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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-04
(45)【発行日】2022-01-20
(54)【発明の名称】粉末微粒化装置および粉末微粒化方法
(51)【国際特許分類】
   B22F 9/08 20060101AFI20220113BHJP
【FI】
B22F9/08
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020533097
(86)(22)【出願日】2018-11-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-06-17
(86)【国際出願番号】 CN2018116033
(87)【国際公開番号】W WO2020097937
(87)【国際公開日】2020-05-22
【審査請求日】2020-08-28
(73)【特許権者】
【識別番号】520206025
【氏名又は名称】チンタオ・ユンル・アドバンスト・マテリアルズ・テクノロジー・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100117640
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 達己
(72)【発明者】
【氏名】リー,シァオユー
(72)【発明者】
【氏名】パン,ジン
(72)【発明者】
【氏名】チャン,シュエソン
(72)【発明者】
【氏名】フェイ,ジン
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ,ウェンシー
【審査官】中西 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-133921(JP,A)
【文献】特開昭58-084907(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106077685(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第107150126(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第105750516(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第105728676(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第107414093(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第107008911(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末微粒化装置において、
原料を溶鋼に溶解するのに用いられる開放式溶解炉と、
前記開放式溶解炉から溶鋼を受け取り、受け取った前記溶鋼の温度を予め設定された範囲に維持し、前記溶鋼を注入取鍋内に注ぎ込むのに用いられるタンディッシュと
前記タンディッシュおよび前記注入取鍋を収容するのに用いられる真空溶解チャンバと、
前記真空溶解チャンバの側壁に接続されて前記開放式溶解炉内の前記溶鋼を前記タンディッシュ内に導くのに用いられる気密ガイド装置と、を備え、
前記注入取鍋は、第1の状態で、注ぎ込まれた前記溶鋼を微粒化チャンバ内に微粒化させるのに用いられ、前記第1の状態は、予め設定した温度に加熱することと前記微粒化チャンバに接続することとを含み、
前記微粒化チャンバは、前記微粒化チャンバ内に微粒化された溶鋼の液滴を凝縮させて金属粉末にするのに用いられ
前記真空溶解チャンバの前記側壁を基準に、前記真空溶解チャンバの内側または外側に向かって配置された区画であって、前記側壁の可動式の第1のバッフルプレートと、前記第1のバッフルプレートの垂直方向の反対側にある可動式の第2のバッフルプレートとを含み、前記注入取鍋を前記真空溶解チャンバに出し入れ可能にし、前記注入取鍋が前記真空溶解チャンバに出し入れされるときに、真空化機器と共に前記真空溶解チャンバの内部を低酸素状態に維持するのに用いられる、区画をさらに含む、粉末微粒化装置。
【請求項2】
請求項に記載の装置において、前記気密ガイド装置は、内側材料および外側材料を少なくとも備え、前記内側材料は耐熱材料であり、前記外側材料は金属材料である、装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置において、前記タンディッシュは、加熱機能を有する誘導炉である、装置。
【請求項4】
請求項1に記載の装置において、前記開放式溶解炉の容積は、前記タンディッシュの容積より大きい、装置。
【請求項5】
請求項1に記載の装置に基づく粉末微粒化方法において、
前記開放式溶解炉内で溶解した前記溶鋼の品質が予め設定した基準に達したことを判断するステップと、
前記タンディッシュにより前記開放式溶解炉から溶鋼を受け取るステップであって、前記気密ガイド装置により前記開放式溶解炉内の前記溶鋼を前記タンディッシュ内に導く、ステップと、
前記注入取鍋が前記第1の状態にあることを判断し、溶鋼を内部に受け取った前記タンディッシュから前記注入取鍋内に溶鋼を注ぎ込み、注ぎ込まれた前記溶鋼を前記微粒化チャンバ内に微粒化させるように前記注入取鍋を制御するステップと
前記注入取鍋の耐熱材料を交換するステップであって、前記真空溶解チャンバから出るように前記注入取鍋を制御するステップと、前記真空溶解チャンバの外の前記注入取鍋の前記耐熱材料を交換するステップとを含む、ステップとを備え、
前記真空溶解チャンバから出るように前記注入取鍋を制御するステップは、
移動して開いた状態になるように前記第1のバッフルプレートを制御し、前記区画内に移動するように前記注入取鍋を制御するステップと、
移動して閉じた状態になるように前記第1のバッフルプレートを制御するステップと、
移動して開いた状態になるように前記第2のバッフルプレートを制御し、前記真空溶解チャンバから出るように前記注入取鍋を制御するステップとを備えた、方法。
【請求項6】
請求項に記載の方法において、前記微粒化チャンバ内に注ぎ込まれた前記溶鋼を微粒化させるように前記注入取鍋を制御するステップの後に、
前記タンディッシュ内の溶鋼の量が予め設定された対応するしきい値よりも少ないことを判断し、前記タンディッシュにより、再び前記開放式溶解炉から溶鋼を受け取り、前記注入取鍋の耐熱材料を交換するステップと、
前記耐熱材料が交換された前記注入取鍋が前記第1の状態にあることを判断し、再び前記溶鋼を内部に受け取った前記タンディッシュから前記耐熱材料が交換された前記注入取鍋内に溶鋼を注ぎ込み、注ぎ込まれた前記溶鋼を前記微粒化チャンバに微粒化させるように、前記耐熱材料が交換された前記注入取鍋を制御するステップとをさらに備えた、方法。
【請求項7】
請求項に記載の方法において、前記開放式溶解炉内の溶鋼の量が予め設定された対応するしきい値よりも少ない場合に、溶かされて溶鋼になる原料を前記開放式溶解炉内に追加する、方法。
【請求項8】
請求項に記載の方法において、溶かされて溶鋼となる原料は、酸化可能な材料を含み、前記開放式溶解炉内の溶鋼の品質が予め設定した基準に達したことを判断するステップは、
前記開放式溶解炉内の前記酸化可能な材料以外の前記原料から溶解された溶鋼の品質が予め設定した基準に達したことを判断することを含み、
前記タンディッシュにより前記開放式溶解炉から溶鋼を受け取るステップの前に、前記方法は、
前記真空溶解チャンバ内で前記酸化可能な材料が前記タンディッシュ内に受け取った前記溶鋼内に溶けるように、前記酸化可能な材料を前記タンディッシュ内に配置するステップをさらに備えた、方法。
【請求項9】
請求項に記載の方法において、前記注入取鍋の前記耐熱材料を交換するステップの後に、
前記第2のバッフルプレートが開いた状態にあることを判断し、前記区画内に移動するように前記注入取鍋を制御するステップと、
閉じた状態になるように前記第2のバッフルプレートを制御し、真空化機器により第1の区画を真空にするステップと、
前記区画の内部が低酸素状態であることを判断し、前記真空溶解チャンバ内に移動するように前記注入取鍋を制御するステップとを備えた、方法。
【請求項10】
粉末微粒化装置において、
原料を溶鋼に溶解するのに用いられる開放式溶解炉と、
前記開放式溶解炉から溶鋼を受け取り、受け取った前記溶鋼の温度を予め設定された範囲に維持し、前記溶鋼を複数の注入取鍋内に注ぎ込むのに用いられるタンディッシュと
前記タンディッシュおよび前記複数の注入取鍋を収容するのに用いられる真空溶解チャンバと、
前記真空溶解チャンバの側壁に接続されて前記開放式溶解炉内の前記溶鋼を前記タンディッシュ内に導くのに用いられる気密ガイド装置と、を備え、
前記複数の注入取鍋は、第1の注入取鍋および第2の注入取鍋を含み、前記第1の注入取鍋は、第1の状態で、注ぎ込まれた前記溶鋼を微粒化チャンバ内に微粒化させるのに用いられ、前記第1の状態は、予め設定した温度に加熱することと前記微粒化チャンバに接続することとを含み、第1の注入取鍋が前記タンディッシュから注がれた溶鋼で満たされた後に、前記タンディッシュから溶鋼を受け取るために前記第2の注入取鍋が前記第1の注入取鍋と置き換えられ、
前記微粒化チャンバは、前記微粒化チャンバ内に微粒化された溶鋼の液滴を凝縮させて金属粉末にするのに用いられ
複数の区画であって、前記複数の区画の個数は前記複数の注入取鍋の個数と同じであり、前記複数の区画は、前記真空溶解チャンバの前記側壁を基準に配置され、それぞれ前記側壁の可動式の第1のバッフルプレートと、前記第1のバッフルプレートの垂直方向の反対側にある可動式の第2のバッフルプレートとを含み、対応する前記注入取鍋が前記真空溶解チャンバに出し入れ可能にし、前記複数の注入取鍋が前記真空溶解チャンバに出し入れされるときに、真空化機器と共に前記真空溶解チャンバの内部を低酸素状態に維持するのに用いられる、複数の区画をさらに含む、粉末微粒化装置。
【請求項11】
請求項10に記載の装置において、
環状トラックをさらに備え、前記複数の注入取鍋は、前記環状トラックを基準に等間隔で固定して配置され、前記環状トラックは、前記タンディッシュから注がれた溶鋼を受け取るために、前記複数の注入取鍋を1つずつ注ぎ場所に移動させるのに用いられる、装置。
【請求項12】
請求項10に記載の装置において、
環状トラックであって、前記複数の注入取鍋は、前記環状トラックを基準に等間隔で取り外し可能に配置され、前記環状トラックは、前記タンディッシュから注がれた溶鋼を受け取って前記複数の注入取鍋を出口まで回転させるために、前記複数の注入取鍋を注ぎ場所に回転させるのに用いられ、前記複数の注入取鍋が区画を介して前記真空溶解チャンバから出る、環状トラックをさらに備えた、装置。
【請求項13】
請求項10に記載の装置に基づく粉末微粒化方法において、
前記複数の区画は、前記真空溶解チャンバの前記側壁を基準に前記真空溶解チャンバの外側に向かって配置されており、
前記開放式溶解炉内で溶解された前記溶鋼の品質が予め設定された基準に達したことを判断するステップと、
前記タンディッシュにより前記開放式溶解炉から溶鋼を受け取るステップであって、前記気密ガイド装置により前記開放式溶解炉内の前記溶鋼を前記タンディッシュ内に導くことを備えた、ステップと、
前記複数の注入取鍋の第1の注入取鍋が前記第1の状態にあることを判断し、溶鋼を内部に受け取った前記タンディッシュから前記第1の注入取鍋内に溶鋼を注ぎ込み、注ぎ込まれた前記溶鋼を前記微粒化チャンバ内に微粒化させるように前記第1の注入取鍋を制御するステップと、
記タンディッシュを前記複数の注入取鍋の別の前記タンディッシュに置き換えるステップと、
前記第2の注入取鍋が前記第1の状態にあることを判断し、前記タンディッシュから前記第2の注入取鍋内に溶鋼を注ぎ込み、注ぎ込まれた前記溶鋼を前記微粒化チャンバ内に微粒化させるように前記第2の注入取鍋を制御するステップとを備え
前記タンディッシュ内の溶鋼の量が予め設定された対応するしきい値よりも少ないことを判断するステップの後に、
前記真空溶解チャンバから出るように前記第1の注入取鍋を制御するステップと、
