(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-05
(45)【発行日】2022-01-20
(54)【発明の名称】可変型ピンを備えた熱成形機用表皮紙供給装置
(51)【国際特許分類】
B29C 51/26 20060101AFI20220113BHJP
B29C 51/16 20060101ALI20220113BHJP
【FI】
B29C51/26
B29C51/16
(21)【出願番号】P 2020545124
(86)(22)【出願日】2018-09-07
(86)【国際出願番号】 KR2018010453
(87)【国際公開番号】W WO2020040342
(87)【国際公開日】2020-02-27
【審査請求日】2020-08-26
(31)【優先権主張番号】10-2018-0096850
(32)【優先日】2018-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】516234029
【氏名又は名称】ゴンヤン アイティーティー シーオー.,エルティーディー.
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】キム テクヒョン
【審査官】▲高▼村 憲司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/047564(WO,A1)
【文献】特開2001-158041(JP,A)
【文献】特開平11-077818(JP,A)
【文献】特開平07-304092(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 51/00 - 51/46
B29C 63/00 - 63/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材に表皮紙を接着させるための熱成形機用表皮紙供給装置において、
前記表皮紙の縁部位に垂直に配置される複数の固定ピンを有し、外部から伝達された前記表皮紙を下方から支持して水平配置状態で固定させ、加熱による前記表皮紙の弛みまたはサイズ変化に対応してそれぞれの固定ピンが移動する位置可変型ピン固定ユニットと、
設定位置に配置され、前記位置可変型ピン固定ユニットに固定された前記表皮紙を加熱させる表皮紙加熱ユニットと、
前記位置可変型ピン固定ユニット及び前記表皮紙加熱ユニットの動作を制御するコントローラーとを含
み、
前記位置可変型ピン固定ユニットは、
多数のスティック関節がヒンジによって結合された構造を持ち、前記スティック関節がX字状に交差する部位にそれぞれの前記固定ピンを固定させるリンク部材と、
加熱による前記表皮紙の弛みまたはサイズ変化に対応する前記リンク部材のリンク運動を誘導してそれぞれの前記固定ピン間の離隔距離を増大させるリンク部材用アクチュエータとを含み、
前記コントローラーは、
前記表皮紙の弛み量またはサイズ変化量に対応する前記リンク部材用アクチュエータの動作制御信号を生成して前記リンク部材用アクチュエータの動作を制御することを特徴とする、可変型ピンを備えた熱成形機用表皮紙供給装置。
【請求項2】
前記位置可変型ピン固定ユニットは、
前記表皮紙の幅方向の左右側の縁部位に設定個数の固定ピンが線形に配置された構造の2列の左右方固定ピンラインを含むことを特徴とする、請求項1に記載の可変型ピンを備えた熱成形機用表皮紙供給装置。
【請求項3】
前記位置可変型ピン固定ユニットは、
前記表皮紙の長さ方向の前後側の縁部位に設定個数の固定ピンが線形に配置された構造の2列の前後方固定ピンラインを含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の可変型ピンを備えた熱成形機用表皮紙供給装置。
【請求項4】
前記位置可変型ピン固定ユニットは、前記表皮紙の現在弛み量を検出する弛み量検出センサーをさらに含み、
前記コントローラーは、
前記弛み量検出センサーから表皮紙の現在弛み量の入力を受けて一時保存する第1メモリユニットと、
前記リンク部材用アクチュエータの動作制御信号の伝達を受けて保存する第2メモリユニットと、
前記第1メモリユニットに一時保存された表皮紙の現在弛み量と前記第2メモリユニットに保存された動作制御信号の伝達を受け、同一時点の表皮紙の現在弛み量と動作制御信号とを互いに連動させて時系列的に累積させた表皮紙の現在弛み量-動作制御信号の履歴情報を生成してビッグデータとしてデータベース化するビッグデータ保存ユニットと、
