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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-05
(45)【発行日】2022-01-20
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/07 20060101AFI20220113BHJP
   H01L 25/18 20060101ALI20220113BHJP
   H02M 3/00 20060101ALI20220113BHJP
【FI】
H01L25/04 C
H02M3/00 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018093522
(22)【出願日】2018-05-15
(65)【公開番号】P2019201063
(43)【公開日】2019-11-21
【審査請求日】2021-02-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 光春
(72)【発明者】
【氏名】田代 匠太
(72)【発明者】
【氏名】伊東 弘晃
(72)【発明者】
【氏名】市倉 優太
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 尚威
(72)【発明者】
【氏名】田多 伸光
(72)【発明者】
【氏名】水谷 麻美
(72)【発明者】
【氏名】関谷 洋紀
(72)【発明者】
【氏名】久里 裕二
(72)【発明者】
【氏名】飯尾 尚隆
【審査官】多賀 和宏
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/175686(WO,A1)
【文献】特開2018-067990(JP,A)
【文献】特開2001-007282(JP,A)
【文献】特開2002-110905(JP,A)
【文献】特開2008-060256(JP,A)
【文献】特開2008-259267(JP,A)
【文献】特開平8-125116(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/48-23/50
H01L 25/07
H02M 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源側電極と負荷側電極と、
を有する複数の半導体素子と、
電源に接続される複数の電源側端子と、
負荷に接続される複数の負荷側端子と、
前記複数の電源側端子と前記複数の半導体素子の前記電源側電極を電気的に接続する、面状に構成された電源側の導電層と、
前記複数の負荷側端子と前記複数の半導体素子の前記負荷側電極を電気的に接続する、面状に構成された負荷側の導電層と、
前記電源側の導電層と前記負荷側の導電層とを電気的に絶縁する絶縁層と、
を有する基板を備え、
前記複数の半導体素子は、前記複数の電源側端子および前記複数の負荷側端子から略同等の距離で、前記基板上に配置された、
半導体装置。
【請求項2】
前記電源側の導電層、前記負荷側の導電層のうち少なくとも一方は、
前記導電層のインピーダンスより高インピーダンスにて構成された高インピーダンス部により、前記複数の半導体素子の少なくとも一つが載置された領域を含む、複数の部分に分割された導電層により構成された、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記高インピーダンス部は、前記導電層のインピーダンスより高インピーダンスの金属部材により構成された、
請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記高インピーダンス部は、前記導電層よりパターン断面積を小さくすることにより構成された、
請求項2に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記電源側の導電層が、前記複数の半導体素子が配置された載置面と反対側の前記基板の外面に構成された、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記複数の半導体素子は、制御電極を有し、
前記基板は、前記複数の半導体素子の前記制御電極に電気的に接続された制御端子を有し、
前記制御端子は、前記複数の電源側端子、前記複数の負荷側端子が配置された側面と異なる前記基板の側面に配置された、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記基板は、前記複数の半導体素子の前記制御電極と、前記制御端子とを電気的に接続する制御パターンを有する制御層を備え、
前記制御層は、前記基板の前記電源側の導電層、前記負荷側の導電層よりも前記複数の半導体素子が配置された載置面側に構成された、
請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記基板は長方形状に構成され、
前記複数の電源側端子および前記複数の負荷側端子は、前記基板を構成する長方形の対向する辺に設けられ、
前記複数の半導体素子は、前記基板に碁盤目状に配置された、
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の半導体装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、電力制御用の半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電力系統における直流送電システムには、大電力用の電力変換器が使用される。これらの電力変換器は、交流を直流に、直流を交流にする電圧の変換を行う。または、これらの電力変換器は、直流の電圧を昇圧、降圧する電圧の変換を行う。これらの電圧の変換は、電力変換器内に設けられた半導体装置により、供給された電力がスイッチングされることにより行われる。
【0003】
上記のような半導体装置は、IGBT等のいわゆるパワー素子と呼ばれるスイッチング用の半導体素子が回路基板に配置され構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-141373公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電力変換に使用される半導体装置は、スイッチングにより1000Vを超える高電圧の開閉を行う。また、半導体装置は、スイッチングにより1000Aを超える大電流の開閉を行う。大電流の開閉を行うため、半導体装置には、電気的に並列に接続された複数のIGBT等の半導体素子が設けられる。これらの半導体素子は、回路基板上に実装され配置される。
