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特許7003069引出し要素を取り付ける方法及び引出し要素を変位可能に取り付けるための構成キット、家具及び屋内器具
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-05
(45)【発行日】2022-01-20
(54)【発明の名称】引出し要素を取り付ける方法及び引出し要素を変位可能に取り付けるための構成キット、家具及び屋内器具
(51)【国際特許分類】
   A47B 88/423 20170101AFI20220113BHJP
   A47B 88/49 20170101ALI20220113BHJP
【FI】
A47B88/423
A47B88/49
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2018568890
(86)(22)【出願日】2017-06-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-09-05
(86)【国際出願番号】 EP2017066076
(87)【国際公開番号】W WO2018002191
(87)【国際公開日】2018-01-04
【審査請求日】2020-06-01
(31)【優先権主張番号】102016111857.5
(32)【優先日】2016-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】504467554
【氏名又は名称】ポール ヘティッヒ ゲーエムベーハー ウント ツェーオー. カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クロートゥ, トストゥン
(72)【発明者】
【氏名】ラッツ, ウルリヒ
(72)【発明者】
【氏名】レームクール, ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】アーンスト, エドゥアルト
(72)【発明者】
【氏名】イェーリンク, ペーター
(72)【発明者】
【氏名】バストコウスキー, セバスティアン
【審査官】広瀬 杏奈
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/198604(WO,A1)
【文献】特表2012-526565(JP,A)
【文献】特表2014-503321(JP,A)
【文献】米国特許第03722964(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 88/00-88/994
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
引出し要素を取り付ける方法であって、
第1の側壁上に第1の引出しガイド(1)を固定し、第1の側壁の反対側の第2の側壁に第の引出しガイド(1)を固定するステップと、
2つの引出しガイド(1)の可動レール(8、9)の動きを同期させるデバイス(2)を取り付けるステップであって、少なくとも1つの方向変換要素を有するホルダ(3)が各引出しガイド(1)上に差し込まれ又はラッチされるステップとを備え、
ホルダ(3)のハウジングの接触ウエブ(30)が、中間レール(8)の開口(33、34)に、2つの突出フック(31、32)にて位置決めされ、第1の開口(34)に後部フック(32)が挿入され、第2の開口(33)に前部フック(31)が挿入され、前部及び後部フック(31、32)は工具を使用せずに、中間レール(8)上でホルダ(3)を旋回させてラッチすることを可能にするキャッチフックとして形成され、又は、
ホルダ(3)は、第1の引出しガイド(1)又は第2の引出しガイド(1)の中間レール(8)にて、フック(80、81)に固定される取付け部分を備え、該取付け部分は各フック(80、81)が挿入されるU字形の受入れ部(132)を備え
更に、引出しガイド(1)上に配備された方向変換ローラ(11)の周りに引張りケーブル(4)を設置するステップと、
接続デバイス(12)を介して各引出しガイド(1)を引張りケーブル(4)に連結するステップと、
