(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-04
(45)【発行日】2022-01-20
(54)【発明の名称】空気調節機器の制御方法、制御装置、空気調節機器及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
F24F 11/79 20180101AFI20220113BHJP
F24F 11/89 20180101ALI20220113BHJP
F24F 11/63 20180101ALI20220113BHJP
【FI】
F24F11/79
F24F11/89
F24F11/63
(21)【出願番号】P 2020573329
(86)(22)【出願日】2018-11-01
(86)【国際出願番号】 CN2018113465
(87)【国際公開番号】W WO2020000836
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2020-12-28
(31)【優先権主張番号】201810699368.X
(32)【優先日】2018-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517344192
【氏名又は名称】広東美的制冷設備有限公司
【氏名又は名称原語表記】GD MIDEA AIR-CONDITIONING EQUIPMENT CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Lingang Road,Beijiao,Shunde,Foshan,Guangdong,China
(73)【特許権者】
【識別番号】512237419
【氏名又は名称】美的集団股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】MIDEA GROUP CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】B26-28F, Midea Headquarter Building, No.6 Midea Avenue, Beijiao, Shunde, Foshan, Guangdong 528311 China
(74)【代理人】
【識別番号】100112656
【氏名又は名称】宮田 英毅
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】鄭偉鋭
(72)【発明者】
【氏名】梁文潮
(72)【発明者】
【氏名】段曉華
(72)【発明者】
【氏名】陳志斌
【審査官】佐藤 正浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-053451(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/79
F24F 11/89
F24F 11/63
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気調節機器が現在位置している環境の、前記空気調節機器の送風範囲内にあるN個(Nは1より大きい奇数)の送風領域での環境温度を示す温度分布データを取得するステップと、
前記温度分布データに基づいて、第(N+1)/2の送風領域以外の各送風領域それぞれと、第(N+1)/2の送風領域との各温度差の絶対値を特定するステップと、
前記各温度差の絶対値に基づいて、前記N個の送風領域それぞれでの前記空気調節機器の風向板の揺動一時停止時間を調整するステップと、を含み、
ここで、第1の送風領域~第((N+1)/2)-1の送風領域は、それぞれ第(N+1)/2の送風領域の一方側に位置し、これに対応して第((N+1)/2)+1の送風領域~第Nの送風領域は、それぞれ第(N+1)/2の送風領域の他方側に位置する、
ことを特徴とする空気調節機器の制御方法。
【請求項2】
前記各温度差の絶対値に基づいて、前記N個の送風領域それぞれでの前記空気調節機器の風向板の揺動一時停止時間を調整する前記ステップは、
第jの送風領域と第(N+1)/2の送風領域との相対位置及び温度差の絶対値に基づいて、前記第jの送風領域での前記風向板の揺動一時停止時間を決定するステップを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の制御方法。
【請求項3】
前記各温度差の絶対値に基づいて、前記N個の送風領域それぞれでの前記空気調節機器の風向板の揺動一時停止時間を調整する前記ステップは、
予め設定された温度差範囲と揺動一時停止時間とのマッピング関係に基づいて、各温度差の絶対値に対応する揺動一時停止時間を決定するステップを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の制御方法。
【請求項4】
前記温度分布データに基づいて、第(N+1)/2の送風領域以外の各送風領域それぞれと、第(N+1)/2の送風領域との温度差の絶対値を特定する前記ステップは、
前記温度分布データに基づいて、前記N個の送風領域それぞれに対応する平均温度を特定するステップと、
前記N個の送風領域それぞれに対応する平均温度に基づいて、第(N+1)/2の送風領域以外の各送風領域それぞれと、第(N+1)/2の送風領域との温度差の絶対値を特定するステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の制御方法。
【請求項5】
空気調節機器が現在位置している環境の温度分布データを取得する前記ステップは、
M列(MはNより大きい整数)のアレイセンサを用いて前記空気調節機器の各送風位置での環境温度を検出するステップと、
前記各送風位置での環境温度に基づいて、前記空気調節機器が現在位置している環境の温度分布データを特定するステップと、を含み
ここで、前記アレイセンサは赤外線サーモパイルアレイセンサを含む、
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の制御方法。
