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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-05
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】平面放射デバイスを備える基本アンテナ
(51)【国際特許分類】
   H01Q 21/24 20060101AFI20220128BHJP
   H01Q 21/06 20060101ALI20220128BHJP
   H01Q 13/08 20060101ALN20220128BHJP
【FI】
H01Q21/24
H01Q21/06
H01Q13/08
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019561368
(86)(22)【出願日】2018-02-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-02-20
(86)【国際出願番号】 EP2018052529
(87)【国際公開番号】W WO2018141852
(87)【国際公開日】2018-08-09
【審査請求日】2021-01-21
(31)【優先権主張番号】1700101
(32)【優先日】2017-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】511148123
【氏名又は名称】タレス
(73)【特許権者】
【識別番号】514058706
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ・ドゥ・ボルドー
(73)【特許権者】
【識別番号】513277212
【氏名又は名称】アンスティチュ ポリテクニーク ドゥ ボルドー
(73)【特許権者】
【識別番号】311016455
【氏名又は名称】サントル ナシオナル ドゥ ラ ルシェルシェ シアンティフィク
【氏名又は名称原語表記】CENTRE NATIONAL DE LA RECHERCHE SCIENTIFIQUE
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガレック,パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ギオット,アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】モルバン,グウェナエル
【審査官】佐藤 当秀
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-046033(JP,A)
【文献】特開2001-156533(JP,A)
【文献】特開2000-223927(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 13/00- 13/28
H01Q 21/00- 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面放射デバイス(10)であって、中心(C)を有する実質的に平面状の放射素子(11)を備え、前記平面が、前記中心(C)を通る第1の直線(D1)、および前記第1の直線(D1)に垂直であり、かつ、前記中心(C)を通る第2の直線(D2)によって画定されている前記放射素子(11)を含んでいる平面放射デバイスを備え、前記放射素子(11)が、前記第1の直線(D1)から、および前記第2の直線(D2)から距離をおいて位置する少なくとも1つの励起点の第1の4個組に配列された複数の励起点の対であって、前記第1の直線(D1)に関して実質的に対称的に配置された励起点(1+,1-)からなる第1の対、および、前記第2の直線(D2)に関して実質的に対称的に配置された励起点(2+,2)からなる第2の対を含む複数の励起点の対を含む基本アンテナであって、前記励起点を励起させることを意図した差動励起信号を送達することが可能な、および/または前記励起点から発せられる信号を形成することが可能な複数の処理回路を含むとともに、処理回路が前記励起点の対を差動的に励起させることが可能であるように、および/または、前記励起点の対から発せられた差動信号を処理することが可能であるように、それぞれの励起点の対が前記処理回路に結合されている、基本アンテナ。
【請求項2】
前記励起点の前記第1の対(1+,1-)に印加された第1の励起信号と、励起点の前記第2の対(2+,2-)に印加された第2の励起信号との間に、第1の送信側位相シフトを導入することを可能にする送信側位相シフト手段、および/または、前記励起点の前記第1の対(1+,1-)から発せられた第1の受信信号と、励起点の前記第2の対(2+,2-)から発せられた第2の受信信号との間に、第1の受信側位相シフトを導入することを可能にする受信側位相シフト手段を備える、請求項1に記載の基本アンテナ。
【請求項3】
励起点の前記第1の4個組の前記励起点が、励起点の前記第1の4個組のそれぞれの励起点の対の前記励起点間で測定される前記放射デバイスのインピーダンスが同じであるように配置されている、請求項1または2に記載の基本アンテナ。
【請求項4】
励起点の前記第1の対の前記励起点が、前記放射素子を含んでいる前記平面の第3の直線(D3)であって、前記中心(C)を通り、かつ、前記第1の直線(D1)および前記第2の直線(D2)の二等分線である第3の直線(D3)の同じ側に位置する、請求項1~3のいずれか一項に記載の基本アンテナ。
【請求項5】
前記放射素子が実質的に矩形形状を有し、前記第1の直線(D1)および前記第2の直線(D2)が、前記矩形の辺に平行である、請求項1~4のいずれか一項に記載の基本アンテナ。
【請求項6】
前記放射素子(11)が、前記第1の直線(D1)から、および前記第2の直線(D2)から距離をおいて位置する励起点の第2の4個組であって、
-前記第1の直線(D1)に関して実質的に対称的に配置された励起点からなる第3の対(3+,3-)であって、その前記励起点が、励起点の前記第1の対(1+,1-)に対して前記第2の直線(D2)の他方側に配置された、前記第3の励起点の対(3+,3-)と、
-前記第2の直線(D2)に関して実質的に対称的に配置された励起点からなる第4の対(4+,4-)であって、その前記励起点が、励起点の前記第2の対(2+,2-)に対して前記第1の直線(D1)の他方側に配置された、励起点の前記第4の対(4+,4-)と、
を含む励起点の第2の4個組を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の基本アンテナ。
【請求項7】
励起点の前記第2の4個組の前記励起点が、励起点の前記第2の4個組のそれぞれの励起点の対の前記励起点間で測定される前記放射デバイスの前記インピーダンスが、同じであるように配置されている、請求項1に記載の基本アンテナ。
【請求項8】
前記第3の対が、前記第2の直線に関して前記第1の対に対称であり、前記第4の対が、前記第1の直線に関して前記第2の対に対称である、請求項6または7のいずれか一項に記載の基本アンテナ。
【請求項9】
前記励起点の前記第1の対(1+,1-)に印加された第1の励起信号と、励起点の前記第2の対(2+,2-)に印加された第2の励起信号との間に、第1の送信側位相シフトを導入すること、および、前記励起点の前記第3の対(3+,3-)に印加された第3の励起信号と、励起点の前記第4の対(4+,4-)に印加された第4の励起信号との間に、前記第1の送信側位相シフトとは異なったものとすることができる第2の送信側位相シフトを導入することを可能にする送信側位相シフト手段、および/または、前記励起点の前記第1の対(1+,1-)から発せられた第1の受信信号と、励起点の前記第2の対(2+,2-)から発せられた第2の受信信号との間に、第1の受信側位相シフトを導入すること、および、前記励起点の前記第3の対(3+、3-)に印加された第3の受信信号と、励起点の前記第4の対(4+、4-)に印加された第4の受信信号との間に、前記第1の受信側位相シフトとは異なったものとすることができる第2の受信側位相シフトを導入することを可能にする受信側位相シフト手段を備える、請求項6~8のいずれか一項に記載の基本アンテナ。
