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  • 特許-カートリッジを用いた核酸抽出方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-05
(45)【発行日】2022-01-20
(54)【発明の名称】カートリッジを用いた核酸抽出方法
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20220113BHJP
   C12M 1/34 20060101ALI20220113BHJP
【FI】
C12M1/00 A
C12M1/34 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020536098
(86)(22)【出願日】2018-12-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-03-11
(86)【国際出願番号】 KR2018016309
(87)【国際公開番号】W WO2019132406
(87)【国際公開日】2019-07-04
【審査請求日】2020-06-26
(31)【優先権主張番号】10-2017-0182631
(32)【優先日】2017-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】514305356
【氏名又は名称】エスディー バイオセンサー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】チョ ヨンシク
(72)【発明者】
【氏名】イ ヒョグン
(72)【発明者】
【氏名】パク へジュン
(72)【発明者】
【氏名】イ ソンヨン
(72)【発明者】
【氏名】イム クァンフン
(72)【発明者】
【氏名】キム インエ
(72)【発明者】
【氏名】キム ジェヨン
(72)【発明者】
【氏名】パク ヒョリム
(72)【発明者】
【氏名】キム ドンフン
【審査官】西垣 歩美
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-518532(JP,A)
【文献】特表2004-504828(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0344588(US,A1)
【文献】国際公開第2016/117726(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00-3/10
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ピストンの上部ボディーの内部空間に配置される制御棒モジュール及びピストンの下部ボディーに結合される回転調節モジュールに、核酸抽出装置の駆動部が連結されるステップと、
(b)回転調節モジュール及び制御棒モジュールを駆動させて、カートリッジの互いに分離された複数のチャンバのいずれかから前記内部空間にサンプル及び試薬を順次吸入し、前記内部空間の混合液をカートリッジのいずれかのチャンバに排出させるステップと、
(c)回転調節モジュール及び制御棒モジュールを駆動させて、カートリッジのマスターミックスビーズチャンバの内部の試薬をピストンの上部ボディーの内部空間に吸入した後、混合された試薬を核酸増幅モジュールに排出させるステップと、を含み、
前記カートリッジは、
中央部に形成される孔と、前記中央部に形成される孔の周りに形成されて下端に貫通するポートが形成される互いに分離された複数のチャンバ及びマスターミックスビーズチャンバを含む第1ボディーと、
前記第1ボディーの下部に結合される第2ボディーと、
前記中央部に形成される孔に配置され、各チャンバ内の試薬を吸入したり排出したりして、前記内部空間で前記試薬を混合するように構成されたピストンと、
前記第2ボディーの中心部から外郭部へ延びるように前記第2ボディーの上部に形成された複数の流路と、
前記複数の流路を覆うように前記第1ボディーと前記第2ボディーとの間に配置され、前記複数の流路の中心部の端部及び前記ピストンの下面と重なるように配置された第1円周上の複数の孔と、前記複数の流路の外郭部の端部及び各チャンバのポートと重なるように配置された第2円周上の複数の孔とを有するパッドと、を含み、
前記ピストンは、
前記第1ボディーの前記中央部に形成される孔に配置され、各チャンバ内のサンプル及び試薬を吸入して混合するための内部空間を含む円筒状の上部ボディーと、