【0006】
しかしながら、回路基板上に構成された配線パターンは、インピーダンスを有する。このため、半導体素子が回路基板上に配置された位置により、回路基板の端面に設けられた端子と半導体素子間のインピ―ダンスが異なることとなる。
【0007】
例えば、回路基板の端面に設けられた端子の近傍に配置された半導体素子は、端子と半導体素子間の配線パターンが短くなり、端子と半導体素子間のインピ―ダンスは小さくなる。一方、回路基板の端面に設けられた端子の遠方に配置された半導体素子は、端子と半導体素子間の配線パターンが長くなり、端子と半導体素子間のインピ―ダンスは大きくなる。このため、端子の近傍に配置された半導体素子の方が、端子の遠方に配置された半導体素子より負担する電流が大きくなる。
【0008】
半導体素子が回路基板に配置された位置により、半導体素子が負担する電流が異なるとの不具合があった。半導体素子が負担する電流が異なることにより、複数の半導体素子のうち一部の半導体素子が負担する電流が大きくなり、この一部の半導体の劣化が加速されることが懸念された。また、この一部の半導体において発熱や故障を招くことも懸念された。
【0009】
本実施形態は、回路基板に配置された位置の相違による、回路基板の配線パターンのインピーダンスに起因する、複数の半導体素子ごとの負担電流の相違を軽減することができる半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本実施形態の半導体装置は次のような構成を有することを特徴とする。
(1)電源側電極と負荷側電極と、を有する複数の半導体素子。
(2)以下を有する基板。
(2-1)電源に接続される複数の電源側端子。
(2-2)負荷に接続される複数の負荷側端子。
(2-3)前記複数の電源側端子と前記複数の半導体素子の前記電源側電極を電気的に接続する、面状に構成された電源側の導電層。
(2-4)前記複数の負荷側端子と前記複数の半導体素子の前記負荷側電極を電気的に接続する、面状に構成された負荷側の導電層。
(2-5)前記電源側の導電層と前記負荷側の導電層とを電気的に絶縁する絶縁層。
(3)前記複数の半導体素子は、前記複数の電源側端子および前記複数の負荷側端子から略同等の距離で、前記基板上に配置される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態にかかる半導体装置の外観を示す図
図2】第1実施形態にかかる半導体装置の半導体実装部分を示す拡大図
図3】第1実施形態にかかる半導体装置の半導体素子を示す図
図4】第1実施形態にかかる半導体装置の結線状態を示す回路図
図5】第1実施形態にかかる半導体装置の電流の流れを説明する図
図6】他の実施形態にかかる半導体装置の構造を示す図
図7】他の実施形態にかかる半導体装置の構造を示す図
図8】他の実施形態における基板の形状を示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1実施形態]
[1-1.構成]
以下では、図1図4を参照しつつ、本実施形態の半導体装置1の構成を説明する。
【0013】
本実施形態において、同一構成の装置や部材が複数ある場合にはそれらについて同一の番号を付して説明を行い、また、同一構成の個々の装置や部材についてそれぞれを説明する場合に、共通する番号にアルファベット(小文字)の添え字を付けることで区別する。本実施形態における、8つの半導体素子9a~9hは、同じ構成を有する。
【0014】
半導体装置1は、複数の半導体素子9、および基板11を有する。
【0015】
(基板11)
基板11は、複数の半導体素子9が実装される面から見て略長方形状の板状に形成される。基板11は、制御側導電部2、制御側導電部3、負荷側導電部4、電源側導電部5、絶縁層6を有する。絶縁層6は絶縁層61、62、63により構成される。
【0016】
基板11は、半導体素子9が実装される載置面12から順に、後述する制御側導電部2の制御層21、絶縁層61、制御側導電部3の制御層31、絶縁層62、負荷側導電部4の負荷側の導電層41、絶縁層63、電源側導電部5の電源側の導電層51により層状に形成される。絶縁層61、62、63はポリイミドやセラミック等の絶縁材料により板状に形成される。
【0017】
また、基板11は、一方の面に載置面12を有する。半導体素子9が、基板11の載置面12に配置され実装される。載置面12は、薄膜層(所謂レジスト)により被覆されていてもよい。
【0018】
(制御側導電部2)
制御側導電部2は、半導体素子9のゲートである制御電極93と、半導体装置1の外部に接続される回路とを電気的に接続する、導電部材により構成された部分である。制御側導電部2は、半導体素子9のゲートである制御電極93と電気的に接続される。制御側導電部2は、制御層21、制御端子22、導体23を有する。
【0019】
(制御層21)
制御層21は、基板11における半導体素子9が実装された載置面12側から第1層目に設けられた導電層である。制御層21は、銅や銀等の導電材料により板状に形成される。制御層21は、基板11と同等の略長方形に形成される。制御層21は、絶縁層61により、制御層31と絶縁される。
【0020】
制御層21は、制御端子22、導体23と電気的に接続される。制御層21は、導体23a~23hを介し、各半導体素子9a~9hのゲートである制御電極93a~93hと電気的に接続される。制御層21は、制御端子22を介し、半導体装置1の外部の回路と電気的に接続される。制御層21は、半導体装置1の外部の回路から制御端子22に入力された制御信号を、導体23a~23hを介し、各半導体素子9a~9hのゲートである制御電極93a~93hに伝達する。
【0021】
(制御端子22)
制御端子22は、制御層21の略長方形を構成する一つの辺に設けられた端子である。制御端子22は、銅や銀等の導電材料により板状に形成される。制御端子22は、後述する電源側端子52、負荷側端子42が配置された半導体装置1の面と異なる基板11の側面に配置される。
【0022】
制御端子22は、制御層21と電気的に接続される。制御端子22は、半導体装置1の外部の回路と電気的に接続される。制御端子22は、半導体装置1の外部の回路から入力された制御信号を、制御層21に伝達する。
【0023】
(導体23)
