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特許7002491ユーザの売買情報の取得を所望する事業者サーバを選択する売買情報仲介サーバ、プログラム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-04
(45)【発行日】2022-01-20
(54)【発明の名称】ユーザの売買情報の取得を所望する事業者サーバを選択する売買情報仲介サーバ、プログラム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/02 20120101AFI20220113BHJP
   G06Q 30/06 20120101ALI20220113BHJP
【FI】
G06Q30/02 300
G06Q30/02 338
G06Q30/06
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019053869
(22)【出願日】2019-03-20
(65)【公開番号】P2020154887
(43)【公開日】2020-09-24
【審査請求日】2021-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135068
【弁理士】
【氏名又は名称】早原 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】小林 嵩
(72)【発明者】
【氏名】木村 塁
【審査官】永野 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-243072(JP,A)
【文献】特開2003-099579(JP,A)
【文献】特開2019-008453(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0039993(US,A1)
【文献】特開2006-155081(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末と、ユーザの売買情報の取得を所望する事業者サーバとの間で通信可能な売買情報仲介サーバであって、
ユーザの決済時に、前記端末から、売買情報を受信する売買情報受信手段と、
当該売買情報の取得を所望する事業者サーバの事業者識別子を選択する事業者選択手段と、
前記売買情報の一部を表す売買属性情報を、選択された1つ以上の事業者識別子に基づく事業者サーバへ、同報的に送信する売買属性情報同報手段と、
1つ以上の事業者サーバから誘因情報を受信し、当該誘因情報を、前記端末へ転送する誘因情報転送手段と
を有することを特徴とする売買情報仲介サーバ。
【請求項2】
前記誘因情報に応じて、ユーザによって選択された事業者識別子を含む承認応答を受信する承認応答受信手段と、
前記承認応答に含まれた当該事業者識別子に基づく事業者サーバへ、前記売買情報を送信する売買情報送信手段と
更に有することを特徴とする請求項1に記載の売買情報仲介サーバ。
【請求項3】
前記誘因情報は、商品又は役務の譲渡又は譲受における売買の際に、ユーザにとって利益となるであろうクーポン、ポイント還元率、又は、値引きに関する情報であり、前記事業者サーバ毎に自らのポリシに応じたリアルタイム入札(Real-Time Bidding)に基づくものである
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の売買情報仲介サーバ。
【請求項4】
前記端末は、店舗に配置されたPOS(Point of Sale cash Register)端末、又は、オンラインショッピングでユーザが使用する端末である
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の売買情報仲介サーバ。
【請求項5】
事業者識別子毎に、事業者が所望する売買属性情報を記憶した事業者情報テーブルを更に有し、
前記事業者選択手段は、前記事業者情報テーブルを用いて、前記売買属性情報を所望する事業者の事業者識別子を選択する
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の売買情報仲介サーバ。
【請求項6】
店舗識別子毎に、店舗情報を記憶した店舗情報テーブルを更に有し、
前記売買属性情報には、店舗情報の一部を更に含む
ことを特徴とする請求項5に記載の売買情報仲介サーバ。
【請求項7】
