(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-05
(45)【発行日】2022-01-20
(54)【発明の名称】センサ材料に照射される所定の種類の放射線の量の決定
(51)【国際特許分類】
G01T 1/11 20060101AFI20220113BHJP
G01T 1/10 20060101ALI20220113BHJP
G01T 1/115 20060101ALI20220113BHJP
【FI】
G01T1/11 A
G01T1/10
G01T1/115 D
(21)【出願番号】P 2020523249
(86)(22)【出願日】2018-10-17
(86)【国際出願番号】 FI2018050761
(87)【国際公開番号】W WO2019092308
(87)【国際公開日】2019-05-16
【審査請求日】2020-06-15
(32)【優先日】2017-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513323128
【氏名又は名称】トゥルン イリオピスト
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】ラストゥサアリ ミカ
(72)【発明者】
【氏名】ノルボ イザベラ
【審査官】井海田 隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-099177(JP,A)
【文献】特開昭49-089689(JP,A)
【文献】Isabella Norrbo etal.,Persistent Luminescence of Tenebrescent Na8Al6Si6O24(Cl,S)2:Multifunctional Optical Markers,Inorganic chemistry,米国,ACS publications,2015年08月06日,vol.54, no.16,pp.7717-7724
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01T 1/11
G01T 1/10
G01T 1/115
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサ材料に照射される所定の種類の放射線の量を決定する方法であって、前記方法は:
a)センサ材料を提供するステップ;
b)所定の時間の間、前記センサ材料内に所定の種類の放射線を保持するために、前記センサ材料を所定の種類の放射線に露光するステップ;
c)前記所定の種類の放射線に露光された前記センサ材料を加熱処理および/または光刺激に供するステップ、ならびに
d)前記加熱処理および/または前記光刺激に供された結果としてセンサ材料によって発せられる可視光の量を決定するステップ;
を含み、
前記センサ材料は、下記式(I)
(M’)
8(M’’)
6(M’’’)
6O
24(X,X’)
2:M’’’’
式(I)
で表され、
式中、
M’は、元素のIUPAC周期表の第1族から選択されるアルカリ金属の単原子陽イオン、またはそのような陽イオンの任意の組み合わせを表し;
M’’は、AlおよびGaからなる群から選択される金属の三価の単原子陽イオン、Bの三価の単原子陽イオン、Cr、Mn、Fe、Co、NiおよびZnからなる群から選択される元素の三価の単原子陽イオン、またはそのような陽イオンの任意の組み合わせを表し;
M’’’は、Si、Ge、Al、Ga、N、P、およびAsからなる群から選択される元素もしくはZnの単原子陽イオン、またはそのような陽イオンの任意の組み合わせの単原子陽イオンを表し;
X は、元素のIUPAC周期表の17族から選択される元素の陰イオン、もしくはそのような陰イオンの任意の組み合わせを表すか、またはXは存在せず;
X’は、O、S、Se、およびTeからなる群から選択される元素の陰イオン、もしくはそのような陰イオンの任意の組み合わせを表すか、またはX’は存在せず;ならびに
M’’’’は、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、およびZnから選択される元素のドーパント陽イオン、もしくはそのような陽イオンの任意の組み合わせを表し、またはM’’’’は存在せず;
ただし、XおよびX’の少なくとも一方が存在する、
方法。
【請求項2】
前記所定の種類の放射線が、0nm超~590nm、または0nm超~560nm、または0nm超~500nm、または0nm超~400nm、または0nm超~300nm、または0.000001~590nm、または0.000001~560nm、または0.000001~500nm、または10~590nm、または10~560nm、または10~500nm、または0.000001~400nm、または0.000001~300nm、または0.000001~10nm、または10~400nm、または10~300nm、または0.01~10nmの波長を有する電磁放射線である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記加熱処理は、前記センサ材料の温度を上昇させることを含む、請求項1~2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記センサ材料の前記光刺激は、前記センサ材料を310~1400nmの波長を有する電磁放射線に露光することを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記方法が、e)前記センサ材料によって発せられた前記決定された光の量を、前記センサ材料が露光した前記所定の種類の放射線の量との前記発せられた可視光の量の相関を示す基準と比較するステップを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
M’が、元素のIUPAC周期表の第1族から選択されるアルカリ金属の単原子陽イオン、またはそのような陽イオンの任意の組み合わせを表し、ただし、M’は、Na単独の単原子陽イオンを表さない、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
M’が、元素のIUPAC周期表の第1族から選択される様々なアルカリ金属の少なくとも2つの単原子陽イオンの組み合わせを表す、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
M’が、Li、Na、K、およびRbからなる群から選択される様々なアルカリ金属の少なくとも2つの単原子陽イオンの組み合わせを表す、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
