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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-04
(45)【発行日】2022-01-20
(54)【発明の名称】風力タービンシステム
(51)【国際特許分類】
   F03D 13/20 20160101AFI20220113BHJP
   F03D 3/02 20060101ALI20220113BHJP
   F03D 3/06 20060101ALI20220113BHJP
   H02K 7/18 20060101ALI20220113BHJP
【FI】
F03D13/20
F03D3/02 B
F03D3/06 A
H02K7/18 A
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019553290
(86)(22)【出願日】2018-03-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-05-28
(86)【国際出願番号】 GB2018050857
(87)【国際公開番号】W WO2018178701
(87)【国際公開日】2018-10-04
【審査請求日】2019-11-22
(31)【優先権主張番号】1705159.0
(32)【優先日】2017-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】513141957
【氏名又は名称】スピネティック エナジー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】ロッドウェイ ジャイルズ
(72)【発明者】
【氏名】ジョアキム クルト ジョセフ
【審査官】上野 力
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-527361(JP,A)
【文献】特開2002-310057(JP,A)
【文献】特開2008-128003(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03D 13/20
F03D 3/02
F03D 3/06
H02K 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
風力タービンシステムであって、
複数のモジュールであって、それぞれのモジュールが、フレームと、前記フレームによって支持される少なくとも1つの風力タービンと、を備える、複数のモジュールを備え、
それぞれのモジュールが第1導電性部材のセットを備え、
それぞれのモジュールが第2導電性部材のセットを備え、
第1導電性部材の1つは、少なくとも1つのタービンの発電機の端子に取り付けられ、別の第1導電性部材は、発電機の別の端子に取り付けられ、第1導電性部材のセットが、タービンによって生じた電気を集めるように構成された収集回路を形成するようになっており、
第2導電性部材のセットは、隣り合うモジュールの第2導電性部材のセットに接続され、伝送回路を形成する第2導電性部材の連結ストリングを形成し、
第1導電性部材のセットは、収集回路から集められた電気を、伝送回路を形成する第2導電性部材の連結ストリングに沿った伝送用の伝送回路を形成する第2導電性部材の連結ストリングに供給するように、伝送回路を形成する第2導電性部材のセットに接続され、
第1導電性部材の少なくとも1つおよび第2導電性部材の少なくとも1つは、前記少なくとも1つのタービンを支持するフレームの構造レールを形成し、収集回路によって通電される電流および/または電圧は、伝送回路によって通電される電流および/または電圧とは異なる、風力タービンシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであって、第1導電性部材のセットは、1つ以上の隣り合うモジュールの第1導電性部材のセットに接続され、第1導電性部材の連結ストリングを形成する、システム。
【請求項3】
請求項2に記載のシステムであって、第1導電性部材の連結ストリングは、第2導電性部材の連結ストリングを形成する複数のモジュールのサブセットによって形成される、システム。
【請求項4】
請求項2または3に記載のシステムであって、第2導電性部材の連結ストリングを形成する複数のモジュールは、第1導電性部材の複数の別々の連結ストリングおよび従って複数の収集回路を形成する、システム。
【請求項5】
請求項4に記載のシステムであって、第1導電性部材の別々の連結ストリングは、モジュールの対によって形成される、システム。
【請求項6】
請求項4または5に記載のシステムであって、隣り合うモジュールの第1導電性部材は、直列に接続される、システム。
【請求項7】
