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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-04
(45)【発行日】2022-01-20
(54)【発明の名称】医療器具
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/30 20160101AFI20220113BHJP
   A61B 17/00 20060101ALI20220113BHJP
   B25J 11/00 20060101ALI20220113BHJP
【FI】
A61B34/30
A61B17/00
B25J11/00 Z
【請求項の数】 3
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020131572
(22)【出願日】2020-08-03
(65)【公開番号】P2021023813
(43)【公開日】2021-02-22
【審査請求日】2020-08-31
(31)【優先権主張番号】10 2019 121 099.2
(32)【優先日】2019-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】500023831
【氏名又は名称】カール シュトルツ エスエー ウント コンパニー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100154612
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】スヴェン グリューナー
(72)【発明者】
【氏名】ロビン メルツ
【審査官】槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-501477(JP,A)
【文献】国際公開第2013/129635(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0350337(US,A1)
【文献】特表2011-530375(JP,A)
【文献】国際公開第2018/070020(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/30-34/37
A61B 17/00-17/94
B25J 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空のシャフト(3)と、該シャフト(3)の近位端部(4)に配置されている操作ユニット(5)と、前記シャフト(3)の遠位端部(6)に配置され、器具(8)を備えた器具先端部(7)とを有し、前記器具(8)が軸線方向に変位可能に前記シャフト(3)内で支持されている操作要素(9)を介して操作可能であり、前記操作要素(9)が近位側で前記操作ユニット(5)と作用結合し、前記器具先端部(7)が枢着機構(10)を介して前記シャフト(3)の長手軸線(11)に対し相対的に回動可能であり、前記枢着機構(10)が前記シャフト(3)の前記遠位端部(6)に配置されている複数の回動部材(12)から成り、これら回動部材(12)が前記シャフト(3)の長手方向に延びている操縦ワイヤー(13)を介して近位側駆動部(14)と次のように結合され、すなわち前記近位側駆動部(14)の運動が対応的に遠位側の前記回動部材(12)の相対運動を生じさせ、よって工具先端部(7)の回動を生じさせるように、結合され、さらにトリガー機構(15)が設けられ、該トリガー機構(15)を介して、前記操縦ワイヤー(13)が、前記近位側駆動部(14)の操作とは独立に、前記器具先端部(7)の運動性を解放する弛緩状態へ移行可能である医療器具において、
前記トリガー機構(15)により、前記操縦ワイヤー(13)を弛緩させるために前記シャフト(3)のシャフトパイプ(2)が前記シャフト(3)の前記長手軸線(11)の方向に変位可能であり、
前記トリガー機構(15)が機械的な緊張機構(16)として形成されており、
前記機械的な緊張機構(16)が互いに枢着結合されている2つのレバー(18と19)から成り、第1のレバー(18)がその自由端(20)でもって前記シャフトパイプ(2)に回動可能に支持され、第2のレバー(19)がその自由端(21)でもって前記操作ユニット(5)に回動可能に支持されていることを特徴とする医療器具。
【請求項2】
前記機械的な緊張機構(16)を介してすべての操縦ワイヤー(13)が同時に弛緩可能であることを特徴とする、請求項に記載の医療器具。
【請求項3】
中空のシャフト(3)と、該シャフト(3)の近位端部(4)に配置されている操作ユニット(5)と、前記シャフト(3)の遠位端部(6)に配置され、器具(8)を備えた器具先端部(7)とを有し、前記器具(8)が軸線方向に変位可能に前記シャフト(3)内で支持されている操作要素(9)を介して操作可能であり、前記操作要素(9)が近位側で前記操作ユニット(5)と作用結合し、前記器具先端部(7)が枢着機構(10)を介して前記シャフト(3)の長手軸線(11)に対し相対的に回動可能であり、前記枢着機構(10)が前記シャフト(3)の前記遠位端部(6)に配置されている複数の回動部材(12)から成り、これら回動部材(12)が前記シャフト(3)の長手方向に延びている操縦ワイヤー(13)を介して近位側駆動部(14)と次のように結合され、すなわち前記近位側駆動部(14)の運動が対応的に遠位側の前記回動部材(12)の相対運動を生じさせ、よって工具先端部(7)の回動を生じさせるように、結合され、さらにトリガー機構(15)が設けられ、該トリガー機構(15)を介して、前記操縦ワイヤー(13)が、前記近位側駆動部(14)の操作とは独立に、前記器具先端部(7)の運動性を解放する弛緩状態へ移行可能である医療器具において、
