(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-05
(45)【発行日】2022-01-20
(54)【発明の名称】荷締め機能付き台車
(51)【国際特許分類】
B62B 3/04 20060101AFI20220113BHJP
【FI】
B62B3/04 D
(21)【出願番号】P 2018021275
(22)【出願日】2018-02-08
【審査請求日】2020-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】512141736
【氏名又は名称】株式会社リーレックス
(73)【特許権者】
【識別番号】592159966
【氏名又は名称】中発販売株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】櫟原 政一
【審査官】米澤 篤
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-59842(JP,A)
【文献】特開平8-230881(JP,A)
【文献】実開平5-84658(JP,U)
【文献】特開2000-159119(JP,A)
【文献】特開平11-115766(JP,A)
【文献】特開2000-159118(JP,A)
【文献】特開平10-167267(JP,A)
【文献】特開2001-30912(JP,A)
【文献】実開平5-65741(JP,U)
【文献】実開平2-63245(JP,U)
【文献】特表昭60-501801(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貨物を運ぶための台車において、
複数の車輪を有し、かつ、貨物が載置可能な載置台と、
前記載置台に載置された貨物を当該載置台に固定するための荷締めベルトと、
前記荷締めベルトを巻き取るための巻取装置であって、前記荷締めベルトを自動的に巻き取る自動巻取機能、及び前記荷締めベルトが引き出されることを禁止するロック機能を有する巻取装置と、
前記載置台の一端側に設けられた操作部であって、前記ロック機能を発揮可能なロック状態と当該機能を停止させるアンロック状態とを切り換えるための操作部と、
前記載置台の一端側に設けられ、前記巻取装置から引き出された前記荷締めベルトが係止可能な係止部と、
前記載置台の他端側に設けられ、前記巻取装置に巻き取られた前記荷締めベルトの先端部を待機させるベルト引出部とを備え
、
前記荷締めベルトは、前記載置台の下面側において、前記載置台の一端側に配置された前記巻取装置から前記ベルト引出部に至るように配索されている荷締め機能付き台車。
【請求項2】
前記荷締めベルトの先端部から予め決められた範囲には面ファスナーが設けられ、かつ、当該面ファスナーは、フックとループとが混在した面ファスナーである請求項1に記載の荷締め機能付き台車。
【請求項3】
前記係止部は、前記操作部に設けられている請求項1又は2に記載の荷締め機能付き台車。
【請求項4】
前記操作部は、変位可能であって、前記荷締めベルトが前記係止部に係止された状態では、前記ロック機能が前記ロック状態になる請求項3に記載の荷締め機能付き台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、貨物を運ぶための台車のうち荷締め機能付き台車に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載の荷締め機能付き台車(以下、台車と略す。)は、荷締めベルの巻取装置が載置台の一端側に装着され、かつ、当該載置台の他端側に荷締めベルトの先端側が引っ掛けられる係止部が設けられている。
【0003】
荷締めベルトが使用されていない状態では、当該荷締めベルトは巻取装置に巻き取られている。このため、巻取装置に巻き取られた荷締めベルトの先端部を待機させるベルト引出部は、当該巻取装置に設けられている。換言すれば、ベルト引出部は、載置台のうち巻取装置と同一側、つまり載置台の一端側に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の発明では、以下の理由により、荷締め作業性を向上させることが難しい。
すなわち、荷締め作業を行う者(以下、作業者という。)は、載置台に貨物を載置した後、載置台の一端側に設けられたベルト引出部から荷締めベルトを引き出し、当該荷締めベルトを載置台の他端側に設けられた係止部に係止する。
