(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-05
(45)【発行日】2022-01-20
(54)【発明の名称】超濃縮液添加剤溶液組成物
(51)【国際特許分類】
C09K 5/20 20060101AFI20220113BHJP
C23F 11/18 20060101ALI20220113BHJP
【FI】
C09K5/20
C23F11/18 102
(21)【出願番号】P 2017546164
(86)(22)【出願日】2016-03-04
(86)【国際出願番号】 US2016020831
(87)【国際公開番号】W WO2016141271
(87)【国際公開日】2016-09-09
【審査請求日】2019-02-26
(32)【優先日】2015-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500057423
【氏名又は名称】プレストーン プロダクツ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100120754
【氏名又は名称】松田 豊治
(74)【代理人】
【識別番号】100196597
【氏名又は名称】横田 晃一
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ボー
(72)【発明者】
【氏名】ウォイシースジェス,ピーター・エム.
(72)【発明者】
【氏名】ジャーシュン,アレクセイ・ヴイ.
【審査官】小久保 敦規
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第08617416(US,B1)
【文献】国際公開第2007/050568(WO,A2)
【文献】特開平05-339562(JP,A)
【文献】特表2012-508297(JP,A)
【文献】国際公開第2014/039284(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0105407(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 5/00- 5/20
C23F 11/00- 11/18
C23F 14/00- 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超濃縮液添加剤溶液であって:
(a)水;
(b)前記超濃縮液添加剤溶液の全重量を基準として12重量%以上の量の凝固点降下剤
、ここで、前記凝固点降下剤が、エチレングリコール、プロピレングリコール、及びこれらの組合せからなる群から選択されるグリコールである;
(c)リン酸;
(d)水溶性ポリマー;並びに
(e)マグネシウム化合物、リチウム化合物、カルシウム化合物、ストロンチウム化合物、及びこれらの組合せからなる群から選択される化合物;
を含み;
前記超濃縮液添加剤溶液のpHは
4.5未満である、前記超濃縮液添加剤溶液。
【請求項2】
前記水が軟水又は脱イオン水である、請求項1に記載の超濃縮液添加剤溶液。
【請求項3】
前記凝固点降下剤が
エチレングリコールである、請求項1に記載の超濃縮液添加剤溶液。
【請求項4】
前記凝固点降下剤がプロピレングリコー
ルである、請求項
1に記載の超濃縮液添加剤溶液。
【請求項5】
前記リン酸がアルカリ金属リン酸塩である、請求項1に記載の超濃縮液添加剤溶液。
【請求項6】
前記アルカリ金属リン酸塩が、モノアルカリ金属リン酸塩、ジアルカリ金属リン酸塩、及びトリアルカリ金属リン酸塩、アルカリ金属リン酸塩の水和物、並びにこれらの混合物からなる群から選択される、請求項5に記載の超濃縮液添加剤溶液。
【請求項7】
前記アルカリ金属リン酸塩が、リン酸一ナトリウム、リン酸一カリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸二カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸一ナトリウム一水和物、リン酸一ナトリウム二水和物、リン酸二ナトリウム二水和物、リン酸二ナトリウム七水和物、リン酸二ナトリウム八水和物、二ナトリウム一二水和物、リン酸三ナトリウム、リン酸三ナトリウム半水和物、リン酸三ナトリウム六水和物、リン酸三ナトリウム八水和物、リン酸三ナトリウム一二水和物、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項5に記載の超濃縮液添加剤溶液。
【請求項8】
前記水溶性ポリマーが、(1)C
3~C
16モノエチレン性不飽和モノ又はジカルボン酸又はそれらのアルカリ金属若しくはアンモニウム塩を含む少なくとも1つのモノマー単位;或いは(2)アミド、ニトリル、カルボン酸エステル、酸ハロゲン化物(例えば塩化物)、酸無水物、又はこれらの組合せのようなC
3~C
16モノエチレン性不飽和モノ又はジカルボン酸誘導体を含む少なくとも1つのモノマー単位;を有するホモポリマー、コポリマー、ターポリマー、又はインターポリマーを含む、請求項1に記載の超濃縮液添加剤溶液。
【請求項9】
前記カルシウム化合物が、水酸化カルシウム、モリブデン酸カルシウム、バナジン酸カルシウム、タングステン酸カルシウム、過塩素酸カルシウム、塩化カルシウム、又はこれらの塩の水和物、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の超濃縮液添加剤溶液。
【請求項10】
前記カルシウム化合物が、カルシウムイオンと1以上のカルボン酸基を含む有機酸との間で形成されるカルシウム塩である、請求項1に記載の超濃縮液添加剤溶液。
【請求項11】
前記カルシウム塩が、酢酸カルシウム、ギ酸カルシウム、プロピオン酸カルシウム、ポリマレイン酸カルシウム、ポリアクリル酸カルシウム、乳酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、グリコール酸カルシウム、グルコヘプトン酸カルシウム、クエン酸カルシウム、酒石酸カルシウム、グルカ酸カルシウム、コハク酸カルシウム、ヒドロキシコハク酸カルシウム、アジピン酸カルシウム、シュウ酸カルシウム、マロン酸カルシウム、スルファミン酸カルシウム、かかるカルシウム塩の水和物、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項10に記載の超濃縮液添加剤溶液。
【請求項12】
前記カルシウム化合物が、カルシウムイオンとホスホネート又はホスフィネートとの間で形成されるカルシウム塩である、請求項1に記載の超濃縮液添加剤溶液。
【請求項13】
前記カルシウム塩が、カルシウム-PBTC(ここで、PBTCは2-ホスホノブタン-1,2,4-トリカルボン酸である)の塩;カルシウム-HEDP(ここで、HEDPは1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸である)の塩;カルシウム-HPA(ここで、HPAはヒドロキシホスホノ-酢酸又は2-ヒドロキシホスホノ酢酸である)の塩;カルシウムホスホノコハク酸塩;カルシウム-PSO(ここで、PSOはモノ、ビス、及びオリゴマーホスフィノコハク酸付加体混合物である)の塩;並びにこれらの組合せからなる群から選択される、請求項12に記載の超濃縮液添加剤溶液。
【請求項14】
前記マグネシウム化合物が、モリブデン酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、タングステン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、過塩素酸マグネシウム、塩化マグネシウム、かかる塩の水和物、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の超濃縮液添加剤溶液。
【請求項15】
前記マグネシウム化合物が、マグネシウムイオンと、1以上のカルボン酸基、又は1以上のホスホン酸基、或いは1以上のホスフィン酸基を含む有機酸との間で形成されるマグネシウム塩である、請求項1に記載の超濃縮液添加剤溶液。
【請求項16】
前記マグネシウム塩が、ギ酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、プロピオン酸マグネシウム、ポリアクリル酸マグネシウム、ポリマレイン酸マグネシウム、乳酸マグネシウム、グルコン酸マグネシウム、グリコール酸マグネシウム、グルコヘプトン酸マグネシウム、クエン酸マグネシウム、酒石酸マグネシウム、グルカ酸マグネシウム、コハク酸マグネシウム、ヒドロキシコハク酸マグネシウム、アジピン酸マグネシウム、シュウ酸マグネシウム、マロン酸マグネシウム、スルファミン酸マグネシウム、マグネシウム-PBTC塩(ここで、PBTCは2-ホスホノブタン-1,2,4-トリカルボン酸である)、マグネシウム-HEDP塩(ここで、HEDPは1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸である)、マグネシウム-HPA塩(ここで、HPAはヒドロキスホスホノ-酢酸、又は2-ヒドロキシホスホノ酢酸である)、マグネシウムホスホノコハク酸塩、マグネシウム-PSO塩(ここで、PSOは、モノ、ビス、及びオリゴマーホスフィノコハク酸付加体混合物である)、又はかかる塩の水和物、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項15に記載の超濃縮液添加剤溶液。
【請求項17】
アルカリ金属モリブデン酸塩、アルカリ土類金属モリブデン酸塩、又はアルカリ金属モリブデン酸塩とアルカリ土類金属モリブデン酸塩の混合物を更に含む、請求項1に記載の超濃縮液添加剤溶液。
【請求項18】
着色剤;消泡剤;pH調節剤;水溶性無機ホスフェート;ホスホネート;ホスフィネート;殺生物剤;アゾール化合物;1種類以上のC
6~C
18の一又は二塩基性脂肪族又は芳香族カルボン酸;又はこれらの塩;或いはこれらの組合せ;を更に含む、請求項1に記載の超濃縮液添加剤溶液。
【請求項19】
請求項1に記載の超濃縮液添加剤溶液を熱伝達流体に加える工程を含む、腐食保護性能を向上させる方法。
【請求項20】
混合した熱伝達流体と超濃縮液添加剤溶液を熱伝達システムに加える工程を更に含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
超濃縮液添加剤溶液であって:
(a)前記超濃縮液添加剤溶液の全重量を基準として14重量%~38重量%の範囲の量の水;
(b)前記超濃縮液添加剤溶液の全重量を基準として12重量%~60重量%の範囲の量の凝固点降下剤
、ここで、前記凝固点降下剤が、エチレングリコール、プロピレングリコール、及びこれらの組合せからなる群から選択されるグリコールである;
(c)前記超濃縮液添加剤溶液の全重量を基準として1重量%~55重量%の範囲の量のリン酸;
(d)前記超濃縮液添加剤溶液の全重量を基準として0.15重量%~20重量%の範囲の量の水溶性ポリマー;
(e)0.1mg/L~20,000mg/Lの範囲の量のカルシウムイオンを含むカルシウム化合物;及び
(f)0.1mg/L~15,000mg/Lの範囲の量のマグネシウムイオンを含むマグネシウム化合物;
を含み;
前記超濃縮液添加剤溶液のpHは
4.5未満であり;そして
前記超濃縮液添加剤溶液は、室温において少なくとも1週間貯蔵した後に沈殿物を実質的に含まない、前記超濃縮液添加剤溶液。
【請求項22】
前記超濃縮液添加剤溶液は、室温において少なくとも1か月貯蔵した後に沈殿物を実質的に含まない、請求項21に記載の超濃縮液添加剤溶液。
【請求項23】
前記超濃縮液添加剤溶液は、室温において少なくとも2か月貯蔵した後に沈殿物を実質的に含まない、請求項21に記載の超濃縮液添加剤溶液。
【請求項24】
前記超濃縮液添加剤溶液は、室温において少なくとも5か月貯蔵した後に沈殿物を実質的に含まない、請求項21に記載の超濃縮液添加剤溶液。
【請求項25】
前記超濃縮液添加剤溶液は、室温において少なくとも6か月貯蔵した後に沈殿物を実質的に含まない、請求項21に記載の超濃縮液添加剤溶液。
【請求項26】
前記超濃縮液添加剤溶液は、100℃において少なくとも1週間貯蔵した後に沈殿物を実質的に含まない、請求項21に記載の超濃縮液添加剤溶液。
【請求項27】
前記超濃縮液添加剤溶液は、100℃において少なくとも2週間貯蔵した後に沈殿物を実質的に含まない、請求項21に記載の超濃縮液添加剤溶液。
【請求項28】
前記超濃縮液添加剤溶液は、100℃において少なくとも30日間貯蔵した後に沈殿物を実質的に含まない、請求項21に記載の超濃縮液添加剤溶液。
【請求項29】
前記超濃縮液添加剤溶液は、100℃において少なくとも50日間貯蔵した後に沈殿物を実質的に含まない、請求項21に記載の超濃縮液添加剤溶液。
【請求項30】
前記超濃縮液添加剤溶液は、100℃において少なくとも75日間貯蔵した後に沈殿物を実質的に含まない、請求項21に記載の超濃縮液添加剤溶液。
【請求項31】
前記超濃縮液添加剤溶液は、60℃において少なくとも30日間貯蔵した後に沈殿物を実質的に含まない、請求項21に記載の超濃縮液添加剤溶液。
【請求項32】
前記超濃縮液添加剤溶液は、60℃において少なくとも60日間貯蔵した後に沈殿物を実質的に含まない、請求項21に記載の超濃縮液添加剤溶液。
【請求項33】
前記超濃縮液添加剤溶液は、60℃において少なくとも75日間貯蔵した後に沈殿物を実質的に含まない、請求項21に記載の超濃縮液添加剤溶液。
【請求項34】
超濃縮液添加剤溶液であって:
(a)前記超濃縮液添加剤溶液の全重量を基準として19重量%~35重量%の範囲の量の水;
(b)前記超濃縮液添加剤溶液の全重量を基準として15重量%~40重量%の範囲の量の凝固点降下剤
、ここで、前記凝固点降下剤が、エチレングリコール、プロピレングリコール、及びこれらの組合せからなる群から選択されるグリコールである;
(c)前記超濃縮液添加剤溶液の全重量を基準として2重量%~53重量%の範囲の量のリン酸;
(d)前記超濃縮液添加剤溶液の全重量を基準として0.3重量%~17重量%の範囲の量の水溶性ポリマー;
(e)50mg/L~12,000mg/Lの範囲の量のカルシウムイオンを含むカルシウム化合物;及び
(f)25mg/L~12,000mg/Lの範囲の量のマグネシウムイオンを含むマグネシウム化合物;
を含み;
前記超濃縮液添加剤溶液のpHは
