(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-04
(45)【発行日】2022-01-20
(54)【発明の名称】筒体共有型一体式フライホイール
(51)【国際特許分類】
B62M 9/10 20060101AFI20220113BHJP
F16H 55/30 20060101ALI20220113BHJP
【FI】
B62M9/10 F
F16H55/30 Z
(21)【出願番号】P 2020545835
(86)(22)【出願日】2017-12-18
(86)【国際出願番号】 CN2017116891
(87)【国際公開番号】W WO2019100480
(87)【国際公開日】2019-05-31
【審査請求日】2020-07-13
(31)【優先権主張番号】201711173372.4
(32)【優先日】2017-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520179213
【氏名又は名称】湖南獅▲ロ▼科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUNAN SROAD TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 138, Yaojiapo Road, Ningxiang Hi-tech Industrial Park Changsha, Hunan 410600 China
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】特許業務法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】謝濤
(72)【発明者】
【氏名】鄭瀟然
(72)【発明者】
【氏名】欧吉洲
(72)【発明者】
【氏名】薛慧
(72)【発明者】
【氏名】王浪
(72)【発明者】
【氏名】黄堯堯
【審査官】伊藤 秀行
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0215566(US,A1)
【文献】特開昭50-041244(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第01972540(EP,A2)
【文献】米国特許出願公開第2012/0302384(US,A1)
【文献】米国特許第09168976(US,B1)
【文献】中国実用新案第205890403(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62M 9/10- 9/14
F16H 55/00-55/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チェーンが巻き掛けられ、該チェーンから伝達される円周方向力を自転車リヤホイールハブに伝達するための、大きさが異なる複数のリングギヤと、隣接するリングギヤを固定するための複数の環状の支持部と、を備え、該チェーンが変速機構を介して1つのリングギヤから他のリングギヤに掛け渡せる、筒体共有型一体式フライホイールであって、
各段の支持部は、スポーク及び筒体で構成される面一となる複数のブリッジ接続部を備え、第一段の支持部(1)の第一ブリッジ接続部(5)が第一スポーク(2)と、第一筒体(3)とを備え、他の段の支持部の第二ブリッジ接続部(5a)が第二スポーク(2a)と、第二筒体(3a)とを備え、以降の支持部は同様であり、
隣接するブリッジ接続部の間では、前記第一スポーク(2)が次の段の支持部のブリッジ接続部の筒体のうちの一端に接合されて第一接合点(4)を形成し、前記第一筒体(3)の一端が前記第一スポーク(2)の内側に接合され、前記第一筒体(3)の他端が前記第二スポーク(2a)の外側に接合されて固定されて第二接合点(4a)を形成し、大径の第一リングギヤ(6)が第一接合点(4)に固定され、小径の第三リングギヤ(6a)が第二接合点(4a)に固定され、
前記第一筒体(3)には、少なくとも1層の第二リングギヤ(7)が径方向に設けられ
、
複数の前記第一ブリッジ接続部(5)の間には逆L字状の切り欠き(8)を有し、前記切り欠き(8)は、小径の第三リングギヤ(6a)に接合される第二スポーク(2a)の位置する平面から、前記第一筒体(3)の方向に沿って上向きに延びて前記第二リングギヤ(7)を通過して前記第一スポーク(2)に到達し、前記第一スポーク(2)に沿って大径の第一リングギヤ(6)の基部まで延びている、ことを特徴とする筒体共有型一体式フライホイール。
【請求項2】