前記ビッグデータ保存ユニットに保存された表皮紙の現在弛み量-動作制御信号の履歴情報のビッグデータを分析して、表皮紙の現在弛み量に対応する前記リンク部材用アクチュエータの最適動作制御信号を算出するビッグデータ分析ユニットと、
前記ビッグデータ分析ユニットから最適動作制御信号の伝達を受け、前記リンク部材用アクチュエータの動作制御信号を生成して前記リンク部材用アクチュエータへ伝達するアクチュエータ制御ユニットとを含んでなることを特徴とする、
請求項1に記載の可変型ピンを備えた熱成形機用表皮紙供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可変型ピンを備えた熱成形機用表皮紙供給装置に関し、より具体的には、ドアトリム、IP(インストルメントパネル)、ダッシュボード、ヘッドライナーなどの各種基材に接着される表皮紙が加熱される工程で表皮紙の縁部位の下部を支持する固定ピンの位置を可変型に実現した、可変型ピンを備えた熱成形機用表皮紙供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
熱成形機(Thermo forming machine)は、自動車の内装材を製造するために使われる装置であり、自動車のドアトリム、インストルメントパネル、ダッシュボード、ヘッドライナー、カーペット、ラゲッジボードなどに使われる。特に、自動車のドアトリム(Door trim)やインストルメントパネルの基材の表面に表皮紙を接合させることに使われる様々な技術が開発されてきた。
【0003】
一般に、自動車のドアトリムやインストルメントパネルは、成形装置で所定の形態に成形された硬質の基材を下金型の上に載せ、その上に加熱装置で加熱された表皮紙を載せた後、上金型を下降させて互いに圧着して成形する。そして、表皮紙のサイズは基材のサイズに応じて決定される。
【0004】
しかし、加熱装置によって表皮紙が加熱されて伸びると、表皮紙のサイズが大きくなるが、表皮紙を下方から支持する装置が固定されている場合には、加熱によって伸びた表皮紙を活用することができなくなり、基材のサイズを超える表皮紙はスクラップとして捨てられる。通常、表皮紙は、価格が高いので、捨てられる表皮紙が多くなると、その分、製造コストがアップする。また、表皮紙が伸びると、下方に弛んでしまうので、表皮紙全体を均一に加熱するのが難しく、成形時に表皮紙にシワが発生して不良品になる。
【0005】
したがって、従来においても、熱によって伸びた表皮紙をストレッチするために、表皮紙の周縁部に沿って設置されるクランプを可変させる装置が使われている。しかし、前記クランプを可変させる装置は、表皮紙の周縁部の一面を一束にクランプするので、緩んでいた表皮紙を両方向にストレッチすることができるが、両方向に対して直角方向へのストレッチ、すなわち、各クランプ間の間隔調整ができないため、伸びた表皮紙の全面を均一にストレッチすることは不可能であり、これにより表皮紙を節減する効果が低く、表皮紙全体の不均一なストレッチにより成形製品の品質高級化も難しい。
【0006】
このような熱成形機用表皮紙供給装置に関連して、本出願人によって、韓国特許第10-0837314号公報の「真空成形機用表皮紙供給装置」、同第10-1205878号公報の「移動クランプを備えた熱成形機用表皮紙供給装置」、同第10-1334869号公報の「可変クランプを備えた熱成形機用表皮紙供給装置」などが出願されている。
【0007】
ところが、このような熱成形機用表皮紙供給装置は、供給過程全体にわたって表皮紙がクランプに固定されて移動する構造であるので、表皮紙をクランプ及び搬送させる構成要素間の干渉が発生する可能性があって装置の駆動安定性と効率が低下するという問題点があり、これを防止するための装置構成が複雑になるという問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明は、かかる従来技術の問題点を改善するためになされたもので、その目的は、表皮紙を下方から支持して水平配置状態で固定させる固定ピンが、加熱による表皮紙の弛みまたはサイズ変化に対応して外方に移動するようにすることにより、表皮紙の全体部位が弛むことなく平らな状態を維持して均一に加熱されるとともに、表皮紙の全体部位が均一にストレッチされて成形製品の品質向上及び生地の節減が図られるうえ、表皮紙をクランプ及び搬送させる過程における構成要素間の