(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-05
(45)【発行日】2022-01-20
(54)【発明の名称】ロールペーパーホルダ
(51)【国際特許分類】
A47K 10/36 20060101AFI20220113BHJP
【FI】
A47K10/36 G
(21)【出願番号】P 2021160436
(22)【出願日】2021-09-30
【審査請求日】2021-10-14
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】503100773
【氏名又は名称】株式会社関組
(74)【代理人】
【識別番号】110003203
【氏名又は名称】特許業務法人大手門国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】酒井 秀世
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-221211(JP,A)
【文献】特開2008-113859(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K10/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロールペーパーを周方向に回動可能となるように支持する支持体と、前記ロールペーパーを上部から覆うように配置されて回動可能に取り付けられたカバー体と、前記カバー体の下面側に伸縮性弾性部材を介して取り付けられて前記ロールペーパーの引き出し方向に沿って移動可能となるように前記ロールペーパーの周面上に載置された可動板体と、前記可動板体の前記引き出し方向の前側端縁に取り付けられた切断部材と、前記カバー体の下面に取り付けられたカバー側磁石部材と、前記可動板体の上面において前記カバー側磁石部材と対向可能な移動範囲に配置されて前記カバー側磁石部材に反発する磁力が生じるように取り付けられた可動側磁石部材とを備えているロールペーパーホルダ。
【請求項2】
前記可動板体の下面には、ロールペーパーの周面に接触する転動部材が回動可能に取り付けられている請求項1に記載のロールペーパーホルダ。
【請求項3】
前記カバー体は、回動可能に取り付けられた基体部と、前記可動板体を下面側に保持するとともに前記基体部の前側に揺動可能に軸支される保持部とを備えている請求項1又は2に記載のロールペーパーホルダ。
【請求項4】
前記可動板体は、前記伸縮性弾性部材が取り付けられた後側板状部と、前側端縁に前記切断部材が取り付けられた前側板状部と、前記前側板状部を後側板状部の前側に揺動可能に接続する接続部とを備えている請求項1から3のいずれかに記載のロールペーパーホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレットペーパー等のロールペーパーを回動可能に支持して所望の長さで切断するロールペーパーホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
トイレットペーパー等のロールペーパーは、円筒状の巻き芯に支持軸を挿入し、支持軸を中心に回動可能に支持するロールペーパーホルダが実用化されている。こうしたロールペーパーホルダでは、ロールペーパーを上部から覆うように取り付けられたカバーの先端縁にカッター部を設けておき、ロールペーパーの端部を手で掴んで所望の長さだけ引き出してカッター部で切断するようになっている。
【0003】
カッター部で切断した後のロールペーパーの端部は、カバーの端縁に接触した状態となっているので、ロールの周囲に密着した状態になる。次に、ロールペーパーの端部を引き出そうとする場合には、カバーを上げてロールペーパーから離間させた後、ロールペーパーの端部をロールの周囲から剥がして引き出すようにする必要がある。そのため、ロールペーパーの引き出し動作がわずらわしい、といった課題がある。特に、ロールペーパーが薄く固く巻き付けられている場合には、端部がロールに貼り付いた状態となって見にくくなり、ロールを回して確認しなければならなくなっている。
【0004】