前記売買属性情報として、商品役務属性、ユーザ属性、店舗属性、店舗位置及び/又は決済金額を含む
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の売買情報仲介サーバ。
【請求項8】
端末と、ユーザの売買情報の取得を所望する事業者サーバとの間で通信可能なサーバに搭載されたコンピュータを機能させる売買情報仲介プログラムであって、
ユーザの決済時に、前記端末から、売買情報を受信する売買情報受信手段と、
当該売買情報の取得を所望する事業者サーバの事業者識別子を選択する事業者選択手段と、
前記売買情報の一部を表す売買属性情報を、選択された1つ以上の事業者識別子に基づく事業者サーバへ、同報的に送信する売買属性情報同報手段と、
1つ以上の事業者サーバから誘因情報を受信し、当該誘因情報を、前記端末へ転送する誘因情報転送手段と
してコンピュータを機能させることを特徴とする売買情報仲介プログラム。
【請求項9】
端末と、ユーザの売買情報の取得を所望する事業者サーバと、売買情報仲介サーバとがネットワークを介して接続されたシステムの売買情報仲介方法であって、
前記端末が、ユーザの決済時に、前記売買情報仲介サーバへ、売買情報を送信する第1のステップと、
前記売買情報仲介サーバが、当該売買情報の取得を所望する事業者サーバの事業者識別子を選択する第2のステップと、
前記売買情報仲介サーバが、前記売買情報の一部を表す売買属性情報を、選択された1つ以上の事業者識別子に基づく事業者サーバへ、同報的に送信する第3のステップと、
1つ以上の前記事業者サーバが、誘因情報を、前記売買情報仲介サーバへ送信し、前記売買情報仲介サーバが、前記誘因情報を、前記端末へ転送する第4のステップと
を実行することを特徴とするシステムの売買情報仲介方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品役務におけるユーザの決済時に、その売買情報を事業者サーバが収集する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、従来技術におけるシステム構成図である。
【0003】
図1によれば、実店舗には、POS端末(Point of Sale cash Register, 販売時点情報管理キャッシュレジスタ)2が設置されている。店舗の商品役務に対する決済時に、POS端末2には、ユーザに対する請求金額が表示される。ユーザは、その請求金額を、現金で支払ってもよいし、クレジットカードや電子マネー、QRペイなどのキャッシュレス決済方式で支払ってもよい。
【0004】
POS端末2は、ユーザの決済時に、商品役務内容を含む「売買情報」を作成する。売買情報には、商品役務内容に加えて、キャッシュレス決済方式の場合、カード等から取得したユーザ属性(例えば20代・男性)が含められる場合もある。また、現金決済であっても、店員がPOS端末2のユーザ属性キーを押下することによって、ユーザ属性が含められる場合もある。
このようにして作成された売買情報は、専用事業者サーバ4へ収集される。一般に、専用事業者サーバ4は、店舗運営者と同一の者によって運用管理されるものである。専用事業者サーバ4で収集した売買情報を用いて、来店客調査や購買分析をすることができる。
【0005】
従来、ユーザが所持する端末が、店舗の所定位置範囲内に近づいた際に、その店舗の広告情報を、当該ユーザへ送信する技術がある(例えば特許文献1参照)。この技術によれば、実店舗におけるユーザの購買履歴をサーバで収集し、ユーザ毎に購買分析をしている。
【0006】
また、販売者のシーズ情報(販売したい商品役務)と購買者のニーズ情報(購入したい商品役務)とを仲介する技術がある(例えば特許文献2参照)。この技術によれば、売買情報集約サーバは、購買者のニーズ情報として、購入したい商品役務と位置情報とを対応付けて蓄積している。そして、購買者のニーズ情報及び位置情報に応じて、リアルタイムに販売者のシーズ情報を対応付けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2018-165901号公報
【文献】特開2006-155537号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述した従来技術によれば、ユーザの決済時における売買情報は、その店舗を運営する事業者のみが収集可能なものである。
しかしながら、ユーザの売買情報は、来店客調査や購買分析に有用な「ビッグデータ」であって、様々な企業が利用したいと所望する。
