスA障害と言う。
【0060】
一態様では、医学的状態は、癌などの腫瘍性障害である。癌は、米国及び世界の多くの他の地域で主要な公衆衛生上の問題である。2013年に、米国だけで、166万290人の新たな発生があった。癌は、2番目に一般的な死因である。癌の経験がある患者に最も多い症候は、癌に関連する疲労であり、これは広汎性であり、患者のクオリティー・オブ・ライフ及び生産性に影響する。貧血及び悪液質は、疲労、無気力、疲れ、又は力不足の原因となる。炎症誘発性因子は、癌で見られる併存症の病因、並びに癌の促進及び進行について提案されるメカニズムの多くに関与する。慢性炎症は、様々なメカニズム:(i)遺伝的不安定性の誘発、(ii)血管新生の増大、(iii)遺伝子の後成的状態の改変、及び(iv)細胞増殖の増大によって発癌性であり得る。慢性炎症にはまた、癌で見られる貧血及び悪液質も誘発する。炎症誘発型の発癌性事象に寄与する鍵となる分子因子は、(i)反応性酸素種及び窒素種(RNOS)の過剰生産、(ii)核因子(NF)-カッパBの活性化、(iii)炎症性サイトカイン及びケモカインの大規模発現、並びに(iv)シクロオキシゲナーゼ-2活性の増大である。癌において過剰に発現した炎症誘発性サイトカイン及び増殖因子は、(i)貧血をもたらす赤血球生成(TNF-α、IL-1β、IL-13、TGF-β1)、(ii)腫瘍成長を容易にする血管新生(VEGF、EGF、βFGF)、(iii)腫瘍の進行及び転移(TNF-α、IL-1β、IL-6、IL-8)、並びに(iv)悪液質(TNF-α、IL-6、IFN-γ)及び他の併存症に対して負の影響を有する。
【0061】
一態様では、医学的状態は、慢性腎疾患(CKD)をもたらす代謝障害である。CKDは、腎臓のダメージ、又は60未満の糸球体濾過量(GFR)として規定され、メタボリック症候群の結果である。GFRは、腎機能レベルの指標である。CKDは2000万人の米国人(9人の成人に1人)が罹患しており、別の2000万人はそのリスクが高い。血液透析では末期への進行を止められず、患者は、貧血及び他の併存症を発症するリスクが高い。貧血の初期の治療が、症候を最小化し、クオリティー・オブ・ライフを向上させるために推奨されている。CKDにおける貧血は主にエリスロポエチン(EPO)欠損ではないため、治療は困難である。実際、CKD患者は、著しく高い酸化ストレス及び全身性炎症に罹患している。EPO及びTGF-β1レベルは、対照の約3倍である。高いTGF-β1レベルが赤血球生成を阻害する。強力な抗赤血球生成物質であることが示されているTNF-α、IL-1β、及びIFN-γもまた上昇している。炎症性サイトカイン(TNF-α、IL-1β、IL-6、IL-8、IFN-γ)は腎疾患の進行及びその後の心血管合併症を加速させるが、TGF-βスーパーファミリーは、CKD貧血に加え、腎硬化も仲介する。他の腎毒性分子には、尿酸、遊離ヘモグロビン、CRP、並びに活性脂質種(すなわち、8-イソプロスタン)、酸素種、及び窒素種が含まれる。
【0062】
一態様では、医学的状態は心血管疾患などの変性障害であり、体液は血球成分を有する血漿である。心血管疾患は、米国における最多の死因である。心血管疾患によって、推定で1700万人が毎年世界中で死亡している。心血管疾患は心臓及び血管の障害群であり、これには、(i)冠動脈性心疾患、(ii)脳血管疾患、(iii)末梢動脈疾患、(iv)リウマチ性心疾患、(v)先天性心疾患、(vi)深部静脈血栓症、及び(vii)肺塞栓症が含まれる。心臓発作及び脳卒中は、心臓又は脳へ血液が流れるのを阻害するブロックによって生じる。最も一般的な原因はアテローム性動脈硬化症であり、これは、以前は、特徴のない脂質蓄積性疾患としてしか考えられていなかったが、実際は、進行中の炎症性応答を伴う。心血管疾患のメディエーターには、コレステロール、トリグリセリド、LDL、VLDL、ox-LDL、他の生物学的に活性な脂質、並びに炎症誘発性メディエーター、例えばC-反応性タンパク質(CRP)及びサイトカインが含まれる。初期では、心血管疾患は、その進行を遅らせるか又は止めることを目的とした生活スタイルの変更によって治療され得る。進行した段階では、外科的介入又は非外科的手順が必要であり得る。
【0063】
