(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-05
(45)【発行日】2022-01-20
(54)【発明の名称】早産児の生体外支援のためのシステム
(51)【国際特許分類】
A61G 11/00 20060101AFI20220113BHJP
【FI】
A61G11/00 Z
(21)【出願番号】P 2020155293
(22)【出願日】2020-09-16
(62)【分割の表示】P 2017565991の分割
【原出願日】2016-06-17
【審査請求日】2020-09-16
(32)【優先日】2015-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2015-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】301040958
【氏名又は名称】ザ・チルドレンズ・ホスピタル・オブ・フィラデルフィア
【氏名又は名称原語表記】THE CHILDREN’S HOSPITAL OF PHILADELPHIA
(74)【代理人】
【識別番号】100101890
【氏名又は名称】押野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100098268
【氏名又は名称】永田 豊
(72)【発明者】
【氏名】フレーク・アラン
(72)【発明者】
【氏名】デイビー・マーカス
【審査官】梶本 直樹
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第203663028(CN,U)
【文献】国際公開第2014/145494(WO,A1)
【文献】特開平8-294519(JP,A)
【文献】特開2013-233194(JP,A)
【文献】米国特許第5218958(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0010005(US,A1)
【文献】米国特許第2723660(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0168502(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0193096(US,A1)
【文献】米国特許第4048684(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人間の胎児を包み、成熟中に前記人間の胎児を維持するように構成されたシステムにおいて、
第1の部分および第2の部分を備える胎児用チャンバであって、前記第1の部分は、前記第1の部分のための第1の開口部を画定する第1の周縁部リップを有する剛性な第1のフレームを有し、前記第2の部分は、前記第2の部分のための第2の開口部を画定する第2の周縁部リップを有する剛性な第2のフレームを有し、前記第1の部分及び前記第2の部分はそれぞれに対して動かすことができ、前記第1の周縁部リップおよび前記第2の周縁部リップを分離させて、前記人間の胎児を前記胎児用チャンバに入れることに適応するようにされており、前記胎児用チャンバは複数のラッチをさらに備え、前記胎児用チャンバに関し閉位置にある際に前記第1の周縁部リップと前記第2の周縁部リップとの間に液体密封シール部を作り、前記胎児用チャンバ内の人工羊水が前記第1の周縁部リップと前記第2の周縁部リップとの間を通過するのを妨げるようになっており、前記第1の部分は可撓性壁を有し、前記閉位置において、前記第1の部分及び前記第2の部分は内部チャンバ容積を画定し、前記可撓性壁の位置づけにより、前記人間の胎児の成長に際し、前記胎児用チャンバを開けることなく、前記胎児用チャンバの内部空間の容積を変化させて増加させることができる、胎児用チャンバと、
前記人工羊水を前記内部空間に提供するように構成された羊水回路であって、前記羊水回路は、前記人工羊水が前記胎児用チャンバに入ることを可能にする、前記胎児用チャンバ内の羊水開口部、および前記人工羊水が前記胎児用チャンバから出ることを可能にする、前記胎児用チャンバ内の羊水出口を含む、羊水回路と、
酸素化回路であって、前記内部空間内に排水ライン開口部を有し、かつ前記人間の胎児から、前記胎児用チャンバの外側に位置する酸素供給器に、血液を輸送することができる排水ライン、および前記酸素供給器から前記胎児用チャンバ内におよび前記人間の胎児に血液を戻すことができる注入ラインを含む、酸素化回路と、
を備え、前記酸素化回路はポンプを含まない、システム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記羊水回路は、前記内部空間内の前記人工羊水の濁度を検出するように構成された濁度センサを含み、前記羊水回路は、前記内部空間への、また前記内部空間からの前記人工羊水の流量が、前記濁度センサにより感知された濁度に応じて可変となるように構成されている、システム。
【請求項3】
請求項1または2のいずれか1項に記載のシステムにおいて、
前記胎児用チャンバが前記胎児用チャンバの長さ方向軸を中心として回転し得るように前記胎児用チャンバを支持するよう構成された機構をさらに備える、システム。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載のシステムにおいて、
前記人工羊水の第1の供給源と、前記人工羊水の第2の供給源と、前記第1の供給源または前記第2の供給源のどちらかを含むように前記羊水回路を切り替えるように構成された機構と、をさらに備え、前記第1の供給源は、前記第2の供給源より小さい容積の前記人工羊水を包囲している、システム。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載のシステムにおいて、
ホイールを含むカートをさらに含み、前記カートは、1つの場所から別の場所へと輸送されるように構成され、前記カートは、前記胎児用チャンバを設置するためのハウジングを含む、システム。
【請求項6】
請求項5に記載のシステムにおいて、
前記カートに接続されたフードをさらに備え、前記フードは、前記胎児用チャンバを実質的に覆う第1の位置から、前記胎児用チャンバを覆わない第2の位置に移動させることができる、システム。
【請求項7】
請求項5または6に記載のシステムにおいて、
前記カートはディスプレイを有するコンピュータをさらに含み、前記コンピュータは前記カートに取り付けられており、前記コンピュータは、前記胎児用チャンバ、前記羊水回路、及び前記酸素化回路に関する状態を反映させるように構成されている、システム。
【請求項8】
請求項7に記載のシステムにおいて、
前記羊水回路は、前記胎児用チャンバに流入する前記人工羊水の流量を決定する羊水流量計と、前記胎児用チャンバへの前記人工羊水の前記流量を制御する羊水流制御弁とを含み、前記羊水流量計および前記羊水流制御弁は前記コンピュータにより制御される、システム。
【請求項9】
請求項7または8に記載のシステムにおいて、
前記酸素化回路は、酸素供給源および空気供給源に接続されたスイープガス混合器を含み、前記酸素化回路はまた、前記スイープガス混合器から前記酸素供給器へのスイープガスの流れを監視するスイープガス流量計と、前記酸素供給器に流入する前記スイープガス中の酸素レベルを分析するスイープガス分析器とを含み、前記スイープガス分析器および前記スイープガス混合器は前記コンピュータにより制御される、システム。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載のシステムにおいて、
前記可撓性壁に隣接して位置する制限器をさらに備え、前記制限器は前記可撓性壁の外向きの拡張を妨げ、制限して、前記内部空間を制限し、前記胎児用チャンバの前記容積を減少させる、システム。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載のシステムにおいて、
前記胎児用チャンバは、前記可撓性壁上に位置するポートをさらに備え、前記ポートは、吸引装置による前記胎児用チャンバ内へのアクセスを許容するとともに、前記胎児用チャンバから出る液体の流れを妨げる、一方向流れ弁によって密封されている、システム。
【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔関連出願の相互参照〕
本出願は、開示の内容が参照により全体として本明細書に組み込まれる、2015年6月19日出願の米国仮特許出願第62/181,861号および2015年11月26日出願の米国仮特許出願第62/260,251号の利益を主張するものである。
【0002】
〔技術分野〕
本開示は、概して、新生児ケアに関する。さらに具体的には、本開示は、子宮外における超早産児のホメオスタシスの維持に関する、装置、システム、および方法を説明する。一態様によると、本開示は、妊娠28週より前に生まれた早産児の転帰を改善することに関する。
【0003】
〔背景〕
超早産は、米国における乳児の罹患率および死亡率の主な原因であり、すべての乳児死亡の3分の1および脳性まひ診断の2分の1超が、早産によるものである。呼吸不全は、超早産と関連する、最も一般的かつ困難な問題を呈する。それは、極めて早産の新生児(critically preterm neonates)におけるガス交換が、肺の構造的および機能的未成熟によって損なわれるためである。新生児の集中治療の進歩により、生存の改善が達成され、早産の新生児の生育力の限界が、肺発生の管状期から嚢状期への移行を示す妊娠22~24週まで押し広げられた。生存は可能となってきているが、特に妊娠28週より前に生まれた胎児において、慢性肺疾患および他の器官未成熟の合併症の比率は依然として高い。2~3週間の間であっても正常な胎児成長および器官成熟を支援することができるシステムの開発により、超早産の罹患率および死亡率が著しく減少し、また、生存者におけるクオリティ・オブ・ライフが改善され得る。
【0004】
早産は、多数の理由のうちのいずれか1つによって生じ得る。例えば、早産は、外傷性もしくは感染性刺激に続発する、短くなった子宮頸(shortened cervix)などの子宮の構造的特徴である前期破水(PROM)によって、または多胎妊娠によって、自然に生じ得る。早期陣痛および出産もまた、子宮の器具使用(instrumentation)が最大限の子宮収縮抑制療法にもかかわらず制御されていない陣痛をしばしば刺激する、胎児鏡もしくは胎児手術の状況で頻繁に遭遇するものである。
【0005】
2010年のCDCによる全米人口動態報告(CDC National Vital Statistics Report)では、過去10年間の米国における28週未満の妊娠期間での出生率が毎年約0.7%、すなわち30,000人の出生数で安定していることを、指摘している。同様に、過去10年間の米国における28~32週の妊娠期間での出生率は、毎年1.2%、すなわち50,000人の出生数で安定している。先天性横隔膜ヘルニア、羊水過少、または腹壁欠損に続発する、肺低形成を患う患者も多い。全米先天性異常予防ネットワーク(National Birth Defects Prevention Network)は、先天性横隔膜ヘルニアの年間発生率が、米国において10,000人の生児出生につき0.9~5.8、すなわち毎年約375~2,500人の出生数であると報告している。肺低形成の他の原因の発生率は、十分に文書化されていない。
【0006】
呼吸不全は、極めて未熟な乳児の生存にとって、依然として大きな課題である。進行中の胎児成長および発育を支援するための子宮外システムの開発は、このような患者の管理における変化するパラダイムを表す。「人工胎盤」の開発は、50年以上にわたり研究のテーマであったが、ほとんど成功していない。動物モデルにおける胎児の適切な酸素化を達成するこれまでの試みでは、ポンプの支援を受ける従来の体外膜酸素化(ECMO)を利用しており、治療される動物の循環過負荷および心不全により制限されてきた。既知のシステムは、1)酸素供給器の抵抗によって、またはさまざまなポンプを組み込んだ回路によって、胎児の心臓に課される後負荷または前負荷の不釣り合いによる、進行性の循環障害;ならびに2)汚染および胎児の敗血症を含む、許容できない合併症に悩まされてきた。
【0007】
したがって、早産の胎児の胎児成長および発育を支援するためのシステムに対する長年にわたる必要性に取り組むこれまでの試みにもかかわらず、解決策は依然として得られていない。
【0008】
〔概要〕
