(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-05
(45)【発行日】2022-01-20
(54)【発明の名称】バブル水生成装置およびバブル水生成方法
(51)【国際特許分類】
B01F 25/21 20220101AFI20220113BHJP
B01F 23/20 20220101ALI20220113BHJP
C01B 13/10 20060101ALI20220113BHJP
【FI】
B01F5/02 A
B01F3/04 Z
C01B13/10 D
(21)【出願番号】P 2020145835
(22)【出願日】2020-08-31
【審査請求日】2020-08-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000114891
【氏名又は名称】ヤマト科学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】山口 義二
(72)【発明者】
【氏名】百瀬 八州
【審査官】塩谷 領大
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-042338(JP,A)
【文献】特開2016-104474(JP,A)
【文献】特開2018-199122(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 5/02
B01F 3/04
C01B 13/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管路を介して互いに接続された、液体を一時的に貯留する複数のタンクと、
少なくとも、前記配管路を介して繋がる一方のタンクと他方のタンクとの間に所定の圧力差を設定する圧力設定部と、
を備え、
前記圧力設定部により、
前記他方のタンク内の圧力が真空状態とされ、前記一方のタンク内の圧力が常圧状態とされると共に、前記配管路を介して、前記一方のタンクから前記他方のタンクへの前記液体の移動を繰り返すことによって、所定数の
ウルトラファインバブルを含むバブル水を生成することを特徴とするバブル水生成装置。
【請求項2】
配管路を介して互いに接続された、液体を一時的に貯留する複数のタンクと、
少なくとも、前記配管路を介して繋がる一方のタンクと他方のタンクとの間に所定の圧力差を設定する圧力設定部と、
を備え、
前記圧力設定部によって、前記一方のタンク内の圧力と前記他方のタンク内の圧力とを交互に切り換えながら、前記配管路を介して、前記一方のタンクと前記他方のタンクとの間で前記液体の移動を繰り返すことにより、所定数の
ウルトラファインバブルを含むバブル水を生成することを特徴とするバブル水生成装置。
【請求項3】
配管路を介して互いに接続された、液体を一時的に貯留する複数のタンクと、
少なくとも、前記配管路を介して繋がる一方のタンクと他方のタンクとの間に所定の圧力差を設定する圧力設定部と、
を備え、
前記圧力設定部によって、前記一方のタンク内の圧力と前記他方のタンク内の圧力とを交互に切り換えながら、前記一方のタンクから前記他方のタンクへの前記液体の移動と前記他方のタンクから前記一方のタンクへの前記液体の移動とを、異なる配管路を介して、繰り返し行うことにより、所定数の
ウルトラファインバブルを含むバブル水を生成することを特徴とするバブル水生成装置。
【請求項4】
前記圧力設定部により、前記他方のタンク内の圧力が真空状態とされ、前記一方のタンク内の圧力が常圧状態とされることを特徴とする
請求項2または3に記載のバブル水生成装置。
【請求項5】
前記一方のタンクおよび前記他方のタンクには、所望のガスをそれぞれ供給するガス供給装置が共通に接続されていることを特徴とする
請求項1から3のいずれか1項に記載のバブル水生成装置。
【請求項6】
前記ガス供給装置は、所望のガスとしてオゾンガスを供給することを特徴とする請求項5に記載のバブル水生成装置。
【請求項7】
前記
請求項1から6のいずれかに記載のバブル水生成装置によって、