一態様では、医学的状態は、SIRS又はSIRS様障害であり、体液は血球成分を有する血漿である。炎症性応答によって起こる腫瘍事象、腎臓事象、及び心血管事象が、壊滅的で治療が困難な全身性炎症反応症候群(SIRS)をもたらし得ることが非常に多い。実際、敗血症は、およそ25~50%の高い死亡率を有する。敗血症性ショックは、低血圧、O結合の欠陥、乳酸血症、及び心筋抑制を特徴とする。これらの病理学的応答は、食細胞を活性化してTNF-αを放出させる循環エンドトキシン(LPS)によって仲介され、TNF-αは次いで、L-アルギニンをNOに変換するNOSを活性化する。NOは、細胞内カルシウムを低下させるcGMPの生産を刺激し、その結果、低血圧及び心筋抑制を生じさせる。敗血症性ショックで一般に見られる急性呼吸窮迫症候群(ARDS)は、Hb酸素親和性を低下させる乳酸アシドーシスを生じさせ、したがって、多臓器不全(MOF)をもたらす低酸素症を悪化させる。SIRSは救急である。SIRSは体内の免疫系とエンドトキシン成分との相互作用の結果生じる炎症性メディエーターの過剰生産を伴うため、治療は困難である。
【0064】
SIRSは、死亡率が高い他の医学的状態、特に火傷における一般的な合併症である。CDCによると、火事及び火傷での死亡は、家での致死傷害の3番目の原因である。平均して、米国では、169分ごとに火事で誰かが死亡しており、30分ごとに負傷している。火事での負傷及び火傷は負傷発生の1%に相当し、負傷の全額の2%、すなわち毎年75億ドルである。火傷は、(i)細菌の移動の結果生じ、低血圧及び末端器官低灌流をもたらす、内毒素血症、(ii)酸化ストレス、(iii)SIRS、(iv)毛細血管漏出症候群(CLS)、(v)低アルブミン血症、並びに(vi)感染をもたらすT細胞機能が低下した免疫抑制を特徴とする。これらの病理学的応答は、食細胞を活性化してTNF-αを放出させる循環エンドトキシンによって仲介され、TNF-αは次いで、L-アルギニンをNOに変換するNOSを活性化する。NOは、細胞内カルシウム生産を低下させるcGMPの生産を刺激し、低血圧及び心筋抑制を生じさせる。急性呼吸窮迫症候群(ARDS)もまた、火傷において一般的に見られる。炎症性サイトカイン(TNF-α、IL-1、IL-6、IL-8)の生産の増大は、SIRSを生じさせる。TGF-β1、IL-10、及びNOは、免疫抑制性である。補体の活性化した代替経路はCLSに関与する。火傷は救急である。火傷は、治療を難しくする炎症性メディエーター及び免疫抑制を伴う他のメディエーターの過剰生産を伴うため、火傷の治療は複雑な課題である。緑膿菌(P.aeruginosa)感染は、火傷において特に日和見性である。
【0065】
これらの医学的状態は、器官の機能障害及び毒性代謝産物の蓄積をもたらし得る。腫瘍性病状、代謝性病状、外傷性病状、感染性病状、及び中毒症などの多くの病状を伴う肝性脳症(HE)は、著しい罹患率及び死亡率を伴う症状である。HEは、通常は肝臓によって除去される、CNSにダメージを与える循環毒素、特にアンモニア(NH)、マルカプタン(marcaptan)、及びフェノールの蓄積によって生じる。慢性肝臓不全及び膵臓疾患患者はまた、黄疸及び高レベルの神経毒性を生じさせるビリルビン血症に罹患している。
【0066】
一態様では、医学的状態は、身体に有害なレベルでの毒物及び/又は薬剤の摂取であり、体液は血球成分を有する血漿である。ここで、簡略化のために、高レベルでの毒物及び/又は薬剤の摂取から生じる医学的状態は、クラスB状態と言う。米国では毎日120人が薬剤の過剰摂取で死亡しており、別の7000人が薬剤の誤使用又は乱用で治療されている。10件の中毒死のうちほぼ9件が薬剤によって生じている。2013年には、米国での43982件の薬剤の過剰摂取による死亡のうち、22767件(51.8%)が医薬品に関するものであった。2013年の医薬品の過剰摂取に関する22767件の死亡のうち、16235件(71.3%)がオピオイド鎮痛剤に関与し、6973件(30.6%)がベンゾジアゼピンに関与するものであった。薬剤の過剰摂取で死亡した人は、ベンゾジアゼピンとオピオイド鎮痛剤との組み合わせを体内に摂取していることが多かった。最も一般的な薬剤毒性は、アセトアミノフェン、神経伝達物質アセチルコリンの作用をブロックする抗コリン物質薬剤(アトロピン、スコポラミン、ベラドンナ、抗ヒスタミン剤、及び抗精神病薬剤など)、抗鬱剤(アミトリプチリン、デシプラミン、及びノルトリプチリンなど)、副交感神経系を刺激するコリン作動性薬剤(カルバメート、ピロカルピンなど)、コカイン及びクラックコカイン、抑制薬(精神安定剤、抗不安薬、睡眠用ピル)、心臓を調節するために使用される薬剤であるジゴキシン、麻薬又はアヘン剤(ヘロイン、モルヒネ、コデインなど)、サリチラート(アスピリン)、及び多くの他のものを伴う。