一方で、ユーザの決済方式としては、現金で支払う場合もあれば、多種なキャッシュレス方式で支払う場合もある。また、ユーザの決済に関与しない事業者が、ユーザの売買情報をビッグデータとして収集することはできない。
また、ユーザの売買情報は、個人情報であるために、特定の個人を識別できないように管理する必要がある。特に、ユーザに対して、個人情報の取り扱いに関する契約へ同意する必要もある。
【0009】
これに対し、本願の発明者らは、ユーザの売買情報を、個人を特定できないビッグデータとして、所望する事業者へ簡易に提供することはできないか、と考えた。一方で、ユーザにとって有益となることを条件に、ユーザ自身が、自らの売買情報を、自ら選択した事業者へ簡易に提供することができないか、と考えた。
【0010】
一方で、事業者毎のポリシとして、売買情報を取得したいユーザとそうでないユーザとに相違がある。例えば事業者Aはできる限り、30代女性のユーザの売買情報を取得したいと考えるかもしれない。また、例えば事業者Bはできる限り、決済金額が高いユーザの売買情報を取得したいと考えるかもしれない。そのような場合、事業者としては、特定のユーザの売買情報を取得できるのであれば、他のユーザよりも有益な報酬やインセンティブを与えてもよいと考えるかもしれない。
【0011】
即ち、ユーザの売買情報の取得を所望する事業者としては、ユーザ毎に異なる報酬又はインセンティブを与えて入札したいし、自らの売買情報を提供するユーザとしては、複数の事業者の中から、自らに最も有益となる報酬又はインセンティブを提供してくれる事業者を選択したい、と考えるであろうと思われる。
【0012】
そこで、本発明は、ユーザが自ら、商品役務の売買情報を、複数の事業者の中から自らに有益な事業者を選択して提供することができる売買情報仲介サーバ、プログラム及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によれば、端末と、ユーザの売買情報の取得を所望する事業者サーバとの間で通信可能な売買情報仲介サーバであって、
ユーザの決済時に、端末から、売買情報を受信する売買情報受信手段と、
当該売買情報の取得を所望する事業者サーバの事業者識別子を選択する事業者選択手段と、
売買情報の一部を表す売買属性情報を、選択された1つ以上の事業者識別子に基づく事業者サーバへ、同報的に送信する売買属性情報同報手段と、
1つ以上の事業者サーバから誘因情報を受信し、当該誘因情報を、端末へ転送する誘因情報転送手段と
を有することを特徴とする。
【0014】
本発明の売買情報仲介サーバにおける他の実施形態によれば、
誘因情報に応じて、ユーザによって選択された事業者識別子を含む承認応答を受信する承認応答受信手段と、
承認応答に含まれた当該事業者識別子に基づく事業者サーバへ、売買情報を送信する売買情報送信手段と
更に有することも好ましい。
【0015】
本発明の売買情報仲介サーバにおける他の実施形態によれば、
誘因情報は、商品又は役務の譲渡又は譲受における売買の際に、ユーザにとって利益となるであろうクーポン、ポイント還元率、又は、値引きに関する情報であり、事業者サーバ毎に自らのポリシに応じたリアルタイム入札(Real-Time Bidding)に基づくものであることも好ましい。
【0016】
本発明の売買情報仲介サーバにおける他の実施形態によれば、
端末は、店舗に配置されたPOS(Point of Sale cash Register)端末、又は、オンラインショッピングでユーザが使用する端末であることも好ましい。
【0017】
本発明の売買情報仲介サーバにおける他の実施形態によれば、
事業者識別子毎に、事業者が所望する売買属性情報を記憶した事業者情報テーブルを更に有し、
事業者選択手段は、事業者情報テーブルを用いて、売買属性情報を所望する事業者の事業者識別子を選択することも好ましい。
【0018】
本発明の売買情報仲介サーバにおける他の実施形態によれば、
店舗識別子毎に、店舗情報を記憶した店舗情報テーブルを更に有し、
売買属性情報には、店舗情報の一部を更に含むことも好ましい。
【0019】
本発明の売買情報仲介サーバにおける他の実施形態によれば、
売買属性情報として、商品役務属性、ユーザ属性、店舗属性、店舗位置及び/又は決済金額を含むことも好ましい。
【0020】
本発明によれば、端末と、ユーザの売買情報の取得を所望する事業者サーバとの間で通信可能なサーバに搭載されたコンピュータを機能させる売買情報仲介プログラムであって、
ユーザの決済時に、端末から、売買情報を受信する売買情報受信手段と、
