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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-05
(45)【発行日】2022-01-20
(54)【発明の名称】有人飛行体
(51)【国際特許分類】
   B64C 37/00 20060101AFI20220113BHJP
   B64C 13/04 20060101ALI20220113BHJP
   B64C 27/04 20060101ALI20220113BHJP
   B64C 27/68 20060101ALI20220113BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20220113BHJP
   B64D 27/24 20060101ALI20220113BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20220113BHJP
【FI】
B64C37/00
B64C13/04
B64C27/04
B64C27/68
B64C39/02
B64D27/24
H02J7/00 P
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021008265
(22)【出願日】2021-01-21
(62)【分割の表示】P 2020090140の分割
【原出願日】2018-09-19
(65)【公開番号】P2021073132
(43)【公開日】2021-05-13
【審査請求日】2021-09-06
(31)【優先権主張番号】P 2018164207
(32)【優先日】2018-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517106408
【氏名又は名称】株式会社A.L.I.Technologies
(74)【代理人】
【識別番号】110002790
【氏名又は名称】One ip特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】小松 周平
【審査官】長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0327122(US,A1)
【文献】国際公開第2017/105266(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第101559702(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0274292(US,A1)
【文献】特開2005-206015(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0158306(US,A1)
【文献】米国特許第08376264(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0049307(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0062442(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 37/00
B64C 27/04
B64D 27/24
H02J 7/00
B64C 13/04
B64C 27/68
B64C 39/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向に伸びて形成される本体部と、
前記本体部に設けられ揚力を発生させる第1回転翼部と、
推進力を発生させる第2回転翼部と、を備え、
前記第1回転翼部は、前記本体部の前端および後端に、夫々、少なくとも上下方向に推進力を発生させる、一の前側第1回転翼部と一の後側第1回転翼部とを備えており、
前記第2回転翼部は、前記前側第1回転翼部の左右夫々に設けられた一対の前側第2回転翼部と、前記後側第1回転翼部の左右夫々に設けられた一対の後側第2回転翼部と
前記本体部に跨って運転するためのシートと、を備え
前記本体部の前側部分が前記前側第1回転翼部の上方を跨ぐとともに、該本体部の後側部分が前記後側第1回転翼部の上方を跨ぐように、前記前側第1回転翼部及び前記後側第1回転翼部が設けられており、
前記シートが前記前側第1回転翼部及び前記後側第1回転翼部よりも上方に位置する、有人飛行体。
【請求項2】
請求項1記載の有人飛行体であって、
前記第1回転翼部に動力を供給するエンジンと、
前記第2回転翼部に動力を供給するモータと、