本開示は、早産児などの哺乳動物を支援するための生体外システムを提供する。本開示の一態様によると、このシステムは、1つ以上の可撓性壁を有する流体貯蔵器を含む。流体貯蔵器は、流体環境内に胎児を包むように構成されており、拡張可能な容量、および密封可能な開口部を有し得る。システムは、ある容量の流体を流体貯蔵器内に供給するように構成された流体供給ラインを含み得る。システムは、流体貯蔵器から流体を排出するように構成された流体排出ラインをさらに含み得る。システムは、胎児が流体貯蔵器内部に維持されている間に胎児の血液中の酸素と二酸化炭素とを交換するように構成された、ポンプなしの小児科用酸素供給器を含み得る。
【0009】
本開示の別の態様によると、早産児のための治療方法が提供される。この方法は、1つ以上の可撓性壁を有する流体貯蔵器を提供するステップ、流体貯蔵器を流体で満たすステップと、早産児を流体貯蔵器内に入れるステップ、早産児の血液により酸素と二酸化炭素とを交換するように構成された、ポンプなしの酸素供給器に早産児をつなぐステップ、またはそれらの任意の組み合わせを含む。方法は、早産児を流体貯蔵器内に包むステップと、早産児が成長および/または発育し得る期間にわたり、流体貯蔵器内に早産児を維持するステップと、早産児が流体貯蔵器内にいる間に、流体貯蔵器を変更して流体貯蔵器の容量を拡張させるステップと、早産児が流体貯蔵器内にいる間に、流体を流体貯蔵器内に注入するステップと、早産児が流体貯蔵器内にいる間に、流体貯蔵器から流体を排出するステップと、をさらに含み得る。
【0010】
本開示の別の態様によると、早産児などの哺乳動物を支援するように構成された生体外システムが、提供される。このシステムは、早産児を密封された液体環境内に維持するように構成された流体貯蔵器、早産児が流体貯蔵器内に維持されている間に、早産児の血液中の酸素と二酸化炭素とを交換するように構成された、ポンプなしの小児科用酸素供給器、流体貯蔵器を操作するように構成された機構、またはそれらの任意の組み合わせを含む。この機構は、胎児が流体貯蔵器内に維持されている間に流体貯蔵器を回転させるか、並進運動させるか、または回転および並進運動の両方をさせるように構成されて、胎児の位置は、胎児が流体貯蔵器内に維持されている間に変化する。一実施形態によると、機構は、互いから離間した一対の支持体を含み、これらの支持体はそれぞれ、流体貯蔵器と接続されている。機構は、第1の支持体を第2の支持体に対して移動させ、それによって、流体貯蔵器の向きを変えるように構成された、駆動機構を含み得る。さらに、または代わりに、この機構は、例えば軸を中心として、流体貯蔵器を回転させるように構成された駆動機構を含んでもよい。
【0011】
本開示の別の態様によると、早産児などの哺乳動物を支援するためように構成された生体外システムが提供される。システムは、早産児を流体液体環境内に包むように構成された流体貯蔵器を含む。流体貯蔵器は、拡張可能な容量、密封可能な開口部、またはその両方を含む。システムは、ある容量の流体を流体貯蔵器内に供給するように構成された流体供給ラインと、流体貯蔵器から流体を排出するように構成された流体排出ラインと、を含む。システムは、早産児が流体貯蔵器内に維持されている間に、早産児の血液中の酸素と二酸化炭素とを交換するように構成された酸素化回路を含む。酸素化回路は、胎児から酸素供給器までの第1の流体管路と、酸素供給器から胎児に戻る第2の流体管路と、を含む。酸素化回路は、酸素供給器を通じて血液の一部を再循環させるためのバイパスラインを含み得る。バイパスラインを通じて血液の一部を送り込むために、ポンプがバイパスラインに沿って設けられてよい。ポンプは、第1のおよび/または第2の流体管路を通る流体の流量に比べて、バイパスラインを通る流体の流量を増やすことができる。
【0012】
本発明の好適な実施形態の前述の概要および以下の詳細な説明は、添付図面と併せて読めば最もよく理解されるであろう。
【0013】
〔例示的な実施形態の詳細な説明〕
本開示の態様を、図面を参照して詳細に説明する。図面中、同様の参照符号は、別段指定のない限り、全体にわたって同様の要素を指している。
図1~
図5を参照すると、生体外支援システム10は、早産児(本明細書では「胎児」と呼ぶ)を治療するように構成され得る。システム10は、胎児5を収容するように構成された胎児用チャンバ100と、胎児用チャンバ100への羊水の流れを与えるように構成された羊水回路200と、胎児の血液から二酸化炭素を除去し、胎児の血液に酸素を供給するように構成された酸素化回路400と、を含む。システム10は、羊水回路200の一部である羊水に漬かった胎児用チャンバ100内に胎児5を維持するように構成されている。システム10は、胎児5が生命を維持するために適切なガス交換を酸素化回路400が提供するように、さらに構成されている。このようにして、システム10は、胎児5の継続した成長および発育を促進するために子宮内環境に似た環境を提供する。システム10は、医療施設内で胎児5を監視し、世話をし、運ぶのを容易にするカート50を含み得る。一実施形態によると、マイクロプロセッサなどの中央コントローラ700が、システム10のさまざまな要素から信号を受信し、システム10のさまざまな部分組立体の動作を制御するために設けられてよい。サブシステムそれぞれの細部については、以下でさらに詳細に説明する。
【0014】
胎児用チャンバ100は、胎児5を無菌液体環境内に収容するように構成された、囲まれた流体チャンバを含む。胎児用チャンバ100は、正常な肺および胃腸の発達を支援するために胎児の呼吸および嚥下を可能にするとともに、流体と電解質とのバランスをもたらす、流体環境を提供するように構成されている。
【0015】
本開示の一態様によると、胎児用チャンバ100は、胎児5の形状に概ね一致するように、また、感染症をもたらし得る細菌増殖を促しかねない停滞のエリアを最小限に抑えるように構成されている。例示された実施形態に示すように、胎児用チャンバ100は、人間の胎児5の形状に概ね一致するように構成され得る。別の実施形態によると、例えば
図31に示すように、胎児用チャンバ100は、羊胎仔など人間以外の胎児の形状に概ね一致するように構成され得る。
【0016】
図7~
図11を参照して、本開示の一態様によると、胎児用チャンバ100は、剛性チャンバを提供するため剛性壁を含む。本開示の別の態様によると、例示された実施形態に示すように、胎児用チャンバ100は、1つ以上の可撓性壁120を含む。例示された実施形態に示すように、胎児用チャンバ100は、プラスチックフィルムなどの可撓性材料、例えば可撓性ポリエチレンフィルムから形成された嚢または袋を含み得る。このフィルムは、胎児用チャンバ100での微生物の増殖および拡散を制御するために抗菌性要素を組み込むことができる。抗菌性要素は、有機であっても無機であってもよい。本開示の一態様によると、抗菌性要素は、銀などの無機要素を含む。一実施例によると、胎児用チャンバ100の1つ以上の可撓性壁120は、例えば約80μmの厚さで抗菌性要素として2%の銀カチオンを含有する、メタロセンポリエチレンフィルムを含む材料で作られる。
【0017】
図7~
図11を参照すると、胎児用チャンバ100は、1つ以上の可撓性壁120を支持する概ね剛性のフレーム110を含み得る。剛性のフレーム110は、プラスチックまたは金属を含むがそれらに制限されない、さまざまな材料で形成され得る。可撓性壁120は、例えば溶接または接着剤によって、剛性のフレーム110と固定して接続される。可撓性壁120は、胎児用チャンバ100により定められる容量が拡張および収縮することを可能にする。本開示の一態様によると、胎児用チャンバ100は、胎児用チャンバ100内に包まれた胎児5が成長するにつれて拡張するように構成され、システム10の胎児用チャンバ100を開けたり変えたりせずに、チャンバの容量を増やすことができる。本開示の一態様によると、胎児用チャンバ100は、1つの可撓性壁120を含み得る。本開示の別の態様によると、胎児用チャンバ100は、複数の可撓性壁120、例えば剛性のフレーム110と固定して接続された上方および下方の可撓性壁120、を含み得る。
【0018】
例示された実施形態に示すように、胎児用チャンバ100は、胎児5が(
図8に示すように)開構成にある胎児用チャンバ100の中に入れられ、その後、胎児5がいったん(
図7に示すように)閉構成にある胎児用チャンバ100の中に入ったら密封されことができるように構成された、密封可能な開口部を含む。本開示の一態様によると、胎児用チャンバ100は、クラムシェルデザインを有してよく、このデザインでは、胎児用チャンバ100は、少なくとも1つのヒンジ106によって接続された上方半部102および下方半部104を含み、上方半部102が、下方半部104に対して旋回可能となっている。例示された実施形態に示すように、胎児用チャンバ100は、シール116を含んでよく、例えば、エラストマー材料(例えば弾性プラスチック、ウレタン、もしくはゴム)が、上方半部102、下方半部104、またはその両方の周縁部の少なくとも一部、例えば全体、の周りに延びる。胎児用チャンバ100は、上方半部、下方半部、またはその両方にリップ118をさらに含んでよく、シールは、胎児用チャンバ100が閉構成にあるときに流体密封シールを形成するために、胎児用チャンバ100の反対側の(上方または下方)半部にあるシール116と協働するように構成されている。胎児用チャンバ100は、好ましくは、胎児用チャンバ100を閉構成で保持するように構成された機構114を含む。例えば、胎児用チャンバ100は、胎児用チャンバ100を閉じた流体密封構成に維持するために胎児用チャンバ100の上方半部102を胎児用チャンバ100の下方半部104に解放可能にロックするように構成された、1つ以上のラッチを含み得る。
【0019】
胎児用チャンバ100の第1の端部108にある第1のオリフィスが、羊水を胎児用チャンバ100内に受容するように構成された入口142を形成する。胎児用チャンバ100の第2の端部109にある第2のオリフィスが、羊水を胎児用チャンバ100から排出するように構成された出口144を形成する。
図7に示す実施形態では、胎児用チャンバ100は、人間の胎児5を収容するように細長くなっている。例示された実施形態に示すように、例えば入口142から出口144まで測定した胎児用チャンバ100の長さは、この長さに垂直な方向に測定した胎児用チャンバ100の幅より長い。第1の端部108および第2の端部109は、羊水が停滞し得る胎児用チャンバ100内部の場所を最小限にするよう、内側にテーパー状になってよい。例示された実施形態に示すように、胎児用チャンバ100は、胎児用チャンバ100の長さに沿った長軸と、胎児用チャンバ100の幅に沿った短軸とを有する、卵型または楕円形の形状である。
【0020】
本開示の一態様によると、胎児用チャンバ100は、胎児5の頭部が入口142に隣接するように胎児5を受容するよう構成されている。胎児5の頭部が入口142に隣接するように胎児5を胎児用チャンバ100内で位置づけることにより、胎児5から出る排泄物を胎児用チャンバ100からより効率的に除去することができる。
【0021】
胎児用チャンバ100は、胎児用チャンバ100内部の状況を監視するように構成された複数のセンサを含み得る。例えば、胎児用チャンバ100は、胎児用チャンバ100内部の流体温度を検出するように構成された1つ以上の温度センサを含み得る。本実施形態では、胎児用チャンバ120は、胎児用チャンバ100内部の流体温度を監視するように構成された、少なくとも1つ、例えば一対の、熱電対130を含む。さらに、1つ以上の流体圧力センサ140が、胎児用チャンバ100内部に位置づけられ得る。例えば、例示された実施形態に示すように、流体圧力センサ140は、胎児用チャンバ100内部で出口144に隣接して位置づけられてよく、流体圧力センサは、胎児用チャンバ100内部の流体圧力を監視するように構成されている。あるいは、流体圧力センサ140は、流体圧力センサが胎児用チャンバ100から排出される流体の流体圧力を監視するよう構成されるように、出口144内部に取り付けられてもよい。
【0022】
