(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-04
(45)【発行日】2022-01-20
(54)【発明の名称】僧帽弁束縛
(51)【国際特許分類】
A61F 2/24 20060101AFI20220113BHJP
【FI】
A61F2/24
(21)【出願番号】P 2018553849
(86)(22)【出願日】2016-12-30
(86)【国際出願番号】 US2016069567
(87)【国際公開番号】W WO2017117560
(87)【国際公開日】2017-07-06
【審査請求日】2019-12-26
(32)【優先日】2016-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2015-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518234265
【氏名又は名称】パイプライン メディカル テクノロジーズ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100174942
【氏名又は名称】平方 伸治
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン エフ.ボリング
(72)【発明者】
【氏名】ランドル ティー.ラシンスキー
【審査官】細川 翔多
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-523282(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0038230(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0106245(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0011917(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0118151(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
腱索置換システムであって、
近位端と遠位端とを有する細長い可撓性の管状体を有する操作可能な
第1カテーテルであって、当該カテーテルが、左心室の中へアクセスするように構成され、当該操作可能なカテーテルは、当該操作可能なカテーテルの近位区分のハンドルから、当該操作可能なカテーテルの遠位端まで延びるワイヤを有し、前記ワイヤは、当該操作可能なカテーテルを積極的に曲げて、当該操作可能なカテーテルの遠位尖端を僧帽弁尖に隣接して位置せしめるように構成される、操作可能な
第1カテーテルと、
前記カテーテルによって留置可能に運ばれる腱索置換インプラントであって、当該腱索置換インプラントが、縫合糸を備えかつ心室組織アンカーと僧帽弁尖付着アンカーとを有する細長い本体を備える、腱索置換インプラントと、
前記僧帽弁尖を通して僧帽弁尖付着個所に前記縫合糸を通すように構成される穿刺針と
、
近位端と遠位端とを有する細長い可撓性の管状体を有する第2カテーテルであって、僧帽弁の上方に位置付けるために、経隔壁穿刺によって静脈系を通じて左心房内へ入る、第2カテーテルと、を備えており、
前記第1カテーテルと前記第2カテーテルとは、僧帽弁の下方と上方とにおいて各先端を相互に位置付けるように構成されている、腱索置換システム。
【請求項2】
前記
心室組織アンカーが、心尖の組織に係合するために螺旋形組織アンカーを備える、請求項1に記載の腱索置換システム。
【請求項3】
前記
心室組織アンカーが、経中隔横断体の右心室面に係合するためのアンカーを備える、請求項1に記載の腱索置換システム。
【請求項4】
前記
僧帽弁尖付着アンカーが綿撒糸を備える、請求項3に記載の腱索置換システム。
【請求項5】
前記腱索置換インプラントが前記管状体内で運ばれる、請求項1に記載の腱索置換システム。
【請求項6】
前記操作可能なカテーテルが、前記ワイヤに引っ張りが加えられたときに潰れて前記操作可能なカテーテルを予め設定された曲線により湾曲させるように構成される複数のスロットを備える、請求項1に記載の腱索置換システム。
【請求項7】
前記カテーテルをベースにしたシステムは、隔壁を通しかつ前記僧帽弁尖に向かって前記第1カテーテルを案内するように構成される同軸の第2カテーテルを更に備える、請求項1に記載の腱索置換システム。
【請求項8】
前記
同軸の第2カテーテルは
、操作可能なカテーテルである、請求項7に記載の腱索置換システム。
【請求項9】