【請求項6】
M列のアレイセンサを用いて前記空気調節機器の各送風位置での環境温度を検出するステップは、
予め設定された検出周期で、前記空気調節機器の各送風位置での環境温度を検出するステップを含む、
ことを特徴とする請求項5に記載の制御方法。
【請求項7】
空気調節機器が現在位置している環境の、前記空気調節機器の送風範囲内にあるN個(Nは1より大きい奇数)の送風領域での環境温度を示す温度分布データを取得するための取得モジュールと、
前記温度分布データに基づいて、第(N+1)/2の送風領域以外の各送風領域それぞれと、第(N+1)/2の送風領域との各温度差の絶対値を特定するための算出モジュールと、
前記各温度差の絶対値に基づいて、前記N個の送風領域それぞれでの前記空気調節機器の風向板の揺動一時停止時間を調整するための調整モジュールと、を含み、
ここで、第1の送風領域~第((N+1)/2)-1の送風領域はそれぞれ第(N+1)/2の送風領域の一方側に位置し、これに対応して第((N+1)/2)+1の送風領域~第Nの送風領域はそれぞれ第(N+1)/2の送風領域の他方側に位置する、
ことを特徴とする空気調節機器の制御装置。
【請求項8】
前記調整モジュールは、
第jの送風領域と第(N+1)/2の送風領域との相対位置及び温度差の絶対値に基づいて、前記第jの送風領域での前記風向板の揺動一時停止時間を決定するために用いられる、
ことを特徴とする請求項7に記載の制御装置。
【請求項9】
前記調整モジュールは、
予め設定された温度差範囲と揺動一時停止時間とのマッピング関係に基づいて、各温度差の絶対値に対応する揺動一時停止時間を決定するために用いられる、
ことを特徴とする請求項7に記載の制御装置。
【請求項10】
前記算出モジュールは、
前記温度分布データに基づいて、前記N個の送風領域それぞれに対応する平均温度を特定する算出ユニットと、
前記N個の送風領域それぞれに対応する平均温度に基づいて、第(N+1)/2の送風領域以外の各送風領域それぞれと、第(N+1)/2の送風領域との温度差の絶対値を特定する第1決定ユニットと、を含む、
ことを特徴とする請求項7~9のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項11】
前記取得モジュールは、具体的には、
M列(MはNより大きい整数)のアレイセンサを用いて前記空気調節機器の各送風位置での環境温度を検出し、
前記各送風位置での環境温度に基づいて、前記空気調節機器が現在位置している環境の温度分布データを特定するために用いられ、
前記アレイセンサは赤外線サーモパイルアレイセンサを含む、
ことを特徴とする請求項7~10のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項12】
前記取得モジュールは、具体的には、
予め設定された検出周期で、前記空気調節機器の各送風位置での環境温度を検出するために用いられる、
ことを特徴とする請求項11に記載の制御装置。
【請求項13】
メモリと、
プロセッサと、
メモリに記憶され、プロセッサ上で実行可能なコンピュータプログラムとを含み、
前記プログラムが前記プロセッサにより実行される場合、請求項1~6のいずれか1項に記載の空気調節機器の制御方法が実施される、
ことを特徴とする空気調節機器。
【請求項14】
コンピュータプログラムが記憶されている、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、前記プログラムがプロセッサによって実行される場合、請求項1~6のいずれか1項に記載の空気調節機器の制御方法が実施される、
ことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、広東美的冷凍設備有限会社、美的集団株式会社が2018年6月29日に出願した、発明の名称「空気調節機器の制御方法、装置及び空気調節機器」、出願番号「201810699368.X」の中国特許出願の優先権を主張する。
【0002】
本開示は、電気製品の制御技術分野に関し、特に空気調節機器の制御方法、制御装置、空気調節機器及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0003】
人々の生活品質の向上に伴い、エアコン、扇風機などの空気調節機器は、徐々により多くの家庭やオフィスに使用されるようになっている。
【0004】
しかしなら、出願者は、エアコンであろうと扇風機であろうと、実際の使用において、両方とも機器の真正面の温度と両側の温度とが異なる場合があり、それにより空気調節機器が位置している空間内の温度分布が不均一になり、快適性に影響を及ぼすことを見出した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、関連技術において、空気調節機器の真正面の温度と両側の温度とが異なることにより、空気調節機器が位置している空間内の温度分布が不均一になる技術的問題を解決するための空気調節機器の制御方法、制御装置、空気調節機器及び記憶媒体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1態様の実施例にて提供される空気調節機器の制御方法は、
空気調節機器が現在位置している環境の、前記空気調節機器の送風範囲内にあるN個(Nは1より大きい奇数)の送風領域での環境温度を示す温度分布データを取得するステップと、
前記温度分布データに基づいて、第(N+1)/2の送風領域以外の各送風領域それぞれと、第(N+1)/2の送風領域との各温度差の絶対値を特定するステップと、
前記各温度差の絶対値に基づいて、前記N個の送風領域それぞれでの前記空気調節機器の風向板の揺動一時停止時間を調整するステップと、を含み、
ここで、第1の送風領域~第((N+1)/2)-1の送風領域はそれぞれ第(N+1)/2の送風領域の一方側に位置し、これに対応して第((N+1)/2)+1の送風領域~第Nの送風領域はそれぞれ第(N+1)/2の送風領域の他方側に位置する。
【0007】