4.5未満であり;そして
前記超濃縮液添加剤溶液は、室温で少なくとも1か月、100℃で少なくとも1週間、60℃で少なくとも30日間、及びこれらの組合せからなる群から選択される貯蔵条件の組の下で貯蔵した後に沈殿物を実質的に含まない、前記超濃縮液添加剤溶液。
【請求項35】
前記超濃縮液添加剤溶液は、室温で少なくとも2か月、室温で少なくとも5か月、室温で少なくとも6か月、及びこれらの組合せからなる群から選択される貯蔵条件の組の下で貯蔵した後に沈殿物を実質的に含まない、請求項34に記載の超濃縮液添加剤溶液。
【請求項36】
前記超濃縮液添加剤溶液は、100℃で少なくとも2週間、100℃で少なくとも30日間、100℃で少なくとも50日間、100℃で少なくとも75日間、及びこれらの組合せからなる群から選択される貯蔵条件の組の下で貯蔵した後に沈殿物を実質的に含まない、請求項34に記載の超濃縮液添加剤溶液。
【請求項37】
前記超濃縮液添加剤溶液は、60℃で少なくとも60日間、60℃で少なくとも75日間、及びこれらの組合せからなる群から選択される貯蔵条件の組の下で貯蔵した後に沈殿物を実質的に含まない、請求項34に記載の超濃縮液添加剤溶液。
【請求項38】
超濃縮液添加剤溶液であって、水、前記超濃縮液添加剤溶液の全重量を基準として12重量%以上の量の凝固点降下剤、リン酸、水溶性ポリマー、並びにマグネシウム化合物、リチウム化合物、カルシウム化合物、ストロンチウム化合物、及びこれらの組合せからなる群から選択される化合物を混合して、
4.5未満のpHを有する溶液を形成する工程
であって、前記凝固点降下剤が、エチレングリコール、プロピレングリコール、及びこれらの組合せからなる群から選択されるグリコールである、前記工程を含むプロセスによって製造される、前記超濃縮液添加剤溶液。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本出願は、2015年3月4日出願の米国仮出願62/128,204の利益を主張する。優先権書類の全ての内容は参照として本明細書中に包含する。
[0002]本発明は、概して超濃縮液添加剤溶液に関し、及び幾つかの態様においては冷却システム(例えば、相当量のアルミニウム(流体と接触する制御雰囲気ろう付け(CAB)でろう付けされた表面を有するアルミニウムを含むがこれに限定されない)を含む部品を有する冷却システムを含むがこれに限定されない)のための熱伝達流体添加剤として用いられる超濃縮溶液に関する。
【背景技術】
【0002】
[0003]現在の自動車エンジンは、一般にそれらの冷却システムの長期的な通年保護を与える熱伝達流体(液体クーラント)を必要とする。熱伝達流体の主要な要件は、それらが、効率的な燃料経済性及び潤滑のためにエンジンの温度を制御及び維持し、凍結、吹きこぼれ、又はオーバーヒートによるエンジンの故障を阻止するために効率的な熱伝達を与えることである。熱伝達流体の更なる主要な要件は、それが広範囲の温度及び運転条件にわたって全ての冷却システムの金属の腐食保護を与えることである。アルミニウム又はアルミニウム合金から製造されるエンジンブロック、シリンダーヘッド、ウォーターポンプ、熱交換器、及び他の部品のためのアルミニウム腐食保護が特に重要である。金属保護を超えて、腐食保護は、熱伝達流体が過剰の熱を放散させるためにエンジンからラジエーターに伝達するその主要な機能を果たすことを助ける。
【発明の概要】
【0003】
[0004]本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ規定され、この概要の中の記述によっていかなるようにも影響されない。
[0005]ここでは、超濃縮液添加剤溶液を開示する。本超濃縮液添加剤溶液は、熱伝達流体中に加えて腐食保護性能を向上させ、熱伝達システム及びその部品又はその中の流体の使用寿命を延ばすことができる。本方法は、本発明による超濃縮液添加剤溶液を熱伝達流体に加えて超添加剤熱伝達流体を形成し、得られる混合物を熱伝達システムに加えることを含む。超濃縮液添加剤溶液はまた、高腐食保護性能の熱伝達流体濃縮液、予備希釈した熱伝達流体、使用可能状態の熱伝達流体の柔軟な製造において、或いは熱伝達システム中のCABろう付けされた部品を保護するための予め充填される添加剤として用いることもできる。
【0004】
[0006]幾つかの態様においては、本発明による超濃縮液添加剤溶液は、水、凝固点降下剤(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、又はこれらの混合物のようなグリコール)、リン酸、水溶性ポリマー、並びにマグネシウム化合物、リチウム化合物、カルシウム化合物、ストロンチウム化合物、及びこれらの組合せからなる群から選択される化合物を含む。幾つかの態様においては、この化合物はマグネシウム化合物とカルシウム化合物の組合せを含む。幾つかの態様においては、超濃縮液添加剤溶液のpHは約5.5未満である。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】[0007]
図1は、130ppmのフッ化物イオンの存在下での50体積%の市販のOATクーラントA中における鋳造アルミニウムSAE329の腐食に対する熱伝達流体超濃縮液添加剤の一回投入 (slug dose)の効果を示す。
【
図2】[0008]
図2は、130ppmのフッ化物イオンの存在下での50体積%の市販のOATクーラントB中における鋳造アルミニウムSAE329の腐食に対する熱伝達流体超濃縮液添加剤の一回投入の効果を示す。
【
図3】[0009]
図3は、130ppmのフッ化物イオンの存在下での50体積%の市販のOATクーラントC中における鋳造アルミニウムSAE329の腐食に対する熱伝達流体超濃縮液添加剤の一回投入の効果を示す。
【
図4】[0010]
図4は、65ppmのフッ化物イオンの存在下での50体積%の市販のOATクーラントD中における鋳造アルミニウムSAE329の腐食に対する熱伝達流体超濃縮液添加剤の一回投入の効果を示す。
【
図5】[0011]
図5は、熱遮断熱伝達条件下で25体積%のクーラント濃縮液+100ppmの塩化物イオン中に6時間浸漬したAA319鋳造アルミニウム合金電極に関して得られたアノード分極曲線測定結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
[0012]長い使用寿命を確保し、設計機能を実現させるために、自動車冷却システムにおいて用いられる金属部品は、エンジンクーラントによる腐食から保護されなければならない。更に、エンジンクーラントは、冷却システムにおいて用いられる非金属(例えば、ホース、ガスケット、及びプラスチック)と適合性でなければならない。冷却システムにおいて用いられる材料の過度の腐食又は劣化は、材料又は部品の強度における大きな低下、システムからのクーラントの損失、及び1以上の冷却システム部品のその後の故障を引き起こす可能性がある。これらの事象は全てエンジンの故障をもたらす可能性がある。更に、比較的穏やかな腐食であっても腐食生成物の形成をもたらす可能性があり、これによって熱伝達表面上にスケール又は堆積物が形成される可能性がある。これらのスケール又は堆積物は、一般に熱伝達速度を低下させる可能性がある。非多孔質のスケールに関する熱伝導率は、25℃において約1.04~3.46W/mKであり、堆積物又は多孔質のスケールの熱伝導率は、25℃において約0.35W/mKである可能性がある。これらの値は、冷却システムにおいて用いられる種々の金属の熱伝導率(例えば、銅に関しては25℃において401W/mK;アルミニウムに関しては25℃において250W/mK;マグネシウムに関しては25℃において156W/mK;アドミラルティ黄銅に関しては25℃において109W/mK;鋳鉄に関しては25℃において55W/mK;又はステンレススチールに関しては25℃において16W/mK)よりも遙かに低い。要するに、スケール及び堆積物の熱伝導率は、500℃において断熱材料として用いられる粘土質耐火レンガの範囲内(1.4W/mK)である。過剰のスケール又は腐食生成物の堆積物はまた、ラジエター及びヒーターコアチューブ内におけるクーラントの流れの制限、更にはヒーターコア及び/又はラジエターの閉塞をもたらす可能性もある。相当な熱伝達速度の低下及びクーラントの流れの制限は、エンジンのオーバーヒートをもたらす可能性がある。
【0007】
[0013]冷却システムにおける種々の金属部品に関して信頼性のある腐食保護を与えるのに加えて、エンジンクーラントはまた、自動車用の通年使用の機能流体として用いるためのその要件を満足するために、次の特性:高い熱伝導率;高い熱容量又は高い比熱;使用温度範囲内での良好な流動性;高い沸点;低い凝固点;低い粘度;低い毒性及び使用安全性;コスト有効性;も有し、且つ適切な供給量;使用温度及び条件にわたる化学的安定性;低い発泡性;及び良好な材料適合性(即ち、システム材料(金属及び非金属材料の両方を含む)を腐食、浸食、又は分解しない)も有していなければならない。下記に記載する超濃縮液添加剤溶液は、これらの特性の1以上を与えるために用いることができる。
【0008】
[0014]概略紹介として、凝固点要件などのASTM-D3306-2007の特性及び性能要件を満足するクーラント濃縮液生成物を与える能力を有する超濃縮液添加剤溶液が見出され、これを下記に記載する。本発明による超濃縮液添加剤溶液は、驚くべきことに且つ予期しなかったことに、酸性のpH(例えば7.0未満)において良好な貯蔵安定性を示す。これに対比して、低い酸性度は種々のエンジン部品に対して腐食性である可能性があるので、ASTM-D3306において規定されているエンジンクーラントとして用いられる熱伝達流体は、本発明による超濃縮液添加剤溶液の酸性のpHを有しない。
【0009】
[0015]幾つかの態様においては、本発明による超濃縮液添加剤溶液を熱伝達流体濃縮液とブレンドすると、得られる混合物はASTM-D3306の特性及び性能要件を満足する。更に、本発明による超濃縮液添加剤溶液はまた、数多くの他の用途において用いることもできる。例として、超濃縮液添加剤溶液は、超濃縮液添加剤を多価アルコール(例えば、グリコール及びグリセロール)、水、消泡剤、着色剤、及び/又は他の随意的な熱伝達流体添加剤と混合することによって、高腐食保護性能の熱伝達流体濃縮液;予備希釈した熱伝達流体、又は使用可能状態の熱伝達流体の柔軟な製造において用いることができる。高腐食保護性能の熱伝達流体濃縮液を製造する方法は、開示する超濃縮液添加剤溶液を多価アルコールと混合することを含む。高腐食保護性能の熱伝達流体濃縮液を製造する方法は、開示する超濃縮液添加剤溶液を、多価アルコール、並びに水、消泡剤、及び着色剤の少なくとも1つと混合することを含む。高腐食保護性能の熱伝達流体濃縮液を製造する方法は、開示する超濃縮液添加剤溶液を、多価アルコール、腐食抑制剤、並びに水、消泡剤、及び着色剤の少なくとも1つと混合することを含む。
【0010】
[0016]幾つかの態様においては、超濃縮液添加剤溶液を熱伝達流体中に加えて、腐食保護性能を向上させ、熱伝達システム又はその中の流体の使用寿命を延ばすことができる。この方法は、超濃縮液添加剤溶液を熱伝達流体に加えて超添加剤熱伝達流体を形成し、混合物を熱伝達システムに加えることを含む。
【0011】
[0017]水を加えることによって更に希釈しない熱伝達流体のためのクーラント濃縮溶液は、それらの比較的低い熱伝達率(又は比熱)、高い粘度、及び高い凝固点のために、一般にエンジン冷却システムにおいては用いられていない。クーラント濃縮液は、通常は、エンジン冷却システム内において熱伝達流体として用いる前に、水を加えることによって30~60体積%の溶液に希釈する。自動車の製造業者は、通常は、工場において自動車冷却システム内に流体を充填する際には、水によって希釈した50体積%のクーラント濃縮液を用いる。水によって30~60体積%のクーラント濃縮液を含むように予め希釈したクーラント生成物は、それらを自動車冷却システム中に加える際に更なる水を必要としないので、使用可能状態のクーラントである。本発明によれば、超濃縮液添加剤溶液を水又は他の熱伝達流体と混合して、所望の熱伝達流体を生成させることができる。
【0012】
[0018]下記に記載する種々の代表的な態様の構成要素及び特徴は、異なる方法で組み合わせて、同様に本発明の範囲内の新しい態様を形成することができることを理解すべきである。
【0013】
[0019]序論として、本発明による超濃縮液添加剤溶液は、(a)水;(b)凝固点降下剤;(c)リン酸;(d)水溶性ポリマー;並びに(e)マグネシウム化合物、リチウム化合物、カルシウム化合物、ストロンチウム化合物、及びこれらの組合せからなる群からなる群から選択される化合物;を含む。幾つかの態様においては、超濃縮液添加剤溶液はマグネシウム合金及びカルシウム化合物を含む。幾つかの態様においては、超濃縮液添加剤溶液は、酸性のpH(例えば7.0未満、幾つかの態様においては約5.5未満)を有する。
【0014】
[0020]幾つかの態様においては、超濃縮液添加剤溶液は、脱イオン水、脱塩水、又は軟水を含む。熱伝達流体超濃縮液を用いて熱伝達流体濃縮液をブレンドする場合には、この態様は超濃縮液の全重量を基準として14%~38%の間の水を含む。他の態様は、熱伝達流体超濃縮液の全重量を基準として19%~35%の間の水を含む。
【0015】
[0021]幾つかの態様においては、超濃縮液添加剤溶液は凝固点降下剤を含む。開示する熱伝達流体超濃縮液中の凝固点降下剤は、一価又は多価アルコール及びこれらの混合物のようなアルコール又は複数のアルコールの混合物を含む。アルコールとしては、メタノール;エタノール;プロパノール;ブタノール;フルフロール;フルフリルアルコール;テトラヒドロフルフリルアルコール;エトキシル化フルフリルアルコール;エチレングリコール;ジエチレングリコール;トリエチレングリコール;1,2-プロピレングリコール;1,3-プロピレングリコール;ジプロピレングリコール;ブチレングリコール;グリセロール;グリセロール-1,2-ジメチルエーテル;グリセロール-1,3-ジメチルエーテル;グリセロールのモノエチルエーテル;ソルビトール;1,2,6ヘキサントリオール;トリメチロールプロパン;メトキシエタノールのようなアルコキシアルカノール;及びこれらの混合物が挙げられる。
【0016】