ケーブルの張力を設定するデバイスを介して引張りケーブル(4)の張力を設定するステップを含む、方法。
【請求項2】
少なくとも1つの方向変換要素を有する少なくとも1つのホルダ(3)上にスライド(20)が配備され、該スライド(20)は取付け位置から固定位置に動かされて引張りケーブル(4)を引っ張り、引張りケーブル(4)に特定の張力を付与する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
複数の受入れ部(41)を備えた2つの張力決めスリーブ(40)がスライド(20)を用いてホルダ(3)のハウジングに対して異なる位置に固定可能である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
スライド(20)及び/又は受入れ部(41)は挿入斜面(45)を備えて、スライド(20)の受入れ部(41)内への押し込みを容易にする、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
接続デバイス(12)は固定ガイドレール(7)及び可動スライドレール(9)に固定されたホルダを有し、引出しケーブル(4)の2つの部分に接続された連結要素(50)が各レールに挿入される、請求項1乃至4の何れかに記載の方法。
【請求項6】
引出し要素を変位可能に取り付けるための構成キットであって、引出し要素は両側壁に取り付け可能な第1及び第2の引出しガイド(1)と、引張りケーブル(4)を有して、2つの引出しガイド(1)の可動レール(8、9)の動きを同期させる予め取り付けられたデバイス(2)を有し、可動レール(8、9)の動きを同期させるデバイス(2)は、2つの引出しガイド(1)に工具無しで取付け可能であり、
可動レール(8、9)の動きを同期させるデバイス(2)は、方向変換要素を有する2つのホルダ(3)を備え、1つのホルダ(3)は後部領域にて各レール(8)にラッチされ又は差し込まれ
ホルダ(3)のハウジングの接触ウエブ(30)が、第1の引出しガイド(1)及び第2の引出しガイド(1)の中間レール(8)の開口(33、34)に挿入可能な2つの突出フック(31、32を有し、前部及び後部フック(31、32)は工具を使用せずに、中間レール(8)上でホルダ(3)を旋回させてラッチすることを可能にするキャッチフックとして形成され、又は、
ホルダ(3)は、第1の引出しガイド(1)又は第2の引出しガイド(1)の中間レール(8)にて、フック(80、81)に固定される取付け部分を備え、該取付け部分は各フック(80、81)が挿入されるU字形の受入れ部(132)を備えている、構成キット。
【請求項7】
可動レール(8、9)の動きを同期させるデバイス(2)は、スライド(20)及び張力決めスリーブ(40)を有してケーブル張力を設定するデバイスを有し、スライドは張力決めスリーブ(40)上の受入れ部(41)内に押し込まれ、ハウジング上の所望位置に張力決めスリーブ(40)を固定する、請求項6に記載の構成キット。
【請求項8】
前記スライド(20)はハウジングに2つの張力決めスリーブ(40)を同時に固定する、請求項に記載の構成キット。
【請求項9】
スライド(20)はホルダ(3)に係留するように予め取り付けられ、張力決めスリーブ(40)が変位可能な取付け位置と張力決めスリーブ(40)が固定された固定位置との間のみ移動可能である、請求項6乃至の何れかに記載の構成キット。
【請求項10】
少なくとも1つのレール(7、9)上に接続デバイス(12)が配備され、引張りケーブル(4)の2つの端部を互いに接続する連結要素(5)が接続デバイスに差し込まれ又はラッチされる、請求項6乃至の何れかに記載の構成キット。
【請求項11】
張力決めスリーブ(40)上にストッパ(44)が形成され、張力決めスリーブ(40)は方向変換要素を有するホルダ(3)上に係留するように固定される、請求項6乃至10の何れかに記載の構成キット。
【請求項12】
少なくとも1つの引出し要素を備えた家具であって、該引出し要素は請求項6乃至11の何れかに記載の構成キットによって、動作が同期される、家具。
【請求項13】
