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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-05
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】棚柱の取付方法
(51)【国際特許分類】
   A47B 57/34 20060101AFI20220203BHJP
   A47B 57/40 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
A47B57/34
A47B57/40 B
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018052235
(22)【出願日】2018-03-20
(65)【公開番号】P2019162290
(43)【公開日】2019-09-26
【審査請求日】2021-01-05
(73)【特許権者】
【識別番号】392036821
【氏名又は名称】DICデコール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100185591
【弁理士】
【氏名又は名称】中塚 岳
(74)【代理人】
【識別番号】100130052
【弁理士】
【氏名又は名称】大阪 弘一
(72)【発明者】
【氏名】片渕 健輔
(72)【発明者】
【氏名】濱野 強
【審査官】中村 百合子
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-109819(JP,U)
【文献】特開2003-189946(JP,A)
【文献】特開2000-291188(JP,A)
【文献】実開平05-054742(JP,U)
【文献】特開昭61-277762(JP,A)
【文献】特開2001-020494(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 55/00-57/58
A47B 96/14
E04F 13/07-13/08
A47F 5/00- 8/02
A47G 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の係止孔が設けられて壁に取り付けられる棚柱と、何れかの前記係止孔に係止される棚受部材と、前記係止孔に係止された前記棚受部材に載置される棚板と、を備える棚システムの、前記棚柱を前記壁に取り付ける棚柱の取付方法であって、
前記壁の下地材上に被覆テープを配置する被覆テープ配置工程と、
前記被覆テープ上から前記壁に棚柱を取り付ける棚柱取付工程と、
前記被覆テープ配置工程及び棚柱取付工程の後、前記壁に化粧材を配置する化粧材貼付工程と、を備え、
前記棚柱取付工程では、前記壁と垂直な方向から見て前記被覆テープと前記係止孔とが重なるように、前記棚柱を前記壁に取り付ける、
棚柱の取付方法。
【請求項2】
前記被覆テープの幅は、前記棚柱の幅よりも狭く、
前記棚柱取付工程では、前記被覆テープが前記棚柱からはみ出ないように、前記棚柱を前記壁に取り付ける、
請求項1に記載の棚柱の取付方法。
【請求項3】
前記被覆テープの幅は、前記棚柱の幅よりも広く、
前記棚柱取付工程では、前記被覆テープの幅方向両端が前記棚柱からはみ出るように、前記棚柱を前記壁に取り付ける、
請求項1に記載の棚柱の取付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棚柱の取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、対向する一対の壁に棚を設置するための棚システムが知られている。この棚システムは、複数の係止孔が設けられた棚柱を壁に取り付け、棚柱の何れかの係止孔に棚受部材を係止し、係止孔に係止された棚受部材に棚板を載置するものである。このような棚システムでは、壁に化粧材を貼り付ける前に、壁に棚柱を取り付ける場合がある。このような場合、棚柱と壁との間に化粧材が貼り付けられないため、棚柱の係止孔から壁の下地材が見えるという問題がある。