【請求項10】
それぞれの励起点の対が、励起点の前記対を差動的に励起させるように構成された1つの送信チャネルに結合され、前記送信チャネルが、励起点の前記第2の4個組に結合された前記送信チャネルが、励起点の前記第2の4個組を励起させることが可能な周波数とは異なる周波数の信号によって、励起点の前記第1の4個組を励起させることが可能な励起点の前記第1の4個組に結合されている、請求項1~9のいずれか一項に記載の基本アンテナ。
【請求項11】
前記放射素子が放射素子のアレイを形成している、請求項1~10のいずれか一項に記載の複数の基本アンテナを備えるアンテナ。
【請求項12】
請求項6に従属するという点において、請求項1~11のいずれか一項に記載のアンテナであって、前記基本アンテナそれぞれの励起点の前記第1の4個組に印加された前記励起信号間に、第1の送信側グローバル位相シフトを導入すること、および、前記基本アンテナそれぞれの励起点の前記第2の4個組に印加された前記励起信号間に、第2の送信側グローバル位相シフトを導入することを可能にする送信側ポインティング位相シフト手段であって、前記第1の送信側グローバル位相シフトおよび前記第2の送信側グローバル位相シフトが、異なったものとすることができる送信側ポインティング位相シフト手段を備え、かつ/または、前記基本アンテナそれぞれの励起点の前記第1の4個組に印加された前記励起信号間に、第1の受信側グローバル位相シフトを導入すること、および、前記基本アンテナそれぞれの励起点の前記第2の4個組に印加された前記励起信号間に、第2の受信側グローバル位相シフトを導入することを可能にする受信側ポインティング位相シフト手段であって、前記第1の受信側グローバル位相シフトおよび前記第2の受信側グローバル位相シフトが、異なったものとすることができる受信側ポインティング位相シフト手段を備えるアンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アレイアンテナの分野、および特に、アクティブアンテナに関する。本発明は特に、レーダ、(レーダ探知機およびレーダ妨害機などの)電子戦システム、および、通信システムまたはその他のマルチファンクションシステムに適用可能である。
【背景技術】
【0002】
いわゆるアレイアンテナは、平面型、すなわち、プリント回路基板型である場合もある複数のアンテナを備え、そのようなアンテナはパッチアンテナと呼ばれる場合が多い。平面アンテナ技術により、裏面に金属接地面が装備された誘電体層に金属パターンをエッチングすることにより放射素子を製造することによって、厚さの薄い指向性アンテナを製造することが可能になる。この技術は、より製造し易く、したがって、ビバルディアンテナ(Vivaldi antenna)ほど高価ではない、非常に小型の電子走査が可能な指向性アンテナをもたらす。
【0003】
アクティブアンテナは、従来、基本アンテナのセットを備え、この基本アンテナのセットはそれぞれ、送信/受信モジュール(またはT/R回路)に結合された1つの実質的に平面状の放射素子を備える。送信側は、送信/受信モジュールが位相を適合させ、集中型信号発生電子機器から受信した励起信号を増幅し、この励起信号を放射素子に印加する。受信側は、送信/受信モジュールが、位相を適合させながら、放射素子が受信した低レベルの受信信号を増幅し、集中回路にこの信号を送信し、集中回路は、それを集中型捕捉回路に送信する。
【0004】
特にレーダ用途では、高電力で作動する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、アクセス可能な電力は、放射素子を製造するために実装される技術の特性によって制限される。特に、従来採用されてきたモノリシックマイクロ波集積回路(MMIC:Monolithic-Microwave-Integrated-Circuit)技術は、最大出力に制限があることを特徴とするが、これを上回っても、前述の用途に対して作動することが可能であることが望ましい。
【0006】
本発明の目的の1つは、この問題を軽減することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的のために、本発明の主題の1つは、平面放射デバイスであって、中心を有する実質的に平面状の放射素子を備え、平面が、中心を通る第1の直線、および第1の直線に垂直であり、かつ、中心を通る第2の直線によって画定されている放射素子を含んでいる平面放射デバイスを備え、前記放射素子が、第1の直線から、および第2の直線から距離をおいて位置する少なくとも1つの励起点の第1の4個組に配列された複数の励起点の対であって、前記第1の直線に関して実質的に対称的に配置された励起点からなる第1の対、および、前記第2の直線に関して実質的に対称的に配置された励起点からなる第2の対を含む複数の励起点の対を含む基本アンテナであって、励起点を励起させることを意図した差動励起信号を送達することが可能な、および/または励起点から発せられる信号を形成することが可能な複数の処理回路を含むとともに、処理回路が励起点の対を差動的に励起させることが可能であるように、および/または、励起点の対から発せられた差動信号を処理することが可能であるように、それぞれの励起点の対が処理回路に結合されている、基本アンテナである。
【0008】
特定の実施形態によれば、本発明による基本アンテナは、以下の特徴のうちの1つまたは複数を、単独で、または任意の技術的に可能な組み合わせにおいて含む。
-基本アンテナは、励起点の第1の対に印加された第1の励起信号と、励起点の第2の対に印加された第2の励起信号との間に、第1の送信側位相シフトを導入することを可能にする送信側位相シフト手段、および/または、励起点の第1の対から発せられた第1の受信信号と、励起点の第2の対から発せられた第2の受信信号との間に、第1の受信側位相シフトを導入することを可能にする受信側位相シフト手段を含む。
-励起点の第1の4個組の励起点は、励起点の第1の4個組のそれぞれの励起点の対の励起点間で測定される放射デバイスのインピーダンスが、同じであるように配置されている。
-励起点の第1の対の励起点は、放射素子を含んでいる平面の第3の直線であって、中心を通り、かつ、第1の直線および第2の直線の二等分線である第3の直線の同じ側に位置する。
-放射素子は実質的に矩形形状を有し、第1の直線および第2の直線が矩形の辺に平行である。
-放射素子は、第1の直線から、および第2の直線から距離をおいて位置する励起点の第2の4個組であって、
-前記第1の直線に関して実質的に対称的に配置された励起点からなる第3の対であって、その励起点が、励起点の第1の対に対して第2の直線の他方側に配置された、励起点の第3の対と、
-前記第2の直線に関して実質的に対称的に配置された励起点からなる第4の対であって、その励起点が、励起点の第2の対に対して第1の直線の他方側に配置された、励起点の第4の対と、を含む励起点の第2の4個組を含む。
-励起点の第2の4個組の励起点は、励起点の第2の4個組のそれぞれの励起点の対の励起点間で測定される放射デバイスのインピーダンスが、同じであるように配置されている。
-第3の対は、第2の直線に関して第1の対に対称であり、第4の対は、第1の直線に関して第2の対に対称である。
-基本アンテナは、励起点の第1の対に印加された第1の励起信号と、励起点の第2の対に印加された第2の励起信号との間に、第1の送信側位相シフトを導入すること、および、励起点の第3の対に印加された第3の励起信号と、励起点の第4の対に印加された第4の励起信号との間に、第1の送信側位相シフトとは異なったものとすることができる第2の送信側位相シフトを導入することを可能にする送信側位相シフト手段、および/または、励起点の第1の対から発せられた第1の受信信号と、励起点の第2の対から発せられた第2の受信信号との間に、第1の受信側位相シフトを導入すること、および、励起点の第3の対に印加された第3の受信信号と、励起点の第4の対に印加された第4の受信信号との間に、第1の受信側位相シフトとは異なったものとすることができる第2の受信側位相シフトを導入することを可能にする受信側位相シフト手段を備える。