M’が、Li、K、およびRbからなる群から選択されるアルカリ金属の単原子陽イオン、またはそのような陽イオンの任意の組み合わせを表す、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
M’が、Naの単原子陽イオンの、Liの単原子陽イオン、Kの単原子陽イオンおよび/またはRbの単原子陽イオンとの組み合わせを表す、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
Xが、F、Cl、Br、およびIからなる群から選択される元素の陰イオン、またはそのような陰イオンの任意の組み合わせを表す、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
センサ材料に照射される所定の種類の放射線の量を決定するための検出装置(1)であって、前記検出装置は:
- 請求項1~11のいずれか一項において定義した前記式(I)で表されるセンサ材料(2);
- 前記所定の種類の放射線に露光された前記センサ材料を加熱処理に供するように構成された加熱ユニット(4)、および/または前記所定の種類の放射線に露光された前記センサ材料を光刺激に供するように構成された刺激ユニット(5);ならびに
- 前記加熱処理および/または前記光刺激に供された結果として前記センサ材料によって発せられた光の量を測定するように構成された測定ユニット(6)
を含む検出装置。
【請求項13】
前記加熱ユニット(4)は、前記センサ材料の温度を上昇させるように構成される、請求項12に記載の検出装置。
【請求項14】
前記刺激ユニット(5)は、前記センサ材料を310~1400nmの波長を有する電磁放射線に露光するように構成される、請求項12または13に記載の検出装置。
【請求項15】
前記刺激ユニット(5)は、レーザ、発光ダイオード(LED)、有機発光ダイオード(OLED)、アクティブマトリックス有機発光ダイオード(AMOLED)、白熱ランプ、ハロゲンランプ、またはそれらの任意の組み合わせである、請求項12~14のいずれか一項に記載の検出装置。
【請求項16】
センサ材料に照射される所定の種類の放射線の量を決定するためのシステム(7)であって、前記システム
(7)は、以下:
- 前記センサ材料内の前記所定の種類の放射線を所定の期間保持するために、前記センサ材料を前記所定の種類の放射線に露光するように構成された放射ユニット(3);ならびに
- 請求項12~15のいずれか一項において定義した検出装置
を含む、システム(7)。
【請求項17】
前記放射ユニット(3)は、前記センサ材料を、0nm超~590nm、または0nm超~560nm、または0nm超~500nm、または0nm超~400nm、または0nm超~300nm、または0.000001~590nm、または0.000001~560nm、または0.000001~500nm、または10~590nm、または10~560nm、または10~500nm、または0.000001~400nm、または0.000001~300nm、または0.000001~10nm、または10~400nm、または10~300nm、または0.01~10nmの波長を有する電磁放射線に露光するように構成される、請求項16に記載のシステム
(7)。
【請求項18】
前記システ
ム(7)が、前記センサ材料によって発せられた前記決定された量の光の、前記センサ材料が露光された前記所定の種類の放射線の量との相関を示すように構成された基準を含む、請求項16または17に記載のシステム
(7)。
【請求項19】
請求項1~11のいずれか一項において定義した前記式(I)で表されるセンサ材料に照射される所定の種類の放射線の量を決定するための、加熱処理および/または光刺激の使用。
【請求項20】
請求項1~11のいずれか一項において定義した前記式(I)によって表されるセンサ材料の、前記センサ材料に照射される所定の種類の放射線の量を決定するための使用であって、前記センサ材料は、前記所定の種類の放射線に露光され、所定の期間、前記センサ材料内に前記所定の種類の放射線を保持し、その後、加熱処理および/または光刺激に供される使用。
【請求項21】
請求項1~11のいずれか一項において定義した前記式(I)で表されるセンサ材料の、熱ルミネセンス線量計における、または光学刺激ルミネセンス線量計における使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、センサ材料に照射される所定の種類の放射線の量を決定する方法に関する。本出願は、更に、センサ材料に照射される所定の種類の放射線の量を決定するための検出装置およびシステムに関する。本出願はさらに、様々な用途に関する。
【背景技術】
【0002】
高レベルの紫外線(UV)照射は、太陽光または日焼け紫外線装置によって引き起こされるかどうかにかかわらず、皮膚癌、皮膚の他の疾患、ならびに皮膚老化の可能性を増大させる悪影響を有する。したがって、紫外線からいつカバーを求めるか、またはいつ日焼け止めローションを塗布もしくは再塗布するかを知ることが重要である。同じことは、例えば、医療器具または診断における様々な用途で使用される、X線またはアルファ線、ベータ線、またはガンマ線のような他の種類の放射線にも当てはまる。したがって、物体が曝露された放射線の量を知ることは、様々な用途において高い関連性を有する。本発明者らは、物体が曝露された所定の種類の放射線の量を指示するかまたは決定する方法の必要性を認識した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本出願の目的は、センサ材料に照射される所定の種類の放射線の量を決定するための新しい方法を提供することである。さらに、本出願の目的は、センサ材料に照射される所定の種類の放射線の量を決定するための新しい検出装置を提供することである。さらに、本出願の目的は、センサ材料に照射される所定の種類の放射線の量を決定するための新しいシステムを提供することである。さらに、本出願の目的は、様々な用途を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本出願による方法は、請求項1に提示されているものによって特徴付けられる。
【0005】
本出願による検出装置は、請求項18に提示されているものによって特徴付けられる。
【0006】
本出願によるシステムは、請求項22に提示されているものによって特徴付けられる。
【0007】
本出願による使用は、請求項25、請求項26、および請求項27に提示されるものによって特徴付けられる。
【0008】