【0003】
このような問題に関して、特許文献1には、棚柱の断面形状を特殊なM字状とし、その対向する一対の側壁の間に化粧板(底板)を嵌め込むことで、棚柱を壁に取り付けるネジを隠蔽し、その対向する一対の側壁に係止孔を設けることで、係止孔から壁の下地材が見えないようにすることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-072551号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、棚柱を特殊な形状とする必要があるため、棚柱の製造コストが高くなるという問題がある。また、施工時は、棚柱の一対の側壁の間の狭い空間に化粧板を嵌め込む必要があり、メンテナンス時は、棚柱の一対の側壁の間に嵌め込まれた化粧板を取り外す必要があるため、作業性が悪いという問題がある。また、係止孔が見え難いため、棚の位置を変更する際の棚受部材(棚受け具)の差し替えが煩雑になるという問題がある。また、化粧板により棚柱が二重構造になることで、棚柱が厚くなるため、重量が増大するとともに意匠性が低下するという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、コストの増加及び作業性の悪化を抑制しつつ棚柱から壁の下地材を見えにくくすることができる棚柱の取付方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る棚柱の取付方法は、複数の係止孔が設けられて壁に取り付けられる棚柱と、何れかの係止孔に係止される棚受部材と、係止孔に係止された棚受部材に載置される棚板と、を備える棚システムの、棚柱を壁に取り付ける棚柱の取付方法であって、壁の下地材上に被覆テープを配置する被覆テープ配置工程と、被覆テープ上から壁に棚柱を取り付ける棚柱取付工程と、被覆テープ配置工程及び棚柱取付工程の後、壁に化粧材を貼り付ける化粧材貼付工程と、を備え、棚柱取付工程では、壁と垂直な方向から見て被覆テープと係止孔とが重なるように、棚柱を壁に取り付ける。
【0008】
この棚柱の取付方法では、壁に棚柱を取り付けた後に壁に化粧材を貼り付けるため、棚柱と壁との間には化粧材が貼り付けられないが、壁に棚柱を取り付ける前に壁の下地材上に被覆テープを配置するため、係止孔から見た場合に、壁の下地材を被覆テープで隠すことができる。これにより、棚柱から壁の下地材を見えにくくすることができる。しかも、棚柱を特許文献1のような特殊な形状とする必要がないため、コストの増加を抑制することができる。また、棚柱に特許文献1のような化粧板を取り付ける必要がないため、作業性の悪化を抑制することができる。なお、棚柱取付工程は、被覆テープ配置工程の後に行ってもよく、被覆テープ配置工程と一緒に行ってもよい。
【0009】
被覆テープの幅は、棚柱の幅よりも狭く、棚柱取付工程では、被覆テープが棚柱からはみ出ないように、棚柱を壁に取り付けてもよい。この棚柱の取付方法では、被覆テープの幅が棚柱の幅よりも狭いため、被覆テープにより棚柱の位置出しを行うことができる。しかも、被覆テープが棚柱からはみ出ないため、化粧材を被覆テープと重ならないように貼り付けることができる。これにより、壁に対する化粧材の接着性を向上することができるとともに、化粧材に段差が生じるのを抑制することができる。
【0010】
被覆テープの幅は、棚柱の幅よりも広く、棚柱取付工程では、被覆テープの幅方向両端が棚柱からはみ出るように、棚柱を壁に取り付けてもよい。この棚柱の取付方法では、被覆テープの幅が棚柱の幅よりも広いため、被覆テープの位置精度を高くしなくても、係止孔から見た場合に、壁の下地材を被覆テープで隠すことができる。しかも、被覆テープの幅方向両端を棚柱からはみ出させるため、係止孔から見た場合に、被覆テープで下地材を完全に隠すことができる。また、被覆テープの棚柱からはみ出た部分に化粧材を重ねることで、棚柱の周囲において壁の下地材が露出するのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、コストの増加及び作業性の悪化を抑制しつつ棚柱から壁の下地材を見えにくくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第一実施形態に係る棚の取付方法を適用する棚システムの斜視図である。