本開示の実施例の空気調節機器の制御方法は、空気調節機器が現在位置している環境の温度分布データを取得し、温度分布データに基づいて、中間送風領域以外の各送風領域それぞれと、中間送風領域との各温度差の絶対値を特定し、さらに各温度差の絶対値に基づいて、空気調節機器の風向板の各送風領域での揺動一時停止時間を調整する。これにより、室内環境温度差に基づいて、風向板の揺動一時停止時間を調整して、異なる領域の送風量を自動的に調節する目的を達成し、室内環境の温度が均一であることを確保し、室内環境の快適性を向上させ、ユーザ体験を改善した。
【0008】
本開示の一実施例によれば、前記各温度差の絶対値に基づいて、前記N個の送風領域それぞれでの前記空気調節機器の風向板の揺動一時停止時間を調整する前記ステップは、
第jの送風領域と第(N+1)/2の送風領域との相対位置及び温度差の絶対値に基づい
て、前記第jの送風領域での前記風向板の揺動一時停止時間を決定するステップを含む。
【0009】
本開示の一実施例によれば、前記各温度差の絶対値に基づいて、前記N個の送風領域それぞれでの前記空気調節機器の風向板の揺動一時停止時間を調整する前記ステップは、
予め設定された温度差範囲と揺動一時停止時間とのマッピング関係に基づいて、各温度差の絶対値に対応する揺動一時停止時間を決定するステップを含む。
【0010】
本開示の一実施例によれば、前記温度分布データに基づいて、第(N+1)/2の送風領域以外の各送風領域それぞれと、第(N+1)/2の送風領域との温度差の絶対値を特定する前記ステップは、
前記温度分布データに基づいて、前記N個の送風領域それぞれに対応する平均温度を特定するステップと、
前記N個の送風領域それぞれに対応する平均温度に基づいて、第(N+1)/2の送風領域以外の各送風領域それぞれと、第(N+1)/2の送風領域との温度差の絶対値を特定するステップと、を含む。
【0011】
本開示の一実施例によれば、空気調節機器が現在位置している環境の温度分布データを取得する前記ステップは、
M列(MはNより大きい整数)のアレイセンサを用いて前記空気調節機器の各送風位置での環境温度を検出するステップと、
前記各送風位置での環境温度に基づいて、前記空気調節機器が現在位置している環境の温度分布データを特定するステップと、を含み、
前記アレイセンサは赤外線サーモパイルアレイセンサを含む。
【0012】
本開示の一実施例によれば、M列のアレイセンサを用いて前記空気調節機器の各送風位置での環境温度を検出する前記ステップは、
予め設定された検出周期で、前記空気調節機器の各送風位置での環境温度を検出するステップを含む。
【0013】
本開示の第2態様の実施例にて提供される空気調節機器の制御装置は、
空気調節機器が現在位置している環境の、前記空気調節機器の送風範囲内にあるN個(Nは1より大きい奇数)の送風領域での環境温度を示す温度分布データを取得するための取得モジュールと、
前記温度分布データに基づいて、第(N+1)/2の送風領域以外の各送風領域それぞれと、第(N+1)/2の送風領域との各温度差の絶対値を特定するための算出モジュールと、
前記各温度差の絶対値に基づいて、前記N個の送風領域それぞれでの前記空気調節機器の風向板の揺動一時停止時間を調整するための調整モジュールと、を含み、
ここで、第1の送風領域~第((N+1)/2)-1の送風領域はそれぞれ第(N+1)/2の送風領域の一方側に位置し、これに対応して第((N+1)/2)+1の送風領域~第Nの送風領域はそれぞれ第(N+1)/2の送風領域の他方側に位置する。
【0014】
本開示の実施例の空気調節機器の制御装置は、空気調節機器が現在位置している環境の温度分布データを取得し、温度分布データに基づいて、中間送風領域以外の各送風領域それぞれと、中間送風領域との各温度差の絶対値を特定し、さらに各温度差の絶対値に基づいて、空気調節機器の風向板の各送風領域での揺動一時停止時間を調整する。これにより、室内環境温度差に基づいて、風向板の揺動一時停止時間を調整して、異なる領域の送風量を自動的に調節する目的を達成し、室内環境の温度が均一であることを確保し、室内環境の快適性を向上させ、ユーザ体験を改善した。
【0015】
本開示の一実施例によれば、前記調整モジュールは、
第jの送風領域と第(N+1)/2の送風領域との相対位置及び温度差の絶対値に基づいて、前記第jの送風領域での前記風向板の揺動一時停止時間を決定するために用いられる。
【0016】
本開示の一実施例によれば、前記調整モジュールは、
予め設定された温度差範囲と揺動一時停止時間とのマッピング関係に基づいて、各温度差の絶対値に対応する揺動一時停止時間を決定するために用いられる。
【0017】
本開示の一実施例によれば、前記算出モジュールは、
前記温度分布データに基づいて、前記N個の送風領域それぞれに対応する平均温度を特定する算出ユニットと、
前記N個の送風領域それぞれに対応する平均温度に基づいて、第(N+1)/2の送風領域以外の各送風領域それぞれと、第(N+1)/2の送風領域との温度差の絶対値を特定する第1決定ユニットと、を含む。
【0018】
本開示の一実施例によれば、前記取得モジュールは、具体的には、
M列(MはNより大きい整数)のアレイセンサを用いて前記空気調節機器の各送風位置での環境温度を検出し、
前記各送風位置での環境温度に基づいて、前記空気調節機器が現在位置している環境の温度分布データを特定するために用いられ、
前記アレイセンサは赤外線サーモパイルアレイセンサを含む。
【0019】
本開示の一実施例によれば、前記取得モジュールは、具体的には、予め設定された検出周期で、前記空気調節機器の各送風位置での環境温度を検出するために用いられる。
【0020】
本開示の第3態様の実施例にて提供される空気調節機器は、メモリと、プロセッサと、メモリに記憶され、プロセッサ上で実行可能なコンピュータプログラムとを含み、前記プログラムが前記プロセッサにより実行される場合、第1態様の実施例に記載の空気調節機器の制御方法が実施される。
【0021】
本開示の第4態様の実施例では、コンピュータプログラムが記憶されているコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供し、当該プログラムがプロセッサによって実行される場合、第1態様の実施例に記載の空気調節機器の制御方法が実施される。