検出装置、システム、および方法のさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、実施形態を例示し、説明とともに、上記の原理を説明するのを助ける。図面において:
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、検出装置の一実施形態を概略的に示す。
【
図2】
図2は、システムの一実施形態を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本出願は、センサ材料に照射される所定の種類の放射線の量を決定する方法であって、前記方法は:
a)センサ材料を提供するステップ;
b)所定の時間の間、センサ材料内に所定の種類の放射線を保持するために、センサ材料を所定の種類の放射線に露光するステップ;
c)所定の種類の放射線に露光されたセンサ材料を加熱処理および/または光刺激に供するステップ、ならびに
d)加熱処理および/または光刺激に供された結果としてセンサ材料によって発せられる可視光の量を決定するステップ;
を含み、
センサ材料は、下記式(I)
(M’)8(M’’M’’’)6O24(X,X’)2:M’’’’
式(I)
で表され、
式中、
M’は、元素のIUPAC周期表の第1族から選択されるアルカリ金属の単原子陽イオン、またはそのような陽イオンの任意の組み合わせを表し;
M’’は、元素のIUPAC周期表の第13族から選択される元素、もしくは元素のIUPAC周期表の第3~12族のいずれかから選択される遷移元素の三価の単原子陽イオン、またはそのような陽イオンの任意の組み合わせを表し;
M’’’は、元素のIUPAC周期表の第14族から選択される元素、もしくは元素のIUPAC周期表の第13族および第15族のいずれかから選択される元素、もしくはZn、またはそのような陽イオンの任意の組み合わせの単原子陽イオンを表し;
Xは、元素のIUPAC周期表の17族から選択される元素の陰イオン、もしくはそのような陰イオンの任意の組み合わせを表すか、またはXは存在せず;
X’は、元素のIUPAC周期表の16族から選択される元素の陰イオン、もしくはそのような陰イオンの任意の組み合わせを表すか、またはX’は存在せず;ならびに
M’’’’は、元素のIUPAC周期表の遷移金属から選択される元素のドーパント陽イオン、もしくはそのような陽イオンの任意の組み合わせを表し、またはM’’’’は存在せず;
ただし、XおよびX’の少なくとも一方が存在する、
方法に関する。
【0011】
本出願は、センサ材料に照射される所定の種類の放射線の量を決定するための検出装置であって、前記検出装置は:
- 本明細書中で定義した式(I)で表されるセンサ材料;
- 所定の種類の放射線に露光されたセンサ材料を加熱処理に供するように構成された加熱ユニット、および/または所定の種類の放射線に露光されたセンサ材料を光刺激に供するように構成された刺激ユニット;ならびに
- 加熱処理および/または光刺激に供された結果としてセンサ材料によって発せられた可視光の量を測定するように構成された測定ユニット
を含む検出装置に関する。
【0012】
本出願は、さらに、センサ材料に照射される所定の種類の放射線の量を決定するためのシステムであって、前記システムは、以下:
- センサ材料内の所定の種類の放射線を所定の期間保持するために、センサ材料を所定の種類の放射線に露光するように構成された放射ユニット;ならびに
- 本明細書中で定義した検出装置
を含む、システムに関する。
【0013】
本出願は、さらに、センサ材料に照射される所定の種類の放射線の量を決定するためのシステムであって、前記システムは、以下:
- 本明細書中で定義した式(I)で表されるセンサ材料;
- センサ材料内の所定の種類の放射線を所定の期間保持するために、センサ材料を所定の種類の放射線に露光するように構成された放射ユニット;
- 所定の種類の放射線に露光されたセンサ材料を加熱処理に供するように構成された加熱ユニット、および/または所定の種類の放射線に露光されたセンサ材料を光刺激に供するように構成された刺激ユニット;ならびに
- 加熱処理および/または光刺激に供された結果としてセンサ材料によって発せられた可視光の量を測定するように構成された測定ユニット
を含む。
【0014】
本出願はさらに、本明細書中で定義した式(I)で表されるセンサ材料に照射される所定の種類の放射線の量を決定するための加熱処理および/または光刺激の使用に関する。
【0015】
本出願は、さらに、センサ材料に照射される所定の種類の放射線の量を決定するための、本明細書中で定義した式(I)によって表されるセンサ材料の使用に関し、センサ材料は、所定の種類の放射線に露光されて、所定の期間、センサ材料内に所定の種類の放射線を保持し、その後、加熱処理および/または光刺激に供される。
【0016】
本出願はさらに、本明細書中で定義した式(I)で表されるセンサ材料の、熱ルミネセンス線量計における、または光学的に刺激されたルミネセンス線量計における使用に関する。
【0017】
一実施形態では、所定の種類の放射線の量は、所定の種類の放射線の線量および/または強度を指す。一実施形態では、センサ材料によって発せられる可視光の量は、センサ材料によって発せられる可視光の線量および/または強度を指す。
【0018】
本発明者らは、驚くべきことに、式(I)で表されるセンサ材料が、その上に照射される放射線を保持することができることを見出した。さらに、本発明者らは、驚くべきことに、式(I)によって表されるセンサ材料が、その上に照射された放射線を保持するその能力と共に、発光材料として機能する能力により、照射される所定のタイプの放射線の量を示すかまたは決定するために使用できることを見出した。例えば、照射が関係するさまざまな用途の物体。物体が露光された放射線の量を正確に決定できることは、光線療法中などの多くの用途で有益である。発光材料は、例えば発光素子によって発せられる第1の波長範囲の光を受け、吸収することができ、吸収されたエネルギーを1つ以上の他の波長範囲で発することができる材料である。
【0019】
一実施形態では、所定の種類の放射線は、所定の種類の粒子放射線である。一実施形態では、粒子放射線は、アルファ放射線、ベータ放射線、中性子放射線、またはそれらの任意の組み合わせである。
【0020】
