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  • 特許-冷却タービン部品のろう付け伝熱機構 図1
  • 特許-冷却タービン部品のろう付け伝熱機構 図2
  • 特許-冷却タービン部品のろう付け伝熱機構 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-05
(45)【発行日】2022-01-20
(54)【発明の名称】冷却タービン部品のろう付け伝熱機構
(51)【国際特許分類】
   F01D 5/18 20060101AFI20220113BHJP
【FI】
F01D5/18
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020529515
(86)(22)【出願日】2017-12-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-04-08
(86)【国際出願番号】 US2017064133
(87)【国際公開番号】W WO2019108216
(87)【国際公開日】2019-06-06
【審査請求日】2020-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】599078705
【氏名又は名称】シーメンス エナジー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴン・エリック・ホーランド
(72)【発明者】
【氏名】ヴェロニカ・アローチョ・ペティット
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・エイチ・ラング
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー・メドラ
【審査官】谿花 正由輝
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2002/0028133(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0145833(US,A1)
【文献】国際公開第2010/131385(WO,A1)
【文献】特開昭51-51618(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 5/18
F01D 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービンエンジン内の冷却タービンベーンであって、前記冷却タービンベーンは、
細長い中空の翼(35)を備えるタービンベーン(30)であって、前記翼(35)は、外壁(34)および内壁(33)を含み、前記タービンベーン(30)は、少なくとも前記タービンエンジンの運転中に冷却を必要とするタービンベーン(30)と、
前記翼(35)の中空ポケット(37)に挿入され、かつ前記タービンベーン(30)のプラットフォーム(38)に取り付けられるベーンインサート(40)と
いフィルム(10)の表面に組み込まれた誘導機構(20)を含む薄いフィルム(10)であって、前記フィルム(10)は、前記タービンベーン(30)の前記内壁(33)の表面に適合可能であり、前記誘導機構(20)は、空気の流れを前記タービンベーン(30)の外部に導く、薄いフィルム(10)と
を備え、
前記フィルム(10)が前記タービンベーン(30)と前記ベーンインサート(40)の間にあるように、前記フィルム(10)は、ろう付け材料によって前記内壁(33)の表面に取り付けられ、
前記ベーンインサート(40)は、前記薄いフィルム(10)の前記誘導機構(20)に向かって空気の流れを導く複数の孔を含む、冷却タービンベーン。
【請求項2】
複数の誘導機構(20)をさらに備える、請求項に記載の冷却タービンベーン。
【請求項3】
前記誘導機構(20)の形は、ピン、ウェーブ、シェブロン、スパイク、リブ、およびフィンからなるグループから選択される、請求項に記載の冷却タービンベーン。
【請求項4】
前記誘導機構(20)を含む前記薄いフィルム(10)は、溶接、鋳造、圧延、スタンピング、ウォータージェット、およびレーザー加工からなるグループから選択されたプロセスによって形成される、請求項1に記載の冷却タービンベーン。
【請求項5】
前記薄いフィルム(10)の厚さが0.1mm~5mmの範囲である、請求項1に記載の冷却タービンベーン。
【請求項6】
前記複数の誘導機構(20)が前記フィルム(10)の前記表面にアレイ状に形成される、請求項に記載の冷却タービンベーン。
【請求項7】
冷却タービンベーンアセンブリであって、前記冷却タービンベーンアセンブリは、