図2図2(a)は、棚システムの平面図、図2(b)は、棚システムの正面図である。
図3】棚システムの縦断面図である。
図4】棚柱から壁を見た図である。
図5図4に示すV-V線における断面図である。
図6】第一実施形態に係る棚柱の取付方法を説明するための図であり、図6(a)は正面図、図6(b)は図6(a)のb-b線における断面図である。
図7】第一実施形態に係る棚柱の取付方法を説明するための図であり、図7(a)は正面図、図7(b)は図7(a)のb-b線における断面図である。
図8】第一実施形態に係る棚柱の取付方法を説明するための図であり、図8(a)は正面図、図8(b)は図8(a)のb-b線における断面図である。
図9】第二実施形態に係る棚の取付方法を適用する棚システムの、図5に対応する断面図である。
図10】第二実施形態に係る棚柱の取付方法を説明するための図であり、図10(a)は正面図、図10(b)は図10(a)のb-b線における断面図である。
図11】第二実施形態に係る棚柱の取付方法を説明するための図であり、図11(a)は正面図、図11(b)は図11(a)のb-b線における断面図である。
図12】第二実施形態に係る棚柱の取付方法を説明するための図であり、図12(a)は正面図、図12(b)は図12(a)のb-b線における断面図である。
図13】第三実施形態に係る棚柱の取付方法に用いる棚柱を示す斜視図である。
図14】第四実施形態に係る棚柱の取付方法に用いる棚柱を示す斜視図である。
図15】第四実施形態に係る棚柱の取付方法を説明するための図であり、図15(a)は正面図、図15(b)は図15(a)のb-b線における断面図である。
図16】第四実施形態に係る棚柱の取付方法を説明するための図であり、図16(a)は正面図、図16(b)は図16(a)のb-b線における断面図である。
図17】第四実施形態に係る棚柱の取付方法を説明するための図であり、図17(a)は正面図、図17(b)は図17(a)のb-b線における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、実施形態の棚柱の取付方法について詳細に説明する。なお、全図中、同一または相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0014】
[第一実施形態]
まず、図1図3を参照して、本実施形態の棚柱の取付方法が適用される棚システムについて説明する。
【0015】
図1及び図2に示すように、棚システム1は、対向する一対の壁2に取り付けられるものである。棚システム1は、棚柱3と、棚受部材4と、棚板5と、を備える。
【0016】
図1図5に示すように、棚柱3は、壁2に取り付けられる部材である。本実施形態では、棚システム1は、一方の壁2に取り付けられる2本の棚柱3と、他方の壁2に取り付けられる2本の棚柱3と、を備える。棚柱3は、長尺部材であり、上下方向に延びるように壁2に取り付けられる。棚柱3は、対向する一対の側板3a,3aと、一対の側板3a,3aを接続する背板3bと、により断面がコ字状に形成されている。棚柱3の背板3bには、複数のネジ孔6と、複数の係止孔7と、が設けられている。
【0017】
ネジ孔6は、棚柱3を壁2に取り付けるためのネジ8を挿入するための孔である。棚柱3は、ネジ孔6に挿入したネジ8を壁2にねじ込むことで、壁2に取り付けられる。
【0018】
係止孔7は、棚受部材4を係止するための孔である。係止孔7は、円形孔部7aと、円形孔部7aの下部から延びる矩形のスリット7bと、を有する。複数の係止孔7は、棚柱3の延在方向に沿って一列に配置されている。複数の係止孔7の間隔は、特に限定されないが、等間隔であることが好ましい。
【0019】