前記トリガー機構(15)により、前記操縦ワイヤー(13)を弛緩させるために前記シャフト(3)のシャフトパイプ(2)が前記シャフト(3)の前記長手軸線(11)の方向に変位可能であり、
前記トリガー機構(15)が機械的な緊張機構(16)として形成されており、
前記機械的な緊張機構(16)が緊張ねじ山として形成され、前記シャフトパイプ(2)が、前記シャフト(3)の前記長手軸線(11)のまわりでの回転によって、前記シャフト(3)の前記長手軸線(11)の方向に変位可能であることを特徴とする医療器具
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空のシャフトと、該シャフトの近位端部に配置されている操作ユニットと、前記シャフトの遠位端部に配置され、器具を備えた器具先端部とを有し、前記器具が軸線方向に変位可能に前記シャフト内で支持されている操作要素を介して操作可能であり、前記操作要素が近位側で前記操作ユニットと作用結合し、前記器具先端部が枢着機構を介して前記シャフトの長手軸線に対し相対的に回動可能であり、前記枢着機構が前記シャフトの前記遠位端部に配置されている複数の回動部材から成り、これら回動部材が前記シャフトの長手方向に延びている操縦ワイヤーを介して近位側の駆動部と次のように結合され、すなわち前記近位側の駆動部の運動が対応的に遠位側の前記回動部材の相対運動を生じさせ、よって工具先端部の回動を生じさせるように、結合され、さらにトリガー機構が設けられ、該トリガー機構を介して、前記操縦ワイヤーが、前記近位側駆動部の操作とは独立に、前記器具先端部の運動性を解放する弛緩状態へ移行可能である医療器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
屈曲可能な医療器具のために外側に位置する3個、4個またはそれ以上の操縦ワイヤーおよび/または操縦ロープを備えた回動部材は、手で操縦される器具および/またはロボット器具用のものとして実践上公知である。この種の医療器具の遠位端部を感度よく制御するには、より肉厚の少数の操縦ワイヤーおよび/または操縦ロープに比べてより薄い多数の操縦ワイヤーおよび/または操縦ロープのほうが有利であることが判明している。というのは、とりわけすべての屈曲方向において均一な力分布が得られるからであり、さらにより薄い操縦ワイヤーおよび/または操縦ロープは電気導線等のために内部空間により多くのスペースを可能にするからである。
【0003】
操縦ワイヤー/操縦ロープを介して起動される回動部材を備えた医療器具は、たとえば特許文献1から知られている。
【0004】
操縦ワイヤー/操縦ロープを備えたこの公知の医療器具の欠点は、シャフト内でぴんと張った状態で配置されている多数の操縦ワイヤー/操縦ロープのクリーニングに問題があることである。特に操縦ロープを使用する場合、操縦ロープの個々のコアの間に不純物が固着することがあり、除去しにくい。
【0005】
さらに、この公知の器具の場合、近位側駆動部が故障した場合、器具先端部を屈曲させたときに、器具先端部を非変位位置へ戻して、器具をトロカールを介して手術部位から除去するのが不可能であるという問題がある。トロカールを、その中にあって屈曲している器具とともに除去するためには、最悪の場合、外科医は患者の手術入口部をかなり広げなければならない。
【0006】
この種の医療器具は、特許文献2から知られている。この公知の医療器具は、回動駆動部の故障の際に操縦ワイヤーを弛緩状態へ移行できるようにするため、モータを介して駆動されるトリガー機構を有している。しかしながら、エネルギー供給のブラックアウトの場合には、この技術的構成でも、操縦ワイヤーを弛緩状態に移行させることは不可能である。というのは、この事態ではトリガー機構の電動駆動ももはや操作できないからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許出願公開第2013/0218141A1号明細書
【文献】国際特許出願公開第2014/133180A1号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明の課題は、一方では簡単に効率的にクリーニングでき、さらに近位側駆動部の故障の場合にも医療器具の安全な除去を保証するように、冒頭で述べた種類の医療器具を構成することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題を解決するための手段は、トリガー機構が純粋に機械的に作動するトリガー機構によって形成されていることを特徴としている。
【0010】
