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特許7003149少なくとも1つの棚を含む家庭用器具、特に冷蔵庫又は冷凍庫又は家具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-05
(45)【発行日】2022-01-20
(54)【発明の名称】少なくとも1つの棚を含む家庭用器具、特に冷蔵庫又は冷凍庫又は家具
(51)【国際特許分類】
   F25D 25/02 20060101AFI20220113BHJP
   A47B 46/00 20060101ALI20220113BHJP
   F16C 31/04 20060101ALI20220113BHJP
【FI】
F25D25/02 G
A47B46/00 501H
F16C31/04
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019551977
(86)(22)【出願日】2018-03-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-06-11
(86)【国際出願番号】 EP2018056696
(87)【国際公開番号】W WO2018172215
(87)【国際公開日】2018-09-27
【審査請求日】2021-02-24
(31)【優先権主張番号】102017106171.1
(32)【優先日】2017-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】504467554
【氏名又は名称】ポール ヘティッヒ ゲーエムベーハー ウント ツェーオー. カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レハーゲ, ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】マッテス, アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ジーゲルト, ウルリヒ
(72)【発明者】
【氏名】レーマン, ベルント
(72)【発明者】
【氏名】ヴィンクラー, マティアス
(72)【発明者】
【氏名】フィードラー, ゴットフリート
(72)【発明者】
【氏名】エンダーライン, ハルトムート
【審査官】笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第02647812(US,A)
【文献】仏国特許出願公開第02777490(FR,A1)
【文献】西独国特許出願公開第3809992(DE,A1)
【文献】米国特許出願公開第2002/0117943(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 25/00 ~ 25/02
A47B 46/00
A47B 49/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの格納空間(13、24)を有し、該格納空間内にベアリング領域(5)を有する少なくとも1つのキャリアプレート(3)、及びキャリアプレート(3)のベアリング領域(5)上を回転移動可能且つ並進移動可能である棚(2)が配置され、棚(2)は平坦なベアリング領域(4)を有し、該ベアリング領域(4)はキャリアプレート(3)のベアリング領域(5)と面平行に整列され、棚(2)はキャリアプレート(3)に対して第1の回転方向(R1)に回転可能であり、所定の方向(A)に変位可能である家庭用器具又は家具において、
ベアリング領域(4、5)のベアリング面は互いに対向し、夫々が閉じた周辺走行溝(44、45、51)を有し、該走行溝内をローラ本体(6)が案内され、
ベアリング領域(5)の平面で規定された方向(A)に力が棚(2)に作用する場合、棚(2)はベース位置から中間位置内へ、少なくとも一部が積極的にガイドされ、同時に回転及び並進運動で移動可能であるように走行溝(44、45、51)は形成されて、棚(2)は2つの可能な反対の回転方向(R1、R2)の1つにキャリアプレート(3)に対して回転し、所定の方向(A)に移動し、
棚(2)は中間位置に移動した後、2つの可能な反対の回転方向(R1、R2)の何れかでキャリアプレート(3)に対して旋回可能であり、棚(2)は、所定の方向(A)とは反対に変位可能であり、180°の旋回時に再びベース位置を占有する、家庭用器具又は家具。
