(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-05
(45)【発行日】2022-01-20
(54)【発明の名称】耐高温性ポリアミド成形材料および特に自動車産業分野におけるその使用
(51)【国際特許分類】
C08L 77/06 20060101AFI20220113BHJP
C08K 7/02 20060101ALI20220113BHJP
C08K 7/14 20060101ALI20220113BHJP
C08G 69/26 20060101ALI20220113BHJP
【FI】
C08L77/06
C08K7/02
C08K7/14
C08G69/26
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017057222
(22)【出願日】2017-03-23
【審査請求日】2020-03-23
(32)【優先日】2016-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】510022808
【氏名又は名称】エーエムエス-パテント アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100170944
【氏名又は名称】岩澤 朋之
(72)【発明者】
【氏名】マンフレート ヘーウェル
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ ストッペルマン
(72)【発明者】
【氏名】オリヴァー トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ニコライ ランバーツ
【審査官】谷合 正光
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-511674(JP,A)
【文献】特表2009-511675(JP,A)
【文献】国際公開第2015/151410(WO,A1)
【文献】特表2012-513499(JP,A)
【文献】特開昭62-156130(JP,A)
【文献】特開2000-44796(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 77/06
C08K 7/02
C08K 7/14
C08G 69/26
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の成分(A)~(E):
(A)40~70質量%の、以下から構成される、少なくとも1つの部分結晶性部分芳香族ポリアミド:
(a1)60~74質量%の、1,6-ヘキサンジアミンおよびテレフタル酸から形成される6T単位;
(a2)23~37質量%の、1,6-ヘキサンジアミンおよびイソフタル酸から形成される6I単位;
(a3)3~12質量%の、1,6-ヘキサンジアミンおよびドデカン二酸から形成される612単位;および
(a4)0~5質量%の下記の単位の1つ:1,6-ヘキサンジアミンおよびアジピン酸から形成される66単位;1,6-ヘキサンジアミンおよびスベリン酸から形成される68単位;1,6-ヘキサンジアミンおよびアゼライン酸から形成される69単位;1,6-ヘキサンジアミンおよびセバシン酸から形成される610単位;ε-カプロラクタムから形成される6単位;またはこれらの単位の混合物;
(ここで、成分(a1)~(a4)の合計は100質量%のポリアミド(A)となる);
(B)30~60質量%の繊維質補強材;
(C)0~30質量%の、(B)、(D)および(E)と異なる粒状フィラー;
(D)0~2.0質量%の熱安定剤;および
(E)0~6質量%の、(A)~(D)と異なる補助剤および/または添加剤;
(ここで、成分(A)~(E)の合計は100質量%となる)
からなるポリアミド成形材料。
【請求項2】
成分(a3)および(a4)の合計が、100質量%のポリアミド(A)に基づき、5~15質量%なる範囲にあることを特徴とする、請求項1に記載のポリアミド成形材料。
【請求項3】
成分(a3)および(a4)の合計が、100質量%のポリアミド(A)に基づき、8~12質量%なる範囲にあることを特徴とする、請求項1に記載のポリアミド成形材料。
【請求項4】
成分(A)の部分結晶性部分芳香族ポリアミドが
(a1)60~70質量%の、1,6-ヘキサンジアミンおよびテレフタル酸から形成される6T単位;
(a2)23~30質量%の、1,6-ヘキサンジアミンおよびイソフタル酸から形成される6I単位;
(a3)4~12質量%の、1,6-ヘキサンジアミンおよびドデカン二酸から形成される612単位;および
(a4)0~5質量%の下記の単位の1つ:1,6-ヘキサンジアミンおよびアジピン酸から形成される66単位;1,6-ヘキサンジアミンおよびスベリン酸から形成される68単位;1,6-ヘキサンジアミンおよびアゼライン酸から形成される69単位;1,6-ヘキサンジアミンおよびセバシン酸から形成される610単位;ε-カプロラクタムから形成される6単位;またはこれらの単位の混合物;
(ここで、成分(a1)~(a4)の合計は100質量%のポリアミド(A)となる)
から構成されることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のポリアミド成形材料。
【請求項5】
成分(A)の部分結晶性部分芳香族ポリアミドが
(a1)62~68質量%の、1,6-ヘキサンジアミンおよびテレフタル酸から形成される6T単位;
(a2)23~29質量%の、1,6-ヘキサンジアミンおよびイソフタル酸から形成される6I単位;
(a3)5~12質量%の、1,6-ヘキサンジアミンおよびドデカン二酸から形成される612単位;および
(a4)0~4質量%の下記の単位の1つ:1,6-ヘキサンジアミンおよびアジピン酸から形成される66単位;1,6-ヘキサンジアミンおよびスベリン酸から形成される68単位;1,6-ヘキサンジアミンおよびアゼライン酸から形成される69単位;1,6-ヘキサンジアミンおよびセバシン酸から形成される610単位;ε-カプロラクタムから形成される6単位;またはこれらの単位の混合物;
(ここで、成分(a1)~(a4)の合計は100質量%のポリアミド(A)となる)
から構成されることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のポリアミド成形材料。
【請求項6】
成分(A)の部分結晶性部分芳香族ポリアミドが
(a1)63~66質量%の、1,6-ヘキサンジアミンおよびテレフタル酸から形成される6T単位;
(a2)24~27質量%の、1,6-ヘキサンジアミンおよびイソフタル酸から形成される6I単位;
(a3)8~12質量%の、1,6-ヘキサンジアミンおよびドデカン二酸から形成される612単位;および
(a4)0.5~3質量%(好ましくは1~3質量%)の下記の単位の1つ:1,6-ヘキサンジアミンおよびアジピン酸から形成される66単位;1,6-ヘキサンジアミンおよびスベリン酸から形成される68単位;1,6-ヘキサンジアミンおよびアゼライン酸から形成される69単位;1,6-ヘキサンジアミンおよびセバシン酸から形成される610単位;ε-カプロラクタムから形成される6単位;またはこれらの単位の混合物;
(ここで、成分(a1)~(a4)の合計は100質量%のポリアミド(A)となる)
から構成されることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のポリアミド成形材料。
【請求項7】
成分(A)の部分結晶性部分芳香族ポリアミドの成分(a4)が、下記の単位の1つ:1,6-ヘキサンジアミンおよびアジピン酸から形成される66単位;ε-カプロラクタムから形成される6単位;またはこれらの単位の混合物、であることを特徴とする、請求項1に記載のポリアミド成形材料。
【請求項8】
成分(a4)が、1,6-ヘキサンジアミンおよびアジピン酸から形成される66単位のみであることを特徴とする、請求項1に記載のポリアミド成形材料。
【請求項9】
成分(a4)が、0~5質量%(好ましくは0.5~3質量%)なる範囲の割合の、1,6-ヘキサンジアミンおよびアジピン酸から形成される66単位のみであることを特徴とする、請求項1に記載のポリアミド成形材料。
【請求項10】
分子質量および末端基の少なくとも1つが、少なくとも1つの脂肪族、脂環式または芳香族単官能性カルボン酸によって調整され、1,6-ヘキサンジアミンに対する単官能性カルボン酸のモル比が、0.5~5モル%なる範囲にあり;または
使用するジカルボン酸の合計に対する1,6-ヘキサンジアミンのモル比が、少なくとも1.01であることを特徴とする、請求項1に記載のポリアミド成形材料。
【請求項11】
分子質量および末端基の少なくとも1つが、下記の群:酢酸、プロピオン酸、ステアリン酸、2-エチルヘキサン酸、シクロヘキサン酸および安息香酸またはこれらの混合物から選択される、少なくとも1つの脂肪族、脂環式または芳香族単官能性カルボン酸によって調整され、1,6-ヘキサンジアミンに対する単官能性カルボン酸のモル比が、1.0~2.5モル%(好ましくは1.4~1.9モル%)なる範囲にあり;または
使用するジカルボン酸の合計に対する1,6-ヘキサンジアミンのモル比が、少なくとも1.03であり且つ多くても1.15であることを特徴とする、請求項1に記載のポリアミド成形材料。
【請求項12】
使用するジカルボン酸の合計に対する1,6-ヘキサンジアミンのモル比が、1.03~1.10(好ましくは1.04~1.08)であることを特徴とする、請求項1に記載のポリアミド成形材料。
【請求項13】
成分(A)および全体としてのポリアミド成形材料の少なくとも一方が、295~320℃なる範囲の、20℃/分の加熱速度により示差走査熱量測定を用いて粒状物に対してISO基準11357-3に従って測定した融点を有し;または
成分(A)および全体としてのポリアミド成形材料の少なくとも一方が、少なくとも100℃および高くても130℃なる範囲の、20℃/分の加熱速度により示差走査熱量測定を用いて粒状物に対してISO基準11357-2に従って測定したガラス転移温度を有し;または
成分(A)および全体としてのポリアミド成形材料の少なくとも一方が、多くても3.5%の、95℃において水中で336時間にわたって保存した後の吸水率を有し;または
成分(A)および全体としてのポリアミド成形材料の少なくとも一方が、少なくとも6.0%の、120~140℃なる範囲の温度で5mm/分の引張速度によるISO 527に従って測定した破断時ひずみを有し;または
成分(A)および全体としてのポリアミド成形材料の少なくとも一方が、少なくとも2.0%の、グリコール-水混合物(1:1)におけるGM基準GMW15468,2011に従う130℃の温度で1008時間保存した後、5mm/分の引張速度によるISO 527に従って測定した破断時ひずみを有し;または
成分(A)および全体としてのポリアミド成形材料の少なくとも一方が、1.4と2.0の間の、DIN EN ISO 307、0.5質量%m-クレゾール溶液中、温度20℃、粒状物に従って測定した溶液粘度(η
rel)を有し;または
成分(A)および全体としてのポリアミド成形材料の少なくとも一方が、20~55J/gなる範囲の、20℃/分の加熱速度による示差走査熱量測定を用いて粒状物に対するISO基準11357-3に従って測定した融解エンタルピーを有する
ことを特徴とする、請求項1に記載のポリアミド成形材料。
【請求項14】
成分(A)および全体としてのポリアミド成形材料の少なくとも一方が、300~315℃なる範囲の、20℃/分の加熱速度により示差走査熱量測定を用いて粒状物に対してISO基準11357-3に従って測定した融点を有し;または
成分(A)および全体としてのポリアミド成形材料の少なくとも一方が、120~125℃なる範囲の、20℃/分の加熱速度により示差走査熱量測定を用いて粒状物に対してISO基準11357-2に従って測定したガラス転移温度を有し;または
成分(A)および全体としてのポリアミド成形材料の少なくとも一方が、多くても3.35%の、95℃において水中で336時間にわたって保存した後の吸水率を有し;または
成分(A)および全体としてのポリアミド成形材料の少なくとも一方が、6~10%なる範囲の、130℃の温度で5mm/分の引張速度によるISO 527に従って測定した破断時ひずみを有し;または