干渉の発生が防止されて装置の駆動安定性及び効率が増大し、装置構成も単純化されて耐久性の向上と製造コストの低減が図られる、新規タイプの可変型ピンを備えた熱成形機用表皮紙供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明の特徴によれば、本発明は、基材に表皮紙を接着させるための熱成形機用表皮紙供給装置において、前記表皮紙の縁部位に垂直に配置される複数の固定ピンを有し、外部から伝達された前記表皮紙を下方から支持して水平配置状態で固定させ、加熱による前記表皮紙の弛みまたはサイズ変化に対応してそれぞれの固定ピンが移動する位置可変型ピン固定ユニットと、設定位置に配置され、前記位置可変型ピン固定ユニットに固定された前記表皮紙を加熱する表皮紙加熱ユニットと、前記位置可変型ピン固定ユニット及び前記表皮紙加熱ユニットの動作を制御するコントローラーとを含むことを特徴とする、可変型ピンを備えた熱成形機用表皮紙供給装置を提供する。
【0010】
このような本発明に係る可変型ピンを備えた熱成形機用表皮紙供給装置において、前記位置可変型ピン固定ユニットは、前記表皮紙の幅方向の左右側の縁部位に設定個数の固定ピンが線形に配置された構造の2列の左右方固定ピンラインを含んでもよく、前記表皮紙の長さ方向の前後側の縁部位に設定個数の固定ピンが線形に配置された構造の2列の前後方固定ピンラインを含んでもよく、前記左右方固定ピンラインと前後方固定ピンラインをすべて備えてもよい。
【0011】
このような本発明に係る可変型ピンを備えた熱成形機用表皮紙供給装置において、前記位置可変型ピン固定ユニットは、多数のスティック関節がヒンジによって結合された構造を持ち、前記スティック関節がX字状に交差する部位にそれぞれの前記固定ピンを固定させるリンク部材と、加熱による前記表皮紙の弛みまたはサイズ変化に対応する前記リンク部材のリンク運動を誘導してそれぞれの前記固定ピン間の離隔距離を増大させるリンク部材用アクチュエータとを含み、前記コントローラーは、前記表皮紙の弛み量またはサイズ変化量に対応する前記リンク部材用アクチュエータの動作制御信号を生成して前記リンク部材用アクチュエータの動作を制御することができる。
【0012】
このような本発明に係る可変型ピンを備えた熱成形機用表皮紙供給装置において、前記位置可変型ピン固定ユニットは、前記表皮紙の現在弛み量を検出する弛み量検出センサーをさらに含み、
前記コントローラーは、前記弛み量検出センサーから表皮紙の現在弛み量の入力を受けて一時保存する第1メモリユニットと、前記リンク部材用アクチュエータの動作制御信号の伝達を受けて保存する第2メモリユニットと、前記第1メモリユニットに一時保存された表皮紙の現在弛み量と前記第2メモリユニットに保存された動作制御信号の伝達を受け、同一時点の表皮紙の現在弛み量と動作制御信号とを互いに連動させて時系列的に累積させた表皮紙の現在弛み量-動作制御信号の履歴情報を生成してビッグデータとしてデータベース化するビッグデータ保存ユニットと、前記ビッグデータ保存ユニットに保存された表皮紙の現在弛み量-動作制御信号の履歴情報のビッグデータを分析して、表皮紙の現在弛み量に対応する前記リンク部材用アクチュエータの最適動作制御信号を算出するビッグデータ分析ユニットと、前記ビッグデータ分析ユニットから最適動作制御信号の伝達を受け、前記リンク部材用アクチュエータの動作制御信号を生成して前記リンク部材用アクチュエータへ伝達するアクチュエータ制御ユニットとを含んでなってもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明による可変型ピンを備えた熱成形機用表皮紙供給装置によれば、ドアトリムやインストルメントパネルなどの基材に接着される表皮紙が加熱される工程で表皮紙の縁部位の下部を支持する固定ピンが位置可変型に構成され、加熱による表皮紙の弛みまたはサイズ変化に対応して固定ピンも外方に移動する構造なので、表皮紙の全体部位が弛むことなく平らな状態を維持して均一に加熱されるとともに、表皮紙の全体部位が均一にストレッチされて成形製品の品質が向上し、生地が節減されるという効果がある。