【請求項2】
2つの閉じた周辺走行溝(44、45)がベアリング領域(4)の1つに導入され、1つの閉じた周辺走行溝(51)他のベアリング領域(5)に導入される、請求項1に記載の家庭用器具又は家具。
【請求項3】
ローラ本体(6)は、ボールとして形成される、請求項1又は2に記載の家庭用器具又は家具。
【請求項4】
互いに離れて位置する4つのローラ本体(6)が走行溝(44、45、51)にガイドされる、請求項1乃至3の何れかに記載の家庭用器具又は家具。
【請求項5】
ローラ本体(6)は、ローラ本体ケージ(7)に拘束されて保持される、請求項1乃至4の何れかに記載の家庭用器具又は家具。
【請求項6】
ベアリング領域(4、5)は、夫々キャリアプレート(3)又は棚(2)と一体に形成されている、請求項1乃至5の何れかに記載の家庭用器具又は家具。
【請求項7】
少なくとも1つのベアリング領域(4、5)は、キャリアプレート(3)又は棚(2)に対応して形成された受け部に挿入可能な別個の要素として形成され、又は接続手段によって夫々キャリアプレート(3)又は棚(2)に取り付け可能な別個の要素として形成された、請求項1乃至の何れかに記載の家庭用器具又は家具。
【請求項8】
ガイド(8)が1つのベアリング領域(4、5)に配置され、ガイド及び保持要素(9)が他のベアリング領域(4、5)内又はベアリング領域(4、5)上に配置された、請求項1乃至6の何れかに記載の家庭用器具又は家具。
【請求項9】
閉じた周辺走行溝(44、45、51)は、夫々棚(2)のベアリング領域(4)及びキャリアプレート(3)のベアリング領域(5)の中心点の周りに、棚(2)の並進移動の方向(A)にキャリアプレート(3)の前縁まで導入される、請求項1乃至8の何れかに記載の家庭用器具又は家具。
【請求項10】
閉じた周辺走行溝(44、51)は、ベース位置にてローラ本体(6)用に複数のキャッチポイント(43、53)を有し、棚(2)が180°回転するごとに到達する、請求項1乃至9の何れかに記載の家庭用器具又は家具。
【請求項11】
棚(2)は、移動全域に亘って棚(2)の並進運動の方向(A)の反対側のキャリアプレート(3)の後端からはみ出さない、請求項1乃至10の何れかに記載の家庭用器具又は家具。
【請求項12】
キャリアプレート(3)は、格納空間内に横向きに設置するか、吊下げまたは垂直に立てることができる、請求項1乃至11の何れかに記載の家庭用器具又は家具。
【請求項13】
キャリアプレート(3)は、格納空間又は格納面に固定されている、請求項1乃至12の何れかに記載の家庭用器具又は家具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの格納空間又は格納面を有する家庭用器具、特に冷蔵庫又は冷凍庫、又は家具に関し、該格納空間又は格納面内、又は格納空間又は格納面上にて、ベアリング領域を有する少なくとも1つのキャリアプレート、及びキャリアプレートのベアリング領域上を回転移動可能且つ並進移動可能である棚が、請求項1の前提部分に従って配置される。
【背景技術】
【0002】
家庭用器具、例えば冷蔵庫又は冷凍庫及び/又は戸棚において、到達が困難な領域は、多くの場合、格納空間又は格納面に存在する。特に、格納空間又は格納面の後方領域に置かれた物体に到達する能力は、非常に限られた範囲でのみ可能である。例えば、人の頭の高さより上または膝の高さより下など、特にユーザーフレンドリーでない方法で配置された格納空間は、到達するのに必ず困難を伴う。
この格納空間又は格納面に設置されたターンテーブルを回したり、回転させたりすることは、これらの上記の不利な点を改善するのに合理的である。
【0003】
従来技術から公知の家庭用器具又は家具では、主に順次回転運動と並進運動が互いに組み合わされ、これらの2種類の動きは、通常、互いに別々に、及び/又は連続して実行される。このような解決策は非常に技術的に複雑である。この場合、回転運動はしばしば制限された範囲でのみ、特に90°だけ可能であり、これはそのような格納空間又は格納面に置かれた要素のアクセス可能性をさらに妨げる。更に、数多くの解決策は、支持力の吸収と安定性と大きな構造高さにて、弱点を持っている。
【0004】