成分(A)および全体としてのポリアミド成形材料の少なくとも一方が、2.3~4%なる範囲の、グリコール-水混合物(1:1)におけるGM基準GMW15468,2011に従う130℃の温度で1008時間保存した後、5mm/分の引張速度によるISO 527に従って測定した破断時ひずみを有し;または
成分(A)および全体としてのポリアミド成形材料の少なくとも一方が、1.50と1.80の間の、DIN EN ISO 307、0.5質量%m-クレゾール溶液中、温度20℃、粒状物に従って測定した溶液粘度(η
rel)を有し;または
成分(A)および全体としてのポリアミド成形材料の少なくとも一方が、25~45J/gなる範囲の、20℃/分の加熱速度による示差走査熱量測定を用いて粒状物に対するISO基準11357-3に従って測定した融解エンタルピーを有する
ことを特徴とする、請求項1に記載のポリアミド成形材料。
【請求項15】
成分(B)が、成分(A)~(E)の合計に基づき、33~55質量%なる範囲の割合で存在することを特徴とする、請求項1に記載のポリアミド成形材料。
【請求項16】
成分(B)が、成分(A)~(E)の合計に基づき、35~45質量%なる範囲の割合で存在することを特徴とする、請求項1に記載のポリアミド成形材料。
【請求項17】
成分(B)が、ガラス繊維から構成されるかまたはガラス繊維を含有し、ガラス繊維が、 円形断面、または
非円形断面
を有することを特徴とする、請求項1に記載のポリアミド成形材料。
【請求項18】
成分(B)が、ガラス繊維から構成されるかまたはガラス繊維を含有し、ガラス繊維が、 5~20μm(好ましくは5~13μm、より好ましくは6~10μm)なる範囲の直径を有する円形断面、または
主断面軸対それに垂直である第二の断面軸の寸法比が、2.5以上(好ましくは2.5~6、より好ましくは3~5)である非円形断面
を有することを特徴とする、請求項1に記載のポリアミド成形材料。
【請求項19】
成分(C)が、成分(A)~(E)の合計に基づき、多くても20質量%なる範囲の割合で存在することを特徴とする、請求項1に記載のポリアミド成形材料。
【請求項20】
成分(C)が、成分(A)~(E)の合計に基づき、0.1~5質量%なる範囲の割合で存在することを特徴とする、請求項1に記載のポリアミド成形材料。
【請求項21】
成分(C)が、球状または楕円形のフィラーを含有するかまたはこれらから構成されることを特徴とする、請求項1に記載のポリアミド成形材料。
【請求項22】
成分(C)が、球状または楕円形のフィラーを含有するかまたはこれらから構成され、ここで、ケイ酸塩、金属、プラスチック、金属酸化物、ガラス、鉱物質、染料、顔料粒子および/またはこれらの混合物が使用されるか、或いは、成分(C)のフィラーが、タルク、マイカ、シリカ、石英、石英粉、二酸化チタン、ウォラストナイト、カオリン、ケイ酸、粉末又は沈降炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、チョーク、石灰石、長石、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、硫化亜鉛、ガラスビーズ、粉末ガラス、ガラススケール、ガラスフレーク、永久磁石のまたは磁化可能な金属化合物またはアロイ、無機顔料、金属粉、金属フレーク、金属被覆フィラー、金属酸化物、硬磁性または軟磁性金属またはアロイまたはセラミック、中空球ケイ酸塩フィラー、酸化アルミニウム、窒化ホウ素、炭化ホウ素、窒化アルミニウム、フッ化カルシウムおよびこの群からの成分の混合物からなる群から選択される、表面処理または未処理の形のフィラーとしてであることを特徴とする、請求項1に記載のポリアミド成形材料。
【請求項23】
成分(C)のフィラーが、タルク、マイカ、ケイ酸アルミニウム鉄またはケイ酸アルミニウムナトリウムの粒子、石英、石英粉、二酸化チタン、ウォラストナイト、カオリン、アモルファスのケイ酸、粉末又は沈降炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、チョーク、石灰石、長石、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、硫化亜鉛、中実または中空ガラスビーズ、粉末ガラス繊維、ガラススケール、ガラスフレーク、永久磁石のまたは磁化可能な金属化合物またはアロイ、酸化鉄、鉄マンガン酸化物、鉄粉、銅粉、アルミニウム粉、アルミニウムフレーク、鉄フレーク、金属被覆フィラー、スピネル、銅鉄スピネル、銅クロム酸化物、亜クロム酸銅(CuCr2O4)、亜鉛-鉄酸化物、コバルト-クロム酸化物、コバルト-アルミニウム酸化物、マグネシウムアルミニウム酸化物、銅-クロム-マンガン混合酸化物、銅-マンガン-鉄混合酸化物、ニッケルアンチモンチタン酸塩、クロムアンチモンチタン酸塩、硬磁性または軟磁性金属またはアロイまたはセラミック、中空球ケイ酸塩フィラー、酸化アルミニウム、窒化ホウ素、炭化ホウ素、窒化アルミニウム、フッ化カルシウムおよびこの群からの成分の混合物からなる群から選択される、表面処理または未処理の形のフィラーとしてであることを特徴とする、請求項1に記載のポリアミド成形材料。
【請求項24】
成分(D)が、成分(A)~(E)の合計に基づき、0.1~2.0質量%なる範囲の割合で存在するか、または
成分(D)が下記の群:
一価または二価の銅の化合物;
第二級芳香族アミンをベースとする安定剤;
立体障害フェノールをベースとする安定剤;
ホスファイトおよびホスホナイト、並びに
これらの混合物
から選択されることを特徴とする請求項1に記載のポリアミド成形材料。
【請求項25】
成分(D)が、成分(A)~(E)の合計に基づき、0.2~1.5質量%なる範囲の割合で存在するか、または
成分(D)が下記の群:
一価または二価の銅
と無機酸または有機酸または一価または二価のフェノール
との塩、一価または二価の銅の酸化物、銅塩とアンモニア、アミン、アミド、ラクタム、シアニドまたはホスフィンとの錯体化合物、ハロゲン化水素酸のCu(I)またはCu(II)塩、シアン化水素酸
、及び脂肪族カルボン酸の銅塩
からなる群から選択される銅化合物、
ここで、
前記銅化合物はそれだけでまたは濃縮物の形で使用され、ここで、前記濃縮物は、銅塩を高濃度で含有する、成分(A)と同じ化学的性質のポリマーであり、ここで、
前記銅化合物は、
アルカリ金属ハロゲン化物を含む更なる金属ハロゲン化物と組み合わせて使用してもよく、ここで、銅に対する金属ハロゲン化物のモル比は、0.5~20(好ましくは1~10、より好ましくは2~5)である;
第二級芳香族アミンをベースとする安定剤、ここで、第二級芳香族アミンをベースとする安定剤は、0.2~2質量%(好ましくは0.2~1.5質量%)の量で存在する;
立体障害フェノールをベースとする安定剤、ここで、立体障害フェノールをベースとする安定剤は、0.1~1.5質量%(好ましくは0.2~1質量%)の量で存在する;
ホスファイトおよびホスホナイト、および
これらの混合物
から選択されることを特徴とする請求項1に記載のポリアミド成形材料。
【請求項26】
成分(D)が、成分(A)~(E)の合計に基づき、0.2~1.5質量%なる範囲の割合で存在するか、または
成分(D)が下記の群:
CuCl、CuBr、CuI、CuCN、Cu2O及びこれらの化合物の混合物からなる群から選択される一価の銅化合物、
CuCl2、CuSO4、CuO、酢酸銅(II)、ステアリン酸銅(II)及びこれらの化合物の混合物からなる群から選択される二価の銅化合物、
ここで、前記一価及び/又は二価の銅化合物はそれだけでまたは濃縮物の形で使用され、ここで、前記濃縮物は、銅塩を高濃度で含有する、成分(A)と同じ化学的性質のポリマーであり、ここで、前記一価及び/又は二価の銅化合物は、NaI、KI、NaBrおよびKBrから選択される更なる金属ハロゲン化物と組み合わせて使用してもよく、ここで、銅に対する金属ハロゲン化物のモル比は、0.5~20(好ましくは1~10、より好ましくは2~5)である;
第二級芳香族アミンをベースとする安定剤、ここで、第二級芳香族アミンをベースとする安定剤は、0.2~2質量%(好ましくは0.2~1.5質量%)の量で存在する;
立体障害フェノールをベースとする安定剤、ここで、立体障害フェノールをベースとする安定剤は、0.1~1.5質量%(好ましくは0.2~1質量%)の量で存在する;
ホスファイトおよびホスホナイト、および
これらの混合物
から選択されることを特徴とする請求項1に記載のポリアミド成形材料。
【請求項27】
成分(E)が、成分(A)~(E)の合計に基づき、0.1~4質量%なる範囲の割合で存在し、または
成分(E)が、下記の群:脂肪族ポリアミド、結晶化促進剤または遅延剤、流動助剤、潤滑剤、離型剤、顔料、染料および標識物質、加工助剤、帯電防止剤、カーボンブラック、グラファイト、カーボンナノチューブ、重合プロセスからの残り(例えば触媒)、塩およびその誘導体から選択される
ことを特徴とする、請求項1に記載のポリアミド成形材料。
【請求項28】
成分(E)が、成分(A)~(E)の合計に基づき、0.2~3質量%なる範囲の割合で存在することを特徴とする、請求項1に記載のポリアミド成形材料。
【請求項29】
請求項1~
28のいずれか1項に記載のポリアミド成形材料からの成形体または請求項1~
28のいずれか1項に記載のポリアミド成形材料の少なくとも1つの領域または少なくとも1つのコーティングを有する成形体。
【請求項30】
射出成形、押出しまたは吹込み成形によって製造される、請求項
29に記載の成形体。
【請求項31】
冷却剤回路(好ましくは自動車の冷却剤回路(例えば冷却マニホールド、冷却液ライン、水注入口および排出口、サーモスタット、冷却器、冷却水ボックス、ポンプ、バルブおよび冷却剤回路におけるコネクタ、またはこれらの部品の構成要素)
)における成形体であるか、または燃料ライン、油圧
ライン、ブレーキライン、クラッチライン、尿素ラインまたはブレーキ液タンクまたは燃料タンクの形での成形体である、請求項
29に記載の成形体。
【請求項32】
冷却液または温水/熱水含有媒体または熱水または温水との接触を伴う用途のための成形体であることを特徴とする、請求項
29に記載の成形体。
【請求項33】
下記の群:
衛生上の構成部品(例えば、水量計、水量計ハウジングおよび水量計構成部品(例えば軸受、プロペラ、直立部分、管継手、飲料水使用のための取付け部品、バルブ、タップ))、
水供給部において熱水と接触している成形体(例えば熱水タンク)、および冷暖房システム(例えばオイル、ガス、木材およびソーラーの暖房システム)における成形体、および熱ポンプおよび部屋暖房における成形体、
冷却システム(例えば、自動車製造における冷却システム(例えば冷却水ポンプ))のための成形体、ここで、冷却システムのための成形体は、自動車産業分野用の構成部品(例えばシリンダヘッドカバー、エンジンカバー、中間冷却器用のハウジング、中間冷却器バルブ、インダクションパイプ、吸気マニホールド、コネクタ、ギアホイール、ファンホイール、冷却水タンク、熱交換器用のハウジングまたはハウジング部品、冷却剤冷却器、中間冷却器、サーモスタット、水ポンプ、ラジエータおよび取付け部品)の形態またはそれの一部としてであってもよい、
家庭電化製品(例えば、湯沸器、炊飯器、スチームクッカー、スチームアイロン
、および茶
及びコーヒーマシン用の部品)、
プラグインコネクタ及びコネクタ(例えばガソリン、ディーゼル、尿素および圧縮空気ライン用のコネクタ)、
多層シートのプロファイル、シートまたは層、及び
電子部品、ヘッドランプハウジング、反射器、適応ヘッドライトシステム、ギアホイール、電子部品用のハウジング、ツール、複合材料、プラスチック-ゴム複合体、ノズルおよび連結ホースまたはパイプ用の取付け部品
から選択される
少なくとも1種において用いるための、請求項
29に記載の成形体。
【請求項34】
請求項
29~33のいずれか1項に記載の成形体の製造のための請求項1~
28のいずれか1項に記載のポリアミド成形材料の使用。
【請求項35】
冷却液と接触させるための自動車産業分野用の構成部品としての請求項
29~
32のいずれか1項に記載の成形体の使用。
【請求項36】
水、グリコールおよびそれらの混合物の群から選択される冷却液と接触させるための自動車産業分野用の構成部品としての請求項
29~
32のいずれか1項に記載の成形体の使用。
【請求項37】
請求項1~
28のいずれか1項に記載のポリアミド成形材料の製造方法であって、