請求項6に記載のシステムであって、第1導電性部材のセットは、帰路部材を備える、システム。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載のシステムであって、第1導電性部材のセットは、1つ以上の電力コンバータを介して第2導電性部材のセットに接続される、システム。
【請求項9】
請求項8に記載のシステムであって、前記電力コンバータは、インバータ、変圧器またはDC/DCコンバータである、システム。
【請求項10】
請求項8または9に記載のシステムであって、前記電力コンバータは、複数のモジュールによって形成された収集回路から集められた電気を受け取る、システム。
【請求項11】
請求項8から10のいずれか1項に記載のシステムであって、前記電力コンバータは、選択的に起動可能である、システム。
【請求項12】
請求項11に記載のシステムであって、前記電力コンバータは、1つまたは複数のタービンによって供給される電圧または電流、または風速に基づいて、起動される、システム。
【請求項13】
請求項11または12に記載のシステムであって、前記システムは、複数の前記電力コンバータを備え、前記電力コンバータは、異なる負荷容量を有する、システム。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか1項に記載のシステムであって、第1および/または第2導電性部材のセットは、多相源の別々の相を通電するように構成される3つ以上の部材を備える、システム。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか1項に記載のシステムであって、第1導電性部材のセットと第2導電性部材のセットとの間の接続および/または隣り合うモジュールの第1および/または第2導電性部材のセットの間の接続は、複数の構成を備えてよく、前記システムは、接続の複数の構成を切り替えるように構成された制御装置をさらに備える、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風力タービンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの風力タービンを、変電所を介してエンドユーザーまたは電力供給網に送られ得る集電ラインに接続することが、知られている。例えば、特許文献1は、複数の相互接続パネルモジュール(「ウインドパネル」と称される)を備えるモジュラーシステムを記載している。それぞれのモジュールは、複数の風力タービン/発電機ユニットを支持するフレームを備える。フレームは、導電性構造部材、例えば上部および下部部材、によって形成される。導電性構造部材は、タービン/発電機ユニットを機械的に支持するだけでなく、タービン/発電機ユニットによって生成された電力を通電する回路を形成もする。モジュールは、消費または前方への伝送の終点に電力を伝送する連結ウインドパネルのネットワークを形成するように、電気的に接続されてよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】英国特許第2476126号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、よりフレキシブルな電気ネットワークを提供するシステムが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の態様に従って、風力タービンシステムが提供され、その風力タービンは、複数のモジュールであって、それぞれのモジュールが、フレームと、前記のフレームによって支持される少なくとも1つの風力タービンと、を備える、複数のモジュールと、第1導電性部材のセットと、第2導電性部材のセットと、を備え、第1導電性部材の1つは、少なくとも1つのタービンの発電機の端子に取り付けられ、別の第1導電性部材は、発電機の別の端子に取り付けられ、第1導電性部材のセットが、タービンによって生じた電気を集めるように構成された収集回路を形成するようになっており、第2導電性部材のセットは、隣り合うモジュールの第2導電性部材のセットに接続され、伝送回路を形成する第2導電性部材の連結ストリングを形成し、第1導電性部材のセットは、収集回路から集められた電気を、第2導電性部材の連結ストリングに沿った伝送用の伝送回路に供給するように、第2導電性部材のセットに接続され、第1導電性部材の少なくとも1つおよび第2導電性部材の少なくとも1つは、前記の少なくとも1つのタービンを支持するフレームの構造レールを形成する。
【0006】
第1導電性部材のセットは、1つ以上の隣り合うモジュールの第1導電性部材のセットに接続されてよく、第1導電性部材の連結ストリングを形成する。
【0007】
第1導電性部材の連結ストリングは、第2導電性部材の連結ストリングを形成するモジュールのサブセットによって形成されてよい。
【0008】