図1図3に示すように、棚受部材4は、棚柱3の何れかの係止孔7に係止されて、棚板5を載置する部材である。棚受部材4は、円柱状の棚板載置部4aと、円柱状の頭部4bと、棚板載置部4aと頭部4bとを接続する首部4cと、を有する。棚受部材4は、頭部4bを係止孔7の円形孔部7aに差し込み、首部4cをスリット7bに挿入し、頭部4bを背板3bの裏側から引っ掛けることにより、係止孔7に係止される。そして、4本の棚柱3の同じ高さに設けられた係止孔7に、それぞれ棚受部材4が係止される。
【0020】
棚板5は、各棚柱3の係止孔7に係止された棚受部材4に載置される部材である。棚板5の底面には、例えば、棚受部材4が嵌まり込む半円状の凹部(不図示)が形成されていてもよい。
【0021】
図3図5に示すように、壁2の下地材9には、化粧材10が貼り付けられている。下地材9は、石膏ボード、合板等のボード材である。化粧材10は、下地材9の表面に貼り付けられるものであり、例えば、壁紙、化粧シート等のシート材である、化粧材10は、棚柱3を避けるように棚柱3の周囲の壁2に貼り付けられている。
【0022】
下地材9上の棚柱3と対向する位置には、被覆テープ11が配置されている。被覆テープ11は、長尺のテープ状に形成されており、下地材9上に配置されることで、下地材9を被覆する。被覆テープ11の幅は、棚柱3の幅よりも狭くなっている。この場合、被覆テープ11の幅は、棚柱3の一対の側板3a,3aの離間距離よりも狭くてもよく、当該離間距離よりも広くてもよい。被覆テープ11は、棚柱3からはみ出ないように、上下方向に延びるように壁2の下地材9上に配置されており、棚柱3は、この被覆テープ11上から壁2に取り付けられている。本実施形態では、下地材9に被覆テープ11が貼り付けられることで、下地材9上に被覆テープ11が配置されている。被覆テープ11の素材、色等は、特に限定されないが、化粧材10と同じ素材、色等であることが好ましい。なお、被覆テープ11は、巻芯に巻回された巻回体としておくことで、施工現場にて適切な長さに切断することができる。
【0023】
次に、第一実施形態に係る棚柱の取付方法について説明する。
【0024】
本実施形態に係る棚柱の取付方法は、被覆テープ配置工程と、被覆テープ配置工程の後に行う棚柱取付工程と、棚柱取付工程の後に行う化粧材貼付工程と、を備える。
【0025】
被覆テープ配置工程では、図6に示すように、壁2の下地材9上に被覆テープ11を配置する。詳しく説明すると、被覆テープ配置工程では、被覆テープ11が後工程で壁2に取り付ける棚柱3と対向するように、被覆テープ11を上下方向に延ばして下地材9上に配置する。被覆テープ11の下地材9上への配置は、例えば、被覆テープ11の一方の面に接着剤層又は粘着剤層が形成された被覆テープ11を用意し、この接着剤層又は粘着剤層により被覆テープ11を下地材9に貼り付けることにより行う。なお、下地材9上に被覆テープ11が配置された状態を保持することができれば、必ずしも下地材9に被覆テープ11を貼り付けなくてもよい。下地材9上に配置する被覆テープ11としては、その幅が、後工程で壁2に取り付ける棚柱3の幅よりも狭いものを用いる。なお、被覆テープ11が長い場合は、施工現場にて被覆テープ11を適切な長さに切断すればよい。
【0026】
棚柱取付工程では、図7に示すように、被覆テープ11上から壁2に棚柱3を取り付ける。詳しく説明すると、棚柱取付工程では、棚柱3を被覆テープ11に沿うように上下方向に延ばす。そして、壁2と垂直な方向から見て被覆テープ11と係止孔7とが重なるとともに、被覆テープ11が棚柱3からはみ出ないように、棚柱3を配置する。このとき、棚柱3の側板3aと下地材9との間に被覆テープ11が挟み込まれるように棚柱3を配置してもよいが、棚柱3の側板3aと下地材9との間に被覆テープ11が挟み込まれないように棚柱3を配置することが好ましい。そして、この状態で、ネジ孔6に挿入したネジ8を壁2にねじ込み、壁2に棚柱3を取り付ける。なお、棚柱3が長い場合は、施工現場にて棚柱3を適切な長さに切断すればよい。
【0027】
