(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-04
(45)【発行日】2022-01-20
(54)【発明の名称】オキシムエステル誘導体化合物、それを含む光重合開始剤及び感光性組成物
(51)【国際特許分類】
C07D 279/36 20060101AFI20220113BHJP
C08L 75/04 20060101ALI20220113BHJP
C08K 5/03 20060101ALI20220113BHJP
C08K 5/09 20060101ALI20220113BHJP
C08K 5/02 20060101ALI20220113BHJP
G03F 7/031 20060101ALI20220113BHJP
G03F 7/027 20060101ALI20220113BHJP
【FI】
C07D279/36 CSP
C08L75/04
C08K5/03
C08K5/09
C08K5/02
G03F7/031
G03F7/027 515
(21)【出願番号】P 2020159106
(22)【出願日】2020-09-23
(62)【分割の表示】P 2018560869の分割
【原出願日】2017-05-19
【審査請求日】2020-10-23
(31)【優先権主張番号】10-2016-0061649
(32)【優先日】2016-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2017-0054677
(32)【優先日】2017-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500578515
【氏名又は名称】サムヤン コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】特許業務法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リ,ウォンジュン
(72)【発明者】
【氏名】オ,チュンリム
(72)【発明者】
【氏名】リ,デクラク
(72)【発明者】
【氏名】リ,ジェフン
(72)【発明者】
【氏名】チョ,ヨンイル
【審査官】早乙女 智美
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-252945(JP,A)
【文献】国際公開第2015/139601(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/008384(WO,A1)
【文献】特開2008-252945(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0051320(KR,A)
【文献】国際公開第2012/132558(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0009736(KR,A)
【文献】特開2013-142087(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
C08F2/44-2/50
C08F265/06
G03F7/004
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表されるオキシムエステル誘導体化合物:
【化1】
化学式1において、
R
1
は、水素、(C
3~C20)アルキル、(C6~C20)アリール、(C1~C20)アルコキシ、(C6~C20)アリール(C1~C20)アルキル、ヒドロキシ(C1~C20)アルキル、ヒドロキシ(C1~C20)アルコキシ(C1~C20)アルキル、または(C3~C20)シクロアルキルであり;
R
2
は、水素、(C1~C20)アルキル、(C6~C20)アリール、(C1~C20)アルコキシ、(C6~C20)アリール(C1~C20)アルキル、ヒドロキシ(C1~C20)アルキル、ヒドロキシ(C1~C20)アルコキシ(C1~C20)アルキル、または(C3~C20)シクロアルキルであり;
R
3は、(C1~C20)アルキル、(C6~C20)アリール、(C6~C20)アリール(C1~C20)アルキル、または(C3~C20)シクロアルキルである。
【請求項2】
前記R
1
が、水
素、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、i-ペンチル、n-ヘキシル、i-ヘキシル、n-オクチル、n-デシル、i-デシル、n-ドデシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、ベンジル、ナフチル、ビフェニル、テルフェニル、アントリル、インデニル、フェナントリル、メトキシ、エトキシ、n-プロピルオキシ、i-プロピルオキシ、n-ブトキシ、i-ブトキシ、t-ブトキシ、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシn-プロピル、ヒドロキシn-ブチル、ヒドロキシi-ブチル、ヒドロキシn-ペンチル、ヒドロキシi-ペンチル、ヒドロキシn-ヘキシル、ヒドロキシi-ヘキシル、ヒドロキシメトキシメチル、ヒドロキシメトキシエチル、ヒドロキシメトキシプロピル、ヒドロキシメトキシブチル、ヒドロキシエトキシメチル、ヒドロキシエトキシエチル、ヒドロキシエトキシプロピル、ヒドロキシエトキシブチル、ヒドロキシエトキシペンチル、またはヒドロキシエトキシヘキシルであり;
前記R
2
が、水素、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、i-ペンチル、n-ヘキシル、i-ヘキシル、n-オクチル、n-デシル、i-デシル、n-ドデシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、ベンジル、ナフチル、ビフェニル、テルフェニル、アントリル、インデニル、フェナントリル、メトキシ、エトキシ、n-プロピルオキシ、i-プロピルオキシ、n-ブトキシ、i-ブトキシ、t-ブトキシ、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシn-プロピル、ヒドロキシn-ブチル、ヒドロキシi-ブチル、ヒドロキシn-ペンチル、ヒドロキシi-ペンチル、ヒドロキシn-ヘキシル、ヒドロキシi-ヘキシル、ヒドロキシメトキシメチル、ヒドロキシメトキシエチル、ヒドロキシメトキシプロピル、ヒドロキシメトキシブチル、ヒドロキシエトキシメチル、ヒドロキシエトキシエチル、ヒドロキシエトキシプロピル、ヒドロキシエトキシブチル、ヒドロキシエトキシペンチル、またはヒドロキシエトキシヘキシルであり;
前記R
3が、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、i-ペンチル、n-ヘキシル、i-ヘキシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、またはフェニルであることを特徴とする請求項1に記載のオキシムエステル誘導体化合物。
