(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-05
(45)【発行日】2022-01-20
(54)【発明の名称】光ガイドサンルーフアセンブリ
(51)【国際特許分類】
B60J 1/00 20060101AFI20220113BHJP
B60Q 3/208 20170101ALI20220113BHJP
B60Q 3/64 20170101ALI20220113BHJP
【FI】
B60J1/00 W
B60J1/00 H
B60Q3/208
B60Q3/64
(21)【出願番号】P 2020159025
(22)【出願日】2020-09-23
【審査請求日】2020-09-23
(32)【優先日】2019-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】519132931
【氏名又は名称】穎華科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100110319
【氏名又は名称】根本 恵司
(74)【代理人】
【識別番号】100150773
【氏名又は名称】加治 信貴
(72)【発明者】
【氏名】王 志鴻
(72)【発明者】
【氏名】陳 信元
(72)【発明者】
【氏名】徐 瑞琳
(72)【発明者】
【氏名】古 志騰
(72)【発明者】
【氏名】彭 龍翔
【審査官】菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-529541(JP,A)
【文献】特開2015-112812(JP,A)
【文献】特開2004-109366(JP,A)
【文献】特表2009-502569(JP,A)
【文献】特開2002-331839(JP,A)
【文献】特開2014-008810(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0298601(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 1/00
B60Q 3/208
B60Q 3/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外面、内面、及び外面と内面と
の間の内層中間に垂直に接続された複数の側面を有する基板と、
前記基板の少なくとも1つの前記側面に配置される少なくとも1つの光源モジュールと、
前記基板の前記内面の外周縁領域に位置する易接着層と、
前記基板の前記内面の前記外周縁領域且つ前記易接着層を有する位置に固定される結合構造と、
を含み、
前記基板は、少なくとも2層のプラスチック材質を含む多層構造であり、透明なエンジニアリングプラスチック層と、前記エンジニアリングプラスチック層の上方にある着色された上部アクリル層と、を含み、着色された前記上部アクリル層の光透過率は前記エンジニアリングプラスチック層の光透過率よりも低く、且つ透明な前記エンジニアリングプラスチック層の上方に有色背景が形成され、
前記少なくとも1つの光源モジュールは、前記エンジニアリングプラスチック層に向かって光を発することができ、前記光を前記エンジニアリングプラスチック層に沿って伝導移動可能にさせ、
前記結合構造は、外部部材との結合に使用され、前記基板を前記少なくとも1つの光源モジュールと共に前記結合構造を介して前記外部部材に結合可能にさせ、
前記基板の前記外面、内層中間、及び内面の三者の少なくとも1つに配置された複数の光ガイド微細構造を更に含み、前記複数の光ガイド微細構造は、前記エンジニアリングプラスチック層の水平方向に沿って進行する前記光を、前記複数の光ガイド微細構造から前記基板の前記内面の下方に向かって射出するように導くことができ、前記複数の光ガイド微細構造は、所定のパターンに配列されることで、前記少なくとも1つの光源モジュールが前記光を放出する時、前記複数の光ガイド微細構造の位置にある前記光は、前記基板の前記内面の下方から射出され、前記基板の前記内面に前記複数の光ガイド微細構造が配列されて構成される発光の前記所定のパターンを表示することができ、
前記基板の所定の位置に材料弱化処理が施され、前記基板の弱化処理された前記所定の位置に破壊可能構造を形成し、
前記破壊可能構造は、機械又はレーザ加工方法によって前記基板の一部の領域に密集ドット分布を形成することで、その箇所の構造を弱化させ且つ破壊され易くさせ、前記破壊可能構造を構成することと、エネルギー照射又は異なる材質面によって前記基板の内部材料の一部の領域に環状点線構造を構成し、前記環状点線構造箇所の構造を弱化させ且つ破壊され易くさせ、前記破壊可能構造を構成することとの何れか1つの方法によって形成され、前記破壊可能構造は、基板内部の水平方向に進行する光を前記破壊可能構造箇所から前記基板の下方に向けて射出させる効果も有し、使用者がこれにより破壊可能構造の位置を識別することができる光ガイドサンルーフアセンブリ。
【請求項2】
前記上部アクリル層に着色剤が添加され、前記上部アクリル層に前記色をもたせ、且つ光透過率が5%~70%の間であり、前記着色剤は、黒、赤、青、緑のうち少なくとも1つの色を含み、前記エンジニアリングプラスチック層は、透明無色又は透明白色のいずれかであり、且つ光透過率が90%よりも大きい請求項1に記載の光ガイドサンルーフアセンブリ。
【請求項3】
前記複数の光ガイド微細構造に蛍光体が充填され、前記複数の光ガイド微細構造が配列されて構成される発光の前記所定のパターンの発光輝度が向上される請求項1に記載の光ガイドサンルーフアセンブリ。
【請求項4】
前記複数の光ガイド微細構造は、レーザ内部彫刻によって前記基板の前記内層中間に形成される請求項1に記載の光ガイドサンルーフアセンブリ。
【請求項5】
前記基板の前記外面には上部硬質層(HARD COATING)が形成され、且つ前記基板の前記内面にも下部硬質層が形成され、
前記複数の光ガイド微細構造は、前記上部アクリル層、前記エンジニアリングプラスチック層の下面の少なくとも1つに配置される請求項1に記載の光ガイドサンルーフアセンブリ。
【請求項6】
前記基板は、少なくとも3つの層の異なる材質が共押出(COEXTRUSION)されることによって構成される多層構造であり、中間に位置し且つポリカーボネート(PC)を含むエンジニアリングプラスチック層、前記エンジニアリングプラスチック層の上方に位置する前記上部アクリル層、及び前記エンジニアプラスチック層の下方に位置する下部アクリル層を含み、前記上部アクリル層の上方に上部硬質層(HARD COATING)が形成され、且つ前記下部アクリル層の下方にも下部硬質層が形成され、前記下部アクリル層は、透明無色、又は透明白色のいずれかであり、且つ透過率が90%よりも大きく、
前記複数の光ガイド微細構造は、前記上部アクリル層、前記下部アクリル層の少なくとも1つに配置される請求項1に記載の光ガイドサンルーフアセンブリ。
【請求項7】
前記
基板の少なくとも前記上部硬質層の上に、多層膜構造を有するコーティング層が更に設けられ、前記コーティング層は、接着層、抗紫外線層、及び耐摩耗層を含み、
前記接着層の材質は、二酸化ケイ素(SIO
2)を含み、
前記抗紫外線層の材質は、五酸化三チタン(TI
3O
5)を含み、
前記耐摩耗層の材質は、二酸化ケイ素(SiO
2)を含み、
前記コーティング層には抗赤外線層が更に含まれ、前記コーティング層の上方には上面硬質層が更に含まれる請求項6に記載の光ガイドサンルーフアセンブリ。
【請求項8】
少なくとも1つのシールリング層を更に含み、
前記シールリング層は、前記易接着層の前記結合構造の側に向く表面上に配置され、且つ前記シールリング層は、前記易接着層と前記結合構造の両者の接触面の間に挟まれる請求項1に記載の光ガイドサンルーフアセンブリ。
【請求項9】
前記基板は、少なくとも前記内面の前記外周縁領域に曲面を有し、
前記外部部材は、車両ルーフに配置されている部材であり、