第2導電性部材の連結ストリングを形成するモジュールは、第1導電性部材の複数の別の連結ストリングおよび従って複数の収集回路を形成してよい。
【0009】
第1導電性部材の別の連結ストリングは、モジュールの対によって形成されてよい。
【0010】
隣り合うモジュールの第1導電性部材は、直列に接続されてよい。
【0011】
第1導電性部材のセットは、帰路部材を備えてよい。
【0012】
そのまたはそれぞれの収集回路および伝送回路は、異なる種類の電流および/または異なる電圧を通電してよい。
【0013】
第1導電性部材のセットは、1つ以上の電力コンバータを介して第2導電性部材のセットに接続されてよい。
【0014】
そのまたはそれぞれの電力コンバータは、インバータ、変圧器またはDC/DCコンバータであってよい。
【0015】
そのまたはそれぞれの電力コンバータは、複数のモジュールによって形成された収集回路から集められた電気を受け取ってよい。
【0016】
そのまたはそれぞれの電力コンバータは、選択的に起動可能であってよい。
【0017】
そのまたはそれぞれの電力コンバータは、1つまたは複数のタービンによって供給される電圧または電流(すなわち、タービン(単数または複数)によって生じる負荷)、または風速に基づいて、起動されてよい。
【0018】
システムは、複数の前記の電力コンバータを備えてよく、電力コンバータは、異なる負荷容量を有してよい。
【0019】
第1および/または第2導電性部材のセットは、多相源の別の相を通電するように構成される3つ以上の部材を備えてよい。
【0020】
第1導電性部材のセットと第2導電性部材のセットとの間の接続および/または隣り合うモジュールの第1および/または第2導電性部材のセットの間の接続は、複数の構成を備えてよく、システムは、接続の複数の構成を切り替えるように構成された制御装置を、さらに備えてよい。
【0021】
発明のより良い理解のために、および発明がどのように実施されるかをより明確に示すために、例として、添付図面が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】発明の実施形態によるシステムの風力タービンモジュールの斜視図であり、レールは一方が他方の上に配置されている。
図2】発明の実施形態によるシステムの風力タービンモジュールの斜視図であり、レールは横並びで配置されている。
図3】発明の実施形態によるシステムの別の風力タービンモジュールの前面図であり、発電機を下部レールに接続するのにケーブルが使用されている。
図4】DC/DCコンバータを利用する発明の実施形態によるシステムの別の風力タービンモジュールの前面図である。
図5】三相インバータを利用する発明の実施形態によるシステムの別の風力タービンモジュールの前面図である。
図6図1のモジュールを使用して形成された風力タービンシステムの前面図である。
図7図5のモジュールを使用して形成された風力タービンシステムの前面図である。
図8図1のモジュールを使用して形成された別の風力タービンシステムの前面図であり、モジュールの下部レールが接続されている。
図9】発明の実施形態による別の風力タービンシステムの前面図であり、下部レールが別の帰路を有して直列に接続されている。
図10】発明の実施形態による別の風力タービンシステムの前面図であり、下部レールが別の帰路なしに直列に接続されている。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、風力タービンモジュール2(「ウインドパネル」とも称される)を示し、それは、発明の実施形態(以下でさらに説明される)による風力タービンシステムの一部を形成し得る。
【0024】
モジュール2は、直立レール6a,6bの対によって接続される導電性構造レール4a,4bの下部対および導電性構造レール5a,5bの上部対によって形成されるフレームを備える。
【0025】
レール4の下部対4は、一般に水平(または地面に平行)であり、他方の上に位置する一方のレールと互いに平行である。下部対4は、従って、下部レール4aおよび上部レール4bを形成する。上部レール5も、このように配置され、下部レール5aおよび上部レール5bを形成する。下部および上部対4,5も、従って互いに平行である。直立レール6a,6bは、一般に垂直方向に延び、下部対4と上部対5との間のタイを形成する。従って、上部および下部対4,5のレールは、ほぼ垂直に配向する単一平面に全てある。
【0026】
下部対4の下部および上部レール4a,4bは、複数の絶縁スペーサ要素7によって互いから切り離されている。上部対5の下部および上部レール5a,5bも、絶縁スペーサ要素7によって切り離されている。示されるように、絶縁スペーサ要素7は、下部および上部対4,5の両方の下部および上部レールのいずれかの端部に設けられてよく、直立レール6a,6bは、これらの絶縁スペーサ要素7を介して下部および上部対4,5を接続してよい。さらに、絶縁スペーサ要素7は、レールの長さに沿って間隔を置いて設けられてよい(3つが示されている)。下部および上部対4,5のそれぞれの下部および上部レールは、従って互いから電気的に絶縁される。
