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特許7003237複合化学工程内の蒸発スチーム再圧縮機を用いたエネルギー再活用システム
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  • 特許-複合化学工程内の蒸発スチーム再圧縮機を用いたエネルギー再活用システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-05
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】複合化学工程内の蒸発スチーム再圧縮機を用いたエネルギー再活用システム
(51)【国際特許分類】
   B01J 19/00 20060101AFI20220203BHJP
   B01J 19/24 20060101ALI20220203BHJP
   C07C 29/10 20060101ALI20220203BHJP
   C07C 31/20 20060101ALI20220203BHJP
   B01D 1/30 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
B01J19/00 321
B01J19/24 Z
C07C29/10
C07C31/20 A
B01J19/00 E
B01D1/30 Z
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020517919
(86)(22)【出願日】2018-07-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-17
(86)【国際出願番号】 KR2018007904
(87)【国際公開番号】W WO2019066220
(87)【国際公開日】2019-04-04
【審査請求日】2020-05-27
(31)【優先権主張番号】10-2017-0127142
(32)【優先日】2017-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】517325629
【氏名又は名称】サンテコ・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SUNTECO LIMITED
【住所又は居所原語表記】1105, 16‐39 LS‐RO 91BEON‐GIL, DONGAN‐GU, ANYANG‐SI, GYEONGGI‐DO 14119, REPUBLIC OF KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】リー, チュ ソン
【審査官】壷内 信吾
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/184751(WO,A1)
【文献】特開昭49-094613(JP,A)
【文献】特開2000-297055(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0118446(KR,A)
【文献】特表2005-529749(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0011886(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0116358(KR,A)
【文献】特開平01-149778(JP,A)
【文献】特開2003-342233(JP,A)
【文献】特開2012-214399(JP,A)
【文献】特開2001-316308(JP,A)
【文献】特表2003-521454(JP,A)
【文献】特表2011-520895(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 10/00-12/02,14/00-19/32
C07B 31/00-61/00,63/00-63/04
C07C 1/00-409/44
B01J 8/00-8/46
B01B 1/00-1/08
B01D 1/00-8/00
C07D 301/00-305/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱反応によって中間物質を生成して排出し、前記発熱反応で発生する熱と外部から供給される水を熱交換させ、水蒸気を生成する熱交換反応器(10)と、
前記中間物質の供給を受け、前記中間物質に水を混合させて中間物質水溶液を生成する吸収槽(20)と、
前記中間物質水溶液の供給を受け、前記中間物質を中間物質ガスと高含水量の中間物質水溶液に分離するストリッパー(30)と、
前記高含水量の中間物質水溶液の供給を受け、前記中間物質を水と反応させて最終物質水溶液に生成する吸熱反応器(40)と、