前記結合構造は、硬質プラスチック材質又は金属材質のいずれかで構成され、
前記
結合構造は、前記硬質プラスチック材質で構成される時、前記
結合構造は、前記基板の前記内面の前記外周縁領域且つ前記易接着層を有する位置に埋め込まれ、且つ、前記硬質プラスチック材質は、ポリメチルメタクリレート(POLYMETHYLMETHACRYLATE、略称PMMA)、ポリカーボネート(POLYCARBONATE、略称PC)、アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレンコポリマー(ACRYLONITRILE BUTADIENE STYRENE、略称ABS)、ポリピロメリット酸イミド(POLYPYROMELLITIMIDE、略称PMMI)、ポリエチレンテレフタレート(POLYETHYLENE TEREPHTHALATE、略称PET)、ポリエチレンナフタレート(POLYETHYLENE 2,6-NAPHTHALENE DICARBOXYLATE、略称PEN)、ポリエーテルスルホン(POLYETHERSULFONE、略称PES)、ポリイミド(POLYIMIDE、略称PI)のいずれか1つを含み、前記
結合構造が金属材質で構成される時、前記
結合構造は、前記基板の前記内面の前記外周縁領域且つ前記易接着層を有する位置に接着されて固定され、
前記易接着層の材質は、アミン(AMINES)及び複素環式アミン(HETEROCYCLIC AMINE)化合物、シラン(SILANE)化合物、ポリウレタン(POLYURETHANE、略称PU)のいずれか1つを含み、前記易接着層は、前記基板と前記結合構造との間の結合強度を高めることに用いられ、
前記シールリング層は、接着方式で前記易接着層の前記結合構造の側に向く表面に1つ又は複数の前記外周縁領域に沿ったリング状に塗布された前記シールリング層であり、前記シールリング層の材質は、シリコーン(SILICONE)、ポリウレタン(POLYURETHANE、略称PU)のいずれか1つを含み、前記基板と前記
結合構造との間の密封性を高めることに用いられる請求項8に記載の光ガイドサンルーフアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ガイドサンルーフアセンブリ、特に少なくとも2層のプラスチックからなる基板の側面に光源モジュールを配置し、基板の外側のプラスチック層に色が添加されて有色背景を構成し、更に、光源モジュールによって放出された光が基板を透過し、基板の内面に向かって光を放出することを可能にする光ガイドサンルーフアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車の多くは、ガラスをサンルーフ、フロントガラス、及びサイドウィンドウの板材として使用しているが、ガラスは重量が大きく、壊れ易く、成形が難しい等の欠点があるため、近年プラスチック材質の光透過板材が開発されて従来のガラスに取って代わり、車のサンルーフ、フロントガラス、及びサイドウィンドウの製造に用いられている。
また、従来の自動車用ガラスサンルーフには照明機能がなく、ルーフライトが屋根に設置されているが、スペースが限られているため、ルーフライトの有効照明面積が限られ、十分な照明機能を提供することができない。パノラマサンルーフを備えた車両モデルの場合、ルーフライト用のスペースがないため、車内の光源のトップダウン照明機能は廃止される。
この欠点を改善するために、現在、いくつかの製造業者は、ガラス又はプラスチック材質のサンルーフの周囲に設置する発光ライトバーを開発して、光装飾効果を提供している。
【0003】
図1A及び
図1Bを参照して説明する。
それは、それぞれ、従来技術の車両用サンルーフの周囲に発光ライトバーを配置した例の断面説明図及び平面説明図である。従来の車両用サンルーフは、光装飾効果を得るために、ガラスやプラスチックで作られた車両用サンルーフ透明パネル01の外周にリング状に発光ライトバー02を配置している。
従来の車両用サンルーフ透明パネル01には光ガイドや装飾機能がないため、発光ライトバー02から放射された光は、パネル01の周囲にある細いリング状の開口部の視覚効果しか形成することができないため、車両用透明パネル01自身は、光射出面を有さず、視覚的に単調になるだけではなく、面光源の光装飾パターンを提供することもできない。
【0004】
プラスチックには様々な種類があり、その中でもポリカーボネート(略称PC)からなるエンジニアリングプラスチックは、透明性が高く、染色性が高く、強度及び弾性係数が高く、衝撃強度が高く、使用温度範囲が広く、成形収縮率が低く、寸法安定性が良好であり、耐候性が良好であり、無味無臭、人体に無害で、衛生安全性に適合し、成形が容易であるなどの利点を有するため、曲面又は特殊な構造の透明な基板を作成して、壊れやすく成形が困難なガラス板材に取って代わっている。
例えば、車両用サンルーフは、しばしばポリカーボネート(PC)エンジニアリングプラスチックで製造される。但し、ポリカーボネート(PC)には、耐摩耗性がないことや、紫外線下で黄変しやすいなどの欠点もある。そのため、従来技術では、ポリカーボネート(PC)基板の外面に耐摩耗性硬質層を追加し、基板本体に紫外線(UV)吸収剤を追加して基板の耐摩耗性を向上させ、黄変現象を低減させている。この追加方法は「光吸収」に属し、UV光は、依然として基板内部に入り、それからブロックされ、車内に対してはUVをブロックする機能を有するが、基板自身がUVの黄変、UV劣化の問題を招く。
【0005】
また、外観及び造型上にデザイン感や視覚的美観をもたせるため、現在の車両用サンルーフパネルは、シンプルなフラット構造ではなく、滑らかな曲面を有するプラスチックパネルが主流となっている。プラスチックパネル又はガラスパネルで構成される従来の車両用サンルーフ構造は、その車体に接続するために使用される結合構造又はメカニズムは、何れも接着剤によって金属材質の結合構造(又はメカニズム)をプラスチック(又はガラスパネル)に接着する。
車両用サンルーフを作るために使用されるプラスチックパネル又はガラスパネルは全て曲面を備えた硬質パネルであるため、接着剤によって金属で作られ、硬質でもある結合構造(又はメカニズム)を接着した後、プラスチック(又はガラス)パネル及び結合構造(又はメカニズム)両者の接合面の間に隙間ができることを避け難く、防水と防湿効果が低下するだけでなく、2つの結合強度が低下する。更に、金属材質で構成された結合構造(又はメカニズム)は、重量が比較的大きく(車両の運転時に燃料と電力をより消費する)、破損しやすく、抗紫外線(UV)及び断熱の効果がなく、金属及びプラスチック(又はガラス)パネルとの間の結合性が良好ではないという欠点もあり、依然として改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2020-45280号公報
【文献】特開2018-109737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の主な目的は、光源モジュールが少なくとも2層のプラスチックで構成される基板の側面に配置され、基板の外側寄りのプラスチック層に色を添加し、有色背景を構成し、基板のプラスチック層の1つに複数の光ガイド微細構造を選択的に配置して、光源モジュールが発する光を基板の内側に向けて射出するように導き、更に、光源モジュールが発する光を、基板を介して伝導させ、基板内側に向けて面発光させることができ、豊富に視覚的に受け取ることができる光装飾又は照明効果を達成する光ガイドサンルーフアセンブリを提供することである。
【0008】