【0022】
本開示の付加的な態様及び利点について、その一部は以下に説明され、一部は以下の説明から明らかになるか、又は本開示の実施形態の実施を通じて理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本開示の上記及び/又は付加的な態様及び利点は、下記の図面を参照して実施形態を説明することにより、明らかになり、理解しやすくなる。
【
図1】本開示の実施例にて提供される空気調節機器の制御方法の流れの模式図である。
【
図2】本開示の実施例においてアレイセンサで取得した温度分布データの一部の例示的な図である。
【
図3】本開示の実施例の空気調節機器の制御方法を用いて各送風領域の送風量を調整した後に取得した温度分布データの一部の例示的な図である。
【
図4】本開示の実施例にて提供される別の空気調節機器の制御方法の流れの模式図である。
【
図5】本開示の実施例にて提供される空気調節機器の制御装置の構造模式図である。
【
図6】本開示の実施例にて提供される別の空気調節機器の制御装置の構造模式図である。
【
図7】本開示の実施例にて提供される空気調節機器の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本開示の実施例を詳細に説明する。前記実施例の例示を図面に示したが、ここで、同じ又は類似の符号は、常に同じ又は類似の素子又は同じ又は類似の機能を有する素子を表す。以下、図面を参照しながら説明した実施例は例示的なもので、本開示の説明を意図したものであり、本開示を制限するものと理解されるべきではない。
【0025】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施例の空気調節機器の制御方法、装置及び空気調節機器について説明する。
【0026】
現在、エアコン、タワーファンなどの空気調節機器は、風向板を有するものが多く、ユーザは、リモートコントロールのスイングフラップボタンを押すことにより、空気調節機器の風向板を制御して送風することができる。ユーザがリモートコントロールのスイングフラップボタンを再度押すと、空気調節機器の風向板は現在位置に止まって送風する。
【0027】
しかしながら、既存の空気調節機器は、主に空気調節機器の真正面に風量を出力するため、部屋全体の温度分布が不均一になり、部屋の両側と中間との温度差が大きくなり、ユーザの快適感に影響を及ぼす。
【0028】
上記問題について、本開示では空気調節機器の制御方法を提供し、それにより、環境温度分布に基づいて、風向板の揺動一時停止時間を調整して、各送風位置での送風量を自動的に調整することにより、室内環境の温度分布を均一にする目的を達成し、ユーザの快適性を向上させる。
【0029】
図1は、本開示の実施例にて提供される空気調節機器の制御方法の流れの模式図である。
【0030】
図1に示すように、当該空気調節機器の制御方法は、ステップ101~ステップ103を含む。
【0031】
ステップ101で、空気調節機器が現在位置している環境の温度分布データを取得する。温度分布データは空気調節機器の送風範囲内にあるN個の送風領域での環境温度を示すために用いられ、Nは1より大きい奇数である。
【0032】
ただし、第1の送風領域~第((N+1)/2)-1の送風領域はそれぞれ第(N+1)/2の送風領域の一方側に位置し、対応して第((N+1)/2)+1の送風領域~第Nの送風領域はそれぞれ第(N+1)/2の送風領域の他方側に位置する。
【0033】
なお、ここで、送風領域の数Nは、空気調節機器の出荷前に技術者によって予め設定されても、ユーザが自分のニーズに応じて自ら設定してもよいため、本開示ではこれに対して限定しないことに留意されたい。
【0034】
本開示の実施例において、空気調節機器はエアコン、扇風機、空気清浄機などの電気機器であり得る。
【0035】
可能な一実施形態として、空気調節機器は環境温度検出装置を含んでもよく、環境温度検出装置で空気調節機器が現在位置している環境の温度分布データを検出できる。当該環境温度検出装置は温度センサであってもよく、例えばアレイセンサ(m行*n列)であっても、他のタイプのセンサであってもよく、本開示ではこれに対して限定しない。
【0036】
本開示の実施例の可能な一実施形態において、アレイセンサを用いて、位置している環境の温度分布データを取得する場合、空気調節機器が現在位置している環境の温度分布データを取得する前記ステップは、M列のアレイセンサを用いて空気調節機器の各送風位置での環境温度を検出するステップと、各送風位置での環境温度に基づいて、空気調節機器が現在位置している環境の温度分布データを特定するステップと、を含み、ただし、MはNより大きい整数であり、アレイセンサは赤外線サーモパイルアレイセンサを含むが、これに限定されない。アレイセンサの列数を送風範囲内の送風領域の数より多く設定することにより、各送風領域の環境温度を取得することを確保できる。
【0037】
さらに、本開示の実施例の可能な一実施形態において、M列のアレイセンサを用いて空気調節機器の各送風位置での環境温度を検出するとき、予め設定された検出周期で、空気調節機器の各送風位置での環境温度を検出することができる。例えば、検出周期を15分、30分などに設定してもよい。検出周期を設定して、検出周期に応じて各送風位置での環境温度を定期的に検出することにより、アレイセンサが常時動作状態にあることを回避でき、消費電力を節約し、アレイセンサの耐用年数を延長することに役立つ。
【0038】
以下、空気調節機器は床置型エアコンで、アレイセンサ(24行*32列)で温度分布データを取得する場合を例として、取得した温度分布データのうち、各送風領域の環境温度の分布状況について詳細に説明する。
【0039】
図2は、本開示の実施例においてアレイセンサで取得した温度分布データの一部の例示的な図であり、