また、本発明は、表皮紙の下部に位置可変型ピン固定ユニットが配置され、表皮紙の上部にローディング段階クランプユニットまたは成形段階クランプユニットが配置される構造なので、表皮紙をクランプ及び搬送させる過程における構成要素間の干渉の発生が防止されて装置の駆動安定性と効率が増大し、装置の構成も単純化されて耐久性が向上し、製造コストがダウンされるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係る可変型ピンを備えた熱成形機用表皮紙供給装置の基本構成ブロック図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るローディング段階クランプユニットの構成ブロック図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るローディング段階クランプユニットの平面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る位置可変型ピン固定ユニットにおける固定ピンの配置構成図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る位置可変型ピン固定ユニットの構成を示す図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る位置可変型ピン固定ユニットのリンク部材を示す図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る成形段階クランプユニットの構成ブロック図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る成形段階クランプユニットの平面図である。
【
図9】本発明の実施形態に係るコントローラーの構成ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を
図1乃至
図9に基づいて詳細に説明する。一方、図面と詳細な説明において、一般なドアトリム、インストルメントパネル、基材、表皮紙、熱成形機、熱成形機用表皮紙供給装置、クランプ、ヒーター、リンク部材、弛み量検出センサーなどから当該分野における従事者が容易に分かる構成及び作用についての図示及び記載は簡略化または省略した。特に、図面の図示及び詳細な説明において、本発明の技術的特徴に直接関連付けられていない要素の具体的な技術的構成及び作用についての詳細な説明及び図示は省略し、本発明に関連する技術的構成のみを簡略に図示または説明した。
【0016】
本発明は、車両のドアトリム、インストルメントパネル、ダッシュボード、ヘッドライナーなどの基材aに表皮紙Aを接着させるための熱成形機用表皮紙供給装置1に関する技術であって、本発明の実施形態に係る可変型ピンを備えた熱成形機用表皮紙供給装置1は、
図1に示すように、ローディング段階クランプユニット100、位置可変型ピン固定ユニット200、表皮紙加熱ユニット300、成形段階クランプユニット400、及びコントローラー500を含んで構成される。
【0017】
ローディング段階クランプユニット100は、第1クランピング信号に応じて、表皮紙Aを水平配置状態でクランプして待機させ、第1前進移動信号に基づく前進移動によって表皮紙Aを前方に設定距離だけ搬送させた後、第1アンクランピング信号に応じて表皮紙Aをアンクランプする一方、第1後進移動信号に基づく後進移動によって元の位置に復帰する装置である。このため、ローディング段階クランプユニット100は、
図2及び
図3に示すように、ローディング段階クランプ移動レール110、ローディング段階クランプ120、及びローディング段階クランプ用アクチュエータ140を含んで構成できる。
ローディング段階クランプ移動レール110は、ローディング段階クランプユニット100と位置可変型ピン固定ユニット200が配置された位置領域に設置され、ローディング段階クランプ120の移動を誘導する。ローディング段階クランプユニット100は、幅方向wの左右側に一対のローディング段階クランプ移動レール110が平行配置されるようにすることができる。
【0018】
ローディング段階クランプ120は、ローディング段階クランプ移動レール110に移動可能に固定されるものであり、ローディング段階クランプユニット100は、表皮紙Aの幅方向の左右側の縁部位に設定個数のローディング段階クランプ120が線形に配置された構造の2列の左右方ローディング段階クランプライン130a、130bが形成されるようにするか、或いは表皮紙Aの長さ方向の前後側の縁部位に設定個数のローディング段階クランプ120が線形に配置された構造の2列の前後方ローディング段階クランプライン130c、130dが形成されるようにすることができる。また、ローディング段階クランプユニット100は、2列の左右方ローディング段階クランプライン130a、130bと2列の前後方ローディング段階クランプライン130c、130dが長方形のフレームをなすようにすることもできる。