ウルトラファインバブルを含むバブル水を生成することを特徴とするバブル水生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノバブルとも称されるウルトラファインバブル(UFB)を含有するUFB水を生成するバブル水生成装置およびバブル水生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、気泡の粒径が極めて小さな微細気泡を含有するバブル水を生成する装置として、微細気泡発生システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この微細気泡発生システムは、液体を吸引する液体吸引部と液体を吐出する液体吐出部とを有するポンプを備えている。そして、ポンプの液体吸引部側には、循環用配管を介して気泡混入部が取り付けられ、液体吐出部側には、循環用配管を介して気泡分裂部が取り付けられている。
【0004】
上記の微細気泡発生システムによれば、小さな出力のポンプであっても、気泡の粒径が極めて小さな微細気泡を発生させることが可能であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記した微細気泡発生システムの場合、せん断力を得るために、ポンプを液体の循環ライン内に配置する必要があった。このため、液体の循環中は陽極と陰極の環境(発生と破壊)が発生しやすく、微細気泡の発生数が飽和してしまうという課題があった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、陰圧環境下でのみせん断力を連続して得ることができ、バブル発生数が飽和するのを抑えて、より多くのバブルを発生させることができるバブル水生成装置およびバブル水生成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を達成するため、本発明の一態様のバブル水生成装置は、配管路を介して互いに接続された、液体を一時的に貯留する複数のタンクと、少なくとも、前記配管路を介して繋がる一方のタンクと他方のタンクとの間に所定の圧力差を設定する圧力設定部と、を備え、前記圧力設定部により、前記他方のタンク内の圧力が真空状態とされ、前記一方のタンク内の圧力が常圧状態とされると共に、前記配管路を介して、前記一方のタンクから前記他方のタンクへの前記液体の移動を繰り返すことによって、所定数のウルトラファインバブルを含むバブル水を生成することを特徴とする。
本発明の他の態様のバブル水生成装置は、配管路を介して互いに接続された、液体を一時的に貯留する複数のタンクと、少なくとも、前記配管路を介して繋がる一方のタンクと他方のタンクとの間に所定の圧力差を設定する圧力設定部と、を備え、前記圧力設定部によって、前記一方のタンク内の圧力と前記他方のタンク内の圧力とを交互に切り換えながら、前記配管路を介して、前記一方のタンクと前記他方のタンクとの間で前記液体の移動を繰り返すことにより、所定数のウルトラファインバブルを含むバブル水を生成することを特徴とする。
本発明の他の態様のバブル水生成装置は、配管路を介して互いに接続された、液体を一時的に貯留する複数のタンクと、少なくとも、前記配管路を介して繋がる一方のタンクと他方のタンクとの間に所定の圧力差を設定する圧力設定部と、を備え、前記圧力設定部によって、前記一方のタンク内の圧力と前記他方のタンク内の圧力とを交互に切り換えながら、前記一方のタンクから前記他方のタンクへの前記液体の移動と前記他方のタンクから前記一方のタンクへの前記液体の移動とを、異なる配管路を介して、繰り返し行うことにより、所定数のウルトラファインバブルを含むバブル水を生成することを特徴とする。
【0009】
本発明の他の態様のバブル水生成方法は、一態様のバブル水生成装置によって、ナノバブル水を生成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、陰圧環境下でのみせん断力を連続して得ることができ、バブル発生数が飽和するのを抑えて、より多くのバブルを発生させることが可能なバブル水生成装置およびバブル水生成方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係るバブル水生成装置が適用されるオゾンUFB(ウルトラファインバブル)水生成システムの構成例を示す概略図である。
【
図2】一実施形態に係るオゾンUFB水生成システムの制御回路を例示するブロック図である。