1,6-ヘキサンジアミン、テレフタル酸、イソフタル酸およびドデカン二酸がモノマーとして用いられ、且つ任意にアジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸
、セバシン酸および/またはε-カプロラクタムがモノマーとして用いられてもよく、ここで、1,6-ヘキサンジアミンは適切な二酸との塩として用いられてもよく、一段階プロセスで
成分(A)に重合されるか、または第一段階でプレ縮合体形成および第二段階で最終重合による二段階プロセスで成分(A)に重合され、その後にまたは前記第二段階の間に更なる成分(B)~(E)を添加するか;または
各々予め形成されたブロックの形の成分(a1)~(a4)をポリアミド(A)に変換し、その後におよび/またはブロックの前記変換の間におよび/またはすでにブロックの調製において、更なる成分(B)~(E)を添加する
ことを特徴とする、前記成形材料の製造方法。
【請求項38】
請求項
37に記載の方法であって、
重合において、無機または有機のリン化合物が使用され、ここで、水を含まないバッチに基づくリン含有量が質量基準で40~400ppm(好ましくは60~300ppm、より好ましくは70~150ppm)なる範囲にあり、ここで、リン化合物が、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、フェニルホスホン酸、フェニルホスフィン酸および/または1価~3価のカチオン(例えばNa、K、Mg、Ca、ZnまたはAl)とのその塩および/またはそのエステル(例えばトリフェニルホスフェート、トリフェニルホスファイトまたはトリス-(ノニルフェニル)ホスファイト)またはそれらの混合物を含む
ことを特徴とする、前記成形材料の製造方法。
【請求項39】
請求項
29~
33のいずれか1項に記載の成形体の製造方法であって、請求項1~
28のいずれか1項に記載の成形材料を融解した形で用い、成形された部品がこの成形材料から押出しプロセス、射出成形プロセスまたは吹込み成形プロセスにおいて形成されることを特徴とする、前記成形体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車産業分野において、高温の冷却液と接触させるのに特に適している、耐加水分解性が改善された耐高温性ポリアミド成形材料に関する。
【背景技術】
【0002】
部分結晶性部分芳香族ポリアミドまたはコポリアミドは、高温環境において使用するために開発され、特に少なくとも50モル%のテレフタルアミド単位の含有量で、これらの特に良好な熱機械的性質に特徴を有する。このようなポリアミドの融点は、典型的には270~330℃なる範囲にあるが、加工マシンでの長い滞留時間において320℃より高い融点は、必要な加工温度が高いことから問題になり得る。自動車産業分野における、特に冷却液(水、グリコール)と接触している要求の厳しい用途には、加えて、例えばガラス繊維補強ポリフタルアミドがGM基準GMW16360によって必要とされているように、130℃以上の温度で良好な耐加水分解性、更には良好な耐熱性および良好な機械的性質が必要である。
このような用途に適している材料は、吸水率が低くなければならず、さもなければ必要な寸法安定性が確保されないからである。更に、その材料は、また、複雑な形状に加工可能でなければならない。従って、特に自動車産業分野での適用分野においては、冷却システムにおける容器、ラインおよびコネクタなどにはアンダーカットを有する構成部品などの難しい形状が繰り返されている。とにかく作成することが可能であるこのような形状に対して、その時にガラス繊維で補強されるにしてもされないにしても、使用される材料は対応して複雑な射出成形ツールから損傷なしで取り出されることが可能であることに適していなければならない。従って、成形温度で新たに成形された部品の挙動は、この点で適切である。成形された部品は、この温度でなおそれが損傷せず取り出すことが可能である可撓性が充分でなければならない。これのための確認するパラメータは、剛性、破断時応力およびとりわけ成形温度における破断時ひずみである。
【0003】
ポリアミドPA6T/6I(70:30)は、前記GM基準を130℃で1008時間のグリコール/水混合物における保存に関しては明らかに満たしているが、130℃の成形温度ではそれがアンダーカットを完全に含む成形した部品を離型することを可能にするにはあまりに高い剛性およびあまりに低い破断時ひずみを有し、325℃の融点については、加工マシンにおいて長い滞留時間での加工は問題である。可撓化は、例えば、1,6-ヘキサンジアミンおよびアジピン酸から形成された、脂肪族66単位を組込むことによってこのポリフタルアミドで達成され得るので、型PA6T/6I/66のコポリアミドは130℃の成形温度で充分に離型可能である。しかしながら、この変性により、耐加水分解性および寸法安定性が著しく低下するので、GM基準GMW16360はもはや満たしていない。
欧州特許出願公開第488335A2号から、電気コネクタの製造のための芳香族ポリアミドをベースとする成形材料が知られており、50~100モル%の、テレフタル酸から誘導される反復単位および0~50モル%の、テレフタル酸と異なる芳香族ジカルボン酸および/または4~20個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸から誘導される反復単位および脂肪族ジアミンおよび/または脂環式ジアミンから誘導されるジアミン単位を含み、該芳香族ポリアミドは、濃硫酸中で測定した固有粘度0.5~3.0dl/gおよび300℃を超える融点をもっている。更にまた、成形材料は、特定のグラフト変性オレフィンポリマーまたはジエンコポリマーおよびブレンド成分としての脂肪族ポリアミドを含有する。実施例において加工されている非補強成形材料は、系PA 6T/6I、PA 6T/66およびPA 6T/6I/610をベースとしている。しかしながら、これらの成形材料は冷却液分野における用途には上述した要求を満たさず、いずれにしても、この開示は耐加水分解性または冷却液の輸送に関係しない。
【0004】
欧州特許出願公開第2 746 339号から、型6T/6I/6または6T/6I/66の部分結晶性部分芳香族のポリアミドをベースとした耐熱劣化性ポリアミド成形材料が知られており、それから成形体が製造されている。
米国特許出願公開第2012196973号から、構造612/6Tおよび610/6Tを有する熱可塑性組成物が知られており、脂肪族ブロックが常に主な部分を占めている。
欧州特許出願公開第2 666 803号から、型MACM12/MACMIMACMT/12の透明な成形材料が知られており、それは特に耐擦傷性である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明は、なかでも、特に自動車産業分野において、成形体の製造のために改善された成形材料、従って、特に高温でグリコール-水混合物(冷却剤)と接触している高耐加水分解性を有する改善された成形材料を提供する目的に基づく。このことにより少なくともGMW16360に従う要求は、満たされなければならない。すなわち、130℃のグリコールと水(1:1)の混合物における1008時間保存後の破断時応力および破断時ひずみ(GMW15468、ISO 527-1/2に従う)は、35%程度の補強に対してはそれぞれ少なくとも110MPa(破断時応力)および1.5%(破断時ひずみ)および45%程度の補強に対してはそれぞれ少なくとも120MPa(破断時応力)および2.0%(破断時ひずみ)でなければならない。あるいはまたは加えて、GMW16360に従う要求は、少なくとも、いくらか短い保存に対しても満たされなければならない。すなわち、130℃のグリコールと水(1:1)の混合物における504時間保存後の破断時応力および破断時ひずみ(GMW15468、ISO 527-1/2に従う)は、35%程度の補強に対してはそれぞれ少なくとも105MPa(破断時応力)および2.0%(破断時ひずみ)および45%程度の補強に対してはそれぞれ少なくとも130MPa(破断時応力)および2.5%(破断時ひずみ)でなければならない。
【0006】
しかしながら、好ましくは、グリコールと水(1:1)の混合物における1008時間の保存および/または504時間の保存の後の破断時応力および破断時ひずみに関する指定された基準は超えなければならない、すなわち、破断時応力は35%程度の補強に対しては少なくとも120MPaおよび45%程度の補強に対しては少なくとも140MPaでなければならず、破断時ひずみは35%または45%の補強に対しては少なくとも2.3%(保存1008時間)または少なくとも2.7%(保存504時間)でなければならない。
更にまた、成形材料は良好な寸法安定性を有しなければならず、それは好ましくは3.7%未満または3.5%未満の吸水率を有する自動車産業分野における意図した用途にかなっている。加えて、本発明に従う成形材料から製造される成形体は、例えばアンダーカットの形状さえも要求しつつツールから離型可能でなければならない。成形材料が好ましくは少なくとも6.0%、好ましくは少なくとも6.5%、特に好ましくは少なくとも7.0%の破断時ひずみを各々130℃の成形温度で有する場合には、良好な離型性を確実にする(これらの破断時ひずみの値は、グリコール-水混合物における試験片の前もっての保存なしで解釈されるべきである)。更にまた、成形材料が最適に加工されることができるように、ベースポリマーの融点、更に成形材料の融点は315℃の温度を超えてはならないことが好ましい。この問題は、請求項に記載されているようにポリアミド成形材料または請求項に記載されているように成形部品によって解決される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
具体的には、本発明は、下記の成分(A)~(E):
(A)40~70質量%の、以下から構成される、少なくとも1つの部分結晶性部分芳香族ポリアミド:
(a1)60~77質量%、好ましくは60~75質量%の、1,6-ヘキサンジアミンおよびテレフタル酸から形成される6T単位;
(a2)20~37質量%、好ましくは20~35質量%の、1,6-ヘキサンジアミンおよびイソフタル酸から形成される6I単位;
(a3)3~20質量%、好ましくは3~15質量%の、1,6-ヘキサンジアミンおよびドデカン二酸から形成される612単位;および
(a4)0~5質量%の下記の単位の1つ:1,6-ヘキサンジアミンおよびアジピン酸から形成される66単位;1,6-ヘキサンジアミンおよびスベリン酸から形成される68単位;1,6-ヘキサンジアミンおよびアゼライン酸から形成される69単位;1,6-ヘキサンジアミンおよびセバシン酸から形成される610単位;ε-カプロラクタムから形成される6単位;またはこのような単位の混合物;
(ここで、成分(a1)~(a4)の合計は100質量%のポリアミド(A)となる);
(B)30~60質量%の繊維質補強材;
(C)0~30質量%の、(B)、(D)および(E)と異なる粒状フィラー;
(D)0~2.0質量%の熱安定剤;および
(E)0~6質量%の、(A)~(D)と異なる補助剤および/または添加剤;
(ここで、成分(A)~(E)の合計は100質量%となる)
からなる熱可塑性ポリアミド成形材料に関する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
従来技術の文献は、冷却水分野における成形部品の分野のためのこのようなポリアミド成形材料の適合性は言うまでもなく、請求の範囲に記載されている組成物によるポリアミド成形材料を記載してなく、同様の化学組成による文献における完全に異なる用途もまた、このような適合性を明らかにすることができない。特に、このような成形材料がこのような用途のために少なくとも130℃の温度で顕著な耐加水分解性を達成できることを当業者が想定することはできない。
ポリアミド成形材料の特性には、成分(A)の中にある程度まで純粋な脂肪族ブロックも有する全体は、上述した特性の組み合わせにおける役割がある。従って、更なる好ましい実施態様によれば、成分(A)は、100質量%のポリアミド(A)に基づくブロック(a3)および(a4)の合計が5~15質量%なる範囲、好ましくは8-12質量%なる範囲にあるという点に特徴を有する。
第1の好ましい実施態様によれば、ポリアミド成形材料は、6T単位に関して成分(A)の部分結晶性部分芳香族ポリアミドは、(a1)60~70質量%、好ましくは62~68質量%、特に好ましくは63~66質量%の、1,6-ヘキサンジアミンおよびテレフタル酸から形成される6T単位から構成されていることに特徴を有する。
