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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-05
(45)【発行日】2022-01-20
(54)【発明の名称】円筒形対称容積機械
(51)【国際特許分類】
   F04C 18/113 20060101AFI20220113BHJP
   F04C 18/107 20060101ALI20220113BHJP
【FI】
F04C18/113
F04C18/107
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020513608
(86)(22)【出願日】2018-09-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-26
(86)【国際出願番号】 IB2018056924
(87)【国際公開番号】W WO2019058213
(87)【国際公開日】2019-03-28
【審査請求日】2020-06-03
(31)【優先権主張番号】2017/5672
(32)【優先日】2017-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BE
(73)【特許権者】
【識別番号】593074329
【氏名又は名称】アトラス コプコ エアーパワー,ナームローゼ フェンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】ATLAS COPCO AIRPOWER,naamloze vennootschap
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】ファブリ エリック ポール
【審査官】高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-213350(JP,A)
【文献】特開2010-200523(JP,A)
【文献】特開2005-194932(JP,A)
【文献】特表2017-506308(JP,A)
【文献】米国特許第5857842(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 2/113
F04C 18/113
F04C 18/107
F04C 29/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒形対称容積機械であって、該機械(1)は、入口開口(3)及び出口開口(4)を有し、内部に2つの協働するロータ(6a、6b)を有するハウジング(2)を備え、前記ロータ(6a、6b)は、前記ハウジング(2)内に回転可能に取り付けられたアウターロータ(6a)及び前記ハウジング(2)内に回転可能に取り付けられたインナーロータ(6b)であり、液体が前記機械(1)内に注入される円筒形対称容積機械において、
前記インナーロータ(6b)及び前記アウターロータ(6a)のレベルで前記出口開口(4)において液体分離が行われ、分離された液体は再度、前記機械(1)に行き着き、前記アウターロータ(6a)は前記出口開口(4)のレベルでの軸方向延長部(17)を有し、前記軸方向延長部(17)は前記ハウジング(2)にほぼ対向して前記出口開口(4)の回りに延び、前記軸方向延長部(17)と前記ハウジング(2)との間に間隙(19)が配置される、
ことを特徴とする円筒形対称容積機械。
【請求項2】
前記軸方向延長部(17)と前記ハウジング(2)との間の前記間隙(19)には、多孔性液体吸収材(21)が設けられる、
請求項1に記載の円筒形対称容積機械。
【請求項3】
前記アウターロータ(6a)は、前記軸方向延長部(17)に結合する円錐断面のセクション(25)を有し、前記ハウジング(2)は、前記軸方向延長部(17)の上に又はその回りに嵌まると共に少なくとも部分的に前記アウターロータ(6a)の前記円錐断面のセクション(25)の上に又はその回りに嵌まる対応する延長部(18)を備え、一方では前記ハウジング(2)の前記延長部(18)と、他方では前記アウターロータ(6a)の軸方向延長部(17)並びに前記円錐断面のセクション(25)との間に、間隙(19)が存在する、
請求項1に記載の円筒形対称容積機械。
【請求項4】
