(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-04
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】遺伝子修飾アッセイ
(51)【国際特許分類】
C12N 15/55 20060101AFI20220203BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20220203BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20220203BHJP
C12N 5/074 20100101ALI20220203BHJP
C12N 15/09 20060101ALN20220203BHJP
C12Q 1/68 20180101ALN20220203BHJP
C12Q 1/6897 20180101ALN20220203BHJP
C12Q 1/04 20060101ALN20220203BHJP
【FI】
C12N15/55 ZNA
C12N1/21
C12N5/10
C12N5/074
C12N15/09 110
C12Q1/68
C12Q1/6897 Z
C12Q1/04
(21)【出願番号】P 2018536792
(86)(22)【出願日】2017-01-13
(86)【国際出願番号】 IB2017000106
(87)【国際公開番号】W WO2017122096
(87)【国際公開日】2017-07-20
【審査請求日】2020-01-08
(32)【優先日】2016-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】300022641
【氏名又は名称】アストラゼネカ アクチボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マレスカ,マルセッロ
(72)【発明者】
【氏名】タヘリ-ガーファロキ,アミル
(72)【発明者】
【氏名】ボーローリイ-ヤガネー,モハンマド
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー,ロレンツ,エム.
【審査官】山本 匡子
(56)【参考文献】
【文献】HYOJIN KIM; ET AL,SURROGATE REPORTERS FOR ENRICHMENT OF CELLS WITH NUCLEASE-INDUCED MUTATIONS,NATURE METHODS,NATURE AMERICA,INC.,2011年10月09日,VOL. 8, NO. 11,PAGES. 941 - 943,https://www.researchgate.net/publication/51703488_Surrogate_reporters_for_enrichment_of_cells_with_nuclease-induced_mutations
【文献】SURESH RAMAKRISHNA; ET AL,SURROGATE REPORTER-BASED ENRICHMENT OF CELLS CONTAINING RNA-GUIDED CAS9 NUCLEASE-INDUCED MUTATIONS,NATURE COMMUNICATIONS,MACMILLAN PUBLISHERS LIMITED,2014年02月26日,VOL. 5,PAGE(S).1-10,https://www.nature.com/articles/ncomms4378
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-90
C07K
C12Q
MEDLINE/BIOSIS/WPIDS/REGISTORY/CAPLUS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デオキシリボ核酸結合ドメイン認識部位(DNA-BDRS)と、上流の
プロモーターを含まない選択可能なマーカー遺伝子及び
該上流の選択可能なマーカー遺伝子と異なる下流のフレーム外の選択可能なマーカー遺伝子によって挟まれたヌクレアーゼ認識部位を含む活性化可能なレポーターカセットとを含む操作核酸構築物
であって、
前記DNA-BDRSは、ゲノムの遺伝子座への前記構築物の直接的な部位特異的なライゲーションを容易にするものである、
前記操作核酸構築物。
【請求項2】
目的の遺伝子をコードする核酸を更に含み、目的の遺伝子が
RNAにガイドされるヌクレアーゼをコードする、請求項1記載の操作核酸構築物。
【請求項3】
ヌクレアーゼがCas9又はCpf1である、請求項2記載の操作核酸構築物。
【請求項4】
(a)少なくとも1つのヌクレアーゼ認識部位を含む目的の標的遺伝子、(b)請求項1記載の操作核酸構築物
であって、活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位が、前記目的の標的遺伝子のヌクレアーゼ認識部位とは異なる配列を有する、前記操作核酸構築物、及び(c)DNA-BDRSに結合するプログラム可能なヌクレアーゼを含む細胞。
【請求項5】
プログラム可能なヌクレアーゼが、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ又はCas9-FokIヌクレアーゼである、請求項4記載の細胞。
【請求項6】
活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位を切断し、且つ、目的の標的遺伝子のヌクレアーゼ認識部位を切断するヌクレアーゼを更に含
み、該ヌクレアーゼは、RNAにガイドされるヌクレアーゼであり、且つ、
前記活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位に相補的なガイドRNA(gRNA)及び前記目的の標的遺伝子のヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAを更に含む、
請求項4記載の細胞。
【請求項7】
ヌクレアーゼがCas9又はCpf1である、請求項6記載の細胞。
【請求項8】
活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNA及び目的の標的遺伝子のヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAが、同じ構築物上に位置する操作核酸によってコードされる、
請求項6記載の細胞。
【請求項9】
構築物がヌクレアーゼをコードする核酸を更に含む、
請求項8記載の細胞。
【請求項10】
それぞれが目的の標的遺伝子の異なるヌクレアーゼ認識部位に相補的な多重gRNAを含む、請求項4記載の細胞。
【請求項11】
哺乳動物細胞である、請求項4記載の細胞。
【請求項12】
人工多能性幹細胞である、請求項4記載の細胞。
【請求項13】
請求項4記載の細胞を含む細胞集団。
【請求項14】
細胞培地及び
請求項13記載の細胞集団を含む培養物。
【請求項15】
(a)目的の標的遺伝子に特異的なヌクレアーゼ認識部位を含む目的の標的遺伝子、
(b)
細胞のゲノムに組み込まれる活性化可能なレポーターカセットであって、該活性化可能なレポーターカセットは、上流の
プロモーターを含まない選択可能なマーカー遺伝子及び該上流の選択可能なマーカー遺伝子と異なる下流のフレーム外の選択可能なマーカー遺伝子によって挟まれたヌクレアーゼ認識部位
を含み、該活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位が、前記目的の標的遺伝子に特異的なヌクレアーゼ認識部位の配列とは異なる配列を有する、前記活性化可能なレポーターカセット、
(c)前記活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位を切断し、且つ、前記目的の標的遺伝子のヌクレアーゼ認識部位を切断するヌクレアーゼ
であって、RNAにガイドされるヌクレアーゼである、前記ヌクレアーゼ、並びに
(d)前記活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位に相補的なガイドRNA(gRNA)及び前記目的の標的遺伝子のヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNA
を
含む細胞。
【請求項16】
ヌクレアーゼがCas9又はCpf1である、請求項15記載の細胞。
【請求項17】
遺伝子修飾アッセイ用の細胞を産生する方法であって、
(a)目的の標的遺伝子に特異的なヌクレアーゼ認識部位を含む目的の標的遺伝子、(b)上流の
プロモーターを含まない選択可能なマーカー遺伝子及び該上流の選択可能なマーカー遺伝子と異なる下流のフレーム外の選択可能なマーカー遺伝子によって挟まれたヌクレアーゼ認識部位を含む
、細胞のゲノムに組み込まれる活性化可能なレポーターカセット
であって、該活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位が、前記目的の標的遺伝子に特異的なヌクレアーゼ認識部位の配列とは異なる配列を有する、前記活性化可能なレポーターカセット、並びに(c)(a)及び(b)のヌクレアーゼ認識部位を切断するヌクレアーゼ
であって、RNAにガイドされるヌクレアーゼである、前記ヌクレアーゼを含む細胞に、(a)のヌクレアーゼ認識部位に相補的なガイドRNA(gRNA)及び(b)のヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードする少なくとも1つの操作核酸をトランスフェクトすること
を含み、それにより、遺伝子修飾アッセイ用の細胞を産生する、前記方法。
【請求項18】
ヌクレアーゼがCas9又はCpf1である、請求項17記載の方法。
【請求項19】
少なくとも1つの操作核酸が、
細胞によって発現される第1の目的の標的遺伝子のヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコード
する第1のヌクレオチド配列、
活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードする
第2のヌクレオチド配列、及び
細胞によって発現される第2の目的の標的遺伝子のヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコード
する第3のヌクレオチド配列
を含む、請求項17記載の方法。
【請求項20】
少なくとも1つの操作核酸が、少なくとも3つのgRNA:目的の標的遺伝子の第1のヌクレアーゼ認識部位に相補的な第1のgRNA;目的の標的遺伝子の第2のヌクレアーゼ認識部位に相補的な第2のgRNA;及び活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位に相補的な第3のgRNAをコードする、請求項17記載の方法。
【請求項21】
遺伝子修飾アッセイ用の細胞を産生する方法であって、
(a)(i)第1の目的の標的遺伝子に特異的なヌクレアーゼ認識部位を含む第1の目的の標的遺伝子、(ii)上流の
プロモーターを含まない選択可能なマーカー遺伝子及び該上流の選択可能なマーカー遺伝子と異なる下流のフレーム外の選択可能なマーカー遺伝子によって挟まれたヌクレアーゼ認識部位を含む
、細胞のゲノムに組み込まれる活性化可能なレポーターカセット
であって、該活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位が、前記目的の標的遺伝子に特異的なヌクレアーゼ認識部位の配列とは異なる配列を有する、前記活性化可能なレポーターカセット、並びに(iii)(a)(i)のヌクレアーゼ認識部位及び(a)(ii)のヌクレアーゼ認識部位を切断するヌクレアーゼを
含む細胞の第1の集団に、(a)(i)のヌクレアーゼ認識部位に相補的なガイドRNA(gRNA)及び(a)(ii)のヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードする少なくとも1つの操作核酸をトランスフェクトすること、及び
(b)(i)
第2の目的の標的遺伝子に特異的なヌクレアーゼ認識部位を含む第2の目的の標的遺伝子、(ii)上流の
プロモーターを含まない選択可能なマーカー遺伝子及び該上流の選択可能なマーカー遺伝子と異なる下流のフレーム外の選択可能なマーカー遺伝子によって挟まれたヌクレアーゼ認識部位を含む活性化可能なレポーターカセット
であって、該活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位が、前記第2の目的の標的遺伝子に特異的なヌクレアーゼ認識部位の配列とは異なる配列を有する、前記活性化可能なレポーターカセット、並びに(iii)(b)(i)のヌクレアーゼ認識部位及び(b)(ii)のヌクレアーゼ認識部位を切断するヌクレアーゼを
含む細胞の第2の集団に、(b)(i)のヌクレアーゼ認識部位に相補的なガイドRNA(gRNA)及び(b)(ii)のヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードする少なくとも1つの操作核酸をトランスフェクトすること
を含み、それにより、遺伝子修飾アッセイ用の細胞を産生
し、且つ、前記ヌクレアーゼがRNAにガイドされるヌクレアーゼである、前記方法。
【請求項22】
ヌクレアーゼがCas9又はCpf1である、請求項21記載の方法。
【請求項23】
(a)試薬を、(i)
目的の標的遺伝子に特異的な少なくとも1つのヌクレアーゼ認識部位を含む目的の標的遺伝子、並びに(ii)上流の
プロモーターを含まない選択可能なマーカー遺伝子及び該上流の選択可能なマーカー遺伝子と異なる下流のフレーム外の選択可能なマーカー遺伝子によって挟まれたヌクレアーゼ認識部位を含む少なくとも1つの活性化可能なレポーターカセット
であって、該活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位が、前記目的の標的遺伝子に特異的なヌクレアーゼ認識部位の配列とは異なる配列を有する、前記少なくとも1つの活性化可能なレポーターカセットをそれぞれ含む細胞の混合集団の細胞に導入することであって、前記試薬が、前記少なくとも1つのヌクレアーゼ認識部位を切断するヌクレアーゼ、前記活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位に相補的なガイドRNA(gRNA)及び前記目的の標的遺伝子のヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAを含み、それにより、前記試薬を含む細胞を産生する、導入すること、
(b)前記試薬を含む(a)の細胞を、前記上流の選択可能なマーカー遺伝子の発現及び前記少なくとも1つのヌクレアーゼ認識部位の切断をもたらす条件下でインキュベートし、それにより、前記上流の選択可能なマーカー遺伝子を発現する細胞を産生すること、及び
(c)前記上流の選択可能なマーカー遺伝子を発現する(b)の細胞を、前記下流の選択可能なマーカー遺伝子を発現しない細胞の死をもたらす条件下で、該下流の選択可能なマーカー遺伝子と関連付けられる選択剤と接触させ、それにより、該下流の選択可能なマーカー遺伝子を発現する細胞を産生すること、
を含む方法
であって、前記ヌクレアーゼがRNAにガイドされるヌクレアーゼである、前記方法。
【請求項24】
ヌクレアーゼがCas9又はCpf1である、請求項23記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、米国特許法第119条(e)の下で、2016年1月15日に出願された米国特許仮出願第62/279,337号の利益を主張し、その全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術分野
本発明は、遺伝子修飾アッセイに関する。
【背景技術】
【0003】
CRISPR(clustered, regularly interspaced, short palindromic repeat:クラスター化され、規則的に間隔が空いた短い回文配列反復)関連タンパク質9(Cas9)系は、哺乳動物細胞において厳密なゲノム編集に使用される技術である。最も一般的にはガイドRNAライブラリーのレンチウイルス送達により、プール型又はアレイ型の何れかで遺伝子スクリーニングを実施するためにCRISPR技術を利用することに成功した研究がますます増えている。Cas9及びガイドRNAライブラリーのウイルスベースの送達の重要な利点は、広範囲の細胞型における形質導入の高い効率、次世代シーケンシングによるプールされた表現型スクリーニングの下流で検出可能であること、及び抗生物質選択マーカーを使用して、形質導入細胞を濃縮する可能性である。
【発明の概要】
【0004】
本明細書では、幾つかの実施形態において、ハイスループット機能ゲノミクス研究に、及びノックアウト(遺伝子不活性化又は欠失)又はノックイン(遺伝子活性化又は挿入)細胞株の生成に使用され得る核酸ベースのツールを提供する。本開示のツールは、例えば、目的の標的細胞を修飾及び単離するのに一緒に使用され得る「活性化可能なレポーターカセット」、ガイドRNA構築物及びヌクレアーゼを含む。以下でより詳細に論述するように、活性化可能なレポーターカセットは、2つの選択マーカー遺伝子によって挟まれたヌクレアーゼ認識部位(nuclease recognition site(NRS))を含む。第1の選択マーカー遺伝子は通常、プロモーターを含まず(プロモーターに作動可能に連結されていない)、ランダム組込みの最小限のリスクで修飾細胞(例えば、ノックイン又はノックアウト細胞)の選択に使用されてもよく、NRSから下流にあり、フレーム外に設定される第2の選択マーカー遺伝子は、例えば、スクリーニング中の標的細胞の濃縮に使用されてもよい。第1の(上流の)選択可能なマーカー遺伝子の転写は、活性化可能なレポーターカセットの、目的の内因性発現遺伝子のイントロンへの組込み時に活性化される。第1の選択可能なマーカーは、当該遺伝子の内因性プロモーターから転写される。第2の(下流の)選択可能なマーカー遺伝子の転写は、2つの選択マーカー遺伝子間に位置するヌクレアーゼ認識部位のヌクレアーゼ切断によって調節される。この部位の切断は、第2の選択可能なマーカーの、フレーム外からフレーム内への再設定をもたらし、上流に位置する内因性プロモーターからのその転写を可能にする。
【0005】
したがって、第1の(上流の)選択可能なマーカー遺伝子の発現は、活性化可能なレポーターカセットの、目的の内因性発現遺伝子への組込みを示し、第2の(下流の)選択可能なマーカー遺伝子の発現は、ヌクレアーゼ認識部位の切断を示す。
【0006】
通常、例えば、遺伝子修飾アッセイにおける使用のための細胞は、活性化可能なレポーターカセット及びガイドRNA(gRNA)構築物を含有する(例えば、それらで同時トランスフェクトされる)。gRNA構築物は、少なくとも2つの異なるgRNA:活性化可能なレポーター構築物のヌクレアーゼ認識部位を標的とする(それに相補的な)1つのgRNA、及び目的の遺伝子に特異的である目的の遺伝子における部位を標的とする少なくとも1つのgRNAをコードする。ヌクレアーゼ認識部位(複数可)を切断するヌクレアーゼはまた、本明細書中に提供する方法においても使用される。幾つかの実施形態では、活性化可能なレポーターカセットは、ヌクレアーゼ認識部位(複数可)を切断するヌクレアーゼをコードする核酸を含む。他の実施形態では、gRNA構築物は、ヌクレアーゼをコードする核酸を含む。更に他の実施形態では、ヌクレアーゼをコードする核酸は、別々の(独立して複製する)ベクター上で細胞へ導入され得る。更なる他の実施形態では、ヌクレアーゼ認識部位(複数可)を切断するヌクレアーゼは、活性化可能なレポーターカセット及びgRNA構築物を発現する細胞へ直接導入され得る(例えば、精製タンパク質として)か、又はそれによって発現され得る。
【0007】
図1Aは、本開示の様々なツールが、目的の不活性化標的遺伝子を同定するのに(例えば、それに関してスクリーニングするのに)どのように実行され得るかの例を示す。
図1Aで表される実施形態に示すように、活性化可能なレポーターカセットは、細胞のAAVS1遺伝子座へ挿入され、その発現は、AAVS1遺伝子座に位置する内因性プロモーターによって駆動される。カセットは、ピューロマイシンN-アセチルトランスフェラーゼ(それは、ピューロマイシンに対する耐性を付与する)をコードする上流の選択可能なマーカー遺伝子及びブラストサイジンSデアミナーゼ(それは、ブラストサイジンSに対する耐性を付与する)をコードする下流のフレーム外の選択可能なマーカー遺伝子によって挟まれたヌクレアーゼ認識部位(NRS1)を含有する。目的の内因性遺伝子(遺伝子X)はまた、ヌクレアーゼ認識部位(NRS2)を含有するが、NRS2の配列は、NRS1の配列と異なる。NRS1を標的とするgRNAと関連付けられるヌクレアーゼ(例えば、Cas9又はCpf1)及びNRS2を標的とするgRNAと関連付けられるヌクレアーゼもまた表される。gRNAはそれぞれ、ヌクレアーゼを各々のヌクレアーゼ認識部位へとガイドする。
【0008】
ヌクレアーゼ認識部位を認識及び切断するヌクレアーゼの非存在下では、活性化可能なレポーターカセットの下流の(フレーム外の)選択可能なマーカー遺伝子は発現されず、目的の完全長の遺伝子が発現される。ヌクレアーゼ認識部位を認識及び切断するヌクレアーゼの存在下では、部位の切断時に、下流の選択可能なマーカー遺伝子は、それがフレーム内に存在して、且つ発現されるように再構成され、目的の遺伝子は、もはや発現されない。活性化可能なレポーターカセットの切断(NRS1にて)時にのみ発現される下流の選択可能なマーカー遺伝子の発現は、目的の遺伝子も切断されて、おそらく不活性化された(NRS2にて)ことの指標として機能を果たす。
【0009】
本開示の構築物及び方法は、例えば、アレイ型又はプール型でガイドRNAライブラリーのスクリーニングを容易にするのに、又は単一及びガイドRNAのクローニング及び発現を容易にするのに使用されてもよく、費用効率が高いプラスミドベースのガイドRNA(gRNA)ライブラリーの調製を可能にする。更に、幾つかの実施形態では、本開示の構築物及び方法は、ネガティブ選択スクリーニング及び合成致死性スクリーニングを増強するのに使用され得る。
【0010】
したがって、本開示の幾つかの実施形態は、デオキシリボ核酸結合ドメイン認識部位(deoxyribonucleic acid-binding domain recognition site(DNA-BDRS))と、上流の選択可能なマーカー遺伝子及び上流の選択可能なマーカー遺伝子と異なる下流のフレーム外の選択可能なマーカー遺伝子によって挟まれたヌクレアーゼ認識部位を含む活性化可能なレポーターカセットとを含む操作核酸構築物を提供する。幾つかの実施形態では、上流の選択可能なマーカー遺伝子は、プロモーターを含まない。幾つかの実施形態では、上流の選択可能なマーカー遺伝子は、プロモーターに作動可能に連結されている。
【0011】
本開示の幾つかの実施形態は、(a)目的の遺伝子に特異的な少なくとも1つのヌクレアーゼ認識部位(NRS)を含む目的の標的遺伝子、(b)DNA-BDRSと、上流の選択可能なマーカー遺伝子及び上流の選択可能なマーカー遺伝子と異なる下流のフレーム外の選択可能なマーカー遺伝子によって挟まれたNRSを含む活性化可能なレポーターカセットとを含む操作核酸構築物、並びに(c)DNA-BDRSに結合するプログラム可能なヌクレアーゼを含む細胞を提供する。幾つかの実施形態では、細胞は、活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位に相補的なガイドRNA(gRNA)及び目的の標的遺伝子のヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAを更に含む。幾つかの実施形態では、細胞は、活性化可能なレポーターカセットを切断し、目的の遺伝子のNRSを切断するヌクレアーゼを更に含む。
