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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-04
(45)【発行日】2022-01-20
(54)【発明の名称】インプラント包装容器
(51)【国際特許分類】
   A61C 8/00 20060101AFI20220113BHJP
【FI】
A61C8/00 Z
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2018557848
(86)(22)【出願日】2017-04-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-06-06
(86)【国際出願番号】 KR2017004431
(87)【国際公開番号】W WO2017191925
(87)【国際公開日】2017-11-09
【審査請求日】2020-03-16
(31)【優先権主張番号】10-2016-0053953
(32)【優先日】2016-05-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】506029004
【氏名又は名称】ソウル バイオシス カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SEOUL VIOSYS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】65-16,Sandan-ro 163 Beon-gil,Danwon-gu,Ansan-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ジュン, ヒ チョル
【審査官】森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-157413(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1445819(KR,B1)
【文献】特開2012-075549(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1688931(KR,B1)
【文献】国際公開第2011/113568(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 8/00 - 8/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インプラントを収容するための空間を定義する内壁を含む本体部と、
前記本体部の一側に分離可能に結合されるキャップ部と、
前記本体部内で前記インプラントの位置を固定する固定部と、
前記キャップ部と向かい合うように前記本体部に結合された底部と、
前記本体部の内壁に備えられ、前記底部側から照射された紫外線を反射させる本体部反射体と、を含み、
前記底部は前記本体部から脱着可能であるインプラント包装容器。
【請求項2】
前記本体部に実装されたインプラントをさらに含み、
前記インプラントは、前記固定部に結合されるアバットメント接続部分、アバットメント及びフィクスチャーを含み、
前記フィクスチャーは、前記固定部と前記底部との間に配置された、請求項1に記載のインプラント包装容器。
【請求項3】
記底部が脱離された後、紫外線が前記本体部の内部に照射される、請求項1又は2に記載のインプラント包装容器。
【請求項4】
前記固定部は、前記底部から前記本体部の内部に照射される紫外線を反射させるための固定部反射体を含む、請求項1又は2に記載のインプラント包装容器。
【請求項5】
前記本体部反射体は、前記底部を透過した紫外線を反射させる、請求項1又は2に記載のインプラント包装容器。
【請求項6】
前記本体部反射体は、アルミニウム系物質、フッ素系ポリマー、SUS、ガラス及びセラミック系物質からなる群から選ばれるいずれか一つ又はこれらの組み合わせを含む、請求項1又は2に記載のインプラント包装容器。
【請求項7】
前記本体部反射体は、アルミニウム又はポリテトラフルオロエチレン(poly tetra fluoro ethylene)である、請求項6に記載のインプラント包装容器。
【請求項8】
前記本体部反射体の厚さは0.003mm以上50mm以下である、請求項1に記載のインプラント包装容器。
【請求項9】
前記本体部反射体の長さは、前記本体部に収容される前記インプラントの前記フィクスチャーの長さの1/3以上である、請求項2に記載のインプラント包装容器。