こうした従来のロールペーパーホルダに関する課題に対して様々な改良技術が提案されている。例えば、特許文献1では、ホルダ本体に取り付けられたカバー上に固定される受け板にスライド板が出し入れ可能に保持されており、スライド板を受け板の前端から突出させてロールペーパーを切断した後弾性部材によりスライド板を後退させてロールペーパーの端部を残した状態に設定するロールペーパーホルダが記載されている。また、特許文献2では、トイレットペーパーホルダーのカバー部の先端から突き出す突出切断部及び突出切断部を保持するためのスライド機構を備え、突出切断部をスライド機構によりスライドさせてカバー部の前方又は下方の切断位置に移動させてトイレットペーパーを切断し、切断されたトイレットペーパーに掴み代を残すようにした切り取り具が記載されている。また、特許文献3では、巻紙の先端を引っ張って繰出すことで、紙繰出し板が上部固定カバー部材から突き出るように前進し、紙繰出し板のカッター刃によって巻紙を切断することで、紙繰出し板が紙の摘み代を残してバネによって上部固定カバー部材から引っ込むように戻るロール巻紙ホルダが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第4435856号公報
【文献】登録実用新案第3209079号公報
【文献】特許第6151309号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、スライド板を引き出して切断し、スライド板を弾性部材により後退させることで、切断されたロールペーパーの端部を残すようにしているが、スライド板の進退動作が弾性部材により行われるため、使用者の切断動作のタイミングと合わせることが難しく、ロールペーパーの端部を安定して残すようにすることができないといった課題がある。
【0007】
特許文献2では、突出切断部をスライド機構によりスライドさせて保持するようにしているが、突出切断部を引き出して突出させる動作及び突出した状態の突出切断部を後退させる動作が必要となり、切断動作以外の動作が多くなるといった課題がある。
【0008】
特許文献3では、巻紙の繰り出し動作に連動して紙繰り出し板を前進させるようにしているが、紙繰り出し板の先端のみが巻紙に接触した状態となっているため、巻紙の繰り出し動作ととともに紙繰り出し板の前進動作を安定して行うことが難しく、前進した紙繰り出し板がストッパ部材と確実に係合することが難しいといった課題がある。また、複雑な形状の部品を精巧に組み付ける必要があり、コストの面でも検討の余地がある。
【0009】
そこで、本発明は、簡単な構成でロールペーパーの引き出し動作に追随して切断部材を確実に移動させて切断動作を行うことができるロールペーパーホルダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るロールペーパーホルダは、ロールペーパーを周方向に回動可能となるように支持する支持体と、前記ロールペーパーを上部から覆うように配置されて回動可能に取り付けられたカバー体と、前記カバー体の下面側に伸縮性弾性部材を介して取り付けられて前記ロールペーパーの引き出し方向に沿って移動可能となるように前記ロールペーパーの周面上に載置された可動板体と、前記可動板体の前記引き出し方向の前側端縁に取り付けられた切断部材と、前記カバー体の下面に取り付けられたカバー側磁石部材と、前記可動板体の上面において前記カバー側磁石部材と対向可能な移動範囲に配置されて前記カバー側磁石部材に反発する磁力が生じるように取り付けられた可動側磁石部材とを備えている。さらに、前記可動板体の下面には、ロールペーパーの周面に接触する転動部材が回動可能に取り付けられている。さらに、前記カバー体は、回動可能に取り付けられた基体部と、前記可動板体を下面側に保持するとともに前記基体部の前側に揺動可能に軸支される保持部とを備えている。さらに、前記可動板体は、前記伸縮性弾性部材が取り付けられた後側板状部と、前側端縁に前記切断部材が取り付けられた前側板状部と、前記前側板状部を後側板状部の前側に揺動可能に接続する接続部とを備えている。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、上記のような構成を備えていることで、カバー体の下面に取り付けたカバー側磁石部材と、可動板体の上面においてカバー側磁石部材と対向可能な移動範囲に配置されてカバー側磁石部材に反発する磁力が生じるように取り付けられた可動側磁石部材とを設けているので、ロールペーパーの引き出し動作に追随してカバー体に対して可動板体が伸縮性弾性部材の引張力に抗して移動した場合にカバー側磁石部材と可動側磁石部材との間の反発力により伸縮性弾性部材の引き戻す動作を緩やかにすることができ、安定した切断動作を確実に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明に係るロールペーパーホルダに関する側面図である。
