(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-05
(45)【発行日】2022-01-20
(54)【発明の名称】自走式多軸ドーリ
(51)【国際特許分類】
B62D 61/10 20060101AFI20220113BHJP
B60P 9/00 20060101ALI20220113BHJP
B60P 1/02 20060101ALI20220113BHJP
【FI】
B62D61/10
B60P9/00
B60P1/02 Z
(21)【出願番号】P 2017197102
(22)【出願日】2017-10-10
【審査請求日】2020-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】591135440
【氏名又は名称】日本通運株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 佳紀
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-179384(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 61/10
B60P 9/00
B60P 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物を搬送自在な自走式多軸ドーリであって、
互いに独立して駆動自在な複数の駆動車輪をフレームの下部に連設し、所定の間隔を設けて配置した一対の自走式搬送台車と、
これらの駆動車輪を操舵するコントローラ付き動力源と、
一対の前記フレームの上部に両端部を固定した一つ以上の横梁部材と、
前記横梁部材に配置され、走行面に載置した前記構造物を吊り上げ自在な複数の吊り上げ手段と、
一対の前記自走式搬送台車の間に配置され、前記フレームに支持されて昇降自在な積載台と、を備えている、自走式多軸ドーリ。
【請求項2】
前記吊り上げ手段は、ピストンロッドの先端部が前記構造物に係留可能な油圧シリンダからなる、
請求項1記載の自走式多軸ドーリ。
【請求項3】
前記コントローラ付き動力源は、前記横梁部材の中央部に固定している、
請求項1又は2記載の自走式多軸ドーリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自走式多軸ドーリに関する。特に、牽引車に牽引されることなく、操舵自在に自走できる自走式多軸ドーリ(Dolly)であって、一対の自走式多軸ドーリの間に重量物を保持して、この重量物を搬送できる自走式多軸ドーリの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
牽引自動車は、主に貨物を運搬する貨物自動車の一種である。牽引自動車は、トラクターと呼ばれる牽引車とトレーラーと呼ばれる被牽引車が分離できる構造になっている。このようなトレーラーの内、セミトレーラーは、トラクター側の第五輪(カプラ)がトレーラー側の前輪になるように着脱自在に連結でき、トラクターとトレーラーで貨物の荷重を分担できる。
【0003】
一方、フルトレーラーは、貨物の荷重をドーリと呼ばれる台車で全て支持している。車輪を多連に配置した低床式の多軸ドーリは、低速走行であるが、ブルドーザーなどの重機、又は、巨大長尺物の搬送に適している。又、このような低床式の多軸ドーリは、船舶を搬送するため、又は、コンテナで収容できない巨大貨物を搬送するため、港湾又は航空路の敷地内を走行することが多い。
【0004】
近年では、牽引車に牽引されることなく、操舵自在に自走できる低床の自走式多軸ドーリが出現している。例えば、上面に台座板を配置し、縦長に骨組みしたフレーム、フレームの下部の両側にフレームの長手方向に沿って配置され、互いに独立して方向変換が自在な複数組の駆動車輪、及び、一端部を駆動車輪の車軸に連結し、他端部をフレームの下部に連結し、フレームを昇降させるシリンダ部材を備え、フレームの前部に運転室を設けた自走式多軸ドーリが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
特許文献1による自走式多軸ドーリは、台座板に搭載した搭載物を昇降でき、駆動車輪を任意の向きに向けて移動できる、としている。又、特許文献1による自走式多軸ドーリは、任意の点に回転中心を設定して、その回りを回動させ、車体の向きを変えることもできる、としている。
【0006】