【0012】
また、本開示の細胞の集団並びに細胞培地及び細胞の集団を含む培養物を本明細書中に提供する。
【0013】
本開示の幾つかの実施形態は、(a)目的の標的遺伝子に特異的なヌクレアーゼ認識部位を含む目的の標的遺伝子、(b)上流の選択可能なマーカー遺伝子及び上流の選択可能なマーカー遺伝子と異なる下流のフレーム外の選択可能なマーカー遺伝子によって挟まれたヌクレアーゼ認識部位を含む活性化可能なレポーターカセット、(c)活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位を切断し、目的の標的遺伝子のヌクレアーゼ認識部位を切断するヌクレアーゼ、並びに(d)活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位に相補的なガイドRNA(gRNA)及び目的の標的遺伝子のヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAを発現する細胞を提供する。
【0014】
本開示はまた、遺伝子修飾アッセイ用の細胞を産生する方法であって、(a)目的の標的遺伝子に特異的なヌクレアーゼ認識部位を含む目的の標的遺伝子、(b)上流の選択可能なマーカー遺伝子及び上流の選択可能なマーカー遺伝子と異なる下流のフレーム外の選択可能なマーカー遺伝子によって挟まれたヌクレアーゼ認識部位を含む活性化可能なレポーターカセット、並びに(c)(a)及び(b)のヌクレアーゼ認識部位を切断するヌクレアーゼを発現する細胞に、(a)のヌクレアーゼ認識部位に相補的なガイドRNA(gRNA)及び(b)のヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードする少なくとも1つの操作核酸をトランスフェクトすることを含み、それにより、遺伝子修飾アッセイ用の細胞を産生する方法を提供する。
【0015】
幾つかの実施形態は、遺伝子修飾アッセイ用の細胞を産生する方法であって、(a)(i)第1の目的の標的遺伝子に特異的なヌクレアーゼ認識部位を含む第1の目的の標的遺伝子、(ii)上流の選択可能なマーカー遺伝子及び上流の選択可能なマーカー遺伝子と異なる下流のフレーム外の選択可能なマーカー遺伝子によって挟まれたヌクレアーゼ認識部位を含む活性化可能なレポーターカセット、並びに(iii)(a)(i)のヌクレアーゼ認識部位及び(a)(ii)のヌクレアーゼ認識部位を切断するヌクレアーゼを発現する細胞の第1の集団に、(a)(i)のヌクレアーゼ認識部位に相補的なガイドRNA(gRNA)及び(a)(ii)のヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードする少なくとも1つの操作核酸をトランスフェクトすること、及び(b)(i)ヌクレアーゼ認識部位を含む第2の目的の標的遺伝子、(ii)上流の選択可能なマーカー遺伝子及び上流の選択可能なマーカー遺伝子と異なる下流のフレーム外の選択可能なマーカー遺伝子によって挟まれたヌクレアーゼ認識部位を含む活性化可能なレポーターカセット、並びに(iii)(b)(i)のヌクレアーゼ認識部位及び(b)(ii)のヌクレアーゼ認識部位を切断するヌクレアーゼを発現する細胞の第2の集団に、(b)(i)のヌクレアーゼ認識部位に相補的なガイドRNA(gRNA)及び(b)(ii)のヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードする少なくとも1つの操作核酸をトランスフェクトすることを含み、それにより、遺伝子修飾アッセイ用の細胞を産生する方法を提供する。
【0016】
幾つかの実施形態は、遺伝子修飾アッセイ用の細胞を産生する方法であって、(a)目的の標的遺伝子に特異的なヌクレアーゼ認識部位を含む目的の標的遺伝子、(b)上流の選択可能なマーカー遺伝子及び上流の選択可能なマーカー遺伝子と異なる下流のフレーム外の選択可能なマーカー遺伝子によって挟まれたヌクレアーゼ認識部位を含む活性化可能なレポーターカセット、並びに(c)(a)及び(b)のヌクレアーゼ認識部位を切断するヌクレアーゼを発現する細胞に、(a)のヌクレアーゼ認識部位に相補的な少なくとも1つの操作ガイドRNA(gRNA)及び(b)のヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAを導入することを含み、それにより、遺伝子修飾アッセイ用の細胞を産生する方法を提供する。
【0017】
また、遺伝子修飾アッセイ用の細胞を産生する方法であって、(a)目的の標的遺伝子に特異的なヌクレアーゼ認識部位を含む目的の標的遺伝子、並びに(b)上流の選択可能なマーカー遺伝子及び上流の選択可能なマーカー遺伝子と異なる下流のフレーム外の選択可能なマーカー遺伝子によって挟まれたヌクレアーゼ認識部位を含む活性化可能なレポーターカセットを発現する細胞に、(a)のヌクレアーゼ認識部位に相補的なガイドRNA(gRNA)及び(b)のヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードする少なくとも1つの操作核酸をトランスフェクトすることを含み、それにより、遺伝子修飾アッセイ用の細胞を産生する方法を本明細書中に提供する。
【0018】
本開示は更に、遺伝子修飾アッセイ用の細胞を産生する方法であって、(a)目的の標的遺伝子に特異的なヌクレアーゼ認識部位を含む目的の標的遺伝子、及び(b)目的の標的遺伝子のヌクレアーゼ認識部位を切断し、活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位を切断するヌクレアーゼを発現する細胞に、デオキシリボ核酸結合ドメイン認識部位(DNA-BDRS)と、上流の選択可能なマーカー遺伝子及び上流の選択可能なマーカー遺伝子と異なる下流のフレーム外の選択可能なマーカー遺伝子によって挟まれたヌクレアーゼ認識部位を含む活性化可能なレポーターカセットとを含む操作核酸構築物をトランスフェクトすることを含む方法を提供する。
【0019】
更に、遺伝子修飾アッセイ用の細胞を産生する方法であって、目的の標的遺伝子に特異的なヌクレアーゼ認識部位を含む目的の標的遺伝子を発現する細胞に、デオキシリボ核酸結合ドメイン認識部位(DNA-BDRS)と、上流の選択可能なマーカー遺伝子及び上流の選択可能なマーカー遺伝子と異なる下流のフレーム外の選択可能なマーカー遺伝子によって挟まれたヌクレアーゼ認識部位を含む活性化可能なレポーターカセットとを含む操作核酸構築物をトランスフェクトすることを含む方法を本明細書中に提供する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1A】
図1Aは、本開示のアレイ型のスクリーニング方法論の例の模式図を示す。人工ヌクレアーゼ(認識)切断部位(「CrNRS1」)を含有し、AAVS1遺伝子座を標的とする活性化可能なレポーターが、目的の遺伝子に特異的なヌクレアーゼ切断部位(「CrNRS2」)を含有するCas9ヌクレアーゼ(又は類似のヌクレアーゼ)及び目的の標的遺伝子(「遺伝子X」)を発現する細胞へトランスフェクトされる(例えば、安定にトランスフェクトされる)。活性化可能なレポーターは、プロモーターを含まない選択可能なマーカー遺伝子(「Puro」)及びCrNRS1部位の切断後にのみ発現されるフレーム外の選択可能なマーカー遺伝子(「BSD」)を含有する。プロモーターを含まない選択可能なマーカー遺伝子及びフレーム外の選択可能なマーカー遺伝子によって挟まれたCrNRS1切断部位を含有する構築物は、本明細書中では、幾つかの場合において、「REMindelカセット」と称される。次に、CrNRS1及びCrNRS2に特異的なガイドRNA(gRNA)(例えば、単一gRNA、二重gRNA、又は多重gRNA)をコードする核酸は、目的の細胞へトランスフェクトされる。続いて、細胞は、BSD(の発現)の活性化に関して選択される。例えば、表現型分析は、BSDを発現する細胞で実施され得る。
【
図1B】
図1Bは、gRNA-NRS2-gRNA-NRS1-Cas9構築物の例の模式図を示す。
【
図2】
図2は、活性化可能なレポーターカセットを発現する細胞株を生成するのに使用する構築物の例の模式図を示す。
【
図3】
図3は、Cas9及びgRNA発現プラスミドの模式的な例を示す。
【
図4】
図4は、本開示の活性化可能なレポーターカセットの例を示す。
【
図5-1】
図5Aは、2つのヌクレアーゼ認識標的部位(Cr1及びCr2)並びに周囲の領域を増幅するのに使用するプライマーの位置を表す模式図を示す。
【
図5-2】
図5Bは、フレーム外のBSD遺伝子を含有する活性化可能なレポーターカセット、並びにCas9、活性化可能なレポーターカセットのNRSを標的とするgRNA、及びMAP3K1遺伝子のNRS(Cr1)を標的とするgRNA(gRNA-Cr1)をコードするプラスミドを発現する細胞から抽出されるDNAに関するシーケンシングの結果を示す(配列番号1~6、左側パネル、上部から下部へ、配列番号1及び配列番号7~24、右側パネル、上部から下部へ)。BSDの非存在下では、配列決定された対立遺伝子の16%が突然変異していた。BSDの存在下では、突然変異した対立遺伝子の頻度は、67%に増加した。
【
図6】
図6Aは、2つのヌクレアーゼ認識標的部位(Cr1及びCr2)並びに周囲の領域を増幅するのに使用するプライマーの位置を表す模式図を示す。
図6Bは、フレーム外のBSD遺伝子を含有する活性化可能なレポーターカセット、並びにCas9、活性化可能なレポーターカセットのNRSを標的とするgRNA、及びMAP3K1遺伝子のNRS(Cr2)を標的とするgRNA(gRNA-Cr2)をコードするプラスミドを発現する細胞から抽出されるDNAに関するシーケンシングの結果を示す(配列番号25~27、左側パネル、上部から下部へ、配列番号25、28~43、右側パネル、上部から下部へ)。BSDの非存在下では、配列決定された対立遺伝子の10%が突然変異していた。BSDの存在下では、突然変異した対立遺伝子の頻度は、93%に増加した。
【
図7】
図7Aは、2つのヌクレアーゼ認識標的部位(Cr1及びCr2)並びに周囲の領域を増幅するのに使用するプライマーの位置を表す模式図を示す。
図7Bは、フレーム外のBSD遺伝子を含有する活性化可能なレポーターカセット、並びにCas9、活性化可能なレポーターカセットのNRSを標的とするgRNA、及びMAK3K1遺伝子の2つの異なるヌクレアーゼ認識部位(Cr1及びCr2)を標的とする二重gRNA(gRNA-Cr1+Cr2)をコードするプラスミドを発現する細胞から抽出されるDNAに関するシーケンシングの結果を示す(配列番号44~47、上部パネル、上部から下部へ;配列番号44、48~56、下部パネル、上部から下部へ)。BSDの非存在下では、配列決定された対立遺伝子の30%が突然変異していた。BSDの存在下では、突然変異した対立遺伝子の頻度は、92%に増加した。
【
図8】
図8Aは、2つのヌクレアーゼ認識標的部位(Cr1及びCr2)並びに周囲の領域を増幅するのに使用するプライマーの位置を表す模式図を示す。
図8Bは、フレーム外のBSD遺伝子を含有する活性化可能なレポーターカセット、並びにCas9、活性化可能なレポーターカセットのNRSを標的とするgRNA、及びAAVS1遺伝子のNRS(Cr1)を標的とするgRNA(gRNA-Cr1)をコードするプラスミドを発現する細胞から抽出されるDNAに関するシーケンシングの結果を示す(配列番号57~68、左側パネル、上部から下部へ;配列番号57、69~79、右側パネル、上部から下部へ)。BSDの非存在下では、配列決定された対立遺伝子の32%が突然変異していた。BSDの存在下では、突然変異した対立遺伝子の頻度は、75%に増加した。
【
図9】
図9Aは、2つのヌクレアーゼ認識標的部位(Cr1及びCr2)並びに周囲の領域を増幅するのに使用するプライマーの位置を表す模式図を示す。
図9Bは、フレーム外のBSD遺伝子を含有する活性化可能なレポーターカセット、並びにCas9、活性化可能なレポーターカセットのNRSを標的とするgRNA、及びAAVS1遺伝子のNRS(Cr2)を標的とするgRNA(gRNA-Cr2)をコードするプラスミドを発現する細胞から抽出されるDNAに関するシーケンシングの結果を示す(配列番号80~84、左側パネル、上部から下部へ;配列番号80、85~89、右側パネル、上部から下部へ)。BSDの非存在下では、配列決定された対立遺伝子の10%が突然変異していた。BSDの存在下では、突然変異した対立遺伝子の頻度は、53%に増加した。
【
図10】
図10Aは、2つのヌクレアーゼ認識標的部位(Cr1及びCr2)並びに周囲の領域を増幅するのに使用するプライマーの位置を表す模式図を示す。
図10Bは、フレーム外のBSD遺伝子を含有する活性化可能なレポーターカセット、並びにCas9、活性化可能なレポーターカセットのNRSを標的とするgRNA、及びAAVS1遺伝子の2つの異なるヌクレアーゼ認識部位(Cr1及びCr2)を標的とする二重gRNA(gRNA-Cr1+Cr2)をコードするプラスミドを発現する細胞から抽出されるDNAに関するシーケンシングの結果を示す(配列番号90~96、上部から下部へ)。BSDの存在下では、突然変異した対立遺伝子の頻度は、85%であった。
【
図11】
図11Aは、3つのヌクレアーゼ認識標的部位(Cr1、Cr2及びCr3)並びに周囲の領域を増幅するのに使用するプライマーの位置を表す模式図を示す。
図11Bは、フレーム外のBSD遺伝子を含有する活性化可能なレポーターカセット、並びにCas9、活性化可能なレポーターカセットのNRSを標的とするgRNA、及びGFAP遺伝子の2つの異なるヌクレアーゼ認識部位(Cr1及びCr3)を標的とする二重gRNA(gRNA-Cr1+Cr3)をコードするプラスミドを発現する細胞から抽出されるDNAに関するシーケンシングの結果を示す(配列番号97~110、上部から下部へ)。BSDの存在下では、突然変異した対立遺伝子の頻度は、97%であった。
【
図12】
図12Aは、3つのヌクレアーゼ認識標的部位(Cr1、Cr2及びCr3)並びに周囲の領域を増幅するのに使用するプライマーの位置を表す模式図を示す。
図12Bは、フレーム外のBSD遺伝子を含有する活性化可能なレポーターカセット、並びにCas9、活性化可能なレポーターカセットのNRSを標的とするgRNA、及びGFAP遺伝子の2つの異なるヌクレアーゼ認識部位(Cr2及びCr3)を標的とする二重gRNA(gRNA-Cr2+Cr3)をコードするプラスミドを発現する細胞から抽出されるDNAに関するシーケンシングの結果を示す(配列番号111~126、上部から下部へ)。BSDの存在下では、突然変異した対立遺伝子の頻度は、100%であった。
【
図13】
図13Aは、4つのヌクレアーゼ認識標的部位(Cr1、Cr2、Cr3及びCr4)並びに周囲の領域を増幅するのに使用するプライマーの位置を表す模式図を示す。
図13Bは、フレーム外のBSD遺伝子を含有する活性化可能なレポーターカセット、並びにCas9、活性化可能なレポーターカセットのNRSを標的とするgRNA、及びBCL6遺伝子の2つの異なるヌクレアーゼ認識部位(Cr1及びCr3)を標的とする二重gRNA(gRNA-Cr1+Cr3)をコードするプラスミドを発現する細胞から抽出されるDNAに関するシーケンシングの結果を示す(配列番号127~141、上部から下部へ)。BSDの存在下では、突然変異した対立遺伝子の頻度は、75%であった。
【
図14】
図14Aは、4つのヌクレアーゼ認識標的部位(Cr1、Cr2、Cr3及びCr4)並びに周囲の領域を増幅するのに使用するプライマーの位置を表す模式図を示す。
図14Bは、フレーム外のBSD遺伝子を含有する活性化可能なレポーターカセット、並びにCas9、活性化可能なレポーターカセットのNRSを標的とするgRNA、及びBCL6遺伝子の2つの異なるヌクレアーゼ認識部位(Cr2及びCr4)を標的とする二重gRNA(gRNA-Cr2+Cr4)をコードするプラスミドを発現する細胞から抽出されるDNAに関するシーケンシングの結果を示す(配列番号142~155、上部から下部へ)。BSDの存在下では、突然変異した対立遺伝子の頻度は、88%であった。
【
図15】
図15は、BSD発現の非存在及び存在下で、インデル率を比較する図である。
【
図16】
図16は、二重gRNAが、必ずしも同じ突然変異パターンを生じるとは限らないことを実証するデータの模式図を示す。
【
図17-1】
図17A-17Eは、活性化可能なレポーターカセットを使用した、突然変異細胞の濃縮が、トランスフェクション効率にかかわらず有効であることを実証するデータを示す。
【
図18】
図18A-18Bは、フレーム外の選択マーカーから上流に位置するCrNRS1が、単一又は二重gRNAとして提示され得ることを示す。
図18Aは、単一gRNAを使用して活性化可能なレポーターカセットを標的とすることにより、フレームシフトをもたらすことができ、例えば、標的細胞の1/3のみが、耐性を獲得することを示す。
図18Bは、2回反復されたCrNRS1を示し、修復メカニズムのフィデリティに応じて、例えば、より高いパーセントの細胞(2/3を上回る)が、CrNRS1ターゲティング後にBSDを発現する。
【
図19】
図19は、活性化可能なレポーターカセットが、どのようにしてネガティブ選択アッセイで使用され得るかの例を示す。細胞に、活性化可能なレポーターカセット(puro-NRS1-BSD(フレーム外))、Cas9、並びにgRNA構築物:活性化可能なレポーターカセットのNRS1を標的とするgRNA及びAlu(パネル1~3(左側から右側へ))、5.8S、又はテロメアにおける認識部位(Cr1)を標的とするgRNAをコードする核酸をトランスフェクトする。上述の部位それぞれを標的とすることにより、細胞致死をもたらすと予想された。BSDの存在下では、細胞のほとんど又は全てが死滅し、それは、トランスフェクトされた細胞において、致死性遺伝子が、正確に標的とされたことを示す。しかしながら、BSDを用いた選択の非存在下では、細胞は、100%コンフルエンシーを示し、小比率のトランスフェクトされていない(WT)細胞が、読出しを遮蔽した。
【
図20】
図20は、2つ以上の因子(例えば、変更された遺伝子)の組合せが、細胞死を引き起こすのに対して、影響される単一遺伝子それぞれは、細胞死を引き起こさない合成致死性スクリーニングを図式化する。腫瘍細胞を選択的に死滅させるのに「標的治療学」を同定するために、この用途を使用してもよい。
【
図21】
図21は、CRISPRa/iに使用する活性化可能なレポーターカセットを表す模式図を示す。例えば、細胞は、活性化可能なレポーターカセットのCrNRS1部位を、活性化/抑制(不活性化)ドメインに融合された野生型Cas9と一緒に標的とする完全長gRNAを受け取る。Cas9を遺伝子Xのプロモーター領域に導くためのトランケート型gRNAの同時送達は、遺伝子活性化をもたらし得る。BSD活性化細胞に関する選択は、活性化/抑制された遺伝子Xを有する細胞の濃縮と言い換えてよい。
【
図22】
図22は、CRISPRノックアウトスクリーニングのためのハイスループットgRNAクローニングに関する品質管理試験からの結果を示す図である。96個のgRNAのうちの94個が、正確にクローニングされ、サンガーシーケンシングによって確証された。
【
図23-1】
図23A-23Cは、活性化可能なレポーターカセットを使用して細胞にバーコードを付す方法の例を示す。GFP陽性細胞(網掛けの灰色)(
図23A)は、活性化可能なレポーターカセット(NRS1部位を有する)によって表される特定のバーコードを有する。このバーコードは、この細胞に特異的であり、したがって、ブラストサイジン耐性は、NRS1及びCas9に対するgRNAによるトランスフェクション時の細胞のみにおいて得られ得る。幾つかの実施形態では、10
12個のバーコードが使用されてもよく、実験中の(例えば、単一プレート上の)単一細胞は全て、単離することができる。ブラストサイジン選択(特定のgRNAによる選択後)を使用して、特異的なバーコードと関連付けられる特異的な細胞を単離し得る。
図23Cは、BSD選択の2週後のGFP陽性細胞を示す図である。
【
図24】
図24は、REMindel実験の例の模式図を示す。(1)EGFPを構成的に発現する細胞において、REMindelカセットを、FuGeneHD試薬を使用してノックインした。Cas9及びgRNAは、ヒトゲノムにおいてオフターゲットを伴わない人工標的部位であるREM部位を標的とした。(2)次に、アレイ型のCRISPRライブラリーを適用した(1つより多い遺伝子Xに関するgRNAが使用され得る)。gRNA(複数可)は、プラスミド、IVT、PCT又は合成crRNAを介して送達され得る。(3)続いて、活性化されたBSDを選択して、表現型を研究した。トランスフェクションの3日後に、細胞を2つのウェルに継代培養して、そのうちの1つをブラストサイジン選択下で保持した。1週後、EGFP陽性細胞の一部を、FACSを使用して測定した。結果により、EGFP崩壊細胞は、ブラストサイジン選択後に濃縮されることが示された。
【
図25-1】
図25Aは、EF1aプロモーターの制御下でEGFPを含有するPCR増幅カセットが、HEK293細胞においてEGFPの発現をもたらした実験からの模式図及び結果を示す。EGFPをトランスフェクションの48時間後に測定した。
図25Bは、PCRベースのgRNA対プラスミドベースのgRNAの比較を示す。3つのgRNA(gRNA-REM及びAAVS1遺伝子座を標的とする二重gRNA、#1及び#2を含む)を、Cas9を構成的に発現するHEK293-REM細胞へ同時トランスフェクトした。突然変異した対立遺伝子(
*)の頻度は、REMindel濃縮を伴って(+)、及び伴わずに(-)、3回複製に関して示される(Rep1、Rep2及びRep3)。結果により、PCRベース及びプラスミドベースの実験の両方における、突然変異した細胞の濃縮が示される。
【
図25-2】
図25Cは、Cas9及びCpf1の両方に関してPCRを使用してgRNAを生成するための2つの戦略の模式図を示す。両方の戦略において、プロトスペーサーは、連結されるプライマーを使用して増幅され得る。
【
図26】
図26Aは、gRNA骨格と一緒にU6プロモーターを含有する任意のカセットを増幅するのに使用することができるPCR方法のためのオリゴヌクレオチドの重複-伸長設計を示す。
図26Bは、PCRベースのgRNA産物が、Cas9を安定に発現するHEK293細胞において遺伝子ノックアウトを誘導するのに効率的であることを示す図である。
【
図27】
図27Aは、重複-伸長オリゴヌクレオチドが、どのようにしてgRNAのライゲーションを含まないクローニングに使用され得るかの例を示す。
図27Bは、11個のgRNAのうちの9個が、重複伸長によって生成されたPCR産物を使用して正確にベクターへとアセンブルされることを示す。
【
図29-1】
図29A、上部パネルは、より高いインデル頻度が、目的の遺伝子を標的とする2つのgRNAを使用して達成され得ることを示すゲルの写真である。
図29A、下部パネルは、二重gRNAによって誘導される大きなインデルを含有する試料に関するNGS分析からの結果を示す。
【
図29-2】
図29Bは、二重gRNA及びREMindelを適用することにより、濃縮された細胞集団における異なる遺伝子座で80%を上回るインデル頻度がもたらされ得ることを示すグラフである。