【0009】
6I単位に関しては、それから同時にまたは独立して(a2)20~30質量%、好ましくは23~29質量%、特に好ましくは24~27質量%の、1,6-ヘキサンジアミンおよびイソフタル酸から形成される6I単位から構成されることが好ましい。
612単位に関しては、(a1)および/または(a2)の上述した設定から同時にまたは独立して成分(A)が、(a3)4~15質量%、好ましくは5~13質量%、特に好ましくは7~13質量%または8~12質量%の、1,6-ヘキサンジアミンおよびドデカン二酸から形成される612単位から構成されることが好ましい。
更に脂肪族単位(a4)に関しては、(a1)~(a3)の前述の設定から同時にまたは独立して成分(A)が、(a4)0~5質量%、好ましくは0~4質量%、特に好ましくは0.5~3質量%または1~3質量%の下記の単位の1つ:1,6-ヘキサンジアミンおよびアジピン酸から形成される66単位;1,6-ヘキサンジアミンおよびスベリン酸から形成される68単位;1,6-ヘキサンジアミンおよびアゼライン酸から形成される69単位;1,6-ヘキサンジアミンおよびセバシン酸から形成される610単位;ε-カプロラクタムから形成される6単位;またはこのような単位の混合物から構成されることが好ましい。特に好ましくは、成分(A)は単位(a4)を含まない、すなわち単位(a1)~(a3)だけを含む。
成分(a1)~(a4)の含有量の上述した好ましい実施態様の各々においては、成分(a1)~(a4)の合計が100質量%のポリアミド(A)となることが適用される。
【0010】
成分(A)の部分結晶性部分芳香族性のポリアミドの成分(a4)に関しては、更なる好ましい実施態様によれば、これが下記の群:1,6-ヘキサンジアミンおよびアジピン酸から形成される66単位;ε-カプロラクタムから形成される6単位;またはこのような単位の混合物から選択される単位の1つであり、成分(a4)が好ましくは、0~5質量%、好ましくは0~4質量%、特に好ましくは0.5~3質量%なる範囲の割合で、1,6-ヘキサンジアミンおよびアジピン酸から形成される66単位によってだけで準備されることが好ましいことが適用される。
三成分系コポリアミド6T/6I/612またはコポリアミド6T/6I/(a4)/612およびその末端の基の分子量の調整は、
i.過剰の1,6-ヘキサンジアミンまたは
ii.過剰のテレフタル酸、イソフタル酸、ドデカン二酸、セバシン酸、アゼライン酸、スベリン酸およびアジピン酸を使用するジカルボン酸または
iii.単官能性アミンの使用または
iv.単官能性カルボン酸の使用
によって行うことができる。
【0011】
ここで、調整の種類は、(i)または(ii)の組み合わせと(iii)および/または(iv)からなることもできる。好ましくは(i)と(iv)の組み合わせからの調整を使用する。これにおいて、少なくとも1つの脂肪族、脂環式または芳香族単官能性カルボン酸、好ましくは芳香族モノカルボン酸を使用し、単官能性カルボン酸の濃度は、1,6-ヘキサンジアミンの含有量に基づき0.5~5モル%なる範囲、好ましくは1.0~2.5モル%、特に好ましくは1.4~1.9モル%なる範囲にある。具体的には、これは、1,6-ヘキサンジアミンに対する単官能性カルボン酸のモル比が0.005~0.05なる範囲、好ましくは0.010~0.025なる範囲、特に好ましくは0.014~0.019なる範囲にあることを意味することが好ましい。
更なる本発明の好ましい実施態様によれば、単官能性カルボン酸は、酢酸、プロピオン酸、ステアリン酸、2-エチルヘキサン酸、シクロヘキサン酸および安息香酸またはこれらの混合物からなる群から選択される。更にまた、使用するジカルボン酸の合計に対する1,6-ヘキサンジアミンのモル比が少なくとも1.01、特に少なくとも1.03である場合が好ましい。すなわち、重合においてジアミン過剰が存在するように出発材料が使用される。好ましくは、使用するジカルボン酸の合計に対する1,6-ヘキサンジアミンのモル比は、多くても1.15である。ジカルボン酸に対するジアミンの比に好ましい範囲は、1.03~1.10、特に1.04~1.08である。
【0012】
三成分系コポリアミド6T/6I/612または少なくとも四成分系コポリアミド6T/6I/(a4)/612は、好ましくは無機または有機のリン化合物を用いて作ることが好ましく、水を含まないバッチに基づくリン含有量(水を含まない全ての計量した量の合計、すなわち成分(a1)~(a4)の全てのモノマーの合計)は40~400ppm(ppm、各々質量に基づく)なる範囲、好ましくは60~300ppm、特に70~150ppmなる範囲にある。好ましいリン化合物は、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、フェニルホスホン酸、フェニルホスフィン酸および/または例えばNa、K、Mg、Ca、ZnまたはAlの1価~3価のカチオンとのその塩および/またはトリフェニルホスフェート、トリフェニルホスファイトまたはトリス-(ノニルフェニル)ホスファイトのようなそのエステルまたはその混合物である。特に好ましくは、次亜リン酸および次亜リン酸水素ナトリウム一水和物が使用される。
従って同様に、本発明は、上述されたように、また、以下でなお更に詳述されるように、ポリアミド成形材料の製造方法に関し、その方法は、モノマーとしてアジピン酸(C6)、スベリン酸(C8)、アゼライン酸(C9)、セバシン酸(C10)および/またはε-カプロラクタム(C6)の群から選択される、いずれの1,6-ヘキサンジアミン、テレフタル酸、イソフタル酸およびドデカン二酸および任意により更なる脂肪族ジカルボン酸またはラクタムも、特に調節剤、触媒、水などの他の出発材料も同様に、任意により適切な二酸によるジアミンの塩として用いられ、一段階プロセスでまたは第一段階でプレ縮合体形成および第二段階で最終重合による二段階プロセスで成分(A)に重合され、次にまたは前記第二段階の間に更なる成分(B)~(E)が添加されることに特徴を有する。
【0013】
あるいは、プロセスは2段階を超えて行うことができる。従って、成分a1~a4は、単独でおよび/または組み合わせても、いずれの場合もプレ縮合体(好ましくは、500~5000g/モル、好ましくは500~3000g/モル、特に500~2500g/モルなる範囲の数平均分子量を有しかつ/または1.1と1.3の間、好ましくは1.1と1.2の間、特に好ましくは1.12と1.17の間の、DIN EN ISO 307、0.5質量%m-クレゾール溶液中、温度20℃、粒状物に従って測定した溶液粘度(ηrel)によって表される)という意味において、あるいはポスト縮合体またはポリ縮合体(好ましくは少なくとも5000g/モル、特に5000~30000g/モルなる範囲の数平均分子量を有しかつ/または1.4と2.5の間、特に好ましくは1.50と1.80の間の、DIN EN ISO 307、0.5質量%m-クレゾール溶液、温度20℃、粒状物に従って測定した溶液粘度(ηrel)に関して表される)という意味において予め形成されたブロックの形で反応させて、ポリアミド(A)を得ることができる。従って、例えば、ポリアミド(A)は、成分(a1)および(a2)から構成される第1のブロックと成分(a3)および任意により成分(a4)からの更なるブロック、または成分(a3)からの1つのブロックおよび成分(a4)からの1つのブロックの混合物の間の反応によって製造することができ、次におよび/またはブロックの前記反応の間にまたはすでにブロックの調製において、更なる成分(B)~(E)を添加することができる。
上述した要求には、特に冷却液と接触している自動車産業分野における使用には、特性の特定の組み合わせ、すなわち特に所定の範囲における融点、所定の値より高い130℃での破断時ひずみ、所定の値より高いグリコール-水混合物における130℃で1000時間にわたる保存時の破断時ひずみおよび所定の値より低い吸水率が必要である。特性のこの特定の組み合わせが効果的に達成される場合にのみ、ポリアミド成形材料はとにかくこの非常に特殊な用途に考慮されるのに適切である。
【0014】
下記で述べられるポリアミド成形材料の特性は、いずれの場合においてもそれ自体で個々に好ましいとみなされるが、組み合わせている全てを上回って好ましい:
・好ましい実施態様によれば、成分(A)および/または全体としてのポリアミド成形材料は、295~315℃なる範囲、好ましくは300~315℃なる範囲の、20℃/分の加熱速度で示差走査熱量測定(DSC)を用いて粒状物に対してISO基準11357-3に従って定量した融点を有する;
・好ましい実施態様によれば、成分(A)および/または全体としてのポリアミド成形材料は、少なくとも100℃および/または130℃未満、好ましくは105~127℃なる範囲、特に110~125℃なる範囲、好ましくは120~125℃なる範囲の、20℃/分の加熱速度で示差走査熱量測定(DSC)を用いて粒状物に対してISO基準11357-3に従って定量したガラス転移温度を有する;
・好ましい実施態様によれば、成分(A)および/または全体としてのポリアミド成形材料は、多くても3.5%、好ましくは多くても3.4%、特に好ましくは多くても3.35%の、95℃において水中で336時間にわたって保存した後の吸水率を有する;
・好ましい実施態様によれば、成分(A)および/または全体としてのポリアミド成形材料は、少なくとも6.0%の、好ましくは6.0~10%なる範囲、120~140℃なる範囲の温度、好ましくは130℃の温度で5mm/分のトラクション速度によるISO 527に従って測定した破断時ひずみを有する;
・好ましい実施態様によれば、成分(A)および/または全体としてのポリアミド成形材料は、少なくとも2.0%、好ましくは少なくとも2.3%、特に好ましくは2.3~4%なる範囲の、グリコール-水混合物(1:1)におけるGM基準GMW15468(2011)に従う130℃の温度で1008時間保存した後、5mm/分のトラクション速度によるISO 527に従って測定した破断時ひずみを有する;
・好ましい実施態様によれば、成分(A)および/または全体としてのポリアミド成形材料は、1.4と2.0の間、特に好ましくは1.50と1.80の間の、DIN EN ISO 307、0.5質量%m-クレゾール溶液中、温度20℃、粒状物に従って測定した溶液粘度(ηrel)を有する;
・好ましい実施態様によれば、成分(A)および/または全体としてのポリアミド成形材料は、20~55J/gなる範囲、特に25~45J/gなる範囲の、20℃/分の加熱速度による示差走査熱量測定(DSC)を用いて粒状物に対するISO基準11357-3に従って定量した融解エンタルピーを有する。成分(A)の好ましい実施態様は、35~55J/g、特に38~48J/gなる範囲の融解エンタルピーを有する。
【0015】
特性、続く加工および/または利用に関しては、これらの前記特性が単独でまたは組み合わせて有利であることわかる。
更にまた、コポリアミド(A)において、アミノ末端基は、カルボキシル末端基を上回ることが好ましく、アミノ末端基の濃度は、カルボキシル末端基の濃度より好ましくは少なくとも10ミリモル/kgだけ高く、特に好ましくは少なくとも20ミリモル/kgだけ高い。
ポリアミド成形材料は、義務的に成分(B)の形で少なくとも30質量%、好ましくは多くても60質量%の割合で繊維質補強材を含有する。
好ましい実施態様によれば、ポリアミド成形材料は、成分(B)が、成分(A)~(E)の合計に基づき、33~55質量%なる範囲、好ましくは35~45質量%なる範囲の割合で存在することに特徴を有する。
ここでの成分(B)は、好ましくはガラス繊維から構成されるかまたは成分としてガラス繊維を含有することができることが好ましい。ここでのガラス繊維は、特に好ましくは5~20μmなる範囲、または5~13μmなる範囲または6~10μmなる範囲の直径を有する円形断面、または非円形断面を有することができ、主断面軸対それに垂直である第二の断面軸の寸法比が好ましくは2.5であり、特に好ましくは2.5~6または3~5なる範囲にある。
好ましい実施態様によれば、成分(B)の繊維質補強材は、このようにして、ガラス繊維の形で使用される。
ガラス繊維は、例えばいわゆる短繊維(例えば0.2~20mmの長さを有するチョップドグラス)または連続繊維(ロービング)の形で使用することができる。ガラス繊維(B)は異なる断面積を有することができ、円形断面(円形繊維)のガラス繊維および非円形断面(平坦な繊維)のガラス繊維が好ましい。