前記スロットは、前記操作可能なカテーテルの一方の側にレーザーカットされる、
請求項6に記載の腱索置換システム。
【請求項10】
前記スロットは、山形形状、傾斜形状、又は、丸みのある形状のうちの1つ以上に形成される、
請求項9に記載の腱索置換システム。
【請求項11】
前記心室
組織アンカーが、アンカー出口にひずみ解放体を備え、前記ひずみ解放体は、前記縫合糸のフレッティングを低減するように構成される、請求項1に記載の腱索置換システム。
【請求項12】
前記心室
組織アンカーが、本体と、前記本体の外表面から鋭角に延びる逆棘部と、を備える、請求項1に記載の腱索置換システム。
【請求項13】
前記心室
組織アンカーが、コイル状アンカーである、請求項1に記載の腱索置換システム。
【請求項14】
前記心室
組織アンカーが、前記僧帽弁尖の付着点の直下で組織に結合されるように構成される、請求項1に記載の腱索置換システム。
【請求項15】
前記僧帽弁尖付着アンカーが、弁尖付着個所における局所力を分散させるように構成されるひずみ解放綿撒糸である、請求項1に記載の腱索置換システム。
【請求項16】
僧帽弁腱索を再建するためのカテーテルをベースにしたシステムであって、
隔壁を通して僧帽弁にアクセスするために延びるように構成される操作可能な
第1カテーテルであって、当該操作可能なカテーテルは、当該操作可能なカテーテルの近位区分のハンドルから、当該操作可能なカテーテルの遠位端まで延びるワイヤを有し、前記ワイヤは、当該操作可能なカテーテルを積極的に曲げて、当該操作可能なカテーテルの遠位尖端を僧帽弁尖に隣接して位置せしめるように構成される、操作可能な
第1カテーテルと、
第1縫合糸に結合される心室アンカーであって、当該心室アンカーは、左心室内の組織に付着するために、前記隔壁を通して及び前記僧帽弁を通して送達されるように構成される、心室アンカーと、
前記僧帽弁尖の第1の側から前記僧帽弁尖の第2の側まで前記僧帽弁尖を通して第2縫合糸を僧帽弁尖付着部位に通すように構成される穿刺具と、
前記第2縫合糸に付着されるひずみ解放綿撒糸であって、当該綿撒糸は、前記弁尖付着部位における局所力を分散させるように構成され、当該綿撒糸は、前記僧帽弁尖の第1の側とは反対側の前記僧帽弁尖の第2の側に配置されるように構成される、ひずみ解放綿撒糸と、
前記僧帽弁尖を前記左心室の組織に束縛するために、前記第1縫合糸及び前記第2縫合糸を調整可能に結合する固定部材と
、
近位端と遠位端とを有する細長い可撓性の管状体を有する第2カテーテルであって、僧帽弁の上方に位置付けるために、経隔壁穿刺によって静脈系を通じて左心房内へ入る、第2カテーテルと、を備えており、
前記第1カテーテルと前記第2カテーテルとは、僧帽弁の下方と上方とにおいて各先端を相互に位置付けるように構成されている、カテーテルをベースにしたシステム。
【請求項17】
前記固定部材は、前記僧帽弁尖の適正な位置を調整可能に固定するように構成される、請求項16に記載のカテーテルをベースにしたシステム。
【請求項18】
前記固定部材は、スライド一方向ストッパである、請求項17に記載のカテーテルをベースにしたシステム。
【請求項19】
僧帽弁腱索を再建するためのマルチカテーテルシステムであって、
隔壁を横切り僧帽弁にアクセスするように構成される第1カテーテルと、
第2カテーテルであって、穿刺具を僧帽弁尖に通すために当該第2カテーテルを操作する手段を備え、当該第2カテーテルは、第1の側から第2の側まで前記僧帽弁尖を通して延びる縫合糸を、綿撒糸を介して前記僧帽弁尖に固定する、第2カテーテルと、
左心室内の組織に付着するために、前記隔壁を通して及び僧帽弁を通して送達されるように構成される心室アンカーと、
前記縫合糸を前記心室アンカーに調節自在に結合して前記僧帽弁尖を前記心室アンカーに束縛する手段と、
を備え
ており、
前記
第2カテーテルは、僧帽弁の上方に位置付けるために、経隔壁穿刺によって静脈系を通じて左心房内へ入り、
前記第1カテーテルと前記第2カテーテルとは、僧帽弁の下方と上方とにおいて各先端を相互に位置付けるように構成されている、マルチカテーテルシステム。
【請求項20】
前記心室アンカーは、アンカー出口にひずみ解放体を備え、前記ひずみ解放体は、前記心室アンカーに付着される縫合糸のフレッティングを低減するように構成される、請求項19に記載のマルチカテーテルシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[参照による優先出願の援用]
本出願は、2016年9月2日に提出された米国特許仮出願第62/383338号明細書及び2015年12月30日に提出された米国特許仮出願第62/273300号明細書(これらの仮出願の開示全体が、参照によりあらゆる目的のために本明細書に援用され、本明細書の一部と見なされる)に対する優先権の利益を主張する。