【請求項10】
前記本体部反射体は、内部空間が前記底部から前記キャップ部に向かって狭くなるように形成された少なくとも一部の内壁面領域を含む、請求項1に記載のインプラント包装容器。
【請求項11】
前記本体部反射体は、反射性物質で構成された前記本体部である、請求項1又は2に記載のインプラント包装容器。
【請求項12】
前記本体部反射体は、前記本体部の内壁にコーティングされた反射物質層である、請求項1又は2に記載のインプラント包装容器。
【請求項13】
前記本体部反射体は、前記本体部に付着した反射テープである、請求項1又は2に記載のインプラント包装容器。
【請求項14】
前記本体部反射体は、前記本体部に挿入された筒状の反射体である、請求項1又は2に記載のインプラント包装容器。
【請求項15】
前記本体部の内壁に前記本体部反射体を固定する1以上の結着部をさらに含む、請求項14に記載のインプラント包装容器。
【請求項16】
前記本体部は、その内部において前記本体部反射体と前記底部との間に前記本体部反射体を据え置くことができる据置部をさらに含む、請求項14に記載のインプラント包装容器。
【請求項17】
前記本体部の内部に紫外線を照射するための紫外線光源をさらに含み、
前記紫外線光源は前記底部に配置されている、請求項1又は2に記載のインプラント包装容器。
【請求項18】
前記本体部反射体から前記インプラントまでの最短距離をAとし、前記紫外線光源から前記インプラントまでの最短距離をBとしたとき、A及びBは、0.1mm≦A≦50mmを満たし、0.7≦B/A≦1を満たす、請求項17に記載のインプラント包装容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インプラント包装容器に関し、より具体的には、インプラントが患者の顎骨に埋め込まれる前にインプラントを滅菌状態に維持するためのインプラント包装容器に関する。
【背景技術】
【0002】
歯科用インプラントは、歯根の役割をするフィクスチャー(fixture)と、前記フィクスチャーに接続され、補綴物が接続されるアバットメント(abutment)と、前記アバットメントに載せられる補綴物とを含んで構成されており、顎骨に埋め込まれる前記フィクスチャーを歯に堅固に固定させることが重要である。
【0003】
前記フィクスチャーの素材として多様な金属及び合金が開発されているが、チタン(Ti)金属又はその合金が主に用いられている。チタン又はその合金は、加工が容易であり、人間の生体組織に対する高い生体適合性、高い機械的強度、及び生体不活性を有するという長所を有する。しかし、チタン又はその合金自体は、人体への移植時の骨との結合時間が長く、移植してから長時間が経過すると金属イオンが生体に溶け込むおそれがあるという短所を有する。
【0004】
このような短所を補完するために、前記チタン又はその合金材料の表面を適宜処理し、骨結合を強化できる技術が開発された。具体的には、骨結合の速度及び品質は、表面調整、表面粗さ、親水性などのフィクスチャーの表面特性及び化学組成と密接な関係を有している。特に、親水性の大きい表面を有するフィクスチャーは、生体溶液、細胞及び組織との相互作用に有利なものとして知られている。
【0005】
前記フィクスチャーの表面には、チタンが空気中で酸化されることによって酸化膜(TiO2)を形成することができ、前記チタン酸化膜は、生体で安定的であり、生体適合性に優れ、細胞との反応でも肯定的な特徴を示すものと報告されており、酸化処理したインプラントは、機械加工のみを行ったインプラントに比べると、移植時の骨との結合力に優れる。
【0006】
一方、前記フィクスチャーの表面に形成された酸化膜は、形成直後に比べると、形成してから一定期間が経過した後で親水性が劣悪になり得る。したがって、従来は、前記フィクスチャーの親水性を向上させるために、インプラントの包装前にUVを照射する方法を用いる、又は紫外線照射装置を用いてインプラントの移植前に追加的にUVを照射していた。
【0007】
しかし、インプラントの包装前にUVを照射する場合は、一定期間が経過した後で施術に適用するとき、親水性が著しく劣悪になり、患者に苦痛を誘発させるという問題がある。また、紫外線照射装置を用いる場合は、インプラントを包装容器から取り出す過程でインプラントが汚染される可能性が高い。
【0008】