導体23は、半導体素子9のゲートである制御電極93が接続される端子である。導体23は、基板11の載置面12側に突出して設けられる。導体23は、銅や銀等の導電材料により板状に形成される。半導体素子9a~9hごとに、導体23a~23hが設けられる。
【0024】
導体23a~23hは、制御層21、半導体素子9a~9hと電気的に接続される。導体23a~23hは、制御層21に立接して配置される。導体23a~23hは、制御層21を介し、半導体装置1の外部の回路から制御端子22に入力された制御信号を、各半導体素子9a~9hのゲートである制御電極93a~93hに伝達する。
【0025】
(制御側導電部3)
制御側導電部3は、半導体素子9のゲート電極の一方である制御電極94と、半導体装置1の外部に接続される回路とを電気的に接続する、導電部材により構成された部分である。制御電極94は、半導体素子9内部のパワートランジスタの開閉を制御するために設けられたFETの、ゲート電極の一方を構成する所謂エミッタセンス電極(以降、バックゲートと呼ぶ)である。バックゲートは、半導体素子9内部でパワートランジスタのエミッタに接続されている。制御側導電部3は、半導体素子9のバックゲートである制御電極94と電気的に接続される。制御側導電部3は、制御層31、制御端子32、導体33を有する。
【0026】
(制御層31)
制御層31は、基板11における半導体素子9が実装された載置面12側から第2層目に設けられた導電層である。制御層31は、銅や銀等の導電材料により板状に形成される。制御層31は、基板11と同等の略長方形に形成される。制御層31は、絶縁層61により、制御層21と絶縁される。制御層31は、絶縁層62により、負荷側の導電層41と絶縁される。
【0027】
制御層31は、制御端子32、導体33と電気的に接続される。制御層31は、導体33a~33hを介し、各半導体素子9a~9hのバックゲートである制御電極94a~94hと電気的に接続される。制御層31は、制御端子32を介し、半導体装置1の外部の回路と電気的に接続される。制御層31は、半導体装置1の外部の回路から制御端子32に入力された制御信号を、導体33a~33hを介し、各半導体素子9a~9hのバックゲートである制御電極94a~94hに伝達する。
【0028】
(制御端子32)
制御端子32は、制御層31の略長方形を構成する一つの辺に設けられた端子である。制御端子32は、銅や銀等の導電材料により板状に形成される。制御端子32は、後述する電源側端子52、負荷側端子42が配置された半導体装置1の面と異なる基板11の側面に配置される。
【0029】
制御端子32は、制御層31と電気的に接続される。制御端子32は、半導体装置1の外部の回路と電気的に接続される。制御端子32は、半導体装置1の外部の回路から入力された制御信号を、制御層31に伝達する。
【0030】
(導体33)
導体33は、半導体素子9のゲートである制御電極94が接続される端子である。導体33は、基板11の載置面12側に突出して設けられる。導体33は、銅や銀等の導電材料により板状に形成される。半導体素子9a~9hごとに、導体33a~33hが設けられる。
【0031】
導体33a~33hは、制御層31、半導体素子9a~9hのバックゲートである制御電極94a~94hと電気的に接続される。導体33a~33hは、絶縁層61、制御層21に設けられた貫通孔(スルーホール)を貫通し、制御層31、半導体素子9a~9hの間に配置される。導体33a~33hは、制御層31を介し、半導体装置1の外部の回路から制御端子32に入力された制御信号を、各半導体素子9a~9hのバックゲートである制御電極94a~94hに伝達する。
【0032】
(負荷側導電部4)
負荷側導電部4は、半導体素子9のエミッタである負荷側電極92と、半導体装置1の外部に接続される回路とを電気的に接続する、導電部材により構成された部分である。負荷側導電部4は、半導体素子9のエミッタである負荷側電極92と電気的に接続される。負荷側導電部4は、負荷側の導電層41、負荷側端子42、導体43を有する。
【0033】
(負荷側の導電層41)
負荷側の導電層41は、基板11における半導体素子9が実装された載置面12側から第3層目に設けられた導電層である。負荷側の導電層41は、銅や銀等の導電材料により板状に形成される。負荷側の導電層41は、基板11と同等の略長方形に形成される。負荷側の導電層41は、絶縁層62により、制御層31と絶縁される。また負荷側の導電層41は、絶縁層63により、電源側の導電層51と絶縁される。
【0034】
負荷側の導電層41は、負荷側端子42、導体43と電気的に接続される。負荷側の導電層41は、導体43a~43hを介し、各半導体素子9a~9hのエミッタである負荷側電極92a~92hと電気的に接続される。負荷側の導電層41は、複数の負荷側端子42a、42bと電気的に接続される。
【0035】
負荷側の導電層41は、各半導体素子9a~9hのエミッタである負荷側電極92a~92hから導体43a~43hを介して出力された電力を、負荷側端子42a、42bに出力する。
【0036】
(負荷側端子42a、42b)
負荷側端子42aは、負荷側の導電層41の略長方形を構成する一つの短辺に設けられた端子である。負荷側端子42bは、負荷側の導電層41の略長方形を構成する対向する他の短辺に設けられた端子である。負荷側端子42a、42bは、銅や銀等の導電材料により負荷側の導電層41と一体に形成される。負荷側端子42a、42bは、半導体装置1の側面に露出する。負荷側端子42a、42bには、外部の電力供給線に取付けられる取付け孔が設けられていてもよい。
【0037】
負荷側端子42a、42bは、導電層41と電気的に接続される。負荷側端子42a、42bは、半導体装置1の外部の回路と電気的に接続される。負荷側端子42a、42bは、各半導体素子9a~9hのエミッタである負荷側電極92a~92hから出力された電力を、半導体装置1の外部の回路へ伝達する。
【0038】
(導体43)
導体43は、半導体素子9のエミッタである負荷側電極92が接続される端子である。導体43は、基板11の載置面12側に突出して設けられる。導体43は、銅や銀等の導電材料によりコの字状のボンディング材料として形成される。半導体素子9a~9hごとに、導体43a~43hが設けられる。導体43はワイヤーにより形成されていてもよい。
【0039】