本発明の目的は、少なくとも1つの格納空間又は少なくとも1つの格納面を有する改良された家庭用器具、特に冷蔵庫又は冷凍庫、又は家具を提供することにあり、該格納空間又は格納面内、又は格納空間又は格納面上にて、ベアリング領域を有する少なくとも1つのキャリアプレート、及びキャリアプレートのベアリング領域上を回転移動可能且つ並進移動可能である棚が配置され、これを用いて上記の不利な点が改善される。
【発明の概要】
【0005】
この目的は、少なくとも1つの格納空間又は少なくとも1つの格納面を有する請求項1の特徴を有する家庭用器具、特に冷蔵庫又は冷凍庫、又は家具によって達成され、該格納空間又は格納面内、又は格納空間又は格納面上にて、ベアリング領域を有する少なくとも1つのキャリアプレート、及びキャリアプレートのベアリング領域上を回転移動可能且つ並進移動可能である棚が配置されている。
【0006】
本発明に従って、家庭用器具、特に冷蔵庫又は冷凍庫又は家具は、少なくとも1つの格納空間を有し、該格納空間内にベアリング領域を有する少なくとも1つのキャリアプレート、及びキャリアプレートのベアリング領域上を回転移動可能且つ並進移動可能である棚が配置されている。棚は平坦なベアリング領域を有し、該ベアリング領域はキャリアプレートのベアリング領域と面平行に整列され、棚はキャリアプレートに対して第1の回転方向に回転可能であり、所定の方向に変位可能である。本発明に従った家庭用器具、特に冷蔵庫又は冷凍庫、又は家具は、ベアリング領域のベアリング面が互いに対向し、夫々が閉じた周辺走行溝を有し、該走行溝内をローラ本体が案内される。
【0007】
ベアリング領域の平面で規定された方向に力が棚に作用する場合、棚はベース位置から中間位置を介して、積極的にガイドされ、同時に回転及び並進運動で移動可能であるように走行溝は形成されて、棚は2つの可能な反対の回転方向の1つにキャリアプレートに対して回転し、所定の方向に移動し、棚はさらに中間位置に移動した後、2つの可能な反対の回転方向の何れかでキャリアプレートに対して旋回可能であり、棚は所定の方向とは反対に変位可能であり、180°の旋回時に再びベース位置を占有する。1つの有利な中間位置は、約90°に位置している。棚はキャリアプレートに対して任意の角度だけ回転できる。
【0008】
棚とキャリアプレートの間にて、積極的にガイドされた同時の回転及び並進運動は、ベース位置と中間位置に達する直前の範囲に存在することが好ましく、2つの可能な反対の回転方向の夫々にて90°が有利である。また、キャリアプレートに対する棚の90°の位置の範囲で、1回だけの回転運動が可能である。
【0009】
同時の回転及び並進運動を少なくとも部分的に可能にする周辺走行溝を備えたベアリング領域のベアリング面故に、棚はキャリアプレート上を簡単な方法で移動可能である。
棚の下側とキャリアプレートの上側に閉じた周辺走行溝を導入することによるこの配置の単純な構造により、生産コストが削減され、装置の堅牢性が高められ、操作がユーザフレンドリーになる。従って、格納空間又は格納面の後部領域に配置された要素に到達する能力が改善される。
【0010】
本発明の実施形態の有利な変形例に従って、2つの閉じた周辺走行溝がベアリング領域の1つ内に導入され、正確には1つの閉じた周辺走行溝がベアリング領域の他方内に導入される。
この場合、3つの走行溝の夫々は、特に好ましくは同じ輪郭を有し、2つの走行溝の1つは他の走行溝に対して鏡面に形成され、2つの走行溝の他方は、180°回転して形成され、2つの走行溝の一方に対して所定量だけ変位される。
【0011】
このような走行溝の輪郭を使用して、操作が簡単なキャリアプレートに対する棚の回転と並進の同時移動が可能になる。
好ましい実施形態の変形例によれば、ローラ本体はボールとして形成されており、これにより、キャリアプレートに対する棚の低摩擦の相対運動が可能になる。
単純な走行溝の構成を維持しながら個々のローラ本体に支持荷重をかけることができるように、4つのローラ本体が走行溝に案内されることが好ましい。
【0012】
本発明の実施形態の好ましい変形例に従って、ローラ本体は、ローラ本体ケージ内に、好ましくは拘束的に保持される。従って、走行溝内を移動中のローラ本体の確実な案内が再び改善される。
本発明の実施形態の変形例に従って、棚又はキャリアプレートのベアリング領域は、キャリアプレート又は棚と夫々一体に形成される。
他の実施形態の変形例において、ベアリング領域の少なくとも1つは、キャリアプレート又は棚に対応する形状の受け部に挿入可能、又は接続手段によって夫々キャリアプレート又は棚に取付け可能な別個の要素として形成される。
【0013】