当該売買情報の取得を所望する事業者サーバの事業者識別子を選択する事業者選択手段と、
売買情報の一部を表す売買属性情報を、選択された1つ以上の事業者識別子に基づく事業者サーバへ、同報的に送信する売買属性情報同報手段と、
1つ以上の事業者サーバから誘因情報を受信し、当該誘因情報を、端末へ転送する誘因情報転送手段と
してコンピュータを機能させることを特徴とする。
【0021】
本発明によれば、端末と、ユーザの売買情報の取得を所望する事業者サーバと、売買情報仲介サーバとがネットワークを介して接続されたシステムの売買情報仲介方法であって、
端末が、ユーザの決済時に、売買情報仲介サーバへ、売買情報を送信する第1のステップと、
売買情報仲介サーバが、当該売買情報の取得を所望する事業者サーバの事業者識別子を選択する第2のステップと、
売買情報仲介サーバが、売買情報の一部を表す売買属性情報を、選択された1つ以上の事業者識別子に基づく事業者サーバへ、同報的に送信する第3のステップと、
1つ以上の事業者サーバが、誘因情報を、売買情報仲介サーバへ送信し、売買情報仲介サーバが、誘因情報を、端末へ転送する第4のステップと
を実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明の売買情報仲介サーバ、プログラム及び方法によれば、ユーザが自ら、商品役務の売買情報を、複数の事業者の中から自らに有益な事業者を選択して提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】従来技術におけるシステム構成図である。
図2】本発明におけるシステム構成図である。
図3】本発明における売買情報仲介サーバの機能構成図である。
図4】本発明におけるシーケンス図である。
図5】本発明におけるユーザの売買情報を転送する際に機能する構成図である。
図6】本発明におけるユーザが誘因情報を承認した際に機能する構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0025】
図2は、本発明におけるシステム構成図である。
【0026】
図2のシステムによれば、従来技術としての図1と比較して、売買情報仲介サーバ1がネットワークに接続されている。売買情報仲介サーバ1は、店舗に配置されたPOS端末2と、複数の事業者サーバ3との間で通信する。
事業者サーバ3は、ユーザの売買情報の取得を所望する事業者によって運用管理される。例えば図1の場合、店舗に設置されたPOS端末2と、専用事業者サーバ3とは両方とも、同一の事業者によって運用管理されることが想定されている。これに対し、図2の場合、様々な事業者がユーザの売買情報を収集することを想定しており、ビッグデータの相互活用としての用途がある。
【0027】
尚、本発明の実施形態によれば、実店舗を想定して、端末は、店舗に配置されたPOS端末であるとして説明する。しかしながら、オンラインショッピングを想定して、端末は、ユーザが使用するパーソナルコンピュータやタブレット端末、スマートフォンであってもよい。店舗は、実店舗であっても、オンラインであっても、同様に想定することができる。
【0028】
図3は、本発明における売買情報仲介サーバの機能構成図である。
【0029】
図3によれば、売買情報仲介サーバ1は、店舗情報テーブル101と、事業者情報テーブル102と、売買情報受信部11と、事業者選択部12と、売買属性情報同報部13と、誘因情報転送部14と、承認応答受信部15と、売買情報送信部16とを有する。これら機能構成部は、サーバに搭載されたコンピュータを機能させるプログラムを実行することによって実現できる。また、これら機能構成部の処理の流れは、決済仲介方法としても理解できる。
【0030】
図4は、本発明におけるシーケンス図である。
図5は、本発明におけるユーザの売買情報を転送する際に機能する構成図である。
図6は、本発明におけるユーザが誘因情報を承認した際に機能する構成図である。
以下では、図4のシーケンスの順に、図5及び図6の売買情報仲介サーバにおける各機能部と対応付けて説明する。
【0031】
[店舗情報テーブル101]
店舗情報テーブル101は、「店舗ID(IDentifier)」毎に、「店舗情報」を記憶する。
【0032】
図5によれば、店舗情報としては、例えば「店舗種別」「店舗位置」(住所や緯度経度)が記憶されている。
[店舗ID][店舗種別][位置]
店舗IDS001は、化粧品店であって、千代田区に位置するとする。
店舗IDS002は、コンビニであって、千代田区に位置するとする。
店舗IDS003は、居酒屋であって、銀座に位置するとする。
