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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-05
(45)【発行日】2022-01-20
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 33/04 20060101AFI20220113BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20220113BHJP
   H01L 27/32 20060101ALI20220113BHJP
   H05B 33/02 20060101ALI20220113BHJP
   H05B 33/22 20060101ALI20220113BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20220113BHJP
【FI】
H05B33/04
H05B33/14 A
H01L27/32
H05B33/02
H05B33/22 Z
G09F9/30 308D
G09F9/30 365
G09F9/30 330
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2017199366
(22)【出願日】2017-10-13
(65)【公開番号】P2019075229
(43)【公開日】2019-05-16
【審査請求日】2020-10-09
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 雅人
(72)【発明者】
【氏名】金谷 平祐
【審査官】辻本 寛司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0162111(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0263886(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0162637(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0288003(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0249896(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0031323(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0148856(US,A1)
【文献】特開2010-107551(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 33/04
H01L 51/50
H01L 27/32
H05B 33/02
H05B 33/22
G09F 9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と、
前記第1基板上の発光素子を有する複数の画素が設けられた表示領域と、
前記第1基板上の前記表示領域の第1方向に沿って設けられた駆動回路と、
前記表示領域を覆い、前記発光素子の側から第1無機絶縁層と、有機絶縁層と、第2無機絶縁層と、が積層された封止膜と、
前記封止膜上の第2基板と、
前記第1基板、前記表示領域、及び前記第2基板に設けられた貫通孔と、
前記貫通孔を囲む第1領域と、を有し、
前記第1方向と交差する第2方向における前記貫通孔の開口部の縁から前記複数の画素のうち前記開口部に隣接する画素までの幅は、前記第2方向における前記第1基板の端部から前記駆動回路の端までの幅よりも大きく、
前記第1領域は、前記第1無機絶縁層と前記第2無機絶縁層とが接して設けられる第2領域を有し、
前記第2領域における、前記第1無機絶縁層と前記第2無機絶縁層の端部は、前記貫通孔の開口部の縁よりも前記画素に近い箇所に位置する、表示装置。
【請求項2】
前記第2領域には、前記第1基板から前記第1無機絶縁層へ向かう方向に突出する凸部が配置され、
前記凸部は、前記第1無機絶縁層及び前記第2無機絶縁層に覆われている、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記凸部は、前記有機絶縁層と重ならない、請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記駆動回路と、前記複数の画素と、を接続する複数の走査線と、
前記複数の走査線と交差し、前記複数の画素と接続される複数の信号線と、をさらに有し、
前記第2領域は、前記複数の走査線と重なる、請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記発光素子は、第1電極と、発光層と、第2電極と、を有し、
前記第1領域において、前記画素と前記第2領域との間で、前記第2電極は、前記複数の信号線と同じ層上に設けられる第1導電層と、電気的に接続される、請求項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記第2領域において、前記第2電極の端部は、前記第1無機絶縁層と接する、請求項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記駆動回路と、前記複数の画素と、を接続する複数の走査線と、
前記複数の走査線と交差し、前記複数の画素と接続される複数の信号線と、をさらに有し、
前記第2領域は、前記複数の信号線と重なる、請求項1に記載の表示装置。
【請求項8】
前記貫通孔の側面に、絶縁膜が設けられる、請求項1に記載の表示装置。
【請求項9】
第1基板と、
前記第1基板上の発光素子を有する複数の画素が設けられた表示領域と、
前記第1基板上の前記表示領域の第1方向に沿って設けられた駆動回路と、
前記表示領域を覆い、前記発光素子の側から第1無機絶縁層と、有機絶縁層と、第2無機絶縁層と、が積層された封止膜と、
前記封止膜上の第2基板と、
前記第1基板、前記表示領域、及び前記第2基板に設けられた切り欠き部と、
前記切り欠き部を囲む第1領域と、を有し、
前記第1方向と交差する第2方向における前記切り欠き部の縁から前記複数の画素のうち前記切り欠き部に隣接する画素までの幅は、前記第2方向における前記第1基板の端部から前記駆動回路の端までの幅よりも大きく、
前記第1領域は、前記第1無機絶縁層と、前記第2無機絶縁層とが接して設けられる第2領域を有し、
前記第2領域における、前記第1無機絶縁層と前記第2無機絶縁層の端部は、前記切り欠き部の縁よりも前記画素に近い箇所に位置する、表示装置。
【請求項10】
前記第2領域には、前記第1基板から前記第1無機絶縁層へ向かう方向に突出する凸部が配置され、
前記凸部は、前記第1無機絶縁層及び前記第2無機絶縁層に覆われている、請求項9に記載の表示装置。
【請求項11】
前記凸部は、前記有機絶縁層と重ならない、請求項10に記載の表示装置。
【請求項12】
前記駆動回路と、前記複数の画素と、を接続する複数の走査線と、
前記複数の走査線と交差し、前記複数の画素と接続される複数の信号線と、をさらに有し、
前記第2領域は、前記複数の走査線と重なる、請求項9に記載の表示装置。
【請求項13】
前記発光素子は、第1電極と、発光層と、第2電極と、を有し、
前記第1領域において、前記画素と前記第2領域との間で、前記第2電極は、前記複数の信号線と同じ層上に設けられる第1導電層と、電気的に接続される、請求項12に記載の表示装置。
【請求項14】
前記第2領域において、前記第2電極の端部は、前記第1無機絶縁層と接する、請求項13に記載の表示装置。
【請求項15】
前記駆動回路と、前記複数の画素と、を接続する複数の走査線と、
前記複数の走査線と交差し、前記複数の画素と接続される複数の信号線と、をさらに有し、
前記第2領域は、前記複数の信号線と重なる、請求項9に記載の表示装置。
【請求項16】
前記切り欠き部の側面に、絶縁膜が設けられる、請求項9に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施形態は、表示装置における表示領域の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、表示装置として、有機エレクトロルミネッセンス材料(有機EL材料)を表示部の発光素子(有機EL素子)に用いた有機EL表示装置(Organic Electroluminescence Display)が知られている。有機EL表示装置は、液晶表示装置等とは異なり、有機EL材料を発光させることにより表示を実現するいわゆる自発光型の表示装置である。
【0003】
近年、このような有機EL表示装置において、表示領域に貫通孔が開いた異形ディスプレイが開発されている。例えば、特許文献1には、車両用表示メータのとして、表示領域に表示パネルを貫通する貫通孔が設けられた有機EL表示装置が開示されている。また、特許文献2には、ディスプレイの表示部分に開口を設けて、開口に針を配置することで、指針盤に用いるディスプレイパネルについて記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-235790号公報