図29Cは、標的とされる遺伝子座上でのDNA修復機構のアウトプットに関する洞察を提供するアンプリコンシーケンシングからの結果を示すグラフである。
【
図30】
図30は、ヒトゲノム全体にわたって非常に高い存在量を有するAlu要素に対して設計された3つのgRNAの模式図を示す。
【
図31】
図31は、REMindelを用いた、及び用いないgRNAのトランスフェクション後のINCUCYTE(登録商標)を使用したコンフルエンシー測定を示す。HEK293-REM細胞においてAlu要素を標的とする3つの致死性gRNA(Alu cr1、Alu cr2及びAlu Cr3)及びAAVS1遺伝子座を標的とする1つの非致死性gRNAに関する致死性スクリーニングの結果を表す。コンフルエンシーは、2週間毎日測定した。選択を用いた、及び用いない2つの異なる数の初期細胞(30%及び50%コンフルエンシー)による3つの異なるトランスフェクション効率を比較した。選択を用いない場合、Alu gRNAに関する正確な読出し(致死性)は、トランスフェクトされていない細胞のため遮蔽された。しかしながら、REMindelは、致死性gRNAに関する正確な読出しを首尾よく明らかにした。
【
図32】
図32Aは、2つのgRNAと一緒にCas9GFPをタンデムで含有するプラスミドの模式図を示す。
図32Bは、CLU4遺伝子において制限酵素部位を厳密に標的とするCLU4-gRNAの模式図を示す。
図32Cは、gRNA-Cas9プラスミドを、固定量の細胞へトランスフェクトするためのトランスフェクション試薬の量を減じることからの結果を示す。
図32Dは、同じ頻度のインデルが、REMindel濃縮後に、異なってトランスフェクトされた試料全てにわたって検出されたことを示すグラフである。
【
図33】
図33Aは、Cas9及びREM部位に対するgRNA及び脂質ベースの(FuGeneHDトランスフェクション試薬)トランスフェクションプロトコールを使用して、プラスミド方式でHEK293-REM細胞へトランスフェクトされたPIG遺伝子(これらは、GPIアンカー生合成経路に関与する)を示す模式図である。3日後、細胞を、2つに継代培養して、一方をブラストサイジン選択下で1週間保持した。FLAER染色前に、PIG遺伝子に関する野生型遺伝子型(アイソタイプ)を有するmCherry陽性細胞を、HEK-REM細胞と混合した。mCherry及びFLAER陽性細胞のパーセントは、FACSを使用して測定した。
図33Bは、FLAER(フルオレセイン標識したプロアエロリジン)アッセイを使用したFACS分析からの結果を示す。野生型表現型を有するHEK293-REM細胞を、FLAER染色後にQ1でゲーティングさせる(gate)。崩壊GPI(2つの遺伝子PIGM及びPIGNに関して、選択前及び後)を有する細胞をQ3でゲーティングさせる。
図33Cは、REMindelが、「真に」ノックアウト細胞の集団を濃縮したことを示すグラフである。7つのPIG遺伝子(GPIアンカー生合成に必須である)及びDPM2(GPIアンカー生合成に必須でない)に関する結果を、棒グラフで示す。ns;有意でない(p値>0.05)、
*;統計学的に有意である(p値<0.05)。
【
図34】
図34は、38個のブロモドメイン含有遺伝子の致死性スクリーニングからの結果を示す。
【
図35】
図35は、38個のブロモドメイン含有遺伝子それぞれを標的とするgRNAのコンフルエンシーエンドポイント測定及び数を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本開示は、幾つかの実施形態では、目的の標的細胞を修飾及び単離するのに一緒に使用することができる「活性化可能なレポーターカセット」、ガイドRNA構築物及びRNAにガイドされるヌクレアーゼを含む核酸ベースのツールを提供する。好適には、本明細書中に提供する方法は、幾つかの実施形態では、頑強で費用効率が高く、且つ使いやすい。更に、本明細書中に提供する方法は、幾つかの実施形態では、ウイルスを含まない。
【0022】
特にアレイ型のスクリーニングに関するレンチウイルスベースのガイドRNAライブラリーの適用を制限する実用上の欠点は、本開示の構築物及び方法を使用して対処され得る。これらの制限の幾つかとして、費用がかかり、且つ労働集約的な(labor-expensive)生産、最終使用者にとって再生不可能なストック、バイオセーフティレベル2の施設の必要性及びウイルス適合性自動化インフラが挙げられる。更に、ウイルスDNAのランダム組込みに起因して、レンチウイルスベースの系は、幾つかの表現型研究を妨げ得る。更に、レンチウイルスによって供給されるCas9及びガイドRNA発現によるゲノムの長期間の曝露は、オフターゲット事象の機会を増加させ得る。
【0023】
同様に、ガイドRNAライブラリーの送達のためのトランスフェクションベースの系(例えば、プラスミドのトランスフェクション)の使用を制限する実用上の欠点は、本開示の構築物及び方法を使用して対処され得る。多くの細胞型において、核酸トランスフェクション効率は低く、タンパク質トランスフェクションの効率は、更に低い。ネガティブ選択実験に関して、潜在的に小比率のトランスフェクトされていない細胞は、成長の利点を有し、したがって、表現型の読出しを遮蔽する。更に、プラスミドベースのスクリーニングは、ウイルスベースのスクリーニングに類似して、表現型分析を遅延し得る。これは、プラスミドベースのアレイ型のスクリーニングが、通常マイクロウェルプレートで行われ、例えば、プラスミドトランスフェクション後のCas9の転写及び翻訳に要される更なる時間が、オーバーコンフルエンシーをもたらすためである。このオーバーコンフルエンシーは、表現型の読出しを困難にさせる。標的とされる遺伝子の生物学に応じて、遺伝子突然変異誘発が起きたら開始し、細胞が相当する表現型(複数可)を獲得した時点で終了する、時間に関する更なる可変性もまた考慮しなくてはならない。
【0024】
本明細書中に提供する方法及び核酸構築物を使用して、レンチウイルスベース及びトランスフェクション/プラスミドベースの系と関連付けられる上述の欠点の多くを克服し得る。
【0025】
活性化可能なレポーターカセット
「活性化可能なレポーターカセット」は、上流の選択可能なマーカー遺伝子及び上流の選択可能なマーカー遺伝子と異なる(と同じでない)下流のフレーム外の選択可能なマーカー遺伝子によって挟まれたヌクレアーゼ認識部位(NRS)を含む核酸を指す。
【0026】
「ヌクレアーゼ認識部位」は、同族ヌクレアーゼ(ヌクレアーゼ認識部位のヌクレオチドサブユニット間のホスホジエステル結合を切断する酵素)によって切断されるヌクレオチド配列である。幾つかの実施形態では、同族ヌクレアーゼは、例えばCas9などのRNAにガイドされるヌクレアーゼである。本明細書中の他の箇所で記載するように、RNAにガイドされるヌクレアーゼは、ヌクレアーゼ結合に必要なスカフォールド配列及び修飾/切断されるべき標的を規定する(に相補的である)使用者規定のターゲティング配列を含有するガイドRNA(gRNA)に結合する。したがって、gRNA中に存在するターゲティング配列を簡素に変更させることによって、ヌクレアーゼの標的を変更することができる。目的の標的遺伝子は通常、目的の標的遺伝子に特異的なヌクレアーゼ認識部位(NRS)を含有し、それは、目的の標的遺伝子のNRSを規定するヌクレオチド配列が、目的の標的遺伝子中のみに存在する(細胞における他の遺伝子中には存在しない)ことを意味する。NRSが、目的の標的遺伝子に特異的であり得るのに対して、NRSを切断するヌクレアーゼ(例えば、Cas9又はCpf1)は、他のヌクレアーゼ認識部位を切断することが可能であり、それぞれが使用者規定のgRNAに対するその相補性によって規定されることが理解されるべきである。ヌクレアーゼの特異性は、関連するgRNAのターゲティング配列に依存する。例えば、活性化可能なレポーターカセット及び目的の標的遺伝子はそれぞれ、異なるNRS(互いに異なる)を含む。目的の標的遺伝子のNRSが、目的の標的遺伝子に特異的であるにもかかわらず、目的の標的遺伝子のNRSを切断するヌクレアーゼ(例えば、Cas9)はまた、活性化可能なレポーターカセットのNRSを切断してもよい。
【0027】
ヌクレアーゼ認識部位は、ヌクレアーゼ認識部位から上流に位置してそれに隣接する(その1~100ヌクレオチド内にある)選択可能なマーカー遺伝子、及びヌクレアーゼ認識部位から下流に位置してそれに隣接する選択可能なマーカー遺伝子が存在する場合に、選択可能なマーカーによって「挟まれている」とみなされる。ヌクレアーゼ認識部位は、以下でより詳細に論述される。
【0028】
「選択可能なマーカー」は、人工的な選択に適した形質を付与するか、又は人工的な選択に使用することができるタンパク質をコードする、細胞へ導入される遺伝子である。選択可能なマーカーは、例えば、抗生物質耐性遺伝子であり得る。抗生物質耐性遺伝子の非限定的な例として、ピューロマイシン、ブラストサイジンS、アンピシリン、カナマイシン、ジェネティシン、トリクロサン、クロロアムフェニコール、テトラサイクリン、ハイグロマイシン又はノーセオスリシン(nourseothricin)-硫酸二水素(clonNAT)への耐性をコードする遺伝子が挙げられる。例えば、ストレプトマイセス属(Streptomyces)由来のピューロマイシンN-アセチル-トランスフェラーゼ遺伝子(pac)は、宿主細胞にピューロマイシン耐性を付与し、アスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus)由来のブラストサイジンSデアミナーゼ遺伝子は、宿主細胞にブラストサイジンS耐性を付与し、ベータ-ラクタマーゼ遺伝子は、宿主細胞にアンピシリン耐性を付与し、Tn5から得られるneo遺伝子は、細菌細胞においてカナマイシンに対する、及び真核細胞においてジェネティシンに対する耐性を付与し、大腸菌(Escherichia coli)ゲノムから得られる突然変異体FabI遺伝子(mFabI)は、宿主細胞にトリクロサン耐性を付与し、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ遺伝子は、クロラムフェニコールに対する耐性を付与し、60個を上回る種々の遺伝子が、テトラサイクリンに対する耐性を付与し得る。ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ(Hph)は、宿主細胞にハイグロマイシン耐性を付与する。
【0029】
選択可能なマーカー遺伝子は、抗生物質耐性遺伝子に限定されない。選択可能なマーカー遺伝子はまた、例えば蛍光レポータータンパク質などのレポータータンパク質をコードする遺伝子を含む。蛍光レポーター分子の非限定的な例として、緑色蛍光タンパク質(例えば、AcGFP1、ZsGreen1)、赤色蛍光タンパク質(例えば、DsRed-Express2、DsRed-Express、tdTomato、DsRed-Monomer、DsRed2、AsRed2、mStrawberry、mCherry)、遠赤色蛍光タンパク質(例えば、HcRed1、mRaspberry、E2-Crimson、mPlum)、黄色蛍光タンパク質(例えば、ZsYellow1、mBanana)、シアン蛍光タンパク質(例えば、AmCyan1)、橙色蛍光タンパク質(例えば、mOrange、mOrange2)及びそれらの変異体が挙げられる。
【0030】
幾つかの実施形態では、選択可能なマーカー遺伝子は、人工的な選択に使用することができるタンパク質をコードする。例えば、活性化可能なレポーターカセットは、他の場合ではカセットが導入される細胞によって発現されないタンパク質(例えば、細胞膜受容体)をコードするフレーム外の選択可能なマーカー遺伝子を含有してもよい。ヌクレアーゼによる活性化可能なレポーターカセットの標的とされる切断時に、フレーム外の選択可能なマーカー遺伝子は、それが、フレーム内に存在して、発現されるように再構成される。したがって、コードされるタンパク質は発現されて、選択マーカーとして使用することができる。幾つかの実施形態では、細胞は、他の場合では細胞において発現されない細胞膜受容体をコードする下流のフレーム外の選択可能なマーカー遺伝子を含有する活性化可能なレポーターカセットを含む。ヌクレアーゼによる活性化可能なレポーターカセットの標的とされる切断時に、フレーム外の選択可能なマーカー遺伝子は、それが、フレーム内に存在して、細胞膜受容体が発現されるように再構成される。続いて、例えば、受容体に特異的に結合する抗体薬物(例えば、毒素)コンジュゲートを使用して、活性化可能なレポーターカセットの切断が起きた細胞に関して選択し得る。任意の同族タンパク質結合対(例えば、受容体-リガンド)が上述するように使用され得ることは、理解されるべきである。
【0031】
「上流」及び「下流」は、核酸(例えば、DNA又はRNA)の相対的な位置を指す。DNA又はRNAの鎖はそれぞれ、5'末端及び3'末端を有し、デオキシリボース(又はリボース)環上の炭素の位置に関してそのように呼ばれる。慣例により、上流及び下流は、RNA転写が行われる5'から3'方向に関する。上流は、RNA分子の5'末端に向かい、下流は、3'末端に向かう。二重鎖DNAを考慮する場合、上流は、目的の遺伝子に関するコード鎖の5'末端に向かい、下流は、コード鎖の3'末端に向かう。したがって、上流の選択可能なマーカー及び下流の選択可能なマーカーは、単一核酸上で互いに関して規定される。上流の選択可能なマーカーは、核酸の5'末端に向かって位置し、下流の選択可能なマーカーは、核酸の3'末端に向かって位置する。
【0032】
大抵の実施形態では、活性化可能なレポーターカセットの上流の選択可能なマーカーは、同じ活性化可能なレポーターカセットの下流の選択可能なマーカーと異なる。例えば、上流の選択可能なマーカーは、ピューロマイシンに対する耐性を付与する抗生物質耐性遺伝子であり得るのに対して、下流の選択可能なマーカーは、ブラストサイジンS、アンピシリン、カナマイシン、ジェネティシン、トリクロサン、クロロアムフェニコール又はテトラサイクリンに対する耐性を付与する抗生物質耐性遺伝子であり得る。別の例として、上流の選択可能なマーカーは、ブラストサイジンSに対する耐性を付与する抗生物質耐性遺伝子であり得るのに対して、下流の選択可能なマーカーは、ピューロマイシン、アンピシリン、カナマイシン、ジェネティシン、トリクロサン、クロロアムフェニコール又はテトラサイクリンに対する耐性を付与する抗生物質耐性遺伝子であり得る。
【0033】
活性化可能なレポーターカセットは概して、上流のフレーム内の選択可能なマーカー遺伝子及び下流のフレーム外の選択可能なマーカー遺伝子の両方を含有する。上流のフレーム内の選択可能なマーカー遺伝子は、単に「上流の選択可能なマーカー遺伝子」と称される。具体的に「フレーム外」と指定されない任意の遺伝子は、「フレーム内」とみなされるべきである。「フレーム内」及び「フレーム外」は、核酸のリーディングフレームを指す。リーディングフレームは、核酸(DNA又はRNA)におけるヌクレオチドの配列を、連続した非重複トリプレットの組へ分割する仕方である。アミノ酸と同等であるか、又は翻訳中にシグナルを停止するトリプレットをコドンと称する。選択可能なマーカー遺伝子は、リーディングフレームが無傷であり、翻訳が完了まで達し得る場合に、フレーム内とみなされる。選択可能なマーカー遺伝子は、リーディングフレームが無傷でなく、翻訳が完了まで達し得ない場合に、フレーム外とみなされる。
【0034】
例えば、
図1Aにおいて、活性化可能なレポーターカセットのピューロマイシンN-アセチル-トランスフェラーゼをコードする選択可能なマーカー遺伝子(「Puro」)(上部パネル)はフレーム内に存在するのに対して、ブラストサイジンSデアミナーゼをコードする選択可能なマーカー遺伝子(「BSD」)は、フレーム外に存在する。この構成において、ピューロマイシンN-アセチル-トランスフェラーゼは発現されるが、ブラストサイジンSデアミナーゼは発現されない。Cr REM部位の切断(例えば、Cas9による)後、ブラストサイジンSデアミナーゼをコードする選択可能なマーカー遺伝子は、フレーム外からフレーム内にシフトされ、これを後に翻訳することができ、ブラストサイジンSデアミナーゼの発現をもたらす。
【0035】
幾つかの実施形態では、活性化可能なレポーターカセットは、「プロモーターを含まない」上流の選択可能なマーカー遺伝子を含有し、上流の選択可能なマーカー遺伝子が、プロモーターに作動可能に連結されないことを意味する。プロモーターは、それが調節する(例えば、当該配列の転写開始及び/又は発現を制御(「駆動」)するために)核酸の配列に関して、正確な機能的位置及び配向性で存在する場合に「作動可能に連結されている」とみなされる。活性化可能なレポーターカセットは、プロモーターを含まない選択可能なマーカー遺伝子が、活性化可能なレポーターカセットが導入される細胞のゲノムのプロモーターとともにフレーム内に挿入される(ノックイン又はライゲーションされる)場合にのみ発現されるように構成される。このようにして、プロモーターを含まない選択可能なマーカー遺伝子を含有する活性化可能なレポーターカセットは、ジーントラップカセットに非常に類似して機能する。ジーントラップカセットは、発現される遺伝子のイントロンへ挿入されると、挿入部位の上流にあるエクソン(複数可)が、レポーター/選択可能なマーカー遺伝子に対してフレーム内でスプライシングされる融合転写物の形態で、当該遺伝子の内因性プロモーターから転写される。転写は、挿入されたポリアデニル化部位で未熟に終結されるので、プロセシングされた融合転写物は、細胞タンパク質及びレポーター/選択可能なマーカーのトランケート型及び非機能性版をコードする。
【0036】
ヌクレアーゼ認識部位及び同族ヌクレアーゼ
活性化可能なレポーターカセットは、2つの選択可能なマーカー遺伝子間に位置する(少なくとも1つの)ヌクレアーゼ認識部位を含有する。上記で論述するように、ヌクレアーゼ認識部位は、同族ヌクレアーゼ(ヌクレアーゼ認識部位のヌクレオチドサブユニット間のホスホジエステル結合を切断する(切る/加水分解する)酵素)によって認識及び切断されるヌクレオチド配列である。
【0037】
細胞に対して内因性であるか、又は細胞のゲノムへ導入される目的の遺伝子もまた、ヌクレアーゼ認識部位を含有する。
【0038】
幾つかの実施形態では、ヌクレアーゼ認識部位は、ガイドRNAに相補的(例えば、完全に相補的)であり、例えば、RNAにガイドされるヌクレアーゼ、例えばCas9又はCpf1によって切断され得るヌクレオチドの配列を含有する。ヌクレアーゼ認識部位は通常、標的とされる配列の直後にプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)を含む。幾つかの実施形態では、PAMは、例えば、化膿連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)Cas9に関して、5'NGG3'である。
【0039】
ヌクレアーゼ認識部位の長さ及び組成(例えば、A、T、C、Gの割合)は多様であり得る。例えば、ヌクレアーゼ認識部位は、10~50ヌクレオチド長を有し得る。幾つかの実施形態では、ヌクレアーゼ認識部位は、10~15、10~20、10~30、10~40、10~50、15~20、15~30、15~40、15~50、20~30、20~40、又は20~50ヌクレオチド長を有する。幾つかの実施形態では、ヌクレアーゼ認識部位は、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30ヌクレオチド長を有する。
【0040】
ヌクレアーゼ認識部位は、幾つかの実施形態では、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)(Kim et al. Proc Natl Acad Sci USA 93 (3): 1156-60, 1996、Bitinaite et al. Proc Natl Acad Sci USA 95 (18): 10570-5, 1998、及びCathomen et al. Mol. Ther. 16 (7): 1200-7, 2008)、TALエフェクターヌクレアーゼ(TALEN、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ)(Boch et al. Science 326 (5959): 1509-12, 2009、Christian et al. Genetics 186 (2): 757-61, 2010、及びMiller et al. Nature Biotechnology 29 (2): 143-8, 2011)、細菌のCRISPR(クラスター化され、規則的に間隔が空いた短い回文配列反復)-Cas(CRISPR関連)系に由来するRGEN(RNA-guided engineered nuclease:RNAにガイドされる操作ヌクレアーゼ)及びその機能性等価体(Kim H. et al., Nature Reviews Genetics 15, 321-334 (2014))を含むプログラム可能なヌクレアーゼによって認識及び切断される。プログラム可能なヌクレアーゼは通常、既定されたDNA配列を認識して、それに結合するDNA結合ドメイン、及びDNA結合ドメインにあるか、又はその付近にある(例えば、その10ヌクレオチド以内の)DNAを切断するDNA切断ドメインを含む。例えば、ZFNは、DNAを結合するジンクフィンガードメイン、及びDNAを切断するFok Iドメインを含む(Kim et al. Natl Acad Sci USA 93 (3): 1156-60, 1996)。同様に、TALENは、DNAを結合するTALエフェクター単位、及びDNAを切断するFok Iドメインを含む。RNAにガイドされるCas9ヌクレアーゼは、DNAを切断するが、そうするためには、それはまず、DNA切断部位に相補的であり、それに結合するガイドRNAによって標的切断部位へガイドされなくてはならない。
【0041】
幾つかの実施形態では、ヌクレアーゼは、RNAにガイドされるヌクレアーゼ、例えばCas9又はCpf1である。
【0042】
Cas9(CRISPR関連タンパク質9)は、細菌の中でも化膿連鎖球菌におけるクラス2 CRISPR(クラスター化され、規則的に間隔が空いた短い回文配列反復)適応免疫系のRNAにガイドされるヌクレアーゼである。ゲノムを編集、調節及び標的とするためのCRISPR系は、少なくとも2つの別個の構成成分:(1)ガイドRNA(gRNA)及び(2)Cas9を含み得る。gRNAは、内因性細菌CRISPRターゲティングRNA(crRNA)のターゲティング特異性を、トランス活性化crRNA(tracrRNA)のスカフォールディング特性と組み合わせる単一キメラ転写物である。通常、ゲノム編集に使用されるgRNAは、細胞内のプラスミド又はゲノム遺伝子座の何れかから転写される。gRNA転写物は、Cas9と複合体を形成し、続いて、gRNA/Cas9複合体は、例えば、crRNA配列とゲノムDNAにおけるその相補的な標的配列との間の塩基対形成の結果として、標的配列に採用される。
【0043】
典型的な合成CRISPR/Cas9ゲノム編集系において、目的のゲノム配列(ゲノム標的配列)は、gRNA/Cas9複合体を標的に導く目的の配列に相補的なgRNAの使用によって修飾される(Sander JD et al., 2014 Nature Biotechnology 32, 247-355、参照により本明細書に組み込まれる)。Cas9エンドヌクレアーゼは、プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)の上流にあるゲノム標的DNAを切り、二重鎖切断をもたらす。二重鎖切断の修復は多くの場合、二重鎖切断部位に挿入又は欠失をもたらす。