【0016】
円形断面のガラス繊維、すなわち、円形ガラス繊維は、5~20μmなる範囲、好ましくは5~13μmなる範囲、特に好ましくは6~10μmなる範囲の直径を有することが好ましい。これらは、ガラス短繊維(0.2~20mm、好ましくは2~12mmの長さを有するチョップドグラス)として使用することが好ましい。
平坦なガラス繊維、すなわち、非円形断面のガラス繊維の場合、主断面軸対それに垂直である第二の断面軸の寸法比が2.5を超えるもの、好ましくは2.5~6なる範囲、特に3~5なる範囲のものが使用されることが好ましい。これらのいわゆる平坦なガラス繊維は、卵形、楕円形、くびれを有する楕円形(いわゆるまゆ繊維)、多角形、矩形またはほぼ矩形の断面積を有する。使用する平坦なガラス繊維の更なる特徴を表す形状は、主断面軸の長さが6~40μmなる範囲、特に15~30μmなる範囲にあり、第二の断面軸の長さが3~20μmなる範囲、特に4~10μmなる範囲にあることが好ましい。同時に、平坦なガラス繊維は、できるだけ高い充填密度を有する、すなわち、ガラス断面積は、少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、特に好ましくは少なくとも85%までできるだけ正確にガラス繊維断面を包囲している仮想上の矩形を充填する。
本発明に従う成形材料の補強には、円形断面および非円形断面のガラス繊維の混合物も使用することができ、平坦なガラス繊維の割合が優勢であることが好ましい、すなわち繊維の全質量の50質量%を超える。
【0017】
好ましくは、成分(B)は、Eガラス繊維(ASTM D578-00によれば、52~62%の二酸化ケイ素、12~16%の酸化アルミニウム、16~25%の酸化カルシウム、0~10%のホウ砂、0~5%の酸化マグネシウム、0~2%のアルカリ金属酸化物、0~1.5%の二酸化チタンおよび0~0.3%酸化鉄からなり;好ましくは、2.58±0.04g/cm3の密度、70~75GPaの引張弾性率、3000~3500MPaの破断時応力および4.5~4.8%の破断時ひずみを有する)、Aガラス繊維(63~72%の二酸化ケイ素、6~10%の酸化カルシウム、14~16%の酸化ナトリウムや酸化カリウム、0~6%の酸化アルミニウム、0~6%の酸化ホウ素、0~4%の酸化マグネシウム)、Cガラス繊維(64~68%の二酸化ケイ素、11~15%の酸化カルシウム、7~10%の酸化ナトリウムや酸化カリウム、3~5%の酸化アルミニウム、4~6%の酸化ホウ素、2~4%の酸化マグネシウム)、Dガラス繊維(72~75%の二酸化ケイ素、0~1%の酸化カルシウム、0~4%の酸化ナトリウムや酸化カリウム、0~1%の酸化アルミニウム、21~24%酸化ホウ素)、玄武岩繊維(近似組成:52%のSiO2、17%のAl2O3、9%のCaO、5%のMgO、5%のNa2O、5%の酸化鉄および更なる金属酸化物を有する鉱物繊維)、ARガラス繊維(55~75%の二酸化ケイ素、1~10%の酸化カルシウム、11~21%の酸化ナトリウムや酸化カリウム、0~5%の酸化アルミニウム、0~8%の酸化ホウ素、0~12%の二酸化チタン、1~18%の酸化ジルコニウム、0~5%の酸化鉄)、およびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0018】
成分(B)の好ましい実施態様は、二酸化ケイ素-酸化アルミニウム-酸化マグネシウムの三成分系または二酸化ケイ素-酸化アルミニウム-酸化マグネシウム-酸化カルシウムの四成分系をベースとする高強度ガラス繊維であり、二酸化ケイ素、酸化アルミニウムおよび酸化マグネシウムの含有量の合計は、全体のガラス組成物に基づき、少なくとも78質量%、好ましくは少なくとも87%、特に好ましくは少なくとも92%である。
特に、58~70質量%の二酸化ケイ素(SiO2)、15~30質量%の酸化アルミニウム(Al2O3)、5~15質量%の酸化マグネシウム(MgO)、0~10質量%の酸化カルシウム(CaO)および0~2質量%の更なる酸化物、例えば、二酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化ホウ素(B2O3)、二酸化チタン(TiO2)または酸化リチウム(Li2O)の組成物が特に好ましい。更なる実施態様においては、高強度ガラス繊維は、60~67質量%の二酸化ケイ素(SiO2)、20~28質量%の酸化アルミニウム(Al2O3)、7~12質量%の酸化マグネシウム(MgO)、0~9質量%の酸化カルシウム(CaO)および0~1.5質量%の更なる酸化物、例えば、二酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化ホウ素(B2O3)、二酸化チタン(TiO2)、酸化リチウム(Li2O)である。
高強度ガラス繊維の次の組成物:62~66質量%の二酸化ケイ素(SiO2)、22~27質量%の酸化アルミニウム(Al2O3)、8~12質量%の酸化マグネシウム(MgO)、0~5質量%の酸化カルシウム(CaO)、0~1質量%の他の酸化物、例えば、二酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化ホウ素(B2O3)、二酸化チタン(TiO2)および酸化リチウム(Li2O)を有する場合には特に好ましい。
【0019】
高強度ガラス繊維は、3700MPa以上、好ましくは少なくとも3800または4000MPaの破断時応力、少なくとも4.8%、好ましくは少なくとも4.9または5.0%の破断時ひずみおよび75GPaを超える、好ましくは78または80GPaを超える引張弾性率を有し、これらのガラス特性は直径10μmおよび長さ12.7mmを有する単一繊維(初期状態の単一フィラメント)により23℃の温度および50%の相対湿度で定量されている。成分(B1)のこれらの高強度ガラス繊維の個々の例は、995サイズをもつオーウェンスコーニング(Owens Corning)製のSガラス繊維、日東紡(Nittobo)製のTガラス繊維、3B製のハイパーテックス(HiPertex)、シノマジンジングファイバーグラス(Sinoma Jinjing Fiberglass)製のHS4ガラス繊維、ベテロテックス(Vetrotex)製のRガラス繊維およびAGY製のS-1およびS-2ガラス繊維である。
例えば、ロービング(長繊維)として使用されるガラス繊維(連続繊維)は、8~20μm、好ましくは12~18μmの直径(円形ガラス繊維による)または第二の断面軸(平坦なガラス繊維による)を有し、ガラス繊維の断面が円形、卵形、楕円形、くびれた楕円形、多角形、矩形またはほとんど矩形であることができる。
2.5~5の断面軸の比、すなわち、主断面軸対第二の断面軸の比を有するいわゆる平坦なガラス繊維が特に好ましい。長繊維は、上記の種類のガラスから製造され、Eガラスおよび高強度ガラスの種類をベースとする長繊維が好ましい。これらの連続繊維は、長繊維補強ロッド形状粒状物を製造する既知のプロセスによって、特に引抜き成形法によって本発明に従うポリアミド成形用組成物に組み込まれ、連続繊維ストランド(ロービング)がポリマー溶融物に完全に含浸され、次に、冷却され、細断される。このようにして得られた長繊維補強ロッド形状粒状物は、粒状物の長さが3~25mm、特に4~12mmであることが好ましく、更に通例の加工法(例えば、射出成形または圧縮成形)によって成形部品に加工することができる。
【0020】
成分(B)として、非円形断面(平坦な繊維)を有し且つ主断面軸対第二の断面軸の軸比が少なくとも2.5を有するEガラスのガラス繊維および/または円形または非円形の断面および本質的に成分二酸化ケイ素、酸化アルミニウムおよび酸化マグネシウムをベースとするガラス組成物を有し、酸化マグネシウム(MgO)の割合が5~15質量%であり、酸化カルシウムの割合が0~10質量%である高強度ガラス繊維が好ましい。
平坦なEガラス繊維として、成分(B)のガラス繊維は、好ましくは、2.54~2.62g/cm3の密度、70~75GPaの引張弾性率、3000~3500MPaの破断時応力および4.5~4.8%の破断時ひずみを有し、機械的性質は直径10μmおよび長さ12.7mmを有する単一繊維により23℃および50%の相対湿度で求めた。
本発明に従うガラス繊維は、アミノシランまたはエポキシシラン化合物をベースとするカップリング剤を含有する熱可塑性プラスチック、より詳しくはポリアミドに適しているサイズを備えることができる。
ポリアミド成形材料は、任意により、他の成分(B)、(D)および(E)と異なる粒状フィラーを成分(C)の形で多くても30質量パーセントの割合で含有してもよい。
好ましい実施態様によれば、成分(C)は、成分(A)~(E)の合計に基づき、多くても20質量%なる範囲、好ましくは多くても10質量%なる範囲、特に好ましくは0.1~5質量%なる範囲の割合で存在する。
【0021】
成分(C)は、一般的に言えば、球状および/または楕円形のフィラーを含有することができるかまたはこれらから構成されることができ、好ましくは、ケイ酸塩、金属、プラスチック、金属酸化物、ガラス、鉱物質、染料、顔料粒子およびこのような粒子の混合物を使用することができ、成分(C)のフィラーは、特に好ましくは、タルク、マイカ、シリケート、例えば特にケイ酸アルミニウム鉄および/またはケイ酸アルミニウムナトリウムの粒子、石英、石英粉、二酸化チタン、ウォラストナイト、カオリン、ケイ酸、特にアモルファスのケイ酸、粉末炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、チョーク、石灰石、長石、マイカ、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、硫化亜鉛、ガラスビーズ、特に中実ガラスビーズ、中空ガラスビーズ、粉末ガラス、特に粉末ガラス繊維、ガラススケール、ガラスフレーク、永久磁石のまたは磁化可能な金属化合物および/またはアロイ、無機顔料、例えば特に酸化鉄、酸化鉄マンガン酸化、金属粉、特に鉄粉、銅粉、アルミニウム粉、金属フレーク、特にアルミニウムフレーク、鉄フレーク、金属被覆フィラー、金属酸化物、特にスピネル、例えば特に銅鉄スピネル、銅クロム酸化、亜クロム酸銅(CuCr2O4)、亜鉛-鉄酸化物、コバルトクロム酸化物、コバルト-アルミニウム酸化物、マグネシウムアルミニウム酸化物、銅-クロム-マンガン混合酸化物、銅-マンガン-鉄混合酸化物、ニッケルアンチモンチタン酸塩、クロムアンチモンチタン酸塩、硬磁性または軟磁性金属またはアロイまたはセラミック、中空球シリケートフィラー、酸化アルミニウム、窒化ホウ素、炭化ホウ素、窒化アルミニウム、フッ化カルシウムおよびこの群からの成分の混合物からなる群から選択される、表面処理または未処理の形でのフィラーである。
従って、この更に好ましい実施態様によれば、成形材料は、成分(C)として更にフィラーをポリアミド成形材料において多くても20質量%なる範囲、好ましくは多くても10質量%なる範囲、特に好ましくは0.1~5質量%なる範囲の割合で含有することができ、本発明に従う熱可塑性成形材料が補強剤と組み合わせて粒状フィラーまたは2種類以上の異なる粒状フィラーの混合物を含有することもできる。
【0022】
ポリアミド成形材料は、任意により、成分(D)の形で成分(B)、(C)および(E)と異なる熱安定剤を多くても2質量%の割合で含有してもよい。好ましくは、成分(D)は、成分(A)~(E)の合計に基づき、0.1~2.0質量%なる範囲、特に好ましくは0.2~1.5質量%なる範囲の割合で存在する。
ここで成分(D)は、好ましい実施態様によれば下記の群から選択することができる:
・一価または二価の銅の化合物、特に一価または二価の銅と無機酸または有機酸または一価または二価のフェノールとの塩、一価または二価の銅の酸化物、または銅塩とアンモニア、アミド、ラクタム、シアニドまたはホスフィンとの錯体化合物、好ましくはハロゲン化水素酸、シアン化水素酸のCu(I)またはCu(II)塩または脂肪族カルボン酸の銅塩(ここで、一価の銅化合物CuCl、CuBr、CuI、CuCNおよびCu2Oおよび二価の銅化合物CuCl2、CuSO4、CuO、酢酸銅(II)またはステアリン酸銅(II)が特に好ましい)またはこれらの化合物の混合物(ここで、これらの銅化合物はそれだけでまたは好ましくは濃縮物の形で使用される)。ここで、濃縮物は、銅塩を高濃度で含有するポリマー、好ましくは成分(A)と同じかまたは本質的に同じ化学的性質を意味すると解釈されなければならない。特に、銅化合物は、アルカリ金属ハロゲン化物、例えばNaI、KI、NaBrおよびKBrが含まれる更なる金属ハロゲン化物と組み合わせて使用されることが好ましく、銅に対する金属ハロゲン化物のモル比は、0.5~20、好ましくは1~10、特に好ましくは2~5である;
