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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-05
(45)【発行日】2022-01-20
(54)【発明の名称】センサ検出器システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/00 20060101AFI20220113BHJP
【FI】
A61B17/00
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018550468
(86)(22)【出願日】2017-03-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-05-16
(86)【国際出願番号】 EP2017057311
(87)【国際公開番号】W WO2017167749
(87)【国際公開日】2017-10-05
【審査請求日】2020-03-25
(31)【優先権主張番号】102016105789.4
(32)【優先日】2016-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】514129877
【氏名又は名称】エースクラップ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】カーラー,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ヘーガーレ,ローラント‐アロイス
(72)【発明者】
【氏名】マッヒル,マルティン
【審査官】宮崎 敏長
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第02923651(EP,A1)
【文献】特表2014-529437(JP,A)
【文献】特表2000-508183(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/00
A61B 17/11 - A61B 17/115
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用モータシステム用の検出器システムであって、該医療用モータシステムを制御するように構成される手持ち式制御デバイスに収容されかつ該手持ち式制御デバイスの作動デバイスの作動を検出するように位置決めされる多チャンネル冗長検出デバイスを備え、
前記作動デバイスがレバーまたはスライダとして構成され、
前記多チャンネル冗長検出デバイスが、少なくとも二つの検出受信デバイスを備え、それぞれの前記検出受信デバイスは、一つの関連する検出送信デバイスを備え、
前記多チャンネル冗長検出デバイスが、該多チャンネル冗長検出デバイスの出力信号の妥当性がチェックされることを可能にするように設計されている検出器システムにおいて、
前記関連する検出送信デバイスのそれぞれが、前記少なくとも二つの検出受信デバイスのそれぞれに設けられ、前記少なくとも二つの検出受信デバイスのうちの対応する一方をそれぞれの検出送信量でチャージするように配置される、検出器システム。
【請求項2】
前記少なくとも二つの検出受信デバイスが、前記関連する検出送信デバイスのそれぞれのレバー経路またはスライダ経路の方向にずれるように位置決めされる、請求項1に記載の検出器システム。
【請求項3】
前記少なくとも二つの検出受信デバイスがホールセンサまたは光センサを備え、前記関連する検出送信デバイスのそれぞれが磁石または光源を備える、請求項1または2に記載の検出器システム。
【請求項4】
前記少なくとも二つの検出受信デバイスが同一の検出受信デバイスである、請求項1から3のうちのいずれか一項に記載の検出器システム。
【請求項5】
前記少なくとも二つの検出受信デバイスが異なる検出受信デバイスである、請求項1から4のうちのいずれか一項に記載の検出器システム。
【請求項6】
前記少なくとも二つの検出受信デバイスが、それぞれ相互に独立した検出範囲を備え、共通のハウジング組立体に収容される、請求項1から5のうちのいずれか一項に記載の検出器システム。
【請求項7】