【0044】
Cpf1もまた、クラス2 CRISPR-Cas系のRNAにガイドされるヌクレアーゼである(Zetsche et al., 2015, Cell 163: 1-13、参照により本明細書に組み込まれる)。Cpf1は、Cas9と類似して、2成分のRNAプラグラム可能なDNAヌクレアーゼである。標的とされるDNAは、5'Tリッチなプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)に遠位にある5-ntねじれ形カットとして切断される。ヒト細胞において頑強なヌクレアーゼ活性を示す2つのCpf1オルソログが存在し、その一方が、本明細書中に提供するように使用され得る。Cpf1に機能的に類似している酵素は、本開示に従って使用され得る。
【0045】
ガイドRNA構築物及びRNAにガイドされるヌクレアーゼ
本開示の遺伝子修飾方法は、ガイドRNAを使用して、RNAにガイドされるヌクレアーゼを、活性化可能なレポーターカセット又は目的の遺伝子のヌクレアーゼ認識部位に導く。「ガイド」RNA(gRNA)は、ゲノム操作用に修飾された細菌免疫系であるCRISPR(クラスター化され、規則的に間隔が空いた短い回文配列反復)II型系の2つの構成成分のうちの一方である。他方の構成成分は、非特異的なCRISPR関連エンドヌクレアーゼ(Cas9)である。gRNAは、Cas9結合に必要なスカフォールド配列及び使用者規定のおよそ20個(例えば、20±5又は20±10個)の、ゲノム標的が修飾されるように規定するヌクレオチド「スペーサー」又は「ターゲティング」配列で構成される短い合成RNAである。したがって、gRNA中に存在するターゲティング配列を簡素に変更させることによって、Cas9の(ゲノム)標的を変更することができる。幾つかの実施形態では、gRNAは、10~100ヌクレオチド長を有する。例えば、gRNAは、10~90、10~80、10~70、10~60、10~50、10~40、10~35、10~30、10~25、10~20、10~15、15~100、15~90、15~80、15~70、15~60、15~50、15~40、15~35、15~30、15~25、15~20、20~100、20~90、20~80、20~70、20~60、20~50、20~40、20~35、20~30又は20~25ヌクレオチド長を有し得る。幾つかの実施形態では、gRNAは、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49又は50ヌクレオチド長を有する。より長いgRNAが、本開示に包含される。
【0046】
図1Bは、gRNA構築物の例を示す:活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位(NRS1)を標的とするgRNA(gRNA NRS1)をコードする核酸は、U6プロモーターに作動可能に連結され、目的の遺伝子のヌクレアーゼ認識部位(NRS2)を標的とするgRNA(gRNA NRS2)をコードする核酸は、別のU6プロモーターに作動可能に連結されている。この特定の例の構築物は、CMVプロモーターに作動可能に連結されている、RNAにガイドされるヌクレアーゼ、Cas9をコードする核酸を含む。構築物は、ポリA(pA)シグナル、カナマイシン耐性遺伝子及び複製起点(Ori)を更に含有する。
【0047】
活性化可能なレポーターカセットのNRS1を標的とするgRNA及びそれぞれが目的の遺伝子に特異的なNRSを標的とする2つのgRNAをコードする核酸を含有する構築物は、本明細書中で「二重gRNA構築物」と称される。例えば、二重gRNA構築物は、活性化可能なレポーターカセットのNRS1を標的とするgRNA、目的の標的遺伝子のCr1を標的とするgRNA、及び目的の標的遺伝子のCr2を標的とするgRNAをコードし得る(例えば、目的の標的遺伝子のCr1及びCr2部位を標的とする二重gRNAを使用した実験からのデータを示す
図7B及び
図10Bを参照)。
【0048】
幾つかの実施形態では、二重gRNAをコードする核酸(例えば、同じベクター上、又は別々のベクター上)を、細胞へトランスフェクトするのに対して、他の実施形態では、2つのgRNA(例えば、等モル量で)を、例えば、電気穿孔によって、又は公知の化学的若しくは物理的トランスフェクション方法によって、細胞へトランスフェクトする。
【0049】
「RNAにガイドされるヌクレアーゼ」は、標的とされるゲノム編集を実施するのに使用することができるプログラム可能なエンドヌクレアーゼである。RNAにガイドされるヌクレアーゼ、例えばCas9又はCpf1のプログラム可能な性質は、その5'末端にあるおよそ20個の可変性ヌクレオチドを使用して、ヌクレアーゼによって切断される標的DNA配列と塩基対形成する(それに相補的である)ガイドRNA(gRNA)とのその関連性の結果である。幾つかの実施形態では、RNAにガイドされるヌクレアーゼは、Cas9である。幾つかの実施形態では、RNAにガイドされるヌクレアーゼは、Cpf1である。他のRNAにガイドされるヌクレアーゼは、本開示に包含される。
【0050】
ゲノム組込み
本開示の活性化可能なレポーターカセットは、幾つかの実施形態では、デオキシリボ核酸結合ドメイン認識部位(DNA-BDRS)を含有する操作核酸構築物の形態で提供される。このDNA-BDRSは、構築物の線状化形態の、ゲノムの遺伝子座への直接的な部位特異的なライゲーションを容易にするのに使用される。直接的なライゲーションは、非相同末端結合(NHEJ)経路により行われる(例えば、Maresca et al. Genome Res. 2013 Mar;23(3):539-46を参照、参照により本明細書に組み込まれる)。部位特異的な組込みは、一部には、DNA結合ドメイン及びDNA切断ドメイン(通常、FokIドメイン)を含有するプログラム可能なヌクレアーゼの存在及び少なくとも1つのDNA結合ドメイン認識配列を含有する核酸の存在に依存する。「DNA結合ドメイン認識配列」は、プログラム可能なヌクレアーゼのヌクレアーゼDNA結合ドメインが結合し、またプログラム可能なヌクレアーゼのヌクレアーゼDNA切断ドメインが切断するヌクレオレオチド配列である。操作構築物は、プログラム可能なヌクレアーゼによって認識及び切断される少なくとも1つのDNA結合ドメイン認識配列を含有し得る。操作構築物の切断は、線状化形態を生じ、続いてそれは、部位特異的な様式でゲノムへ「ライゲーションされ」得る。
【0051】
幾つかの実施形態では、操作構築物のDNA結合ドメイン認識配列は、核酸がマウスゲノムに組み込まれ得るようなRosa26遺伝子座に位置する配列に相当する。幾つかの実施形態では、操作構築物のDNA結合ドメイン認識配列は、核酸がヒトゲノムに組み込まれ得るようなAAVS1遺伝子座に位置する配列に相当する。他のゲノム遺伝子座に位置する他のDNA結合ドメイン認識配列は、本開示に包含される。
【0052】
操作構築物を線状化する際の使用のためのプログラム可能なヌクレアーゼの例として、上述するように、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、Taleヌクレアーゼ(TALEN)、及びdCas9-FokI融合タンパク質(FokIに融合された触媒的に不活性なCas9)が挙げられるが、限定されない。
【0053】
幾つかの実施形態では、DNA結合ドメイン認識配列は、1つ以上のジンクフィンガー(複数可)によって結合されるZFN DNA結合ドメイン認識配列である。個々のZFNのDNA結合ドメインは、3~6個の個々のジンクフィンガー反復を含有してもよく、それぞれが、9~18個の塩基対を認識することができる。ジンクフィンガードメインが、それらの意図される標的部位に特異的である場合、総計18個の塩基対を認識する3フィンガーZFNの対でさえ、哺乳動物ゲノムにおいて単一遺伝子座を標的とし得る。
【0054】
幾つかの実施形態では、DNA結合ドメイン認識配列は、1つ以上のTALエフェクター単位(複数可)によって結合されるTALEN DNA結合ドメイン認識配列である。TALエフェクターは、キサントモナス属(Xanthomonas)の細菌によって分泌されるタンパク質である。DNA結合ドメインは通常、12番目及び13番目のアミノ酸を除いて、反復された高度に保存される33~34アミノ酸の配列を含有する。これらの2つの位置は、非常に可変性(反復可変性二残基、RVD)であり、特異的なヌクレオチド認識と強力な相関を示す(Boch et al. Science 326 (5959): 1509-12, 2009、Moscou et al. Science 326 (5959): 1501, 2009、それらはそれぞれ、参照により本明細書に組み込まれる)。幾つかの実施形態では、特異的なDNA結合ドメインは、適切なRVDを含有する反復セグメントの組合せを選択することによって操作される(Boch et al. Nature Biotechnology 29 (2): 135-6, 2011)。
【0055】
幾つかの実施形態では、DNA結合ドメイン認識配列は、(少なくとも1つの)ガイドRNA(例えば、2つの同時発現されるgRNA)に相補的な(例えば、100%相補的な)配列である。幾つかの実施形態では、DNA結合ドメイン認識配列は、gRNA(例えば、2つの同時発現されるgRNA)に少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%又は少なくとも98%相補的である配列である。そのような実施形態では、FokIヌクレアーゼに融合された触媒的に不活性なCas9(dCas9)を使用して、操作核酸中に二重鎖切断を生成し得る。
【0056】
操作核酸
「操作核酸」は、自然に存在しない核酸(例えば、一緒に共有結合され、幾つかの場合においては、ホスホジエステル「骨格」と称されるホスホジエステル結合を含有する少なくとも2つのヌクレオチド)である。「操作核酸」は、組換え核酸及び合成核酸を含む。「組換え核酸」は、核酸(例えば、単離核酸、合成核酸又はそれらの組合せ)を結合することによって構築され、幾つかの実施形態では、生細胞中で複製することができる分子である。「合成核酸」は、増幅されるか、又は化学的に若しくは他の手段によって合成される分子である。合成核酸は、化学的に修飾されるか、又は他の場合で修飾されるが、自然に存在する核酸分子と塩基対形成する(それに、例えば、一過的に又は安定に「それに結合する」とも称される)ことができるものを含む。組換え及び合成核酸はまた、上述の何れかの複製に起因する分子を含む。
【0057】
操作核酸は全体として、自然に存在しない一方で、それは、野生型ヌクレオチド配列を含み得る。幾つかの実施形態では、操作核酸は、種々の生物から得られる(例えば、種々の種から得られる)ヌクレオチド配列を含む。例えば、幾つかの実施形態では、操作核酸は、マウスヌクレオチド配列、細菌ヌクレオチド配列、ヒトヌクレオチド配列、ウイルスヌクレオチド配列、又は上述の配列のうちの任意の2つ以上の組合せを含む。
【0058】
操作核酸「構築物」は、それ自体、環状形態で存在することができ、また細胞へトランスフェクトすることができる人工的に構築した核酸(例えば、DNA配列のアッセンブリーを含む)を指す。本開示の操作核酸構築物は通常、プログラム可能なヌクレアーゼによる構築物の切断及び線状化をガイドするDNA結合ドメイン認識部位を含有する。操作核酸構築物は多くの場合、例えば、プロモーター、目的の遺伝子(導入遺伝子)及び停止配列を含む、目的の遺伝子(例えば、選択可能なマーカー遺伝子)の発現に必要な全ての要素を含有する。しかしながら、本開示の操作核酸構築物は、必ずしも目的の遺伝子の発現に必要な全ての要素を含有するとは限らないことが理解されるべきである。幾つかの実施形態では、本明細書中の他の箇所で記載するように、操作構築物は、プロモーターを含まない選択可能なマーカー遺伝子を含有する活性化可能なレポーターカセットを含む。
【0059】
核酸「カセット」は、「構築物」と非常に類似して、人工的に構築された核酸(例えば、DNA配列のアッセンブリーを含む)を指す。しかしながら、カセットは、それ自体、環状形態で存在しない。核酸構築物は、1つ以上の核酸カセットを含み得る。例えば、
図2は、活性化可能なレポーターカセットを含む環状操作核酸構築物(ドナー)を表す。活性化可能なレポーターカセットは、ピューロマイシンN-アセチルトランスフェラーゼをコードする核酸及びブラストサイジンSデアミナーゼをコードする下流のフレーム外の選択可能なマーカー遺伝子によって挟まれたヌクレアーゼ認識部位(CrREM)を含む。
【0060】
幾つかの実施形態では、本開示の操作核酸は、ホスホジエステル骨格以外の骨格を含み得る。例えば、操作核酸は、幾つかの実施形態では、ホスホルアミド、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、O-メチルホホロアミダイト結合、ペプチド核酸又は上述の結合の任意の2つ以上の組合せを含み得る。操作核酸は、指定されるように単鎖(ss)若しくは二重鎖(ds)であってもよく、又は操作核酸は、単鎖及び二重鎖配列の両方の部分を含有してもよい。幾つかの実施形態では、操作核酸は、三重鎖配列を含有する。操作核酸は、例えば、DNA(例えば、ゲノムDNA、cDNA又はゲノムDNA及びcDNAの組合せ)、RNA又はハイブリッド分子を含んでもよく、ここで核酸は、デオキシリボヌクレオチド及びリボヌクレオチド(例えば、人工的又は自然)の任意の組合せ、並びにウラシル、アデニン、チミン、シトシン、グアニン、イノシン、キサンチン、ヒポキサンチン、イソシトシン及びイソグアニンを含む2つ以上の塩基の任意の組合せを含有する。
【0061】
本開示の操作核酸は、標準的な分子生物学的方法を使用して産生され得る(例えば、Green and Sambrook, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 2012, Cold Spring Harbor Pressを参照)。幾つかの実施形態では、核酸は、GIBSON ASSEMBLY(登録商標)クローニングを使用して産生される(例えば、Gibson, D.G. et al. Nature Methods, 343-345, 2009、及びGibson, D.G. et al. Nature Methods, 901-903, 2010を参照、それらのそれぞれが、参照により本明細書に組み込まれる)。GIBSON ASSEMBLY(登録商標)は通常、単一チューブ反応において3つの酵素活性を使用する:5'エキソヌクレアーゼ、DNAポリメラーゼの3'伸長活性及びDNAリガーゼ活性。5'エキソヌクレアーゼ活性は、5'末端配列を砕き(chews back)、アニーリング用の相補配列を露出させる。次に、ポリメラーゼ活性は、アニーリングされる領域上のギャップを埋める。続いて、DNAリガーゼは、ニックを塞いで、DNA断片を一緒に共有結合する。隣接している断片の重複配列は、Golden Gate Assemblyで使用されるものよりも遥かに長く、したがって、より高いパーセントの正確なアッセンブリーを生じる。操作核酸を産生する他の方法が、当該技術分野で公知であり、本開示に従って使用され得る。
【0062】
本開示の操作核酸は、1つ以上の遺伝子要素を含み得る。「遺伝子要素」は、核酸発現において役割がある(例えば、プロモーター、インシュレーター、エンハンサー、ターミネーター及び分子(例えば、DNA又はタンパク質)結合領域)か、又は核酸の産物をコードする(例えば、ヌクレアーゼをコードするヌクレオチドの配列)ヌクレオチドの配列を指す。
【0063】
操作核酸の発現は通常、操作核酸に作動可能に連結されているプロモーターによって駆動される。「プロモーター」は、核酸配列の残部の転写の開始及び割合が制御される核酸の制御領域を指す。プロモーターは、それが調節する核酸配列の転写を駆動し、したがって、それは通常、遺伝子の転写開始部位に又はその付近に位置する。プロモーターは、幾つかの実施形態では、100~1000ヌクレオチド長である。プロモーターはまた、調節タンパク質及び他の分子が結合し得るサブ領域、例えばRNAポリメラーゼ及び他の転写因子を含有し得る。プロモーターは、構成的(例えば、CAGプロモーター、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター)、誘導性(活性化可能とも称される)、抑制性、組織特異的、発達段階特異的又は上述のうちの2つ以上の任意の組合せであり得る。
【0064】
プロモーターは、それが、それが調節する(例えば、当該配列の転写開始及び/又は発現を制御(「駆動」)するために)核酸の配列に対して、正確な機能的位置及び配向性で存在する場合に「作動可能に連結されている」とみなされる。
【0065】
プロモーターは、幾つかの実施形態では、核酸と自然に関連付けられ、所与の核酸のコード領域の上流に位置する5'非コード配列(複数可)を単離することによって得られ得る。
【0066】
プロモーターは、幾つかの実施形態では、核酸と自然に関連付けられない。そのようなプロモーターは、「異種」プロモーターと称され、例えば、他の核酸を調節するプロモーター及び他の細胞から得られるプロモーターを含む。異種プロモーターは、合成的又は組換えであってもよい。合成異種プロモーターは、幾つかの実施形態では、公知の転写調節領域から得られる各種要素を含有する。合成異種プロモーターは、幾つかの実施形態では、当該技術分野で公知である遺伝子操作の方法により発現を変更させる突然変異を含有する。組換え異種プロモーターは、幾つかの実施形態では、組換えクローニング、核酸増幅(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR))、又は組換えクローニング及び核酸増幅の組合せによって産生される(例えば、米国特許第4,683,202号及び同第5,928,906号を参照)。合成及び組換え異種プロモーターを産生する他の方法は、本明細書中で意図される。
【0067】
プロモーターは、幾つかの実施形態では、誘導性プロモーターである。「誘導性プロモーター」は、プロモーターが相当する調節タンパク質に影響されるか、又はそれによって接触される場合に、それが作動可能に連結されている核酸の転写活性を調節する(例えば、活性化するか、又は不活性化する)。誘導性プロモーターの例として、化学的に又は生化学的に調節されるプロモーター及び物理的に調節されるプロモーター、例えばアルコール調節プロモーター、テトラサイクリン調節プロモーター(例えば、アンヒドロテトラサイクリン(aTc)応答性プロモーター及び他のテトラサイクリン応答性プロモーター系、それらは、テトラサイクリンリプレッサータンパク質(tetR)、テトラサイクリンオペレーター配列(tetO)及びテトラサイクリントランス活性化因子融合タンパク質(tTA)を含む)、ステロイド調節プロモーター(例えば、ラットグルココルチコイド受容体、ヒトエストロゲン受容体、ガエクジソン受容体に基づくプロモーター及びステロイド/レチノイド/甲状腺受容体スーパーファミリー由来のプロモーター)、金属調節プロモーター(例えば、酵母、マウス及びヒト由来のメタロチオネイン(金属イオンを結合及び隔絶するタンパク質)遺伝子に由来するプロモーター)、病因調節プロモーター(例えば、サリチル酸、エチレン又はベンゾチアジアゾール(BHT)によって誘導される)、温度/熱誘導性プロモーター(例えば、熱ショックプロモーター)、及び光調節プロモーター(例えば、植物細胞由来の光応答性プロモーター)が挙げられるが、限定されない。他の誘導性プロモーターが、当該技術分野で公知であり、本開示に従って使用され得る。
【0068】
操作核酸は、幾つかの実施形態では、エンハンサーを含む。「エンハンサー」は、プロモーターに作動可能に連結されている核酸配列の転写活性化に関与するヌクレオチドのシス作用性調節配列である。エンハンサーは、プロモーターから上流又は下流にある任意の機能的位置に位置され得る。
【0069】
操作核酸は、幾つかの実施形態では、ターミネーターを含む。「ターミネーター」は、転写を停止させるヌクレオチドの配列である。ターミネーターは、一方向性又は二方向性であり得る。ターミネーターは、RNAポリメラーゼによるRNA転写物の特異的な終結に関与するDNA配列を含み、上流のプロモーターによる下流の核酸配列の転写活性化を防止する。
【0070】
ターミネーターの最も一般的に使用されるタイプは、フォワードターミネーターである。通常転写される核酸配列の下流に配置される場合、フォワード転写ターミネーターは、転写を中断させる。幾つかの実施形態では、二方向性転写ターミネーターが使用され、それらは通常、フォワード鎖及びリバース鎖の両方上で転写を終結させる。幾つかの実施形態では、リバース転写ターミネーターが供給され、それらは通常、リバース鎖上のみで転写を終結する。
【0071】
本開示に従う使用のためのターミネーターの例として、例えば、ウシ成長ホルモンターミネーターなどの遺伝子の終結配列、並びに例えば、細菌系で見られるT0ターミネーター、TEターミネーター、ラムダT1及びT1T2ターミネーターなどのウイルス終結配列が挙げられるが、限定されない。幾つかの実施形態では、終結シグナルは、転写も翻訳することもできない配列、例えば配列トランケーションに起因するものであり得る。
【0072】
細胞
本開示の操作構築物は、多種多様の細胞へ導入され得る。操作構築物が導入され得る細胞の例として、哺乳動物細胞、昆虫細胞、細菌細胞(例えば、大腸菌細胞)及び酵母細胞(例えば、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)細胞)が挙げられるが、限定されない。哺乳動物細胞は、例えば、ヒト細胞、霊長類細胞(例えば、ベロ細胞)、ラット細胞(例えば、GH3細胞、OC23細胞)又はマウス細胞(例えば、MC3T3細胞)であり得る。HEK細胞(例えば、HEK 293又はHEK 293T細胞)、HeLa細胞、国立がん研究所の60個のがん細胞株(NCI60)由来のがん細胞、DU145(前立腺がん)細胞、Lncap(前立腺がん)細胞、MCF-7(乳がん)細胞、MDA-MB-438(乳がん)細胞、PC3(前立腺がん)細胞、T47D(乳がん)細胞、THP-1(急性骨髄性白血病)細胞、U87(神経膠芽腫)細胞、SHSY5Yヒト神経芽腫細胞(骨髄腫からクローニングされる)及びSaos-2(骨がん)細胞を含むが、限定されない様々なヒト細胞株が存在する。
【0073】
幾つかの実施形態では、操作構築物は、例えば、多能性幹細胞(例えば、ヒト人工多能性幹細胞(hiPSC)を含むヒト多能性幹細胞)などの幹細胞(例えば、ヒト幹細胞)において発現される。「幹細胞」は、培養物中で不定期間、分裂して、特殊分化した細胞を生じる能力を有する細胞を指す。「多能性幹細胞」は、生物の全ての組織に分化することが可能であるが、単独では完全な生物発達を持続することが不可能である幹細胞のタイプを指す。「ヒト人工多能性幹細胞」は、胚幹細胞の決定的な特性を維持するのに重要な遺伝子及び因子を強制的に発現させることによって、胚幹細胞様状態に初期化された体(例えば、成熟又は成体)細胞を指す(例えば、Takahashi and Yamanaka, 2006 Cell 126 (4): 663-76を参照、参照により本明細書に組み込まれる)。ヒト人工多能性幹細胞は、幹細胞マーカーを発現し、3つ全ての胚葉(外胚葉、内胚葉、中胚葉)に特徴的である細胞を生成することが可能である。
【0074】