導体43a~43hは、負荷側の導電層41、半導体素子9a~9hのエミッタである負荷側電極92a~92hと電気的に接続される。導体43a~43hは、負荷側の導電層41に半田付けまたはネジ止めにて固定される。導体43a~43hは、絶縁層61、制御層21、絶縁層62、制御層31に設けられた貫通孔(スルーホール)を貫通し、負荷側の導電層41、半導体素子9a~9hの間に配置される。導体43a~43hは、各半導体素子9a~9hのエミッタである負荷側電極92a~92hから出力された電力を、負荷側の導電層41に出力する。
【0040】
(電源側導電部5)
電源側導電部5は、半導体素子9のコレクタである電源側電極91と、半導体装置1の外部に接続される回路とを電気的に接続する、導電部材により構成された部分である。電源側導電部5は、半導体素子9のコレクタである電源側電極91と電気的に接続される。電源側導電部5は、電源側の導電層51、電源側端子52、導体53を有する。
【0041】
(電源側の導電層51)
電源側の導電層51は、基板11における半導体素子9が実装された載置面12側から第4層目に設けられた導電層である。電源側の導電層51は、銅や銀等の導電材料により板状に形成される。電源側の導電層51は、基板11と同等の略長方形に形成される。電源側の導電層51は、絶縁層63により、負荷側の導電層41と絶縁される。
【0042】
電源側の導電層51は、電源側の導電層51a、51b、高インピーダンス部55を有する。電源側の導電層51aは、高インピーダンス部55を介し電源側の導電層51bと電気的に接続される。電源側の導電層51aは電源側端子52a、導体53a~53dと電気的に接続される。電源側の導電層51bは電源側端子52b、導体53e~53hと電気的に接続される。
【0043】
電源側の導電層51aは、導体53a~53dを介し、各半導体素子9a~9dのコレクタである電源側電極91a~91dと電気的に接続される。電源側の導電層51aは、電源側端子52aと電気的に接続される。
【0044】
電源側の導電層51aは、半導体装置1の外部の回路から電源側端子52aに入力された電力を、導体53a~53dを介し、各半導体素子9a~9dのコレクタである電源側電極91a~91dに伝達する。
【0045】
電源側の導電層51bは、導体53e~53hを介し、各半導体素子9e~9hのコレクタである電源側電極91e~91hと電気的に接続される。電源側の導電層51bは、電源側端子52bと電気的に接続される。
【0046】
電源側の導電層51bは、半導体装置1の外部の回路から電源側端子52bに入力された電力を、導体53e~53hを介し、各半導体素子9e~9hのコレクタである電源側電極91e~91hに伝達する。
【0047】
高インピーダンス部55は、電源側の導電層51a、51bより高インピーダンスの導体材料または絶縁材料により構成された部分である。高インピーダンス部55は、銅およびアルミニウムの含有率が調整された、電源側の導電層51a、51bより高インピーダンスとなる材料により構成される。また、高インピーダンス部55は、ポリイミドやセラミック等の絶縁材料により構成されていてもよい。
【0048】
高インピーダンス部55は、電源側の導電層51の一部を構成し、電源側の導電層51aと、電源側の導電層51bの間に配置される。高インピーダンス部55は、電源側の導電層51aと電源側の導電層51bとを電気的に高インピーダンスにて接続する。
【0049】
高インピーダンス部55は、電源側端子52aからの電流が、半導体素子9e~9hに流れ込むこと、および電源側端子52bからの電流が、半導体素子9a~9dに流れ込むことを軽減する。
【0050】
(電源側端子52a、52b)
電源側端子52aは、電源側の導電層51aの一部であって電源側の導電層51の略長方形を構成する一つの短辺に設けられた端子である。電源側端子52bは、電源側の導電層51bの一部であって電源側の導電層51の略長方形を構成する対向する他の短辺に設けられた端子である。電源側端子52aは、銅や銀等の導電材料により電源側の導電層51aと一体に形成される。電源側端子52bは、銅や銀等の導電材料により電源側の導電層51bと一体に形成される。電源側端子52a、52bは、半導体装置1の側面に露出する。電源側端子52a、52bには、外部の電力供給線に取付けられる取付け孔が設けられていてもよい。
【0051】
電源側端子52aは、電源側の導電層51aと、電源側端子52bは、電源側の導電層51bと電気的に接続される。電源側端子52a、52bは、半導体装置1の外部の回路と電気的に接続される。電源側端子52aは、半導体装置1の外部の回路から入力された電力を電源側の導電層51aに伝達する。電源側端子52bは、半導体装置1の外部の回路から入力された電力を電源側の導電層51bに伝達する。
【0052】
(導体53)
導体53は、半導体素子9のコレクタである電源側電極91が接続される端子である。導体53は、基板11の載置面12側に突出して設けられる。導体53は、銅や銀等の導電材料によりブロック状のボンディング材料として形成される。半導体素子9a~9hごとに、導体53a~53hが設けられる。
【0053】
導体53a~53dは、電源側の導電層51a、半導体素子9a~9dのコレクタである電源側電極91a~91dと電気的に接続される。導体53a~53dは、電源側の導電層51aに半田付けまたはネジ止めにて固定される。導体53a~53dは、絶縁層63、負荷側の導電層41、絶縁層62、制御層31、絶縁層61、制御層21に設けられた貫通孔(スルーホール)を貫通し、電源側の導電層51a、半導体素子9a~9dの間に配置される。導体53a~53dは、電源側の導電層51aを介し、半導体装置1の外部の回路から電源側端子52aに入力された電力を、各半導体素子9a~9dのコレクタである電源側電極91a~91dに伝達する。
【0054】
導体53e~53hは、電源側の導電層51b、半導体素子9e~9hのコレクタである電源側電極91e~91hと電気的に接続される。導体53e~53hは、電源側の導電層51aに半田付けまたはネジ止めにて固定される。導体53e~53hは、絶縁層63、負荷側の導電層41、絶縁層62、制御層31、絶縁層61、制御層21に設けられた貫通孔(スルーホール)を貫通し、電源側の導電層51b、半導体素子9e~9hの間に配置される。導体53e~53hは、電源側の導電層51bを介し、半導体装置1の外部の回路から電源側端子52bに入力された電力を、各半導体素子9e~9hのコレクタである電源側電極91e~91hに伝達する。
【0055】
基板11は、半導体素子9a~9hが実装される載置面12から順に、制御側導電部2の制御層21、絶縁層61、制御側導電部3の制御層31、絶縁層62、負荷側導電部4の負荷側の導電層41、絶縁層63、電源側導電部5の電源側の導電層51により層状に形成される。