少なくとも1つの引出し要素を備えた屋内器具であって、該引出し要素は請求項6乃至11の何れかに記載の構成キットによって、動作が同期される、屋内器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引出しを取付ける方法、及び両側壁に取り付け可能である第1及び第2の引出しガイドを有する引出し要素を移動可能に取り付けるための構成キット、及び引張りケーブルを用いて2つの引出しガイドの可動レールの動作を同期させる予め取り付けられたデバイスに関する。両側壁は家具本体又は家庭用器具の側壁であることが好ましい。
【背景技術】
【0002】
ドイツ公開公報102013113672号には、2つの引出しガイドが家具の両側壁に取付け可能である引出しガイドシステムを開示しており、引出しガイドの可動レールは同期のためのデバイスを介して互いに連結されている。この場合、同期のためのデバイスは、引出しガイドの中央レール上の方向変換ローラと、引張りケーブルを可動スライドレール内の固定ガイドレール上に固定するためのホルダとを備える。この同期のためのデバイスはそれ自体が実績があるが、方向変換(deflection)ローラを有するホルダをねじによって中間レールの後部領域に設置しなければならないので、設置は比較的複雑である。さらに、ハウジングの張力決めスリーブの溝に挿入されているロック要素は、引張りケーブルを引っ張るために張力決めデバイスに取り付ける必要がある。ここで問題は、ロック要素を挿入することは溝が整列されているときにのみ可能であるということであり、これは特に暗い光条件において困難である。更に、ロック要素は張力デバイスから取り外されて紛失する可能性がある。個々のケーブル引張り部を有する引張りケーブルの設置もまた、全てのケーブル引張り部を別々に設置しなければならないので、比較的複雑である。
【0003】
従って、本発明の目的は引出し要素を取付ける方法及び引出し要素を変位可能に取り付けるための構成キットを提供することであり、簡単な方法での取付けを可能にし、効率的な輸送を可能にする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、請求項1の特徴を有する方法、及び請求項6の特徴を有する構成キットによって達成される。
【0005】
本発明に従った方法にて、先ず2つの引出しガイドが両側に固定され、続いて2つの引出しガイドの可動レールの動作を同期させるデバイスが取り付けられる。この場合、少なくとも1つの方向変換要素(deflection element)を有するホルダが各引出しガイド上に差し込まれるかまたはラッチ留めされ、引張りケーブルが既に引出しガイド上に予め設置された方向変換ローラの周りに置かれる。次いで、各引出しガイドの少なくとも1つのレールが接続デバイスを介して引張りケーブルに連結され、引張りケーブルの張力がケーブル張力を設定するデバイスを介して調整される。従って、少なくとも1つの方向変換要素を有するホルダが差し込まれるかまたはラッチされるので、取付けは、特に道具なしで、わずかなステップで実行され得る。更に、引張りケーブルは方向変換ローラの周りに予め取り付けられたユニットとして置かれ、接続デバイスを介してレールに差し込まれるかまたはラッチされる。従って、2つの引出しガイドを有する引出しシステムは、短時間で設置されて、引出し要素を引出しガイドに固定することができる。
【0006】
取付け位置から固定位置に移動するスライドは、引張りケーブルの張力を設定すべく少なくとも1つの方向変換要素上に配備されるのが好ましい。複数の受入れ部を備えた2つの張力決めスリーブは、この場合スライドを用いて、ホルダのハウジングに対して異なる位置に固定される。スライドを用いて、2つの張力決めスリーブがハウジング上に同時に固定されることにより、構成要素の数が減じられる。簡単な取付けの為に、この場合スライド上及び/又は引張りデバイス上の受入れ部上に挿入斜面が配備されて、スライドの受入れ部内への案内を容易にする。
【0007】
接続デバイスが取り付けられて、固定ガイドレール上及び可動スライド上に固定されたホルダが付与されて、各場合にて引張りケーブルの2つの箇所に接続された連結要素が、特にロッキング又はクランピングにより挿入可能であるのが好ましい。引張りケーブルの2つの端部が連結要素を介してレール上に同時に取り付けられる。