【文献】特開2010-179885号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような有機EL表示装置に含まれる有機EL素子は、大気に曝されると、大気中の水分及び酸素により有機EL材料を含む発光層や陰極の劣化、ひいては素子の性能低下を招く。特許文献1のように、表示パネルを貫通する貫通孔を形成する場合、貫通孔が形成された領域から水分や酸素が侵入することで有機EL素子が劣化し、有機EL表示装置の信頼性が低下するという問題がある。
【0006】
本発明は、外観デザインの自由度を高めた表示装置を提供することを目的の一つとする。また、本発明は、有機EL素子に水分や酸素が侵入することを防止して、信頼性の高い表示装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係る表示装置は、第1基板と、第1基板上の発光素子を有する複数の画素が設けられた表示領域と、第1基板上の表示領域の第1方向に沿って設けられた駆動回路と、表示領域を覆い、発光素子の側から第1無機絶縁層と、有機絶縁層と、第2無機絶縁層と、が積層された封止膜と、封止膜上の第2基板と、第1基板、表示領域、及び第2基板に設けられた貫通孔と、貫通孔を囲む第1領域と、を有し、第1方向と交差する第2方向における貫通孔の開口部の縁から画素までの幅は、第2方向における第1基板の端部から駆動回路の端までの幅よりも大きく、第1領域は、第1無機絶縁層と第2無機絶縁層とが接して設けられる第2領域を有する。
【0008】
本発明の一実施形態に係る表示装置は、第1基板と、第1基板上の発光素子を有する複数の画素が設けられた表示領域と、第1基板上の表示領域の第1方向に沿って設けられた駆動回路と、表示領域を覆い、発光素子の側から第1無機絶縁層と、有機絶縁層と、第2無機絶縁層と、が積層された封止膜と、封止膜上の第2基板と、第1基板、表示領域、及び第2基板に設けられた切り欠き部と、切り欠き部を囲む第1領域と、を有し、第1方向と交差する第2方向における貫通孔の開口部の縁から画素までの幅は、第2方向における第1基板の端部から駆動回路の端までの幅よりも大きく、第1領域は、第1無機絶縁層と、第2無機絶縁層とが接して設けられる第2領域を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る表示装置の構成を示す概略図である。
図2】本発明の一実施形態に係る表示装置の画素回路を示す図である。
図3】本発明の一実施形態に係る表示装置の構成を示す概略図である。
図4図3に示す表示装置の一部を拡大した図である。
図5図3に示す表示装置の一部を拡大した図である。
図6図5に示す表示領域のA1-A2線に沿った断面図である。
図7図5に示す表示領域のB1-B2線に沿った断面図である。
図8図5に示す表示領域のC1-C2線に沿った断面図である。
図9図5に示す表示領域のD1-D2線に沿った断面図である。
図10図5に示す表示領域のD1-D2線に沿った断面図である。
図11図5に示す表示領域のE1-E2線に沿った断面図である。
図12図5に示す表示領域のF1-F2線に沿った断面図である。
図13】本発明の一実施形態に係る表示装置の製造方法を説明する図である。
図14A】本発明の一実施形態に係る表示装置を製造するためのマスクの平面図である。
図14B】本発明の一実施形態に係る表示装置を製造するためのマスクの平面図である。
図15A】本発明の一実施形態に係る表示装置を製造するためのマスクの平面図である。
図15B】本発明の一実施形態に係る表示装置を製造するためのマスクの平面図である。
図16図5に示す表示領域のB1-B2線に沿った断面図である。
図17図5に示す表示領域のF1-F2線に沿った断面図である。
図18】本発明の一実施形態に係る表示装置を製造するためのマスクの平面図である。
図19】本発明の一実施形態に係る表示装置の構成を示す概略図である。
図20図19に示す表示装置の一部を拡大した図である。
図21図19に示す表示装置の一部を拡大した図である。
図22図21に示す表示領域のG1-G2線に沿った断面図である。
図23】本発明の一実施形態に係る表示装置の構成を示す概略図である。
図24】本発明の一実施形態に係るスマートフォンの構成を示す概略図である。
図25図24に示す表示領域のH1-H2線に沿った断面図である。
図26図24に示す表示領域のI1-I2線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の各実施形態について、図面等を参照しつつ説明する。但し、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲において様々な態様で実施することができ、以下に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、図面に関して、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて各部の幅、厚さ、形状等を模式的に表す場合があるが、それら模式的な図は一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。さらに、本明細書と各図において、既出の図に関して説明したものと同一又は類似の要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略することがある。
【0011】
本発明において、ある一つの膜を加工して複数の膜を形成した場合、これら複数の膜は異なる機能、役割を有することがある。しかしながら、これら複数の膜は同一の工程で同一層として形成された膜に由来し、同一の層構造、同一の材料を有する。したがって、これら複数の膜は同一層に存在しているものと定義する。
【0012】
なお、本明細書中において、図面を説明する際の「上」、「下」などの表現は、着目する構造体と他の構造体との相対的な位置関係を表現している。本明細書中では、側面視において、後述する第1基板から画素電極に向かう方向を「上」と定義し、その逆の方向を「下」と定義する。本明細書および特許請求の範囲において、ある構造体の上に他の構造体を配置する態様を表現するにあたり、単に「上に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある構造体に接するように、直上に他の構造体を配置する場合と、ある構造体の上方に、さらに別の構造体を介して他の構造体を配置する場合との両方を含むものとする。
【0013】
(第1実施形態)
図1は、本発明の一実施形態に係る表示装置100の構成を示した概略図であり、表示装置100を平面視した場合における概略構成を示している。本明細書等では、表示装置100を画面(表示領域)に垂直な方向から見た様子を「平面視」と呼ぶ。
【0014】
図1に示すように、表示装置100は、基板101の上に形成された、表示領域103と、駆動回路104と、ドライバIC106と、基板102と、を有する。
【0015】
表示領域103には、複数の画素109が配置されている。各画素109は、画素電極(陽極ともいう)と、画素電極上に積層された発光層を含む有機層(発光部)と、共通電極(陰極ともいう)と、を有する発光素子と、画素電極と接続された画素回路と、を含む。また、画素回路には、複数のトランジスタが設けられている。トランジスタとしては、典型的には、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:TFT)を用いることができる。ただし、薄膜トランジスタに限らず、電流制御機能を備える素子であれば、如何なる素子を用いても良い。
【0016】
駆動回路104は、表示領域103の第1方向(図1ではy方向)に沿って設けられている。また、ドライバIC106は、第1方向と交差する第2方向(図1ではx方向)に沿って設けられている。駆動回路104は、画素109と接続される走査線に接続され、走査線駆動回路として機能する。また、ドライバIC106には、画素109と接続される信号線に接続され、信号線駆動回路が組み込まれている。各画素109には、ドライバIC106から信号線を介して、画像データに応じた映像信号が与えられる。また、各画素109には、ドライバIC106から駆動回路104と、走査線とを介して、各画素109を選択する信号が与えられる。これらの信号により、画素回路が有するトランジスタを駆動させて、画像データに応じた画面表示を行うことができる。なお、図1においては、ドライバIC106に、信号線駆動回路が組み込まれている例を示すが、ドライバIC106とは別に、信号線駆動回路が設けられていてもよい。
【0017】
ドライバIC106は、ICチップのような形態で基板101上に配置してもよく、フレキシブルプリント基板108上に設けてもよい。フレキシブルプリント基板108は、基板101に設けられた端子107と接続される。また、基板101において、表示領域103を取り囲むように、駆動回路104、ドライバIC106、及び端子107が設けられた領域が、周辺領域110となる。周辺領域110は表示領域103を4方から取り囲む形となる。
【0018】
図1に示すように、表示領域103には、第1方向に沿って設けられた複数の走査線141及び駆動電源線143と、第1方向と交差する第2方向に沿って設けられた複数の信号線142及び基準電源線144と、が設けられている。また、走査線141、信号線142、駆動電源線143、及び基準電源線144に接続される画素109が、マトリクス状に配置されている。各画素109には、ドライバIC106から信号線142を介して、画像データに応じた映像信号が与えられる。また、各画素109には、ドライバIC106から駆動回路104と、走査線141とを介して、各画素109を選択する信号が与えられる。これらの信号により、画素回路が有するトランジスタを駆動させて、画像データに応じた画面表示を行うことができる。なお、図1には、4行×4列で画素が配列されている様子を図示するが、実際には、数百万個の画素がマトリクス状に配置されている。