前記エンジン及び前記モータを制御する制御部と、を備える、有人飛行体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人飛行体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、自動二輪車に関する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-210328号公報
【文献】特開2015-047965号公報
【文献】米国特許出願公開第2016/0176256号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1及び特許文献2に記載の技術は、タイヤの回転力を道路等に加えることによ
って車体を前進させるものであるが、摩擦力等、エネルギーロスが多い。一方で、特許文
献3のように、車全体を飛行させることによって、このようなエネルギーロスを減らすと
ともに、移動に対する制約をなくす技術も提案されている。
【0005】
本発明は、新たな移動手段としての飛行体を提供することを一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、
エンジン及びモータと、
前記エンジンによって揚力を発生させる第1回転翼部と、
前記モータによって少なくとも前後方向の推進力を発生させる第2回転翼部と、
前記エンジン及び前記モータを制御する制御部と、を備える、
ハイブリッド有人飛行体。が得られる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、新たな移動手段としての飛行体が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態による飛行体の概略図である。
図2図1の飛行体の機能ブロック図である。
図3図1の飛行体の他の機能ブロック図である。
図4】本発明による飛行体の変形例によるブロック図である。
図5】本発明による飛行体の他の変形例による概念的なブロック図である。
図6】本発明による飛行体の他の変形例による概念的なブロック図である。
図7】本発明による飛行体の他の変形例による概念的なブロック図である。
図8】本発明による飛行体の発電モードによる概念的なブロック図である。
図9】本発明による飛行体の発電モードによる概念的なブロック図である。
図10】本発明による飛行体の発電モードによる概念的なブロック図である。
図11】本発明による飛行体の発電モードによる概念的なブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態の内容を列記して説明する。本発明の実施の形態による飛行体は、以
下のような構成を備える。
[項目1]
エンジン及びモータと、
前記エンジンによって揚力を発生させる第1回転翼部と、
前記モータによって少なくとも前後方向の推進力を発生させる第2回転翼部と、
前記エンジン及び前記モータを制御する制御部と、を備える、
ハイブリッド有人飛行体。
[項目2]
請求項1に記載のハイブリッド有人飛行体であって、
前記エンジンに接続された発電機と、
前記発電機によって発電された電力を蓄積するバッテリーとを更に備えている、
ハイブリッド有人飛行体。
[項目3]
請求項2に記載のハイブリッド有人飛行体であって、
蓄積された前記電力を外部へ供給するための給電端子を更に備えている、
ハイブリッド有人飛行体。
[項目4]
請求項3に記載のハイブリッド有人飛行体であって、
前記制御部は、前記電力を前記外部へ供給中は、前記第1回転翼部の回転を停止する、
ハイブリッド有人飛行体。
[項目5]
請求項2乃至請求項4のいずれかに記載のハイブリッド有人飛行体であって、
前記モータは、前記バッテリーからの電力供給を受ける、
ハイブリッド有人飛行体。
[項目6]
請求項2乃至請求項5に記載のハイブリッド有人飛行体であって、
前記バッテリーは、前記ハイブリッド有人飛行体の減速時において、少なくとも前記第
2回転翼部による回生電力を利用して充電される、
ハイブリッド有人飛行体。
[項目7]
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のハイブリッド有人飛行体であって、
前記制御部は、前記第2回転翼部を利用して、少なくとも水平方向における姿勢を制御
する、
ハイブリッド有人飛行体。
[項目8]
請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のハイブリッド有人飛行体であって、
前記第1回転翼部は、夫々、少なくとも上下方向に推進力を発生させる、前側第1回転
翼部と後側第1回転翼部とを備えており、
前記第2回転翼部は、夫々、少なくとも水平方向に推進力を発生させる、前側の左右夫
々に設けられた前側第2回転翼部と、後側の左右夫々に設けられた後側第2回転翼部とを