【0008】
本発明に従った構成キットにて、可動レールの動きを同期させるデバイスの取り付けは、2つの引出しガイド上に工具無しで実行される。方向変換要素を有する2つのホルダは、レールの後部領域、特に中間レールに差し込まれるかまたはラッチされるのが好ましい。更に引張りケーブルの設定は、ばねによる負荷が掛けられた張力決めスリーブを介して2つのホルダの1つで実行されるのが好ましい。次に張力決めスリーブはスライドを用いて設定位置に固定され、該スライドは張力スリーブの受入れ部内に挿入可能で、ホルダのハウジング上の所望位置に固定し、2つの張力決めスリーブはスライドを介して同時に固定される。構成キットはこのように3つのユニット、即ち2つの引出しガイド及び可動レールの動きを同期させるデバイスから構成され、該デバイスは数回の取付けステップのみにて工具無しで取り付けられる。同期させるデバイスはこの場合、ホルダ上に係留するようにスライドを固定し、スライドは変位可能な張力決めスリーブを有する取付け位置と、固定された張力決めスリーブを有する固定位置との間を移動可能である。更に、張力決めスリーブ上にストッパが形成されて、方向変換要素とともに張力決めスリーブをホルダ上に係留するように固定する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明は添付の図面を参照して例示的な実施形態を基に、以下により詳細に説明される。
図1A】引出しを変位可能に取り付けるための構成キットの例示形態であって、取付け前を示す。
図1B図1Aの構成キットを示し、取付け後を示す。
図1C】輸送配置に於ける図1Aの構成キットを示す。
図2A図1の構成キットのホルダの取付け中を示す。
図2B図1の構成キットのホルダの取付け中を示す。
図3A図1の構成キットの連結要素の取付け中を示す。
図3B図1の構成キットの連結要素の取付け中を示す。
図4A図3の連結要素の詳細を示す。
図4B図3の連結要素の詳細を示す。
図5】取付け位置に於ける図1の構成キットの方向変換ローラの詳細を示す。
図6図5の方向変換ローラの側面図である。
図7A】取付け位置に於ける引張りケーブルを設定するデバイスを示す。
図7B】取付け位置に於ける引張りケーブルを設定するデバイスを示す。
図8A】固定位置に於ける引張りケーブルを設定するデバイスを示す。
図8B】固定位置に於ける引張りケーブルを設定するデバイスを示す。
図9A】張力決めスリーブを備える引張りケーブルを設定するデバイスを示す。
図9B】張力決めスリーブを備える引張りケーブルを設定するデバイスを示す。
図10】引張りケーブルを設定するデバイスの斜視図であり、ホルダを備えていない。
図11A】引張りケーブルを設定するデバイスの詳細図である。
図11B】引張りケーブルを設定するデバイスの詳細図である。
図11C】引張りケーブルを設定するデバイスの詳細図である。
図11D】引張りケーブルを設定するデバイスの詳細図である。
図12】取付け位置に於ける引張りケーブルを設定するデバイスの斜視図である。
図13A】引張りケーブルを設定するデバイスの部分斜視図であり、ハウジングを備えている。
図13B】引張りケーブルを設定するデバイスの部分斜視図であり、ハウジングを備えていない。
図14図1の構成キット用の修正されたホルダの斜視図である。
図15A図14のホルダの取付け中を示す。
図15B図14のホルダの取付け中を示す。
図16A】ホルダ用の位置決めオプションを有する引出しガイドの図である。
図16B】ホルダ用の位置決めオプションを有する引出しガイドの図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
引出し要素を移動可能に取り付けるための構成キットは、家具本体または家庭器具の第1の側壁に設置可能な第1の引出しガイド1と、反対側の側壁に設置可能な第2の引出しガイド1とを備える。この場合、各引出しガイド1は、側壁上の設置角度部10を介して固定可能である。両引出しガイドの動きを同期させるために、2つの引出しガイド1を互いに接続するデバイス2が設けられている。可動レールの動作を同期させるデバイス2は各々少なくとも1つ、好ましくは2つの方向変換要素、特に2つの方向変換ローラ(deflection rollers)を有する2つのホルダ3と、1又は複数の引張りケーブル部から製造される引張りケーブル4と、引張りケーブル4を引出しガイド1に連結させる連結要素5を備える。更に、引張りケーブル4を引っ張るデバイスの一部である2つのスリーブ形のジャケット6が2つのホルダ3間に配置されている。