前記内部空間の下方の端部を覆うように前記上部ボディーの下方の端部に結合され、前記内部空間から下方に延びて貫通し、回転して前記パッドの前記第1円周上のいずれかの孔と重なる液体ポート及びフィルターポートが下部に形成された下部ボディーと、
前記内部空間の上方の端部を覆い前記内部空間に密着して上下に移動可能に前記上部ボディーの上方の端部に結合される制御棒モジュールと、
前記下部ボディーを回転させるように前記下部ボディーの下端のシャフトに結合される回転調節モジュールと、を含むことを特徴とするカートリッジを用いた核酸抽出方法。
【請求項2】
前記(b)ステップにおいて、混合液は核酸捕捉フィルターを経て排出されることを特徴とする請求項1に記載のカートリッジを用いた核酸抽出方法。
【請求項3】
前記(b)ステップは、
前記回転調節モジュールを駆動させてピストンの下部ボディーの液体ポートとカートリッジのサンプルが注入されたチャンバポートを重畳させ、前記制御棒モジュールを駆動させてサンプルが注入されたチャンバ内のサンプルを上部ボディーの内部空間に吸入するステップを含むことを特徴とする請求項2に記載のカートリッジを用いた核酸抽出方法。
【請求項4】
前記回転調節モジュールを駆動させてピストンの下部ボディーの液体ポートとカートリッジの第1試薬が注入されたチャンバポートを重畳させ、前記制御棒モジュールを駆動させて第1試薬を上部ボディーの内部空間に吸入した後、サンプルと混合させるステップをさらに含むことを特徴とする請求項3に記載のカートリッジを用いた核酸抽出方法。
【請求項5】
前記回転調節モジュールを駆動させてピストンの下部ボディーの液体ポートとカートリッジの第2試薬が注入されたチャンバポートを重畳させ、前記制御棒モジュールを駆動させて第2試薬を上部ボディーの内部空間に吸入した後、混合させるステップをさらに含むことを特徴とする請求項4に記載のカートリッジを用いた核酸抽出方法。
【請求項6】
前記回転調節モジュールを駆動させてピストンの下部ボディーのフィルターポートとカートリッジの第2試薬が注入されたチャンバポートを重畳させ、前記制御棒モジュールを駆動させて混合液を第2試薬が注入されたチャンバポートに排出させるステップを含むことを特徴とする請求項5に記載のカートリッジを用いた核酸抽出方法。
【請求項7】
前記(b)ステップは、前記試薬と異なる種類の試薬を順次吸入、混合、排出させるステップをさらに含むことを特徴とする請求項6に記載のカートリッジを用いた核酸抽出方法。
【請求項8】
最後に吸入した試薬は、カートリッジのマスターミックスビーズチャンバに排出されることを特徴とする請求項7に記載のカートリッジを用いた核酸抽出方法。
【請求項9】
前記(c)ステップは、
前記回転調節モジュールを駆動させてピストンの下部ボディーのフィルターポートとカートリッジのマスターミックスビーズチャンバポートを重畳させ、前記制御棒モジュールを駆動させて前記最後に吸入した試薬をマスターミックスビーズチャンバポートに排出させるステップを含むことを特徴とする請求項8に記載のカートリッジを用いた核酸抽出方法。
【請求項10】
前記回転調節モジュールを駆動させてピストンの下部ボディーの液体ポートとカートリッジのマスターミックスビーズチャンバポートを重畳させ、前記制御棒モジュールを駆動させてマスターミックスビーズチャンバの内部の試薬を上部ボディーの内部空間に吸入した後、混合させるステップと、
前記ピストンの上部ボディーの内部空間の試薬を増幅モジュールに移動させるステップと、をさらに含むことを特徴とする請求項9に記載のカートリッジを用いた核酸抽出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、核酸抽出方法に関し、より具体的には、核酸を増幅させるためにサンプルから核酸を分離、精製することができるカートリッジを用いた核酸抽出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現代では、バイオテクノロジー技術の発展に伴い、遺伝子レベルで病気の原因を解析することが可能になった。それによって、ヒトの病気を治癒又は予防するための生体試料の操作及び生化学的分析に対する要求がますます増加している。
【0003】
併せて、病気の診断以外にも、新薬の開発、ウイルスやバクテリアに感染したか否かの事前検査及び法医学などの様々な分野において、生体試料や細胞が含まれた試料から核酸を抽出、分析する技術が要求される。
【0004】