図2に示すように、アレイセンサにより空気調節機器が位置している環境における各位置の温度値を収集することができる。ただし、エアコンの風向板は左右方向に往復して風を送り、エアコンの運転モードは冷房モードである。
【0040】
一例示として、エアコンの送風範囲が左、中間及び右の3つの送風領域に分けられると仮定し、ここで、左右の送風領域を送風範囲内で左右両側の限界位置から30%の範囲であると定義し、中間送風領域を送風範囲内の中間部分の40%の範囲であると定義する。例えば、エアコンの送風範囲を1%~100%とし、このうち、左側限界位置を1%、右側限界位置を100%としたとき、左側送風領域は(1%~30%)であり、中間送風領域は(31%~70%)であり、右側送風領域は(71%~100%)である。その場合、
図2に示す温度分布データは、エアコンの送風範囲内の左側送風領域及び一部の中間送風領域の環境温度を示す。ただし、第1~10列は左側送風領域の環境温度を表し、第11~22列(ただし一部は図示なし)は中間送風領域の環境温度を表し、第23~32列(
図2に図示なし)は右側送風領域の環境温度を表す。
【0041】
一例示として、エアコンの送風範囲が5つの送風領域に分けられ、エアコンの送風範囲を1%~100%とし、ここで、左側限界位置は1%であり、右側限界位置は100%であると仮定すると、各送風領域として、左1送風領域は(1%~15%)で、左2送風領域は(16%~30%)で、中間送風領域は(31%~70%)で、右1送風領域は(71%~85%)で、右2送風領域は(86%~100%)に分けることができる。その場合、
図2に示す温度分布データは、エアコンの送風範囲内の5つの送風領域の環境温度を示し、ただし、第1~5列は左1送風領域の環境温度を表し、第6~10列は左2送風領域の環境温度を表し、第11~22列(ただし一部は図示なし)は中間送風領域の環境温度を表し、第23~27列(
図2に図示なし)は右1送風領域の環境温度を表し、第28~32列(
図2に図示なし)は右2送風領域の環境温度を表す。
【0042】
ステップ102で、温度分布データに基づいて、第(N+1)/2の送風領域以外の各送風領域それぞれと、第(N+1)/2の送風領域との各温度差の絶対値を特定する。
【0043】
本実施例において、空気調節機器が現在位置している温度分布データを取得した後、温度分布データに示された送風範囲内の各送風領域の環境温度に基づいて、第(N+1)/2の送風領域以外の各送風領域それぞれと、第(N+1)/2の送風領域との各温度差の絶対値を特定する。
【0044】
例えば、Nが3であり、空気調節機器の送風方向は左右である場合、1つの左側送風領域及び1つの右側送風領域のそれぞれと中間領域との温度差の絶対値を特定する。また、例えば、Nが5であり、空気調節機器の送風方向は左右である場合、2つの左側送風領域及び2つの右側送風領域のそれぞれと中間領域との温度差の絶対値を特定する。
【0045】
一例示として、各送風領域の環境温度に基づいて、各送風領域に対応する各平均値を算出し、第(N+1)/2の送風領域以外の各送風領域の平均値と第(N+1)/2の送風領域の平均値との差の絶対値を算出することができる。
【0046】
一例示として、各送風領域の環境温度に基づいて、各送風領域に対応する各中央値を特定し、第(N+1)/2の送風領域以外の各送風領域の中央値と第(N+1)/2の送風領域の中央値との差の絶対値を算出することができる。
【0047】
依然として上記の
図2に示す温度分布データを例とすると、当該温度分布データは送風範囲内の左、中間及び右の3つの送風領域の環境温度を示す。
図2において、第1~10列は左側送風領域の環境温度を表し、第11~22列(ただし一部は図示なし)は中間送風領域の環境温度を表し、第23~32列(
図2に図示なし)は右側送風領域の環境温度を表すと仮定する。
図2に示す温度分布データに基づいて、左側送風領域の平均温度値は24.9°で、中間送風領域の平均温度値は24.5°で、右側送風領域の平均温度値は26.1°であることが得られる。この場合、左側送風領域と中間送風領域との温度差の絶対値は0.4°で、右側送風領域と中間送風領域との温度差の絶対値は1.6°であることが特定できる。
【0048】
ステップ103で、各温度差の絶対値に基づいて、N個の送風領域それぞれでの空気調節機器の風向板の揺動一時停止時間を調整する。
【0049】
本実施例において、各送風領域と第(N+1)/2の送風領域との各温度差の絶対値を特定した後、各絶対値に基づいて、各送風領域それぞれでの空気調節機器内の風向板の揺動一時停止時間を調整して、各送風領域の送風量を調整する。
【0050】
可能な一実施形態として、各送風領域それぞれでの風向板の揺動一時停止時間を決定するとき、第jの送風領域の、第(N+1)/2の送風領域との相対位置及び温度差の絶対値に基づいて、第jの送風領域での風向板の揺動一時停止時間を決定することができる。
【0051】
具体的には、第jの送風領域と第(N+1)/2の送風領域との温度差の絶対値が大きいほど、第jの送風領域での風向板の揺動一時停止時間が長く決定される。2つの送風領域と第(N+1)/2の送風領域との温度差の絶対値が同じである場合は、さらにこの2つの送風領域の第(N+1)/2の送風領域との相対位置に基づいて、この2つの送風領域に対応する風向板の揺動一時停止時間を決定してもよい。温度差の絶対値が同じである場合、第(N+1)/2の送風領域からの距離が遠いほど、風向板の揺動一時停止時間が長くなる。
【0052】
例を挙げると、空気調節機器の送風方向が左右に往復で送風し、送風範囲が5つの送風領域に分けられ、左から右の順に左1送風領域、左2送風領域、中間送風領域、右1送風領
域及び右2送風領域であると仮定する。ここで、左1送風領域及び左2送風領域と、中間送風領域との温度差の絶対値は同じで、いずれも1.3°であり、右1送風領域と中間送風領域との温度差の絶対値は1.3°で、右2送風領域と中間送風領域との温度差の絶対値は1.7°である。この場合、風向板の、中間送風領域での揺動一時停止時間が5sであり、右1送風領域での揺動一時停止時間は7sであり、右2送風領域での揺動一時停止時間は10sであると決定でき、左1送風領域は、左2送風領域に対して、中間送風領域からの距離が遠いため、風向板は、左送風領域での揺動一時停止時間が7sであり、左1送風領域での揺動一時停止時間は10sであると決定できる。