[0022]凝固点降下剤の濃度は、熱伝達流体超濃縮液の約0~約60重量%であってよい。他の態様においては、凝固点降下剤の濃度は、熱伝達流体超濃縮液の約0~約50重量%であってよい。更に他の態様においては、凝固点降下剤の濃度は、熱伝達流体超濃縮液の約5~約40重量%であってよい。更なる態様においては、凝固点降下剤の濃度は、熱伝達流体超濃縮液の約11~約25重量%であってよい。幾つかの態様においては、凝固点降下剤は、超濃縮液添加剤の約10重量%、11重量%、12重量%、15重量%、20重量%、又は約25重量%であってよい。
【0017】
[0023]本発明による超濃縮液添加剤溶液中における凝固点降下剤の量は、幾つかの異なる値の1つであってよく、或いは幾つかの異なる範囲の1つの範囲内であってよい。例えば、凝固点降下剤の量を、次の値:組成物の重量基準で約5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、及び60%の1つになるように選択することは本発明の範囲内である。また、凝固点降下剤の量を多くの異なる範囲の1つの範囲内にすることも本発明の範囲内である。範囲の第1の組においては、凝固点降下剤の量は、次の範囲:組成物の重量基準で約12%~60%、13%~60%、14%~60%、15%~60%、16%~60%、17%~60%、18%~60%、19%~60%、20%~60%、21%~60%、22%~60%、23%~60%、24%~60%、25%~60%、26%~60%、27%~60%、28%~60%、29%~60%、30%~60%、31%~60%、32%~60%、33%~60%、34%~60%、35%~60%、36%~60%、37%~60%、38%~60%、39%~60%、40%~60%、41%~60%、42%~60%、43%~60%、44%~60%、45%~60%、46%~60%、47%~60%、48%~60%、49%~60%、又は50%~60%の1つの範囲内である。範囲の第2の組においては、凝固点降下剤の量は、次の範囲:組成物の重量基準で約15%~60%、15%~59%、15%~58%、15%~57%、15%~56%、15%~55%、15%~54%、15%~53%、15%~52%、15%~51%、15%~50%、15%~49%、15%~48%、15%~47%、15%~46%、15%~45%、15%~44%、15%~43%、15%~42%、15%~41%、15%~40%、15%~39%、15%~38%、15%~37%、15%~36%、15%~35%、15%~34%、15%~33%、15%~32%、15%~31%、15%~30%、15%~29%、15%~28%、15%~27%、15%~26%、及び15%~25%、15%~24%、15%~23%、15%~22%、15%~21%、又は15%~20%の1つの範囲内である。範囲の第3の組においては、凝固点降下剤の量は、次の範囲:組成物の重量基準で約15%~59%、16%~58%、17%~57%、18%~56%、19%~55%、20%~54%、21%~53%、22%~52%、23%~51%、24%~50%、25%~49%、26%~48%、27%~47%、28%~46%、29%~45%、又は30%~44%の1つの範囲内である。
【0018】
[0024]幾つかの態様においては、超濃縮液添加剤はリン酸を含む。熱伝達流体超濃縮液中の活性リン酸濃度は、約1重量%~約55重量%であってよい。幾つかの態様においては、活性リン酸濃度は、熱伝達流体超濃縮液の全重量の約2重量%~45重量%であってよい。他の態様においては、活性リン酸濃度は、熱伝達流体超濃縮液の全重量の約3重量%~約40重量%であってよい。更なる態様においては、活性リン酸濃度は約3.5重量%~約39重量%であってよい。幾つかの態様においては、リン酸は、超濃縮液添加剤の約1重量%、約2重量%、約3重量%、約5重量%、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、約45重量%、約50重量%、又は約55重量%であってよい。熱伝達流体超濃縮液中のリン酸の一部又は全部を、アルカリ金属リン酸塩、例えばモノアルカリ金属リン酸塩、ジアルカリ金属リン酸塩、及びトリアルカリ金属リン酸塩、アルカリ金属リン酸塩の水和物、及びこれらの混合物によって置き換えるか、又は置換することができる。用いるのに好適なアルカリ金属リン酸塩としては、リン酸一ナトリウム、リン酸一カリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸二カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸一ナトリウム一水和物、リン酸一ナトリウム二水和物、リン酸二ナトリウム二水和物、リン酸二ナトリウム七水和物、リン酸二ナトリウム八水和物、二ナトリウム一二水和物、リン酸三ナトリウム、リン酸三ナトリウム半水和物、リン酸三ナトリウム六水和物、リン酸三ナトリウム八水和物、リン酸三ナトリウム一二水和物、及びこれらの組合せが挙げられる。熱伝達流体超濃縮液中において、アルカリ金属ジ及びポリリン酸塩を用いることもできる。
【0019】
[0025]幾つかの態様においては、超濃縮液添加剤は1種類以上の水溶性(高分子電解質)ポリマーを含む。水溶性ポリマーとしては、アクリレートベースのホモ-、コ-、又はター-ポリマーが挙げられる。熱伝達流体超濃縮液中における水溶性ポリマーの濃度は、約0.15重量%~約20重量%であってよい。他の態様においては、熱伝達流体超濃縮液中における水溶性ポリマーの濃度は、約0.3重量%~約17重量%であってよい。更に他の態様においては、熱伝達流体超濃縮液中における水溶性ポリマーの濃度は、約5重量%~約15重量%であってよい。幾つかの態様においては、1種類以上の水溶性ポリマーは、超濃縮液添加剤の約1重量%、約2重量%、約3重量%、約5重量%、約10重量%、約12重量%、約15重量%、約16重量%、約17重量%、約18重量%、約19重量%、又は約20重量%であってよい。
【0020】
[0026]熱伝達流体超濃縮液中において用いるのに好適な水溶性ポリマーの代表例としては、不飽和カルボン酸又は塩、不飽和アミド、不飽和酸無水物、不飽和ニトリル、不飽和カルボニルハロゲン化物、不飽和カルボン酸エステル、不飽和エーテル、不飽和アルコール、不飽和スルホン酸又は塩、不飽和ホスホン酸又は塩、不飽和ホスフィン酸又は塩、或いはこれらの組合せから選択される少なくとも1つの基を含む重合性モノマーから誘導される高分子電解質分散剤のような水溶性ポリマーが挙げられる。
【0021】
[0027]一般に、熱伝達流体超濃縮液中において用いるのに好適な水溶性ポリマーとしては、(1)C3~C16モノエチレン性不飽和モノ又はジカルボン酸又はそれらのアルカリ金属若しくはアンモニウム塩を含む少なくとも1つのモノマー単位;或いは(2)アミド、ニトリル、カルボン酸エステル、酸ハロゲン化物(例えば塩化物)、酸無水物、又はこれらの組合せのようなC3~C16モノエチレン性不飽和モノ又はジカルボン酸誘導体を含む少なくとも1つのモノマー単位;を有するホモポリマー、コポリマー、ターポリマー、及びインターポリマーが挙げられる。幾つかの態様においては、本発明において用いるのに好適な水溶性ポリマーは、少なくとも5%(少なくとも10%まで)の(1)又は(2)のモノマー単位を含んでいてよい。
【0022】
[0028]水溶性ポリマーを製造するために好適なモノカルボン酸の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、エチルアクリル酸、ビニル酢酸、アリル酢酸、及びクロトン酸が挙げられる。
【0023】
[0029]水溶性ポリマーを製造するために好適なモノカルボン酸エステルの例としては、ブチルアクリレート、n-ヘキシルアクリレート、t-ブチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、tert-ブチルアクリレート、及びビニルアセテートが挙げられる。
【0024】
[0030]水溶性ポリマーを製造するために好適なジカルボン酸の例としては、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、及びメチレンマロン酸が挙げられる。
【0025】
[0031]水溶性ポリマーを製造するために好適なアミドの例としては、アクリルアミド(又は2-プロペンアミド)、メタクリルアミド、エチルアクリルアミド、プロピルアクリルアミド、N-t-ブチルアクリルアミド、tert-ブチルメタクリルアミド、tert-オクチルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド(又はN,N-ジメチル-2-プロペンアミド)、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、シクロヘキシルアクリルアミド、ベンジルメタクリルアミド、ビニルアセトアミド、スルホメチルアクリルアミド、スルホエチルアクリルアミド、2-ヒドロキシ-3-スルホプロピルアクリルアミド、スルホフェニルアクリルアミド、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、2-ヒドロキシ-3-スルホプロピルアクリルアミド、N-ビニルピロリドン(環式アミド)、2-ビニルピリデン(vinylpyridene)、4-ビニルピリデネン(vinylpyridenem)、及びカルボキシメチルアクリルアミドが挙げられる。
【0026】
[0032]水溶性ポリマーを製造するために好適な無水物の例としては、無水マレイン酸(又は2,5-フランジオン)、及び無水コハク酸が挙げられる。
[0033]水溶性ポリマーを製造するために好適なニトリルの例としては、アクリロニトリル及びメタクリロニトリルが挙げられる。
【0027】
[0034]水溶性ポリマーを製造するために好適な酸ハロゲン化物の例としては、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、及びメタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリドが挙げられる。
【0028】
[0035]更に、次のモノマー:アリルヒドロキシプロピルスルホネート、AMPS又は2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、メタリルスルホン酸、アリルオキシベンゼンスルホン酸、1,2-ジヒドロキシ-3-ブテン、アリルアルコール、アリルホスホン酸、エチレングリコールジアクリレート、アスパラギン酸、ヒドロキサム酸、2-エチルオキサゾリン、アジピン酸、ジエチレントリアミン、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、アンモニア、エチレンジアミン、ジメチルアミン、ジアリルフタレート、3-アリルオキシ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ナトリウムスチレンスルホネート、及びアルコキシル化アリルアルコールスルホネート、並びに上記の少なくとも1つを含む組合せの少なくとも1つのモノマー単位を含む水溶性ポリマーを用いることもできる。
【0029】
[0036]幾つかの態様においては、熱伝達流体超濃縮液添加剤中において用いるのに好適な水溶性ポリマーは、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ビニル酢酸、4-メチルペンテン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸無水物、3,6-エポキシ-1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸無水物、5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸無水物、ビシクル(bicycle)[2,2,2]-5-オクテン-2,3-ジカルボン酸無水物、3-メチル-1,2,6-テトラヒドロフタル酸無水物、2-メチル-1,3,6-テトラヒドロフタル酸無水物、イタコン酸、メサコン酸、メチレンマロン酸、フマル酸、シトラコン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、3-アリルオキシ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸、アリルホスホン酸、アリルオキシベンゼンスルホン酸、2-ヒドロキシ-3-(2-プロペニルオキシ)プロパンスルホン酸、アリルスルホン酸、他のアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、メタリルスルホン酸、イソプロ(isopro)-フェニルスルホン酸、ビニルホスホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、アスパラギン酸、ヒドロキサム酸、アジピン酸、及びこれらのアルカリ金属又はアンモニウム塩;メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、n-ヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t-ブチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、tert-ブチルアクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ホスホエチルメタクリレート、及びビニルアセテート;アクリルアミド(又は2-プロペンアミド)、メタクリルアミド、エチルアクリルアミド、プロピルアクリルアミド、N-t-ブチルアクリルアミド、tert-ブチルメタクリルアミド、tert-オクチルアクリルアミド、N-メチルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド(又はN,N-ジメチル-2-プロペンアミド)、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、シクロヘキシルアクリルアミド、ベンジルメタクリルアミド、ビニルアセトアミド、スルホメチルアクリルアミド、スルホエチルアクリルアミド、2-ヒドロキシ-3-スルホプロピルアクリルアミド、スルホフェニルアクリルアミド、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、2-ヒドロキシ-3-スルホプロピルアクリルアミド、N-ビニルピロリドン(環式アミド)、2-ビニルピリデン、4-ビニルピリデネン、及びカルボキシメチルアクリルアミド;無水マレイン酸(又は2,5-フランジオン)、及び無水コハク酸;アクリロニトリル、及びメタクリロニトリル;アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、及びメタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド;1,2-ジヒドロキシ-3-ブテン、アリルアルコール、エチレングリコールジアクリレート、2-エチルオキサゾリン、ジエチレントリアミン、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、アンモニア、スチレン、エチレンジアミン、ジメチルアミン、ジアリルフタレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ナトリウムスチレンスルホネート、アルコキシル化アリルアルコールスルホネート、又はこれらの混合物からなる群から選択される1種類以上のモノマーの重合から得られる少なくとも5モル%のモノマー単位(即ち重合単位として)を含む。