純粋に機械的に作動するトリガー機構を使用することにより、近位側駆動部とは独立に操縦ワイヤーを弛緩状態へ移行させることが常に可能であり、弛緩状態は一方では緊張していない操縦ワイヤーのより優れたクリーニングを可能にし、他方では、近位側駆動部が故障している場合、或いは、エネルギー供給のブラックアウトがある場合に、医療器具をトロカールから引き出す際に操縦ワイヤーを弛緩させた状態で医療器具を自動的に非変位位置へ移行できることを保証する。
【0011】
本発明の実施の態様によれば、トリガー機構により、シャフトの長手軸線の方向に操縦ワイヤーを弛緩させるためのシャフトのシャフトパイプが変位可能であることが提案される。シャフトパイプが近位側へ変位することにより、操縦ワイヤーはシャフトの遠位端部において解放され、その結果操縦ワイヤーはシャフトパイプの案内作用なしにたるんだ状態で垂れ下がり、これにより近位側駆動部とは独立に器具先端部の自由運動が可能になる。操縦ワイヤーのこの弛緩位置で、操縦ワイヤーと中空のシャフトパイプの内部空間とを、操縦ワイヤーが緊張している時よりもより良好により徹底的にクリーニングすることができる。
【0012】
本発明の有利な第1実施態様によれば、トリガー機構が機械的な緊張機構として形成されていることが提案される。機械的に作動する緊張機構は構造的に簡潔にローメンテナンスで製造可能且つ作動可能である。
【0013】
さらに、本発明によれば、機械的な緊張機構を介してすべての操縦ワイヤーが同時に弛緩可能であることが提案される。医療器具のすべての操縦ワイヤーを同時に弛緩させることはトリガー機構の操作を容易にし、近位側駆動部の故障の際に、器具先端部が前もって屈曲されている場合でも、トロカールを介して医療器具を迅速に支障なく除去するのを可能にさせる。
【0014】
機械的な緊張機構を形成するための第1実施態様によれば、機械的な緊張機構が互いに枢着結合されている2つのレバーから成り、第1のレバーがその自由端でもってシャフトパイプに回動可能に支持され、第2のレバーがその自由端でもって操作ユニットに回動可能に支持されていることが提案される。機械的な緊張機構を揺動可能な2つのレバーから成っている機構として形成することは、容易に製造できて容易に操作できる構成を提供する。
【0015】
機械的な緊張機構を形成するための第2実施態様によれば、機械的な緊張機構が緊張ねじ山として形成され、シャフトパイプが、シャフトの長手軸線のまわりでの回転によって、シャフトの長手軸線の方向に変位可能であることが提案される。緊張ねじ山として形成することは、容易に構成できて容易に操作できる機械的緊張機構の変形実施態様である。
【0016】
最後に、トリガー機構を形成するための本発明による第2実施形態により、トリガー機構が各操縦ワイヤーのための別個の駆動部から成っていることが提案される。
【0017】
本発明の他の構成および利点は、本発明による医療機械の1実施形態を例示したにすぎない添付の図面により明らかである。なお、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】従来の技術による医療器具の斜視側面図である。
図2】操縦ワイヤーとトリガー機構を緊張位置で図示した本発明による医療器具の遠位シャフト端部および近位シャフト端部の拡大詳細図である。
図3図2に対応する図であるが、操縦ワイヤーとトリガー機構とを弛緩位置で図示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は医療器具1を示し、医療器具1は、中空のシャフトパイプ2を有しているシャフト3と、シャフト3の近位端部4に配置されている操作ユニット5と、シャフト3の遠位端部6に配置され、器具8を備えた器具先端部7とを有している。器具8は、軸線方向に変位可能にシャフトパイプ2内で支持されている操作要素9を介して操作可能であり、操作要素9は近位側で操作ユニット5と作用結合している。
【0020】
操作ユニット5は、手で操作可能なグリップ機構であり、或いは、ロボットを使用するために設計された、すなわち手による補助なしでも操作可能な構成ユニットである。
【0021】
器具先端部7の器具8は、たとえば図1に図示したような、顎部材を備えた工具であってよく、或いは、内視鏡、アプリケータ等であってもよい。
【0022】
器具先端部7は、枢着機構10を介してシャフト3の長手軸線11に対し相対的に回動可能であり、この場合枢着機構10は、シャフト3の遠位端部6に配置されている回動部材12から成り、回動部材12はシャフト3の長手方向に延びている操縦ワイヤー13(特に図3を参照)を介して、近位側駆動部14と次のように結合されており、すなわち近位側駆動部14の運動が遠位側の回動部材12の対応的な相対運動を生じさせるように、したがって器具先端部7の回動を生じさせるように、結合されている。
【0023】
上記したように、また下記でも、操縦ワイヤー13という概念のみを使用するが、機能的には操縦ロープも使用することができ、それ故使用する操縦ワイヤー13という概念は操縦ロープと同義であると読み取るべきであり、理解すべきである。
【0024】
技術水準から知られている、操縦ワイヤー13を備えた医療器具1の欠点は、シャフトパイプ2内に緊張状態で張られて配置されている多数の操縦ワイヤー13のクリーニングに問題がある点である。特に操縦ロープとして形成された操縦ワイヤー13を使用する場合、操縦ロープの個々のコアの間に不純物が固着することがあり、除去しにくい。