従来の核酸抽出装置は、前処理過程(濃縮、精製)別にそれぞれの装置が必要であり、一つの前処理過程が終わった後、他の装置に移動させなければならないので長い時間を必要とする。また、このように従来の核酸抽出装置を用いた核酸抽出方法では、抽出過程で混合及び反応が完了した廃液を分離された廃液チャンバに排出させなければならないので、空間活用が非効率的であるという問題があった。
【0005】
したがって、このような問題点を解決するために、より効率的な核酸抽出方法に関する研究が進められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、より効率的な方式の核酸抽出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記のような課題を解決するために、本発明の一実施例に係るカートリッジを用いた核酸抽出方法は、(a)ピストンの上部ボディーの内部空間に配置される制御棒モジュール及びピストンの下部ボディーに結合される回転調節モジュールに、核酸抽出装置の駆動部が連結されるステップと、(b)回転調節モジュール及び制御棒モジュールを駆動させて、カートリッジの互いに分離された複数のチャンバから前記内部空間にサンプル及び試薬を順次吸入し、前記内部空間の混合液をカートリッジのチャンバに排出させるステップと、(c)回転調節モジュール及び制御棒モジュールを駆動させて、カートリッジのマスターミックスビーズチャンバの内部の試薬をピストンの上部ボディーの内部空間に吸入した後、混合された試薬を核酸増幅モジュールに排出させるステップと、を含む。
【0008】
本発明の一実施例によれば、前記(b)ステップにおいて、混合液は核酸捕捉フィルターを経て排出される。
【0009】
本発明の一実施例によれば、前記(b)ステップは、前記回転調節モジュールを駆動させてピストンの下部ボディーの液体ポートとカートリッジのサンプルチャンバポートを重畳させ、前記制御棒モジュールを駆動させてサンプルチャンバ内のサンプルを上部ボディーの内部空間に吸入するステップを含む。
【0010】
本発明の一実施例によれば、前記回転調節モジュールを駆動させてピストンの下部ボディーの液体ポートとカートリッジの第1試薬チャンバポートを重畳させ、前記制御棒モジュールを駆動させて第1試薬を上部ボディーの内部空間に吸入した後、サンプルと混合させるステップを含む。
【0011】
本発明の一実施例によれば、前記回転調節モジュールを駆動させてピストンの下部ボディーの液体ポートとカートリッジの第2試薬チャンバポートを重畳させ、前記制御棒モジュールを駆動させて第2試薬を上部ボディーの内部空間に吸入した後、混合させるステップをさらに含む。
【0012】
本発明の一実施例によれば、前記回転調節モジュールを駆動させてピストンの下部ボディーのフィルターポートとカートリッジの第2試薬チャンバポートを重畳させ、前記制御棒モジュールを駆動させて混合液を第2チャンバポートに排出させるステップを含む。
【0013】
本発明の一実施例によれば、前記(b)ステップは、前記試薬と異なる種類の試薬を順次吸入、混合、排出させるステップをさらに含む。
【0014】
本発明の一実施例によれば、最後に吸入した試薬は、カートリッジのマスターミックスビーズチャンバに排出される。
【0015】
本発明の一実施例によれば、前記(c)ステップは、前記回転調節モジュールを駆動させてピストンの下部ボディーのフィルターポートとカートリッジのマスターミックスビーズチャンバポートを重畳させ、前記制御棒モジュールを駆動させて前記最後に吸入した試薬をマスターミックスビーズチャンバポートに排出させるステップを含む。
【0016】
本発明の一実施例によれば、前記回転調節モジュールを駆動させてピストンの下部ボディーの液体ポートとカートリッジのマスターミックスビーズチャンバポートを重畳させ、前記制御棒モジュールを駆動させてマスターミックスビーズチャンバの内部の試薬を上部ボディーの内部空間に吸入した後、混合させるステップと、前記ピストンの上部ボディーの内部空間の試薬を増幅モジュールに移動させるステップとをさらに含む。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一実施例に係るカートリッジを用いた核酸抽出方法によれば、従来と異なる構造のカートリッジを用いて、複数の試料を一つのカートリッジ内で順次処理することが可能である。これによって、核酸抽出時間を短縮し、装置の構造を単純化することが可能である。
【0018】
また、本発明の一実施例に係るカートリッジを用いた核酸抽出方法によれば、カートリッジ内の試薬チャンバに使用済みの廃液を排出することができるので、核酸抽出工程を効率的に行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施例に係る核酸抽出方法のフローチャートである。