したがって、インプラントを患者の顎骨に埋め込む前に滅菌状態でフィクスチャーの親水性を向上させる効果的な方法又は包装容器の開発が必要な実情にある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、インプラントが患者の顎骨に埋め込まれる前にフィクスチャーの親水性を簡便に且つ効率的に向上させることによって、フィクスチャーの生体組織に対する生体適合性を向上させ、移植時の骨との結合時間を短縮させ、患者が体感し得る苦痛を軽減できるインプラント包装容器を提供することにある。
【0010】
本発明が解決しようとする他の課題は、患者の顎骨に埋め込まれる直前までインプラントを滅菌状態に維持できるインプラント包装容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施例は、インプラントを収容するための空間を定義する内壁を含む本体部と、前記本体部の一側に分離可能に結合されるキャップ部と、前記本体部内で前記インプラントの位置を固定する固定部と、前記キャップ部と向かい合うように前記本体部に結合された底部と、前記本体部の内壁に備えられ、前記底部側から照射された紫外線を反射させる本体部反射体と、を含むインプラント包装容器を提供する。
【0012】
本発明の他の実施例は、前記本体部に実装されたインプラントをさらに含み、前記インプラントは、前記固定部に結合されるアバットメント接続部分、アバットメント及びフィクスチャーを含み、前記フィクスチャーは、前記固定部と前記底部との間に配置されたインプラント包装容器を提供する。
【0013】
本発明の更に他の実施例において、前記底部は前記本体部から着脱可能であり、前記底部が脱離された後、紫外線が前記本体部の内部に照射されるインプラント包装容器を提供する。
【0014】
本発明の更に他の実施例において、前記固定部は、前記底部から前記本体部の内部に照射される紫外線を反射させるための固定部反射体を含むインプラント包装容器を提供する。
【0015】
本発明の更に他の実施例において、前記本体部反射体は、前記底部を透過した紫外線を反射させるインプラント包装容器を提供する。
【0016】
本発明の更に他の実施例において、前記本体部反射体は、アルミニウム系物質、フッ素系ポリマー、SUS、ガラス及びセラミック系物質からなる群から選ばれるいずれか一つ又はこれらの組み合わせを含むインプラント包装容器を提供する。
【0017】
本発明の更に他の実施例において、前記本体部反射体は、アルミニウム又はポリテトラフルオロエチレン(poly tetra fluoro ethylene)であるインプラント包装容器を提供する。
【0018】
本発明の更に他の実施例において、前記本体部反射体の厚さは0.003mm以上50mm以下であるインプラント包装容器を提供する。
【0019】
本発明の更に他の実施例において、前記本体部反射体の長さは、前記本体部に収容される前記インプラントの前記フィクスチャーの長さの1/3以上であるインプラント包装容器を提供する。
【0020】
本発明の更に他の実施例において、前記本体部反射体は、内部空間が前記底部から前記キャップ部に向かって狭くなるように形成された少なくとも一部の内壁面領域を含むインプラント包装容器を提供する。
【0021】
本発明の更に他の実施例において、前記本体部反射体は、反射性物質で構成された前記本体部であるインプラント包装容器を提供する。
【0022】
本発明の更に他の実施例において、前記本体部反射体は、前記本体部の内壁にコーティングされた反射物質層であるインプラント包装容器を提供する。
【0023】
本発明の更に他の実施例において、前記本体部反射体は、前記本体部に付着した反射テープであるインプラント包装容器を提供する。
【0024】
本発明の更に他の実施例において、前記本体部反射体は、前記本体部に挿入された筒状の反射体であるインプラント包装容器を提供する。
【0025】
本発明の更に他の実施例は、前記本体部の内壁に前記本体部反射体を固定する1以上の結着部をさらに含むインプラント包装容器を提供する。
【0026】
本発明の更に他の実施例において、前記本体部は、その内部において前記本体部反射体と前記底部との間に前記本体部反射体を据え置くことができる据置部をさらに含むインプラント包装容器を提供する。
【0027】
本発明の更に他の実施例は、前記本体部の内部に紫外線を照射するための紫外線光源をさらに含み、前記紫外線光源は、前記底部に配置されている、インプラント包装容器を提供する。
【0028】
本発明の更に他の実施例は、前記本体部反射体から前記インプラントまでの最短距離をAとし、前記紫外線光源から前記インプラントまでの最短距離をBとしたとき、A及びBは、0.1mm≦A≦50mmを満たし、0.7≦B/A≦1を満たすインプラント包装容器を提供する。
【発明の効果】
【0029】