化粧材貼付工程では、図8に示すように、壁2に化粧材10を貼り付ける。詳しく説明すると、化粧材貼付工程では、棚柱3を避けるように棚柱3の周囲の壁2に化粧材10を貼り付ける。このとき、化粧材10と棚柱3との間に隙間が生じないように、化粧材10を貼り付ける。
【0028】
このように、本実施形態に係る棚柱の取付方法では、壁2に棚柱3を取り付けた後に壁2に化粧材10を貼り付けるため、棚柱3と壁2との間には化粧材10が貼り付けられないが、壁2に棚柱3を取り付ける前に壁2の下地材9上に被覆テープ11を配置するため、係止孔7から見た場合に、壁2の下地材9を被覆テープ11で隠すことができる。これにより、棚柱3から壁2の下地材9を見えにくくすることができる。しかも、棚柱3を特許文献1のような特殊な形状とする必要がないため、コストの増加を抑制することができる。また、棚柱3に特許文献1のような化粧板を取り付ける必要がないため、作業性の悪化を抑制することができる。
【0029】
また、棚柱3として、特許文献1のような特殊な形状にする必要がなく、従来から用いられている一般的な断面コ字状のものを用いることができる。
【0030】
また、棚柱3を特許文献1のような二重構造としないため、係止孔7が見やすくなるとともに、棚柱3を薄くすることができる。これにより、棚板5の高さ位置を変更する際の棚受部材4の差し替えを容易に行うことができるとともに、棚柱3の重量の増大及び意匠性の低下を抑制することができる。
【0031】
また、被覆テープ11の幅が棚柱3の幅よりも狭いため、被覆テープ11により棚柱3の位置出しを行うことができる。しかも、被覆テープ11が棚柱3からはみ出ないため、化粧材10を被覆テープ11と重ならないように貼り付けることができる。これにより、壁2に対する化粧材10の接着性を向上することができるとともに、化粧材10に段差が生じるのを抑制することができる。
【0032】
[第二実施形態]
第二実施形態は、被覆テープ11の幅が棚柱3の幅よりも広くなっている点のみ、第一実施形態と相違する。このため、以下では、第一実施形態と相違する事項のみを説明し、第一実施形態と同様の説明を省略する。
【0033】
図9に示すように、第二実施形態では、被覆テープ11の幅は、棚柱3の幅よりも広くなっている。そして、被覆テープ11の幅方向両端が棚柱3からはみ出ており、被覆テープ11の棚柱3からはみ出た部分の上にも、化粧材10が貼り付けられている。
【0034】
次に、第二実施形態に係る棚柱の施工方法について説明する。
【0035】
本実施形態に係る棚柱の取付方法は、第一実施形態と同様に、被覆テープ配置工程と、被覆テープ配置工程の後に行う棚柱取付工程と、棚柱取付工程の後に行う化粧材貼付工程と、を備える。
【0036】
被覆テープ配置工程では、図10に示すように、壁2の下地材9上に被覆テープ11を配置する。詳しく説明すると、被覆テープ配置工程では、被覆テープ11が後工程で壁2に取り付ける棚柱3と対向するように、被覆テープ11を上下方向に延ばして下地材9上に配置する。被覆テープ11の下地材9上への配置は、例えば、第一実施形態と同様に被覆テープ11を下地材9に貼り付けることにより行う。このとき、下地材9上に配置する被覆テープ11としては、その幅が、後工程で壁2に取り付ける棚柱3の幅よりも広いものを用いる。
【0037】
棚柱取付工程では、図11に示すように、被覆テープ11上から壁2に棚柱3を取り付ける。詳しく説明すると、棚柱取付工程では、棚柱3を被覆テープ11に沿うように上下方向に延ばす。そして、被覆テープ11の幅方向両端が棚柱3からはみ出るように、棚柱3を配置する。このため、棚柱3の一対の側板3a,3aと下地材9との間に、被覆テープ11が挟み込まれる。そして、この状態で、ネジ孔6に挿入したネジ8を壁2にねじ込み、壁2に棚柱3を取り付ける。
【0038】
化粧材貼付工程では、図12に示すように、壁2に化粧材10を貼り付ける。詳しく説明すると、化粧材貼付工程では、棚柱3を避けるように棚柱3の周囲の壁2に化粧材10を貼り付ける。このとき、被覆テープ11の棚柱3からはみ出た部分に、化粧材10を重ね合わせて、化粧材10を貼り付ける。
【0039】
