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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-05
(45)【発行日】2022-01-20
(54)【発明の名称】被覆真空断熱材
(51)【国際特許分類】
   F16L 59/02 20060101AFI20220113BHJP
   F16L 59/065 20060101ALI20220113BHJP
【FI】
F16L59/02
F16L59/065
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2017137882
(22)【出願日】2017-07-14
(65)【公開番号】P2019019866
(43)【公開日】2019-02-07
【審査請求日】2020-06-19
(73)【特許権者】
【識別番号】313012349
【氏名又は名称】旭ファイバーグラス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100183379
【弁理士】
【氏名又は名称】藤代 昌彦
(72)【発明者】
【氏名】山本 秀哉
(72)【発明者】
【氏名】石黒 良知
【審査官】▲高▼藤 啓
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-089962(JP,A)
【文献】特開2009-075484(JP,A)
【文献】特開平07-232416(JP,A)
【文献】米国特許第04863769(US,A)
【文献】特開2002-205712(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 59/00-59/22
F25D 23/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空断熱材と、前記真空断熱材を被覆する熱収縮フィルムとを含む被覆真空断熱材であって、
前記真空断熱材が、多角形の板状であり、
前記熱収縮フィルムが、前記真空断熱材の少なくとも外周面に密着しており、
前記被覆真空断熱材が、外周面において、前記被覆真空断熱材の少なくとも1つの角部から70mm以内の領域に少なくとも1つの脱気穴を有し、
前記脱気穴が、0.1~5cm2の面積を有する、
被覆真空断熱材。
【請求項2】
前記真空断熱材の上面及び下面と前記熱収縮フィルムとの間の空気量が、0~10cm3/m2である、請求項1に記載の被覆真空断熱材。
【請求項3】
前記被覆真空断熱材が、外周面において、前記被覆真空断熱材の少なくとも3つの角部から70mm以内の領域に少なくとも1つの脱気穴を有する、請求項1又は2に記載の被覆真空断熱材。
【請求項4】
前記被覆真空断熱材の上面及び下面において、前記熱収縮フィルムが通気孔を有していない、請求項1~3のいずれか1項に記載の被覆真空断熱材。
【請求項5】
前記真空断熱材が、四角い板状である、請求項1~4のいずれか1項に記載の被覆真空断熱材。
【請求項6】
以下の工程、
1.未熱収縮フィルムからなる多角形の袋に、多角形の板状の真空断熱材を入れる工程であって、前記袋が開口部を有し、前記未熱収縮フィルムが20~200μmの厚さを有する、工程、
2.前記開口部をシールする工程、
3.前記シールした袋の少なくとも一部を切断する工程であって、前記少なくとも一部が袋の頂点を含む、工程、
4.前記切断した袋を80℃~200℃で加熱して熱収縮させる工程、及び
5.前記熱収縮させた袋を50℃以下に冷却する工程、
を含む、請求項1に記載の被覆真空断熱材の製造方法。
【請求項7】
以下の工程、
1.未熱収縮フィルムからなる多角形の袋の少なくとも一部を切断する工程であって、前記袋が開口部を有し、前記未熱収縮フィルムが20~200μmの厚さを有し、前記少なくとも一部が袋の頂点を含む、工程、
2.前記切断した袋に多角形の板状の真空断熱材を入れる工程、
3.前記開口部をシールする工程、
4.前記シールした袋を80℃~200℃で加熱して熱収縮させる工程、及び
5.前記熱収縮させた袋を50℃以下に冷却する工程、
を含む、請求項1に記載の被覆真空断熱材の製造方法。
【請求項8】