本発明の一実施例に係るインプラント包装容器は、本体部の内部に紫外線を反射できる本体部反射体が備えられ、紫外線がインプラント、特に、インプラントのフィクスチャーの全領域にわたって均一に照射され得る。
【0030】
本発明の他の実施例に係るインプラント包装容器は、本体部反射体の他にキャップ部反射体をさらに備えており、インプラントのフィクスチャーの全領域にわたって紫外線がさらに均一に照射され得る。
【0031】
本発明の更に他の実施例に係るインプラント包装容器は、本体部の内部に紫外線光源が実装され、紫外線照射のためにインプラントを空気中に露出させる必要がないので、インプラントを患者の顎骨に埋め込む直前まで滅菌状態に維持することができる。
【0032】
本発明の更に他の実施例に係るインプラント包装容器は、本体部の内部に紫外線光源が実装され、容器が必ずしも紫外線透過材質で形成される必要がないので、製造単価を低下させ得る。
【0033】
本発明の更に他の実施例に係るインプラント包装容器は、反射体の形態、反射体の長さ、及び紫外線光源からインプラントへの垂直最小距離を制御することによって、インプラントのフィクスチャーの全領域にわたって紫外線が均一に照射され得る。
【0034】
したがって、本発明の一実施例に係るインプラント包装容器は、インプラントが患者の顎骨に埋め込まれる前にインプラントのフィクスチャーの全領域にわたって紫外線が均一に照射できるように制御し、フィクスチャーの親水性を簡便に且つ効率的に向上させることによって、フィクスチャーの生体組織に対する生体適合性を向上させ、移植時の骨との結合時間を短縮させ、患者が体感し得る苦痛を軽減できると同時に、インプラントが患者の顎骨に埋め込まれる直前まで滅菌状態に維持され得る。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明の第1実施例に係るインプラント包装容器を示した断面図である。
図2】本発明の第1実施例に係るインプラント包装容器を示した断面図である。
図3】本発明の第1実施例に係るインプラント包装容器を示した断面図である。
図4】本発明の第1実施例に係るインプラント包装容器を示した断面図である。
図5】本発明の第1実施例に係るインプラント包装容器を示した断面図である。
図6】(a)は、本発明の一実施例に係るインプラント包装容器の本体部及び本体部反射体を示した斜視図であり、(b)~(f)は、(a)を参照して、本発明の一実施例に係るインプラント包装容器の本体部反射体の多様な形態を示した断面図である。
図7】本発明の第2実施例に係るインプラント包装容器を示した断面図である。
図8】本発明の第2実施例に係るインプラント包装容器を示した断面図である。
図9】本発明の第2実施例に係るインプラント包装容器を示した断面図である。
図10】本発明の第2実施例に係るインプラント包装容器を示した断面図である。
図11】本発明の第2実施例に係るインプラント包装容器を示した断面図である。
図12】本発明の第2実施例に係るインプラント包装容器の接続端子の結合形態を示した断面図である。
図13】本発明の第2実施例に係るインプラント包装容器の接続端子の結合形態を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下では、本発明に対してより詳細に説明する。本明細書に記載されていない内容は、本発明の技術分野又は類似分野で熟練した者であれば十分に認識して類推可能なものであるので、それについての説明は省略する。
【0037】
第1実施例
図1図2は、本発明の一実施例に係るインプラント包装容器を示した断面図である。
【0038】
図1を参照すると、本発明に係るインプラント包装容器は、インプラントを収容するための空間を定義する内壁111を含む本体部110と、前記本体部110の一側に分離可能に結合されるキャップ部130と、前記本体部110内で前記インプラントの位置を固定する固定部120と、前記キャップ部130と向かい合うように前記本体部110に結合された底部150と、前記本体部110の内壁111に備えられ、前記底部150側から照射された紫外線を反射させる本体部反射体380と、を含んでもよい。
【0039】
前記本体部110は、その形状が特に限定されておらず、多角形筒状又は円筒状であってもよいが、反射体140によって反射された紫外線が本発明の一実施例に係る前記インプラント包装容器に装着されたインプラント100の全領域に照射できるという点で円筒状であることが好ましい。また、前記本体部110の直径及び長さは、通常の歯科用インプラントが実装できる直径及び長さであれば特に限定されないが、反射効率及び経済性を考慮した上で、長さは10mm以上30mm以下で、直径は4mm以上20mm以下であることが好ましい。一方、前記本体部110は、内部に実装された前記インプラント100を確認できるように透明な材質であってもよい。