このように、本実施形態に係る棚柱の取付方法では、被覆テープ11の幅が棚柱3の幅よりも広いため、被覆テープ11の位置精度を高くしなくても、係止孔7から見た場合に、壁2の下地材9を被覆テープ11で隠すことができる。しかも、被覆テープ11の幅方向両端を棚柱3からはみ出させるため、係止孔7から見た場合に、被覆テープ11で下地材9を完全に隠すことができる。また、被覆テープ11の棚柱3からはみ出た部分に化粧材10を重ねることで、棚柱3の周囲において壁2の下地材9が露出するのを抑制することができる。
【0040】
[第三実施形態]
第三実施形態は、棚柱3に保護フィルムが貼り付けられている点のみ、第一実施形態と相違する。このため、以下では、第一実施形態と相違する事項のみを説明し、第一実施形態と同様の説明を省略する。
【0041】
図13に示すように、棚柱3には、保護フィルム12が貼り付けられている。保護フィルム12は、棚柱3の汚れを防止するものであり、棚柱3に対して剥離可能に貼り付けられている。上述したように、化粧材貼付工程では、棚柱3の周囲の壁2に化粧材10を貼り付ける。このため、壁2に化粧材10を貼り付けるための糊が棚柱3に付着する可能性がある。そこで、本実施形態では、このような糊が棚柱3に付着するのを防止するために、棚柱3に保護フィルム12を貼り付けておく。具体的には、保護フィルム12は、棚柱3の一対の側板3a,3a及び背板3bの外側の三面に貼り付けられている。
【0042】
そして、棚柱取付工程では、保護フィルム12が貼り付けられた棚柱3を壁2に取り付け、化粧材貼付工程が終了した後に、棚柱3から保護フィルム12を剥離する。
【0043】
このように、本実施形態に係る棚柱の取付方法では、棚柱3に保護フィルム12が貼り付けられているため、化粧材貼付工程において、壁2に化粧材10を貼り付けるための糊が棚柱3自体に付着するのを抑制することができる。たとえ、当該糊が棚柱3に付着しても、壁2に化粧材10を貼り付けた後に棚柱3から保護フィルム12を剥離することで、棚柱3から当該糊を容易に取り除くことができる。
【0044】
[第四実施形態]
第四実施形態は、棚柱3に保護フィルムが巻かれている点、この保護フィルムの一部が被覆テープとなる点、被覆テープ配置工程と棚柱取付工程とを一緒に行う点のみ、第一実施形態と相違する。このため、以下では、第一実施形態と相違する事項のみを説明し、第一実施形態と同様の説明を省略する。
【0045】
図14に示すように、棚柱3には、保護フィルム13が巻かれている。そして、保護フィルム13の一部が、被覆テープとなる。詳しく説明すると、保護フィルム13は、表面保護部13aと、裏面保護部13bと、を備える。
【0046】
表面保護部13aは、第三実施形態の保護フィルム12と同様に、棚柱3の汚れを防止するために棚柱3の外側の面を保護する部位である。このため、表面保護部13aは、棚柱3の一対の側板3a,3a及び背板3bの外側の三面を覆っている。なお、表面保護部13aは、第三実施形態の保護フィルム12と同様に、棚柱3の一対の側板3a,3a及び背板3bの外側の三面に貼り付けられていてもよい。
【0047】
裏面保護部13bは、壁2の下地材9上に配置されるとともに、その上から壁2に棚柱3が取り付けられる被覆テープとなる部位である。このため、保護フィルム13は、特に裏面保護部13bは、化粧材10と同じ素材、色等であることが好ましい。裏面保護部13bは、一対の側板3a,3aの背板3bとは反対側の端面と、一対の側板3a,3aの間の空間と、を覆っている。なお、裏面保護部13bは、一対の側板3a,3aの背板3bとは反対側の端面に貼り付けられていてもよい。
【0048】
そして、保護フィルム13の表面保護部13aと裏面保護部13bとの境界又は当該境界付近に、表面保護部13aと裏面保護部13bとを分離するためのミシン目13cが形成されている。本実施形態では、表面保護部13aと裏面保護部13bとの境界よりも表面保護部13a側にミシン目13cが形成されている。
【0049】
次に、第四実施形態に係る棚柱の施工方法について説明する。
【0050】
本実施形態に係る棚柱の取付方法は、被覆テープ配置工程と被覆テープ配置工程とを一緒に行い、その後に化粧材貼付工程を行う。