【0030】
[0037]他の態様においては、アルコキシル化アリルアルコールスルホネートは、次の構造:
【0031】
【0032】
(式中、R1は、1~約10個の炭素原子を有するヒドロキシル置換アルキル若しくはアルキレン基、又は1~約10個の炭素原子を有する非置換アルキル若しくはアルキレン基であるか、或いは-(CH2-CH2-O)n-、-[CH2-CH(CH3)-O]n-、又は両方の混合物(ここで、nは約1~約50の整数である)であり;R2は、H又は低級アルキル(C1~C3)基であり;Xは、存在する場合には、-SO3、-PO3、-PO4、及び-COOからなる群から選択されるアニオン性基であり;Yは、存在する場合には、H、又は一緒になってアニオン性基の価数と平衡する任意の1つ又は複数の水溶性カチオンであり;aは0又は1である)
を含む。
【0033】
[0038]熱伝達流体超濃縮液中において用いるのに好適な水溶性高分子電解質ポリマーは、一態様においては、約200~約2,000,000ダルトンの分子量(MW)を有していてよい。他の態様においては、好適な水溶性高分子電解質ポリマー分散剤は、約500~約20,000ダルトンの分子量(MW)を有する。
【0034】
[0039]熱伝達流体超濃縮液中において用いるのに好適な水溶性高分子電解質ポリマーの非限定的な例としては、(1)ポリアクリル酸又はポリアクリレート、アクリレートベースのポリマー、コポリマー、ターポリマー、及び四元ポリマー、例えばアクリレート/アクリルアミドコポリマー、アクリレート/AMPS(アクリルアミドメチレンスルホン酸又は2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸)又はアクリルアミドアルカンスルホン酸コポリマー、アクリレート/スルホネートコポリマー、アクリレート/ヒドロキシアルキルアクリレートコポリマー、アクリレート/アルキルアクリレートコポリマー、アクリレート/AMPS/アルキルアクリルアミドターポリマー、アクリレート/アクリルアミドアルカンスルホン酸/スチレンスルホン酸(又は水溶性塩)ターポリマー、アクリレート/アクリルアミド/スルホアルキルアクリルアミドターポリマー、アクリル酸/アリルオキシ-2-ヒドロキシプロピルスルホン酸(AHPSE)/ポリエチレングリコールアリルエーテルターポリマー、アクリレート/メタクリレートメチルエステル/2-プロパン-1-スルホン酸,2-メチル-,ナトリウム塩/ベンゼンスルホン酸,4-[(2-メチル-2-プロペニル)オキシ]-,ナトリウム塩四元ポリマー;(2)ポリメタクリル酸又はポリメタクリレート、メタクリレートベースのポリマー、コポリマー、ターポリマー、及び四元ポリマー(ここでは、(1)において列記する対応するアクリレートベースのポリマーの1つのモノマーは、メタクリレート又はメタクリル酸によって置き換えられている);(3)ポリマレイン酸又は無水マレイン酸ポリマー、マレイン酸ベースのポリマー、それらのコポリマー、ターポリマー、及び四元ポリマー(ここでは、(1)において列記する対応するアクリレートベースのポリマーの1つのモノマーは、マレイン酸又は無水マレイン酸によって置き換えられている);(4)ポリアクリルアミド、変性アクリルアミドベースのポリマー、並びにアクリルアミドベースのコポリマー、ターポリマー、及び四元ポリマー(ここでは、(1)において列記する対応するアクリレートベースのポリマーの1つのモノマーは、アクリルアミドによって置き換えられている);(5)スルホン酸ベースのコポリマー、ターポリマー、及び四元ポリマー、又はそれらの水溶性塩;ホスホン酸ベースのコポリマー、ターポリマー、及び四元ポリマー、又はそれらの水溶性塩;ホスフィン酸ベースのコポリマー、ターポリマー、及び四元ポリマー、又はそれらの水溶性塩;(6)ビニルピロリドンベースのホモポリマー及びコポリマー;(7)アルキレンオキシドベースのコポリマー及びターポリマー;並びに上記の1以上を含む組合せ;のようなポリカルボキシレートが挙げられる。
【0035】
[0040]水溶性ポリマーはまた、ポリエーテルポリアミノメチレンホスホネート、ホスフィノポリアクリレート酸、又はポリビニルピロリドンであってもよい。
[0041]熱伝達流体超濃縮液中において水溶性高分子電解質ポリマーとして用いるのに好適な商業的に入手できるポリマーの具体例としては、Noveon(又はLubrizol)によって供給されるポリマー、AkzoNobelによって供給されるポリマー、及びDow(Rohm & Haas)によって供給されるポリマーが挙げられる。
【0036】
[0042]熱伝達流体超濃縮液中において水溶性高分子電解質ポリマーとして用いることができるNoveon(又はLubrizol)によって供給されるポリマーとしては、下表1に示すものが挙げられる。
【0037】
【0038】
[0043]熱伝達流体超濃縮液中において水溶性高分子電解質ポリマーとして用いることができるAkzoNobelによって供給されるポリマーとしては、下表2に示すものが挙げられる。
【0039】
【0040】
[0044]AR-335はポリアクリルアミドであり;AR-545及びAR-546はAA/AMPSコポリマーであり;Aquatreat AR-540はアクリル酸(AA)/2-プロペン酸,2-メチル,メチルエステル/ベンゼンスルホン酸,4-[(2-メチル-2-プロペニル)オキシ]-,ナトリウム塩/2-プロペン-1-スルホン酸,2-メチル-,ナトリウム塩ターポリマーである。Versa TL-4=スルホン化スチレン/無水マレイン酸コポリマーである。Versa TL-3は、Versa TL-4の乾燥形態である。AR-978は、アクリル酸/マレイン酸コポリマーである。AR-980は、アクリル酸/マレイン酸/非イオン性モノマーターポリマーである。
【0041】
[0045]熱伝達流体超濃縮液中において水溶性高分子電解質ポリマーとして用いることができるDow(Rohm & Haas)によって供給されるポリマーとしては、下表3に示すものが挙げられる。
【0042】
【0043】
[0046]注記:Acumer 2000及び2100は、カルボン酸/スルホン酸コポリマー、即ちAA/AMPSコポリマーであり;Acumer 3100及びAcumer 5000は、アクリル酸/t-ブチルアクリルアミド/2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ターポリマーである。Optidose 1000、2000、及びOptidose 3100は、それぞれAcumer 1000、2000、及び3100の標識化型である。
【0044】
[0047]幾つかの態様においては、熱伝達流体超濃縮液中において用いるのに好適な水溶性ポリマーは、(1)Sokalan(登録商標)及びTamol(登録商標)ブランド、例えばSokalan(登録商標)CP9(マレイン酸ベースのポリマー)、Sokalan(登録商標)CP10、10S、12S(全てアクリレートベースのポリマーである)、13S、Sokalan(登録商標)HP22G、HP25、HP59、及びHP165(ポリビニルピロリドン)、Sokalan(登録商標)PA15、PA20、PA25Cl、PA30Cl、PA40、Sokalan(登録商標)PM10I、PM70、Tamol(登録商標)VS、及び他の同様の製品名でBASFから入手できるもの;(2)Cyanamer(登録商標)ブランド、例えばP-35、P-70、P-80、A-100L、及びA-15(全て、アクリレート又はアクリルアミドベースのポリマー又はコポリマーである)などの製品名でCytexから入手できるもの;(3)Belclene(登録商標)及びBelsperse(登録商標)ブランド、例えばBelclene(登録商標)200(マレイン酸ホモポリマー)、283(マレイン酸ターポリマー)、400(スルホン化ホスフィノポリカルボン酸)、及び499(スルホン化ホスホノポリカルボン酸);並びにBelsperse(登録商標)161(ホスフィノポリカルボン酸)及び164(ホスフィノポリカルボン酸)などの製品名のBiolab添加剤;並びに(4)Ecolab/Nalco(例えば、アクリル酸/2-アクリルアミド-2-メチルプロピルスルホン酸コポリマー、米国特許5,338,477に記載されているポリエーテルポリアミノホスホネート、及びアクリル酸/アクリルアミド/アクリルアミドメタンスルホン酸ターポリマー)、GE Betz(例えば、アクリル酸/ポリエチレングリコールアリルエーテルコポリマー、アクリル酸/アリルオキシ-2-ヒドロキシプロピルスルホン酸(又はAHPSE)/ポリエチレングリコールアリルエーテルターポリマー、及びアクリル酸/AHPSEコポリマー)、Danaher/Chemtreat(例えば、アリルオキシベンゼンスルホン酸(約3.5モル%)/メタリルスルホン酸(約2.5モル%)/メチルメタクリレート(13~18モル%)/アクリル酸(76~81モル%)四元ポリマー)、Ciba、 SNF Floerger、Rhone-Poulenc、Stockhausen、Hercules、Henkel、Allied Colloids、Hoechst Celanese、Ashland Chemical Company、Kurita Water Industries Ltd、Nippon Shokubai Co.及び他の供給業者からの水溶性ポリマー製品のようなポリマーから選択することができる。
【0045】
[0048]幾つかの態様においては、超濃縮液添加剤は、カルシウムイオンを生成することができる1種類以上の水溶性カルシウム化合物を含む。カルシウムイオンは、室温において水を含む溶液中に溶解することによってカルシウムイオンを生成するカルシウム化合物から誘導することができる。カルシウム化合物の非限定的な例としては、水酸化カルシウム、モリブデン酸カルシウム、バナジン酸カルシウム、タングステン酸カルシウム、過塩素酸カルシウム、塩化カルシウム、又はこれらの塩の水和物、或いはこれらの組合せのような無機カルシウム化合物が挙げられる。他の態様においては、カルシウム化合物として、カルシウムイオンと1以上のカルボン酸基を含む有機酸の間で形成されるカルシウム塩、例えば酢酸カルシウム、ギ酸カルシウム、プロピオン酸カルシウム、ポリマレイン酸カルシウム、ポリアクリル酸カルシウム、乳酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、グリコール酸カルシウム、グルコヘプトン酸カルシウム、クエン酸カルシウム、酒石酸カルシウム、グルカ酸カルシウム、コハク酸カルシウム、ヒドロキシコハク酸カルシウム、アジピン酸カルシウム、シュウ酸カルシウム、マロン酸カルシウム、スルファミン酸カルシウム、又はこれらのカルシウム塩の水和物、或いはこれらの組合せが挙げられる。カルシウム化合物はまた、カルシウムイオンとホスホネート又はホスフィネートの間で形成されるカルシウム塩、例えば、カルシウム-PBTC(ここで、PBTCは2-ホスホノブタン-1,2,4-トリカルボン酸である)の塩、カルシウム-HEDP(ここで、HEDPは1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸:CAS No.2809-21-4)である)の塩、カルシウム-HPA(ここで、HPAはヒドロキシホスホノ-酢酸又は2-ヒドロキシホスホノ酢酸である)の塩、カルシウムホスホノコハク酸塩、カルシウム-PSO(ここで、PSOは、米国特許6,572,789B1に記載されている、モノ、ビス、及びオリゴマーホスフィノコハク酸付加体混合物である)の塩、又はこれらの組合せであってもよい。カルシウム化合物は、熱伝達流体超濃縮液中に可溶であってよい。本明細書において用いる「可溶」とは、粒子状物質が肉眼で視認できないように溶解することを指す。
【0046】
[0049]熱伝達流体超濃縮液添加剤中におけるカルシウムイオン濃度は、Ca2+として約0.1mg/L~約20,000mg/Lであってよい。他の態様においては、熱伝達流体超濃縮液中におけるカルシウムイオン濃度は、Ca2+として約50mg/L~約12000mg/Lであってよい。他の態様においては、カルシウムイオン濃度は、Ca2+として約60mg/L~約8000mg/Lであってよい。
【0047】