【0040】
前記本体部110の一側にキャップ部130が結合されてもよく、前記キャップ部130は前記本体部110から分離可能なものであることが好ましい。前記キャップ部130には、前記本体部110の内部に延長される固定部120が装着されてもよく、前記固定部120は、前記インプラント100のアバットメント接続部分102と結合されてもよい。このとき、前記インプラント包装容器内において、前記インプラント100は、フィクスチャー103が前記底部150に向かい、マウント101が前記キャップ部130に向かうように前記固定部120によって固定されてもよい。
【0041】
したがって、前記インプラント包装容器は、前記キャップ部130に延長された前記固定部120に前記インプラント100を装着させた後、前記本体部110と前記キャップ部130とを結合させることによって、前記インプラント100を前記インプラント包装容器に実装して保管する、又は目的に応じて移送することができる。
【0042】
図2を参照すると、前記固定部120は、前記底部150から前記本体部110の内部に照射される紫外線を反射させるための固定部反射体280をさらに含んでもよい。前記インプラントのフィクスチャー103は、凸部及び凹部が螺旋状に繰り返される形状であるので、前記底部150から前記キャップ部130の一方向のみに紫外線が照射される場合、前記フィクスチャー103の紫外線が照射できない領域が発生し得る。
【0043】
したがって、前記インプラント包装容器は、前記固定部反射体280をさらに含むことによって、前記底部150から前記キャップ部130の方向のみならず、前記キャップ部130から前記底部150の方向にも紫外線を照射させることができる。その結果、インプラントが患者の顎骨に埋め込まれる前にインプラントのフィクスチャーの全領域にわたって紫外線が均一に照射できるように制御し、フィクスチャーの親水性を簡便に且つ効率的に向上させることによって、フィクスチャーの生体組織に対する生体適合性を向上させ、移植時の骨との結合時間を短縮させることができる。
【0044】
前記底部150は、前記キャップ部130の反対方向において、前記本体部110に結合されてもよい。また、前記底部150は、紫外線が通過できるように透明な材質であってもよく、前記本体部110に着脱可能に結合されてもよい。
【0045】
したがって、本発明の一実施例に係る前記インプラント包装容器は、前記底部150が前記本体部110から着脱可能に形成されてもよく、前記底部150を除去し、前記キャップ部130の反対方向に紫外線が照射される装置を結合させることによって前記本体部110の内部に紫外線が照射される構造であってもよい。
【0046】
又は、本発明の一実施例に係る前記インプラント包装容器は、前記底部150が透明な紫外線通過材質で形成され、前記底部150を除去することなく、前記キャップ部130の反対方向に紫外線が照射される装置を位置させることによって前記本体部110の内部に紫外線が照射される構造であってもよい。
【0047】
前記インプラント包装容器は、前記本体部110の内壁に備えられ、前記底部150側から照射された紫外線を反射させる本体部反射体140を含んでもよい。
【0048】
前記本体部反射体140は、前記底部150を透過した紫外線を反射させることができ、アルミニウム系物質、フッ素系ポリマー、SUS、ガラス及びセラミック系物質からなる群から選ばれるいずれか一つ又はこれらの組み合わせを含む材質であってもよい。また、前記フッ素系ポリマーとしては、PTFE(Polytetrafluoroethylene)、PVF(polyvinyl fluoride)、PVDF(Polyvinylidene fluoride)、PCTFE(Polychlorotrifluoroethylene)、FEP(Fluorinated ethylene propylene)、ETFE(Ethylene tetrafluoroethylene)、ECTFE(Ethylene ChloroTriFluoroEthylene)、PFPE(Perfluoropolyether)などを使用してもよい。前記本体部反射体140の材質としては、アルミニウム又はポリテトラフルオロエチレンを使用することが好ましい。
【0049】
一方、前記本体部反射体140は、厚さが300nm以上5cm以下の範囲であってもよく、厚さが300nm未満である場合は、紫外線の反射率が著しく低下するおそれがあり、厚さが5cm超過である場合は、前記インプラント包装容器の体積が不必要に増加するので非経済的になり得る。
