(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-05
(45)【発行日】2022-01-20
(54)【発明の名称】光電子測定装置
(51)【国際特許分類】
G01J 1/02 20060101AFI20220113BHJP
G01M 11/00 20060101ALI20220113BHJP
【FI】
G01J1/02 L
G01M11/00 T
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020092973
(22)【出願日】2020-05-28
【審査請求日】2020-07-01
(32)【優先日】2019-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】505441638
【氏名又は名称】致茂電子股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Chroma Ate Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100159905
【氏名又は名称】宮垣 丈晴
(72)【発明者】
【氏名】王友延
(72)【発明者】
【氏名】▲黄▼國▲うぇい▼
(72)【発明者】
【氏名】翁思淵
【審査官】小澤 瞬
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-004491(JP,A)
【文献】特開2006-343121(JP,A)
【文献】特開2009-069041(JP,A)
【文献】特開2013-096766(JP,A)
【文献】特開平11-014464(JP,A)
【文献】特開平07-055636(JP,A)
【文献】特表2010-539459(JP,A)
【文献】中国実用新案第201993424(CN,U)
【文献】特開平06-070095(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0253937(US,A1)
【文献】特開2008-215833(JP,A)
【文献】平等拓範,レーザービーム品質測定の基礎,レーザー研究,日本,1998年10月,第26巻 第10号,P723-729
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 1/00 - G01J 1/60
G01J 11/00
G01M 11/00 - G01M 11/08
G03B 27/34 - G03B 27/40
H01S 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電子測定装置であって、
第一の試験光を受け取り、前記第一の試験光を第二の試験光に変換するための、第一の光路上に設置される対物レンズと、
前記第二の試験光を受け取り、前記第二の試験光を第三の試験光に変換するための、前記第一の光路上に設置される結像レンズと、
前記第三の試験光のビーム特性を測定するための、前記第一の光路上に設置されるカメラと、
前記第一の光路上の前記結像レンズと前記カメラとの間に設置される光路調整モジュールであって、前記第一の光路上に設置されたミラーを含み、前記ミラーは試験コマンドに応じて前記結像レンズに対して相対的に移動し、前記第一の光路上の前記結像レンズと前記カメラとの間の距離を
変化させる光路調整モジュールと、
を含み、
前記ミラーは前記第三の試験光を垂直に反射させる、光電子測定装置。
【請求項2】
前記カメラが前記第三の試験光の前記ビーム特性を測定する場合、前記カメラは前記第三の試験光のビームウエスト、発散角度、及び開口数を測定することをさらに含む、請求項1に記載の光電子測定装置。
【請求項3】
前記光路調整モジュールが前記試験コマンドに応じて移動する場合、前記結像レンズと前記カメラとの間の相対位置は変化しないままである、請求項1に記載の光電子測定装置。
【請求項4】
前記第二の試験光の光強度を低減させるために、前記第一の光路上の前記対物レンズと前記結像レンズとの間に設置される第一のフィルタをさらに含む、請求項1に記載の光電子測定装置。