【0002】
本開示は、概略的に心臓治療装置及び技法、特に僧帽弁再建のための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0003】
心臓は、血液が心臓の4つの房室を一方向に通過できるようにする4つの心臓弁を含む。4つの弁は、三尖弁、僧帽弁、肺動脈弁及び大動脈弁である。4つの房室は、左右の心房(上側空間)及び左右の心室(下側空間)である。
【0004】
僧帽弁は、前尖及び後尖として知られる2つの弁尖によって構成される。これらの弁尖は、心臓のポンプ活動によって弁尖に加えられる圧力に反応して開閉する。僧帽弁に関して展開又は発生する可能性がある問題がいくつかある。このような問題は、僧帽弁尖が適切に閉じず、それによって僧帽弁の漏出を生じる可能性がある僧帽弁逆流(MR)を含む。重症の僧帽弁逆流は、心臓機能に悪影響を及ぼして、患者の生活の質及び寿命を損なう可能性がある。僧帽弁逆流を修正するための技法はいくつかあり、その中には、弁置換、腱索の短縮又は置換え、及び、輪状形成術としても知られる僧帽弁環状再建が含まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
僧帽弁逆流を修正するための現在の技法は、患者の心臓を停止させて患者に心肺バイパスを付けて開胸心臓手術を行うことによる僧帽弁再建を含む。このような技法は、付随的なリスクを有する非常に侵襲的な方法である。僧帽弁を再建するためにもっと侵襲性の小さい処置を提供することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書において開示する1つの実施形態は、患者の右心室にアクセスすることを含む患者の心臓の僧帽弁を再建する方法であって、左心室へアクセスするために心臓の静脈又は右側を通してカテーテルを延ばすことと、カテーテルを用いて僧帽弁尖を固定することと、を有する。
【0007】
本明細書において開示する別の実施形態は、カテーテルと腱索置換インプラントとを含むことができる腱索置換システムである。カテーテルは、近位端と遠位端とを有する細長い可撓性管状体を有することができる。カテーテルは、経脈管によって右心室の中へ、心室中隔を通して左心室の中へアクセスするように構成できる。腱索置換インプラントは、カテーテルによって留置可能に運ばれることができる。腱索置換インプラントは、近位組織アンカーを有する近位端と僧帽弁尖付着アンカーを有する遠位端を有する細長い本体を備えることができる。
【0008】
本明細書において開示する別の実施形態は、僧帽弁を再建する方法であり、方法は、カテーテルを用いて経脈管的に右心室にアクセスし、心室中隔を通して左心室の中へカテーテルを延ばすことと、カテーテルを用いて腱索置換インプラントを留置することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1AA】僧帽弁尖の自由縁から乳頭筋までの腱索付着部を含む左心室の正常な僧帽弁尖接続部を示す。
【
図1】経大腿静脈を経由してカテーテルを右心室の尖端又は底部まで通して右心室にアクセスする技法を示す。
【
図2】左心室にアクセスするために心臓の静脈又は右側を通過して心室中隔壁を穿刺するカテーテルを示す。
【
図3】僧帽弁尖の縁を捕捉するために遠位先端を位置付けるように導くことができる第1及び第2カテーテルを示す。
【
図4】2本のカテーテルの先端を相互に位置付けるために使用できる磁石を示す。
【
図4A】僧帽弁尖に縫合糸ループを通過させ、下側カテーテルに戻して束縛し、心尖又は心室中隔壁においてアンカーに付着させるところを示す。
【
図5】基礎プラグ(grounding plug)を示す。
【
図5A】左心室と右心室とを分離する組織壁即ち心室中隔壁組織内の内部アンカーを示す。
【
図5B】内部アンカー及び心尖アンカーの実施形態を示す。
【
図8】頸静脈からのアクセスが大静脈及び右心室へのアクセス及び/又は経隔壁穿刺による左心房へのアクセスを同様にもたらすことを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
左心室における正常な僧帽弁尖10の接続部は、僧帽弁尖10自由縁から乳頭筋14までの腱索付着部12を含む。これを
図1AAに示す。
【0011】
動揺弁尖(flail leaflet)(
図1Aに示す損傷した腱索7)の再建及び再接続は、弁尖を乳頭筋に付着し直すことによって縫合を用いて外科的に実施できる。別の技法は、NeoChord社が開発したテクノロジーと同様の動揺弁尖の経心尖再接続(trans-apical reconnection)である。