【請求項3】
前記オキシムエステル誘導体化合物が、下記化学式
2-1~2-8、2-13~2-19で表される化合物から選択されることを特徴とする請求項1に記載のオキシムエステル誘導体化合物。
【化2】
【請求項4】
請求項1~請求項3のうちいずれか1項に記載のオキシムエステル誘導体化合物を含む光重合開始剤。
【請求項5】
(a)アルカリ可溶性樹脂;
(b)エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物;及び
(c)請求項1~請求項3のうちいずれか1項に記載のオキシムエステル誘導体化合物を含む光重合開始剤を含有する感光性組成物。
【請求項6】
前記感光性組成物100重量%中に、前記オキシムエステル誘導体化合物が0.01~10重量%含まれることを特徴とする請求項5に記載の感光性組成物。
【請求項7】
前記光重合開始剤が、チオキサントン系化合物、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、O-アシルオキシムエステル系化合物、及びチオール系化合物からなる群より選択される1種または2種以上の化合物をさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の感光性組成物。
【請求項8】
前記感光性組成物が色材をさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の感光性組成物。
【請求項9】
前記感光性組成物が色材をさらに含むことを特徴とする請求項7に記載の感光性組成物。
【請求項10】
請求項5に記載の感光性組成物の硬化物を含む成形物。
【請求項11】
前記成形物が、アレイ平坦化膜、絶縁膜、カラーフィルタ、カラムスペーサ、ブラックカラムスペーサ、またはブラックマトリクスであることを特徴とする請求項10に記載の成形物。
【請求項12】
請求項10に記載の成形物を含むディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オキシムエステル誘導体化合物、それを含む光重合開始剤及び感光性組成物に関し、より詳しくは、感度、耐熱性、耐光性、耐化学性及び硬化性に優れたオキシムエステル誘導体化合物、それを含む光重合開始剤及び感光性組成物に関する。
【0002】
本出願は、2016年5月19日出願の韓国特許出願第10-2016-0061649号及び2017年4月27日出願の韓国特許出願第10-2017-0054677号に基づく優先権を主張し、該当出願の明細書に開示された内容は、すべて本出願に援用される。
【背景技術】
【0003】
感光性組成物に使用される光重合開始剤の一般的な例として、アセトフェノン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、トリアジン誘導体、ビイミダゾール誘導体、アシルホスフィンオキサイド誘導体及びオキシムエステル誘導体などの多くの種類が知られている。そのうちオキシムエステル誘導体は、紫外線を吸収して色をほとんど呈さず、ラジカル発生効率が高く、感光性組成物材料との相溶性及び安定性に優れるという利点を有している。しかし、従来のオキシム誘導体化合物は、光開始効率が低く、特にパターン露光工程時の感度が低いため、露光量を増やさなければならず、それにより生産性が低下するという問題がある。
【0004】
したがって、光感度に優れた光重合開始剤の開発は、少量で十分な感度によるコスト削減効果が得られ、優れた感度による露光量の低減が期待できるため、生産性を向上させることができる。
【0005】
しかし、従来の光重合開始剤を用いてパターンを形成する場合、パターン形成のための露光工程の際、光重合開始剤の光感度が低いことから光重合開始剤の使用量を増やすか、又は露光量を増やさなければならず、それにより露光工程でマスクが汚染されたり、高温架橋の際、光重合開始剤が分解した後に発生する副産物により歩留まりが低下するという欠点がある。さらに、露光量を増加させるために露光工程の時間が長くなり、生産性が低下するという問題などがあり、それらを解決するための努力が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開第02/100903号
【文献】特開2005-025169号
【文献】国際公開第07/071497号
【文献】韓国特許公開2013-0124215号公報
【文献】韓国特許公開2013-0115272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、感度、耐熱性、耐化学性及び硬化性に優れたオキシムエステル誘導体化合物、それを含む光重合開始剤及び感光性組成物を提供することである。
【0008】
また、本発明が解決しようとする他の課題は、前記感光性組成物の硬化物を含む成形物
を提供することである。
【0009】
また、本発明が解決しようとするさらに他の課題は、前記成形物を含むディスプレイ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を達成するための本発明の一態様としては、下記形態のオキシムエステル誘導体化合物が提供される。
【0011】
第1の形態は、下記化学式1で表されるオキシムエステル誘導体化合物に関する。
【0012】
【化1】
化学式1において、R
1及びR
2は、それぞれ独立して、水素、(C1~C20)アルキル、(C6~C20)アリール、(C1~C20)アルコキシ、(C6~C20)アリール(C1~C20)アルキル、ヒドロキシ(C1~C20)アルキル、ヒドロキシ(C1~C20)アルコキシ(C1~C20)アルキルまたは(C3~C20)シクロアルキルであり;R
3は、(C1~C20)アルキル、(C6~C20)アリール、(C6~C20)アリール(C1~C20)アルキル、または(C3~C20)シクロアルキルである。
【0013】
第2の形態は、第1の形態において、前記R1及びR2が、それぞれ独立して、水素、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、i-ペンチル、n-ヘキシル、i-ヘキシル、n-オクチル、n-デシル、i-デシル、n-ドデシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、ベンジル、ナフチル、ビフェニル、テルフェニル、アントリル、インデニル、フェナントリル、メトキシ、エトキシ、n-プロピルオキシ、i-プロピルオキシ、n-ブトキシ、i-ブトキシ、t-ブトキシ、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシn-プロピル、ヒドロキシn-ブチル、ヒドロキシi-ブチル、ヒドロキシn-ペンチル、ヒドロキシi-ペンチル、ヒドロキシn-ヘキシル、ヒドロキシi-ヘキシル、ヒドロキシメトキシメチル、ヒドロキシメトキシエチル、ヒドロキシメトキシプロピル、ヒドロキシメトキシブチル、ヒドロキシエトキシメチル、ヒドロキシエトキシエチル、ヒドロキシエトキシプロピル、ヒドロキシエトキシブチル、ヒドロキシエトキシペンチルまたはヒドロキシエトキシヘキシルであり;前記R3が、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、i-ペンチル、n-ヘキシル、i-ヘキシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、またはフェニルであるオキシムエステル誘導体化合物に関する。