前記袋の前記切断される少なくとも一部における前記頂点を構成する2辺の長さが、70mm以下である、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記未熱収縮フィルムが、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、エチレンビニルアルコール樹脂フィルム及びポリオレフィンフィルムからなる群から選択される単層又は多層のフィルムである、請求項6~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記未熱収縮フィルムの収縮率が、10~80%である、請求項6~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記未熱収縮フィルムの引張強さが、70~1800kg/cm2である、請求項6~10のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空断熱材を熱収縮フィルムで被覆した被覆真空断熱材に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化防止等の観点から省エネルギー化、省資源化が強く望まれている。特に、冷蔵庫、冷凍庫、断熱ボックス、ジャー炊飯器、給湯器、自動販売機等の家庭用、業務用電化製品、自動車、複写機、床暖房、住宅等の分野では、熱エネルギーを効率的に利用するという観点から、真空断熱材が用いられるようになっている。
【0003】
冷蔵庫等は、主に真空断熱材とウレタン発泡材で断熱をしている。冷蔵庫内部には樹脂の筐体があり、真空断熱材は筐体に貼り付けられ、その周りの空間をウレタン発泡材で充填している。真空断熱材を冷蔵庫内部の筐体に貼り付けた後、ウレタン発泡剤を注入する際に、真空断熱材の耳折り部の隙間にウレタン発泡材が入り込む場合がある。真空断熱材の耳折り部の隙間にウレタン発泡材が入ると、ウレタン発泡材の流動性及び充填性が悪くなる。
【0004】
特許文献1は、外部衝撃からの保護や耳折り部のはがれ防止のために、熱収縮させた熱収縮性材料で外周縁表面と耳折り部を被覆した真空断熱材を開示している。特許文献1では、熱収縮性材料で真空断熱材を外包することで、耳折り部の隙間にウレタンが入り込むことを防ぎ、冷蔵庫内のウレタン発泡材の流動性及び充填性を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-89962号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、単に熱収縮性フィルムを熱収縮させて真空断熱材を外包すると、熱収縮フィルムと真空断熱材との間に空気が残る。空気の熱伝導率は真空断熱材の熱伝導率よりも高いため、熱収縮フィルムと真空断熱材との間に空気が残ると、熱収縮フィルムで被覆した真空断熱材全体の断熱性能は、真空断熱材自体よりも低下してしまうという問題が生じる。一般的には、熱収縮中にフィルムと真空断熱材との間の空気が抜けるように小さな通気孔が多数設けられた熱収縮性フィルムが知られているが、従来の通気孔を有する熱収縮性フィルムを用いた場合にも、熱収縮フィルムと真空断熱材との間には一定量の空気が残るため、得られる被覆真空断熱材の断熱性能は十分ではない。
【0007】
本発明の課題は、優れた断熱性能を有する、真空断熱材を熱収縮フィルムで被覆した被覆真空断熱材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、被覆真空断熱材の角部に0.1~5cm2の面積を有する少なくとも1つの空気解放用の脱気穴を設けることにより解決できることが見出された。すなわち、本発明は下記〔1〕~〔11〕に関するものである。
【0009】
〔1〕真空断熱材と、前記真空断熱材を被覆する熱収縮フィルムとを含む被覆真空断熱材であって、
前記真空断熱材が、多角形の板状であり、
前記熱収縮フィルムが、前記真空断熱材の少なくとも外周面に密着しており、
前記被覆真空断熱材が、外周面において、前記被覆真空断熱材の少なくとも1つの角部から70mm以内の領域に少なくとも1つの脱気穴を有し、
前記脱気穴が、0.1~5cm2の面積を有する、
被覆真空断熱材。
【0010】
〔2〕前記真空断熱材の上面及び下面と前記熱収縮フィルムとの間の空気量が、0~10cm3/m2である、前記〔1〕に記載の被覆真空断熱材。
【0011】
〔3〕前記被覆真空断熱材が、外周面において、前記被覆真空断熱材の少なくとも3つの角部から70mm以内の領域に少なくとも1つの脱気穴を有する、前記〔1〕又は〔2〕に記載の被覆真空断熱材。
【0012】
〔4〕前記被覆真空断熱材の上面及び下面において、前記熱収縮フィルムが通気孔を有していない、前記〔1〕~〔3〕のいずれか1項に記載の被覆真空断熱材。
【0013】
〔5〕前記真空断熱材が、四角い板状である、前記〔1〕~〔4〕のいずれか1項に記載の被覆真空断熱材。
【0014】
〔6〕以下の工程、
1.未熱収縮フィルムからなる多角形の袋に、多角形の板状の真空断熱材を入れる工程であって、前記袋が開口部を有し、前記未熱収縮フィルムが20~200μmの厚さを有する、工程、
2.前記開口部をシールする工程、