【0006】
その後、作業者は、載置台の一端側に設けられた操作部を操作して巻取装置のロック機能をロック状態とする必要がある。ロック機能は、荷締めベルトが引き出されることを禁止する機能である。ロック状態では、当該ロック機能が発揮された状態となる。
【0007】
以上のように、特許文献1に記載の発明では、作業者は、荷締め作業時に、載置台の一端側と他端側との間を一往復以上行き来する必要があるので、荷締め作業性を向上させることが難しい。
【0008】
本願は、上記点に鑑み、荷締め作業性を向上させることが可能な台車の一例を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
台車(1)は、載置台(3)に載置された貨物を当該載置台(3)に固定するための荷締めベルト(5)と、荷締めベルト(5)を巻き取るための巻取装置(6)であって、荷締めベルト(5)を自動的に巻き取る自動巻取機能、及び荷締めベルト(5)が引き出されることを禁止するロック機能を有する巻取装置(6)と、載置台(3)の一端側に設けられた操作部(7)であって、ロック機能を発揮可能なロック状態と当該機能を停止させるアンロック状態とを切り換えるための操作部(7)と、載置台(3)の一端側に設けられ、巻取装置(6)から引き出された荷締めベルト(5)が係止可能な係止部(8)と、載置台(3)の他端側に設けられ、巻取装置(6)に巻き取られた荷締めベルト(5)の先端部を待機させるベルト引出部(9)とを備えることが望ましい。
【0010】
これにより、作業者は、載置台(3)に貨物を載置した後、載置台(3)の他端側に設けられたベルト引出部(9)から荷締めベルト(5)を引き出し、当該荷締めベルト(5)を載置台(3)の一端側に設けられた係止部(8)に係止する。その後、作業者は、載置台(3)の一端側、つまり係止部(8)と同一側に設けられた操作部(7)を操作して巻取装置(6)のロック機能をロック状態とする。
【0011】
以上のように、当該台車(1)では、作業者は、荷締め作業時に、載置台(3)の他端側と一端側との間を往復することなく、荷締め作業を完了させることができ得る。したがって、当該台車(1)を用いれば、荷締め作業性を向上させることが可能となる。
【0012】
因みに、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的構成等との対応関係を示す一例であり、本発明は上記括弧内の符号に示された具体的構成等に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図4】実施形態に係る台車に貨物が搭載された状態を示す図である。
【
図5】実施形態に係る台車に貨物が搭載された状態を示す図である。
【
図6】実施形態に係る台車に貨物が搭載された状態を示す図である。
【
図7】実施形態に係る台車に貨物が搭載された状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の「発明の実施形態」は、本願発明の技術的範囲に属する実施形態の一例を示すものである。つまり、特許請求の範囲に記載された発明特定事項等は、下記の実施形態に示された具体的構成や構造等に限定されるものではない。
【0015】
少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位は、「1つの」等の断りがされた場合を除き、少なくとも1つ設けられている。つまり、「1つの」等の断りがない場合には、当該部材は2以上設けられていてもよい。
【0016】
(第1実施形態)
1.台車の構成
本実施形態に係る台車1は、
図1~
図3に示されるように、載置台3、荷締めベルト5、巻取装置6、操作部7、係止部8及びベルト引出部9等を少なくとも備える。
【0017】
なお、各図に付された方向を示す矢印等は、各図相互の関係を理解し易くするために記載されたものである。つまり、図示された前後方向及び左右方向は、方向の一例であって、台車1における各方向は、当該図示された方向に限定されない。
【0018】
載置台3は、複数(本実施形態では、4つ)の車輪3Aを有し、かつ、貨物が載置可能な部位である。本実施形態に係る載置台3は、矩形枠状のフレーム3Bにより構成されている。当該フレーム3Bは、L型アングル等により構成されている。
【0019】
荷締めベルト5は、可撓性を有する帯体であって、