・第二級芳香族アミンをベースとする安定剤、これらの安定剤は0.2~2質量%、好ましくは0.2~1.5質量%の量で存在することが好ましい;
・立体障害のフェノールをベースとする安定剤、これらの安定剤は0.1~1.5質量%、好ましくは0.2~1質量%の量で存在することが好ましい;
・ホスファイトおよびホスホナイト、および
・上述した安定剤の混合物。
【0023】
従って、これらは、一価または二価の銅の化合物、例えば一価または二価の銅と無機酸または有機酸または一価または二価のフェノールとの塩、一価または二価の銅の酸化物、または銅塩とアンモニア、アミン、アミド、ラクタム、シアニドまたはホスフィンとの錯体化合物、好ましくはハロゲン化水素酸、シアン化水素酸のCu(I)またはCu(II)塩または脂肪族カルボン酸の銅塩であることが好ましい。一価の銅化合物CuCl、CuBr、CuI、CuCNおよびCu2O、および二価の銅化合物CuCl2、CuSO4、CuO、酢酸銅(II)またはステアリン酸銅(II)が特に好ましい。
銅化合物は、それだけでまたは濃縮物の形で使用することができる。ここで、濃縮物は、好ましくは成分(A)と同じ化学的性質の、高濃度で銅塩を含有するポリマーを意味すると解釈されなければならない。有利には、銅化合物は、更なる金属ハロゲン化物、特にアルカリ金属ハロゲン化物、例えばNaI、KI、NaBr、KBrと組み合わせて使用され、銅に対する金属ハロゲン化物のモル比は、0.5~20、好ましくは1~10、特に好ましくは2~5である。好ましくは、0.1~0.5質量%、特に0.2~0.4質量%の成形材料に基づく全濃度を有するCuIとKIの組み合わせが使用される。
第二級芳香族アミンをベースとする安定剤も可能であり、これらの安定剤は0.2~2質量%、好ましくは0.2~1.5質量%の量で存在することが好ましい。
【0024】
立体障害フェノールをベースとする安定剤も可能であり、これらの安定剤は0.1~1.5質量%、好ましくは0.2~1質量%の量で存在することが好ましい。ホスファイトおよびホスホナイトも可能である。
上述した熱安定剤の混合物も可能である。
第二級芳香族アミンをベースとする本発明に従って使用可能な安定剤の特に好ましい例は、フェニレンジアミンとアセトン(ナウガード(Naugard)A)の付加物フェニレンジアミンとリノレンの付加物、ナウガード(Naugard)445、N,N'-ジナフチル-p-フェニレンジアミン、N-フェニル-N'-シクロヘキシル-p-フェニレンジアミンまたはそれらの2つ以上の混合物である。
本発明に従って使用可能な立体障害フェノールをベースとする安定剤の好ましい例は、N,N'-ヘキサメチレン-ビス-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオンアミド、ビス(3,3-ビス-(4'-ヒドロキシ-3'-tert-ブチルフェニル)-ブタン酸)グリコールエステル、2,1'-チオエチルビス-(3-(3,5-ジ.tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート、4-4'-ブチリデン-ビス-(3-メチル-6-tert.-p-t-ブチルフェノール)、トリエチレングリコール3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)-プロピオネートまたはこれらの安定剤の2つ以上の混合物である。
【0025】
好ましいホスファイトおよびホスホナイトは、トリフェニルホスファイト、ジフェニルアルキルホスファイト、フェニルジアルキルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジイソデシルオキシペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチル-6-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4,6-トリス-(tert-ブチルフェニル))ペンタエリスリトールジホスファイト、ジイソデシルオキシペンタエリスリトールジホスファイト、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,4'-ビフェニレンジホスホナイト、6-イソオクチルオキシ-2,4,8,10-テトラ-tert-ブチル-12H-ジベンズ-[d,g]-1,3,2-ジオキサ-ホスホシン、6-フルオロ-2,4,8,10-テトラ-tert-ブチル-12-メチル-ジベンズ[d,g]-1,3,2-ジオキサ-ホスホシン、ビス(2,4-ジ-tert-ブチル-6-メチルフェニル)メチルホスファイトおよびビス(2,4-ジ-tert-ブチル-6-メチルフェニル)エチルホスファイトである。特に、トリス[2-tert-ブチル-4-チオ(2'-メチル-4'-ヒドロキシ-5'-tert-ブチル)-フェニル-5-メチル]フェニルホスファイトおよびトリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト(Hostanox(登録商標)PAR24:クラリアント(Clariant)、バーゼルの商品)が好ましい。
【0026】
熱安定剤の好ましい一実施態様は、イルガテック(Irgatec)NC 66(BASFから入手可能)とCuIおよびKIをベースとする銅安定化の組み合わせからなる。CuIおよびKIをベースとする熱安定化のみが特に好ましい。
有機熱安定剤および/または銅または銅化合物の使用と共に周期表のVB、VIB、VIIBおよび/またはVIIIB族の他の遷移金属または他の遷移金属化合物の使用が排除されることが好ましい。
更なる好ましい実施態様によれば、成分(D)の熱安定剤は、フェノール系熱安定剤、ホスファイト系熱安定剤、アミン系熱安定剤またはそれらの混合物または組み合わせの群から選択され、成分(D)が下記の群:トリエチレングリコールビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、N,N'-ヘキサメチレンビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオンアミド]、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイトまたはそれらの混合物から選択されることが特に好ましい。
【0027】
好ましい有機安定剤は、フェノール化合物および/またはホスファイト化合物、例えばイルガノックス(Irganox)245、イルガノックス(Irganox)1010、イルガノックス(Irganox)1098、ホスタノックス(Hostanox)PAR 24またはイルガホス(Irgafos)168である。0.5質量%以下の濃度でのイルガノックス(Irganox)101が特に好ましい。
ポリアミド成形材料は、また、任意により、成分(E)の形で、更に他の成分(A)~(D)と異なる補助剤および/または添加剤を多くても4質量%の割合で含有する。
好ましい実施態様によれば、成分(E)は、成分(A)~(E)の合計に基づき、0.1~4質量%なる範囲、特に好ましくは0.2~3質量%なる範囲の割合で存在する。
好ましくは、成分(E)は、下記の群:脂肪族ポリアミド、結晶化促進剤または遅延剤、流動助剤、潤滑剤、離型剤、顔料、染料および標識物質、加工助剤、帯電防止剤、カーボンブラック、グラファイト、カーボンナノチューブ、触媒のような重合プロセスからの残り、塩およびその誘導体から選択される。好ましくは、成分(E)は、部分結晶性部分芳香族ポリアミドを含まない。
すでに上で説明したように、提案されたポリアミド成形材料は、特に、好ましくは射出成形、押出しまたは吹込み成形によって成形体に加工される場合に、自動車産業分野における用途に、特に、冷却剤、特に高温で、好ましくは130℃以上の温度で自動車産業分野における冷却剤の保存または輸送に適していることに特徴を有する。
【0028】
従って、本発明は、また、好ましくは、上記のように、ポリアミド成形材料から射出成形、押出しまたは吹込み成形によって製造される、または上記のように、ポリアミド成形材料の少なくとも1つの領域または1つのコーティングを有する成形体に関する。これらは、好ましくは自動車の冷却剤回路における成形体、特に冷却剤回路における冷却マニホールド、水注入口および排出口、サーモスタット、冷却器、冷却水ボックス、ポンプ、バルブおよびコネクタである。
本発明は、更に、このような成形体を製造する方法であって、好ましくは、上で確認されたように成形材料を融解した形で用い、この成形材料から好ましくは押出しプロセス、射出成形プロセスまたは吹込み成形プロセスで成形体を形成することを特徴とする、前記方法に関する。
本発明に従う熱可塑性成形材料およびそれから製造された成形体は、良好な熱老化安定性、特に冷却液に対して、非常に良好な耐加水分解性、寸法安定性および良好な加工性を特徴とする。
それ故、これらの成形材料は、射出成形、押出しまたは吹込み成形による、特に衛生上の分野における、すなわち、冷水または熱水との接触を伴う用途、例えば水量計、水量計ハウジングおよび水量計構成部品(軸受、プロペラ、直立部分)、衛生上の建築構成材、チューブ、パイプ、チューブコネクタ、器具に対する、例えば飲料水用途、バルブ、タップ、家庭電化製品、湯沸器、炊飯器、スチームクッカー、スチームアイロンおよびお茶コーヒーマシンのための部品に対する射出成形による任意のタイプの成形体の製造に適している。成形材料は、また、給水、例えば温水タンクにおけるおよび冷暖房システムにおける熱水と接触している成形体の製造に適している。加熱システムの中で、オイル、ガス、木材およびソーラ暖房および熱ポンプおよび部屋暖房システムが言及され得る。
【0029】
自動車産業分野における更に可能な用途は、シリンダヘッドカバー、エンジンカバー、中間冷却器用のハウジング、中間冷却器バルブ、インダクションホース、吸気マニホールド、コネクタ、特にガソリン、ディーゼル、尿素および圧縮空気ラインには、ギアホイール、ファンプロペラ、冷却水ボックス、熱交換器用のハウジングまたはハウジング部品、冷却剤冷却器、中間冷却器、サーモスタット、水ポンプ、ラジエータ、マウンティング部品、ポンプ用のハウジングおよび機能部品、ギア、バルブ、スロットルバルブ、ヘッドランプハウジング、リフレクター、適応ヘッドライト構成部品、ギアホイール、プラグコネクション、コネクタ、多層シートのプロファイル、シートまたは層、電子部品、電子部品用のハウジング、ツール、複合材料、プラスチック-ゴム複合体、ノズルおよび連結ホースまたはチューブ用の取付け部品である。
更にまた、単層または多層中空体、例えばパイプまたは容器は、本発明に従う成形材料から製造することができる。これらは、例えば、射出成形、押出しまたは吹込み成形によって製造されることが好ましい、自動車用のインダクションパイプ、平坦または波形であることができる液体軸受単層または多層ライン、例えば燃料経路、油圧ライン、ブレーキライン、伝送ラインまたは冷却剤ライン、ブレーキ加工液タンクまたは燃料タンクが含まれる。
【0030】
特に、成形体には、正常な使用の間に流体と接触することになる流体軸受部品またはライン(気体および/または液体)または部品が含まれ、流体は特に水、グリコール、油、燃料(ガソリン、ディーゼル)、アルコール(例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール)またはその混合物である。成形された部品は、好ましくは、自動車産業分野用のパイプ、ノズル、コネクタまたは取付け部品およびタンクであり、それらは帯電防止保護されることもできる。特に、平坦パイプおよび波形パイプは、パイプ接合部分、ノズル(吸気、通気、充填、排気)、連結管、波形管パイプ、およびミディアムベアリングパイプ、多層パイプの要素(外側、中間、内側層)、タンク、タンクの部品(例えばクロージャ)、多層タンクの個々の層、カバーまたはクランクケース部品、例えばクランクケース用の通気孔、自動車産業分野では、油圧ライン、ブレーキライン、ブレーキ流体タンク、冷却液ラインを挙げることができる。