細長い中空の翼(35)を備える、タービンエンジン内のタービンベーン(30)であって、前記翼(35)は、少なくとも前記タービンエンジンの運転中に冷却が必要な外壁(34)および内壁(33)を含む、タービンベーン(30)と、
前記翼(35)の中空ポケット(37)に挿入され、かつ前記内壁(33)に固定され、前記タービンベーン(30)のプラットフォームに取り付けられるベーンインサート(40)と、
薄いフィルム(10)の表面に組み込まれた誘導機構(20)を含む薄いフィルム(10)であって、前記フィルム(10)は、前記タービンベーン(30)の表面に適合する、薄いフィルム(10)と、
を備え、
前記フィルムが前記タービンベーンと前記ベーンインサート(40)の間にあるように、前記フィルム(10)は、ろう付け材料によって前記タービンベーン(30)の前記内壁の表面に取り付けられ、
前記タービンベーン(30)からの熱伝導を向上するために、前記誘導機構(20)は、空気の流れを前記タービンベーン(30)の外部へ導き、
前記ベーンインサートは、前記薄いフィルム(10)の前記誘導機構に向かって空気の流れを導く複数の孔を含む、冷却タービンベーンアセンブリ。
【請求項8】
タービンエンジン内のタービン部品を冷却するための方法であって、前記方法は、
タービンベーン(30)を前記タービンエンジン内に配置するステップであって、前記タービンベーン(30)は、細長い中空の翼(35)を備え、前記翼(35)は、少なくとも前記タービンエンジンの運転中に冷却が必要な外壁(34)および内壁(33)を含む、ステップと、
前記翼の中空ポケット(37)にベーンインサート(40)を挿入するステップであって、前記ベーンインサート(40)は、前記内壁(33)に固定され、前記タービンベーン(30)のプラットフォーム(38)に取り付けられる、ステップと、
誘導機構(20)を備える薄いフィルム(10)を前記内壁(33)の表面にろう付け材料によってろう付けするステップと、
前記ベーンインサート(40)に含まれる複数の孔によって、前記薄いフィルム(10)の前記誘導機構(20)に向かって空気の流れを導くステップと、
を備え、
前記誘導機構(20)は、前記タービンベーン(30)が高温ガス流にさらされる場合にタービン運転中に生成された熱をとらえ、それにより前記タービンベーン(30)を冷却する、方法。
【請求項9】
前記誘導機構(20)の形、前記誘導機構(20)の大きさ、複数の誘導機構(20)の間の間隔、前記誘導機構(20)に使用される材料タイプおよび/または前記タービンベーン(30)の表面における前記誘導機構(20)の位置を変更するステップをさらに備える、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記薄いフィルム(10)を設置されたタービンベーン(30)に追加導入するために前記方法が実行される、請求項に記載の方法。
【請求項11】
既存のろう付けされたフィルム(10)の熱処理によって、ろう付けされたフィルム(10)を前記タービンベーン(30)から除去するステップと、ろう付けによって、除去されたろう付けされたフィルム(10)を別の薄いフィルムに交換するステップを、をさらに備える、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、概してガスタービンに関し、より具体的には、冷却タービン部品のための伝熱機構のろう付けに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンエンジンのブレード及びベーンのような高温ガス経路部品は、典型的には、ガスタービンの運転中に高い熱負荷にさらされる。ガスタービンの燃焼部で圧縮空気と燃料の混合気に点火すると高温ガスの流れが発生する。高温ガスは、ブレードとベーンを含むタービンセクションに流れ込む。高温ガスの流れによりブレードとベーンがさらされる温度は、流路内で450℃以上、場合によっては1400℃~1600℃に達することもある。
【0003】
ガスタービンエンジン内の冷却流体と高温ガス流路部品間の熱伝達率と冷却効果は、ガスタービンの全体効率と直接相関する。部品から熱が効率的に除去されるほど、達成できる全体的な効率が高くなる。
【0004】
従来の種々の方法は、高温ガス経路部品を冷却するために使用される。伝熱機構のキャスト、高温ガス経路面の裏側のインピンジメント冷却、およびマルチサーキット冷却通路は、高温部品の冷却を改善するために使用されている方法の一部である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
部品自体から熱を移送するガスタービン部品の能力は、エンジンの高い動作温度に起因して特に重要である。冷却能力を高める1つの方法は、伝熱機構を組み込むことにより、部品の表面積を増やすことである。高温ガス経路部品内への伝熱機構の組み込みは、通常、利用可能な鋳造技術によって制限される。さらに、部品に鋳造できる機能により、鋳造プロセスにかなりのコストと複雑さが追加される。