【
図3A】一実施形態に係るオゾンUFB水生成システムの動作例を示すフローチャート(その1)である。
【
図3B】一実施形態に係るオゾンUFB水生成システムの動作例を示すフローチャート(その2)である。
【
図3C】一実施形態に係るオゾンUFB水生成システムの動作例を示すフローチャート(その3)である。
【
図4】(a)~(d)は、一実施形態に係るオゾンUFB水生成システムの動作例を示す概略図である。
【
図5】本発明の他の実施形態に係るバブル水生成装置が適用されるオゾンUFB水生成システムの構成例を、一部を断面にして示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明に係る実施の形態について説明する。なお、本実施形態において、図面は、発明の概要を模式的に示すものであって、実際のものとは異なるものであることに留意すべきである。
【0013】
<一実施形態>
図1は、本発明の一実施形態に係るバブル水生成装置が適用されるオゾンUFB水生成システム1の概略構成を、一部を断面にして模式的に示すものである。
【0014】
本実施形態に係るオゾンUFB水生成システム1は、例えば、バブル(微細気泡)の粒径がナノレベルとされ、所望のガスとしてオゾンガスを供給するオゾンガス供給装置により、オゾンUFB水(オゾンナノバブル水)を生成するものとして説明する。
【0015】
図1に示すように、本実施形態のオゾンUFB水生成システム1は、真空ポンプ(圧力設定部)16と、該真空ポンプ16によって内部の圧力状態が制御される複数(一方または他方)のタンク10A,10Bと、を備えている。また、一方または他方のタンク10A,10B間に配設された専用のUFBノズル(配管路)20A,20Bと、一方または他方のタンク10A,10Bと真空ポンプ16との間に配設された減圧路30A,30Bと、を備えている。
【0016】
本実施形態においては、例えば、チャンバーである一方または他方のタンク10A,10B、真空ポンプ16、UFBノズル20A,20B、および、減圧路30A,30Bなどによって、減圧開放式のバブル水生成装置が構成されている。
【0017】
そして、一方または他方のタンク10A,10Bには、それぞれ、ガス供給装置としての、後述する共通のガスタンク18からオゾンガス(O3)が供給されるガス供給路40A,40Bが接続されている。
【0018】
なお、一方または他方のタンク10A,10Bには、圧力計14A,14Bや、ガス供給路40A,40Bにそれぞれ繋がる気液混合器12A,12Bなどが設けられている。気液混合器12A,12Bとしては、一方または他方のタンク10A,10B内にそれぞれ設けられる場合に限らず、例えば、UFBノズル20A,20B上にそれぞれ設けることも可能である(
図4、
図5参照)。
【0019】
真空ポンプ16は、一方または他方のタンク10A,10Bの内部圧力を減圧制御するものである。例えば、一方または他方のタンク10A,10Bのいずれか一方を減圧状態(-0.1mpa程度)に設定するとともに、一方または他方のタンク10A,10Bのいずれか他方を真空状態に設定するようになっている。
【0020】
なお、真空ポンプに限らず、例えば、一方または他方のタンク10A,10Bのいずれか一方を加圧状態に設定するとともに、一方または他方のタンク10A,10Bのいずれか他方を常圧状態に設定するものであっても良い。
【0021】
一方または他方のタンク10A,10Bは、例えば、所定の容量(100ml~2L程度)を有し、所定量(10cc~1000cc程度)の純水などの液体BWが一時的に貯留される。
【0022】
ここで、一方または他方のタンク10A,10Bは、真空ポンプ16の作用により、陰圧環境下でのみ、液体BWに対するせん断力を連続して得ることが可能とされている。即ち、タンク10A,10B間をUFBノズル20A,20Bを介して交互に液体BWが移動されることに伴って、逐次、100nm~200nm程度の粒径とされた多数のバブルを、その発生数を飽和させることなしに連続的に発生させることが可能とされている。したがって、本実施形態に係るオゾンUFB水生成システム1によれば、より多くのバブルを発生させることができ、より多くのオゾンUFBを含有するバブル水の生成が容易に可能となる。