店舗IDS004は、コンビニであって、新宿区に位置するとする。
【0033】
[事業者情報テーブル102]
事業者情報テーブル102は、「事業者ID」毎に、事業者が所望する「売買属性情報」を記憶する。
また、売買属性情報としては、商品役務属性、ユーザ属性、店舗属性、店舗位置及び/又は決済金額であってもよい。これは、事業者が収集を所望する売買情報に基づく。
商品役務属性:ユーザの決済に起因する商品役務の属性
ユーザ属性 :決済するユーザのプロファイル(例えば年代性別)
店舗属性 :ユーザが決済する店舗のプロファイル
店舗位置 :住所、緯度経度又は地図メッシュID
【0034】
図5によれば、各事業者は、以下のような売買情報の収集を所望している。
事業者C001は、「千代田区」に位置する店舗における売買情報を収集することを所望している。
事業者C002は、「コンビニ」における売買情報を収集することを所望している。
事業者C003は、「銀座」に位置する店舗における売買情報を収集することを所望している。
事業者C004は、「千代田区」に位置する「コンビニ」における売買情報を収集することを所望している。
【0035】
<S1:第1のステップ>
[売買情報受信部11]
売買情報仲介サーバ1の売買情報受信部11は、ユーザの決済時に、POS端末2から「売買情報」を受信する。その売買情報は、事業者選択部12へ出力される。
【0036】
(S11)店舗S002に配置されたPOS端末2は、ユーザの決済時における「売買情報」を作成する。図4によれば、売買情報としては、例えば以下のようなものである。
(ユーザ属性)20代・男性、am8:30
(商品役務属性)サンドイッチ:¥450
コーヒー :¥300
ヨーグルト :¥250
【0037】
POS端末2は、ユーザに対して、自らの「売買情報」を提供しても良いか否かを確認する。図4によれば、POS端末2は、ユーザに対して例えば以下のように表示している。
「料金は、¥1,080です。
貴方の売買情報を提供してもよろしいですか?[YES][NO]」
【0038】
(S12)ユーザが売買情報の提供可(YES)と選択した場合、POS端末2は、「売買情報」を、売買情報仲介サーバ1へ送信する。
【0039】
<S2:第2のステップ>
[事業者選択部12]
売買情報仲介サーバ1の事業者選択部12は、売買情報を受信した際に、当該売買情報の取得を所望する事業者サーバの事業者IDを選択する。
【0040】
図5によれば、事業者選択部12は、売買情報を受信した際に、店舗情報テーブル101を用いて当該店舗S002の店舗情報を検索する。
店舗S002:店舗種別「コンビニ」、位置「千代田区」
【0041】
次に、事業者選択部12は、事業者情報テーブル102を用いて、その売買情報を所望する事業者の事業者IDを選択する。図5によれば、以下のように事業者C001、C002、C004が選択される。
(店舗S002 :店舗種別「コンビニ」、位置「千代田区」)
事業者C001:店舗種別「×」 、位置「千代田区」
事業者C002:店舗種別「コンビニ」、位置「×」
事業者C004:店舗種別「コンビニ」、位置「千代田区」
但し、事業者C003は、位置「銀座」について所望しているために、ここでは選択されない。
【0042】
<S3:第3のステップ>
[売買属性情報同報部13]
売買情報仲介サーバ1の売買属性情報同報部13は、売買情報(及び/又は店舗情報)の一部を表す売買属性情報を、選択された1つ以上の事業者IDに基づく事業者サーバへ、同報的に送信する。
【0043】
(S31)図5によれば、売買情報仲介サーバ1は、例えば以下のような売買属性情報を作成している。
(ユーザ属性)20代・男性
(店舗種別) コンビニ
(店舗位置) 千代田区
売買属性情報は、複数の事業者サーバ3にとって、ユーザの売買情報の取得を所望するか否かの判断材料となるものである。
【0044】
(S32)売買情報仲介サーバ1は、選択された1つ以上の事業者IDに基づく事業者サーバ3へ、同報的に送信する。図5によれば、事業者サーバC001、C002、C004へ同報的に送信される。
【0045】
売買属性情報を受信した事業者サーバC001、C002、C004は、どのようなユーザが(又はどのような店舗で)決済しようとしているかを知ることができる。
【0046】
図6によれば、各事業者は、以下のような売買情報を取得したいとする。
事業者サーバC001は、例えば30代・女性の売買情報を取得したい
事業者サーバC002は、例えば20代の売買情報を取得したい
事業者サーバC004は、例えば男性の売買情報を取得したい