-それぞれの励起点の対は、励起点の対を差動的に励起させるように構成された1つの送信チャネルに結合され、この送信チャネルは、励起点の第2の4個組に結合されたこの送信チャネルが、励起点の第2の4個組を励起させることが可能な周波数とは異なる周波数の信号によって、励起点の第1の4個組を励起させることが可能な励起点の第1の4個組に結合されている。
【0009】
本発明は、本発明による複数の基本アンテナを備えるとともに、放射素子が放射素子のアレイを形成しているアンテナにもまた関する。
【0010】
有利な点として、アンテナは、基本アンテナそれぞれの励起点の第1の4個組に印加された励起信号間に、第1の送信側グローバル位相シフトを導入すること、および、基本アンテナそれぞれの励起点の第2の4個組に印加された励起信号間に、第2の送信側グローバル位相シフトを導入することを可能にする送信側ポインティング位相シフト手段であって、第1の送信側グローバル位相シフトおよび第2の送信側グローバル位相シフトが、異なったものとすることができる送信側ポインティング位相シフト手段を備え、かつ/または、基本アンテナそれぞれの励起点の第1の4個組に印加された励起信号間に、第1の受信側グローバル位相シフトを導入すること、および、基本アンテナそれぞれの励起点の第2の4個組に印加された励起信号間に、第2の受信側グローバル位相シフトを導入することを可能にする受信側ポインティング位相シフト手段であって、第1の受信側グローバル位相シフトおよび第2の受信側グローバル位相シフトが、異なったものとすることができる受信側ポインティング位相シフト手段を備える。
【0011】
本発明の他の特徴および利点は、非限定的な例として提示されている以下の詳細な説明を読めば、また、添付の図面を参照すれば、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1の実施形態による基本アンテナを概略的に示す。
図2】基本アンテナの側面図を示す。
図3図1のシステムによって得ることができる様々な偏波を比較照合する表を示す。
図4】本発明の第2の実施形態による基本アンテナを概略的に示す。
図5】本発明の第3の実施形態による基本アンテナを概略的に示す。
図6図5のシステムによって得ることができる偏波を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
すべての図面において、同じ要素を同じ参照符号により参照している。
【0014】
図1に、本発明の第1の実施形態による基本アンテナ1が示されている。
【0015】
基本アンテナは、図1に示される、実質的に紙面の平面に位置し、かつ、中心Cを含む実質的に平面状の放射素子11を備える平面放射デバイス10を備える。平面放射デバイスは、パッチアンテナとしての方がよく知られているタイプの平面アンテナである。
【0016】
本発明は、本発明による複数の基本アンテナを備えるアンテナにもまた関する。アンテナは、アレイアンテナとすることができる。基本アンテナの放射素子11または平面放射デバイス10は、放射素子のアレイを形成している。アンテナは、有利には、アクティブアンテナである。
【0017】
平面放射デバイス10は、図2に示されるようなスタックを形成している。それは、接地面12を形成する層の上方に配置された、実質的に平面状の放射素子11を備え、放射素子11と接地面12との間には間隔が残されている。例えば、この間隔は、例えば、誘電材料でできた電気絶縁層13を備える。好ましくは、放射素子11は、導電性材料でできたシートである。変形例として、放射素子11は、複数の積み重ねられた金属シートを備える。それは、従来、正方形の形状を有する。変形例として、放射素子は、別の形状、例えば円盤形状、または別の形の平行四辺形、例えば矩形もしくは菱形などの形状を有する。放射素子11の幾何学形状が何であれ、中心Cを画定することが可能である。
【0018】
アンテナは、放射素子11に含まれている励起点1+、1-、2+、2-、3+、3-、4+、および4-で放射素子11に結合された、フィードライン51a、51b、52a、52b、53a、53b、54aおよび54bを含む。この結合により、放射素子11を励起させることが可能になる。
【0019】
結合は、例えば、スロットベースの電磁結合を介して実現される。そのとき、平面放射デバイス10は、フィードライン51a、51b、52a、52b、53a、53b、54aおよび54bの端部のための伝達手段として機能するフィード平面16(図2に示される)を含む。平面16は、絶縁材料17、例えば誘電体の層によって、接地面12から有利に離隔されている。平面放射デバイス10は、複数のスロットもまた含む。各スロットは、接地面を形成する層内に作られている。各フィードライン51a、51b、52a、52b、53a、53b、54aおよび54bの一方の端部は、対応する下からのスロットと部分的に重なり、放射素子11が、接地面12を形成する層の上方に位置しているように配置されている。そのとき、励起点1+、1-、2+、2-、3+、3-、4+または4-は、スロットおよび対応する端部と鉛直に位置する。図1では、スロットの突出は破線で示され、それぞれ矩形形状を有する。これらの突出は、分かり易くするために他の図には示されていない。各スロットが、励起点の1対ごとに設けられている。変形例として、デバイスは、励起点1つにつき1つのスロットを備える。スロットは必ずしも矩形でなくてもよく、他の形状を想定してもよい。
【0020】
変形例として、結合は、フィードラインの端部を放射素子の励起点に電気的に接続することにより実現される。例えば、フィードラインの端部では、例えば、メタライズビア(metallized via)によって、絶縁材料を通して励起電流は放射素子に流れ込み、フィードラインの端部が、励起される点と鉛直である放射素子の裏側に位置するピンに接続されることを可能にする。結合は、放射素子の縁端部に接続されたプリントマイクロストリップラインまたはマイクロストリップで直接アタックすることにより、平面放射素子またはパッチと同じ平面で実現することができる。そのとき、励起点はフィードラインの端部に位置する。励起は、パッチと接地面を形成する層との間に位置したプリントマイクロストリップラインを用いて、近接結合により実現してもまたよい。
【0021】
結合は、様々な励起点に対して同じやり方で、または違ったやり方で実現することができる。
【0022】
本発明によれば、電力を最適化するために、励起点が2倍になっている。図1の例では、放射素子11はこのように、励起点の4つの対1+,1-;2+,2-;3+および3-および4+,4-を含む。
【0023】
放射素子11の平面は、2つの直交する方向によって画定されている。これらの2つの方向は、第1の直線D1および第2の直線D2である。これらの直交する方向はそれぞれ、中心Cを通っている。
【0024】
本発明によれば、放射素子11は、すべてが直線D1およびD2から距離をおいて位置する、すなわち、すべてが直線D1およびD2から離れて位置する励起点の第1の4個組を含み、前記励起点の第1の4個組は、
-励起点の第1の対1+,1-であって、第1の直線D1に関して実質的に対称的に配列された励起点である励起点1+および励起点1-からなる対と、
-励起点の第2の対2+,2-であって、第2の直線D2に関して互いに実質的に対称的に配列された励起点である励起点2+および励起点2-からなる対と、
を含む。
【0025】
放射素子11は、すべてが直線D1およびD2から距離をおいて位置する励起点の第2の4個組を含み、この励起点の第2の4個組は、