前記真空溶解チャンバの外の前記第1の注入取鍋の耐熱材料を交換するステップとをさらに備え、
前記真空溶解チャンバを出るように前記第1の注入取鍋を制御するステップは、
移動して開いた状態になるよう前記第1のバッフルプレートを制御し、対応する前記区画内に移動するように前記注入取鍋を制御するステップと、
移動して閉じた状態になるように前記第1のバッフルプレートを制御するステップと、
開いた状態になるように前記第2のバッフルプレートを制御し、前記真空溶解チャンバから出るように前記注入取鍋を制御するステップとを備えた、粉末微粒化方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法において、前記第1の注入取鍋を前記第2の注入取鍋に置き換えられステップは、
前記タンディッシュ内の溶鋼の量が予め設定された対応するしきい値よりも少ないことを判断し、前記タンディッシュにより、前記開放式溶解炉から溶鋼を再び受け取り、前記第1の注入取鍋を前記第2の注入取鍋に置き換える、方法。
【請求項15】
請求項13に記載の方法において、前記装置は、前記真空溶解チャンバ内に位置付けられた環状トラックをさらに備え、前記複数の注入取鍋は、前記環状トラックを基準に等間隔で固定して配置され、
前記第1の注入取鍋を前記第2の注入取鍋に置き換えるステップは、
前記第2の注入取鍋を注ぎ場所に移動させるために回転するように前記環状トラックを制御するステップを備えた、方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法において、前記タンディッシュから注がれた溶鋼を連続的に受け取るように前記複数の注入取鍋を制御した後に、前記真空溶解チャンバを開いて前記複数の注入取鍋の耐熱材料を交換する、方法。
【請求項17】
請求項13に記載の方法において、
前記装置は、環状トラックをさらに含み、前記環状トラックは、前記真空溶解チャンバ内に位置付けられており、前記複数の注入取鍋は、前記環状トラックを基準に等間隔で取り外し可能に配置され
記第1の注入取鍋を前記第2の注入取鍋に置き換えるステップは、
前記第2の注入取鍋を注ぎ場所に移動させるとともに前記第1の注入取鍋を出口に移動させるために回転するように前記環状トラックを制御するステップを備え、
前記第1の注入取鍋が前記出口に移動した後に、
移動して開いた状態になるように前記第1のバッフルプレートを制御し、前記区画内に移動するように前記第1の注入取鍋を制御するステップと、
移動して閉じた状態になるように前記第1のバッフルを制御するステップと、
移動して開いた状態になるように前記第2のバッフルプレートを制御し、前記第1の注入取鍋の耐熱材料を交換するために、前記真空溶解チャンバから出るように前記第1の注入取鍋を制御するステップとを備えた、方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法において、前記第1の注入取鍋の耐熱材料が交換された後に、
前記第2のバッフルプレートが前記開いた状態にあることを判断し、前記区画内に移動するように前記第1の注入取鍋を制御するステップと、
閉じた状態になるように前記第2のバッフルプレートを制御し、真空化機器により第1の区画を真空にするステップと、
前記第1の区画の内部が低酸素状態であることを判断し、前記環状トラック上に移動するように前記第1の注入取鍋を制御するステップとを備えた、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0002] 本発明は、金属粉末製造の技術分野に関し、特に、粉末微粒化装置および粉末微粒化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0004] 粉末微粒化とは、高速で流れる流体(微粒化媒体)の衝撃によって、金属または合金の液体を細かい液滴に粉砕した後に固体粉末に凝縮させる粉末生成方法を指し、それは完全に合金化された粉末を生成するための最良の方法であり、粉末微粒化により生成された製品は予め合金化された粉末と呼ばれている。予め合金化された粉末の各粒子は、存在する溶融合金のものと完全に同一な単一の化学組成を有し、結晶構造は急速な凝固により精製され、従って第2相のマクロ偏析を排除する。
【0003】
[0005] 真空ガスベースの粉末微粒化は、近年の金属粉末製造業界で開発された新しいプロセスであり、酸化し難い材料、金属粉末の迅速な焼入れ、高度な自動化等の利点を有している。具体的なプロセスによると、金属および合金材料は溶解されて誘導炉で精製され、溶かされた後に得られた金属液体が保温るつぼに注ぎ込まれてガイド管に入り、この瞬間に、溶融流れがノズルから噴出された高圧ガス流により微粒化され、微粒化後に得られた金属液体の液滴が凝固されて粉末を得るために微粒化タワー内で沈殿して最終的には粉末回収タンク内に落下する。
【0004】
[0006] 図1に示す既存の粉末微粒化装置によると、最初に準備された原料が溶解チャンバ110内で溶解炉120内に配置され;次に溶解チャンバ110は真空引きされて、(精製される粉末のタイプに応じて選択および配分されたくず鉄や廃棄シリコン等の)原料が溶鋼に溶解された後に、断熱るつぼ、ガイド管、およびノズルを含んだ注入取鍋130に注がれ;溶鋼が断熱るつぼからガイド管に流れ、次に、ガイド管から流出されるときにノズルから噴出された高圧ガス流により微粒化チャンバ140内に微粒化され、最終的に微粒化チャンバ内で凝固および凝結され、得られた粉末が粉末回収装置内に落ちる。微粒化チャンバ140(または微粒化タワー)の注入取鍋130と接続された部分のみが図1に示されており、図1は微粒化チャンバの全体を示しておらず、微粒化チャンバに接続された粉末回収装置でさえ示していないことに留意されたい。
【0005】
[0007] 図1に示す粉末微粒化装置の手段によって行われる粉末の微粒化は以下の欠点を有している。1)低い粉末精製率:例えば、200~500kgの溶鋼を収容可能な溶解炉では、原料を溶かして溶鋼を所望の温度まで加熱するための準備時間は90~100分間であり、粉末精製時間は15~30分間であり、24時間当たりの連続粉末精製時間はたったの3~4時間である。2)高コストな耐熱材料:1回分の溶鋼が注がれる度に耐熱材料を交換する必要がある。より良く理解のために、2つ目の欠点をここで完結に説明する:注入取鍋内の耐熱チャンバの内側とガイド管の内側とは耐熱材料で覆われており、通常はるつぼであり、それは限定的な耐用年数を有している。例えば、鋳造工程では、1800kg以下の溶鋼が注入取鍋を流通するときに、耐熱材料は、軟化したり溶けたりすることなく溶鋼の高温に耐えることができ、溶解炉120が300kgの溶鋼を収容可能であると仮定すると、注入取鍋130は、実際は一度に6倍の溶鋼を支持することができる。しかしながら、実際の粉末精製の間は、溶解炉内の溶鋼が注入取鍋130に注がれる度に、新たな溶鋼が溶解炉内で準備されている必要があり、注入取鍋130が溶解炉から300kgの溶鋼を受け取る度に、ガイド管を流通する溶鋼は、ガイド管の周辺に加熱装置が無いことにより、最終的には次第に冷却され、結果的にガイド管の内壁に付着したりガイド管を塞いだりし、微粒化効果は、再び溶解炉120内の溶鋼が注入取鍋130に注がれたときに、深刻な影響を受けてしまい、これにより、耐熱材料は、例え耐熱材料の耐用年数が使い果たされていなくても交換される必要がある。
【0006】
[0008] これにより、粉末の生産を増加させることのできる効果的な粉末生成時間を延ばすための合理的な解決法を提供する必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
[0009] 本明細書の実施形態は、溶鋼を溶解するのに用いられる開放式溶解炉と溶鋼を受け取るのに用いられるタンディッシュとを有するように設計された粉末微粒化装置を提供する。開放式溶解炉内の溶鋼の量は、タンディッシュが開放式溶解炉から迅速に溶鋼を受け取り、次に、溶鋼を注入取鍋に注ぐことができるように十分に維持される。さらに、一方では、2つのタンディッシュ等、複数のタンディッシュは、開放式溶解炉から溶鋼を交互に受け取り、1つの注入取鍋に連続的に溶鋼を注ぐことができるように設計されていてもよく、または、複数の注入取鍋は注入取鍋の交換時間を短くすることができるように設計されていてもよい。
【0008】
[0010] 一つの特徴では、本明細書は、粉末微粒化装置において、原料を溶鋼に溶解するのに用いられる開放式溶解炉と、前記開放式溶解炉から溶鋼を受け取り、受け取った前記溶鋼の温度を予め設定された範囲に維持し、前記溶鋼を注入取鍋内に注ぎ込むのに用いられるタンディッシュとを備え、前記注入取鍋は、第1の状態で、注ぎ込まれた前記溶鋼を微粒化チャンバ内に微粒化させるのに用いられ、前記第1の状態は、予め設定した温度に加熱することと前記微粒化チャンバに接続することとを含み、前記微粒化チャンバは、前記微粒化チャンバ内に微粒化された溶鋼の液滴を凝縮させて金属粉末にするのに用いられる、粉末微粒化装置を提供する。
【0009】
[0011] 一実施形態では、粉末微粒化装置は、前記タンディッシュおよび前記注入取鍋を収容するのに用いられる真空溶解チャンバと、前記真空溶解チャンバの側壁に接続されて前記開放式溶解炉内の前記溶鋼を前記タンディッシュ内に導くのに用いられる気密ガイド装置とをさらに備えている。
【0010】
[0012] さらに、1つの具体的な実施形態では、前記気密ガイド装置は、内側材料および外側材料で構成され、前記内側材料は耐熱材料であり、前記外側材料は金属材料である。
【0011】
[0013] 別の具体的な実施形態では、粉末微粒化装置は、前記真空溶解チャンバの前記側壁を基準に、前記真空溶解チャンバの内側または外側に向かって配置された区画であって、前記側壁の可動式の第1のバッフルプレートと、前記第1のバッフルプレートの垂直方向の反対側にある可動式の第2のバッフルプレートとを含み、前記注入取鍋を前記真空溶解チャンバに出し入れ可能にし、前記注入取鍋が前記真空溶解チャンバに出し入れされるときに、真空化機器と共に前記真空溶解チャンバの内部を低酸素状態に維持するのに用いられる、区画をさらに含んでいる。
【0012】
[0014] 一実施形態では、前記タンディッシュは、加熱機能を有する誘導炉である。
[0015] 一実施形態では、前記開放式溶解炉の容積は、前記タンディッシュの容積より大きい。
【0013】
[0016] 第2の特徴では、本明細書は、第1の特徴で提供された装置に基づく粉末微粒化方法において、前記開放式溶解炉内で溶解した前記溶鋼の品質が予め設定した基準に達したことを判断するステップと、前記タンディッシュにより前記開放式溶解炉から溶鋼を受け取るステップと、前記注入取鍋が前記第1の状態にあることを判断し、溶鋼を内部に受け取った前記タンディッシュから前記注入取鍋内に溶鋼を注ぎ込み、注ぎ込まれた前記溶鋼を前記微粒化チャンバ内に微粒化させるように前記注入取鍋を制御するステップと、前記タンディッシュ内の溶鋼の量が予め設定された対応するしきい値よりも少ないことを判断し、前記タンディッシュにより、再び前記開放式溶解炉から溶鋼を受け取り、前記注入取鍋の耐熱材料を交換するステップと、前記耐熱材料が交換された前記注入取鍋が前記第1の状態にあることを判断し、再び前記溶鋼を内部に受け取った前記タンディッシュから前記耐熱材料が交換された前記注入取鍋内に溶鋼を注ぎ込み、注ぎ込まれた前記溶鋼を前記微粒化チャンバに微粒化させるように、前記耐熱材料が交換された前記注入取鍋を制御するステップとを備えた、方法を提供する。
【0014】
[0017] 一実施形態では、前記開放式溶解炉内の溶鋼の量が予め設定された対応するしきい値よりも少ない場合に、溶かされて溶鋼になる原料を前記開放式溶解炉内に追加する。
【0015】
[0018] 一実施形態では、前記装置は、前記タンディッシュおよび前記注入取鍋を収容するのに用いられる真空溶解チャンバと、前記真空溶解チャンバの側壁に接続された気密ガイド装置とをさらに備え、前記タンディッシュにより前記開放式溶解炉から溶鋼を受け取るステップは、前記気密ガイド装置により前記開放式溶解炉内の前記溶鋼を前記タンディッシュ内に導く。
【0016】