本開示に従って使用され得る細胞株の更なる非限定的な例として、293-T、293-T、3T3、4T1、721、9L、A-549、A172、A20、A253、A2780、A2780ADR、A2780cis、A431、ALC、B16、B35、BCP-1、BEAS-2B、bEnd.3、BHK-21、BR 293、BxPC3、C2C12、C3H-10T1/2、C6、C6/36、Cal-27、CGR8、CHO、CML T1、CMT、COR-L23、COR-L23/5010、COR-L23/CPR、COR-L23/R23、COS-7、COV-434、CT26、D17、DH82、DU145、DuCaP、E14Tg2a、EL4、EM2、EM3、EMT6/AR1、EMT6/AR10.0、FM3、H1299、H69、HB54、HB55、HCA2、Hepa1c1c7、High Five細胞、HL-60、HMEC、HT-29、HUVEC、J558L細胞、Jurkat、JY細胞、K562細胞、KCL22、KG1、Ku812、KYO1、LNCap、Ma-Mel 1、2、3....48、MC-38、MCF-10A、MCF-7、MDA-MB-231、MDA-MB-435、MDA-MB-468、MDCK II、MG63、MONO-MAC 6、MOR/0.2R、MRC5、MTD-1A、MyEnd、NALM-1、NCI-H69/CPR、NCI-H69/LX10、NCI-H69/LX20、NCI-H69/LX4、NIH-3T3、NW-145、OPCN/OPCT Peer、PNT-1A/PNT 2、PTK2、Raji、RBL細胞、RenCa、RIN-5F、RMA/RMAS、S2、Saos-2細胞、Sf21、Sf9、SiHa、SKBR3、SKOV-3、T-47D、T2、T84、THP1、U373、U87、U937、VCaP、WM39、WT-49、X63、YAC-1及びYAR細胞が挙げられる。
【0075】
本開示の細胞は、幾つかの実施形態では、修飾される。修飾細胞は、外因性核酸又は自然に存在しない核酸を含有する細胞である。幾つかの実施形態では、修飾細胞は、ゲノム核酸において突然変異を含有する。幾つかの実施形態では、修飾細胞は、外因性の独立して複製する核酸(例えば、エピソームベクター上に存在する操作核酸)を含有する。幾つかの実施形態では、修飾細胞は、外来又は外因性核酸を、細胞へ導入することによって産生される。
【0076】
操作構築物は、例えば、電気穿孔(例えば、Heiser W.C. Transcription Factor Protocols: Methods in Molecular Biology(商標) 2000; 130: 117-134を参照)、化学物質(例えば、リン酸カルシウム又は脂質)、トランスフェクション(例えば、Lewis W.H., et al., Somatic Cell Genet. 1980 May; 6(3): 333-47、Chen C., et al., Mol Cell Biol. 1987 August; 7(8): 2745-2752を参照)、組換えプラスミドを含有する細菌プロトプラストとの融合(例えば、Schaffner W. Proc Natl Acad Sci USA. 1980 Apr; 77(4): 2163-7を参照)、又は精製DNAの、細胞の核への直接的なマイクロインジェクション(例えば、Capecchi M.R. Cell. 1980 Nov; 22(2 Pt 2): 479-88を参照)などの方法によって細胞へ導入され得る。
【0077】
本開示の操作構築物を含むように修飾される哺乳動物細胞(例えば、ヒト細胞)は、従来の哺乳動物細胞培養方法(例えば、Phelan M.C. Curr Protoc Cell Biol. 2007 Sep; Chapter 1: Unit 1.1を参照、参照により本明細書に組み込まれる)を使用して培養され得る(例えば、細胞培養物中に維持され得る)。例えば、細胞は、細胞インキュベーター中で適切な温度及び気体混合物で(例えば、哺乳動物細胞に関して37℃、5%CO2)、成長及び維持され得る。培養条件は、細胞型それぞれに関して様々であり得る。例えば、細胞成長培地は、pH、グルコース濃度、成長因子、及び他の栄養分の存在において様々であり得る。培地を補充するのに使用される成長因子は多くの場合、動物血液の血清、例えばウシ胎児血清(FBS)、仔ウシ血清、ウマ血清及び/又はブタ血清に由来する。幾つかの実施形態では、本明細書中に提供するように使用する培養培地は、市販され、及び/又は十分に記載され得る(例えば、Birch J. R., R.G. Spier (Ed.) Encyclopedia of Cell Technology, Wiley. 411-424, 2000、Keen M. J. Cytotechnology 17: 125-132, 1995、Zang, et al. Bio/Technology. 13: 389-392, 1995を参照)。幾つかの実施形態では、合成培地(chemically defined media)が使用される。
【0078】
遺伝子修飾アッセイ用の細胞を産生する方法
本開示の活性化可能なレポーターカセットベースの系は通常、ヌクレアーゼ認識部位(NRS1)を有する活性化可能なレポーターカセット、ヌクレアーゼ認識部位(NRS2)を有する標的遺伝子、RNAにガイドされるヌクレアーゼ(例えば、Cas9又はCpf1)及び2つのgRNA:活性化可能なレポーターカセットを標的とするもの及び標的遺伝子を標的とするものを要する。本開示は、上述のツールを含む細胞を産生する様々な方法を包含する。
【0079】
例えば、gRNA、又はgRNAをコードする核酸は、標的遺伝子、活性化可能なレポーターカセット(例えば、予めトランスフェクトされている)及びRNAにガイドされるヌクレアーゼ(例えば、Cas9又はCpf1)を既に発現する細胞へトランスフェクトされ得る。したがって、幾つかの実施形態では、遺伝子修飾アッセイ用の細胞を産生する方法は、(a)目的の標的遺伝子に特異的なヌクレアーゼ認識部位を含む目的の標的遺伝子、(b)上流の選択可能なマーカー遺伝子及び上流の選択可能なマーカー遺伝子と異なる下流のフレーム外の選択可能なマーカー遺伝子によって挟まれたヌクレアーゼ認識部位を含む活性化可能なレポーターカセット、並びに(c)(a)及び(b)のヌクレアーゼ認識部位を切断するRNAにガイドされるヌクレアーゼを発現する細胞に、(a)のヌクレアーゼ認識部位に相補的なガイドRNA(gRNA)及び(b)のヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードする少なくとも1つの操作核酸をトランスフェクトすることを含み、それにより、遺伝子修飾アッセイ用の細胞を産生する。幾つかの実施形態では、細胞には、gRNA(gRNAをコードする核酸ではなく)がトランスフェクトされることが、理解されるべきである。幾つかの実施形態では、遺伝子修飾アッセイ用の細胞を産生する方法は、(a)(i)第1の目的の標的遺伝子に特異的なヌクレアーゼ認識部位を含む第1の目的の標的遺伝子、(ii)上流の選択可能なマーカー遺伝子及び上流の選択可能なマーカー遺伝子と異なる下流のフレーム外の選択可能なマーカー遺伝子によって挟まれたヌクレアーゼ認識部位を含む活性化可能なレポーターカセット、並びに(iii)(a)(i)のヌクレアーゼ認識部位及び(a)(ii)のヌクレアーゼ認識部位を切断するRNAにガイドされるヌクレアーゼを発現する細胞の第1の集団に、(a)(i)のヌクレアーゼ認識部位に相補的なガイドRNA(gRNA)及び(a)(ii)のヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードする少なくとも1つの操作核酸をトランスフェクトすること、及び(b)(i)ヌクレアーゼ認識部位を含む第2の目的の標的遺伝子、(ii)上流の選択可能なマーカー遺伝子及び上流の選択可能なマーカー遺伝子と異なる下流のフレーム外の選択可能なマーカー遺伝子によって挟まれたヌクレアーゼ認識部位を含む活性化可能なレポーターカセット、並びに(iii)(b)(i)のヌクレアーゼ認識部位及び(b)(ii)のヌクレアーゼ認識部位を切断するRNAにガイドされるヌクレアーゼを発現する細胞の第2の集団に、(b)(i)のヌクレアーゼ認識部位に相補的なガイドRNA(gRNA)及び(b)(ii)のヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードする少なくとも1つの操作核酸をトランスフェクトすることを含み、それにより、遺伝子修飾アッセイ用の細胞を産生する。
【0080】
別の例として、gRNA、又はgRNAをコードする核酸は、標的遺伝子及び活性化可能なレポーターカセットを既に発現するが、RNAにガイドされるヌクレアーゼ(例えば、Cas9)は発現しない細胞へトランスフェクトされ得る。したがって、幾つかの実施形態では、遺伝子修飾アッセイ用の細胞を産生する方法は、(a)目的の標的遺伝子に特異的なヌクレアーゼ認識部位を含む目的の標的遺伝子、並びに(b)上流の選択可能なマーカー遺伝子及び上流の選択可能なマーカー遺伝子と異なる下流のフレーム外の選択可能なマーカー遺伝子によって挟まれたヌクレアーゼ認識部位を含む活性化可能なレポーターカセットを発現する細胞に、(a)のヌクレアーゼ認識部位に相補的なガイドRNA(gRNA)及び(b)のヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードする少なくとも1つの操作核酸をトランスフェクトすることを含み、それにより、遺伝子修飾アッセイ用の細胞を産生する。幾つかの実施形態では、少なくとも1つの操作核酸は、(a)及び(b)のヌクレアーゼ認識部位を切断するRNAにガイドされるヌクレアーゼを更にコードする。幾つかの実施形態では、方法は、細胞に、(a)及び(b)のヌクレアーゼ認識部位を切断するRNAにガイドされるヌクレアーゼをコードする操作核酸をトランスフェクトすることを更に含む。幾つかの実施形態では、精製されたRNAにガイドされるヌクレアーゼ(例えば、Cas9又はCpf1)が、細胞へ導入され得る。
【0081】
更に別の例として、活性化可能なレポーターカセット及びgRNA、又はgRNAをコードする核酸は、標的遺伝子及びRNAにガイドされるヌクレアーゼ(例えば、Cas9)を既に発現するか、又はそれらを含む細胞へトランスフェクトされ得る。したがって、幾つかの実施形態では、遺伝子修飾アッセイ用の細胞を産生する方法は、(a)目的の標的遺伝子に特異的なヌクレアーゼ認識部位を含む目的の標的遺伝子、及び(b)目的の標的遺伝子のヌクレアーゼ認識部位を切断し、活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位を切断するRNAにガイドされるヌクレアーゼを発現する細胞に、デオキシリボ核酸結合ドメイン認識部位(DNA-BDRS)と、上流の選択可能なマーカー遺伝子及び上流の選択可能なマーカー遺伝子と異なる下流のフレーム外の選択可能なマーカー遺伝子によって挟まれたヌクレアーゼ認識部位を含む活性化可能なレポーターカセットとを含む操作核酸構築物をトランスフェクトすることを含む。
【0082】
更に別の例として、活性化可能なレポーターカセット及びgRNA、又はgRNAをコードする核酸は、標的遺伝子を既に発現するが、RNAにガイドされるヌクレアーゼ(例えば、Cas9)を発現しない細胞へトランスフェクトされ得る。したがって、幾つかの実施形態では、遺伝子修飾アッセイ用の細胞を産生する方法は、目的の標的遺伝子に特異的なヌクレアーゼ認識部位を含む目的の標的遺伝子を発現する細胞に、デオキシリボ核酸結合ドメイン認識部位(DNA-BDRS)と、上流の選択可能なマーカー遺伝子及び上流の選択可能なマーカー遺伝子と異なる下流のフレーム外の選択可能なマーカー遺伝子によって挟まれたヌクレアーゼ認識部位を含む活性化可能なレポーターカセットとを含む操作核酸構築物をトランスフェクトすることを含む。幾つかの実施形態では、gRNAをコードする少なくとも1つの操作核酸は、目的の標的遺伝子のヌクレアーゼ認識部位を切断し、活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位を切断するRNAにガイドされるヌクレアーゼを更にコードする。幾つかの実施形態では、DNA-BDRS及び活性化可能なレポーター構築物をコードする操作核酸構築物は、目的の標的遺伝子のヌクレアーゼ認識部位を切断し、活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位を切断するヌクレアーゼを更にコードする。幾つかの実施形態では、方法は、細胞に、目的の標的遺伝子のヌクレアーゼ認識部位を切断し、活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位を切断するRNAにガイドされるヌクレアーゼをコードする核酸をトランスフェクトすることを更に含む。
【0083】
用途
活性化可能なレポーターカセットを含む本開示の操作核酸構築物は、合成致死性スクリーニング(例えば、
図18~
図20を参照)、CRISPRi/a(不活性化/活性化)スクリーニング(
図21)、CRISPR/Cas9ノックアウトのアレイ型のスクリーニングアッセイ(例えば、
図22を参照)、オフターゲット検出アッセイ、細胞株生成(例えば、ノックイン事象に関する濃縮)、プール型からアレイ型の(pooled-to-arrayed)スクリーニング及びバーコーディング(
図23A~
図23C)を含むが、限定されない様々な用途で使用され得る。活性化可能なレポーターカセットの他の用途及び使用として、単一細胞分析、細胞の集団間での特異的な突然変異の単離、細胞において薬物耐性を分析すること、抗体生成、高いタンパク質産生が可能なクローンの単離、並びにゲノムワイドなタグ付け及び単離が挙げられるが、限定されない。例えば、Mali P, et al. Science. 2013 Feb 15;339(6121):823-6、Want T, et al. Science. 2014 Jan 3;343(6166):80-4、Shalem O, et al. Science. 2014 Jan 3;343(6166):84-7、Koike-Yusa H, et al. Nat Biotechnol. 2014 Mar;32(3):267-73、及びZhou Z, et al. Nature. 2014 May 22;509(7501):487-91を参照されたい。
【0084】
幾つかの実施形態では、活性化可能なレポーターカセットを使用して、ノックアウト細胞又は生物を生成し得る。例えば、ノックアウト細胞は、活性化可能なレポーターカセット、活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位に特異的なgRNA、目的の標的遺伝子中に存在するヌクレアーゼ認識部位に特異的なgRNA及びヌクレアーゼ認識部位を切断するRNAにガイドされるヌクレアーゼ(例えば、Cas9又はCpf1)を、細胞において同時発現すること(又は細胞へ導入すること)によって生成され得る。幾つかの実施形態では、標的遺伝子は、標的遺伝子に特異的であるおよそ20個のヌクレオチドDNA配列を含有し、標的配列は、プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)のすぐ上流に存在する。
【0085】
幾つかの実施形態では、活性化可能なレポーターカセットを使用して、標的遺伝子を活性化又は抑制し得る。例えば、Cas9の1つの特色は、標的DNAを切断するその能力とは無関係に標的DNAを結合するその能力である。具体的には、RuvC-及びHNH-ヌクレアーゼドメインは、点突然変異(SpCas9におけるD10A及びH840A)によって不活性にさせることができ、標的DNAを切断することができないヌクレアーゼdead Cas9(dCas9)分子を生じる。dCas9分子は、gRNAターゲティング配列に基づいて、標的DNAを結合する能力を保持する。幾つかの実施形態では、dCas9は、転写開始を阻止することによって転写を「抑制」又は「ノックダウン」するように転写開始部位へと標的とさせ得る。幾つかの実施形態では、dCas9は、転写リプレッサー又は活性化因子でタグ付けされてもよく、これらのdCas9融合タンパク質は、プロモーター領域へと標的とさせてもよく、下流の標的遺伝子の頑強な転写抑制又は活性化をもたらす。最も簡素なdCas9ベースの活性化因子及びリプレッサーとして、単一転写活性化因子であるA(例えば、VP64)又は転写リプレッサーであるR(例えば、KRAB)に直接融合されたdCas9が挙げられる。幾つかの実施形態では、細胞における標的遺伝子は、活性化可能なレポーターカセット、活性化レポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位に特異的なgRNA、Cas9又はCpf1ヌクレアーゼ、標的遺伝子の転写開始部位に特異的なgRNA、及びdCas9ベースの活性化因子又はリプレッサーを、細胞において同時発現すること(又は細胞へ導入すること)によって活性化又は抑制され得る。
【0086】
幾つかの実施形態では、活性化可能なレポーターカセットは、ゲノムワイドなスクリーニング用途に使用され得る。
【0087】
幾つかの実施形態では、本明細書中に提供する方法は、ウイルスを含まない。即ち、方法は、ウイルスベースの送達システムの使用を要さない。しかしながら、本開示の操作核酸が、ウイルスベクターを用いずにゲノムの厳密且つ既定の位置において挿入され得る一方で、幾つかの実施形態では、構築物の送達は、ウイルスベクター(例えば、レンチウイルスベクター)を介してゲノムにおいてランダムに導入され得ることが理解されるべきである。
【0088】
本開示はまた、本開示の操作核酸構築物(例えば、活性化可能なレポーターカセット)のうちの少なくとも1つを含む組成物及びキットを提供する。
【0089】
本開示は、下記の番号を付したパラグラフによって包含される実施形態を更に提供する:
【0090】
1.デオキシリボ核酸結合ドメイン認識部位(DNA-BDRS)と、上流の選択可能なマーカー遺伝子及び上流の選択可能なマーカー遺伝子と異なる下流のフレーム外の選択可能なマーカー遺伝子によって挟まれたヌクレアーゼ認識部位を含む活性化可能なレポーターカセットとを含む操作核酸構築物。
【0091】
2.上流の選択可能なマーカー遺伝子が、プロモーターを含まない、パラグラフ1の操作核酸構築物。
【0092】
3.上流の選択可能なマーカー遺伝子が、プロモーターに作動可能に連結されている、パラグラフ1の操作核酸構築物。
【0093】
4.目的の遺伝子をコードする核酸を更に含む、パラグラフ1~3の何れか1つの操作核酸構築物。
【0094】
5.目的の遺伝子が、ヌクレアーゼをコードする、パラグラフ4の操作核酸構築物。
【0095】
6.ヌクレアーゼが、Cas9である、パラグラフ5の操作核酸構築物。
【0096】
7.ヌクレアーゼが、Cpf1である、パラグラフ5の操作核酸構築物。
【0097】
8.(a)少なくとも1つのヌクレアーゼ認識部位を含む目的の標的遺伝子、(b)パラグラフ1~7の何れか1つの操作核酸構築物、及び(c)DNA-BDRSに結合するプログラム可能なヌクレアーゼを含む細胞。
【0098】
9.プログラム可能なヌクレアーゼが、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ又はCas9-FokIヌクレアーゼである、パラグラフ8の細胞。
【0099】
10.活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位を切断し、目的の標的遺伝子のヌクレアーゼ認識部位を切断するヌクレアーゼを更に含む、パラグラフ8又は9の細胞。
【0100】
11.ヌクレアーゼが、Cas9である、パラグラフ10の細胞。
【0101】
12.ヌクレアーゼが、Cpf1である、パラグラフ10の細胞。
【0102】
13.活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位に相補的なガイドRNA(gRNA)及び目的の標的遺伝子のヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAを更に含む、パラグラフ8~12の何れか1つの細胞。
【0103】
14.活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNA及び目的の標的遺伝子のヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAが、同じ構築物上に位置する操作核酸によってコードされる、パラグラフ13の細胞。
【0104】
15.構築物が、ヌクレアーゼをコードする核酸を更に含む、パラグラフ14の細胞。
【0105】
16.それぞれが、目的の標的遺伝子の異なるヌクレアーゼ認識部位に相補的な多重gRNAを含む、パラグラフ8~15の何れか1つの細胞。
【0106】
17.上流の選択可能なマーカー遺伝子によってコードされる選択可能なマーカーが、ピューロマイシン耐性、ブラストサイジンSデアミナーゼ耐性、アンピシリン耐性、カナマイシン耐性、ジェネティシン耐性、ハイグロマイシン耐性、clonNAT耐性又はトリクロサン耐性を、細胞に付与する、パラグラフ8~16の何れか1つの細胞。
【0107】
18.下流の選択可能なマーカー遺伝子によってコードされる選択可能なマーカーが、ピューロマイシン耐性、ブラストサイジンSデアミナーゼ耐性、アンピシリン耐性、カナマイシン耐性、ジェネティシン耐性、ハイグロマイシン耐性、clonNAT耐性又はトリクロサン耐性を、細胞に付与する、パラグラフ8~17の何れか1つの細胞。
【0108】
19.活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位が、他の場合では細胞のゲノム中に存在しない、パラグラフ8~18の何れか1つの細胞。
【0109】
20.細菌細胞である、パラグラフ8~19の何れか1つの細胞。
【0110】
21.哺乳動物細胞である、パラグラフ8~19の何れか1つの細胞。
【0111】
22.哺乳動物細胞が、ヒト細胞である、パラグラフ21の細胞。
【0112】
23.多能性幹細胞である、パラグラフ21又は22の細胞。
【0113】
24.人工多能性幹細胞である、パラグラフ23の細胞。
【0114】
25.パラグラフ8~24の何れか1つの細胞を含む細胞の集団。
【0115】
26.細胞培地及びパラグラフ25の細胞の集団を含む培養物。
【0116】
27.(a)目的の標的遺伝子に特異的なヌクレアーゼ認識部位を含む目的の標的遺伝子、(b)上流の選択可能なマーカー遺伝子及び上流の選択可能なマーカー遺伝子と異なる下流のフレーム外の選択可能なマーカー遺伝子によって挟まれたヌクレアーゼ認識部位を含む活性化可能なレポーターカセット、(c)活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位を切断し、目的の標的遺伝子のヌクレアーゼ認識部位を切断するヌクレアーゼ、並びに(d)活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位に相補的なガイドRNA(gRNA)及び目的の標的遺伝子のヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNA
を発現する細胞。
【0117】
28.上流の選択可能なマーカー遺伝子によってコードされる選択可能なマーカーが、ピューロマイシン耐性、ブラストサイジンSデアミナーゼ耐性、アンピシリン耐性、カナマイシン耐性、ジェネティシン耐性、又はトリクロサン耐性を、細胞に付与する、パラグラフ27の細胞。
【0118】