一実施形態では、所定の種類の放射線は、所定の種類の電磁放射線である。一実施形態では、所定の種類の放射線は、0nm超~590nm、または0nm超~560nm、または0nm超~500nm、または0nm超~400nm、または0nm超~300nm、または0.000001~590nm、または0.000001~560nm、または0.000001~500nm、または10~590nm、または10~560nm、または10~500nm、または0.000001~400nm、または0.000001~300nm、または0.000001~10nm、または10~400nm、または10~300nm、または0.01~10nmの波長を有する電磁放射線である。一実施形態では、放射ユニットは、センサ材料を、0nm超~590nm、または0nm超~560nm、または0nm超~500nm、または0nm超~400nm、または0nm超~300nm、または0.000001~590nm、または0.000001~560nm、または0.000001~500nm、または10~590nm、または10~560nm、または10~500nm、または0.000001~400nm、または0.000001~300nm、または0.000001~10nm、または10~400nm、または10~300nm、または0.01~10nmの波長を有する電磁放射に露光するように構成される。
【0021】
一実施形態では、所定の種類の放射線は、紫外線、X線、ガンマ線、またはそれらの任意の組み合わせである。一実施形態では、所定の種類の放射線は、紫外線である。一実施形態では、所定の種類の放射線は、X線である。一実施形態では、所定の種類の放射線は、ガンマ線である。
【0022】
紫外線は、10nm(30PHz)~400nm(750THz)の波長を有する電磁放射線である。紫外線(UVR)の電磁スペクトルは、紫外線A(UVA)、紫外線B(UVB)、紫外線C(UVC)を含む、ISO規格ISO-21348によって推奨される多数の範囲に細分することができる。UVAの波長は、一般に315~400nmであると考えられ、UVBの波長は、一般に280~320nmであると考えられ、UVCの波長は、一般に100~290nmであると考えられる。
【0023】
一実施形態では、紫外線は、紫外線A、紫外線Bおよび/または紫外線Cを含む。一実施形態では、紫外線は、紫外線A、紫外線Bおよび/または紫外線Cからなる。一実施形態では、紫外線は、紫外線A、紫外線Bおよび/または紫外線Cである。
【0024】
X線は、波長0.01nm~10nmの電磁放射線である。
【0025】
ガンマ線は、波長0.000001nm~0.01nmの電磁放射線である。
【0026】
一実施形態では、所定のタイプの電磁放射線は、太陽光である。一実施形態では、所定のタイプの電磁放射線は、人工放射線源から、または太陽光から生じる。一実施形態では、人工放射線は、UV光、LED光、ハロゲン光、太陽シミュレータ光、蛍光、X線、またはそれらの任意の組み合わせである。
【0027】
一実施形態では、センサ材料は、0.5~60秒間、または1~20秒間、所定の種類の放射線に露光される。一実施形態では、センサ材料は、0.5秒~6週間、所定の種類の放射線に露光される。一実施形態では、センサ材料は、0.5~6週間、または1~4週間、または2~3週間、所定の種類の放射線に露光される。センサ材料が所定の種類の放射線に露光されることを許容される時間は、センサ材料が使用される用途に、従って、センサ材料が露光される放射線の種類に依存し得る。
【0028】
一実施形態では、照射された所定の種類の放射線は、センサ材料を加熱処理および/または光刺激に供する前に、所定の期間、センサ材料内に保持される。一実施形態では、所定の期間は、少なくとも1分、または少なくとも2分、または少なくとも5分、または少なくとも10分、または少なくとも15分、または少なくとも0.5時間、または少なくとも1時間、または少なくとも2時間、または少なくとも5時間、または少なくとも6時間、または少なくとも8時間、または少なくとも12時間、または少なくとも18時間、または少なくとも24時間、または少なくとも1週間、または少なくとも1ヶ月である。一実施形態では、所定の期間は、最大3ヶ月、または最大1ヶ月、または最大1週間、または最大24時間である。一実施形態では、所定の期間は、1分~3ヶ月、または10分~1ヶ月、または0.5時間~1週間である。一実施形態では、前記所定の期間は、0.5時間~3ヶ月である。
【0029】
本発明者らは、驚くべきことに、この出願に記載されるようなセンサ材料が、放射線エネルギーを保持する能力を有すること、すなわち、センサ材料が、その中に放射線を捕捉することができることを見出した。本発明者らはさらに、驚くべきことに、保持された放射線が、加熱処理および/または光刺激によってセンサ材料から放出され得ることを見出した。本発明者らは、驚くべきことに、センサ材料の温度を上昇させた結果、センサ材料が可視光を発するようにすることが可能であることを見出した。つまり、センサ材料が使用される温度からセンサ材料の温度を上昇させると、センサ材料が可視光を発することができる結果となり得る。一実施形態では、加熱処理は、センサ材料を加熱することを含む。一実施形態では、加熱処理は、センサ材料の温度を上昇させることを含む。一実施形態では、加熱処理は、ステップb)におけるセンサ材料の温度と比較してセンサ材料の温度を上昇させることを含む。一実施形態では、加熱処理は、センサ材料の温度を少なくとも10℃、または少なくとも50℃、または少なくとも100℃、または少なくとも500℃上昇させることを含む。一実施形態では、加熱処理は、センサ材料を-196℃~600℃、または-196℃~400℃、または0~600℃、または120~500℃、または180~400℃の温度に供することを含む。一実施形態では、加熱ユニットは、センサ材料を加熱するように構成される。一実施形態では、加熱ユニットは、センサ材料の温度を上昇させるように構成される。一実施形態では、加熱ユニットは、所定の種類の放射線に露光されたときに、センサ材料の温度をセンサ材料の温度と比較して上昇させるように構成される。一実施形態では、加熱ユニットは、センサ材料の温度を少なくとも10℃、または少なくとも50℃、または少なくとも100℃、または少なくとも500℃上昇させるように構成される。一実施形態では、加熱ユニットは、センサ材料を-196℃~600℃、または-196℃~400℃、または0~600℃、または120~500℃、または180~400℃の温度に供するように構成される。一実施形態では、センサ材料は、0.5秒~10分、または1~5秒、または1秒~3分の間、加熱処理に供される。
【0030】
一実施形態では、センサ材料の光刺激は、310~1400nmの波長を有する電磁放射線にセンサ材料を露光することを含む。一実施形態では、センサ材料の光刺激は、センサ材料を紫外線および/または近赤外線に露光することを含む。一実施形態では、刺激ユニットは、310~1400nmの波長を有する電磁放射線にセンサ材料を露光するように構成される。一実施形態では、センサ材料の光刺激は、レーザ、発光ダイオード(LED)、有機発光ダイオード(OLED)、アクティブマトリックス有機発光ダイオード(AMOLED)、白熱灯、ハロゲンランプ、任意の他の光刺激発光光源、またはそれらの任意の組み合わせを使用することによって実行される。一実施形態では、刺激ユニットは、レーザ、発光ダイオード(LED)、有機発光ダイオード(OLED)、アクティブマトリックス有機発光ダイオード(AMOLED)、白熱灯、ハロゲンランプ、任意の他の光刺激ルミネセンス光源、またはそれらの任意の組み合わせである。