【0067】
組成物及び方法論が医学的状態の治療において利用されるあらゆる態様では、他の治療(例えば、従来の治療法)を開示対象と組み合わせて利用することができる。
【0068】
抗A及び抗B抗体などの疾患メディエーター、他の自己抗体及び疾患分子を含有する、多くの個体から得られたプールされた血漿の曝露と、抗体によって担持されている活性炭ビーズ、大きな多孔質吸着剤、陰イオン性樹脂、陽イオン性樹脂、PVAビーズ、PEGが固定されたPSF膜、EVAL膜、スチレンDVBビーズを含むクレンジング製剤とアミノ酸(トリプトファン、フェニルアラニン、ヒスチジン、セリンなど)及び合成リガンドと接触させて、前記対象に投与することができるこれらのメディエーターを有さない溶離液を得ることとを含む方法が同様に本明細書において開示される。
【0069】
抗A及び抗B抗体、他の自己抗体、並びに疾患分子などの疾患メディエーターを含有する、多くの個体から得られたプールされた血漿の曝露と、抗体及び合成リガンドが組み込まれた中空繊維及び又は膜を接触させて、前記対象に投与することができるこれらのメディエーターを有さない溶離液を得ることとを含む方法が同様に本明細書において開示される。
【0070】
血漿の回収、及び重力のみを介して個々の対象に対して行われる注入の時点で使用されるクレンジング製剤を充填した個人用装置が同様に本明細書において開示される。
【0071】
圧力下で行われる大容量でのプールされた血漿のクレンジングを行うための、抗体及び/又は合成リガンドによって担持された1つ又は複数のクレンジング製剤を充填した装置の群を含む系が同様に本明細書において開示される。
【0072】
高流速で行われる大容量でのプールされた血漿のクレンジングを行うための、抗体及び/又は合成リガンドが付着した中空繊維系が同様に本明細書において開示される。
【0073】
125から500umの間のビーズサイズ及び2から200nmの間の多孔質を有する合成炭素材料が同様に本明細書において開示される。標的分子、特に、抗A、抗B、抗抗体、抗サイトカインなど、及び又は合成リガンドに対する抗体を組み込むために、PVDF中空繊維及び膜(ポリフッ化ビニリデンマトリクス)を化学的活性化する方法が同様に本明細書において開示される。
【0074】
抗A、抗B、抗抗体、抗サイトカインなど、及び又は合成リガンドに対する抗体を、グルタルアルデヒド架橋方法に基づくシッフ反応を介して、ポリビニルアミン/ポリスルホン混成の中空繊維又は膜に組み込む方法が同様に本明細書において開示される。
【0075】
ポリ(ビニルアルコール)(PVA)を有する中空繊維及び膜を、過ヨウ素酸ナトリウム(NaIO)を介して化学的に活性化して、標的分子、特に、抗A、抗B、抗抗体、抗サイトカインなど、及び又は合成リガンドに対する抗体と反応性のアルデヒド基を生じさせる方法が同様に本明細書において開示される。
【実施例
【0076】
本開示の対象を概して記載してきたが、以下の実施例が、開示の特定の態様として、また実施及びその利点を示すために提供される。実施例は説明のために提供され、明細書又は特許請求の範囲を何らかの様式に従うように限定することを意図したものではないことが理解される。
(例1)
抗A及び抗B抗体のリガンドとして作用する合成血液型三糖の、ミクロ多孔質/メソ多孔質合成炭素ビーズ、ミクロ多孔質/メソ多孔質/マクロ多孔質ヒドロキシアパタイト、及びPVAビーズ内への固定。
【0077】
2つのビーズサイズの合成炭素を使用して、IgG(およそ160kDa)に質量が類似している分子の吸着を可能にする多孔質を有する本明細書において開示されるタイプの炭素質材料を調製した。より大きな多孔質を有するヒドロキシアパタイトは、IgM(およそ950kDa)などの大きな分子を受け入れ得る。これらの材料は、ヒト血液との高い生体適合性、並びにIgG及びIgMの除去のための個々の有効性が証明されている。抗A及び抗B抗体に対する親和力を加えるために、これらの吸着剤をA-三糖及びB-三糖と固定した。理論に拘束されることは望まないが、吸着及び親和性という2つの力を組み合わせることで、抗A及び抗B抗体の除去が加速された。