図4に示されるように、載置台3に載置された貨物Caを当該載置台3に固定するためベルトである。巻取装置6は、荷締めベルト5を巻き取るための装置である。
【0020】
当該巻取装置6は、自動巻取機能及びロック機能を発揮可能である。自動巻取機能は、荷締めベルト5を自動的に巻き取る機能である。ロック機能は、作業者等により荷締めベルト5が引き出されることを禁止する機能である。
【0021】
操作部7は、作業者により操作される部位である。作業者は、当該操作部7を操作することにより、ロック機能を発揮するロック状態と当該機能を停止させるアンロック状態とを切り換えることができる。
【0022】
なお、
図1で示される操作部7の位置は、ロック機能をアンロック状態とする位置である。
図4で示される操作部7の位置は、ロック機能をロック状態とする位置である。具体的には、ロック状態では、操作部7の上端位置がアンロック状態より上方側に位置する。
【0023】
すなわち、本実施形態に係る操作部7は、巻取装置6に設けられている。当該操作部7は、巻取装置6に対して上下方向に揺動可能である。そして、操作部7が後方側に倒伏した状態では、アンロック状態となる。操作部7が起立した状態では、ロック状態となる。
【0024】
操作部7は、載置台3の一端(本実施形態では、後端)側に設けられている。つまり、本実施形態では、巻取装置6も載置台3の一端(本実施形態では、後端)側に位置する。なお、当該巻取装置6は、載置台3の一端側下面に固定されている。
【0025】
係止部8は、載置台3の一端(本実施形態では、後端)側に設けられている。当該係止部8は、
図5に示されるように、巻取装置6から引き出された荷締めベルト5が係止可能な部位である。
【0026】
すなわち、荷締めベルト5の先端部から予め決められた範囲には面ファスナー5Aが設けられている。面ファスナー5Aは、フックとループとが混在した面ファスナーである。換言すれば、当該面ファスナー5Aでは、フックが設けられた雄型ファスナー部とループが設けられた雌型ファスナー部とに分離されていない。
【0027】
そして、作業者は、棒状の係止部8に面ファスナー5Aを巻き付けた状態で当該面ファスナー5A同士を合わせることにより、荷締めベルト5を係止部8に係止できる。当該係止部8は、載置台3の一端(本実施形態では、後端)側に設けられている。
【0028】
さらに、係止部8は、操作部7に設けられている。つまり、操作部7の上端に設けられた横棒部分が係止部8として機能する。このため、荷締めベルト5が係止部8に係止された状態では、
図6に示されるように、操作部7が起立状態になるので、ロック機能がロック状態になる。
【0029】
図3に示されるように、ベルト引出部9は、載置台3の他端(本実施形態では、前端)側に設けられている。当該ベルト引出部9は、巻取装置6に巻き取られた荷締めベルト5の先端部を待機させる部位である。
【0030】
つまり、ベルト引出部9は、荷締めベルト5全体が巻取装置6に巻き取られて、荷締めベルト5の先端部が載置台3の一端(本実施形態では、後端)側に位置してしまうことを規制する。
【0031】
自動巻取機能が機能すると、引き出されていた荷締めベルト5は、ベルト引出部9と滑り接触しながら巻取装置6に巻き取られていく。このとき、荷締めベルト5の先端部は、ベルト引出部9に係止されるので、当該先端部は、ベルト引出部9で待機した状態となる。
【0032】
荷締めベルト5は、常に一部が載置台3の下面側において、巻取装置6からベルト引出部9に至るように配索されている。荷締めベルト5のうち載置台3の下面に配索された部分の長さは、概ね、巻取装置6からベルト引出部9まで距離である。
【0033】
2.荷締め作業方法
作業者は、載置台3に貨物を載置した後、載置台3の他端(本実施形態では、前端)側に設けられたベルト引出部9から荷締めベルト5を引き出し、当該荷締めベルト5を載置台3の一端側(本実施形態では、後端)に設けられた係止部8に係止する。その後、作業者は、載置台3の一端(本実施形態では、後端)側、つまり係止部8と同一側に設けられた操作部7を操作して巻取装置6のロック機能をロック状態とする。
【0034】
本実施形態では、荷締めベルト5が係止部8に係止された状態で、当該荷締めベルト5に張力が発生すると、当該張力により操作部7は自動的に起立状態となる。つまり、荷締め作業時に、荷崩れが発生しない程度の張力が荷締めベルト5に発生していれば、当該ロック機能は、自動的にロック状態となる。