【請求項5】
前記カメラは概して前記第一の光路上の前記結像レンズの光射出側の焦点面に設置される、請求項1に記載の光電子測定装置。
【請求項6】
前記第一の試験光はレーザダイオードから発せられ、前記レーザダイオードは前記第一の光路上の前記対物レンズの光入射側の焦点面に設置される、請求項1に記載の光電子測定装置。
【請求項7】
前記第二の試験光を第四の試験光に分離するための、前記第一の光路上に設置された第一のビームスプリッタと、
前記第四の試験光について輝度-電流-電圧試験を行い、レーザダイオードの動作特性を特定するための輝度-電流-電圧試験モジュールと、
をさらに含む、請求項1に記載の光電子測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は2019年5月31日に出願された台湾特許出願第108118966号の優先権を主張するものであり、その内容の全体を参照によって本願に援用する。
【0002】
本発明は電子ユニットのための測定装置に関し、より詳しくは、光電子機器の特性を検出するための光電子測定装置に関する。
【背景技術】
【0003】
光電子技術の進歩に伴い、現在ではレーザを幾つかの媒質で生成できることがよく知られている。例えば、レーザはガス、化学物質、又は半導体等により生成できる。現在、市場では、概してレーザダイオードと呼ばれる半導体によりレーザを生成することが一般的である。実際には、レーザダイオードの製造が完了すると、その後、レーザの品質の安定性を確保するために、多くの光検出が必要となる。しかしながら、レーザダイオードにより発せられるレーザ光ビームを検出する際、幾つかの測定では対物レンズの対物面又は結像レンズの結像面を頻繁に移動させなければならない。これらの測定は、ビームの特性、例えばビームウエスト、発散角度、及び開口数(NA:numerical apertures)等に関する近接場パラメータであり得る。当業者にとっては、対物レンズ又は結像レンズを頻繁に移動させると、光学構成において測定が不安定となり、測定エラーが発生しやすいことが理解できる。
【0004】
それに加えて、レーザダイオードの測定の多くは、前記レーザビーム、ビームウエスト、発散角度、及び開口数等の前記近接場パラメータを検出するためのものを含めたそれぞれのテストステーションを必要とする。現実には、これらの測定は輝度-電流-電圧(LIV)測定のためのテストステーションと一体化されていない。一般的に、多くのテストステーションがあり、出荷ルートが複雑であるため、レーザダイオードの移動中に予想外の損傷が生じやすく、また、現実には、それが大きい工場スペースを占め得る。そこで、業界では、測定プロセス中の対物レンズと結像レンズの安定性を保つだけでなく、多くの測定を統合して工場スペースを節約するような、光電子ユニットを測定するための新たな機器が求められている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、レーザダイオードの複数の測定値を検出し、それと同時に測定プロセス中の対物レンズ及び結像レンズの安定性を保持する光電子測定装置を提供する。
【0006】
本発明は、光電子測定装置を開示しており、これは、対物レンズと、結像レンズと、カメラと、光路調整モジュールと、を含む。対物レンズは、第一の試験光を受け取り、第一の試験光を第二の試験光に変換するために、第一の光路上に設置される。結像レンズは、第二の試験光を受け取り、第二の試験光を第三の試験光に変換するために、第一の光路上に設置される。カメラは、第三の試験光のビーム特性を測定するために、第一の光路上に設置される。光路調整モジュールは、第一の光路上の結像レンズとカメラとの間に設置され、光路調整モジュールは、第一の光路上に設置されたミラーを含み、ミラーは試験コマンドに応じて結像レンズに対して相対的に移動し、第一の光路上の結像レンズとカメラとの間の距離を第一の光学距離又は第二の光学距離となるように調整する。ミラーは第三の試験光を垂直に反射する。
【0007】
1つの実施形態において、カメラが第三の試験光のビーム特性を測定する場合、カメラは第三の試験光のビームウエスト、発散角度、及び開口数を測定してよい。さらに、光路調整モジュールが試験コマンドに応じて移動する場合、結像レンズとカメラとの間の相対位置は変化しないままである。