3.前記シールした袋の少なくとも一部を切断する工程であって、前記少なくとも一部が袋の頂点を含む、工程、
4.前記切断した袋を80℃~200℃で加熱して熱収縮させる工程、及び
5.前記熱収縮させた袋を50℃以下に冷却する工程、
を含む、前記〔1〕に記載の被覆真空断熱材の製造方法。
【0015】
〔7〕以下の工程、
1.未熱収縮フィルムからなる多角形の袋の少なくとも一部を切断する工程であって、前記袋が開口部を有し、前記未熱収縮フィルムが20~200μmの厚さを有し、前記少なくとも一部が袋の頂点を含む、工程、
2.前記切断した袋に多角形の板状の真空断熱材を入れる工程、
3.前記開口部をシールする工程、
4.前記シールした袋を80℃~200℃で加熱して熱収縮させる工程、及び
5.前記熱収縮させた袋を50℃以下に冷却する工程、
を含む、前記〔1〕に記載の被覆真空断熱材の製造方法。
【0016】
〔8〕前記袋の前記切断される少なくとも一部における前記頂点を構成する2辺の長さが、70mm以下である、前記〔6〕又は〔7〕に記載の方法。
【0017】
〔9〕前記未熱収縮フィルムが、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、エチレンビニルアルコール樹脂フィルム、及びポリオレフィンフィルムからなる群から選択される単層又は多層のフィルムである、前記〔6〕~〔8〕のいずれか1項に記載の方法。
【0018】
〔10〕前記未熱収縮フィルムの収縮率が、10~80%である、前記〔6〕~〔9〕のいずれか1項に記載の方法。
【0019】
〔11〕前記未熱収縮フィルムの引張強さが、70~1800kg/cm2である、前記〔6〕~〔10〕のいずれか1項に記載の方法。
【発明の効果】
【0020】
本発明により、優れた断熱性能を有する、真空断熱材を熱収縮フィルムで被覆した被覆真空断熱材が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、四角形の板状の真空断熱材形状を示す。
図2図2は、未熱収縮フィルムからなる四角形の袋及びその切断部分を示す。
図3図3は、袋の切断部分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、真空断熱材と、前記真空断熱材を被覆する熱収縮フィルムとを含む被覆真空断熱材であって、前記真空断熱材が、多角形の板状であり、前記熱収縮フィルムが、前記真空断熱材の少なくとも外周面に密着しており、前記被覆真空断熱材が、外周面において、前記被覆真空断熱材の少なくとも1つの角部から70mm以下の領域に少なくとも1つの脱気穴を有し、前記脱気穴が、0.1~5cm2の面積を有する、被覆真空断熱材である。
【0023】
本発明の被覆真空断熱材は、真空断熱材を含む。真空断熱材は、芯材及びガスバリア性フィルムを含み、吸着剤を含んでいてもよい。芯材は、ガスバリア性フィルム内に減圧密封されている。真空断熱材としては、従来技術のものを特に制限なく使用できる。
【0024】
本発明に用いられる芯材としては、真空断熱材分野で用いられているものを特に制限なく用いることができる。例えば、無機繊維、無機繊維と有機繊維が混合された繊維、シリカ粒子を主成分とする粉末芯材、発泡断熱材等を芯材として使用することができる。芯材の主成分は、SiO2を含むガラス繊維若しくはシリカ粒子であることが好ましい。
芯材は公知であり、市場において容易に入手できるか、又は調製可能である。
【0025】
本発明に用いられるガスバリア性フィルムは、ガスバリア性を有するフィルムであれば特に制限はないが、シール層及びガスバリア層を積層したものが好ましく、芯材に接する側から順にシール層、ガスバリア層及び樹脂フィルム層を積層したものがより好ましい。ガスバリア性フィルムの厚さは、特に制限はないが、通常5~60μmであり、好ましくは6~30μmである。ガスバリア層は、ガスを透過しない層であり、真空断熱材の真空度の低下を防ぐ観点から用いられる。
【0026】
ガスバリア層としては、金属箔や、樹脂フィルム上に蒸着を行った積層フィルム(蒸着膜フィルム)等が挙げられる。金属箔の金属としては、アルミニウム、銅、ステンレス、鉄等が挙げられる。好ましくは、アルミニウムが用いられる。蒸着膜は、蒸着法、スパッタ法等により、アルミニウム、ステンレス、コバルト、ニッケル等の金属等又はシリカ、アルミナ、若しくはこれらの組み合わせを蒸着させて形成する。