【0031】
一実施形態では、センサ材料によって発せられる可視光の量は、光学的画像によって、写真撮影によって、熱的に刺激されたルミネセンスによって、および/または光学的に刺激されたルミネセンスによって決定される。一実施形態では、センサ材料によって発せられる可視光の量は、視覚的に決定される。
【0032】
一実施形態では、方法は、e)センサ材料によって発せられた決定された可視光の量を、発せられた可視光の量の相関を示す基準と、センサ材料が露光された所定の種類の放射線の量と比較するステップを含む。一実施形態において、検出装置は、センサ材料によって発せられた可視光の決定された量の、センサ材料が露光された所定の種類の放射線の量との相関を示すように構成された基準を含む。一実施形態において、システムは、センサ材料によって発せられた可視光の決定された量の、センサ材料が露光された所定の種類の放射線の量との相関を示すように構成された基準を含む。基準は、例えば、所定の種類の放射線の量とセンサ材料によって発せられる可視光の量との間の相関を示すカード等であってもよい。
【0033】
本発明者らは、驚くべきことに、式(I)によって表されるセンサ材料によって発せられる可視光の量が放射線露光に依存することを見出した。一実施形態では、センサ材料によって発せられる可視光の量は、センサ材料が露光された所定の種類の放射線の量に相関するか、または依存する。一実施形態では、センサ材料によって発せられる可視光の量は、センサ材料が露光された所定の種類の放射線の量に比例する。
【0034】
一実施形態では、M’は、Na、Li、K、およびRbからなる群から選択されるアルカリ金属の単原子陽イオン、またはそのような陽イオンの任意の組み合わせを表す。一実施形態では、M’は、Li、K、およびRbからなる群から選択されるアルカリ金属の単原子陽イオン、またはそのような陽イオンの任意の組み合わせを表す。
【0035】
一実施形態では、M’は、元素のIUPAC周期表の第1族から選択されるアルカリ金属の単原子陽イオン、またはそのような陽イオンの任意の組み合わせを表し、ただし、M’は、Na単独の単原子陽イオンを表さない。一実施形態では、M’は、Na単独の単原子陽イオンを表さない。
【0036】
一実施形態では、センサ材料は合成材料である。一実施形態では、センサ材料は合成的に製造される。
【0037】
XおよびX’の少なくとも1つが存在するという条件は、本明細書中で、特に断らない限り、XもしくはX’のいずれかが存在するように、またはXおよびX’の両方が存在するように理解されるべきである。
【0038】
本明細書において、特に断らない限り、表現「単原子イオン」は、単一の原子からなるイオンと解釈されるべきである。イオンが1つ以上の原子を含む場合には、これらの原子が同じ元素であっても、多原子イオンであると解釈されるべきである。したがって、本明細書において、特に断らない限り、表現「単原子陽イオン」は、単一の原子からなる陽イオンであると解釈されるべきである。
【0039】
種々のソーダライト材料であるハックマナイトは、Na8Al6Si6O24(Cl,S)2の化学式を有する天然鉱物である。長い発光残光を示す合成ハックマナイト系材料を、調製することができる。式(I)で表されるセンサ材料は、例えば、紫外線または太陽光に露光される結果として、長い白色残光を示すという技術的効果を有する。一実施形態では、センサ材料の発光の波長は、370~730nmである。一実施形態では、センサ材料の発光のピークは、約515nmである。
【0040】
本明細書では、特に断らない限り、表現「残光」、「ルミネセンス」、「持続性ルミネセンス」、「リン光」、または任意の対応する表現は、加熱処理および/または光刺激に供された後に暗所でそれらを発光させる材料において遭遇する現象を指すものとして理解されるべきである。
【0041】
一実施形態では、M’は、元素のIUPAC周期表の第1族から選択される様々なアルカリ金属の少なくとも2つの単原子陽イオンの組み合わせを表す。
【0042】
一実施形態では、M’は、元素のIUPAC周期表の第1族から選択される様々なアルカリ金属の少なくとも2つの単原子陽イオンの組み合わせを表し、この組み合わせは、Naの単原子陽イオンの最大66モルパーセント(mol-%)を含む。一実施形態では、M’は、元素のIUPAC周期表の第1族から選択される様々なアルカリ金属の少なくとも2つの単原子陽イオンの組み合わせを表し、この組み合わせは、Naの単原子陽イオンの最大50mol-%を含む。一実施形態では、M’は、元素のIUPAC周期表の第1族から選択される様々なアルカリ金属の少なくとも2つの単原子陽イオンの組み合わせを表し、この組み合わせは、Naの単原子陽イオンの最大40mol-%、またはNaの単原子陽イオンの最大30mol-%、またはNaの単原子陽イオンの最大20mol-%を含む。
【0043】
一実施形態では、M’は、元素のIUPAC周期表の第1族から選択される様々なアルカリ金属の少なくとも2つの単原子陽イオンの組み合わせを表し、この組み合わせは、Naの単原子陽イオンの0~98mol-%を含む。一実施形態では、M’は、元素のIUPAC周期表の1族から選択される様々なアルカリ金属の少なくとも2つの単原子陽イオンの組み合わせを表し、この組み合わせは、Kの単原子陽イオンの0~100mol-%を含む。一実施形態では、M’は、元素のIUPAC周期表の1族から選択される様々なアルカリ金属の少なくとも2つの単原子陽イオンの組み合わせを表し、この組み合わせは、Rbの単原子陽イオンの0~100mol-%を含む。一実施形態では、M’は、元素のIUPAC周期表の第1族から選択される様々なアルカリ金属の少なくとも2つの単原子陽イオンの組み合わせを表し、この組み合わせは、Liの単原子陽イオンの0~100mol-%を含む。
【0044】
一実施形態では、M’は、Li、Na、K、およびRbからなる群から選択される様々なアルカリ金属の少なくとも2つの単原子陽イオンの組み合わせを表す。一実施形態では、M’は、Li、Na、K、およびRbからなる群から選択される様々なアルカリ金属の2つの単原子陽イオンの組み合わせを表す。一実施形態では、M’は、Li、Na、K、およびRbからなる群から選択される様々なアルカリ金属の3つの単原子陽イオンの組み合わせを表す。一実施形態では、M’は、Li、Na、K、およびRbの単原子陽イオンの組み合わせを表す。