【0027】
レールの下部対4と上部対5との間のフレーム内に配置されるのは、複数の垂直軸風力タービン8である(4つが示されているが、この数は変わり得る)。それぞれのタービン8は、回転ブレード部10および発電機12を備える。ブレード部10の輪郭は、図示のものと異なってよい。ブレード輪郭は、例えば、様々な公知の2ブレードまたは3ブレード設計から選択されてよいが、好ましくは、「自動スタート可能な」設計であり、タービン8が、駆動モータが期待通りの速さでそれを回転させる初期要求なしに、風流れのみから回転のその最適稼働率に到達することができるようになっている。ブレード部10の適切な輪郭の例は、米国特許第5,494,407号に記載されている。この輪郭は、比較的効率的、頑丈であり、例えば、アルミニウムまたはアルミニウム合金から形成される軽量シート材料から構成するのが簡単である。
【0028】
モジュール2内のタービン8の位置および間隔は、調節可能であってよい。これは、モジュールが特定の設置場所にカスタマイズされることを可能にし得る。特に、レール4,5には、タービン8が離散的な位置の範囲で位置することを可能にする複数の穴が設けられてよい。代替的に、タービン8は、レール4,5に沿って所望の位置に固定することができるスライドブロックまたはクランプに取り付けられてよい。
【0029】
発電機12は、下部対4の上部レール4bと、ブレード部10との間に位置し、ブレード部10は、その上端で上部対5の下部レール5aに回転可能に連結する。発電機12は、共に回転するブレード部10に接続されるロータ(図示せず)と、ロータに対して静止しているステータ(図示せず)と、を備える。発電機12は、軸方向または径方向磁束発電機であってよい。特に、発電機12は、直流(DC)出力を生じさせるように整流器を備える永久磁石オルタネータユニットであってよい。ロータは、一連の磁石を備えてよく、ステータは、一連の発生コイルを備えてよく、ロータとステータとの間の相対的回転がコイルに電流を生じさせる。
【0030】
発電機12のステータの出力端子は、レールの下部対4に接続される。特に、ステータの負極端子は、下部レール4aに接続され、正極端子は、下部対4の上部レール4bに接続される。電気的接続は、コネクタ14を介してなされてよく、コネクタ14は、中心ピンまたはロッドおよび外側スリーブを備え、外側スリーブは、中心ピンを受け取るが、それから電気的に絶縁される。中心ピンは、ステータの負極出力に接続され、外側スリーブは、ステータの正極出力に接続される。
【0031】
中心ピンは、外側スリーブよりも大きい軸方向長さを有し、中心ピンの一部が外側スリーブ外に延びるようになっている。中心ピンは、下部対4の下部レール4aに形成された開口と係合し、外側スリーブは、下部対4の上部レール4bに形成された開口と係合し、別々の電気的接続を形成する。前述のように、下部および上部レール4a,4bは、互いに電気的に絶縁され、それぞれ、そのように別々の負極および正極レールを形成する。
【0032】
示されるように、単相インバータ16は、レールの下部対4と上部対5との間に設けられる。特に、インバータ16の負極および正極入力端子は、下部対4の下部および上部レール4a,4bに接続される。インバータ16は、従って発電機12の直流出力を受け取る。インバータ16の出力端子は、上部対5の下部および上部レール5a,5bに接続される。インバータは、発電機12の直流出力を交流出力に変換する。レールの下部対および上部対4,5は、このように異なる2つの回路またはネットワークを形成し、それは、直流を通電する下部対4および交流を通電する上部対5で異なるモードで動作する。
【0033】
導電性構造レールは、一連の個々のウインドタービンを物理的に支持すること、および発電機により作られた電力を送ることの、機能を兼ね備える。
【0034】
図2に示されるように、導電性レールの下部対4は、レール4a,4bが他方の上に一方ではなく横並びで提供されるように、配置されてよい。同様に、上部対5のレール5a,5bは、横並びで配置されてよい。
【0035】
図3は、代替配置を示し、発電機12の出力端子が、コネクタ14の代わりに短い接続ケーブルを介して下部対4の下部および上部レール4a,4bに接続されている。
【0036】
図4の例では、DC/DCコンバータ416が、インバータ16の代わりに使用されている。DC/DCコンバータは、インバータと同じ方法で配置され、負極および正極入力端子が下部対4の下部および上部レール4a,4bに接続され、正極および負極出力端子が上部対5の下部および上部レール5a,5bに接続されている。DC/DCコンバータ416は、発電機12の直流出力を高電圧直流出力に変換する。
【0037】