[0050]幾つかの態様においては、超濃縮液添加剤は、マグネシウムイオンを生成することができる1種類以上の可溶性マグネシウム化合物を含む。マグネシウムイオンは、室温において水を含む溶液中に溶解することによってマグネシウムイオンを生成することができるマグネシウム化合物から誘導することができる。用いるのに好適なマグネシウム化合物としては、モリブデン酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、タングステン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、過塩素酸マグネシウム、塩化マグネシウム、これらの塩の水和物、又はこれらの組合せのような無機マグネシウム化合物が挙げられる。マグネシウム化合物はまた、マグネシウムイオンと、1以上のカルボン酸基、又は1以上のホスホン酸基、又は1以上のホスフィン酸基、或いはこれらの官能基の組合せを含む有機酸の間で形成されるマグネシウム塩、例えばギ酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、プロピオン酸マグネシウム、ポリアクリル酸マグネシウム、ポリマレイン酸マグネシウム、乳酸マグネシウム、グルコン酸マグネシウム、グリコール酸マグネシウム、グルコヘプトン酸マグネシウム、クエン酸マグネシウム、酒石酸マグネシウム、グルカ酸マグネシウム、コハク酸マグネシウム、ヒドロキシコハク酸マグネシウム、アジピン酸マグネシウム、シュウ酸マグネシウム、マロン酸マグネシウム、スルファミン酸マグネシウム、マグネシウム-PBTC(ここで、PBTCは2-ホスホノブタン-1,2,4-トリカルボン酸である)の塩、マグネシウム-HEDP(ここで、HEDPは1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸である)の塩、マグネシウム-HPA(ここで、HPAはヒドロキシホスホノ-酢酸又は2-ヒドロキシホスホノ酢酸である)の塩、マグネシウムホスホノコハク酸塩、マグネシウム-PSO(ここで、PSOは、モノ、ビス、及びオリゴマーホスフィノコハク酸付加体混合物である)の塩、又はこれらの塩の水和物、或いはこれらの組合せであってもよい。
【0048】
[0051]熱伝達流体超濃縮液中におけるマグネシウムイオン濃度は、Mg2+として約0.1mg/L~約15000mg/Lであってよい。他の態様においては、マグネシウムイオン濃度は、Mg2+として約25mg/L~約12000mg/Lであってよい。他の態様においては、マグネシウムイオン濃度は、Mg2+として約50mg/L~約10000mg/Lであってよい。
【0049】
[0052]幾つかの態様においては、熱伝達流体超濃縮液添加剤には、場合によってリチウムイオンを含めることができる。リチウムイオンは、室温において水を含む溶液中に溶解することによってリチウムイオンを生成することができるリチウム化合物から誘導することができる。リチウム化合物は、水酸化リチウム、リン酸リチウム、ホウ酸リチウム、過塩素酸リチウム、硫酸リチウム、モリブデン酸リチウム、バナジン酸リチウム、タングステン酸リチウム、炭酸リチウム、又はこれらの組合せのような無機リチウム化合物であってよい。リチウム化合物はまた、リチウムイオンと、1以上のカルボン酸基、又は1以上のホスホン酸基、又は1以上のホスフィン酸基、或いはこれらの官能基の組合せを含む有機酸の間で形成されるリチウム塩、例えば酢酸リチウム、安息香酸リチウム、ポリアクリル酸リチウム、ポリマレイン酸リチウム、乳酸リチウム、クエン酸リチウム、酒石酸リチウム、グルコン酸リチウム、グルコヘプトン酸リチウム、グリコール酸リチウム、グルカ酸リチウム、コハク酸リチウム、ヒドロキシコハク酸リチウム、アジピン酸リチウム、セバシン酸リチウム、安息香酸リチウム、フタル酸リチウム、サリチル酸リチウム、吉草酸リチウム、オレイン酸リチウム、ラウリン酸リチウム、ステアリン酸リチウム、シュウ酸リチウム、マロン酸リチウム、スルファミン酸リチウム、ギ酸リチウム、プロピオン酸リチウム、リチウム-PBTC(ここで、PBTCは2-ホスホノブタン-1,2,4-トリカルボン酸である)の塩、リチウム-HEDP(ここで、HEDPは1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸である)の塩、リチウム-HPA(ここで、HPAはヒドロキシホスホノ-酢酸又は2-ヒドロキシホスホノ酢酸である)の塩、リチウムホスホノコハク酸塩、リチウム-PSO(ここで、PSOは、モノ、ビス、及びオリゴマーホスフィノコハク酸付加体混合物である)の塩、又はこれらの塩の水和物、或いは上記のリチウム化合物の組合せであってもよい。
【0050】
[0053]リチウム化合物は、熱伝達流体超濃縮液添加剤が5~300,000重量ppmのリチウムイオン濃度を有するような量で存在させることができる。この範囲内において、リチウムイオン濃度は、200,000ppm未満、又はより特には100,000ppm以下であってよい。またこの範囲内において、リチウムイオン濃度は、100ppm以上、又はより特には200ppm以上であってよい。
【0051】
[0054]幾つかの態様においては、熱伝達超濃縮液添加剤には、場合によってストロンチウムイオンを含めることができる。ストロンチウムイオンは、室温において水を含む溶液中に溶解することによってストロンチウムイオンを生成することができるストロンチウム化合物から誘導することができる。ストロンチウム化合物は、水酸化ストロンチウム、塩化ストロンチウム、過塩素酸ストロンチウム、硝酸ストロンチウム、ヨウ化ストロンチウム、硫酸ストロンチウム、ホウ酸ストロンチウム、リン酸ストロンチウム、リン酸二水素ストロンチウム、モリブデン酸ストロンチウム、タングステン酸ストロンチウム、チタン酸ストロンチウム、これらの塩の水和物、又はこれらの組合せのような無機ストロンチウム化合物であってよい。ストロンチウム化合物はまた、ストロンチウムイオンと、1以上のカルボン酸基、又は1以上のホスホン酸基、又は1以上のホスフィン酸基、或いはこれらの官能基の組合せを含む有機酸の間で形成されるストロンチウム塩、例えばギ酸ストロンチウム、酢酸ストロンチウム、プロピオン酸ストロンチウム、酪酸ストロンチウム、ポリアクリル酸ストロンチウム、乳酸ストロンチウム、ポリマレイン酸ストロンチウム、グルコン酸ストロンチウム、グリコール酸ストロンチウム、グルコヘプトン酸ストロンチウム、クエン酸ストロンチウム、酒石酸ストロンチウム、グルカ酸ストロンチウム、コハク酸ストロンチウム、ヒドロキシコハク酸ストロンチウム、アジピン酸ストロンチウム、シュウ酸ストロンチウム、マロン酸ストロンチウム、スルファミン酸ストロンチウム、セバシン酸ストロンチウム、安息香酸ストロンチウム、フタル酸ストロンチウム、サリチル酸ストロンチウム、ストロンチウム-PBTC(ここで、PBTCは2-ホスホノブタン-1,2,4-トリカルボン酸である)の塩、ストロンチウム-HEDP(ここで、HEDPは1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸である)の塩、ストロンチウム-HPA(ここで、HPAはヒドロキシホスホノ-酢酸又は2-ヒドロキシホスホノ酢酸である)の塩、ストロンチウムホスホノコハク酸塩、ストロンチウム-PSO(ここで、PSOは、モノ、ビス、及びオリゴマーホスフィノコハク酸付加体混合物である)の塩、又はこれらの塩の水和物、或いは上記のストロンチウム化合物の組合せであってもよい。
【0052】
[0055]ストロンチウム化合物は、熱伝達流体超濃縮液添加剤がSr2+として0~20000mg/Lのストロンチウムイオン濃度を有するような量で存在させることができる。この範囲内において、ストロンチウムイオン濃度は、Sr2+として12000mg/L未満であってよい。
【0053】
[0056]幾つかの態様においては、熱伝達流体超濃縮液添加剤には、次の成分:(1)室温において水を含む溶液中に溶解することによってカルシウムイオンを生成することができる水溶性カルシウム化合物;(2)室温において水を含む溶液中に溶解することによってマグネシウムイオンを生成することができる水溶性マグネシウム化合物;及び(3)室温において水を含む溶液中に溶解することによってリチウムイオンを生成することができる水溶性化合物から選択される少なくとも1つ又はそれ以上を含めることができる。用いるのに好適なカルシウム化合物、マグネシウム化合物、及びリチウム化合物の例は、本明細書に開示するものである。水溶性化合物から誘導されるカルシウムイオン、マグネシウムイオン、及びリチウムイオンの合計濃度は、熱伝達流体超濃縮液の5~350,000重量ppmの間であってよい。
【0054】
[0057]幾つかの態様においては、熱伝達流体超濃縮液添加剤には、場合によってモリブデン酸塩イオンを含めることができる。モリブデン酸塩イオンは、水中に可溶性のモリブデン酸の塩から誘導することができる。モリブデン酸塩化合物としては、アルカリ金属及びアルカリ土類金属のモリブデン酸塩の両方、並びにこれらの混合物が挙げられる。モリブデン酸塩の例は、モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸カリウム、及びモリブデン酸リチウムである。更に、アルカリ金属及びアルカリ土類金属モリブデン酸塩の水和物、例えばモリブデン酸ナトリウム二水和物も、開示する超濃縮液添加剤中において用いるのに好適である。幾つかの態様においては、モリブデン酸塩イオンの濃度は、熱伝達流体超濃縮液100重量部あたり約20重量部より低い。他の態様においては、モリブデン酸塩イオンの濃度は15重量%より低い。他の態様においては、モリブデン酸塩イオンの濃度は約7.5重量%より低い。
【0055】
[0058]超濃縮液添加剤のpHは約5.5未満であってよい。幾つかの態様においては、超濃縮液添加剤のpHは約4.5未満である。更に他の態様においては、添加剤のpHは約4.0未満であってよい。更なる態様においては、超濃縮液のpHは約2.0未満であってよい。更なる態様においては、pHは0未満(即ち負の値)である。
【0056】
[0059]超濃縮液添加剤溶液のpHを、次の値:約0.001、0.01、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、及び6.9の1つ以下になるように選択することは、本発明の範囲内である。同様に、超濃縮液添加剤溶液のpHを多くの異なる範囲の1つの範囲内にすることも本発明の範囲内である。範囲の第1の組においては、超濃縮液添加剤溶液のpHは、次の範囲:約0.001~6.9、0.01~6.9、0.1~6.9、0.2~6.9、0.3~6.9、0.4~6.9、0.5~6.9、0.6~6.9、0.7~6.9、0.8~6.9、0.9~6.9、1.0~6.9、1.1~6.9、1.2~6.9、1.3~6.9、1.4~6.9、1.5~6.9、1.6~6.9、1.7~6.9、1.8~6.9、1.9~6.9、2.0~6.9、2.1~6.9、2.2~6.9、2.3~6.9、2.4~6.9、2.5~6.9、2.6~6.9、2.7~6.9、2.8~6.9、2.9~6.9、3.0~6.9、3.1~6.9、3.2~6.9、3.3~6.9、3.4~6.9、3.5~6.9、3.6~6.9、3.7~6.9、3.8~6.9、3.9~6.9、4.0~6.9、4.1~6.9、4.2~6.9、4.3~6.9、4.4~6.9、4.5~6.9、4.6~6.9、4.7~6.9、4.8~6.9、4.9~6.9、5.0~6.9、5.1~6.9、5.2~6.9、5.3~6.9、5.4~6.9、又は5.5~6.9の1つである。範囲の第2の組においては、超濃縮液添加剤溶液のpHは、次の範囲:約0.001~5.6、0.01~5.6、0.1~5.6、0.2~5.6、0.3~5.6、0.4~5.6、0.5~5.6、0.6~5.6、0.7~5.6、0.8~5.6、0.9~5.6、1.0~5.6、1.1~5.6、1.2~5.6、1.3~5.6、1.4~5.6、1.5~5.6、1.6~5.6、1.7~5.6、1.8~5.6、1.9~5.6、2.0~5.6、2.1~5.6、2.2~5.6、2.3~5.6、2.4~5.6、2.5~5.6、2.6~5.6、2.7~5.6、2.8~5.6、2.9~5.6、3.0~5.6、3.1~5.6、3.2~5.6、3.3~5.6、3.4~5.6、3.5~5.6、3.6~5.6、3.7~5.6、3.8~5.6、3.9~5.6、4.0~5.6、4.1~5.6、4.2~5.6、4.3~5.6、4.4~5.6、4.5~5.6、4.6~5.6、4.7~5.6、4.8~5.6、4.9~5.6、5.0~5.6、5.1~5.6、5.2~5.6、5.3~5.6、又は5.4~5.6の1つである。範囲の第3の組においては、超濃縮液添加剤溶液のpHは、次の範囲:約0.001~4.5、0.01~4.5、0.1~4.5、0.2~4.5、0.3~4.5、0.4~4.5、0.5~4.5、0.6~4.5、0.7~4.5、0.8~4.5、0.9~4.5、1.0~4.5、1.1~4.5、1.2~4.5、1.3~4.5、1.4~4.5、1.5~4.5、1.6~4.5、1.7~4.5、1.8~4.5、1.9~4.5、2.0~4.5、2.1~4.5、2.2~4.5、2.3~4.5、2.4~4.5、2.5~4.5、2.6~4.5、2.7~4.5、2.8~4.5、2.9~4.5、3.0~4.5、3.1~4.5、3.2~4.5、3.3~4.5、3.4~4.5、3.5~4.5、3.6~4.5、3.7~4.5、3.8~4.5、3.9~4.5、4.0~4.5、4.1~4.5、4.2~4.5、4.3~4.5、又は4.4~4.5の1つである。
【0057】
[0060]熱伝達流体超濃縮液添加剤は、室温において単一相の均一溶液であってよい。濃縮液の一態様は、約-10℃~60℃の間の温度において貯蔵安定性である。超濃縮液添加剤を熱伝達流体濃縮液とブレンドすると、混合物はASTM-D3306の特性及び性能の要件を満足することができる。
【0058】