図2】本発明に使用されるカートリッジの斜視図である。
図3】本発明に使用されるカートリッジの底面斜視図である。
図4図2に示されたカートリッジの分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明について図面を参照してより詳細に説明する。本明細書では、互いに異なる実施例でも同一・類似の構成に対しては同一・類似の参照符号を付与し、その説明は最初の説明で代替する。本明細書で使用される単数の表現は、文脈上明らかに別の意味を示すものでない限り、複数の表現を含む。また、以下の説明で使用される構成要素に対する接尾辞である「モジュール」及び「部」は、明細書の作成の容易さのみを考慮して付与又は混用されるものであって、それ自体で互いに区別される意味又は役割を有するものではない。
【0021】
図1は、本発明の一実施例に係る核酸抽出方法のフローチャートである。
【0022】
図1を参照すると、核酸抽出方法は、サンプルがピストンの内部空間に吸入されるステップ(S110)と、試薬が吸入、混合、排出されるステップ(S210~S280)と、抽出された核酸が増幅モジュールに移動するステップ(S310~S320)などを含む。
【0023】
本発明の一実施例に係るカートリッジを用いた核酸抽出方法は、以下のステップを経て進行する。
【0024】
サンプルがピストンの内部空間に吸入されるステップ(S110)では、カートリッジのチャンバに配置されたサンプルが、ピストンの制御棒モジュールの駆動により、ピストンの上部ボディー310の内部空間に吸入される。
【0025】
サンプルがピストンの内部空間に吸入されるステップの前に、カートリッジの各チャンバにサンプルと試薬が注入された後、カートリッジが核酸抽出装置に装着されるステップが追加され得る。
【0026】
カートリッジが核酸抽出装置に装着された後、制御棒モジュール及び回転調節モジュールには核酸抽出装置の駆動部が連結される。
【0027】
第1試薬及び第2試薬がピストンの内部空間に吸入された後、混合されるステップ(S210)では、回転調節モジュールがピストンを一定角度回転させて、ピストンの下部ボディーの液体ポートを第1試薬チャンバポートと重畳させ、制御棒モジュールがピストンの上部に移動し、第1試薬を吸入する。その後、再び回転調節モジュールがピストンを一定角度回転させて、ピストンの下部ボディーの液体ポートを第2試薬チャンバポートと重畳させ、制御棒モジュールがピストンの上部に移動すると、第2試薬を吸入する。
【0028】
その後、制御棒モジュールが上下に移動しながら内部空間のサンプルと試薬を混合する。
【0029】
その後、回転調節モジュールが再びピストンを一定角度回転させて、ピストンの下部ボディーのフィルターポートを第2試薬チャンバポートと重畳させ、制御棒モジュールがピストンの下部に移動し、サンプルと試薬の混合液を第2試薬チャンバに排出させる(S220)。
【0030】
ピストンの下部ボディーのフィルターポートには核酸捕捉フィルターが装着されることで、サンプルと試薬の混合物が排出されるときに排出される核酸を捕捉することができる。
【0031】
回転調節モジュールがピストンを再び一定角度回転させて、ピストンの下部ボディーの液体ポートを第3試薬チャンバポートと重畳させ、制御棒モジュールがピストンの上部に移動すると、第3試薬を吸入する(S230)。
【0032】
その後、制御棒モジュールが上下に移動しながら内部空間の試薬を混合する。
【0033】
回転調節モジュールが再びピストンを一定角度回転させて、ピストンの下部ボディーのフィルターポートを第3試薬チャンバポートと重畳させ、制御棒モジュールがピストンの下部に移動し、試薬を第3試薬チャンバに排出させる(S240)。
【0034】
回転調節モジュールがピストンを再び一定角度回転させて、ピストンの下部ボディーの液体ポートを第4試薬チャンバポートと重畳させ、制御棒モジュールがピストンの上部に移動すると、第4試薬を吸入する(S250)。
【0035】
その後、制御棒モジュールが上下に移動しながら内部空間の試薬を混合する。
【0036】
回転調節モジュールが再びピストンを一定角度回転させて、ピストンの下部ボディーのフィルターポートを第4試薬チャンバポートと重畳させ、制御棒モジュールがピストンの下部に移動し、試薬を第4試薬チャンバに排出させる(S260)。
【0037】
回転調節モジュールがピストンを再び一定角度回転させて、ピストンの下部ボディーの液体ポートを第5試薬チャンバポートと重畳させ、制御棒モジュールがピストンの上部に移動すると、第5試薬を吸入する(S270)。