図5の例では、三相インバータ516が使用されている。従って、フレームは、インバータ516の各出力に接続される3つの上部レール505a,505b,505cを備える。当然のことながら、いくつもの導電性構造レールが、多相出力の相数に対応するように使用されてよい。
【0038】
前述の複数のモジュールは、特許文献1に記載されるように、ウインドフェンスを形成するようにウインドフェンスの個々のモジュールは、それらが卓越風に垂直であるように、配置されてよい。モジュールは、景観の地形を構成するようにも配置されてよい。
【0039】
図6から10は、前述のモジュールを使用して形成されたウインドフェンス(それ以外にはウインドタービンシステムと称される)を示す。個々のモジュール間に形成された電気的接続は、ウインドフェンスのそれぞれで異なり、以下で詳細に説明されるように、ある利益を提供するように設計される。
【0040】
図6のウインドフェンスは、図1に関して前述したように、複数のモジュール2によって形成される。それぞれのモジュール2のレールの上部対5は、隣り合うモジュール(単数または複数)2のレールの上部対5に並列に電気的に接続される。レールの上部対5は、従って、レールの連結ストリングを形成するように接続される。レール5は、図に示すように、短いフレキシブルジャンパケーブル、または短い構造接続レールなど、適切な方法で接続されてよい。
【0041】
対照的に、レールの下部対4は、全て互いに接続されるとは限らない。代わりに、短い続きが、並列に電気的に接続されるレールの下部対を有するが、いずれかの側で隣り合うモジュール2から絶縁している、モジュール2から形成される。特に、図6に示されるように、モジュール2の隣り合う対のレールの下部対4は、互いに電気的に接続される。モジュール2の各対のレールの下部対4は、いずれかの側にある隣り合う対から電気的に絶縁される。
【0042】
結果的に、レールの上部対5は、長い続きで接続され、レールの下部対4は、ウインドフェンスの複数のモジュール2のサブセットにより形成されるより短い続きで接続される。示されるように、モジュール2の各対の1つには、単相インバータ16が設けられる。前述のように、単相インバータ16は、レールの下部対4と上部対5との間に設けられる。インバータ16は、このように両モジュール2の発電機12の直流出力を受け取り、交流出力に変換する。
【0043】
インバータ16は、高電圧であるが、低電流交流を、上部レール5に供給する。インバータ16は、「グリッドタイ」タイプであり、それらが交流電気を互いに同相で生じさせるようになっている。
【0044】
図7に示されるように、三相インバータ516(図5に示されるモジュールの通り)は、連結下部レール4の短いストリングに沿って接続された発電機12の直流出力を、連結上部レール5のより長いストリングに供給される三相交流出力に変換するのに使用され得る。
【0045】
当然のことながら、上部レール5のストリングは、1つ以上のモジュール2の下部レール4からの出力によって供給され、前述の対配置に限定されない。下部レール4が接続されるモジュール2の数は、発生する系統電流、レール材、長さ、断面積等によって決まり得る。
【0046】
代替的に、上部レール5の高電圧直流出力が当該システム用の交流に好ましかったら、DC/DCコンバータを、インバータの代わりに使用することができる(図4に関して記載したように)。
【0047】
ウインドフェンスのモジュール2の全てについて上部レール5が互いに接続される必要はなく、上部レール5のいくつかの短い続きが形成されてよい。これらの続きは、しかしながら、発電機12によって供給される下部レールの続きよりも長くてよい。
【0048】
レールの下部対4は、代わりに単相交流電力を通電してよい(非整流交流発電機出力が使用される場合、何らかの形での同期が採用され、発電機出力が互いに同相であることを確実にする)、または2より多いレールを使用する多相交流電力を通電してよい。
【0049】
下部または上部レール対の電流が直流か交流かにかかわらず、システムの低電圧、高電流セクションの長さ(従ってそれらに供給する発電機の数)を限定することによって、上記の構成は、過度の高電流がレールの下部対4に蓄積するのを防ぐ。この配置は、従ってシステムのこれらの低電圧部品の過度の抵抗損または過熱を回避する。システムの高電圧部品は、同じ動力伝達についてより少ない電流レベルで動作し、従って、高電圧を通電するレールの上部対5の電気的に相互接続された続きは、より長くてよく、抵抗損または過熱が容認できなくなる前に、より多い電力を通電し得る(すなわち、十分に高い電圧に最初に昇圧されるならば、それらは多数の低電圧セクションからの電力出力を通電することができる)。例えば、レールの下部対4が、50Vの電圧で動作し、100Aの容量を通電する電流を有し、レールの上部対5が500Vで動作する場合、接続される上部レール5の続きは、それらが100A容量に達するまで、下部レール4の続きの10倍であることができる。