-励起点の第3の対3+,3-であって、第1の直線D1に関して実質的に対称的に配列された励起点である励起点3+および励起点3-からなる対であり、励起点の第1の対1+,1-に対して第2の直線D2の他方側に配置されている、励起点の第3の対の励起点3+および3-と、
-励起点の第4の対4+,4-であって、第2の直線D2に関して実質的に対称的に配列された励起点である励起点4+および励起点4-を含み、励起点の第2の対2+,2-に対して第1の直線D1の他方側に配置されている、励起点の第4の対の励起点4+および4-と、
を含む。
【0026】
言いかえれば、各対の励起点は、D1またはD2のいずれかに関して互いに実質的に対称な位置を占める。言いかえれば、各対の励起点は、軸D1またはD2の鏡映対称において互いに実質的に対称である。
【0027】
励起点の2つの4個組のそれぞれの励起点は、別個のものである。言いかえれば、励起点の2つの4個組には、共通の励起点がない。様々な対には共通の励起点がない。
【0028】
それぞれの励起点の対の励起点は、差動的に、すなわち2つの対向信号によって励起することが可能であるように配置されている。この目的のために、励起点の所与の対の励起点は、接地に対して測定される同一のインピーダンスを有するように配置されている。
【0029】
したがって、図面の非限定的な例では、直線D1およびD2は、放射素子11の平面によって形成されている正方形のそれぞれの辺に平行であり、各対の励起点を離隔している距離は同一である。
【0030】
基本アンテナ1は、特に図1に図示されているような送信/受信モジュール20もまた備える。図1の送信/受信モジュール20は、4つの電子送信/受信回路21~24を含む。
【0031】
回路21~24は、一方側の、マイクロ波信号発生回路、および/または集中型回路である、処理および捕捉回路と、他方側の、フィードラインとの間に配置されている。
【0032】
それぞれの励起点の対1+,1-;2+,2-;3+,3-および4+,4-は、2つのフィードライン51a,51b;52a,52b;53a,53bまたは54a,54bをそれぞれ含む送信ラインによって、その励起回路21、22、23または24にそれぞれ結合されており、送信ラインはそれぞれ一方の端部が、励起点1+または1-;2+または2-;3+または3-および4+または4-のうちの1つに結合され、ここから対が構成されている。各送信ラインにより、関連する回路から/回路へと、差動信号を伝達することが可能になる。
【0033】
各回路21、22、23または24は、励起点の対のうちの1つに差動励起信号を印加することが可能であり、かつ、送信ラインを介して励起点の対から発せられた差動受信信号を捕捉することが可能であるように、励起点の対に結合される。有利な点として、各回路は、励起点のそれぞれの対に差動励起信号を印加するように構成されている。
【0034】
図面の非限定的な例では、4つの送信/受信回路21~24は同一である。
【0035】
送信/受信回路21~24は、MMIC技術において有利に製造される。好ましくは、SiGe(シリコンゲルマニウム)技術を使用するが、GaAs(ヒ化ガリウム)またはGaN(窒化ガリウム)技術であれば、同じように好都合に使用することが可能である。有利な点として、限定されないが、図1に図示されているように、所与の基本アンテナの送信/受信回路は、単一の回路20を形成するように、同じ基板上に製造される。この変形例は、嵩が低いので、平面放射デバイス10の背後にある回路20の組み込みが容易になる。
【0036】
各送信/受信回路21、22、23および24は、図1の例では、それぞれ、励起点の1つの対に結合された1つの送信チャネルであって、励起点の対を励起させることを意図した励起信号を送達することを意図した1つの送信チャネル110と、励起点の対から発せられる受信信号を形成することが可能な1つの受信チャネル120と、を含む。これらのチェーンはそれぞれ、フィードラインの対51a,51b;52a,52b;53a,53bおよび54a,54bのうちの1つによって、それぞれ、スイッチ121a、121b、121cおよび121dを介して励起点の対にそれぞれ結合されている。フィードラインは、導体、すなわちトラックによって形成されている。
【0037】
トラックは、例えば、周波数同調トラックである。
【0038】
各回路は、送信回路、および/または受信回路とすることができる。各回路は、1つの送信チャネル、および/または1つの受信チャネルを含むことができる。
【0039】
各チャネルは、明確に定義された最適なインピーダンスによって、負荷を受けたときに(送信チャネルの出力が負荷を受けたとき、または受信チャネルの入力が負荷を受けたときに)最適性能を有するように設計されている。すなわち、その最適値と異なるインピーダンスで負荷を受けると、性能が劣化する。有利な点として、各回路21~24ごとに、送信チャネル110、および/または受信チャネル120が、その最適なインピーダンスで負荷を受けるように、励起点が放射デバイスに位置決めされ、結合される。
【0040】
チャネルの最適な入力インピーダンスまたは最適な出力インピーダンスはそれぞれ、実質的に、このチャネルの入力増幅器の最適な入力インピーダンス、またはこのチャネルの出力増幅器の最適な出力インピーダンスである。
【0041】
有利な点として、回路21、22、23または24が負荷を受けるインピーダンスは、放射デバイスを回路21、22、23または24に接続する各フィードラインと、これらのフィードライン間の放射デバイスと、によって形成されたチェーンのインピーダンスである。したがって、提案されている解決法により、送信モードにおいては、消費量を最適化し、かつ/または、受信モードにおいては、雑音指数を改善することが可能になる。これにより、インピーダンス整合に関して、性能面で高くつく妥協をしなくても済むようにすること、または、チャネルのうちの少なくとも1つにインピーダンス変換器を設けなくても済むようにすることが可能である。
【0042】
有利な点として、ただし、必ずしもそうとは限らないが、励起点は、差動インピーダンスと呼ばれる放射デバイス10のインピーダンス、すなわち、励起点の対の2つの励起点間で測定されるインピーダンスが実質的に、放射デバイスの側の送信/受信回路21、22、23または24のインピーダンスの共役であるように、すなわち、実質的に、送信チャネルの出力インピーダンスの共役、および/または、励起点の対に結合された送信/受信回路21、22、23または24の受信チャネルの入力インピーダンスの共役であるように、放射デバイスに位置決めされ、結合される。送信チャネルおよび受信チャネルについて以下で説明する。
【0043】
送信チャネルの出力インピーダンスは、実質的に、チャネルの出力増幅器の出力インピーダンスである。受信チャネルの出力インピーダンスは、実質的に、チャネルの入力増幅器の入力インピーダンスである。
【0044】
インピーダンスをこのように調節できる機能により、インピーダンス変換によって、送信/受信回路21~24と、放射デバイス10とのインピーダンスを整合するための部品を使用する必要がなくなる。部品のこの節約は、送信および/または受信デバイスの電力効率の向上に役立ち、送信および/または受信チャネルからの電力出力がすべて放射手段に印加される。その上、放射デバイスのインピーダンスを励起回路のインピーダンスに整合させると、電流を制限することが可能になり、最大電力を生成することが可能になる。変形例として、励起点の対の2つの励起点間の放射デバイスのインピーダンスを、送信チャネルの出力インピーダンスに、および/または受信チャネルの出力インピーダンスに整合させるために、インピーダンス変換デバイスが、放射デバイス10と、送信/受信回路20との間に設けられる。励起点のインピーダンスを調節する機能により、やはり同じようにインピーダンス整合を容易にすることが可能になる。
【0045】
有利な点として、それぞれの対1+および1-、または2+および2-、または3+および3-、または4+および4-の励起点は、放射デバイス10が、送信/受信回路に結合された励起点の対の励起点間の送信/受信回路21~24に示すインピーダンスが、励起点のすべての対に対して同じであるように配置されている。
