(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-04
(45)【発行日】2022-01-20
(54)【発明の名称】安全柵
(51)【国際特許分類】
E01F 13/00 20060101AFI20220113BHJP
【FI】
E01F13/00 301
(21)【出願番号】P 2020041514
(22)【出願日】2020-03-11
【審査請求日】2020-03-11
(73)【特許権者】
【識別番号】399040405
【氏名又は名称】東日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】算用子 徹
【審査官】亀谷 英樹
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-158332(JP,A)
【文献】実開平07-038213(JP,U)
【文献】実開平04-028398(JP,U)
【文献】実開昭54-075695(JP,U)
【文献】特開平04-189908(JP,A)
【文献】実開昭53-006193(JP,U)
【文献】実開昭60-190804(JP,U)
【文献】特開2019-060180(JP,A)
【文献】特開2011-058574(JP,A)
【文献】登録実用新案第3016357(JP,U)
【文献】特開平09-221726(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0130775(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 1/00
E01F 13/00-15/14
G01F 1/00-15/02
E04H 17/00-17/26
E01F 9/00-11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の土台上にそれぞれ設けられる一対の支柱と、
前記支柱の長手方向に離れて配設され、前記一対の支柱間に渡される2本の
第1のワイヤと、
シート状部材で形成され、対向する2辺のそれぞれが、前記2本の
第1のワイヤに接続するシートと、
前記一対の支柱を支える一対の支持体を備え、
前記支持体は、前記支柱の間であって前記土台から離れた位置に下辺を有し、前記支柱の上方に頂点を設ける二等辺三角形の形状を有
し、
前記支柱の長手方向のシートの一対の辺は、それぞれ前記シートの反対方向に設けられた一対の支柱に、2本の第2のワイヤで接続し、
前記第1のワイヤは、前記第2のワイヤよりも引張強度が高い
安全柵。
【請求項2】
前記シートは、メッシュ状部材で形成される
請求項1に記載の安全柵。
【請求項3】
前記シートに蛍光塗料が塗布される
請求項1または2に記載の安全柵。
【請求項4】
前記2本の
第1のワイヤのそれぞれについて、一方の支柱に前記
第1のワイヤを収容するコードリールが設けられ、もう一方の支柱に、前記
第1のワイヤを止める係止部が設けられる
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の安全柵。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安全柵に関する。
【背景技術】
【0002】
電話線等の配線工事、電柱等の工事の際、所定領域内に人が出入りしないように、安全柵を設ける場合がある。安全柵は、例えば三角コーンに、工事中であることを示す立体表示カバーをかぶせたり(例えば非特許文献1)、三角コーンにプラスチックのバーを渡したりすることがある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】株式会社電電広告、"立体表示カバーの種類"、[online]、[2020年2月10日検索]、インターネット〈URL: https://www.dendenkoukoku.co.jp/cover/kiseicover.html〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、非特許文献1に開示されるような三角コーンは、通行人の視線に対して低すぎることから、三角コーンを設置したとしても、通行人が気づかない場合がある。
【0005】
また通行人の目線の高さにあうような大きさの三角コーンを作る、等身大の衝立を設けるなどの方法は、通行人が気づきやすいものの、可搬性が低く、一時的な工事の設置に不向きである。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、人目につきやすく、可搬性の優れた安全柵を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様の安全柵は、一対の支柱と、支柱の長手方向に離れて配設され、一対の支柱間に渡される2本のワイヤと、シート状部材で形成され、対向する2辺のそれぞれが、2本のワイヤに接続するシートを備える。
を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、人目につきやすく、可搬性の優れた安全柵を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る安全柵を説明する図である。
【
図2】
図2は、変形例に係る安全柵に用いる支持体を説明する図であって、
図2(a)は側面図で、
図2(b)は上面図である。
【
図3】
図3は、変形例に係る安全柵に用いる支持体であって、折りたたみ可能な部品を説明する図であって、
図3(a)は正面図で、
図2(b)は側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。図面の記載において同一部分には同一符号を付し説明を省略する。