【0050】
図8は、複数のモジュール2によって形成される別のウインドフェンスを示している。図8のウインドフェンスは、2つのモジュールのブロックの代わりに、レールの下部対4が、隣り合うモジュール(単数または複数)2のレールの下部対4と並列に電気接続もし、レールの連結ストリングを形成することを除けば、図6のウインドフェンスと類似している。しかしながら、図6のシステムのように、1つおきのモジュール2にインバータ16が設けられ、それは、下部レール4のストリングに沿った一定の間隔で電流を引き抜く。結果的に、下部レール4のストリングの部分に沿った電流の過度の蓄積がない。
【0051】
この構成は、インバータ16が故障したとすれば、隣り合うインバータ16が、ほとんどの動作状況下で、故障したインバータ16によって通常提供されるモジュール2の続きからの電力出力を、依然として受容および変換することができる、という利点を有する。それは、低風速状況について、インバータ16のいくつかは、意図的に全てがオフにされてよく、使用可能な状態のままであるインバータが、より多くのタービン8からの電力出力を扱うことができるようになる、というさらなる利点を有する。インバータは、それらの定格出力のより高い割合で動作するときに、典型的により効率的であり、従って、これは、そのような状況下でシステムの効率を向上させ得る。それは、異なる種類のまたは異なってプログラムされたインバータが、高負荷状況下で電力出力を扱うものからの低負荷状況下での電力出力を扱うことができることを、可能にもし得る。同様に、他のシステムは、全てのレールの下部対4が共に結合されるときに、異なる動作状況下でスイッチインまたはスイッチアウトされてよい(電池貯蔵、DC/DCコンバータ、抵抗ダンプ負荷等)。電力コンバータまたは他のシステムは、閾値を超えるいくつかのモジュールにわたるまたはモジュール内の複数のタービン、個々のタービンによって供給される電圧または電流に基づいて、または、風速などの、いくつかの他のパラメータに基づいて、選択的に作動(すなわち、スイッチオンまたはオフ)されてよい。レールの下部対4は、直流電力を通電するのに加えて、制御信号を伝えることができ、従ってインバータおよび他の機器が直接制御されることを可能にする。そのような信号は、レールの上部対5によっても伝えられることができる。
【0052】
図9は、レールの下部対4が、前述のように並列に接続されるのではなく、直列に接続されるシステムを、示している。図9に示されている例では、4つの隣り合うモジュール2のレールの下部対4が、直列に接続されている。これを可能にするために、追加のリターンレール4c(または他の導体)が提供され、モジュール2は、その近隣と同期される直流出力または交流出力を生成する。下部対4の負極下部レール4aは、隣り合うモジュールの下部対4の正極上部レール4bに接続される。これは、下部対4の負極下部レール4aがリターンレール4cに接続される、直列の最終モジュール2まで、繰り返される。インバータ16の負極入力は、このリターンレール4cに接続される。
【0053】
この直列接続構成は、各インバータ16に供給される電圧が上げられ、従って、直列接続発電機12のストリングからの全電圧出力が、当該インバータ16の許容入力電圧範囲内であることを可能にする一方で、下部電圧発生器12が各モジュール2内で使用されてよい、という利点を有する。
【0054】
レールの上部対5は、インバータまたは他の電力コンバータなしに、直列接続下部レール4のストリングからの出力によって直接供給されてよい。結果として、レールの下部および上部対4,5によって通電される電流は、同じタイプである(すなわち、直流または交流)。レールの上部対が交流電力を通電することを可能にするために、モジュール2は、同期交流出力を提供するように、機械的にまたは電気的に制御されてよい。電力コンバータを必要としない、図10に示されるように、リターンレールまたはケーブルは、直列の最終モジュール2の下部対4の負極下部レール4aを、上部対5の下部レール5aに直接に接続することによって、省略することができる。
【0055】
上記のシステムの上部および下部レール4,5によって形成される独立回路は、電力が一方の回路から他方に供給される仕方に基づく様々な特徴を提供するのに使用され得る(例えば、使用される電力コンバータの種類またはモジュールが接続される仕方に応じて)。
【0056】
特に、発明は、
(i)高電圧および従って低電流を提供するように、個々のモジュールまたは電気的に相互接続されたモジュールの短いストリングからの電圧出力を昇圧させ、従って電気的に相互接続されたモジュールの長いストリング内の動力伝達損失を最小限に抑える、能力;
(ii)電気的に相互接続されたモジュールのストリング内の別々のレールで直流および交流を通電する能力;および/または
(iii)モジュールの分岐/相互接続ネットワークまたは長い線状の続きから都合よく電力を集めながら、例えば、個々に制御されるインバータを介して、モジュールの短い続きの出力を最適化する手段、