【0056】
(半導体素子9)
半導体素子9は、いわゆるパワー素子と呼ばれるスイッチング用の半導体素子である。半導体素子9a~9hが、基板11の載置面12に配置され実装される。複数の半導体素子9a~9hは、基板11の載置面12に碁盤目状に載置される。半導体素子9a~9dは、基板11の電源側の導電層51aの鉛直上に載置される。半導体素子9e~9hは、基板11の電源側の導電層51bの鉛直上に載置される。
【0057】
さらに、半導体素子9a、9bは、電源側端子52a、負荷側端子42aから略同等の距離に配置される。半導体素子9g、9hは、電源側端子52b、負荷側端子42bから略同等の距離に配置される。また、半導体素子9a、9bから電源側端子52aまでの距離および、半導体素子9g、9hから電源側端子52bまでの距離は同等である。
【0058】
半導体素子9c、9dは、電源側端子52a、負荷側端子42aから略同等の距離に配置される。半導体素子9e、9fは、電源側端子52b、負荷側端子42bから略同等の距離に配置される。また、半導体素子9c、9dから電源側端子52a、負荷側端子42aまでの距離および、半導体素子9e、9fから電源側端子52b、負荷側端子42bまでの距離は同等である。
【0059】
半導体素子9の構造を図3に示す。本実施形態は、一例として、半導体素子9がIGBTである場合について説明する。
【0060】
半導体素子9は、電源側電極91、負荷側電極92、制御電極93、制御電極94を有する。半導体素子9は、基板11の載置面12に、半導体素子9の電源側電極91が密着して実装配置される。半導体素子9は、図3(b)に示す等価回路を有し、図3(a)に示す形状に構成される。
【0061】
電源側電極91は、IGBTである半導体素子9のコレクタである。電源側電極91は、基板11の電源側導電部5に電気的に接続される。電源側電極91は、電源側導電部5の導体53、電源側の導電層51を介し、電源側端子52に電気的に接続される。
【0062】
負荷側電極92は、IGBTである半導体素子9のエミッタである。負荷側電極92は、基板11の負荷側導電部4に電気的に接続される。負荷側電極92は、負荷側導電部4の導体43、負荷側の導電層41を介し、負荷側端子42に電気的に接続される。
【0063】
制御電極93は、IGBTである半導体素子9のゲートである。制御電極93は、基板11の制御側導電部2に電気的に接続される。制御電極93は、制御側導電部2の導体23、制御パターン21を介し、制御端子22に電気的に接続される。
【0064】
制御電極94は、IGBTである半導体素子9のバックゲートである。制御電極94は、基板11の制御側導電部3に電気的に接続される。制御電極94は、制御側導電部3の導体33、制御パターン31を介し、制御端子32に電気的に接続される。
【0065】
半導体素子9a~9hは同一の構成である。または、半導体素子9a、9cは、半導体素子9b、9dと、基板11の載置面12側から見て、左右対象となる電極配列を有するものであってもよい。半導体素子9e、9gは、半導体素子9f、9hと、基板11の載置面12側から見て、左右対象となる電極配列を有するものであってもよい。以上が、半導体装置1の構成である。
【0066】
[1-2.作用]
次に、本実施形態の半導体装置1の作用を、図1図5に基づき説明する。
【0067】
各半導体素子9a~9dのコレクタである電源側電極91a~91dは、電源側導電部5の導体53a~53dを介し、電源側の導電層51aおよび電源側端子52aに電気的に接続される。各半導体素子9e~9hのコレクタである電源側電極91e~91hは、電源側導電部5の導体53e~53hを介し、電源側の導電層51bおよび電源側端子52bに電気的に接続される。
【0068】
電源側端子52aおよび電源側端子52bは、半導体装置1の外部回路(図中不示)に接続され、電力が供給される。電源側端子52aおよび電源側端子52bは、接続された半導体装置1の外部回路により電気的に接続される。これにより、各半導体素子9a~9hのコレクタである電源側電極91a~91hは、電気的に共通に接続される。
【0069】
各半導体素子9a~9hのエミッタである負荷側電極92a~92hは、負荷側導電部4の導体43a~43hを介し、負荷側の導電層41および負荷側端子42に電気的に接続される。これにより、各半導体素子9a~9hのエミッタである負荷側電極92a~92hは、電気的に共通に接続される。負荷側端子42は、半導体装置1の外部負荷(図中不示)に接続され、外部負荷は、電力が供給される。
【0070】
各半導体素子9a~9hは、電源、負荷間に相互に電気的に並列に接続される。
【0071】
各半導体素子9a~9hのゲートである制御電極93a~93hは、制御側導電部2の導体23a~23hを介し、制御層21および制御端子22に電気的に接続される。これにより、各半導体素子9a~9hのゲートである制御電極93a~93hは、電気的に共通に接続される。制御端子22は、半導体装置1の外部の制御回路(図中不示)に接続され、半導体素子9a~9hの開閉を制御する信号が入力される。
【0072】
各半導体素子9a~9hのバックゲートである制御電極94a~94hは、制御側導電部3の導体33a~33hを介し、制御層31および制御端子32に電気的に接続される。これにより、各半導体素子9a~9hのバックゲートである制御電極94a~94hは、電気的に共通に接続される。制御端子32は、半導体装置1の外部の制御回路(図中不示)に接続され、半導体素子9a~9hの開閉を制御する信号が入力される。
【0073】
各半導体素子9a~9hは、制御端子22、制御端子32に入力される電位差により開閉が制御される。制御端子22、制御端子32に入力される電位差が、各半導体素子9a~9hのゲートである制御電極93a~93h、バックゲートである制御電極94a~94h間に入力される。
【0074】
制御端子32に対し制御端子22が正電圧となる電圧が、制御端子22、制御端子32間に入力にされた場合、各半導体素子9a~9hは閉状態となる。制御端子32に対し制御端子22が負電圧となる電圧が、制御端子22、制御端子32間に入力にされた場合、または、制御端子22、制御端子32間に入力にされる電圧に電位差がない場合、各半導体素子9a~9hは開状態となる。半導体素子9a~9hが閉状態および開状態を繰り返すことにより、供給された電力がスイッチングされ電圧変換される。
【0075】