胎児用チャンバ100は、胎児用チャンバ100の内部へのアクセスを提供するように構成された1つ以上の密封された開口部も含み得る。本開示の一態様によると、1つ以上の密封された開口部は、例えば胎児用チャンバ100の上方半部102に形成された、上方ポート122と、胎児用チャンバ100の下方半部104に形成された、下方ポート124と、を含み得る。例示された実施形態に示すように、上方ポート122および下方ポート124のうちの少なくとも一方は、一方向の流れをもたらす弁によって密封される。例えば、この弁は、胎児用チャンバ100内へのアクセスを許容するとともに、胎児用チャンバ100から出る流体の流れを妨げるように構成され得る。弁は、流体の流れを制御するように構成されたさまざまな弁のいずれであってもよい。一実施例によると、弁は、ダックビル弁であってよい。上方ポート122および下方ポート124はそれぞれ、例えば気泡、便の汚染物質(stool contamination)、および他の汚染物(contaminates)を胎児用チャンバ100から取り除くために、胎児用チャンバ100に吸引装置を挿入することができるように構成されている。
【0023】
胎児用チャンバ100は、以下でさらに説明する酸素化回路400の導管または他の部分に対するアクセスを提供するように構成されたオリフィス135をさらに含み得る。胎児用チャンバは、胎児用チャンバが閉構成にあるときにオリフィス135を密封するように構成されたシールを含み得る。
【0024】
胎児用チャンバ100は、数週間または数カ月間成長した後の胎児5を収容するよう十分に大きい、所定の固定容量を有して形成され得る。このようにして、胎児用チャンバ100は、胎児5が胎児用チャンバ100にとって大きすぎるほど成長しなければ、発育期間中ずっと胎児5を胎児用チャンバ100内に維持するように構成される。あるいは、胎児用チャンバ100は、胎児5が最初に胎児用チャンバ100内に包まれたときに胎児5を支持するのに必要な最少容量に合わせて胎児用チャンバの容量がサイズ決めされ得るように、可変容量チャンバを含んでもよい。胎児5が成長すると、胎児用チャンバ100は、胎児用チャンバ100を開けなくても拡張されるように構成される。
【0025】
システム10は、胎児用チャンバ100の容量を変化させるように構成された1つ以上の機構を含み得る。本開示の一態様によると、システム10は、胎児用チャンバ100の可撓性壁120を拘束し、それにより、胎児用チャンバ100の容量を減少させるように構成された、1つ以上の拘束リング150を含む。拘束リング150は、拘束リング150を胎児用チャンバ100に取り付け、かつ胎児用チャンバ100から分離することができるように、胎児用チャンバ100のフレーム110に解放可能に取り付けられるよう構成され得る。
【0026】
例示された実施形態に示すように、拘束リング150は、可撓性壁120の形状に概ね似るように成形され得る。拘束リングは、拘束リング150の内部エッジの少なくとも一部の周りに延びる内側突出部152を含み得る。拘束リング150の内側突出部152は、フレーム110に取り付けられると、可撓性壁120の外縁部から内側に離間する。拘束リング150の内側突出部152は、内向きの圧力を可撓性壁120に加え、それにより、可撓性壁120の外向きの転置を制限する。その結果、拘束リング150は、胎児用チャンバ100の内部容積を制限する。
【0027】
拘束リング150は、拘束リング150をチャンバのフレーム110に解放可能に接続するように構成された、例えば拘束リング150の周縁部の周りに形成されている、複数のラッチまたはクリップ154を含み得る。例示された実施形態に示すように、クリップ154は、可撓性壁120を外向きに押す胎児用チャンバ100内部の流体圧力の外向きの力に抵抗して拘束リング150を保持するためにチャンバのフレーム110上に形成されたタブ155の上にスナップ留めされるように構成されている。一実施形態によると、システム10には、拘束リング150がない。別の実施形態によると、システム10は、1つの拘束リング150を含む。別の実施形態によると、システム10は、複数の拘束リング150、例えば、胎児用チャンバ100の上方半部102に取り付けられて上方の可撓性壁120を拘束するように構成された第1の拘束リング150と、胎児用チャンバ100の下方半部104に取り付けられて下方の可撓性壁120を拘束するように構成された第2の拘束リング150と、を含み得る。胎児5が成長すると、拘束リング150は、胎児用チャンバ100から分離されて、可撓性壁120を外向きに拡張させることができ、それにより胎児用チャンバ100の内部容積が増加する。さらに、システム10は、複数の異なるサイズの拘束リング150を含んでよく、各リングは、可撓性壁120を異なる程度まで拡張させる。このようにして、胎児5が成長すると、胎児用チャンバ100の容量は、経時的に徐々に増加し得る。
【0028】
図4~
図6を参照すると、システム10の羊水回路200は、流体、例えば無菌流体を、胎児用チャンバ100に提供するように構成され、胎児用チャンバ100から流体を排出するようにさらに構成されている。本開示の一態様によると、羊水回路200は、胎児用チャンバ100に入る流体および胎児用チャンバ100から排出されている流体の流れを制御して、胎児用チャンバ100内の流体圧力を所定の範囲内に維持するように構成されている。羊水回路200は、胎児用チャンバ100からの流体排出物がろ過および滅菌により処理されてから再循環して胎児用チャンバ100内へと戻る、閉回路であってよい。しかしながら、例示された実施形態に示すように、羊水回路200は、流体が新鮮な羊水の貯蔵器を収容する供給タンク210から胎児用チャンバ100へと流れ、かつ流体が胎児用チャンバ100から出て廃棄タンク220内へと排出される、開回路であってもよい。羊水回路200はまた、以下でさらに論じるように、流体が胎児用チャンバ100内に注入される前に流体を処理するように構成された、1つ以上の要素を含み得る。
【0029】
用語「流体」および「羊水」は、胎児用チャンバ100を満たすのに使用される流体を指すのに使用されることを、理解されたい。流体の組成は、さまざまな要因によって変化し得る。例えば、羊水は、蒸留水などの水を主に含んでよく、子宮内の胎児のための自然に存在する羊水のイオン濃度を模倣するように溶液中に溶解した電解質(例えば、塩化ナトリウム、重炭酸ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、またはそれらの任意の組み合わせであるがそれらに制限されない)などのさまざまな要素と混合され得る。さらに、グルコース、アミノ酸、脂質、必須ビタミン、ミネラル、微量元素、またはそれらの任意の組み合わせが、この羊水に添加されてもよい。したがって、本明細書における羊水という用語は、特定の組成を有する溶液を指すのではなく、胎児用チャンバ100を満たすのに使用される流体を指す。
【0030】
羊水回路200は、未使用の羊水の貯蔵器を保管するように構成された供給タンク210を含む。供給タンク210は、カート50に載せて輸送されるように構成された移動式タンク210a、特定のエリアにとどまるように構成され、移動式タンク210aより長い期間にわたり羊水の供給を提供するように構成された実質的により大きい容量を有するより大きいタンク210b、またはその両方を含み得る。羊水回路200は、胎児用チャンバ100から排出された羊水を収集するように構成された廃棄タンク220を含む。廃棄タンク220は、カート50に載せて輸送されるように構成された移動式タンク220a、特定のエリアにとどまるように構成され、移動式タンク220aより長い期間にわたり使用済み羊水を受け取るように構成された実質的により大きい容量を有するより大きいタンク220bを含んでもよい。例えば、より大きいタンク210bおよび220bは、移動式タンク210aおよび220aより少なくとも1桁大きい容量を有し得る。
【0031】
図4~
図8および
図12を参照すると、流体は、供給ライン300を通って供給タンク210から胎児用チャンバ100へと流れる。供給ラインは、胎児用チャンバの入口142と流体密封接続部を形成する。排出ライン320が、胎児用チャンバ100の出口144と流体密封シールを形成し、それにより、胎児用チャンバ100から排出される流体のための流体管路を提供する。システム10は、羊水に熱を与え、それにより羊水を選択された温度、例えば子宮内の羊水の温度に対応する温度に維持するように構成された、ヒーター270を含み得る。ヒーター270は、羊水回路200の一部であってよく、例えばヒーター270は、羊水の貯蔵器が選択された温度に維持されるように供給タンク210内に設けられてよい。例示された実施形態に示すように、ヒーター270は、供給タンク210と胎児用チャンバ100との間に直列で位置づけられている。
【0032】
本開示の一態様によると、ヒーター270は、羊水がヒーター270を通って流れるときに流体を選択された温度まで加熱するようにヒーターの熱出力を変化させるよう構成された制御装置を有する電気ヒーターであってよい。流体ヒーター270と供給タンク210との直接接触を防ぐことが望ましい場合がある。したがって、ヒーター270は、ヒーター270が流体と接触せずにヒーター270と流体との間の熱交換を可能にする、カートリッジなどの使い捨ての流体通路を受容するように構成され得る。このようにして、カートリッジは、一人の胎児5に使用された流体と次の胎児5に使用された流体によるヒーター270の相互汚染を防ぐために、システム10が使用されるたびに交換され得る。
【0033】
羊水回路200は、胎児用チャンバ100に入る前に羊水をろ過するように構成された1つ以上のフィルター250も含み得る。例示された実施形態に示すように、複数のフィルター250、例えば3つのミクロポアフィルターが、含まれ、並列に配列され、かつ供給タンク210と胎児用チャンバ100との間、例えばヒーター270と胎児用チャンバ100との間に直列に位置づけられてよい。フィルター250の他の数、配列、および位置も、本開示の一部と考えられる。
【0034】
本開示の一態様によると、システム10は、胎児用チャンバ100への流体の流れおよび胎児用チャンバ100からの流体の流れを制御するように構成された流体制御システム228を含み得る。流体制御システム228は、流体の一定の流れを胎児用チャンバ100に提供するとともに、胎児用チャンバ100内でほぼ一定の流体圧力を維持するように設計され得る。具体的には、流体圧力は、胎児用チャンバ100内の胎児5のタイプおよび/または大きさなど、さまざまな特徴に応じて所定の範囲内に維持される。
【0035】
この場合、供給タンク210は、加圧ガスによる圧力下で維持される。例えば、大きいタンクは、医療施設で一般的に使用される中央医療用空気源などの加圧空気供給源と接続され得る。さらに、加圧ガスの局所的な供給が提供され得る。例えば、加圧ガスの移動式タンク230は、羊水を胎児用チャンバ100に向けて押し流すように移動式タンク210内の流体を加圧するために設けられ得る。供給タンク210aおよび210bに供給されているガス圧力のガス圧力(the gar pressure of the gas pressure)を調節するための電子圧力調整器などの、圧力調整器232を設けることが望ましい場合がある。この場合、第1の圧力調整器232aが、移動式ガスタンク230と移動式供給タンク210aとの間に直列で設けられ、第2の圧力調整器232bが、中央空気源と大きいタンク210bとの間に直列で設けられる。
【0036】
本開示の一態様によると、システム10は、胎児用チャンバ100への加圧流体の流れを制御するように構成された流体コントローラを含み得る。例示された実施形態に示すように、羊水回路200は、供給タンク210と胎児用チャンバ100との間に直列で制御弁242を含み得る。さらに、流体流量計244が、胎児用チャンバ100への羊水の流量を感知するため、胎児用チャンバ100から上流に直列で設けられ得る。流体流量計244は、中央コントローラ700に信号を提供するように構成されてよく、中央コントローラ700は、流体流量計244からの信号に応じて胎児用チャンバ100への羊水の流れを調節するために制御弁242を制御する。
【0037】
システム10は、羊水が移動式タンク210aから供給されるか、大きいタンク210bから供給されるかを制御するように構成された、マニホールド280を含み得る。本開示の一態様によると、マニホールド280は、供給タンク210からの流体の流れを制御するように構成された、制御弁を含み得る。制御弁は、手動であってよく、または、電子制御されていてもよい。第1の位置では、弁は、移動式タンク210aからの流体の流れを切り離し、大きいタンク210bからの流体の流れをつなげる。第2の位置では、弁は、大きいタンク210bからの流体の流れを切り離し、移動式タンク210aからの流体の流れをつなげる。第3の位置では、弁は、移動式タンク210aおよび大きいタンク210bの両方を切り離して、羊水回路200がパージされ得るようにどちらのタンクからの羊水の流れも防ぐ。