【0014】
第3の形態は、第1の形態、または第2の形態において、前記オキシムエステル誘導体化合物が、下記化学式2-1~2-19で表される化合物から選択されるオキシムエステル誘導体化合物に関する。
【0015】
【0016】
本発明の一態様によれば、下記形態の光重合開始剤が提供される。
【0017】
第4の形態は、第1の形態~第3の形態のうちいずれか一つの形態のオキシムエステル誘導体化合物を含む光重合開始剤に関する。
【0018】
本発明の一態様によれば、下記形態の感光性組成物が提供される。
【0019】
第5の形態は、(a)アルカリ可溶性樹脂;
(b)エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物;及び
(c)上述した第1の形態~第3の形態のうちいずれか一つの形態のオキシムエステル誘導体化合物を含む光重合開始剤を含有する感光性組成物に関する。
【0020】
第6の形態は、第5の形態において、前記感光性組成物100重量%中に、前記オキシムエステル誘導体化合物が0.01~10重量%含まれる感光性組成物に関する。
【0021】
第7の形態は、第5の形態または第6の形態において、前記光重合開始剤が、チオキサントン系化合物、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、O-アシルオキシムエステル系化合物及びチオール系化合物からなる群より選択される1種または2種以上の化合物をさらに含む感光性組成物に関する。
【0022】
第8の形態は、第5の形態~第7の形態のうちいずれか一つの形態において、前記感光性組成物が色材をさらに含む感光性組成物に関する。
【0023】
本発明の一態様によれば、下記形態の成形物及びそれを含むディスプレイ装置が提供される。
【0024】
第9の形態は、第5の形態~第8の形態のうちいずれか一つの形態の感光性組成物の硬化物を含む成形物に関する。
【0025】
第10の形態は、第9の形態において、前記成形物がアレイ平坦化膜、絶縁膜、カラーフィルタ、カラムスペーサ、ブラックカラムスペーサまたはブラックマトリクスである成形物に関する。
【0026】
第11の形態は、第9の形態または第10の形態の成形物を含むディスプレイ装置に関する。
【発明の効果】
【0027】
本発明の一形態である前記オキシムエステル誘導体化合物を感光性組成物の光重合開始剤として使用すれば、感度が著しく優れ、残膜率、パターン安定性、耐熱性、耐化学性及び延性などの物性にも優れるため、TFT-LCD製造工程中の露光及びポストベーク(postbake)工程において、光重合開始剤から発生するアウトガス(outgassing)を最小限にすることで汚染を低減させることができ、それにより発生し得る不具合を最小限に抑えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を詳しく説明するが、本明細書及び特許請求の範囲に使用される用語や単語は、一般的または辞書的な意味に限定して解釈してはならず、発明者自身が発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に照らして、本発明の技術的思想に基づいて用語や単語の意味及び概念を解釈しなければならない。
【0029】
したがって、本明細書に記載された実施例に示された構成は、本発明の最も望ましい一実施形態に過ぎず、本発明の技術的思想のすべてを具現化するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替可能な種々の均等物及び変形例があり得ることを理解しなければならない。
【0030】
本発明の一態様であるオキシムエステル誘導体化合物は、下記化学式1で表される。
【0031】
【化3】
化学式1において、R
1及びR
2は、それぞれ独立して、水素、(C1~C20)アルキル、(C6~C20)アリール、(C1~C20)アルコキシ、(C6~C20)アリール(C1~C20)アルキル、ヒドロキシ(C1~C20)アルキル、ヒドロキシ(C1~C20)アルコキシ(C1~C20)アルキルまたは(C3~C20)シクロアルキルであり;R
3は、(C1~C20)アルキル、(C6~C20)アリール、(C6~C20)アリール(C1~C20)アルキルまたは(C3~C20)シクロアルキルである。
【0032】
本明細書に記載される「アルキル」、「アルコキシ」及びその他の「アルキル」部分を含む置換体は、直鎖または分枝鎖の構造をすべて含み、「シクロアルキル」は、単環系だけでなく多環系炭化水素も含む。
【0033】
また、本明細書に記載される「アリール」は、芳香族炭化水素から1つの水素を除去することで誘導された有機ラジカルであって、単一または融合環を含み、多数のアリールが単一結合で連結されている構造も含む。
【0034】
また、本明細書に記載される「ヒドロキシアルキル」は、上述したアルキル基にヒドロキシ基が結合されたOH-アルキルを意味し、「ヒドロキシアルコキシアルキル」は前記ヒドロキシアルキル基にアルコキシ基が結合されたヒドロキシアルキル-O-アルキルを意味し、アルケニルはアルキルまたはアリール基が結合されたケトンを含む構造を意味する。
【0035】
また、本明細書に記載される「(C1~C20)アルキル」は、炭素数1~20個のアルキルを意味し、望ましくは(C1~C12)アルキルであり得る。
【0036】
「(C6~C20)アリール」は、炭素数6~20個のアリールを意味し、望ましくは(C6~C18)アリールであり得る。「(C1~C20)アルコキシ」は、炭素数1~20個のアルコキシを意味し、望ましくは(C1~C10)アルコキシであり、より望ましくは(C1~C4)アルコキシであり得る。
【0037】
「(C6~C20)アリール(C1~C20)アルキル」は、炭素数1~20個のアルキルのうち1つの水素が炭素数6~20個のアリール基に置換されたアルキルを意味し、望ましくは(C6~C18)アリール(C1~C10)アルキルであり、より望ましくは(C6~C18)アリール(C1~C6)アルキルであり得る。
【0038】
「ヒドロキシ(C1~C20)アルキル」は、炭素数1~20個のアルキルから1つの水素がヒドロキシに置換されたアルキルを意味し、望ましくはヒドロキシ(C1~C10)アルキルであり、より望ましくはヒドロキシ(C1~C6)アルキルであり得る。