【0038】
その後、制御棒モジュールが上下に移動しながら内部空間の試薬を混合する。
【0039】
第5試薬は、核酸捕捉フィルターに捕捉された核酸を溶出させる溶出試薬であってもよい。
【0040】
回転調節モジュールが再びピストンを一定角度回転させて、ピストンの下部ボディーのフィルターポートをマスターミックスビーズチャンバポートと重畳させ、制御棒モジュールがピストンの下部に移動し、試薬をマスターミックスビーズチャンバに排出させる(S280)。
【0041】
第5試薬が排出され、核酸捕捉フィルターに捕捉されていた核酸をマスターミックスビーズチャンバの内部に移動させる。
【0042】
回転調節モジュールがピストンを再び一定角度回転させて、ピストンの下部ボディーの液体ポートをマスターミックスビーズチャンバポートと重畳させ、制御棒モジュールがピストンの上部に移動すると、マスターミックスビーズチャンバの内部の試薬を吸入した後、制御棒モジュールが上下に移動して内部空間の試薬を混合する(S310)。
【0043】
回転調節モジュールが再びピストンを一定角度回転させて、ピストンの下部ボディーの液体ポートを増幅モジュールの液体ポートと重畳させ、制御棒モジュールがピストンの下部に移動し、試薬を増幅モジュールに移動させる(S320)。
【0044】
以下では、カートリッジの構造を、図2乃至図4を参照して具体的に説明する。
【0045】
図2は、本発明に使用されるカートリッジの斜視図であり、図3は、本発明に使用されるカートリッジの底面斜視図であり、図4は、図2に示されたカートリッジの分解図である。
【0046】
図2乃至図4を参照すると、核酸抽出用カートリッジは、大きく第1ボディー100と、第2ボディー200と、ピストン300と、核酸増幅モジュール400などを含むことができる。
【0047】
第1ボディー100は、複数個の試薬を貯蔵する用途に使用することができる。
【0048】
図示によると、第1ボディー100には、互いに分離された隔室を形成する複数個のチャンバ110が形成され得る。それぞれのチャンバ110には、互いに異なる試薬またはサンプルが配置され、試薬が互いに混ざらないように、各チャンバ110は独立した空間を形成する。
【0049】
第2ボディー200は、第1ボディー100に貯蔵された試薬またはサンプルが移動する経路を含む。
【0050】
本発明の一実施例によれば、第2ボディー200には、液体が移動可能な液体流路と、空気が移動可能な空気流路とが存在することができ、第2ボディー200は、第1ボディー100との結合時に液体の漏れを防止するために、上面に配置されるパッド220を含むことができる。パッド220とカートリッジの第2ボディー200とが結合されると、カートリッジの第2ボディー200の液体流路及び空気流路が、パッド220によって上面が塞がって空間を形成し、完璧な流路210が完成される。
【0051】
液体流路は、第1ボディー100と連結されてサンプル及び試薬が移動、混合可能な空間を提供する。
【0052】
空気流路は、増幅モジュールとピストン300の真空制御部位を連結して、抽出された核酸が増幅モジュールに移動するときに発生し得る真空を制御し、核酸増幅産物が汚染されることを防止する役割を果たす。
【0053】
パッド220には、パッド220を上下に貫通する複数個の孔が形成され得る。孔を介して、カートリッジの下部の液体流路及び空気流路が、カートリッジの第1ボディー100に位置した多数の試薬チャンバ110と連結される。
【0054】
パッド220の中央部は、ピストンの下部ボディー320の底面と密着するように結合される。
【0055】
パッド220の中央部に形成された孔は、ピストンが回転するとき、ピストンの下部ボディー320のフィルターポートまたは液体ポートと重畳する。
【0056】
より具体的には、第2ボディー200の上部には複数個の流路210が形成され得る。それぞれの流路210は、互いに交差せず、第2ボディー200の中心部から外郭部に延びるように形成される。図示によると、一部の流路は、一端が同一円周上に配置され、他端も互いに同一円周上に配置され得る。
【0057】
第2ボディー200の上部にはパッド220が結合され得る。
【0058】
第2ボディー200の上部には、下端に向かって窪んだ載置部201が形成され得、パッド220は、第2ボディー200の上部の載置部201に噛み合って結合され得る。
【0059】
パッド220が、第2ボディー200の上面に密着しながら流路210を密閉させることができる。パッド220が第2ボディー200にさらに強く密着できるように、前記パッド220は、弾性を有するゴムまたは合成樹脂で形成されてもよい。