前記最終物質水溶液の供給を受け、前記熱交換反応器から出る水蒸気の熱と前記最終物質水溶液を熱交換させ、前記最終物質水溶液から蒸発される最終物質のスチームを生成する蒸発濃縮器(50)と、
前記蒸発濃縮器から排出される最終物質水溶液の供給を受けて、脱水及び精製する脱水蒸留塔(60)と、
前記蒸発濃縮器(50)から出る前記スチームを圧縮し、圧縮された前記スチームを熱源またはスチーム供給源として提供する蒸発スチーム再圧縮機(110)と
を含む
前記吸熱反応器(40)が、前記蒸発スチーム再圧縮機(110から出るスチームから熱の供給を受けるように、前記蒸発スチーム再圧縮機(110)が前記吸熱反応器(40)に連通していることを特徴とする複合化学工程内の蒸発スチーム再圧縮機を用いたエネルギー再活用システム。
【請求項2】
前記蒸発濃縮器(50)は、複数の蒸発濃縮器が順次に連結された多段蒸発濃縮器で構成され、前記多段蒸発濃縮器の段数は、前記蒸発濃縮器から排出される最終物質水溶液の濃度と前記熱交換反応器で生成される水蒸気の排出熱量を考慮して、前記蒸発スチーム再圧縮機で要求するスチームの温度と圧力に応じて決定されることを特徴とする請求項1に記載の複合化学工程内の蒸発スチーム再圧縮機を用いたエネルギー再活用システム。
【請求項3】
前記多段蒸発濃縮器を構成する蒸発濃縮器は、自然循環式の蒸発濃縮器であることを特徴とする請求項2に記載の複合化学工程内の蒸発スチーム再圧縮機を用いたエネルギー再活用システム。
【請求項4】
前記多段蒸発濃縮器を構成する蒸発濃縮器は、薄膜降下式の蒸発濃縮器であることを特徴とする請求項2に記載の複合化学工程内の蒸発スチーム再圧縮機を用いたエネルギー再活用システム。
【請求項5】
前記脱水蒸留塔(60)が、前記スチームから熱の供給を受けるように、前記脱水蒸留塔(60)の再沸器(reboiler)(69)が前記蒸発スチーム再圧縮機に連通していることを特徴とする請求項1に記載の複合化学工程内の蒸発スチーム再圧縮機を用いたエネルギー再活用システム。
【請求項6】
前記ストリッパー(30)が、前記スチームから熱の供給を受けるように、前記ストリッパー(30)の再沸器が前記蒸発スチーム再圧縮機に連通していることを特徴とする請求項1に記載の複合化学工程内の蒸発スチーム再圧縮機を用いたエネルギー再活用システム。
【請求項7】
前記ストリッパー(30)から排出される中間物質ガスを凝縮させて、中間物質溶液として供給を受け、上部では前記中間物質を蒸留させて、純粋な中間物質として排出し、下部では残りの中間物質溶液を排出させて前記吸熱反応器40に供給するように設けられた蒸留塔(70)をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の複合化学工程内の蒸発スチーム再圧縮機を用いたエネルギー再活用システム。
【請求項8】
前記蒸留塔(70)が、前記スチームから熱の供給を受けるように、前記蒸留塔(70)の再沸器(79)が前記蒸発スチーム再圧縮機(110)に連通していることを特徴とする請求項に記載の複合化学工程内の蒸発スチーム再圧縮機を用いたエネルギー再活用システム。
【請求項9】
前記熱交換反応器(10)に供給される冷却水を予熱するように、前記蒸発スチーム再圧縮機(110)のスチームが前記熱交換反応器の冷却水予熱器に連通するように設けられることを特徴とする請求項1に記載の複合化学工程内の蒸発スチーム再圧縮機を用いたエネルギー再活用システム。
【請求項10】
前記蒸発スチーム再圧縮機(110)と前記ストリッパー(30)との間、または前記蒸発スチーム再圧縮機(110)と前記熱交換反応器(10)の冷却水予熱器との間には、蒸発スチーム再圧縮機(120)が追加で配置されていることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の複合化学工程内の蒸発スチーム再圧縮機を用いたエネルギー再活用システム。
【請求項11】
前記中間物質は酸化エチレンであり、前記最終物質はエチレングリコールであることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の複合化学工程内の蒸発スチーム再圧縮機を用いたエネルギー再活用システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高分子化学製品を生産する化学反応工程で発生するスチームを再活用するシ
ステムに関する。より具体的には、化学反応の発熱工程と吸熱工程が結合されている工程
で生成されるスチームと必要な熱を、それぞれの工程特性に合わせて効率的に適用して、
全体のシステムで必要なエネルギーを再分配して自給するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
高分子化学製品を製造する化学反応工程が広く用いられており、代表的な高分子化学製
品は、炭化水素を用いて製造されている。
【0003】
このような炭化水素は、様々な化学反応工程を経て、化学製品、医薬製品、その他の日
常生活に必要な各種高分子化学製品に生産されている。特に、炭化水素を用いて製造され