【0078】
A及びB血液型抗原を模倣する糖類:血液型A-三糖[Ga1NAcalpha1-3(Fucalpha1-2)Ga1]及び血液型B-三糖[Ga1alpha1-3(Fucalpha1-2)Ga1](Sigma Aldrich、St.Louis、MO)を、ミクロ多孔質/メソ多孔質合成炭素ビーズ及びヒドロキシアパタイトビーズとインキュベートした。材料を混合しながら37℃でインキュベートした(45℃、60サイクル/分、Aliquot Mixer、Model 4561、Ames Company、Ames、IA)。試料を0、1、及び4時間の間隔で回収した。遊離A及びB三糖を含有する上清を、ELISA法でスクリーニングした。
【0079】
両三糖の完全な固定はインキュベーションの1時間後に行われ、また脱離影響は高流速でも見られなかった。これは両吸着剤がミクロ多孔質構造内に組み込まれたことを示している。この結果は、合成炭素及びヒドロキシアパタイトの吸着能力がA-三糖及びB-三糖リガンドの安定な固定の背後にあったことを示唆する。
(例2)
A-三糖及びB-三糖リガンドが固定されたミクロ多孔質/メソ多孔質合成炭素ビーズ及びミクロ多孔質/メソ多孔質/マクロ多孔質ヒドロキシアパタイトによる抗A抗体及び抗B抗体の除去
【0080】
A-三糖及びB-三糖リガンドが固定された合成炭素ビーズ又はヒドロキシアパタイトを、抗A及び抗B抗体を含有する血液型Oのドナー血漿とインキュベートした。材料を混合しながら37℃でインキュベートした(45℃、60サイクル/分、Aliquot Mixer、Model 4561、Ames Company、Ames、IA)。試料を0、1、及び4時間の間隔で回収した。抗A及び抗B抗体を含有する上清を、同種凝集素IgG及びIgMの力価を判定するゲルカラム凝集技術でスクリーニングした(Quest Diagnostics、Madison、NJ)。
【0081】
A-三糖及びB-三糖リガンドが固定された合成炭素ビーズがIgGを効果的に除去した一方で、固定されたヒドロキシアパタイトはIgMを取り除き、32の最初の抗A及び抗B力価レベルをそれぞれ95%及び99%低減させた。脱離影響は高流速下で観察されなかった。この結果は、ミクロ多孔質/メソ多孔質の炭素構造が160kDaのIgGの吸着を可能にし、ヒドロキシアパタイトのマクロ多孔質構造が950kDaのIgMを除去したことを実証する。
(例3)
A-三糖及びB-三糖リガンドの過ヨウ素酸塩による酸化
【0082】
A-又はB-三糖を、滅菌水中の150mMのNaIOに、30分、室温で、無菌室内のLaminar Flow Hood Class 100下で溶解した。溶液を、20mMの酢酸(Sigma Chemical CO.、St.Louis、MO)で事前に平衡化された陰イオン交換樹脂AG 1-X-8、100-200メッシュ酢酸塩形態(Bio-Rad Laboratories、Hercules、CA)の300mLのカラムに、4℃で通した(溶離液A)。カラムを4℃の溶離液Aで溶出し、無菌の発熱性物質を有さない容器(Abbott Laboratories、North Chicago、IL)に回収された画分を得る。過ヨウ素酸塩で酸化されたA-三糖又はB-三糖画分を258nmで分光光度法でアッセイした。回収した画分を、0.22μmの真空操作型濾過ユニット(NALGENE CO.、Rochester、NY;Millipore Co.、Bedford、MA)を使用する滅菌、及びLaminar Flow Hood Class 100下の冷却室(4℃)内のDetoxi-Gelカラム(Pierce、Rockford、IL)によるエンドトキシン除去に供した。無菌の且つ発熱性物質を有さない過ヨウ素酸塩で酸化されたA-三糖及びB-三糖画分を、-40℃で、10μHg未満の真空において、-15℃でLABCONCO Stoppering Tray Dryerによって凍結乾燥した。凍結乾燥後、粉末を、無菌の且つ密封された容器内で、-9℃で、使用するまで保管した。結果は、過ヨウ素酸塩で酸化されたA-又はB-三糖が抗A又は抗B抗体とそれぞれ高い反応性を有することを実証する。