【0011】
図1Aに示す構成キットはこのように、実質的に3つのユニット、即ち2つの引出しガイド1と可動レールを同期させるデバイス2から構成される。デバイス2は図2Bでは取付け位置にて示され、取り付けは工具無しで行われる。
【0012】
図1Bは、2つのホルダ3が各引出しガイド1の中間レール8の後部領域に固定されることを示している。各引出しガイド1はこの場合、設置角度部10に固定された固定ガイドレール7と、中間レール8と、引出しのような引出し要素に固定され得るスライドレール9とを有する。更に、引張りケーブル4がその周りを案内される方向変換ローラ11は、前方領域において中間レール8上で回転可能であるように取り付けられる。この場合、引張りケーブル4は、連結要素5を介して固定ガイドレール7に連結されており、別の連結要素5がスライドレール9に連結されている。引張りケーブル4は連結要素5によって、一方の引出しガイド1のスライドレール9から2つのホルダ3を介して他方の引出しガイド1のガイドレール7上の連結要素5へと循環し、案内されるように構成されており、連結要素5から方向変換ローラ11を介してスライドレール上の連結要素に戻るように構成されている。
【0013】
図1Cは、構成キットは、輸送のために非常にスペースを節約するように配置することができることを示し、従って非常に費用効果の高い輸送が実施可能である。この構成はドイツ公開公報102013113672号の引出しガイドでは不可能である、何故なら同期用のデバイスは輸送前に工場にて引出しガイドに既に接続されているからである。
【0014】
図2A及び図2Bは、中間レール8に取り付けられるホルダ3の取付けを示している。この目的から、2つの突出フック31、32を有するハウジングの接触ウェブ30が中間レール8の開口33、34に配置され、最初に後部フック32が開口34に挿入され、次に前部フック31が開口33に挿入される。この場合、フック31はキャッチフックとして形成されているので、工具を使用せずに中間レール8上でホルダ3を旋回させてラッチすることができる。
【0015】
更に、ドライバ12が図2A及び図2Bに示され、連結要素5がドライバ上に取り付けられる。ドライバ12はスライドレール9又はガイドレール7上に取り付けられる部分を有し、該部分から2つの保持ウェブ13及び2つの受入れウェブ14が突出する。
【0016】
ドライバ12は、図3A及び図3Bに拡大して示される。円筒形の連結要素5の取付け中、連結要素は2つの受入れウェブ14の間に挿入され、それにより連結要素5は2つの受入れウェブ14の間で軸方向に移動不能に保持されることができる。受入れウェブ14は、この場合、それぞれ1つの円筒形の取付け部52を取り囲み、それによって引張りケーブル4が連結要素5に固定される。円筒形の取付け部52は、2つの保持ウェブ13の間で引張りケーブル4の長手方向に配置されており、引張りケーブル4の長手方向の動きに対しても固定されている。受入れウェブ14と保持ウェブ13とがドライバ12と共にU字形の受入れ部を形成するので、連結要素5は上方から受入れウェブ14上に差し込むことができる。差し込まれた位置では、図3Bに示すように、受入れウェブ14は円筒形の取付け部52を囲む。
【0017】
連結要素5は、図4A及び図4Bに詳細に示され、円筒形のスリーブ50を有して、該スリーブは両側に形成された多数の留め要素51を有する。引張りケーブル4上に固定され、溝53が形成された円筒形の取付け部52は円筒形のスリーブ50の両側の各々内に差し込まれる。2つの取付け部52は、スリーブ50の各留め要素51上の溝53にラッチし、引張りケーブル4の2つの部分は互いに接続される。
【0018】
ガイドレール7上のドライバ12に隣接して配置される方向変換ローラ11の領域が図5に示される。この場合、方向変換ローラ11は中間レール8上にて回転可能に取り付けられ、引張りケーブル4を約180°方向を変換する。