る代表的な高分子化学製品として、酸化エチレン、酸化メチレン、酸化プロピレン、酸化
ブチレン、エチレングリコール、メチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレン
グリコールがある。
【0004】
酸化エチレンは、化学反応性が非常に大きいため、水、アルコール、酸、アミンなどと
よく反応して、多くの誘導体を生産する。それだけでなく、酸化エチレンは、値段も安く
て、様々な方面の合成原料として広く用いられている。特に、酸化エチレンは、エチレン
グリコールを製造するのに一番多く用いられている。エチレングリコールは、酸化エチレ
ンの最大誘導品として、自動車の不凍液などで使用され、最近ではポリエステル繊維の原
料として広く使用されている。
【0005】
このような炭化水素の分解と結合のための石油化学工程は、大量の熱エネルギーを使用
しているが、このようなエネルギーを節約するための積極的な方案は、あまり知られてい
なかった。
【0006】
また、原料物質として炭化水素を用いて高分子化学製品を生産する過程は、発熱反応工
程、吸熱反応工程、熱エネルギーを使用する工程など、様々な工程で構成されている。発
熱反応工程で生成される水蒸気を、一部の後続工程で使用することもあるが、ほとんどの
工程で必要な熱エネルギーは、別途に外部の熱源から供給される熱エネルギーで充当して
いる。それだけでなく、システムの運転中に必要な水蒸気もほとんど外部から供給される
スチームを使用している。
【0007】
石油化学工程で使用されるシステムにおいては、全般的に熱エネルギーの需要が非常に
大きく、工程によっては、大量のスチームが必要であるが、このような熱エネルギーと水
蒸気をすべて外部から供給しようとすれば、該当供給装置の設置及び運転にかかる費用が
相当である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前述した問題点を解決しようと導入された。
本発明は、化学工程で必要な熱エネルギーを別途の外部熱源から探さず、化学工程システ
ムで発生するスチームを、特に酸化発熱反応時に発生するスチームを、続く蒸発濃縮によ
る脱水工程で全量使用することができるように、蒸発濃縮器の段数を調整する消極的な方
法を越えて、蒸発濃縮器で発生するスチームを圧縮するMVRシステムを積極的に導入し
、MVRから生成される熱エネルギーを残りの工程に追加することによって、別途に熱エ
ネルギーを供給するのに必要な費用と努力を減少させることを目的とする。
【0009】
また、本発明は、化学工程システム内で必要なスチームも、外部から供給を受けず、直
接化学工程システムの工程後段で発生するスチームを圧縮して、直接再活用することによ
って、別途にスチームを供給するのに所要される費用と努力を軽減しようとすることを目
的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した目的を達成するために、本発明は、発熱反応によって中間物質を生成して排出
し、前記発熱反応で発生する熱と外部から供給される水を熱交換させ、水蒸気を生成する
熱交換反応器と、前記中間物質の供給を受け、前記中間物質に水を混合させて中間物質水
溶液を生成する吸収槽と、前記中間物質水溶液の供給を受け、前記中間物質を中間物質ガ
スと高含水量の中間物質水溶液に分離するストリッパーと、前記高含水量の中間物質水溶
液の供給を受け、前記中間物質を水と反応させて最終物質水溶液に生成する吸熱反応器と
、前記最終物質水溶液の供給を受け、前記熱交換反応器から出る水蒸気の熱と前記最終物
質水溶液を熱交換させ、スチームを生成する蒸発濃縮器と、前記蒸発濃縮器から排出され
る最終物質水溶液の供給を受けて、脱水及び精製する脱水蒸留塔、及び前記蒸発濃縮器か
ら出るスチームを圧縮し、圧縮されたスチームを熱源またはスチーム供給源として提供す
る蒸発スチーム再圧縮機を含むことを特徴とする複合化学工程内の蒸発スチーム再圧縮機
を用いたエネルギー再活用システムを提供する。
【0011】
好ましくは、前記蒸発濃縮器は、複数の蒸発濃縮器が順次に連結された多段蒸発濃縮器
で構成され、前記多段蒸発濃縮器の段数は、前記蒸発濃縮器から排出される最終物質水溶
液の濃度と前記熱交換反応器で生成される水蒸気の排出熱量を考慮して、前記蒸発スチー
ム再圧縮機で要求するスチームの温度と圧力に応じて決定されることができる。
【0012】
好ましくは、前記多段蒸発濃縮器を構成する蒸発濃縮器は、自然循環式の蒸発濃縮器で
あり得る。
【0013】
好ましくは、前記多段蒸発濃縮器を構成する蒸発濃縮器は、薄膜降下式の蒸発濃縮器で
あり得る。
【0014】
好ましくは、前記吸熱反応器が、前記蒸発スチーム再圧縮機から出るスチームから熱の
供給を受けるように、前記蒸発スチーム再圧縮機が前記吸熱反応器に連通していることが
できる。
【0015】
好ましくは、前記脱水蒸留塔が、前記スチームから熱の供給を受けるように、前記脱水
蒸留塔の再沸器(reboiler)が前記蒸発スチーム再圧縮機に連通していることが