(例4)
PVAの過ヨウ素酸塩による酸化
【0083】
ビーズの形態の、又は中空繊維ポリマー混合物の一部としてのPVAを、滅菌水中の150mMのNaIOと90分、室温で、無菌室内のLaminar Flow Hood Class 100下で反応させ、次いで、注射のために滅菌水で洗浄した。得られたアルデヒド基はシッフ反応を介してアミン基と高い反応性である。
(例5)
過ヨウ素酸塩で酸化されたPVA又はPVAを含有するポリマー混合物(すなわち、ポリスルホン/PVA混合物)への、過ヨウ素酸塩で酸化されたA-三糖及びB-三糖リガンドの固定。
【化6】

(例6)
ヒトの新鮮な凍結血漿から得たミクロ多孔質/メソ多孔質合成炭素ビーズによる健康に反する分子の除去。
【0084】
2つの異なる合成炭素ビーズ材料を、本明細書において開示されるタイプの炭素質材料を調製するために使用し、試験の前に平衡化し、そして認定されたヒトの新鮮な凍結血漿(FFP)から得た様々な標的分子の除去について評価した。処理前に、FFP(ロット番号9247350、Sera Care Life Sciences、Millford、MA)に、以下の濃度(pg/mL)のヒトサイトカイン(QIAGEN,Inc.、Valencia、CA)をスパイクとして加えた:TNF-α(100~225)、IL-1β(70~110)、IL-6(80~115)、IL-8(225~475)、IL-10(85~125)、TGF-β1(450~1450)、IFN-γ(130~520)、MCP-1(120~160)、及びCRP(10~15mg/L)。FFP-吸着剤の比率は、Howellらによって記載されているものに類似していた(Biomaterials 2006、27:5286~91)。材料を混合しながら37℃でインキュベートした。0、1、2、及び4時間の間隔で、試料を回収し、分析した。エンドトキシン、一酸化窒素(NO=NO-プラスNO-)、及び過酸化水素(H)について、さらなる一連の実験を行った。エンドトキシン、NO及びNO、並びにHを、それぞれ0.777±0.082EU/ml、30.18±2.96μM、238.74±34.86μM、30.16±2.96μM、238.7±34.9μM、及び7.76±0.9nMの濃度で適用した。対照は、吸着剤が存在せず、スパイクとして加えたFFPのみから構成された。
【0085】
材料を混合しながら37℃でインキュベートした(45度、60サイクル/分、Aliquot Mixer、Model 4561、Ames Company、Ames、IA)。試料を0、1、及び4時間の間隔で回収した。
【0086】
サイトカイン/ケモカイン(TNF-α、IL-1β、IL-6、IL-8、IL-10、IFN-γ、MCP-1)を、Multi-Analyte Custom ELISArray Kit(CELISA-CMEH0400A、QIAGEN Inc.、Valencia、CA)によって評価した。このELISArray Kitsは、細胞培養上清、血清、又は血漿における自己免疫、炎症、又はT細胞の生物学に関与するサイトカイン又はケモカインの特異的パネルを調べるために設計された。ELISAを、製造者によって特定されたプロトコルに従って行った。ELISAを、Bio-Rad Microplate ELISAリーダー(Model 3550-UV、Bio-Rad Laboratories、Hercules、CA)を使用して読み取り、Microplate Manager Software Version 2.2(Bio-Rad Laboratories)を使用して計算した。エチル後のNO/NO=NOの濃度を、Cayman Chemical Nitrate/Nitrite Assay Kit(カタログ番号780001、Ann Arbor、MI)で確立した。エンドトキシン(LPS)を、QCL-1000 Limulus Amebocyte Lysate Assay Kit(製品番号50-647U、BioWhittaker、Walkersville、MD)で評価した。CRPを、SIGMA Diagnostics(手順番号371-A、St.Louis、MO)の市販の診断キットを使用して推定した。Hを、分光測光法によって検出した。得られた結果を表にし、グラフで表し、分析した。標的分子のクリアランスの結果を図4A~Hに表す。図4A~Hは、A:TNF-α、B:IL-β、C:IL-6、D:IL-8、E:IL-10、F:MCP-1、G:IFN-γ、及びH:CRPの血漿クリアランスに対するミクロ多孔質/メソ多孔質合成炭素250又は125の影響を表す。