[0061]本発明による超濃縮液添加剤溶液は、種々の異なる貯蔵条件下において(例えば、溶液中に存在する沈殿物が実質的に存在しないことによって視覚によって求められる)驚くべき且つ予期しなかった良好な貯蔵安定性を示すことができる。例えば、本発明による超濃縮液添加剤溶液が、室温における貯蔵後、幾つかの態様においては100℃における貯蔵後、幾つかの態様においては140℃における貯蔵後、幾つかの態様においては、室温、100℃、及び/又は140°Fの組み合わせにおいて、少なくとも次の値の1つに対応する時間(即ち次の値の1つ以上の時間):約1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日(1週間)、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日(2週間)、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日(3週間)、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、30日(1か月)、31日、32日、33日、34日、35日、36日、37日、38日、39日、40日、41日、42日、43日、44日、45日、46日、47日、48日、49日、50日、51日、52日、53日、54日、55日、56日、57日、58日、59日、60日(2か月)、61日、62日、63日、64日、65日、66日、67日、68日、69日、70日、71日、72日、73日、74日、75日、76日、77日、78日、79日、80日、81日、82日、83日、84日、85日、86日、87日、88日、89日、90日(3か月)、91日、92日、93日、94日、95日、96日、97日、98日、99日、100日、101日、102日、103日、104日、105日、106日、107日、108日、109日、110日、111日、112日、113日、114日、115日、116日、117日、118日、119日、120日(4か月)、121日、122日、123日、124日、125日、126日、127日、128日、129日、130日、131日、132日、133日、134日、135日、136日、137日、138日、139日、140日、141日、142日、143日、144日、145日、146日、147日、148日、149日、150日(5か月)、151日、152日、153日、154日、155日、156日、157日、158日、159日、160日、161日、162日、163日、164日、165日、166日、167日、168日、169日、170日、171日、172日、173日、174日、175日、176日、177日、178日、179日、180日(6か月)、181日、182日、183日、184日、185日、186日、187日、188日、189日、190日、191日、192日、193日、194日、195日、196日、197日、198日、199日、200日、201日、202日、203日、204日、205日、206日、207日、208日、209日、又は210日(7か月)の間貯蔵した後に沈殿物を実質的に含まないことは本発明の範囲内である。
【0059】
[0062]また、本発明による超濃縮液添加剤溶液が、室温における貯蔵後、幾つかの態様においては100℃における貯蔵後、幾つかの態様においては140℃における貯蔵後、幾つかの態様においては、室温、100℃、及び/又は140°Fの組み合わせにおいて、多くの異なる範囲の1つの範囲内の時間貯蔵した後に沈殿物を実質的に含まないままであることは本発明の範囲内である。範囲の第1の組においては、時間の長さは、次の範囲:約12日~210日、13日~210日、14日~210日、15日~210日、16日~210日、17日~210日、18日~210日、19日~210日、20日~210日、21日~210日、22日~210日、23日~210日、24日~210日、25日~210日、26日~210日、27日~210日、28日~210日、29日~210日、30日~210日、31日~210日、32日~210日、33日~210日、34日~210日、35日~210日、36日~210日、37日~210日、38日~210日、39日~210日、40日~210日、41日~210日、42日~210日、43日~210日、44日~210日、45日~210日、46日~210日、47日~210日、48日~210日、49日~210日、50日~210日、51日~210日、52日~210日、53日~210日、54日~210日、55日~210日、56日~210日、57日~210日、58日~210日、59日~210日、60日~210日、61日~210日、62日~210日、63日~210日、64日~210日、65日~210日、66日~210日、67日~210日、68日~210日、69日~210日、70日~210日、71日~210日、72日~210日、73日~210日、74日~210日、75日~210日、76日~210日、77日~210日、78日~210日、79日~210日、80日~210日、81日~210日、82日~210日、83日~210日、84日~210日、85日~210日、86日~210日、87日~210日、88日~210日、89日~210日、又は90日~210日の1つである。範囲の第2の組においては、時間の長さは、次の範囲:約7日~210日、7日~209日、7日~208日、7日~207日、7日~206日、7日~205日、7日~204日、7日~203日、7日~202日、7日~201日、7日~200日、7日~199日、7日~198日、7日~197日、7日~196日、7日~195日、7日~194日、7日~193日、7日~192日、7日~191日、7日~190日、7日~189日、7日~188日、7日~187日、7日~186日、7日~185日、7日~184日、7日~183日、7日~182日、7日~181日、7日~180日、7日~179日、7日~178日、7日~177日、7日~176日、7日~175日、7日~174日、7日~173日、7日~172日、7日~171日、7日~170日、7日~169日、7日~168日、7日~167日、7日~166日、7日~165日、7日~164日、7日~163日、7日~162日、7日~161日、7日~160日、7日~159日、7日~158日、7日~157日、7日~156日、7日~155日、7日~154日、7日~153日、7日~152日、7日~151日、又は7日~150日の1つである。範囲の第3の組においては、時間の長さは、次の範囲:約30日~150日、31日~149日、32日~148日、33日~147日、34日~146日、35日~145日、36日~144日、37日~143日、38日~142日、39日~141日、40日~140日、41日~139日、42日~138日、43日~137日、44日~136日、45日~135日、46日~134日、47日~133日、48日~132日、49日~131日、50日~130日、51日~129日、52日~128日、53日~127日、54日~126日、55日~125日、56日~124日、57日~123日、58日~122日、59日~121日、60日~120日、61日~119日、62日~118日、63日~117日、64日~116日、65日~115日、66日~114日、67日~113日、68日~112日、69日~111日、70日~110日、71日~109日、72日~108日、73日~107日、74日~106日、75日~105日、76日~104日、77日~103日、78日~102日、79日~101日、80日~100日、81日~99日、82日~98日、83日~97日、84日~96日、85日~95日、86日~94日、87日~93日、88日~92日、又は89日~91日の1つである。
【0060】
[0063]幾つかの態様においては、超濃縮液添加剤溶液はまた、場合によっては、着色剤、消泡剤、pH調節剤(例えばアルカリ又はアルカリ土類金属塩基、例えばNaOH、KOH、LiOH、Ca(OH)2、Sr(OH)2等)、水溶性無機ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、殺生物剤、アゾール化合物、及び1種類以上のC6~C18の一又は二塩基性脂肪族又は芳香族カルボン酸或いはこれらの塩、並びに他のクーラント添加剤のような成分も含む。
【0061】
[0064]超濃縮液添加剤溶液中において用いるのに好適な着色剤又は染料の代表例としては、Abbeys Color Inc.又はChromatech Incorporatedからの"Uranine Yellow"、"Uranine Dye"、"Alizarine Green"、"Chromatint Orange 1735"、又は"Green AGS Liquid"、Chromatech Incorporatedからの"Chromatint Yellow 0963液体染料"、"Chromatint Yellow 2741液体染料"、"Chromatint Green 1572染料"、"Chromatint Green 2384染料"、"Chromatint Violet 1579染料"、Tokyo Chemical Industry Co.又はTCI Americaからの"Acid Red #52"又はスルホローダミンB、Sensient Technologies又は他の供給業者からの"Orange II(アシッドオレンジ7)"又は"IntracidローダミンWT(アシッドレッド388)が挙げられる。
【0062】
[0065]超濃縮液添加剤溶液中において用いるのに好適な代表的な消泡剤又は脱泡剤としては、Prestone Products Corp.から入手できる消泡剤の"PM-5150"、及びBASF Corp.からの"Pluronic(登録商標)L-61"が挙げられる。また、随意的な消泡剤として、ポリジメチルシロキサンエマルジョンベースの消泡剤を挙げることもできる。これらとしては、Boscawen, NHのPerformance Chemicals, LLCからのPC-5450NF;RIのWoonsocketのCNC InternationalからのCNC消泡剤のXD-55NF及びXD-56;が挙げられる。一般に、随意的な消泡剤には、シリコーン、例えばWaterford, NYのMomemtive Performance Materials Inc.、Dow Corning、及び他の供給業者からのSAGブランドのシリコーンベースの消泡剤;エチレンオキシド-プロピレンオキシド(EO-PO)ブロックコポリマー、及びプロピレンオキシド-エチレンオキシド-プロピレンオキシド(PO-EO-PO)ブロックコポリマー(例えば、Pluronic(登録商標)L61、Pluronic(登録商標)L81、並びに他のPluronic(登録商標)及びPluronic(登録商標)C製品);ポリ(エチレンオキシド)又はポリ(プロピレンオキシド)、例えばPPG 2000(即ち、2000ダルトンの平均分子量を有するポリプロピレンオキシド);ポリジオルガノシロキサンベースの製品(例えば、ポリジメチルシロキサン(PDMS)を含む製品など);脂肪酸又は脂肪酸エステル(例えばステアリン酸など);脂肪アルコール、アルコキシル化アルコール、及びポリグリコール、;ポリエーテルポリオールアセテート;ポリエーテルエトキシル化ソルビタール(sorbital)ヘキサオレエート、及びポリ(エチレンオキシド-プロピレンオキシド)モノアリルエーテルアセテート;ワックス、ナフサ、灯油、及び芳香油;並びに上記の消泡剤の1以上を含む組合せを含めることができる。
【0063】
[0066]超濃縮液添加剤溶液中において用いるのに好適な代表的な随意的殺生物剤としては、グルタルアルデヒド、イソチアゾリン、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン、2,2-ジブロモ-3-ニトリロプロピオンアミド、2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3-ジオール、メチレンビス(チオシアネート)、テルブチラジン、及びテトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウムスルフェート;並びに上記の殺生物剤の1以上を含む組合せ;のような種々の非酸化性殺生物剤が挙げられる。
【0064】
[0067]超濃縮液添加剤溶液中において用いるのに好適な代表的な随意的pH調節剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのようなアルカリ又はアルカリ土類金属水酸化物又は酸化物;リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、ピロリン酸ナトリウム、及びピロリン酸カリウムのような無機リン酸塩;或いはこれらの混合物が挙げられる。
【0065】
[0068]また、場合によっては銅及び銅合金のための腐食抑制剤を、腐食抑制剤として含めることもできる。好適な銅及び銅腐食抑制剤としては、活性官能基として5又は6員の複素環式環を含み、複素環式環は少なくとも1つの窒素原子を含む化合物、例えばアゾール化合物が挙げられる。特に、アゾール化合物は、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、メチルベンゾトリアゾール(例えば、4-メチルベンゾトリアゾール又は5-メチルベンゾトリアゾール)、ブチルベンゾトリアゾール、他のアルキルベンゾトリアゾール(ここで、アルキル基は2~20個の炭素原子を含む)、メルカプトベンゾチアゾール、チアゾール、置換チアゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、置換イミダゾール、インダゾール、置換インダゾール、テトラゾール、置換テトラゾール、テトラヒドロベンゾトリアゾール、四水素化ベンゾトリアゾール(例えば、4,5,6,7-テトラヒドロベンゾトリアゾール)、テトラヒドロトリルトリアゾール、4-メチル-1H-ベンゾトリアゾール、5-メチル-1H-ベンゾトリアゾール、テトラヒドロベンゾトリアゾール、これらのアゾール化合物のアルカリ金属塩であってよく、これらの混合物をCu及びCu合金の腐食抑制剤として用いることができる。銅及び銅合金の腐食抑制剤は、約0.01~10重量%の量で超濃縮液添加剤溶液中に存在させることができる。
【0066】