できる。
【0016】
好ましくは、前記ストリッパーが、前記スチームから熱の供給を受けるように、前記ス
トリッパーの再沸器が前記蒸発スチーム再圧縮機に連通していることができる。
【0017】
好ましくは、前記ストリッパーから排出される中間物質ガスを凝縮させて、中間物質溶
液として供給を受け、上部では前記中間物質を蒸留させて、純粋な中間物質として排出し
、下部では残りの中間物質溶液を排出させて前記吸熱反応器に供給するように設けられた
蒸留塔をさらに含むことができる。
【0018】
好ましくは、前記蒸留塔が、前記スチームから熱の供給を受けるように、前記蒸留塔の
再沸器が前記蒸発スチーム再圧縮機に連通していることができる。
【0019】
好ましくは、前記熱交換反応器に供給される冷却水を予熱するように、前記蒸発スチー
ム再圧縮機のスチームが前記熱交換反応器の冷却水予熱器に連通するように設けられるこ
とができる。
【0020】
好ましくは、前記蒸発スチーム再圧縮機と前記ストリッパーとの間、または前記蒸発ス
チーム再圧縮機と前記熱交換反応器の冷却水予熱器との間には、蒸発スチーム再圧縮機が
追加で配置されることができる。
【0021】
好ましくは、前記中間物質は酸化エチレンであり、前記最終物質はエチレングリコール
であり得る。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、化学工程システムにおいて、必要な熱エネルギーとスチームを外部か
ら充当せず、MVRシステムの適正な設計を導入して、それぞれの工程に必要なスチーム
を適切な圧力と流量で直接生産して自給することによって、熱エネルギーとスチームを供
給するのにかかる費用と努力を大幅に減らすことができる。
【0023】
また、MVRを適用した本発明の化学工程システムで蒸発濃縮器を薄膜降下式の蒸発濃
縮器とすれば、自然循環式の蒸発濃縮器を使用する場合と比較して、1次スチームの温度
条件をより柔軟に設計することができ、2次スチームの温度をより高めることができ、生
スチームの使用量も減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、本発明に係るシステムを概略的に示す図である。
図2図2は、本発明に係るシステムの一実施例を示す図である。
図3図3は、本発明に係るシステムのまた他の実施例を示す図である。
図4図4は、図3のシステムでスチームが活用される例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付された図面を参照して、本発明に係る化学工程内のエネルギー再活用システ
ムについて具体的に説明する。
【0026】
図1は、本発明に係るシステムを概略的に示す図であり、図2は、本発明に係るシステ
ムをより具体化した一実施例を示す図である。
【0027】
図1に示すように、主原料(a、b)が補助ガスと共に熱交換反応器10に投入される
【0028】
熱交換反応器10は、多管式反応器であって、ハウジング内に反応物が通過する管が設
置されており、ハウジングに流入する水が管の外部と接触して熱を交換するように設けら
れている。
【0029】
主原料と補助ガスが熱交換反応器10内に流入した状態で、所定の触媒を使用して反応
を起こすと、相当量の発熱量を伴う酸化反応が起きる。
【0030】
熱交換反応器10には、外部から水が流入し、水は、熱交換反応器10内部で発熱反応
によって発生する熱の伝達を受けて蒸発した後、水蒸気として排出される。この水蒸気は
、1次スチームと称することにする。
【0031】
熱交換反応器10の反応によって、ガスと混合された中間物質溶液が生成された後、熱
交換反応器の下部にたまって排出される。
【0032】
熱交換反応器10から出る中間物質は、吸収槽20に流入して水で洗取された後、中間
物質水溶液として排出される。
【0033】
吸収槽20から出る中間物質水溶液は、ストリッパー30に流入する。ストリッパー3
0で中間物質水溶液は、水と不純物及びガスに分離する。ストリッパー30の上部から中
間物質ガスが排出されるが、この中間物質ガスを凝縮させて蒸留塔70に送った後精製す
ると、後述する酸化エチレンのような純粋な中間物質を得て、最終製品として使用するこ
とができる。同時に、ストリッパー30の下部では、高含水量の中間物質水溶液を排出す
る。
【0034】
ストリッパー30から排出される高含水量の中間物質水溶液は、吸熱反応器40に流入
する。吸熱反応器40は、多管式反応器であって、ハウジング内に高含水量の中間物質水
溶液が通過する管が設置されており、外部から流入するスチームが吸熱反応器の管の外部
と接触して、管に熱を伝達するように設けられている。
【0035】
吸熱反応器40では、高含水量の中間物質水溶液と水が反応して最終物質水溶液が生成
され、最終物質水溶液が生成される反応は吸熱反応であり、吸熱反応に使用される熱はス
チームから伝達される。
【0036】
吸熱反応器40から排出される最終物質の水溶液は、低濃度で蒸発濃縮器50に入る。