【0008】
1つの実施形態において、光電子測定装置は、第二の試験光の光強度を低減させるために、第一の光路上の対物レンズと結像レンズとの間に設置される第一のフィルタをさらに含む。さらに、カメラは概して第一の光路上の結像レンズの光射出側の焦点面に設置されてよい。代替的に、第一の試験光はレーザダイオードから発せられてよく、レーザダイオードは第一の光路上の対物レンズの光入射側の焦点面に設置される。
【0009】
1つの実施形態において、光電子測定装置は、第一のビームスプリッタと、輝度-電流-電圧試験モジュールと、をさらに含む。第一のビームスプリッタは第一の光路上に設置されて、第二の試験光を第四の試験光に分割する。輝度-電流-電圧試験モジュールは、第四の試験光について輝度-電流-電圧試験を行い、レーザダイオードの動作特性を特定するように構成される。
【0010】
上記に基づき、本発明において提供される光電子測定装置は、結像レンズとカメラとの間の距離を、光路調整モジュールを調整することによって変更でき、それによって対物レンズ又は結像レンズを移動させる必要がなくなり、光学構成の安定性が保たれる。それに加えて、レーザダイオードにより発せられるレーザ光ビームの強度は非常に高いことから、現実には、レーザ光ビームのほとんどが光学構成から除去されて、カメラの露光過剰が回避される。特に、本発明において提供される光電子測定装置は、フィルタ処理により除去されることになるレーザ光ビームを利用し、このようなレーザ光ビームを輝度-電流-電圧試験モジュールへと向けてよく、それによって複数の測定を統合する目的を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明のある実施形態による光電子測定装置の概略的構成図である。
【
図2】本発明の他の実施形態による光電子測定装置の概略的構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の特徴、目的、及び機能を以下にさらに開示する。しかしながら、以下は本発明の考え得る実施形態のうちのわずかにすぎず、本発明の範囲はそれに限定されず、すなわち、本発明の特許請求の範囲に従って行われる同等の変更及び改良も依然として本発明の主旨のままである。本発明の主題と範囲から逸脱することなく、これも本発明のさらなる実施可能形態と考えられるべきである。
【0013】
図1の本発明のある実施形態による光電子測定装置の概略的構成図を参照されたい。
図1に示されるように、本実施形態の光電子測定装置1は光電子ユニットの特性を測定するために使用される。光電子ユニットは、
図1ではレーザダイオード2であってよい。本実施形態は光電子ユニットの種類を限定せず、これはガスレーザユニット又は化学レーザユニットであってもよい。光電子測定装置1は、レーザダイオード2のビーム特性を測定するために使用されてよく、特にレーザダイオード2から発せられるレーザ光ビームの近接場パラメータを測定するために使用されてよい。例えば、光電子測定装置1は、近接場パラメータ、例えばレーザ光ビームのビームウエスト(W0)、発散角度(θ)、及び開口数(NA)等を測定するために使用されてよい。一般に、レーザダイオード2の測定には、走査中に対物レンズ又は結像レンズを特定の範囲内で移動させる必要があるが、本実施形態は、対物レンズ又は結像レンズの移動を必要としない光学構成を提供する。
図1に示される光電子測定装置1は対物レンズ10と、結像レンズ12と、ビームスプリッタ14と、光路調整モジュール16と、カメラ18と、を含み、対物レンズ10、結像レンズ12、ビームスプリッタ14、光路調整モジュール16、及びカメラ18は第一の光路上に設置される。第一の光路上に設置されたユニットを、それぞれ以下のように説明する。
【0014】
対物レンズ10は、第一の光路上に設置されて、レーザダイオード2から発せられたレーザ光(すなわち、第一の試験光)を受け取る。