【0023】
しかも、液体BWの移動がポンプを介さずに可能とされることにより、ポンプ内の塵などの異物が液体BWに混入したりするのを防止できる。また、ポンプの余熱による液体BWの温度上昇も防止できる。
【0024】
UFBノズル20A,20Bにおいて、例えば、タンク10A内の液体BWをタンク10Bに移動させるための専用ノズル部21Aには、開閉(オン/オフ)用の弁22Aが設けられている。同様に、例えば、タンク10B内の液体BWをタンク10Aに移動させるための専用ノズル部21Bには、開閉用の弁22Bが設けられている。
【0025】
なお、
図1においては、便宜上、UFBノズル20A,20Bを上下方向(垂直方向)に配置した構成として図示しているが、実際は、同一の高さレベル(水平方向)に配置することが望ましい。
【0026】
特に、UFBノズル20A,20Bを共通化し、1本のUFBノズルを介して、タンク10A,10B間における液体BWの移動を行うように構成することも可能である。
【0027】
また、切換え用の弁32を介して、真空ポンプ16に繋がる、減圧路30Aには開閉(オン/オフ)用の弁31Aが、減圧路30Bには開閉用の弁31Bが、それぞれ設けられている。
【0028】
さらに、流量計17および切換え用の弁42を介して、ガスタンク18に繋がる、ガス供給路40Aには開閉用(オン/オフ)の弁41Aが、ガス供給路40Bには開閉用の弁41Bが、それぞれ設けられている。
【0029】
図2は、オゾンUFB水生成システム1の制御回路を例示するブロック図である。
【0030】
即ち、本実施形態に係るオゾンUFB水生成システム1は、例えば
図2に示すように、制御部11、該制御部11に繋がる操作入力部13、圧力計14A,14B、真空ポンプ16、弁切替器15、記憶部19、および、ガス供給装置(図示省略)などを備える。
【0031】
操作入力部13は、例えば、操作者がバブル水生成時に操作するもので、液体BWの移動回数や、発生させるバブルの粒径、または、生成するバブル水のオゾン濃度などを設定したり、システムの稼働および停止などを指示(入力)したりするためのものである。
【0032】
記憶部19は、操作入力部13から入力された各種の設定値などを記憶するためのもので、液体BWの移動回数とバブルの含有量または粒径との関係などを予め記憶するようにしても良い。
【0033】
制御部11は、操作入力部13の指示に応じて、ガス供給装置や真空ポンプ16のスタート/ストップを制御したり、圧力計14A,14Bや流量計17の出力に基づいて、弁切替器15を制御したりするようになっている。
【0034】
弁切替器15は、制御部11の指示にしたがって、弁22A,22B、弁31A,31B、弁32、弁41A,41B、および、弁42の、オン(開)/オフ(閉)の切り替えや開度の調整などを行う。
【0035】
ガス供給装置は、ガスタンク18より濃度が1ppm~10ppm程度のオゾンガスを供給することが可能とされている。オゾンガスの供給時、一方または他方のタンク10A,10Bの内部圧力は、真空ポンプ16によって所定の減圧状態とされる。
【0036】
次に、本実施形態に係るオゾンUFB水生成システム1の動作について説明する。
【0037】
図3A~
図3Cは、オゾンUFB水生成システム1の動作例を示すフローチャートであり、
図4(a)~
図4(d)は、オゾンUFB水生成システム1の動作例を示す概略図である。なお、
図4(a)~
図4(d)においては、それぞれの気液混合器12A,12Bを、UFBノズル20A,20B上に設けるようにした場合について例示している。
【0038】
即ち、オゾンUFB水生成システム1によって、所定数のオゾンUFBを含有するバブル水を生成する場合、まずは、操作者により操作入力部13から液体BWの移動回数の設定(例えば、1~20回程度)などが行わる。そして、設定値が記憶部19へと格納などされた後、バブル水生成開始の指示が入力される(
図3AのステップS01)。
【0039】
すると、制御部11は、弁切替器15を制御して、UFBノズル20A,20Bの弁22A,22Bを共にオフにする(ステップS02)。
【0040】
この状態で、制御部11は、真空ポンプ16をスタートさせ(ステップS03)、さらに、弁切替器15を制御して、弁32および減圧路30Aの弁31Aをオンさせる(ステップS04)。