[0019] さらに、一つの具体的な実施形態では、溶かされて溶鋼となる原料は、容易に酸化可能な材料を含み、前記開放式溶解炉内の溶鋼の品質が予め設定した基準に達したことを判断するステップは、前記開放式溶解炉内の容易に酸化可能な材料以外の前記原料から溶解された溶鋼の品質が予め設定した基準に達したことを判断することを含み、前記タンディッシュにより前記開放式溶解炉から溶鋼を受け取るステップの前に、前記方法は、前記真空溶解チャンバ内で前記容易に酸化可能な材料が前記タンディッシュ内に受け取った前記溶鋼内に溶けるように、前記容易に酸化可能な材料を前記タンディッシュ内に配置するステップをさらに備えている。
【0017】
[0020] 別の具体的な実施形態では、前記注入取鍋の耐熱材料を交換するステップは、前記真空溶解チャンバから出るように前記注入取鍋を制御するステップと、前記真空溶解チャンバの外の前記注入取鍋の前記耐熱材料を交換するステップとを備えている。
【0018】
[0021] さらに、一実施形態では、前記装置は、前記真空溶解チャンバの前記側壁を基準に前記真空溶解チャンバの外側に向けて配置された区画であって、前記側壁の可動式の第1のバッフルプレートと、前記第1のバッフルプレートの垂直方向の反対側にある可動式の第2のバッフルプレートとを含む、区画をさらに備え、前記真空溶解チャンバから出るように前記注入取鍋を制御するステップは、移動して開いた状態になるように前記第1のバッフルプレートを制御し、前記区画内に移動するように前記注入取鍋を制御するステップと、移動して閉じた状態になるように前記第1のバッフルプレートを制御するステップと、移動して開いた状態になるように前記第2のバッフルプレートを制御し、前記真空溶解チャンバから出るように前記注入取鍋を制御するステップとを備えている。
【0019】
[0022] さらに、1つの特定の例では、前記注入取鍋の前記耐熱材料を交換するステップの後に、前記第2のバッフルプレートが開いた状態にあることを判断し、前記区画内に移動するように前記注入取鍋を制御するステップと、閉じた状態になるように前記第2のバッフルプレートを制御し、真空化機器により前記第1の区画を真空にするステップと、前記区画の内部が低酸素状態であることを判断し、前記真空溶解チャンバ内に移動するように前記注入取鍋を制御するステップとを備えている。
【0020】
[0023] 第3の特徴では、本明細書は、粉末微粒化装置において、原料を溶鋼に溶解するのに用いられる開放式溶解炉と、前記開放式溶解炉から溶鋼を交互に受け取り、連続的および交互に前記溶鋼を注入取鍋に注ぐのに用いられる複数のタンディッシュとを備え、前記注入取鍋は、第1の状態で、注ぎ込まれた前記溶鋼を微粒化チャンバ内に連続的に微粒化させるのに用いられ、前記第1の状態は、予め設定した温度に加熱することと前記微粒化チャンバに接続することとを含み、前記微粒化チャンバは、前記微粒化チャンバ内に微粒化された溶鋼の液滴を凝縮させて金属粉末にするのに用いられる、粉末微粒化装置を提供する。
【0021】
[0024] 一実施形態では、粉末微粒化装置は、前記複数のタンディッシュおよび前記注入取鍋を収容するのに用いられる真空溶解チャンバと、前記真空溶解チャンバの側壁に接続されて前記開放式溶解炉内の前記溶鋼を前記複数のタンディッシュ内に導くのに用いられる気密ガイド装置とをさらに備えている。
【0022】
[0025] 第4の特徴では、本明細書は、第3の特徴で提供された装置に基づく粉末微粒化方法において、前記装置の前記複数のタンディッシュは、第1のタンディッシュおよび第2のタンディッシュを含んでいる。粉末微粒化方法は、前記開放式溶解炉内で溶解した前記溶鋼の品質が予め設定した基準に達したことを判断するステップと、前記第1のタンディッシュにより前記開放式溶解炉から溶鋼を受け取るステップと、前記注入取鍋が前記第1の状態にあることを判断し、前記溶鋼を内部に受け取った前記第1のタンディッシュから前記注入取鍋内に溶鋼を注ぎ込み、注ぎ込まれた前記溶鋼を前記微粒化チャンバ内に微粒化させるように前記注入取鍋を制御し、前記溶鋼を内部に受け取った前記第1のタンディッシュから前記注入取鍋に溶鋼を注ぎ込む工程では、前記第2のタンディッシュは前記開放式取鍋からの溶鋼を受け取る、ステップと、前記第1のタンディッシュ内の溶鋼の量が予め設定された対応するしきい値よりも少ないことを判断し、前記溶鋼を内部に受け取った前記第2のタンディッシュから前記注入取鍋に溶鋼を注ぎ込むステップとを備え、受け取った溶鋼を前記第2のタンディッシュから前記第1のタンディッシュ内に注ぎ込む工程は、前記第1のタンディッシュが前記開放式溶解炉から溶鋼を再び受け取る。
【0023】
[0026] 一実施形態では、方法は、前記注入取鍋が所定数のタンディッシュ内の溶鋼を微粒化させた後に、前記注入取鍋の耐熱材料を交換するステップと、前記耐熱材料が交換された前記注入取鍋が前記第1の状態にあることを判断し、前記溶鋼を内部に受け取った前記第1のタンディッシュまたは前記第2のタンディッシュから前記耐熱材料が交換された前記注入取鍋内に溶鋼を注ぎ込み、注ぎ込まれた前記溶鋼を前記微粒化チャンバ内に微粒化させるように、前記耐熱材料が交換された前記注入取鍋を制御するステップとをさらに備えている。
【0024】
[0027] 第5の特徴では、本明細書は、粉末微粒化装置において、原料を溶鋼に溶解するのに用いられる開放式溶解炉と、前記開放式溶解炉から溶鋼を受け取り、受け取った前記溶鋼の温度を予め設定された範囲に維持し、前記溶鋼を複数の注入取鍋内に注ぎ込むのに用いられるタンディッシュとを備え、前記複数の注入取鍋は、第1の注入取鍋および第2の注入取鍋を含み、前記第1の注入取鍋は、第1の状態で、注ぎ込まれた前記溶鋼を微粒化チャンバ内に微粒化させるのに用いられ、前記第1の状態は、予め設定した温度に加熱することと前記微粒化チャンバに接続することとを含み、第1の注入取鍋が前記タンディッシュから注がれた溶鋼で満たされた後に、前記注入取鍋から溶鋼を再び受け取った前記タンディッシュから溶鋼を受け取るために前記第2の注入取鍋が前記第1の注入取鍋と置き換えられ、前記微粒化チャンバは、前記微粒化チャンバ内に微粒化された溶鋼の液滴を凝縮させて金属粉末にするのに用いられる、粉末微粒化装置を提供する。
【0025】
[0028] 一実施形態では、粉末微粒化装置は、前記タンディッシュおよび前記複数の注入取鍋を収容するのに用いられる真空溶解チャンバと、前記開放式溶解炉の側壁に接続されて前記開放式溶解炉内の前記溶鋼を前記タンディッシュ内に導くのに用いられる気密ガイド装置とをさらに備えている。
【0026】
[0029] さらに、1つの具体的な実施形態では、粉末微粒化装置は、複複数の区画をさらに備え、前記複数の区画の個数は前記複数の注入取鍋の個数と同じであり、前記複数の区画は、前記真空溶解チャンバの前記側壁を基準に配置され、それぞれ前記側壁の可動式の第1のバッフルプレートと、前記第1のバッフルプレートの垂直方向の反対側にある可動式の第2のバッフルプレートとを含み、対応する前記注入取鍋が前記真空溶解チャンバに出し入れ可能にし、前記複数の注入取鍋が前記真空溶解チャンバに出し入れされるときに、真空化機器と共に前記真空溶解チャンバの内部を低酸素状態に維持するのに用いられる。
【0027】
[0030] 別の具体的な実施形態では、粉末微粒化装置は、環状トラックをさらに備え、前記複数の注入取鍋は、前記環状トラックを基準に等間隔で固定して配置され、前記環状トラックは、前記タンディッシュから注がれた溶鋼を受け取るために、前記複数の注入取鍋を1つずつ注ぎ場所に移動させるのに用いられる。
【0028】
[0031] 別の具体的な実施形態では、粉末微粒化装置は、環状トラックおよび区画をさらに備え、前記複数の注入取鍋は、前記環状トラックを基準に等間隔で取り外し可能に前記環状トラックに配置され、前記環状トラックは、前記タンディッシュから注がれた溶鋼を受け取って前記複数の注入取鍋を出口まで回転させるために、前記複数の注入取鍋を注ぎ場所に回転させ、前記複数の注入取鍋が区画を介して前記真空溶解チャンバから出るのに用いられ、前記区画は、前記真空溶解チャンバの前記側壁を基準に配置され、前記側壁の可動式の第1のバッフルプレートと、前記第1のバッフルプレートの垂直方向の反対側にある可動式の第2のバッフルプレートとを含み、前記複数の注入取鍋が前記真空溶解チャンバに出し入れ可能にし、前記複数の注入取鍋が前記真空溶解チャンバに出し入れされるときに、真空化機器と共に前記真空溶解チャンバの内部を低酸素状態に維持するのに用いられる。
【0029】
[0032] 第6の特徴では、本明細書は、第5の特徴により提供される装置に基づく粉末微粒化方法を提供する。この粉末微粒化方法は、前記開放式溶解炉内で溶解された前記溶鋼の品質が予め設定された基準に達したことを判断するステップと、前記タンディッシュにより前記開放式溶解炉から溶鋼を受け取るステップと、前記第1の注入取鍋が前記第1の状態にあることを判断し、溶鋼を内部に受け取った前記タンディッシュから前記第1の注入取鍋内に溶鋼を注ぎ込み、注ぎ込まれた前記溶鋼を前記微粒化チャンバ内に微粒化させるように前記第1の注入取鍋を制御するステップと、前記タンディッシュ内の溶鋼の量が予め設定された対応するしきい値よりも少ないことを判断し、前記タンディッシュにより、前記開放式溶解炉から溶鋼を再び受け取り、前記第1の注入取鍋を前記第2の注入取鍋に置き換えるステップと、前記第1のタンディッシュを前記第2のタンディッシュに置き換えるステップと、前記第2の注入取鍋が前記第1の状態にあることを判断し、溶鋼が注ぎ込まれた前記タンディッシュから前記第2の注入取鍋内に溶鋼を注ぎ込み、注ぎ込まれた前記溶鋼を前記微粒化チャンバ内に微粒化させるように前記第2の注入取鍋を制御するステップとを備えている。
【0030】
[0033] 一実施形態では、前記装置は、前記タンディッシュおよび前記複数の注入取鍋を収容するのに用いられる真空溶解チャンバと、前記真空溶解チャンバの側壁に接続された気密ガイド装置とをさらに備え、前記タンディッシュにより前記開放式溶解炉から溶鋼を受け取るステップは、前記気密ガイド装置により前記開放式溶解炉内の前記溶鋼を導くことを備えている。
【0031】
[0034] さらに、一つの特徴であって具体的な実施形態では、前記タンディッシュ内の溶鋼の量が予め設定された対応するしきい値よりも少ないことを判断するステップの後に、前記真空溶解チャンバから出るように前記第1の注入取鍋を制御するステップと、前記真空溶解チャンバの外の前記第1の注入取鍋の耐熱材料を交換するステップとをさらに備えている。
【0032】
[0035] さらに、一実施形態では、前記装置は、複数の区画をさらに備え、前記複数の区画の個数は前記複数の注入取鍋の個数と同じであり、前記複数の区画は、前記真空溶解チャンバの前記側壁を基準に前記真空溶解チャンバの外側に向かって配置されて、それぞれ前記側壁の可動式の第1のバッフルプレートと、前記第1のバッフルプレートの垂直方向の反対側にある可動式の第2のバッフルプレートとを含む区画をさらに備え、前記真空溶解チャンバを出るように前記第1の注入取鍋を制御するステップは、移動して開いた状態になるよう前記第1のバッフルプレートを制御し、対応する前記区画内に移動するように前記注入取鍋を制御するステップと、移動して閉じた状態になるように前記第1のバッフルプレートを制御するステップと、開いた状態になるように前記第2のバッフルプレートを制御し、前記真空溶解チャンバから出るように前記注入取鍋を制御するステップとを備えている。
【0033】
[0036] 別の特徴であって、一つの具体的な実施形態では、前記装置は、前記真空溶解チャンバ内に位置付けられた環状トラックをさらに備え、前記複数の注入取鍋は、前記環状トラックを基準に等間隔で固定して配置され、前記第1の注入取鍋を前記第2の注入取鍋に置き換えるステップは、前記第2の注入取鍋を注ぎ場所に移動させるために回転するように前記環状トラックを制御するステップを備えている。
【0034】
[0037] さらに、1つの例では、前記タンディッシュから注がれた溶鋼を連続的に受け取るように前記複数の注入取鍋を制御した後に、前記真空溶解チャンバを開いて前記複数の注入取鍋の耐熱材料を交換する。
【0035】