前記少なくとも二つの検出受信デバイスおよび/または前記関連する検出送信デバイスのそれぞれが、耐水蒸気的かつ/または水密的に封入される、請求項1から6のうちのいずれか一項に記載の検出器システム。
【請求項8】
前記少なくとも二つの検出受信デバイスが静止的に位置決めされ、前記関連する検出送信デバイスのそれぞれが、可動的に位置決めされ、所定の軌道上で前記作動デバイスを作動することによって前記少なくとも二つの検出受信デバイスに向かって移動させることができる、請求項1から7のうちのいずれか一項に記載の検出器システム。
【請求項9】
前記少なくとも二つの検出受信デバイスが同一の出力信号を出力するようにプログラムされる、または異なる出力信号を出力するようにプログラムされる、請求項1から8のうちのいずれか一項に記載の検出器システム。
【請求項10】
請求項1から9のうちのいずれか一項に記載の検出器システムを備える、医療用モータシステム用の手持ち式制御デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はセンサ検出器システムに関し、特に、医療用、特に手術用モータシステム用のセンサ検出器システム、または医療用、特に手術用電気駆動装置用のセンサ検出器システムに関する。
【背景技術】
【0002】
手術用モータシステムのための周知のセンサ検出器システムは、例えば電気システム用のホールセンサを使用する単一チャンネルの非冗長検出器システムであり、とりわけ、手動の制御装置を備える既知のモータケーブルにおいても使用されている。これまで、かかる電気システムは、ユーザによって作動された後のレバーまたはスライダなどの作動デバイスをその初期位置に戻す機械的なリターンスプリングを使用していた。前記検出器システムのセンサから誤った信号が意図せず出力された場合、安全に係わる誤作動が発生する可能性がある。例えば、前記センサが、例えば当該センサの縮退故障エラーまたは固着エラー(例えば、センサゲートが入力または出力において特定の値に「固定される」エラー)によって突然故障した場合、ユーザが前記作動デバイスを作動させることなく作用部または器具が作動または始動しかねない。これにより、例えば、前記作用部および/または器具を持って手術部位にいるまたはその近くにいるユーザを驚かしかねない。前記非冗長検出器システムの欠点は、電子的な故障から保護されないことである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明は、前記信号の妥当性チェックを可能とし、前記システムの安全性を向上させるように医療用または手術用モータシステムまたは医療用または手術用電気駆動装置用のセンサ検出器システムを改良するという目的に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、本発明によれば、請求項1の特徴を備える検出器システムによって、および請求項15の特徴を備える手持ち式制御装置によって達成される。本発明の有利なさらなる展開は、添付の従属請求項の主題である。
【0005】
本発明は、手持ち式制御装置において多チャンネルおよびしたがって冗長信号および/または検出器システムを設けるという概念に基づく。互いに独立してだが並行に(同時に)制御される少なくとも二つのセンサの使用により、少なくとも一つのセンサの故障の発生時、エラーまたは欠陥が検出され、前記手持ち式制御装置が、当該手持ち式制御装置が通常接続されている外部制御ユニットによって停止されることができることが保証される。前記基礎となる概念によれば、前記少なくとも二つのセンサの出力信号または出力信号値は、同一または異なるようにプログラムすることができ、当該センサは、好ましくは、磁界によってまたは磁気的に、かつこの場合は、全てのセンサに対して一つの磁石によって、それぞれのセンサ群に対していくつかの磁石によって、またはそれぞれの各センサに対して個別の磁石によって制御することができる。さらに、前記一つまたは複数の磁石および/または前記一つまたは複数のセンサは、水密性および/または耐水蒸気性を得るために封入、例えば、ポッティングされてよい。さらに、前記一つまたは複数のセンサは、デバイスに固定的に配置されてよく、前記一つまたは複数の磁石は、前記一つまたは複数のセンサに向かって、例えばヒンジデバイスの場合は円弧状に、または線形に移動してよい。しかし、動作経路および/または動作の方向に関して制限はなく、原則として、任意の方向および/または任意の動作経路の移動が考えられる。最後に、いくつかの、かつ少なくとも二つの独立したセンサが、いくつかの、または少なくとも二つの独立した統合的センサ範囲を備えるモジュールに統合されてよい。