【0046】
このインピーダンスは、例えば、限定されないが、50オームである。このインピーダンスは、50オームとは異なる場合もあり、それは技術によって、および送信/受信回路内で用いられる増幅器のクラスによって決まる場合がある。
【0047】
励起点の2つの4個組の励起点は、同じインピーダンスを有する。この目的のために、図面の例では、それぞれのセットの第1の対および第3の対は、直線D2に関して互いに対称であり、それぞれのセットの第2の対および第4の対は、直線D1に関して互いに対称である。したがって、それぞれの励起点の対の励起点は、中心Cから実質的に同じ距離Dに有利に位置し、励起点の対の励起点はすべて、同じ距離分だけ離隔されている。変形例として、それぞれの励起点の対の間の放射デバイスのインピーダンスは、すべてが同一というわけではない。例えば、1つの変形例では、励起点は、励起点の対1+;1-と、2+,2-との間に放射デバイスによって形成されるインピーダンスが同じであるように、かつ、励起点の対3+,3-と、4+,4-との間に放射デバイスによって形成されるインピーダンスが同じであるが、励起点1+;1-と、2+,2-との間に形成されるインピーダンスとは異なるように、配置されている。この目的のために、励起点1+,1-;2+,2-は、例えば、中心から同じ距離にあるが、この距離は中心Cから励起点3+,3-および4+,4-を離隔する別の距離とは異なる。
【0048】
図1の実施形態では、送信側で、回路20の入力へのマイクロ波信号を発生させるための電子機器によって印加される励起信号SEが、4つの基本励起信号に分けられ、この基本励起信号は、それぞれの送信/受信回路21~24の送信チャネル110の入力に印加される。相対位相、および必要に応じてその高度を除いて、4つの基本励起信号は同一である。モジュール20は、共通の励起信号SEを、2つの励起信号に分割することを可能にする分配器122を備える。これらの2つの励起信号は、非対称または対称(すなわち、差動信号または平衡信号)とすることができ、これらの信号は、それぞれの送信移相器25、26の入力にそれぞれ注入される。移相器25、26はそれぞれ、非対称信号、すなわち差動信号を送達する。第1の送信移相器25から出力された信号は、第1の回路21の送信チャネル110の入力、および第3の回路23の送信チャネル110の入力に注入される。第2の送信移相器26から出力された信号は、第2の回路22の送信チャネル110の入力、および第4の回路24の送信チャネル110の入力に注入される。
【0049】
送信チャネルは、励起信号SEを増幅することを可能にする少なくとも1つの増幅器114を備える。レーダ用途および電子戦用途では、送信チャネルは、例えば、高電力増幅器114を備える。
【0050】
各送信チャネル110は、差動信号を送達する。これらの信号は、それぞれの励起点の対を励起させるために、それぞれのフィードラインの対51aおよび51b、52aおよび52b、53aおよび53b、54aおよび54bに印加される。これにより、それぞれの励起点の対の差動励起を実現することが可能になる。所与の対の励起点は、そのとき、対向信号によって励起される。
【0051】
それぞれの送信チャネル110は、第1の回路21および第3の回路23によって励起された基本波が同じ方向に偏波されるように、かつ、第2の回路22および第4の回路24によって励起された基本波が同じ方向に偏波されるように、それぞれの励起点に有利に結合されている。言いかえれば、励起点の第1の対1+,1-および励起点の第3の対3+,3-に印加された励起信号の電場は、同じ方向を有する。したがって、励起点のこれらの2つの対により、2つの非対称的に励起された励起点からと同じ信号を送達することが可能になる。増幅器114によって送達する必要がある電力は、このように2で除算され、次に、この増幅器によって送達することが必要な電流は、2の平方根で除算される。したがって、オーム損失が低くなり、すべての電力を送達する単一の増幅器を製造するよりも、低電力の2つの増幅器114を製造する方が容易である。同様に、励起点の第2の対2+,2-および励起点の第4の対4+,4-に印加された励起信号の電場は、有利に同じ方向を有する。
【0052】
送信/受信モジュール20は、第1の対1+,1-に印加された信号と、第2の対2+,2-に印加された信号との間に、第1の送信側位相シフトと呼ばれる第1の位相シフトを導入すること、および、対3+,3-に印加された信号と、対4+,4-に印加された信号との間に、同じ第1の送信側位相シフトを導入することを可能にする少なくとも1つの移相器を備える送信側移相手段25、26を備える。第1の回路21、および回路23の送信チャネル110に入力として注入された基本励起信号は、同相である。第2の回路22、および第4の回路24の送信チャネル110に入力として注入された基本励起信号は、同相である。
【0053】
有利な点として、第1の送信側位相シフトは調節可能である。アレイアンテナは、事前設定された第1の送信側位相シフトを導入するように、第1の送信側位相シフトを調節することを可能にする調節デバイス35を有利に備える。
【0054】
それぞれの励起点の対は、基本波を発生する。第1の送信側位相シフトでは、対1+,1-および対3+,3-によって送信された基本波は、対2+,2-および対4+,4-によって送信された基本波に対して位相シフトされる。基本波を気中再結合することによって、全波が得られ、その偏波は、第1の送信側位相シフトを変えることによって変えることが可能である。それぞれの結合点に結合されたフィードラインに注入された送信信号間の相対位相の例が、得られた偏波とともに、図3の表に示されている。垂直偏波は、図1に示されるZ軸に沿った偏波である。逆位相で励起された、180°離隔された2つの励起点は、対向瞬時励起電圧を有する。例として、図3の表の1行目は、励起点1+、2+、3+、4+に結合されたフィードラインを同じ電圧に上昇させ、励起点1-、2-、3-、4-に結合されたフィードラインを同じ電圧だが、前の電圧とは対向する電圧に上昇させた場合を示す。差動電圧は、そのとき、直線D3に関して対称である。したがって、偏波は、この直線に沿った方向を向いており、それは垂直方向を向いている。+45°の直線偏波は、対2+,2-および対4+,4-を励起させずに、対1+,1-および対3+,3-だけを同相の差動励起信号で励起させることによって得られる。これは、例えば、回路22および24の電力増幅器114の利得を調節して、ゼロ電力を送達するようにすることによって実現される。この目的のために、増幅器は、可変利得、および利得を調節するための手段を有する。5行目の例では、励起点間の位相シフトは、時間が経っても同じままである。経時的に位相が変わると、右旋円偏波が生じる。
【0055】
受信側では、それぞれの励起点の対1+および1-、2+および2-、3+および3-、4+および4-によって受信された受信信号は、それぞれの励起回路21、22、23、24の送信チャネル120に入力としてそれぞれ印加される。回路のそれぞれの受信チャネル120は、リミッタ117などの保護手段と、電子戦用途における低雑音増幅器などの、少なくとも1つの増幅器118と、を備える。受信チャネル120は、チャネルに接続された2つのフィードライン51aおよび51b、または、52aおよび52b、または、53aおよび53b、または、54aおよび54bから発せられた基本受信信号を、180°の位相シフトを信号のうちの1つに適用することにより、組み合わせることを可能にするコンバイナ119もまた備える。変形例として、受信チャネルは、差動信号を移相器に送信する。
【0056】