【0037】
蒸発濃縮器50は、多管式反応器であって、ハウジング内に最終物質水溶液が通過する
管が設置されており、ハウジングに流入する水蒸気(すなわち、1次スチーム)が管の外
部と接触して熱を交換するように設けられている。
【0038】
蒸発濃縮器50は、1次スチーム、すなわち熱交換反応器で生成された水蒸気の供給を
受けて、1次スチームの熱を用いて最終物質水溶液を蒸発させることによって、最終物質
水溶液を濃縮させる。最終物質水溶液から蒸発する蒸気は、2次スチームと称することに
する。
【0039】
蒸発濃縮器50の下部では、蒸発によって水分が減少して濃縮された最終物質水溶液が
排出され、脱水蒸留塔60に送られる。
【0040】
脱水蒸留塔60では、最終物質水溶液を加熱することによって、塔下部で最終物質水溶
液からほとんどの水分を除去し、塔上部では低圧力の水蒸気を排出して凝縮させる。
【0041】
また、必要に応じて、蒸留塔60を1つ以上追加して多段に設けることができる。多段
蒸留塔を用いると、後述するように、最終物質水溶液がエチレングリコール水溶液である
場合、モノエチレングリコール(MEG)、ジエチレングリコール(DEG)、トリエチ
レングリコール(TEG)に分類して、それぞれ高純度の製品を得ることができる。
【0042】
本発明によれば、蒸発濃縮器50で生成された低圧の2次スチームは、蒸発スチーム再
圧縮機110で圧縮されて、熱エネルギーが必要な周辺の工程に配分される。蒸発スチー
ム再圧縮機は、周辺の工程で必要とするスチームの圧力に合わせて2次スチームを圧縮し
、スチームを必要とする装置に供給することができる。
【0043】
蒸発スチーム再圧縮機(MVR;mechanical vapor recompr
ession system)は、機械的蒸発スチーム再圧縮機であって、低圧スチーム
を圧縮して高圧スチームを生成する装置である。産業現場では、高速回転するインペラの
遠心力によって、速度エネルギーを圧力エネルギーに変化させて気体を圧縮する遠心圧縮
機をはじめ、様々な類型の機械的蒸発スチーム再圧縮機が使用されている。
【0044】
本発明により、蒸発スチーム再圧縮機で圧縮された2次スチームを活用する例は、次の
とおりである。
【0045】
第一、吸熱反応器40の吸熱反応に所要される熱を供給することができる(図4のA参
考)。
【0046】
第二、蒸留塔またはストリッパーに設置された再沸器39、69、79にスチームを供
給して、蒸留塔またはストリッパーの再沸器の熱源として使用することができる(図4
B、C、D参考)。この場合、必要時にまた他の蒸発スチーム再圧縮機120を配置して
スチームを追加で圧縮することもできる。
【0047】
第三、熱交換反応器10に供給される冷却水を予熱するのに使用されることができる(
図4のE参考)。
【0048】
前述したように、本願発明では、工程の後段部で発生するエネルギーを捨てずに、蒸発
スチーム再圧縮機を適用して生成されたエネルギーを、必要な工程に使用することによっ
て、実質的に自足のエネルギーバランスをなすようにする新しい方案を提示している。
【0049】
すなわち、蒸発濃縮器50から排出されるスチームを捨てずに、蒸発スチーム再圧縮機
を使用して再活用することによって、システムを運転するとき、消費する熱エネルギーと
費用を大幅に減らして経済性を向上させることができる。
【0050】
それだけでなく、システムの運転中にスチームを外部から別途に供給する必要がないの
で、スチームを供給する装置が別途に必要なく、したがって該当装置の設置費用及び運転
費用を除外することができるため、経済性を大幅に高めることができる。
【0051】
以下では、図2図4に基づいて、具体的な実施例により本発明を説明することにする
。参考までに、以下に説明する構成要素は、実線と点線で表示される経路に沿って液体が
移動するように互いに連通している。
【0052】
図2図4において、実線は反応物、中間物質及び最終物質が通過する経路を示し、点
線はスチームが通過する経路を示す。特に、図4では、2次スチームが活用される例が明
確に表れるように、太い点線と記号(A~E)を使用した。
【0053】
複合化学工程においては、必要に応じて様々な物質を主原料として選択して、所望の中
間物質と最終物質を生産することができる。以下では、エチレンと酸素を主原料として、
酸化エチレン(EO:Ethylene Oxide)とエチレングリコール(EG:E
thylene Glycol)を生成する工程を一例として説明することにする。
【0054】
熱交換反応器10に原料物質として、低分子炭化水素エチレン(a)(H2C4)と酸
素(b)(O2)が供給される。また、熱交換反応器10にメタン、窒素などのような補
助ガス(c)を追加注入することができ、銀を微細に分散させた触媒を使用して、反応さ
せることができる。そうすると、熱交換反応器10では、発熱量を伴う酸化反応が起きな
がら、中間物質として酸化エチレン(EO)が生成される。