前記支持部の外径が対応するリングギヤの内径と同じであり、任意の2つの支持部の形状が類似し、それにより、すべての支持部のスポークが筒体に順に接合されて多段階段状の円錐形部材(9)を構成し、対応するリングギヤが前記円錐形部材(9)に固定されてフライホイールまたはフライホイールの一部を形成する、ことを特徴とする請求項1に記載の筒体共有型一体式フライホイール。
【請求項3】
前記切り欠き(8)の数mと接合される第三リングギヤ(6a)の歯数Zとの関係は、Z-(0.5*Z+1)≦m≦Z+(0.5*Z+1)であり、m、Zがいずれも整数である、ことを特徴とする請求項
1に記載の筒体共有型一体式フライホイール。
【請求項4】
前記スポーク、前記筒体及び前記リングギヤは、1枚の材料から加工されてなる、ことを特徴とする請求項1または2に記載の筒体共有型一体式フライホイール。
【請求項5】
前記第二リングギヤ(7)と前記第一筒体(3)の固定点が第三接合点(10)であり、前記第二リングギヤ(7)が前記第一リングギヤ(6)と前記第三リングギヤ(6a)との間に位置し、且つ前記第三リングギヤ(6a)、前記第二リングギヤ(7)及び前記第一リングギヤ(6)の直径は順に大きくなり円錐形の多層スプロケットを形成する、ことを特徴とする請求項1または2に記載の筒体共有型一体式フライホイール。
【請求項6】
共通の第一筒体(3)に位置する前記第二リングギヤ(7)が2つ以上である場合、前記第二リングギヤ(7)同士の直径は前記円錐形の多層スプロケットと一致する関係をもち、複数の前記第三接合点(10)が前記第一筒体(3)に均等に分布する、ことを特徴とする請求項
5に記載の筒体共有型一体式フライホイール。
【請求項7】
共通の第一筒体(3)に位置する前記第二リングギヤ(7)が1つである場合、前記第三接合点(10)が前記第一筒体(3)の中心領域に設けられる、ことを特徴とする請求項
5に記載の筒体共有型一体式フライホイール。
【請求項8】
前記第二リングギヤ(7)と前記第一筒体(3)の固定点が第三接合点(10)であり、複数の前記第一筒体(3)の面一となる第三接合点(10)が順に接続されて限定領域を形成し、隣接する前記第三接合点(10)の間に位置する前記第二リングギヤ(7)の部分が前記限定領域から離れて外へ凹んで重量軽減溝(11)を形成する、ことを特徴とする請求項1または2に記載の筒体共有型一体式フライホイール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車の変速部材に関し、特に筒体共有型一体式フライホイール及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
社会の進展に伴い、現在、様々な交通機関には、軽量化、高強度化がますます要求されている。現在、自転車は、一般的に、材料の軽量化及び構造の軽量化によって重量を軽減させ、且つ軽量化は、強度と剛性が十分に確保されていることを前提としており、特にスポーツ用自転車の場合、変速スプロケットの強度及び剛性に対する要求がより高い。変速スプロケットは、自転車の最も重要な部品の1つであり、それに要求される基本的な性能は、質量が一定である場合、強度と剛性が高いほど好ましいことである。
【0003】
変速スプロケットは、多層リングギヤ構造であり、通常、2つの典型的な構造形態を有し、1つは、SHIMANO社の製品を代表とする、スタンピングリングギヤをカシメで積層してなる変速スプロケットであり、もう1つは、SRAM社の製品を代表とする、錐体形中空体を支持構造として用いた一体式フライホイールである。前者の製品は、剛性と強度が小さく、耐荷能力が弱く、且つ質量が大きいが、加工の製造性が高い。後者は、錐体形中空体の構造であり、通常、多数のリングギヤが1つの材料で加工されるので、高い強度と剛性を有するが、この設計では、各層のリングギヤが必ず回動軸線と同軸の1つの円筒に対応し、このような構造では、隣接する2層のリングギヤの歯数の差が小さい場合、製造性が非常に低く、重量軽減孔や正負歯の加工に不利である。また、質量も大きく、出願番号200910004713.4の特許に示すように、製品の重量を軽減させるために、歯の対応する部位で筒体とスポークに多くの重量軽減溝を形成して、いわゆるブリッジ接続部を形成する必要があり、このブリッジ接続部が本質的には棒状の片持ち梁となり、この構造を加工するために、加工する際に、カッターが大きな距離だけ進む必要があり、且つ該箇所の空間が小さいので、カッターの進退空間が制限され、加工効率や加工の品質に影響を与えやすい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記した技術課題を解決するために、質量が小さく、製造性が高く、且つ生産効率が高い筒体共有型一体式フライホイールを提供し、また、筒体共有型一体式フライホイールの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の技術案によって実現される。