更なる実施形態の好ましい変形例に従って、ガイド、例えば並進運動方向に延びるスロットがベアリング領域の1つの上又は内に配置され、ガイド要素又は保持要素が他のベアリング領域の上又は内に配置される。例えば、ボアホールが1つのベアリング領域内に導入され、その中にガイドピン又は保持ピンが収容される。これにより、更に確実な案内を向上させるのに貢献する。更に、棚とキャリアプレートは、簡単な方法で互いに軸方向に保持することができる。
【0014】
更なる実施形態の好ましい変形例に従って、閉じた周辺走行溝は、棚の支持領域の中心点及びキャリアプレートの支持領域の周りで、棚の並進運動の方向に沿ってキャリアプレートの前縁まで夫々導入される。
これにより、大きな接触面が可能になる。更に、このようにして、特に好ましい荷重吸収が得られ、装置全体の安定性も向上する。
【0015】
ベース位置での棚の位置を改善するために、閉じた周辺走行溝は、好ましくは、ベース位置にあるローラ本体のための複数のキャッチポイントを有し、これらのキャッチポイントは、棚が180°回転するたびに到達する。
更なる有利な実施形態の変形例に従って、棚は、キャリアプレートに対して第1の回転方向及び反対の第2の回転方向に回転可能であり、これにより装置の操作性がさらに簡素化される。
装置の操作性の更なる簡素化は、棚がキャリアプレートに対して第1の回転方向及び反対の第2の回転方向に任意の角度で回転可能であることで達成される。
1つの好ましい実施形態の変形例によれば、キャリアプレートは格納空間に横向きに設置される。しかし、キャリアプレートを吊下げまたは垂直に立てることも考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明の好ましい例示的な実施形態が添付の図面に基づいて、以下により詳細に説明される。
図1】本発明に従った装置の変形例の平面図である。
図2図1にてIIで特定される平面を通る断面図である。
図3図1にてIIで特定される平面を通る断面図である。
図4図1にて示された装置の分解斜視図である。
図5】他の装置の変形例の分解斜視図であり、ベアリング領域が別の要素として形成されている。
図6】別の要素として形成されたベアリング領域の斜視図である。
図7】棚として形成された多数の物体を有する冷蔵庫又は冷凍庫の斜視図である。
図8】棚として形成された多数の物体を有する戸棚の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下の図面の記載において、上、下、左、右、前、後等の用語は、キャリアプレート、棚、ベアリング領域、ローラ本体、走行溝などのそれぞれの図で例として選択された図と位置のみを指す。これらの用語は制限的なものとして理解されるべきではない、即ち、これらの参照は、異なる動作位置または鏡面対称の設計などにより変化し得る。
【0018】
図7に示す例示的な実施形態において、冷蔵庫1の格納空間13内の従来のガラス底部パネルは、ベアリング領域5と物体を有するキャリアプレート3に置き換えられており、該物体はベアリング領域4を有する棚2の形であり、キャリアプレート3のベアリング領域5の上を回転移動可能且つ並行移動可能である。冷蔵庫1は本体11から成り、その上にドア12が回動可能に連結され、格納空間13を閉じる。
【0019】
従って、図8に示す例示的な実施形態にて、戸棚20の格納空間24内の従来の棚底パネルは、ベアリング領域5及び物体を有するキャリアプレート3に置き換えられており、該物体はベアリング領域4を有する棚2の形であり、キャリアプレート3のベアリング領域5の上を回転移動可能且つ並行移動可能である。戸棚20は本体21から成り、その上に2つのドア22、23が回動可能に連結され、格納空間14を閉じる。
【0020】
平面状のベアリング領域を有する板状棚として具体化されている回転可能及び並進可能に取り付けられた棚2は、冷蔵庫1で使用する場合に格納される冷蔵材料の格納面として利用可能であり、円の形状を有して、等しいサイズの2つの対向する円形セグメントが取り除かれている。従って、冷蔵材料に最適な格納表面が得られる。更に、棚2を操作し及び貯蔵された冷蔵材料を固定するためのハンドル及び保持要素200が棚2に配置されている。
【0021】
互いに対向するこれらのベアリング領域4、5のベアリング面は夫々、閉じた周辺走行溝41、51を有し、その中にローラ本体6が案内される。この場合、ローラ本体6は、好ましくはボールとして形成される。