を提供し得る。
【0057】
配置は、一方の回路(直接発電機に接続する)が電力の短距離伝送に利用されることができるようにし、他方の回路が、より長い、または全ての、パネルのネットワークまたは続きに沿った、電力のより長い距離の伝送に利用されることができるようにする。回路は、従って収集回路および配電または伝送回路として働き得る。導電性レールは、パネルを形成するようにタービンを機械的に支持することができる構造フレームの一部を形成もする。これは、ケーブル敷設の長い続きの複雑さおよび追加費用を回避しながら、およびケーブル取付およびトレンチ作業を回避しながら、上記の風力タービン自体を支持する構造フレームワークのより完全な使用および再設計によって、実現する。
【0058】
図示されていないが、上記のシステムには、スイッチまたはリレーなどの、アクティブ制御装置が設けられてよく、それは、下部レールと上部レールとの間のおよび隣り合うモジュールの下部レールおよび/または上部レール間の接続が、動作中再構成されることができるようにする。特に、そのような制御装置は、直列および並列接続間の下部および/または上部レールを切り替えるまたは個々のモジュール間の電気リンクを開閉する(下部または上部レールを介して)能力を提供し得る。
【0059】
そのような制御装置は、従って、モジュールのストリングの電圧範囲の伝送または収集を制御するなどの、様々な利益を提供するのに使用され得る。例えば、低風速状況下で、モジュールの一群は、直列に接続されるかもしれないが、それらは、より高い風速状況下で並列に接続されるかもしれない。制御装置は、従ってインバータの入力電圧範囲とより良く適合するように使用され得る。
【0060】
同様に、ストリングの異なる長さは、例えば、風況に応じて、全体電圧を制御するように直列に接続されるかもしれない、または、全体電流を制御するように並列に接続されるかもしれない。さらに、モジュールの一群を、モジュールのネットワークまたはストリングの残りから分離する能力は、故障または損傷がネットワークの一部に生じた場合、モジュールのセットがメンテナンス目的でネットワークから電気的に絶縁される必要がある場合、またはネットワークの全電力出力が何らかの理由で制限される必要がある場合(例えば、非常に強い風の間)、有益であり得る。制御装置は、ネットワークが、電流、電圧、タービン速度、風速等などの、検知状態に基づいて自動制御され得ることおよび一元管理されることができるように、遠隔制御されてよい。
【0061】
上記のシステムは、主にインバータに関して説明された。しかしながら、当然のことながら、電力コンバータの他のタイプ(交流と直流の間で切り替えるまたは電圧を変える)が、必要に応じて、これらのシステムで使用されてよい。
【0062】
フレームは複数のレールによって形成されると説明されたが、当然のことながら、「レール」という用語は、金属レール、管、梁、棒状の物、桁または他の公知の構造形態などの、導電性構造部材のあらゆる形態を含み得る。さらに、上記の1つ以上のレールは、ケーブルなどの、別の導電性部材に置き換えられてよい。例えば、三相システムは、3つのレール、2つのレールおよび1つのケーブル、または1つのレールおよび2つのケーブルを、備えてよい。
【0063】
レールは、アルミニウム、またはアルミニウムを多く含む合金から作られ得る。アルミニウムおよび多くのその合金は、強度重量比も高く、他の公知の材料と比べた重量およびコストの両方に対する導電性の割合も非常に高いという、望ましい特徴を有し、頑丈、軽量、低コスト、および高導電性である必要がある、本発明のような構造にとって最適なものになる。アルミニウムおよびその合金は、箱形断面、梁、管などの、本発明で説明された用途に適している多くの断面形状を有する押出長さとして容易に利用可能でもある。さらに、それらは、非常に良好な耐食性を一般に有し、従って、本発明で想定されるような屋外用途での塗装または維持を必要としない。
【0064】
回路の配置は、上部レールがモジュールの発電機からの電力を集め、下部レールが消費用にこれを伝送するように、逆にされてよい。これは、ブレード部の下ではなく上に発電機を設置することによって、実現され得る。
【0065】
レールの他の構成も、想定される。例えば、2つの回路(すなわち、レールの高および低電圧の続き)は、共通のレールまたはケーブルを共有してよく、多くのさらなる構成が、本発明の範囲内で可能である。
【0066】
発電機はタービンのブレード部によって直接駆動されると説明されたが、発電機がギアまたは他の手段を介して間接的に駆動される、他の配置が使用されてよい。多数のブレードが、単一の発電機を駆動してもよい、または、単一のブレードが、複数の発電機に駆動を与えてよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10