前記分離された液体の少なくとも一部は、前記アウターロータ(6a)内の液体流路(20)を通じて、再度、前記機械(1)に行き着く、
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の円筒形対称容積機械。
【請求項5】
前記軸方向延長部(17)内には、前記ハウジング(2)と前記軸方向延長部(17)との間の前記間隙(19)で終端する液体流路(20)が延びる、
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の円筒形対称容積機械。
【請求項6】
前記アウターロータ(6a)内の前記液体流路(20)は、
-前記インナーロータ(6b)と前記アウターロータ(6a)との間の間隙への1又は2以上の注入点(22)、
-前記機械(1)の1又は2以上の軸受(10)への1又は2以上の注入点、
の1又は2以上の箇所につながる、
請求項4又は5に記載の円筒形対称容積機械。
【請求項7】
前記アウターロータ(6a)は、1又は2以上の冷却フィン(23)を備える、
請求項4ないし6のいずれか1項に記載の円筒形対称容積機械。
【請求項8】
前記液体流路(20)は、少なくとも部分的に前記冷却フィン(23)を貫通して延びる、
請求項7に記載の円筒形対称容積機械。
【請求項9】
前記液体流路(20)は、少なくとも部分的に前記アウターロータ(6a)の表面上に取り付けられた液体配管(24)を経由して延びる、
請求項4ないし8のいずれか1項に記載の円筒形対称容積機械。
【請求項10】
前記分離された液体の少なくとも一部は、前記ハウジング(2)内の前記アウターロータ(6a)の下に配置された容器内に集められ、前記アウターロータ(6a)は、入口側(9a)の外面に沿って1又は2以上の半径方向に指向したフィンガー、リブ、又は同様のものを備え、これは、前記アウターロータ(6a)の回転時に、前記容器内の液体中を移動して、結果として前記液体が再度、前記機械(1)に行き着くように液体を前方に運ぶことになる、
請求項1ないし9のいずれか1項に記載の円筒形対称容積機械。
【請求項11】
前記ハウジング(2)は、外側に前記容器のレベルで冷却フィンを備える、
請求項10に記載の円筒形対称容積機械。
【請求項12】
前記出口開口(4)の前記インナーロータ(6b)の端部(9b)のレベルで、前記インナーロータ(6b)及び/又は前記アウターロータ(6a)は、ブレード(28)を備え、ガスが、前記出口開口(4)を通って前記機械(1)から出る前に前記ブレード(28)に沿って進む、
請求項1ないし11のいずれか1項に記載の円筒形対称容積機械。
【請求項13】
前記アウターロータ(6b)は、吸い込まれたガスのための通路(26)を備える開放構造を有し、前記入口開口(3)を通って吸い込まれたガスは、前記インナーロータ(6b)と前記アウターロータ(6a)との間に行き着く前に、前記開放構造の通路(26)を通る必要がある、
請求項1ないし12のいずれか1項に記載の円筒形対称容積機械。
【請求項14】
前記アウターロータ(6a)は、前記入口開口(3)のレベルで、前記開放構造内に取り付けられたブレードの形態の軸方向ベンチレータ(27)を備える、
請求項9に記載の円筒形対称容積機械。
【請求項15】
前記液体は水又はオイルである、
請求項1ないし14のいずれか1項に記載の円筒形対称容積機械。
【請求項16】
前記インナーロータ(6b)及び前記アウターロータ(6a)は円錐形状を有する、
請求項1ないし15のいずれか1項に記載の円筒形対称容積機械。
【請求項17】
前記機械(1)は、インナーロータ及びアウターロータ(6a、6b)を駆動するためのモータロータ(14)及びモータステータ(15)を有する電気モータ(13)を備え、前記電気モータ(13)は、前記アウターロータ(6a)の回りに取り付けられ、前記モータステータ(15)は、前記アウターロータ(6a)を直接駆動する、
請求項1ないし16のいずれか1項に記載の円筒形対称容積機械。
【請求項18】
前記アウターロータ(6a)は、前記モータロータ(14)として機能する、
請求項17に記載の円筒形対称容積機械。
【請求項19】
前記電気モータ(13)は、前記アウターロータ(14a)に埋め込まれた永久磁石(16)を備える、
請求項18に記載の円筒形対称容積機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円筒形対称容積機械に関する。
【背景技術】
【0002】