第1の回路21の受信チャネル120から、および第3の回路23の受信チャネル120から出力された基本受信信号は、第1の受信移相器29に入力として注入され、第2の回路22の受信チャネル120から、および第4の回路24の受信チャネル120から出力された信号は、第2の受信移相器30に入力として注入される。これらの移相器29、30により、第1の回路21、および第3の回路23の受信チャネル120によって送達された受信信号と、第2の回路22、および第4の回路24の受信チャネルによって送達された受信信号との間に第1の受信側位相シフトを導入することが可能になる。これらの受信移相器29、30はそれぞれ、限定されないが、移相器に入力として注入された信号を合計する加算器を備える。受信移相器29、30から出力された受信信号は、得られた受信信号SSが遠隔した捕捉電子機器に送信される前に、モジュール20の加算器220によって合計される。
【0057】
したがって、送信/受信モジュール20は、対1+,1-および対2+,2-から発せられた受信信号間に、ならびに、対3+,3-および対4+,4-から発せられた受信信号との間に、第1の受信側位相シフトを導入することを可能にする受信側位相シフト手段29、30を備える。図1の非限定的な実施形態では、これらの手段は、受信チャネル120の出力に位置する。
【0058】
有利な点として、第1の受信側位相シフトは、調節可能である。デバイスは、受信側位相シフトを調節することを可能にする調節デバイス、すなわち、図1の非限定的な実施形態におけるデバイス35を有利に備える。
【0059】
有利な点として、第1の受信側位相シフトおよび送信側位相シフトは、同一である。これにより、送信された基本波と同じ位相を有する基本波を受信することが可能になり、したがって、基本アンテナによって送信された全波と同じ偏波を有する全受信波上で測定を行うことが可能になる。変形例として、これらの位相は異なっていてもよい。それらは、独立して有利に調節可能とすることができる。これにより、異なる偏波を有する信号を送信すること、および受信することが可能になる。
【0060】
変形例として、移相器の数は異なり、かつ/または移相器は、送信チャネルの入力、もしくは送信チャネルの出力とは別のところに配置される。
【0061】
有利な点として、アンテナは、アンテナのそれぞれの基本アンテナの励起点に印加された励起信号間に、および/または、アンテナのそれぞれの基本アンテナの励起点から発せられた受信信号間に、調節可能なグローバル位相シフトを導入することを可能にする、いわゆるポインティング位相シフト手段を備える。
【0062】
図1の非限定的な例では、これらの手段は、調節手段35および移相器を対象にした制御信号を生成する制御デバイス36を備える。制御デバイス36は、第1の送信側位相シフトおよび受信側位相シフト(図1の場合には同じである)の導入を命令する第1の信号のS1と、グローバル位相シフトの導入が、各移相器によって入力として受信された信号に適用されるように命令するグローバル信号Sgと、を含む制御信号を生成する。グローバル位相シフトは、同じグローバル位相シフトがそれぞれの基本励起信号、および放射素子から来るそれぞれの基本受信信号に導入されるように命令することができる。このグローバル位相シフトにより、アレイの基本アンテナによって送信された全波の再結合を介して、アンテナによって送信された波、およびアンテナによって測定された波のポインティング方向を選択することが可能になる。変形例として、送信側位相シフトおよび受信側位相シフト(第1の位相シフトおよびグローバル位相シフト)の導入を命令するために、制御デバイス36は、様々な制御信号を受信する。送信された波、および測定された波の偏波ならびにポインティング方向を、このように独立して制御することが可能である。アレイアンテナの電子走査は、アレイを構成する基本アンテナに適用された位相シフトに基づき、この走査は、位相関係によって決定される。
【0063】
基本アンテナは、回路21~24から出力された信号を、デバイス10の方に向けること、および受信信号を、回路のそれぞれの受信チャネルに入力することを可能にする、スイッチ手段を有利に備える。
【0064】
図1の非限定的な実施形態では、これらのスイッチ手段は、回路21、22、23、24の送信チャネル110をフィードライン51a,51b;52a,52b;53a,53b;54a,54bに接続することによって、前記回路21、22、23および24を、送信動作モードか、または、回路の受信チャネル120をフィードライン51a,51b;52a,52b;53a,53b;54a,54bにそれぞれ接続することによって、受信器動作モードのいずれかに切り替えるように制御されるスイッチ121a、121b、121c、121dを備える。
【0065】
変形例として、励起回路はそれぞれ、励起点の対応する対、ならびに、回路の送信チャネルおよび受信チャネルに接続された、電子サーキュレータを備える。送信側回路および受信側回路は、そのとき、同時に動作する。
【0066】
本発明によるデバイスは多数の利点を有する。
【0067】
回路21~24はそれぞれ、送信側では、差動信号を印加することができ、受信側では、差動信号、すなわち、平衡信号を捕捉することができる。回路はすでに差動信号で作動しているので、差動信号から非対称信号に渡すために、バラン(平衡不平衡変成器の略称)のような部品を介在させる必要はない。現状では、そのような中間部品は電力効率を下げる。したがって、デバイスの電力効率が向上する。
【0068】
高電力で作動させるために、本発明は、4つの対ごとに直交偏波されたポートに結合された送信/受信回路を使用し、各回路は、回路を製造するために用いられる技術の最大許容電力と互換性のある公称電力で動作する。
【0069】
したがって、放射手段によって送信または受信される電磁波の電力は、この励起点の対に結合された回路の公称動作電力よりも高い場合がある。放射素子の差動的に励起されたそれぞれの励起点の対は、1つの基本波を生成する。アンテナは、2倍の差動モードで、送信時、および受信時に作動する。励起点の対によって送信される基本波の電力は、送信回路の公称送信側電力の2倍にもなる。
【0070】
公称電力が、励起回路を製造するために用いられる技術によって許容される最大電力に近い場合、これは特に有利である。各励起回路では、電力は最大電力未満にとどまるが、基本アンテナにより、より高電力で波を送信することが可能になる。
【0071】
放射デバイスの技術の選択により、励起点に印加される電圧が決まる。電圧が高いほど、等しい電力およびインピーダンスでの電流は小さくなり、オーム損失が小さくなる。同一のインピーダンスの場合、出力電力を2で割ると、電流は2の平方根で除算される。提案されている解決法は電力をパッチ、または放射素子11において直接合計するので、オーム損失が大幅に減少する。
【0072】
上記で明記したように、エネルギーは、励起点において直接合計される。したがって、4倍強力な増幅器を有する回路を設けるために、4倍の電力を送信する必要がない。放射手段の外部で、電力制限のある増幅器から出力される信号を、例えば、リング型またはWilkinson型加算器によって合計することもまた必要ではない。本発明により、使用されるラインの数、および導体中のオーム損失を制限することが可能になり、したがって、これらの損失を補償するために生成される電力を制限することが可能になる。損失を制限するために、MMIC内でエネルギーを合計することもまた必要ではない。加算をMMIC内で実行する場合には、この重要な場所で損失を散逸させることが必要である。したがって、アンテナの加熱およびオーム損失が減少する。
【0073】
その上、放射素子によって送信された4つの基本波を空中再結合することにより、電力が各基本波の電力の4倍にもなる全波をもたらす。
【0074】
受信側では、入射全波は、それぞれの励起回路に送信される4つの基本波に分解される。基本波は、入射全波の4分の1の電力を有している。これにより、意図的または意図的でないジャミングを実行するデバイスによるアンテナ照射など、外部からの攻撃に対するアンテナ堅牢性を増大させることが可能になる。低雑音増幅器の劣化の危険性が制限される。例えば、(送信が水平偏波または垂直偏波のいずれかであるが、斜め偏波ではない場合)基本信号が最適な偏波で受信されるのではなく、45°で受信されるので、強電場の攻撃性が減少することになる。図1のアンテナにより、例えば、同じ第1の送信側位相シフトおよび受信側位相シフトを適用しないことによって、交差偏波措置、すなわち、水平偏波での送信および垂直偏波での受信を実施することが可能になる。