図1において、レーザダイオード2と対物レンズ10との間の一点鎖線は、第一の光路に沿って光電子測定装置1へと伝搬する第一の試験光を示すために使用されている。本実施形態は、対物レンズ10とレーザダイオード2の大きさ及び、レーザダイオード2が第一の試験光を発出する角度を限定していない。レーザダイオード2に適当なレンズがまだ取り付けられていないため、レーザダイオード2から発せられたレーザ光ビーム(すなわち、第一の試験光)は平行光ではなく、これは既に組立てられたレーザエミッタとは異なる。当業者であれば、光源が凸レンズの焦点面の片側に設置されている場合、凸レンズの光学特性に従って、光源から発せられる光は平行光に変換されてから、凸レンズの反対側から発せられ得ることがわかるであろう。他の実施形態では、対物レンズ10は凸レンズであってよく、レーザダイオード2は対物レンズ10の光入射側の焦点面に設置されてよく、それによって非平行レーザ光ビーム(すなわち、第一の試験光)は平行レーザ光ビーム(すなわち、第二の試験光)に変換され得る。換言すれば、対物レンズ10は第一の試験光を平行な光特性を有する第二の試験光に変換してよい。
【0015】
それに加えて、結像レンズ12もまた第一の光路上に設置され、対物レンズ10から発せられた平行レーザ光ビーム(すなわち、第二の試験光)を受け取る。
図1に示されるように、対物レンズと結像レンズ12との間の一点鎖線は、第二の試験光が第一の光路に沿って結像レンズ12へと伝搬することを示すために使用されている。現実には、結像レンズ12はチューブレンズであってよい。本実施形態では、結像レンズ12の種類は限定されない。追加的に、レーザ光ビームが平行レーザ光ビームに変換されると、理論的には、そのような平行レーザ光ビームはその直線的経路に沿って何れの距離にも伝搬してよく、すなわち、第一の光路の長さは延長される。例えば、第一の光路の延長は、対物レンズ10と結像レンズ12との間の距離の増大とみなされてよく、したがって、対物レンズ10と結像レンズ12との間に複数の異なる種類の光学ユニットを設置することが可能となる。しかしながら、当業者であれば、平行光は集束しない(すなわち、焦点を持たない)ため、像を結ばないことがわかるであろう。したがって、結像レンズ12は焦点面を有する凸レンズであってよく、平行レーザ光ビームが結像レンズ12を通って伝搬した後、平行レーザ光ビームは非平行レーザ光ビーム(すなわち、第三の試験光)に変換されてよく、これは像を結び、測定可能である。
【0016】
図1は、結像レンズ12から伝送された第三の試験光を受け取るように構成されたビームスプリッタ14を示しており、入射した第三の試験光は光路調整モジュール16へと透過してよい。第三の試験光は、光路調整モジュール16で反射された後、当初の経路に沿って反対方向に辿り、ビームスプリッタ14に戻ってよい。
図1に示されるように、結像レンズ12とビームスプリッタ14との間の一点鎖線は、第三の試験光が第一の光路に沿ってビームスプリッタ14へと伝搬することを示すために使用されており、この一点鎖線はさらに、ビームスプリッタ14から光路調整モジュール16へと貫通している。一点鎖線は、光路調整モジュール16で反射すると、再び光路調整モジュール16からビームスプリッタ14へと伝送される。現実には、第三の試験光はすでに非平行レーザ光ビームであり、これは光ビームの伝搬に沿って集束され得るため、光路調整モジュール16が第三の試験光を反射させると、第三の試験光の断面積は結像レンズ12から発せられるものより小さくなることがわかる。すると、ビームスプリッタ14が光路調整モジュール16で反射した第三の試験光を受け取ると、ビームスプリッタ14は反射した第三の試験光をカメラ18へと向けてよい。1つの実施形態において、光路調整モジュール16はミラー160と、ミラー160を調節するためのモータ又はプラットフォームとを含んでいてよく、ミラー160は第三の試験光を反射するように構成されてよい。本実施形態において、ミラー160の形状又は光路調整モジュール16内のミラー160の位置は限定されず、ミラー160が第三の試験光を反射するように構成され得るかぎり、ミラー160は本実施形態の範囲に含まれる。
【0017】
カメラ18も第一の光路上に設置されて、ビームスプリッタ14から発せられた第三の試験光のビーム特性を測定する。