【0012】
別の技法は、
図1に示すように、経大腿静脈18を経由して右心室16にアクセスして右心室16の尖端即ち底部までカテーテル20(1本または複数本)を通すことである。進入は、鼠径部の大腿静脈から始まり、下大静脈を通過して右心房24の中へ、三尖弁22を通過して右心室16の底部まで進む。左心室26にアクセスするために心室中隔壁19において心臓の静脈又は右側を穿刺して、カテーテル20を、
図2に示すように僧帽弁28へ向かって上向きに曲げるように通すことができる。左心室26のこのアクセス点から、動揺僧帽弁尖を縫合し、束縛して、弁尖を所定の位置へ引き戻し、右心室16の基礎アンカーを用いて再付着するか、又は、アンカーを隔壁の中へ埋め込める。心室中隔壁横断法は、第1アクセスカテーテルの中に同軸カテーテル30を通すことを含み、第1アクセスカテーテル20は、内部の又は第2の同軸カテーテル30を動揺僧帽弁尖へ向かって導くためのガイドとして作用できる。第1及び第2カテーテル20、30の両方は、
図3に示すように、僧帽弁尖の縁を捕捉するべく、遠位先端向きを定めるために操作可能であることができる。穿刺針は、弁尖の再付着のために縫合糸を通すべく、僧帽弁尖を通過し、心臓の下室(the lower chamber of the heart)に、隔壁の中へ又は隔壁を横切り、そして、右心室のアンカーを通されることができる。僧帽弁尖を通過し、戻って第2内部カテーテル30の中へテザーを通して、基礎アンカーに付着させたら、弁尖を適切な位置まで引っ張って、不全の又は損傷した腱索付着部を複製する。基礎アンカーへの新規の縫合糸の付着は、結び目、スライド一方向ストッパ、又は、アンカー及び縫合糸を互いに接合するその他の手段によって、得ることができる。単線付着又は複数線付着は、荷重を分散するか又は様々な力のベクトルで引っ張って様々な方向に僧帽弁尖の基礎点を移動できるようにする。
図3に示すように、二次的な心房アクセスは、動揺弁尖上方に位置付けるために左心房の中へ追加のカテーテル32を通すために、経隔壁穿刺によって僧帽弁上方の静脈系を通じて行える。下方と一緒に上方から弁尖の第2の固定を得ることによって、エコー及び蛍光透視法の下で、弁尖縁内において積極的な位置付け及び縫合糸付着が可能になる。各カテーテルの先端は、
図4に示すように各カテーテル30、32の先端を相互に位置付けするように磁石36、34とすることができる。磁石36、34は、ワイヤ、縫合糸又はその他のものを長手方向に一方の先から他方の先へ通すために、貫通孔又は中央ルーメンを有することができる。
図4Aに示すように、縫合糸ループ41は、僧帽弁尖27を通過して下側カテーテル30を通して束縛して戻され、尖端又は心室中隔壁のアンカーに付着される。
【0013】
基礎プラグ又はアンカー40は、ASDを閉鎖するために使用されるアンプラッツ装置、又は、
図5に示すように右心室において若しくは心室中隔壁内で力をより大きい面積に分散して荷重をより大きい面全体に分散するための別の装置と同様とすることができる。右心室内で縫合糸を固定するための別の手段は、右心室内で荷重を拡散するために綿撒糸73又は他のパッドに縫合糸を付着することである。1つの代替的な技法は、
図5Aに示すように左右心室を分離する組織壁即ち心室中隔壁組織内に内部アンカー42を埋め込むことである。
図5B及び5AAの内部アンカー50は、上から又は左心房から、隔壁を通過してかつ僧帽弁尖を通過して送達して、僧帽弁尖を縫合糸43に接続して、左右心室の間の隔壁の中へ送り、縫合糸の引っ張り時の移動に抵抗するようにアンカーなどの内部構造にこれを固定する。
図5Aに示すように、内部アンカーは、逆棘部80及び縫合糸保持部82を含むことができる。アンカーの1区分を隔壁から離して左心房の中まで伸ばして、僧帽弁尖の付着点のすぐ下に接点を位置付けるのも有利である。これは、隔壁への進入点の周りのトルク又はモーメント無しに上下に付着点までのダイレクトラインを与え、他の腱索構造又は乳頭筋を妨害しない。アンカー出口におけるひずみ解放体は、縫合ラインの周期的負荷が応力集中エリアなので、縫合ラインのフレッティングも防止する。同様に、
図7に示すように、コイル状アンカー52(
図5B)を、経隔壁で上から僧帽弁を通過して心尖の中へ又は心筋組織の中へ送達できる。コイル55は、接点を縫合ラインに接続できるようにして、縫合ラインは更に僧帽弁尖に接続される。付加的な支持のため又は追加の損傷した腱索を束縛するために、複数の接続点を加えることもできる。インプラント処置後に縫合ラインを巻くこと、結び直すこと、又は。引っ張ることによって、接続ラインを束縛し直すことにより、二次的調整を行うこともできる。
【0014】