【0039】
「ヒドロキシ(C1~C20)アルコキシ(C1~C20)アルキル」は、炭素数1~20個のアルキルから1つの水素が炭素数1~20個のアルコキシに置換され、さらに前
記アルコキシから1つの水素がヒドロキシに置換された構造を意味し、望ましくはヒドロキシ(C1~C10)アルコキシ(C1~C10)アルキルであり、より望ましくはヒドロキシ(C1~C4)アルコキシ(C1~C6)アルキルであり得る。
【0040】
「(C3~C20)シクロアルキル」基は、炭素数3~20個のシクロアルキルを意味し、望ましくは(C3~C10)シクロアルキルであり得る。
【0041】
本発明の一形態によれば、前記R1及びR2は、それぞれ独立して、水素、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、i-ペンチル、n-ヘキシル、i-ヘキシル、n-オクチル、n-デシル、i-デシル、n-ドデシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、ベンジル、ナフチル、ビフェニル、テルフェニル、アントリル、インデニル、フェナントリル、メトキシ、エトキシ、n-プロピルオキシ、i-プロピルオキシ、n-ブトキシ、i-ブトキシ、t-ブトキシ、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシn-プロピル、ヒドロキシn-ブチル、ヒドロキシi-ブチル、ヒドロキシn-ペンチル、ヒドロキシi-ペンチル、ヒドロキシn-ヘキシル、ヒドロキシi-ヘキシル、ヒドロキシメトキシメチル、ヒドロキシメトキシエチル、ヒドロキシメトキシプロピル、ヒドロキシメトキシブチル、ヒドロキシエトキシメチル、ヒドロキシエトキシエチル、ヒドロキシエトキシプロピル、ヒドロキシエトキシブチル、ヒドロキシエトキシペンチルまたはヒドロキシエトキシヘキシルであり得る。
【0042】
また、前記R3は、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、i-ペンチル、n-ヘキシル、i-ヘキシル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはフェニルであり得る。
【0043】
より具体的に、前記R1及びR2は、それぞれ独立して、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-オクチル、n-デシル、i-デシル、n-ドデシル、シクロヘキシル、フェニルまたはベンジルであり;前記R3は、メチル、エチル、n-プロピルまたはフェニルであり得る。
【0044】
本発明の一実施例によれば、前記オキシムエステル誘導体化合物としては、下記化学式2-1~2-19の化合物が挙げられるが、下記化合物により本発明は限定されない。
【0045】
【0046】
本発明の前記化学式1で表されるオキシムエステル誘導体化合物は、下記反応式1に従って製造することができる。
【化5】
前記反応式1において、R
1~R
3は化学式1における定義と同一であり、Xはハロゲンである。
【0047】
また、本発明の一態様である光重合開始剤は、前記化学式1で表されるオキシムエステル誘導体化合物を1種以上含む。
【0048】
また、本発明の一態様である感光性組成物は、(a)アルカリ可溶性樹脂、(b)エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物、及び(c)前記化学式1のオキシムエステル誘導体化合物を含む光重合開始剤を含む。
ここで、前記オキシムエステル誘導体化合物は、光重合開始剤として含まれ得る。
【0049】
本発明の一態様である感光性組成物は、パターン特性の調整に優れ、耐熱性及び耐化学性などの薄膜物性に優れる。以下、詳しく説明する。
【0050】
(a)アルカリ可溶性樹脂
前記アルカリ可溶性樹脂としては、アクリル重合体または側鎖にアクリル不飽和結合を有するアクリル重合体を使用することができる。
【0051】
前記アクリル重合体は、アクリル系単量体の重合体(単独重合体、共重合体を含む)を意味し、このような単量体の例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、マレイン酸無水物、マレイン酸モノアルキルエステル、モノアルキルイタコネート、モノアルキルフマレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、3,4-エポキシブチル(メタ)アクリレート、2,3-エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3-メチルオキセタン-3-メチル(メタ)アクリレート、3-エチルオキセタン-3-メチル(メタ)アクリレート、スチレン、α-メチルスチレン、アセトキシスチレン、N-メチルマレイミド、N-エチルマレイミド、N-プロピルマレイミド、N-ブチルマレイミド、N-シク
ロヘキシルマレイミド、(メタ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられ、これらをそれぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0052】
また、側鎖にアクリル不飽和結合を有するアクリル重合体は、カルボン酸を含むアクリル共重合体にエポキシ樹脂を付加反応させた共重合体であって、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステルなどのカルボン酸を含むアクリルモノマーと、メチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、スチレン、α-メチルスチレン、アセトキシスチレン、N-メチルマレイミド、N-エチルマレイミド、N-プロピルマレイミド、N-ブチルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、(メタ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミドなどのモノマーを2種以上共重合してカルボン酸を含むアクリル共重合体に、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、3,4-エポキシブチル(メタ)アクリレート、2,3-エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートなどのエポキシ樹脂を40~180℃の温度で付加反応させて得たバインダー樹脂を使用することができる。
【0053】