[0069]場合によっては、幾つかの非イオン性界面活性剤を超濃縮液添加剤溶液中に含めることもできる。かかる非イオン性界面活性剤としては、ソルビタン脂肪酸エステルのような脂肪酸エステル、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレングリコールエステル、エチレンオキシド(EO)とプロピレンオキシド(PO)のコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステルのポリオキシアルキレン誘導体、及びこれらの混合物が挙げられる。非イオン性界面活性剤の平均分子量は、約55~約300,000、より好ましくは約110~約10,000の間である。好適なソルビタン脂肪酸エステルとしては、ソルビタンモノラウレート(例えば、Span(登録商標)20、Arlacel(登録商標)20、S-MAZ(登録商標)20M1の商品名で販売されている)、ソルビタンモノパルミテート(例えば、Span(登録商標)40、又はArlacel(登録商標)40)、ソルビタンモノステアレート(例えば、Span(登録商標)60、Arlacel(登録商標)60、又はS-MAZ(登録商標)60K)、ソルビタンモノオレエート(例えば、Span(登録商標)80又はArlacel(登録商標)80)、ソルビタンモノセスキオレエート(例えば、Span(登録商標)83又はArlacel(登録商標)83)、ソルビタントリオレエート(例えば、Span(登録商標)85又はArlacel(登録商標)85)、ソルビタントリステアレート(例えばS-MAZ(登録商標)65K)、ソルビタンモノトーレート(monotallate)(例えばS-MAZ(登録商標)90)が挙げられる。好適なポリアルキレングリコールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びこれらの混合物が挙げられる。用いるのに好適なポリエチレングリコールの例としては、Dow Chemical CompanyからのCARBOWAX(登録商標)ポリエチレングリコール及びメトキシポリエチレングリコール(例えば、CARBOWAX PEG 200、300、400、600、900、1000、1450、3350、4000、及び8000等)、又はBASF Corp.からのPLURACOL(登録商標)ポリエチレングリコール(例えば、Pluracol(登録商標)E200、300、400、600、1000、2000、3350、4000、6000、及び8000等)が挙げられる。好適なポリアルキレングリコールエステルとしては、BASFからのMAPEG(登録商標)ポリエチレングリコールエステル(例えば、MAPEG(登録商標)200ML又はPEG 200モノラウレート、MAPEG(登録商標)400 DO又はPEG 400ジオレエート、MAPEG(登録商標)400 MO又はPEG 400モノオレエート)、及びMAPEG(登録商標)600 DO又はPEG 600ジオレエート等)のような種々の脂肪酸のモノ及びジエステルが挙げられる。好適なエチレンオキシド(EO)とプロピレンオキシド(PO)のコポリマーとしては、BASFからの種々のPluronic(登録商標)及びPluronic(登録商標)Rブロックコポリマー界面活性剤、Dow ChemicalからのDOWFAX非イオン界面活性剤、UCON(登録商標)流体、及びSYNALOX(登録商標)潤滑剤が挙げられる。好適なソルビタン脂肪酸エステルのポリオキシアルキレン誘導体としては、ポリオキシエチレン20ソルビタンモノラウレート(例えば、TWEEN(登録商標)20又はT-MAZ(登録商標)20の商標で販売されている製品)、ポリオキシエチレン4ソルビタンモノラウレート(例えばTWEEN(登録商標)21)、ポリオキシエチレン20ソルビタンモノパルミテート(例えばTWEEN(登録商標)40)、ポリオキシエチレン20ソルビタンモノステアレート(例えば、TWEEN(登録商標)60又はT-MAZ(登録商標)60)、ポリオキシエチレン20ソルビタンモノオレエート(例えば、TWEEN(登録商標)80又はT-MAZ(登録商標)80)、ポリオキシエチレン20トリステアレート(例えば、TWEEN(登録商標)65又はT-MAZ(登録商標)65K)、ポリオキシエチレン5ソルビタンモノオレエート(例えば、TWEEN(登録商標)81又はT-MAZ(登録商標)81)、ポリオキシエチレン20ソルビタントリオレエート(例えば、TWEEN(登録商標)85又はT-MAZ(登録商標)85K)などが挙げられる。
【0067】
[0070]「軟水」という用語は、ASTM標準仕様D3306-14のセクション4.6において規定されている予備希釈エンジンクーラント溶液を製造するのに用いられる水質要件を満足する水を指す。
【0068】
[0071]以下の実施例及び示されている手順は、本発明による特徴を示すものであり、単に例示の目的で与えるものである。これらは、添付の特許請求の範囲又はそれらの均等物の範囲を限定することは意図しない。
【実施例】
【0069】
[0072]超濃縮液添加剤組成物を用いて、異なる配合の有機酸技術(OAT)クーラントを調製した。OATクーラントを、NanoCorr接続多電極センサー試験にかけた。NanoCorr試験によって、局部腐食速度(最大CR)及び表面領域平均腐食速度(平均CR)の両方が時間の関数(30秒毎)として得られる。
【0070】
方法
溶液
[0073]基試験溶液は、商業的に入手できるクーラントを脱イオン水と混合して、25体積%又は50体積%のいずれかのクーラント濃度を与えることによって調製した。或いは、脱イオン水を添加した後に、超濃縮液を、エチレングリコール、並びに消泡剤及び着色剤、pH調節剤のような他の必須又は随意的な成分と混合することによって調製した着色剤濃縮液も用いて試験溶液を調製した。試験溶液の他の成分は、塩化ナトリウム(ACSグレード)、及び製造業者によって供給された商業製品であった。
【0071】
金属板試料及び試験手順
[0074]主要な北米自動車製造業者によって供給された3.0Lのエンジンブロックから切り出した砂型鋳造アルミニウムAA319(UNS-A03190)の片を、電気化学試験における作用電極として用いた。GM9066Pにおいて規定されている試験装置を用いて、熱遮断熱伝達条件下における腐食に関する電気化学試験結果を得た。2mV/秒の走査速度を用いて、
図5に示すアノード分極曲線測定結果を得た。
【0072】
局部腐食を測定するためのNanoCorr接続多電極センサー
[0075]Corr Visualソフトウエア、バージョン2.2.3を備えたCorr InstrumentsのNanoCorr接続多電極センサー(CMS)分析器を用いて、試験溶液中における鋳造アルミニウムの局部腐食速度を求めた。CMS法は、腐食性媒体中における金属の局部腐食速度をリアルタイムでモニターすることができる電気化学方法である。Corr Instrumentsによって供給された25電極のセンサーアレイプローブを用いた、プローブのそれぞれの電極は、1mm2の露出表面積を有する同じ鋳造アルミニウム(SAE329、UNS-A23190)の正方形のワイヤーで形成されていた。エポキシ中にシールして1.2×1.2cmのマトリクスアレイで均一に離隔させた25のワイヤー電極を電気的に接続した。接続された多電極プローブは、約1.4cm2の露出表面積を有する通常の1ピース電極表面の腐食条件をシミュレートしていた。プローブ内のそれぞれの個々の電極からの結合電流を測定し、測定されたデータの統計分析を行うことによって、局部腐食速度(最大CR)を時間の関数としてプローブから得た。データの組あたり30秒のサンプリング速度を用いた。また、電極ワイヤープローブから検出されたアノード電流密度を平均してアノード電流を得ることによって、表面平均腐食速度も時間の関数としてNanoCorr装置から得た。
【0073】
[0076]500mLの試験溶液を保持したパイレックス(登録商標)ガラスビーカーを、試験セルとして用いた。接続された多電極アレイセンサープローブ、Ag/AgCl(3M-KCl)参照電極を、Luginプローブ内に、開口を多電極センサープローブに近接させて配置し、2つの温度センサープローブ(即ち、ステンレススチールシースを有する熱電対及び抵抗温度検出器)をTeflon(登録商標)セルカバー上に載置し、ビーカー内の溶液中に浸漬した。Teflonカバーは、実験中の溶液の損失を最小にするために用い、また、セル内の試験プローブの位置を固定するためにも用いた。マイクロプロセッサー制御ホットプレートを用いて、試験中に溶液を所望の温度に加熱した。また、試験中に溶液を撹拌するためにTeflonコート磁気スターラーバーも用いた。溶液は、試験中においては空気に曝露した。
【0074】
超濃縮液配合物の例
[0077]超濃縮液熱伝達流体添加剤配合物の例を、表4、5、6、及び7に示す。超濃縮液熱伝達流体添加剤配合物の、室温、140°F、及び100℃における貯蔵安定性も、これらの表中に示す。配合物におけるpH及び成分の濃度範囲は、配合した添加剤の貯蔵安定に影響を与えた。驚くべきことに、より高い溶液のpH、並びにCa2+、Mg2+、及びホスフェートイオンのような不溶性塩を形成する成分のより高い濃度は、配合した添加剤流体におけるより低い貯蔵安定性をもたらす傾向がある。また、驚くべきことに、配合物中におけるエチレングリコールの濃度範囲は、表5における結果(実施例10~19vs比較例1及び2)によって示されるように、超濃縮液添加剤配合物の貯蔵安定性を増大させた。
【0075】
【0076】
【0077】
【0078】
【0079】
【0080】
【0081】
【0082】
[0078]表4の実施例1~9における超濃縮液配合物は、良好な貯蔵安定性(例えば、沈殿物のない明澄な溶液)を示した。表4における実施例2~8は、0.0~5.04の範囲の酸性のpH値を有する配合物に対応する。同様に、表5の実施例10~19における超濃縮液配合物は、更に、酸性のpH値において、特に存在するエチレングリコールの量が少なくとも約15重量%であった場合に良好な貯蔵安定性(例えば、沈殿物のない明澄な溶液)を示した。これに対比して、表5において比較例1及び2によって示されるように、室温貯蔵安定性は、より少ない量(即ち、それぞれ5重量%及び10重量%)のエチレングリコールを用いた場合には、さほど完全には良好でなかった。表6において比較例3によって示されるように、6.7の塩基性のpHを有する超濃縮液配合物は、劣った貯蔵安定性を示す濁った溶液を与えた。驚くべきことに且つ予期しなかったことに、表7におけるデータによって示されるように、4.9未満の酸性のpHを有する超濃縮液配合物は、室温において6か月より長く貯蔵した後に安定であった。
【0083】
[0079]本発明による超濃縮液添加剤組成物を用いて、異なる配合の有機酸技術(OAT)クーラントを調製した。次に、OATクーラントを、上記に記載のNanoCorr接続多電極センサー試験、及び"New Electrochemical Methods for the Evaluation of Localized Corrosion in Engine Coolants"と題された論文(Journal of ASTM International, 2006, 4, No.1, p.1-14)において記載されているものに類似する手順にかけた。本発明による超濃縮液添加剤から、4種類の異なるOATクーラントA~Dを調製した。クーラントA~Dの組成を下表8にまとめる。クーラントA~Dに関して得られたNanoCorr試験データを、それぞれ
図1~4にまとめる。
図1~4において、最大CRは局部腐食速度を表し、平均CRは時間の関数としての表面領域平均腐食速度(30秒毎)を表す。
【0084】
【0085】
[0080]
図1~4において示されるように、腐食速度は、一般に一定の条件下で温度を上昇させるにつれて増加した。腐食速度はまた、浸漬/曝露時間を増加させるにつれてゆっくりと減少する傾向も有していた。フッ化物イオンを加えると、アルミニウム合金(これらの試験においては、鋳造アルミニウムSAE329、UNS23190を用いた)の腐食速度が大きく増加した。フッ化カリウムを加えて、それぞれの単一の一回投入において約65ppmのF
-のフッ化物濃度を与えた。クーラント溶液中に選択されたフッ化物濃度を加えることは、それをフッ化物含有フラックスを用いる現在の一般的に採用されている制御雰囲気ろう付けプロセスから製造されたラジエーター及びヒーターコアを有する自動車エンジン冷却システム内に組み込んだ後のクーラント組成物をシミュレートするように意図していた。NanoCorr結果は、フッ化物濃度を増加させるとアルミニウム合金の腐食速度が通常は増加した(即ち、フッ化物がKFの2回目の投入物の添加の後に約130ppmに増加すると、腐食速度はより高かった)ことを示す。
図1~4に示すように、本発明による超濃縮液添加剤(表4からの実施例6)の単一の一回投入(27gで約4.63重量%を与えた)を加えることは、全ての4種類のOATベースのクーラントA~Dに関して、高濃度のフッ化物イオン(約130ppmのF
-まで)の存在下においても、腐食速度を減少させるのに有効であった。試験において用いた50体積%のクーラントの体積は500mLであった。
【0086】
[0081]例えば、
図1に示されるように、KFのそれぞれの一回投入(1グラム、40体積%)(およそ午前11:30に一回、そしておよそ午後12:21に再度)によって、NanoCorr試験によって観察される局部腐食速度における鋭い増加が得られた。およそ午後1:27に超濃縮液添加剤の一回投入を添加すると、局部腐食速度は急激に低下した。
図2~4のそれぞれにおいて示される結果は、
図1において示されるものと類似している。
【0087】
[0082]
図1~4において示されるNanoCorr実験におけるKFの添加は、冷却システム運転条件下で制御雰囲気ろう付け方法に曝露した後のエンジン冷却システムにおけるクーラント経時劣化プロセスの結果を迅速にシミュレートするための方法であった。OATクーラントは、上表8に示すように、脂肪族又は芳香族カルボン酸(2-エチルヘキサン酸、ネオデカン酸、セバシン酸、安息香酸、及びt-ブチル安息香酸を含む群から少なくとも2種類の酸を選択)のナトリウム又はカリウム塩、アゾール化合物(通常はトリルトリアゾール)、消泡剤、着色剤、及び十分なNaOH又はKOHを含むエチレングリコールベースの商業的なエンジンクーラントであった。脱イオン水を加えることによってそれを希釈した後の50体積%クーラント溶液のpHは、8~9の間であった。
【0088】
[0083]超濃縮液熱伝達流体添加剤はまた、市場又は商業用途のために好適な熱伝達流体濃縮液(又はエンジンクーラント濃縮液)を製造するために用いることもできる。表9は、表4の実施例8、並びに表5の実施例18及び19において示す超濃縮液クーラント添加剤から調製した熱伝達流体濃縮液の例を示す。
【0089】
【0090】
[0084]開示する超濃縮液熱伝達流体添加剤から調製した表9に示す熱伝達流体濃縮液流体の実施例は、均一な単一の液体溶液であった。これらは非常に低い含水量を有し、凝固点要件並びに他の物理的及び化学的特性、並びに腐食保護性能要件に関するASTM-D3306要件を満足していた。グリコールベースの熱伝達流体濃縮液中におけるより低い含水量は、それを自動車エンジン冷却システム中に加えるための50体積%の使用可能状態のクーラント溶液に希釈した際により低い凝固点を与える傾向があった。これは、自動車製造業者、ASTM、及びSAE、並びに政府機関によって規定される標準要件を満足していた。
【0091】
[0085]