【0019】
ローディング段階クランプ用アクチュエータ140は、ローディング段階クランプ120がローディング段階クランプ移動レール110に沿って前後進移動するようにするアクチュエータである。
【0020】
位置可変型ピン固定ユニット200は、表皮紙Aの縁部位に垂直に配置される複数の固定ピン210からなるものであり、ローディング段階クランプユニット100から伝達された表皮紙Aを下方から支持して水平配置状態で固定させる。特に、位置可変型ピン固定ユニット200は、加熱による表皮紙Aの弛みやサイズ変化に対応して、それぞれの固定ピン210が外方に移動するようにする。これにより、表皮紙Aが引っ張られながら、表皮紙の全体部位が弛むことなく平らな状態を維持して均一に加熱されるとともに、表皮紙の全体部位が均一にストレッチされて成形製品の品質向上と生地の節減が図られる。このための本発明の実施形態に係る位置可変型ピン固定ユニット200は、
図4の(a)に示すように、表皮紙Aの幅方向wの左右側の縁部位に設定個数の固定ピン210が線形に配置された構造の2列の左右方固定ピンライン220a、220bが形成されるようにするか、或いは、
図4の(b)に示すように、表皮紙Aの長さ方向dの前後側の縁部位に設定個数の固定ピン210が線形に配置された構造の2列の前後方固定ピンライン220c、220dが形成されるようにすることができる。また、位置可変型ピン固定ユニット200は、
図4の(c)に示すように、左右方固定ピンライン220a、220bと前後方固定ピンライン220c、220dを全て備えることもできる。
【0021】
ここで、本発明の実施形態に係る位置可変型ピン固定ユニット200は、
図5に示すように、案内レール230、リンク部材240、リンク部材用アクチュエータ250、及び弛み量検出センサー260を含んで構成される。
【0022】
案内レール230は、それぞれの固定ピン210の下端部位が移動可能に固定されるレールである。2列の左右方固定ピンライン220a、220bに対応する一対の案内レール230が形成されてもよく、2列の前後方固定ピンライン220c、220dに対応する一対の案内レール230が形成されてもよい。
【0023】
リンク部材240は、
図6に示すように、多数のスティック関節241がヒンジ242によって結合された構造を持つものであって、スティック関節241がX字状に交差する部位にそれぞれの固定ピン210を固定させる。このようなリンク部材240の詳細構成に関連して、本出願人によって出願された韓国特許第10-1334869号公報の「可変クランプを備えた熱成形機用表皮紙供給装置」に開示されている水平リンク部材と垂直リンク部材の構成を参照することができる。
【0024】
リンク部材用アクチュエータ250は、加熱による表皮紙Aの弛みまたはサイズ変化に対応するリンク部材240のリンク運動を誘導してそれぞれの固定ピン210間の離隔距離を増大させるアクチュエータである。
【0025】
一方、本発明の実施形態に係る位置可変型ピン固定ユニット200は、
図5に示すように、表皮紙Aの現在弛み量を検出する弛み量検出センサー260を備える。弛み量検出センサー260は、表皮紙の現在弛み量をコントローラー500にリアルタイムで伝達する。
表皮紙加熱ユニット300は、設定位置に配置され、位置可変型ピン固定ユニット200に固定された表皮紙Aを加熱させる。このような表皮紙加熱ユニット300は、
図5に示すように、位置可変型ピン固定ユニット200に固定された表皮紙Aの下側に水平に配置される板状ヒーター310から構成されてもよい。
【0026】
成形段階クランプユニット400は、第2後進移動信号と第2クランピング信号による後進移動及びクランピング動作で、位置可変型ピン固定ユニット200に固定された表皮紙Aをクランプした後、第2前進移動信号に基づく前進移動によって表皮紙Aを前方に設定距離だけ搬送させて熱成形機Bの成形装置Cへ伝達する装置である。このために、成形段階クランプユニット400は、
図7及び
図8に示すように、成形段階クランプ移動レール410、成形段階クランプ420、及び成形段階クランプ用アクチュエータ430を含んで構成できる。
【0027】