【0055】
熱交換反応器10は、多管式反応器であって、内部には反応物が通過するチューブ12
が配置されている。また、熱交換反応器10は、チューブ12を囲むハウジング、すなわ
ちシェル部分を含み、冷却水が流入する流入口16と、水蒸気を排出する流出口18も含
んでいる。この水蒸気を1次スチームと称することにする。
【0056】
1次スチームの圧力と流量は、酸化発熱反応の収率に影響を及ぼすので、1次スチーム
の圧力と流量は、最大収率に合わせて制御する。また、1次スチームの圧力と流量は、後
段の多段蒸発濃縮器50の段数を決定する基準となる。
【0057】
流入口16を介して流入した冷却水は、熱交換反応器の内部に配置されたチューブ12
と接触し、チューブの内部を通過する反応物から熱を受けて蒸発して、流出口18を介し
て水蒸気として排出される。
【0058】
同時に、反応物は、冷却水に熱を伝達した後、ガスと混合された酸化エチレン溶液とし
て吸収槽20に流入する。
【0059】
熱交換反応器10に連通した吸収槽20で酸化エチレンは水で洗取されて、酸化エチレ
ン水溶液としてストリッパー30に供給される。吸収槽20から分離したガスは、分離槽
25(gas scrubber;洗浄槽)を通過した後、再び熱交換反応器10に供給
されることができる。
【0060】
吸収槽20と連通したストリッパー30では、酸化エチレン水溶液を水と不純物とガス
に分離させて、上部では酸化エチレンガスを排出し、下部では高含水量の酸化エチレン水
溶液を排出する。
【0061】
ストリッパー30の上部から排出される酸化エチレンガスは、凝縮機35を介して凝縮
されて蒸留塔70に流入する。蒸留塔70では、酸化エチレン溶液を精製して、純粋な酸
化エチレンとして排出する。このように製造された酸化エチレンは、最終製品として使用
されることができる。
【0062】
ストリッパー30の下部から排出された高含水量の酸化エチレン水溶液は、吸熱反応器
40に供給されるように、ストリッパー30は吸熱反応器40と連通している。
【0063】
吸熱反応器40では、酸化エチレンの加水反応によって最終物質としてエチレングリコ
ールを生成する。特に、吸熱反応器では、過剰量の水(約5倍~10倍)との反応によっ
て、エチレングリコール水溶液を得る。
【0064】
吸熱反応器40で生成されたエチレングリコール水溶液は、後述する過程で濃縮及び脱
水されて精製することによって、最終エチレングリコールを製造することができる。
【0065】
吸熱反応器40は、蒸発濃縮器50に連通して、吸熱反応器40で生成されたエチレン
グリコール水溶液は、蒸発濃縮器50に流入する。
【0066】
蒸発濃縮器50は、多管式反応器であって、内部にチューブが設けられてチューブを介
して最終物質の水溶液、すなわちエチレングリコール水溶液が通過する。また、蒸発濃縮
器50は、チューブを囲むハウジングに該当するシェルを含み、シェルには水蒸気流入口
が備えられて、シェル内部に水蒸気が流入する。
【0067】
運転初期には蒸発濃縮器50に別途の生スチーム(d)が供給されることができる。正
常運転時には、熱交換反応器10で生成された水蒸気(1次スチーム)が水蒸気流入口を
介して流入して、チューブ内部のエチレングリコール水溶液に熱を伝達し、これによりエ
チレングリコール水溶液を蒸発させて蒸気を生成することができる。この蒸気を2次スチ
ームと称し、2次スチームは、スチーム排出口を介して低圧スチームとして排出される。
【0068】
一方、蒸発濃縮器50は、エチレングリコールの濃度を高めるために多段で構成される
ことができる。すなわち、図2図4に示すように、蒸発濃縮器50は、複数の蒸発濃縮
器を順次に連結して多段(例えば2段~7段)で構成することができる。これにより、数
回の蒸発過程によってエチレングリコールの濃度を高めることができる。
【0069】
すなわち、多段蒸発濃縮器は、熱交換反応器10で生成された水蒸気である1次スチー
ムが1段蒸発濃縮器に流入すると、1段蒸発濃縮器150a、250aで1次スチームが
最終物質水溶液を加熱し、最終物質水溶液から蒸発したスチームは、2段蒸発濃縮器15
0b、250bに流入する。また、1段蒸発濃縮器で加熱されて水分が減少することによ
って濃縮された最終物質水溶液も、2段蒸発濃縮器に流入する。このような過程は、いく
つかの段の蒸発濃縮器を介して順次的に進行されて、最終物質水溶液をさらに濃縮する。
このとき、1次スチームの圧力と流量に基づいて、蒸発濃縮器の段数を決定し、段数を決
定するときの総蒸発量の1/nに必要な各段の熱量と各段の温度差も共に考慮する。
【0070】
一方、高段数で蒸発濃縮器を構成すると、エチレングリコールの濃度を高めて後続する
脱水蒸留塔60の脱水負荷を減らすことができる。しかし、段数を上げると、相対的に2
次スチームの温度が低くなるので、2次スチームを蒸発スチーム再圧縮機110で圧縮し
て残りの工程に必要な熱量を供給しようとする本発明では、2次スチームの温度が低くな
りすぎることは好ましくない。
【0071】