図5は、熱遮断熱伝達条件下で25体積%のクーラント濃縮液+100ppmの塩化物イオン中に6時間浸漬したAA319鋳造アルミニウム合金電極について得られたアノード分極測定結果を示す。AA319電極表面温度は130℃である。表4における実施例8の超濃縮液熱伝達添加剤を用いることによって調製したクーラント濃縮液(表5における実施例4)は、試験条件下において、3.0Lの自動車エンジンブロックから切り出したAA319鋳造アルミニウムに関して、2種類のOAT商業的クーラントよりも遙かに良好な腐食保護を与えた(15~20倍低い腐食速度を与えた)ことが分かる。
【0092】
[0086]ここで引用したありとあらゆる特許及び非特許文献の全ての内容は、本明細書からの開示事項又は規定と不一致の場合(この場合には、本明細書における開示事項又は規定が優先するとみなされる)を除いて、参照として本明細書中に包含する。
【0093】
[0087]構成要素に関する不定冠詞の「a」及び「an」(例えば、「凝固点降下剤」、「水溶性ポリマー」等)の使用は、幾つかの態様においては複数のかかる構成要素の存在を排除しないことを理解すべきである。
【0094】
[0088]上記の詳細な記載及び添付の図面は例示及び例証の目的で与えたものであり、添付の特許請求の範囲を限定することは意図しない。本明細書に示されている現在好ましい態様における多くのバリエーションは当業者に明らかであり、添付の特許請求の範囲及びそれらの均等範囲内に含まれる。
【0095】
[0089]添付の特許請求の範囲において示す構成要素及び特徴を異なるように組み合わせて、これも本発明の範囲内に含まれる新しい請求項を形成することができることを理解すべきである。而して、下記に添付した従属請求項は単一の独立又は従属請求項のみに従属しているが、これらの従属請求項は、或いは別形態で任意の先行する請求項(独立か従属かにかかわらず)に従属させることができ、かかる新しい組合せは本明細書の一部を形成すると理解されることを理解すべきである。
本発明の具体的態様は以下のとおりである。
[1]
超濃縮液添加剤溶液であって:
(a)水;
(b)凝固点降下剤;
(c)リン酸;
(d)水溶性ポリマー;並びに
(e)マグネシウム化合物、リチウム化合物、カルシウム化合物、ストロンチウム化合物、及びこれらの組合せからなる群から選択される化合物;
を含み;
前記超濃縮液添加剤溶液のpHは約5.5未満である、前記超濃縮液添加剤溶液。
[2]
前記水が軟水又は脱イオン水である、[1]に記載の超濃縮液添加剤溶液。
[3]
前記凝固点降下剤がグリコールである、[1]に記載の超濃縮液添加剤溶液。
[4]
前記グリコールが、エチレングリコール、プロピレングリコール、又はこれらの組合せである、[3]に記載の超濃縮液添加剤溶液。
[5]
前記リン酸がアルカリ金属リン酸塩である、[1]に記載の超濃縮液添加剤溶液。
[6]
前記アルカリ金属リン酸塩が、モノアルカリ金属リン酸塩、ジアルカリ金属リン酸塩、及びトリアルカリ金属リン酸塩、アルカリ金属リン酸塩の水和物、並びにこれらの混合物からなる群から選択される、[5]に記載の超濃縮液添加剤溶液。
[7]
前記アルカリ金属リン酸塩が、リン酸一ナトリウム、リン酸一カリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸二カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸一ナトリウム一水和物、リン酸一ナトリウム二水和物、リン酸二ナトリウム二水和物、リン酸二ナトリウム七水和物、リン酸二ナトリウム八水和物、二ナトリウム一二水和物、リン酸三ナトリウム、リン酸三ナトリウム半水和物、リン酸三ナトリウム六水和物、リン酸三ナトリウム八水和物、リン酸三ナトリウム一二水和物、及びこれらの組合せからなる群から選択される、[5]に記載の超濃縮液添加剤溶液。
[8]
前記水溶性ポリマーが、(a)C
3
~C
16
モノエチレン性不飽和モノ又はジカルボン酸又はそれらのアルカリ金属若しくはアンモニウム塩を含む少なくとも1つのモノマー単位;或いは(2)アミド、ニトリル、カルボン酸エステル、酸ハロゲン化物(例えば塩化物)、酸無水物、又はこれらの組合せのようなC
3
~C
16
モノエチレン性不飽和モノ又はジカルボン酸誘導体を含む少なくとも1つのモノマー単位;を有するホモポリマー、コポリマー、ターポリマー、又はインターポリマーを含む、[1]に記載の超濃縮液添加剤溶液。
[9]
前記カルシウム化合物が、水酸化カルシウム、モリブデン酸カルシウム、バナジン酸カルシウム、タングステン酸カルシウム、過塩素酸カルシウム、塩化カルシウム、又はこれらの塩の水和物、及びこれらの組合せからなる群から選択される、[1]に記載の超濃縮液添加剤溶液。
[10]
前記カルシウム化合物が、カルシウムイオンと1以上のカルボン酸基を含む有機酸との間で形成されるカルシウム塩である、[1]に記載の超濃縮液添加剤溶液。
[11]
前記有機酸が、酢酸カルシウム、ギ酸カルシウム、プロピオン酸カルシウム、ポリマレイン酸カルシウム、ポリアクリル酸カルシウム、乳酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、グリコール酸カルシウム、グルコヘプトン酸カルシウム、クエン酸カルシウム、酒石酸カルシウム、グルカ酸カルシウム、コハク酸カルシウム、ヒドロキシコハク酸カルシウム、アジピン酸カルシウム、シュウ酸カルシウム、マロン酸カルシウム、スルファミン酸カルシウム、かかるカルシウム塩の水和物、及びこれらの組合せからなる群から選択される、[10]に記載の超濃縮液添加剤溶液。
[12]
前記カルシウム化合物が、カルシウムイオンとホスホネート又はホスフィネートとの間で形成されるカルシウム塩である、[1]に記載の超濃縮液添加剤溶液。
[13]
前記カルシウム塩が、カルシウム-PBTC(ここで、PBTCは2-ホスホノブタン-1,2,4-トリカルボン酸である)の塩;カルシウム-HEDP(ここで、HEDPは1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸である)の塩;カルシウム-HPA(ここで、HPAはヒドロキシホスホノ-酢酸又は2-ヒドロキシホスホノ酢酸である)の塩;カルシウムホスホノコハク酸塩;カルシウム-PSO(ここで、PSOはモノ、ビス、及びオリゴマーホスフィノコハク酸付加体混合物である)の塩;並びにこれらの組合せからなる群から選択される、[12]に記載の超濃縮液添加剤溶液。
[14]
前記マグネシウム化合物が、モリブデン酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、タングステン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、過塩素酸マグネシウム、塩化マグネシウム、かかる塩の水和物、及びこれらの組合せからなる群から選択される、[1]に記載の超濃縮液添加剤溶液。
[15]
前記マグネシウム化合物が、マグネシウムイオンと、1以上のカルボン酸基、又は1以上のホスホン酸基、或いは1以上のホスフィン酸基を含む有機酸との間で形成されるマグネシウム塩である、[1]に記載の超濃縮液添加剤溶液。
[16]
前記有機酸が、ギ酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、プロピオン酸マグネシウム、ポリアクリル酸マグネシウム、ポリマレイン酸マグネシウム、乳酸マグネシウム、グルコン酸マグネシウム、グリコール酸マグネシウム、グルコヘプトン酸マグネシウム、クエン酸マグネシウム、酒石酸マグネシウム、グルカ酸マグネシウム、コハク酸マグネシウム、ヒドロキシコハク酸マグネシウム、アジピン酸マグネシウム、シュウ酸マグネシウム、マロン酸マグネシウム、スルファミン酸マグネシウム、マグネシウム-PBTC塩(ここで、PBTCは2-ホスホノブタン-1,2,4-トリカルボン酸である)、マグネシウム-HEDP塩(ここで、HEDPは1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸である)、マグネシウム-HPA塩(ここで、HPAはヒドロキスホスホノ-酢酸、又は2-ヒドロキシホスホノ酢酸である)、マグネシウムホスホノコハク酸塩、マグネシウム-PSO塩(ここで、PSOは、モノ、ビス、及びオリゴマーホスフィノコハク酸付加体混合物である)、又はかかる塩の水和物、及びこれらの組合せからなる群から選択される、[15]に記載の超濃縮液添加剤溶液。
[17]
アルカリ金属モリブデン酸塩、アルカリ土類金属モリブデン酸塩、又はアルカリ金属モリブデン酸塩とアルカリ土類金属モリブデン酸塩の混合物を更に含む、[1]に記載の超濃縮液添加剤溶液。
[18]
着色剤;消泡剤;pH調節剤;水溶性無機ホスフェート;ホスホネート;ホスホネート;殺生物剤;アゾール化合物;1種類以上のC
6
~C
18
の一又は二塩基性脂肪族又は芳香族カルボン酸;又はこれらの塩;或いはこれらの組合せ;を更に含む、[1]に記載の超濃縮液添加剤溶液。
[19]
[1]に記載の超濃縮液添加剤溶液を熱伝達流体に加える工程を含む、腐食保護性能を向上させる方法。
[20]
混合した熱伝達流体と超濃縮液添加剤溶液を熱伝達システムに加える工程を更に含む、[19]に記載の方法。
[21]
超濃縮液添加剤溶液であって:
(a)前記超濃縮液添加剤溶液の全重量を基準として約14重量%~約38重量%の範囲の量の水;
(b)前記超濃縮液添加剤溶液の全重量を基準として約12重量%~約60重量%の範囲の量の凝固点降下剤;
(c)前記超濃縮液添加剤溶液の全重量を基準として約1重量%~約55重量%の範囲の量のリン酸;
(d)前記超濃縮液添加剤溶液の全重量を基準として約0.15重量%~約20重量%の範囲の量の水溶性ポリマー;
(e)約0.1mg/L~約20,000mg/Lの範囲の量のカルシウムイオンを含むカルシウム化合物;及び
(f)約0.1mg/L~約15,000mg/Lの範囲の量のマグネシウムイオンを含むマグネシウム化合物;
を含み;
前記超濃縮液添加剤溶液のpHは約5.5未満であり;そして
前記超濃縮液添加剤溶液は、室温において少なくとも1週間貯蔵した後に沈殿物を実質的に含まない、前記超濃縮液添加剤溶液。
[22]
前記超濃縮液添加剤溶液は、室温において少なくとも1か月貯蔵した後に沈殿物を実質的に含まない、[21]に記載の超濃縮液添加剤溶液。
[23]
前記超濃縮液添加剤溶液は、室温において少なくとも2か月貯蔵した後に沈殿物を実質的に含まない、[21]に記載の超濃縮液添加剤溶液。
[24]
前記超濃縮液添加剤溶液は、室温において少なくとも5か月貯蔵した後に沈殿物を実質的に含まない、[21]に記載の超濃縮液添加剤溶液。
[25]
前記超濃縮液添加剤溶液は、室温において少なくとも6か月貯蔵した後に沈殿物を実質的に含まない、[21]に記載の超濃縮液添加剤溶液。
[26]
前記超濃縮液添加剤溶液は、約100℃において少なくとも1週間貯蔵した後に沈殿物を実質的に含まない、[21]に記載の超濃縮液添加剤溶液。
[27]
前記超濃縮液添加剤溶液は、約100℃において少なくとも2週間貯蔵した後に沈殿物を実質的に含まない、[21]に記載の超濃縮液添加剤溶液。
[28]
前記超濃縮液添加剤溶液は、約100℃において少なくとも30日間貯蔵した後に沈殿物を実質的に含まない、[21]に記載の超濃縮液添加剤溶液。
[29]
前記超濃縮液添加剤溶液は、約100℃において少なくとも50日間貯蔵した後に沈殿物を実質的に含まない、[21]に記載の超濃縮液添加剤溶液。
[30]
前記超濃縮液添加剤溶液は、約100℃において少なくとも75日間貯蔵した後に沈殿物を実質的に含まない、[21]に記載の超濃縮液添加剤溶液。
[31]
前記超濃縮液添加剤溶液は、約140°Fにおいて少なくとも30日間貯蔵した後に沈殿物を実質的に含まない、[21]に記載の超濃縮液添加剤溶液。
[32]
前記超濃縮液添加剤溶液は、約140°Fにおいて少なくとも60日間貯蔵した後に沈殿物を実質的に含まない、[21]に記載の超濃縮液添加剤溶液。
[33]
前記超濃縮液添加剤溶液は、約140°Fにおいて少なくとも75日間貯蔵した後に沈殿物を実質的に含まない、[21]に記載の超濃縮液添加剤溶液。
[34]
超濃縮液添加剤溶液であって:
(a)前記超濃縮液添加剤溶液の全重量を基準として約19重量%~約35重量%の範囲の量の水;
(b)前記超濃縮液添加剤溶液の全重量を基準として約15重量%~約40重量%の範囲の量の凝固点降下剤;
(c)前記超濃縮液添加剤溶液の全重量を基準として約2重量%~約53重量%の範囲の量のリン酸;
(d)前記超濃縮液添加剤溶液の全重量を基準として約0.3重量%~約17重量%の範囲の量の水溶性ポリマー;
(e)約50mg/L~約12,000mg/Lの範囲の量のカルシウムイオンを含むカルシウム化合物;及び
(f)約25mg/L~約12,000mg/Lの範囲の量のマグネシウムイオンを含むマグネシウム化合物;
を含み;
前記超濃縮液添加剤溶液のpHは約5.5未満であり;そして
前記超濃縮液添加剤溶液は、室温で少なくとも1か月、約100℃で少なくとも1週間、約140°Fで少なくとも30日間、及びこれらの組合せからなる群から選択される貯蔵条件の組の下で貯蔵した後に沈殿物を実質的に含まない、前記超濃縮液添加剤溶液。
[35]
前記超濃縮液添加剤溶液は、室温で少なくとも2か月、室温で少なくとも5か月、室温で少なくとも6か月、及びこれらの組合せからなる群から選択される貯蔵条件の組の下で貯蔵した後に沈殿物を実質的に含まない、[34]に記載の超濃縮液添加剤溶液。
[36]
前記超濃縮液添加剤溶液は、約100℃で少なくとも2週間、約100℃で少なくとも30日間、約100℃で少なくとも50日間、約100℃で少なくとも75日間、及びこれらの組合せからなる群から選択される貯蔵条件の組の下で貯蔵した後に沈殿物を実質的に含まない、[34]に記載の超濃縮液添加剤溶液。
[37]
前記超濃縮液添加剤溶液は、約140°Fで少なくとも60日間、約140°Fで少なくとも75日間、及びこれらの組合せからなる群から選択される貯蔵条件の組の下で貯蔵した後に沈殿物を実質的に含まない、[34]に記載の超濃縮液添加剤溶液。
[38]
水、凝固点降下剤、リン酸、水溶性ポリマー、並びにマグネシウム化合物、リチウム化合物、カルシウム化合物、ストロンチウム化合物、及びこれらの組合せからなる群から選択される化合物を混合して、約5.5未満のpHを有する溶液を形成する工程を含むプロセスによって製造される超濃縮液添加剤溶液。