[0038] 別の特徴であって、1つの具体的な実施形態では、前記装置は、環状トラックおよび区画をさらに含み、前記環状トラックは、前記真空溶解チャンバ内に位置付けられており、前記複数の注入取鍋は、前記環状トラックを基準に等間隔で取り外し可能に配置され、前記区画は、前記真空溶解チャンバの前記側壁を基準に前記真空溶解チャンバの外側に向かって配置されて、前記側壁の可動式の第1のバッフルプレートと、前記第1のバッフルプレートの垂直方向の反対側にある可動式の第2のバッフルプレートとを含み、前記第1の注入取鍋を前記第2の注入取鍋に置き換えるステップは、前記第2の注入取鍋を注ぎ場所に移動させるとともに前記第1の注入取鍋を出口に移動させるために回転するように前記環状トラックを制御するステップを備え、前記第1の注入取鍋が前記出口に移動した後に、移動して開いた状態になるように前記第1のバッフルプレートを制御し、前記区画内に移動するように前記第1の注入取鍋を制御するステップと、移動して閉じた状態になるように前記第1のバッフルを制御するステップと、移動して開いた状態になるように前記第2のバッフルプレートを制御し、前記第1の注入取鍋の耐熱材料を交換するために、前記真空溶解チャンバから出るように前記第1の注入取鍋を制御するステップとを備えている。
【0036】
[0039] さらに、一実施形態では、前記第1の注入取鍋の耐熱材料が交換された後に、前記第2のバッフルプレートが前記開いた状態にあることを判断し、前記区画内に移動するように前記第1の注入取鍋を制御するステップと、閉じた状態になるように前記第2のバッフルプレートを制御し、真空化機器により第1の区画を真空にするステップと、前記区画の内部が低酸素状態であることを判断し、前記環状トラック上に移動するように前記第1の注入取鍋を制御するステップとを備えている。
【0037】
[0040] まとめると、本明細書の実施形態で提供される粉末微粒化装置および粉末微粒化方法は、次のような有益な効果が得られる。1.チャンバの外側の開放式溶解炉は、溶鋼を溶解するのに用いられ、溶解工程における(スタンディングトリートメント(standing treatment)等により)溶鋼の純度を保証することを可能にし、溶鋼は全体的な粉末生成構成と対立することなく溶解される。2.チャンバ内の誘導炉は、溶解に用いられず、いつでも純粋な溶鋼を受け取ることができ、それは元々あった溶鋼が注ぎ出された後に別の溶解炉の溶鋼の準備をたったの約10分間で行うことができ、これにより粉末生成の準備時間を大幅に節約することができる。3.現在の注入取鍋の粉末生成が完了すると、もう一方の注入取鍋は、チャンバ内のタンディッシュが溶鋼で満たされた後に粉末生成が直ぐに行われるように、予め設定された温度まで予加熱されて十分に準備される。4.各注入取鍋は、信頼性のある気密な状態でチャンバから出し入れされ、これにより注入取鍋がチャンバから出し入れされたときに、チャンバの酸素容量が影響を受けないようになっている。5.チャンバ内に2つのタンディッシュが配置されている場合、各注入取鍋は、5,6回またはそれ以上の回数だけ粉末生成に用いられることができ、これにより粉末生成の連続性が向上し、耐熱材料を使用するコストが大幅に減少する。6.粉末生成の準備時間は短縮され、連続的な粉末生成でさえ実現することができ、これにより粉末生成率を24時間当たり15時間まで、または24時間当たり24時間まででさえ上昇させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】[0041] 図1は、既存の微粒化装置の概略図である。
図2】[0042] 図2は、一実施形態による粉末微粒化装置を示す。
図3】[0043] 別の実施形態による粉末微粒化装置を示す。
図4】[0044] さらに別の実施形態による粉末微粒化装置を示す。
図5】[0045] 一実施形態による図2の装置に基づく粉末微粒化方法のフローチャートを示す。
図6】[0046] 一実施形態による粉末微粒化装置を示す。
図7】[0047] 一実施形態による図6の装置に基づく粉末微粒化方法のフローチャートを示す。
図8】[0048] 一実施形態による粉末微粒化装置を示す。
図9】[0049] 別の実施形態による粉末微粒化装置を示す。
図10】[0050] 別の実施形態による粉末微粒化装置を示す。
図11】[0051] 別の実施形態による粉末微粒化装置を示す。
図12】[0052] 一実施形態による図8の装置に基づく粉末微粒化方法のフローチャートを示す。
図13】[0053] 一実施形態による粉末微粒化装置を示す。
図14】[0054] 別の実施形態による粉末微粒化装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
[0055] 本発明に係る実施形態の目的、技術的解決法、および利点をより明確に説明にするために、本発明に係る実施形態の技術的解決法を、本実施形態の添付図面を参照して以下に説明する。
【0040】
[0056] 本明細書は、開放式溶解炉およびタンディッシュを有して設計された粉末微粒化装置を提供する。図1に示す溶解炉120とのち外は、一実施形態では、図2に示すように、開放式溶解炉210で溶かされた溶鋼はタンディッシュ221に注がれ、次にタンディッシュ221から注入取鍋231に溶鋼が注がれる。これにより、原料は開放式溶解炉内に連続的に追加されて開放式溶解炉内の溶鋼が十分であることを確実にし、タンディッシュ221内の溶鋼が完全に注入取鍋231に注がれた後に、タンディッシュ221は開放式溶解炉210から10分間以内に再び溶鋼を直接的に受け取る。毎回溶鋼の準備に90~100分間かかる図1に示す溶解炉120と比べて、本明細書に係る粉末微粒化装置は、溶鋼の準備時間を大幅に短縮させる。本明細書で提供される粉末微粒化装置は、ガスベースの粉末微粒化だけでなく水ベースの粉末微粒化に用いられることができ、すなわち、微粒化媒体は限定されないことを留意されたい。
【0041】
[0057] 本明細書の実施形態で提供される粉末微粒化装置と、粉末微粒化装置に基づく粉末微粒化方法について以下に詳細に説明する。
[0058] 図2に示すように、一実施形態による粉末微粒化装置は、開放式溶解炉210、タンディッシュ221、注入取鍋231、および微粒化チャンバ240を備えている。図2は、開放式溶解炉210およびタンディッシュ221の支持装置を示しておらず、開放式溶解炉210、タンディッシュ221、注入取鍋231、および微粒化チャンバ240の相対的な位置のみが理解を助けるために示されている。
【0042】
[0059] 具体的には、開放式溶解炉210は原料を溶鋼に溶解するのに用いられ、タンディッシュ221は開放式溶解炉210から溶鋼を受け取り、受け取った溶鋼の温度を予め設定された範囲内に維持して溶鋼を注入取鍋内に注ぎ込む。さらに、注入取鍋231は、第1の状態で注がれた溶鋼を微粒化チャンバ内に微粒化させるのに用いられ、この第1の状態は、予め設定した温度まで加熱させるとともに微粒化チャンバに接続することを含む。微粒化チャンバ240は、内部に微粒化された溶鋼、すなわち溶鋼液滴を金属粉末に凝縮するのに用いられる。
【0043】
[0060] 一実施形態では、開放式溶解炉210の溶鋼の容量V1は、タンディッシュの溶鋼の容量V2よりも大きい。一つの具体的な実施形態では、V2に対するV1の比は2以上である。一例では、開放式溶解炉210は1000kgの溶鋼を溶解することができ、タンディッシュ221は400kgの溶鋼を受け取ることができる。
【0044】
[0061] 一実施形態では、タンディッシュ221は、加熱機能を有する誘導炉であってよい。
[0062] 一実施形態では、図3に示すように、粉末微粒化装置は、タンディッシュ221および注入取鍋231を収容するための真空溶解チャンバ250をさらに備えていてもよく、開放式溶解炉210は、真空溶解チャンバ250の外側に配置されている。真空溶解チャンバは、溶鋼、特にAl等の高活性金属の溶鋼、を注ぎ込むプロセス中に酸化するのを防ぐために低酸素雰囲気を生成するために配置されており、溶鋼が高活性金属を含まない場合、すなわち溶鋼の酸化を考慮する必要がない場合、真空溶解チャンバは、設けられているまたは真空になっている必要はないことに留意されたい。さらに、粉末微粒化装置は、真空溶解チャンバ250の側壁に接続され、開放式溶解炉210内の溶鋼をタンディッシュ221に導くのに用いられる気密ガイド装置をさらに備えていてもよい。一つの具体的な実施形態では、気密ガイド装置は、内側材料と外側材料とで構成されており、内側材料は、窒化ホウ素または酸化ジルコニウムなどの耐熱材料であり、外側材料は、鋼などの金属材料である。別の具体的な実施形態では、気密ガイド装置は、気密な案内溝または気密な案内管であってもよい。
【0045】
[0063] さらに、1つの具体的な実施形態では、粉末微粒化装置は、真空溶解チャンバの側壁を基準に真空溶解チャンバの内側または外側に面して配置され、注入取鍋が真空溶解チャンバから出し入れ可能で、注入取鍋が真空溶解チャンバに出し入れされるときに、真空化装置とともに真空溶解チャンバの内側を低酸素状態に維持する区画を有している。一例では、図4に示すように、区画270は、真空溶解チャンバの外側に向かって配置され、真空溶解チャンバの側壁に属する第1のバッフルプレート271と、第1のバッフルプレートに対して垂直な反対側の可動な第2のバッフルプレート272とを含んでいる。
【0046】
[0064] 上述の実施形態で提供される粉末微粒化装置に基づいて、本明細書はまた、粉末微粒化方法をさらに提供する。図5は、一実施形態による、図2に示す装置に基づく粉末微粒化方法のフローチャートを示している。図5に示すように、粉末微粒化方法は、具体的には以下のステップを含んでいる:開放式溶解炉で溶解した溶鋼の品質が予め設定された基準に達したか判断するステップS510;タンディッシュを用いて、開放式溶解炉から溶鋼を受け取るステップS520;注入取鍋が第1の状態であるか判断し、溶鋼を受け取ったタンディッシュから注入取鍋に溶鋼を注ぎ、注がれる溶鋼を微粒化チャンバ内に微粒化させるように注入取鍋を制御するステップS530;タンディッシュ内の溶鋼の量が予め設定した対応するしきい値よりも少ないか判断し、タンディッシュにより、開放式溶解炉から再び溶鋼を受け取り、注入取鍋の耐熱材料を交換するステップS540;および、耐熱材料を交換した注入取鍋が第1の状態にあるか判断し、溶鋼を受け取ったタンディッシュから耐熱材料を交換した注入取鍋内に溶鋼を再び注ぎ、注がれる溶鋼を微粒化チャンバ内に微粒化させるように耐熱材料が交換された注入取鍋を制御するステップS550。
【0047】
[0065] まず、ステップS510では、開放式溶解炉で溶解した溶鋼の品質が予め設定された基準に達したか判断する。
[0066] 製造プロセスを基準に、準備されることになる粉末に対応する原料を図2に示す開放式溶解炉210内に配置され、溶鋼の組成および温度を監視するための監視システムにより、開放式溶解炉210内で溶解された溶鋼の品質が予め設定された基準に達しているか否かを判断する。
【0048】
[0067] 溶鋼の品質が予め設定された基準に達していると判断された場合には、ステップS520が実行されて、タンディッシュは開放式溶解炉から溶鋼を受け取る。
[0068] 一実施形態では、タンディッシュ221は、タンディッシュ221内の溶鋼が予め設定した高さに達したこと、すなわちタンディッシュ221が溶鋼で満たされたことが検出されるまで、開放式溶解炉210から溶鋼を受け取るように制御される。
【0049】
[0069] 次に、ステップS530では、注入取鍋が第1の状態であると判断した場合、溶鋼を中に受け取ったタンディッシュを用いて溶鋼が注入取鍋に注がれ、注入取鍋は、注ぎ込まれた溶鋼を微粒化チャンバ内に微粒化させるように制御される。
【0050】
[0070] ここで、第1の状態では、注入取鍋は微粒化チャンバに接続されている、すなわち、注入取鍋は中に溶鋼が注がれることが可能な位置に位置しており(注入取鍋内に溶鋼が注がれることが可能な位置は、以下、注ぎ位置と省略する)、注入取鍋は予め設定した温度に予加熱されている。溶鋼で満たされたタンディッシュ221は、溶鋼を注入取鍋231内に注ぎ、同時に、注入取鍋231は微粒化チャンバ内に注がれる溶鋼を微粒化するように制御され、これにより微粒化後に得られた溶鋼液滴は微粒化チャンバ240内で金属粉末に凝縮される。
【0051】