【0019】
図2に、表示領域103に設けられる画素109の画素回路を示す。画素109は、少なくともトランジスタ210、トランジスタ220、発光素子230、及び保持容量240を含む。
【0020】
トランジスタ210は、駆動トランジスタとして機能する。すなわち、発光素子230に接続され、発光素子230の発光輝度を制御するトランジスタである。トランジスタ210は、ゲートがトランジスタ220に接続され、ソースが駆動電源線143に接続され、ドレインが発光素子230の画素電極に接続されている。トランジスタ210は、ゲート-ソース間電圧によってドレイン電流が制御される。
【0021】
トランジスタ220は、選択トランジスタとして機能する。すなわち、トランジスタ220は、信号線142とトランジスタ210のゲートとの導通状態を制御する。トランジスタ220は、ゲートが走査線141に接続され、ソースが信号線142に接続されて、ドレインがトランジスタ210のゲートに接続されている。
【0022】
発光素子230は、画素電極がトランジスタ210のドレインに接続され、共通電極が基準電源線144に接続されている。
【0023】
保持容量240は、一方の電極が、トランジスタ210のソースと接続され、他方の電極が、トランジスタ210のゲートに接続される。これにより、保持容量240は、トランジスタ210のゲート-ソース間電圧を保持する。
【0024】
本実施形態に係る表示装置100は、表示領域103において、少なくとも一つの貫通孔を有する。図3では、表示領域103の3か所に貫通孔111、貫通孔112、及び貫通孔113を設ける例を示す。貫通孔111は、基板101、表示領域103、及び基板102を貫通している。貫通孔112及び貫通孔113も、貫通孔111と同様に、基板101、表示領域103、及び基板102を貫通している。
【0025】
図4に、図1に示す領域120の拡大図を示す。領域120は、表示領域103、駆動回路104、貫通孔111、及び貫通孔111を囲む領域121を含んでいる。貫通孔111を囲む領域121とは、平面視したとき、貫通孔111の開口部の縁と複数の画素109とによって囲まれた領域をいう。また、表示領域103には、複数の画素109がマトリクス状に配置されている。
【0026】
図5に、図4に示す領域120の拡大図において、複数の走査線141と、複数の信号線142とを付加した図を示す。複数の走査線141は、画素109と電気的に接続されており、信号線142は、画素109と電気的に接続されている。
【0027】
図5に示すように、貫通孔111を囲む領域121においては、複数の走査線141は、貫通孔111を迂回して、貫通孔111に対して左右の画素109と接続されている。また、複数の信号線142も貫通孔111を迂回して、貫通孔111に対して上下の画素109と接続されている。これにより、表示領域103に、基板101及び基板102を貫通する貫通孔が設けられた場合であっても、正常に画像信号を出力することができる。
【0028】
また、図に示すように、第2方向(図4においては、x方向)における領域121の幅t1は、第1方向における基板101の端部から画素109の端までの幅t2よりも大きくなる。これは、貫通孔111の面積にもよるが、貫通孔111を囲む領域121には、貫通孔111を迂回することで、数十から百本程度の配線が設けられるのに対し、基板101の端部から駆動回路104の端までの幅には、数本から十本程度の配線、および駆動回路104のトランジスタ等が設けられる。幅t2の領域に配置される配線数の数倍以上の配線が幅t1の領域に設けられるので、トランジスタ等のレイアウト面積を考慮しても幅t1の方が幅t2よりも大きくなるからである。
【0029】
〈画素の構成〉
次に、図6を参照して、表示装置100の画素109の構成について説明する。
【0030】
図6に、図5に示す表示装置100のA1-A2線で切断した断面の構成を示す図を示す。図6は、3つの画素109の断面を示す。
【0031】
図6に示すように、表示装置100は、基板101、基板212、及び基板102を有する。基板101、基板212、及び基板102として、ガラス基板、石英基板、フレキシブル基板(ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、トリアセチルセルロース、環状オレフィン・コポリマー、シクロオレフィンポリマー、その他の可撓性を有する樹脂基板)を用いることができる。基板101、基板212、及び基板102が透光性を有する必要がない場合には、金属基板、セラミックス基板、半導体基板を用いることも可能である。本実施形態では、基板101としてポリイミドを用い、基板212及び基板102としてポリエチレンテレフタラートを用いる場合について説明する。
【0032】
基板101上には、下地膜213が設けられる。下地膜213は、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム等の無機材料で構成される絶縁層である。下地膜213は、単層に限定されるわけではなく、例えば、酸化シリコン層と窒化シリコン層とを組み合わせた積層構造を有してもよい。この構成は、基板101との密着性や、後述するトランジスタ210に対するガスバリア性を考慮して適宜決定すれば良い。
【0033】
下地膜213上には、トランジスタ210が設けられる。トランジスタ210の構造は、トップゲート型であってもボトムゲート型であってもよい。図1では、トランジスタ210は、トップゲート型であり、トランジスタ210は、下地膜213上に設けられた半導体層214、半導体層214を覆うゲート絶縁膜215、ゲート絶縁膜215上に設けられたゲート電極216を含む。また、トランジスタ210上には、ゲート電極216を覆う層間絶縁層222、層間絶縁層222上に設けられ、それぞれ半導体層214に接続されたソース電極又はドレイン電極217、ソース電極又はドレイン電極218が設けられている。なお、本実施形態では、層間絶縁層222が単層構造を有している例を説明しているが、層間絶縁層222は積層構造を有していてもよい。
【0034】
なお、トランジスタ210を構成する各層の材料は、公知の材料を用いればよく、特に限定はない。例えば、半導体層214としては、一般的にはポリシリコン、アモルファスシリコン又は酸化物半導体を用いることができる。ゲート絶縁膜215としては、酸化シリコン又は窒化シリコンを用いることができる。ゲート電極216は、銅、モリブデン、タンタル、タングステン、アルミニウムなどの金属材料で構成される。層間絶縁層222としては、酸化シリコンまたは窒化シリコンを用いることができる。ソース電極又はドレイン電極217、ソース電極又はドレイン電極218は、それぞれ銅、チタン、モリブデン、アルミニウムなどの金属材料で構成される。
【0035】
なお、図6には図示しないが、ゲート電極216と同じ層には、ゲート電極216を構成する金属材料と同一の金属材料で構成された走査線141を設けることができる。また、図6には図示しないが、ソース電極又はドレイン電極217、ソース電極又はドレイン電極218と同じ層には、走査線141と交差する方向に延在する信号線142を設けることができる。
【0036】
トランジスタ210上には、平坦化膜223が設けられる。平坦化膜223は、有機樹脂材料を含んで構成される。有機樹脂材料としては、例えば、ポリイミド、ポリアミド、アクリル、エポキシ等の公知の有機樹脂材料を用いることができる。これらの材料は、溶液塗布法により膜形成が可能であり、平坦化効果が高いという特長がある。特に図示しないが、平坦化膜223は、単層構造に限定されず、有機樹脂材料を含む層と無機絶縁層との積層構造を有してもよい。
【0037】
平坦化膜223は、ソース電極又はドレイン電極218の一部を露出させるコンタクトホールを有する。コンタクトホールは、後述する画素電極225とソース電極又はドレイン電極218とを電気的に接続するための開口部である。したがって、コンタクトホールは、ソース電極又はドレイン電極218の一部に重畳して設けられる。コンタクトホールの底面では、ソース電極又はドレイン電極218が露出される。
【0038】
平坦化膜223に設けられたコンタクトホールには、透明導電層219が設けられる。透明導電層219は、平坦化膜223が有するコンタクトホールに重畳し、コンタクトホールの底面で露出されたソース電極又はドレイン電極218と電気的に接続する。透明導電層219として、酸化インジウム系透明導電層(例えばITO)や酸化亜鉛系透明導電層(例えば、IZO、ZnO)を使用することができる。
【0039】
また、平坦化膜223上には、導電層221が設けられる。導電層221は、ソース電極又はドレイン電極217及びソース電極又はドレイン電極218と同様の材料で形成することができ、例えば、モリブデン、アルミニウム、及びモリブデンの三層構造で形成することができる。また、導電層221は、周辺領域110における引き回し配線や、画素109内で、付加的に設けられる容量素子の形成に用いられる。なお、ソース電極又はドレイン電極218上に透明導電層219を設けることにより、導電層221を形成する際のパターニングから保護することができる。
【0040】