【0038】
前述の説明では、羊水は、羊水を胎児用チャンバ100に向けて押しやる圧力差を生じるために加圧ガスを用いて胎児用チャンバ100に向けて押し流される。しかしながら、代替的な要素が羊水を胎児用チャンバ100に向けて押し流すのに使用され得ることを、理解されたい。例えば、タンク210から胎児用チャンバ100へと羊水を送り込むポンプを設けることができる。ポンプは、蠕動ポンプなど、流体に直接接触しないポンプであってよい。さらに、ポンプは、胎児用チャンバ100内へ流れ込む流体の圧力および流量を自動制御するために、中央コントローラ700により制御され得る。
【0039】
図12に示すように、羊水回路200は、胎児用チャンバ100から供給タンク210aおよび210bに向かって流体が逆流するのを防ぐために、供給ライン300と直列になった1つ以上の弁を含んでもよい。例えば、羊水回路200は、胎児用チャンバから供給タンクに向かって流体が逆流するのを防ぐために、1つ以上の逆止弁246を含んでよい。
【0040】
胎児用チャンバ100からの流体の排出は、流体の排出が胎児用チャンバ100内の流体圧力および胎児用チャンバ100に入る流体の流量に依存するように、供給タンク210から胎児用チャンバ100に入る流体の流れによって制御され得る。別の実施形態によると、胎児用チャンバ100からの流体の排出は、胎児用チャンバ100への流体の注入とは独立して制御される。例えば、システム10は、胎児用チャンバ100から出る流体の流れを制御するように構成された、排出ポンプ240を含み得る。排出ポンプ240の動作は、システム10のさまざまな要素から受信した信号に基づいて中央コントローラ700によって制御され得る。
【0041】
例えば、圧力センサが、胎児用チャンバ100内の流体圧力を感知することができ、排出ポンプ240が、胎児用チャンバ100からある量の流体を抜き取って、胎児用チャンバ100内で所望の圧力範囲内の一定の流体圧力を維持するように動作することができる。さらに、システム10は、胎児用チャンバ100および/または排出ライン320内の流体の濁度を検出するように構成された、1つ以上の濁度センサ350(濁度計とも呼ばれる)を含み得る。センサ350により感知された濁度に応じて、排出ポンプ240は、胎児用チャンバ100から排出される流体の流量を調節することができる。例えば、流体中の濁度の増加は、微生物または胎児5の便などの、胎児用チャンバ100内の汚染物質を示し得る。汚染物質を胎児用チャンバ100から洗い流すため、排出ポンプ240は、胎児用チャンバ100から出る流体流量を増やすことができる。これに応じて、供給タンク210から胎児用チャンバに供給される流体の流量は、胎児用チャンバ100内部で一定の流体レベルを保つように増大される。
【0042】
次に
図7~
図11および
図14を参照すると、システム10は、胎児の血液と酸素供給器410との間のガス輸送を提供して、胎児の血液に酸素を与え、胎児の血液から二酸化炭素を除去するように構成された、酸素化回路400を含む。酸素化回路400は、静脈/静脈配列で胎児5と接続され得る。あるいは、酸素化回路400は、動脈/静脈配列で胎児5と接続されてもよい。この場合、カニューレは、胎児5の頸部大血管(例えば頸動脈)内に配されて、胎児5の循環系を酸素供給器410に接続する。頸部大血管内に配することで、臍帯血管内における血管けいれんおよびカニューレ不安定性の問題が回避され得る。カニューレの外部には、(例えば、安定化縫合糸(stabilizing sutures)の張力を高めることができるよう)スリーブが取り付けられ得る。スリーブは、シリコーンで作られていてよく、例えば、長さが約1~10cm、具体的には長さが約3~5cmであってよい。カニューレは、(例えば、取り付けられたスリーブを介して)胎児5に固定されて、カニューレを胎児5の頸部に固定することができる。
【0043】
酸素供給器410は、排水ライン440および注入ライン445の2つの流体ラインを介して、胎児5と接続される。血液は、胎児5から排水ライン440を通って酸素供給器410へと流れる。血液はその後、酸素供給器410を通って流れ、注入ライン445を介して、胎児5に戻る。排水ライン440および注入ライン445は、胎児用チャンバ100の酸素供給器オリフィス135を通過する。本開示の一態様によると、排水ライン440および注入ライン445は、取り付けブロック450の穴を通過し、取り付けブロック450は、胎児用チャンバ100のオリフィス135内に保持されるように構成されている。本開示の一態様によると、取り付けブロック450は、胎児用チャンバ100が閉構成となるように、胎児用チャンバ100の上方半部102および下方半部104が隣接したらフレーム110とシールを形成する、弾性材料で形成される。このようにして、取り付けブロック450は、胎児用チャンバ100からの羊水の漏れを妨げるために流体密封シールを提供する。
【0044】
例示された実施形態に示すように、酸素供給器410は、排水ライン440および注入ライン445の、酸素供給器410までの長さ、および酸素供給器410からの長さそれぞれが最小となるように、胎児用チャンバ100に隣接してプラットフォーム460上に装着され得る。例えば、本開示の一態様によると、排水ライン440および注入ライン445は、合わせて45.72cm(18インチ)未満の長さであり、好ましくは合わせて30.48cm(12インチ)以下の長さである。排水ライン440および注入ライン445の長さを最小にすることにより、酸素化回路400をプライミングするのに必要な血液の容量が最小限に抑えられる。抗凝固手段/化合物(例えば、固定化したポリペプチド、ヘパリン、もしくはその両方であるが、それらに制限されない)によって排水ライン440、注入ライン445、またはその両方の内側を覆うことが望ましい場合がある。酸素化回路400は、例えば、母体血液、胎児5の血液、またはその両方によってプライミングされ得る。胎児5からのヘモグロビンで酸素化回路400をプライミングすると、酸素化回路400における最適な酸素交換が得られる。胎児の酸素解離曲線は成人の酸素解離曲線と比べて左にずれるので、胎児の動脈酸素圧力は、成人の動脈酸素圧力より低い。特定の実施形態では、酸素化回路400内の血液は、ヘパリンを含む。
【0045】
プラットフォーム460は、酸素供給器410を支持するように構成されている。一実施例によると、プラットフォーム460は突起を含み、酸素供給器410は、酸素供給器410を所定の位置に保持するためにこの突起上にスナップで留まるように構成されている。プラットフォーム460は、胎児用チャンバ100のフレーム110と接続され得、例えば、プラットフォーム460は、フレーム110と一体的に成型され得る。
【0046】
本開示の一態様によると、酸素化回路400は、酸素供給器410と接続されたスイープガスを含み、スイープガスは、酸素供給器410と胎児5の血液との間のガス輸送を促進するように構成されている。ガス輸送は、スイープガスの組成および酸素供給器410を通るスイープガスの流量によって影響を受ける。
図14に示すように、2つのガス、例えば酸素供給源520と二酸化炭素供給源530とが、酸素と二酸化炭素とをブレンドしてスイープガスを形成するガス混合器540内で互いにブレンドされる。ガス混合器の詳細は、
図21に例示されている。この2つのガスは、高容量ガス貯蔵器、例えばガスを貯蔵器に供給するように構成された中央ガス供給部と接続された壁の配線(wall lines)など、によって、供給され得る。あるいは、2つのガスは、システム10が医療施設の1つのエリアからその医療施設の別のエリアへ運ばれる間にシステム10がスイープガスを酸素供給器410に提供することができるように、カート50上に装着された移動式酸素タンク520および移動式空気タンク530など、より小さいガス貯蔵器から供給されてもよい。
【0047】
酸素化回路400は、壁が供給源の酸素供給部(wall source oxygen supply)または移動式酸素タンク520がガス混合器540と接続されるかどうかを制御するように構成された、第1の制御弁525を含み得る。酸素化回路400は、壁が供給源の空気または移動式空気タンク530がガス混合器540と接続されるかどうかを制御するように構成された、第2の制御弁535を含むこともできる。酸素化回路400は、酸素供給部と直列に位置づけられた1つ以上の圧力センサ522、および空気供給部と直列に位置づけられた1つ以上の圧力センサ532を含んでよく、圧力センサ522および532は、ガス混合器540に供給されているガスのガス圧力を感知する。
【0048】
酸素化回路400は、ガス混合器540と酸素供給器410との間に直列で位置づけられた、ヒーター550を含んでよく、ヒーター550は、スイープガスの温度が所定の範囲内に保たれるよう、スイープガスを加熱するように構成されている。酸素化回路400は、ヒーター550から出るスイープガスの流量を監視するように構成された流体流量計562と、酸素供給器410に入るガスの1つ以上の特徴を分析するように構成されたスイープガス分析器565と、を含み得る。酸素化回路400は、酸素供給器410によって排出されるガスの1つ以上の特徴を分析するように構成された、排出ガス分析器570を含み得る。例えば、ガス分析器565および570は、スイープガスおよび排出ガスそれぞれの酸素含有量を測定するように構成され得る。
【0049】
酸素化回路400は、酸素供給器410に入る血液の流体圧力、および酸素供給器410から出る血液の流体圧力を検出するように構成された、一対の流体圧力センサをさらに含む。具体的には、第1の圧力センサ590は、排水ライン440と直列に位置づけられてよく、第2の圧力センサ592は、注入ライン445と直列に位置づけられてよい。このようにして、酸素供給器410上での流体圧力の低下が、継続的に監視され得る。さらに、流体流量計595は、酸素供給器410から胎児5に戻る血液の流量を監視するために、注入ライン445と直列に位置づけられてよい。
【0050】
酸素化回路400は、1つ以上のポート580を含んでよく、ポート580は、分析用の血液サンプルを抜き取るのに使用されてよく、または、ポート580は、薬剤もしくは栄養を直接血液中に注射もしくは注入するのに使用され得る。例えば、ポート580のうちの1つは、抗生物質または鎮静剤などの薬物を血液中に注射するのを容易にするよう構成され得る。同様に、ポート580のうちの別のものは、非経口完全栄養(total parental nutrition)(TPN)などの栄養を血液中に注射するのを容易にするように構成され得る。
【0051】
本開示の一態様によれば、胎児の心臓は、酸素化回路400を通る血液の流れを駆動するのに使用されるので、酸素化回路400を通る血液を駆動するのにポンプを使用しない。言い換えれば、本開示の一態様によると、酸素化回路400は、ポンプなしの回路である。ポンプなしのシステムを使用することで、胎児の心臓が無脈動ポンプ支援回路で遭遇する過剰な前負荷にさらされるのを防ぐ。ポンプなしのシステムは、血流動態(flow dynamics)の胎児の固有の循環調節も可能にする。酸素供給器410は、好ましくは、非常に低い抵抗、低いプライミング容積、低い膜間圧低下を有し、有効なガス交換を提供する。特定の実施形態では、酸素供給器410は、1.5L/分の血流で約6.67kPa(約50mmHg)または約5.33kPa(約40mmHg)未満の圧力低下を有する。特定の実施形態では、酸素供給器410のプライミング容積は、約100mL未満であり、具体的には約85mL未満である。特定の実施形態では、酸素供給器410は、最大で約2.0L/分、約2.5L/分、約2.8L/分、またはそれを超える血流範囲を有する。特定の実施形態では、酸素供給器410は、O2に関し、約150mL/分、約160mL/分、約180mL/分、またはそれを超えるガス輸送速度を有する。特定の実施形態では、酸素供給器410は、中空繊維膜酸素供給器(例えば、ポリメチルペンテン中空繊維膜酸素供給器であるが、これに制限されない)である。酸素供給器410は、抗凝固手段/化合物(固定化したポリペプチドおよび/またはヘパリンなど)で内側を覆われ得る。例示的な酸素供給器は、Quadrox-iD(商標)小児科用酸素供給器(Maquet;ニュージャージー州ウェイン)である。
【0052】