【0041】
これにより、例えば
図4(a)に示すように、液体BWが貯留されているタンク10A内の圧力が減圧状態とされる(ステップS05)。
【0042】
該タンク10A内が所定の減圧状態となったことが圧力計14Aの出力から判断されると、制御部11は、弁切替器15を制御して、弁32およびガス供給路30Aの弁31A(図示省略)をオフさせる。また、制御部11は、弁切替器15を制御して、弁42およびガス供給路40Aの弁41A(図示省略)をオンさせる(ステップS06)。その際、流量計17の出力が所定値となるように、弁42,41Aの開度が制御される。
【0043】
すると、タンク10Aにガスタンク18からのオゾンガスが供給されて、タンク10A内がオゾンガスにより満たされることによって、タンク10A内の圧力が常圧状態とされる(ステップS07)。
【0044】
次いで、制御部11は、弁切替器15を制御して、弁32および減圧路30Bの弁31B(図示省略)をオンさせる(
図3BのステップS08)。
【0045】
すると、液体BWが貯留されていないタンク10B内の圧力が徐々に減圧状態とされる(ステップS09)。
【0046】
そして、該タンク10B内が真空状態となったことが圧力計14Bの出力から判断されると(ステップS10のYES)、制御部11は、弁切替器15を制御して、一方のUFBノズル20Aの弁22Aをオンにする(ステップS11)。
【0047】
これにより、例えば
図4(b)に示すように、タンク10A内の液体BWが、気液混合器12Aなどを介して、タンク10Bへと移動される(ステップS12)。この移動により、液体BWに対して、陰圧環境下でのせん断力が付与される。
【0048】
こうして、全ての液体BWのタンク10Bへの移動が完了したことが確認されると(ステップS13のYES)、制御部11により、上記ステップS01において設定された移動回数をクリアしたか否かが判断される(ステップS14)。
【0049】
制御部11が設定された移動回数をクリアしていないと判断した場合(ステップS14のNO)、処理が
図3CのステップS15に移行され、クリアしていると判断した場合(ステップS14のYES)、処理は終了される。
【0050】
即ち、設定された移動回数に応じて液体BWがタンク10A,10B間を移動することにより、バブルの粒径が100nm~200nmレベルとされた所定数のオゾンUFBを含有するオゾンUFB水の生成が行われて、一連の処理が終了される。
【0051】
これに対し、設定された移動回数をクリアしていないと判断した場合、制御部11は、弁切替器15を制御して、弁22A,41A,31Bをオフさせるとともに、弁41B,31Aをオンさせる(ステップS15)。
【0052】
これにより、例えば
図4(c)に示すように、液体BWが貯留されているタンク10B内の圧力が常圧状態とされる。
【0053】
また、液体BWが貯留されていないタンク10A内の圧力が減圧状態とされる(ステップS16)。
【0054】
そして、該タンク10A内が真空状態となったことが圧力計14Aの出力から判断されると(ステップS17のYES)、制御部11は、弁切替器15を制御して、他方のUFBノズル20Bの弁22Bをオンにする(ステップS18)。
【0055】
これにより、例えば
図4(d)に示すように、タンク10B内の液体BWが、気液混合器12Bなどを介して、タンク10Aへと移動される(ステップS19)。この移動により、液体BWに対して、陰圧環境下でのせん断力が付与される。
【0056】
こうして、全ての液体BWのタンク10Aへの移動が完了したことが確認されると(ステップS20のYES)、制御部11により、上記ステップS01において設定された移動回数をクリアしたか否かが判断される(ステップS21)。
【0057】
制御部11が設定された移動回数をクリアしていると判断した場合(ステップS21のYES)、処理は終了される。
【0058】
クリアしていないと判断した場合には(ステップS21のNO)、処理が
図3CのステップS02に移行される。そして、設定された移動回数をクリアし、所定数のバブルを含有するオゾンUFBが得られるまで、該ステップS02以降の処理が繰り返される。