備えている、
ハイブリッド有人飛行体。
[項目9]
請求項1乃至請求項8のいずれかに記載のハイブリッド有人飛行体であって、
前記第1回転翼部は、二重反転プロペラである、
ハイブリッド有人飛行体。
[項目10]
請求項1乃至請求項9のいずれかに記載のハイブリッド有人飛行体であって、
前記ハイブリッド有人飛行体の下部に設けられた車輪を備えており、
所定の条件において前記車輪を利用して走行可能である、
ハイブリッド有人飛行体。
【0010】
<実施の形態の詳細>
以下、本発明の実施の形態による飛行体について、図面を参照しながら説明する。
【0011】
<概要>
本発明の実施の形態による飛行体1は、人が乗ることのできる飛行体であり、所謂ホバ
ーバイク、エアロバイク等と呼ばれることがある。飛行体1は、人を乗せた状態で地上5
0cm乃至100cm程度の高さを浮上し、移動することが可能である。
【0012】
<飛行モード>
本実施の形態による飛行体1は、図1に示されるように、前後方向に長い本体部2を備
えている。本体部2は、2つのプロペラ4と、4つのプロペラ5とを備えている。本実施
の形態によるプロペラ5は飛行体1を垂直方向に浮上させるために利用するものであり、
プロペラ4は飛行体1の前進及び後進、方向転換などに主に利用される。
【0013】
プロペラ5は、前後に1基ずつ設けられている。プロペラ5は、図示しないエンジンの
動力を受けて回転する。プロペラ5が回転することによって、飛行体1は地面から離陸す
る。なお、プロペラ5は、右方向への回転、停止及び左方向への回転が可能である。本実
施の形態によるプロペラ5は、直径1.5mのものを使用している。
【0014】
プロペラ4は、前側の左右の夫々の2か所と、後側の左右の夫々の2か所との合計4か
所に設けられている。プロペラ4は、モータ6の動力を受けて回転する。プロペラ4は、
前後方向に推力を生じさせる。これにより、飛行体1は前進及び後進を行うことができる
。また、上述したプロペラ5によって飛行体1が浮上した際に、プロペラ4は、飛行体1
の姿勢制御を行う機能を有している(詳しくは後述する)。
【0015】
本実施の形態によるプロペラ5は、上下2組のプロペラを互いに反対方向に回転させる
所謂二重反転プロペラである。また、プロペラ4及びプロペラ5共に細長い形状を有する
任意の羽根(回転子)の数(例えば、1、2、3、4、またはそれ以上の羽根)でよい。
また、羽根の形状は、平らな形状、曲がった形状、よじれた形状、テーパ形状、またはそ
れらの組み合わせ等の任意の形状が可能である。
【0016】
なお、羽根の形状は変化可能である(例えば、伸縮、折りたたみ、折り曲げ等)。羽根
は対称的(同一の上部及び下部表面を有する)または非対称的(異なる形状の上部及び下
部表面を有する)であってもよい。羽根はエアホイル、ウイング、または羽根が空中を移
動される時に動的空気力(例えば、揚力、推力)を生成するために好適な幾何学形状に形
成可能である。羽根の幾何学形状は、揚力及び推力を増加させ、抗力を削減する等の、羽
根の動的空気特性を最適化するために適宜選択可能である。更に本実施の形態においては
、固定ピッチ、可変ピッチいずれも採用可能である。
【0017】
羽根は、すべて同一方向に回転可能であるし、独立して回転することも可能である。他
の羽根は他方方向に回転する。羽根は、同一回転数ですべて回転することも可能であり、
夫々異なる回転数で回転することも可能である。回転数は移動体の寸法(例えば、大きさ
、重さ)や制御状態(速さ、移動方向等)に基づいて自動又は手動により定めることがで
きる。
【0018】
図2に示されるように、本実施の形態によるエンジンPはガソリンで駆動する。飛行体
1は、プロペラR(プロペラ5)及びエンジンPと、当該エンジンPにガソリン(混合燃
料)を供給するためのガソリンタンクと、エンジンの動力を利用して発電を行うジェネレ
ータ及び供給される電力を調整するパワーコントロールユニットを備えている。
【0019】
また、飛行体1は、慣性センサ(加速度センサ、ジャイロセンサ)、GPSセンサ、近
接センサ(例えば、ライダー)、またはビジョン/イメージセンサ(例えば、カメラ)を
含んでおり、当該センサで取得したデータは制御部に出力される。制御部は、取得したデ
ータを利用してエンジンの出力等の計算を行う。
【0020】
図示されるように、エンジンPの動力は、図示しない発電機を介して電力としてバッテ
リーBにも供給される。バッテリーBの電力はモータMに供給され、プロペラRs(プロ
ペラ4)が回転する。バッテリコントローラは、バッテリーの電源管理を行う。モータM
には、ESC(Electronic Speed Controller)が接続され
ており、フライトコントローラからの制御に基づいてモータの回転を制御する。