【
図2】
図1に示すロールペーパーホルダに関する分解斜視図である。
【
図4】ロールペーパー端部を引き出した状態を示す側面図であり、
図5は、
【
図5】ロールペーパー端部を引き出した状態を斜め上方からみた斜視図である。
【
図6】ロールペーパーを切断する過程に関する説明図である。
【
図7】ロールペーパーを切断して使用していく過程に関する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る実施形態について詳しく説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を実施するにあたって好ましい具体例であるから、技術的に種々の限定がなされているが、本発明は、以下の説明において特に発明を限定する旨明記されていない限り、これらの形態に限定されるものではない。
【0014】
図1は、本発明に係るロールペーパーホルダに関する側面図であり、
図2は、その分解斜視図である。ロールペーパーホルダ1は、壁面等に固定される断面コ字状の取付ブラケット2を備えており、壁面に固定する部分には、壁面にほぼ垂直に突設された紙受けブラケット3が取り付けられている。なお、以後の説明では、取付ブラケット2の手前側(
図1では左側)を「前側」とし、奥側(
図1では右側)を「後側」として説明する。
【0015】
紙受けブラケット3の先端部分には、棒状のペーパー軸受体4が壁面と平行になるように一方の端部が取り付けられており、ペーパー軸受体4の他方の端部はL状に形成されて上側に向いている。
【0016】
ペーパー軸受体4には円筒状の回転支持部材5が挿着されており、ペーパー軸受体4に固定されたクラッチ部材6を介して回転支持部材5が取り付けられている。クラッチ部材6は、ロールペーパーPの引き出し方向には回転可能で、引き出し方向と反対方向には回転しないように設定されている。そのため、回転支持部材5は、ロールペーパーPがセットされた状態では、ロールペーパーPの引き出しによりロールが回動する際には追随して回転するが、ロールペーパーPを巻き戻す方向には回転しないようになっている。
【0017】
この例では、ペーパー軸受体4及び回転支持部材5は、ロールペーパーPを周方向に回動可能となるように支持する支持体として機能する。なお、支持体としては、これ以外の構成でもよく特に限定されない。例えば、棒状の軸受体の両端部を支持する公知のタイプの構成でもよい。
【0018】
取付ブラケット2の屋根部分の下側には、カバー体10が回動可能に取り付けられている。カバー体10は、取付ブラケット2の壁面に固定した部分に軸支部材11を介して回動可能に取り付けられた基体部10aと、基体部10aの前側に連結部材12を介して揺動可能に連結された保持部10bとを備えている。基体部10a及び保持部10bは、それぞれ断面が円弧状の曲面形状でロールペーパーPの幅よりも幅広に形成された薄板体からなり、保持部10bは、ロールペーパーPの周面に沿うように曲面形状に形成されてロールペーパーPを覆うように取り付けられている。
【0019】
保持部10bの後側部分は、幅狭となるように両側が一部切り欠いて伸縮性弾性体である一対の引張りバネ14が両側に配置されている。引張りバネ14は、一方の端部を連結部材12に係合し、他方の端部を後述する可動板体20に係合しており、可動板体20を保持部10bに向かって引っ張るように常時付勢している。
【0020】
保持部10bの下面側には、一対のカバー側磁石部材13が取り付けられており、カバー側磁石部材13は、幅方向に所定間隔を空けて配置されている。また、保持部10bの前側端縁の下側には、下方に突出した細幅の突条部10cが全幅にわたって形成されている。
【0021】