【0087】
さらなる開示
全血又は血漿を含む血液製剤を得るステップ、血液製剤と、(i)ヒドロキシアパタイト、(ii)マクロ多孔質サイズαを有する第1の炭素粒子及びマクロ多孔質サイズβを有する第2の炭素粒子の混合物を少なくとも含む炭素質材料、並びに(iii)抗原決定基が化学的に結び付いた少なくとも1つの担体マトリクスとを接触させて、浄化された製剤を形成するステップ、並びに浄化された製剤を回収するステップを含む、ユニバーサル血液製剤を調製する方法が本明細書において開示される。
【0088】
ヒドロキシアパタイトが天然の、合成の、又はその組み合わせである、あらゆる前述の対象の態様が同様に本明細書において開示される。
【0089】
ヒドロキシアパタイトが約200m/gから約3000m/gのブルナウアー・エメット・テラー表面積を有する、あらゆる前述の対象の態様が同様に本明細書において開示される。
【0090】
ヒドロキシアパタイトが約300μmから約1000μmの粒子サイズを有するビーズの形態である、あらゆる前述の対象の態様が同様に本明細書において開示される。
【0091】
ヒドロキシアパタイトが、孔サイズが約2nmから約1000nm超の範囲である単峰形の孔サイズ分布を有する、あらゆる前述の対象の態様が同様に本明細書において開示される。
【0092】
マクロ多孔質サイズαが約125μmから約250μmの範囲である、あらゆる前述の対象の態様が同様に本明細書において開示される。
【0093】
マクロ多孔質サイズβが約250μmから約500μmの範囲である、あらゆる前述の対象の態様が同様に本明細書において開示される。
【0094】
炭素質材料が約2nmから約50nmの範囲の孔サイズを有するミクロ細孔をさらに含む、あらゆる前述の対象の態様が同様に本明細書において開示される。
【0095】
固定された抗原決定基が血液型A決定基、血液型B決定基、又はその組み合わせを含む、あらゆる前述の対象の態様が同様に本明細書において開示される。
【0096】
血液型A決定基がA-三糖[Ga1NAcalpha1-3(Fucalpha1-2)Ga1]を含む、あらゆる前述の対象の態様が同様に本明細書において開示される。
【0097】
血液型B決定基がB-三糖[Ga1alpha1-3(Fucalpha1-2)Ga1]を含む、あらゆる前述の対象の態様が同様に本明細書において開示される。
【0098】
抗原決定基が化学的に結び付いた担体マトリクスが、ポリエチレン(PE)、セファロース、シリカ、ポリオキシメチレン(POM)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ酢酸ビニル(PVA)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリスチレン(PS)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアクリラート、ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)、ポリアクリルアミド、ポリメタクリル酸グリシジル(PGMA)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリエステル、ポリカーボナート、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリアミド、ポリアラミド、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリスルホン(PS)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアリールエーテルスルホン(PEAS)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、エチレンビニルアルコール(EVOH)、ポリアミド-イミド、