システム10は、出産予定日の胎児および出産予定日前の胎児を含む、胎児に使用されるように構成され得る。出産予定日前の胎児は、早産児(例えば、推定妊娠期間37週未満、特に推定妊娠期間28~32週)、超早産児(推定妊娠期間24~28週)、または生育可能以前の胎児(推定妊娠期間20~24週)であってよい。人間の妊娠期間が規定されているが、他の動物の対応する出産予定日前の胎児も使用され得る。特定の実施形態では、出産予定日前の胎児は、先天性基礎疾患がない。特定の実施形態では、出産予定日または出産予定日前の胎児は、例えば、肺低形成、または先天性横隔膜ヘルニアなど、肺発生に影響を及ぼす先天異常により、肺ガス交換の能力が限られている。特定の実施形態では、被験者は、例えば、先天性肺疾患(例えば気管支肺胞の形成異常、肺サーファクタントタンパク質B不足など)のため、肺移植を待つ出産予定日前または出産予定日の新生児である。このような移植手術は、米国では現在ほとんど行われていない。しかしながら、移植手術の件数は、本発明によりもたらされる肺を支援するためのより安定した方法により、増やすことができる。胎児5は、重症の気道病変を持ち、最終的な切除(definitive resection)までに長い期間が予測される患者を含む、体内治療的帝王切開術(ex utero intrapartum treatment)(EXIT)による出産の候補者であってもよい。胎児5は、特に早産を促進する早期陣痛のある、胎児手術または胎児鏡処置患者であってもよい。本開示の一態様によると、システム10は、胎児5が必要な期間(例えば、胎児5がシステム10なしで生きられるようになるまでの数日間、数週間もしくは数ヶ月間)、システム10内に維持され得るように構成されている。
【0053】
図8、
図24、
図25、
図27、
図29、
図30、および
図38を参照して、開示の一態様によると、システム10は、胎児5が、例えば地面に対して同じ向きに継続的に維持されることがないよう、胎児用チャンバ100を移動するように構成され得る。具体的には、システム10は、胎児用チャンバ100を移動するように構成されたチャンバ移動システム600を含み得る。チャンバ移動システム600は、システム10の他の部分、例えばカート50に対する胎児5および胎児用チャンバ100の向きを変えるために、胎児用チャンバ100を傾斜および/または回転させるように動作可能であってよい。
【0054】
一実施形態によると、移動システム600は、胎児用チャンバ100を、例えば地面に平行な水平の向きに対して傾斜させるために、胎児用チャンバ100の一端部もしくは両端部108、109を、上昇させるか、下降させるか、またはその両方を行うように構成され得る。具体的には、胎児用チャンバ100の各端部108、109は、移動システム600のアームによって支持され得る。アームはそれぞれ、胎児用チャンバ100の各端部を上昇させるか、または下降させるために、独立して延出または後退することができる。このようにして、胎児用チャンバは傾斜され得る。
【0055】
あるいは、例えば
図8、
図25、および
図38に例示するように、チャンバ移動システム600は、胎児用チャンバ100の第1の端部108および第2の端部109を支持する第1の支持体620および第2の支持体625を有する揺りかご610を含む。より具体的には、チャンバのフレーム110は、入口142における第1の揺りかごマウント112、および出口144における第2の揺りかごマウント112を含み得る。揺りかごマウント112は、揺りかごマウント112を通って延びる軸604を中心として胎児用チャンバを回転させるように、揺りかご610のアームと嵌合する。さらに、揺りかご610は、揺りかご610の第1の端部が揺りかご610の第2の端部に対して上方に旋回して胎児用チャンバ100を水平線に対して傾斜させることができるように、旋回可能であってよい。
【0056】
システム10は、チャンバ移動システム600が手動または自動で作動され得るように構成されてよい。例えば、手動の構成では、胎児用チャンバ100は、オペレータによって、軸604、例えば水平軸を中心として手動で回転させられるように構成される。同様に、揺りかご610は、
図38に示すように、揺りかご610の一端部を上方に旋回させることによって、垂直に移動され得る。あるいは、チャンバ移動システム600は、軸604、例えば水平軸を中心とした胎児用チャンバ100の回転を駆動するように構成された駆動モーターを含み得る。同様に、駆動モーターは、揺りかご610を垂直に傾斜させるように揺りかご610を駆動することもできる。
【0057】
図1~
図3を参照すると、システム10は、胎児5を胎児用チャンバ100から出す必要なく、システム10が手術室などの医療施設の1つのエリアから、新生児ケアセンターなど、その医療施設の別のエリアまで輸送可能となるように、カート50を含み得る。
【0058】
カート50は、システム10の複数の要素のうち任意のものを組み込むことができる。例えば、カート50は、胎児用チャンバ100へのアクセスを制限するために、胎児用チャンバ100を囲みかつ/または覆うように構成されたフード60を含み得る。必要に応じてフード60の内部へのアクセスを提供するために、例えば1つ以上の支持アーム64を持ち上げることによって、フード60は旋回可能であってよく、または、フード60は並進運動可能であってよい。
【0059】
フード60は、胎児用チャンバ100より下のトレイ65と共に封入体を形成して、密封された封入体を提供することができ、これにより、胎児5を刺激するか、または別様に邪魔することがあり、胎児5の成長に有害となり得る光、音、または他の要素などの外部障害から、胎児用チャンバ100を切り離す。フード60は、医療専門家がフード60を持ち上げずに胎児用チャンバ100にアクセスできるようにサイズ決めされた、密封可能なアクセスポート62を含み得る。
【0060】
カート50は、胎児5が胎児用チャンバ100内にいる間に胎児5の治療を促進するために複数の治療要素または診断要素を含むこともできる。例えば、カート50は、胎児用チャンバ100、羊水回路200、または酸素化回路400に注入されるべき薬物栄養または他の治療溶液を収容した点滴袋を支持するように構成された、点滴スタンド80を含み得る。
【0061】
トレイ65は、超音波プローブ70などの診断アイテムを組織化するように構成されたエリアを含んでよく、超音波プローブ70は、超音波プローブ70により取得された超音波画像データを処理するように構成された超音波コンピュータと接続される。同様に、超音波ゲル72の容器のために、大箱が設けられ、超音波ゲルは、胎児5の発育を監視するよう胎児5をスキャンするための超音波プローブ70の使用を容易にするように構成されている。
【0062】
カート50は、必要な場合にシステム10のさまざまな構成要素、例えば羊水回路200および酸素化回路400へのアクセスを容易にすると共に、平素はシステム10の構成要素へのアクセスを制限するために、1つ以上のアクセスドア58を含むこともできる。
【0063】
カート50は、器具のための中央コントローラ700を支持するためのマウントをさらに含み、中央コントローラは、この場合、動作パラメータおよび警報を表示するように構成されたディスプレイ710と、オペレータにデータを入力させるか、またはプロセスの局面を制御させることができる入力/出力機構と、を有する、コンピュータである。入力/出力機構は、キーボード、マウス、およびトラックパッドを含むがこれらに限定されない、1つ以上の入力装置を含み得る。
【0064】
図15を参照すると、中央コントローラ700は、システム10のさまざまなセンサおよび要素から信号を受信し、さまざまな構成要素に制御信号を与えて、システム10の動作を制御する。具体的には、中央コントローラ700は、ガス圧力センサ522、532などのセンサから信号を受信することができ、これらの信号に応じて、中央コントローラ700は、ガス混合器540をしかるべく制御することができる。同様に、中央コントローラ700は、濁度計350から信号を受信し、ポンプ240の動作を制御することができる。
【0065】
本開示の広範な発明の概念から逸脱せずに、前述した実施形態に対し変更または改変を行い得ることが、当業者には認識されるであろう。例えば、
図13に示すように、胎児用チャンバ100は、胎児用チャンバ100内部の羊水を攪拌し、かつ/または循環させて、胎児用チャンバ100内の停滞エリアを最小限に抑えるように動作可能な、流体攪拌器を含み得る。さらに、
図16に示すように、羊水回路200は、循環ループを組み込んでもよく、循環ループは、羊水を胎児用チャンバ100からUV滅菌装置などの滅菌要素へと循環させて、その後、羊水を胎児用チャンバ100内へと戻す。
【0066】
図17を参照すると、本開示の一態様によると、酸素化回路400は、酸素供給器410内での血液凝固の形成を妨げるために酸素供給器410を通る血液の流れを増大させるように構成された、再循環経路を含み得る。例示された実施形態に示すように、酸素供給器410は、胎児5および酸素化ラインと接続され、酸素化ラインは、排水ライン440および注入ライン445という2つの流体ラインを含む。血液は、胎児5から排水ライン440を通って酸素供給器410まで流れ、その後、血液は、酸素供給器410を通って流れ、注入ライン445を介して胎児5へと戻る。
【0067】
酸素化回路400を通って流れる血液の容量は、胎児5の大きさに基づいて変化する。より小さい胎児は、より週数が進んだ(older)/より大きい胎児よりも血流が少ない。胎児5が小さい場合、酸素化回路400を通る血液の流れが少ないと、酸素化回路400における停滞または低流量のエリアが増大する場合があり、これが血栓形成を引き起こす場合がある。ヘパリンを使用することにより血栓形成を改善することが可能となり得る。しかしながら、ヘパリンの使用を回避または制限することが望ましい場合がある。
【0068】
酸素供給器410を通る血液の流れを増やすために、酸素化回路400は、再循環ループ420を含み得る。再循環ループ420は、排水ライン440および注入ライン445に平行な循環ループである。再循環ループ420は、酸素化回路400内の血液の一部を胎児5へと直接流すのではなく再循環させるさまざまな方法で、酸素供給器410と接続され得る。例えば、酸素供給器410は、一対の入口接続部と、一対の出口接続部と、を含み得る。再循環ループ420は、酸素供給器410の入口および酸素供給器410の出口に直接接続され得、排水ライン440は、酸素供給器410の入口コネクタのもう一方と接続され、注入ライン445は、出口コネクタのもう一方と接続される。あるいは、再循環ループ420は、2つのラインが合流して酸素供給器410内へ流れるように、排水ライン440と接続され得る。
【0069】
同様に、再循環ループ420は、酸素供給器を出る血液の流れが分かれて、血流の一部が注入ライン445を介して胎児5へと流れ、血流の一部が再循環ループ420を介して酸素供給器410へと再循環されるように、注入ライン445と接続されてよい。いずれの構成でも、酸素供給器410の出口からの血液の流れは、血液の一部が注入ライン445を介して胎児5へと流れ、血液の一部が再循環ループ420を通って流れ、その後、酸素供給器410の入口内へと戻るように、分かれる。
【0070】
酸素供給器410を通る血流を増やすため、再循環ループ420は、流体ポンプ430を含み得る。流体ポンプ430は、遠心力ポンプおよび容積型ポンプ、例えば蠕動ポンプを含むがこれらに限定されない、流体を送り込むように構成されたさまざまなポンプのうちの任意のものであってよい。流体ポンプ430は、排水ライン440および注入ライン445を通る流体の流れと比べて増大した流体の流れの中に再循環ループ420を提供する。より具体的には、再循環ループ420を通る流体の流れは、排水ライン440および注入ライン445を通る流れの少なくとも2倍の流量であってよい。例えば、ポンプは、再循環ループ420を通る400mL/分の流量を提供することができ、排水ライン440および注入ライン445を通る流量は、約100mL/分であってよい。このようにして、再循環ループ420および排水ライン420からの流れは、組み合わせられて、酸素供給器410を通る血液の流れを増大させる。その結果、酸素供給器410を通る流体の流れの増大は、酸素供給器410内部の貯留および停滞エリアを減少させ、それにより、酸素供給器回路400内での血栓の形成が制限される。
【0071】