本発明の別の目的は、少なくとも2層のプラスチックからなるプラスチック基板を、先ずホットプレスプロセスにより曲面を有するプラスチックパネルに形成した後、埋め込み射出プロセスによって結合構造を成形して前記プラスチックパネルに固定し、従来のガラスを鉄部材に接着した自動車サンルーフメカニズムアセンブリの設計の代替とすることができる光ガイドサンルーフアセンブリを提供することである。本発明の曲面を有する光透過性プラスチック板構造は、軽量化ポリマーサンルーフ材料及び軽量化プラスチック射出部材機構アセンブリを含み、従来のガラスサンルーフ、フロントリアガラス、サイドウィンドウガラス機構アセンブリの重量を軽減することができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明は、
外面、内面、及び外面と内面との間に垂直に接続された複数の側面を有する基板と、
前記基板の少なくとも1つの前記側面に配置される少なくとも1つの光源モジュールと、
前記基板の前記内面の外周縁領域に位置する易接着層と、
前記基板の前記内面の前記外周縁領域且つ前記易接着層を有する位置に固定される結合構造と、
を含み、
前記基板は、少なくとも2層のプラスチック材質を含む多層構造であり、透明なエンジニアリングプラスチック層と、前記エンジニアリングプラスチック層の上方にある着色された上部アクリル層と、を含み、着色された前記上部アクリル層の光透過率は前記エンジニアリングプラスチック層の光透過率よりも低く、且つ透明な前記エンジニアリングプラスチック層の上方に有色背景が形成され、
前記少なくとも1つの光源モジュールは、前記エンジニアリングプラスチック層に向かって光を発することができ、前記光を前記エンジニアリングプラスチック層に沿って伝導移動可能にさせ、
前記結合構造は、外部部材との結合に使用され、前記基板を前記少なくとも1つの光源モジュールと共に前記結合構造を介して前記外部部材に結合可能にさせる、光ガイドサンルーフアセンブリを提供する。
【0010】
一実施形態では、光ガイドサンルーフアセンブリは、前記基板の前記外面、内層中間及び内面の三者の少なくとも1つに配置された複数の光ガイド微細構造を更に含み、前記複数の光ガイド微細構造は、前記エンジニアリングプラスチック層の水平方向に沿って進行する前記光を、前記複数の光ガイド微細構造から前記基板の前記内面の下方に向かって射出するように導くことができ、前記複数の光ガイド微細構造は、所定のパターンに配列されることで、前記少なくとも1つの光源モジュールが前記光を放出する時、前記複数の光ガイド微細構造の位置にある前記光は、前記基板の前記内面の下方から射出され、従って、前記基板の前記内面に前記複数の光ガイド微細構造が配列されて構成される発光の前記所定のパターンを表示することができる。
【0011】
一実施形態では、前記基板の少なくとも上部硬質層の上に、多層膜構造を有するコーティング層が更に設けられ、前記コーティング層は、接着層、抗紫外線層、及び耐摩耗層を含み、前記接着層の材質は、二酸化ケイ素(SIO2)を含み、前記紫外線層の材質は、五酸化三チタン(TI3O5)を含み、前記耐摩耗層の材質は、二酸化ケイ素(SiO2)を含む。
【0012】
一実施形態では、光ガイドサンルーフアセンブリは、少なくとも1つのシールリング層を更に含み、前記シールリング層は、前記易接着層の前記結合構造の側に向く表面上に配置され、且つ前記シールリング層は、前記易接着層と前記結合構造の両者の接触面の間に挟まれる。
【0013】
一実施形態では、前記基板は、少なくとも前記内面の前記外周縁領域に曲面を有し、前記外部部材は、車両ルーフに配置されている部材であり、前記結合構造は、硬質プラスチック材質又は金属材質のいずれかで構成され、前記結合構造は、前記硬質プラスチック材質で構成される時、前記結合構造は、前記基板の前記内面の前記外周縁領域且つ前記易接着層を有する位置に埋め込まれ、前記結合構造が金属材質で構成される時、前記結合構造は、前記基板の前記内面の前記外周縁領域且つ前記易接着層を有する位置に接着されて固定され、前記易接着層は、前記基板と前記結合構造との間の結合強度を高めることに用いられ、前記シールリング層は、接着方式で前記易接着層の前記結合構造の側に向く表面に1つ又は複数の前記外周縁領域に沿ったリング状に塗布された前記シールリング層であり、前記基板と前記結合構造との間の密封性を高めることに用いられる。
【0014】
一実施形態では、前記複数の光ガイド微細構造箇所に蛍光体が充填され、前記複数の光ガイド微細構造が配列されて構成される発光の前記所定のパターンの発光輝度が向上される。
【0015】
一実施形態では、前記複数の光ガイド微細構造は、レーザ内部彫刻によって前記基板の前記内層中間に形成される。
【0016】
一実施形態では、前記基板の所定の位置に材料弱化処理が施され、前記基板の弱化処理された前記所定の位置に破壊可能構造を形成する。
【発明の効果】
【0017】
本発明の光ガイドサンルーフアセンブリは、光源モジュールが少なくとも2層のプラスチックで構成される基板の側面に配置され、基板の外側寄りのプラスチック層に色を添加し、有色背景を構成し、基板のプラスチック層の1つに複数の光ガイド微細構造を選択的に配置して、光源モジュールが発する光を基板の内側に向けて射出するように導き、更に、光源モジュールが発する光を、基板を介して伝導させ、基板内側に向けて面発光させることができ、豊富に視覚的に受け取ることができる光装飾又は照明効果を達成する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1A】従来技術の車両用サンルーフの周囲に発光ライトバーを配置した例の断面説明図である。
【
図1B】従来技術の車両用サンルーフの周囲に発光ライトバーを配置した例の平面説明図である。
【
図2A】本発明の光ガイドサンルーフアセンブリの第1実施形態のA-A断面説明図である。
【
図2B】本発明の光ガイドサンルーフアセンブリの第1実施形態の平面説明図である。
【
図3】本発明の光ガイドサンルーフアセンブリの第2実施形態の断面説明図である。
【
図4】本発明の光ガイドサンルーフアセンブリの第3実施形態の断面説明図である。
【
図5A】本発明の光ガイドサンルーフアセンブリの第4実施形態の断面説明図である。
【
図5B】本発明の光ガイドサンルーフアセンブリの第4実施形態の平面説明図である。
【
図6】本発明の光ガイドサンルーフアセンブリの第5実施形態の断面説明図である。
【
図7】本発明の光ガイドサンルーフアセンブリの第6実施形態の断面説明図である。
【
図8】本発明の光ガイドサンルーフアセンブリにおける複数の光ガイド微細構造の配列によって構成される発光の所定パターンの実施形態の説明図である。
【
図9】本発明の光ガイドサンルーフアセンブリにおける複数の光ガイド微細構造の配列によって構成される発光の所定パターンの別の実施形態の説明図である。
【
図10】本発明の光ガイドサンルーフアセンブリの第7実施形態の断面説明図である。
【
図11】本発明の光ガイドサンルーフアセンブリの第8実施形態の断面説明図である。
【
図12A】
図11に示されるような本発明の基板上に提供されるコーティング層の第1実施形態の説明図である。
【
図12B】本発明の基板上に配置されたコーティング層の第2実施形態の説明図である。
【
図12C】本発明の基板上に配置されたコーティング層の第3実施形態の説明図である。
【
図13A】本発明の基板上に配置された破壊可能構造の実施形態の説明図である。
【
図13B】本発明の基板上に配置された破壊可能構造の実施形態の説明図である。
【
図13C】本発明の基板上に配置された破壊可能構造の実施形態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の光ガイドサンルーフアセンブリは、光源モジュールが少なくとも2層のプラスチックで構成される基板の側面に配置され、基板の外側寄りのプラスチック層に色を添加し、有色背景を構成し、基板のプラスチック層の1つに複数の光ガイド微細構造を選択的に配置して、光源モジュールが発する光を基板の内側に向けて射出するように導く。これにより、光源モジュールが発する光を、基板を介して伝導させ、基板内側に向けて面発光させることができ、豊富に視覚的に受け取ることができる光装飾又は照明効果を達成することができる。