大腿静脈へのアクセスは、直径約0.035インチ(0.0889cm)及び長さ約180センチメートルのガイドワイヤ70を用いて行うことができる。
図8に示すように、導入シースは、大腿アクセス部位において付加的カテーテルを出入りさせるための導管をもたらすために続くことができる。カテーテル72は、直径約10~24Frenchとすることができ、血管を傷つけることなく先端を案内するために拡張器を用いて導入器を大腿静脈まで前進できる。カテーテル72の長さは、長さ約100センチメートルとすることができる。ガイドワイヤ72に被せた導入シースを通して装置送達カテーテルを前進させることによって、生体x線又は蛍光透視法によってガイドワイヤ、導入シース及び送達カテーテルを追跡するための放射線不透過手段を与えることができる。下大静脈の中へ入り三尖弁を通して右心房へ向かう際に、カテーテルは、ガイドワイヤを辿ることができる、又は、プルワイヤ若しくは適合システムを通じたハンドルにおいて、曲折可能カテーテルを通して積極的に適合又は屈曲できる。心臓へ注入された造影剤は、心臓内の構造物へのロードマップを示すことができる。カテーテル及びガイドワイヤを右心室の尖端へ向けること又は導くこと、及び、針又は穿刺具を右心室から左心室へ通過させることは、大腿静脈から僧帽弁にアクセスする左心室へのアクセスをもたらす。
【0015】
経隔壁穿刺を通した左心室へのアクセス経路は、上述と同様に、鼠径部の大腿動脈を介してガイドワイヤ及びカテーテルシステムを前進させることによっても実行できる。これによって、僧帽弁尖を適切な位置に戻して固定し縫合するために、僧帽弁尖を上下で密着させることができる。左心房からの上カテーテル、及び、右心室を介した左心室からの下カテーテルは、隣接する弁尖と接合するための適切な位置に縫合穿刺して束縛し戻すために、動揺弁尖の位置を定めて保持することができ、これによって僧帽弁逆流血流を排除できる。穿刺針及びひずみ解放綿撒糸75は、
図6に示すように、縫合糸75を通して、弁尖付着部位における局部力を分散するために使用できる。弁尖の一回又は複数回の通過は、正常な弁尖の動きを与える正常な腱索を複製する。縫合糸材料は、#4若しくは#5pTFE、絹、又は、正常な弁再建に使用されるその他の一般的な材料とすることができる。縫合糸の位置は、縫合糸が乳頭筋の間を通過して一方の端で動揺弁尖に且つ右心室のひずみ解放体によって保持される他方の端で右心室の中へ接続するので、正常な左心室並びに僧帽弁の動き及び自由を可能にする。頸静脈からのアクセスは、
図8に示すように、大静脈及び右心室へのアクセス、及び/又は、経隔壁穿刺を介した左心房の中へのアクセスを同様にもたらす。この頸静脈アクセスは、大腿静脈から右心室への最初の180度の折り返しを排除するが、多くの介入心臓医にとっては従来のアクセスではない。
【0016】
カテーテルは、ナイロン、テフロン(登録商標)、ウレタン及びその他の一般的に使用される材料を含む、一般的なポリマーで構成され、ガイドワイヤポートを有する近位端と遠位端とを有する。必要とされるカテーテル曲線は、事前にセットされる、固定される、又は、プルワイヤ若しくはチューブを通じて伝えられる差動力を通して積極的に曲げられることができ、1つの方向又は別の方向に付勢されて、カテーテルの一方の側に他方の側に比べて円柱圧縮(column compression)を与える。円柱及び管状強度は、規定の構造及び/又はアクセスを得るために必要な曲線を形成するために、埋込コイル状ワイヤ、リボン若しくは丸いワイヤの編み込み、レーザーカットチューブ、又は、スケルトン構造によって提供されることができる。送達に必要とされる固有のプッシャビリティ、剛性及び曲線を得るために、可変的硬度、構成技術が技術上周知である。内部及び外部両方のコーティング及び表面処理は、血管壁間及びワイヤと他のカテーテルとの間の相対的移動を助ける。引っ張り手段は、カテーテルの遠位端から近位区分のハンドルまで延びるプルワイヤによって与えることができる。このプルワイヤは、長手方向の力に変換される回転スクリューによって起動でき、カテーテルの遠位端への接続部を引っ張る。大腿カテーテルアクセスの全長は、長さ約100cmであり、体内の脈管系内での位置付けのためのガイドワイヤを受け入れるために貫通ルーメンを有する。頸静脈内カテーテルの全長は、長さ約60cmである。両方のカテーテルは、直径約6~20Frenchであり、送達システムの近位遠位端から少なくとも1つのルーメンを有する。
【0017】