容積機械は、「容積移送式機械(positive displacement 機械)」としても知られている。
詳細には、本発明は、2つのロータ(すなわちインナーロータがアウターロータ内に回転可能に取り付けられた)を備える円筒形対称構造を有する膨張機、圧縮機、及びポンプのような機械を対象とする。
【0003】
このような機械は公知であり、特に米国特許第1,892,217号明細書に説明されている。また、各ロータは円筒形又は円錐形とすることができることも知られている。
このような機械は、電気モータで駆動できることが知られている。
【0004】
ベルギー特許出願2017/5459号から、電気モータは、アウターロータの回りに取り付けることができ、モータのステータがアウターロータを直接駆動することが既に知られている。
このような機械は、公知の機械に対して多くの利点があり、モータシャフトは、動力伝達装置によってアウターロータ又はインナーロータのロータ軸に結合される。
従って、機械は、占有面積が小さいように非常に小型であるのみならず、これは必要な軸シール及び軸受がより少ないことを意味する。
【0005】
公知の機械及びベルギー特許出願番号2017/5459号の機械において、ロータ、軸受、及び他の構成要素は、潤滑及び冷却を必要とする。このために、機械内に潤滑、シーリング、及び冷却のための例えばオイル又は水などの液体を注入することができる注入回路が設けられる。また、この注入回路は、液体を加圧してこれを機械内に注入できるシステムを備える。
【0006】
インナーロータとアウターロータとの間の液体の注入もあり、この注入は、必然的に入口で行われ、これは入口温度の上昇につながる。
また、モータのレベルでの注入もある場合があり、モータのステータは、液体を通過させるためのスロットを備える。モータは、空冷式とすることもきる。
【0007】
液体がインナーロータとアウターロータとの間に注入される際に、ガスは、機械の出口で、ある量の液体を含有することになる。このことが機械の下流で液体分離を行って注入された液体をガスから分離する必要があることの理由である。
従って、別個の液体分離器を設ける必要がある。しかも、圧縮機の場合、これは圧力損失を意味する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】米国特許第1,892,217号
【文献】ベルギー特許出願第2017/5459号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、ベルギー特許出願番号2017/5459号に特定されたような機械に関する潤滑及び冷却を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的を達成するために、本発明は円筒形対称容積機械に関し、機械は、入口開口及び出口開口を有し、内部に2つの協働するロータを有するハウジングを備え、ロータは、ハウジング内に回転可能に取り付けられたアウターロータ及びハウジング内に回転可能に取り付けられたインナーロータであり、液体が機械内に注入されるようになっており、インナーロータ及びアウターロータのレベルでの出口開口において液体分離が行われ、分離された液体は、再度機械に行き着き、アウターロータは、出口開口のレベルでの軸方向延長部を有し、軸方向延長部は、ハウジングにほぼ対向して出口開口の回りに延在し、軸方向延長部とハウジングとの間に間隙が配置される。
【0011】
インナーロータ及びアウターロータの両方は、出口開口で高速回転することになるので、液体粒子は、遠心力によって外向きに、すなわちアウターロータの内部に向かって投げ出されることになる。このようにして、液体粒子は圧縮ガスから分離されることになる。
【0012】
これは、別個の液体分離器を含む必要がなく、分離は機械自体の中で起こるという利点をもたらす。
これは機械をより小型にするだけでなく、機械が圧縮機の場合、液体分離器での圧力損失を回避し得ることも保証する。
【0013】
好ましくは、分離された液体の少なくとも一部は、アウターロータ内の液体流路を通って機械の中に再度行き着く。
「アウターロータ内の液体流路」は、液体流路が効果的にアウターロータを貫通して延びることを意味する。換言すると、アウターロータは、液体がその中を又はそれを貫通して流れることはできる中空の流路を備える。
【0014】
アウターロータ内に液体流路を設けることで、流体粒子を、液体流路を経由して集めて排出することができる。