チェーンが巻き掛けられ、該チェーンから伝達される円周方向力を自転車リヤホイールハブに伝達するための、大きさが異なる複数のリングギヤと、隣接するリングギヤを固定するための複数の環状の支持部と、を備え、該チェーンが変速機構を介して1つのリングギヤから他のリングギヤに掛け渡せる、筒体共有型一体式フライホイールであって、
各段の支持部は、スポーク及び筒体で構成される面一となる複数のブリッジ接続部を備え、第一段の支持部の第一ブリッジ接続部が第一スポークと、第一筒体とを備え、他の段の支持部の第二ブリッジ接続部が第二スポークと、第二筒体とを備え、以降の支持部は同様であり、
隣接するブリッジ接続部の間では、第一スポークが次の段の支持部のブリッジ接続部の筒体のうちの一端に接合されて第一接合点を形成し、第一筒体の一端が第一スポークの内側に接合され、第一筒体の他端が第二スポークの外側に接合されて固定されて第二接合点を形成し、大径の第一リングギヤが第一接合点に固定され、小径の第三リングギヤが第二接合点に固定され、
第一筒体には、少なくとも1層の第二リングギヤが径方向に設けられる、筒体共有型一体式フライホイール。
【0006】
好ましくは、支持部の外径が対応するリングギヤの内径と同じであり、任意の2つの支持部の形状が類似し、それにより、すべての支持部のスポークが筒体に順に接合されて多段階段状の円錐形部材を構成し、対応するリングギヤが円錐形部材に固定されてフライホイールまたはフライホイールの一部を形成する。
【0007】
好ましくは、複数の第一ブリッジ接続部の間には逆L字状の切り欠きを有し、切り欠きは、小径の第三リングギヤに接合される第二スポークの位置する平面から、第一筒体の方向に沿って第二リングギヤを通過して上向きに第一スポークまで延び、第一スポークに沿って大径の第一リングギヤの基部まで延びている。
【0008】
好ましくは、切り欠きの数mと接合される第三リングギヤの歯数Zとの関係は、Z-(0.5*Z+1)≦m≦Z+(0.5*Z+1)であり、m、Zがいずれも整数である。
【0009】
好ましくは、スポーク、筒体及びリングギヤは、1枚の材料から加工されてなる。
【0010】
好ましくは、第二リングギヤと第一筒体の固定点が第三接合点であり、第二リングギヤが第一リングギヤと第三リングギヤとの間に位置し、且つ第三リングギヤ、第二リングギヤ及び第一リングギヤの直径は順に大きくなって円錐形の多層スプロケットを形成する。
【0011】
好ましくは、共通の第一筒体に位置する第二リングギヤが2つ以上である場合、第二リングギヤ同士の直径は円錐形の多層スプロケットに一致する関係をもち、複数の第三接合点が第一筒体に均等に分布する。
好ましくは、共通の第一筒体に位置する第二リングギヤが1つである場合、第三接合点が第一筒体の中心領域に設けられる。
【0012】
好ましくは、第二リングギヤと第一筒体の固定点が第三接合点であり、複数の第一筒体の面一となる第三接合点が順に接続されて限定領域を形成し、第二リングギヤの隣接する第三接合点の間に位置する部分が限定領域から離れて外へ凹んで重量軽減溝を形成する。
【0013】
中実ブランクまたはボウル形鋳物ブランクを旋削して半製品を製造すること、
前記半製品の内部から対応する支持部構造をミーリング加工により形成すること、
ボーリングによってすべての歯形と特定の歯形を加工により形成すること、
熱処理することにより、高強度、高靭性及び高耐摩耗性を兼ね備えた製品性能を得ること、及び、
表面に対して装飾処理を行うこと、を含む筒体共有型一体式フライホイールの製造方法。
【発明の効果】
【0014】
有益な効果は、以下のとおりである。
従来技術に比べて、本発明は、筒体に少なくとも1層の第二リングギヤを設けることによって、1層の支持部を省略し、それにより構造を簡略化させ、且つ質量を軽減させるという役割を果たし、特に隣接するリングギヤの歯数の差が小さいワークを加工する場合、このような構造はスポークの間の幅を効果的に増加させ、スポークの間の距離が筒体の高さの増加に伴って増加し、それにより加工カッターが移動可能な空間を効果的に増大し、さらに加工のカッター直径をより柔軟に選択できるようにし、その結果、製造性がより優れ、加工の品質がより高く、加工効率が高くなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明の特定の実施形態についてさらに詳しく説明する。
【
図1】
図1はブリッジ接続部とリングギヤの関係の部分模式図である。
【
図2】
図2はフライホイールの一部の三次元模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