[0071] 次に、ステップS540では、タンディッシュ内の溶鋼の量が予め設定された対応するしきい値よりも少ないと判断された場合、タンディッシュは開放式溶解炉から溶鋼を再び受け取り、注入取鍋の耐熱材料が交換される。
【0052】
[0072] ここで、タンディッシュ内の溶鋼の量が予め設定した対応するしきい値よりも少ないことを判断する目的は、タンディッシュ内の溶鋼が完全に注ぎ出されたことを確認するためであり、このとき溶鋼の量は、溶鋼の質量または体積であり、予め設定した対応するしきい値は、予め設定した質量のしきい値または予め設定した体積のしきい値である。また、タンディッシュ内の溶鋼が完全に注ぎ出されたか否かは、水平面に対する傾斜角度が5°または0°等の予め設定された角度に達したかの判断基準からも判断することができる。
【0053】
[0073] さらに、タンディッシュ221内の溶鋼が完全に注ぎ出された判定された場合、タンディッシュ221は、開放式溶解炉210から溶鋼を再び受け取り、注入取鍋231内の耐熱材料が交換される。
【0054】
[0074] 次に、ステップS550では、耐熱材料が交換された注入取鍋が第1の状態にあると判断した場合、再び溶鋼を受け取ったタンディッシュから耐熱材料が交換された注入取鍋に溶鋼が注がれ、耐熱材料が交換された注入取鍋は、注がれた溶鋼を微粒化チャンバ内で微粒化するように制御される。
【0055】
[0075] 一例によると、300kgの溶鋼を収容可能なタンディッシュの場合、タンディッシュ内の溶鋼を注ぎ出すのに通常は約25分間かかり、タンディッシュを溶鋼で満たすのに通常は約10分間かかり、注入取鍋内の耐熱材料を交換して耐熱材料が交換された注入取鍋溶を第1の状態にするのに通常は約35分間かかり、これにより、24時間当たりの連続粉末生成は10時間に延ばすことができる。
【0056】
[0076] 上述のように、開放式溶解炉210およびタンディッシュ221は設計され、タンディッシュ221内の溶鋼が完全に注ぎ出された後にタンディッシュ221が開放式溶解炉210から連続的に溶鋼を受け取ることができるのに十分になるように開放式溶解炉210内の溶鋼は維持されており、これにより溶鋼準備方法は大幅に短縮され、従って粉末生成率を高め、粉末生成時間を約10時間まで延ばすことができる。
【0057】
[0077] さらには、一実施形態では、図3に示すように、粉末微粒化装置は、真空溶解チャンバ250および気密ガイド装置をさらに備えていてもよい。高活性金属成分を含む溶鋼が溶解する場合を考慮すると、高活性金属成分(酸化され易い金属要素を含む原料)が開放溶解炉210内に添加された場合にAlやTi等の高活性材料は酸化されてもよく、真空溶解チャンバ250は高活性材料を受け取るためのタンディッシュ221を収容できるように構成されており、他の材料は開放式溶解炉210内で溶解され、タンディッシュ221は、開放式溶解炉210から受け取った溶鋼による手段によりさらなる溶鋼の構成要素の調節を実現するために高活性材料を溶解することができる。これに応じて、ステップS510は、開放式溶解炉210内の酸化され易い材料以外の原料から溶解した溶鋼の品質が、予め設定された対応するしきい値に達することを判断し、ステップS520の前に酸化され易い性材料をタンディッシュ内に配置することを含み、ステップS520でタンディッシュ221が溶鋼を受け取ったときに、酸化され易い材料はタンディッシュ221内に受け取った溶鋼の中で溶解されてもよい。
【0058】
[0078] また、ステップS520では、開放式溶解炉210内の溶鋼は、気密ガイド装置によりタンディッシュ221内に案内されることができる。1つの具体的な実施形態では、気密ガイド装置は、図3に示す気密コネクタ261および気密ガイド管262を含んでいてもよい。これに応じて、ステップS520において、開放式溶解炉210の鋼容器211は、気密コネクタ261内に挿入され、次に、溶鋼はガイド管262によりタンディッシュ221内に案内される。
【0059】
[0079] さらに、粉末微粒化装置は区画をさらに含んでいてもよく、区画は、真空融解チャンバの側壁を基準に真空融解チャンバの内側または外側に面して配置され、注入取鍋が真空溶解チャンバに出し入れされるときに、注入取鍋が真空溶解チャンバに出し入れされるのを可能にするのに用いられて真空化機器と協働で真空溶解チャンバの内部を低酸素状態に維持する。注入取鍋231が真空溶解チャンバから出てきて耐熱材料を交換し、耐熱材料が交換された後、溶鋼を受け取るために真空溶解チャンバに入るプロセスは、図4に示す区画270と関連して以下に説明する。
【0060】
[0080] 第1に、注入取鍋231は、以下のステップを通して真空溶解炉250から出るように制御されている。第1のバッフルプレート271を制御して開いた状態になるように移動させ、注入取鍋231が区画270内に移動するように制御する。次に、第1のバッフルプレート271を制御して閉じた状態になるように移動させる。その後に、第2のバッフルプレート272を制御して開いた状態になるように移動させ、注入取鍋231を制御して真空溶解チャンバ250から出るように移動させる。
【0061】
[0081] 次に、注入取鍋231の耐熱材料が真空溶融チャンバ250の外側での交換された後、注入取鍋231を制御して以下のステップを通じて真空溶融チャンバ250に入れる。第2のバッフルプレート272が開いた状態にあることを判断し、注入取鍋231を制御して区画270内に移動させ、次に、第2のバッフルプレート272を制御して閉じた状態になるように移動させ、真空化装置を使用して区画270を真空にする。次に、区画270の内部が低酸素状態であることを判断し、注入取鍋231を制御して真空溶解チャンバ250内に移動させる。
【0062】
[0082] 上述のように、区画手段により、注入取鍋は、真空溶解チャンバ内の酸素量に影響を与えることなく真空溶解チャンバに出し入れされることができ、すなわち真空溶解チャンバは低酸素状態に維持され、これにより真空溶解チャンバ内の溶鋼の酸化が防止される。
【0063】
[0083] 本明細書で提供される別の実施形態によれば、図2に示す粉末微粒化装置に基づいてより多くのタンディッシュが配置されていてもよい。図6は、一実施形態による粉末微粒化装置を示している。図6に示すように、粉末微粒化装置は、開放式溶解炉210、タンディッシュ221およびタンディッシュ222等の複数のタンディッシュ、および注入取鍋231を備えている。具体的には、開放式溶解炉210は、原料を溶鋼に溶解するのに用いられる。複数のタンディッシュは、開放式溶解炉から溶鋼を交互に受け取り、溶鋼を連続的に交互に注入取鍋に注ぎ込む。注入取鍋231は、微粒化チャンバ中に注がれた溶鋼を第1の状態で連続的に微粒化させ、この第1の状態は、予め設定した温度に加熱して微粒化チャンバに接続する。微粒化チャンバ240は、中にある微粒化された溶鋼の液滴を凝縮して金属粉末にする。
【0064】
[0084] 一実施形態では、図6に示すように、粉末微粒化装置は、真空溶解チャンバ250および気密ガイド装置をさらに備えていてもよく、真空溶解チャンバ250はタンディッシュ221、タンディッシュ222、および注入取鍋231を収容するのに用いられ、気密ガイド装置は真空溶解チャンバ250の側壁に接続されて開放式溶解炉210内の溶鋼を複数のタンディッシュに案内するのに用いられる。一例では、気密ガイド装置は、気密コネクタ261および気密ガイド管262を含んでいる。
【0065】
[0085] 上述の実施形態で提供される粉末微粒化装置に基づいて、本明細書は、粉末微粒化方法をさらに提供する。図7は、一実施形態による図6に示す装置に基づく粉末微粒化方法のフローチャートを示している。図7に示すように、粉末微粒化方法は、具体的には以下のステップを備えている:開放式溶解炉内で溶解した溶鋼の品質が予め設定された基準に達したか判断するステップS710;第1のタンディッシュにより開放式溶解炉から溶鋼を受け取るステップS720;注入取鍋が第1の状態にあることを判断し、溶鋼を内部に受け取った第1のタンディッシュから溶鋼を注入取鍋に注ぎ、微粒化チャンバに注がれた溶鋼を微粒化するように注入取鍋を制御し、第2のタンディッシュは開放式溶解炉から溶鋼を受け取るステップS730;および、第1のタンディッシュ内の溶鋼の量が予め設定された対応するしきい値よりも少ないか判断し、溶鋼を内部に受け取った第2のタンディッシュから溶鋼を注入取鍋に注ぎ込み、溶鋼を受け取った第2のタンディッシュから注入取鍋内に溶鋼を注ぎ込む工程では、第1のタンディッシュが開放式溶解炉から溶鋼を再び受け取るステップS740である。粉末微粒化方法の詳細は以下の通りである。
【0066】
[0086] ステップS710では、開放式溶解炉で溶解された溶鋼の品質が予め設定された基準に達したかが判断される。
[0087] ステップS710は、上述のステップS510の説明を参照することにより説明されることができ、ここではこれ以上詳細に説明しない。
【0067】
[0088] ステップS720では、第1のタンディッシュは、開放式溶解炉から溶鋼を受け取る。
[0089] ステップS720は、上述のステップS520の説明を参照して説明されることができ、ここではこれ以上説明しない。
【0068】
[0090] ステップS730では、注入取鍋が第1の状態であると判断された場合、溶鋼を内部に受け取った第1のタンディッシュは溶鋼を注入取鍋に注ぎ、注入取鍋は微粒化チャンバ内に注がれた溶鋼を微粒化するように制御され、内部に溶鋼を受け取った第1のタンディッシュから注入取鍋内に溶鋼を注ぎ込む工程では、第2のタンディッシュは開放式溶解炉から溶鋼を受け取る。
【0069】
[0091] 一実施形態では、タンディッシュ221から溶鋼を注入取鍋231に注ぎ込む工程では、タンディッシュ222は開放式溶解炉210から溶鋼を受け取る。タンディッシュ221の各々から溶鋼を完全に注ぎ出す時間が溶鋼をタンディッシュに満たす時間よりも通用は短いため、タンディッシュ221内の溶鋼が完全に注ぎ出される前に、タンディッシュ222を溶鋼でいっぱいにすることができる。
【0070】
[0092] また、ステップS730では、ステップS530の上述の説明を参照して説明されることができ、ここではこれ以上説明しない。
[0093] ステップS740では、第1のタンディッシュ内の溶鋼の量が予め設定した対応するしきい値よりも少ないと判断した場合に、溶鋼を内部に受け取った第2のタンディッシュは、溶鋼を注入取鍋内に注ぎ続け、第1のタンディッシュは開放式溶解炉から再び溶鋼を受け取る。
【0071】
[0094] 一実施形態では、タンディッシュ221内の溶鋼が完全に注ぎ出された後、注入取鍋231内に溶鋼を注ぎ続けるために、溶鋼で満たされたタンディッシュ222がタンディッシュ221と置き換えられ、同時に、タンディッシュ221は開放式溶解炉210から再び溶鋼を受け取る。これにより、タンディッシュ221およびタンディッシュ222は、開放式溶解炉250から交互に溶鋼を受け取り、注入取鍋231に溶鋼を交互に注ぎ続けて、注入取鍋231内の耐熱材料の耐用年数が終わるまで注入取鍋231内の溶鋼が常に十分であることを確実にする、すなわち、注入取鍋231は、注入取鍋231が予め設定した数のタンディッシュ内に溶鋼を受け取るまで交換されることはなく、これにより粉末生成時間が延び、粉末生成率が増加し、注入取鍋の耐熱材料を節約することができる。
【0072】
[0095] 一例によると、質量300kgの溶鋼を収容可能な2つのタンディッシュの場合、いずれかのタンディッシュ内の溶鋼を完全に注ぎ出すまでの時間は通常約25分間かかり、いずれかのタンディッシュに溶鋼を満たすのに通常約10分間かかり、1つの注入取鍋は通常5~6のタンディッシュ内の溶鋼を連続で受け取ることができ、注入取鍋内の耐熱材料を交換して、耐熱材料が交換された注入取鍋を第1の状態にするのに通常は約35分間かかり、これにより24時間当たりの連続粉末生成時間は18~20時間に延びる。
【0073】
[0096] 上述のように、開放式溶解炉210およびタンディッシュ221は設計され、タンディッシュ221とタンディッシュ222とが開放式溶解炉210から溶鋼を交互に受け取ることを確実にして、注入取鍋231内に溶鋼を連続的に注ぎ込むために、開放式溶解炉210内の溶鋼は十分に保たれ、溶鋼の準備時間が大幅に短縮され、所定数のタンディッシュ内の溶鋼を注入取鍋231が連続的に受け取った後、注入取鍋231内の耐熱材料が交換され、粉末生成時間が延びて、粉末生成率が向上し、注入取鍋の耐熱材料が節約される。