【0006】
手動式かつ/または足踏式制御装置用の冗長センサ検出器システムの使用により、作用部または器具の望ましくなくかつ意図しない始動に対して向上した安全性が提供され、したがって、前記器具が前記手術部位にあるときの該当するデバイスの始動、したがって傷付きやすい組織の損傷を防止する。
【0007】
具体的には、医療用モータシステム用のセンサ検出器システムは、当該医療用モータシステムを制御するように構成される手持ち式制御デバイスに収容され、当該手持ち式制御デバイスの作動デバイスの作動を検出するように配置される多チャンネル冗長検出デバイスを備え、当該多チャンネル冗長検出デバイスは、当該多チャンネル冗長検出デバイスの出力信号の妥当性がチェックされることを可能にするように設計される。
【0008】
前記多チャンネル冗長検出デバイスは、好ましくは、少なくとも二つの検出受信デバイスおよび少なくとも一つの検出送信デバイスを備える。
【0009】
前記少なくとも二つの検出受信デバイスは、好ましくは、同一の種類のものである。
【0010】
前記少なくとも一つの検出送信デバイスは、好ましくは、前記少なくとも二つの検出受信デバイスの全てに割り当てられ、当該少なくとも二つの検出受信デバイスの全てを基本的に同一の検出送信量でチャージするように配置されるちょうど一つの検出送信デバイスを備える。
【0011】
あるいは、関連の検出送信デバイスが、好ましくは、前記少なくとも二つの検出受信デバイスの各々に対して設けられ、前記少なくとも二つの検出受信デバイスのうちの対応する一つをそれぞれの検出送信量でチャージするように配置される。
【0012】
前記少なくとも二つの検出受信デバイスとして、好ましくは、少なくとも二つのホールセンサが配置され、前記少なくとも一つの検出送信デバイスとして少なくとも一つの磁石が配置される。
【0013】
あるいは、前記少なくとも二つの検出受信デバイスとして、好ましくは、少なくとも二つの光センサが配置され、前記少なくとも一つの検出送信デバイスとして少なくとも一つの光源が配置される。
【0014】
あるいは、前記少なくとも二つの検出受信デバイスが異なる検出受信デバイスであることが好ましい。
【0015】
後者の場合、二つの検出受信デバイスおよび二つの検出送信デバイスが配置され、当該二つの検出受信デバイスのうちの一方がホールセンサであり、当該二つの検出受信デバイスのうちの他方が光センサであり、当該二つの検出送信デバイスのうちの一方が、前記ホールセンサに関連付けられる磁石であり、当該二つの検出送信デバイスのうちの他方が、前記光センサに関連付けられる光源であることが好ましい。
【0016】
好ましくは、前記少なくとも二つの検出受信デバイスは、それぞれ互いに独立した検出範囲を備え、共通のハウジング組立体に収容される。
【0017】
好ましくは、前記少なくとも二つの検出受信デバイスおよび/または前記少なくとも一つの検出送信デバイスは、耐水蒸気的かつ/または水密的に封入される。
【0018】
好ましくは、前記少なくとも二つの検出受信デバイスは静止的に位置決めされ、前記少なくとも一つの検出送信デバイスは、可動的に位置決めされ、所定の軌道上を、前記作動デバイスを作動することによって、前記少なくとも二つの検出受信デバイスに向かってまたは当該少なくとも二つの検出受信デバイスから離れるように移動させることができる。
【0019】
好ましくは、前記少なくとも二つの検出受信デバイスは、同一の出力信号を出力するようにプログラムされ、あるいは、異なる出力信号を出力するようにプログラムされる。
【0020】
有利には、医療用モータシステム用の手持ち式制御デバイスが、上記のように構成される検出器システムを備える。
【0021】
言い換えれば、前記目的は、医療用モータシステム用の検出器システムであって、当該医療用モータシステムを制御するように構成される手持ち式制御デバイス(10)に収容されかつ当該手持ち式制御デバイス(10)の作動デバイス(22、23)の作動を検出するように位置決めされる多チャンネル冗長構成検出デバイス(40、42)を備え、