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、ポリブタジエン(PBD)、ポリブチレン(PB)、ポリブチレンテレフタラート(PBT)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリイミド、ポリ乳酸(PLA)、ポリメチルペンテン(PMP)、ポリ(p-フェニレンエーテル)(PPE)、ポリウレタン(PU)、スチレンアクリロニトリル(SAN)、ポリブテン酸、ポリ(4-アリル-安息香酸)、ポリ(アクリル酸グリシジル)、ポリメタクリル酸グリシジル(PGMA)、ポリ(アリルグリシジルエーテル)、ポリ(ビニルグリシジルエーテル)、ポリ(ビニルグリシジルウレタン)、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、前記ポリマーのコポリマー、前記ポリマーの誘導体、及びその組み合わせからなる群から選択される担体マトリクスに固定されている、あらゆる前述の対象の態様が同様に本明細書において開示される。
【0099】
担体マトリクスが、セルロース、ニトロセルロース、キトサン、コラーゲン、デンプン、架橋多糖ゲル、又はその組み合わせからなる群から選択される多糖を含む、あらゆる前述の対象の態様が同様に本明細書において開示される。
【0100】
担体マトリクスが、ビーズ、シート、又は中空繊維膜の形態である、あらゆる前述の対象の態様が同様に本明細書において開示される。
【0101】
担体マトリクス及び抗原決定基が化学的に結び付いた担体マトリクスの両方と結合したリンカー基をさらに含む、あらゆる前述の対象の態様が同様に本明細書において開示される。
【0102】
リンカー基がアミノ酸を含む、あらゆる前述の対象の態様が同様に本明細書において開示される。
【0103】
浄化された製剤の、TNF-α、IL-1β、IL-4、IL-6、IL-8、IL-10、IFN-γ、及びTGF-βからなる群から選択される少なくとも1つの分子の量が、血漿製剤内に存在する量と比較して約10%から約50%低減している、あらゆる前述の対象の態様が同様に本明細書において開示される。
【0104】
血漿製剤が単一の対象から得られる、あらゆる前述の対象の態様が同様に本明細書において開示される。
【0105】
血漿製剤が少なくとも2人の対象から得られる、あらゆる前述の対象の態様が同様に本明細書において開示される。
【0106】
(i)ヒドロキシアパタイト、(ii)炭素質材料、並びに(iii)抗原決定基が化学的に結び付いた少なくとも1つの担体マトリクスを含有する中空繊維膜を含むハンドヘルド装置が同様に本明細書において開示される。
【0107】
全血又は血漿を含む血液製剤を得るステップ、血液製剤と、(i)ヒドロキシアパタイト、(ii)マクロ多孔質サイズαを有する第1の炭素粒子及びマクロ多孔質サイズβを有する第2の炭素粒子の混合物を少なくとも含む炭素質材料、並びに(iii)抗原決定基が化学的に結び付いた少なくとも1つの担体マトリクスとを接触させて、浄化された製剤を形成するステップを含む、ユニバーサル血液製剤を調製する方法であって、ヒドロキシアパタイト、炭素質材料、及び担体マトリクスのうちの少なくとも1つが機能化されている方法が同様に本明細書において開示される。
【0108】
機能化が多糖の組み込みを含む、あらゆる前述の対象の態様が同様に本明細書において開示される。
【0109】
多糖が酸化されている、あらゆる前述の対象の態様が同様に本明細書において開示される。
【0110】
担体マトリクスが過ヨウ素酸塩で酸化されたポリビニルアルコールを含む、あらゆる前述の対象の態様が同様に本明細書において開示される。
【0111】
担体マトリクスが、アミノ酸又はペプチドを介してポリビニルアルコールと化学的に結び付いている多糖をさらに含む、あらゆる前述の対象の態様が同様に本明細書において開示される。
【0112】
アミノ酸又はペプチドが少なくとも2つのアミン基を含む、あらゆる前述の対象の態様が同様に本明細書において開示される。
【0113】
(i)ヒドロキシアパタイト、(ii)炭素質材料、並びに(iii)抗原決定基が化学的に結び付いた少なくとも1つの担体マトリクスを含有する中空繊維膜を含む装置が同様に本明細書において開示される。
図1
図2
図3
図4