【0075】
その上、各対の励起点が差動的に、すなわち、平衡して励起される場合には、それぞれの励起点の対は、直線偏波基本波を送信する。励起点の第1の対1+,1-および励起点の第3の対3-,3+の励起信号と、励起点の第2の対2+,2-および励起点の第4の対4+,4-の励起信号、すなわち、励起点の第1の対および励起点の第3の対に直交する励起点との間に位相シフトを適用することによって、放射素子11は、4つの基本波を空中再結合することにより、偏波を単独で生成することができる。
【0076】
これにより、送信/受信回路と放射素子との間に配置された偏波選択スイッチを使用して、放射素子を励起させなければならない方向を選択する必要をなくすことが可能になる。これにより、送信/受信回路を励起点に直接接続させること、したがって電力収量を増加させること、すなわち損失を制限することもまた可能になる。したがって、基本アンテナの加熱が減少する。
【0077】
図4に、本発明による基本アンテナ200の第2の例が示されている。
【0078】
平面放射デバイス10は、図1のものと同一である。アンテナは、図1のやり方と同じやり方でそれぞれの励起点の対1+,1-;2+,2-;3+,3-および4+,4-に結合された、同じ送信/受信回路21~24を備える。
【0079】
対照的に、送信/受信モジュール222は、図1のものとは異なる。それは、励起点の対1+,1-および2+,2-に印加された励起信号間に第1の送信側位相シフトθ1を導入すること、ならびに、励起点の対3+,3-および4+,4-に印加された励起信号間に第2の送信側位相シフトθ2を導入することを可能にする、少なくとも1つの移相器を備える送信側位相シフト手段を備え、これらの2つの送信側位相シフトは、異なったものとすることができる。これにより、2つの励起点の4個組によって、異なる偏波を有する波を送信することが可能になる。
【0080】
図4に示される非限定的な例では、これらの送信側位相シフト手段は、必要に応じてその振幅を除いて、同一の信号を受信し、かつ、対1+,1-および対2+,2-に印加された励起信号間に第1の送信側位相シフトを導入するように、それぞれが受信された信号に位相シフトを導入する、第1の送信移相器125aおよび第2の送信移相器125bを備える。位相シフト手段は、必要に応じてその振幅を除いて、同一の信号を受信し、かつ、対3+,3-および対4+,4-に印加された励起信号間に第2の送信側位相シフトを導入するように、それぞれが信号に位相シフトを適用する、第3の送信移相器126aおよび第4の送信移相器126bを備える。第1の送信側位相シフトおよび第2の送信側位相シフトは、異なっていてもよい。移相器125aおよび125bから発せられた励起信号は、回路21および22に入力としてそれぞれ注入される。移相器126aおよび126bから発せられた励起信号は、回路23および24に入力としてそれぞれ注入される。2つの励起点の4個組によって、異なる偏波を有する2つのビームをこのように同時に送信することが可能である。
【0081】
送信/受信モジュール222は、励起点の対1+,1-および2+,2-に印加された励起信号間に第1の受信側位相シフトを導入すること、ならびに、励起点の対3+,3-および4+,4-に印加された励起信号間に第2の受信側位相シフトθ2を導入することを可能にする、受信側位相シフト手段129a、129b、130a、130bを備え、これらの2つの位相シフトは、異なったものとすることができる。それぞれの回路21~24の受信チャネルから出力された受信信号は、それぞれが受信する信号に位相シフトを導入することを可能にするそれぞれの受信移相器129a、129b、130a、130bに注入される。受信信号はそれぞれ、移相器のうちの1つに注入される。
【0082】
有利な点として、励起点の対1+,1-および2+,2-の励起信号または受信信号間に導入された位相シフト、ならびに、対3+,3-および対4+,4-間に導入された位相シフトは、同一である。変形例として、これらの位相シフトは、異なっていてもよい。これにより、偏波が異なり得る2つの波を送信および受信することが可能になる。
【0083】
有利な点として、位相シフトは調節可能である。
【0084】
有利な点として、励起点の対1+,1-および2+,2-に発せられた送信信号または受信信号間に導入された位相シフト、ならびに、対3+,3-および対4+,4-間に導入された位相シフトは、独立して有利に調節可能とすることができる。そのとき、励起点の第1の4個組1+,1-、2+,2-によって、および励起点の第2の4個組3+,3-、4+,4-によって、送信または測定される基本波の偏波を独立して調節することが可能である。
【0085】
アンテナアレイは、送信側位相シフトおよび受信側位相シフトを調節することを可能にする調節デバイス135を有利に備える。
【0086】
有利な点として、アンテナは、いわゆるポインティング位相シフト手段を備え、このポインティング位相シフト手段は、それぞれの基本アンテナの励起点の第1の4個組1+,1-,2+,2-に印加された励起信号間に第1の送信側グローバル位相シフトを導入すること、およびアレイのそれぞれの基本アンテナの励起点の第2の4個組3+,3-,4+,4-に印加された励起信号間に第2の送信側グローバル位相シフトを導入することを可能にし、この第1の送信側グローバル位相シフトおよび第2の送信側グローバル位相シフトは、異なったものとすることができ、かつ/または、それぞれの基本アンテナの励起点の第1の4個組1+,1-,2+,2-から発せられた受信信号間に第1の受信側グローバル位相シフトを導入すること、およびアレイのそれぞれの基本アンテナの励起点の第2の4個組3+,3-,4+,4-から発せられた受信信号間に第2の受信側グローバル位相シフトを導入することを可能にし、この第1の受信側グローバル位相シフトおよび第2の受信側グローバル位相シフトは、異なったものとすることができる。そのとき、2つの異なる方向に2つのビームを同時に送信することが可能である。
【0087】
有利な点として、送信側グローバル位相シフト、および/または受信側グローバル位相シフトは調節可能である。
【0088】
有利な点として、送信側グローバル位相シフトおよび/または受信側グローバル位相シフトは、独立して調節可能である。ポインティング方向は、独立して調節可能である。
【0089】
図4のデバイスは、ある一方向にビームを測定することができ、別の方向に同時にビームを送信するか、または2つの方向に2つの測定を同時に行うことができ、そのとき制御デバイスは、送信側位相シフトおよび受信側位相シフトの導入を命令するために、様々なグローバル信号を受信する。ある一方向に信号を送受信し、かつ、別の方向に送信を送信し、通信を受信することが可能である。したがって、交差送信/受信を行うことが可能である。意図的または意図的でないジャミング信号からレーダを保護することを可能にする副ローブ抑圧(SLS:side-lobe-suppression)を機能させるために、受信側または送信側で、副ローブおよびスプリアスローブをカバーする空中線指向性図を形成することが可能である。様々な周波数で送信することが可能であり、これにより、レーダ探知機(電子支援装置すなわちESM)の任務が複雑化される。
【0090】