【0060】
パッド220には、パッド220を上下に貫通する複数個の孔が形成され得る。
【0061】
本発明の一実施例によれば、前記孔は、流路210の端部と上下に重なるように配置される。言い換えると、パッド220に形成される孔は、一対ずつ組をなして流路210を介して連結され得る。
【0062】
パッド220には、中心部の同一円周C1上に配置される複数の孔221、及び外郭部の同一円周C2上に配置される複数の孔221を備えることができる。
【0063】
ピストン300は、ピストンの上部ボディー310及びピストンの下部ボディー320からなることができる。
【0064】
ピストン300の上部ボディー310には、試薬とサンプルを混合できる内部空間が形成され、前記内部空間には、上下に移動するピストン300の制御棒モジュールが配置され得る。
【0065】
ピストンの制御棒モジュールは、核酸抽出装置の駆動部と結合される結合部301と、ピストンの内部空間に密着して上下に移動する密着部302とを含むことができる。
【0066】
ピストンの下部ボディー320は、ピストンの上部ボディー310と結合して一つのボディーをなす。
【0067】
ピストンの下部ボディー320は回転調節モジュール330と結合され得る。
【0068】
図示によると、ピストンの上部ボディー310は、第1ボディー100の中央部に形成された孔に挿入され、ピストンの下部ボディー320のシャフト324は、第2ボディー200の中央部に形成された孔に挿入される。
【0069】
前記ピストンの下部ボディー320のシャフト324は、第2ボディー200の下端に結合される回転調節モジュール330と噛み合って固定される。
【0070】
核酸増幅モジュール400は、第1ボディー100または第2ボディー200と結合されてもよい。
【0071】
核酸増幅モジュール400の内部には内部流路210が形成され得、内部流路210の一端は、第2ボディー200に形成される流路210のうち少なくともいずれか1つと重なるように形成され得る。
【0072】
本発明の一実施例によれば、核酸増幅モジュール400が任意に分離されないように核酸増幅モジュール400を覆い、第1ボディー100と第2ボディー200を結合させる固定部材410が存在することができる。
【0073】
第1ボディー100は、多数個の試薬チャンバ110を含むことができ、それぞれのチャンバ110は、互いに隔離されるように形成される。
【0074】
それぞれのチャンバ110の下端には、流路210の一端またはパッド220に形成された孔と重なるポートが形成される。ポートは、チャンバ110の用途に応じて、互いに異なる半径を有するように形成することができる。
【0075】
各試薬チャンバ110は、単一の試薬チャンバの液体ポートを含んでいる。各試薬チャンバの液体ポートは、ゴムパッド220の液体ポート連結孔を介して、カートリッジの下部の液体流路と連結される。サンプルチャンバポート及びマスターミックスビーズチャンバポートには、それぞれ別途のサンプルチャンバとマスターミックスビーズチャンバ111が結合される。
【0076】
サンプルチャンバポート同士は同一円周上に配置され、マスターミックスビーズチャンバポートは、異なる円周上に配置され得る。
【0077】
サンプルチャンバには、サンプルの抽出に必要な複数個の乾燥ビーズが含まれ得、マスターミックスビーズチャンバには、核酸の増幅に必要な複数個の乾燥ビーズが含まれ得る。
【0078】
サンプルチャンバ及びマスターミックスビーズチャンバは、それぞれサンプルチャンバポート及びマスターミックスビーズチャンバポートと連結され、各ポートは、パッドに形成された孔及びカートリッジの第2ボディー200の流路と連結されることで、液体が移動することができる構造を形成する。
【0079】
上述したカートリッジを用いた核酸抽出方法によれば、従来と異なる構造のカートリッジを用いて、複数の試料を一つのカートリッジ内で順次処理することが可能である。これを通じて、核酸抽出時間を短縮し、装置の構造を単純化することが可能である。
【0080】
また、本発明の一実施例に係るカートリッジを用いた核酸抽出方法によれば、カートリッジ内の試薬チャンバに使用済みの廃液を排出することができるので、核酸抽出工程を効率的に行うことができるようになる。
【0081】
以上で説明したカートリッジを用いた核酸抽出方法は、上述した実施例の構成及び方法に限定されるものではなく、上記実施例は、様々な変形が可能なように、各実施例の全部又は一部が選択的に組み合わされて構成されてもよい。
図1
図2
図3
図4