又、上面に台座板を配置し、縦長に骨組みしたフレーム、フレームの下部の両側にフレームの長手方向に沿って配置され、互いに独立して方向変換が自在な複数組の駆動車輪、及び、一端部を駆動車輪の車軸に連結し、他端部をフレームの下部に連結し、フレームを昇降させるシリンダ部材を備え、フレームの後部に動力原を設けた自走式多軸ドーリが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
特許文献2による自走式多軸ドーリは、リモートコントローラーを用いて、運転することができ、又、前部に運転席を連結して運転することもできる、としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2001-180461号公報
【文献】特開2012-136339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献2による自走式多軸ドーリは、橋梁などの長尺かつ大型の構造物を、所定間隔で並列配置した一対の自走式多軸ドーリに跨って載置し、構造物を製造現場から設置現場に向けて搬送できる、としている。
【0010】
しかし、特許文献2による自走式多軸ドーリは、一対の自走式多軸ドーリを同期して運転することが容易でなく、一対の自走式多軸ドーリの進行が非同期になることで、構造物の底面が損傷する心配がある。一対の自走式多軸ドーリを同期して運転することが容易な自走式多軸ドーリが求められている。
【0011】
又、特許文献2による自走式多軸ドーリは、クレーンを用いて、橋梁などの構造物を一対の自走式多軸ドーリに跨って移送している。近年では、予め応力を加えたプレストレスト・コンクリート(prestressed Concrete)板、いわゆる、PC板を製造現場から設置現場に向けて搬送することが求められている。しかし、クレーンを用いて、PC板などの平板状の重量構造物を一対の自走式多軸ドーリに跨って移送することは、搬送効率に優れないという問題がある。
【0012】
一対の自走式多軸ドーリを同期して運転することが容易であり、PC板などの平板状の低背の重量構造物を効率よく搬送できる自走式多軸ドーリが求められている。そして、以上のことが本発明の課題といってよい。
【0013】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、一対の自走式多軸ドーリを同期して運転することが容易であり、PC板などの平板状の低背の重量構造物を効率よく搬送できる自走式多軸ドーリを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者は、互いに独立して駆動自在な複数の駆動車輪をフレームの下部に連設し、所定の間隔を設けて配置した一対の自走式搬送台車、これらの駆動車輪を操舵するコントローラ付き動力源、一対のフレームの上部に両端部を固定した一つ以上の横梁部材、及び、横梁部材に配置され、走行面に載置した重量構造物を吊り上げる複数の吊り上げ手段で自走式多軸ドーリを構成することで、一対の自走式多軸ドーリを同期して運転することが容易であり、平板状の重量構造物を効率よく搬送できると考え、これに基づいて、以下のような新たな自走式多軸ドーリを発明するに至った。
【0015】
(1)本発明による自走式多軸ドーリは、構造物を搬送自在な自走式多軸ドーリであって、互いに独立して駆動自在な複数の駆動車輪をフレームの下部に連設し、所定の間隔を設けて配置した一対の自走式搬送台車と、これらの駆動車輪を操舵するコントローラ付き動力源と、一対の前記フレームの上部に両端部を固定した一つ以上の横梁部材と、前記横梁部材に配置され、走行面に載置した前記構造物を吊り上げ自在な複数の吊り上げ手段と、を備えている。
【0016】
(2)一対の前記自走式搬送台車の間に配置され、前記フレームに支持されて昇降自在な積載台を更に備えていることが好ましい。
【0017】
(3)前記吊り上げ手段は、ピストンロッドの先端部が前記構造物に係留可能な油圧シリンダからなることが好ましい。
【0018】
(4)前記コントローラ付き動力源は、前記横梁部材の中央部に固定していることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明による自走式多軸ドーリは、複数の駆動車輪をフレームの下部に連設した一対の自走式搬送台車、これらの駆動車輪を操舵するコントローラ付き動力源、一対のフレームの上部に両端部を固定した横梁部材、及び、横梁部材に配置され、構造物を吊り上げる複数の吊り上げ手段を備えているので、一対の自走式多軸ドーリを同期して運転することが容易であり、クレーンを用いることなく、重量構造物を効率よく搬送できる。