【0053】
可能な一実施形態として、各送風領域それぞれでの風向板の揺動一時停止時間を決定するとき、予め設定された温度差範囲と揺動一時停止時間とのマッピング関係に基づいて、各温度差の絶対値に対応する揺動一時停止時間を決定することができる。
【0054】
一例示として、予め設定された温度差範囲と揺動一時停止時間とのマッピング関係は、表1に示すとおりである。表1において、jは(N+1)/2と等しくない。
【0055】
【0056】
表1から分かるように、第jの送風領域と第(N+1)/2の送風領域との温度差の絶対値が大きいほど、第jの送風領域に対応する風向板の揺動一時停止時間は長くなる。
【0057】
本例示において、第(N+1)/2の送風領域以外の各送風領域のそれぞれと、第(N+1)/2の送風領域との各温度差の絶対値を特定した後、各絶対値に基づいて、表1を照会することにより、各送風領域それぞれでの風向板の揺動一時停止時間を決定することができる。
【0058】
例を挙げると、依然として
図2に示す温度分布データを例として、N=3であり、3つの送風領域はそれぞれ左側送風領域、中間送風領域及び右側送風領域であり、左側送風領域と中間送風領域との温度差の絶対値は0.4°で、右側送風領域と中間送風領域との温度差の絶対値は1.6°であると仮定する。表1を照会することにより、左側送風領域での及び中間送風領域での風向板の揺動一時停止時間はいずれも5sであり、右側送風領域での揺動一時停止時間は15sであると決定できる。
【0059】
可能な一実施形態として、各送風領域それぞれでの風向板の揺動一時停止時間を決定するとき、予め設定された温度差範囲と、第(N+1)/2の送風領域での風向板の現在の揺動一時停止時間に対する比率とのマッピング関係に基づいて、先に各送風領域それぞれに対応する比率を決定し、続いて比率及び第(N+1)/2の送風領域での現在の揺動一時停止時間に基づいて、各送風領域それぞれでの風向板の揺動一時停止時間を決定する。
【0060】
一例示として、予め設定された温度差範囲と、第(N+1)/2の送風領域での風向板の現在の揺動一時停止時間に対する比率とのマッピング関係は、表2に示すとおりである。
【0061】
【0062】
表2から分かるように、第jの送風領域と第(N+1)/2の送風領域との温度差の絶対値が大きいほど、第jの送風領域での風向板の揺動一時停止時間と、第(N+1)/2の送風領域での風向板の現在の揺動一時停止時間との比率が大きくなる。
【0063】
例を挙げると、第(N+1)/2の送風領域での風向板の現在の揺動一時停止時間が5sで、第jの送風領域と第(N+1)/2の送風領域との温度差の絶対値は1.3°であると仮定すると、表2を照会することにより、第jの送風領域での風向板の揺動一時停止時間が2*5s=10sであると決定できる。
【0064】
さらに、風向板の各送風領域での揺動一時停止時間を決定した後、風向板がある送風領域まで揺動したとき、当該送風領域で対応する揺動一時停止時間一時停止するよう風向板を制御して、当該送風領域の送風量を増加させる目的を達成する。
【0065】
実験の結果、
図2に示すような温度分布データに対して、本開示の実施例にて提供される空気調節機器の制御方法を用いて、空気調節機器の風向板の各送風領域での揺動一時停止時間を調整した後、予め設定された時間(例えば30分)を経てから、空気調節機器が現在位置している環境の温度分布データを再度取得したところ、
図3に示す温度分布データの一部の画像が得られた。
図3から分かるように、風向板の各送風領域での揺動一時停止時間を調整した後、室内環境の温度は均一な状態に近づいた。
【0066】
本実施例の空気調節機器の制御方法は、空気調節機器が現在位置している環境の温度分布データを取得し、温度分布データに基づいて、中間送風領域以外の各送風領域それぞれと、中間送風領域との各温度差の絶対値を特定し、さらに各温度差の絶対値に基づいて、空気調節機器の風向板の各送風領域での揺動一時停止時間を調整する。これにより、室内環
境温度差に基づいて、風向板の揺動一時停止時間を調整することで、異なる領域の送風量を自動的に調節する目的を達成し、室内環境の温度が均一であることを確保し、室内環境の快適性を向上させ、ユーザ体験を改善した。
【0067】
前記実施例における、温度分布データに基づいて、第(N+1)/2の送風領域以外の各送風領域それぞれと、第(N+1)/2の送風領域との温度差の絶対値を特定する具体的な実施プロセスをより明確に説明するために、本開示の実施例では、別の空気調節機器の制御方法をさらに提供する。
図4は、本開示の実施例にて提供される別の空気調節機器の制御方法の流れの模式図である。
【0068】
図4に示すように、
図1に示す実施例に加え、ステップ101はさらに、温度分布データに基づいて、N個の送風領域それぞれに対応する平均温度を特定するステップ201と、N個の送風領域それぞれに対応する平均温度に基づいて、第(N+1)/2の送風領域以外の各送風領域それぞれと、第(N+1)/2の送風領域との温度差の絶対値を特定するステップ202と、を含む。
【0069】
本実施例において、空気調節機器が現在位置している環境の温度分布データを取得した後、温度分布データに基づいて、N個の送風領域の分布に対応する平均温度を特定できる。
【0070】
依然として上記
図2に示す温度分布データを例とすると、当該温度分布データは送風範囲内の左、中間及び右の3つの送風領域の環境温度を示す。
図2において、第1~10列は左側送風領域の環境温度を表し、第11~22列は中間送風領域の環境温度を表し、第23~32列は右側送風領域の環境温度を表すと仮定する。
図2に示す温度分布データに基づいて、算出により、左側送風領域の平均温度値は24.9°で、中間送風領域の平均温度値は24.5°で、右側送風領域の平均温度値は26.1°であると特定できる。
【0071】