また、透明導電層219上には、無機絶縁層224が設けられる。無機絶縁層224として、窒化シリコン膜などを使用することが好ましい。無機絶縁層224には、ソース電極又はドレイン電極218と、透明導電層219とが重畳する領域において、コンタクトホールが形成されている。
【0041】
また、無機絶縁層224上には、画素電極225が設けられている。画素電極225は、無機絶縁層224に設けられたコンタクトホールを介して、透明導電層219と接続されている。これにより、画素電極225は、ソース電極又はドレイン電極218と電気的に接続される。本実施形態の表示装置100において、画素電極225は、発光素子230を構成する画素電極(陽極)として機能する。画素電極225は、トップエミッション型であるかボトムエミッション型であるかで異なる構成とする。例えば、トップエミッション型である場合、画素電極225として反射率の高い金属膜を用いるか、酸化インジウム系透明導電層(例えばITO)や酸化亜鉛系透明導電層(例えばIZO、ZnO)といった仕事関数の高い透明導電層と金属膜との積層構造を用いる。逆に、ボトムエミッション型である場合、画素電極225として上述した透明導電層を用いる。本実施形態では、トップエミッション型の有機EL表示装置を例に挙げて説明する。また、導電層221、無機絶縁層224、及び画素電極225により、付加容量を構成することができる。
【0042】
なお、本実施形態では、透明導電層219を設ける構成について説明したが、本発明はこれに限定されない。透明導電層219を設けず、平坦化膜223に設けられたコンタクトホールにおいて、ソース電極又はドレイン電極218と、画素電極225とを直接接続する構成とすることもできる。また、導電層221及び無機絶縁層224は、省略してもよい。
【0043】
画素電極225上には、有機樹脂材料で構成される絶縁層226が設けられる。有機樹脂材料としては、ポリイミド系、ポリアミド系、アクリル系、エポキシ系もしくはシロキサン系といった公知の樹脂材料を用いることができる。絶縁層226は、画素電極225上の一部に開口部を有する。絶縁層226は、互いに隣接する画素電極225の間に、画素電極225の端部(エッジ部)を覆うように設けられ、隣接する画素電極225を離隔する部材として機能する。このため、絶縁層226は、一般的に「隔壁」、「バンク」とも呼ばれる。この絶縁層226から露出された画素電極225の一部が、発光素子230の発光領域となる。絶縁層226の開口部は、内壁がテーパー形状となるようにしておくことが好ましい。これにより後述する発光層の形成時に、画素電極225の端部におけるカバレッジ不良を低減することができる。絶縁層226は、画素電極225の端部を覆うだけでなく、平坦化膜223が有するコンタクトホールに起因する凹部を埋める充填材として機能させてもよい。また、平坦化膜223は、無機絶縁層224に設けた開口を通じて絶縁層226と接触させている領域を有する。これは、絶縁層226の熱処理により、平坦化膜223から脱離する水や脱ガスを、絶縁層226を通じて引き抜くための開口部である。
【0044】
画素電極225上には、有機層227が設けられる。有機層227は、少なくとも有機材料で構成される発光層を有し、発光素子230の発光部として機能する。有機層227には、発光層以外に、正孔注入層及び/又は正孔輸送層、電子注入層及び/又は電子輸送層といった各種の電荷輸送層も含まれ得る。有機層227は、発光領域を覆うように、即ち、発光領域における絶縁層226の開口部を覆うように設けられる。
【0045】
なお、本実施形態では、所望の色の光を発する発光層を含む有機層227を設け、各画素電極225上に異なる発光層を含む有機層227を形成することで、RGBの各色を表示する構成とする。つまり、本実施形態において、有機層227の発光層は、隣接する画素電極225の間では不連続である。また、図示しないが、正孔注入層及び/又は正孔輸送層、電子注入層及び/又は電子輸送層は、隣接する画素電極225の間では連続して設けることができる。有機層227として、公知の構造や公知の材料を用いることが可能であり、特に本実施形態の構成に限定されるものではない。また、有機層227は、白色光を発する発光層を有し、カラーフィルタを通してRGBの各色を表示してもよい。この場合、有機層227は、絶縁層226上にも設けられてもよい。
【0046】
有機層227上及び絶縁層226上には、共通電極228が設けられる。共通電極228は、発光素子230を構成する共通電極(陰極)として機能する。本実施形態の表示装置100は、トップエミッション型であるため、共通電極228としては透明電極を用いる。透明電極を構成する薄膜としては、MgAg薄膜もしくは透明導電層(ITOやIZO)を用いる。共通電極228は、各画素109間を跨いで絶縁層226上にも設けられる。共通電極228は、表示領域103の端部付近の周辺領域において下層の導電層を介して外部端子へと電気的に接続される。上述したように、本実施形態では、絶縁層226から露出した画素電極225の一部(アノード)、有機層227(発光部)及び共通電極228(カソード)によって発光素子230が構成される。
【0047】
図6に示すように、表示領域103上に無機絶縁層231、有機絶縁層232、及び無機絶縁層233を有する。無機絶縁層231、有機絶縁層232、及び無機絶縁層233は、発光素子230に水や酸素が侵入することを防止するための封止膜として機能する。表示領域103上に封止膜を設けることにより、発光素子230に水や酸素が侵入することを防止して、表示装置の信頼性を向上させることができる。無機絶縁層231及び無機絶縁層233として、例えば、窒化シリコン(Sixy)、酸化窒化シリコン(SiOxy)、窒化酸化シリコン(SiNxy)、酸化アルミニウム(Alxy)、窒化アルミニウム(Alxy)、酸化窒化アルミニウム(Alxyz)、窒化酸化アルミニウム(Alxyz)等の膜などを用いることができる(x、y、zは任意)。また、有機絶縁層232として、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、シロキサン樹脂などを用いることができる。なお、封止膜は、上記に示した無機絶縁層231、有機絶縁層232、無機絶縁層233の3層に限らず、無機絶縁層と有機絶縁層とを適宜組み合わせて構成してもよい。
【0048】
有機材料は、無機材料と比較すると、水分や酸素の侵入経路となりやすい。そのため、表示装置100が空気と触れる領域では、有機材料が露出していないことが好ましい。しかしながら、無機材料は、有機材料と比較すると、柔軟性が低いため、クラックが入りやすい。このクラックが、水分や酸素の侵入経路となるおそれがある。
【0049】
そのため、少なくとも発光素子230が設けられた領域では、有機絶縁層232を設けて、それ以外の領域では、無機絶縁層231と無機絶縁層233とを接して設けることにより、表示装置100の柔軟性を保ちつつ、水分や酸素の侵入を抑制することができる。なお、表示装置100には、アレイ基板140と基板102とを貼り合わせるために、有機材料からなる粘着材234が用いられている。粘着材234から水分や酸素が侵入したとしても、封止膜によって、発光素子に侵入することを抑制することができる。
【0050】
以上、本明細書等において、基板101から無機絶縁層233(封止膜)までの構造を、アレイ基板140と呼ぶ。
【0051】
無機絶縁層233上には、粘着材234が設けられている。粘着材234は、例えば、アクリル系、ゴム系、シリコーン系、ウレタン系の粘着材を用いることができる。また、粘着材234には、カルシウムやゼオライトなどの吸水物質が含まれていてもよい。粘着材234に吸水物質が含まれることにより、表示装置100の内部に水分が侵入した場合であっても、発光素子230に水分が到達することを遅らせることができる。また、粘着材234には、基板101と基板102との間の間隙を確保するためにスペーサを設けてもよい。このようなスペーサは、粘着材234に混ぜてもよいし、基板101上に樹脂等により形成してもよい。
【0052】
基板102には、例えば、平坦化を兼ねてオーバーコート層が設けられてもよい。有機層227が白色光を出射する場合、基板102には、主面(基板101に対向する面)にRGBの各色にそれぞれ対応するカラーフィルタ、及び、カラーフィルタ間に設けられたブラックマトリクスが設けられていてもよい。基板102側にカラーフィルタを形成しない場合は、例えば、封止膜上に直接カラーフィルタを形成し、その上から粘着材234を形成すればよい。
【0053】
また、基板102の裏面(表示面側)には、偏光板235が設けられている。偏光板235は、例えば円偏光板である。基板102を省略し、アレイ基板に接着材を介して円偏光板を貼り付けてもよい。換言すれば、基板102が円偏光板である構造にしてもよい。
【0054】
〈貫通孔を囲む領域〉
次に、図7乃至図11を参照して、貫通孔111を囲む領域121の構成について説明する。
【0055】
図7は、図5に示す表示装置100のB1-B2線で切断した断面の構成を示す図である。図7には、貫通孔111、貫通孔111を囲む領域121、画素109の断面図を示している。
【0056】
図7に示すように、貫通孔111を囲む領域121において、ゲート絶縁膜215上に、導電層243が設けられている。導電層243は、図6に示したゲート電極216と同じ導電膜から形成される。また、導電層243上には、層間絶縁層222が設けられている。層間絶縁層222は、貫通孔111の開口部の縁において、設けられていない領域を有する。層間絶縁層222上には、貫通孔111を迂回した複数の信号線142が配置されている。また、層間絶縁層222に設けられた開口を介して、導電層244と導電層243とが接続されている。複数の信号線142及び導電層244は、図6に示すソース電極又はドレイン電極217、及びソース電極又はドレイン電極218と同じ導電膜から形成される。