側鎖にアクリル不飽和結合を有するアクリル重合体の他の例としては、エポキシ基を含むアクリル共重合体にカルボン酸を付加反応させた共重合体であって、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、3,4-エポキシブチル(メタ)アクリレート、2,3-エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基を含むアクリルモノマーと、メチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、スチレン、α-メチルスチレン、アセトキシスチレン、N-メチルマレイミド、N-エチルマレイミド、N-プロピルマレイミド、N-ブチルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、(メタ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミドなどのモノマー2種または2種以上を共重合したエポキシ基を含むアクリル共重合体に、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステルなどのカルボン酸を含むアクリルモノマーを40~180℃の温度で付加反応させて得たバインダー樹脂を使用することができる。
【0054】
本発明の一形態によれば、前記アルカリ可溶性樹脂は、パターン特性を調整し、耐熱性及び耐化学性などの薄膜物性を付与するため、感光性組成物100重量%中に3~50重量%、望ましくは5~45重量%、より望ましくは8~40重量%使用することができる。
【0055】
前記アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量は2,000~300,000、望ましくは4,000~100,000であり得、分散度は1.0~10.0であり得る。
【0056】
(b)エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物
前記エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物は、パターン形成時に光反応によって架橋されてパターン形成に寄与し、高温加熱の際に架橋されて耐化学性及び耐熱性を付与する。
【0057】
前記エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物は、感光性組成物100重量%中に0.001~40重量%、望ましくは0.1~30重量%、より望ましくは1~20重量%で含まれ得る。
【0058】
前記エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物の添加量が多過ぎれば、架橋度が過剰に高くなってパターンの延性が低下する虞が生じ得る。
【0059】
前記エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物は、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸のアルキルエステル、グリシジル(メタ)アクリレート、エチレンオキシド基の数が2~14のポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド基の数が2~14のポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド基の数が2~14のプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルアクリル酸付加物、β-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのフタル酸ジエステル、β-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのトルエンジイソシアネート付加物、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートのように、多価アルコールとα,β-不飽和カルボキシル酸とをエステル化して得られる化合物、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルアクリル酸付加物のような多価グリシジル化合物のアクリル酸付加物などが挙げられ、これらをそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0060】
(c)光重合開始剤
本発明の感光性組成物において、光重合開始剤として前記化学式1のオキシムエステル誘導体化合物を使用することができる。前記光重合開始剤は、透明性を高め、露光量を最小化するために、感光性組成物100重量%中に0.01~10重量%、望ましくは0.1~5重量%含有することがより効果的である。
【0061】
(d)接着助剤
また、本発明の感光性組成物は、必要に応じて接着助剤としてエポキシ基、またはアミン基を有するシリコーン系化合物をさらに含むことができる。
【0062】
前記エポキシ基またはアミン基を有するシリコーン系化合物は、ITO電極と感光性組成物との接着力を向上させ、硬化後の耐熱特性を増大させることができる。前記エポキシ基またはアミン基を有するシリコーン系化合物としては、(3-グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン、(3-グリシドキシプロピル)トリエトキシシラン、(3-グリシドキシプロピル)メチルジメトキシシラン、(3-グリシドキシプロピル)メチルジエトキシシラン、(3-グリシドキシプロピル)ジメチルメトキシシラン、(3-グリシドキシプロピル)ジメチルエトキシシラン、3,4-エポキシブチルトリメトキシシラン、3,4-エポキシブチルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン及びアミノプロピルトリメトキシシランなどが挙げられ、これらをそれぞれ単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0063】
前記エポキシ基またはアミン基を有するシリコーン系化合物は、感光性組成物100重
量%中に0.0001~3重量%含まれ得る。上記の範囲を下回ると、添加効果が得られず、上記の範囲を超えると、非露光部の現像特性が低下して、下部基材、ITO、またはガラス基板にスカム(scum)及び残渣などが残存する可能性がある。
【0064】
(e)その他の添加剤
本発明の感光性組成物は、必要に応じて光増感剤、熱重合防止剤、消泡剤、レベリング剤などの相溶性添加剤をさらに含むことができる。
【0065】
前記その他の添加剤は、感光性組成物100重量%中に0.1~10重量%で含まれ得、上記の範囲を下回ると、添加効果が得られず、上記の範囲を超えると、泡が過剰に発生する可能性がある。
【0066】
(f)溶媒
本発明の感光性組成物は、溶媒を加えて基板上にコーティングした後、マスクを用いて紫外線を照射し、アルカリ現像液で現像する方法でパターンを形成する。
【0067】