【0021】
フライトコントローラは、所謂処理ユニットである。処理ユニットは、プログラマブル
プロセッサ(例えば、中央処理ユニット(CPU))などの1つ以上のプロセッサを有す
ることができる。また、飛行体1は、慣性センサ(加速度センサ、ジャイロセンサ)、G
PSセンサ、近接センサ(例えば、ライダー)、またはビジョン/イメージセンサ(例え
ば、カメラ)を含んでおり、当該センサで取得したデータはフライトコントローラに出力
される。
【0022】
図1に戻り、飛行体1に乗車運転を行う際、ユーザはシート8に座り、前傾姿勢をとり
ながら運転する。
【0023】
図3に示されるように、本実施の形態においては、エンジンPの動力が2つのプロペラ
R(図1における前側プロペラ5及び後側プロペラ5)に伝達され、プロペラRを回転さ
せ飛行体1を浮上させる。エンジンPは、同時に、図示しない発電機を介して2つのバッ
テリーBに電力も供給する。バッテリーBは、夫々、2つのモータMに電力を供給し、合
計4つのプロペラRsを回転させる。バッテリーの個数や接続関係は一例であり、これ以
外の構成であってもよい。
【0024】
浮上用のプロペラRの回転数、姿勢制御のためのプロペラRsの回転数について、制御
部(図2参照)により制御される。なお、図2において、モータMを制御するフライトコ
ントローラは制御部と別体とされているが一体であってもよい。
【0025】
(実施例)
以下、本発明の実施例について、特に使用されているエンジンの仕様について説明する
。エンジンの出力については、以下の数式1及び数式2を基礎式として用いた。
【数1】

【数2】
【0026】
ただし、各変数は以下のとおりである。
【0027】
飛行体が浮上するためには、以下の数式3が成り立つ必要があり、数式3をPについて
整理すると、数式4が得られる。
【数3】

【数4】
【0028】
本実施の形態においては、上述した数式に基づいて、直径1.5mのプロペラと直径2
.0mのプロペラを使用した。各プロペラの仕様及びエンジン特性については、夫々以下
の表1及び表2のとおりである。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
本発明による飛行体は、例えば、図4に示される処理系統としてもよい。図4に示され
るブロック図によれば、エンジンPの出力は図示しない発電機を介して4つのバッテリー
Bに電力を供給する。バッテリーBは、夫々、モータMに電力を供給することによって2
つのプロペラR及び4つのプロペラRsを回転させる。
【0032】
また、図5乃至図7を参照して、本実施の形態による動力関連のブロック図の変形例を
更に説明する。なお、図においては説明を簡単にするために、各部品(モータM、バッテ
リーB、プロペラR/Rsなど)は一つのみ示されているが、実際には必要な個数存在し
てよく、また、必要に応じて部品の統合/分離(一体/別体)がされていてもよい。
【0033】
図5に示される方式は、図4と同様に、所謂シリーズ方式(直列方式)の動力機関であ
る。シリーズ方式(直列方式)は、エンジンPを発電のみに使用し、エンジンPによって
発電された電力をモータMに供給し、プロペラR/Rsの駆動と回生のみに使用する。R
/Rsは飛行体の減速時/停止時等においてプロペラ(特にプロペラRs)の回転抵抗を
利用した回生エネルギーを蓄電池に充電することが可能である。なお、エンジンPで発電
した際の余剰電力により発生した電力をバッテリーBに蓄えることも可能である。
【0034】
本方式によれば、エンジンPは最良燃料消費率となる領域以外も使用する(燃費が悪化
する)ことになるが、プロペラR/Rsとトランスミッションで接続されていないため、
求められた出力に対しては最も効率の良い領域を使うことが出来る。
【0035】
図6に示される方式は、所謂パラレル方式(並列方式)の動力機関である。パラレル方
式(並列方式)は、搭載している複数の動力源を車輪の駆動に使用する方式である。エン
ジン出力=トルク×回転数の関係にあるため、エンジンの低回転時には十分なパワーが得
られないばかりかアイドリングを含めて効率が悪く、排出ガスの浄化能力も落ちる。一方
、モータは起動時に最大トルクを発生するものが多いため、発進時や急加速時など、エン
ジンが苦手とする熱効率が悪く有害排出物の多い範囲をモータに受け持たせるといった、
両者のメリットを生かした方式である。
【0036】
図6に示される方式では、プロペラR/Rsは、エンジンP又はモータMからの動力が
供給される。本実施の形態においては、トランスミッションを有しており、それを介して
プロペラR/Rsの駆動を行い、同時にモータMを用いた発電(充電)も行う。回生ブレ
ーキの発電機としても用いられるモータMは、発進から中速域までを受け持ち、車両総重