前記作動デバイスがレバーまたはスライダとして構成され、
前記多チャンネル冗長検出デバイス(40、42)が、少なくとも二つの検出受信デバイス(40)およびちょうど一つの検出送信デバイス(42)を備え、
前記ちょうど一つの検出送信デバイスが、前記少なくとも二つの検出受信デバイス(40)の全てに関連付けられ、当該少なくとも二つの検出受信デバイス(40)を基本的に同一の検出送信量でチャージするように配置され、
前記多チャンネル冗長検出デバイス(40、42)が、当該多チャンネル冗長検出デバイス(40、42)の出力信号の妥当性がチェックされることを可能にするように設計される、検出器システムによって達成される。
【0022】
好ましくは、上記検出器システムは、前記少なくとも二つの検出受信デバイス(40)が、前記ちょうど一つの検出送信デバイス(42)のレバー経路またはスライダ経路の方向にずれるように位置決めされるようにさらに展開される。
【0023】
好ましくは、上記検出器システムは、前記少なくとも二つの検出受信デバイス(40)がホールセンサまたは光センサを備え、前記ちょうど一つの検出送信デバイス(42)が磁石または光源を備えるようにさらに展開される。
【0024】
好ましくは、上記検出器システムは、前記少なくとも二つの検出受信デバイス(40)が類似の検出受信デバイスであるようにさらに展開される。
【0025】
好ましくは、上記検出器システムは、関連する検出送信デバイス(42)が、前記少なくとも二つの検出受信デバイス(40)のそれぞれに設けられ、前記少なくとも二つの検出受信デバイス(40)のうちの対応する一方をそれぞれの検出送信量でチャージするように配置されるようにさらに展開される。
【0026】
好ましくは、上記検出器システムは、前記少なくとも二つの検出受信デバイス(40)が異なる検出受信デバイスであるようにさらに展開される。
【0027】
好ましくは、上記検出器システムは、前記少なくとも二つの検出受信デバイス(40)が、それぞれ相互に独立した検出範囲を備え、共通のハウジング組立体に収容されるようにさらに展開させる。
【0028】
好ましくは、上記検出器システムは、前記少なくとも二つの検出受信デバイス(40)および/または前記ちょうど一つの検出送信デバイス(4)が、耐水蒸気的かつ/または水密的に封入されるようにさらに展開される。
【0029】
好ましくは、上記検出器システムは、前記少なくとも二つの検出受信デバイス(40)が静止的に位置決めされ、前記ちょうど一つの検出送信デバイス(42)が、可動的に位置決めされ、所定の軌道上で前記作動デバイス(22、23)を作動することによって前記少なくとも二つの検出受信デバイス(40)に向かって移動させることができるようにさらに展開される。
【0030】
好ましくは、上記検出器システムは、前記少なくとも二つの検出受信デバイス(40)が同一の出力信号を出力するようにプログラムされる、または異なる出力信号を出力するようにプログラムされるようにさらに展開される。
【0031】
さらに、前記目的は、上記に定めるような検出器システムを備える、医療用モータシステム用の手持ち式制御デバイスによって達成される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
本発明は、下記の図面を参照して、好適な例示的実施形態に基づき、さらなる利点および効果とともに、以下により詳細に説明される。
図1】本明細書に記載の例示的実施形態のうちの一つに係るセンサ検出器システムを含むレバー操作ユニットを備える医療用または手術用モータシステムの手持ち式制御デバイスの概略図である。
図2】本明細書に記載の例示的実施形態のうちの一つに係るセンサ検出器システムを含むスライダ操作ユニットを備える医療用または手術用モータシステムの手持ち式制御デバイスの概略図である。
図3】磁石および磁気に影響されるセンサに基づくセンサ検出器システムの例を使用する配置の基本原理である。
図4図3に係る前記配置を使用する手持ち式制御デバイスに関する概念の基本原理である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