【0006】
したがって、現在の鋳造プロセスよりもより汎用かつ安価な伝熱機構及びガスタービン高温ガス部品に伝熱機構を組み込む方法が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
簡単に説明すると、本開示の態様は、タービンエンジンにおける冷却タービン部品に関する。
【0008】
タービンエンジンにおける冷却タービン部品が提供される。タービン部品は、少なくともタービンエンジンの運転中に冷却が必要な部品である。冷却タービン部品には、ろう付けされた伝熱機構が含まれ、伝熱機構は、薄いフィルムの表面に組み込まれた伝熱機構を含む薄いフィルムを備える。薄いフィルムは、冷却タービン部品の表面に適合できる。フィルムは、ろう付け材料によって冷却タービン部品の表面に取り付けられる。
【0009】
冷却タービンベーンアセンブリが設けられる。冷却タービンベーンアセンブリは、細長い中空翼を備えたタービンエンジン内のタービンベーンを含み、翼には、少なくともタービンエンジンの動作中に冷却が必要な外壁と内壁と、翼の中空ポケットに挿入され、内壁に固定されるベーンインサートとを含む。伝熱機構をフィルムの表面に組み込んだ薄いフィルムは、タービンベーンの表面にろう付け材料を介して取り付けられ、この薄いフィルムは、タービンベーンの表面に適合する。伝熱機構は、タービンベーンからの熱伝達を改善するために、空気の流れをタービンベーンの外側に導く。
【0010】
タービンエンジン内のタービン部品を冷却するための方法が提供される。この方法には、部品表面を有するタービン部品を提供するステップと、次に、ろう付け材料によって部品表面に伝熱機構を備えた薄いフィルムをろう付けするステップとが含まれる。伝熱機構は、タービン部品が高温ガスの流れに曝される場合にタービン動作中に発生する熱を捕捉し、それによりタービン部品を冷却する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】伝熱機構を含む薄いフィルムの実施形態を示す。
図2】ベーンインサートを含むベーンアセンブリの斜視図を示す。
図3】伝熱機構を含む薄いフィルムの実施形態を含むベーンの断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施例、原理、および本発明の特徴の理解を容易にするために、例示的な実施形態における実施を参照して以下に説明する。しかし、本開示の実施形態は、記載されたシステムまたは方法での使用に限定されない。
【0013】
様々な実施形態を構成するものとして以下に説明される部品および材料は、例示であって制限的なものではないものとする。ここに記載された材料と同じまたは類似の機能を実行する多くの適切な部品および材料は、本開示の実施形態の範囲内に含まれることが意図されている。
【0014】
ろう付けは、溶加材の存在下の温度に加熱することにより2つ以上の材料の凝集を生じさせるプロセスとして定義することができ、溶加材は、接合される材料よりも低い融点を有する。したがって、溶加材は、接合される材料よりも低い温度で流動化し、永久的な結合を形成するために、これらの材料の合わせ面を適切に覆うものである。ろう付けは、溶接とは異なり、母材を溶かすことなく他の材料の表面と接合できる。高温部品にろう付けする能力は近年大幅に改善され、冷却タービン部品に伝熱機構を組み込むためのろう付けがより理想的な方法になった。例えば、ろう付けできる材料は、溶加材を使用した改良された粉末組成など、増加している。ろう付けは、溶加材の融点が高温部品の融点よりもはるかに低い可能性があるため、高温部品に対して良好に機能する。超合金材料などの高温部品の場合、部品を溶かさないという利点があり、高温部品の母材の完全性が維持される。
【0015】
本明細書の主題の実施形態を例示することのみを目的とし、それを限定するものではない図面を参照すると、図1は、複数の伝熱機構20が組み込まれた薄いフィルム10又はシートの一実施形態を示す。伝熱機構20を含む薄いフィルム10は、部品の冷却に利用することができる。部品は、例えば、タービン運転中に高温ガスの流れに曝されるガスタービン部品であってもよい。一実施形態では、フィルム10は、部品の表面に適合することができる。薄いフィルム10の部品の表面への取り付けは、ろう付けプロセスによって行うことができる。
【0016】
薄いフィルムとしてフィルムを区別する膜の厚さ(t)は、薄いフィルムが貼り付けられる面に十分に適合するような柔軟性を持たせた厚みである。フィルムの厚さ(t)は、部品の表面材料の剛性、接着に必要な最小のろう付けの厚さ、およびフィルムが接着される表面の形状によって異なる。伝熱機構のベースから部品の表面までを測ったフィルムの厚さ(t)は、0.1mm~5mmの範囲とすることができる。これらの厚さは例示のみを目的としており、制限することを意図したものではない。