【0025】
さらに、公知の医療器具1の場合、近位側駆動部14が故障した場合、器具先端部7を屈曲させたときに、器具先端部7を非変位位置へ戻して、医療器具1をトロカールを介して手術部位から除去するのが不可能であるという問題がある。トロカールを、その中にあって屈曲している医療器具とともに除去するためには、最悪の場合、外科医は患者の手術入口部をかなり広げなければならない。
【0026】
図2および図3に図示した医療器具1は、操作ユニット5の領域にトリガー機構15を有し、該トリガー機構を介して、操縦ワイヤー13を、近位側駆動部14の操作とは独立に、器具先端部7の運動性を解放する弛緩状態へ移行させることができる。
【0027】
図示した実施形態の場合、トリガー機構15は機械的な緊張機構16として形成され、該緊張機構を介して医療器具1のすべての操縦ワイヤー13を同時に弛緩させたり、再び緊張させたりすることができる。この機械的な緊張機構16は、1つの共通の回動軸17を介して互いに枢着結合されている2つのレバー18と19から成り、その際第1のレバー18はその自由端20でもってシャフトパイプ2に回動可能に支持され、第2のレバー19はその自由端21でもって操作ユニット5に回動可能に支持されている。機械的な緊張機構16を操作するため、第1のレバー18にグリップ22が一体成形されている。
【0028】
次に、図2および図3を用いて、機械的な緊張機構16として形成されたトリガー機構15の作動態様を説明する。
【0029】
図2は、医療器具1を使用準備状態にある作業位置で示したものであり、すなわち操縦ワイヤー13は緊張状態でシャフト3の中空のシャフトパイプ1の内部に配置されており、器具先端部7は、操作ユニット5内に配置されている近位側駆動部14の操作により操作ワイヤー13と回動部材12とを介してシャフト3の長手軸線11に対し屈曲させることができる。
【0030】
操縦ワイヤー13のこの緊張位置では、機械的な緊張機構16の両レバー18と19は互いに長手軸線11の方向に直列状に延在し、且つシャフトパイプ2に対し実質的に平行に方向づけられている。
【0031】
この位置で、シャフトパイプ2の遠位端部23は、操縦ワイヤー13上に自在に変位可能に支持されている回動部材12を遠位側へ、すなわち器具先端部7の方向へ押す。この位置では、器具先端部7の回動はもっぱら近位側駆動部14のみを介して実現させることができる。
【0032】
図2に図示した操縦ワイヤー13の緊張位置から出発して機械的な緊張機構16を操作し、図3に図示したように両レバー18と19を互いに重なるように回動させると、図示した機械的な緊張機構16を用いて、シャフト3の中空のシャフトパイプ2を操縦ワイヤー13の弛緩のためにシャフト3の長手軸線11の方向において近位側へ変位させることができる。図3では、近位側へのシャフトパイプ2の変位は、操作ユニット5を介してシャフトパイプ2が近位側へ張り出していることで見て取れる。
【0033】
シャフトパイプ2が近位側へ変位することにより、操縦ワイヤー13はシャフト3の遠位端部6において解放され、その結果操縦ワイヤー13はシャフトパイプ2の案内作用なしにシャフトパイプ2の遠位端部23から弛緩状態で垂れ下がり、これにより、たとえば近位側駆動部14が故障した場合に器具先端部7を屈曲させるときに必要であるような、近位側駆動部14とは独立な器具先端部7の自由運動が可能になる。
【0034】
操縦ワイヤー13のこの弛緩位置では、操縦ワイヤー13と中空のシャフトパイプ3の内部空間とを、操縦ワイヤー13が緊張している時よりもより良好に且つより徹底的にクリーニングすることができる。
【0035】
操縦ワイヤー13を弛緩させるための、シャフト3の長手軸線11の方向におけるシャフト3のシャフトパイプ2の変位は、両レバー18と19を備えた緊張機構16として実施された図示の実施形態とは択一的に、緊張ねじ山によっても得ることができ、この場合シャフトパイプ2はシャフト3の長手軸線11のまわりに回転することによってシャフト3の長手軸線11の方向に変位可能である。
【0036】
シャフト3のシャフトパイプ2をシャフト3の長手軸線11の方向に変化させて操縦ワイヤー13を弛緩させる他の択一的な実施形態は、たとえば偏心緊張体またはロック機構等である。
【0037】
トリガー機構15を形成するための図示していない第2実施形態によれば、トリガー機構15は各操縦ワイヤー13のための別個の駆動部から成っていてよい。
【0038】
上述したように構成された医療器具1は、トリガー機構15を使用することにより、操縦ワイヤー13を近位側駆動部14の操作とは独立に弛緩させることが可能である。
【符号の説明】
【0039】
1 医療器具
2 シャフトパイプ
3 シャフト
4 シャフトの近位端部
5 操作ユニット
6 シャフトの遠位端部
7 器具先端部
8 器具
9 操作要素
10 枢着機構
11 シャフトの長手軸線
12 回動部材
13 操縦ワイヤー
14 駆動部
15 トリガー機構
16 緊張機構
17 回動軸
18 第1のレバー
19 第2のレバー
20 第1のレバーの自由端
21 第2のレバーの自由端
22 グリップ
23 シャフトパイプの遠位端部
図1
図2
図3