同一または機能的に同等の特徴は、個別の図面において同一の参照記号を有し、便宜上、繰り返し説明しない。
【0034】
図1は、本明細書に記載の例示的実施形態のうちの一つに係るセンサ検出器システムを含むレバー操作ユニットを備える医療用または手術用モータシステムの手持ち式制御デバイス10の概略図を示す。
【0035】
下記の例示的な実施形態のうちの一つに係る差異を除き、かかる手持ち式制御デバイス10は、原理的に既知であり、本質的に、例えば(図示しない)外部制御ユニットを介して電子モータシステム(例えばハンドピースに一体化している)を供給および制御するための作用側モータケーブルコネクタ20、非作動状態のレバー22を出力位置に戻すように機能する機械的なリターンスプリング24によってばね付勢され、回動可能に前記手持ち式制御デバイス10のハウジング本体30上のレバー軸26上に連節される手動レバー22を備える。出力側には、曲げ防止シース32を備えるケーブル装置があり、当該ケーブル装置上に、手術部位での治療用カッターなどの前記モータシステムの前記モータによって駆動される医療器具が係合する。かかるシステムは、骨手術、関節鏡検査、神経外科、獣医学などの分野で使用可能であるが、それらの分野に限定されない。
【0036】
図2は、本明細書に記載の例示的実施形態のうちの一つに係るセンサ検出器システムを含むスライダ操作ユニットを備える医療用または手術用モータシステムの手持ち式制御デバイスの概略図を示す。
【0037】
図1に係る前記手持ち式制御デバイスとは異なり、図2に係る実施形態では、前記電子モータシステムの手動起動用に、レバー22の代わりにスライダ23が設けられ、当該スライダは、非付勢状態のスライダ23を初期位置に戻すように機能する機械的なリターンスプリング25によってばね付勢され、当該スライダは、前記手持ち式制御デバイス10のハウジング本体30上で変位経路27に沿って移動可能に連節される。
【0038】
本例示的実施形態によれば、図1または図2に係る前記手持ち式制御デバイス10は、前記医療用モータシステムを制御するように構成される前記手持ち式制御デバイス10に収容され、前記手持ち式制御デバイス10の前記レバー22または前記スライダ23の作動を検出するように位置決めされる多チャンネル冗長構成検出デバイスを備える前記医療用または手術用モータシステム用の検出器システムも有し、前記多チャンネル冗長構成検出デバイスは、前記センサシステムに配置されるセンサ40からの出力信号の妥当性がチェックされることができるように設計される。
【0039】
詳細には、前記多チャンネル冗長検出デバイスは、各々が検出受信デバイスを形成し、ホールセンサおよび/または例えば光センサ式の光学センサとして設計してよい本例示的実施形態に係る少なくとも二つのセンサ40と、検出送信装置を形成し、磁北極および磁南極をそれぞれ備える磁石として、または可視域または不可視域、例えば赤外域における光を放射する光源として対応的に設計されてよい当該センサ40に作用する少なくとも一つの可変送信器または(可変)トランスミッタ42とを備える。
【0040】
前記少なくとも二つのセンサ40および前記少なくとも一つのトランスミッタ42は、前記器具がユーザのリクエストなく作動することから前記手持ち式制御デバイス10を保護するように機能する多チャンネル(冗長)(信号)検出器システムを形成する。言い換えれば、全体的な組立体は、故障が検出されたときおよび/または前記レバー22または前記スライダ23がユーザによって作動されることなく作用部または器具が始動または作動することを前記多チャンネル冗長検出器システムによって防止するように設計される。したがって、前記センサ40のうちの一つが突然故障した場合、前記少なくとも二つのセンサ40の前記少なくとも二つの出力信号に基づくステータスの問い合わせまたは信号妥当性の問い合わせにより、エラー状態を検出することができ、前記手持ち式制御デバイス10のスイッチオフを引き起こすことにより、前記手術部位に作用部または器具を有する前記ユーザが当該器具の突然の始動によって驚かされることが防止される。互いに独立的にではあるが並行に(同時に)制御される少なくとも二つのセンサ40を使用することによって、一つのセンサ40が故障した場合、当該故障が検出され、前記手持ち式制御デバイス10が前記制御ユニットによって停止されることができることが保証される。