酸素供給器410を通る血液の流れは増大するが、酸素化回路400は、患者に戻る血液の流量が再循環ループ420の存在により増大しないように構成されている。言い換えれば、胎児5から流れて胎児5へと戻る流体の流れは、実質的に再循環ループ420の影響を受けない。流体ポンプ430は、酸素供給器410内への流体の安定した流れを提供し、流体の実質的に等しい流れを酸素供給器410の出口からそらす。したがって、胎児5へと戻る、注入ライン445への流体の流れは、排水ライン445からの流体の流れと実質的に同様である。このようにして、流体ポンプ430は、胎児5から酸素供給器410への流体の流れと直列ではなく、胎児の心臓は、胎児5から酸素供給器410へと流れ、かつ胎児5へと戻る血液の流れを主に制御する。
【0072】
酸素供給器410を通る流体の流れを増やすために再循環ループ420を組み込むことによって、酸素化回路400における血栓を防ぐための胎児5へのヘパリンの注入を減らすか、または排除することができる。しかしながら、胎児の血液と接触する、酸素化回路400の内表面については、血栓形成を防ぐ生物学的に活性な化合物でこのような表面をコーティングすることが望ましくなり得る。
【0073】
図19、
図20、
図23、および
図23~
図38を参照すると、システム10は、さまざまな構成にある胎児用チャンバ100のうちの1つ以上を含み得る。例えば、
図19および
図20は、紫外線滅菌ユニット162に接続されるように構成されたコネクタ160などのさらなるコネクタを胎児用チャンバ100に組み込む、端部108および109に少ないテーパーを有する胎児用チャンバ100の実施形態を示す。
【0074】
図23~
図26を参照すると、システム10の胎児用チャンバ100は、胎児用チャンバ100内部の羊水を加熱して流体温度を所定の範囲内に維持するのを助けるように構成された、胎児用チャンバ100内部の補完的加熱要素164を含み得る。
図25に示すように、胎児用チャンバ100は、第1の方向に駆動されて揺りかご610を第1の方向に傾斜させるか、または逆方向に駆動されて揺りかご610を第2の方向に傾斜させることができる、複数のローラー166を含み得る。
【0075】
図27~
図30を参照すると、システム10は、剛性のフレーム110がない、胎児用チャンバ100を含み得る。代わりに、胎児用チャンバ100は、胎児用チャンバ100に胎児5が入るのを容易にするために片側に沿ってアクセス開口部を有する概ね管状のフィルム168である。アクセス開口部は、流体密封シールを提供するためにスライドロック機構などの閉鎖部を含む。図示のとおり、胎児用チャンバ100の端部108、109は、ハブ170によって支持されてよく、ハブ170は、管状のフィルム168の開放端部を密封し、羊水入口142、羊水出口144、排水ライン440、および注入ライン445のためのアクセスポートも提供する。ハブ170は、歯172をさらに含んでよく、歯172は、対応する歯車による胎児用チャンバ100の回転を容易にするように構成されている。
【0076】
図31~
図33を参照すると、システム10の胎児用チャンバ100は、ヒンジで連結されたフレームと、胎児5が胎児用チャンバ100に入るのを容易にするようにアクセス開口部を有する可撓性バッグと、を含み得る。アクセス開口部を密封するためにスライドロックが設けられてよく、バッグの縁は、フレームの上方半部と下方半部(upper and lower hales)との間でクランプされて、二次シールを提供するように構成されている。ソレノイドアクチュエータなどの移動可能な要素は、フレームの角に配され得る。アクチュエータは、フレームの角を上下させて胎児用チャンバ100内部の流体を攪拌し、それにより胎児用チャンバ100内の停滞エリアを最小にする。
図34~
図37を参照すると、システム10は、胎児用チャンバ100内の流体を攪拌するように膨張および収縮し得る、別個の流体チャンバを含み得る。
【0077】
図39~
図41を参照すると、システム10のカート50は、例示された実施形態に示すように構成され得る。本開示の一態様によると、カート50は、胎児用チャンバ100を囲む、回転可能なフード60を含む。フード60全体は、胎児用チャンバ100が回転すると回転するように構成され得る。フード60内へのアクセスを容易にするため、アクセスポート62は、フード60の各側面の周りに離間している。
【0078】
さらに、前述したように、胎児用チャンバ100は、可変の容積を有するように構成されてよく、この容積は胎児5が成長すると広がることができる。前述した1つの機構は、胎児用チャンバ100が広がり得る量を制限する、一連の拘束プレートを含む。あるいは、胎児用チャンバ100は、貯蔵器を含んでよく、貯蔵器は、この貯蔵器を分ける、1つ以上の分割機を有する。貯蔵器の容積は、分割機のうちの1つ以上を操作または除去することによって、増大され得る。このような配列では、胎児用チャンバ100の壁は、1つ以上の可撓性壁を有するのではなく、概ね剛性であってよい。したがって、さまざまな可変の容積の流体貯蔵器を胎児用チャンバ100として使用し得ることを理解されたい。
【0079】
単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈上明白に他の意味を示す場合を除き、単数、複数両方の指示物を含む。本明細書で使用される場合、用語「ホスト」、「被験者」、「胎児」、「幼児」および「患者」は、例えば人間であるがこれに制限されない、哺乳動物を含む任意の動物を指す。
【0080】
以下の実施例は、本開示のさまざまな実施形態を例示するために提供されている。これらの実施例は、例示的なものであり、決して特許請求の範囲を制限することは意図していない。
【0081】
生体外支援システムは、抵抗がゼロに近い酸素供給器(MaquetQuadrox-ID小児科用酸素供給器:Maquet Cardiopulmonary AG、ドイツ ラシュタット)を収容する、ポンプなしの回路を用いて提供された。動物は、抗生物質の全身投与および流体に添加された抗生物質の両方、早産の仔羊の基質要件に基づいて製剤へと改変された非経口栄養、必要に応じた鎮静、およびプロスタグランジンE2(PGE2)注入により、維持された。
【0082】
胎児ヒツジは、母親の子宮切開により露出され、順方向の向き(antegrade orientation)で酸素供給器が接続された後で、生体外支援システム回路上に直接置かれ、右総頸動脈に置かれたカニューレから動脈血が流入し、右心房の深さまで挿入された右頸静脈内のカニューレを介して静脈血が戻る。いったん回路全体の流れが確立されたら、胎児ヒツジは子宮から出され、電解質組成が羊水に似るように設計された、流体で満たされた開放式保育器に浸される。いったん子羊が回路上で安定したら、実行中いかなるときも昇圧剤は使用しなかった。
【0083】
妊娠初期の胎児ヒツジは、本明細書では「バイオバッグ(Biobag)」と呼ばれる、可撓性のバッグで形成された胎児用チャンバ内で維持された。バイオバッグは、使い捨ての、完全に閉鎖したシステムであり、胎児の大きさに合わせて最適化され得る、可変の容積を有する。さらに、ポートの構成および数、ならびに、流体交換の流れおよび容積は、特定の胎児に合わせて最適化され得る。バイオバッグは、銀が染み込んだメタロセンポリエチレンフィルムで形成されており、さらなる抗菌効果のためにUV光チャンバを収容する並列回路を組み込んでいた。バイオバッグは、カニューレ挿入時に胎児の挿入を容易にするため、開放した密封可能側面を有し、また、胎児の監視およびスキャンのために半透明かつ超音波透過性という有利な特性を有する。バイオバッグは、流体交換回路と共に、温度および圧力調整、パッディング(padding)、ならびに流体貯蔵器を組み込んだ、移動式の支持プラットフォーム内部に収容された。
【0084】
バイオバッグは、2%の銀カチオンを含有するメタロセンポリエチレンフィルム(約80μmの厚さ)から構成され、銀カチオンは、抗菌特性をフィルムに与える。バッグを熱溶接して成形する前に、いくつかの壁貫通とげ付きディスクポートが、フィルムシートに熱溶接された。4つのとげ付きの6.35mm(1/4インチ)のディスクポート(Eldon James:PND4-E8402-QC)、4つのねじ山付きの25.4mm(1インチ)のディスクポート(Eldon James:PD38-400-E8402-QC)、1つのとげ付きの9.525mm(3/8インチ)のディスクポート(Eldon James:PND6-E8402-QC)、および1つのとげ付きの15.875mm(5/8インチ)のディスクポート(Eldon James:PND10-E8402-QC)、がある。
【0085】
ポートは、
図42に示すように位置していた。ポートAは、羊水の流入用である。ポートFおよびGは、直列紫外線滅菌回路(以下で説明する)のためのものである。ポートCは、流体環境温度を検出し、バイオバッグの内腔から捕捉された空気を除去するのに使用された。ポートHは、バイオバッグの下側に位置し、羊水が胎便、尿、および他の排泄物と共に排出されるのを可能にする。ポートCは、温度プローブとY-コネクタを取り付け、空気除去のためにくっつけられた、25.4~50.8mm(1~2インチ)長さの管を有する。ポートDは、(以下で説明する)バッグの圧力を検出するのに使用される。ポートB1、B2、E1、E2は、バイオバッグの壁を横切ると共に無菌状態を維持する、BiolineでコーティングされたMaquet ECMO管を収容する。BタイプポートおよびEタイプポートそれぞれのうちの1つのみが、所与の患者に使用された。バッグ内部では、ECMO管が、(頸動脈および臍静脈に植え込まれた)血管カニューレに接続され、バッグの外側では、管は、Maquet Quadrox酸素供給器に接続された。ECMO管は、ねじ山付きの25.4mm(1インチ)のポートディスクに固定された圧縮取り付け部品を用いてポートBおよびEにしっかりと固定された。ポートA、F、Gは、25.4~50.8mm(1~2インチ)長さの管(http://www.coleparmer.com/Product/Masterflex_PharMed_BPT_Tubing_L_S_15_25/EW-06508-15)でディスクポートに取り付けられた、ナイロンの迅速接続オス型取り付け部品(nylon quick-connect male fitting)(http://www.mcmaster.com/#catalog/120/222/=tfgyvp)を有する。
【0086】
高精度(+/-0.1℃)サーミスタプローブ(http://www.adinstruments.com/products/nasaltemperature-probes)が、バッグ内に位置づけられ、ポートCを介して出る。サーミスタは、温度ポッド(http://www.adinstruments.com/products/temperature-pods)に接続され、温度ポッド自体は、デジタルデータロギングソフトウェア(LabChart、バージョン7または8;http://www.adinstruments.com/products/1abchart)を実行するウィンドウズ7ベースのPCに接続されたアナログデジタル変換器(analog to digital converted)(http://www.adinstruments.com/products/powerlab)に取り付けられた。
【0087】
羊水構成要素:人工羊水の成分(蒸留水に溶解した、塩化ナトリウム、重炭酸ナトリウム、塩化カリウム、および塩化カルシウム)は、ヒツジ胎仔の羊水のイオン濃度(Na+ 109、Cl- 100、HCO3- 20、K+ 6.5、Ca2+ 1.6mmol/L)およびpH(7.0)に似るように設計されている。成分は、販売業者から購入した研究室グレードの化学物質である。
【0088】
大量の羊水(約340L)が、蠕動ポンプを用いて、加熱滅菌されたカスタムポリプロピレンカーボイ内へ、混合され、ろ過滅菌された(0.22μm;http://www.emdmillipore.com/US/en/product/Standing-Stainless-Steel-Filter-Holders-%2890-and-142-mm%29,MM_NF-C743)。このプロセスには約60分かかった。
【0089】