自動車産業分野において、水および/またはグリコールと接触している冷却マニホールド、冷却剤ライン、パイプ接合部分、ノズル、注入口および排出口、コネクタ、マニホールド、取付け部品、ハウジング、ミキサー、タップ、フィルタハウジング、ポンプ、水ポンプハウジング、水ポンプ用の構成部品、サーモスタットハウジング、水ポンプ用のプロペラ、バルブ、バルブ構成部品(ハウジング、シャットオフボールバルブ、スライダ、シリンダ)、マニホールド、冷却器、冷却水ボックス、冷却剤保存ハウジングが特に好ましい。
更なる実施態様は、従属クレームにおいて述べられている。
【実施例】
【0031】
本発明の好ましい実施態様を、説明のためだけに示され制限するものとしてみなされるべきでない実際的な実施例に基づいて以下に記載する。
製造の説明:
実際的な実施例に従うポリアミド成形材料の製造は、欧州特許出願公開第1 988 113A1号に記載されている方法に従って行われる。ここで、特に、欧州特許出願公開第1 988 113号において段落[0038]および[0113]~[0120]記載されている方法を参照し、製造方法に関しては、これらの本文の項が本出願の開示内容に援用されていることは明らかである。モノマー、触媒および調節剤は、プラントに配置され、プレ縮合物が製造される。乾燥したプレ縮合物を更に押出機において縮合させる。次にポスト縮合物をガラス繊維および添加剤と混合し、造粒する。粒状物から試験片を調製し、後で詳述されるように特性を試験する。
【0032】
使用する材料:
PA-3:1,6-ヘキサンジアミン、テレフタル酸(70モル%)およびイソフタル酸(30モル%)からの部分結晶性部分芳香族ポリアミドPA 6T/6I、融点325℃および相対粘度ηrel = 1.58を有する;
消泡剤:DOW CORNING(登録商標) RD Antifoam Emulsion 10%シリコーンエマルジョン
イルガノックス(Irganox)1010: チバ・スペシアリティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)社から入手し得るペンタエリスリトールテトラキス-[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート、立体障害フェノールをベースとする酸化防止剤
MB BLACK:75%ポリアミドPA66および25%カーボンブラック(PB4750)からのカーボンブラックマスターバッチ
ガラス繊維:CPIC ECT301HP:CHONGQING POLYCOMP INTERNATIONAL CORP.、中国から入手し得るEガラス直径10μm(断面円形)、長さ4.5mm
【0033】
試験片の調製:
試験片をアルバーグ-オールラウンダー(Arburg Allrounder)射出成形機により調製し、250℃~350℃のシリンダ温度および15m/分のスクリュー周速度を設定した。成形温度は、130℃であった。
【0034】
測定法:
下記の表で特に明記しない限り、下記の基準に従って下記の試験片により乾燥状態において測定を行った。
引張弾性率:1mm/分の引張(drawing)速度によるISO 527、ISO張力ロッド、基準:ISO/CD 3167、A1型、170×20/10×4mm、温度23℃または130℃。
破断時応力および破断時ひずみ:5mm/分の引張速度によるISO 527、ISO張力ロッド、基準: ISO/CD 3167、A1型、170×20/10×4mm、温度23℃または130℃。
相対粘度:DIN EN ISO 307 0.5質量%m-クレゾール溶液中、温度20℃。
吸水率:ISO張力ロッドは、95℃の温度において336時間水中で保存する。綿布による表面の乾燥後、開始質量に相対する質量増加パーセント(乾燥ISO張力ロッド)を定量する。
冷却剤に対する加水分解安定性:GM基準GMW15468(2011)に従って加水分解安定性を定量する。これのために、射出成形において生じるような乾燥した試験片(ISO張力ロッド)を圧力容器で130℃において504時間または1008時間のグリコール-水混合物(1:1)に保存する。グリコールは、基準VW TL 774Jに従うVW冷却添加剤G13である。保存が終わった後、冷却剤中の試験本体を23℃に冷却し、冷却剤から取り出した後、水ですすぎ、綿布で下に拭き、シリカゲルの上の乾燥器で乾燥する。試料を取り出した7日以内に、ISO 527に従う前述の引張試験を保存した試験片で行う。
熱挙動(融点、融解エンタルピーおよびガラス転移温度(Tg):ISO基準11357-1、2および3、粒状物、示差走査熱量測定(DSC)を20℃/分の加熱速度で行う。
シャルピーの耐衝撃性およびノッチ耐衝撃性をISO試験ロッドによるISO 179/keUに従って測定した、基準: ISO/CD 3167、B1型、80×10×4mm、温度23℃。
熱寸法安定性HDT A(1.8MPa)を平らな末端位置で寸法80×10×4mmを有するISO衝撃ロッドに対してDIN EN ISO 75-1および2に従って測定した。
【0035】
結果:
結果を下記の表にまとめ、本発明に従う実施例は表2に、比較例は表3にまとめられている。表1は、実施例および比較例において使用したコポリアミドの反応バッチを示す。
【0036】
【0037】
比較例に使用される一般型PA 6T/6I/66の系は、本質的に異なる技術的関連からのUSRE34447から知られているポリアミド型に対応する。
【0038】
表2:本発明に従う実施例B1~B5の組成および特性。
1) PA-1およびPA-2の融解エンタルピーは、それぞれ45J/gおよび40J/gである
2) 所定の時間および温度に従ってグリコール(冷却添加剤G13)/水混合物(1:1)中で保存後
【0039】
実施例B1~B5は、基準GMW 16360で設定される全ての更なる要求を満たしている、従って、特に1000h/170℃保存後のノッチ耐衝撃性、1000h/170℃保存後の破断時応力(23℃でISO 179に従うノッチ耐衝撃性およびISO 188に従う170℃で1000時間保存後の23℃でISO527に従う破断時応力;方法A:空気循環炉;保存前の対応する値に相対する;老化していない試料)。
【0040】
表3:比較例V1~V7の組成および特性
n.d.:測定せず
2) 所定の時間および温度に従ってグリコール(冷却添加剤G13)/水混合物(1:1)における保存後
【0041】
結果の説明:
提示した比較例は、従来技術のコポリアミドがGMW16360によって必要とされる130℃でグリコール/水における安定性(GM基準GMW15468(2011))を満たさないことを示している。比較例V1~V5は不充分な破断時応力を生じ、一方で保存後のV7およびV8はあまりに低い破断時ひずみを示している。更にまた、吸水率のため、V1~V5は不充分な寸法安定性を有する。更に、比較例におけるいくつかの成形材料は、離型における問題を示し、すなわち、成形された部品は、損傷してツールから離型されるだけになる(ツール温度は130℃である)。これは、130℃で極端に低い破断時ひずみにも反映されている(V8に対するV1、V5、V6)。対照的に、本発明に従う成形材料は、130℃でグリコール/水において非常に良好な耐加水分解性を有し、従って、ガラス繊維補強ポリフタラミドに対するGM基準GMW16360の要求を著しく超えている。同時に、これらの成形材料は、容易に離型可能であり、6.0%を超える破断時ひずみを有し、307~314℃なる範囲にあるこれらの中程度の融点および121~123℃なる範囲にあるガラス転移温度(Tg)のため、難なく加工可能である。従って、実施例B1~B5における成形材料のみが良好な耐加水分解性、良好な寸法安定性、良好な離型性および良好な加工性の必要な組み合わせを備えている。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕下記の成分(A)~(E):
(A)40~70質量%の、以下から構成される、少なくとも1つの部分結晶性部分芳香族ポリアミド:
(a1)60~77質量%の、1,6-ヘキサンジアミンおよびテレフタル酸から形成される6T単位;
(a2)20~37質量%の、1,6-ヘキサンジアミンおよびイソフタル酸から形成される6I単位;
(a3)3~20質量%の、1,6-ヘキサンジアミンおよびドデカン二酸から形成される612単位;および
(a4)0~5質量%の下記の単位の1つ:1,6-ヘキサンジアミンおよびアジピン酸から形成される66単位;1,6-ヘキサンジアミンおよびスベリン酸から形成される68単位;1,6-ヘキサンジアミンおよびアゼライン酸から形成される69単位;1,6-ヘキサンジアミンおよびセバシン酸から形成される610単位;ε-カプロラクタムから形成される6単位;またはこのような単位の混合物;
(ここで、成分(a1)~(a4)の合計は100質量%のポリアミド(A)となる);
(B)30~60質量%の繊維質補強材;
(C)0~30質量%の、(B)、(D)および(E)と異なる粒状フィラー;
(D)0~2.0質量%の熱安定剤;および
(E)0~6質量%の、(A)~(D)と異なる補助剤および/または添加剤;
(ここで、成分(A)~(E)の合計は100質量%となる)
からなるポリアミド成形材料。
〔2〕成分(a3)および(a4)の合計が、100質量%のポリアミド(A)に基づき、5~15質量%なる範囲、好ましくは8~12質量%なる範囲にあることを特徴とする、前記〔1〕に記載のポリアミド成形材料。
〔3〕成分(A)の部分結晶性部分芳香族ポリアミドが
(a1)60~70質量%、好ましくは62~68質量%、特に好ましくは63~66質量%の、1,6-ヘキサンジアミンおよびテレフタル酸から形成される6T単位;
(a2)20~30質量%、好ましくは23~29質量%、特に好ましくは24~27質量%の、1,6-ヘキサンジアミンおよびイソフタル酸から形成される6I単位;
(a3)4~15質量%、好ましくは5~13質量%、特に好ましくは7~13質量%または8~12質量%の、1,6-ヘキサンジアミンおよびドデカン二酸から形成される612単位;および
(a4)0~5質量%、好ましくは0~4質量%、特に好ましくは0.5~3質量%または1~3質量%の下記の単位の1つ:1,6-ヘキサンジアミンおよびアジピン酸から形成される66単位;1,6-ヘキサンジアミンおよびスベリン酸から形成される68単位;1,6-ヘキサンジアミンおよびアゼライン酸から形成される69単位;1,6-ヘキサンジアミンおよびセバシン酸から形成される610単位;ε-カプロラクタムから形成される6単位;またはこのような単位の混合物、ここで(a4)単位がないことが特に好ましい;
(ここで、成分(a1)~(a4)の合計は100質量%のポリアミド(A)となる)
から構成されることを特徴とする前記〔1〕または〔2〕に記載のポリアミド成形材料。
〔4〕成分(A)の部分結晶性部分芳香族ポリアミドの成分(a4)が、下記の単位の1つ:1,6-ヘキサンジアミンおよびアジピン酸から形成される66単位;ε-カプロラクタムから形成される6単位;またはこのような単位の混合物であり、好ましくは成分(a4)が1,6-ヘキサンジアミンおよびアジピン酸から形成される66単位だけで、好ましくは、0~5質量%、好ましくは0~4質量%、特に好ましくは0.5~3質量%なる範囲の割合で、準備されることを特徴とする、前記〔1〕~〔3〕のいずれか1項に記載のポリアミド成形材料。
〔5〕分子質量および/または末端基が、好ましくは下記の群:酢酸、プロピオン酸、ステアリン酸、2-エチルヘキサン酸、シクロヘキサン酸および安息香酸またはこれらの混合物から選択される、少なくとも1つの脂肪族、脂環式または芳香族単官能性カルボン酸によって調整され、1,6-ヘキサンジアミンに対する単官能性カルボン酸のモル比が、0.5~5モル%なる範囲、好ましくは1.0~2.5モル%なる範囲、特に好ましくは1.4~1.9モル%なる範囲にあり;かつ/または
使用するジカルボン酸の合計に対する1,6-ヘキサンジアミンのモル比が、少なくとも1.01、特に少なくとも1.03、好ましくは多くても1.15であり、ジカルボン酸に対するジアミンの比に特に好ましい範囲が、次の通り:1.03~1.10、特に1.04~1.08に選択されることを特徴とする、前記〔1〕~〔4〕のいずれか1項に記載のポリアミド成形材料。
〔6〕成分(A)および/または全体としてのポリアミド成形材料が、295~320℃なる範囲、好ましくは300~315℃なる範囲の、20℃/分の加熱速度により示差走査熱量測定(DSC)を用いて粒状物に対してISO基準11357-3に従って定量した融点を有し;かつ/または