【0059】
このようにして、
図4(a)~
図4(d)に示すように、設定された回数に応じて液体BWがタンク10A,10B間の移動を繰り返すことによって、より多くのオゾンUFBを含有するオゾンUFB水の生成が容易に可能となる。
【0060】
上記したように、本実施形態によれば、陰圧環境下でのみせん断力を連続して得ることができ、バブル発生数が飽和するのを抑えて、より多くのバブルを発生させることが可能となる。
【0061】
即ち、タンク10A,10B内の圧力を交互に切り換えながら、タンク10A,10B間での液体BWの移動を繰り返すことによって、バブル発生数が飽和することなしに、より多くのバブルを発生させることが可能となる。これにより、最終的にオゾンUFB水が含有するオゾンUFBの量(数)を増加させることが可能となる。したがって、液体BWがタンク10A,10B間を移動するごとに、100nm~200nm程度の粒径を有するオゾンUFBを、より多く含有するオゾンUFB水を容易に生成することが可能となる。
【0062】
なお、本実施形態においては、便宜上、液体BWのタンク10Bからタンク10Aへの移動の際に、タンク10Bへのオゾンガスの供給を省略したが、実際は供給する構成とするのが望ましい。
【0063】
<他の実施形態>
以上、実施の形態を例示して本発明の一態様について説明したが、一例であり、特許請求の範囲に記載される発明の範囲は、発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更できるものである。
【0064】
例えば
図5に示すように、3つのタンク10A,10B,10Cを環状に配置し、各タンク10A,10B,10C内の圧力を弁32,33のオン/オフにより制御するとともに、ガスの供給を弁42,43のオン/オフにより制御する構成としても良い。
【0065】
即ち、本実施形態の場合においては、まず、一方のタンク10Aと他方のタンク10Bとの間に所定の圧力差を確保した状態において、タンク10A,10B間のUFBノズルを介して、一方のタンク10Aから他方のタンク10Bへと液体BWの移動を行う。次に、一方のタンク10Bと他方のタンク10Cとの間に所定の圧力差を確保した状態において、タンク10B,10C間のUFBノズルを介して、一方のタンク10Bから他方のタンク10Cへと液体BWの移動を行う。次いで、一方のタンク10Cと他方のタンク10Aとの間に所定の圧力差を確保した状態において、タンク10C,10A間のUFBノズルを介して、一方のタンク10Cから他方のタンク10Aへと液体BWの移動を行う。こうして、各タンク10A,10B,10C間において、液体BWの移動を繰り返すことによって、所定数のUFBを含むオゾンUFB水(オゾンナノバブル水)を生成することも可能である。
【0066】
なお、タンクは3つに限らず、多くのタンクを用いることによって、バブル水の生成に係るスループットをより向上させることが可能である。
【0067】
また、いずれの実施形態においても、ガスとしては、オゾンガスに限らず、例えば、水素、酸素、または、医療用ガスなど、バブル水の用途に応じて適宜適用可能である。
【符号の説明】
【0068】
1 オゾンUFB水生成システム
10A,10B,10C タンク
11 制御部
12A,12B,12C 気液混合器
14A,14B 圧力計
15 弁切替器
16 真空ポンプ
18 ガスタンク
20A,20B UFBノズル(配管路)
22A,22B.22C 弁
30A,30B 減圧路
40A,40B ガス供給路
BW 液体
【要約】
【課題】陰圧環境下でのみせん断力を連続して得ることができ、バブル発生数が飽和するのを抑えて、より多くのバブルを発生できるようにする。
【解決手段】オゾンUFB水生成システム1は、真空ポンプ16と、液体BWが貯留されるとともに、減圧状態から常圧状態に制御される一方のタンク10A(10B)と、真空ポンプ16によって真空状態に制御されるとともに、一方のタンク10A(10B)に貯留された液体BWが移動される他方のタンク10B(10A)と、を備え、一方のタンク10A(10B)と他方のタンク10B(10A)との間において液体BWの移動を繰り返すことにより、所定数のオゾンUFBを含むオゾンUFB水を生成する。
【選択図】
図1