【0020】
又、本発明による自走式多軸ドーリは、一対の自走式搬送台車の間に配置され、フレームに支持されて昇降自在な積載台を更に備えているので、平板状の重量構造物のみならず複数の構造物を一括して搬送できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態による自走式多軸ドーリの構成を示す斜視図である。
【
図2】前記実施形態による自走式多軸ドーリに備わる自走式搬送台車の構成を示す側面図であり、
図2(A)は、フレームを最高位に上昇した状態図、
図2(B)は、フレームが最低位に下降した状態図である。
【
図3】前記実施形態による自走式多軸ドーリに備わる自走式搬送台車の構成を示す正面図であり、
図3(A)は、自走式多軸ドーリに備わる積載台を走行面に載置した状態図、
図3(B)は、自走式多軸ドーリに備わる積載台の両側面に沿って、一対のフレームを下降させている状態図、
図3(C)は、自走式多軸ドーリに備わる積載台と一対のフレームを接続ピンで連結した状態図、
図3(D)は、自走式多軸ドーリに備わる積載台を一対のフレームで持ち上げた状態図である。
【
図4】前記実施形態による自走式多軸ドーリが構造物を搬入する前の状態図であり、
図4(A)は、自走式多軸ドーリの平面図、
図4(B)は、自走式多軸ドーリの左側面図、
図4(C)は、自走式多軸ドーリの背面図である。
【
図5】前記実施形態による自走式多軸ドーリから積載台を分離する状態図であり、
図5(A)は、自走式多軸ドーリの平面図、
図5(B)は、自走式多軸ドーリの左側面図、
図5(C)は、自走式多軸ドーリの背面図である。
【
図6】前記実施形態による自走式多軸ドーリで構造物を吊り上げた状態図であり、
図6(A)は、自走式多軸ドーリの平面図、
図6(B)は、自走式多軸ドーリの左側面図、
図6(C)は、自走式多軸ドーリの背面図である。
【
図7】前記実施形態による自走式多軸ドーリで保持された構造物を積載台に積載した状態図であり、
図7(A)は、自走式多軸ドーリの平面図、
図7(B)は、自走式多軸ドーリの左側面図、
図7(C)は、自走式多軸ドーリの背面図である。
【
図8】前記実施形態による自走式多軸ドーリで保持された構造物を積載台から分離した状態図であり、
図8(A)は、自走式多軸ドーリの平面図、
図8(B)は、自走式多軸ドーリの左側面図、
図8(C)は、自走式多軸ドーリの背面図である。
【
図9】前記実施形態による自走式多軸ドーリが構造物を設置後に退行した状態図であり、
図9(A)は、自走式多軸ドーリの平面図、
図9(B)は、自走式多軸ドーリの右左側面図、
図9(C)は、自走式多軸ドーリの背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。
[自走式多軸ドーリの構成]
最初に、本発明の一実施形態による自走式多軸ドーリの構成を説明する。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態による自走式多軸ドーリの構成を示す斜視図である。
図2は、前記実施形態による自走式多軸ドーリに備わる自走式搬送台車の構成を示す側面図であり、
図2(A)は、フレームを最高位に上昇した状態図、
図2(B)は、フレームが最低位に下降した状態図である。
【0024】
図3は、前記実施形態による自走式多軸ドーリに備わる自走式搬送台車の構成を示す正面図であり、
図3(A)は、自走式多軸ドーリに備わる積載台を走行面に載置した状態図、
図3(B)は、自走式多軸ドーリに備わる積載台の両側面に沿って、一対のフレームを下降させている状態図、
図3(C)は、自走式多軸ドーリに備わる積載台と一対のフレームを接続ピンで連結した状態図、
図3(D)は、自走式多軸ドーリに備わる積載台を一対のフレームで持ち上げた状態図である。
【0025】
(全体構成)
図1から
図3を参照すると、本発明の一実施形態による自走式多軸ドーリ(以下、「ドーリ」という)10は、PC板などの平板状の低背の重量構造物Stを搬送できる。ドーリ10は、一対の自走式搬送台車(以下、「搬送台車」という)11・12とコントローラ2c付き動力源2を備えている。又、ドーリ10は、一対の横梁部材3・3と複数の吊り上げ手段となる油圧シリンダ4を備えている。なお、吊り上げ手段は、油圧シリンダ4に限定されない。電気モータで可動するラック・ピニオン機構、又は、電気モータで可動する送りねじ機構などを吊り上げ手段とすることもできる。