【0015】
アウターロータは、出口開口のレベルでの軸方向延長部を有し、軸方向延長部とハウジングとの間に間隙が存在するように、ほぼハウジングに対向してこの出口開口の回りに延びる。
【0016】
遠心力及び出口開口へのガスの移動によって、液体粒子は、ハウジングとアウターロータの軸方向延長部との間のこの間隙に行き着くことになる。その後、液体は、この間隙を通って排出することができる。
【0017】
好ましくは、液体流路は、軸方向延長部内に延び、ハウジングと軸方向延長部との間の間隙で終端する。
【0018】
液体が間隙に行き着くので、ハウジングとアウターロータとの間にある種のアキシャル軸受が生じることになる。その結果、アウターロータを支持するボール軸受に作用する力がより小さくなる。そのため、小型のボール軸受を適用することができる。
【0019】
特定の実施形態において、アウターロータの液体流路は、
-インナーロータとアウターロータとの間の間隙への1又は2以上の注入点、
-機械の1又は2以上の軸受への1又は2以上の注入点、
の1又は2以上につながる。
【0020】
液体流路によって、液体は、潤滑及び/又は冷却が必要な所望の部位に通じることができる。
このことは、液体流路を入口側の下流側でインナーロータとアウターロータとの間の間隙で終端するように作ることができるので、インナーロータとアウターロータとの間の注入が入口側である必要がないという利点をもたらす。これは、入口開口での注入に続いて起きる入口温度の上昇を防ぐ。
【0021】
本発明の好ましい特徴によれば、アウターロータは、吸い込まれたガスのための通路を備えた開放構造を有し、入口開口から吸い込まれたガスは、インナーロータとアウターロータとの間に行き着く前に開放構造の通路を通る必要がある。
これは、機械のある種の空冷が得られるという利点を有し、アウターロータは、吸い込まれた空気で冷却することができる。
この原理は、液体流路内の液体の冷却も可能にする。
【0022】
さらに、機械が、ベルギー特許出願第2017/5459号の機械に関連する場合、これは、さらにアウターロータに埋め込まれた磁石を積極的に冷却できることを意味する。
【0023】
本発明の特徴をより良く示す目的で、以下に、本発明による円筒形対称容積機械のいくつかの特定の実施形態が、非限定的に添付図面を参照して例示的に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明による機械の概略図である。
図2図1のF2で示す断面の拡大図である。
図3図2の変形例を示す。
図4図1のF4で示す断面の拡大図である。
図5図4のF5で示す断面の拡大図である。
図6図5の変形例を示す。
図7図4の他の実施形態を示す。
図8図1のF8で示す断面の拡大図である。
図9図1のF9で示す断面の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1に概略的に示された機械1は、この場合、圧縮機装置である。
本発明によれば、機械1は、膨張機装置に関することもできる。また、本発明は、ポンプ装置に関することもできる。
【0026】
機械1は、円筒形対称容積機械1である。これは、機械1が円筒形対称構造、すなわち円錐と同じ対称性を有することを意味する。
機械1は、圧縮されるガスを吸い込むための入口開口3及び圧縮ガス用の出口開口4を有するハウジング2を備える。ハウジングは、チャンバ5を定める。
【0027】
2つの協働するロータ6a、6b、すなわちハウジング2内に回転可能に取り付けられたアウターロータ6aと、このアウターロータ6a内に回転可能に取り付けられたインナーロータ6bとは、機械1のハウジング2のチャンバ5内に配置される。
【0028】
両ロータ6a、6bは、ローブ7を備え、協働的に相互に回転することができ、それによって、各ローブ7の間に圧縮チャンバ8が形成され、圧縮チャンバの容積は、ロータ6a、6bの回転によって低減させることができ、この圧縮チャンバ8内に捕らえられたガスが圧縮される。この原理は公知の協働する隣接したスクリューロータと非常に類似している。
【0029】
ロータ6a、6bは、機械1の軸受上に取り付けられ、インナーロータ6bの一端9aは軸受上で機械1に取り付けられ、インナーロータ6bの他端9bは、言うなればアウターロータ6aによって支持又は保持される。
【0030】