走行溝41、51は、力がベアリング領域の平面で定義された方向Aで棚2に作用する場合、棚2は積極的に誘導されて、基本位置から中間位置を介して、同時に回転移動可能及び並進移動可能であるように形作られ、棚2は、キャリアプレート3に対して第1の回転方向R1に回転し、所定の方向Aに変位する。
【0022】
1つの好ましい中間位置において、棚2は、基本位置に対して約90°回転し、変位は所定の方向で最大に達する。
棚2は、回転方向R1にさらに回転することにより、基本位置に戻され、この目的のために、棚2は、キャリアプレート3に対して合計で180°回動され、所定の方向Aとは反対に変位して基本位置に戻る。
或いは、棚2は、回転方向R1とは逆に回転方向R2で回転することにより、基本位置に戻される。方向Aは、ここでは、夫々冷蔵庫1又は戸棚20の格納空間13、24から出る方向を示す。
【0023】
図4乃至図6に示すように、2つの閉じた周辺走行溝44、45が棚2のベアリング領域4内に導入される。正確には、1つの閉じた周辺走行溝51が、キャリアプレート3のベアリング領域5に導入される。
2つの走行溝がキャリアプレート3のベアリング領域5に導入され、1つの走行溝が棚2のベアリング領域4に導入される、逆の構成も考えられる。
【0024】
3つの走行溝44、45、51は同一の構成であるのが好ましい。この場合、図4及び図5によく示されるように、棚のベアリング領域4の2つの走行溝44の1つは、走行溝51に対して鏡面配置の関係にある。2つの走行溝45の他方は、走行溝44に対して180°回転して形成され、並進運動の量だけ変位される。
棚2の閉じた周辺走行溝44、45、51及び固定されたキャリアプレート3は、棚2の作動中にローラ本体6の積極的な案内、棚2の回転及び引き出しを同時に行う。
【0025】
更に図2図3図4及び図5に示すように、ここではボールとして形成されたローラ本体6はローラ本体ケージ7内にて保持される。この場合、ローラ本体6は、好ましくは、ローラ本体ケージ7内に拘束的に保持される。この目的のために設けられたローラ本体ケージ7の開口部にローラ本体のみを案内することも考えられる。
キャリアプレート3を棚2に軸方向に固定するため、並進運動方向Aに延びるスロットの形態のガイド8が、キャリアプレート3のベアリング領域5に導入される。棚2が同軸に固定されるように、ボアホール46が棚2のベアリング領域4の中央に導入されている。この場合、ピン9の形態のガイド保持要素は、スロット8及びボアホール46を通過し、従って、キャリアプレート3上の棚2の軸方向の固定を確実にする。キャリアプレート3とその上に載置されている棚2が水平に取り付けられている場合、軸方向の保護が省略される。複数の軸方向の安全保護又は具体化された異なる軸方向の安全保護も提供され得る。
【0026】
図4に示される実施形態の変形では、ベアリング領域4、5は、それぞれ棚2またはキャリアプレート3と一体に形成され、走行溝44、45、51は、棚2の下側またはキャリアプレート3の上側にそれぞれ直接導入されるが、図5に示す実施形態では、ベアリング領域4、5は、ベアリングプレート42、52の形の別個の要素として形成され、これらは、夫々棚2の下側またはキャリアプレート3の上側に固定され得る。
【0027】
この目的から、締結受け部54、47が、ベアリングプレート42、52の横方向の縁に形成され、該締結受け部54、47にねじが挿入可能であり、締結受け部54、47を用いてベアリングプレート42、52は、夫々棚2またはキャリアプレート3に固定される。
ローラ本体6の負荷をできるだけ低く保ち、同時に走行溝を簡単に構成されることを可能にするために、ここで示す実施形態では、ボールとして形成された4つのそのようなローラ本体6が、走行溝44、45、51に案内される。代わりに、2つまたは8つのローラ本体も提供され得る。
【0028】
図4図5及び図6に示すように、閉じた周辺走行溝44、45、51は、棚のベアリング領域4の中心点及びキャリアプレート3のベアリング領域5を介して、キャリアプレート3の前端部内に、棚2の並進運動方向Aに導入される。
棚2がキャリアプレート3の前面の横方向の端から突き出ないベース位置で棚2を簡単にラッチすべく、閉じた周辺走行溝44、45、51は、ベース位置にあるローラ本体6のための複数のキャッチポイント43、53を含む。このベース位置は、棚2が180°回転するたびに到達する。