蒸着膜フィルムの基材となる樹脂フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等の芳香族ポリエステル系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、オレフィン共重合体等のポリオレフィン系樹脂;ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂;ナイロン6、ナイロン66、メタキシリレンジアミン・アジピン酸縮合体等のポリアミド樹脂;ポリビニルアルコール、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、アクリロニトリル・スチレン共重合体等のスチレン系樹脂;ポリメチルメタクリレート、アクリル酸エステルとメチルメタクリル酸エステル共重合体等のアクリル系樹脂、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール及びこれを部分ケン化した物等の熱可塑性樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂等の熱硬化性樹脂から製造されるフィルムが用いられる。ガスバリア層は、好ましくはアルミ箔である。ガスバリア層の厚さは特に制限はないが、通常5~60μmであり、好ましくは6~30μmである。ガスバリア層に用いられる金属箔や蒸着膜フィルムは公知であり、市場において容易に入手することができるか、又は調製可能である。
【0027】
シール層は、加熱により融着可能な樹脂である。熱融着可能な樹脂であれば、特に制限はない。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリアクリロニトリル、PET、エチレン-ビニルアルコール共重合体、又はそれらの混合体からなるフィルム等を用いることができる。好ましくはポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-ビニルアルコール共重合体が用いられる。ポリエチレンは、0.90~0.98g/cm3の密度のものが好ましい。ポリプロピレンは、0.85~0.95g/cm3の密度のものが好ましい。シール層の厚さは特に制限はないが、通常10~100μmであり、好ましくは25~60μmである。シール層に用いられる樹脂は公知であり、市場において容易に入手することができるか、又は調製可能である。
【0028】
樹脂フィルム層は、ガスバリア層を保護する目的で、ガスバリア層上に任意に設けられる層である。樹脂フィルム層としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等の芳香族ポリエステル系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、オレフィン共重合体等のポリオレフィン系樹脂;ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂;ナイロン6、ナイロン66、メタキシリレンジアミン・アジピン酸縮合体等のポリアミド樹脂;ポリビニルアルコール、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、アクリロニトリル・スチレン共重合体等のスチレン系樹脂;ポリメチルメタクリレート、アクリル酸エステルとメチルメタクリル酸エステル共重合体等のアクリル系樹脂等の熱可塑性樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂等の熱硬化性樹脂から製造されるフィルムが用いられる。好ましくは、PET、ナイロン6又はナイロン66である。これらの樹脂フィルムには、有機質、無機質のフィラーを添加することもできる。これらの樹脂は単独で又は2種以上を混合して用いることができる。樹脂フィルム層には、ガスバリア性フィルムのガスバリア性能を更に向上させるために、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、ビニルアルコール等のビニルモノマーを重合、共重合させて得られるガスバリア性樹脂を塗布したり、積層したり、それらの粒子を樹脂フィルム層中に混合分散させることもできる。樹脂フィルム層の厚さは特に制限はないが、通常5~40μmであり、好ましくは10~30μmである。樹脂フィルム層に用いられる樹脂は公知であり、市場において容易に入手することができるか、又は調製可能である。
【0029】
本発明に用いられる吸着剤は、ガスを吸着する物質であれば特に制限はないが、例えば、窒素、酸素、二酸化炭素等のガス、及び/又は水分を吸着する物質である。吸着剤としては、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、シリカゲル、ゼオライト、活性炭、酸化バリウム、バリウム-リチウム合金、多孔性配位高分子、金属有機構造体又はこれらの混合物等が挙げられる。ガス吸着性能及び生産性の観点から、酸化カルシウムが好ましい。吸着剤は公知であり、市場において容易に入手することができるか、又は調製可能である。