このとき、事業者サーバC001は、図5の売買属性情報を受信した際に、そのユーザに対して誘因情報を送信する必要はないと判断する。一方で、事業者サーバC002及びC004は、そのユーザに対して誘因情報を送信したいと判断する。
このように、事業者サーバ3は、自らのポリシに応じて、ユーザの決済毎に、誘因情報を提案することができる。
【0047】
<S4:第4のステップ>
事業者サーバ3は、受信した売買属性情報に応じて、自らのポリシと照合して、決済しようとしているユーザに対する「誘因情報(報酬やインセンティブ)」を決定する。
「誘因情報」は、商品又は役務の譲渡又は譲受における売買の際に、ユーザにとって利益となるであろう情報であって、例えば以下のようなものがある。
クーポン、ポイント還元率、又は、値引き
これは、事業者サーバ毎に自らのポリシに応じたリアルタイム入札(Real-Time Bidding)に基づくものである
【0048】
(S4)事業者サーバ3は、「誘因情報」を、売買情報仲介サーバ1へ返信する。ここで、事業者サーバC002及びC004は、例えば以下のような誘因情報を、売買情報仲介サーバ1へ送信したとする。
事業者サーバC002の誘因情報:「50円クーポン」
事業者サーバC004の誘因情報:「10%値引」
【0049】
[誘因情報転送部14]
売買情報仲介サーバ1の誘因情報転送部14は、1つ以上の事業者サーバ3から誘因情報を受信し、当該誘因情報を、POS端末2へ転送する。
【0050】
図6によれば、POS端末2のディスプレイには、1つ以上の事業者サーバ3から受信した誘因情報が表示される。
このとき、ユーザにとって有益と想定される順にソートして表示されるものであってもよい。例えばクーポンや値引きの場合、その還元率が高い誘因情報から降順に表示されるものであってもよい。また、くじの場合、クーポンや値引きと比較して、後順に表示されてもよい。
【0051】
<S5:第5のステップ>
ユーザは、POS端末2に表示された事業者サーバ3毎の報酬又はインセンティブの中から、いずれかの事業者を選択する。一般的には、ユーザにとって有益な順にソートされている場合、最も上位に表示された誘因情報が選択される。図6によれば、10%割引を提示した事業者C004が、ユーザによって選択されている。
(S51)このとき、POS端末2は、事業者IDC004を含む承認応答を、売買情報仲介サーバ1へ送信する。
【0052】
[承認応答受信部15]
売買情報仲介サーバ1の承認応答受信部15は、ユーザによって選択された事業者IDを含む承認応答を受信する。承認応答に基づく事業者IDは、売買情報送信部16へ出力される。
【0053】
[売買情報送信部16]
売買情報仲介サーバ1の売買情報送信部16は、承認応答を受信した際に、当該事業者IDに基づく事業者サーバへ、「売買情報」を送信する。
(S52)図6によれば、売買情報仲介サーバ1は、事業者C004へ、売買情報(ユーザの決済に基づく全ての情報)を送信する。
これによって、事業者C004の事業者サーバは、そのユーザの売買情報を取得することができる。
【0054】
尚、他の実施形態として、売買情報仲介サーバ1は、ユーザに選択された事業者C004の事業者サーバに対して、仲介料を課金することができる。
【0055】
以上、詳細に説明したように、本発明の売買情報仲介サーバ、プログラム及び方法によれば、ユーザが自ら、商品役務の売買情報を、複数の事業者の中から自らに有益な事業者を選択して提供することができる。
【0056】
本発明によれば、ユーザの売買情報の取得を所望する事業者としては、ユーザ毎に異なる報酬又はインセンティブを与えて入札することができ、自らの売買情報を提供するユーザとしては、複数の事業者の中から、自らに最も有益となる報酬又はインセンティブを提供してくれる事業者を選択することができる。
【0057】
前述した本発明の種々の実施形態について、本発明の技術思想及び見地の範囲の種々の変更、修正及び省略は、当業者によれば容易に行うことができる。前述の説明はあくまで例であって、何ら制約しようとするものではない。本発明は、特許請求の範囲及びその均等物として限定するものにのみ制約される。
【符号の説明】
【0058】
1 売買情報仲介サーバ
101 店舗情報テーブル
102 事業者情報テーブル
11 売買情報受信部
12 事業者選択部
13 売買属性情報同報部
14 誘因情報転送部
15 承認応答受信部
16 売買情報送信部
2 POS端末
3 事業者サーバ
4 専用事業者サーバ

図1
図2
図3
図4
図5
図6