29.下流の選択可能なマーカー遺伝子によってコードされる選択可能なマーカーが、ピューロマイシン耐性、ブラストサイジンSデアミナーゼ耐性、アンピシリン耐性、カナマイシン耐性、ジェネティシン耐性、又はトリクロサン耐性を、細胞に付与する、パラグラフ27又は28の細胞。
【0119】
30.哺乳動物細胞である、パラグラフ27~29の何れか1つの細胞。
【0120】
31.哺乳動物細胞が、ヒト細胞である、パラグラフ30の細胞。
【0121】
32.多能性幹細胞である、パラグラフ27~31の何れか1つの細胞。
【0122】
33.人工多能性幹細胞である、パラグラフ32の細胞。
【0123】
34.遺伝子修飾アッセイ用の細胞を産生する方法であって、(a)目的の標的遺伝子に特異的なヌクレアーゼ認識部位を含む目的の標的遺伝子、(b)上流の選択可能なマーカー遺伝子及び上流の選択可能なマーカー遺伝子と異なる下流のフレーム外の選択可能なマーカー遺伝子によって挟まれたヌクレアーゼ認識部位を含む活性化可能なレポーターカセット、並びに(c)(a)及び(b)のヌクレアーゼ認識部位を切断するヌクレアーゼを発現する細胞に、(a)のヌクレアーゼ認識部位に相補的なガイドRNA(gRNA)及び(b)のヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードする少なくとも1つの操作核酸をトランスフェクトすることを含み、それにより、遺伝子修飾アッセイ用の細胞を産生する方法。
【0124】
35.少なくとも1つの操作核酸が、
(a)細胞によって発現される第1の目的の標的遺伝子のヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードし、活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードする第1のヌクレオチド配列、及び
細胞によって発現される第2の目的の標的遺伝子のヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードし、活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードする第2のヌクレオチド配列
を含む、パラグラフ34の方法。
【0125】
36.少なくとも1つの操作核酸が、目的の標的遺伝子の第1のヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードし、活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードする第1のヌクレオチド配列、及び目的の標的遺伝子の第2のヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードし、活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードする第2のヌクレオチド配列を含む、パラグラフ34の方法。
【0126】
37.少なくとも1つの操作核酸が、少なくとも3つのgRNA:目的の標的遺伝子の第1のヌクレアーゼ認識部位に相補的な第1のgRNA;目的の標的遺伝子の第2のヌクレアーゼ認識部位に相補的な第2のgRNA;及び活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位に相補的な第3のgRNAをコードする、パラグラフ34の方法。
【0127】
38.細胞を、(a)のヌクレアーゼ認識部位の切断、(b)のヌクレアーゼ認識部位の切断、及び下流の選択可能なマーカー遺伝子の、フレーム外から、上流の選択可能なマーカー遺伝子を有するフレーム内への再設定をもたらす条件下でインキュベートすることを更に含む、パラグラフ34~37の何れか1つの方法。
【0128】
39.下流の選択可能なマーカーを発現する細胞を選択することを更に含む、パラグラフ38の方法。
【0129】
40.下流の選択可能なマーカーを発現する細胞の表現型を分析することを更に含む、パラグラフ39の方法。
【0130】
41.遺伝子修飾アッセイ用の細胞を産生する方法であって、(a)(i)第1の目的の標的遺伝子に特異的なヌクレアーゼ認識部位を含む第1の目的の標的遺伝子、(ii)上流の選択可能なマーカー遺伝子及び上流の選択可能なマーカー遺伝子と異なる下流のフレーム外の選択可能なマーカー遺伝子によって挟まれたヌクレアーゼ認識部位を含む活性化可能なレポーターカセット、並びに(iii)(a)(i)のヌクレアーゼ認識部位及び(a)(ii)のヌクレアーゼ認識部位を切断するヌクレアーゼを発現する細胞の第1の集団に、(a)(i)のヌクレアーゼ認識部位に相補的なガイドRNA(gRNA)及び(a)(ii)のヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードする少なくとも1つの操作核酸をトランスフェクトすること、及び(b)(i)ヌクレアーゼ認識部位を含む第2の目的の標的遺伝子、(ii)上流の選択可能なマーカー遺伝子及び上流の選択可能なマーカー遺伝子と異なる下流のフレーム外の選択可能なマーカー遺伝子によって挟まれたヌクレアーゼ認識部位を含む活性化可能なレポーターカセット、並びに(iii)(b)(i)のヌクレアーゼ認識部位及び(b)(ii)のヌクレアーゼ認識部位を切断するヌクレアーゼを発現する細胞の第2の集団に、(b)(i)のヌクレアーゼ認識部位に相補的なガイドRNA(gRNA)及び(b)(ii)のヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードする少なくとも1つの操作核酸をトランスフェクトすることを含み、それにより、遺伝子修飾アッセイ用の細胞を産生する方法。
【0131】
42.第1の集団の細胞及び第2の集団の細胞を、(a)(i)、(a)(ii)、(b)(i)及び(b)(ii)のヌクレアーゼ認識部位の切断、並びにそれぞれ、(a)(ii)及び(b)(ii)の下流の選択可能なマーカー遺伝子の、フレーム外から、(a)(ii)及び(b)(ii)の上流の選択可能なマーカー遺伝子を有するフレーム内への再設定をもたらす条件下でインキュベートすることを更に含む、パラグラフ41の方法。
【0132】
43.(a)(ii)の下流の選択可能なマーカー遺伝子によってコードされる下流の選択可能なマーカーを発現する第1の集団の細胞を選択すること、及び(b)(ii)の下流の選択可能なマーカー遺伝子によってコードされる下流の選択可能なマーカーを発現する第2の集団の細胞を選択することを更に含む、パラグラフ42の方法。
【0133】
44.(a)(ii)の下流の選択可能なマーカー遺伝子によってコードされる下流の選択可能なマーカーを発現する第1の集団の細胞の表現型を分析すること、及び(b)(ii)の下流の選択可能なマーカー遺伝子によってコードされる下流の選択可能なマーカーを発現する第2の集団の細胞の表現型を分析することを更に含む、パラグラフ43の方法。
【0134】
45.遺伝子修飾アッセイ用の細胞を産生する方法であって、(a)目的の標的遺伝子に特異的なヌクレアーゼ認識部位を含む目的の標的遺伝子、(b)上流の選択可能なマーカー遺伝子及び上流の選択可能なマーカー遺伝子と異なる下流のフレーム外の選択可能なマーカー遺伝子によって挟まれたヌクレアーゼ認識部位を含む活性化可能なレポーターカセット、並びに(c)(a)及び(b)のヌクレアーゼ認識部位を切断するヌクレアーゼを発現する細胞に、(a)のヌクレアーゼ認識部位に相補的な少なくとも1つの操作ガイドRNA(gRNA)及び(b)のヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAを導入することを含み、それにより、遺伝子修飾アッセイ用の細胞を産生する方法。
【0135】
46.gRNAが、電気穿孔により細胞に導入される、パラグラフ45の方法。
【0136】
47.遺伝子修飾アッセイ用の細胞を産生する方法であって、(a)目的の標的遺伝子に特異的なヌクレアーゼ認識部位を含む目的の標的遺伝子、並びに(b)上流の選択可能なマーカー遺伝子及び上流の選択可能なマーカー遺伝子と異なる下流のフレーム外の選択可能なマーカー遺伝子によって挟まれたヌクレアーゼ認識部位を含む活性化可能なレポーターカセットを発現する細胞に、(a)のヌクレアーゼ認識部位に相補的なガイドRNA(gRNA)及び(b)のヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードする少なくとも1つの操作核酸をトランスフェクトすることを含み、それにより、遺伝子修飾アッセイ用の細胞を産生する方法。
【0137】
48.少なくとも1つの操作核酸が、細胞によって発現される第1の目的の標的遺伝子のヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードし、活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードする第1の操作核酸、及び細胞によって発現される第2の目的の標的遺伝子のヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードし、活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードする第2の操作核酸を含む、パラグラフ47の方法。
【0138】
49.少なくとも1つの操作核酸が、目的の標的遺伝子の第1のヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードし、活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードする第1の操作核酸、及び目的の標的遺伝子の第2のヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードし、活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードする第2の操作核酸を含む、パラグラフ47の方法。
【0139】
50.少なくとも1つの操作核酸が、少なくとも3つのgRNA:目的の標的遺伝子の第1のヌクレアーゼ認識部位に相補的な第1のgRNA;目的の標的遺伝子の第2のヌクレアーゼ認識部位に相補的な第2のgRNA;及び活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位に相補的な第3のgRNAをコードする、パラグラフ47の方法。
【0140】
51.少なくとも1つの操作核酸が、(a)及び(b)のヌクレアーゼ認識部位を切断するヌクレアーゼを更にコードする、パラグラフ47~50の何れか1つの方法。
【0141】
52.細胞に、(a)及び(b)のヌクレアーゼ認識部位を切断するヌクレアーゼをコードする操作核酸をトランスフェクトすることを更に含む、パラグラフ47~50の何れか1つの方法。
【0142】
53.細胞を、(a)のヌクレアーゼ認識部位の切断、(b)のヌクレアーゼ認識部位の切断、及び下流の選択可能なマーカー遺伝子の、フレーム外から、上流の選択可能なマーカー遺伝子を有するフレーム内への再設定をもたらす条件下でインキュベートすることを更に含む、パラグラフ51又は52の方法。
【0143】
54.下流の選択可能なマーカーを発現する細胞を選択することを更に含む、パラグラフ53の方法。
【0144】
55.下流の選択可能なマーカーを発現する細胞の表現型を分析することを更に含む、パラグラフ54の方法。
【0145】
56.遺伝子修飾アッセイ用の細胞を産生する方法であって、(a)目的の標的遺伝子に特異的なヌクレアーゼ認識部位を含む目的の標的遺伝子、及び(b)目的の標的遺伝子のヌクレアーゼ認識部位を切断し、活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位を切断するヌクレアーゼを発現する細胞に、デオキシリボ核酸結合ドメイン認識部位(DNA-BDRS)と、上流の選択可能なマーカー遺伝子及び上流の選択可能なマーカー遺伝子と異なる下流のフレーム外の選択可能なマーカー遺伝子によって挟まれたヌクレアーゼ認識部位を含む活性化可能なレポーターカセットとを含む操作核酸構築物をトランスフェクトすることを含む方法。
【0146】
57.上流の選択可能なマーカー遺伝子が、プロモーターを含まない、パラグラフ56の方法。
【0147】
58.上流の選択可能なマーカー遺伝子が、プロモーターに作動可能に連結されている、パラグラフ56の方法。
【0148】
59.細胞が、DNA-BDRSに結合して、それを切断するプログラム可能なヌクレアーゼを更に発現する、パラグラフ56~58の何れか1つの方法。
【0149】
60.細胞に、DNA-BDRSに結合して、それを切断するプログラム可能なヌクレアーゼをコードする核酸をトランスフェクトすることを更に含む、パラグラフ56~58の何れか1つの方法。
【0150】
61.細胞を、活性化可能なレポーターカセットの、細胞のゲノムへの挿入及び上流の選択可能なマーカー遺伝子の発現をもたらす条件下でインキュベートすることを更に含む、パラグラフ59又は60の方法。
【0151】
62.上流の選択可能なマーカー遺伝子を発現する細胞を選択することを更に含む、パラグラフ61の方法。
【0152】
63.上流の選択可能なマーカー遺伝子を発現する細胞に、目的の標的遺伝子のヌクレアーゼ認識部位に相補的なガイドRNA(gRNA)及び活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードする少なくとも1つの操作核酸をトランスフェクトすることを更に含む、パラグラフ62の方法。
【0153】
64.少なくとも1つの操作核酸が、細胞によって発現される第1の目的の標的遺伝子のヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードし、活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードする第1の操作核酸、及び細胞によって発現される第2の目的の標的遺伝子のヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードし、活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードする第2の操作核酸を含む、パラグラフ63の方法。
【0154】
65.少なくとも1つの操作核酸が、目的の標的遺伝子の第1のヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードし、活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードする第1の操作核酸、及び目的の標的遺伝子の第2のヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードし、活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードする第2の操作核酸を含む、パラグラフ63の方法。
【0155】
66.少なくとも1つの操作核酸が、少なくとも3つのgRNA:目的の標的遺伝子の第1のヌクレアーゼ認識部位に相補的な第1のgRNA;目的の標的遺伝子の第2のヌクレアーゼ認識部位に相補的な第2のgRNA;及び活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位に相補的な第3のgRNAをコードする、パラグラフ63の方法。
【0156】
67.細胞を、目的の標的遺伝子のヌクレアーゼ認識部位の切断、活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位の切断、及び下流の選択可能なマーカー遺伝子の、フレーム外から、上流の選択可能なマーカー遺伝子を有するフレーム内への再設定をもたらす条件下でインキュベートすることを更に含む、パラグラフ63~66の何れか1つの方法。
【0157】
68.下流の選択可能なマーカーを発現する細胞を選択することを更に含む、パラグラフ67の方法。
【0158】
69.下流の選択可能なマーカーを発現する細胞の表現型を分析することを更に含む、パラグラフ68の方法。
【0159】
70.遺伝子修飾アッセイ用の細胞を産生する方法であって、目的の標的遺伝子に特異的なヌクレアーゼ認識部位を含む目的の標的遺伝子を発現する細胞に、デオキシリボ核酸結合ドメイン認識部位(DNA-BDRS)と、上流の選択可能なマーカー遺伝子及び上流の選択可能なマーカー遺伝子と異なる下流のフレーム外の選択可能なマーカー遺伝子によって挟まれたヌクレアーゼ認識部位を含む活性化可能なレポーターカセットとを含む操作核酸構築物をトランスフェクトすることを含む方法。
【0160】
71.上流の選択可能なマーカー遺伝子が、プロモーターを含まない、パラグラフ70の方法。
【0161】
72.上流の選択可能なマーカー遺伝子が、第1のプロモーターに作動可能に連結されている、パラグラフ70の方法。
【0162】
73.細胞が、DNA-BDRSに結合して、それを切断するプログラム可能なヌクレアーゼを更に発現する、パラグラフ70~72の何れか1つの方法。
【0163】
74.細胞に、DNA-BDRSに結合して、それを切断するプログラム可能なヌクレアーゼをコードする核酸をトランスフェクトすることを更に含む、パラグラフ70~72の何れか1つの方法。
【0164】
75.細胞を、活性化可能なレポーターカセットの、細胞のゲノムへの挿入及び上流の選択可能なマーカー遺伝子の発現をもたらす条件下でインキュベートすることを更に含む、パラグラフ73又は74の方法。
【0165】
76.上流の選択可能なマーカー遺伝子を発現する細胞を選択することを更に含む、パラグラフ75の方法。
【0166】
77.上流の選択可能なマーカー遺伝子を発現する細胞に、目的の標的遺伝子のヌクレアーゼ認識部位に相補的なガイドRNA(gRNA)及び活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードする少なくとも1つの操作核酸をトランスフェクトすることを更に含む、パラグラフ76の方法。
【0167】
78.少なくとも1つの操作核酸が、細胞によって発現される第1の目的の標的遺伝子のヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードし、活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードする第1の操作核酸、及び細胞によって発現される第2の目的の標的遺伝子のヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードし、活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードする第2の操作核酸を含む、パラグラフ77の方法。
【0168】
79.少なくとも1つの操作核酸が、目的の標的遺伝子の第1のヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードし、活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードする第1の操作核酸、及び目的の標的遺伝子の第2のヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードし、活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードする第2の操作核酸を含む、パラグラフ77の方法。
【0169】
80.少なくとも1つの操作核酸が、少なくとも3つのgRNA:目的の標的遺伝子の第1のヌクレアーゼ認識部位に相補的な第1のgRNA;目的の標的遺伝子の第2のヌクレアーゼ認識部位に相補的な第2のgRNA;及び活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位に相補的な第3のgRNAをコードする、パラグラフ79の方法。
【0170】
81.gRNAをコードする少なくとも1つの操作核酸が、目的の標的遺伝子のヌクレアーゼ認識部位を切断し、活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位を切断するヌクレアーゼを更にコードする、パラグラフ77~80の何れか1つの方法。
【0171】
82.DNA-BDRS及び活性化可能なレポーター構築物をコードする操作核酸構築物が、目的の標的遺伝子のヌクレアーゼ認識部位を切断し、活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位を切断するヌクレアーゼを更にコードする、パラグラフ70~81の何れか1つの方法。
【0172】
83.活性化可能なレポーター構築物の上流の選択可能なマーカー遺伝子が、第1のプロモーターに作動可能に連結され、ヌクレアーゼが、第1のプロモーターと異なる第2のプロモーターに作動可能に連結されている遺伝子によってコードされる、パラグラフ82の方法。
【0173】
84.細胞を、目的の標的遺伝子のヌクレアーゼ認識部位の切断、活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位の切断、及び下流の選択可能なマーカー遺伝子の、フレーム外から、上流の選択可能なマーカー遺伝子を有するフレーム内への再設定をもたらす条件下でインキュベートすることを更に含む、パラグラフ81又は82の方法。
【0174】
85.下流の選択可能なマーカーを発現する細胞を選択することを更に含む、パラグラフ84の方法。
【0175】
86.下流の選択可能なマーカーを発現する細胞の表現型を分析することを更に含む、パラグラフ85の方法。
【0176】
87.(a)試薬を、(i)少なくとも1つのヌクレアーゼ認識部位を含む目的の標的遺伝子、並びに(ii)上流の選択可能なマーカー遺伝子及び上流の選択可能なマーカー遺伝子と異なる下流のフレーム外の選択可能なマーカー遺伝子によって挟まれたヌクレアーゼ認識部位を含む少なくとも1つの活性化可能なレポーターカセットを含む混合集団の細胞に導入することであって、試薬が、少なくとも1つのヌクレアーゼ認識部位を切断するヌクレアーゼ、活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位に相補的なガイドRNA(gRNA)及び目的の標的遺伝子のヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAを含み、それにより、試薬を含む細胞を産生する、導入すること、(b)試薬を含む(a)の細胞を、上流の選択可能なマーカー遺伝子の発現及び少なくとも1つのヌクレアーゼ認識部位の切断をもたらす条件下でインキュベートすることであって、それにより、上流の選択可能なマーカー遺伝子を発現する細胞を産生する、インキュベートすること、及び(c)上流の選択可能なマーカー遺伝子を発現する(b)の細胞を、下流の選択可能なマーカー遺伝子を発現しない細胞の死をもたらす条件下で、下流の選択可能なマーカー遺伝子と関連付けられる選択剤と接触させることであって、それにより、下流の選択可能なマーカー遺伝子を発現する細胞を産生する、接触させることを含む方法。
【0177】