【0026】
図1から
図3を参照すると、一対の搬送台車11・12は、所定の間隔を設けて配置している。これらの搬送台車11・12は、複数の車輪1wをフレーム1fの下部に連設している。これらの車輪1wは、動力が伝動される駆動車輪と、動力が伝動されない非駆動車輪を含んでいる。搬送台車11・12は、全ての車輪1wを駆動車輪で構成することができ、駆動車輪と非駆動車輪に分けて構成することもできる。これらの駆動車輪は、機構的には互いに独立して駆動でき、コントローラ2cからの指令で、これらの駆動車輪が連動するように、一斉に駆動できる。又、これらの搬送台車11・12は、コントローラ2cからの指令で、これらの非駆動車輪が連動するように、一斉に操舵できる。
【0027】
図1を参照して、コントローラ2c付き動力源2は、リモートコントローラー(図示せず)を用いて、複数の車輪1wを操舵できる。コントローラ2c付き動力源2は、一対の縦梁部材31・31を介して、一対の横梁部材3・3の中央部に配置している。これにより、一対の搬送台車11・12への重量負荷を均衡できる。
【0028】
図1を参照すると、横梁部材3は、箱状の設置台32を介して、一対のフレーム1f・1fの上部に両端部を着脱自在に固定している。油圧シリンダ4は、横梁部材3に配置されている。油圧シリンダ4は、ピストンロッド4rが横梁部材3から突出した状態で、油圧シリンダ4の本体41が横梁部材3に固定されている。
【0029】
図1を参照して、油圧シリンダ4は、可撓性を有するチェーン又はワイヤなどの線状部材Lmを介して、ピストンロッド4rの先端部に重量構造物Stを係留できる。次に、複数の油圧シリンダ4を一斉に駆動することで、走行面Dsに載置した重量構造物Stを吊り上げできる。なお、油圧シリンダ4(吊り上げ手段)は、チェーン又はワイヤなどの線状部材Lm以外の例えば、リンク部材を介して、重量構造物Stを係留できる。
【0030】
図1から
図3を参照すると、実施形態によるドーリ10は、走行面Dsに載置した重量構造物Stを吊り上げた状態で搬送できる。実施形態によるドーリ10は、一対の搬送台車11・12を同期して運転することが容易であり、クレーンを用いることなく、低背の重量構造物Stを効率よく搬送できる。
【0031】
図1又
図3を参照すると、ドーリ10は、積載台5を更に備えている。積載台5は、一対の搬送台車11・12の間に配置されている(
図3参照)。積載台5は、一対のフレーム1f・1fに支持されて昇降できる。ドーリ10は、PC板などの単一の重量構造物Stのみならず、複数の重量構造物Stを積載台5に載置して、搬送できる。
【0032】
(自走式搬送台車の構成)
次に、実施形態による一対の搬送台車11・12の構成を説明する。
図3を参照すると、一対の搬送台車11・12は、センターラインLcを中心に、左右対称に配置されている。
【0033】
図1から
図3を参照すると、車軸1sは、軸受部11sに回転自在に保持されている。車軸1sは、一組の車輪1w・1wを両端部に着脱自在に固定している。又、軸受部11sには、車軸1sに回転力を伝動する第1の油圧モータ(図示せず)を取り付けている。
【0034】
図1から
図3を参照して、コントローラ2cからの指令で、複数の第1の油圧モータ(図示せず)を一方の方向に、一斉に回転すると、ドーリ10を前進できる。一方、コントローラ2cからの指令で、複数の第1の油圧モータ(図示せず)を他方の方向に、一斉に回転すると、ドーリ10を後退できる。
【0035】
図3(B)から
図3(D)を参照すると、フレーム1fの底面には、略円形のピックアップ板11pを固定している。ピックアップ板11pと軸受部11sは、油圧シリンダ1cで連結している。
図1を参照して、コントローラ2cからの指令で、複数の油圧シリンダ1cを一斉に駆動することで、フレーム1fを上昇できる(
図2(A)参照)。
【0036】
図1から
図3を参照して、コントローラ2cからの指令で、複数の油圧シリンダ1cを一斉に反駆動することで、フレーム1fを下降できる(
図2(B)参照)。
【0037】
図2を参照して、フレーム1fは、最高位Hmaxと最低位Hminの可動範囲内で停止できる。
図1を参照して、走行面Dsが傾斜面の場合は、搬送台車11と搬送台車12のいずれか一方のフレーム1fを上昇させることで、重量構造物Stの水平状態を維持できる。
【0038】