したがって、溶媒を上述した感光性組成物中の溶媒以外の成分の含量と合わせて組成物の総量が100重量%になるように、溶媒の含量を調節可能であるため、感光性組成物中の溶媒以外の成分の含量によって、溶媒の含量は多様に変更され得る。例えば、溶媒の含量を感光性組成物100重量%中に10~95重量%として、粘度を1~50cpsの範囲となるように調節することが望ましい。
【0068】
前記溶媒としては、アルカリ可溶性樹脂、光開始剤及びその他化合物との相溶性を考慮して、エチルアセテート、ブチルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエチルエーテル、メチルメトキシプロピオネート、エチルエトキシプロピオネート(EEP)、エチルラクテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールメチルエーテルプロピオネート(PGMEP)、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールメチルアセテート、ジエチレングリコールエチルアセテート、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、γ-ブチルラクトン、ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジグリム(diglyme)、テトラヒドロフラン(THF)、メタノール、エタノール、プロパノール、イソ-プロパノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの溶媒をそれぞれ単独で、または2種以上を混合して使用することができる。
【0069】
(g)その他、光重合開始剤
本発明の感光性組成物は、光重合開始剤として上述したオキシムエステル誘導体化合物を単独で使用することもでき、チオキサントン系化合物、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、O-アシルオキシムエステル系化合物、及びチオール系化合物からなる群より選択される1種または2種以上の化合物をさらに使用することもできる。
【0070】
このようにして加えられる光重合開始剤は、感光性組成物100重量%中に0.01~5重量%含有することができる。
【0071】
前記チオキサントン系化合物としては、例えば、チオキサントン、2-クロロチオキサ
ントン、2-メチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、4-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントンなどを使用することができる。
【0072】
前記アセトフェノン系化合物としては、例えば、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)ブタン-1-オン、2-(4-メチルベンジル)-2-(ジメチルアミノ)-1-(4-モルホリノフェニル)ブタン-1-オンなどを使用することができる。
【0073】
前記ビイミダゾール系化合物としては、例えば、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール、2,2’-ビス(2,4-ジクロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール、2,2’-ビス(2,4,6-トリクロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾールなどが挙げられる。
【0074】
前記トリアジン系化合物としては、例えば、2,4,6-トリス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-メチル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-(5-メチルフラン-2-イル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-(フラン-2-イル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-(4-ジエチルアミノ-2-メチルフェニル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-(3,4-ジメトキシフェニル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-エトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-n-ブトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジンなどを使用することができる。
【0075】
前記O-アシルオキシムエステル系化合物としては、例えば、1,2-オクタンジオン-1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-2-(O-ベンゾイルオキシム)、エタノン-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-1-(O-アセチルオキシム)、エタノン-1-[9-エチル-6-(2-メチル-4-テトラヒドロフラニルメトキシベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-1-(O-アセチルオキシム)、エタノン-1-[9-エチル-6-{2-メチル-4-(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラニル)メトキシベンゾイル}-9H-カルバゾール-3-イル]-1-(O-アセチルオキシム)などが挙げられる。
【0076】
前記チオール系化合物としては、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)などを使用することができる。
【0077】
(h)色材
本発明の一形態である感光性組成物には、カラーフィルタ、またはブラックマトリクス形成用レジストとして使用するために含有される色材を、さらに加えることができる。
【0078】
前記色材としては、種々の顔料を使用することができ、例えば、加色混合系のレッド、グリーン、ブルー、減色混合系のシアン、マゼンダ、イエロー、及びブラック顔料などが挙げられ、より具体的に使用可能な顔料としては、C.I.ピグメントイエロー12、13、14、17、20、24、55、83、86、93、109、110、117、125、137、139、147、148、153、154、166、168、C.I.ピグ