カバー体10の保持部10bは、下面側に可動板体20が配置されている。可動板体20は、引張りバネ14が取り付けられた後側板状部20a及び前側端縁に切断部材30が取り付けられた前側板状部20bを備えており、前側板状部20b及び後側板状部20aは接続部25により揺動可能に接続されている。接続部25としては、例えば、前側板状部20bの後側端縁と後側板状部20aの前側端縁との間に薄いフィルム状の接続部を一体形成することで、下側に折れ曲がるように揺動可能に接続させることができる。また、両者の間に薄いフィルムを接着して接続させるようにしてもよい。
【0022】
後側板状部20aの幅は、保持部10bの幅よりも狭く形成されており、両側に固定された係合部23にそれぞれ引張りバネ14の他方の端部が係合している。後側板状部20aの後側には、落ち込み防止シート21が後方に向かって延設するように取り付けられている。落ち込み防止シート21は、カバー体10の連結部材12が下方に落ち込んでカバー体10が折れ曲がった状態となるのを防止するために設けられている。
【0023】
後側板状部20aの上面側には、一対の可動側磁石部材24が取り付けられており、可動側磁石部材24は、カバー側磁石部材13と対向可能な移動範囲に配置されて、幅方向に所定間隔を空けて配置されている。カバー側磁石部材13と可動側磁石部材24とは互いに反発する磁力が生じるように設定されており、例えば、互いに対向する側が同磁極となるように設定している。
図1に示すように、可動板体20がカバー体10に対して後側に移動して引き込まれた状態では、可動側磁石部材24はカバー側磁石部材13に対して後側に配置されており、可動板体20が前側に移動すると、カバー側磁石部材13に可動側磁石部材24が接近して反発力が生じるようになる。したがって、カバー側磁石部材13と対向可能な移動範囲とは、可動側磁石部材24に対して上述した磁力による作用が及ぶ範囲を含む移動範囲となる。
【0024】
前側板状部20bは、保持部10bの幅とほぼ同じ幅に形成されており、ロールペーパーPの引き出し方向の長さは保持部10bの長さよりも短く設定されている。そのため、可動板体20は、保持部10bの下面側に収容されて全体が覆われた状態に設定することができる。
【0025】
前側板状部20bの前側端縁の上側には、上方に突出した細幅の突条部20cが形成されており、カバー体10の保持部10bの下側に形成された突条部10cに突条部20cが当接することで、可動板体20がそれ以上引き込まれないようになっている。
【0026】
前側板状部20bの前側部分の下面側には、ロールペーパーPの周面に接触する一対の転動部材22が取り付けられている。転動部材22は、可動板体20がロールペーパーPの周面を移動する際にロールペーパーPの表面を転動してその跡が引き出し方向に沿って残ることで、ロールペーパー端部P1を反らせるように変形させる。ロールペーパー端部P1は、変形によりロールペーパーPの周面から浮き上がるようになって摘まみやすくすることができる。
【0027】
図3は、転動部材の一例を示す説明図である。
図3(a)は、前側板状部20bの下側からみた一部拡大斜視図であり、
図3(b)は、転動部材22を下側から見た一部拡大図である。この例では、転動部材22は、前側板状部20bの下面に形成された収容孔内に取り付けられている。転動部材22は、一対の円錐体を底面で接合したそろばんの玉に類似の形状に形成されており、中央部分22aが所定幅で周方向に帯状に形成されてロールペーパーPの当接面となっている。両側部分22bは、円錐状に形成されて先端が回動可能に軸支されている。転動部材22の回転軸Oは、ロールペーパーPの引き出し方向Qに対して直交する方向からわずかに傾いた方向に設定されており、当接面が引き出し方向に対して角度θだけずれるようになっている。そのため、転動部材22は、ロールペーパーPを引き出す際にその周面を中央部分22aの当接面が横ずれしながら転動するようになり、ロールペーパーPが横ずれにより捩れるように変形し、全体としてロールペーパー端部P1を反らせるように変形する。
【0028】
転動部材としては、こうした駒状の形状以外の形状でもよく、特に限定されない。例えば、歯車状の形状に形成して転動によりロールペーパーPを巻き上げるように変形させて反らせるようにすることもできる。
【0029】
図4は、ロールペーパー端部P1を引き出した状態を示す側面図であり、
図5は、引き出した状態を斜め上方からみた斜視図である。
【0030】