【0074】
[0097] 本明細書により提供される別の実施形態によれば、図2に示される粉末微粒化装置に基づいてより多くの注入取鍋を配置することができる。図8は、一実施形態による粉末微粒化装置を示す。図8に示すように、粉末微粒化装置は、開放式溶解炉210、タンディッシュ221、注入取鍋231および注入取鍋232等の複数の注入取鍋、および微粒化チャンバ(不図示)を備えている。具体的には、開放式溶解炉210は、原料を溶鋼に溶解するのに用いられ、タンディッシュ221は、開放式溶解炉210から溶鋼を受け取り、受け取った溶鋼の温度を予め設定した範囲内に維持して注入取鍋に溶鋼を注ぎ、注入取鍋231は、第1の状態で微粒化チャンバ内に注入された溶鋼を微粒化させ、ここで第1の状態は、予め設定した温度への加熱および微粒化チャンバとの接続が含まれ、注入取鍋231がタンディッシュ221からの溶鋼でいっぱいになった後に、注入取鍋232は、開放式溶解炉から溶鋼を再び受け取ったタンディッシュ221からの溶鋼を受け取るために注入取鍋231を交換し、微粒化チャンバは、中で微粒化された溶鋼液滴を金属粉末に凝縮させる。
【0075】
[0098] 一実施形態では、図8に示すように、粉末微粒化装置は、真空溶融チャンバ250および気密ガイド装置をさらに備えており、ここで、真空溶解チャンバ250は、タンディッシュ221、注入取鍋231および注入取鍋232、および気密ガイド装置が真空溶解チャンバ250の側壁に接続されて開放式溶解210内の溶鋼をタンディッシュ221に案内するのに用いられる。
【0076】
[0099] さらに、1つの具体的な実施形態では、粉末微粒化装置は、複数の区画を有し、各区画は、真空溶解チャンバの側壁を基準に配置され、側壁に属する移動可能な第1のバッフルプレートと第1のバッフルプレートに対して垂直方向に反対側にある移動可能な第2のバッフルプレートとを備え、区画は、それぞれ対応する注入取鍋が真空溶解チャンバに出し入れされて、注入取鍋が真空溶解チャンバを出し入れされるときに、真空溶解チャンバの内部を真空化機器とともに低酸素状態に維持するのに用いられる。一実施形態では、図9に示すように、区画270および区画275は、注入取鍋231および注入取鍋232が真空溶解チャンバ250に入ることを可能にするように配置されている。このようにして、複数の注入取鍋の各々は、独立した移動トラックと独立した区画とを有しており、これにより、注入取鍋内の耐熱材料を交換する早さが増加され、注ぎ位置にある注入取鍋は、溶鋼で満たされた後に、直ぐに別の注入取鍋と置き換えられることができる。
【0077】
[0100] 別の具体的な実施形態では、粉末微粒化装置は、環状トラックをさらに備え、複数の注入取鍋が環状トラックを基準に等間隔で固定的に配置され、環状トラックは、複数の注入取鍋が溶鋼を受け取れるように1つずつ注ぎ位置に移動させるのに用いられる。一例では、図10に示すように、粉末微粒化装置は、環状トラック290をさらに備え、注入取鍋231、注入取鍋232、注入取鍋233、及び注入取鍋234は環状トラック290に等間隔で固定されている。
【0078】
[0101] 別の具体的な実施形態では、粉末微粒化装置は、環状トラックおよび区画をさらに備えており、複数の注入取鍋は、環状トラックを基準に等間隔で着脱可能に配置され、環状トラックは、タンディッシュから溶鋼を受け取れるように複数の注入取鍋を個別に注ぎ位置まで回転させ、次に、注入取鍋が区画を介して真空溶解チャンバから出られるように、注入取鍋を出口に向けて回転させる。区画は、真空溶解チャンバの側壁を基準に配置されており、側壁に属する可動の第1のバッフルプレートと、第1のバッフルプレートの垂直方向の反対側にある可動の第2のバッフルプレートとを含んでおり、これは注入取鍋を真空溶解チャンバに出入りさせ、注入取鍋が真空溶解チャンバに出入りするときに、真空化装置とともに真空溶解チャンバを低酸素状態に維持するのに用いられる。一例では、図11に示すように、粉末微粒化装置は、環状トラック290上に等間隔で着脱可能に配置された、区画278、環状トラック295、注入取鍋231、注入取鍋232、注入取鍋233、および注入取鍋234を備えている。
【0079】
[0102] 上述の実施形態で提供される粉末微粒化装置に基づいて、本明細書は、粉末微粒化方法をさらに提供する。図12は、一実施形態による、図8の装置に基づく粉末微粒化方法のフローチャートを示している。図7に示すように、粉末微粒化方法は、具体的には以下のステップを備えている:開放式溶解炉で溶解した溶鋼の品質が予め設定した基準に達したか判断するステップS1210;タンディッシュを用いて、開放式溶解炉から溶鋼を受け取るステップS1220;第1の注入取鍋が第1の状態にあるか判断し、溶鋼を受け取ったタンディッシュから第1の注入取鍋に溶鋼を注ぎ、注がれた溶鋼を微粒化チャンバ内に微粒化させるように注入取鍋を制御するステップS1230;タンディッシュ内の溶鋼の量が予め設定した対応するしきい値よりも少ないか判断し、タンディッシュを用いて開放式溶解炉から溶鋼を再び受け取り、第1の注入取鍋を第2の注入取鍋と交換するステップS1240;および、第2の注入取鍋が第1の状態にあるか判断し、再び溶鋼を受け取ったタンディッシュから第2の注入取鍋に溶鋼を注ぎ、微粒化チャンバに注がれた溶鋼を微粒化させるように第2の注入取鍋を制御するステップS1250。
【0080】
[0103] まず、ステップS1210では、開放式溶解炉で溶解された溶鋼の品質が予め設定された基準に達したか否かを判定する。ステップS1220では、タンディッシュは、開放された溶解炉から溶鋼を受け取る。次に、ステップS1230では、第1の注入取鍋が第1の状態にあるか判断し、溶鋼を受け取ったタンディッシュが溶鋼を第1の注入取鍋に注ぎ、第1の注入取鍋は微粒化チャンバに注がれた溶鋼を微粒化するように制御される。
【0081】
[0104] ステップS1210、ステップS1220、およびステップS1230の説明は、上述のステップS510、ステップS520、およびステップS530の説明を参照して説明されることができ、ここではこれ以上詳細に説明されないことに留意されたい。
【0082】
[0105] 次に、ステップS1240では、タンディッシュ内の溶鋼の量が予め設定された対応するしきい値よりも少ないと判断された場合、タンディッシュは、開放式溶解炉から溶鋼を再び受け取り、第1の注入取鍋は第2の注入取鍋と置き換えられる。次に、ステップS1250では、第2の注入取鍋が第1の状態にあると判断し、中に溶鋼を受け取ったタンディッシュが第2の注入取鍋内に溶鋼を注ぎ込み、第2の注入取鍋は微粒化チャンバに注がれた溶鋼を微粒化させるように制御される。
【0083】
[0106] 上記記載により、1つの注入取鍋のみがあり、注入取鍋の耐熱材料を交換するのを待って注入取鍋を予め設定した温度まで再加熱する場合と異なり、このステップでは、第1の注入取鍋が溶鋼で満たされた後に、第1の注入取鍋は溶鋼で満たされた第2の注入取鍋とすぐに置き換えられることができ、これにより、注入取鍋の準備時間を短縮することができる。さらに、第1の注入取鍋が取り替えられた後に、第1の注入取鍋の耐熱材料が交換され、第1の注入取鍋は加熱され、これにより、第2の注入取鍋は、溶鋼で満たされた後に耐熱材料が交換された第1の注入取鍋とタイムリーに置き換えられることができる。
【0084】
[0107] 一例によると、300kgの溶鋼を収容できるタンディッシュの場合、タンディッシュ内の溶鋼を注ぎ出すのに通常は約25分間かかり、タンディッシュを溶鋼で満たすのに通常は約10分間かかり、第2の注入取鍋と置き換えるために第1の注入取鍋を注ぎ位置から引き下ろすのに通常は約15分間かかり、これにより、2つの注入取鍋がある場合、24時間当たりの連続粉末製造時間は約15時間まで延ばすことができる。さらに、注入取鍋の置き換え継続性を十分に確実にするために、3個以上の注入取鍋が配置されていてもよい。
【0085】
[0108] さらには、一実施形態では、図12に示すように、粉末微粒化装置は、真空溶解チャンバ250および気密ガイド装置をさらに含んでおり、真空溶解室250は、タンディッシュ221、注入取鍋231、および注入取鍋232を収容するのに用いられ、真空ガイド装置は、真空溶解チャンバ250の側壁に接続され、開放式溶解炉210内の溶鋼をタンディッシュ221内に導くのに用いられる。
【0086】
[0109] さらには、具体的な一実施形態では、粉末微粒化装置は、複数の区画をさらに備えている。図9に示すように、区画270および区画275は、注入取鍋231および注入取鍋232がそれぞれ真空溶解チャンバ250に入ることが可能なように配置されている。この実施形態では、各注入取鍋は独立した移動トラックと真空溶解チャンバに出入りする独立したトラックとを有しており、これにより、注入取鍋の移動および耐熱材料の交換は互いに干渉させることなく行うことができ、この結果、注入取鍋の準備速度が増加し、注入取鍋の交換の連続性が確実にされる。また、注入取鍋は上述の説明に示すように区画に出入りすることが可能であり、ここではこれ以上の詳細は説明しない。
【0087】
[0110] 別の具体的な実施形態では、粉末微粒化装置は環状トラックをさらに備えている。複数の注入取鍋は、環状トラックを基準に等間隔で固定的に配置され、環状トラックは、タンディッシュから溶鋼を受け取るために複数の注入取鍋を1つずつ注ぎ位置に移動させるのに用いられる。
【0088】
[0111] これに応じて、ステップS1240では、第1の注入取鍋を第2の注入取鍋で置き換えることは、第2の注入取鍋が注入位置に移動させるために環状トラックが回転するように制御することを含んでいる。一例では、図10に示すように、注入取鍋231がタンディッシュからの溶鋼で満たされた後、注入取鍋232を注ぎ位置に移動させるために環状トラック290を時計回りに回転するように制御する。第1に、注入取鍋は、トラックに固定されていることにより分解される必要がないため、注入取鍋の耐用年数を延ばすことができる。第2に、複数の注入取鍋は、小さな空間だけを占めるように回転させられて可撓性が良好で、都合よく動作される。第3に、粉末微粒化条件を満たさなかった注入取鍋は、即座に次の注入取鍋と交換され、最も短い交換時間は1分以内に制御されることができる。第4に、複数の注入取鍋はすべてチャンバ内に固定され、これによりチャンバの中は、複数の注入取鍋を通して粉末を生成するプロセスで気密が維持されるため、チャンバ内の酸素容量を減少させる。第5に、複数の注入取鍋は、全ての注入取鍋が微粒化を完了するまで、タンディッシュから溶鋼を受け取るために環状トラックに沿って注ぎ位置まで連続的に回転させられることができ、その後、耐熱材料を交換するためおよびタンディッシュのライニングを清掃するために真空溶解チャンバは開かれ、これにより注入取鍋の準備時間は大幅に短縮され、4つの注入取鍋がある場合に、粉末生成率は24時間当たり16時間を超えることができる。
【0089】
[0112] 別の具体的な実施形態では、粉末微粒化装置は、環状トラックおよび区画をさらに備えており、複数の注入取鍋は、環状トラックを基準に等間隔で着脱可能に配置され、環状トラックは、タンディッシュから溶鋼を受け取らせるために複数の注入取鍋を注ぎ位置まで回転させた後に注入取鍋を出口まで回転させるのに用いられ、これにより注入取鍋は区画を介して真空溶解チャンバから出ることができる。
【0090】
[0113] これに応じて、ステップS1240では、第1の注入取鍋を第2の注入取鍋で置き換えることは、第2の注入取鍋を注ぎ位置に移動させ、第1の注入取鍋を出口に移動させるように、環状トラックを回転させるように制御することを含んでいる。さらには、第1の注入取鍋が出口に移動した後、この方法は、耐熱材料を交換するために真空溶解チャンバから出るように第1の注入取鍋を制御し、第1の注入取鍋が真空溶解チャンバに入るように制御することをさらに備えている。一例では、図11に示すように、注入取鍋231が溶鋼で満たされた後、環状トラック290は、時計回りに回転して注入取鍋233を注ぎ位置に移動させ、注入取鍋231を出口に移動させるように制御され、すなわち、注入取鍋233の位置と注入取鍋231の位置とが交換され、次に、注入取鍋233が溶鋼を受け取っている間に、注入取鍋231は、注入取鍋231の耐熱材料を交換するために区画278を介してチャンバから出て、耐熱材料を交換した後にチャンバ内に戻るように制御される。この実施形態では、複数の区画は、耐熱材料の交換するために注入取鍋がチャンバから容易に出られるように配置されており、従って、注入取鍋の連続的な置き換えを確実にする。区画が配置されていることにより、一体化された耐熱材料の交換とタンディッシュのライニングの清掃とは真空溶解チャンバを開くことなく実行することができ、粉末生成率は17時間を超えるようにさらに増加される。