【0045】
一実施形態では、M’は、Naの単原子陽イオンのLiの単原子陽イオン、Kの単原子陽イオンおよび/またはRbの単原子陽イオンとの組み合わせを表す。一実施形態では、M’は、Naの単原子陽イオンのKの単原子陽イオンまたはRbの単原子陽イオンとの組み合わせを表す。一実施形態では、M’は、Naの単原子陽イオンのKの単原子陽イオンおよびRbの単原子陽イオンとの組み合わせを表す。
【0046】
一実施形態では、M’は、Naの単原子陽イオンとKの単原子陽イオンとの組み合わせ;またはNaの単原子陽イオンとRbの単原子陽イオンとの組み合わせ;またはKの単原子陽イオンとRbの単原子陽イオンとの組み合わせ;またはNaの単原子陽イオン、Kの単原子陽イオン、およびRbの単原子陽イオンの組み合わせ;またはKの単原子陽イオンとRbの単原子陽イオンとの組み合わせを表す。
【0047】
一実施形態では、M’は、Liの単原子陽イオンとNaの単原子陽イオンとの組み合わせ、またはLiの単原子陽イオンとKの単原子陽イオンとの組み合わせ、またはLiの単原子陽イオンとRbの単原子陽イオンとの組み合わせ、またはLiの単原子陽イオン、Kの単原子陽イオン、およびRbの単原子陽イオンの組み合わせ、またはLiの単原子陽イオン、Naの単原子陽イオン、Kの単原子陽イオン、およびRbの単原子陽イオンの組み合わせを表す。
【0048】
一実施形態では、M’は、Liの単原子陽イオンを表す。一実施形態では、M’は、Kの単原子陽イオンを表す。一実施形態では、M’は、Rbの単原子陽イオンを表す。
【0049】
元素のIUPAC周期表の第1族から選択される様々なアルカリ金属の少なくとも2つの単原子陽イオンの組み合わせを制御することによって、材料の色を変化させ、かつ/または残光を示す効果を調整することが可能になる。
【0050】
一実施形態では、M’’は、AlおよびGaからなる群から選択される金属の三価の単原子陽イオン、またはそのような陽イオンの組み合わせを表す。
【0051】
一実施形態では、M’’は、Bの三価の単原子陽イオンを表す。
【0052】
一実施形態では、M’’は、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、およびZnからなる群から選択される元素の三価の単原子陽イオン、またはそのような陽イオンの任意の組み合わせを表す。
【0053】
一実施形態では、M’’’は、Si、Ge、Al、Ga、N、P、およびAsからなる群から選択される元素の単原子陽イオン、またはそのような陽イオンの任意の組み合わせを表す。
【0054】
一実施形態では、M’’’は、SiおよびGeからなる群から選択される元素の単原子陽イオン、またはそのような陽イオンの組み合わせを表す。
【0055】
一実施形態では、M’’’は、Al、Ga、N、P、およびAsからなる群から選択される元素の単原子陽イオン、またはそのような陽イオンの任意の組み合わせを表す。
【0056】
一実施形態では、M’’’は、AlおよびGaからなる群から選択される元素の単原子陽イオン、またはそのような陽イオンの組み合わせを表す。
【0057】
一実施形態では、M’’’は、N、P、およびAsからなる群から選択される元素の単原子陽イオン、またはそのような陽イオンの任意の組み合わせを表す。
【0058】
一実施形態では、M’’’は、Znの単原子陽イオンを表す。
【0059】
一実施形態では、Xは、F、Cl、Br、I、およびAtからなる群から選択される元素の陰イオン、またはそのような陰イオンの任意の組み合わせを表す。一実施形態では、Xは、F、Cl、Br、およびIからなる群から選択される元素の陰イオン、またはそのような陰イオンの任意の組み合わせを表す。一実施形態では、Xは存在しない。
【0060】
一実施形態では、X’は、O、S、Se、およびTeからなる群から選択される元素の陰イオン、またはそのような陰イオンの任意の組み合わせを表す。一実施形態では、X’は、Sの陰イオンを表す。一実施形態では、X’は存在しない。
【0061】
一実施形態では、材料は、少なくとも1つの遷移金属イオンでドープされる。一実施形態では、材料は、式(I)によって表され、式中、M’’’’は、元素のIUPAC周期表の遷移金属から選択される元素の陽イオン、またはそのような陽イオンの任意の組み合わせを表す。一実施形態では、M’’’’は、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、およびZnからなる群から選択される元素の陽イオン、またはそのような陽イオンの任意の組み合わせを表す。一実施形態では、M’’’’は、Tiの陽イオンを表す。
【0062】
一実施形態では、材料は式(I)で表され、式中、M’’’’は存在しない。この実施形態では、材料はドープされていない。
【0063】
一実施形態では、式(I)によって表される材料は、材料の総量に基づいて0.001~10mol-%、または0.001~5mol-%、または0.1~5mol-%の量のM’’’’を含む。
【0064】
一実施形態では、材料は、以下からなる群から選択される:
【化1】
【化2】
式中、
x+y+z≦1であり、
x≧0、y≧0、z≧0である。
【0065】
一実施形態では、材料は、(Li,Na)8(AlSi)6O24(Cl,S)2:Ti(Na,K)8(AlSi)6O24(Cl,S)2:Ti、および(Na,Rb)8(AlSi)6O24(Cl,S)2:Tiからなる群から選択される。
【0066】
一実施形態では、材料は、Norrbo et al.(Norrbo,I.;Gluchowski,P.;Paturi,P.;Sinkkonen,J.;Lastusaari,M.,Persistent Luminescence of Tenebrescent Na8Al6Si6O24(Cl,S)2:Multifunctional Optical Markers.Inorg.Chem.2015,54,7717-7724)に従う反応によって合成され、当該参考文献は、Armstrong & Weller (Armstrong,J.A.;Weller,J.A.Structural Observation of Photochromism.Chem.Commun.2006,1094-1096)に基づいており、化学量論量のゼオライトAおよびNa2SO4ならびに出発物質としてLiCl、NaCl、KClおよび/またはRbClを使用する。少なくとも1つのドーパントは、TiO2のような酸化物として添加される。材料は、以下のように調製することができる:ゼオライトAを、最初に500℃で1時間乾燥させる。次いで、最初の混合物を、大気中で48時間850℃で加熱する。その後、生成物は、室温まで自由に冷却され、粉砕される。最後に、その生成物は、流動12%H2+88%N2雰囲気下で、850℃で2時間再加熱される。調製したままの材料を水で洗浄して、過剰のLiCl/NaCl/KCl/RbCl不純物をすべて除去する。純度は、X線粉末回折測定で検証できる。