更なる実施形態にて、選択された中間位置は、例えば、キャリアプレート3に対する棚2の90°の回転位置上にキャッチポイントを持つ。
【0029】
キャッチポイント43、53は、これらの位置から出てゆく移動のために、いくらか大きな力を加えることが必要とされるという点で区別される。この大きな力を加えることは、例えば、窪みまたは隆起した突起などを有する走行溝44、45、51を対応して形成することによって達成される。力に影響を与える他の要素、例えば磁石も考えられる。ここに示されている走行溝44、45、51の形成において、棚2は、キャリアプレート3に対して回転方向R1及び反対の回転方向R2に回転可能である。
【0030】
更に、この走行溝44、45、51の形成により、棚2を任意の角度で回転させることができる。従って、キャリアプレート3に対して回転方向R1に180°の第1の回転運動中に、且つ同じ回転方向R1に再び棚2を回転させる、或いは反対の回転方向R2に回転させる後続の作動中に、棚2を回転させることが可能である。
【0031】
使用中に、ハンドル及び横方向の力の導入をもたらす保持要素200を引っ張ることにより、ローラ本体6をキャッチポイント43、53から移動させ、棚2は右または左に回転する動きに設定される。同時に、棚2の回転運動に加えて、前方への並進運動が、確実にガイドされた方法でその終点まで実行される。更なる回転中に、後方への平行移動は、90°位置と180°位置の間で再開され、180°回転した後、キャッチポイント43、53のベース位置に到達する。さらに180°回転すると、ベース位置に到達する。棚2の360°の回転及び並進運動のサイクル全体で、冷蔵材料の装備と冷蔵材料へのアクセスが可能である。
【0032】
棚2の下側の閉じた走行溝の幾何学的形状及び棚2の夫々の中心点の周りのキャリアプレート3の上側に閉じた走行溝の幾何学的形状、及び棚2及びキャリアプレート3の前縁まで可能な限り夫々の中心点から可能な大きな間隔を有するキャリアプレート3の幾何学的形状故に、大きな接触面が実現され、これにより支持力が十分に吸収され、装置全体の安定性が向上する。
確実なガイドにより使用能力が向上し、コンパクトな構造により構造の高さが減少し、誤操作が防止される。左右に回転する無制限の移動角度により、360°の好ましい方向なしで任意の連続動作が可能になる。シンプルな構造により、生産コストが削減され、ガイド装置の堅牢性が向上する。
【0033】
図7及び図8において、棚2は、約90°の中間位置で方向Aにキャリアプレート3の後縁を越えて突出しないことは明らかである。
図8に示す戸棚20の例示的な実施形態に加えて、そのような回転及び並進移動可能な棚2をドレッサ又はローボードに設置することも考えられる。
クローゼットまたはワードローブとして設計された家具では、吊り布が正面に平行に掛けられることもまた考えられる。装置は、後ろにぶら下がっている物への簡単なアクセスを可能にする。
【0034】
また、ショッピングモールの医療分野又は販売分野(冷蔵及び冷凍装置)での使用も考えられる。多くの小さなパッケージングユニットをその中に整理する必要がある。回転及び並進移動可能な棚2の前面及び後面領域へのアクセスオプションにより、判り易さが向上する。更に、前面と後面からアクセスできる場合、アクセスが容易になる。
カウンタートップの回転及び並進移動可能な棚2の使用も考えられる。棚2により、ここでは、コーヒーマシン、トースターなどのニッチ(例えば、傾斜屋根)にある家庭用器具を、必要な場合にのみ前方に移動させることができる。
一般に、トレイや箱のような実施形態が考えられる。水平及び/又は垂直構成のための組織化構成を有するトレイも考えられる。
ガイドは、垂直に吊り下げて、または垂直に吊り下げて行うことができる。
【符号の説明】
【0035】
1 冷蔵庫又は冷凍庫
11 本体
12 ドア
13 格納空間
2 棚
200 ハンドル及び保持要素
3 キャリアプレート
4 ベアリング領域
42 ベアリングプレート
43 キャッチポイント
44 走行溝
45 走行溝
46 ボアホール
47 締結受け部
5 ベアリング領域
51 走行溝
52 ベアリングプレート
53 キャッチポイント
54 締結受け部
6 ローラ本体
7 ローラ本体ケージ
8 スロット
9 ガイド及び保持ピン
20 戸棚
21 本体
22 ドア
23 ドア
24 格納空間
A 方向
R1 回転方向
R2 回転方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8