【0091】
[0114] 上述のように、注入取鍋の準備時間が短縮されるように、複数の注入取鍋が配置されている。さらには、注入取鍋を交換する早さが増加し、注入取鍋の交換の連続性を確実にし、これにより粉末製造率が増加するように、環状トラックが配置されている。
【0092】
[0115] 上述のように、図2図4は、開放式溶解炉、タンディッシュ、および注入取鍋を備えた粉末微粒化装置を示している。図6は、開放式溶解炉、複数のタンディッシュ、注入取鍋を備えた、粉末微粒化装置を示している。図8図11は、開放式溶解炉、タンディッシュ、および複数の注入取鍋を備えた粉末微粒化装置を示している。本明細書は、開放式溶解炉、複数のタンディッシュ、および複数の注入取鍋を備えた粉末微粒化装置も提供することに留意されたい。粉末微粒化装置は、図13および図14を組み合わせて以下に具体的に説明される。
【0093】
[0116] 図13に示すように、粉末微粒化装置は、開放式溶解炉210、タンディッシュ221、タンディッシュ222、注入取鍋231、注入取鍋232、注入取鍋233、注入取鍋234、真空溶解チャンバ250、および環状トラック290を備えている。図13に示す装置に基づいて、一例では、粉末微粒化方法は、以下のステップを備えている:まず、タンディッシュ221により、開放式溶解炉210から溶鋼を受け取り;次に、タンディッシュ221から溶鋼を注入取鍋231に注ぎ、タンディッシュ222により開放式溶解炉210から溶鋼を受け取り;次に、タンディッシュ221内の溶鋼の量が予め設定されたしきい値よりも少ない場合に、タンディッシュ222から溶鋼を注入取鍋231に注ぎ込む。この方法では、タンディッシュ221およびタンディッシュ222は、交互に溶鋼を注入取鍋231内に注ぎ込み、これにより、連続的な粉末製造時間が延び、注入取鍋の耐熱材料が節約される。さらには、注入取鍋231が予め設定した数のタンディッシュから溶鋼を受け取った後に、環状トラック290は、注入取鍋232がタンディッシュ221またはタンディッシュ222から再び溶鋼を受け取ることができるように、時計回りに回転するように制御され、注入取鍋231、注入取鍋232、注入取鍋233、注入取鍋234の全てが予め設定した数のタンディッシュ内の溶鋼を微粒化させた後に、真空溶解チャンバは、耐熱材料の交換およびタンディッシュのライニングの清掃をまとめて行えるように開かれ、これにより、溶鋼および注入取鍋の準備時間が大幅に短縮され、粉末製造率は24時間当たり20時間を超えるように増加する。
【0094】
[0117] 図14に示すように、粉末微粒化装置は、開放式溶解炉210、タンディッシュ221、タンディッシュ222、注入取鍋231、注入取鍋232、注入取鍋233、注入取鍋234、真空溶解チャンバ250、環状トラック290、および区画278を備えている。図13に示す装置に基づき、一例では、粉末微粒化方法は以下のステップを備えている:まず、タンディッシュ221により開放式溶解炉210から溶鋼を受け取る;次に、タンディッシュ221から溶鋼を注入取鍋231内に注ぎ、タンディッシュ222により、開放式溶解炉210から溶鋼を受け取る;そして次に、タンディッシュ221内の溶鋼の量が予め設定したしきい値よりも少ない場合に、タンディッシュ222から溶鋼を注入取鍋231内に注ぎ込む。この方法では、タンディッシュ221およびタンディッシュ222は、溶鋼を交互に注入取鍋231内に注ぎ、これにより、連続的な粉末製造時間が延び、注入取鍋の耐熱材料が節約される。さらには、注入取鍋231が予め設定した数のタンディッシュから溶鋼を受け取った後に、環状トラック290は、注入取鍋233がタンディッシュ221またはタンディッシュ222から溶鋼を受け取ることを可能にするために、反時計回りに180°回転するように制御され、この瞬間に、注入取鍋231は、耐熱材料を交換するために区画278を通って真空溶解チャンバ250を出て、耐熱材料を交換した後に、真空溶解チャンバ250に戻るように制御される。この方法では、注入取鍋231、注入取鍋232、注入取鍋233、および注入取鍋234は、予め設定した数のタンディッシュ内の溶鋼を受け取ることができ、溶鋼を1つの注入取鍋内に注ぎ込む工程内で、注入取鍋の耐熱材料を交換することができ、これにより、連続的な粉末製造を達成することができ、粉末製造率は24時間当たり14時間にほぼ到達する。
【0095】
[0118] まとめると、本明細書の実施形態で提供される粉末微粒化装置および粉末微粒化方法は、以下の有益な効果を有している:1.チャンバの外側の開放式溶解炉は、溶鋼を溶解するのに用いられ、溶解工程における(スタンディングトリートメント等により)溶鋼の純度を保証することを可能にし、溶鋼は全体的な粉末生成構成と対立することなく溶解される。2.チャンバ内の誘導炉は、溶解に用いられず、いつでも純粋な溶鋼を受け取ることができ、それは元々あった溶鋼が注ぎ出された後に別の溶解炉の溶鋼の準備をたったの約10分間で行うことができ、これにより粉末生成の準備時間を大幅に節約することができる。3.現在の注入取鍋の粉末生成が完了すると、もう一方の注入取鍋は、チャンバ内のタンディッシュが溶鋼で満たされた後に粉末生成が直ぐに行われるように、予め設定された温度まで予加熱されて十分に準備される。4.各注入取鍋は、信頼性のある気密された状態でチャンバから出し入れされ、これにより注入取鍋がチャンバから出し入れされたときに、チャンバの酸素容量が影響を受けないようになっている。5.チャンバ内に2つのタンディッシュが配置されている場合、各注入取鍋は、5、6回またはそれ以上の回数だけ粉末生成に用いられることができ、これにより粉末生成の連続性が向上し、耐熱材料を使用するコストが大幅に減少する。6.粉末生成の準備時間は短縮され、連続的な粉末生成でさえ実現することができ、これにより粉末生成率を24時間当たり15時間まで、または24時間当たり24時間まででさえ上昇させることができる。
【0096】
[0119] 本発明の目的、技術的解決法、および有益な効果は上述の具体的な実施形態でさらに詳細に説明されている。上述の実施形態は本発明の具体的なものに過ぎず、本発明の権利範囲を限定することを意図したものではないことを理解されたい。本発明の技術的解決法に基づいて得られる変更、同等物への置換、改良も、本発明の権利範囲に含まれるべきである。
(項目1)
粉末微粒化装置において、
原料を溶鋼に溶解するのに用いられる開放式溶解炉と、
前記開放式溶解炉から溶鋼を受け取り、受け取った前記溶鋼の温度を予め設定された範囲に維持し、前記溶鋼を注入取鍋内に注ぎ込むのに用いられるタンディッシュとを備え、
前記注入取鍋は、第1の状態で、注ぎ込まれた前記溶鋼を微粒化チャンバ内に微粒化させるのに用いられ、前記第1の状態は、予め設定した温度に加熱することと前記微粒化チャンバに接続することとを含み、
前記微粒化チャンバは、前記微粒化チャンバ内に微粒化された溶鋼の液滴を凝縮させて金属粉末にするのに用いられる、粉末微粒化装置。
(項目2)
項目1に記載の装置において、
前記タンディッシュおよび前記注入取鍋を収容するのに用いられる真空溶解チャンバと、
前記真空溶解チャンバの側壁に接続されて前記開放式溶解炉内の前記溶鋼を前記タンディッシュ内に導くのに用いられる気密ガイド装置とをさらに備えた、装置。
(項目3)
項目2に記載の装置において、前記気密ガイド装置は、内側材料および外側材料を少なくとも備え、前記内側材料は耐熱材料であり、前記外側材料は金属材料である、装置。
(項目4)
項目2に記載の装置において、
前記真空溶解チャンバの前記側壁を基準に、前記真空溶解チャンバの内側または外側に向かって配置された区画であって、前記側壁の可動式の第1のバッフルプレートと、前記第1のバッフルプレートの垂直方向の反対側にある可動式の第2のバッフルプレートとを含み、前記注入取鍋を前記真空溶解チャンバに出し入れ可能にし、前記注入取鍋が前記真空溶解チャンバに出し入れされるときに、真空化機器と共に前記真空溶解チャンバの内部を低酸素状態に維持するのに用いられる、区画をさらに含む、装置。
(項目5)
項目1に記載の装置において、前記タンディッシュは、加熱機能を有する誘導炉である、装置。
(項目6)
項目1に記載の装置において、前記開放式溶解炉の容積は、前記タンディッシュの容積より大きい、装置。
(項目7)
項目1に記載の装置に基づく粉末微粒化方法において、
前記開放式溶解炉内で溶解した前記溶鋼の品質が予め設定した基準に達したことを判断するステップと、
前記タンディッシュにより前記開放式溶解炉から溶鋼を受け取るステップと、
前記注入取鍋が前記第1の状態にあることを判断し、溶鋼を内部に受け取った前記タンディッシュから前記注入取鍋内に溶鋼を注ぎ込み、注ぎ込まれた前記溶鋼を前記微粒化チャンバ内に微粒化させるように前記注入取鍋を制御するステップとを備えた、方法。
(項目8)
項目7に記載の方法において、前記微粒化チャンバ内に注ぎ込まれた前記溶鋼を微粒化させるように前記注入取鍋を制御するステップの後に、
前記タンディッシュ内の溶鋼の量が予め設定された対応するしきい値よりも少ないことを判断し、前記タンディッシュにより、再び前記開放式溶解炉から溶鋼を受け取り、前記注入取鍋の耐熱材料を交換するステップと、
前記耐熱材料が交換された前記注入取鍋が前記第1の状態にあることを判断し、再び前記溶鋼を内部に受け取った前記タンディッシュから前記耐熱材料が交換された前記注入取鍋内に溶鋼を注ぎ込み、注ぎ込まれた前記溶鋼を前記微粒化チャンバに微粒化させるように、前記耐熱材料が交換された前記注入取鍋を制御するステップとをさらに備えた、方法。
(項目9)
項目7に記載の方法において、前記開放式溶解炉内の溶鋼の量が予め設定された対応するしきい値よりも少ない場合に、溶かされて溶鋼になる原料を前記開放式溶解炉内に追加する、方法。
(項目10)
項目7に記載の方法において、前記装置は、前記タンディッシュおよび前記注入取鍋を収容するのに用いられる真空溶解チャンバと、前記真空溶解チャンバの側壁に接続された気密ガイド装置とをさらに備え、
前記タンディッシュにより前記開放式溶解炉から溶鋼を受け取るステップは、
前記気密ガイド装置により前記開放式溶解炉内の前記溶鋼を前記タンディッシュ内に導く、方法。
(項目11)
項目10に記載の方法において、溶かされて溶鋼となる原料は、容易に酸化可能な材料を含み、前記開放式溶解炉内の溶鋼の品質が予め設定した基準に達したことを判断するステップは、
前記開放式溶解炉内の容易に酸化可能な材料以外の前記原料から溶解された溶鋼の品質が予め設定した基準に達したことを判断することを含み、
前記タンディッシュにより前記開放式溶解炉から溶鋼を受け取るステップの前に、前記方法は、
前記真空溶解チャンバ内で前記容易に酸化可能な材料が前記タンディッシュ内に受け取った前記溶鋼内に溶けるように、前記容易に酸化可能な材料を前記タンディッシュ内に配置するステップをさらに備えた、方法。
(項目12)
項目10に記載の方法において、前記注入取鍋の耐熱材料を交換するステップは、
前記真空溶解チャンバから出るように前記注入取鍋を制御するステップと、
前記真空溶解チャンバの外の前記注入取鍋の前記耐熱材料を交換するステップとを備えた、方法。
(項目13)
項目12に記載の方法において、前記装置は、前記真空溶解チャンバの前記側壁を基準に前記真空溶解チャンバの外側に向けて配置された区画であって、前記側壁の可動式の第1のバッフルプレートと、前記第1のバッフルプレートの垂直方向の反対側にある可動式の第2のバッフルプレートとを含む、区画をさらに備え、
前記真空溶解チャンバから出るように前記注入取鍋を制御するステップは、
移動して開いた状態になるように前記第1のバッフルプレートを制御し、前記区画内に移動するように前記注入取鍋を制御するステップと、