さらに、本実施例において、N個の送風領域それぞれに対応する平均温度に基づいて、第(N+1)/2の送風領域以外の各送風領域それぞれと、第(N+1)/2の送風領域との温度差の絶対値を特定する。
【0072】
依然として例として上記の例を挙げると、左、中間及び右の3つの送風領域の平均温度に基づいて、左側送風領域と中間送風領域との温度差の絶対値は0.4°で、右側送風領域と中間送風領域との温度差の絶対値は1.6°であると特定できる。
【0073】
本実施例の空気調節機器の制御方法は、N個の送風領域それぞれに対応する平均温度を特定し、さらにN個の平均温度に基づいて、第(N+1)/2の送風領域以外の各送風領域それぞれと、第(N+1)/2の送風領域との温度差の絶対値を特定することにより、得られた絶対値の相対的な正確性を保証することができ、温度差の絶対値に基づく各送風領域の送風量の調整に条件を提供する。
【0074】
本開示は、上記実施例を実現するために、空気調節機器の制御装置をさらに提供する。
【0075】
図5は、本開示の実施例にて提供される空気調節機器の制御装置の構造模式図である。
【0076】
図5に示すように、当該空気調節機器の制御装置40は、取得モジュール410、算出モジュール420、及び調整モジュール430を含む。
【0077】
取得モジュール410は、空気調節機器が現在位置している環境の温度分布データを取得するために用いられる。ただし、温度分布データは、空気調節機器の送風範囲内にあるN個の送風領域での環境温度を示すために用いられ、Nは1より大きい奇数である。ただし
、第1の送風領域~第((N+1)/2)-1の送風領域はそれぞれ第(N+1)/2の送風領域の一方側に位置し、対応して第((N+1)/2)+1の送風領域~第Nの送風領域はそれぞれ第(N+1)/2の送風領域の他方側に位置する。
【0078】
さらに、本開示の実施例の可能な一実施形態において、取得モジュール410は、具体的には、M列のアレイセンサを用いて空気調節機器の各送風位置での環境温度を検出し、各送風位置での環境温度に基づいて、空気調節機器が現在位置している環境の温度分布データを特定するために用いられる。ただし、MはNより大きい整数であり、アレイセンサは赤外線サーモパイルアレイセンサを含む。
【0079】
本開示の実施例の可能な一実施形態において、取得モジュール410は、具体的には、予め設定された検出周期で、空気調節機器の各送風位置での環境温度を検出するために用いられる。これにより、検出周期を設定し、検出周期に応じて各送風位置での環境温度を定期的に検出することにより、アレイセンサが常時動作状態にあることを回避でき、消費電力を節約し、アレイセンサの耐用年数を延長することに役立つ。
【0080】
算出モジュール420は、温度分布データに基づいて、第(N+1)/2の送風領域以外の各送風領域それぞれと、第(N+1)/2の送風領域との各温度差の絶対値を特定するために用いられる。
【0081】
調整モジュール430は、各温度差の絶対値に基づいて、N個の送風領域それぞれでの空気調節機器の風向板の揺動一時停止時間を調整するために用いられる。
【0082】
本開示の実施例の可能な一実施形態において、調整モジュール430は、具体的には、第jの送風領域と第(N+1)/2の送風領域との相対位置及び温度差の絶対値に基づいて、第jの送風領域での風向板の揺動一時停止時間を決定するために用いられる。
【0083】
本開示の実施例の可能な一実施形態において、調整モジュール430は、具体的には、予め設定された温度差範囲と揺動一時停止時間とのマッピング関係に基づいて、各温度差の絶対値に対応する揺動一時停止時間を決定するために用いられる。
【0084】
さらに、本開示の実施例の可能な一実施形態において、
図6に示すように、
図5に示す実施例に加えて、算出モジュール420はさらに、算出ユニット421と第1決定ユニット422を含む。算出ユニット421は、温度分布データに基づいて、N個の送風領域それぞれに対応する平均温度を特定する。
【0085】
第1決定ユニット422は、N個の送風領域それぞれに対応する平均温度に基づいて、第(N+1)/2の送風領域以外の各送風領域それぞれと、第(N+1)/2の送風領域との温度差の絶対値を特定するために用いられる。
【0086】
N個の送風領域それぞれに対応する平均温度を特定し、さらにN個の平均温度に基づいて、第(N+1)/2の送風領域以外の各送風領域それぞれと、第(N+1)/2の送風領域との温度差の絶対値を特定することにより、得られた絶対値の相対的な正確性を保証し、温度差の絶対値に基づいて各送風領域の送風量の調整のための条件を提供することができる。
【0087】
なお、前述の空気調節機器の制御方法の実施例に対する詳細な説明は当該実施例の空気調節機器の制御装置にも適用でき、その実現原理は類似しているため、ここでは重複する説明を省略する。
【0088】
本開示の実施例の空気調節機器の制御装置は、空気調節機器が現在位置している環境の温度分布データを取得し、温度分布データに基づいて、中間送風領域以外の各送風領域それぞれと、中間送風領域との各温度差の絶対値を特定し、さらに各温度差の絶対値に基づいて、空気調節機器の風向板の各送風領域での揺動一時停止時間を調整する。これにより、室内環境温度差に基づいて、風向板の揺動一時停止時間を調整することで、異なる領域の送風量を自動的に調節する目的を達成し、室内環境の温度が均一であることを確保し、室内環境の快適性を向上させ、ユーザ体験を改善した。
【0089】
上記実施例を実現するために、本開示は、空気調節機器をさらに提供する。
【0090】
図7は、本開示の実施例にて提供される空気調節機器の構造模式図である。
図7に示すように、当該空気調節機器50は、メモリ510と、プロセッサ520と、メモリ510に記憶され、プロセッサ520上で実行できるコンピュータプログラム530とを含み、プロセッサ520がコンピュータプログラム530を実行すると、本開示の前述の実施例に記載の空気調節機器の制御方法が実施される。
【0091】
上記実施例を実現するために、本開示は、コンピュータプログラムが記憶されているコンピュータ読み取り可能な記憶媒体をさらに提供し、当該プログラムがプロセッサによって実行される場合、本開示の前述の実施例に記載の空気調節機器の制御方法が実施される。