【0067】
一実施形態では、センサ材料は、第1の波長で光を受け、それによって受けたエネルギーの少なくとも一部を、第1の波長よりも長い第2の波長の光として発することができる。一実施形態では、センサ材料は、照明装置によって発せられた光の少なくとも一部を受け、それによって受けたエネルギーの少なくとも一部を、第1の波長よりも長い第2の波長の光として発するように構成される。一実施形態では、発せられた光は、センサ材料によって少なくとも部分的に吸収され、それによって吸収されたエネルギーは、センサ材料によって少なくとも部分的に発せられるため、ルミネセンスセンサ材料によって発せられた光のスペクトルは、それによって受光された光のスペクトルとは異なる。第2の波長が第1の波長よりも長いことは、発光体によって発せられる光のスペクトルのピーク波長が、発光体によって吸収される光のスペクトルのピーク波長よりも高いことを意味する。
【0068】
一実施形態では、センサ材料は、白色光発光材料である。一実施形態では、センサ材料は、少なくとも50時間、または少なくとも55時間、または少なくとも60時間、または少なくとも65時間持続するように構成される。センサ材料は、白色の長い残光を示すことができるという付加された有用性を有する。本発明を、なぜセンサ材料が前述の利点をもたらすかについてのいかなる特定の理論にも限定することなく、ドーピング陽イオンの存在は、材料が長期間持続することを可能にするように材料に影響を及ぼすと考えられるべきである。
【0069】
一実施形態では、センサ材料は、センサ素子の一部である。発光センサ材料またはセンサ素子は、例えば、ボトル上のラベルに貼り付けることができる。この材料は、プラスチックボトル、ステッカー、ガラスおよび同様の製品の製造に使用される原料中に粉末として混合することもできる。本出願は、さらに、本明細書に記載の1つ以上の実施形態による材料の3D印刷における使用に関する。
【0070】
一実施形態では、本明細書に記載の方法は、画像化、診断、薬物開発、製品開発、試験、または検出技術に使用される。一実施形態では、本明細書に記載の検出デバイスは、画像化、診断、薬物開発、製品開発、試験、または検出技術に使用される。一実施形態では、本明細書に記載のシステムは、画像化、診断、薬物開発、製品開発、試験、または検出技術に使用される。一実施形態では、画像化は、インビボ画像化である。一実施形態では、画像化は、医用画像化である。一実施形態では、診断は、インビボ診断である。一実施形態では、検査は、ポイントオブケア検査である。一実施形態では、本明細書に記載の方法、検出デバイス、および/またはシステムは、ヒトまたは動物の身体から受けた試料を診断する際に使用することができる。一実施形態では、試料は、体液および組織からなる群から選択される。一実施形態では、試料は、血液、皮膚、組織および/または細胞を含む。
【0071】
上記の利益および利点は、1つの実施形態に関連し得るか、またはいくつかの実施形態に関連し得ることが理解される。実施形態は、記載された問題のいずれかもしくはすべてを解決するもの、または記載された利益および利点のいずれかもしくはすべてを有するものに限定されない。
【0072】
上述した本発明の実施形態は、互いに任意の組み合わせで使用することができる。いくつかの実施形態を一緒に組み合わせて、本発明のさらなる実施形態を形成することができる。本発明が関連する検出装置、システム、使用、または方法は、上述の本発明の実施形態のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0073】
センサ材料は、センサ材料が露光された放射線の量を決定することができることが有益である広範囲の用途に使用することができるという付加された有用性を有する。センサ材料は、低コストで再利用可能な材料であるという付加された有用性を有する。この材料は、いかなる希土類元素または他の重金属元素をも含有しないので、環境に優しいという付加された有用性を有する。
【0074】
本出願の方法、検出装置、およびシステムは、例えば、物体が露光された太陽光中に存在する例えば紫外線などの所定のタイプの放射線の量または線量を効率的な様式で決定することを可能にする付加された有用性を有する。
【実施例】
【0075】
ここで、例が添付の図面に示されている、記載された実施形態を詳細に参照する。
【0076】
以下の説明は、当業者が本開示に基づく検出装置および方法を利用することができる程度に詳細にいくつかの実施形態を開示する。実施形態のすべてのステップが詳細に説明されるわけではなく、ステップの多くは、本明細書に基づいて当業者には明らかであろう。
【0077】
簡単の理由のために、以下の例示的な実施形態では、構成要素を繰り返す場合には、項目番号が維持される。
【0078】
図1は、センサ材料に照射される所定の種類の放射線の量を決定するための検出装置1の一実施形態を概略的に示す。
図1に示すような検出装置1は、本明細書に記載されるようなセンサ材料2を備える。センサ材料2は、露光された放射線を保持することができる。
図1に示す検出装置1は、加熱ユニット4および/または刺激ユニット5をさらに備える。この加熱ユニットは、所定の種類の放射線に露光されたセンサ材料を加熱処理に供するように構成されている。刺激ユニットは、所定の種類の放射線に露光されたセンサ材料を光刺激に供するように構成されている。加熱および/または光刺激の使用によって、センサ材料が可視光を発することを生じることができる。次いで、センサ材料によって発せられる可視光の量は、センサ材料によって発せられる可視光の量を測定するように構成された測定ユニット6によって測定することができる。加熱処理および/または光刺激を受けた結果としてセンサ材料によって発せられる可視光の量は、センサ材料が露光された所定の種類の放射線の量に対応するか、または相関する。
【0079】
図2は、センサ材料に照射される所定の種類の放射線の量を決定するためのシステム7の一実施形態を概略的に示す。
図2に示すシステム7は、放射ユニット3を備え、これは、本明細書に記載されているように、センサ材料2を所定の種類の放射線に露光するように構成されている。
図2の太矢印は、放射ユニット3がセンサ材料2に照射した放射線を示すものである。センサ材料2は、露光された放射線を保持することができ、それによって、センサ材料は、必要に応じて、放射の場所から分析のための別の場所に移すことができる。しかしながら、センサ材料は、放射照度の場所で同等に良好に分析され得る。