88.(a)試薬を、(i)少なくとも1つのヌクレアーゼ認識部位を含む目的の標的遺伝子、(ii)上流の選択可能なマーカー遺伝子及び上流の選択可能なマーカー遺伝子と異なる下流のフレーム外の選択可能なマーカー遺伝子によって挟まれたヌクレアーゼ認識部位を含む少なくとも1つの活性化可能なレポーターカセット、並びに(iii)少なくとも1つのヌクレアーゼ認識部位を切断するヌクレアーゼを含む混合集団の細胞に導入することであって、試薬が、活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位に相補的なガイドRNA(gRNA)及び目的の標的遺伝子のヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAを含み、それにより、試薬を含む細胞を産生する、導入すること、(b)試薬を含む(a)の細胞を、上流の選択可能なマーカー遺伝子の発現及び少なくとも1つのヌクレアーゼ認識部位の切断をもたらす条件下でインキュベートすることであって、それにより、上流の選択可能なマーカー遺伝子を発現する細胞を産生する、インキュベートすること、及び(c)上流の選択可能なマーカー遺伝子を発現する(b)の細胞を、下流の選択可能なマーカー遺伝子を発現しない細胞の死をもたらす条件下で、下流の選択可能なマーカー遺伝子と関連付けられる選択剤と接触させることであって、それにより、下流の選択可能なマーカー遺伝子を発現する細胞を産生する、接触させることを含む方法。
【0178】
89.下流の選択可能なマーカー遺伝子を発現する(c)において産生される細胞を分析することを更に含む、パラグラフ87又は88の方法。
【実施例】
【0179】
[実施例1]
本明細書中に提供する研究の結果は、活性化可能なレポーターカセットと一緒に、AAVS1遺伝子座においてCas9コード導入遺伝子を含有する細胞株の効率的な生成を示す。
【0180】
本明細書中に提供する研究の結果はまた、rpsL-BSD対抗選択が、プラスミドベースのガイドRNAライブラリーの効率的な調製に使用され得ることを示す。最初に、実験は、形質転換体が、カナマイシン及びストレプトマイシンを含有する液体培養物に直接使用することができるかどうかを試験して、したがってプレーティング及びコロニー採取の面倒なステップを省いた。単一コロニー又は形質転換産物の何れかを接種した培養物からの単離プラスミドを比較した。この比較は、それぞれpU6プラスミドへ正確にライゲーションされたオリゴヌクレオチド二量体の品質及び量を制御するためにサンガーシーケンシング方法及びFragment Analyzer(商標)を使用して、ブロモドメイン含有遺伝子を標的とする96個のガイドRNAに関して実施した。結果により、この方法は、ハイスループット様式で使用することができ、プラスミドライブラリー調製に要される労力を実質的に低減させることが実証された。
【0181】
[実施例2]
図23Aは、NRS1認識部位を含有する活性化可能なレポーターカセットによって表される特定のバーコードを有するGFP陽性細胞(網掛けの灰色)を示す。このバーコードは、この細胞に特異的であり、したがって、ブラストサイジン耐性は、Cas9及びNRS1を標的とするgRNAによるトランスフェクション時にこの細胞においてのみ、得ることができる。ブラストサイジン選択(特定のガイドRNAによるトランスフェクション後)は、特異的なバーコードと関連付けられる特異的な細胞を単離する。幾つかの実施形態では、皿(ペトリ皿)上の細胞全てが単離されてもよく、それぞれは、当該細胞に特異的なバーコードを含有する。幾つかの実施形態では、少なくとも10
12個の異なるバーコードが使用され得る。
【0182】
バーコーディングに関するプロトコールの例:
(1)0日目-バーコード(活性化可能なレポーターカセット)を含有する細胞の混合集団に、Cas9及びgRNAをトランスフェクトする;
(2)3日目-選択剤(例えば、ブラストサイジン)を添加して、細胞成長を分析する
(3)14日目-選択剤に対する残留細胞耐性におけるGFP発現を分析する。
【0183】
[実施例3]
CRISPRスクリーニングは、治療用ターゲティングに適した遺伝子を同定するための有望なアプローチである。最も一般的にはガイドRNAライブラリーのレンチウイルス送達により、プール型又はアレイ型の何れかで遺伝子スクリーニングを実施するためのCRISPR技術を利用することに成功した研究がますます増えている。しかしながら、費用、労働集約的な産生、最終使用者にとって再生不可能なストック、バイオセーフティレベル2の施設の必要性、及びウイルス適合性自動化インフラを含むレンチウイルスライブラリーの実用上の欠点は、ウイルスベースのガイドRNAライブラリーの適用を制限している。更に、ウイルスDNAのランダム組込みの性質は、幾つかの表現型分析を潜在的に妨害し得る。更に、レンチウイルスによって供給されるCas9及びガイドRNA発現への長期間の曝露は、有害な影響をもたらし得る。
【0184】
或いは、プラスミドライブラリーのトランスフェクションは、ガイドRNAを送達するのに使用することができる。しかしながら、核酸によるトランスフェクション効率は、多くの細胞型において最適以下である。これは、特に、潜在的に小比率のトランスフェクトされていない細胞が成長の利点を有するネガティブ選択スクリーニングに関係しており、したがって、読出しを遮蔽して、結末を損なう。
【0185】
本開示の方法論(REMindel)は、幾つかの実施形態では、標的細胞に関して効率的に濃縮し、ベクターベースのアレイ型のガイドRNAライブラリーのスクリーニングを容易にするのに使用され得る。REMindelカセットは、標的細胞のセーフハーバー遺伝子座(AAVS1)において厳密に組み込まれ得る。REMindelカセットは、2つの抗生物質選択をタンデムで含む:第1(例えば、ピューロマイシン)は、正確なカセット組込みによる細胞の選択を可能にするのに対して、第2は、REM部位におけるCRISPRカット時にDNA修復によって再構成されるフレーム外の(REM部位の下流、例えば、
図24)非機能性マーカー(例えば、ブラストサイジン)である(
図24)。REMindel細胞に、目的の遺伝子(GFP、
図24)及びREM部位の両方を標的とするCRISPRをトランスフェクトすることにより、同時に、ブラストサイジンが活性化され、目的の遺伝子においてノックアウト(KO)が創出された。ブラストサイジン選択は、KO細胞の濃縮を可能にした(
図24)。したがって、細胞は、選択マーカーの永続的な活性化を伴うCas9への曝露を「思い出させる」。
【0186】
[実施例4]
大規模なガイドRNA(gRNA)ライブラリーと組み合わせたCas9ヌクレアーゼは、フォワード遺伝子スクリーニングに関する刺激的な新たなツールとして出現した。培養細胞において遺伝子スクリーニングに関してアレイ型戦略では、gRNAは、マルチウェルプレートにおいて配置されて、トランスフェクション又はウイルス形質導入の何れかによって送達される。gRNAはそれぞれ、別々に調製する必要があり、したがって、非常に費用効率の高い方法論は、大規模なアレイ型の資源を調製するのに大きな需要がある。
【0187】
この実施例は、PCR産物方式におけるGFPカセットを、ヒト細胞へ効率的にトランスフェクトすることができ、検出可能な発現をもたらすことを示す(
図25)。PCR方法用のオリゴヌクレオチドの重複-伸長設計を使用して、例えば、gRNA骨格と一緒に、U6プロモーターを含有する任意のカセットを増幅し得る(
図26A)。PCR産物は、Cas9を安定に発現するHEK293細胞において遺伝子ノックアウトを誘導する(
図26B)。PCR-gRNAを使用して、費用効率の高いgRNAライブラリーを生成し得る。更に、重複-伸長オリゴヌクレオチドはまた、gRNAのライゲーションを含まないクローニングに使用され得る(
図27A)。これは、11個のgRNAのうちの9個が、重複伸長を使用して生成されたPCR産物を使用してベクターへと正確にアセンブルされたことを示すことによって確証された(
図27B)。
【0188】
gRNAを調製するこの方法は、例えば、本明細書中に提供するように、ウイルスを含まないアレイ型のスクリーニング戦略(REMindel)を用いて大規模で使用される場合に、特に有用である。
【0189】
[実施例5]
Cas9 DNA切断系は、遺伝子ターゲティングに関する効率的且つ簡素な方法として出現した。ここで、ゲノム編集されたヒト細胞のREMindelベースの濃縮を、ヒトゲノムにおける種々の遺伝子座を標的とする単一及び二重ガイドRNA(gRNA)を使用して検査した。
【0190】
標的とされる遺伝子に対する2つ以上のgRNA(
図28A)は、プラスミド方式で調製し、別々に又はREMindel gRNA及びCas9コードプラスミドと一緒に、HEK293-REM細胞へトランスフェクトした。インデル頻度は、Cellアッセイによる選択及びアンプリコン次世代シーケンシングの前及び後に測定した(
図28B)。
【0191】
より高いインデル頻度は、目的の遺伝子を標的とする2つのgRNAを使用して達成された(
図29A、上部パネル)。NGS分析は、二重gRNAによって誘導される大きなインデルを含有する試料に対して首尾よく実施された(
図29B、下部パネル)。二重gRNA及びREMindelを適用することにより、濃縮された細胞集団において種々の遺伝子座で、80%を上回るインデル頻度が生じた(
図29B)。これは、ノックアウトのより高い機会と、したがって、CRISPR系を使用した表現型スクリーニングにおける成功率を増加させると言い換えることができる。アンプリコンシーケンシングは、Cellアッセイと比較して、インデル頻度を測定するのにより一貫した結果を提供することの他に、標的とされる遺伝子座上でのDNA修復機構のアウトプットに関する洞察も提供する(
図29C)。まとめると、これらのデータにより、REMindelは、Cas9ヌクレアーゼ誘導突然変異を含有する細胞の濃縮にとって非常に効率的であることが示される。
【0192】
[実施例6]
ネガティブ選択スクリーニングは、種々の細胞型における基礎プロセスに関連付けられる必須遺伝子組を同定するための治療用標的発見に使用される。本明細書中に提供するように、「REMindel」は、CRISPR/Cas9ベースのノックアウトスクリーニングに対するウイルスを含まない方法論として使用され得る。REMindelは、トランスフェクションを介したプラスミド方式ガイドRNA(gRNA)ライブラリーの実行を可能にして、したがって、ウイルス粒子としてライブラリーを調製するのに要される費用及び労力を軽減する。ここで、REMindelアプローチの有効性は、種々の実験条件下でのネガティブ選択に焦点を絞って検査した。
【0193】
gRNAは、ヒトゲノム全体にわたって高い存在量を有するAlu要素に対して設計された(
図30)。これらのgRNAと一緒のCas9の発現は、ゲノムにおいて多数の二重鎖切断を誘導して、細胞死を誘発すると予測された。これらの3つのgRNAは、REMindel選択を用いて(REMindelカセットの存在下で)、及びREMindel選択を用いずに(REMindelカセットの非存在下で)、HEK293細胞において非必須遺伝子(AAVS1)を標的とするgRNAと比較して、別々に試験した。実験はまた、播種した細胞の2つの異なる出発コンフルエンシーを用いて、3つの種々のトランスフェクション効率設定下で(トランスフェクションの48時間後にGFP発現によって測定されるように)実施した。INCUCYTE(登録商標)を使用して、トランスフェクション効率及びコンフルエンシーの測定を決定した(
図31)。
【0194】
結果により、REMindelを用いない場合、トランスフェクトされていない細胞は、トランスフェクトされた細胞を上回る成長の利点を有し、致死性の読出しを遮蔽することが示された。REMindelは、トランスフェクトされていない細胞の排除を可能にし、Alu gRNAの致死性効果を首尾よく検出した。アレイ型のスクリーニングは、マイクロウェルプレートにおいて一般的に行われる。したがって、出発細胞集団は、実験の時間経過中に細胞の過剰コンフルエンシーを回避するのにできる限り少なくすべきである。注目すべきことに、予測された実験の成功は、REMindelのみを使用して、低い出発細胞密度を用いた場合に達成された(
図31)。これらの結果は、REMindelの使用が、必須遺伝子に関して、アレイ型のスクリーニングの精度及び有効性を高めることを示す。
【0195】
[実施例7]
CRISPR系を使用して、首尾よい、アレイ型の遺伝子ターゲティングを実施する際の1つのステップは、Cas9及びガイド-RNA(gRNA)の、細胞への効率的な送達を確実にすることである。ウイルス形質導入によるgRNA送達は、形質導入された細胞における効率的な発現を提供し得るが、組み込まれたウイルスによって供給されるCas9及びgRNAに対する長期間のゲノム曝露は、オフターゲットの影響を生じる可能性があり、したがって、実験読出しを損なう。或いは、プラスミドのトランスフェクションを介したgRNAの一過的な発現もまた、使用することができる。しかしながら、概して、プラスミドトランスフェクションは、ウイルス形質導入ほど効率的ではない手順であり、この可変性(特に、CRISPR試薬に関連する)は、表現型の獲得を伴う細胞の亜集団がトランスフェクション効率に依存するため、実験の全体的な結末に潜在的に影響を及ぼし得る。「REMindel」は、CRISPR系のノックアウト適用を高めるためのトランスフェクションベースの方法論として使用され得る。この実施例において、種々のトランスフェクション効率を有するREMindel結末を試験した。
【0196】
タンデムで2つのgRNAと一緒にCas9-GFPを含有するプラスミドをまず生成した(
図32A)。CLU4-gRNAは、CLU4遺伝子において制限酵素部位を厳密に標的とする。部位は、首尾よいターゲティング時に破壊され、したがって消化及び断片分析によって効率の定量化を可能にする(
図32B)。種々のトランスフェクション効率を得るために、gRNA-Cas9プラスミドを、固定量の細胞へトランスフェクトするのに使用されるトランスフェクション試薬の量を、段階的な様式で縮小させた(
図32C)。トランスフェクション後、細胞を2つのグループに分割した(REMindelを用いて、又は用いずに選択するために)。最終的に、ターゲティング効率は、断片アナライザーを使用して測定した。
【0197】
結果により、トランスフェクション効率の増加が、インデル頻度の増加に直接相関することが示された。それにも関わらず、REMindel濃縮後、同じ頻度のインデルが、異なってトランスフェクトされた試料全てにわたって検出された(
図32D)。これらのデータは、REMindel選択が、トランスフェクション効率にかかわらず、同レベルのインデル濃縮を可能にすることを証明する。
【0198】
[実施例8]
CRISPR-Cas9系は、選択遺伝子上に突然変異を創出して、ノックアウト細胞を生成するための効率的なツールとして出現した。しかしながら、突然変異が、フレームシフトを引き起こさない場合、標的とされる遺伝子は依然として、機能性タンパク質を産生するように転写され得る。更に、レシピエント細胞株の倍数性は、突然変異の結末に非常に影響を及ぼす。二倍体細胞におけるKOの場合、好ましくは全ての転写物変異体に影響を及ぼす遺伝子領域における両方の対立遺伝子は、適正なフレームシフトを有する必要がある。本明細書中に提供するように、「REMindel」は、突然変異細胞を濃縮するための方法論である。この実施例において、REMindelは、ノックアウト表現型を生成及び濃縮するのに使用された。
【0199】
グリコシルホスファチジルイノシトール(GPIアンカー)生合成に必須の7つの遺伝子(PIG)を標的として、高感度FACS読出し(FLAERアッセイ)を使用した。PIG遺伝子は、HEK293-REMindel細胞(主に、三倍体)においてアレイ型で標的とされ、細胞のパーセントを、REMindel選択を用いた、又は用いない、ノックアウト表現型と比較した。gRNAは全て、脂質ベースのトランスフェクションプロトコールを使用して、プラスミド方式でトランスフェクトした(
図33A)。
【0200】
FLAERアッセイを使用したFACS分析(
図33B)は、GPIノックアウトHEK 293細胞の非常に高感度の検出を提供した。REMindelは、「真に」ノックアウト細胞の集団を顕著に濃縮して、1つの場合では(PIGN)、KO表現型の検出は、REMindelを用いない場合には不可能であった(
図33C)。この研究により、REMindelが、ノックアウト細胞の濃縮に対する効率的な方法論であることが確認される。
【0201】
[実施例9]
HCT116-REM細胞におけるアレイ型における38個のブロモドメイン含有遺伝子に関する致死性スクリーニングを実施した。コンフルエンシーを3週の間、毎日測定した。Alu gRNA及びAAVS1を、それぞれ、致死対照及び非致死対照として使用した。Cas9及びgRNAを含有するプラスミドを、FuGeneHDトランスフェクション試薬を使用して、HCT116細胞へトランスフェクトした。1週間の選択(1μg/mLのピューロマイシン及び10μg/mLのブラストサイジン)を3日目から9日目まで適用させた。細胞を96ウェル方式プレートで培養して、培地は毎日交換した。結果を
図34に示す。
図35は、各遺伝子を標的とするgRNAのコンフルエンシーエンドポイント測定及び数を示す。
【0202】
本明細書中に開示する参照文献、特許及び特許出願は全て、それらがそれぞれ引用され、場合によっては、文書の全体を包含し得る主題に関して、参照により組み込まれる。
【0203】
不定冠詞「ある(単数)(a)」及び「ある(単数)(an)」は、ここで明細書及び特許請求の範囲において使用する場合、明らかに矛盾を示さない限りは、「少なくとも1つ」を意味すると理解されるべきである。
【0204】
また、明らかに矛盾を示さない限りは、1つより多いステップ又は行為を含む本明細書中で特許請求される任意の方法において、方法のステップ又は行為の順序は、方法のステップ又は行為が列挙される順序に必ずしも限定されないと理解されるべきである。
【0205】
特許請求の範囲において、並びに上記明細書において、「を含む(comprising)」、「を含む(including)」、「を保有する(carrying)」、「を有する(having)」、「を含有する(containing)」、「を伴う(involving)」、「を保持する(holding)」、「で構成される(composed of)」等などの移行句は全て、制約がないと理解されるべきであり、即ち、含むが限定されないことを意味すると理解されるべきである。移行句「からなる(consisting of)」及び「から本質的になる(consisting essentially of)」のみが、米国特許商標庁の特許審査基準セクション2111.03に記述されるように、それぞれ閉鎖式又は半閉鎖式の移行句であるべきである。
以下、本発明の実施形態を示す。
(1)デオキシリボ核酸結合ドメイン認識部位(DNA-BDRS)と、上流の選択可能なマーカー遺伝子及び上流の選択可能なマーカー遺伝子と異なる下流のフレーム外の選択可能なマーカー遺伝子によって挟まれたヌクレアーゼ認識部位を含む活性化可能なレポーターカセットとを含む操作核酸構築物。
(2)上流の選択可能なマーカー遺伝子が、プロモーターを含まない、(1)に記載の操作核酸構築物。
(3)上流の選択可能なマーカー遺伝子が、プロモーターに作動可能に連結されている、(1)に記載の操作核酸構築物。
(4)目的の遺伝子をコードする核酸を更に含む、(1)に記載の操作核酸構築物。
(5)目的の遺伝子が、ヌクレアーゼをコードする、(4)に記載の操作核酸構築物。
(6)ヌクレアーゼが、Cas9である、(5)に記載の操作核酸構築物。
(7)ヌクレアーゼが、Cpf1である、(5)に記載の操作核酸構築物。
(8)(a)少なくとも1つのヌクレアーゼ認識部位を含む目的の標的遺伝子、(b)(1)に記載の操作核酸構築物、及び(c)DNA-BDRSに結合するプログラム可能なヌクレアーゼを含む細胞。
(9)プログラム可能なヌクレアーゼが、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ又はCas9-FokIヌクレアーゼである、(8)に記載の細胞。
(10)活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位を切断し、目的の標的遺伝子のヌクレアーゼ認識部位を切断するヌクレアーゼを更に含む、(8)に記載の細胞。
(11)ヌクレアーゼが、Cas9である、(10)に記載の細胞。
(12)ヌクレアーゼが、Cpf1である、(10)に記載の細胞。
(13)活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位に相補的なガイドRNA(gRNA)及び目的の標的遺伝子のヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAを更に含む、(8)に記載の細胞。
(14)活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNA及び目的の標的遺伝子のヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAが、同じ構築物上に位置する操作核酸によってコードされる、(13)に記載の細胞。
(15)構築物が、ヌクレアーゼをコードする核酸を更に含む、(14)に記載の細胞。
(16)それぞれが、目的の標的遺伝子の異なるヌクレアーゼ認識部位に相補的な多重gRNAを含む、(8)に記載の細胞。
(17)上流の選択可能なマーカー遺伝子によってコードされる選択可能なマーカーが、ピューロマイシン耐性、ブラストサイジンSデアミナーゼ耐性、アンピシリン耐性、カナマイシン耐性、ジェネティシン耐性、ハイグロマイシン耐性、clonNAT耐性又はトリクロサン耐性を、細胞に付与する、(8)に記載の細胞。
(18)下流の選択可能なマーカー遺伝子によってコードされる選択可能なマーカーが、ピューロマイシン耐性、ブラストサイジンSデアミナーゼ耐性、アンピシリン耐性、カナマイシン耐性、ジェネティシン耐性、ハイグロマイシン耐性、clonNAT耐性又はトリクロサン耐性を、細胞に付与する、(8)に記載の細胞。
(19)活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位が、他の場合では細胞のゲノム中に存在しない、(8)に記載の細胞。
(20)細菌細胞である、(8)に記載の細胞。
(21)哺乳動物細胞である、(8)に記載の細胞。
(22)哺乳動物細胞が、ヒト細胞である、(21)に記載の細胞。
(23)多能性幹細胞である、(21)に記載の細胞。
(24)人工多能性幹細胞である、(23)に記載の細胞。
(25)(8)に記載の細胞を含む細胞集団。
(26)細胞培地及び(25)に記載の細胞集団を含む培養物。
(27)(a)目的の標的遺伝子に特異的なヌクレアーゼ認識部位を含む目的の標的遺伝子、
(b)上流の選択可能なマーカー遺伝子及び上流の選択可能なマーカー遺伝子と異なる下流のフレーム外の選択可能なマーカー遺伝子によって挟まれたヌクレアーゼ認識部位を含む活性化可能なレポーターカセット、
(c)活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位を切断し、目的の標的遺伝子のヌクレアーゼ認識部位を切断するヌクレアーゼ、並びに
(d)活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位に相補的なガイドRNA(gRNA)及び目的の標的遺伝子のヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNA
を発現する細胞。
(28)上流の選択可能なマーカー遺伝子によってコードされる選択可能なマーカーが、ピューロマイシン耐性、ブラストサイジンSデアミナーゼ耐性、アンピシリン耐性、カナマイシン耐性、ジェネティシン耐性、又はトリクロサン耐性を、細胞に付与する、(27)に記載の細胞。