バイオバッグへの送達。ガラスカーボイからの無菌管が、蠕動ポンプに接続された。ポンプを放置した後、羊水は、2つの直列の0.22フィルターカートリッジ(http://www.emdmillipore.com/US/en/product/Millipak-Disposable-Filter-Units,MM_NF-C523)を通過し、その後、ステンレス鋼熱交換器を通過して、流体を、バイオバッグ内に送り込む前に最大で39.5℃にした。超音波クランプオンチュービングフロープローブおよびメータ(ultrasonic clamp-on tubing flow probe and meter)(http://www.transonic.com/search/?Keywords=htll0&display=search&newSearch=true&noCache=l)は、バイオバッグへの流体送達速度(約50mL/分)を監視するために使用される。羊水は、バイオバッグの下方表面に位置するポートHによってバイオバッグから出る。圧力装置が、ポートDに組み込まれて、バイオバッグ内部の圧力を約1.07~1.33kPa(約8~10mmHg)(in vivoの正常な羊水圧力)に維持する。不用になった羊水は、床の排水管に送られる前に無菌トラップを通過する。バイオバッグの温度、圧力および羊水の流れは、デジタルデータロギングソフトウェアに記録された。
【0090】
UV滅菌ループ:このデザインでは、蠕動ポンプが、直列の紫外線滅菌ユニット(http://www.mcmaster.com/#ultraviolet-water-purifiers/=tfhkg0;カタログ番号8967T22)を通過した後でポートGおよびHを通ってバイオバッグ内で羊水を再循環させる(約100mL/分)。この装置は、広域スペクトル抗菌特性を有している。
【0091】
バイオバッグ温熱調節:このデザインでは、バイオバッグは、カスタム仕様のアルミニウム水加熱平板(custom-designed aluminum water-heated plate)の上に載り、伝導により有効な熱伝達をもたらす。この加熱平板(heat plate)は、デジタル制御された再循環温水器に接続される。流体が満たされたマットレスは、より高い熱制御、および動物のための緩衝作用のため、加熱平板の上に位置する。加熱平板、流体クッション、およびバイオバッグは、絶縁性の透明なポリカーボネートカバーで覆われた、81.28cm×60.96cm(32インチ×24インチ)の容器内部に入れられる。
【0092】
胎児の心肺機能の監視:血圧は、デジタルデータロギングシステムに取り付けられたブリッジ増幅器(http://www.adinstruments.com/products/bridge-amps)に接続された、臨床用使い捨て圧力トランスデューサ(http://www.icumed.com/products/critical-care/pressure-monitoring-system/transpac.aspx)を用いて、Maquet酸素供給器の両側(すなわち、動脈側リムおよび静脈側リム)におけるポートを介して、連続して記録された。圧力生信号(Raw pressure signals)は、収縮期圧および拡張期圧、心拍数、ならびに酸素供給器にわたる圧力差を算出するために処理される。超音波クランプオンチュービングフロープローブおよびメータ(http://www.transonic.com/search/?Keywords=htll0&display=search&newSearch=true&noCache=l)は、患者への血流量を監視するのに使用された。
【0093】
バイオバッグは、妊娠初期の胎児に対して生体外支援を適用するために使用された。妊娠初期の期間(妊娠114~120日目)には、カニューレ挿入および生体外支援システム回路への移行時に不安定度が高くなり、その結果、徐脈を引き起こし、時には、アトロピンおよびエピネフリンを必要とする心停止を引き起こすことにわれわれは気付いた。いったん回路上に来たら、カニューレ挿入から数日以内に、回路の流れの減少、ならびに進行性の水腫および電解質の不均衡に遭遇し、生理機能の再評価が必要となった。正常な胎児では、静脈管からの血液の方向性を持った流れと卵円孔の解剖学的向きとの組み合わせによって、左心循環(left sided circulation)への、卵円孔にわたる「酸素化した」臍静脈還流の優先的な流れが存在する。
【0094】
われわれのシステムでは、酸素化した血液の還流は、上大静脈を介するものであった。このことは、臍静脈還流の、有効性の弱い右から左への流れをもたらし、その結果、右側静脈圧が増大すると、われわれは仮定した。右側静脈圧の急激な上昇は、妊娠初期の子羊における通常は低い全身血圧と組み合わせて、初期の不安定度と、それに続く、膜にわたる灌流圧の減少をもたらし、その結果、流れの減少と、最終的には、より若い動物における不十分な酸素運搬を引き起こすとことも、われわれは考えた。われわれは、頸動脈および頸静脈にカニューレ挿入された動物において、右側静脈圧が上昇した(測定した腹部IVC圧力1.28+0.27kPa(9.6+2mmHg)に対し、正常な胎児で0.53+0.27kPa(4+2mmHg))ことを確認し、2つの解決策を探った。
【0095】
われわれの第1のアプローチは、全身血圧を高め、膜にわたる灌流圧力を維持するために、胎盤に高濃度で存在する、妊娠中期中の主な血管作用薬である、アンジオテンシンIIを利用することであった。移行中の不安定度は依然としてエピネフリンを必要とする課題であったが、その後の安定度および回路の流れは、連続的なアンジオテンシンIIの注入により大幅に改善されており、アンジオテンシンIIの注入は、最終的には、全身血圧が上昇するにつれて生体外支援システム上で約1週間後に次第に減らすことができた。その他のアプローチは、静脈還流のために臍静脈を利用することであった。われわれは、臍静脈のけいれんに関する懸念のため、最初は頸静脈を用いたが、パパベリンでの局所洗浄による最小限の操作手法を用いて、静脈にカニューレ挿入することができた。カニューレは、先端部が腹部筋膜のすぐ内側にある位置まで前進させられ、腹部に取り付けられたサイラスティック・カフを用いて固定された。
【0096】
臍カニューレ挿入により、生体外支援システム回路への移行中の不安定度がただちに排除された。臍静脈ドレナージアプローチの開始以降、カニューレ挿入の不安定度は、著しく減少および/または排除されており、エピネフリンの必要がなく、また、回路の流れを徐々に開始する必要もなかった。われわれは次に、酸素供給器への流れを開き、臍帯を直ちに閉塞した。右側の圧力は正常であり、流れが改善されており、頸動脈の酸素飽和度の上昇および酸素運搬の改善により示されるように、酸素化された血液がさらに有効的に右から左へ移動された。したがって、このアプローチは、全身の血圧の支援が必要な場合、そのような支援のために随時アンジオテンシンIIの注入を行う、臍静脈還流を利用する。
【0097】
これらの処置は、生体外支援システム上で最大21日間にわたり、妊娠110~113日目の3頭の胎児ヒツジの安定した支援を提供した。肺発生の観点からすれば、妊娠110~113日目の子羊は、肺発生の管状期の中期から後期にあり、これは妊娠23~24週目の早産児と生物学的に等価である。3頭の子羊はすべて、完全な血行動態の安定、ならびに成長および発育が極めて正常な、安定した生理学的パラメータを示した。21日後、この子羊を、最小限の人工呼吸器設定(SIMV、FiO2 30%、PIP 15cm H2O、CPAP 5cm H2O、呼吸回数(Rate)20)で、安定した血液ガス(7.48/46.7/132/99%)による機械的な換気補助に移行した。この子羊は、著しい腹部膨張、呼吸不全を生じた際に人工呼吸器による補助で離乳し、安楽死させた。その後、濃縮胎便に見られたものにより、回腸の閉塞があったことが分かった。肺は、組織学的評価では、換気が引き起こした損傷のいくつかの証拠により、十分発達しており、成熟しているように見えた。
【0098】
これらの結果は、妊娠23~24週の早産児に生物学的に対応する、超早産の胎児ヒツジが、明らかな生理学的障害または器官不全なしに最大で3週間、生体外支援システムにおいて支援され得ることを示している。これは、進行性の心不全および代謝低下と一律に関連している、胎児の長期生体外支援の試みに関する既に公開された結果と、明らかに対照をなしている。子羊は、生体外支援システム上で非常に安定しており、胎児の循環経路代謝パラメータを維持し、正常な成熟および成長の証拠を示している。さらに、われわれは、長期の生体外支援後に、正常に長期生存する出生後生活へと移行することも示している。
【0099】
この成功に寄与する本生体外支援システムのいくつかの特徴がある。第1の特徴は、動脈から静脈への向きで胎児の脈管構造に接続された、低い表面積およびプライミング容積を有するポンプなしの回路に組み込まれた、極端に抵抗が低い酸素供給器である。このシステムは、プライミング容積およびわれわれの回路で生成される流れから分かるように、胎盤自体の血行動態に相当する。羊の報告された胎盤の血液容積は、23.1~48.1mL/kgであり、正常な胎盤の血流は199+/-20mL/分/kgと報告されている。われわれの回路は、平均120日の3kgの胎児ヒツジについて80~90mL、または27mL/kgのプライミング容積を必要とし、われわれのシステムにおける流量は、われわれの妊娠期間範囲にわたり、90~140mL/分/kgの範囲であった。この流量は、正常な胎盤よりわずかに少ないが、酸素供給器によるガス交換は、非常に有効であり、ほぼ正常な胎児の血液ガスおよび酸素飽和度は、酸素供給器のスイープガスパラメータ以内に十分維持され得る。
【0100】
さらに、回路のポンプなしのデザインにより、胎児の心臓および脈管構造による、回路の流れのある程度の「自己調節」が可能となる。われわれの回路における流れは、カニューレのサイズおよび回路にわたる圧力勾配に依存する。われわれの子羊は、全身血圧の上昇により低酸素症が誘発されるのに応じて、血圧および流れを増大する能力を一貫して示した。システムの第2の特徴は流体環境である。生体外支援システム内の胎児は、正常な胎児に似た、スムーズな流体呼吸および嚥下を示す。このことは、組織学的および機能的基準による正常な肺発生および成熟をもたらした。第3の特徴は、無菌羊水環境を維持するわれわれの能力の改善である。閉鎖デザインおよび抗菌性特徴部を備えたバイオバッグの開発は、一歩前進であり、われわれは、最終的には完全に抗生物質のないシステムの開発を目指している。最後に、ヘパリンを排除する能力により、出血事象に関する臨床上の懸念を軽減した。
【0101】
われわれは、システムを生物学的に等価な早産児に適用してきたが、110日の胎児ヒツジは、極度に低出生体重の早産児よりもかなり大きい(1.5~2kg)。大きさが等価な胎児ヒツジは、約80~93日(350~750グラム)であり、回路デザインの大幅な修正が必要となり得る。消毒法の改善と共に、従来の薬理学的抗生物質の回避も望まれる。われわれは、生体外支援システムのデザインにおいて大きな進歩を遂げ、抗生物質の全身投与を受けたバイオバッグ内の動物において感染症は見つけていない。
【0102】
超早産とは懐妊期のわずか50%と推定されることを認識すべきである。子宮から生体外支援システムへ直接運ぶことが理想的であるが、胎児が分娩後一時的に支援されて、生体外支援へと移され得る場合、このテクノロジーの適用を著しく広げるであろう。このことは、当然、無菌システムの維持だけでなく、システムから汚染を除去する能力も必要とすることになる。
【0103】
最後に、生体外支援システムの意味合い(implications)は、臨床適用を越えて拡大し、胎児の発育における胎盤の役割に関する基本的な問題に取り組むためのモデルを提供する。母親の胎盤軸から切り離された胎児の長期生理学的維持がいまや達成され、この器官が胎児の成熟に相対的に貢献する研究を行うことが可能となる。このシステムは、胎児期から出生後生活への移行の橋渡しをするのにも使用され得、これは、先天的肺疾患のモデルに適用されて、治療的介入の絶好のチャンスを広げることができる。したがって、生体外支援システムは、胎児の生理機能の調査にこれまで利用することができなかった能力を示し、また、実用への移行を目指す多くの臨床的応用のための力強い新たな方策を示す。
【0104】
前述したことを鑑みて、本開示は本明細書に記載した特定の実施形態に制限されるものではなく、特許請求の範囲に記載される、本開示の範囲および趣旨に含まれるすべての変更および改変を含むことが意図されていることを、理解されたい。
【0105】
〔実施の態様〕
(1) 人間の胎児を包み、成熟中に前記胎児を維持するように構成されたシステムで使用されるように構成された胎児用チャンバにおいて、
剛性のフレームと、
前記剛性のフレームに連結された少なくとも1つの可撓性壁であって、前記剛性のフレームおよび前記少なくとも1つの可撓性壁は、内部空間を画定する、少なくとも1つの可撓性壁と、
を備え、
1)前記胎児用チャンバは、前記内部空間が可変である容積を定め、前記少なくとも1つの可撓性壁が拡張することにより前記容積を増大させるように構成され、かつ前記少なくとも1つの可撓性壁が収縮することにより前記容積を減少させるように構成されている、閉構成を定め、