【0050】
前記本体部反射体140の長さは、前記本体部に収容される前記インプラントのフィクスチャー103の長さの1/3以上であることが好ましく、前記本体部に収容される前記インプラントのフィクスチャー103の長さの1/3未満である場合、前記本体部110の内部に照射された紫外線が前記フィクスチャー103の全面積に照射されないおそれがある。
【0051】
図6(a)は、本発明の一実施例に係るインプラント包装容器の本体部及び本体部反射体を示した斜視図で、図6(b)~図6(f)は、図6(a)を参照して、本発明の一実施例に係るインプラント包装容器の本体部反射体の多様な形態を示した断面図である。
【0052】
図1及び図6(a)~図6(f)を参照すると、前記本体部反射体640、641、642、643、644は、内部空間が前記底部150から前記キャップ部130に行くほど狭くなるように形成された、少なくとも一部の内壁面領域を含み、前記底部150から前記キャップ部130の方向に前記本体部110の内部に照射された紫外線が前記インプラントのフィクスチャー103の全面積に照射されるように反射効率を向上させることができる。
【0053】
このとき、本発明の一実施例に係る前記本体部反射体640、641、642、643、644は、反射性物質で構成された前記本体部110であってもよい。すなわち、前記本体部110又は前記本体部の内壁111に反射性物質が形成されてもよく、この場合、別途の反射性物質が本体部の内壁111にコーティング又は蒸着されなくてもよい。
【0054】
また、本発明の一実施例に係る前記本体部反射体140は、前記本体部の内壁111又は外側表面にコーティングされた反射物質層であってもよい。すなわち、前記本体部の内壁111又は前記本体部110が紫外線透過材質である場合、前記本体部110の外側表面に前記反射物質層をコーティングしてもよい。前記反射物質層をコーティングする方法は、公知の方法であってもよく、例えば、浸漬、噴霧、電着、ブラスティング、スプレッドコーティングなどの方法であってもよい。
【0055】
前記本体部の内壁111に前記本体部反射体140が設けられた場合、前記本体部110は、紫外線透過物質で形成される必要がなく、紫外線を吸収又は反射させる物質で形成されてもよい。したがって、本発明の一実施例に係る前記インプラント包装容器は、前記本体部110が必ずしも紫外線透過材質で形成される必要はないので製造単価を低下させることができる。
【0056】
一方、本発明の一実施例に係る前記本体部反射体140は、前記本体部に付着できる反射テープであってもよい。すなわち、前記本体部の内壁111又は前記本体部110が紫外線透過材質である場合、前記本体部110の表面に前記反射テープを接着させることができる。
【0057】
また、本発明の一実施例に係る前記本体部反射体140は、前記本体部110に挿入された筒状の反射体であってもよい。
【0058】
この場合、図3図4及び図9図10を参照すると、前記インプラント包装容器は、前記本体部の内壁111、711に前記本体部反射体140、740を固定する1以上の結着部390、490、990、1090をさらに含んでもよい。
【0059】
また、図5及び図11を参照すると、前記インプラント包装容器は、前記筒状の前記本体部反射体140、740を据え置くことができるように、前記本体部110、710の内部において前記本体部反射体140、740と前記底部150、 750との間に据置部590、1190をさらに含んでもよい。
【0060】
第2実施例
図7図11は、本発明の第2実施例に係るインプラント包装容器を示した断面図である。
【0061】
本発明の第2実施例に係る前記インプラント包装容器は、インプラント100を収容するための空間を定義する内壁711を含む本体部710と、前記本体部710の一側に分離可能に結合されるキャップ部730と、前記本体部710内で前記インプラント100の位置を固定する固定部720と、前記キャップ部730と向かい合うように前記本体部710に結合された底部750と、前記本体部710の内壁711に備えられ、照射された紫外線770を反射させる本体部反射体740と、を含むという点で、前記第1実施例に係る前記インプラント包装容器の構成と同一であり、前記第1実施例で記述した構成を採用してもよい。
【0062】
また、本発明の第2実施例に係る前記インプラント包装容器は、前記本体部反射体740の厚さ、長さ、形状、材料、前記本体部710と前記本体部反射体740との結合関係に関する構成、前記結着部990、1090及び前記据置部1190をさらに含むという点で、前記第1実施例に係る前記インプラント包装容器の構成と同一であり、前記第1実施例で記述した構成を採用してもよい。