図1に示されるように、ビームスプリッタ14とカメラ18との間の一点鎖線は、光路調整モジュール16のミラー160により反射された第三の試験光がビームスプリッタ14からカメラ18へと発せられることを示すために使用されている。特筆すべき点として、本実施形態ではビームスプリッタ14は不要であり得る。例えば、結像レンズ12から発せられる第三の試験光は光路調整モジュール16のミラー160により直接反射されてもよい。当業者であれば、ビームスプリッタ14がある場合、ミラー160の法線は第三の試験光の入射方向の正反対であり得、それによってミラー160への第三の試験光の入射角はゼロであってよく、第三の試験光は当初の入射方向の180°反対方向に反射されてよいことがわかるであろう。それに加えて、ビームスプリッタ14が利用できない場合、ミラー160への第三の試験光の入射角と射出角を計算し、カメラ18を適当な箇所に位置付けることによって、光路調整モジュール16のミラー160により反射される第三の試験光は容易に受け取れるはずである。本実施形態を理解しやすくするために、
図1に示される光電子測定装置1のビームスプリッタ14は以下において依然として、説明のために使用されている。
【0018】
1つの実施形態において、カメラ18は結像レンズ12の光射出側の焦点面に設置されてよく、すなわち、第一の光路上の結像レンズ12とカメラ18との間の距離は結像レンズ12の焦点距離であってよい。換言すれば、第三の試験光はカメラ18の位置で合焦するため、カメラ18上で像が結ばれてよく、それによってカメラ18は第三の試験光のビーム特性を測定するように構成されてよい。例えば、カメラ18は第三の試験光のビームウエスト、発散角度、及び開口数等の近接場パラメータを測定してよい。
【0019】
より実践的な例では、ビームウエストの測定において、第一の光路(すなわち、第三の試験光の光路)上の結像レンズ12とカメラ18との間の距離は、ビームウエスト、発散角度、及び開口数等の近接場パラメータを得るために、わずかに調整されてよい。
図1に描かれている例に示されるように、第三の試験光の光路は第一の光路上の結像レンズ12とカメラ18との間の距離である。
図1は、第三の試験光が結像レンズ12からビームスプリッタ14まで伝送される距離D1、第三の試験光がビームスプリッタ14から光路調整モジュール16のミラー160まで伝送される距離D2、及び第三の試験光がビームスプリッタ14からカメラ18まで伝送される距離D3を含む。第三の試験光は、ミラー16によってビームスプリッタ14へと反射される場合、再び距離D2を通過する点に留意されたい。すなわち、第三の試験光の光路は、単純にD1+2D2+D3で単純に示されてよい。
【0020】
第一の光路上の結像レンズ12とカメラ18との間の距離を変化させるために、光路調整モジュール16のミラー160は試験コマンドに従って結像レンズ12に対して相対的に移動してよい。例えば、ミラー160は結像レンズ12に向かって距離dだけ、又は結像レンズ12から離れるよう距離dだけ移動してよい。ミラー160が結像レンズ12に向かって距離dだけ移動すると、第三の試験光がビームスプリッタ14から光路調整モジュール16まで伝送される距離はdだけ短くなり、それゆえ、第三の試験光の光路はさらに、D1+2(D2-d)+D3として示されてよい(例えば、第一の光路と呼ばれてよい)。これに対して、ミラー160が結像レンズ12から離れるよう距離dだけ移動すると、第三の試験光がビームスプリッタ14から光路調整モジュール16まで伝送される距離はdだけ長くなり、それゆえ、第三の試験光の光路はさらにD1+2(D2+d)+D3として示されてよい(例えば、第二の光路と呼ばれてよい)。
【0021】
当業者であれば、光学イメージングの原理に従って、レンズの焦点距離が変わらなければ結像面からレンズまでの距離(すなわち、結像距離)を能動的に変化させれば、対物面からレンズまでの距離(すなわち、対物距離)も同時に変化することがわかるであろう。換言すれば、対物レンズ10と結像レンズ12の焦点距離が変化しない本実施形態において、走査中のレーザダイオード2の深度(すなわち、対物距離)は、第三の試験光の光路(すなわち、結像距離)を変化させるためにミラー160を移動させることによって相応に変化させられてよい。ここで、本実施形態の動作原理は、以下の結像式により簡単に説明されてよい:
【数1】
【0022】
上の結像式の中で、fは対物レンズ10と結像レンズ12の合成焦点距離を示す。Sは、
図1に示されるように対物レンズ10の結像面距離Sである対物距離を示し、結像面距離Sはレーザダイオード2の走査距離を示す。Dは、結像レンズ12とカメラ18との間の光路である結像距離(すなわち、前述のD1+2D2+D3)を示す。本実施形態では、対物レンズ10と結像レンズ12の合成焦点距離は一定であるため、SとDとの間に連鎖関係があることがわかる。上記を例と考えると、ミラー160が結像レンズ12に向かって距離dだけ移動すると、上述の式中のDはD1+2(D2-d)+D3に置き換えることができ、fとDは既にわかっているため、結像面距離Sを計算して、S1と表すことができる。ミラー160が結像レンズ12から離れるよう距離dだけ移動すると、上述の式中のDはD1+2(D2+d)+D3に置き換えることができ、同様に、fとDは既にわかっているため、結像面距離Sを計算して、S2と表すことができる。明らかに、S1とS2は同じではなく、S1とS2との間の距離の差は光電子測定装置1が走査できる垂直方向の結像面深度である。
【0023】
追加的に、上述の説明によれば、第一の試験光上の結像レンズ12とカメラ18との間の光路の変更可能範囲は、ミラー160の移動距離dの4倍であってよい(すなわち、変更可能範囲は+2dから-2dであり得る)。確実に、この前後移動は本実施形態において例として記載されているが、ミラー160は対称移動に限定されない。また、レーザダイオード2から発せられるレーザビームの強度は非常に高いものであり得るため、カメラ18内の露光過剰を回避するために、光電子測定装置1は1つ又は多くのフィルタをさらに含んでいてよく、このような1つ又は多くのフィルタは、例えば対物レンズ10と結像レンズ12との間に設置されるが、これは本実施形態において限定されない。
【0024】
特筆すべき点として、従来、レーザダイオードの特定の走査深度を実現するためには、光学構成全体を移動させて対物レンズとレーザダイオードとの間の対物距離を変更する必要があり、すなわち、上記を例にとって、結像レンズとカメラが第一の光路に4d(すなわち、+2dから-2d)の光路の変更可能範囲をもたらすようにするために、結像レンズ又はカメラを全体で4dだけ移動させて、対物距離を4d(すなわち、+2dから-2d)だけ変化させる必要があり得る。しかしながら、本実施形態では、ビームスプリッタ14から光路調整モジュール16のミラー160までの距離はD2であるため、ミラー160からビームスプリッタ14へと反射される距離もD2であり、それゆえ、第一の試験光についての結像レンズ12とカメラ18との間の光路の+2dから-2dの変更可能範囲は、ミラー160を距離2d(すなわち、+dから-d)だけ移動させるだけで達成され得る。したがって、ミラー160の移動距離の短縮により、本実施形態では対物レンズ10と結像レンズ12の移動が不要であるだけでなく、測定速度も従来の方法よりはるかに速い。それに加えて、ミラー160の重量はかなり軽く、その体積はかなり小さくてよいため、本実施形態は、ミラー160を非常に高い精度で移動させる制御プラットフォームをより利用できるようになり、それによって測定の正確さもさらに向上する。
【0025】
他方で、本実施形態は、光路内の輝度-電流-電圧(LIV)を測定するための測定機器とさらに統合されてよい。
図2の、本発明の他の実施形態による光電子測定装置の概略的構成図を参照されたい。
図1と同様に、
図2に示される光電子測定装置3もまた、対物レンズ30と、結像レンズ32と、ビームスプリッタ33と、光路調整モジュール34と、カメラ35と、を含む。対物レンズ30、結像レンズ32、ビームスプリッタ33、光路調整モジュール34、及びカメラ35は第一の光路上に設置される。追加的に、対物レンズ30は同様に、レーザダイオード2により発せられたレーザ光ビーム(すなわち、第一の試験光)を受け取り、非平行レーザ光ビーム(すなわち、第一の試験光)を平行レーザ光ビーム(すなわち、第二の試験光)に変換するために使用されてよい。結像レンズ32もまた、対物レンズ30により発せられた平行レーザ光ビームを受け取り、平行レーザ光ビームを非平行レーザ光ビーム(すなわち、第三の試験光)に変換するように構成されてよい。