図示の実施例において、アウターロータ6aは、機械1の両方の端部9a、9bにおいて軸受に取り付けられる。このために、少なくとも1つのアキシャル軸受10が使用される。
【0031】
以下において、端部9aを、インナーロータ及びアウターロータ6a、6bの入口側9aと呼び、インナーロータ及びアウターロータ6a、6bの端部9bを、出口側9bと呼ぶことにする。
【0032】
インナーロータ及びアウターロータ6a、6bの間の当該圧縮チャンバ8は、ロータ6a、6bの回転によって入口側9aから出口側9bに移動することになる。
【0033】
図示の実施例において、ロータ6a、6bは円錐形であり、ロータ6a、6bの直径D、D’は軸方向X-X’に減少する。しなしながら、このことは本発明では必須要件ではなく、ロータ6a、6bの直径D、D’が一定、又は軸方向X-X’で別の方法で変化するものでもよい。
【0034】
このロータ6a、6bのデザインは、圧縮機及び膨張機装置の両方に適している。もしくは、ロータ6a、6bは、直径D、D’が一定の円筒形状とすることもできる。その場合、これらは、圧縮機又は膨張機装置の場合に固有容積比が存在するように可変ピッチを有するか、又は機械1がポンプ装置に関する場合に一定ピッチを有することができる。
【0035】
アウターロータ6aの軸11及びインナーロータ6bの軸12は、固定軸11、12であり、このことは、軸11、12が機械1のハウジング2に対して不動であるが、平行に延びず、互いに対して所定角度αで配置され、各軸が地点Pで交差することを意味する。
【0036】
しかしながら、このことは本発明では必須要件ではない。例えば、ロータ6a、6bが一定の直径D、D’を有する場合、軸10、11は平行に延びてもよい。
【0037】
さらに、機械1は、ロータ6a、6bを駆動することになる電気モータ13を備える。このモータ13は、モータロータ14及びモータステータ15を備える。
この場合、必須ではないが、電気モータ13は、アウターロータ6aの回りに取り付けられ、モータステータ15は、アウターロータ6aを直接駆動する。
【0038】
図示の実施例において、このことは、アウターロータ6aがモータロータ14としても機能するので実現される。
電気モータ13は、アウターロータ6aに埋め込まれた永久磁石16を備える。
勿論、磁石16はアウターロータ6aに埋め込まれず、例えばその外側に取り付けられることも可能である。
【0039】
永久磁石16を備えた電気モータ13(すなわち、同期永久磁石モータ)の代わりに、同期誘導モータを適合することも可能であり、磁石は、かご形ロータに置き換えられる。モータステータからの誘導は、かご形ロータに電流を発生させる。
他方で、モータ13は、リラクタンス式、誘導式、又はこれらを組み合わせたものとすることもできる。
【0040】
モータステータ15は、アウターロータ6aの回りにこれを覆うように取り付けられ、この場合、機械1のハウジング2内に配置される。
このように、モータ13及びロータ6a、6bは同じハウジング2内に配置され、それ故に互いに離されていないので、これらの潤滑は一緒に管理することができる。
【0041】
図1に示す実施例において、アウターロータ6aは、出口開口4のレベルでの軸方向延長部17を有する。
この軸方向延長部17は、ハウジング2内で出口開口4の回りに延び、ハウジング2にほぼ対向している。
【0042】
図1において、ハウジング2は、出口開口の回りに、アウターロータ6aの軸方向延長部17に面する類似の軸方向延長部18を備えるが、このことは必須ではない。
【0043】
図2に詳細に示すように、ハウジング2と軸方向延長部との間には間隙19又は開口がある。
このようにして、液体分離がこの間隙19によってインナーロータ6a及びアウターロータ6bのレベルでの出口開口4において行われることになるが、その理由は、液体粒子が遠心力の影響の下で間隙19に投げ出されるからである。
【0044】
液体流路20は、軸方向延長部17の中を延びてこの間隙19で終端し、分離された液体粒子を集めて排出することになる。
【0045】
図3に示すように、軸方向延長部17とハウジング2との間のこの間隙19には、多孔性液体吸収材21を適用されることが可能である。
この多孔性液体吸収材21は、例えば金属発泡体とすることができる。
【0046】
図4に示すように、この液体流路20は、アウターロータ6aを貫通して延びる。
図4の実施例において、液体流路20は、アウターロータ6aの軸受10と、インナーロータ6aとアウターロータ6bとの間の間隙への注入点22とにつながる。