また、プラスチック基板を、先ずホットプレスプロセスにより曲面を有するプラスチックパネルに形成した後、埋め込み射出プロセスによって結合構造を成形して前記プラスチックパネルに固定し、従来のガラスを鉄部材に接着した自動車サンルーフメカニズムアセンブリの設計の代替とすることができる。
本発明の光ガイドサンルーフアセンブリは、軽量化ポリマーサンルーフ材料、光源モジュール及び軽量化プラスチック射出部材機構アセンブリを含み、従来のガラスサンルーフ、フロントリアガラス、サイドウィンドウガラス機構アセンブリの重量を軽減することができ、特に軽量化規格のハイブリッド電気自動車及びフル電気自動車への応用に適し、且つ光装飾又は光照明効果を兼ね備える。
【0020】
本発明によって提案される光ガイドサンルーフアセンブリをより明確に説明するために、図面と併せて以下に詳細に説明する。
【0021】
図2A及び
図2Bを参照して説明すると、それらは、それぞれ本発明の光ガイドサンルーフアセンブリの第1実施形態のA-A断面説明図及び平面説明図である。本発明の実施形態において、光ガイドサンルーフアセンブリは、基板10、少なくとも1つの光源モジュール30、易接着層81及び結合構造82を含む。
【0022】
前記基板10は、外面(上面)、内面(下面)及び前記外面、内面との間に垂直に接続された複数の側面を有する。第1の実施形態では、前記基板10は、少なくとも2つの層の硬質プラスチック材質が共押出(coextrusion)によって構成される多層構造を含み、それは、ポリカーボネート(PC)を含む透明なエンジニアリングプラスチック層11、及び前記エンジニアリングプラスチック層11の上方に配置された着色された上部アクリル層12(polymethyl methacrylate、略称PMMA)を含む。
前記基板10の前記外面(即ち、上部アクリル層12の上面)上に上部硬質層14(Hard Coating、略称HC)が形成され、且つ前記基板10の内面(即ち、エンジニアリングプラスチック層11の下面)に下部硬質層15が形成される。前記上部アクリル層12に着色剤を添加して、前記上部アクリル層12に色を付け、且つその光透過率は5%~70%の間である。
ここで、着色剤は、黒、赤、青、緑又は他の比較的暗い色の少なくとも1つの色を含む。前記エンジニアリングプラスチック層11は、透明無色又は透明白色のいずれかであり、90%を超える光透過率を有する。これにより、着色された上部アクリル層12の光透過率は、前記エンジニアリングプラスチック層11の光透過率よりも小さいだけでなく、更に透明な前記エンジニアリングプラスチック層11の上方に有色背景を形成することができる。より好ましい実施形態では、有色背景としての前記上部アクリル層12の光透過率は5%~20%の間であり、それによって、良好な車両用サンルーフの遮光機能を達成する。
【0023】
前記少なくとも1つの光源モジュール30は、前記基板10の少なくとも1つの前記側面に配置される。前記少なくとも1つの光源モジュール30は、前記エンジニアリングプラスチック層11に向かって光を放射することができ、前記光をエンジニアリングプラスチック層11に沿って横方向に伝導進行させることができる。本実施形態では、前記少なくとも1つの光源モジュール30は、前記エンジニアリングプラスチック層11の相対する両側の内凹空間110にそれぞれ配置された少なくとも2つのライトバー(LED Light Bar)を含み、ライトバーを埋め込み設計を採用して車両用サンルーフ基板10の機構設計に隠すことができる。
各ライトバーは、複数の発光ダイオード31(LED)と、発光ダイオード31を載置することに用いられる回路部材(図示せず)とをそれぞれ含む、複数の点光源又は線光源を提供することができる。回路部材は、前記発光ダイオード31に電気的に接続され、車両の電源及び制御信号をライトバーに送信してそれを発光させることに用いられる車両のドライブコンピュータ又は電源供給器に接続するためのコネクタ(図示せず)を有する。前記発光ダイオード31は前記エンジニアリングプラスチック層11の内部に向かって光を発し、着色された前記上部アクリル層12はエンジニアリングプラスチック層11の上面に暗色の背景を形成するので、光源モジュール30から放出された光は、前記エンジニアリングプラスチック層11に入った後、エンジニアリングプラスチック層11に沿って横方向に進み、最終的にエンジニアリングプラスチック層11の下面(即ち、基板10の内面から下向きに光を出す)から出る。
これにより、本発明の光ガイドサンルーフアセンブリは、光源モジュール30から発せられた光を、上部アクリル層12とエンジニアリングプラスチック層11とからなる基板10を介して、基板10の内面に向けて車両内部に導いて光を放出させることができ、光装飾や光照明の視覚効果を達成する。
【0024】
本発明では、前記上部及び下部硬質層14、15の材質組成は、粒子状に分散したナノ無機材料及び/又は有機-無機ハイブリッド紫外線オリゴマー又はシリコーンベース(Silicone base)のオリゴマーを含むことができ、軽量化されたポリマープラスチック基板10の外面と内面に高硬度、優れたテーバーテスト(Taber Test)特性をもたせ、且つ高透明性及び低ヘイズを維持させ、硬くて耐摩耗性の高い硬質保護層を基板10の外面及び内面に提供することができる。
本実施形態にでは、硬質層14、15は、高いガラス転移温度Tg(120℃)の紫外線弾性オリゴマー又は高いTgのモノマー(240℃)を有し、ポリマープラスチック材料の貼合面に高い耐衝撃性、高い可撓性、及び高温状態下の安定性をもたせ、高温又は高湿度の環境テスト時の信頼性を向上させることができる。前記基板10の厚さ及び形状は、応用分野によって異なるが、本発明の車両用サンルーフを例にとると、その基板10の厚さは、通常、3mm~12mmの間である。前記エンジニアリングプラスチック層11の厚さは、基板の総厚の約60%~99.99%を占め、アクリル層12の厚さは、基板の総厚の約0.01%~40%を占める。
【0025】
本発明の硬質層14、15の配合物の組成は、有機無機ハイブリッド紫外線オリゴマーを含み、高い架橋密度を有する従来の硬質層の配合物に対して比較的低い架橋密度を有し、収縮率が比較的低く、可撓性に優れた耐摩耗性ハードコーティング層を形成することができる。本発明の硬質層14、15中の無機材料は、表面の物理的特性に寄与することができ、コーティングに高硬度及び高耐摩耗性をもたせる。更に、本発明の硬質層14、15の配合物は、高いTgの紫外線エラストマーオリゴマー及び高いTgのモノマーを含有し、従来の高い架橋密度の硬質層の配合物と比較して、より優れた高温安定性を有するので、高温プロセス時により優れた熱成形性を有し、UV硬化後の複合サンルーフ材料を自由な曲率に曲げることができる。
【0026】
前記易接着層81は、前記基板10の前記内面の外周縁領域に配置される。結合構造82は、前記基板10の前記内面の前記外周縁領域であって、前記易接着層81が設けられた位置に固定される。前記結合構造82は、車両ルーフに配置された外部部材との結合に使用され、前記基板10及び前記少なくとも1つの光源モジュール30に前記結合構造82を介して前記外部部材に結合させ、更に車両ルーフに位置決めさせる。
【0027】
本実施形態では、前記易接着層81は、前記基板10の前記内面の外周縁領域に配置され、前記基板10と前記結合構造82との間の結合強度及び密着度を向上させることに使用することができる。本発明において、前記易接着層81の材料は、アミン(Amines)及び複素環式アミン化合物(heterocyclic amine)、シラン(Silane)化合物、ポリウレタン(Polyurethane,略称PU)の何れか1つを含み、これは、前記基板10の前記内面の前記外周縁領域に精密ウェットコーティング法でコーティングされ、異種材料間の良好な接着特性を提供でき、さまざまな環境劣化試験の通過に有利である。また、前記易接着層81は、顔料(例えば、黒色顔料)を混合することができ、前記易接着層81に基板10の内面にインク印刷層を形成する機能を兼ね備えることができる。