2)前記胎児用チャンバは、前記胎児用チャンバが前記人間の胎児を前記内部空間に入れることに適応するように構成された開口部を画定する、開構成をさらに定め、
3)前記開口部は、前記胎児用チャンバが前記閉構成にあるときに前記内部空間内の液体が前記開口部を通過することができないように、閉じられるよう構成されている、胎児用チャンバ。
(2) 実施態様1に記載の胎児用チャンバにおいて、
前記剛性のフレームは、第1の部分および第2の部分を含み、
前記第1の部分は、1)前記開構成において、前記第1の部分が前記第2の部分に対して可動であり、2)前記閉構成において、前記第1の部分が前記第2の部分に対して固定されるように、前記第2の部分に連結されている、胎児用チャンバ。
(3) 実施態様2に記載の胎児用チャンバにおいて、
前記開構成において、前記第1の部分が前記開口部を画定するために前記第2の部分から離れて回転可能であるように、前記第1の部分を前記第2の部分に連結するヒンジをさらに備える、胎児用チャンバ。
(4) 実施態様2または3に記載の胎児用チャンバにおいて、
前記胎児用チャンバが前記閉構成にあるときに前記第1の部分を前記第2の部分に対して固定するように構成されたロック機構をさらに備える、胎児用チャンバ。
(5) 実施態様1~4のいずれかに記載の胎児用チャンバにおいて、
第1の方向に沿って第1の端部および前記第1の端部の反対側の第2の端部をさらに備え、前記胎児用チャンバは、前記第1の方向に沿って細長い、胎児用チャンバ。
【0106】
(6) 実施態様5に記載の胎児用チャンバにおいて、
前記開口部は、第1の開口部であり、
前記胎児用チャンバは、第2の開口部、および前記第1の方向に対して前記第2の開口部の反対側の第3の開口部を画定する、胎児用チャンバ。
(7) 実施態様5または6に記載の胎児用チャンバにおいて、
前記第1の端部は、前記第2の開口部を画定し、前記第2の端部は、前記第3の開口部を画定する、胎児用チャンバ。
(8) 実施態様6または7に記載の胎児用チャンバにおいて、
前記第2の開口部は、前記胎児用チャンバが前記閉構成にあるときに前記内部空間内に流体が入ることをもたらすように構成され、
前記第3の開口部は、前記胎児用チャンバが前記閉構成にあるときに流体が前記内部空間から出ることをもたらすように構成されている、胎児用チャンバ。
(9) 実施態様6~8のいずれかに記載の胎児用チャンバにおいて、
前記胎児用チャンバは、前記胎児用チャンバが前記閉構成にあるときに前記内部空間内に流体が入ることをもたらすように構成された第4の開口部を画定し、
前記第4の開口部は、1)前記第2の端部が前記第1の方向に対して前記第1の端部から離れているよりも、前記第1の方向に対して前記第1の端部の近くに、かつ2)前記第1の端部が前記第1の方向に対して前記第2の端部から離れているよりも、前記第1の方向に対して前記第2の端部の近くに、位置づけられている、胎児用チャンバ。
(10) 実施態様1~9のいずれかに記載の胎児用チャンバにおいて、
前記剛性のフレームが回転軸を中心として回転可能となるように前記剛性のフレームを支持するように構成された機構をさらに備える、胎児用チャンバ。
【0107】
(11) 実施態様1~10のいずれかに記載の胎児用チャンバにおいて、
前記内部空間は、最大容積を定め、
前記胎児用チャンバは、制限器をさらに含み、前記制限器は、前記制限器が前記内部空間の拡張を制限し、それによって前記最大容積を減少させるように、前記剛性のフレームに固定されるように構成されている、胎児用チャンバ。
(12) 実施態様11に記載の胎児用チャンバにおいて、
前記制限器は、前記胎児用チャンバが前記閉構成にある間に前記剛性のフレームから取り外されるように構成されている、胎児用チャンバ。
(13) 人間の胎児を包み、成熟中に前記胎児を維持するように構成されたシステムにおいて、
協働して少なくとも部分的に内部空間を画定する剛性のフレームおよび少なくとも1つの壁を含む胎児用チャンバであって、前記内部空間は、容積を定め、前記胎児用チャンバは、前記容積が可変となるように構成され、前記胎児用チャンバは、人間の胎児を前記内部空間に入れるのに適応するようにサイズ決めされた開口部を含み、前記開口部は、前記内部空間内の液体が前記開口部を通過することができないように、閉じられるよう構成された、胎児用チャンバと、
第1の流体を前記内部空間に提供するように構成された第1の流体回路であって、前記第1の流体回路は、前記胎児用チャンバへの入口および前記胎児用チャンバからの出口を含む第1の経路を画定する、第1の流体回路と、
第2の流体が前記第1の流体から分離したままであるように前記第2の流体を前記内部空間に提供するように構成された第2の流体回路であって、前記第2の流体回路は、前記胎児用チャンバへの入口および前記胎児用チャンバからの出口を含む第2の経路を画定する、第2の流体回路と、
を備える、システム。
(14) 実施態様13に記載のシステムにおいて、
前記胎児用チャンバは、前記開口部が人間の胎児を前記内部空間に入れることに適応するように構成された開構成を含み、
前記胎児用チャンバは、前記内部空間内の液体が前記開口部を通過することができない閉構成を含む、システム。
(15) 実施態様13または14に記載のシステムにおいて、
前記少なくとも1つの壁は可撓性である、システム。
【0108】
(16) 実施態様13~15のいずれかに記載のシステムにおいて、
ホイールを含むカートをさらに含み、前記カートは、1つの場所から別の場所へと輸送されるように構成され、前記カートは、前記胎児用チャンバを囲むハウジングを含む、システム。
(17) 実施態様13~16のいずれかに記載のシステムにおいて、
前記第1の流体回路は、前記第1の流体の第1の供給源、前記第1の流体の第2の供給源、および前記第1の供給源または前記第2の供給源のどちらかを含むように前記第1の経路を切り替えるように構成された機構を含み、前記第1の供給源は、前記第2の供給源より小さい容積の前記第1の流体を包囲している、システム。
(18) 実施態様17に記載のシステムにおいて、
前記機構は第1の機構であり、
前記第2の流体回路は、前記第2の流体の第1の供給源、前記第2の流体の第2の供給源、および前記第2の流体の前記第1の供給源または前記第2の流体の前記第2の供給源のどちらかを含むように前記第2の経路を切り替えるように構成された第2の機構を含み、前記第2の流体の前記第1の供給源は、前記第2の流体の前記第2の供給源より小さい容積の前記第2の流体を包囲している、システム。
(19) 実施態様13~18のいずれかに記載のシステムにおいて、
前記第1の流体回路は、前記内部空間内の前記第1の流体の濁度を検出するように構成された濁度センサを含み、前記第1の流体回路は、前記内部空間への、また前記内部空間からの前記第1の流体の流量が、前記濁度センサにより感知された濁度に応じて可変となるように構成されている、システム。
(20) 実施態様13~19のいずれかに記載のシステムにおいて、
前記第1の流体回路は、前記内部空間内の前記第1の流体の圧力を検出するように構成された圧力センサを含み、前記第1の流体回路は、前記内部空間への、また前記内部空間からの前記第1の流体の流量が、前記圧力センサにより感知された圧力に応じて可変となるように構成されている、システム。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【
図1】一実施形態による、第1の構成にある生体外支援システムの等角図である。
【
図2】第2の構成にある、
図1に例示した生体外支援システムの等角図である。
【
図3】
図1に例示した生体外支援システムの一部の等角図である。
【
図4】
図1に例示した生体外支援システムの一部の等角図である。
【
図5】代わりの観察角度から示された、
図4に例示した生体外支援システムの一部の別の等角図である。
【
図6】一実施形態による、
図1に例示した生体外支援システムの羊水回路の等角図である。
【
図7】一実施形態による、
図1に例示した生体外支援システムの胎児用チャンバの平面図であり、胎児用チャンバは閉構成にある。
【
図8】開構成にある、
図7に示す胎児用チャンバの等角図である。
【
図9】取り付けられた拘束リングを含む、
図7に示す胎児用チャンバの代替的な等角図である。
【
図10】
図9に例示した胎児用チャンバの部分分解組立等角図である。
【
図11】線11-11に沿った、
図9に例示した胎児用チャンバの断面図である。
【
図12】一実施形態による、
図1に例示した生体外支援システムの羊水回路の線図である。
【
図13】別の実施形態による、
図1に例示した生体外支援システムの羊水回路の線図である。
【
図14】一実施形態による、
図1に例示した生体外支援システムの酸素化回路の線図である。
【
図15】一実施形態による、
図1に例示した生体外支援システムの中央コントローラと複数のセンサおよび制御装置との間の相互接続を示す線図である。
【
図16】一実施形態による、
図1に例示した生体外支援システムの羊水回路および酸素化回路の線図である。
【
図17】別の実施形態による、
図1に例示した生体外支援システムの酸素化回路の線図である。
【
図18】子宮内から
図1に例示した生体外支援システムへの胎児の移動の線図である。
【
図19】別の実施形態による、
図1に例示した生体外支援システムの胎児用チャンバの等角図であり、胎児用チャンバは開構成にある。
【
図20】閉構成にある、
図19に例示した胎児用チャンバの等角図である。
【
図21】一実施形態による、
図1に例示した生体外支援システムのガス混合器の断面図である。
【
図22】一実施形態による、
図1に例示した生体外支援システムの酸素化回路の一部の線図である。
【
図23】別の実施形態による、
図1に例示した生体外支援システムの胎児用チャンバの等角図であり、胎児用チャンバは閉構成にある。
【
図24】開構成にある、
図23に例示した生体外支援システムの胎児用チャンバの等角図である。
【
図25】一実施形態による、
図1に例示した生体外支援システムの胎児用チャンバと、胎児用チャンバを操作するように構成された機構と、の等角図である。
【
図26】一実施形態による、
図1に例示した生体外支援システムの胎児用チャンバと、胎児用チャンバ内の温度を変化させるように構成された加熱要素と、の等角図である。
【
図27】別の実施形態による、
図1に例示した生体外支援システムの胎児用チャンバの等角図である。
【
図28】
図27に例示した胎児用チャンバの一部の等角図である。
【
図29】
図27に例示した胎児用チャンバと、胎児用チャンバを操作するように構成された機構と、の等角図であり、胎児用チャンバおよび機構のいずれも閉構成にある。
【
図30】
図29に例示した胎児用チャンバおよび機構の等角図であり、胎児用チャンバおよび機構のいずれも開構成にある。
【
図31】別の実施形態による、
図1に例示した生体外支援システムの胎児用チャンバの等角図であり、胎児用チャンバは閉構成にある。
【
図32】
図31に例示した胎児用チャンバの等角図であり、胎児用チャンバは閉構成にある。
【
図33】
図31に例示した胎児用チャンバの一部の等角図である。
【
図34】別の実施形態による、
図31に例示した胎児用チャンバの等角図である。
【
図35】
図34に例示した胎児用チャンバの別の等角図である。
【
図36】別の実施形態による、
図31に例示した胎児用チャンバの等角図である。
【
図37】
図36に例示した胎児用チャンバの別の等角図である。
【
図38】一実施形態による、
図1に例示した生体外支援システムの一部の等角図である。
【
図39】別の実施形態による、第1の構成にある生体外支援システムの等角図であり、生体外支援システムは閉構成にある。
【
図40】
図39に例示した生体外支援システムの側面図である。
【
図41】開構成にある、
図39に例示した生体外支援システムの等角図である。
【
図42】一実施形態による、生体外支援システムの胎児用チャンバの線図である。
【
図53】実験結果を例示する第10のグラフである。
【
図54】実験結果を例示する第11のグラフである。
【
図57】実験結果を例示する第12のグラフである。
【
図58】実験結果を例示する第13のグラフである。
【
図59】実験結果を例示する第14のグラフである。
【
図61】実験結果を例示する第15のグラフである。
【
図62】実験結果を例示する第16のグラフである。
【
図63】実験結果を例示する第17のグラフである。