【0047】
図4に示すように、液体流路20は、インナーロータ6a内のもっと先に、入口側9aに向かってさらに延び、インナーロータ6aとアウターロータ6bとの間の間隙への1又は2以上の追加の注入点22につながることができる。
【0048】
これは、液体を、公知の機械1のような入口側9aに沿ってのみ注入することに代えて、インナーロータ及びアウターロータ6a、6bの全長にわたって様々な点22に沿って注入できることを意味する。
【0049】
図1及び図4に示すように、アウターロータ6aは、1又は2以上の冷却フィン23を備える。
冷却フィン23は、アウターロータ6aの軸方向延長部17上に取り付けられるが、アウターロータ6aのどこにでも取り付けることができる。
図4において、冷却フィン23は、アウターロータ6aの表面と直角であるが、これは必須ではない。
【0050】
図5の詳細から、液体流路20が冷却フィン23を貫通して延びることが明らかである。
【0051】
機械1の作動は非常に単純であり以下の通りである。
機械1の作動時、モータステータ15は、公知の方法でモータロータ14を駆動し、従ってアウターロータ6aを駆動することになる。
【0052】
アウターロータ6aは、インナーロータ6bを駆動するのを助けることになり、アウターロータ6a、6bが回転すると入口開口3からガスを吸い込み、ガスはロータ6a、6bの間の圧縮チャンバ8に行き着くことになる。ガスが入口開口3を通って吸い込まれる際に、ガスは冷却フィン23、モータロータ14、及びモータステータ15を通って流れることになる。このように、ガスは、モータ13並びに冷却フィン23、結果的に冷却フィン23を通って流れる液体を冷却することになる。
【0053】
回転によって、この圧縮チャンバ8は、出口4に移動し、同時に容積が低減することになり、結果としてガスの圧縮が実現する。
圧縮時、液体は、インナーロータ6aとアウターロータ6bとの間の間隙で終わる注入点22を通って注入されかつ軸受10に注入される。
【0054】
インナーロータ及びアウターロータ6a、6bの出口側9bに到達すると、ガスは液体粒子を含有することになる。
インナーロータ及びアウターロータ6a、6bの回転によって、液体粒子は、間隙19に半径方向外向きに投げ出されて分離され、ここで液体粒子は液体流路20に行き着く。出口側9bでの上昇圧力は、液体を機械1に注入するために利用することができる。
【0055】
間隙19に投げ出された液体粒子が、圧縮ガスと一緒に出口4に引き込まれるのを防ぐために、図3に示すような液体吸収材21を間隙内に取り付けることができ、これは言うなれば液体粒子を捕まえることができる。
【0056】
また、液体の存在によって、軸方向延長部17とハウジング2との間の間隙19にスライド軸受がもたらされる。
このスライド軸受は、軸方向の力に対応できることになるので、軸受10は、より小さな力に対応できれば良く、小型及び/又は軽量にすることができる。
【0057】
液体の小部分は、外周側の開口24を通って間隙19から出ることになる。
この作用は、ロータ6a、6bの出口側9bで圧縮ガスから液体を分離することになる。
その後、圧縮ガスは出口開口4を通って機械1から流出することができる。
【0058】
この液体は、水及び合成油もしくは非合成油の両方とすることができる。
図1から5の実施例において、液体流路20が冷却フィン23を貫通して延びるので、液体は冷却される。
冷却フィン23は空冷式であり、結果として冷却フィンを通過する液体から熱を奪うことになる。
【0059】
冷却フィン23を設けないことも可能であるが、代替的に、液体流路20は、少なくとも部分的に、アウターロータ6aの表面に取り付けられた液体配管24を経由して延在する。
【0060】
図6はこのような液体配管24を示し、アウターロータ6a上に小型様式で可能な限り最長の配管を取り付けるために、この配管は湾曲形状である。液体配管24の正確な形状が本発明を限定しないことは明らかである。実際には、同じ結果をもたらす他の形状を考え出すことができる。
このような液体配管24は、冷却フィン23と同様に空冷式である。
【0061】
図7は、図2及び図3の実施形態の代替案を示す。
これによれば、アウターロータ6aは、軸方向延長部17に結合する円錐形状のセクション25を有する。
図7において、インナーロータ6b及びアウターロータ6aは円錐形状を有するので、アウターロータ6aの軸方向延長部17に結合するセクションは、このセクション25を形成することになる。