したがって、蒸発スチーム再圧縮機110を活用する本発明では、エネルギーの効率性
を考慮して、蒸発スチーム再圧縮機110に流入する2次スチームの温度を適切に調節し
なければならない。すなわち、本発明においては、複合化学工程でスチームを再活用する
効率を最適化するように、最終物質であるエチレングリコールの排出濃度と熱交換反応器
10の排出熱量を考慮して、蒸発濃縮器50の段数を調節することが好ましい。
【0072】
図2は、多段蒸発濃縮器に使用されるそれぞれの蒸発濃縮器を、自然循環式の蒸発濃縮
器、すなわちサーモサイホン蒸発濃縮器(thermo-syphon evapora
tor)で構成した実施例を示す。
【0073】
複合化学工程を行う産業現場では、一般的に蒸発濃縮器として自然循環式の蒸発濃縮器
を使用している。自然循環式の蒸発濃縮器は、技術分野に広く知られている構成であり、
詳細な説明は省略することにする。自然循環式の蒸発濃縮器を使用すると、循環動力を有
する落差を用いることによって、ポンプなしで運転することができるという利点がある。
【0074】
それぞれの自然循環式の蒸発濃縮器150a、150b、...、150nは、蒸発器1
52a、152b、...、152nとチャンバ154a、154b、...、154nで構成
されている。自然循環式の蒸発濃縮器を適用した構成を簡単に説明すると、最終物質水溶
液は、1段の自然循環式の蒸発濃縮器105aの蒸発器152aの下部に流入した後、加
熱されることによって、チューブ153aを介して上部に上がる。最終物質水溶液の加熱
は、熱交換反応器10で生成されて流入口156を介して蒸発器152aに流入する1次
スチームによって行われる。運転初期には、生スチーム(d)が供給されることができる
【0075】
加熱された最終物質水溶液は、チャンバ154aに入り、スチームがチャンバ154a
の上部を介して排出され、濃縮された残りの最終物質水溶液は、チャンバ154aの下部
に排出されて、再び循環されるか、次の段の蒸発器に伝達される。排出されたスチームと
最終物質水溶液は、次の段の蒸発器に、すなわち2段蒸発濃縮器150bの蒸発器152
bに流入して、先に行われた蒸発濃縮工程を繰り返し、このような工程は最終段まで順次
的に行わる。
【0076】
蒸発スチーム再圧縮機110を使用する本願発明では、蒸発スチーム再圧縮機110に
流入する2次スチームの温度が低すぎると、2次スチームを圧縮しても上昇した温度が必
要な温度に到達できず、圧縮された2次スチームを使用することができないか、必要な温
度まで圧縮するために多段の蒸発スチーム再圧縮機を使用しなければならないという問題
がある。したがって、前述したように、蒸発スチーム再圧縮機110に流入するスチーム
、すなわち2次スチームの温度が適正温度になるようにシステムを設計しなければならな
い。
【0077】
具体的には、システムの設計と関連して次の事項を考慮しなければならない。自然循環
式の蒸発濃縮器では、最終物質水溶液が蒸発器152のチューブ153の下部側に流入し
て上部に上がるので、チューブ153の下部側で最終物質水溶液を加熱して蒸発させるた
めには、上下部の圧力差に伴う飽和温度の差も共に考慮しなければならない。すなわち、
最終物質水溶液を蒸発させるためには、チューブ上下部の飽和温度差を考慮して、システ
ムの設計時に蒸発濃縮器に供給される1次スチームの温度を高めなければならない。また
、多段蒸発濃縮器であるため、飽和温度の差に該当段数をかけた分、1次スチームの温度
を高めなければならない。
【0078】
続いて、図3は、多段蒸発濃縮器に使用されるそれぞれの蒸発濃縮器を薄膜降下式の蒸
発濃縮器(falling film evaporator)で構成した実施例を示す
【0079】
それぞれの薄膜降下式の蒸発濃縮器250a、250b、...、250nは、多管式反
応器であって、蒸発器252a、252b、...、252nと、蒸発器に連結されたチャ
ンバ254a、254b、...、254nを含む。蒸発器内部には、最終物質水溶液であ
るエチレングリコール水溶液が通過するチューブ253が設けられている。また、蒸発濃
縮器は、チューブを囲むハウジング、すなわちシェルを含んでおり、蒸発器に設置された
水蒸気流入口256とチャンバ254に設置されたスチーム排出口258も備えている。
【0080】
運転初期には、蒸発濃縮器250に別途の生スチーム(d)が供給されることができ、
正常運転時には熱交換反応器10で生成された水蒸気(1次スチーム)が水蒸気流入口2
56を介して流入する。
【0081】
最終物質水溶液は、1段蒸発濃縮器250aの上部に供給されて、蒸発器252aのチ
ューブ253を介して下方に流れながら、1次スチームによって加熱される。加熱された
最終物質水溶液は蒸発しながら、蒸発器252aの下部の気液分離部に移動する。1次ス
チームによって加熱される最終物質水溶液は蒸発して、スチームとしてチャンバ254a
を通って排出され、最終物質から生成されたスチームを2次スチームと称する。また、蒸