【0030】
真空断熱材の内部圧力は、例えば、0.5~20Pa、好ましくは0.5~10Paである。内部圧力が上記範囲内であれば、真空断熱材内部のガスを介する熱伝導を抑制できるため、真空断熱材の断熱性を高めることができる。
【0031】
本発明において、真空断熱材は、一般的には四角形の板状であり、用途によって他の多角形の形状、例えば五角形以上であってもよい。四角形の板状の真空断熱材形状を、図1に示す。板状とは、薄く平たい形状を言い、対向する2つの面(図1の上面1及び下面2)並びにこれら2つの面を接続する外周面(図1の4つの側面3)を有する。本明細書において「角部」とは、外周面の短辺(厚み方向の辺)(図1の辺4)を指す。真空断熱材の大きさは、用途により適宜設定できるが、小さいものは200mm角程度からあり、大きいものは1000mm×2000mm程度のものもある。
【0032】
本発明の被覆真空断熱材は、真空断熱材を被覆する熱収縮フィルムを含む。本明細書において、「熱収縮フィルム」は、熱収縮した後のフィルムを指す。また、「未熱収縮フィルム」又は「熱収縮性フィルム」は、熱収縮する前のフィルムを指す。
【0033】
熱収縮フィルムは、真空断熱材の少なくとも外周面に密着している。熱収縮フィルムが少なくとも外周面に密着することにより、熱収縮フィルムからの熱損失を抑制でき、被覆真空断熱材は十分な断熱性能を発揮することが出来る。
【0034】
従来の被覆真空断熱材においては、真空断熱材の上面及び下面と熱収縮フィルムとの間には、多くの場合、100~250cm3/m2程度の空気が残存している。一方、本発明において、真空断熱材の上面及び下面と熱収縮フィルムとの間の空気量は、例えば、0~10cm3/m2である。空気量は、例えば、被覆真空断熱材の体積から真空断熱材の体積と熱収縮フィルムの体積を差し引いた値に基づいて測定することができる。真空断熱材の上面及び下面と熱収縮フィルムとの間の空気量が上記範囲内であれば、被覆真空断熱材の断熱性能の低下を抑えることができる。
【0035】
本発明の被覆真空断熱材は、外周面において、前記被覆真空断熱材の少なくとも1つの角部、例えば少なくとも2つの角部、好ましくは少なくとも3つの角部、より好ましくは全ての角部から70mm以内、好ましくは50mm以内、より好ましくは30mm以内の領域に少なくとも1つの脱気穴を有する。本発明において、脱気穴とは、後述の面積を有する、被覆真空断熱材表面の熱収縮フィルムで被覆されていない部分を指す。例えば、脱気穴は、熱収縮フィルムに設けられた穴であってもよく、あるいは、真空断熱材の縦方向及び横方向に帯状のフィルムを巻いた場合の、フィルムの隙間部分であってもよい。上記領域の例を図1に領域5として示す。脱気穴の位置は、角部から遠い方の脱気穴端部の位置に基づいて特定される。脱気穴は、被覆真空断熱材の複数の面にまたがっていてもよい。脱気穴の位置が上記範囲内であることにより、熱収縮フィルムと真空断熱材の密着性を保つことが出来る。また、被覆真空断熱材の製造時に熱収縮によるフィルムの破損を防止することが出来る。
【0036】
本発明において、脱気穴は、0.1~5cm2、好ましくは0.2~4cm2、より好ましくは0.3~3cm2の面積を有する。脱気穴が被覆真空断熱材の複数の面にまたがる場合には、穴の面積は、真空断熱材の、脱気穴から露出している部分の面積に基づいて特定する。脱気穴の面積が上記範囲内であれば、未熱収縮フィルムの熱収縮時にフィルムと真空断熱材との間の空気が抜け易くなり、熱収縮フィルムと真空断熱材との間の空気残存量を十分に少なくすることができる。また、被覆真空断熱材の製造時に熱収縮によるフィルムの破損を防止することが出来る。更に、冷蔵庫の製造時にウレタン発泡材を注入する際、角部の脱気穴からウレタン発泡材が真空断熱材と熱収縮フィルムの間に流入することを防止でき、ウレタン発泡材の流動性及び充填性の低下を防ぐことができる。
【0037】
本発明において、熱収縮フィルムは、従来の熱収縮フィルムと同様の通気孔を、例えば被覆真空断熱材の上面及び/又は下面に有していてもよい。
【0038】
本発明の被覆真空断熱材は、(1)未熱収縮フィルムからなる多角形の袋に、多角形の板状の真空断熱材を入れる工程であって、前記袋が開口部を有し、前記未熱収縮フィルムが20~200μmの厚さを有する、工程、(2)前記開口部をシールする工程、(3)前記シールした袋の少なくとも一部を切断する工程であって、前記少なくとも一部が袋の頂点を含む、工程、(4)前記切断した袋を80℃~200℃で加熱して熱収縮させる工程、及び(5)前記熱収縮させた袋を50℃以下に冷却する工程、を含む方法により製造することができる。
【0039】