【0019】
方向変換ローラ11は図6に詳細に記載される。方向変換ローラ11は引張りケーブル4用にU字形の受入れ部15を備え、一方の側壁16が中間レール8に向かって、対向する側壁17よりも高く形成されている。方向変換ローラ11は更に中間レール8に差し込まれるベアリング部18を有する。
【0020】
ケーブル4を引っ張るデバイスが配備されるホルダ3は図7A及び図7Bに示される。ホルダ3はハウジングを備え、該ハウジング上に2つのフック31、32を有する接触ウェブ30が一体に形成される。更にホルダ3上にスライド20が配備され、スライドは2つの位置の間を前後する。更にハウジングは2つのスリーブ35、36を有し、各々に張力決めスリーブ40が配置され、張力決めスリーブ40を通って引張りケーブル4が案内される。この場合、ホルダ3のハウジングを通る断面が図7Bに示されており、スライド20が取付け位置に配置され、スライド20の刀21が張力決めスリーブから離間して配置されていることが分かる。スライド20は、両側に凹部23を有するアーム22を含み、各アーム22は、スライド20がホルダ3に確実に固定されることを保証する、内側に突出するストッパ24を有する。
【0021】
スライド20を張力決めスリーブ40が可動な取付け位置から固定位置に移動させるために、図8A及び図8Bに示すように、スライド20はホルダ3内に押し込まれる。押し込みによって、まず2つのアーム22が第1のキャッチ位置からロック解除され、次いでアーム22の第2のキャッチ凹部23がホルダ3のキャッチ突起38と係合するようにホルダ3内に十分に押し込まれる。この場合、スライド20上の刀21もスリーブ35、36との間に挿入され、1つの張力決めスリーブ40が刀21を介して各スリーブ35及び36に固定されている。
【0022】
ホルダ3のスリーブ35および36内に配置されている張力決めスリーブ40が図9Aおよび図9Bに示されている。張力決めスリーブ40は内部空洞を含み、その内部に引張りケーブル4が案内され、ジャケット6の端部片60内に押し込まれる。張力決めスリーブ40の外側には、リブ42を介して互いに分離された複数の溝付き受入れ部41が形成されている。受入れ部41は、少なくとも刀21の領域に設けられているが、他の周辺点にも設けることができる。張力決めスリーブ40は、ばね61を介してホルダ3から予め張力をかけられており、最大引張り距離は、張力決めスリーブ40のアーム43上に突出するストッパ44によって予め定められている。図9Bに示すように、ストッパ44はスリーブ35を支えるので、張力決めスリーブ40はこの位置からホルダ3内にさらに押し込むことができるが、それ以上引き出すことはできない。
【0023】
引張りケーブル4の張力は、張力決めスリーブ40の位置を介して設定することができる。引張りケーブル4はジャケット6を通って案内され、その間にジャケット6が配置されている2つの張力決めスリーブ40のうちの一方の動きの場合、ジャケット6内の引張りケーブル4のための経路は一定のままである、何故なら引張りケーブルは単に経路が短くなった場合にいくらか強く撓むからである。引張りケーブル4は、張力決めスリーブ40がホルダ3から外側へ移動されるときに張力が与えられ、張力決めスリーブ40がばね61の力に抗してホルダ3内に押し込まれるときに弛緩される。引張りケーブル4の張力は、ばね61によって設定することができ、取付け公差を補償することができる。
【0024】
図10にて、スライド20と2つの張力決めスリーブ40がホルダ3のハウジング無しで示される。スライド20は、アーム22を用いて張力決めスリーブ40をU字形に囲み、張力決めスリーブ40の固定は、張力決めスリーブ40の溝付き受入れ部41に挿入される中間刀21を介して行われる。従って、2つの張力決めスリーブ40の位置決めは1つのスライド20を用いて固定される。
【0025】