理解しやすくするために、本実施形態における部材、例えば第一ブリッジ接続部5と第二ブリッジ接続部5a、第一スポーク2と第二スポーク2a、第一筒体3と第二筒体3a、及び第一リングギヤ6と第三リングギヤ6aなどは、その形態、構造及びサイズが同じであるかまたは類似し、重複する部材に関しても、それは代表例と見なされる。
【0017】
図1及び
図2に示すように、チェーンが巻き掛けられ、該チェーンから伝達される円周方向力を自転車リヤホイールハブに伝達するための、大きさが異なる複数のリングギヤと、リングギヤを固定するための複数の環状の支持部とを備え、該チェーンが変速機構を介して1つのリングギヤから他のリングギヤに掛け渡せる、筒体共有型一体式フライホイールであって、各段の支持部は、スポークと筒体で構成される面一となる複数のブリッジ接続部を備え、第一段の支持部1の第一ブリッジ接続部5が第一スポーク2と、第一筒体3とを備え、他の段の支持部の第二ブリッジ接続部5aが第二スポーク2aと、第二筒体3aとを備え、以降の支持部は同様であり、第一リングギヤ6は、第一スポーク2の外側端に径方向に設けられ、隣接する第一ブリッジ接続部5と第二ブリッジ接続部5aとの間では、第一スポーク2が次の段の支持部のブリッジ接続部の筒体のうちの一端に接合されて第一接合点4を形成し、第一筒体3の一端が第一スポーク2の端部に接合され、第一筒体3の他端が第二スポーク2aの外側に接合されて固定されて第二接合点4aを形成し、大径の第一リングギヤ6が第一接合点4に固定され、小径の第三リングギヤ6aが第二接合点4aに固定される。また、第一筒体3には、少なくとも1層の第二リングギヤ7が径方向に設けられ、フライホイール全体の形態、サイズ及び重量の要素を配慮すると、第一筒体3に追加する第二リングギヤ7の数が1層~4層であることが好ましく、数が多すぎると、支持強度と加工の製造性に影響を与える。第二リングギヤ7と第一筒体3の固定点が第三接合点10である。説明及び理解を容易にするために、第二リングギヤ7が独立する支持部に対応しないが、本段落及び以下では、1つの支持部材を仮定し、該支持部材は、第一段の支持部または類似する構造であり、該支持部材は、本設計を採用しない場合、各層のリングギヤに必要な支持・固定構造である。本設計によって少なくとも2層のリングギヤを同時に1段の支持部に設計することで、1層のリングギヤが1層の支持部材に対応するような従来の構造から、2層または多層のリングギヤが1層の支持部を共用するように変更し、このようにして、もともと第二リングギヤ7に対応する支持部材を省略し、構造を簡略化させる役割を果たす。第一筒体3に多層のリングギヤが結合されるので、リングギヤの間の距離が一定になることで高くする必要がある一方、また第一筒体3を太くすることができ、太くなった第一筒体3の質量がある程度増加し、しかし、1層のリングギヤが1つの支持部材に対応するような従来の構造形態に比べて、1層の支持部材を省略することでフライホイールの総質量が小さくなり、且つ、第一筒体3を太くするので、その円周方向における剛性及びねじり特性が向上する。また、第一筒体3の高さが増加するので、隣接する第一スポーク2と第二スポーク2aとの間の距離を大幅に増加し、リングギヤを加工製造し、特に隣接するリングギヤの歯数の差が小さいものを加工する場合、加工カッターが移動可能な空間が増大し、必要に応じて適当なカッター及び適宜なカッターの進退距離を選択することができ、その結果、第一筒体3の間の領域の加工の製造性を顕著に最適化し、且つ品質がより優れ、加工効率がより高くなる。
【0018】
好適な実施形態では、
図1及び
図2に示すように、支持部の外径が対応するリングギヤの内径と同じであり、それにより、すべての支持部のスポークが筒体に順に接合されて多段階段状の円錐形部材9を構成し、対応するリングギヤが円錐形部材9に固定されてフライホイールまたはフライホイールの一部を形成し、リングギヤと円錐形部材9の接続方式は、一体接続であってもよく、2つの独立したモジュールに加工して、後続のプロセスによって両方を取り外し不能に接続して1つのユニットにしてもよく、好ましくは、上記スポーク、筒体及びリングギヤがいずれも1枚の材料から加工されてなり、このように、各部材間の接続がより確実になり、チェーンを介して伝達されてきた円周方向力が第一リングギヤ6を介してトルクを形成して接合点に作用させ(図示せず)、さらに第一スポーク2に伝達し、第一スポーク2がトルクを第一筒体3に作用させ、第一筒体3がトルクを第一接合点4に伝達してから次の段の支持部の第一スポーク2に遷移し、このようにして、最終的に最小直径の支持部(図示せず)に作用させ、最小直径の支持部が自転車の回転軸ハブに接続されることで、支持部にハブが設けられなくても、フライホイール全体がトルクの伝達を実現でき、且つハブに接続される。