【0057】
層間絶縁層222及び信号線142上に、平坦化膜223が設けられている。また、層間絶縁層222上に、無機絶縁層231へ向かう方向に突出する凸部245、が設けられている。凸部245は、平坦化膜223と同じ材料で形成されている。平面視したとき、凸部245は、貫通孔111の外周に沿って複数設けられている。なお、1つの凸部245が、貫通孔111の外周に沿って環状に設けられていてもよい。また、1つの凸部245が、凸部245と貫通孔111との間において、貫通孔111の外周に沿って環状に設けられていてもよい。
【0058】
平坦化膜223上には、無機絶縁層224が設けられている。無機絶縁層224は、平坦化膜223の端部及び凸部245を覆うように設けられている。無機絶縁層224を、平坦化膜223の端部を覆うように設けることにより、平坦化膜223の端部から、水や酸素が侵入することを抑制することができる。これにより、画素109が有する発光素子230が、水や酸素によって劣化することを抑制することができる。
【0059】
無機絶縁層224上には、導電層247が設けられている。導電層247は、無機絶縁層224に設けられた開口を介して、導電層244と接続されている。導電層247は、画素電極225と同じ導電膜から形成される。無機絶縁層224及び導電層247上には、絶縁層226が設けられている。絶縁層226は、画素電極225の端部及び導電層247の端部を覆っている。
【0060】
絶縁層226、導電層247、及び無機絶縁層224上に、共通電極228が設けられている。共通電極228は、導電層247と接続されている。このように、共通電極228と、導電層247とが接続された領域が、陰極コンタクト260となる。陰極コンタクト260は、共通電極228の抵抗が上昇することを防止するために設けられている。貫通孔111の領域において、陰極コンタクト260を設けることにより、貫通孔111の周辺において共通電極228の抵抗が上昇することを抑制することができる。なお、導電層243は、引き出し配線として機能する。
【0061】
共通電極228上には、無機絶縁層231、有機絶縁層232、無機絶縁層233がこの順で設けられている。無機絶縁層231は、画素109、貫通孔111を囲む領域121の全面に設けられている。また、有機絶縁層232は、発光素子230と凸部245の付近に設けられている。また、無機絶縁層233は、有機絶縁層232及び無機絶縁層231上に設けられている。
【0062】
また、有機絶縁層232は、発光素子230と凸部245の付近に設けられる。そして、凸部245から貫通孔111の開口部の縁までを、無機絶縁層231と無機絶縁層233とが接するように設ける。無機絶縁層231と無機絶縁層233とが接する領域を封止領域122と呼ぶ。無機絶縁層231と無機絶縁層233とが接する領域は、無機絶縁層231と有機絶縁層232とが接する領域と比較して、密着性が高い。よって、無機絶縁層231と無機絶縁層233とが接する封止領域122を設けることにより、表示装置100の柔軟性を保ちつつ、貫通孔111の開口部の縁から、水分や酸素が侵入することを抑制することができる。また、有機絶縁層232を形成する際に、凸部245が有機絶縁層232をせき止める機能を有するため、有機絶縁層232と凸部245とは重ならない。
【0063】
また、封止領域122において、貫通孔111の開口部の縁の付近に、共通電極228の端部が設けられる。共通電極228の端部が貫通孔111の開口部において露出されると、共通電極228が腐食してしまい、電位が変化してしまう。よって、共通電極228の端部を、無機絶縁層231によって覆うことにより、共通電極228が腐食してしまうことを抑制することができる。特に共通電極228が蒸着にて形成される場合、その密度が低く、内部に水分や酸素を通しやすい。そのため、外部からの酸素や水分が共通電極228を通って画素の有機層227に到達して悪影響を与える恐れがある。上述のように端部を無機絶縁層231で覆うことにより、この問題を抑制できる。
【0064】
図8に、図5に示すC1-C2線に沿った断面図を示す。図8は、貫通孔111を囲む領域121の断面図である。図8に示すC1-C2においては、複数の走査線141を横切っている。
【0065】
図8に示すように、貫通孔111を囲む領域121において、ゲート絶縁膜215上に、導電層243及び複数の走査線141が設けられる。複数の走査線141のうちいずれかは、無機絶縁層231と無機絶縁層233とが接する封止領域122の下に設けられていてもよい。封止領域122の下に、走査線141のいずれかを設けることにより、貫通孔111を囲む領域121の幅t1(図4を参照)を、小さくすることができる。
【0066】
図9に、図5に示すD1-D2線に沿った断面図を示す。図9は、貫通孔111を囲む領域121の断面図である。図5に示すD1-D2においては、複数の走査線141及び複数の信号線142を横切っている。
【0067】
図9に示すように、貫通孔111を囲む領域121において、ゲート絶縁膜215上に、導電層243及び複数の走査線141が設けられている。複数の走査線141は、無機絶縁層231と無機絶縁層233とが接する封止領域122の下に設けられている。封止領域122の下に、走査線141を設けることにより、貫通孔111を囲む領域121の幅t1(図4を参照)を、より小さくすることができるため好ましい。
【0068】
以上説明したように、貫通孔111を囲む領域121において、無機絶縁層231と無機絶縁層233とが接して設けられた封止領域122を設ける。これにより、貫通孔111の開口部の縁から、水分や酸素が侵入することを抑制することができる。これにより、水分や酸素の侵入経路を遮断することができるため、発光素子230の劣化を抑制することができる。よって、表示装置100の信頼性を向上させることができる。また、表示領域103に、貫通孔111を設けることで、表示装置100としての外観デザインを向上させることができる。
【0069】
また、貫通孔111を囲む領域121においても、画素109と封止領域122との間に陰極コンタクト260を設けることにより、貫通孔111の周辺の領域121において、共通電極228の抵抗が上昇することを抑制することができる。
【0070】
図7乃至図9に示す表示装置100の断面図においては、貫通孔111の周辺の領域121において、画素109と封止領域122との間で陰極コンタクト260を設ける構成について示したが、本発明はこれに限定されない。貫通孔111を囲むように、陰極コンタクト260を設ける必要はなく、領域121において、部分的に設ける構成であってもよい。
【0071】
図10に、図5に示すD1-D2線に沿った断面図において、図9に示す断面図とは一部異なる例を示す。図10は、封止領域122において、複数の走査線141、及び複数の信号線142が設けられている点において、図9と異なっている。また、図10においては、陰極コンタクト260が設けられない例を示す。
【0072】
封止領域122の下に、複数の走査線141及び複数の信号線142を設けることにより、貫通孔111を囲む領域121の幅t1を、より小さくすることができるため好ましい。なお、図10においては、封止領域122に、複数の走査線141及び複数の信号線142を設ける例について示したが、これに限定されない。複数の走査線141又は複数の信号線142のいずれかであってもよい。また、貫通孔111の側面に、防湿性及び防酸素性を有する有機樹脂や無機膜などの絶縁膜236を設けてもよい。これにより、貫通孔111の側面から、水分や酸素が侵入することを、より抑制することができる。なお、図7乃至図10においても、貫通孔111の側面に絶縁膜236を設けることができる。
【0073】
絶縁膜236として、無機絶縁材料又は有機絶縁材料を用いることができる。無機絶縁材料として、PSG(Phosphorus Silicon Glass)、BPSG(Boron Phosphorus Silicon Glass)等のシリケートガラスを用いることができる。有機絶縁材料として、アクリル系樹脂やスチレン系樹脂を用いることができ、例えば、日立化成工業(株)製タッフィーが好ましい。絶縁膜236を設けることにより、貫通孔111にカメラやボタン等の部品を通す際に、貫通孔111の側面と部品とが接触した場合、ダメージを防ぐことができる。
【0074】
図11に、図5に示すE1-E2線に沿った断面図を示す。図11は、貫通孔111を囲む領域121の断面図である。図11に示すE1-E2においては、画素109、及び画素109から基板101端部までの周辺領域110の断面図を示している。
【0075】
図11に示すように、周辺領域110において、ゲート絶縁膜215上に、複数の配線層256が設けられている。複数の配線層256は、例えば、図1において、表示領域103の左右に配置される駆動回路104を接続する機能を有していてもよい。
【0076】
また、図11に示すように、周辺領域110において陰極コンタクト260が設けられている。また、封止領域122において、共通電極288の端部が設けられており、共通電極288の端部は、無機絶縁層231及び無機絶縁層233によって覆われている。これにより、共通電極288の端部から、水及び酸素が表示領域103に侵入することを抑制することができる。
【0077】