ロールペーパーPの周面に可動板体20が載置された状態で配置されており、カバー体10とは引張バネ14により連結されているため、ロールペーパー端部P1の引き出し動作に追随して引張バネ14が伸長して可動板体20が引き出されるようになる。カバー体10の保持部10bに覆われた可動板体20の前側板状部20bが前側に露出するように引き出されていき、保持部10bの先端に形成された突条部10cが可動板体20の後側板状部20aと前側板状部20bとの間の隙間に入り込んで係合することで、前側板状部20bの引き出し動作は停止する。そのため、前側板状部20bは、引き出し方向の長さLだけ引き出された状態に設定される。前側板状部20bが引き出された後にロールペーパー端部P1がさらに引き出されると、転動部材22が転動してスムーズにロールペーパー端部P1を所望の長さに引き出すことができる。
【0031】
前側板状部20bが引き出された状態では、可動側磁石部材24がカバー側磁石部材13よりも前側に移動した状態となり、カバー側磁石部材13に対する可動側磁石部材24の反発力が引張バネ14の付勢力に対する抵抗力となる。そのため、前側板状部20bが引張バネ14により引き戻される動作が緩やかに行われるようになり、前側板状部20bを引き出した後のロールペーパーPの切断動作を安定して行うことができる。
【0032】
引き出されたロールペーパーPには、転動部材22が横ずれしながら転動した帯状の跡が残るようになり、ロールペーパー端部P1をロールペーパーPから浮き上がらせるように変形させることができる。
【0033】
切断部材30は、前側板状部20bの前側の先端に全幅にわたって設けられており、この例では、鋸歯状の多数の刃先が形成されている。ロールペーパー端部P1を所望の長さだけ引き出した状態で、ロールペーパー端部P1を引き上げて切断部材30に接触させることで、刃先がロールペーパーを突き破るように切断する。その際に、切断部材30には引き上げる方向の力が加わるが、切断部材30が可動板体20に一体化しており、可動板体20の上側にはカバー体10が重なっているため、切断部材30がほとんど引き上げられることなくロールペーパーの切断がスムーズに行われるようになる。
【0034】
図6は、ロールペーパーPを切断する過程に関する説明図である。
図6では、切断過程(a)~(d)について、各過程におけるロールペーパーホルダの斜視図及び側面図を示している。
【0035】
切断前には、
図6(a)に示すように、可動板体20の前側板状部20bは、引張バネ14により引き戻されてカバー体10の保持部10bの下側に収容されており、ロールペーパーPの周面に載置された状態となっている。ロールペーパー端部P1は、前側板状部20bの先端部に設けられて切断部材30よりも前側に所定長さ分だけ引き出されている。前側板状部20bの先端部に形成された突条部20cが保持部10bの先端に形成された突条部10cに当接することで、前側板状部20bはそれ以上引き込まれることはない。
【0036】
ロールペーパー端部P1を掴んで引き出された場合、
図6(b)に示すように、ロールペーパー端部P1の引き出し動作に追随して可動板体20が引張バネ14の引張力に抗して引き出されていく。可動板体20は、カバー体10の保持部10bの下側の収容位置から前側に移動して露出していき、後側板状部20a及び前側板状部20bの間に保持部10bの先端に形成された突条部10cが係合することで、前側への移動が停止するようになる。ロールペーパー端部P1がさらに引き出されると、前側板状部20bの下側に設けられた転動部材22が転動してロールペーパーに横ずれによる転動跡が生じるようになる。
【0037】
前側板状部20bが引き出された状態では、可動側磁石部材24がカバー側磁石部材13よりも前側に配置されているため、引張バネ14による引き戻す作用が緩やかになり、ロールペーパー端部P1を引き上げて切断部材30による切断動作を安定して行うことができる。
【0038】
ロールペーパーPを切断した後、
図6(c)に示すように、前側板状部20bが引き出された状態で切断部材30の下側の位置まで次のロールペーパー端部P1が配置された状態となる。その後、前側板状部20bは、
図6(d)に示すように、引張バネ14の引張力によりカバー体10の保持部10bの下側に引き込まれるように移動し、その際に転動部材22がロールペーパー端部P1の表面を転動していく。
【0039】