図3を参照して、ピックアップ板11pには、第2の油圧モータ(図示せず)が連結している。第2の油圧モータ(図示せず)を一方の方向に回動すると、軸受部11sを含む車軸1sを一方の方向に回動できる。第2の油圧モータ(図示せず)を他方の方向に回動すると、軸受部11sを含む車軸1sを他方の方向に回動できる。
【0039】
図1を参照して、コントローラ2cからの指令で、複数の第2の油圧モータ(図示せず)を一斉に一方の方向に回動することで、ドーリ10を右方向に走行できる。一方、コントローラ2cからの指令で、複数の第2の油圧モータ(図示せず)を一斉に他方の方向に回動することで、ドーリ10を左方向に走行できる。
【0040】
図1から
図3を参照すると、このように、ドーリ10は、コントローラ2cからの指令で、前進又は後退でき、左折又は右折することもできる。又、動力源2には、各油圧アクチュエータに油圧を供給する油圧源を含み、各油圧アクチュエータの動作を切り替える電磁バルブを含み、電磁バルブを駆動するバッテリなどを含んでいる。更に、動力源2と各アクチュエータは、図示しない油圧ホース及び電気ケーブルで接続されている。動力源2と各アクチュエータを接続する部材には、エアブレーキ用のエアホースを含むことができる。
【0041】
次に、ドーリ10への積載台5の設置方法を説明する。
図1又は
図3を参照すると、一方の搬送台車11は、フレーム1fの端部にサイドフレーム1sfを下設している。同様に、他方の搬送台車12は、フレーム1fの端部にサイドフレーム1sfを下設している。これらのサイドフレーム1sf・1sfは、対向配置されている。
【0042】
図3(A)を参照して、最初に、複数の矩形の枕木板5sを介して、積載台5を走行面Dsに仮置きしておく。枕木板5sは、積載台5の四隅に配置しておくことが好ましい。次に、
図3(B)を参照して、一対のフレーム1f・1fが上昇した状態で、積載台5を跨ぐように、ドーリ10を移動させる。次に、
図3(C)を参照して、一対のフレーム1f・1fを下降させる。
【0043】
図3(C)に示した状態では、サイドフレーム1sfに開口したピン穴と積載台5の側面に開口したピン穴が一致している。サイドフレーム1sfの外方から積載台5の側面に向かって、接合ピン1pを挿入することで、一対のサイドフレーム1sf・1sfで積載台5を支持できる。
【0044】
次に、
図3(D)を参照して、一対のフレーム1f・1fを上昇することで、積載台5の底面が走行面Dsから離間した状態で、ドーリ10は、積載台5を支持できる。
【0045】
[自走式多軸ドーリの作用]
次に、実施形態によるドーリ10の動作を説明しながら、ドーリ10の作用及び効果を説明する。
【0046】
図4は、前記実施形態による自走式多軸ドーリが構造物を搬入する前の状態図であり、
図4(A)は、自走式多軸ドーリの平面図、
図4(B)は、自走式多軸ドーリの左側面図、
図4(C)は、自走式多軸ドーリの背面図である。
【0047】
図5は、前記実施形態による自走式多軸ドーリから積載台を分離する状態図であり、
図5(A)は、自走式多軸ドーリの平面図、
図5(B)は、自走式多軸ドーリの左側面図、
図5(C)は、自走式多軸ドーリの背面図である。
【0048】
図6は、前記実施形態による自走式多軸ドーリで構造物を吊り上げた状態図であり、
図6(A)は、自走式多軸ドーリの平面図、
図6(B)は、自走式多軸ドーリの左側面図、
図6(C)は、自走式多軸ドーリの背面図である。
【0049】
図7は、前記実施形態による自走式多軸ドーリで保持された構造物を積載台に積載した状態図であり、
図7(A)は、自走式多軸ドーリの平面図、
図7(B)は、自走式多軸ドーリの左側面図、
図7(C)は、自走式多軸ドーリの背面図である。
【0050】
図8は、前記実施形態による自走式多軸ドーリで保持された構造物を積載台から分離した状態図であり、
図8(A)は、自走式多軸ドーリの平面図、
図8(B)は、自走式多軸ドーリの左側面図、
図8(C)は、自走式多軸ドーリの背面図である。
【0051】
図9は、前記実施形態による自走式多軸ドーリが構造物を設置後に退行した状態図であり、
図9(A)は、自走式多軸ドーリの平面図、
図9(B)は、自走式多軸ドーリの左側面図、
図9(C)は、自走式多軸ドーリの背面図である。
【0052】
最初に、
図4を参照して、一対の搬送台車11・12の間に積載台5を支持した状態で、ドーリ10を重量構造物Stに向かって移動する。
図4に示した状態では、ドーリ10は、一対のフレーム1f・1fを上昇し、積載台5の底面が走行面Dsから離間した状態で、積載台5を支持している(
図3(D)参照)。
【0053】
次に、