半導体装置1の外部の制御回路から、制御端子22、制御端子32間に半導体素子9a~9hを開状態とする制御信号が入力された場合、半導体素子9a~9hは開状態となる。したがって、各半導体素子9a~9hのコレクタである電源側電極91a~91hとエミッタである負荷側電極92a~92hの間は、非導通となり、電源側端子52a、52bに供給された電力は、負荷側端子42a、42bに供給されない。
【0076】
半導体装置1の外部の制御回路から、制御端子22、制御端子32間に半導体素子9a~9hを閉状態とする制御信号が入力された場合、半導体素子9a~9hは閉状態となる。したがって、各半導体素子9a~9hのコレクタである電源側電極91a~91hとエミッタである負荷側電極92a~92hの間は、導通となり、電源側端子52a、52bに供給された電力は、負荷側端子42a、42bに供給される。
【0077】
図1に示すように半導体素子9a~9hは、基板11の載置面12に碁盤目状に配置されている。半導体素子9a~9dは、基板11の電源側の導電層51aの鉛直上に配置されている。半導体素子9e~9hは、基板11の電源側の導電層51bの鉛直上に配置されている。
【0078】
さらに、半導体素子9a、9bは、電源側端子52a、負荷側端子42aから略同等の距離に配置されている。半導体素子9g、9hは、電源側端子52b、負荷側端子42bから略同等の距離に配置されている。また、半導体素子9a、9bから電源側端子52aまでの距離および、半導体素子9g、9hから電源側端子52bまでの距離は同等である。
【0079】
また、半導体素子9c、9dは、電源側端子52a、負荷側端子42aから略同等の距離に配置されている。半導体素子9e、9fは、電源側端子52b、負荷側端子42bから略同等の距離に配置されている。また、半導体素子9c、9dから電源側端子52a、負荷側端子42aまでの距離および、半導体素子9e、9fから電源側端子52b、負荷側端子42bまでの距離は同等である。
【0080】
半導体素子9a~9hのうち、一例として半導体素子9aおよび9gの電流経路を図5に示す。図5(a)に示すように、電源側端子52aから半導体素子9a、電源側端子52bから半導体素子9gに流れる電流は、電源側の導電層51a、51bにおける最短経路を流れる。
【0081】
半導体素子9aから電源側端子52aまでの距離および、半導体素子9gから電源側端子52bまでの距離は同等である。このため、半導体素子9aと電源側端子52a間の導電層51aのインピーダンス、半導体素子9gと電源側端子52b間の導電層51bのインピーダンスは、同等となる。
【0082】
同様に半導体素子9aから負荷側端子42aまでの距離および、半導体素子9gから負荷側端子42bまでの距離は同等である。このため、半導体素子9aと負荷側端子42a間の負荷側の導電層41のインピーダンス、半導体素子9gと負荷側端子42b間の負荷側の導電層41のインピーダンスは、同等となる。これにより、半導体素子9aと半導体素子9gに流れる電流の大きさは略同等となる。
【0083】
仮に、電源側導電部5が、電源側の導電層51の端部に一つの電源側端子52のみを有する場合、半導体素子9aおよび9gの電流経路は図5(b)に示すようになる。図5(b)に示すように、半導体素子9aから電源側端子52までの距離は、半導体素子9gから電源側端子52までの距離より大きくなる。このため、半導体素子9aと電源側端子52間の導電層51のインピーダンスは、半導体素子9gと電源側端子52間の導電層51のインピーダンスより大きくなる。
【0084】
同様に半導体素子9aと負荷側端子42間の負荷側の導電層41のインピーダンスは、半導体素子9gと負荷側端子42間の負荷側の導電層41のインピーダンスより大きくなる。したがって、半導体素子9gに流れる電流は、半導体素子9aに流れる電流より大きくなり、半導体素子9a、9gに流れる電流の大きさは略同等とならない。
【0085】
半導体素子9a、9bは、電源側端子52a、負荷側端子42aから略同等の距離に配置されている。半導体素子9g、9hは、電源側端子52b、負荷側端子42bから略同等の距離に配置されている。また、半導体素子9a、9bから電源側端子52aまでの距離および、半導体素子9g、9hから電源側端子52bまでの距離は同等である。
【0086】
したがって、半導体素子9a、9bと電源側端子52a間の導電層51aのインピーダンス、半導体素子9g、9hと電源側端子52b間の導電層51bのインピーダンスは、同等となる。
【0087】
同様に、半導体素子9a、9bと負荷側端子42a間の負荷側の導電層41のインピーダンス、半導体素子9g、9hと負荷側端子42b間の負荷側の導電層41のインピーダンスは、同等となる。これにより、半導体素子9a、9b、9g、9hに流れる電流の大きさは略同等となる。
【0088】
半導体素子9c、9dは、電源側端子52a、負荷側端子42aから略同等の距離に配置されている。半導体素子9e、9fは、電源側端子52b、負荷側端子42bから略同等の距離に配置されている。また、半導体素子9c、9dから電源側端子52aまでの距離および、半導体素子9e、9fから電源側端子52bまでの距離は同等である。
【0089】
したがって、半導体素子9c、9dと電源側端子52a間の導電層51aのインピーダンス、半導体素子9e、9fと電源側端子52b間の導電層51bのインピーダンスは、同等となる。
【0090】
同様に、半導体素子9c、9dと負荷側端子42a間の負荷側の導電層41のインピーダンス、半導体素子9e、9fと負荷側端子42b間の負荷側の導電層41のインピーダンスは、同等となる。これにより、半導体素子9c、9d、9e、9fに流れる電流の大きさは略同等となる。
【0091】
また、電源側の導電層51は、高インピーダンス部55を有する。電源側の導電層51aと電源側の導電層51bは、高インピーダンス部55を介し電気的に接続されている。高インピーダンス部55は、電源側の導電層51a、51bより高インピーダンスの導体材料または絶縁材料により構成されている。
【0092】
高インピーダンス部55は、電源側の導電層51aと電源側の導電層51bとを電気的に高インピーダンスにて接続している。高インピーダンス部55は、電源側端子52aからの電流が、半導体素子9e~9hに流れ込むこと、および電源側端子52bからの電流が、半導体素子9a~9dに流れ込むことを軽減する。これによりさらに、半導体素子9a、9b、9g、9hに流れる電流の大きさは略同等となる。また、半導体素子9c、9d、9e、9fに流れる電流の大きさは略同等となる。
【0093】