【0028】
前記結合構造82は、前記基板10の内面の前記外周縁領域であって、前記易接着層81が設けられた位置に固定される。前記結合構造82は、外部部材(例えば、車両ルーフの車体又はサンルーフ駆動機構、図示せず)との結合に用いられ、結合構造82を介して前記基板10を外部部材に結合させる。前記結合構造82は、硬質プラスチック材料又は金属材質のうちの1つで構成される。
図2に示される本発明の第1実施形態では、前記結合構造82は、鋳造、鍛造又はスタンピングによって、鉄、ステンレス鋼又はアルミニウム合金などの金属材料で作られる。前記結合構造82は、前記易接着層81を接着剤とし、前記基板10の前記内面の前記外周縁領域で、且つ前記易接着層81が設けられた位置に接着固定されている。
【0029】
以下に説明する本発明の光ガイドサンルーフアセンブリの他の実施形態において、大部分の部材と機能は、何れも上記第1実施形態の部材と同じ又は類似する。従って、同じ又は類似の部材には同じ部材名称及び番号を直接与え、その細節を再度説明しない。
【0030】
図3を参照して説明すると、それらは、本発明の光ガイドサンルーフアセンブリの第2実施形態の断面説明図である。本発明の第2実施形態では、光ガイドサンルーフアセンブリは、同様に、基板10、少なくとも1つの光源モジュール30、易接着層81及び結合構造82を含む。本発明の第2実施形態の光ガイドサンルーフアセンブリと前述の第1実施形態との差異は、
図3に示される本発明の光ガイドサンルーフアセンブリの第2実施形態では、前記基板10が少なくとも3つの層の異なるプラスチック材質が共押し出し(coextrusion)によって構成された多層構造を含み、それは、中間に配置されたエンジニアリングプラスチック層11、エンジニアリングプラスチック層11の上方に配置された上部アクリル層12、エンジニアリングプラスチック層11の下のアクリル層13を含むことである。
ここで、前記上部アクリル層12の上方に前記上部硬質層14が形成され、前記下部アクリル層13の下方にも前記下部硬質層15が形成される。前記エンジニアリングプラスチック層11と下部アクリル層13は、透明無色、又は透明白色のいずれかであり、90%を超える透過率を持ち、前記上部アクリル層12には、黒、赤、青、緑、又は他の比較的暗い色の着色剤が添加され、前記上部アクリル層12に色を持たせ、且つその光透過率は5%~70%の間であり、それにより、透明な前記エンジニアリングプラスチック層11の上方に暗色背景を形成する。
【0031】
第2実施形態の光ガイドサンルーフアセンブリの他の部材については、これに限定するものではないが、光源モジュール30、易接着層81及び結合構造82等であり、その構造及び機能は、大部分が第1実施形態と同じ又は類似するので、再度説明しない。
【0032】
図4を参照して説明すると、それらは、本発明の光ガイドサンルーフアセンブリの第3実施形態の断面説明図である。本発明の第3実施形態では、光ガイドサンルーフアセンブリは、同様に、基板10、少なくとも1つの光源モジュール30、易接着層81及び結合構造82を含む。前記基板10は、異なるプラスチックの2層からなる多層構造であり、下方に位置するエンジニアリングプラスチック層11と、前記エンジニアリングプラスチック層11の上方に位置する上部アクリル層12とを含む。
前記エンジニアリングプラスチック層11は、透明無色又は透明白色のいずれか1つであり、90%を超える光透過率を備え、前記上部アクリル層12には、黒、赤、青、緑、又は他の比較的暗い色の着色剤が添加され、前記上部アクリル層12に色をもたせ、その透過率が5%~20%の間であり、透明なエンジニアリングプラスチック層11の上方に暗色背景が形成される。上部アクリル層12の上方に前記上部硬質層14が形成され、前記基板10の下方にも下部硬質層15が形成される。
本発明の第3実施形態の光ガイドサンルーフアセンブリと前述の第1実施形態との差異は、
図4に示される本発明の光ガイドサンルーフアセンブリの第3実施形態において、光ガイドサンルーフアセンブリが前記基板10の外面又は内面の少なくとも一方に配置される複数の光ガイド微細構造141を更に含むことである。
図4に示す第3実施形態では、前記複数の光ガイド微細構造141は、上部アクリル層12の上面、又は上部硬質層14の下面、又は上部アクリル層12と上部硬質層14との両者の間に配置される。前記複数の光ガイド微細構造141は、前記エンジニアリングプラスチック層11の水平方向に沿って進行する光を、前記複数の光ガイド微細構造141から前記基板10の前記内面の下方に向けて射出するように導くことができる。
前記複数の光ガイド微細構造141は所定のパターンに配列され、それにより、前記少なくとも1つの光源モジュール30が光を発する時、前記複数の光ガイド微細構造141がある位置の光のみが前記基板10の前記内面の下方から射出し、従って、前記基板10の前記内面に前記複数の光ガイド微細構造体141の配列によって構成された発光の所定パターンを表示して、光装飾の視覚効果を達成することができる。
【0033】
図5A及び
図5Bを参照して説明すると、それらは、それぞれ本発明の光ガイドサンルーフアセンブリの第4実施形態の断面説明図及び平面説明図である。
本発明の第4実施形態では、光ガイドサンルーフアセンブリは、同様に、基板10、少なくとも1つの光源モジュール30、易接着層81及び結合構造82を含む。前記基板10は、異なるプラスチックの少なくとも3つの層から構成される多層構造であり、エンジニアリングプラスチック層11、前記エンジニアリングプラスチック層11の上方に配置された上部アクリル層12、及びエンジニアリングプラスチック層11の下方に配置された下部アクリル層13を含む。
前記エンジニアリングプラスチック層11と下部アクリル層13は、透明無色、又は透明白色のいずれかであり、90%を超える透過率を持ち、前記上部アクリル層12には、黒、赤、青、緑、又は他の比較的暗い色の着色剤が添加され、前記上部アクリル層12に色を持たせ、且つその光透過率は5%~20%の間であり、それにより、透明な前記エンジニアリングプラスチック層11の上方に暗色背景を形成する。前記上部アクリル層12の上方に上部硬質層14が形成され、前記下部アクリル層13の下方にも下部硬質層15が形成される。
本発明の第4実施形態の光ガイドサンルーフアセンブリと前述の第1実施形態との差異は、
図5A及び
図5Bに示される本発明の光ガイドサンルーフアセンブリの第4実施形態において、光ガイドサンルーフアセンブリが上部アクリル層12の上面、又は上部硬質層14の下面、又は上部アクリル層12と上部硬質層14との間に配置された複数の光ガイド微細構造141を更に含むことである。前記複数の光ガイド微細構造141は、前記エンジニアリングプラスチック層11の水平方向に沿って進行する光を、前記複数の光ガイド微細構造141から前記基板10の前記内面の下方に向けて射出するように導くことができる。
前記複数の光ガイド微細構造141は所定パターンに配列され、それにより、前記少なくとも1つの光源モジュール30が光を放出する時、前記複数の光ガイド微細構造141の位置の光のみが前記基板10の内面の下方から射出され、従って、前記複数の光ガイド微細構造141の配列によって構成される発光の所定パターンを、前記基板10の前記内面の発光領域100に表示し、光装飾の視覚効果を達成することができる。
【0034】