図2に示すシステムは、加熱ユニット4および/または刺激ユニット5をさらに備える。加熱ユニットは、所定の種類の放射線に露光されたセンサ材料を加熱処理に供するように構成されている。刺激ユニットは、所定の種類の放射線に露光されたセンサ材料を光刺激に供するように構成されている。加熱および/または光刺激の使用によって、センサ材料が可視光を発することを生じることができる。次いで、センサ材料によって発せられる可視光の量を、測定ユニット6によって測定することができ、これは、センサ材料によって発せられる可視光の量を測定するように構成されている。加熱処理および/または光刺激を受けた結果としてセンサ材料によって発せられる可視光の量は、センサ材料が露光された所定の種類の放射線の量に対応するか、または相関する。
【0080】
以下の実施例では、式(I)で表される材料をいかにして調製することができるかを提示する。
【0081】
実施例1-(Li,Na)
8
Al
6
Si
6
O
24
(Cl,S)
2
:Tiの調製
式(Li,Na)8Al6Si6O24(Cl,S)2:Tiで表される材料は、次の方法で調製した:0.7000gの乾燥(500℃、1時間)ゼオライトA、0.0600gのNa2SO4および0.1700gのLiCl粉末を、0.006gのTiO2粉末と一緒に混合した。該混合物を、850℃で大気中で48時間加熱した。生成物を室温まで自由に冷却し、粉砕した。最後に、その生成物を、流動12%H2+88%N2雰囲気下で、850℃で2時間再加熱した。
【0082】
実施例2-(Na,K)
8
Al
6
Si
6
O
24
(Cl,S)
2
:Tiの調製
式(Na,K)8Al6Si6O24(Cl,S)2:Tiで表される材料は、次の方法で調製した:0.7000gの乾燥(500℃、1時間)ゼオライトA、0.0600gのNa2SO4および0.1800gのNaClおよび0.0675gのKCl粉末を、0.006gのTiO2粉末と一緒に混合した。該混合物を、850℃で大気中で48時間加熱した。生成物を室温まで自由に冷却し、粉砕した。最後に、その生成物を、流動12%H2+88%N2雰囲気下で、850℃で2時間再加熱した。
【0083】
実施例3-(Na,Rb)
8
Al
6
Si
6
O
24
(Cl,S)
2
:Tiの調製
式(Na,Rb)8Al6Si6O24(Cl,S)2:Tiで表される材料は、次の方法で調製した:0.7000gの乾燥(500℃、1時間)ゼオライトA、0.0600gのNa2SO4および0.4957gのRbCl粉末を、0.006gのTiO2粉末と一緒に混合した。該混合物を、850℃で大気中で48時間加熱した。生成物を室温まで自由に冷却し、粉砕した。最後に、その生成物を、流動12%H2+88%N2雰囲気下で、850℃で2時間再加熱した。
【0084】
実施例4-(Na,K)
8
Al
6
Si
6
O
24
(Cl,S)
2
の試料の試験
最初に、式(Na,K)8Al6Si6O24(Cl,S)2で表される材料を、次の方法で調製した:0.7000gの乾燥(500℃、1時間)ゼオライトA、0.0600gのNa2SO4および0.1800gのNaClおよび0.0675gのKCl粉末を、混合した。該混合物を、850℃で大気中で48時間加熱した。生成物を室温まで自由に冷却し、粉砕した。最後に、その生成物を、流動12%H2+88%N2雰囲気下で、850℃で2時間再加熱した。
【0085】
次に、調製したセンサ材料の試料を試験した。最初に、調製した材料の試料を、4Wのハンドヘルド254nmUVランプ(UVP UVGL-25)を用いて10秒間照射した。各試料に、様々な放射照度(0~2.0mW/cm
2)を照射した。照射した3日後、試料を10℃/秒の速度で0℃から400℃に昇温することによって加熱した。それらの熱ルミネセンスグロー能力を、MikroLab Thermoluminescent Materials Laboratory Reader RA’04を用いて測定した。結果を
図3に示し、様々な放射照度に対して、熱ルミネセンスグロー曲線および全熱ルミネセンス強度を提示する。
【0086】
従って、
図3に提示される結果は、調製された材料が、その上に照射された放射線を保持することができ、その結果、放射線の量は、加熱処理に供された場合に可視光を発するセンサ材料の能力に基づいて後に決定され得ることを示す。
【0087】
さらに、調製した材料の試料を、WK X線(59.3keV)の線量に露光した。その後、材料を、暗い容器中に一晩保存した。その後、470nmの刺激および10秒のデータ読み取り時間を用いて、光学的に刺激されたルミネセンス(OSL)読み取りを行った。結果を
図4に示す。
【0088】
例5-(Na,Rb)
8
Al
6
Si
6
O
24
(Cl,S)
2
の試料の試験
式(Na,Rb)8Al6Si6O24(Cl,S)2で表される材料を、次の方法で調製した:0.7000gの乾燥(500℃、1時間)ゼオライトA、0.0600gのNa2SO4および0.4957gのRbCl粉末を、混合した。該混合物を、850℃で大気中で48時間加熱した。生成物を室温まで自由に冷却し、粉砕した。最後に、その生成物を、流動12%H2+88%N2雰囲気下で、850℃で2時間再加熱した。
【0089】
次に、調製したセンサ材料の試料を試験した。調製した材料の試料を、
90Sr/
90Yβ放射線(1.48GBq)の線量に曝露した。その後、材料を、暗い容器中に一晩保存した。その後、470nmの刺激および10秒のデータ読み取り時間を用いて、光学的に刺激されたルミネセンス(OSL)読み取りを行った。結果を
図5に示す。
【0090】
例6-Na
8
Al
6
Si
6
O
24
(Cl,S)
2
の試料の試験
式Na
8
Al
6
Si
6
O
24
(Cl,S)
2
で表される材料を、次の方法で調製した:0.7000gの乾燥(500℃、1時間)ゼオライトAおよび0.0600gのNa2SO4を、混合した。該混合物を、850℃で大気中で48時間加熱した。生成物を室温まで自由に冷却し、粉砕した。最後に、その生成物を、流動12%H2+88%N2雰囲気下で、850℃で2時間再加熱した。
【0091】
次に、調製したセンサ材料の試料を試験した。調製した材料の試料を、線量UVC放射線(254nm)に露光した。その後、材料を、暗い容器中に一晩保存した。その後、470nmの刺激および10秒のデータ読み取り時間を用いて、光学的に刺激されたルミネセンス(OSL)読み取りを行った。結果を
図6に示す。
【0092】
特許請求の範囲の実施形態は、上述の実施形態に限定されず、さらなる実施形態が特許請求の範囲内に存在し得ることに留意されたい。