【0092】
本明細書の説明において、「一実施例」、「一部の実施例」、「例示」、「具体的な例示」、又は「一部の例示」などの用語を用いた説明は、当該実施例又は例示の記述を参照した具体的な特徴、構造、材料又は特性が、本開示の少なくとも1つの実施例又は例示に含まれていることを意図するものである。本明細書において、上記用語に関する例示的な記述は、必ずしも同一の実施例又は例示を示すものとは限らない。また、いずれかの1つ又は複数の実施例又は例示において、説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性を適切な方法で結合することができる。また、互いに矛盾しない場合、当業者は、本明細書に説明した異なる実施例又は例示、及び異なる実施例又は例示の特徴を結合するか組み合わせることができる。
【0093】
また、用語「第1」、「第2」は、目的の説明のためにしか使用されず、相対的な重要性を明示または示唆するか、または、示された技術的特徴の数を暗示するものとして理解されるべきではない。したがって、「第1」及び「第2」により限定される特徴は、少なくとも1つの前記特徴を明示または暗黙的に含む。本開示の説明において、「複数」は、特に明確に限定しない限り、少なくとも2つ、例えば2つ、3つであることを意味する。
【0094】
フローチャート又は本明細書に他の方法で説明した如何なる流れ又は方法の説明は、1つ又は複数の、ロジック機能又は流れのステップをカスタマイズ化する実行可能な命令を実現するためのコードのモジュール、セグメント又は一部を含むことを表すと理解され得る。且つ、本開示の好ましい実施形態の範囲は、示した順序又は検討した順序にしたがわなく、関連する機能に応じて基本的に同時又は逆の順序にしたがって機能を実行できる別の実現方法を含み、これは本開示の実施例が属する技術分野の技術者によって理解されるべきである。
【0095】
フローチャートに示されたか又は本明細書に他の方法で説明された、例えば、ロジック機能を実現するための実行可能な命令の順序付けリストと見なすことができるロジック及び/又はステップは、いずれのコンピュータ読み取り可能な媒体にて実現されることができ、それにより命令実行システム、装置又は機器(例えば、コンピュータに基づくシステム、プロセッサを含むシステム、又は命令実行システム、装置又は機器から命令を取得して命令を実行するシステム)に使用されるか、又はこれらの命令実行システム、装置又は機
器と結合して使用される。本明細書にとって、「コンピュータ読み取り可能な媒体」は、命令実行システム、装置又は機器が使用するか、又は、これらの命令実行システム、装置又は機器と結合して使用するように、プログラムを包括、記憶、通信、伝播、或いは送信することができるいずれの装置であり得る。コンピュータ読み取り可能な媒体のより具体的な例示(非網羅的なリスト)は、1つまたは複数の配線を有する電気的接続部(電子装置)、ポータブルコンピュータディスクケース(磁気装置)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、消去可能なプログラマブル読み出し専用メモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、光ファイバ装置、及びポータブル光ディスク読み取り専用メモリ(CDROM)を含む。また、コンピュータ読み取り可能な媒体は、さらには、その上に前記プログラムの印刷が可能な紙又は他の適切な媒体であってもよく、例えば、紙又は他の媒体に対して光学走査してから、編集、解釈、或いは必要があるとき他の適切な方法で処理して、電子方式で前記プログラムを取得し、その後、それをコンピュータメモリに記憶することができるからである。
【0096】
本開示の各部分は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの組み合わせによって実現できることを理解されたい。上記の実施形態において、複数のステップ又は方法は、メモリに記憶されて、適切な命令実行システムによって実行されるソフトウェア或いはファームウェアで実現され得る。例えば、ハードウェアで別の実施形態を実現する場合にも同様に、当分野の公知の以下の技術からいずれか1つ又はそれらの組合せで、データ信号に対してロジック機能を実現するためのロジックゲート回路を有するディスクリート回路ロジック回路、適切な組み合わせロジックゲート回路を有する専用集積回路、プログラマブルゲートアレイ(PGA)、フィールド・プログラマブルゲートアレイ(FPGA)などを実現することができる。
【0097】
当業者は、上記の実施例の方法のステップの全部又は一部を、プログラムにより関連するハードウェアを命令して完了することができ、前記プログラムをコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶してもよく、当該プログラムが実行される場合、方法の実施例のステップのうち1つ又はその組み合わせを含むことを理解できるだろう。
【0098】
また、本開示の各実施例の各機能ユニットは、1つの処理モジュールに集積されたものであっても、各ユニットが物理的に単独で存在するものであっても、2つ以上のユニットが1つのモジュールに集積されたものであってもよい。上記の集積されたモジュールは、ハードウェア形態で実現されても、ソフトウェア機能モジュールの形態で実現されてもよい。前記集積されたモジュールは、ソフトウェア機能モジュールの形態で実現されて独立の製品として販売、使用される場合、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶されてもよい。
【0099】
上記に言及した記憶媒体は、読み取り専用メモリ、磁気ディスクまたは光ディスクなどであり得る。本開示の実施例を上に示し、説明したが、上記の実施例は例示的なものであり、本開示を制限するものと理解してはならず、当業者は本開示の範囲内で上記の実施例に対して変更、修正、置換及び変形を行えることは理解できる。