〈基板端部から駆動回路までの領域〉
次に、図12を参照して、基板101端部から駆動回路104までの領域の構成について説明する。
【0078】
図12に、図5に示すF1-F2線に沿った断面図を示す。図12は、駆動回路104、及び駆動回路104から基板101の端部までの領域131の断面図を示している。
【0079】
図12に示すように、駆動回路104においては、下地膜213上に、複数のトランジスタ280及びトランジスタ250を有する。トランジスタ280及びトランジスタ250は、画素109に設けられるトランジスタ210と同様の構成で設けることができる。ゲート絶縁膜215上に、導電層251と配線層252とが設けられている。配線層252は、例えば、ドライバIC106から駆動回路104に信号を送信する機能を有する。導電層251及び配線層252は、走査線141と同じ導電膜から形成することができる。
【0080】
トランジスタ280及びトランジスタ250上に、層間絶縁層222が設けられている。層間絶縁層222上に、平坦化膜223と、凸部254と、が設けられている。凸部254及び凸部255は、平坦化膜223と同じ材料で形成されている。
【0081】
平坦化膜223上には、無機絶縁層224が設けられている。無機絶縁層224は、平坦化膜223の端部、凸部254及び凸部255を覆うように設けられている。無機絶縁層224を、凸部254及び凸部255を覆うように設けることにより、平坦化膜223の端部から、水素や酸素が侵入することを防止することができる。これにより、画素109が有する発光素子230が、水や酸素によって劣化することを抑制することができる。
【0082】
無機絶縁層224上には、絶縁層226が設けられている。そして、絶縁層226上には、共通電極228が設けられている。共通電極228は、駆動回路104上に設けられており、無機絶縁層224に設けられたコンタクトホールを介して、導電層253と接続されている。このように、共通電極228と、導電層253とが接続された領域が、陰極コンタクト270となる。陰極コンタクト270は、基板101と駆動回路104との間に設ける例を示したが、駆動回路104と表示領域103との間に設けてもよい。
【0083】
基板101の端部から駆動回路104の間の領域において、無機絶縁層231と無機絶縁層233とが接するように封止領域132を設ける。基板101の端部から駆動回路104の間の領域を、無機絶縁層231及び無機絶縁層233によって封止することにより、基板101の端部から、水や酸素が侵入することを抑制することができる。これにより、水分や酸素の侵入経路を遮断することができるため、発光素子の劣化を抑制することができる。よって、表示装置の信頼性を向上させることができる。
【0084】
また、封止領域132において、駆動回路104を駆動するための配線層252を設けることにより、基板101の端部から駆動回路104までの幅t2をより小さくすることができる。
【0085】
なお、図4における幅t1と幅t2において、幅t1が幅t2よりも大きい例について示したが、本発明はこれ限定されない。幅t2が幅t1よりも大きくてもよい。なお、図7乃至図9の断面図に示す貫通孔111を囲む領域121の幅が幅t1よりも大きくてもよい。図10の断面図に示す貫通孔111を囲む領域121は、陰極コンタクト260が設けられていないため、より幅t1を小さくすることができる。このように、陰極コンタクト260を設けないことで、幅t2を幅t1よりも大きくしてもよい。
【0086】
なお、図10の断面図に示すように、貫通孔111の周りに陰極コンタクト260が設けられていない場合であっても、図11に示すように、周辺領域110に陰極コンタクト270を設けることにより、十分に陰極抵抗を低減することができる。さらに、幅t2を幅t1を小さくした場合、貫通孔111の近くにまで画素109を配置することができるため、表示装置としての見栄えが良くなる。
【0087】
〈表示装置の製造方法〉
次に、表示装置100の製造方法について、図13乃至図15Bを参照して説明する。図13は、本実施形態に係る表示装置100の製造方法を説明するためのプロセスフローである。また、図14A乃至図15Bは、表示装置100を製造するためのマスクの平面図である。なお、図13に示すプロセスフローについて、画素109の説明については図6の符号を援用し、貫通孔111及び貫通孔111を囲む領域121については図7の符号を援用して説明する。
【0088】
まず、支持基板(図示せず)上に形成された基板101上に、トランジスタ210を形成する(ステップS301)。本実施形態では、支持基板としてガラス基板を用い、基板101として、ポリイミドを用いる場合について説明する。トランジスタ210のゲート電極216と、走査線141と、導電層243は、同じ導電膜から形成される。次に、トランジスタ210上に、層間絶縁層222や、層間絶縁層222のコンタクトホールを介して接続するソース電極又はドレイン電極217、218などを形成する。なお、ソース電極又はドレイン電極217と、信号線142と、導電層244とは、同じ導電膜から形成される。次に、層間絶縁層222、並びにソース電極又はドレイン電極218上に、平坦化膜223を形成する。領域121において凸部245が形成されるように、平坦化膜223を加工する。また、平坦化膜223に、コンタクトホールを形成する。
【0089】
表示領域103において、平坦化膜223のコンタクトホールに、透明導電層219を形成する。次に、平坦化膜223上に、導電層221を形成する。
【0090】
次に、平坦化膜223、透明導電層219、導電層221、及び凸部245上に無機絶縁層224を形成する(ステップS302)。無機絶縁層224は、領域121に存在する平坦化膜223の端部と、凸部245を覆うように、形成される。
【0091】
次に、無機絶縁層224上に、発光素子230を形成する(ステップS303)。発光素子230は、画素電極225、絶縁層226、有機層227、共通電極228を順に形成する。
【0092】
発光素子230を形成する際に、例えば、図14Aに示すマスク401及び図14Bに示すマスク403を使用することができる。図14A及び図14Bに示すマスクは、例えば、有機層227に含まれる正孔注入層/正孔輸送層や、電子注入層/電子輸送層や、共通電極228に対して使用する蒸着マスクである。
【0093】
例えば、共通電極228を形成する場合、図14Aに示すマスク401を使用することで、開口部402に共通電極228の一部が蒸着される。次に、図14Bに示すマスク403を使用することで、開口部404及び開口部405に共通電極228の一部が蒸着される。マスク401及びマスク403を使用することにより、表示領域103内の貫通孔111、112、113に相当する領域に、開口部が設けられた共通電極228を形成することができる。
【0094】
また、他のマスクの形態として、図15Aに示すマスク411、及び図15Bに示すマスク413を使用することができる。図15Aに示すマスク411を使用することで、開口部412に共通電極228の一部が蒸着される。次に、図15Bに示すマスク413を使用することで、切り欠き部414、切り欠き部415、及び切り欠き部416に、共通電極228の一部が蒸着される。マスク411及びマスク413を使用することにより、表示領域103内の貫通孔111、112、113に相当する領域に、開口部が設けられた共通電極228を形成することができる。
【0095】
次に、発光素子230上に封止膜を形成する(ステップS304)。封止膜として、無機絶縁層231、有機絶縁層232、無機絶縁層233を順に形成する。このとき、領域121においては、凸部245から貫通孔111の開口部の縁までを、無機絶縁層231と無機絶縁層233とが接するように設ける。また、領域131においては、凸部245から基板101の端部までは、無機絶縁層231と無機絶縁層233とが接するように設ける。
【0096】
以上の工程により、アレイ基板140を形成することができる。
【0097】
次に、後に貫通孔111が形成される領域に対して、支持基板が露出するまで、即ち支持基板と直に接する基板101まで、エッチング処理を行う(ステップS305)。エッチング処理は、ドライエッチングでもよいし、ウェットエッチングでもよい。ステップS305は、無機絶縁層231までをエッチングする工程でもよい。また、ステップS305を行わず、封止膜を成膜する際にマスクを用いて、貫通孔111が形成される領域には封止膜を形成しない製造方法にしてもよい。
【0098】
次に、トランジスタ210や発光素子230が形成された基板101と基板102とを、粘着材234を介して貼り合わせる(ステップS306)。
【0099】
次に、表示装置100の形状に合わせて、或いは表示装置100の形状よりも大きいサイズで、貼り合わされた基板101と基板102とを切断する(ステップS307)。ステップS307の切断方法は、スクライビングホイールによるスクライブ・ブレーク、打ち抜き切断、レーザ切断、およびその組み合わせを用いることができる。
【0100】
次に、支持基板を切断する(ステップS308)。支持基板の切断方法は、スクライビングホイールによるスクライブ・ブレーク、打ち抜き切断、レーザ切断、およびその組み合わせを用いることができる。ステップS307とステップS308とは同時に行ってもよい。
【0101】
次に、基板102に偏光板235を貼り合わせる(ステップS309)。この後に、基板101に、ドライバIC106を実装する工程を含んでいてもよい。
【0102】