【0017】
図示の実施形態では、複数の伝熱機構20は複数のピン形状を有しており、フィルム10の表面上にアレイ状に形成される。しかし、伝熱機構20は、フィルム10を取り付けることができる部品の冷却要件に応じて様々な形状にすることができる。たとえば、伝熱機構の形状には、ピン、ウェーブ、シェブロン、スパイク、リブ、フィンが含まれる。挙げられたこれらの形状は、例示のみを目的としたものであり、限定することを意味するものではない。
【0018】
伝熱機構20を含むフィルム10は、別個の部品であり、鋳造とは対照的に部品に取り付けられるので、伝熱機構20は、部品の冷却要件に応じて取り付けられる特定の部品のためにカスタマイズすることができる。さらに、ろう付けされた伝熱機構を有するフィルムを交換することは、比較的簡単である。例えば、タービン部品から薄いフィルム10を単に取り外すだけである。この機能を備えた伝熱機構20は、タービン部品の設計と、タービン部品がさらされる動作環境に合わせて最適化できる。
【0019】
伝熱機構20の最適化は、種々の手段を用いて達成することができ、ここで議論されるのはわずかである。一実施形態では、最適化は、伝熱機構20の形状および/またはサイズを変化させる形を取ることができる。例えば、単一の伝熱機構20または複数の伝熱機構20を薄いフィルム10上に組み込むことができる。伝熱機構20の形状は、様々な形状から選択することができる。上記の形状に加えて、当業者は、伝熱機構の最適化のために他の多数の形状およびサイズが利用可能であり得ることを理解するであろう。別の実施形態では、複数の間の間隔を変えることができる。さらなる実施形態では、薄いフィルム10の材料は、薄いフィルム10が取り付けられることになる部品の設計要件に従って変更されてもよい。別の実施形態では、薄いフィルム10上の伝熱機構の位置を変えて、タービン部品の伝熱を最適化することができる。
【0020】
実施形態では、冷却タービン部品は、ブレード、ベーン、又はベーンインサートなどのタービン部品とすることができる。ただし、冷却タービン部品は、リングセグメント、燃焼バスケット、燃焼移行部などの他のタービン部品でもよい。ベーンの冷却を容易にするために、ベーンインサートを中空ベーン翼の内面に固定することができる。
【0021】
図2を参照すると、ガスタービンエンジン用のタービン部品が、固定タービンベーン30の形で示されている。ベーン30は、外壁34および内壁33(図3)を備えた本体35を有する細長い翼を含む。ベーン30はまた、ベーン30の第1の端部に外側シュラウド39と、ベーン30の第2の端部にプラットフォームとしても知られる内側シュラウド38とを含むことができる。ベーン30は、ガスタービンエンジンで使用するように構成することができる。ベーンの本体35は、1つまたは複数の中空ポケット37を画定して、ベーン30の冷却のために冷却流体がそこを流れることを可能にすることができる。図示のベーン30は、一実施形態によるベーンインサート40を含む。説明を簡単にするために、単数形の「インサート」が使用されているが、「インサート」という用語は、1つまたは複数のインサートを指す場合があることを理解されたい。インサート40は、図示のように、ベーン30の内部の中空ポケット37に挿入することができる。図2に示す実施形態では、薄いフィルム10は、ベーン30の内壁33に取り付けられる。別の実施形態では、薄いシート10は、ろう付けを介して、ベーン34の内壁33の向こう側にあるベーンインサート40の外面に取り付けられてもよい。
【0022】
図3は、図2に示すベーンの翼35の断面図を示す。示されるように、翼35の本体は、外壁34および内壁33を含む。2つの中空ポケット37が、ベーンの内部に示され、リブ41によって分離されている。ベーンインサート40は、図示のように、これらの中空ポケット37に挿入される。図3は、ベーン30とインサート40との間のベーン30の内壁33の表面に取り付けられた薄いフィルム10も示している。薄いフィルム10は、ろう材によって内壁33に取り付けられてもよい。図示の実施形態では、薄いフィルム10は、ベーンの湾曲した内壁33の表面に適合されている。薄いフィルム10に組み込まれた伝熱機構20は、中空ポケット37の内部に延びる薄いフィルム10の表面からの様々な高さのスパイクとして示されている。タービン運転中、中空ポケット37を通って流れる空気は、ベーン30の伝熱を改善するために、伝熱機構20によってベーン30の外側部分に向けられる。実施形態では、ベーンインサート40は、複数の孔42を含み、複数の孔42が、薄いフィルム10の伝熱機構20を横切る空気の流れを導く。