(29)下流の選択可能なマーカー遺伝子によってコードされる選択可能なマーカーが、ピューロマイシン耐性、ブラストサイジンSデアミナーゼ耐性、アンピシリン耐性、カナマイシン耐性、ジェネティシン耐性、又はトリクロサン耐性を、細胞に付与する、(27)に記載の細胞。
(30)哺乳動物細胞である、(27)に記載の細胞。
(31)哺乳動物細胞が、ヒト細胞である、(30)に記載の細胞。
(32)多能性幹細胞である、(27)に記載の細胞。
(33)人工多能性幹細胞である、(32)に記載の細胞。
(34)遺伝子修飾アッセイ用の細胞を産生する方法であって、
(a)目的の標的遺伝子に特異的なヌクレアーゼ認識部位を含む目的の標的遺伝子、(b)上流の選択可能なマーカー遺伝子及び上流の選択可能なマーカー遺伝子と異なる下流のフレーム外の選択可能なマーカー遺伝子によって挟まれたヌクレアーゼ認識部位を含む活性化可能なレポーターカセット、並びに(c)(a)及び(b)のヌクレアーゼ認識部位を切断するヌクレアーゼを発現する細胞に、(a)のヌクレアーゼ認識部位に相補的なガイドRNA(gRNA)及び(b)のヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードする少なくとも1つの操作核酸をトランスフェクトすること
を含み、それにより、遺伝子修飾アッセイ用の細胞を産生する、前記方法。
(35)少なくとも1つの操作核酸が、
細胞によって発現される第1の目的の標的遺伝子のヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードし、活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードする第1のヌクレオチド配列、及び
細胞によって発現される第2の目的の標的遺伝子のヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードし、活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードする第2のヌクレオチド配列
を含む、(34)に記載の方法。
(36)少なくとも1つの操作核酸が、
目的の標的遺伝子の第1のヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードし、活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードする第1のヌクレオチド配列、及び
目的の標的遺伝子の第2のヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードし、活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードする第2のヌクレオチド配列
を含む、(34)に記載の方法。
(37)少なくとも1つの操作核酸が、少なくとも3つのgRNA:目的の標的遺伝子の第1のヌクレアーゼ認識部位に相補的な第1のgRNA;目的の標的遺伝子の第2のヌクレアーゼ認識部位に相補的な第2のgRNA;及び活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位に相補的な第3のgRNAをコードする、(34)に記載の方法。
(38)細胞を、(a)のヌクレアーゼ認識部位の切断、(b)のヌクレアーゼ認識部位の切断、及び下流の選択可能なマーカー遺伝子の、フレーム外から、上流の選択可能なマーカー遺伝子を有するフレーム内への再設定をもたらす条件下でインキュベートすることを更に含む、(34)に記載の方法。
(39)下流の選択可能なマーカーを発現する細胞を選択することを更に含む、(38)に記載の方法。
(40)下流の選択可能なマーカーを発現する細胞の表現型を分析することを更に含む、(39)に記載の方法。
(41)遺伝子修飾アッセイ用の細胞を産生する方法であって、
(a)(i)第1の目的の標的遺伝子に特異的なヌクレアーゼ認識部位を含む第1の目的の標的遺伝子、(ii)上流の選択可能なマーカー遺伝子及び上流の選択可能なマーカー遺伝子と異なる下流のフレーム外の選択可能なマーカー遺伝子によって挟まれたヌクレアーゼ認識部位を含む活性化可能なレポーターカセット、並びに(iii)(a)(i)のヌクレアーゼ認識部位及び(a)(ii)のヌクレアーゼ認識部位を切断するヌクレアーゼを発現する細胞の第1の集団に、(a)(i)のヌクレアーゼ認識部位に相補的なガイドRNA(gRNA)及び(a)(ii)のヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードする少なくとも1つの操作核酸をトランスフェクトすること、及び
(b)(i)ヌクレアーゼ認識部位を含む第2の目的の標的遺伝子、(ii)上流の選択可能なマーカー遺伝子及び上流の選択可能なマーカー遺伝子と異なる下流のフレーム外の選択可能なマーカー遺伝子によって挟まれたヌクレアーゼ認識部位を含む活性化可能なレポーターカセット、並びに(iii)(b)(i)のヌクレアーゼ認識部位及び(b)(ii)のヌクレアーゼ認識部位を切断するヌクレアーゼを発現する細胞の第2の集団に、(b)(i)のヌクレアーゼ認識部位に相補的なガイドRNA(gRNA)及び(b)(ii)のヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードする少なくとも1つの操作核酸をトランスフェクトすること
を含み、それにより、遺伝子修飾アッセイ用の細胞を産生する、前記方法。
(42)第1の集団の細胞及び第2の集団の細胞を、(a)(i)、(a)(ii)、(b)(i)及び(b)(ii)のヌクレアーゼ認識部位の切断、並びにそれぞれ、(a)(ii)及び(b)(ii)の下流の選択可能なマーカー遺伝子の、フレーム外から、(a)(ii)及び(b)(ii)の上流の選択可能なマーカー遺伝子を有するフレーム内への再設定をもたらす条件下でインキュベートすることを更に含む、(41)に記載の方法。
(43)(a)(ii)の下流の選択可能なマーカー遺伝子によってコードされる下流の選択可能なマーカーを発現する第1の集団の細胞を選択すること、及び(b)(ii)の下流の選択可能なマーカー遺伝子によってコードされる下流の選択可能なマーカーを発現する第2の集団の細胞を選択することを更に含む、(42)に記載の方法。
(44)(a)(ii)の下流の選択可能なマーカー遺伝子によってコードされる下流の選択可能なマーカーを発現する第1の集団の細胞の表現型を分析すること、及び(b)(ii)の下流の選択可能なマーカー遺伝子によってコードされる下流の選択可能なマーカーを発現する第2の集団の細胞の表現型を分析することを更に含む、(43)に記載の方法。
(45)遺伝子修飾アッセイ用の細胞を産生する方法であって、
(a)目的の標的遺伝子に特異的なヌクレアーゼ認識部位を含む目的の標的遺伝子、(b)上流の選択可能なマーカー遺伝子及び上流の選択可能なマーカー遺伝子と異なる下流のフレーム外の選択可能なマーカー遺伝子によって挟まれたヌクレアーゼ認識部位を含む活性化可能なレポーターカセット、並びに(c)(a)及び(b)のヌクレアーゼ認識部位を切断するヌクレアーゼを発現する細胞に、(a)のヌクレアーゼ認識部位に相補的な少なくとも1つの操作ガイドRNA(gRNA)及び(b)のヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAを導入すること
を含み、それにより、遺伝子修飾アッセイ用の細胞を産生する、前記方法。
(46)gRNAが、電気穿孔により細胞に導入される、(45)に記載の方法。
(47)遺伝子修飾アッセイ用の細胞を産生する方法であって、
(a)目的の標的遺伝子に特異的なヌクレアーゼ認識部位を含む目的の標的遺伝子、並びに(b)上流の選択可能なマーカー遺伝子及び上流の選択可能なマーカー遺伝子と異なる下流のフレーム外の選択可能なマーカー遺伝子によって挟まれたヌクレアーゼ認識部位を含む活性化可能なレポーターカセットを発現する細胞に、(a)のヌクレアーゼ認識部位に相補的なガイドRNA(gRNA)及び(b)のヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードする少なくとも1つの操作核酸をトランスフェクトすること
を含み、それにより、遺伝子修飾アッセイ用の細胞を産生する、前記方法。
(48)少なくとも1つの操作核酸が、
細胞によって発現される第1の目的の標的遺伝子に特異的なヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードし、活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードする第1の操作核酸、及び
細胞によって発現される第2の目的の標的遺伝子に特異的なヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードし、活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードする第2の操作核酸
を含む、(47)に記載の方法。
(49)少なくとも1つの操作核酸が、
目的の標的遺伝子に特異的な第1のヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードし、活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードする第1の操作核酸、及び
目的の標的遺伝子に特異的な第2のヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードし、活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードする第2の操作核酸
を含む、(47)に記載の方法。
(50)少なくとも1つの操作核酸が、少なくとも3つのgRNA:目的の標的遺伝子の第1のヌクレアーゼ認識部位に相補的な第1のgRNA;目的の標的遺伝子の第2のヌクレアーゼ認識部位に相補的な第2のgRNA;及び活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位に相補的な第3のgRNAをコードする、(47)に記載の方法。
(51)少なくとも1つの操作核酸が、(a)及び(b)のヌクレアーゼ認識部位を切断するヌクレアーゼを更にコードする、(47)に記載の方法。
(52)細胞に、(a)及び(b)のヌクレアーゼ認識部位を切断するヌクレアーゼをコードする操作核酸をトランスフェクトすることを更に含む、(47)に記載の方法。
(53)細胞を、(a)のヌクレアーゼ認識部位の切断、(b)のヌクレアーゼ認識部位の切断、及び下流の選択可能なマーカー遺伝子の、フレーム外から、上流の選択可能なマーカー遺伝子を有するフレーム内への再設定をもたらす条件下でインキュベートすることを更に含む、(51)に記載の方法。
(54)下流の選択可能なマーカーを発現する細胞を選択することを更に含む、(53)に記載の方法。
(55)下流の選択可能なマーカーを発現する細胞の表現型を分析することを更に含む、(54)に記載の方法。
(56)遺伝子修飾アッセイ用の細胞を産生する方法であって、
(a)目的の標的遺伝子に特異的なヌクレアーゼ認識部位を含む目的の標的遺伝子、及び(b)目的の標的遺伝子のヌクレアーゼ認識部位を切断し、活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位を切断するヌクレアーゼを発現する細胞に、デオキシリボ核酸結合ドメイン認識部位(DNA-BDRS)と、上流の選択可能なマーカー遺伝子及び上流の選択可能なマーカー遺伝子と異なる下流のフレーム外の選択可能なマーカー遺伝子によって挟まれたヌクレアーゼ認識部位を含む活性化可能なレポーターカセットとを含む操作核酸構築物をトランスフェクトすること
を含む、前記方法。
(57)上流の選択可能なマーカー遺伝子が、プロモーターを含まない、(56)に記載の方法。
(58)上流の選択可能なマーカー遺伝子が、プロモーターに作動可能に連結されている、(56)に記載の方法。
(59)細胞が、DNA-BDRSに結合して、それを切断するプログラム可能なヌクレアーゼを更に発現する、(56)に記載の方法。
(60)細胞に、DNA-BDRSに結合して、それを切断するプログラム可能なヌクレアーゼをコードする核酸をトランスフェクトすることを更に含む、(56)に記載の方法。
(61)細胞を、活性化可能なレポーターカセットの、細胞のゲノムへの挿入及び上流の選択可能なマーカー遺伝子の発現をもたらす条件下でインキュベートすることを更に含む、(59)に記載の方法。
(62)上流の選択可能なマーカー遺伝子を発現する細胞を選択することを更に含む、(61)に記載の方法。
(63)上流の選択可能なマーカー遺伝子を発現する細胞に、目的の標的遺伝子のヌクレアーゼ認識部位に相補的なガイドRNA(gRNA)及び活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードする少なくとも1つの操作核酸をトランスフェクトすることを更に含む、(62)に記載の方法。
(64)少なくとも1つの操作核酸が、
細胞によって発現される第1の目的の標的遺伝子のヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードし、活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードする第1の操作核酸、及び
細胞によって発現される第2の目的の標的遺伝子のヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードし、活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードする第2の操作核酸
を含む、(63)に記載の方法。
(65)少なくとも1つの操作核酸が、
目的の標的遺伝子の第1のヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードし、活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードする第1の操作核酸、及び
目的の標的遺伝子の第2のヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードし、活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードする第2の操作核酸
を含む、(63)に記載の方法。
(66)少なくとも1つの操作核酸が、少なくとも3つのgRNA:目的の標的遺伝子の第1のヌクレアーゼ認識部位に相補的な第1のgRNA;目的の標的遺伝子の第2のヌクレアーゼ認識部位に相補的な第2のgRNA;及び活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位に相補的な第3のgRNAをコードする、(63)に記載の方法。
(67)細胞を、目的の標的遺伝子のヌクレアーゼ認識部位の切断、活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位の切断、及び下流の選択可能なマーカー遺伝子の、フレーム外から、上流の選択可能なマーカー遺伝子を有するフレーム内への再設定をもたらす条件下でインキュベートすることを更に含む、(63)に記載の方法。
(68)下流の選択可能なマーカーを発現する細胞を選択することを更に含む、(67)に記載の方法。
(69)下流の選択可能なマーカーを発現する細胞の表現型を分析することを更に含む、(68)に記載の方法。
(70)遺伝子修飾アッセイ用の細胞を産生する方法であって、
目的の標的遺伝子に特異的なヌクレアーゼ認識部位を含む目的の標的遺伝子を発現する細胞に、デオキシリボ核酸結合ドメイン認識部位(DNA-BDRS)と、上流の選択可能なマーカー遺伝子及び上流の選択可能なマーカー遺伝子と異なる下流のフレーム外の選択可能なマーカー遺伝子によって挟まれたヌクレアーゼ認識部位を含む活性化可能なレポーターカセットとを含む操作核酸構築物をトランスフェクトすること
を含む、前記方法。
(71)上流の選択可能なマーカー遺伝子が、プロモーターを含まない、(70)に記載の方法。
(72)上流の選択可能なマーカー遺伝子が、第1のプロモーターに作動可能に連結されている、(70)に記載の方法。
(73)細胞が、DNA-BDRSに結合して、それを切断するプログラム可能なヌクレアーゼを更に発現する、(70)に記載の方法。
(74)細胞に、DNA-BDRSに結合して、それを切断するプログラム可能なヌクレアーゼをコードする核酸をトランスフェクトすることを更に含む、(70)に記載の方法。
(75)細胞を、活性化可能なレポーターカセットの、細胞のゲノムへの挿入及び上流の選択可能なマーカー遺伝子の発現をもたらす条件下でインキュベートすることを更に含む、(73)に記載の方法。
(76)上流の選択可能なマーカー遺伝子を発現する細胞を選択することを更に含む、(75)に記載の方法。
(77)上流の選択可能なマーカー遺伝子を発現する細胞に、目的の標的遺伝子のヌクレアーゼ認識部位に相補的なガイドRNA(gRNA)及び活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードする少なくとも1つの操作核酸をトランスフェクトすることを更に含む、(76)に記載の方法。
(78)少なくとも1つの操作核酸が、
細胞によって発現される第1の目的の標的遺伝子のヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードし、活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードする第1の操作核酸、及び
細胞によって発現される第2の目的の標的遺伝子のヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードし、活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードする第2の操作核酸
を含む、(77)に記載の方法。
(79)少なくとも1つの操作核酸が、
目的の標的遺伝子の第1のヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードし、活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードする第1の操作核酸、及び
目的の標的遺伝子の第2のヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードし、活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAをコードする第2の操作核酸
を含む、(77)に記載の方法。
(80)少なくとも1つの操作核酸が、少なくとも3つのgRNA:目的の標的遺伝子の第1のヌクレアーゼ認識部位に相補的な第1のgRNA;目的の標的遺伝子の第2のヌクレアーゼ認識部位に相補的な第2のgRNA;及び活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位に相補的な第3のgRNAをコードする、(79)に記載の方法。
(81)gRNAをコードする少なくとも1つの操作核酸が、目的の標的遺伝子のヌクレアーゼ認識部位を切断し、活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位を切断するヌクレアーゼを更にコードする、(77)に記載の方法。
(82)DNA-BDRS及び活性化可能なレポーター構築物をコードする操作核酸構築物が、目的の標的遺伝子のヌクレアーゼ認識部位を切断し、活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位を切断するヌクレアーゼを更にコードする、(70)に記載の方法。
(83)活性化可能なレポーター構築物の上流の選択可能なマーカー遺伝子が、第1のプロモーターに作動可能に連結され、ヌクレアーゼが、第1のプロモーターと異なる第2のプロモーターに作動可能に連結されている遺伝子によってコードされる、(82)に記載の方法。
(84)細胞を、目的の標的遺伝子のヌクレアーゼ認識部位の切断、活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位の切断、及び下流の選択可能なマーカー遺伝子の、フレーム外から、上流の選択可能なマーカー遺伝子を有するフレーム内への再設定をもたらす条件下でインキュベートすることを更に含む、(81)に記載の方法。
(85)下流の選択可能なマーカーを発現する細胞を選択することを更に含む、(84)に記載の方法。
(86)下流の選択可能なマーカーを発現する細胞の表現型を分析することを更に含む、(85)に記載の方法。
(87)(a)試薬を、(i)少なくとも1つのヌクレアーゼ認識部位を含む目的の標的遺伝子、並びに(ii)上流の選択可能なマーカー遺伝子及び上流の選択可能なマーカー遺伝子と異なる下流のフレーム外の選択可能なマーカー遺伝子によって挟まれたヌクレアーゼ認識部位を含む少なくとも1つの活性化可能なレポーターカセットを含む混合集団の細胞に導入することであって、試薬が、少なくとも1つのヌクレアーゼ認識部位を切断するヌクレアーゼ、活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位に相補的なガイドRNA(gRNA)及び目的の標的遺伝子のヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAを含み、それにより、試薬を含む細胞を産生する、導入すること、
(b)試薬を含む(a)の細胞を、上流の選択可能なマーカー遺伝子の発現及び少なくとも1つのヌクレアーゼ認識部位の切断をもたらす条件下でインキュベートし、それにより、上流の選択可能なマーカー遺伝子を発現する細胞を産生すること、及び
(c)上流の選択可能なマーカー遺伝子を発現する(b)の細胞を、下流の選択可能なマーカー遺伝子を発現しない細胞の死をもたらす条件下で、下流の選択可能なマーカー遺伝子と関連付けられる選択剤と接触させ、それにより、下流の選択可能なマーカー遺伝子を発現する細胞を産生すること、
を含む方法。
(88)(a)試薬を、(i)少なくとも1つのヌクレアーゼ認識部位を含む目的の標的遺伝子、(ii)上流の選択可能なマーカー遺伝子及び上流の選択可能なマーカー遺伝子と異なる下流のフレーム外の選択可能なマーカー遺伝子によって挟まれたヌクレアーゼ認識部位を含む少なくとも1つの活性化可能なレポーターカセット、並びに(iii)少なくとも1つのヌクレアーゼ認識部位を切断するヌクレアーゼを含む混合集団の細胞に導入することであって、試薬が、活性化可能なレポーターカセットのヌクレアーゼ認識部位に相補的なガイドRNA(gRNA)及び目的の標的遺伝子のヌクレアーゼ認識部位に相補的なgRNAを含み、それにより、試薬を含む細胞を産生する、導入すること、
(b)試薬を含む(a)の細胞を、上流の選択可能なマーカー遺伝子の発現及び少なくとも1つのヌクレアーゼ認識部位の切断をもたらす条件下でインキュベートし、それにより、上流の選択可能なマーカー遺伝子を発現する細胞を産生すること、及び
(c)上流の選択可能なマーカー遺伝子を発現する(b)の細胞を、下流の選択可能なマーカー遺伝子を発現しない細胞の死をもたらす条件下で、下流の選択可能なマーカー遺伝子と関連付けられる選択剤と接触させ、それにより、下流の選択可能なマーカー遺伝子を発現する細胞を産生すること、
を含む方法。
(89)下流の選択可能なマーカー遺伝子を発現する(c)において産生される細胞を分析することを更に含む、(87)に記載の方法。
【配列表】