量に比較して小型で出力も小さいものでも採用可能である。このため、バッテリーの容量
も少なくて済むという利点がある。バッテリーの残量が少ない場合は、通常の内燃車と同
様に全速度域にわたってエンジンPのみでの走行が可能である。このように、従来の内燃
車を主とした構成のため、モーターアシスト方式とも呼ばれる。
【0037】
なお、本方式は、一般に、モータ1基で実現可能という設置重量および体積面と、エン
ジンによる直接駆動もできるなどの効率面でシリーズ方式よりも優れている。ただし、双
方の動力源の利点を活かすための構造や制御が複雑とされ、モータ1機ゆえに発電と駆動
を同時にできないという欠点がある(モータの使用頻度が高まるほど充電時間が短くなる
)。また、ハイブリッドシステム自体には速度を制御する機能が盛り込まれておらず、通
常の自動車と同じトランスミッションが必要という、他方式にない欠点もある。
【0038】
図7に示される方式は、所謂スプリット方式(動力分割方式)では、プロペラR/Rs
は、エンジンPから直接動力が供給される場合と、エンジンPから発電機を介して電力が
供給されたバッテリーBにより駆動されるモータMから動力が供給される場合との2つの
方法を有している。
【0039】
スプリット方式(動力分割方式)は、エンジンPからの動力をプラネタリーギア等を用
いた動力分割機構により分割(スプリット)し、発電機と車輪の駆動へ振り分けたり、エ
ンジンPとモータMからの駆動力を自由に合成することが可能な方式である。発進時や低
速走行時にはバッテリーBに蓄えられた電気でEV走行、通常走行時にはエンジンPを最
大トルク近辺の燃料消費率の低い回転域で使用し、プラネタリーギアを介した発電機で同
時にバッテリーBへも充電を行いながら速度制御を行う。燃費悪化の原因となるエンジン
出力の変化を極力抑えていることもこの方式の特徴である。
【0040】
スプリット式は動力分割機構(遊星ギア)を用いて、発電機とモータの回転制御を行う
ことでトランスミッションの役割を持たせることができるため、従来型のトランスミッシ
ョンは特に必要ない(搭載できないわけではない)。
【0041】
<発電モード>
図8に示されるように、飛行体1は、例えば、災害時などにおいては、発電モードとし
て機能する。この場合、例えば、飛行体1は、地上に設置された状態で、各種の給電を行
う。
【0042】
飛行体1は、上述したバッテリーBから外部へ電力を供給することとしてもよい(図3
乃至図7参照)。この場合、外部へ電源を供給する端子をバッテリーに取り付けることと
すればよい。なお、バッテリーから供給する電力のコントロール(電圧、電流、位相等)
は、必要に応じて別途コンバーターを介することとすればよく、既に存在している種々の
技術を適用可能である。
【0043】
詳細を図8乃至図11を参照して説明する。図8に示されるように、エンジンPから供
給された動力を(図示しない)発電機を介して専用の(別の)バッテリーBtに供給する
。バッテリーBtには、外部出力用の端子Tが設けられており、外部機器を当該端子Tに
接続することによって外部機器に電力が供給される。
【0044】
なお、上述したように、エンジンPは、プロペラRに動力を供給することとしていたが
、給電中においては、プロペラRへの動力供給を停止することとしてもよい。これにより
、給電効率を上げることができる。
【0045】
図9に示されるように、所謂シリーズ方式(直列方式)の動力機関においてもエンジン
Pによって発電された電力をバッテリーBに供給し、バッテリーBに外部端子Tを取り付
けることとすればよい。
【0046】
図10に示されるように、所謂パラレル方式(並列方式)の動力機関においてもエンジン
Pによって発電された電力をバッテリーBに供給し、バッテリーBに外部端子Tを取り付
けることとすればよい。
【0047】
図11に示されるように、所謂スプリット方式(動力分割方式)の動力機関においても
、エンジンPから発電機を介して電力が供給されたバッテリーBに外部端子Tを設けるこ
ととしてもよい。
【0048】
上述した実施の形態は、本発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、本発明を限定
して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良
することができると共に、本発明にはその均等物が含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0049】
1 飛行体
2 本体部
3 脚部
4、5 プロペラ
6 モータ
7 ハンドル
8 シート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11