【0023】
実施形態では、薄いフィルム10は、シートに形成することができる任意の材料であってもよい。別の実施形態では、薄いフィルム10は、タービンブレードまたはベーンなどの冷却タービン部品と同じ材料または同様の材料である材料であってよい。冷却タービン部品は、CM247、IN939、IN617、IN735、IN718、IN625、Haynes282、Haynes230、Hast-X、Hast-Wなどの超合金またはニッケル基合金から形成できる。より一般的には、ろう付け可能なあらゆる材料を冷却タービン部品に使用できる。したがって、伝熱機構20を冷却すべきタービン部品30、40上にろう付けすることにより、伝熱機構20に使用される材料のタイプは、伝熱機構20の熱伝導率に応じて変化し得る。
【0024】
実施形態では、接合される母材と溶加材の両方を含むろう付け混合物は、高融点母材と低融点成分との比を含む。使用できるいくつかの低融点成分は、AmdryTM775、Co22、Co33、Bf4B、およびBRBである。高融点対低融点の値は、10/90(重量%)混合物から最大90/10(重量%)混合物を含むものまで変化することができる。高融点対低融点の値は、10/90(重量%)混合物から最大90/10(重量%)混合物を含むものまで変化することができる。
【0025】
実施形態では、薄いフィルム10は、材料シートの上への伝熱機構20の溶接、付加製造、圧延、スタンピング、機械加工、ウォータージェット、レーザー加工、従来の機械加工、従来にない機械加工(EDM(放電加工)、ECM(電気化学加工))および組み込まれた機能を有する薄いフィルム10の鋳造など様々な方法によって形成することができる。
【0026】
図1図3を参照すると、タービン部品30、40を冷却するための方法が提供される。この方法は、上記の部品表面を有するタービン部品30、40を提供するステップを含む。伝熱機構20を含む薄いフィルム10は、ろう付けプロセスによってタービン部品の表面にろう付けされる。伝熱機構20は、タービン部品30、40が高温ガスの流れに曝される場合に、ガスタービンの運転中に発生する熱を取り込み、タービン部品30、40を冷却する。
【0027】
上記のように伝熱機構20を含む薄いフィルム10を最適化するために提案された手段に加えて、伝熱機構20は、高温ガス流の速度およびタービン部品30、40周りの高温ガス流の温度に応じて最適化することができる。
【0028】
実施形態では、提案された方法は、既存の設置されたタービン部品30、40を改造するために利用することができる。たとえば、ガスタービンにすでに取り付けられているタービン部品30、40に伝熱機構20を追加するには、部品30、40を取り外すだけでよく、タービン部品で方法を実行して、特定のタービン部品およびタービン運転中にタービン部品がさらされる特定の運転条件に最適化された伝熱機構を追加することにより、タービン部品を強化することができる。
【0029】
さらなる実施形態では、提案された方法は、タービン部品30、40に現在ろう付けされている薄いシート10を現在のものとは異なる伝熱機構20を有する別の薄いシートに交換するために用いられる。交換は、現在ろう付けされている薄いシート10を最初に取り除くことによって達成される。現在ろう付けされている薄いシート10を除去することは、ろう付けは溶融するが薄いシート材料は溶融しないような、ろう付けされた薄いシート10を熱処理することを必要とする。選択される熱処理は、使用される特定の溶加材と部品材料に基づく。熱処理温度は、本来のろう付け温度以上になる。そして薄いシート10がタービン部品30、40から取り外される。次に、提案された方法に従って、異なる伝熱特徴20を有する別の薄いシート10がタービン部品30、40上にろう付けされる。
【0030】
提案された部品および方法は、特定のタービン部品の冷却要件に対して伝熱機構を最適化する能力によって、部品の伝熱能力が向上するという利点を提供する。伝熱機構は部品に恒久的に鋳造されるわけではないため、たとえば、冷却要件の変化に応じて伝熱機構を変更することができる。さらに、既存の部品は、修理中にろう付けフィルムを後付けすることができる。さらに、鋳造ではなく伝熱機構をタービン部品にろう付けすることは、伝熱機構をタービン部品に組み込むためのより安価な選択肢である。
【0031】
本開示の実施形態は例示的な形態で開示されてきたが、本発明の精神および範囲およびその等価物から逸脱することなく、多くの修正、追加、および削除を行うことができることは当業者には明らかであろう。
【符号の説明】
【0032】
10 薄いフィルム
20 伝熱機構
30 ベーン
33 内壁
34 外壁
35 翼
37 中空ポケット
40 ベーンインサート
41 リブ
図1
図2
図3