大腿静脈からのアクセスは、三尖弁を通過して右心室の中へのカテーテル治療を可能にする。右心室の尖端において、アクセスは隔壁の中へ針又はカテーテルを前進させることによって得られ、左心室へのアクセスを得る。ガイドワイヤを右心室から左心室へ通すために針、超音波又はコアリングツールを使用することは、僧帽弁を再建するための経路又はアクセスルートである。ひとたび針及び/又はガイドワイヤを前進させることができたら、カテーテルなどの付加的ツールを利用して、僧帽弁を再建できる。隔壁は、厚み1センチメートルを超える可能性があるので、アクセスポートの維持は、再建治療中にツール及びカテーテルを通すためのバルーン拡張、ガイドカテーテル又はアクセス導管によって可能になる。案内可能なシース、カテーテル又は導管は、再建のために僧帽弁の固有のエリアへのアクセス方向を定めることを容易にできる。回転及び角度の調節は、ひとたび最適の位置付けが得られたら、位置を固定又はロックできる。これは、予め定められた曲線構成によって得ることができ、この場合、カテーテルは、下向きに湾曲して三尖弁を通過し、心室中隔を横切り、その後上向きに僧帽弁へ向かう。この形状は、固定されることができる、又は、患者のニーズ及び解剖学的構造に基づいて可変であることができる。直径約0.035インチ(0.0889cm)及び長さ約180~300センチメートルのガイドワイヤは、その上をカテーテルが前進できるようにし、かつ、交換されるべき付加的ツールと交換できるようにする。拡張可能な拡張器を使用して、窮屈なアクセスが要求されるエリア又はより大きい口径のカテーテルが要求されるエリアを拡張できる。カテーテルのサイズは、直径約6French~約24Frenchであり、長さの範囲は、90センチメートル~160センチメートルを含む。これらのカテーテルの構成は、ナイロン、ポリウレタン、ポリエチレン又はその他の同様の重合体を含む通常の重合体とすることができる。編み紐、コイル又はレーザーカットチューブをカテーテル構成に使用して、要求される内径、形状又は曲線をより良く支持できる。これらの材料には、カテーテル構成に適するステンレス鋼、ニチノール、プラチナ又はMP35N金属を含めることもできる。
【0018】
複数のカテーテルを相互に入れ子式に接続すると、付加的な曲線、動き及び並進の自由をもたらす。1つの実施形態において、右心室の尖端にアクセスするためにより大きいカテーテル(内径24French)を使用して、安定したベースを配置でき、ここから、内部カテーテル(内径18French)を心室中隔に通して前進させ、且つ、このカテーテルを通して第3のカテーテル(内径約14French)を前進させることができ、これによって、左心室の中へ前進して僧帽弁へ向かうことができる。これらのカテーテルは、様々な解剖学的構造に合わせて複数の調節及び角度を可能にすることができる。これらのカテーテルの各々を一緒に又は個別に並進させ、回転させ、位置をロックする能力は、再建ツールを弁へ送達するための安定したプラットフォームを与える。相互に入れ子式に接続されたこれらのカテーテルの各々のためのロック手段は、液圧を用いた直径変化による拡張、偏心ロック生じる回転手段による機械的拡張、又は、カテーテル間の直径差を生じるための長手方向の引っ張りによって得ることができる。このプッシュプル並進は、カテーテルを蛇腹式に折り畳んで、1つのカテーテル内でより大きなぶつかりを生じる可能性がある。
【0019】
更に、プッシュプル式ワイヤは、カテーテルを単一平面又は複数平面内で予め設定された形状及び曲線にすることができる。固有のパターンをカテーテル内側フレームにレーザーカットすることによって、プルワイヤによってカテーテルの一方の側の長さを小さくする一方で、カテーテルの丸い円柱形状をつぶして、カテーテル内部にレーザーカット要素によって決められる形状を生成することによって、所定の形状にすることができる。例えば、チューブの一方の側にスロットを切込み、引っ張りワイヤをチューブの遠位端に付着できる。引っ張り力がワイヤに加えられるとき、チューブのスロット付き側の潰れは、管状要素に湾曲又はバイアスをもたらす。これらのスロットは、回転角度を予め設定された形状にロックするために複雑な形状とすることもできる。この複雑な形状は、山形(chevron)、傾斜カット、丸みのある形状又は予め設定された半径においてチューブの潰れを停止するその他の詳細なパターンとすることができる。このパターンを、チューブの周りで回転させて、単一平面から三次元形状および曲線を生成できる。
【0020】
このパターン形成は、カテーテルの内側チューブにレーザーカットされ、金属又は重合体から構成され、カテーテル壁の壁に埋め込まれる。
【0021】