【0041】
対応的に構成されたステータスまたは信号妥当性の問い合わせにより、前記少なくとも二つのセンサ40は、例えば当該少なくとも二つのセンサ40が同一であるまたは同一の種類または構成のものである場合、基本的に同一の前記出力信号を出力するように配置されてもよいし、あるいは、例えば前記少なくとも二つのセンサ40が異なる種類または構成のものである場合、異なる出力信号の出力用に配置されてもよい。例えば、前記個別のセンサ40が、それぞれ、所定の妥当状態または妥当性条件から出力信号の組み合わせが外れている出力信号を伝達している場合、エラー状態が存在していると結論付けることができる。
【0042】
例示的な一実施形態において、前記少なくとも二つのセンサ40の全てに割り当てられ、当該少なくとも二つのセンサ40の全てを基本的に同一の検出送信変量でチャージするように配置されるちょうど一つのトランスミッタ42が設けられてもよい。この場合、両センサ40は、全く同一のトランスミッタ42、例えば、磁石または光源の前記基本的に同一の信号または対応する変量を受信または検出する。
【0043】
あるいは、前記少なくとも二つのセンサ40の各々が、各センサ40に個別に割り当てられるトランスミッタ42を有してもよく、当該トランスミッタ42は、当該トランスミッタ42のそれぞれの信号または変量を、それぞれに割り当てられた前記対応するセンサ4に供給するように配置される。
【0044】
例示的な一実施形態では、少なくとも二つのホールセンサが前記少なくとも二つのセンサ40として配置され、少なくとも一つの磁石が前記少なくとも一つのトランスミッタ4として配置される。別の例示的な一実施形態では、少なくとも二つの光センサが前記少なくとも二つのセンサ40として配置され、少なくとも一つの光源が前記少なくとも一つのトランスミッタ4として配置される。
【0045】
前記少なくとも二つのセンサ40が異なる設計のものである、または異なる(物理的な)量を検出するように配置されている場合、別の例示的な一実施形態において二つのセンサ40および二つのトランスミッタ42が配置されてもよく、当該二つのセンサ40のうちの一方がホールセンサであり、当該二つのセンサ40のうちの他方が光センサであり、当該二つのトランスミッタ4のうちの一方が前記ホールセンサに関連付けられる磁石であり、当該二つのトランスミッタ42のうちの他方が前記光センサに関連付けられる光源である。
【0046】
さらなる例示的な一実施形態では、それぞれが独立した検出範囲を有する前記少なくとも二つのセンサ40が、共通のハウジング組立体に収容されてよい。さらに、個別に設けられたセンサ40および/または共通のハウジング組立体に収容されるセンサ40は、それぞれ、耐水蒸気的かつ/または水密的に封入、例えば、グルーイングまたはポッティングされてよい。
【0047】
図1に示す前記手持ち式制御デバイス10では、前記少なくとも二つのセンサ40は、好ましくは、ハンドルまたはハンドピース内に静止的に収容かつ位置決めされ、前記少なくとも一つのトランスミッタ42は、前記レバー22内に可動的に配置され、所定の軌道上を、前記レバー22を作動する(押し下げるまたは解放する)ことによって前記少なくとも二つのセンサ40に向かってまたは当該少なくとも二つのセンサ40から離れるように移動させることができる。言い換えれば、前記レバー22を押し下げることによって当該レバー22を起動することにより、前記少なくとも一つのトランスミッタ42は、前記少なくとも二つのセンサ40に近づくので、当該少なくとも二つのセンサ40は、当該少なくとも一つのトランスミッタ42の出力変量(本例示的実施形態では、例えば、磁気変量または光束)を検出し、例えば、閾値を超過したときにスイッチし、または当該少なくとも二つのセンサ40の出力信号を変え、前記レバー22を解放することによって反対方向に当該レバー22を操作することによって、前記少なくとも一つのトランスミッタ42は、前記少なくとも二つのセンサ40から離れるように移動し、当該少なくとも二つのセンサ40によって検出可能な前記信号を弱める。前記レバーの幾何学的形状に基づき、前記トランスミッタ42の移動は、いずれの場合も、所定の移動経路または軌道に沿う。
【0048】