【0011】
本発明の実施の形態にかかる安全柵1は、一対の支柱10、ワイヤ21、22およびシート30を備える。本発明の実施の形態において、一対の支柱10、ワイヤ21、22およびシート30は、それぞれ着脱可能に形成され、工事現場等において組み立てられる。
【0012】
一対の支柱10は、一対の土台11の上にそれぞれ設けられ、自立するように形成される。土台11と支柱10は、取り外し可能に形成される。他の実施例として、支柱10の足が開くなどにより、支柱10が土台の役割も担うように形成されても良い。
【0013】
一対の支柱10は、例えば長手方向の長さが0.8ないし1メートルである。これにより、通行人、自転車に乗った人等の目線高さに支柱10を設けることができる。
【0014】
なお、支柱10の部材は、プラスチックのような、可搬性に優れる軽量部材でも良いし、アルミ、ステンレスなどの、安定性に優れる金属部材でも良い。支柱10を中空部材で形成することにより、軽量化が可能となる。
【0015】
ワイヤ21および22は、支柱10の長手方向に離れて配設され、一対の支柱10間に渡される。
図1に示す例において2本のワイヤ21および22は、上下方向に離れ、かつそれぞれ左右方向に配設される。なお
図1に示す例では、一対の支柱10間に2本のワイヤを渡す場合を説明したが、3本以上のワイヤが渡されても良い。
【0016】
2本の各ワイヤ21および22について、一方の支柱10にワイヤ21および22を収容する2つのコードリール23が設けられる。
図1に示す例において右側の支柱10に、上下方向に離れて2つのコードリール23および24が設けられる。コードリール23は、ワイヤ21を巻き取って収容し、コードリール24は、ワイヤ22を巻き取って収容する。
【0017】
またもう一方の支柱10に、ワイヤ21および22をそれぞれ止める2つの係止部(図示せず)が設けられる。
図1に示す例において、左側の支柱10に係止部が設けられる。ワイヤを係止する方法は、任意の方法でよい。例えば、ワイヤ21および22の先端にカバーを付け、係止部は、そのカバーを引っかける部材であっても良い。また係止部は、左側の支柱10に設けられた環状部材であって、ワイヤ21および22の先端に開閉可能なスプリングフックを取り付け、環状部材にひっかけても良い。またコードリール23から取り出したワイヤ21および22を、左側の支柱10に結びつけても良い。
【0018】
ワイヤ21および22が、それぞれコードリール23および24に収容され、支柱間を任意の長さで渡される。これにより、一対の支柱10を、立入禁止区域の両端に配置し、ワイヤ21および22は、一対の支柱10間の距離に応じて、配設することができる。
【0019】
シート30は、シート状部材で形成され、対向する2辺のそれぞれが、2本のワイヤ21および22に接続するように配設される。
図1に示す例において、シート30の上辺がワイヤ21に接続し、下辺がワイヤ22に接続する。
【0020】
シート30は、ワイヤ21および22と着脱可能に形成される。これにより支柱10間の距離、具体的には立入禁止領域の距離にあわせて、シート30の大きさを適宜選択することができる。またシート30は、例えば折りたたみできるような柔軟なシート部材で形成されることにより、持ち運びしやすくなる。
【0021】
シート30をワイヤ21および22に接続する方法はいくつか考えられる。例えばシート30の上辺および下辺近傍に開口部をいくつか設ける方法がある。ワイヤ21および22を支柱10間に渡す際に、開口部に、ワイヤ21および22を通しても良い。また開口部に開閉可能なスプリングフックを予め取り付け、支柱10間にワイヤ21および22が渡された後に、スプリングフックの開閉によりスプリングフックの環状部にワイヤ21および22を収めても良い。また開口部に紐を通して支柱10間に渡されたワイヤ21および22に結びつけるなど、任意の方法が考えられる。
【0022】
本発明の実施の形態において、シート30の上辺および下辺を、それぞれワイヤ21よび22に接続する場合を説明したが、これに限らない。例えば、シート30の端部から離れた位置に開口部を設け、その開口部に直接ワイヤを通す、またはスプリングフックを通すなどにより、ワイヤ21および22のほか、3本以上のワイヤと接続しても良い。
【0023】
シート30は、メッシュ状部材で形成される。これにより、風がシート30を通り抜けるので、風圧による安全柵1の転倒を回避することができる。メッシュ状部材における部材間の空間は、ワイヤ21および22と接続するための開口部の役割を担っても良い。
【0024】
また
図1に示すように、シート30に、立入禁止であることを示す表示体31が設けられても良い。これによりシート30の視認性が向上し、通行人の目にとまりやすくなる。またシート30および表示体31に蛍光塗料が塗布されても良い。これにより夜間においても、シート30の視認性が向上する。
【0025】
また支柱10の長手方向の長さが0.8ないし1メートルに形成され、その支柱10間にシート30を設けることにより、通行人等の目線高さにシート30を設けることができる。従来用いられていた三角コーンにバーを渡した安全柵と比べて、高く形成できるので、通行人等の目にとまりやすい。
【0026】
支柱10の長手方向のシート30の一対の辺、具体的にはシート30の左右の辺は、それぞれシート30の反対方向に設けられた一対の支柱10に、ワイヤ25および26で接続する。
図1に示す例において、シート30の左右の辺(ワイヤ21および22に接続する辺と交わる辺)は、それぞれ一対の支柱10に接続する。
【0027】