以上が、半導体装置1の作用である。本実施形態によれば、半導体素子9a、9b、9g、9hに流れる電流の大きさを略同等とすることができる。また、半導体素子9c、9d、9e、9fに流れる電流の大きさを略同等とすることができる。
【0094】
[1-3.効果]
(1)本実施形態によれば、半導体装置1は、電源側電極91と負荷側電極92と、を有する複数の半導体素子9と、電源に接続される複数の電源側端子52と、負荷に接続される複数の負荷側端子42と、複数の電源側端子52と複数の半導体素子9の電源側電極91を電気的に接続する、面状に構成された電源側の導電層51と、複数の負荷側端子42と複数の半導体素子9の負荷側電極92を電気的に接続する、面状に構成された負荷側の導電層41と、電源側の導電層51と負荷側の導電層41とを電気的に絶縁する絶縁層6と、を有する基板11を備え、複数の半導体素子9は、複数の電源側端子52および複数の負荷側端子42から略同等の距離で、前記基板11上に配置されるので、回路基板に配置された位置の相違による、回路基板の配線パターンのインピーダンスに起因する、複数の半導体素子ごとの負担電流の相違を軽減することができる半導体装置を提供することができる。
【0095】
半導体素子9a、9bは、電源側端子52a、負荷側端子42aから略同等の距離に配置されている。半導体素子9g、9hは、電源側端子52b、負荷側端子42bから略同等の距離に配置されている。また、半導体素子9a、9bから電源側端子52aまでの距離および、半導体素子9g、9hから電源側端子52bまでの距離は同等である。
【0096】
したがって、半導体素子9a、9bと電源側端子52a間の導電層51aのインピーダンス、半導体素子9g、9hと電源側端子52b間の導電層51bのインピーダンスを、同等とすることができる。
【0097】
同様に、半導体素子9a、9bと負荷側端子42a間の負荷側の導電層41のインピーダンス、半導体素子9g、9hと負荷側端子42b間の負荷側の導電層41のインピーダンスを、同等とすることができる。これにより、半導体素子9a、9b、9g、9hに流れる電流の大きさを略同等とすることができる。
【0098】
また、半導体素子9c、9dと電源側端子52a間の導電層51aのインピーダンス、半導体素子9e、9fと電源側端子52b間の導電層51bのインピーダンスを、同等とすることができる。
【0099】
同様に、半導体素子9c、9dと負荷側端子42a間の負荷側の導電層41のインピーダンス、半導体素子9e、9fと負荷側端子42b間の負荷側の導電層41のインピーダンスを、同等とすることができる。これにより、半導体素子9c、9d、9e、9fに流れる電流の大きさを略同等とすることができる。
【0100】
(2)本実施形態によれば、電源側の導電層51、負荷側の導電層41のうち少なくとも一方は、導電層51、41のインピーダンスより高インピーダンスにて構成された高インピーダンス部55により、複数の半導体素子9の少なくとも一つが載置された領域を含む、複数の部分に分割されて構成されるので、電源側端子52aからの電流が、半導体素子9e~9hに流れ込むこと、電源側端子52bからの電流が、半導体素子9a~9dに流れ込むことを軽減することができる。または、負荷側端子42aへの電流が、半導体素子9e~9hから流れ込むこと、負荷側端子42bへの電流が、半導体素子9a~9dから流れ込むことを軽減することができる。これによりさらに、半導体素子9a、9b、9g、9hに流れる電流の大きさを略同等とすることができる。また、半導体素子9c、9d、9e、9fに流れる電流の大きさを略同等とすることができる。
【0101】
(3)高インピーダンス部55は、電源側の導電層51または負荷側の導電層41のインピーダンスより高インピーダンスの金属部材により構成されるので、電源側の導電層51または負荷側の導電層41と同系統の金属にて構成することができ、特殊な製造設備を設けることなく製造することができる。
【0102】
(4)電源側の導電層51が、複数の半導体素子9が配置された載置面12と反対側の基板11の外面に構成されるので、電源側の導電層51には、スルーホールを設けることが不要であり、面積が低下することによる、電源側の導電層51のコンダクタンスが低下することを避けることができる。
【0103】
また、電源側の導電層51と負荷側の導電層41の電位差は数千Vとなるが、負荷側の導電層41、制御層21、制御層31の電位差は相互に数十V程度である。電源側の導電層51が、複数の半導体素子9が配置された載置面12と反対側の基板11の外面に構成されることにより、絶縁層61、62を絶縁層63より薄く構成することができる。これにより基板11を薄く構成することができ、半導体装置1を小型に構成することができる。
【0104】
(5)複数の半導体素子9は、制御電極93、94を有し、基板11は、複数の半導体素子9の制御電極93、94に電気的に接続された制御端子22、32を有し、制御端子22、32は、複数の電源側端子52、複数の負荷側端子42が配置された面と異なる基板11の側面に配置されるので、複数の電源側端子52、複数の負荷側端子42と制御端子22、32との絶縁距離を確保することができる。また、制御端子22、32が設けられることにより電源側端子52、負荷側端子42が小型となることを避けることができる。その結果、電源側端子52、負荷側端子42間のコンダクタンスの低下を軽減することができる。
【0105】
[2.他の実施形態]
変形例を含めた実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであって、発明の範囲を限定することを意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略や置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。以下は、その一例である。
【0106】
(1)上記実施形態では、高インピーダンス部55は、銅およびアルミニウムの含有率を調整することにより、電源側の導電層51a、51bより高インピーダンスとなるように構成されるものとした。しかしながら、高インピーダンス部55は、電源側の導電層51の一部の断面積を小さくすることにより構成されるものであってもよい。
【0107】
高インピーダンス部55は、例えば図6に示すように、略長方形に形成された電源側の導電層51の一部が、狭く形成されたものであってもよい。電源側の導電層51aおよび51bは、高インピーダンス部55を介し電気的に接続される。
【0108】