未熱収縮フィルムは、20~200μm、好ましくは40~160μm、より好ましくは60~120μmの厚さを有する。厚さが上記範囲内であることにより、熱収縮フィルムの保護性が増し、被覆真空断熱材の破損を防止することができる。
【0040】
未熱収縮フィルムの収縮率に関しては、未熱収縮フィルムの樹脂材質により異なるが、例えば10%~80%、好ましくは10%~50%で調節する。収縮率は、未熱収縮フィルムの収縮温度より高く溶融温度より低い温度で1分以上未熱収縮フィルムを加熱して熱収縮させきった場合の、未熱収縮フィルムと熱収縮後のフィルムの辺の長さの比により測定することができる。収縮率が上記範囲内であれば、未熱収縮フィルムの収縮により、真空断熱材の形状を変えることなくフィルムと真空断熱材の間の空気を脱気穴から十分に抜くことができる。また、未熱収縮フィルムは、好ましくは70~1800kg/cm2、より好ましくは300~1000kg/cm2、更に好ましくは500~800kg/cm2の引張強さを有する。引張強さは、公知の方法により、例えばJIS K 7127に準じて測定することができる。引張強さが上記範囲内であれば、熱収縮フィルムに保護性があり、被覆真空断熱材の取扱いも容易である。未熱収縮フィルムは、従来の熱収縮性フィルムと同様の通気孔を有していてもよい。
【0041】
未熱収縮フィルムは、単層又は多層のフィルムであってよく、上記の熱収縮率を有していれば材質に特に制限はない。好ましいフィルムとしては、例えば、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリオレフィンフィルム、ポリエチレンテレフテレートフィルム、テフロンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、フッ素樹脂フィルム、ポリエチレンビニルアルコール樹脂フィルム、又はこれらを含む多層熱収縮フィルム等が挙げられる。
【0042】
工程(1)において、未熱収縮フィルムからなる袋は開口部を有し、そこから真空断熱材を入れることができる。袋に真空断熱材を入れる手段には、特に制限は無い。袋は、好ましくは真空断熱材の面と同様の形状を有する。
【0043】
工程(2)において、真空断熱材を入れた袋の開口部をシールする手段には特に制限は無く、例えば、ヒートシール方式、熱板方式、インパルスシール方式、レーザー溶接によりシールすることができる。開口部をシールすることにより、真空断熱材を未熱収縮フィルム内部に保持できる。
【0044】
工程(3)は、袋の少なくとも一部を切断する工程である。切断部分は、シールした開口部の一部を含んでいてもよい。袋が四角形である場合の袋及びその切断部分を図2に、拡大した切断部分を図3に示す。図2に示すように、切断部分6は、袋の頂点7を含む。また、図3に示す通り、袋の切断される少なくとも一部における頂点7を構成する2辺8の長さは、例えば70mm以下であり、好ましくは50mm以下、より好ましくは30mm以下である。長さが上記範囲内であれば、切断面は、最終製品の被覆真空断熱材において、外周面の角部から70mm以下の領域における0.1~5cm2の面積を有する脱気穴を構成することができる。また、頂点を含む少なくとも一部を切断部とすることにより、未熱収縮フィルムの熱収縮時にフィルムの破損を防ぐことができる。袋が四角形以外の多角形である場合も同様である。切断は、例えば、ハサミ、カッターなどにより行うことができる。
【0045】
工程(4)は、切断した袋を加熱して熱収縮する工程であり、加熱温度は、未熱収縮フィルムの収縮温度に基づいて適宜設定できるが、例えば80℃~200℃であり、未熱収縮フィルムの樹脂材質等に合わせて調節できる。加熱温度が上記範囲内であれば、未熱収縮フィルムを熱収縮することができる。未熱収縮フィルムの加熱は、例えば、熱風循環オーブン、乾燥機、ヒーターなどにより行うことができる。
【0046】
工程(5)は、熱収縮させた袋を冷却する工程であり、冷却温度は、50℃以下、好ましくは40℃以下である。冷却温度が上記範囲内であれば、熱収縮フィルムの熱収縮や変形を止めることが出来る。熱収縮フィルムの冷却は、例えば、クーラー、扇風機、自然冷却により行うことができる。
【0047】
本発明の被覆真空断熱材の製造において、未熱収縮フィルムの袋を、真空断熱材を入れる前にあらかじめ切断しておいてもよい。すなわち、本発明の被覆真空断熱材は、(a)未熱収縮フィルムからなる多角形の袋の少なくとも一部を切断する工程であって、前記袋が開口部を有し、前記未熱収縮フィルムが20~200μmの厚さを有し、前記少なくとも一部が袋の頂点を含む、工程、(b)前記切断した袋に多角形の板状の真空断熱材を入れる工程、(c)前記開口部をシールする工程、(d)前記シールした袋を80℃~200℃で加熱して熱収縮させる工程、及び(e)前記熱収縮させた袋を50℃以下に冷却する工程、を含む方法により製造することもできる。(a)~(e)工程は、それぞれ、上記(3)、(1)、(2)、(4)及び(5)工程と同様に実施することができる。