そして、転動動作により横ずれによる転動跡が生じてロールペーパー端部P1が浮き上がるように変形する。前側板状部20bは保持部10bの下側に収容されてロールペーパー端部P1が所定の長さだけ露出した状態となる。そのため、次のロールペーパー端部P1の引き出し動作の際にロールペーパー端部P1を掴みやすくなり、引き出し動作を的確に行うことが可能となる。
【0040】
図7は、ロールペーパーPを切断して使用していく過程に関する説明図である。
図7では、使用過程(a)~(d)について、各過程におけるロールペーパーホルダの斜視図及び側面図を示している。
【0041】
図7(a)及び
図7(b)は、ロールペーパーPを半分程度使用した状態を示している。ロールペーパーPの使用により外径が次第に小さくなるため、ロールペーパーPの周面に載置される可動板体20の前側板状部20b及びカバー体10の保持部10bは、ロールペーパーPの外径に合わせて次第に下方に移動するようになる。そのため、保持部10bの下方への移動に合わせてカバー体の基体部10a及び保持部10bは接続部分が折れ曲がるように変形していき、保持部10bはロールペーパーPの外径に沿って配置した状態が維持される。また、可動板体20についても、前側板状部20bの下方への移動に合わせて、後側板状部20a及び前側板状部20bの接続部分が折れ曲がるように変形し、前側板状部20bはロールペーパーPの外径に沿って配置した状態が維持される。
【0042】
したがって、
図7(b)に示すように、ロールペーパー端部P1の引き出し動作に追随して前側板状部20bがスムーズに引き出されていき、安定した切断動作を継続して行うことができる。
【0043】
図7(c)及び
図7(d)は、ロールペーパーPを使用して残り少ない状態を示してる。ロールペーパーPの残り少ない状態ではその外径が小さくなるため、ロールペーパーPの周面に載置される可動板体20の前側板状部20b及びカバー体10の保持部10bは、ロールペーパーPの外径に合わせてさらに下方に移動する。前側板状部20bは、後側板状部20aに対して接続部分で折れ曲がるようになるため、ロールペーパーPの外径に沿って配置した状態が維持される。保持部10bについても基体部10aとの接続部分が折れ曲がってロールペーパーPの外径に沿って配置した状態が維持されるようになる。
【0044】
そのため、
図7(d)に示すように、ロールペーパーPの外径が小さくなった場合でも、ロールペーパー端部P1の引き出し動作に追随して前側板状部20bがスムーズに引き出されていき、外径が大きい場合と同様の切断動作を継続して行うことができる。
【0045】
したがって、ロールペーパーPが切断使用されて外径が変化した場合でも外径の変化に対応してカバー体10及び可動板体20が変形し、スムーズな切断動作を継続することが可能となる。
【符号の説明】
【0046】
1・・・ロールペーパーホルダ、2・・・取付ブラケット、3・・・紙受けブラケット、4・・・ペーパー軸受体、5・・・回転支持部材、6・・・クラッチ部材、10・・・カバー体、10a・・・基体部、10b・・・保持部、10c・・・突条部、11・・・軸支部材、12・・・連結部材、13・・・カバー側磁石部材、14・・・引張バネ、20・・・可動板体、20a・・・後側板状部、20b・・・前側板状部、20c・・・突条部、21・・・落ち込み防止シート、22・・・転動部材、23・・・係合部、24・・・可動側磁石部材、25・・・接続部、30・・・切断部材
【要約】
【課題】本発明は、簡単な構成でロールペーパーの引き出し動作に追随して切断部材を確実に移動させて切断動作を行うことができるロールペーパーホルダを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係るロールペーパーホルダ1は、ロールペーパーPを上部から覆うように配置されて回動可能に取り付けられたカバー体10と、カバー体10の下面側に引張バネ14を介して取り付けられてロールペーパーPの引き出し方向に沿って移動可能となるようロールペーパーPの周面上に載置された可動板体20と、カバー体10の下面に取り付けられたカバー側磁石部材13と、可動板体20の上面においてカバー側磁石部材13と対向可能な移動範囲に配置されてカバー側磁石部材13に反発する磁力が生じるように取り付けられた可動側磁石部材24とを備えている。
【選択図】
図1