成分(A)および/または全体としてのポリアミド成形材料が、少なくとも100℃および高くても130℃なる範囲、特に105~127℃または110~125℃なる範囲、好ましくは120~125℃なる範囲の、20℃/分の加熱速度により示差走査熱量測定(DSC)を用いて粒状物に対してISO基準11357-2に従って定量したガラス転移温度を有し;かつ/または
成分(A)および/または全体としてのポリアミド成形材料が、多くても3.5%、好ましくは多くても3.4%、特に好ましくは多くても3.35%の、95℃において水中で336時間にわたって保存した後の吸水率を有し;かつ/または
成分(A)および/または全体としてのポリアミド成形材料が、少なくとも6.0%、好ましくは6.5%または少なくとも7%、特に好ましくは6~10%なる範囲の、120~140℃なる範囲の温度、好ましくは130℃の温度で5mm/分の引張速度によるISO 527に従って測定した破断時ひずみを有し;かつ/または
成分(A)および/または全体としてのポリアミド成形材料が、少なくとも2.0%、好ましくは少なくとも2.3%、特に好ましくは2.3~4%なる範囲の、グリコール-水混合物(1:1)におけるGM基準GMW15468(2011)に従う130℃の温度で1008時間保存した後、5mm/分の引張速度によるISO 527に従って測定した破断時ひずみを有し;かつ/または
成分(A)および/または全体としてのポリアミド成形材料が、1.4と2.0の間、特に好ましくは1.50と1.80の間の、DIN EN ISO 307、0.5質量%m-クレゾール溶液中、温度20℃、粒状物に従って測定した溶液粘度(η
rel
)を有し;かつ/または
成分(A)および/または全体としてのポリアミド成形材料が、20~55J/gなる範囲、特に25~45J/gなる範囲の、20℃/分の加熱速度による示差走査熱量測定(DSC)を用いて粒状物に対するISO基準11357-3に従って定量した融解エンタルピーを有する
ことを特徴とする、前記〔1〕~〔5〕のいずれか1項に記載のポリアミド成形材料。
〔7〕成分(B)が、成分(A)~(E)の合計に基づき、33~55質量%なる範囲、好ましくは35~45質量%なる範囲の割合で存在することを特徴とする、前記〔1〕~〔6〕のいずれか1項に記載のポリアミド成形材料。
〔8〕成分(B)が、ガラス繊維から構成されるかまたはガラス繊維を含有し、ガラス繊維が、 円形断面、特に好ましくは5~20μmなる範囲または5~13μmまたは6~10μmなる範囲の直径を有する円形断面、または
非円形断面であって、主断面軸対それに垂直である第二の断面軸の寸法比が、好ましくは2.5を超え、特に好ましくは2.5~6または3~5なる範囲にある非円形断面
を有することを特徴とする、前記〔1〕~〔7〕のいずれか1項に記載のポリアミド成形材料。
〔9〕成分(C)が、成分(A)~(E)の合計に基づき、多くても20質量%なる範囲、好ましくは多くても10質量%なる範囲、特に好ましくは0.1~5質量%なる範囲の割合で存在することを特徴とする、前記〔1〕~〔8〕のいずれか1項に記載のポリアミド成形材料。
〔10〕成分(C)が、球状および/または楕円形のフィラーを含有するかまたはこれらから構成され、好ましくは、ケイ酸塩、金属、プラスチック、金属酸化物、ガラス、鉱物質、染料、顔料粒子およびこれらの混合物を使用し、成分(C)のフィラーが、特に好ましくは、タルク、マイカ、シリカ、例えば特にケイ酸アルミニウム鉄および/またはケイ酸アルミニウムナトリウムの粒子、石英、石英粉、二酸化チタン、ウォラストナイト、カオリン、ケイ酸、特にアモルファスのケイ酸、粉末炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、チョーク、石灰石、長石、マイカ、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、硫化亜鉛、ガラスビーズ、特に中実ガラスビーズまたは中空ガラスビーズ、粉末ガラス、特に粉末ガラス繊維、ガラススケール、ガラスフレーク、永久磁石のまたは磁化可能な金属化合物またはアロイ、無機顔料、例えば特に酸化鉄、鉄マンガン酸化物、金属粉、特に鉄粉、銅粉、アルミニウム粉、金属フレーク、特にアルミニウムフレーク、鉄フレーク、金属被覆フィラー、金属酸化物、特にスピネル、例えば特に銅鉄スピネル、銅クロム酸化物、亜クロム酸銅(CuCr2O4)、亜鉛-鉄酸化物、コバルト-クロム酸化物、コバルト-アルミニウム酸化物、マグネシウムアルミニウム酸化物、銅-クロム-マンガン混合酸化物、銅-マンガン-鉄混合酸化物、ニッケルアンチモンチタン酸塩、クロムアンチモンチタン酸塩、硬磁性または軟磁性金属またはアロイまたはセラミック、中空球ケイ酸塩フィラー、酸化アルミニウム、窒化ホウ素、炭化ホウ素、窒化アルミニウム、フッ化カルシウムおよびこの群からの成分の混合物からなる群から選択される、表面処理または未処理の形のフィラーとしてであることを特徴とする、前記〔1〕~〔9〕のいずれか1項に記載のポリアミド成形材料。
〔11〕成分(D)が、成分(A)~(E)の合計に基づき、0.1~2.0質量%なる範囲、特に好ましくは0.2~1.5質量%なる範囲の割合で存在するかまたは
成分(D)が下記の群:
一価または二価の銅の化合物、特に一価または二価の銅の無機酸または有機酸または一価または二価のフェノールによる塩、一価または二価の銅の酸化物、または銅塩とアンモニア、アミン、アミド、ラクタム、シアニドまたはホスフィンとの錯体化合物、好ましくはハロゲン化水素酸、シアン化水素酸のCu(I)またはCu(II)塩、脂肪族カルボン酸の銅塩(ここで、特に好ましくは一価の銅化合物はCuCl、CuBr、CuI、CuCNおよびCu2Oおよび二価の銅化合物はCuCl2、CuSO4、CuO、酢酸銅(II)またはステアリン酸銅(II)、またはこれらの化合物の混合物であり、ここで、これらの銅化合物はそれだけでまたは好ましくは濃縮物の形で使用され、ここで、濃縮物は、銅塩を高濃度で含有する、ポリマー、好ましくは成分(A)と同じかまたは本質的に同じ化学的性質有するポリマーを意味すると解釈されなければならず、ここで、特に好ましくは銅化合物が、アルカリ金属ハロゲン化物、例えばNaI、KI、NaBrおよびKBrが含まれる更なる金属ハロゲン化物と組み合わせて使用され、ここで、銅に対する金属ハロゲン化物のモル比は、0.5~20、好ましくは1~10、特に好ましくは2~5である);
第二級芳香族アミンをベースとする安定剤(ここで、これらの安定剤は、0.2~2、好ましくは0.2~1.5質量%の量で存在することが好ましい);
立体障害フェノールをベースとする安定剤(ここで、これらの安定剤は、0.1~1.5、好ましくは0.2~1質量%の量で存在することが好ましい);
ホスファイトおよびホスホナイトおよび
上述した安定剤の混合物
から選択されることを特徴とする前記〔1〕~〔10〕のいずれか1項に記載のポリアミド成形材料。
〔12〕成分(E)が、成分(A)~(E)の合計に基づき、0.1~4質量%なる範囲、特に好ましくは0.2~3質量%なる範囲の割合で存在し、かつ/または
成分(E)が、下記の群:脂肪族ポリアミド、結晶化促進剤または遅延剤、流動助剤、潤滑剤、離型剤、顔料、染料および標識物質、加工助剤、帯電防止剤、カーボンブラック、グラファイト、カーボンナノチューブ、触媒などの重合プロセスからの残り、塩およびその誘導体から選択される
ことを特徴とする、前記〔1〕~〔11〕のいずれか1項に記載のポリアミド成形材料。
〔13〕射出成形、押出しまたは吹込み成形によって製造されることが好ましい、前記〔1〕~〔12〕のいずれか1項に記載のポリアミド成形材料からの成形体または前記〔1〕~〔12〕のいずれか1項に記載のポリアミド成形材料の少なくとも1つの領域または1つのコーティングを有する成形体であって、それが好ましくは、冷却剤回路、好ましくは自動車のもの、特に冷却マニホールド、冷却液ライン、水注入口および排出口、サーモスタット、冷却器、冷却水ボックス、ポンプ、バルブおよび冷却剤回路におけるコネクタまたはこれらの部品の構成要素であるか、または燃料ライン、油圧パイプ、ブレーキライン、クラッチライン、尿素ラインまたはブレーキ液タンクまたは燃料タンクの形での成形体である、前記成形体。
〔14〕下記の群:
衛生上の構成部品、特に水量計、水量計ハウジングおよび水量計構成部品など(特に軸受、プロペラ、直立部分、管継手、特に飲料水使用のための取付け部品、バルブ、タップが含まれる)、
水供給部において熱水と接触している成形体(特に熱水タンクなど)、および冷暖房システム(特にオイル、ガス、木材およびソーラ暖房システムおよび熱ポンプおよび部屋暖房など)における成形体が含まれる、
冷却システムのための成形体、特に自動車製造におけるシステムのための成形体、特に冷却水ポンプなど(ここで、特にシリンダヘッドカバー、エンジンカバー、中間冷却器用のハウジング、中間冷却器バルブ、インダクションパイプ、吸気マニホールド、コネクタ、ギアホイール、ファンホイール、冷却水タンク、熱交換器用のハウジングまたはハウジング部品、冷却剤冷却器、中間冷却器、サーモスタット、水ポンプ、ラジエータおよび取付け部品から選択される、自動車産業分野用の構成部品の形での成形体またはそれの一部としての成形体が好ましい)、
家庭電化製品(湯沸器、炊飯器、スチームクッカー、スチームアイロンおよびお茶コーヒーマシン用の部品が含まれる)、
プラグインコネクタ、コネクタ(ガソリン、ディーゼル、尿素および圧縮空気ライン用のものが含まれる)、
多層シートのプロファイル、シートまたは層、
電子部品、ヘッドランプハウジング、反射器、適応ヘッドライトシステム、ギアホイール、電子部品用のハウジング、ツール、複合材料、プラスチック-ゴム複合体、ノズルおよび連結ホースまたはパイプ用の取付け部品
から選択されることが好ましい、衛生上の分野における、従って冷却液または温水/熱水含有媒体または熱水または温水との接触を伴う用途のための成形体であることを特徴とする、前記〔13〕に記載の成形体。
〔15〕前記〔13〕または〔14〕に記載の成形体の製造のための前記〔1〕~〔12〕のいずれか1項に記載のポリアミド成形材料の使用。
〔16〕冷却液、特に水、グリコールおよびそれらの混合物の群から選択される冷却液と接触させるための自動車産業分野用の構成部品としての前記〔13〕または〔14〕に記載の成形体の使用。
〔17〕前記〔1〕~〔12〕のいずれか1項に記載のポリアミド成形材料の製造方法であって、
いずれの1,6-ヘキサンジアミン、テレフタル酸、イソフタル酸およびドデカン二酸および任意によりアジピン酸(C6)、スベリン酸(C8)、アゼライン酸(C9)またはセバシン酸(C10)および/またはε-カプロラクタム(C6)を、モノマーとして、任意により適切な二酸によるジアミンの塩として用い、一段階プロセスでまたは第一段階でプレ縮合体形成および第二段階で最終重合による二段階プロセスで成分(A)に重合され、その後にまたは前記第二段階の間に更なる成分(B)~(E)を添加するか;または
各々予め形成されたブロックの形の成分(a1)~(a4)をポリアミド(A)に変換し、その後におよび/またはブロックの前記変換の間におよび/またはすでにブロックの調製において、更なる成分(B)~(E)を添加し;
ここで、重合において、無機または有機のリン化合物が使用されることが好ましく、ここで、水を含まないバッチに基づくリン含有量が40~400ppm(ppm、各々質量に基づく)なる範囲、好ましくは60~300ppm、特に70~150ppmなる範囲にあり、ここで、好ましいリン化合物が、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、フェニルホスホン酸、フェニルホスフィン酸および/または特にNa、K、Mg、Ca、ZnまたはAlなどの1価~3価のカチオンとのその塩および/またはそのエステル、例えばトリフェニルホスフェート、トリフェニルホスファイトまたはトリス-(ノニルフェニル)ホスファイトまたはそれらの混合物である
ことを特徴とする、前記成形材料の製造方法。
〔18〕前記〔13〕または〔14〕に記載の成形体の製造方法であって、前記〔1〕~〔12〕のいずれか1項に記載の成形材料を融解した形で用い、成形された部品がこの成形材料から押出しプロセス、射出成形プロセスまたは吹込み成形プロセスにおいて形成されることを特徴とする、前記成形体の製造方法。