メントオレンジ36、43、51、55、59、61、C.I.ピグメントレッド9、97、122、123、149、168、177、180、192,215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、C.I.ピグメントバイオレット19、23、29、30、37、40、50、C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:4、15:6、22、60、64、C.I.ピグメントグリーン7、36、C.I.ピグメントブラウン23、25、26、C.I.ピグメントブラック7、及びチタンブラックなどが挙げられる。
【0079】
前記色材は、感光性組成物100重量%中に5~50重量%含まれ得る。上記の範囲を下回ると、遮光性が低下し、上記の範囲を超えると、露光不良や硬化不良になる可能性がある。
【0080】
本発明の一態様によれば、上述した感光性組成物の硬化物を含む成形物が提供される。
【0081】
前記成形物としては、アレイ平坦化膜、絶縁膜、カラーフィルタ、カラムスペーサ、ブラックカラムスペーサ、またはブラックマトリクスなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0082】
また、本発明の一態様によれば、前記成形物を含む液晶表示素子、OLEDのなどの多様なディスプレイが提供される。
【0083】
本発明の一形態である感光性組成物は、スピンコーター、ロールコーター、バーコーター、ダイコーター、カーテンコーター、各種の印刷、浸漬などの公知の手段で、ソーダガラス、石英ガラス、半導体基板、金属、紙、プラスチックなどの支持体上に適用することができる。また、はじめにフィルムなどの支持体上に適用した後、他の支持体上に転写することもでき、その適用方法に制限はない。
【実施例】
【0084】
以下、本発明の理解を助けるため、本発明の代表化合物を実施例、及び比較例を挙げて詳細に説明する。しかし、本発明の実施例は他の多くの形態に変更でき、本発明の範囲は後述する実施例に限定されない。本発明の実施例は、当業者に本発明をより詳細に説明するために提供されるものである。
【0085】
<オキシムエステル誘導体化合物の製造>
実施例1
【0086】
【0087】
1段階:10-ブチル-10H-フェノチアジンの合成
反応器中に、10-H-フェノチアジン(30g)をジメチルスルホキシド(90ml)に入れて溶かし、テトラブチルアンモニウムブロマイド(2g)と50%水酸化ナトリウム溶液(120ml)を添加した。30分間撹拌した後、1-ブロモブタン(32.6ml)を滴加して室温で24時間撹拌した。反応完了後、エチルアセテートと水で3回抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで脱水してから減圧濃縮した。展開溶媒としてヘキサンを用いてカラムクロマトグラフィー精製をして目標化合物(27.0g、70.5%)を得た。
【0088】
1H NMR(δppm;CDCl3):0.93(3H,t)、1.40-1.50(4H,m)、1.74-1.82(2H,q)、6.71-7.05(2H,m)、7.11-7.14(2H,m)
MS(m/e):255
【0089】
2段階:1,1’-(10-ブチル-10H-フェノチアジン-3,7-ジイル)ジブタン-1-オンの合成
反応器中に、1段階での上記生成物(27g)を塩化メチレン(135ml)に溶かした後、塩化アルミニウム(42.0g)、塩化ブチリル(33.6g)を0℃以下で添加し、常温で8時間撹拌した。反応完了後、反応溶液を氷水に添加して撹拌してから放置して、水層は除去し、有機層は水で2回洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで脱水して減圧濃縮した。展開溶媒としてエチルアセテート:ヘキサン(1:10)を用いてカラムクロマトグラフィー精製をして目標化合物(17.0g、41%)を得た。
【0090】
1H NMR(δppm;CDCl3):0.96(3H,t)、1.23(6H,t)、1.35-1.70(6H,m)、1.82-2.01(2H,m)、2.45-2.76(4H,m)、4.10-4.14(2H,m)、7.46-7.50(2H,m)、8.29-8.33(2H,m)、8.75(2H,s)
MS(m/e):395
【0091】
3段階:1,1’-(10-ブチル-10H-フェノチアジン-3,7-ジイル)ビス(2-(ヒドロキシイミノ)ブタン-1-オン)の合成
反応器中に、2段階での上記生成物(17.0g)をテトラヒドロフラン(85ml)に加えた後、濃塩酸(10.8mL)と亜硝酸イソブチル(13.3g)を徐々に滴加した。常温で1時間30分撹拌した後、エチルアセテートと水で3回抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで脱水してからエチルアセテートで結晶化して目標化合物(10.7g、55.0%)を得た。
【0092】
1H NMR(δppm;CDCl3):1.08(3H,t)、1.24-1.28(6H,m)、1.51-1.70(2H,m)、1.82-2.01(2H,m)、2.70-2.76(4H,q)、4.10-4.14(2H,m)、7.48-7.51(2H,m)、8.30-8.34(2H,m)、8.76(2H,s)
MS(m/e):453
【0093】
4段階:1,1’-(10-ブチル-10H-フェノチアジン-3,7-ジイル)ビス(2-(アセトキシイミノ)ブタン-1-オン)の合成
反応器中に、3段階での上記生成物(10.7g)をエチルアセテート(107ml)に加えた後、室温でトリエチルアミン(7.3g)、塩化アセチル(5.65g)を順に滴加した。室温で1時間撹拌した後、蒸留水を加えた。有機層を蒸留水で2回洗浄して無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮して得た生成物をエチルアセテートとヘキサ
ンとの1:1溶媒で結晶化して目標化合物(8.7g、67.4%)を得た。
【0094】
1H NMR(δppm;CDCl3):1.09(3H,t)、1.18-1.26(6H,m)、1.59-1.67(2H,m)、1.85-2.01(2H,m)、2.31(6H,s)、2.80-2.87(4H,m)、4.29-4.34(2H,m)、7.54(2H,d)、8.48(2H,d)、8.81(2H,s)
MS(m/e):537
分解点:200.8℃
【0095】
実施例2~実施例19
実施例1と同じ条件で、下記表1及び表2の組成のオキシムエステル誘導体化合物を合成した。
【0096】
【0097】
【0098】
<アルカリ可溶性樹脂の製造>
合成例1
500mLの重合容器にプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)200mLとアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)1.5gを添加した後、メタクリル酸、グリシジルメタクリル酸、メチルメタクリル酸、及びジシクロペンタニルアクリル酸をそれぞれ20:20:40:20のモル比で、アクリルモノマーの固形分が40重量%となるように添加した後、窒素雰囲気下、70℃で5時間撹拌して重合させてアクリル重合体(a-1)を製造した。このようにして製造された重合体の重量平均分子量は25,000、分散度は1.9であった。