図6を参照して説明すると、それらは、本発明の光ガイドサンルーフアセンブリの第5実施形態の断面説明図である。本発明の第5実施形態では、光ガイドサンルーフアセンブリは、更に、基板10、少なくとも1つの光源モジュール30、易接着層81及び結合構造82を含む。前記基板10は、少なくとも2つの層の異なるプラスチックからなる多層構造を含み、下方に位置するエンジニアリングプラスチック層11と、前記エンジニアリングプラスチック層11の上方に位置する上部アクリル層12とを含む。前記エンジニアリングプラスチック層11は、透明無色又は透明白色の何れか1つであり、90%を超える光透過率を備え、前記上部アクリル層12には、黒、赤、青、緑、又は他の比較的暗い色の着色剤が添加され、前記上部アクリル層12に色をもたせ、且つその透過率が5%~20%の間であり、そのため、透明な前記エンジニアリングプラスチック層11の上方に暗色背景を形成する。
前記上部アクリル層12の上方に上部硬質層14が形成され、前記基板10の下方にも下部硬質層15が形成される。本発明の第5実施形態の光ガイドサンルーフアセンブリと前述の第1実施形態との差異は、
図6に示す本発明の光ガイドサンルーフアセンブリの第5実施形態において、光ガイドサンルーフアセンブリが、エンジニアリングプラスチック層11の下面、下部硬質層15の上面、又はエンジニアリングプラスチック層11と下部硬質層15との間に配置される複数の光ガイド微細構造151を更に含むことである。前記複数の光ガイド微細構造151は、前記エンジニアリングプラスチック層11の水平方向に沿って進行する光を、前記複数の光ガイド微細構造151から前記基板10の内面の下方に向けて射出するように導き、光装飾の視覚効果を達成することができる。
【0035】
図7を参照して説明すると、それは、本発明の光ガイドサンルーフアセンブリの第6実施形態の断面説明図である。本発明の第6実施形態では、光ガイドサンルーフアセンブリは、同様に、基板10、少なくとも1つの光源モジュール30、易接着層81及び結合構造82を含む。前記基板10は、少なくとも3つの層の異なるプラスチックから構成される多層構造であり、エンジニアリングプラスチック層11、エンジニアリングプラスチック層11の上方に配置された上部アクリル層12、及びエンジニアリングプラスチック層11の下方に配置された下部アクリル層13を含む。
前記エンジニアリングプラスチック層11と前記下部アクリル層13は、透明無色、又は透明白色で、90%を超える透過率を持ち、前記上部アクリル層12は、色を有し、その光透過率は、5%~20%の間であり、それにより、透明な前記エンジニアリングプラスチック層に暗色背景を形成する。前記上部アクリル層12の上方に上部硬質層14が形成され、下部アクリル層13の下方に下部硬質層15が形成される。
図7に示す第6実施形態では、光ガイドサンルーフアセンブリは、下部アクリル層13の下面、又は下部硬質層15の上面、又は下部アクリル層13と下部硬質層15の両者の間に配置された複数の光ガイド微細構造151を更に含む。前記複数の光ガイド微細構造151は、前記エンジニアリングプラスチック層11の水平方向に沿って進行する光を、前記複数の光ガイド微細構造151から前記基板10の内面の下方に向けて射出するように導き、光装飾の視覚効果を達成することができる。
【0036】
一実施形態では、前記複数の光ガイド微細構造141、151の凹部に蛍光体で充填して、前記複数の光ガイド微細構造141、151の配列によって構成される発光の所定パターンの発光輝度を高めることができる。
【0037】
本発明において、複数の光ガイド微細構造141、151は、レーザ又はコンピュータ数値制御(Computer Numerical Control;略称CNC)工作機械等の物理加工によって、光ガイド微細構造を基板の表面に作製し、その作製位置は、エンジニアリングプラスチック層又は上下のアクリル層のポリマー材料の表面であることができ、或いは、硬質層(HC)表面に製作されることもできる。光ガイド微細構造がポリマー材料(例えば、エンジニアリングプラスチック層又は上部と下部のアクリル層のうちの1つ)表面に製作される時、同時に後続の硬質層の厚みが光ガイド微細構造の深さよりも高くてはならないことに考慮する必要がある。光ガイド微細構造自身の具体的形状又は構造については、従来技術から選択することができ、且つ本発明の特徴ではないので、説明しない。
【0038】
図8を参照して説明すると、それらは、本発明の光ガイドサンルーフアセンブリにおける複数の光ガイド微細構造の配列によって構成される発光の所定パターンの実施形態の説明図である。本実施形態では、複数の光ガイド微細構造の配列によって構成される所定パターンは、星明かり及び銀河のある夜空のようなパターンを示し、言い換えれば、光源モジュール30が光を発する時、各前記光ガイド微細構造の光ガイド効果は、前記基板の前記内面の下方に星々の光のような光点101を構成し、故に複数の光ガイド微細構造によって提供される星の光点101は、夜空の星及び銀河のような光装飾の視覚感を提供することができる。
【0039】
図9を参照して説明すると、それらは、本発明の光ガイドサンルーフアセンブリにおける複数の光ガイド微細構造の配列によって構成される発光の所定パターンの別の実施形態の説明図である。本実施形態において、複数の光ガイド微細構造の配列によって構成される所定パターンは、特定のパターン又はテキストを表示する。光源モジュール30が光を発する時、各前記光ガイド微細構造の光ガイド効果は、前記基板の前記内面の下方に複数の光スポット101が配列された特定のパターン又はテキストを構成し、且つこのパターン又はテキストは、顧客又は自動車メーカーによって設計され、立派でユニークな光装飾の視覚感を提供することができる。
【0040】
別の実施形態では、前記複数の光ガイド微細構造の配列によって構成される前記所定パターンは、密集して規則的に配列されたアレイパターンであることができ、光源モジュール30によって放出される光を均一かつ大量に前記基板の前記内面の下方に向けて射出させ、ルーフランプのような光照明効果を提供する。
【0041】
別の実施形態では、
図8及び9に示されるように、前記複数の光ガイド微細構造の配列によって構成される発光の前記所定パターンのうちの前記複数の光ガイド微細構造は、2次元(2D)又は3次元(3D)レーザ内部彫刻(Laser Engraving)によって、平面又は立体の前記所定パターンを基板10の内層中間に「彫刻」するものであり、基板10の上面又は下面に形成するものではない。同様に、前記エンジニアリングプラスチック層の水平方向に沿って進む光は、レーザ内部彫刻によって形成された前記複数の光ガイド微細構造箇所から前記基板10の下方に向けて射出し、前記基板10の下面に多数の光点101が配列された特定のパターン又はテキスト、又は星々のような光を発することができる。
【0042】
図10を参照して説明すると、それらは、本発明の光ガイドサンルーフアセンブリの第7実施形態の断面説明図である。本発明の第7実施形態では、前記基板は、曲面を有する光透過性を有するプラスチック板の光ガイドサンルーフアセンブリであり、その構造は前述の第1実施形態と類似し、同様に、基板10、少なくとも1つの光源モジュール30、易接着層81及び結合構造82を含む。更に、前記基板10は、同様に、エンジニアリングプラスチック層11、上部、下部アクリル層12、13、及び上部、下部硬質層14、15を含む。本実施形態の基板10は、曲面形状を有する硬質プラスチック材質であり、結合構造82も硬質金属材質である。両者の結合面の曲率が一致しない場合(曲率公差)、両者の密封性が良好でなくなり、水漏れの問題を招く。
従って、
図10に示される本発明の第7実施形態では、易接着層81上に、接着剤塗布方式によって1つ又は複数の局部的に耐高温のシールリング層83(Sealing Ring Layer)を製作し、2つの硬質材質の間のギャップを有効に充満させることができ、曲率公差(曲率の不一致)によって複合材料のサンルーフアセンブリが水漏れのリスクを有することを回避する。