図11A乃至図11Dは、刀21が受入れ部41への挿入時に挿入斜面45によって先端で案内され、その結果、刀21に対する張力決めスリーブ40の位置とは無関係に、受入れ部41のうちの1つに動きが生じることを示している。次に、刀21を2つのリブ42の間にて、隣接する2つの先端の間に配置されている受入れ部41内に挿入することができる。この場合、張力決めスリーブ40は互いに独立して取付け位置に移動することができるので、引張りケーブル4の張力を設定した後、スライド20は2つの張力決めスリーブをホルダ3上に固定するために固定位置に移動する。取付け時に、刀21が受入れ部41に挿入されることを正確に保証する必要はないが、むしろ挿入斜面45故に、刀は対応する受入れ部41内に刀自体で捕捉する。
【0026】
図12にて、ホルダ3が固定位置にて示されており、固定位置ではスライド20が押し込まれて張力決めスリーブ40をスリーブ35及び36に固定する。図13Aにて、ホルダ3のハウジングの一部が省略され、スライド20が引張りケーブル4の長手方向の動きに抗してスリーブ35および36内の張力決めスリーブ40を固定していることが認識できる。更に、引張りケーブル4を約90°方向変換するために、方向変換ローラ37がホルダ3上で回転可能に取り付けられていることが判る。この場合において、2つの方向変換ローラ37がホルダ3の内部で回転可能であるように取り付けられており、各方向変換ローラは引張りケーブル4の一部分を方向変換する。この場合、方向変換ローラ37は、ホルダ3に設けられた軸を中心に回転可能である。
【0027】
図14は、引出しガイド1の中間レール8上に取り付けられているホルダ3’の修正された例示的な実施形態を示している。ホルダ3’ は、U字形の受入れ部132を有して中間レール8上のフック80および81に固定するための取付け部分を含み、受入れ部132の各々にフック80または81が挿入可能である。ホルダ3’は、他の点では前述の例示的な実施形態におけるように構成されており、ケーブル張力を設定するためのスライド20を備える。
【0028】
図15A及び図15Bに示すように、ホルダ3’は中間レール8の2つのフック80及び81内に押し込まれ、フック80はU字形の受入れ部132に係合し、フック80と中間レール8の間に底部130を固定する。同様の方法で、フック81はU字形の受入れ部133に係合して、ホルダ3’は、中間レール8上の2つのフック80及び81に固定される。
【0029】
図16Aは、前部開口33と後部開口34を有する中間レール8を有する引出しガイド1を示す。開口33、34は夫々、中間レール8上の異なる点に配置されている。このように、デバイス2は、引出しガイドの中間レール8上の異なる位置に固定され、取付け空間、特に屋内器具又は家具本体にて、引出し要素の深さ及び/又は既存の深さに個々に適合させることができる。図16Bにて、同様に前部フック80と後部フック81を有する引出しガイド1が示されており、フック80、81は中間レール8上の異なる位置に配置されている。中間レール8上の開口33、34及び/又はフック80、81の位置は、ほんの一例であり、変更することができる。中間レール8上に同時に複数の開口33、34及び/又はフック80、81を設けることも可能であり、それらは取付け中に部分的にしか占有されない。
【0030】
1 引出しガイド
2 デバイス
3、3’ホルダ
4 引張りケーブル
5 連結要素
6 ジャケット
7 ガイドレール
8 中間レール
9 スライドレール
10 取付け角度
11 方向変換ローラ
12 ドライバ
13 保持ウェブ
14 受入れウェブ
15 受入れ部
16 側壁
17 側壁
18 ベアリング部
20 スライド
21 刀
22 アーム
23 留め凹部
24 ストッパ
30 接触ウェブ
31 フック
32 フック
33 開口
34 開口
35 スリーブ
36 スリーブ
37 方向変換ローラ
38 留め突起
40 張力決めスリーブ
41 受入れ部
42 リブ
43 アーム
44 ストッパ
45 挿入斜面
50 スリーブ
51 留め要素
52 取付け部
53 溝
60 端部片
61 ばね
80 フック
81 フック
130 底部
132 受入れ部
133 受入れ部








図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
図11A
図11B
図11C
図11D
図12
図13A
図13B
図14
図15A
図15B
図16A
図16B