次に、支持基板を介して、基板101にレーザを照射することにより、支持基板から、基板101を剥離する(ステップS310)。ステップS310とステップS309とは順序が入れ替わってもよい。即ち、支持基板を剥離した後に、偏光板138を貼り合わせてもよい。
【0103】
次に、基板101の裏面に、基板212を貼り合わせる(ステップS311)。本実施形態では、基板212として、ポリエチレンテレフタラートを用いる場合について説明する。ここで、基板212から封止膜までの構成をアレイ基板140と呼ぶ。この後、ステップS307で表示装置の形状よりも大きいサイズで切断した場合、表示装置の外形を整えるように、アレイ基板140及び基板102の周辺を切断する。
【0104】
次に、アレイ基板140、基板212、及び基板102に、貫通孔111を形成する(ステップS312)。貫通孔111は、パンチ等による機械的加工法を用いて形成する。また、貫通孔111は、領域121の内部に位置するように形成する。これにより、アレイ基板140、基板212、及び基板102に一括で貫通孔111を形成することができる。
【0105】
以上の工程により、本実施形態に係る表示装置100を形成することができる。図13に示す製造方法により、表示領域103に貫通孔111が設けられ、デザイン性が向上した表示装置を製造することができる。また、貫通孔111が形成されていても、領域121に封止領域122を設けることにより、貫通孔111から水分や酸素が侵入することを防止できるため、発光素子の劣化を防止できる。これにより、表示装置の信頼性を向上させることができる。
【0106】
また、ステップS305で、貫通孔111が設けられる領域において、無機絶縁層231及び無機絶縁層233を予め除去しておくことで、ステップS312の穴あけ工程において、貫通孔111を形成する際の衝撃によって、基板101や無機絶縁層231及び無機絶縁層233にクラックが生じることを防止することができる。これにより、基板101や無機絶縁層231及び無機絶縁層233に生じたクラックから水分や酸素などが侵入し、発光素子230に侵入することを防止することができる。これにより、信頼性の高い表示装置100を提供することができる。
【0107】
(第2実施形態)
本実施形態では、第1実施形態に示す表示装置とは一部異なる表示装置について、図16乃至図18を参照して説明する。図16は、図5に示す表示領域のB1-B2線に沿った断面図である。図17は、図5に示す表示領域のF1-F2線に沿った断面図である。また、図18は、表示装置を製造するためのマスクの平面図である。
【0108】
図16は、画素109、画素109から基板101までの領域121、及び貫通孔111の断面図である。図16に示すように、無機絶縁層233上に、樹脂膜237が設けられている。樹脂膜237は、画素109と陰極コンタクト260上を覆っている。
【0109】
図17は、画素109、駆動回路104、駆動回路104から基板101までの領域121の断面図である。図16と同様に、無機絶縁層233上に、樹脂膜237が設けられている。樹脂膜237は、画素109、駆動回路104、及び陰極コンタクト260上を覆っている。
【0110】
図16及び図17に示す樹脂膜237は、エポキシ樹脂やアクリル樹脂等の樹脂を含んでいる。また、樹脂膜237は、原料となるオリゴマーを湿式成膜法、蒸着法、又はスプレー法などによって塗布し、その後重合することで形成される。
【0111】
図16及び図17に示す樹脂膜237は、無機絶縁層224、共通電極288、無機絶縁層231、及び無機絶縁層233のパターニングのためのマスクとして機能する。樹脂膜237をマスクとして、樹脂膜237は、無機絶縁層224、共通電極288、無機絶縁層231、及び無機絶縁層233を除去することにより、層間絶縁層222及びゲート絶縁膜215が露出する。
【0112】
図16に示す絶縁膜236は、樹脂膜237の端部から基板101の側面を覆って設けられる。このとき、絶縁膜236は、無機絶縁層224、共通電極288、無機絶縁層231、及び無機絶縁層233の側面を覆って設けられている。絶縁膜236は、防湿性及び防酸素性を有するため、絶縁膜236は、無機絶縁層224、共通電極288、無機絶縁層231、及び無機絶縁層233の側面から、水及び酸素が表示領域103に侵入することを抑制することができる。また、絶縁膜236は、基板101の側面を覆っているため、貫通孔111にカメラやボタン等の部品を通す際に、貫通孔111の側面と部品とが接触した場合、ダメージを防ぐことができる。
【0113】
ここで、共通電極288を形成する際に、例えば、図18に示すマスク421を使用することができる。マスク421は、表示領域103の全てと周辺領域110の一部と重なる開口部422を有する。共通電極288を形成する際に、図18に示すマスク421を使用することで、開口部422に共通電極288が蒸着される。よって、貫通孔111、112、113にも共通電極288は形成される。
【0114】
その後、無機絶縁層233上に、樹脂膜237を形成して、樹脂膜237をマスクとしてエッチングすることで、無機絶縁層233などを除去することができる。貫通孔111、112、113の周辺に形成された共通電極288は、このエッチングによって除去される。共通電極288の端部が、無機絶縁層231及び無機絶縁層233とともに露出されてしまったとしても、防湿性及び防酸素性を有する絶縁膜236で、共通電極288の端部、無機絶縁層231の端部、及び無機絶縁層233の端部を覆うことができる。これにより、共通電極288の端部から、水及び酸素が表示領域103に侵入することを抑制することができる。
【0115】
(第3実施形態)
図19は、本発明の一実施形態に係る表示装置160の構成を示した概略図であり、表示装置160を平面視した場合における概略構成を示している。なお、第1実施形態と同様の構成については、同じ符号を示し、詳細な説明は省略する。
【0116】
本実施形態に係る表示装置160は、表示領域103において、少なくとも一つの切り欠き部161を有する。図19では、表示装置160の2か所に切り欠き部161及び切り欠き部162を設け、1か所に貫通孔111を設ける例を示す。切り欠き部161及び切り欠き部162においては、基板101、表示領域103、及び基板102も切り欠かれている。
【0117】
図20に、図19に示す領域170の拡大図を示す。領域170は、表示領域103、駆動回路104、切り欠き部161、及び切り欠き部161を囲む領域171を含んでいる。切り欠き部161を囲む領域171とは、切り欠き部161の縁から複数の画素109によって囲まれた領域をいう。また、表示領域103には、複数の画素109がマトリクス状に配置されている。
【0118】
図21に、図19に示す領域170の拡大図において、複数の走査線141と、複数の信号線142とを付加した図を示す。複数の走査線141は、画素109と電気的に接続されており、信号線142は、画素109と電気的に接続されている。
【0119】
図21に示すように、切り欠き部161を囲む領域171においては、複数の走査線141は、切り欠き部161を迂回して、切り欠き部161に対して左右の画素109と接続されている。また、複数の信号線142は、切り欠き部161を迂回して、周辺領域110まで引き回されている。なお、複数の信号線142は、切り欠き部161を囲む領域171において、端部を有してもよい。
【0120】
また、図21に示すように、第2方向(図19においては、x方向)における領域121の幅t1は、第1方向における基板101の端部から駆動回路104の端までの幅t2よりも大きくなる。これは、切り欠き部161の面積にもよるが、切り欠き部161を囲む領域171には、切り欠き部161を迂回することで、数十から百本程度の配線が設けられるのに対し、基板101の端部から駆動回路104の端までの幅には、数本から十本程度の配線が設けられるからである。
【0121】
〈切り欠き部を囲む領域〉
図22に、図21に示す表示装置160のG1-G2線で切断した断面の構成を示す図である。図22は、切り欠き部161を囲む領域171の断面図である。図22には、画素109、切り欠き部を囲む領域171、及び切り欠き部161の断面図を示している。
【0122】
図22に示すように、切り欠き部161を囲む領域において、ゲート絶縁膜215上に、複数の走査線141が設けられている。ゲート絶縁膜215上には、層間絶縁層222が設けられており、層間絶縁層222上には、複数の信号線142が設けられている。層間絶縁層222上に平坦化膜223が設けられ、信号線142と一部重畳して、無機絶縁層231へ向かう方向に突出する凸部245及び凸部246が設けられている。凸部245から切り欠き部161の開口部の縁までを、無機絶縁層231と無機絶縁層233とが接するように設ける。無機絶縁層231と無機絶縁層233とが接する領域を封止領域172と呼ぶ。また、有機絶縁層232を形成する際に、凸部245が有機絶縁層232をせき止める機能を有するため、有機絶縁層232と凸部245とは重ならない。
【0123】
図22に示すように、封止領域172と一部重畳して、複数の信号線142が設けられていてもよい。また、封止領域172と一部重畳して、複数の走査線141が設けられていてもよい。これにより、切り欠き部161を囲む領域171の幅t1(図20を参照)を、より小さくすることができるため好ましい。なお、封止領域172と、信号線142とは必ずしも重畳する必要はなく、封止領域172よりも画素109側に設けられていてもよい。さらに領域171においては、特にその先につながる画素109が無いので信号線142が延びていなくてもよい。ただし、領域171の外側の表示領域に延びる信号線142と、領域171内の信号線142との間で負荷が異なるのを防ぐために、本実施形態のように信号線142が延びているのが望ましい。