第1角度曲線は、約180度であり、カテーテルの方向を大腿骨アクセスから三尖弁を通過して右心室の尖端へ向けるように変える。このカテーテルの第2曲線は、約90度で曲がって心室中隔壁へ向かって「牧杖(Shepard’s Crook)」形状を作る。この90度の方向は、心室隔壁を通過するアクセスへ向けて第2の内側カテーテルを第1のより大きい直径のカテーテルの中に通すことでも得られる。このためには、尖端を隔壁へ向け直すために90度の曲線が必要である。ひとたび隔壁に進入したら、カテーテルを僧帽弁へ向けるために別の90度の曲線が必要である。これらの2つの90度の曲線の間には、隔壁組織を横切るために約1~2センチメートルの間隔が必要とされる。この直線区分は、曲線構成に予め定められることができ、単一プルワイヤ又は複数本プルワイヤで作動できる。好ましい実施形態は、心室隔壁へ向かう90度の曲線を得るために第1カテーテルを利用する。
【0022】
僧帽弁へ向かう次の内側カテーテルは、左心室の弁尖へ向けて前進できる。弁尖の下に向けられ配置されると、カテーテル先端は、僧帽弁尖の自由縁の位置を定めて、損傷した腱索又は動揺弁尖の再建のためにテザーを固定できる。単一又は複数の腱索は、単一アクセス点から又は弁尖に沿った別個の場所から分散できる。上から経隔壁アクセスによって、第2カテーテルは、弁尖の同じ自由縁に沿って弁尖の上面に配置できる。これら2本のカテーテルの同軸配置は、磁気先端によって得られる。磁気尖端は、カテーテルに組み込まれるか、又は、カテーテルの各中央ルーメンを通過して前進する。
【0023】
これら2本のカテーテルを弁尖の上下に配置してそれらの間に挟まれた弁尖を互いにつまむことによって、腱索再建又は束縛のために弁尖にアクセスして、右心室から生じる下側アクセス点に固定することを可能にする。腱索再建は、PIFE縫合糸又は永久埋植に適する他の材料とすることができる。下側アクセス点が右心室へ延びることにより、アンカーは、完全に右心室の中に又は心室中隔内に配置され、左心室においては置換縫合材料のみを露出できる。アンカーデザインは、組織に係合するために単一又は複数の逆棘を有する逆棘付きアンカー、隔壁の右心室側から保持するためのプラグ、又は、右心室若しくは左心室の組織に係合するスクリュー手段と同様のものとすることができる。腱索弁尖付着部への組織アンカーの付着は、腱索及びアンカーシステムの埋植中又は埋植後の腱索の張力又はエコー結果を生体内監視しながら調節することができる。
本開示のある態様(1)は、腱索置換システムであって、近位端と遠位端とを有する細長い可撓性の管状体を有するカテーテルであって、当該カテーテルが、経脈管で右心室の中へ、心室中隔を通して左心室の中へアクセスするように構成される、カテーテルと、カテーテルによって留置可能に運ばれる腱索置換インプラントであって、当該腱索置換インプラントが、近位組織アンカーを有する近位端と僧帽弁尖付着アンカーを有する遠位端とを有する細長い本体を備える、腱索置換インプラントと、を備える、腱索置換システムであり得る。
態様(1)において、近位組織アンカーが、心尖の組織に係合するために螺旋形組織アンカーを備えてもよい。
態様(1)において、近位組織アンカーが、経中隔横断体の右心室面に係合するためのアンカーを備えてもよい。
態様(3)において、近位組織アンカーが綿撒糸を備えてもよい。
態様(1)において、腱索置換インプラントが管状体内で運ばれてもよい。
本開示の他の態様(6)は、患者の心臓の僧帽弁を再建する方法であって、当該方法が、左心室にアクセスするために心臓の静脈又は右側を通過して延びるカテーテルを用いて患者の心臓の右心室にアクセスすることと、カテーテルを用いて僧帽弁尖を固定することと、を備える、方法であり得る。
本開示のさらに他の態様(7)は、僧帽弁を再建する方法であって、当該方法が、カテーテルを用いて経脈管で右心室にアクセスして、心室中隔を通してカテーテルを左心室の中へ延ばすことと、カテーテルを用いて腱索置換インプラントを留置することと、を備える、僧帽弁を再建する方法であり得る。
態様(7)において、腱索置換インプラントが、近位組織アンカーを有する近位端と、僧帽弁尖付着アンカーを有する遠位端と、を備えてもよい。
態様(7)において、腱索置換インプラントを留置することが、心尖の組織を螺旋形組織アンカーと係合することを含んでもよい。
態様(7)において、腱索置換インプラントを留置することが、経中隔横断体の右心室面をアンカーと係合することを含んでもよい。
態様(7)が、腱索置換インプラントをカテーテルで運ぶことを含んでもよい。
本開示のある態様(101)は、腱索置換システムであって、近位端と遠位端とを有する細長い可撓性の管状体を有する操作可能なカテーテルであって、当該カテーテルが、左心室の中へアクセスするように構成され、当該操作可能なカテーテルは、当該操作可能なカテーテルの近位区分のハンドルから、当該操作可能なカテーテルの遠位端まで延びるワイヤを有し、ワイヤは、当該操作可能なカテーテルを積極的に曲げて、当該操作可能なカテーテルの遠位尖端を僧帽弁尖に隣接して位置せしめるように構成される、操作可能なカテーテルと、カテーテルによって留置可能に運ばれる腱索置換インプラントであって、当該腱索置換インプラントが、縫合糸を備えかつ心室組織アンカーと僧帽弁尖付着アンカーとを有する細長い本体を備える、腱索置換インプラントと、僧帽弁尖を通して僧帽弁尖付着個所に縫合糸を通すように構成される穿刺針とを備える、腱索置換システムであり得る。
