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特許7002857水性頭髪加工剤、固定化剤、キット及び頭髪のパーマ方法
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  • 特許-水性頭髪加工剤、固定化剤、キット及び頭髪のパーマ方法 図1
  • 特許-水性頭髪加工剤、固定化剤、キット及び頭髪のパーマ方法 図2
  • 特許-水性頭髪加工剤、固定化剤、キット及び頭髪のパーマ方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-05
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】水性頭髪加工剤、固定化剤、キット及び頭髪のパーマ方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/19 20060101AFI20220203BHJP
   A61Q 5/04 20060101ALI20220203BHJP
   A61K 8/92 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
A61K8/19
A61Q5/04
A61K8/92
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2017077783
(22)【出願日】2017-04-10
(65)【公開番号】P2018177676
(43)【公開日】2018-11-15
【審査請求日】2020-03-26
(73)【特許権者】
【識別番号】518250014
【氏名又は名称】株式会社next innovation
(74)【代理人】
【識別番号】100074169
【弁理士】
【氏名又は名称】広瀬 文彦
(74)【代理人】
【識別番号】100185270
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 貴史
(72)【発明者】
【氏名】浜本 厚
【審査官】山中 隆幸
(56)【参考文献】
【文献】特表平01-501001(JP,A)
【文献】特開平11-130638(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ電解水を含むとともに、植物性オイルおよび/または動物性油脂からなる油分を0.001~30質量%含む、pHが7超13以下からなる水性頭髪加工剤において、
前記アルカリ電解水は、炭酸カリウムの水溶液からなり、炭酸カリウム濃度が0.001~1質量%からなることを特徴とする水性頭髪加工剤。
【請求項2】
請求項1記載の水性頭髪加工剤と、前記水性頭髪加工剤により可塑性が高められた頭髪を固定する固定化剤であってpHが1.0~5.0からなる酸性水溶液である固定化剤とを含むパーマ液キット。
【請求項3】
アルカリ電解水を含む請求項1に記載の水性頭髪加工剤を頭髪に適用し、該頭髪を加温後、前記水性頭髪加工剤により可塑性が高められた頭髪を固定する固定化剤であってpHが1.0~5.0からなる酸性水溶液である固定化剤により固定する工程を含むことを特徴とする頭髪のパーマ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水性頭髪加工剤、固定化剤、キット及び頭髪のパーマ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
頭髪を所望の形状で固定するパーマ方法は、美容室等で盛んに施術されている。現在、美容室等で行われている頭髪のパーマ方法は、強アルカリ性の薬剤と還元剤を用いている。
【0003】
しかしながら、強アルカリ性の薬剤は、地肌に刺激性であり、頭髪にもダメージを与えるおそれがある。また、施術者の手肌にも有害となるおそれがあった。さらに、環境への悪影響も懸念されていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、頭髪に優しく、環境に悪影響を与えることのない水性の頭髪加工剤やパーマ液が強く求められていた。
【0005】
そこで本発明の目的は、頭髪に優しく、環境に悪影響を与えることのない水性の頭髪加工剤やパーマ液を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、アルカリ電解水を含む頭髪加工に用いることで上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は以下の[1]~[8]である。
[1]アルカリ電解水を含むことを特徴とする水性頭髪加工剤。
[2]さらに、油分を0.001~30質量%含む[1]の水性頭髪加工剤。
[3]pHが7超13以下である[1]又は[2]の水性頭髪加工剤。