図2に示す前記手持ち式制御デバイス10では、前記少なくとも二つのセンサ40は、好ましくは、前記ハンドルまたはハンドピースに静止的に収容かつ位置決めされ、前記少なくとも一つのトランスミッタ42は、前記スライダ23の作動が第一の方向への前記トランスミッタ42の変位を生じ、前記リターンスプリング25の復帰力による前記スライダ23の解放が前記第一の方向とは反対の第二の方向への前記トランスミッタ42の変位に繋がるように、前記スライダ23と前記リターンスプリング25の間の前記変位経路27内に配置される。言い換えれば、前記スライダ23が作動/解放されたとき、前記少なくとも一つのトランスミッタ42は、適切な位置関係に位置決めされた前記少なくとも二つのセンサ40に向かってまたは当該少なくとも二つのセンサ40から離れるように前記変位経路27に沿って前後に移動されるため、当該少なくとも二つのセンサ40は、前記少なくとも一つのトランスミッタ42の前記出力変量(本例示的実施形態では、例えば、磁気変量または光束)を検出し、例えば、閾値を超過したときまたは前記検出可能な変量が減衰したとき、スイッチング処理を実行または当該少なくとも二つのセンサ40の出力信号を変化させる。ここでも、前記変位経路27は、前記少なくとも一つのトランスミッタ42が移動可能な所定の軌道に対応する。
【0049】
図3は、様々な例示的実施形態に基づく磁石および磁気に影響されるセンサに基づく前記センサ検出器システムの前記例を使用する多くの考え得るセンサ/トランスミッタの配置の基本的な図を示す。前記多くの配置は、図示の数に限定されないため、適用時に関しておよび/または特定の実用的な実施形態において、その他の設計になってもよい。
【0050】
図3(A)は、二つのセンサ40(ホールセンサ)と二つのトランスミッタ42(磁石)が並置される場合を示す。この場合、前記トランスミッタ42の各々は、それぞれに関連付けられる前記センサ40に対して個別に作用する。図3(B)は、二つのセンサ40(ホールセンサ)と二つのトランスミッタ42(磁石)が前後に配置される場合を示す。この場合も、前記トランスミッタ42の各々は、それぞれに関連付けられた前記センサ40に対して個別に作用する。図3(C)は、二つのセンサ40(ホールセンサ)が並置され、両センサ40に対して共通のトランスミッタ42(磁石)が設けられる場合を示す。ここでは、前記単一のトランスミッタ42が、当該トランスミッタ42に関連付けられる両センサ40に作用する。図3(D)は、二つのセンサ40(ホールセンサ)が前後に配置され、両センサ4に対して共通のトランスミッタ42(磁石)が設けられる場合を示す。ここでも、前記トランスミッタ42が、当該トランスミッタ42に関連付けられた両センサ40に作用する。図3(E)は、最後に、二つのセンサ40が共通のセンサハウジングに収容され、共通のトランスミッタ42が当該二つのセンサ40に割り当てられる場合を示す。
【0051】
なお、図3(A)から図3(D)、すなわち、二つの磁石またはトランスミッタ4を備える二つのセンサ40の場合、合計で三つの専用センサ端子が、各センサ40における端子として、すなわち、接地用、供給電圧用および出力または出力(信号)用の各端子として設けられてよく、図3(E)、すなわち、磁石またはトランスミッタ4を備えるダブルセンサでは、合計で四つの専用センサ端子が、接地用端子、供給電圧用端子および出力1または出力(信号)1用端子および出力2または出力(信号)2用端子として設けられてよい。
【0052】
図4は、図3に係る前記配置および/または例示的実施形態を使用する手持ち式制御デバイス(ここでは前記レバー22またはスライダ23を使用する)に関する概念の基本原理を示す。
【0053】
詳細には、図4(L1)から図4(L5)は、それぞれが一つまたは二つのトランスミッタ42を有するスライダに基づく制御デバイス((L1)、(L2)は並行、(L3)、(L4)、(L5)は、ずらされている)を示し、前記少なくとも一つの可動的に位置決めされたトランスミッタ42が、図示もされる矢印の方向(およびその反対)に、すなわち、前記少なくとも二つの静止的に位置決めされたセンサ40に向かって、または反対の処理に関しては当該センサ40から離れるように、想像線に沿って前記スライダ23(図2)によって変位可能である。
【0054】