【0063】
したがって、本発明の第2実施例に係る前記インプラント包装容器に関する構成のうち、紫外線光源760、前記底部750、及び電流供給装置との結合関係についてのみ詳細に記述する。
【0064】
本発明の第2実施例に係る前記インプラント包装容器は、前記本体部710の内部に紫外線770を照射するための紫外線光源760をさらに含み、前記紫外線光源760は前記底部750に配置されてもよい。前記紫外線光源760が装着された前記底部750は、印刷回路基板(PCB、PRINTED CIRCUIT BOARD)で構成されてもよく、又は前記印刷回路基板を含んでもよい。
【0065】
図12図13は、本発明の第2実施例に係るインプラント包装容器の接続端子の結合形態を示した断面図である。
【0066】
図12を参照すると、前記底部750は、電流供給装置10に接続するための第1接続端子20を有してもよい。図12に示したように、前記第1接続端子20は、前記底部750の下部に形成されてもよい。この場合、前記インプラント包装容器が電流供給装置10上に置かれるとき、前記第1接続端子20が電流供給装置10の第2接続端子30に接続されることによって前記紫外線光源760が駆動することができる。
【0067】
図13を参照すると、図12を参照して説明した底部750とほぼ類似しているが、本実施例の底部750は本体部710の外側に延長され、前記底部750の上面に前記第1接続端子20が形成されている点において相違している。前記第1接続端子20は、多様な連結構造を通じて電流供給装置10に電気的に接続され得る。
【0068】
図12及び図13を参照して接続端子20の配置について説明したが、図12及び図13に示した実施例に限定されなく、多様な形態の接続端子が提供され得る。また、多様な形態の電流供給装置10に前記第1接続端子20が接続され、前記インプラント包装容器内に実装された前記インプラント100に紫外線770を照射することができる。
【0069】
前記紫外線光源760は、波長が200nm以上380nm以下であってもよく、好ましくは、250nm以上350nm以下の波長を使用して前記フィクスチャー103の親水性を向上させると同時に、殺菌効果を向上させることができる。
【0070】
また、前記紫外線光源760の光出力が増加すると共に、前記フィクスチャー103の親水性及び殺菌効率が向上するが、光出力発生効率を共に考慮した上で、0.01A以上2A以下の電流及び2V以上20V以下の電圧を使用することが好ましい。
【0071】
前記本体部反射体から前記インプラントまでの最短距離をAとし、前記紫外線光源から前記インプラントまでの最短距離をBとしたとき、A及びBは、0.1mm≦A≦50mmを満たし、0.7≦B/A≦1であってもよい。
【0072】
前記B/Aが0.7未満である場合は、前記紫外線光源760と前記フィクスチャー103との接触によって前記フィクスチャー103が損傷したり、反射効率が減少するという問題が発生し得る。また、前記B/Aが1超過である場合は、前記フィクスチャー103の前記アバットメント接続部分102に隣接した部分と前記紫外線光源760との距離が過度に遠くなり、前記フィクスチャー103の親水性が発現される効果が減少し得る。
【0073】
以上では、本発明の特定の部分を詳細に記述したが、当業界で通常の知識を有する者にとって、このような具体的な記述は好ましい実施例に過ぎなく、これによって本発明の範囲が制限されないことは明らかである。したがって、本発明の実質的な範囲は、添付の特許請求の範囲及びそれらの等価物によって定義されると見なすことができる。
【符号の説明】
【0074】
110、710、1110:本体部 111、711:内壁
120、720:固定部 130、730:キャップ部
150、750:底部 280、880:固定部反射体
760:紫外線光源 770:紫外線
590、1190:据置部 390、490、990、1090:結着部
100:インプラント 103:フィクスチャー
101:アバットメント 102:アバットメント接続部分
10:電流供給装置 20:第1接続端子
30:第2接続端子
140、740、640、641、642、643、644:本体部反射体
図1
図2
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図11
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図13