態様(101)において、近位組織アンカーが、心尖の組織に係合するために螺旋形組織アンカーを備えてもよい。
態様(101)において、近位組織アンカーが、経中隔横断体の右心室面に係合するためのアンカーを備えてもよい。
態様(103)において、近位組織アンカーが綿撒糸を備えてもよい。
態様(101)において、腱索置換インプラントが管状体内で運ばれてもよい。
態様(101)において、操作可能なカテーテルが、ワイヤに引っ張りが加えられたときに潰れて操作可能なカテーテルを予め設定された曲線により湾曲させるように構成される複数のスロットを備えてもよい。
態様(101)において、操作可能なカテーテルが、第1カテーテルであり、カテーテルをベースにしたシステムは、隔壁を通しかつ僧帽弁尖に向かって第1カテーテルを案内するように構成される同軸の第2カテーテルを更に備えてもよい。
態様(107)において、第1カテーテル及び第2カテーテルは、共に操作可能なカテーテルとされてもよい。
態様(101)において、スロットは、操作可能なカテーテルの一方の側にレーザーカットされてもよい。
態様(101)において、スロットは、山形形状、傾斜形状、又は、丸みのある形状のうちの1つ以上に形成されてもよい。
態様(101)において、心室アンカーが、アンカー出口にひずみ解放体を備え、ひずみ解放体は、縫合糸のフレッティングを低減するように構成されてもよい。
態様(101)において、心室アンカーが、本体と、本体の外表面から鋭角に延びる逆棘部と、を備えてもよい。
態様(101)において、心室アンカーが、コイル状アンカーであってもよい。
態様(101)において、心室アンカーが、僧帽弁尖の付着点の直下で組織に結合されるように構成されてもよい。
態様(101)において、僧帽弁尖付着アンカーが、弁尖付着個所における局所力を分散させるように構成されるひずみ解放綿撒糸であってもよい。
本開示の他の態様(116)は、僧帽弁腱索を再建するためのカテーテルをベースにしたシステムであって、隔壁を通して僧帽弁にアクセスするために延びるように構成される操作可能なカテーテルであって、当該操作可能なカテーテルは、当該操作可能なカテーテルの近位区分のハンドルから、当該操作可能なカテーテルの遠位端まで延びるワイヤを有し、ワイヤは、当該操作可能なカテーテルを積極的に曲げて、当該操作可能なカテーテルの遠位尖端を僧帽弁尖に隣接して位置せしめるように構成される、操作可能なカテーテルと、第1縫合糸に結合される心室アンカーであって、当該心室アンカーは、左心室内の組織に付着するために、隔壁を通して及び僧帽弁を通して送達されるように構成される、心室アンカーと、僧帽弁尖の第1の側から僧帽弁尖の第2の側まで僧帽弁尖を通して第2縫合糸を僧帽弁尖付着部位に通すように構成される穿刺具と、第2縫合糸に付着されるひずみ解放綿撒糸であって、当該綿撒糸は、弁尖付着部位における局所力を分散させるように構成され、当該綿撒糸は、僧帽弁尖の第1の側とは反対側の僧帽弁尖の第2の側に配置されるように構成される、ひずみ解放綿撒糸と、僧帽弁尖を左心室の組織に束縛するために、第1縫合糸及び第2縫合糸を調整可能に結合する固定部材と、を備える、カテーテルをベースにしたシステムであり得る。
態様(116)において、固定部材は、僧帽弁尖の適正な位置を調整可能に固定するように構成されてもよい。
態様(117)において、固定部材は、スライド一方向ストッパであってもよい。
本開示のさらに他の態様(119)は、僧帽弁腱索を再建するためのマルチカテーテルシステムであって、隔壁を横切り僧帽弁にアクセスするように構成される第1カテーテルと、第2カテーテルであって、穿刺具を僧帽弁尖に通すために当該第2カテーテルを操作する手段を備え、当該第2カテーテルは、第1の側から第2の側まで僧帽弁尖を通して延びる縫合糸を、綿撒糸を介して僧帽弁尖に固定する、第2カテーテルと、左心室内の組織に付着するために、隔壁を通して及び僧帽弁を通して送達されるように構成される心室アンカーと、縫合糸を心室アンカーに調節自在に結合して僧帽弁尖を心室アンカーに束縛する手段と、を備える、マルチカテーテルシステムであり得る。
態様(119)において、心室アンカーは、アンカー出口にひずみ解放体を備え、ひずみ解放体は、心室アンカーに付着される縫合糸のフレッティングを低減するように構成されてもよい。