【0062】
アウターロータ6aが円錐形状ではない場合、軸方向延長部17のセクションは、代わりに円錐形状を有することができる。
【0063】
さらに、ハウジング2は対応する延長部18を備え、この延長部18は、アウターロータ6aの軸方向延長部17の上に又はその回りに適合しかつ少なくとも部分的にアウターロータ6aの円錐セクション25の上に又はその回りに適合するので、一方においてはハウジング2の延長部18と、他方においてはアウターロータ6aの軸方向延長部17並びに円錐セクション25との間に間隙19が存在する。
【0064】
ハウジング2がいずれの場所でもアウターロータ6aに接触しないことは重要である。
軸方向延長部17及び/又は円錐セクション25において、この間隙19で終端する液体流路20が取り付けられている。
【0065】
機械1の作動時、液体は間隙19の中に行き着くことになり、液体流路20を通じて機械1の中に再注入することができる。
この構成は、ジアルスライド軸受と共に円錐形アキシャルスライド軸受を作ることになる。
【0066】
その結果、軸受10を、軽減する(relieved)だけでなく図8に概略的に示されるように、除去することさえでき、図8図1のF8で示される部位の変形例を示す。
さらに、図8において、アウターロータ6aは、該アウターロータ6a自体の表面に取り付けられているので図1のように軸方向延長部17上にない冷却フィン23を備える。
【0067】
さらに、アウターロータ6aは、ガスを吸い込むための通路26を備えた開放構造を有しており、これにより、入口開口3から吸い込まれたガスは、ロータ6a、6bの入口側9aでインナーロータ6bとアウターロータ6aとの間に行き着く前に、通路26を通る必要がある。
【0068】
これは、磁石16が流入するガスによって積極的に冷却されるという利点を有する。さらに、モータステータ15は、空気を入口開口3からロータ6a、6bの入口側9aへ通過させるための何らかのスロットを必要としない。
【0069】
加えて、必須ではないが、アウターロータ6aは、入口開口3のレベルでの開放構造の中に取り付けられたブレード形態の軸方向ベンチレータ27を備える。
これは、ガスの吸い込みを助けて、圧縮チャンバ8の良好な充填率が得られるように圧力を上昇させることになる。
【0070】
図9は、全ての実施形態に適用可能な他の追加要素を示す。これは、液体の事前分離(すなわち出口開口4のレベルで生じる分離の前の)を実現するための手段に関する。
このために、インナーロータ6bは、出口側9bのインナーロータ6bの端部のレベルでのブレード28を備え、ガスは、出口開口4を通って機械1から出る前にブレードに沿って進む。
【0071】
ブレード4をアウターロータ6a上に設けること、又はアウターロータ6a及びインナーロータ6bの両方がこのようなブレード28を備えることは除外されない。
回転によって、ブレード28は、分離をさらに強化して助けることになるので、分離の全体的効率がより高くなるか、又は分離された液体の総量がより多くなる。
【0072】
この液体流路20の代案として又はそれに加えて、分離された液体の一部をハウジング2内のアウターロータ6aの下に配置された容器に集めることも可能である。
従って、分離された液体の一部又は全部は、流路20に行き着く代わりに、間隙19を通って容器に向かって流れることができる。
【0073】
これにより、アウターロータ6aは、入口側9aの外面に沿って1又は2以上の半径方向に指向したフィンガー、リブなどを備える。
【0074】
これは、アウターロータ6aの回転時に、これらのフィンガーが容器内の液体中を移動し、結果として液体をあちこち動かして前方に運び、この液体は、再度機械1の中に行き着くようになっている。
これは所謂「はねかけ」潤滑であり、あちこち移動する液体は、各ロータの間の入口側9aに行き着く。
【0075】
ハウジング2は、外側に容器のレベルで冷却フィンを設けることが可能であり、冷却フィンは、容器内の液体を確実に冷却する。
【0076】
本発明は、実施例として記載されて図面に示された実施形態に限定されるものではなく、本発明による円筒形対称容積機械は、発明の範疇から逸脱することなく、さまざまな形態及び寸法で実現することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9