図5を参照して、ドーリ10から積載台5を走行面Dsに降ろす。この場合、
図3(D)に示した状態から、一対のフレーム1f・1fを下降し(
図3(C)参照)、サイドフレーム1sfの外方から接合ピン1pを抜くことで(
図3(C)参照)、一対の搬送台車11・12と積載台5の連結を解除できる。次に、
図5を参照して、一対のフレーム1f・1fを上昇した状態で(
図3(B)参照)、ドーリ10を重量構造物Stに向かって前進する。
【0054】
次に、
図6を参照して、一対の搬送台車11・12の間に重量構造物Stが移動した状態では、チェーン又はワイヤなどの線状部材Lmを介して、ピストンロッド4rの先端部に重量構造物Stを係留し、複数の油圧シリンダ4を一斉に駆動し、走行面Dsに載置した重量構造物Stを吊り上げる。
【0055】
次に、
図6に示すように、重量構造物Stを吊り上げた状態から、ドーリ10を積載台5に向かって後退する。次に、
図3(B)を参照して、一対のフレーム1f・1fが上昇した状態から、一対のフレーム1f・1fを下降させる(
図3(C)参照)。次に、
図3(C)を参照して、一対のサイドフレーム1sf・1sfで積載台5を支持する。次に、
図3(D)を参照して、一対のフレーム1f・1fを上昇することで、積載台5の底面が走行面Dsから離間した状態で、ドーリ10は、積載台5を支持できる。
【0056】
次に、
図7を参照して、一対の搬送台車11・12の間に積載台5を支持した状態で、重量構造物Stを積載台5に積載する。そして、重量構造物Stを積載台5に積載した状態で、ドーリ10を走行し、重量構造物Stを設置場所まで搬送する。この場合、複数の油圧シリンダ4で重量構造物Stを吊り上げることなく、重量構造物Stを積載台5に積載して、重量構造物Stを設置場所まで搬送することもできる。
【0057】
次に、
図8を参照して、ドーリ10が設置場所の近辺まで移動した状態では、重量構造物Stを一旦吊り上げ、積載台5をドーリ10から分離する。そして、重量構造物Stを吊り上げた状態で、ドーリ10を設置場所に移動する。
【0058】
次に、
図8に示した状態から、複数の油圧シリンダ4を一斉に反駆動し、重量構造物Stを設置場所に設置する。次に、
図9を参照して、重量構造物Stの設置が完了した後は、ドーリ10は後退し、一対の搬送台車11・12の間に積載台5を支持した状態で、ドーリ10は設置場所から退場する。
【0059】
図1から
図9を参照すると、実施形態によるドーリ10は、走行面Dsに載置した重量構造物Stを積載台5に載置して搬送できる。実施形態によるドーリ10は、一対の搬送台車11・12を同期して運転することが容易であり、クレーンを用いることなく、複数の低背の重量構造物Stを効率よく搬送できる。
【0060】
図1から
図3を参照すると、実施形態によるドーリ10は、重量構造物Stを吊り上げた状態で、港湾又は航空路の敷地内を走行することができる。又、実施形態によるドーリ10は、舗装道路から切り出したPC板を設置現場に向けて搬送できる。この場合、実施形態によるドーリ10は、一対の搬送台車11・12のそれぞれの幅が狭いので、PC板を吊り上げた状態で、小回りが必要な道路を走行することもできる。更に、実施形態によるドーリ10は、滑走路の端部などの小回りが必要な場所でも、PC板の搬入が容易である。
【0061】
本発明による自走式多軸ドーリは、PC板などの平坦な低背の構造物を搬送するのに好適であるが、本発明の自走式多軸ドーリによる搬送物は、平坦な低背の構造物に限定されない。本発明による自走式多軸ドーリは、複数の設置台32の高さを変更することで(
図1参照)、ブルドーザーなどの重機、又は、巨大長尺物を吊り上げた状態で搬送でき、コンテナで収容できない巨大貨物を吊り上げた状態で搬送することもできる。また、横梁部材の長さを適宜変更することで、搬送対象物の幅に合わせて自走式多軸ドーリ全体の幅を調整できる。
【0062】
又、本発明による自走式多軸ドーリは、サイドフレーム、設置台、及び、一対の横梁部材を自走式搬送台車のフレームから取り外し易い構造になっている。これにより、一対の自走式搬送台車のフレームの側面同士を連結し、これらのフレームの前部にコントローラ付き動力源を連結することで、駆動車輪を二列に配置した、一般的な自走式多軸ドーリとして使用することもできる。
【符号の説明】
【0063】
1w 車輪
2 動力源
2c コントローラ
3 横梁部材
4 油圧シリンダ(吊り上げ手段)
10 ドーリ(自走式多軸ドーリ)
11・12 一対の搬送台車
Ds 走行面
St 重量構造物(構造物)