【0048】
別の態様では、帯状の未熱収縮フィルムを真空断熱材に縦方向及び横方向に巻いて、未熱収縮フィルムを熱収縮させることにより、角部に脱気穴を有する本発明の被覆真空断熱材を製造することができる。
【0049】
本発明の真空断熱材は、従来の真空断熱材と同様の用途、例えば、冷蔵庫、自動販売機、断熱ボックス等に用いることができる。
【0050】
本発明の被覆真空断熱材は、例えば、冷蔵庫用の断熱材として使用することができる。冷蔵庫内部では、筐体に真空断熱材が貼り付けられ、その周りの隙間をウレタン発泡材等で充填している。従来の被覆真空断熱材には、角部に熱収縮フィルムの収縮しわが残っているため、従来の被覆真空断熱材を用いる場合には、ウレタン発泡材を隙間に注入する際に、ウレタン発泡材の流動性や充填性が悪くなるという問題があった。また、熱収縮フィルム表面に小さな通気孔を有する従来の被覆真空断熱材を用いると、通気孔がウレタン発泡材で塞がれてしまうため、熱収縮フィルムと真空断熱材の間の空気が抜け切らずに残り、冷蔵庫の断熱性能に悪影響を及ぼすという問題もあった。本発明の被覆真空断熱材では、角部に脱気穴を設けることで、収縮しわを減らすことができるため、ウレタンの流動性及び充填性を改善することができる。また、本発明の被覆真空断熱材は、従来の通気孔よりも大きい脱気穴を角部の領域に有するため、仮に被覆真空断熱材の熱収縮フィルムと真空断熱材の間に空気が存在したとしても、ウレタン注入時に空気が脱気穴から押し出され、冷蔵庫の断熱性の低下を防ぐことができる。更に、本発明の被覆真空断熱材において、熱収縮フィルムが真空断熱材の外周面に密着しているため、ウレタン発泡材の流動性や充填性が改善される。
【実施例
【0051】
実施例1
通気孔を有さないポリ塩化ビニルフィルム(厚さ75μm、収縮率横20%/縦20%、引張強さ630kg/cm2(JIS K 7127に準じて測定))の四角形の袋の開口部から、四角形の板状の真空断熱材(300mm×300mm×20mm)を入れ、インパルスシール機により開口部をシールした。シールした袋の頂点を含む4箇所を切断した。各切断部分において、前記頂点を構成する2辺は10mm及び30mmであった。熱風循環オーブンにより、袋を100℃で15秒加熱し、フィルムを熱収縮させた。次に、自然冷却により、袋を環境温度25℃下で冷却し、被覆真空断熱材を得た。熱収縮フィルムは、外周面において真空断熱材と密着していた。被覆真空断熱材は、外周面において、角部から20mm(角部から脱気穴遠位端までの距離)の位置に、約0.3cm2の面積の脱気穴(短径2mm及び長径20mmの楕円形)を有した。
【0052】
実施例2
縦及び横に60mm間隔で直径0.1mmの円形の通気孔を有するポリ塩化ビニルフィルム(厚さ75μm、収縮率横20%/縦20%、引張強さ630kg/cm2)の四角形の袋の頂点を含む4箇所を切断した。各切断部分において、前記頂点を構成する2辺は10mm及び30mmであった。袋の開口部から四角形の板状の真空断熱材(300mm×300mm×20mm)を入れ、インパルスシール機により開口部をシールした。熱風循環オーブンにより、袋を100℃で15秒加熱し、フィルムを熱収縮させた。次に、自然冷却により、袋を環境温度25℃下で冷却し、被覆真空断熱材を得た。熱収縮フィルムは、上面及び下面に、約0.008cm2の面積の通気孔(直径1mmの円形)を、縦及び横に平均48mmの間隔で有し、外周面において、真空断熱材と密着していた。被覆真空断熱材は、外周面において、角部から20mmの位置に、約0.3cm2の面積の脱気穴(短径2mm及び長径20mmの楕円形)を有した。
【0053】
実施例3
縦及び横に60m間隔で直径0.1mmの円形の通気孔を有するポリ塩化ビニルフィルム(厚さ75μm、収縮率横20%/縦20%、引張強さ630kg/cm2)の四角形の袋の頂点を含む4箇所を切断した。各切断部分において、前記頂点を構成する2辺は10mm及び20mmであった。以降の手順は、実施例2と同様にして、被覆真空断熱材を得た。熱収縮フィルムは、上面及び下面に、約0.008cm2の面積の通気孔(直径1mmの円形)を、縦及び横に平均48mmの間隔で有し、外周面において、真空断熱材と密着していた。被覆真空断熱材は、外周面において、角部から15mmの位置に、約0.1cm2の面積の脱気穴(短径1mm及び長径15mmの楕円形)を有した。
【0054】
実施例4