電源側の導電層51aと電源側の導電層51bは同等の面積を有する。高インピーダンス部55は、電源側端子52aおよび52bと平行に配置される。高インピーダンス部55の厚さは、電源側の導電層51a、51bと同等である。電源側の導電層51a、51bと接合される、高インピーダンス部55の電源側端子52aおよび52bと平行となる部分の寸法は、電源側の導電層51a、51bより短い。
【0109】
このように構成することで、電源側の導電層51a、51bと同じ材料で、高インピーダンス部55を構成することができる。
【0110】
また、高インピーダンス部55は、例えば図7に示すように、略長方形に形成された電源側の導電層51の一部の厚さが、薄く形成されたものであってもよい。電源側の導電層51aおよび51bは、高インピーダンス部55を介し電気的に接続される。
【0111】
高インピーダンス部55は、電源側の導電層51aに接続された電源側端子52aおよび電源側の導電層51bに接続された電源側端子52bと平行に配置される。高インピーダンス部55の厚さは、電源側の導電層51a、51bより薄い。電源側の導電層51a、51bと接合される、高インピーダンス部55の電源側端子52aおよび52bと平行となる部分の寸法は、電源側の導電層51a、51bと同等である。
【0112】
また、高インピーダンス部55は、その厚さが電源側の導電層51a、51bより薄く、電源側端子52aおよび52bと平行となる部分の寸法が、電源側の導電層51a、51bより短く形成されていてもよい。さらに、高インピーダンス部55は、銅およびアルミニウムの含有率を調整することにより、インピーダンスを調整されたものであってもよい。
【0113】
このように構成することで、電源側の導電層51a、51bと同じ材料で、高インピーダンス部55のインピーダンスを、フレキシブルに所望の値とすることができる。
【0114】
(2)上記実施形態では制御層21、制御層31は、基板11と同等の長方形の板状に形成されるものとしたが、制御層21、制御層31は配線パターンにより形成され、制御層21と制御層31が一つの層に形成されるものであってもよい。このように構成することで基板11に形成される層を減らすことができる。
【0115】
(3)上記実施形態では制御層31は、負荷側の導電層41と別の層として基板11に設けられるものとしたが、独立した層として制御層31を設けず、負荷側の導電層41に制御端子32、導体33a~33hが電気的に接続されるようにしてもよい。制御層31は、負荷側の導電層41と同電位であるため、独立した層として制御層31を設けず、負荷側の導電層41を制御層31として用いることができる。このように構成することで基板11に形成される層を減らすことができる。
【0116】
(4)上記実施形態では、高インピーダンス部55は、電源側の導電層51のインピーダンスより高インピーダンスにて構成され、電源側の導電層51は、高インピーダンス部55により、複数の電源側端子52のうち少なくとも一つを含む、複数の部分に分割されるものとしたが、高インピーダンス部は、負荷側の導電層41のインピーダンスより高インピーダンスにて構成され、負荷側の導電層41は、高インピーダンス部により、複数の負荷側端子42のうち少なくとも一つを含む、複数の部分に分割されるものであってもよい。また、電源側の導電層51、負荷側の導電層41とも高インピーダンス部を有するものであってもよい。
【0117】
(5)上記実施形態では、半導体素子9は、IGBTであるものとしたが、半導体素子9は、これに限られない。半導体素子9は、IGBTの他、例えばMOS-FET、GTO(ゲートターンオフトランジスタ)、サイリスタ、ダイオード、またはこれらが、混載されものであってもよい。半導体素子9が、MOS-FET、GTO(ゲートターンオフトランジスタ)である場合、一つの制御層(例えば制御層21または制御層31)のみ設けられていれば良い。また、半導体素子9が、ダイオードである場合、制御層21、31は設けられなくてよい。
【0118】
(6)上記実施形態では、基板11は、複数の半導体素子9が実装される面から見て略長方形状の薄板状に形成されるものとした。しかしながら基板11の形状は、これに限られない。基板11の形状は、図8に示す各形状であってもよい。つまり、基板11の形状は、多角形、円形であってもよい。また、ひとつの電源側端子52、負荷側端子42に接続される半導体素子9は、単数であっても複数であってもよい。図8に、基板に対応した電源側の導電層51の構造を示す。
【0119】
つまり、半導体装置1は、電源側電極91と負荷側電極92と、を有する複数の半導体素子9と、電源に接続される複数の電源側端子52と、負荷に接続される複数の負荷側端子42と、複数の電源側端子52と複数の半導体素子9の電源側電極91を電気的に接続する、面状に構成された電源側の導電層51と、複数の負荷側端子42と複数の半導体素子9の負荷側電極92を電気的に接続する、面状に構成された負荷側の導電層41と、電源側の導電層51と負荷側の導電層41とを電気的に絶縁する絶縁層6と、を有する基板11を備え、複数の半導体素子9は、複数の電源側端子52および複数の負荷側端子42から略同等の距離で、前記基板11上に配置されるものであればよい。
【0120】
また、電源側の導電層51、負荷側の導電層41のうち少なくとも一方は、電源側の導電層51のインピーダンスより高インピーダンスにて構成された高インピーダンス部55により、複数の半導体素子9の少なくとも一つが載置された領域を含む、複数の部分に分割された導電層により構成され、負荷側の導電層41のインピーダンスより高インピーダンスにて構成された高インピーダンス部55により、複数の半導体素子9の少なくとも一つが載置された領域を含む、複数の部分に分割された導電層により構成されるものであればよい。
【符号の説明】
【0121】
1・・・半導体装置
2,3・・・制御側導電部
4・・・負荷側導電部
5・・・電源側導電部
6,61,62,63・・・絶縁層
9,9a~9h・・・半導体素子
11・・・基板
12・・・載置面
21,31・・・制御層
22,32・・・制御端子
23,23a~23h,33,33a~33h,43,43a~43h,53,53a~53h・・・導体
41・・・負荷側の導電層
42,42a,42b・・・負荷側端子
51,51a,51b・・・電源側の導電層
52,52a、52b・・・電源側端子
55・・・高インピーダンス部
91,91a~91h・・・電源側電極
92,92a~92h・・・負荷側電極
93,93a~93h,94,94a~94h・・・制御電極

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8