【0124】
また、図22に示す領域171において、陰極コンタクトを設けない例を示したが、これに限定されず、領域171において画素109と封止領域172との間に、図7乃至図9に示した陰極コンタクト260を設けてもよい。また、封止領域172において、切り欠き部161の開口部の縁の付近に、共通電極228の端部が設けられる。また、切り欠き部161の側面に、防湿性及び防酸素性を有する有機樹脂や無機膜などの絶縁膜236を設けてもよい。これにより、切り欠き部161の側面から、水分や酸素が侵入することを、より抑制することができる。共通電極228の端部を、絶縁膜236によって覆うことにより、共通電極228が腐食してしまうことを抑制することができる。
【実施例1】
【0125】
図23乃至図26に、本発明の一実施形態に係る表示装置を、電子機器に適用する実施例について示す。本実施例では、電子機器として、スマートフォンに適用する場合について説明する。
【0126】
図23に、本実施例に係る表示装置300の概略図を示す。図23に示す表示装置300は、表示装置300は、基板101上に表示領域103と、ドライバIC106と、端子107と、フレキシブルプリント基板108と、を有している。
【0127】
表示領域103において、貫通孔311、312、313が設けられている。貫通孔311には、貫通孔311を囲む領域321が設けられている。また、貫通孔312、貫通孔313にも、貫通孔を囲む領域322、領域323がそれぞれ設けられている。当該領域321、領域322、領域323は、少なくとも2層の無機絶縁層が接する封止領域が設けられている。封止領域を設けることにより、第1実施形態で説明したように、水分や酸素が侵入することを抑制することができる。これにより、表示領域103に設けられた発光素子の劣化を抑制することができる。
【0128】
表示領域103には、さらに切り欠き部314、315が設けられている。切り欠き部314は、切り欠き部314を囲む領域324が設けられている。切り欠き部314、315は、切り欠き部315を囲む領域325が設けられている。領域325には、少なくとも2層の無機絶縁層が接する封止領域が設けられている。封止領域を設けることにより、第2実施形態で説明したように、水分や酸素が侵入することを抑制することができる。これにより、表示領域103に設けられた発光素子の劣化を抑制することができる。
【0129】
図24に、図23に示す表示装置300を、スマートフォン320に適用した例について示す。
【0130】
図24に示すスマートフォン320は、表示装置300と、筐体336と、カバー材337と、物理キー333と、カメラモジュール331と、照度センサ332と、スピーカ334と、マイク335と、を有している。なお、図23においては、表示装置300の表示領域103が図示されている。
【0131】
表示装置300の表示領域103において、貫通孔311には、カメラモジュール331が嵌め込まれており、貫通孔312には、照度センサ332が嵌め込まれており、貫通孔313には、物理キー333が嵌め込まれている。なお、カメラモジュール331及び照度センサ332は、カバー材337にて覆われており、物理キー333は、カバー材337にて覆われていない。例えば、物理キー333が設けられる貫通孔313は、カバー材337に覆われないため、貫通孔313の側面が露出される。カバー材337にて覆われない貫通孔313の側面には、図10及び図16で説明したように、防湿性及び防酸素性を有する有機樹脂や無機膜を設けることが好ましい。
【0132】
また、表示領域103において、切り欠き部314、315が設けられている。切り欠き部314には、スピーカ334が嵌め込まれており、切り欠き部315にはマイク335が嵌め込まれている。スピーカ334及びマイク335は、カバー材337には覆われていない。カバー材337にて覆われない切り欠き部315の側面には、図10及び図16で説明したように、防湿性及び防酸素性を有する有機樹脂や無機膜を設けることが好ましい。
【0133】
例えば、貫通孔152に照度センサ332をはめ込む場合には、貫通孔312の直径を3000μmとして、貫通孔を囲む領域322を、800μmとする。この場合、表示領域103における非表示幅は、4600μmとなる。貫通孔311にカメラモジュール331をはめ込む場合には、貫通孔311の直径を4000μmとして、貫通孔を囲む領域321を、900μmとする。この場合、表示領域における非表示幅は、5800μmとなる。貫通孔313に物理キー333を設ける場合には、貫通孔154の直径を10000μmとして、貫通孔313を囲む領域323を、1550μmとする。この場合、表示領域103における非表示幅は、13100μmとすればよい。
【0134】
図25に、図24に示すスマートフォン320のH1-H2線で切断した断面の構成を示し、図26に、図24に示すスマートフォン320のI1-I2線で切断した断面の構成を示す。
【0135】
図25及び図26に示すように、表示装置の基板102上に、粘着材338を介して、カバー材337が設けられる。カバー材337は、表示装置を外部の衝撃から保護する機能を有する。また、カバー材337の粘着材338側の面に、タッチセンサが設けられていてもよい。なお特に図示はしないが、タッチセンサは、無機絶縁層233上に設けられていてもよい。
【0136】
図25に示す切り欠き部314には、スピーカ334が配置される。そのため、カバー材337は、切り欠き部314には設けられない。これに対し、図26に示す貫通孔311には、カメラモジュール331が配置される。そのため、カバー材337はカメラモジュール331を保護するために貫通孔311にも設けられる。なお、図24に示す切り欠き部315にはマイク335が設けられるため、カバー材337はマイク335と重畳しないように設けられる。また、貫通孔312には照度センサ332が設けられるため、カバー材は照度センサ332を保護するように貫通孔312にも設けられる。
【0137】
本実施例に係るスマートフォン320では、表示領域103において、カメラモジュール331や、照度センサ332などの部品を設けることができる。このように、本発明の一実施形態に係る表示装置300によれば、スマートフォン320の外観デザインの自由度を高めることができる。なお、切り欠き部や貫通孔は、表示領域において適宜設けることができ、数や大きさは特に限定されない。また、切り欠き部や貫通孔に設けられる部品も特に限定されない。
【0138】
本発明の実施形態及び実施例として説明した表示装置を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。また、上述した各実施形態は、技術的矛盾の生じない範囲において、相互に組み合わせることが可能である。
【0139】
また、上述した実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、又は、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0140】
100:表示装置、101:基板、102:基板、103:表示領域、104:駆動回路、107:端子、108:フレキシブルプリント基板、109:画素、110:周辺領域、111:貫通孔、112:貫通孔、113:貫通孔、120:領域、121:領域、122:封止領域、131:領域、132:封止領域、138:偏光板、140:アレイ基板、141:走査線、142:信号線、143:駆動電源線、144:基準電源線、152:貫通孔、154:貫通孔、160:表示装置、161:切り欠き部、162:切り欠き部、170:領域、171:領域、172:封止領域、210:トランジスタ、212:基板、213:下地膜、214:半導体層、215:ゲート絶縁膜、216:ゲート電極、217:ソース電極又はドレイン電極、218:ソース電極又はドレイン電極、219:透明導電層、220:トランジスタ、221:導電層、222:層間絶縁層、223:平坦化膜、224:無機絶縁層、225:画素電極、226:絶縁層、227:有機層、228:共通電極、230:発光素子、231:無機絶縁層、232:有機絶縁層、233:無機絶縁層、234:粘着材、235:偏光板、236:絶縁膜、237:樹脂膜、240:保持容量、243:導電層、244:導電層、245:凸部、246:凸部、247:導電層、250:トランジスタ、251:導電層、252:配線層、253:導電層、254:凸部、255:凸部、256:配線層、260:陰極コンタクト、270:陰極コンタクト、280:トランジスタ、300:表示装置、311:貫通孔、312:貫通孔、313:貫通孔、314:切り欠き部、315:切り欠き部、320:スマートフォン、321:領域、322:領域、323:領域、324:領域、325:領域、331:カメラモジュール、332:照度センサ、333:物理キー、334:スピーカ、335:マイク、336:筐体、337:カバー材、338:粘着材、401:マスク、402:開口部、403:マスク、404:開口部、405:開口部、411:マスク、412:開口部、413:マスク、414:切り欠き部、415:切り欠き部、416:切り欠き部、421:マスク、422:開口部
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