移動して閉じた状態になるように前記第1のバッフルプレートを制御するステップと、
移動して開いた状態になるように前記第2のバッフルプレートを制御し、前記真空溶解チャンバから出るように前記注入取鍋を制御するステップとを備えた、方法。
(項目14)
項目13に記載の方法において、前記注入取鍋の前記耐熱材料を交換するステップの後に、
前記第2のバッフルプレートが開いた状態にあることを判断し、前記区画内に移動するように前記注入取鍋を制御するステップと、
閉じた状態になるように前記第2のバッフルプレートを制御し、真空化機器により前記第1の区画を真空にするステップと、
前記区画の内部が低酸素状態であることを判断し、前記真空溶解チャンバ内に移動するように前記注入取鍋を制御するステップとを備えた、方法。
(項目15)
粉末微粒化装置において、
原料を溶鋼に溶解するのに用いられる開放式溶解炉と、
前記開放式溶解炉から溶鋼を交互に受け取り、連続的および交互に前記溶鋼を注入取鍋に注ぐのに用いられる複数のタンディッシュとを備え、
前記注入取鍋は、第1の状態で、注ぎ込まれた前記溶鋼を微粒化チャンバ内に連続的に微粒化させるのに用いられ、前記第1の状態は、予め設定した温度に加熱することと前記微粒化チャンバに接続することとを含み、
前記微粒化チャンバは、前記微粒化チャンバ内に微粒化された溶鋼の液滴を凝縮させて金属粉末にするのに用いられる、粉末微粒化装置。
(項目16)
項目15に記載の装置において、
前記複数のタンディッシュおよび前記注入取鍋を収容するのに用いられる真空溶解チャンバと、
前記真空溶解チャンバの側壁に接続されて前記開放式溶解炉内の前記溶鋼を前記複数のタンディッシュ内に導くのに用いられる気密ガイド装置とをさらに備えた、装置。
(項目17)
項目15に記載の装置に基づく粉末微粒化方法において、前記装置の前記複数のタンディッシュは、第1のタンディッシュおよび第2のタンディッシュを含み、
前記開放式溶解炉内で溶解した前記溶鋼の品質が予め設定した基準に達したことを判断するステップと、
前記第1のタンディッシュにより前記開放式溶解炉から溶鋼を受け取るステップと、
前記注入取鍋が前記第1の状態にあることを判断し、前記溶鋼を内部に受け取った前記第1のタンディッシュから前記注入取鍋内に溶鋼を注ぎ込み、注ぎ込まれた前記溶鋼を前記微粒化チャンバ内に微粒化させるように前記注入取鍋を制御し、前記溶鋼を内部に受け取った前記第1のタンディッシュから前記注入取鍋に溶鋼を注ぎ込む工程では、前記第2のタンディッシュは前記開放式取鍋からの溶鋼を受け取る、ステップと、
前記第1のタンディッシュ内の溶鋼の量が予め設定された対応するしきい値よりも少ないことを判断し、前記溶鋼を内部に受け取った前記第2のタンディッシュから前記注入取鍋に溶鋼を注ぎ込み、注ぎ込まれた前記溶鋼を前記微粒化チャンバ内に微粒化させるように前記注入取鍋を制御するステップとを備えた、方法。
(項目18)
項目17に記載の方法において、
前記注入取鍋が所定数のタンディッシュ内の溶鋼を微粒化させた後に、前記注入取鍋の耐熱材料を交換するステップと、
前記耐熱材料が交換された前記注入取鍋が前記第1の状態にあることを判断し、前記溶鋼を内部に受け取った前記第1のタンディッシュまたは前記第2のタンディッシュから前記耐熱材料が交換された前記注入取鍋内に溶鋼を注ぎ込み、注ぎ込まれた前記溶鋼を前記微粒化チャンバ内に微粒化させるように、前記耐熱材料が交換された前記注入取鍋を制御するステップとをさらに備えた、方法。
(項目19)
粉末微粒化装置において、
原料を溶鋼に溶解するのに用いられる開放式溶解炉と、
前記開放式溶解炉から溶鋼を受け取り、受け取った前記溶鋼の温度を予め設定された範囲に維持し、前記溶鋼を複数の注入取鍋内に注ぎ込むのに用いられるタンディッシュとを備え、
前記複数の注入取鍋は、第1の注入取鍋および第2の注入取鍋を含み、前記第1の注入取鍋は、第1の状態で、注ぎ込まれた前記溶鋼を微粒化チャンバ内に微粒化させるのに用いられ、前記第1の状態は、予め設定した温度に加熱することと前記微粒化チャンバに接続することとを含み、第1の注入取鍋が前記タンディッシュから注がれた溶鋼で満たされた後に、前記タンディッシュから溶鋼を受け取るために前記第2の注入取鍋が前記第1の注入取鍋と置き換えられ、
前記微粒化チャンバは、前記微粒化チャンバ内に微粒化された溶鋼の液滴を凝縮させて金属粉末にするのに用いられる、粉末微粒化装置。
(項目20)
項目19に記載の装置において、
前記タンディッシュおよび前記複数の注入取鍋を収容するのに用いられる真空溶解チャンバと、
前記真空溶解チャンバの側壁に接続されて前記開放式溶解炉内の前記溶鋼を前記タンディッシュ内に導くのに用いられる気密ガイド装置とをさらに備えた、装置。
(項目21)
項目20に記載の装置において、
複数の区画をさらに備え、前記複数の区画の個数は前記複数の注入取鍋の個数と同じであり、前記複数の区画は、前記真空溶解チャンバの前記側壁を基準に配置され、それぞれ前記側壁の可動式の第1のバッフルプレートと、前記第1のバッフルプレートの垂直方向の反対側にある可動式の第2のバッフルプレートとを含み、対応する前記注入取鍋が前記真空溶解チャンバに出し入れ可能にし、前記複数の注入取鍋が前記真空溶解チャンバに出し入れされるときに、真空化機器と共に前記真空溶解チャンバの内部を低酸素状態に維持するのに用いられる、装置。
(項目22)
項目20に記載の装置において、
環状トラックをさらに備え、前記複数の注入取鍋は、前記環状トラックを基準に等間隔で固定して配置され、前記環状トラックは、前記タンディッシュから注がれた溶鋼を受け取るために、前記複数の注入取鍋を1つずつ注ぎ場所に移動させるのに用いられる、装置。
(項目23)
項目20に記載の装置において、
環状トラックであって、前記複数の注入取鍋は、前記環状トラックを基準に等間隔で取り外し可能に配置され、前記環状トラックは、前記タンディッシュから注がれた溶鋼を受け取って前記複数の注入取鍋を出口まで回転させるために、前記複数の注入取鍋を注ぎ場所に回転させるのに用いられ、前記複数の注入取鍋が区画を介して前記真空溶解チャンバから出る、環状トラックと、
区画であって、前記真空溶解チャンバの前記側壁を基準に配置され、前記側壁の可動式の第1のバッフルプレートと、前記第1のバッフルプレートの垂直方向の反対側にある可動式の第2のバッフルプレートとを含み、前記複数の注入取鍋が前記真空溶解チャンバに出し入れ可能にし、前記複数の注入取鍋が前記真空溶解チャンバに出し入れされるときに、真空化機器と共に前記真空溶解チャンバの内部を低酸素状態に維持するのに用いられる、区画とをさらに備えた、装置。
(項目24)
項目19に記載の装置に基づく粉末微粒化方法において、
前記開放式溶解炉内で溶解された前記溶鋼の品質が予め設定された基準に達したことを判断するステップと、
前記タンディッシュにより前記開放式溶解炉から溶鋼を受け取るステップと、
前記第1の注入取鍋が前記第1の状態にあることを判断し、溶鋼を内部に受け取った前記タンディッシュから前記第1の注入取鍋内に溶鋼を注ぎ込み、注ぎ込まれた前記溶鋼を前記微粒化チャンバ内に微粒化させるように前記第1の注入取鍋を制御するステップと、
前記第1のタンディッシュを前記第2のタンディッシュに置き換えるステップと、
前記第2の注入取鍋が前記第1の状態にあることを判断し、前記タンディッシュから前記第2の注入取鍋内に溶鋼を注ぎ込み、注ぎ込まれた前記溶鋼を前記微粒化チャンバ内に微粒化させるように前記第2の注入取鍋を制御するステップとを備えた、粉末微粒化方法。
(項目25)
項目24に記載の方法において、前記第1の注入取鍋を前記第2の注入取鍋に置き換えられステップは、
前記タンディッシュ内の溶鋼の量が予め設定された対応するしきい値よりも少ないことを判断し、前記タンディッシュにより、前記開放式溶解炉から溶鋼を再び受け取り、前記第1の注入取鍋を前記第2の注入取鍋に置き換える、方法。
(項目26)
項目24に記載の方法において、前記装置は、前記タンディッシュおよび前記複数の注入取鍋を収容するのに用いられる真空溶解チャンバと、前記真空溶解チャンバの側壁に接続された気密ガイド装置とをさらに備え、
前記タンディッシュにより前記開放式溶解炉から溶鋼を受け取るステップは、
前記気密ガイド装置により前記開放式溶解炉内の前記溶鋼を前記タンディッシュ内に導くことを備えた、方法。
(項目27)
項目26に記載の方法において、前記タンディッシュ内の溶鋼の量が予め設定された対応するしきい値よりも少ないことを判断するステップの後に、
前記真空溶解チャンバから出るように前記第1の注入取鍋を制御するステップと、
前記真空溶解チャンバの外の前記第1の注入取鍋の耐熱材料を交換するステップとをさらに備えた、方法。
(項目28)
項目27に記載の方法において、
前記装置は、複数の区画をさらに備え、前記複数の区画の個数は前記複数の注入取鍋の個数と同じであり、前記複数の区画は、前記真空溶解チャンバの前記側壁を基準に前記真空溶解チャンバの外側に向かって配置されて、それぞれ前記側壁の可動式の第1のバッフルプレートと、前記第1のバッフルプレートの垂直方向の反対側にある可動式の第2のバッフルプレートとを含む区画をさらに備え、
前記真空溶解チャンバを出るように前記第1の注入取鍋を制御するステップは、
移動して開いた状態になるよう前記第1のバッフルプレートを制御し、対応する前記区画内に移動するように前記注入取鍋を制御するステップと、
移動して閉じた状態になるように前記第1のバッフルプレートを制御するステップと、
開いた状態になるように前記第2のバッフルプレートを制御し、前記真空溶解チャンバから出るように前記注入取鍋を制御するステップとを備えた、方法。
(項目29)
項目26に記載の方法において、前記装置は、前記真空溶解チャンバ内に位置付けられた環状トラックをさらに備え、前記複数の注入取鍋は、前記環状トラックを基準に等間隔で固定して配置され、
前記第1の注入取鍋を前記第2の注入取鍋に置き換えるステップは、
前記第2の注入取鍋を注ぎ場所に移動させるために回転するように前記環状トラックを制御するステップを備えた、方法。
(項目30)
項目29に記載の方法において、
前記タンディッシュから注がれた溶鋼を連続的に受け取るように前記複数の注入取鍋を制御した後に、前記真空溶解チャンバを開いて前記複数の注入取鍋の耐熱材料を交換する、方法。
(項目31)
項目26に記載の方法において、
前記装置は、環状トラックおよび区画をさらに含み、前記環状トラックは、前記真空溶解チャンバ内に位置付けられており、前記複数の注入取鍋は、前記環状トラックを基準に等間隔で取り外し可能に配置され、前記区画は、前記真空溶解チャンバの前記側壁を基準に前記真空溶解チャンバの外側に向かって配置されて、前記側壁の可動式の第1のバッフルプレートと、前記第1のバッフルプレートの垂直方向の反対側にある可動式の第2のバッフルプレートとを含み、
前記第1の注入取鍋を前記第2の注入取鍋に置き換えるステップは、
前記第2の注入取鍋を注ぎ場所に移動させるとともに前記第1の注入取鍋を出口に移動させるために回転するように前記環状トラックを制御するステップを備え、
前記第1の注入取鍋が前記出口に移動した後に、
移動して開いた状態になるように前記第1のバッフルプレートを制御し、前記区画内に移動するように前記第1の注入取鍋を制御するステップと、
移動して閉じた状態になるように前記第1のバッフルを制御するステップと、
移動して開いた状態になるように前記第2のバッフルプレートを制御し、前記第1の注入取鍋の耐熱材料を交換するために、前記真空溶解チャンバから出るように前記第1の注入取鍋を制御するステップとを備えた、方法。
(項目32)
項目31に記載の方法において、前記第1の注入取鍋の耐熱材料が交換された後に、
前記第2のバッフルプレートが前記開いた状態にあることを判断し、前記区画内に移動するように前記第1の注入取鍋を制御するステップと、
閉じた状態になるように前記第2のバッフルプレートを制御し、真空化機器により第1の区画を真空にするステップと、
前記第1の区画の内部が低酸素状態であることを判断し、前記環状トラック上に移動するように前記第1の注入取鍋を制御するステップとを備えた、方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14