[4]前記アルカリ電解水が炭酸塩又は炭酸水素塩の水溶液であり、炭酸塩又は炭酸水素塩濃度が0.001~1質量%である[1]~[3]のいずれかの水性頭髪加工剤。
[5][1]~[4]のいずれかの水性頭髪加工剤により可塑性が高められた頭髪を固定する固定化剤であって、酸性水溶液であることを特徴とする固定化剤。
[6]前記酸性水溶液が、食品に添加可能な酸の水溶液である[5]の固定化剤。
[7][1]~[4]のいずれかの水性頭髪加工剤と、[5]又は[6]の固定化剤とを含むパーマ液キット。
[8]アルカリ電解水を含む水性頭髪加工剤を頭髪に適用し、該頭髪を加温後、酸性水溶液を含む固定化剤により固定する工程を含むことを特徴とする頭髪のパーマ方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明の頭髪加工剤は、頭髪に与えるダメージを軽減しながら、頭髪のパーマを行うことができる。よって、本発明により、頭髪に優しく、環境に悪影響を与えることのないパーマ液、パーマ方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1~5の各水性頭髪加工剤を塗布した毛髪をパーマロッドに巻き付けた状態の写真図である。
図2】実施例1~5の水性頭髪加工剤及び固定化剤で処理した後の頭髪の写真図である。
図3】処理前(3-1)、水性頭髪加工剤を塗布後、パーマロッドに巻き付けた状態(3-2)、固定化剤で処理し、水洗した後の状態(3-3)、乾燥後の状態(3-4)の写真図である。
図4】処理前(4-1)、水性頭髪加工剤を塗布後、パーマロッドに巻き付けた状態(4-2)、固定化剤で処理し、水洗した後の状態(4-3)、乾燥後の状態(4-4)の写真図である。
図5図3の毛髪をマイクロスコープ(800倍)で拡大撮影した写真図である。
図6】実施例10と同様の組成の水性頭髪加工剤を用いて、実施例10と同様にして被験者の頭髪の一部を処理した際の各処理工程の頭髪について、マイクロスコープ(800倍)により拡大写真をとった写真図である。
図7】市販のパーマ液を用いて、実施例10と同様にして実施例10と同一の被験者の頭髪の一部を処理した際の各処理工程の頭髪について、マイクロスコープ(800倍)により拡大写真をとった写真図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[アルカリ電解水]
本発明で用いられるアルカリ電解水は、公知のアルカリ電解水をいずれも使用することができる。アルカリ電解水としては、炭酸塩、炭酸水素塩、水酸化物などの無機塩を水に溶解してなるアルカリ性の水溶液、電解水生成装置で生成したアルカリ性の電解水などが挙げられる。好ましくは、無機塩を水に溶解してなるアルカリ性水溶液であり、さらに好ましくは、炭酸塩又は炭酸水素塩の水溶液である。炭酸塩としては、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウムが挙げられ、炭酸水素塩としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素カルシウムである。また、水酸化物としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウムが挙げられる。
無機塩を水に溶解してなるアルカリ性の水溶液中の無機塩の好ましい濃度は、0.001~1質量%、より好ましくは0.01~0.7質量%である。
また、アルカリ電解水は、好ましくはpHが7超13以下であり、より好ましくは、8以上13以下である。本発明において、pHは25℃におけるpHを指す。
【0011】
[油分]
本発明の水性頭髪加工剤は、頭髪の加工強度の向上や、頭髪への水分への付与またはパーマ処理による水分喪失の抑制という観点から、油分を水性頭髪加工剤中、0.001~30質量%含むことが好ましい。より好ましくは、水性頭髪加工剤中、0.01~30質量%である。
油分としては、植物性オイル又は動物性油脂が挙げられ、植物性オイルと動物性油脂を併用することもできる。
植物性オイル、動物性油脂は、通常、化粧品、頭髪用製品において用いられるものをいずれも使用することができる。好ましくは、香料、保湿剤又は抗酸化剤として用いられているオイル、精油等である。具体的には、スクワラン、ホホバ種子油、オレンジ果皮油、ラベンダー油、マンダリンオレンジ果皮油、ローズマリー葉油、イランイラン花油、ローマカミツレ花油、コリアンダー果実油、パルマローザ油、ベルガモット果実油、ニオイテンジクアオイ油、ショウガ根油、アミリスバルサミフェラ樹皮油等が挙げられ、これらを併用することもできる。
動物性油脂としては、馬油、ラード、牛脂等が挙げられ、これらを併用することもできる。
【0012】