シート30の左辺は、ワイヤ25で左側の支柱10に接続する。このとき、ワイヤ25は、シート30の左辺の上下方向の中央近傍に接続する。同様に、シート30の右辺は、ワイヤ26で右側の支柱10に接続する。このとき、ワイヤ26は、シート30の右辺の上下方向の中央近傍に接続する。
【0028】
なお、一対の支柱10間に渡されるワイヤ21および22は、シート30と一対の支柱10を接続するワイヤ25および26よりも、太い径を有するなど、引張強度が高くなるように形成されるのが好ましい。ワイヤ21および22は、シート30の重さを支え、張らせる役割を担うのに対し、ワイヤ25および26は、シート30の移動を防ぐためである。
【0029】
ワイヤ25および26で、シート30の移動を防いでシート30の位置を固定し、風等によりシート30が支柱10方向に偏らないので、シート30の広げた状態を維持することができる。また、シート30を張った状態を維持できるように、ワイヤ21および22のテンションを上げて配設することが好ましい。
【0030】
シート30とワイヤ25および26を接続する方法は、任意の方法が考えられる。
図1においてシート30に接続するワイヤ25および26を、一対の支柱10に結びつけているが、これに限らない。シート30とワイヤ21および22と同様に接続しても良い。例えば一対の支柱10にワイヤ25および26をそれぞれ収容するコードリールを設け、コードリールから取り出したワイヤ25および26の先端にスプリングフックを接続して、スプリングフックを、シート30の開口部に接続しても良い。
【0031】
このような本発明の実施の形態に係る安全柵1は、一対の支柱10を、工事現場等の一時的な立入禁止エリアの両端に配置し、一対の支柱10間を、任意の長さでワイヤ21および22が渡され、上辺および下辺がそれぞれワイヤ21および22に接続するシート30が配設される。これにより、任意の幅を有する安全柵1を設置することができる。また各部が取り外し可能な安全柵1の可搬性は高く、任意の立入禁止エリアに安全柵1を設置することができる。
【0032】
また、安全柵1の支柱10の高さを0.8ないし1メートルなど、通常の三角コーンの高さよいも高く形成することができるので、通行人の目にとまりやすく、立入禁止エリアへの立入を防ぐことができる。
【0033】
さらにシート30に安全を喚起する表示体31を設けることにより、通行人の目にとまりやすくなる。
【0034】
このように本発明の実施の形態に係る安全柵1は、人目につきやすく、可搬性が優れるので、工事現場等の一時的な立入禁止エリアの設置に好適である。
【0035】
(変形例)
変形例に係る安全柵1は、
図2に示すように、一対の支柱を支える一対の支持体40を備えても良い。
【0036】
支持体40は、
図2に示すように、支柱10の上方に頂点を設け、土台11よりも離れた位置に下辺を有する二等辺三角形状を有する。
図2に示す例では、1つの支柱10のみ記載するが、一対の支柱10のそれぞれに、支持体40が設けられる。支柱10が高く形成されても、支持体40により支柱10が支えられるので、支柱10が倒れにくい。
【0037】
また
図2に示す例では、一対の支柱10の間に、支持体40の下辺が設けられる。これにより、ワイヤ21および22による引っ張り力により、一対の支柱10が互いに内側に倒れるのを防ぐことができる。
【0038】
支持体40と支柱10は、着脱可能に接続されることが好ましいが、その方法は問わない。例えば、支持体40と支柱10は、ビス留めにより接続されてもよい。また、支持体40に設けられた凸状部材を、支柱10に設けられた凹状部分に嵌合することにより接続されても良い。
【0039】
また支持体40は、折りたたみ可能に形成されても良い。例えば、支持体40は、
図3に示す3つの部品41の端部を接続することで、
図2に示すように二等辺三角形状に組み立て、形成されても良い。1つの部品41は、二等辺三角形状に形成される支持体40の一辺を形成する。
【0040】
支持体40の部品41は、上部部品43、下部部品44およびカバー45を有する。
【0041】
上部部品43は、一端に他の部品との接続部43aを備え、別の一端に、下部部品44との接続部43bを備える。下部部品44も同様に、一端に他の部品との接続部44aを備え、別の一端に、上部部品43との接続部44bを備える。接続部43bおよび44bは、ビス留め、嵌合部材等により、着脱可能に接続される。
【0042】
カバー45は、接続部43bおよび接続部44bによる接続部分を、カバーする。カバー45の位置がずれないように、下部部品44にカバー45の下端がひっかかる突部44cが形成される。上部部品43と下部部品44との接続部分にカバー45を設けることにより、三角形状の一辺を2つの部品にわけて可搬性を実現するメリットと、使用中に誤って曲がってしまうことを防止する安全性を確保するメリットを享受することができる。
【0043】
なお、
図3に示す部品41を
図2に示す二等辺三角形状の斜辺に用いる場合、下部部品44が底辺の部品41に接続する。また
図3に示す部品41を
図2に示す三角形状の底辺に用いる場合、地面に接することが可能な平面部分を有するカバー45を用いることが好ましい。平面を地面に接するように配置することで、支持体40の安定性を向上させることができる。
【0044】
このように、変形例において支柱10を支持体40で支えることにより、ワイヤ21および22のテンションを上げてシート30を張った状態を維持することができる。
【0045】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0046】
1 安全柵
10 支柱
11 土台
21、22、25、26 ワイヤ
23、24 コードリール
30 シート
31 表示体
40 支持体
41 部品
43 上部部品
43a、43b、44a、44b 接続部
44 下部部品
44c 突部
45 カバー