縦及び横に60m間隔で直径0.1mmの円形の通気孔を有するポリ塩化ビニルフィルム(厚さ75μm、収縮率横20%/縦20%、引張強さ630kg/cm2)の四角形の袋の頂点を含む4箇所を切断した。各切断部分において、前記頂点を構成する2辺は10mm及び60mmであった。以降の手順は、実施例2と同様にして、被覆真空断熱材を得た。熱収縮フィルムは、上面及び下面に、約0.008cm2の面積の通気孔(直径1mmの円形)を、縦及び横に平均48mmの間隔で有し、外周面において、真空断熱材と密着していた。被覆真空断熱材は、外周面において、角部から60mmの位置に、約2.8cm2の面積の脱気穴(短径6mm及び長径60mmの楕円形)を有した。
【0055】
比較例1
縦及び横に60mm間隔で直径0.1mmの円形の通気孔を有するポリ塩化ビニルフィルム(厚さ75μm、収縮率横20%/縦20%、引張強さ630kg/cm2)の四角形の袋を切断せずに用いた以外は、実施例2と同様にして、被覆真空断熱材を得た。熱収縮フィルムは、上面及び下面に、約0.008cm2の面積の通気孔(直径1mmの円形)を、縦及び横に平均48mmの間隔で有した。
【0056】
比較例2
縦及び横に50mm間隔で直径1mmの円形の通気孔を有するポリ塩化ビニルフィルム(厚さ75μm、収縮率横20%/縦20%、引張強さ630kg/cm2)の四角形の袋を切断せずに用いた以外は、実施例2と同様にして、被覆真空断熱材を得た。熱収縮フィルムは、上面及び下面に、約0.3cm2の面積の通気孔(短径2mm及び長径20mmの楕円形)を、縦及び横に平均40mmの間隔で有した。
【0057】
比較例3
縦及び横に60mm間隔で直径0.1mmの円形の通気孔を有するポリ塩化ビニルフィルム(厚さ75μm、収縮率横20%/縦20%、引張強さ630kg/cm2)の四角形の袋の頂点を含む4箇所を切断した。各切断部分において、前記頂点を構成する2辺は20mm及び90mmであった。以降の手順は、実施例2と同様にして、被覆真空断熱材を得た。熱収縮フィルムは角部の切断部分から破損した。
【0058】
比較例4
縦及び横に60mm間隔で直径0.1mmの円形の通気孔を有するポリ塩化ビニルフィルム(厚さ75μm、収縮率横20%/縦20%、引張強さ630kg/cm2)の四角形の袋の頂点を含む4箇所を切断した。各切断部分において、前記頂点を構成する2辺は1mm及び5mmであった。以降の手順は、実施例2と同様にして、被覆真空断熱材を得た。熱収縮フィルムは、上面及び下面に、約0.008cm2の面積の通気孔(直径1mmの円形)を、縦及び横に平均48mmの間隔で有した。被覆真空断熱材は、外周面において、角部から4mmの位置に、約0.02cm2の面積の穴(短径0.5mm及び長径4mmの楕円形)を有した。
【0059】
比較例5
縦及び横に60mm間隔で直径0.1mmの円形の通気孔を有するポリ塩化ビニルフィルム(厚さ75μm、収縮率横20%/縦20%、引張強さ630kg/cm2)の四角形の袋の一辺において、頂点から135mm~165mmに亘る10mm×30mmの領域を切断した。以降の手順は、実施例2と同様にして、被覆真空断熱材を作製した。熱収縮フィルムは外周面の切断部分から破損した。
【0060】
比較例6
縦及び横に60mm間隔で直径0.1mmの円形の通気孔を有するポリ塩化ビニルフィルム(厚さ75μm、収縮率横20%/縦20%、引張強さ630kg/cm2)の四角形の袋の一方の面において、中心部の10mm×30mmの領域を切断した。以降の手順は、実施例2と同様にして、被覆真空断熱材を作製した。熱収縮フィルムは切断部分から破損した。
【0061】
真空断熱材の上面及び下面と熱収縮フィルムとの間の空気量の測定
実施例1~4並び比較例1~6の被覆真空断熱材のそれぞれについて、真空断熱材の上面及び下面と熱収縮フィルムとの間の空気量を、被覆真空断熱材の体積から真空断熱材の体積と熱収縮フィルムの体積を差し引くことで測定した。測定した空気量から、上面及び下面の単位面積当たりの空気量(内部空気量)を算出した。実施例1~4の被覆真空断熱材の結果を表1に、比較例1~6の被覆真空断熱材の結果を表2に示す。
【0062】
熱伝導率の測定
実施例1~4及び比較例1~6の被覆真空断熱材のそれぞれについて、JIS A 1412附属書B法 に準じて熱伝導率を測定した。実施例1~4の被覆真空断熱材の結果を表1に、比較例1~6の被覆真空断熱材の結果を表2に示す。
【0063】
【表1】
【0064】
【表2】
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明の真空断熱材は、特に、冷蔵庫、保冷箱、自動販売機などの断熱性能向上材料として有用である。
【符号の説明】
【0066】
1 上面
2 下面
3 外周面
4 角部
5 角部から一定の範囲の領域
6 切断部分
7 頂点
8 頂点を構成する2辺
図1
図2
図3