本実施形態において、前記シールリング層83は、前記易接着層81の前記結合構造82の側に向く表面に配置され、且つ前記シールリング層83は、前記易接着層81と前記結合構造との両者の接触面の間に挟まれる。前記シールリング層83は、結合構造82が易接着層81に貼合される前に、先ず接着剤塗布方式で前記易接着層81の前記結合構造82の側に向く表面に1つ又は複数の前記外周縁領域に沿ってリング状に囲う前記シールリング層83が設けられ、その後、結合構造82を易接着層81に貼合し、且つ前記シールリング層83に押し付ける。前記シールリング層83の材質は、シリコーン(silicone)、ポリウレタン(Polyurethane、略称PU)の何れか1つを含み、硬質材料間の曲率許容差によるギャップを埋めることができ、前記基板10と前記結合構造82との間の密封性を高め、水漏れ試験の通過に有利にすることに用いられる。
【0043】
尚、
図10に示す本発明の光ガイドサンルーフアセンブリの第7実施形態では、エンジニアリングプラスチック層11又は上部、下部アクリル層12、13のうちの1つにも、同様に光を基板の下面に向けて射出するように導くための複数の光ガイド微細構造が設けられるが、図面を簡潔するために、複数の光ガイド微細構造を
図10には記載しない。
【0044】
前述の結合構造は、金属材質で作ることができることに加えて、本発明は更に、埋め込み射出プロセスによって結合構造を直接成形し、前記プラスチックプレート上に固定する技術を提供し、従来のガラスを鉄部材に接着する車両サンルーフアセンブリの設計と置き換えることができる。
【0045】
図11を参照して説明すると、それは、本発明の光ガイドサンルーフアセンブリの第8実施形態の断面説明図である。本発明の第8実施形態では、光ガイドサンルーフアセンブリは、前述の第7実施形態と類似し、同様に、基板10、易接着層81、結合構造82a、及び少なくとも1つのシールリング層83を含む。更に、前記基板10は、同様に、エンジニアリングプラスチック層11、上部、下部アクリル層12、13、及び上部、下部硬質層14、15を含む。本発明の第8実施形態と前述の実施形態との相違は、前記結合構造82aが硬質プラスチック材料で作られ、且つ前記基板10の前記内面の前記外周縁領域且つ前記易接着層81を有する位置に埋め込み射出によって成形され、その厚さが1mm~50mmの間であることにある。
また、前記結合構造82aの硬質プラスチック材料は、ポリメチルメタクリレート(polymethyl methacrylate、略称PMMA)、ポリカーボネート(Polycarbonate、略称PC)、アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレンコポリマー(Acrylonitrile Butadiene Styrene、略称ABS)、ポリピロメリット酸イミド(Polypyromellitimide、略称PMMI)、ポリエチレンテレフタレート(Polyethylene terephthalate、略称PET)、ポリエチレンナフタレート(Polyethylene 2,6-naphthalene dicarboxylate、略称PEN)、ポリエーテルスルホン(Polyethersulfone、略称PES)、ポリイミド(Polyimide、略称PI)のいずれか1つを含む。
また、
図11に示す第8実施形態では、前記基板10の少なくとも前記上部硬質層14の上に、多層膜構造のコーティング層20が更に設けられ、前記コーティング層20は、基板10の表面に耐紫外線性及び耐摩耗の能力を付与することができ、基板10自体の表面硬度や耐摩耗性の不良、長期の熱や紫外線による黄変や劣化が起こりやすいなどの欠点を改善することができる。前記コーティング層20の具体的細節は、後続の実施形態で詳述する。
【0046】
なお、
図11に示す本発明の光ガイドサンルーフアセンブリの第8実施形態では、エンジニアリングプラスチック層11又は上部、下部アクリル層12、13のうちの1つも同様に光を基板の下面に向けて射出するように導くために使用される複数の光ガイド微細構造が設けられるが、
図11には示していない。
【0047】
本発明の曲面を有する光ガイドサンルーフアセンブリ構造は、軽量化されたポリマーサンルーフ材料の解決策を提供し、それは、軽量化されたポリマーサンルーフアセンブリ材料及び軽量化されたプラスチック埋め込み射出機構アセンブリを含み、従来の車両用ガラスを鉄部材又はステンレスに結合して車両用サンルーフ機構アセンブリとするものに取って代わることができ、特に、軽量化仕様が要求されるハイブリッド電気自動車及びフル電気自動車へ応用できる。
本発明の軽量ポリマーサンルーフ材料は、軽量化ポリマーサンルーフ材料と軽量化プラスチック射出部材との間に易接着層(Primer layer)及びシーリング層(Sealing layer)を含み、特に、射出埋め込みによって2種以上の異質な硬質プラスチックを結合するプロセスへの応用に適し、従って、以下の利点を有する。
【0048】
1.従来のガラスサンルーフ、フロントリアガラス、サイドウィンドウガラス機構アセンブリの重量を軽減することができ、同時に軽量化(燃料消費量または電力消費量を低減)、安全で破裂しない利点を兼ね備える。本発明は、PMMA/PC/PMMA又はPMMA/PC複合材料からなる基板を使用し、湿式コーティング及びスパッタリング(Sputter)コーティングプロセスと組み合わせて複合材料サンルーフを製作し、その表面硬度は4H以上(4H~9H)まで高めることができ、耐摩耗性はTaber TestでLレベルの摩耗レベルを通過することができ、UV黄変耐性テスト(5000時間)はΔE<1の仕様を維持することができる。本発明の結合構造部材の製造方法は、複合材料サンルーフを直接射出機に入れ、ポリマー埋め込み射出によって製作する。ガラスをポリマーPC材料の基板と置き換えた重量を節減できるだけではなく、更に、鉄又はステンレス鋼の部材がポリマー結合構造で置き換えられる重量も節減することができ、全体の重量を元のガラス及び金属部材の重量の1/2~1/3に軽減する効果を達成することができる。
【0049】
2.ポリマー材料の配合、塗料の配合の設計及び精密コーティング技術により、ポリマーの表面耐摩耗特性をガラスと同じレベルに向上させることができ(耐摩耗性テストTaber TestはLレベルに到達できる)、各項の耐候性テストを通過して光学及び物理特性を維持することができる。従来の埋め込み射出するポリマー材料(結合構造)と射出結合面(基板の硬質層Hard Coating)の両者は材質の差異によって、有効に接着することができないか、環境試験後に脱落、剥離するリスクがあった。
本発明は、耐高温のAmin、Silane又はPU系材質の易接着層を基板の硬質層と結合構造射出部材との間の結合材質とすることで、射出貼合面の高質層に高い表面ダイン値(>44dyne)をもたせることができ、結合構造射出部材の結合に有利であり、過酷な高温、高温高湿、高低温冷の熱衝撃環境試験を通過することができ、複合材料サンルーフとポリマー射出部材の間に環境試験後の脱落、剥離の問題が出現することを回避することができる。
【0050】
3.板材は、先ずホットプレスを行ってから、埋め込み射出を行うプロセス設計によって、従来のガラスを鉄部材に接着する機構設計と置き換えることができる。従来の埋め込み射出するポリマー材料は、射出プロセスにおいて、射出スクリュー内で250度以上の高温に達し、複合材料サンルーフの貼合面の高質層上に射出される必要があるため、複合材料サンルーフは、瞬間の射出プロセスの高温に耐える必要がある。また、複合材料サンルーフ基板は曲面形状の硬質プラスチック材質であるため、ポリマー射出部材の結合構造も硬質プラスチック材質であり、両者の射出結合曲率が一致しない場合(曲率公差)、両者の密封性が悪くなり、水漏れの問題を招く。