発によって水分量が減少して濃縮された最終物質水溶液は、蒸発器252aの下部に排出
される。
【0082】
1段蒸発濃縮器250aから排出されたスチームと最終物質水溶液は、ポンプによって
次の段の蒸発濃縮器に、すなわち2段蒸発濃縮器250bに流入する。このとき、1段蒸
発濃縮器から排出されたスチームは、次の段に流入する最終物質水溶液を蒸発させるのに
使用される。
【0083】
蒸発によって水分量が減少したエチレングリコール水溶液は、最終段の蒸発濃縮器の下
部から排出されて、蒸発濃縮器と連通した脱水蒸留塔60に供給される。
【0084】
一方、多段蒸発濃縮器を構成するそれぞれの蒸発濃縮器を薄膜降下式の蒸発濃縮器とす
ると、自然循環式の蒸発濃縮器を使用する場合と比較して、以下で説明するようにいくつ
かの利点がある。
【0085】
第一、薄膜降下式の蒸発濃縮器は、自然循環式の蒸発濃縮器よりシステム設計時に有利
である。薄膜降下式の蒸発濃縮器では、最終物質水溶液が蒸発器の上部に供給されるので
、1次スチームの温度を決定するにおいて、上下部の間の飽和温度差を考慮する必要がな
い。したがって、同じ段数の蒸発濃縮器を使用する場合、薄膜降下式の蒸発濃縮器は、自
然循環式の蒸発濃縮器と比較して、1次スチームの温度をより低く設計することができる
【0086】
第二、前記ような原理に基づいて、同じ段数の蒸発濃縮器を使用しながら、同じ温度の
1次スチームを供給すると、薄膜降下式の蒸発濃縮器で得る2次スチームの温度が自然循
環式の蒸発器で得る2次スチームの温度よりも高い。したがって、蒸発スチーム再圧縮機
に流入する2次スチームの温度を高めることができ、2次スチームをよりよく活用するこ
とができ、蒸発スチーム再圧縮機の数を減らすこともできる。
【0087】
第三、自然循環式の蒸発濃縮器の場合、運転が正常化するのに時間がかかり、運転初期
に生スチームを多く供給しなければならない。一方、薄膜降下式の蒸発濃縮器は、正常運
転時までかかる時間が相対的に速いので、運転初期時に生スチームの使用量を減らすこと
ができる。
【0088】
続いて、最終物質水溶液が流入する脱水蒸留塔60について説明すると、脱水蒸留塔6
0は、エチレングリコール水溶液から最終的に水分を除去する装置である。脱水蒸留塔6
0を介して、脱水された最終エチレングリコール製品を得ることができる。
好ましくは、必要に応じて別の脱水蒸留塔60を追加で配置することによって、脱水蒸留
塔を多段で構成することができる。普通、エチレングリコールの製造時に、ジエチレング
リコールが約9~10%程度、そしてトリエチレングリコールが約2~3%程度共に生産
される。このような状況では、多段の脱水蒸留塔60、60’を使用することによって、
蒸留法(distillation)により、モノ-エチレングリコール(MEG)、ジ-
エチレングリコール(DEG)、トリ-エチレングリコール(TEG)を分類して得るこ
とができる。
【0089】
蒸発濃縮器50から排出される2次スチームを捨てずに、蒸発スチーム再圧縮機(MV
R)110に供給する。蒸発スチーム再圧縮機110で2次スチームを圧縮して、システ
ム上で必要な工程に適切に供給することができる。
【0090】
吸熱反応器40を介してエチレングリコールを生成する工程は吸熱反応であり、吸熱反
応に使用されるスチームを供給するためには、別途のスチーム発生装置が必要であり、し
たがってスチーム発生装置の設置と運営には、相当な費用が所要される。しかし、本願発
明の図4でAで表示したように、蒸発濃縮器50から排出される2次スチームを再圧縮し
て吸熱反応器40に供給して、2次スチームを再活用すると、別途のスチーム発生装置に
伴う費用をなくすことができるため、経済性を大幅に向上させることができる。
【0091】
また、蒸発スチーム再圧縮機110で圧縮された2次スチームは、本願のシステムで使
用される生スチームに加わって、生スチームを補充する役割をすることもできる。
【0092】
さらに、蒸発スチーム再圧縮機110で圧縮された2次スチームは、システムの各装置
に必要な熱源として使用されることができる。具体的には、2次スチームは、図4でBで
表示するように、脱水蒸留塔60に使用される再沸器69に供給されることができ、図4
でCで表示するように、蒸留塔70に使用される再沸器79に供給されることもでき、図
4でDで表示するように、ストリッパー30に使用される再沸器39に供給されることも
でき、図4でEで表示するように、熱交換反応器10の冷却水予熱器に供給されて、熱交
換反応器10に流入する冷却水を予熱することもできる。
【0093】
好ましくは、蒸発スチーム再圧縮機110から排出された2次スチームは、必要に応じ
て別途の蒸発スチーム再圧縮機120、130を介して追加で圧縮されることができる。
【符号の説明】
【0094】
10:熱交換反応器 20:吸収槽
25:分離槽 30:ストリッパー
40:吸熱反応器 50:蒸発濃縮器
60:脱水蒸留塔 70:蒸留塔
110、120:蒸発スチーム再圧縮機
図1
図2
図3
図4