図4の非限定的な例では、これらの手段は、調節デバイスおよび移相器を対象にした制御信号の発生を可能にする制御デバイス136を備える。信号発生器136は、(それらが同一であるときに)第1の送信側位相シフトおよび受信側位相シフトの導入を命令する第1の信号S1と、第1のグローバル位相シフトの導入を、励起点の第1の4個組1+,1-,2+,2-のうちの1対に結合された各移相器によって入力として受信された信号に適用するように命令する第1のグローバル信号S1gと、を含む制御信号を発生させる。制御デバイス136は、(それらが同一であるときに)第2の送信側位相シフトおよび受信側位相シフトの導入を命令する第2の信号S2と、グローバル位相シフトの導入を、励起点の第2の4個組3+,3-,4+,4-のうちの1対に結合された各移相器によって入力として受信された信号に適用するように命令する第2のグローバル信号S2gと、もまた発生させる。変形例として、制御デバイス136は、様々な制御信号を受信して、送信側位相シフトおよび受信側位相シフトの導入を命令する。励起点の4個組のそれぞれによって送信され、測定された波の偏波およびポインティング方向を、このように独立して制御することが可能である。
【0091】
図4の実施形態では、2つの励起点の4個組1+,1-,2+,2-および3+,3-,4+,4-の送信チャネルは、2つの異なる供給源SO1、SO2によって供給される。これにより、供給源が異なる周波数の励起信号E1およびE2を送達すると、異なる周波数を有する2つの波を、一方を励起点の第1の4個組1+,1-,2+,2-によって、および他方を励起点の第2の4個組3+,3-,4+,4-によって送信することが可能になる。
【0092】
これにより、供給源が異なる周波数の励起信号E1およびE2を送達すると、異なる周波数を有する2つの波を、一方を励起点の第1の4個組1a+,1a-,2a+,2a-によって、および他方を励起点の第2の4個組3a+,3a-,4a+,4a-によって送信することが可能になる。このように図4のアンテナは、独立して調節可能な、2つのポインティング方向に向けられた2つのビームを異なる周波数で同時に送信することができる。2つビームを同時に2つの方向に向けるこの機能により、デュアルビームと同等のもの、すなわち、高速で走査されるビームおよびより低速で走査されるビームを得ることが可能になる。例えば、低速ビームは、毎分10回転で、監視モードで使用することができ、高速ビームは、毎秒1回転で、追跡モードで使用することができる。これらの走査モードは、シングルビームアンテナのようにインタリーブされるのではなく、同時に実施することができる。異なる周波数で送信する機能により、レーダ探知機(電子支援装置すなわちESM)の任務が複雑化される。これにより、データリンクをある一方向に確立し、レーダ機能を別の方向に実行することもまた可能になる。この実施形態により、形状が異なる2つのビームを送信することもまた可能になる。励起されるアレイの基本アンテナの数に応じて、ナロービームまたはワイドビームを送信することが可能である。
【0093】
送信/受信モジュール20は、第1の供給源SO1から発せられた励起信号E1を、2つのそれぞれの第1の送信移相器125a、125bに入力として注入される2つの同一の信号に分割することを可能にする第1の分配器211aを備える。回路120は、第2の供給源から発せられた励起信号E2を、2つの他方のそれぞれの送信移相器126a、126bに入力として注入される2つの同一の信号に分割することを可能にする第2の分配器211bを備える。
【0094】
受信移相器から出力された受信信号は、モジュール20のそれぞれの加算器230a、230bによって、対ごとに合計される。それぞれの加算器から発せられた信号は、遠隔した捕捉電子機器に別々に送信される。図4の非限定的な例では、フィードラインの第1の対51a,51bから発せられた受信信号を入力として受信する第1の受信移相器129aから、および、フィードラインの第2の対52a,52bから発せられた受信信号を入力として受信する第2の受信移相器129bから発せられた2つの信号は、第1の出力信号SS1を発生させるために、第1の加算器230aによって合計される。フィードラインの第3の対53a,53bから発せられた受信信号を入力として受信する第3の受信移相器130aから、および、フィードラインの第4の対54a,54bから発せられた受信信号を入力として受信する第4の受信移相器130bから発せられた2つの信号は、第2の出力信号SS2を発生させるために、第2の加算器230bによって合計される。それぞれの加算器によって出力された信号は、遠隔した捕捉電子機器に別々に送信される。これにより、異なる周波数を有する受信信号を区別することが可能になる。別々に合計されている2つの励起点の4個組から発せられた信号は、意図的または意図的でないジャミング信号からレーダを保護することを可能にする副ローブ抑圧(SLS)を機能させるために、副ローブおよびスプリアスローブをカバーする受信側アンテナを形成することが可能である。
【0095】
変形例として、2つの励起点の4個組に関連付けされた送信チャネルおよび/または受信チャネルは異なっていてもよく、すなわち、異なる電力および/または異なる幅の通過帯域を有してもよい。励起点の4個組のうちの1つに、例えば、レーダ信号を送信するために、高電力であり、かつ通過帯域の狭い送信チャネルを、また、例えば、ジャミング信号を送信するために、低電力であり、かつ通過帯域の広い送信チャネルをこのように提供することが可能である。
【0096】
変形例として、2つの励起信号E1およびE2は、同じ周波数を有する。したがって、図1の実施形態におけるような、より強力な全波を得ることが可能である。同じ周波数で2つのビームを2つの異なる方向に、および/または異なる偏波を有する2つのビームを送信することもまた可能である。
【0097】
図5に、本発明の第3の実施形態による基本アンテナ300が示されている。
【0098】
基本アンテナは、その放射素子311が励起点の第1の4個組1+,1-,2+,2-だけを含む点で、図4のものとは異なっている。関連する送信/受信デバイス320は、励起点のこの4個組1+,1-,2+,2-に結合された送信/受信デバイスの部分だけを含む点で、図4のものとは異なっている。それは、第1の回路21、および第2の回路22だけを含む。
【0099】
放射素子が、互いに対して直交して位置する励起点の対に印加される2つの励起信号で励起されるという事実により、基本アンテナの送信/受信パターンの対称性を高めることが可能になる。
【0100】
この基本アンテナは、偏波が調節可能な波を送信し、調節可能な偏向方向を有する波を受信することが可能である。それぞれの結合点に結合されたフィードラインに注入された信号の位相の例が、得られた偏波とともに、図6の表に示されている。例として、1行目を考慮されたい。励起点1+および2+は、同じ励起(同じ位相)を有し、励起点1-および2-は、同じ励起を有するが、その励起は、他方の励起点の励起とは反対である。したがって、偏波は垂直、すなわち、図5に示されるZ軸に沿っている。グローバル位相シフト手段もまた想定することができる。
【0101】
この基本アンテナにより、ポインティング方向が調節可能な全波を送信することを可能にするアレイアンテナを製造することもまた可能になる。
【0102】
図5のデバイスによって送信された波の電力は、対照的に、図1のデバイスによって送信された電力の2分の1である。受信側電力の減少は、図1のデバイスの減少の2分の1である。
【0103】
有利な点として、図5の基本アンテナの励起点は、放射素子11によって画定された平面に位置する第3の直線D3であって、中心Cを通り、かつ、2つの直線D1およびD2の二等分線である第3の直線の同じ側に位置している。これにより、例えば、他の型の励起を発生させるために、放射素子の半分を空けておくことが可能になる。
【0104】
図面におけるように、放射素子が実質的に正方形の場合、直線D3は、正方形の2つの頂点をつなぐ。
【0105】
有利な点として、図1および図4のアンテナの励起点の第1の4個組1-,1+,2+および2-もまた、直線D3の同じ側に位置し、励起点の第2の4個組3+,3-,4+,4-に対して直線D3の他方側に位置している。
【0106】
図1図4および図5の実施形態では、それぞれの励起点の対に結合された送信/受信回路は同一である。変形例として、これらの回路は異なっていてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6