本発明は、易接着層上に接着剤塗布によって1つ又は複数の局部的な耐高温シールリング層(Sealing Ring Layer)を製作し、射出プロセスと組み合わせて、2つの硬質プラスチック間のギャップを効果的に埋め、曲率公差(曲率の不一致)により複合材料サンルーフアセンブリが水漏れするリスクを回避することができる。
【0051】
図12Aを参照して説明すると、それは、
図11に示すような本発明の基板上に配置したコーティング層の第1実施形態の説明図である。
図12Aに示す基板10は、
図11に示す実施形態と同じであり、同様に、エンジニアリングプラスチック層11、上部、下部アクリル層12、13、上部、下部硬質層14、15、及び上部硬質層14の上方に位置するコーティング層20を含む。本発明において、前記コーティング層20は、多機能光学無機材料を含み、抗紫外線、抗赤外線及び表面耐摩耗機能を提供することができ、耐摩耗試験を通過してLレベルに到達することができる。
そのうち、多機能無機材料は、SiO
2、Ti
3O
5、Nb
2O
5等の低屈折率、高屈折率の材料を含むことができる。
図12Aに示すように、前記コーティング層20の第1実施形態は、下から上に、接着層21、抗紫外線(UV-Cut)層22、及び耐摩耗層23を含む。本実施形態では、プラズマ増強化学蒸着法(Plasma-Enhanced CVD、略記PECVD)又は真空スパッタリング(Sputter)コーティングプロセスによって前記多層膜構造のコーティング層20を前記基板10の外面(即ち、上部硬質層14の外面)に順に形成することができる。前記接着層21の材質は、二酸化ケイ素(SiO
2)を含むことができ、前記抗紫外線層22の材質は、UV吸収剤を含む五酸化三チタン(Ti
3O
5)であることができ、且つ前記耐摩耗層23の材質は、二酸化ケイ素(SiO
2)を含むことができる。
【0052】
図12Bを参照して説明すると、それらは、本発明の基板上に配置されたコーティング層の第2実施形態の説明図である。
図12Bにおいて、前記コーティング層20aの第2実施形態は、下から上へ順に、第1接着層21、抗紫外線層22、第2接着層21a、抗赤外線(IR Cut)層24、及び耐摩耗層25を含む。第1及び第2接着層21、21aの材質は、二酸化ケイ素(SiO
2)を含むことができ、前記抗紫外線層22及び前記抗赤外線層24の材質は、それぞれUV吸収剤及びIR吸収剤を含む五酸化三チタン(Ti
3O
5)又は五酸化ニオブ(Nb
2O
5)であることができ、且つ前記耐摩耗層25の材質は、二酸化ケイ素(SiO
2)を含むことができる。
抗紫外線及び抗赤外線の機能を基板10の本体外の表面に設けることで、UV遮断とIR遮断の効果を提供することができるだけでなく、基板自体が黄変せず、熱エネルギーを蓄積することもなく、基板自体が光学的に透明な状態を呈することができる。
【0053】
図12Cを参照して説明すると、それは、本発明の基板上に配置されたコーティング層の第3実施形態の説明図である。
図12Cにおいて、前記コーティング層20、20aの構造は、
図12A又は
図12Bに示される実施形態のものと同じであることができるが、前記コーティング層20、20aの耐摩耗層の上方に上面硬質層26を更に増設し、前記コーティング層20、20aの上面の硬度および耐摩耗能力を高めることができ、且つ表面の耐強酸強アルカリ性も更に良好にすることができる。
【0054】
図13A~
図13Cを参照して説明すると、それらは、それぞれ本発明の基板上に設けられる破壊可能構造の3つの実施形態の説明図である。本発明では、基板10の所定の位置(通常はコーナー)で機械的またはレーザによって基板10の材料の弱化処理を行い、基板10の弱化処理を経た所定位置箇所に破壊可能構造を形成させる。緊急事態が発生した場合、使用者は、ツール(例えばハンマー)を操作して、破壊可能構造の位置に合わせて打撃することができ、且つ基板10は、この位置からより破壊され易いため、使用者が破壊された基板10(サンルーフ)を通過して脱出することができる。
図13Aに示すように、機械的またはレーザ加工によって基板10の部分領域41に密集ドット分布411を形成し、密集ドット分布411箇所で材料のクラック(cracks)を引き起こし、該箇所の構造を弱化し、且つ破壊可能にさせ、前記破壊可能構造を構成する。
図13Bに示すように、基板10の内部材料の一部に、エネルギー照射(例えば、高エネルギーレーザ照射)又は異なる材質界面によってリング状の点線構造42を構成し、前記リング状の点線構造42箇所の構造を弱化させ且つ破壊可能にさせ、前記破壊可能構造を構成する。
図13Cに示すように、エネルギー照射により、基板10の材料内部に複数の垂直な点線構造431と水平な点線構造432を構成し、前記点線構造431、432箇所の構造を弱化させ且つ破壊し易くさせ、前記破壊可能構造を構成する。一実施形態では、前記の破壊可能構造は、基板10の内部を水平方向に進行する光を前記破壊可能構造から前記基板10の下方に向けて射出するように導く機能も有し、使用者は、それによって破壊可能構造の位置を認識することができる。
【0055】
本発明の光ガイドサンルーフアセンブリの製造方法の実施形態は、以下のステップを含むことができる。
【0056】
ステップA:多層構造を備えるプラスチック材料を少なくとも含む基板を提供する。本実施形態において、前記基板は、
図11に示すようなコーティング層を有する基板であることができ、且つその基板及びコーティング層の具体的構造は、
図11及び
図12A~
図12Cに示す基板とコーティング層のいずれか一つを選択することができる。
【0057】
ステップB:基板を予熱し、予熱プロセスによって前記基板を第1の所定温度に加熱する。
【0058】
ステップC:基板を金型で冷却成形し、圧縮成形工程と冷却工程を経て、先ず前記基板を第2の所定温度状態まで冷却し、それから金型で前記基板をプレス成形する。
【0059】
ステップD:加工機で前記基板に外形加工を施し、加工工程を経て、圧縮成形後の前記基板の外形に切削加工を行い、所定の外形輪郭を有するプラスチックパネルを作製する。
【0060】
ステップE:塗布工程を経て、前記プラスチックパネルの表面の外周縁領域に易接着層を設ける。
【0061】
ステップF:接着剤付け工程を経て、前記易接着層に少なくとも1つのシールリング層を設置し、前記シールリング層は、前記易接着層の前記結合構造の側に向く表面に局部的に設置され、前記シールリング層は、前記易接着層と前記結合構造の両者の接触面の間に挟まれる。
【0062】
ステップG:埋め込み射出工程を経て、結合構造を射出方式で成形し、前記プラスチックパネルの前記外周縁領域且つ前記易接着層の位置に固定する。
【0063】
ステップH:基板のエンジニアリングプラスチック層の側面に設置された内凹空間に少なくとも1つの光源モジュールを埋め込む。以上の工程A~Hにより、
図11に示すような曲面を有し、且つ光源モジュールと結合構造を有する光ガイドサンルーフアセンブリを完成することができる。
【0064】
上記実施形態は本発明の適用可能範囲を限定するものではなく、本発明の保護範囲は本発明の特許請求の範囲の内容が定義する技術精神及びその均等の変更が含む範囲を主とすべきものである。即ち、本発明の特許出願の範囲に従ってなされる均等の変更及び修飾は、依然として本発明の本質を失うことはなく、本発明の精神および範囲から逸脱することもないため、本発明のさらなる実施状況と見なされるべきである。
【符号の説明】
【0065】
01 パネル
02 ライトバー
10 基板
11 エンジニアリングプラスチック層
12、13 アクリル層
14、15、26 硬質層
100 発光領域
101 光点
110 内凹空間
141、151 光ガイド微細構造
20、20a コーティング層
21 (第1)接着層
21a 第2接着層
22 抗紫外線層
23 耐摩耗層
24 抗赤外線層
25 耐摩耗層
30 光源モジュール
31 発光ダイオード
41 領域
411 密集ドット分布
42,431,432 点線構造
81 易接着層
82、82a 結合構造
83 シールリング層