【0019】
好適な実施形態では、
図2に示すように、第一ブリッジ接続部5の間には逆L字状の切り欠き8を有し、切り欠き8は、小径の第三リングギヤ6aに接合される第二ブリッジ接続部5aの第二スポーク2aの位置する平面領域から、第一筒体3の方向に沿って上向きに延びて第二リングギヤ7を通過して第一スポーク2に到達し、第一スポーク2に沿って大径の第一リングギヤ6の基部まで延びている。切り欠き8は、フライホイールが動作するときに泥を排出することに寄与し、且つ切り欠き8が設けられることはフライホイールの総質量の減少に寄与する。切り欠き8の数mと接合される第三リングギヤ6aの歯数Zとの関係は、Z-(0.5*Z+1)≦m≦Z+(0.5*Z+1)であり、m、Zがいずれも整数である。たとえば第三リングギヤ6aの歯数Zが20である場合、切り欠き8の数mが20±11範囲内の任意の整数の値であり、これは、第一筒体3が小径の第三リングギヤ6aの歯部の中心と揃ってもよく、揃わなくてもよいことを示す。歯数Zが20であり且つ切り欠き8の数mが20である場合、両者の差値が0であり、第一筒体3が第三リングギヤ6aの歯部の中心と揃い、剛性の均一性が良好であり、両者の差値が0ではない場合、第一筒体3が第三リングギヤ6aの歯部中心から所定の角度ずれており、加工の製造性及び高強度高剛性の需要をよりよく満たすことができ、切り欠き8の幅が隣接する第一筒体3により決定されるので、必要に応じて第三リングギヤ6aにおける第一筒体3の数を調整することができ、それにより、切り欠き8の幅及び数に影響を与え、さらにこの差を設定することによって、加工を容易化する。
【0020】
好適な実施形態では、
図1及び
図2に示すように、第二リングギヤ7が大径の第一リングギヤ6と小径の第三リングギヤ6aとの間に位置し、且つ第三リングギヤ6a、第二リングギヤ7及び第一リングギヤ6の直径は順に大きくなって円錐形の多層スプロケットを形成し、それにより、共通の第一筒体3における第一リングギヤ6及び第二リングギヤ7が必要に応じてチェーンを容易に調整でき、また、前記円錐形の多層スプロケットが円錐形部材9の傾斜方向と適応し、それにより、小径の支持部1aにおけるリングギヤの直径が大きくなり材料を浪費してしまうことを防止する。
【0021】
好適な実施形態では、共通の第一筒体3に位置する第二リングギヤ7が2つ以上である場合、第二リングギヤ7の間の直径は前記円錐形の多層スプロケットの関係と一致する関係をもち、複数の第三接合点10が第一筒体3に均等に分布し、それにより、複数の第二リングギヤ7の間、両側縁に位置する第二リングギヤ、第三リングギヤ6a及び第一リングギヤ6の間の距離を適切にし、それにより、使用過程に要求される変速を実現し、且つ加工に有利である。
【0022】
好適な実施形態では、
図1に示すように、共通の第一筒体3に位置する第二リングギヤ7が1つである場合、第三接合点10が第一筒体3の中心領域に設けられることで、第三リングギヤ6a、第二リングギヤ7及び第一リングギヤ6の間の距離を適切にし、変速及び加工をしやすくする。
【0023】
好適な実施形態では、
図2に示すように、理解しやすくするために、同一段の支持部における複数の第一筒体3の面一となる第三接合点10が順に接続されて限定領域を形成し、隣接する第三接合点10の間に位置する第二リングギヤ7の部分が前記限定領域から離れて外へ凹んで重量軽減溝11を形成し、好ましくは、重量軽減溝11の形状は、円弧状又は両側に円弧状移行部付きの半分の正方形である。第一筒体3の高さが増加可能であるので、必要に応じて前記錐体形構造の内部から外へ重量軽減溝11を第二リングギヤ7に加工により形成することができる。なお、重量軽減溝11を加工により形成する際に、第三接合点10に接近することを回避すべきであり、重量軽減溝11を設ける目的は、第二リングギヤ7の質量を減少させ、さらにフライホイール全体の質量を減少させることであり、また、第三接合点10の接続関係が加工による影響を受けないので、第二リングギヤ7及び結合される第一筒体3構造の剛性及びねじり特性が低下しない。
【0024】
中実ブランクまたはボウル形鋳物ブランクを旋削して半製品を製造すること、
前記半製品の内部から対応する支持部構造をミーリング加工により形成すること、
ボーリングによってすべての歯形と特定の歯形を加工により形成すること、
熱処理することによって、高強度、高靭性及び高耐摩耗性を兼ね備えた製品性能を得ること、及び、
表面に対して装飾処理を行うこと、を含む筒体共有型一体式フライホイールの製造方法。
【0025】
以上の実施例は、本発明の技術案を説明するためのものに過ぎず、それを制限するものではなく、本発明の要旨と範囲から逸脱しないいかなる修正や同等置換も、本発明の技術案の範囲に含まれる。