【0051】
被覆テープ配置工程及び被覆テープ配置工程では、図15に示すように、保護フィルム12が巻かれた棚柱3を壁2の下地材9に取り付ける。これにより、壁2の下地材9上に保護フィルム13の裏面保護部13bが配置されるとともに、保護フィルム13の裏面保護部13b上から壁2に棚柱3が取り付けられた状態となる。また、棚柱3の一対の側板3a,3aと下地材9との間に保護フィルム13の裏面保護部13bが挟み込まれた状態となる。
【0052】
化粧材貼付工程では、図16に示すように、棚柱3を避けるように棚柱3の周囲の壁2に化粧材10を貼り付ける。その後、図17に示すように、保護フィルム13をミシン目13cで切断するとともに、棚柱3から保護フィルム13の表面保護部13aを剥離して除去する。このとき、裏面保護部13bは、棚柱3の一対の側板3a,3aと下地材9との間に挟み込まれているため、表面保護部13aを除去しても、裏面保護部13bは下地材9上から脱落しない。
【0053】
このように、本実施形態に係る棚柱の取付方法では、棚柱3に保護フィルム13が巻き付けられているため、化粧材貼付工程において、壁2に化粧材10を貼り付けるための糊が棚柱3自体に付着するのを抑制することができる。たとえ、当該糊が棚柱3に付着しても、壁2に化粧材10を貼り付けた後に棚柱3から保護フィルム13の表面保護部13aを除去することで、棚柱3から当該糊を容易に取り除くことができる。
【0054】
また、棚柱3に巻きつけられた保護フィルム13の裏面保護部13bが被覆テープとなるため、当該棚柱3を壁2に取り付けることで、被覆テープ配置工程及び被覆テープ配置工程の双方を行うことができる。これにより、作業工程の削減を図ることができる。
【0055】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、適宜変更することができる。
【0056】
例えば、上記実施形態では、棚システムは4本の棚柱を備えるものとして説明したが、棚柱の数、配置等は特に限定されるものではない。また、棚柱が取り付けられる壁は、建物の壁であってもよく、収納棚等の家具の壁であってもよい。
【0057】
ところで、被覆テープ11が薄すぎると、下地材9上に被覆テープ11を配置する際に被覆テープ11が歪みやすくなる。一方、被覆テープ11が厚すぎると、背板3bと壁2との間に棚受部材4の頭部4bを嵌め込むスペースが無くなってしまう。そこで、被覆テープ11の歪みを抑制しつつ、背板3bと壁2との間に適切なスペースを確保する観点から、被覆テープ11の厚さを設定することが好ましい。
【0058】
また、被覆テープ11が棚柱3と壁2とにより挟み込まれる場合、被覆テープ11が適度に厚いと、被覆テープ11の厚さ方向の弾性力により、ネジ8が緩むのを抑制することができる。また、ネジ8の軸力等により棚柱3が湾曲したとしても、被覆テープ11が棚柱3と壁との間に生じる隙間を小さくすることができる。
【0059】
これらの観点から、被覆テープ11の幅が棚柱3の幅よりも狭い場合、被覆テープ11の厚みは、0.03mm以上0.7mm以下であることが好ましく、0.07mm以上0.7mm以下であることが更に好ましく、0.1mm以上0.7mm以下であることが特に好ましい。一方、被覆テープ11の幅が棚柱3の幅よりも広い場合、被覆テープ11の厚みは、0.03mm以上3mm以下であることが好ましく、0.07mm以上2mm以下であることが更に好ましく、0.1mm以上1mm以下であることが特に好ましい。
【符号の説明】
【0060】
1…棚システム、2…壁、3…棚柱、3a,3a…側板、3b…背板、4…棚受部材、4a…棚板載置部、4b…頭部、4c…首部、5…棚板、6…ネジ孔、7…係止孔、7a…円形孔部、7b…スリット、8…ネジ、9…下地材、10…化粧材、11…被覆テープ、12…保護フィルム、13…保護フィルム、13a…表面保護部、13b…裏面保護部、13c…ミシン目。
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