これらの油分は、水性頭髪加工剤に、好ましい香りを付与し、頭髪から水分が失われるのを抑制する効果が期待できるが、さらに、本発明者は、これらの油分を水性頭髪加工剤に含ませることで、頭髪の加工がより強く行えることを見出した。その具体的なメカニズムは定かではないが、本発明者等の推測によれば、頭髪をアルカリ電解水で処理する際に、油分が存在することで、頭髪を軟化、膨潤させ、油分が髪組織に浸透することで、より強い加工効果を発揮するものと考えられる。すなわち、本発明の水性頭髪加工剤が含むアルカリ電解水によって頭髪(毛髪)が変形可能になるのは、頭髪の内部に存在する油性成分(細胞膜複合体、CMC(Cell Membrane Complex)にOH-が作用することでCMCを柔らかくするためであると考えられる。そして、本発明の水性頭髪加工剤に油分を含ませると、その油分が髪内部に浸透して、より強くCMCに働きかけるためであると考えられる。よって、油性成分であるCMCに親和性のある油分であり、かつ、髪の毛にダメージを与えることのない、香料、保湿剤又は抗酸化剤として用いられる油分であれば、頭髪の加工がより強く行えるという効果が奏されると考えられる。
【0013】
[固定化剤]
本発明で用いられる固定化剤は、水性頭髪加工剤により可塑性が高められた頭髪を固定する固定化剤であって、酸性水溶液である。本発明において、固定化剤は、上記アルカリ電解水を中和するためのものであるから、酸性であれば固定化効果を発揮しうる。酸性水溶液としては、有機酸、無機酸のいずれも用いることができるが、頭髪に用いる以上、人体に有害でないものが好ましく、食品に添加可能な酸性水溶液が好ましい。好ましいpHは、1.0~5.5、より好ましくは1.0~5.0である。酸性水溶液としては、スルファミン酸等のアミノ基を有する酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、フマル酸、酢酸、酸性アミノ酸等の水溶液が挙げられる。好ましい濃度は、0.001~30質量%、より好ましくは、0.01~10質量%、さらに好ましくは、0.01~1質量%である。
【0014】
[頭髪加工剤]
本発明の水性頭髪加工剤は、上記のアルカリ電解水を含むものである。アルカリ電解水からなるものも、本発明の頭髪加工剤に含まれる。水性頭髪加工剤は、好ましくはpHが7超13以下であり、より好ましくは、8以上13以下である。
【0015】
[その他の成分]
また、水性頭髪加工剤は、アルカリ電解水以外のその他の成分を含んでいてもよい。その他の成分とは、シャンプー、リンス、パーマ液、保湿液等の頭髪用品に用いられる添加物等である。例えば、界面活性剤、溶剤、グリシン、アスパラギン酸、アラニン、セリン、バリン、プロリン等のアミノ酸、キサンタンガム等の粘度調整剤、香料等が挙げられる。なお、本発明の水性頭髪加工剤が油分を含む場合でも界面活性剤は必須成分ではない。本発明の水性頭髪加工剤において、油分を乳化ないし溶解させることは、油分の効果を発揮するにあたって必須ではない。
溶剤としては、エタノール等のアルコール類、エチレングリコールエーテル等のエーテル系溶媒などが挙げられる。
界面活性剤としては、石鹸、モノアルキル硫酸塩、アルキルポリオキシエチレン硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、モノアルキルリン酸塩等のアニオン界面活性剤、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩等のカチオン界面活性剤、アルキルジメチルアミンオキシド、アルキルカルボキシベタイン等の両性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、脂肪酸ソルビタンエステル、アルキルポリグリコシド、脂肪酸ジエタノールアミド、アルキルモノグリセリルエーテル等のノニオン界面活性剤や、椰子油脂肪酸アマイド、ジラウレス-10リン酸ナトリウムのほか、アミノ酸系界面活性剤が挙げられる。
界面活性剤は、好ましくは、頭髪加工剤中に、0.001~1.0質量%、より好ましくは、0.01~0.5質量%含まれる。
【0016】
[パーマ液キット]
本発明のパーマ液キットは、上記の水性頭髪加工剤と固定化剤とを含むものである。水性頭髪加工剤と固定化剤はそれぞれ別の容器に収納される。水性頭髪加工剤を第1処理液、固定化剤を第2処理液として用いることができる。
【0017】
[パーマ方法]
本発明のパーマ方法は、アルカリ電解水を含む水性頭髪加工剤を頭髪に適用し、該頭髪を加温後、酸性水溶液を含む固定化剤により固定する工程を含むことを特徴とする頭髪のパーマ方法である。固定化剤の処理の後、頭髪を水で洗浄することが好ましい。水性頭髪加工剤としては、上記の本発明の水性頭髪加工剤を用いる。また、固定化剤は、上記の本発明の固定化剤を用いる。加温は、好ましくは、30~70℃、より好ましくは40~60℃で行う。加温時間は、好ましくは5分~25分、より好ましくは10分~20分である。
【実施例
【0018】
(実施例1~実施例5、比較例1及び比較例2)