図4(L6)から図4(L9)は、それぞれ一つまたは二つのトランスミッタ42を備えるレバーに基づく制御デバイス((L6)、(L7)は並行、(L8)、(L9)は、ずらされている)を示しており、前記少なくとも一つの可動的に設けられたトランスミッタ42は、前記少なくとも二つの静止的に位置決めされたセンサ40に向かって、または反対の処理に関しては当該センサ40から離れるように前記レバー22(図1)によって回動させることができる。図4(L6)から図4(L9)の各々に示す十字記号は、前記レバー22の回動点または回転軸を表し、当該回動点または回転軸周りに、想像線に沿って配置される前記少なくとも一つのトランスミッタ42が図示の前記矢印の方向に(およびその反対の方向に)回動させることができる。
【0055】
なお、図4では、前記少なくとも一つのトランスミッタ42は移動可能なものとして示されており、前記少なくとも二つのセンサ40は、静止的なものとして示されている。しかし、本発明は、必ずしもこれに限定されない。むしろ、前記少なくとも一つのトランスミッタ42が静止的に配置され、前記少なくとも二つのセンサ40が移動可能に配置される構成にすることも可能である。
【0056】
さらなる例示的実施形態は、異なるセンサの種類の組み合わせを含む。言い換えれば、受信器またはセンサ40としての二つのホールセンサと、トランスミッタ42としての二つの磁石とを備える上記のような考え得る個別の配置システムにおいては、異なるセンサの種類も組み合わされてよい。例えば、図4(L1)から図4(L9)の場合、前記二つのホールセンサは、光の放射が前記可視域または不可視域、例えば、前記赤外域にあってよい二つの光システム(光トランスミッタおよび光受信器)によって置き換えてもよい。これらの場合、関連する光源が、前記少なくとも一つのトランスミッタ42として、不透明またはクリアなプラスチックまたはガラスなどの半透明材料の背後に、または透明性に関してはクリアないし暗色であるが赤外線は透過可能な材料の背後に隠され、封入されかつ保護されてよい。
【0057】
あるいは、少なくとも図4(L1)から図4(L4)および図4(L6)から図4(L8)の場合、すなわち、トランスミッタ42が各センサ40に直接割り当てられているために当該トランスミッタ42が一つのセンサから別のセンサ40へと移動しないこれらの場合、前記二つのホールセンサのうちの一方のみが、かかる光システムによって置き換えられてもよい。
【0058】
さらに、上記の配置では、前記少なくとも二つのセンサ40を完全にアナログ式で、完全にデジタル式で、またはアナログ式とデジタル式の組み合わせで設けることができる。
【0059】
このように、電気的な手持ち式制御デバイスに関して冗長検出器システムが上述されており、当該冗長検出器システムは、好ましくは少なくとも二つのセンサ素子および少なくとも一つの磁石を備えるハウジング組立体の形状であり、当該少なくとも二つのセンサ素子および少なくとも一つの磁石は、したがって、少なくとも二重の(冗長な)問い合わせによって検出された誤信号、すなわち、リクエストなしの始動などの誤作動の発生時に前記手持ち式制御デバイスの機能を停止し、それによって、作用部(例えば、手術部位にある)の意図しない起動または意図しない継続的な作動が防止されることを保証するために、少なくとも二つのチャンネルを備えるように設計される。前記検出器システムは、したがって、医療用および/または手術用モータシステム用に設計され、当該医療用モータシステムを制御するように構成される手持ち式制御デバイスに収容されかつ当該手持ち式制御デバイスの作動デバイスの作動を検出するように位置決めされる多チャンネル冗長検出デバイスを含んでよく、当該多チャンネル冗長検出デバイスは、当該多チャンネル冗長検出デバイスの出力信号の妥当性がチェックされることを可能にするように設計される。
【0060】
前記説明した例示的実施形態および一定の比率で縮小拡大されていない前記図面は、特徴に関して一例に過ぎないこと、および前記説明に係る範囲および添付の請求項が定める保護範囲から逸脱することなく当業者は容易に修正し得ることが分かる。同様に、外形、寸法などは、本発明に係る効果および機能が当該外形、寸法などによって提供されかつ達成される限り、どのような特別な制限も受けない。
図1
図2
図3(A)】
図3(B)】
図3(C)】
図3(D)】
図3(E)】
図4