【0035】
荷締めベルト5が係止部8に係止された状態で、荷締めベルト5に発生している張力を増大させる場合に、作業者は、
図7に示される増し締めハンドル6Aを操作すればよい。これにより、荷締めベルト5が巻取装置6に巻き取られるため、上記張力が増大する。
【0036】
3.本実施形態に係る台車の特徴
上述のように、本実施形態に係る台車1では、作業者は、荷締め作業時に、載置台3の他端側と一端側との間を往復することなく、荷締め作業を完了させることができ得る。したがって、当該台車1を用いれば、荷締め作業性を向上させることが可能となる。
【0037】
面ファスナー5Aは、フックとループとが混在した面ファスナーであるので、荷締めベルト5を係止部8に係止する際に、作業者は任意の位置にて当該荷締めベルト5を係止部8に係止でき得る。つまり、貨物Caの体積が小さい場合、及び貨物Caの体積が大きい場合のいずれの場合であっても、作業者は荷締めベルト5を係止部8に係止でき得る。
【0038】
係止部8が操作部7に設けられているので、巻取装置6等の荷締めに関する機構をコンパクトな構成とすることが可能となる。
荷締めベルト5が係止部8に係止された状態では、ロック機能がロック状態になるので、作業者は、荷締めベルト5を係止した後、別途、操作部7を操作する必要がない。したがって、荷締め作業性を更に向上させることが可能となる。
【0039】
荷締めベルト5は、常に一部が載置台3の下面側において、巻取装置6からベルト引出部9に至るように水平に配索されている。これにより、操作部7、巻取装置6及び係止部8を容易に一体化することが可能となるとともに、幅寸法が大きい荷締めベルト5を使用することが可能となる。
【0040】
(その他の実施形態)
上述の実施形態に係る荷締めベルト5は、常に一部が載置台3の下面側において、巻取装置6からベルト引出部9に至るように水平に配索されていた。しかし、本願明細書に開示された発明はこれに限定されるものではない。
【0041】
すなわち、例えば、巻取装置6とベルト引出部9とが一体化され、当該巻取装置6が載置台3の他端側に配置された構成であってもよい。なお、当該構成では、操作部7と巻取装置6とは分離した構成となる。
【0042】
上述の実施形態では、係止部8が操作部7に設けられていた。しかし、本願明細書に開示された発明はこれに限定されるものではない。すなわち、係止部8と操作部7とが分離した構成であってもよい。さらに、台車1は、荷締めベルト5が係止部8に係止された状態となったときに、ロック機能がロック状態とならない構成であってもよい。
【0043】
上述の実施形態に係る面ファスナー5Aは、フックとループとが混在した面ファスナーであった。しかし、本願明細書に開示された発明はこれに限定されるものではない。すなわち、面ファスナー5Aは、フックが設けられた雄型ファスナー部とループが設けられた雌型ファスナー部とに分離された構成であってもよい。
【0044】
上述の実施形態では、荷締めベルト5は面ファスナー5Aにて係止部8に係止される構成であった。しかし、本願明細書に開示された発明はこれに限定されるものではない。すなわち、例えば、面ファスナー5Aに代えて、荷締めベルト5の先端部に係止部8に引っ掛け可能なフックが設けられた構成であってもよい。
【0045】
上述の実施形態では、操作部7と増し締めハンドル6Aとが設けられていた。しかし、本願明細書に開示された発明はこれに限定されるものではない。すなわち、例えば、操作部7が廃止された構成であってもよい。なお、当該構成では、増し締めハンドル6Aが操作部7を兼ねる構成とすることが望ましい。
【0046】
上述の実施形態に係る載置台3は、矩形枠状のフレーム3Bにより構成されていた。しかし、本願明細書に開示された発明はこれに限定されるものではない。すなわち、例えば、載置台3は、板状の部材により構成されていてもよい。
【0047】
さらに、本発明は、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されるものではない。したがって、上述した複数の実施形態のうち少なくとも2つの実施形態を組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0048】
1… 台車
3… 載置台
5… 荷締めベルト
5A… 面ファスナー
6… 巻取装置
7… 操作部
8… 係止部
9… ベルト引出部
Ca… 貨物