成形段階クランプ移動レール410は、成形段階クランプユニット400と位置可変型ピン固定ユニット200が配置された位置領域に設置され、成形段階クランプ420の移動を誘導する。成形段階クランプユニット400は、幅方向wの左右側に一対の成形段階クランプ移動レール410が平行に配置されるようにすることができる。
【0028】
成形段階クランプ420は、成形段階クランプ移動レール410に移動可能に固定されるものであり、成形段階クランプユニット400は、表皮紙Aの幅方向の左右側の縁部位に設定個数の成形段階クランプ420が線形に配置された構造の2列の左右方成形段階クランプライン420a、420bが形成されるようにするか、或いは表皮紙Aの長さ方向の前後側の縁部位に設定個数の成形段階クランプ420が線形に配置された構造の2列の前後方成形段階クランプライン420c、420dが形成されるようにすることができる。また、成形段階クランプユニット400は、2列の左右方成形段階クランプライン420a、420bと2列の前後方成形段階クランプライン420c、420dが長方形のフレームをなすようにすることもできる。
【0029】
成形段階クランプ用アクチュエータ430は、成形段階クランプ420が成形段階クランプ移動レール410に沿って前後進移動するようにするアクチュエータである。
コントローラー500は、ローディング段階クランプユニット100、位置可変型ピン固定ユニット200、表皮紙加熱ユニット300、及び成形段階クランプユニット400の動作を制御する。ここで、本発明の実施形態に係るコントローラー500は、
図9に示すように、第1メモリユニット510、第2メモリユニット520、ビッグデータ保存ユニット530、ビッグデータ分析ユニット540、及びアクチュエータ制御ユニット550を含んで構成される。
第1メモリユニット510は、弛み量検出センサー260から表皮紙の現在弛み量の入力を受けて一時保存するユニットであり、第2メモリユニット520は、リンク部材用アクチュエータ250の動作制御信号の伝達を受けて保存するユニットである。
ビッグデータ保存ユニット530は、第1メモリユニット510に一時保存された表皮紙の現在弛み量と第2メモリユニット520に保存された動作制御信号の伝達を受けるものであり、同一時点の表皮紙の現在弛み量と動作制御信号とを互いに連動させて時系列的に累積させた表皮紙の現在弛み量-動作制御信号の履歴情報を生成してビッグデータとしてデータベース化する。
【0030】
ビッグデータ分析ユニット540は、ビッグデータ保存ユニット530に保存された表皮紙の現在弛み量-動作制御信号の履歴情報のビッグデータを分析して表皮紙の現在弛み量に対応するリンク部材用アクチュエータ250の最適動作制御信号を算出する。このように算出される最適動作制御信号がコントローラー500の既存の動作制御信号を代替する。このようなビッグデータ分析ユニット540は、直前時点の表皮紙の現在弛み量とその次の時点の表皮紙の現在弛み量との差の値で直前時点の動作制御信号の適切性を評価するプロセスを介して、最適動作制御信号を算出することができる。
【0031】
アクチュエータ制御ユニット550は、ビッグデータ分析ユニット540から最適動作制御信号の伝達を受け、リンク部材用アクチュエータ250の動作制御信号を生成してリンク部材用アクチュエータ250に伝達する。
【0032】
上述のように構成された本発明の実施形態に係る可変型ピンを備えた熱成形機用表皮紙供給装置1は、表皮紙Aを下方から支持して水平配置状態で固定させる固定ピン210が、加熱による表皮紙Aのサイズ変化に対応して移動するようにするので、表皮紙Aの全体部位が均一に加熱されるとともにシワの発生なしに表皮紙Aの全体部位が均一にストレッチされて成形製品の品質向上と生地の節減が図られる。また、本発明の実施形態に係る可変型ピンを備えた熱成形機用表皮紙供給装置1は、表皮紙Aの下部に位置可変型ピン固定ユニット200が配置され、表皮紙Aの上部にローディング段階クランプユニット100または成形段階クランプユニット400が配置される構造なので、表皮紙Aをクランプ及び搬送させる過程における構成要素間の干渉の発生が防止されて装置の駆動安定性と効率が向上し、装置の構成も単純化されて耐久性が向上し、製造コストがダウンされる。
以上、添付図面を参照して、上述した本発明の実施形態に係る可変型ピンを備えた熱成形機用表皮紙供給装置について説明したが、これは、例を挙げて説明したものに過ぎず、本発明の技術的思想を逸脱することなく多様な変化及び変更を加え得るのは、当該分野における通常の技術者であればよく理解することができるだろう。