【0026】
さらに、ビームスプリッタ33もまた、結像レンズ32により伝送された第三の試験光を受け取るために使用されてよく、入射した第三の試験光は光路調整モジュール34へと透過してよい。光路調整モジュール34は、第三の試験光を反射させるように構成されたミラー340を含んでいてよく、同様に、ミラー340も試験コマンドに従って結像レンズ32に対して相対的に移動してよい。カメラ35も同様に、第三の試験光のビーム特性、例えば第三の試験光のビームウエスト、発散角度、及び開口数等を含む近接場パラメータを測定するために使用されてよい。対物レンズ30、結像レンズ32、ビームスプリッタ33、光路調整モジュール34、及びカメラ35のその他の説明は、前の実施形態で説明した対物レンズ10、結像レンズ12、ビームスプリッタ14、光路調整モジュール36、及びカメラ18を参照されたく、これらはここでは繰り返さない。
【0027】
図1と異なり、
図2に示される光電子測定装置3は、ビームスプリッタ31(すなわち、第一のビームスプリッタ)と輝度-電流-電圧試験モジュール36をさらに含む。ビームスプリッタ32は、第一の光路上の対物レンズ30と結像レンズ32との間に設置される。前述のように、レーザダイオード2から発せられたレーザ光ビームの強度は非常に高いため、光電子測定装置3は、1つ又は複数のフィルタ(図示せず)を含むだけでなく、ビームスプリッタ31を使ってレーザ光ビームの特定の比を第一の光路の外へと向けても(すなわち、レーザ光ビームを第四の試験光へと分割しても)よい。それゆえ、第一の光路上に設置されるフィルタの数を減らしてよく、又はより軽いフィルタを設置してよい。一例において、ビームスプリッタ31は、レーザ光ビームの第一の光路上の部分を減らすのに役立ち得るだけでなく、第一の光路の外へと向けられるレーザ光ビームは輝度-電流-電圧試験モジュール36によっても受け取られてよい。実践において、輝度-電流-電圧試験モジュール36は、第一の光路の外へと向けられるレーザ光ビームに基づいて輝度-電流-電圧試験を行って、レーザダイオード2の動作特性を特定してよい。例えば、輝度-電流-電圧試験は、閾値電流(I
th)、動作電圧(V
o)、又は動作電流(I
op)等の測定を含んでいてよい。
【0028】
換言すれば、ビームスプリッタ31により分離された第一の光路上のレーザ光ビームは、単に第一の光路上でフィルタ処理により除去されるというよりも、輝度-電流-電圧試験モジュール36によって他の測定値を得るためにも使用されてよい。光電子測定装置3は、より有効にレーザ光ビームを利用し、エネルギーの不必要な浪費を回避し得、これは実際の使用における省エネルギーにとって有意義であることがわかるであろう。それに加えて、それぞれレーザ光ビームの近接場パラメータとレーザダイオード2の動作特性を測定するために2つのテストステーションが必要な従来の構成と異なり、本実施形態の光電子測定装置3は、カメラ35によってレーザ光ビームの近接場パラメータを測定し得るだけではなく、レーザダイオード2の動作特性も輝度-電流-電圧試験モジュール36により測定され得、工場スペースがさらに有効に利用される。
【0029】
要約すれば、本発明において提供される光電子測定装置はまた、結像レンズとカメラレンズとの間の距離を光路調整モジュールの調整によって変化させることができ、それによって対物レンズ又は結像レンズを移動させる必要がなく、また、光学構成の安定性が保持される。それに加えて、レーザダイオードにより発せられるレーザ光ビームの強度は非常に高いため、実践では、レーザ光ビームのほとんどが光学構成から除去されて、カメラの露光過剰が回避される。特に、本発明において提供される光電子測定装置は、フィルタ処理により除去されることになるレーザ光ビームを利用し、このようなレーザ光ビームを輝度-電流-電圧試験モジュールへと向けてよく、それによって複数の測定を統合する目的が達成される。