以下の表1に示す組成のアルカリ電解水組成物を含む水性頭髪加工剤を調整し、それらを毛髪に塗布した。なお、番号1が実施例1、番号2が実施例2、番号3が実施例3、番号4が実施例4、番号5が実施例5,比1が比較例1、比2が比較例2である。その後、各水性頭髪加工剤を塗布した毛髪をパーマロッドに巻き付けて、60℃で10分間加温した(図2)。その後、パーマロッドに巻き付けた状態で、スルファミン酸0.4%水溶液(スルファミン酸0.4質量%、イオン交換水99.6質量%)を含む固定化剤(pH:1.4)を毛髪に塗布した。その後、毛髪をパーマロッドから取り外して、水洗いして、乾燥した。得られた結果を表1及び図2に示す。
図2は、左から、実施例1、実施例2、実施例3、実施例4、実施例5の水性頭髪加工剤により処理した毛髪の写真である。
【0019】
【表1】
【0020】
(実施例6~9)
上記実施例1と同様に、以下の表2に示す組成のアルカリ電解水組成物を含む水性頭髪加工剤を調製し、それらを毛髪に塗布した。なお、番号6が実施例6、番号7が実施例7、番号8が実施例8、番号9が実施例9である。その後、各水性頭髪加工剤を塗布した毛髪をパーマロッドに巻き付けて、60℃で10分間加温した。その後、パーマロッドに巻き付けた状態で、スルファミン酸0.4%水溶液(スルファミン酸0.4質量%、イオン交換水99.6質量%)を含む固定化剤(pH:1.4)を毛髪に塗布した。その後、毛髪をパーマロッドから取り外して、水洗いして、乾燥した。得られた結果を表2に示す。
【0021】
【表2】
【0022】
(実施例10及び実施例11)
以下の表3に示す組成のアルカリ電解水組成物を調製した。pHは11.1、電導度は3.60mS/cmであった。実施例10では、表3記載のアルカリ電解水組成物90mlに対して、ホホバオイル及びスクワランオイルを(1:1)を合計で5ml加えて混合して水性頭髪加工剤を得た。また、実施例11では、表3記載のアルカリ電解水組成物50mlに対して、ホホバオイル及びスクワランオイルを(1:1)を合計で20ml、加えて混合し水性頭髪加工剤を得た。
それぞれの水性頭髪加工剤を、被験者の頭髪に塗布し、塗布後の頭髪をパーマロッドに巻き付けて、60℃で15分加温した。その後、パーマロッドに巻き付けた状態で、スルファミン酸0.4%水溶液(スルファミン酸0.4質量%、イオン交換水99.6質量%)を含む固定化剤(pH:1.4)を毛髪に塗布した。その後、毛髪をパーマロッドから取り外して、水洗いして、乾燥した。得られた結果を図3及び図4に示す。図3は、処理前(3-1)、水性頭髪加工剤を塗布後、パーマロッドに巻き付けた状態(3-2)、固定化剤で処理し、水洗した後の状態(3-3)、乾燥後の状態(3-4)の写真である。図4は、処理前(4-1)、水性頭髪加工剤を塗布後、パーマロッドに巻き付けた状態(4-2)、固定化剤で処理し、水洗した後の状態(4-3)、乾燥後の状態(4-4)の写真である。
図3及び図4から明らかなように、いずれの実施例も、油分を含有しない水性頭髪加工剤(実施例1~9)よりもカールが強く固定された。また、図5は、図3の毛髪をマイクロスコープ(800倍)で撮影した拡大写真である。図5から明らかなように、油分を含有する水性頭髪加工剤で処理した毛髪は、処理後もキューティクルへのダメージが殆ど確認されなかった。
【0023】
【表3】
【0024】
(実施例12及び比較例3)
実施例10と同様の組成の水性頭髪加工剤を用いて、実施例10と同様にして被験者の頭髪の一部を処理した。各処理工程の頭髪について、マイクロスコープ(800倍)により拡大写真をとった。結果を図6に示す。
また、実施例10の水性頭髪加工剤の代わりにチオグリコール酸アンモニウム液を有効成分とする市販のパーマ液(チオグリコール酸アンモニウム液、精製水、ジチオグリコール酸ジアンモニウム液、強アンモニア水、炭酸水素アンモニウム、エタノール、ポリメタクリロイルエチルジメチルベタイン液、モノエタノールアミン、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、ラウリン酸アミドプロピルベタイン液、ヒドロキシエタンジホスホン酸を含む。)を用いて、実施例10と同様にして実施例10と同一の被験者の頭髪の一部を処理した(比較例3)。各処理工程の頭髪について、マイクロスコープ(800倍)により拡大写真をとった。結果を図7に示す。
図6から明らかなように、本発明の水性頭髪加工剤による処理後の頭髪は、キューティクルの剥離は見られず、逆に強度・厚みが増したように見られる。また、コルティックスには、水分が補給されたように潤いが増しているように見られる。
一方、図7から明らかなように、市販のパーマ液によって処理した後の頭髪は、キューティクルが剥離し、毛髪の形状が、断面円形状から断面四角形状に変形してしまっている様子が見られる。コルティックスにも乾燥が確認できる。
以上のように、本発明の水性頭髪加工剤は、市販のパーマ液よりも頭髪に与えるダメージを軽減でき、キューティクル剥離を抑制し、頭髪に潤いを与えうることが分かった。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7