【0099】
合成例2
500mLの重合容器にPGMEA 200mLとAIBN 1.0gを添加した後、メタクリル酸、スチレン、メチルメタクリル酸、及びシクロヘキシルメタクリル酸をそれぞれ40:20:20:20のモル比で、アクリルモノマーの固形分が40重量%となるように添加した後、窒素雰囲気下、70℃で5時間撹拌して重合させて共重合体を合成した。この反応器にN,N-ジメチルアニリン0.3gと、グリシジルメタクリル酸を総モノマー固形分100モルに対して20モルの比となるように添加した後、100℃で10時間撹拌して側鎖にアクリル不飽和結合を有するアクリル重合体(a-2)を製造した。このようにして製造された重合体の重量平均分子量は20,000、分散度は2.0であった。
【0100】
合成例3
500mLの重合容器にPGMEA 200mLとAIBN 1.0gを添加した後、グリシジルメタクリル酸、スチレン、メチルメタクリル酸、及びシクロヘキシルメタクリル酸をそれぞれ40:20:20:20のモル比で、アクリルモノマーの固形分が40重量%となるように添加した後、窒素雰囲気下、70℃で5時間撹拌して重合させて共重合体を合成した。この反応器にN,N-ジメチルアニリン0.3gと、アクリル酸を総モノマー固形分100モルに対して20モルの比となるように添加した後、100℃で10時間撹拌して側鎖にアクリル不飽和結合を有するアクリル重合体(a-3)を製造した。このようにして製造された重合体の重量平均分子量は18,000、分散度は1.8であった。
【0101】
実施例20~実施例35:感光性組成物の製造
実施例20~実施例35は、紫外線遮断膜と撹拌機を備える反応混合槽に下記表3に記載される成分と含量に従って、アルカリ可溶性樹脂a-1~a-3;エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物;本発明の光重合開始剤;及びFC-430(3M社製のレベリング剤)を順次添加し、常温で撹拌した後、組成物の総量が100重量%になるように溶媒としてPGMEAを加えて感光性組成物を製造した。
【0102】
実施例36~実施例37:着色感光性組成物の製造
下記表3に記載されるように、実施例36は、固形分25重量%でPGMEAに分散したカーボンブラック分散液を50重量%加え、実施例37は、固形分25重量%でPGMEAに分散したピグメントレッド177(P.R.177)の分散液を50重量%加えたことを除いて、それぞれ実施例17と同じ方法で着色感光性組成物を製造した。
【0103】
実施例38
下記表3に記載されるように、光重合開始剤として、実施例1の化合物とともに下記化学式3を混合使用したことを除いて、実施例17と同じ方法で感光性組成物を製造した。
【0104】
【0105】
<成分>
(a)アルカリ可溶性樹脂
(b)エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物
b-1:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
b-2:ジペンタエリスリトールペンタアクリレート
b-3:ペンタエリスリトールトリアクリレート
b-4:ペンタエリスリトールトリメタクリレート
b-5:トリメチロールプロパントリアクリレート
b-6:エチレングリコールジアクリレート
b-7:ビスフェノール-Aジグリシジルエーテルアクリル酸付加物
b-8:トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルアクリル酸付加物
(c)光重合開始剤
(e)レベリング剤:FC-430(3M社製のレベリング剤)
(h)色材
h-1:カーボンブラック(固形分25重量%)
h-2:ピグメントレッド177(P.R.177、固形分25重量%)
【0106】
【0107】
比較例1
光重合開始剤として実施例1の化合物の代りに下記化学式4を使用したことを除き、実施例17と同じ方法で光重合組成物を製造した。
【化8】
【0108】
比較例2
光重合開始剤として実施例1の化合物の代りに下記化学式5を使用したことを除き、実施例17と同じ方法で光重合組成物を製造した。
【化9】
【0109】
<評価>
実施例20~実施例38、比較例1及び比較例2で製造した感光性組成物の評価はガラス基板上で行い、感光性組成物の感度、残膜率、パターン安定性、耐化学性及び延性などの性能を測定して、その結果を下記表4に示した。
【0110】
1)感度
ガラス基板上にフォトレジストをスピンコーティングして100℃で1分間ホットプレートで乾燥した後、ステップマスクを用いて露光し、0.04%KOH水溶液で現像した。ステップマスクパターンが初期厚さに対して80%の厚さを維持する露光量を、感度として評価した。
【0111】
2)残膜率
感光性組成物を基板上にスピンコーターで塗布した後、100℃で1分間プリベーク(prebake)し、365nmで露光させた後、230℃で20分間ポストベーク(postbake)して、レジスト膜のポストベーク前後の厚さの比率(%)を測定した。
【0112】
3)パターン安定性
フォトレジストパターンを形成したシリコンウェハーをホールパターンの垂直方向から切断し、パターンの断面方向を電子顕微鏡で観察した。パターンのサイド壁が基板に対して55度以上の角度で起立し、レジスト膜が減少しなかったものを「良好」とし、レジスト膜の減少が認められたものを「膜減」と判定した。
【0113】
4)耐化学性
感光性組成物を基板上にスピンコーターを用いて塗布した後、プリベーク及びポストベークなどの工程を経て形成されたレジスト膜をストリッパー(stripper)溶液に40℃で10分間浸漬し、レジスト膜の透過率及び厚さの変化の有無を観察した。透過率及び厚さの変化が2%以下の場合を「良好」とし、透過率及び厚さの変化が2%を超えれば「不良」と判定した。
【0114】
5)延性
感光性組成物を基板上にスピンコーティングした後、100℃で1分間プリベークし、フォトレジストの感度で露光させた後、KOH水溶液で現像して20μm×20μmのパターンを形成した。形成されたパターンを230℃で20分間ポストベークして架橋させ、該パターンの延性をナノインデンター(nano indentor)を用いて測定した。ナノインデンターでの測定は5gfの負荷で行い、総変位量が500nm以上であれば「良好」、500nm未満であれば「不良」と判定した。
【0115】
【0116】
表4より、本発明のオキシムエステル誘導体化合物は、感光性組成物の光重合開始剤として使用する際、少量でも感度が格段に優れ、残膜率、パターン安定性、耐化学性及び延性などの物性にも優れることが確認できた。