(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-06
(45)【発行日】2022-01-20
(54)【発明の名称】セラミック球体検査装置
(51)【国際特許分類】
G01N 23/04 20180101AFI20220113BHJP
【FI】
G01N23/04
(21)【出願番号】P 2017123237
(22)【出願日】2017-06-23
【審査請求日】2019-04-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000230629
【氏名又は名称】株式会社ニッカトー
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】特許業務法人あーく特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中込 久
(72)【発明者】
【氏名】大藪 勇二
(72)【発明者】
【氏名】池田 博
(72)【発明者】
【氏名】柴田 貴之
(72)【発明者】
【氏名】松本 隼人
【審査官】田中 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-181713(JP,A)
【文献】特開2012-037424(JP,A)
【文献】特開平05-281160(JP,A)
【文献】特開平11-059877(JP,A)
【文献】特開平11-174001(JP,A)
【文献】特開2013-044717(JP,A)
【文献】特開2013-104775(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0308162(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 23/00-23/2276
F16C 33/00-33/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査体となるセラミック球体を所定の搬送方向に沿って搬送する搬送部と、
前記搬送部の上方に配置され、前記搬送部によって搬送される前記セラミック球体に接触することで搬送中の前記セラミック球体に回転変位を与える球体接触部と、
前記搬送部によって搬送される前記セラミック球体に対し、非破壊検査を行う非破壊検査部と、を備えており、
前記非破壊検査部は、前記搬送部の搬送方向に沿って複数配置されており、かつ、隣接する非破壊検査部の間には前記球体接触部が配置されており、
前記球体接触部は、搬送される前記セラミック球体に直接接触する部材であって、板バネ形状の接触片を有しており、
前記接触片は、搬送される前記セラミック球体が該接触片の下を接触通過する際に、板バネの弾性変形によって上方に逃げることのできる構成であることを特徴とするセラミック球体検査装置。
【請求項2】
請求項1に記載のセラミック球体検査装置であって、
複数の前記セラミック球体を載置可能な載置トレイを治具として使用するものであり、
前記搬送部は、複数のセラミック球体を前記載置トレイに載置した状態で前記載置トレイごと搬送する構成であることを特徴とするセラミック球体検査装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のセラミック球体検査装置であって、
前記球体接触部は、その高さ位置を調整可能であり、
前記球体接触部の高さ位置を調整することで、搬送中の前記セラミック球体との間の距離を変更可能な構成であることを特徴とするセラミック球体検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベアリングに使用されるセラミック球体、例えば、チッ化ケイ素等のX線を透過する材料からなるセラミック球体の検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ベアリングにおいて、近年、耐高温性や耐薬品性などの利点により、セラミック球体が鋼球に代わり普及している。セラミック球体は、その製造プロセス(造粒・焼成)において内部欠陥が発生することがあるが、現時点の内部欠陥の検査手法は、X線透過検査等の非破壊検査が主流である。
【0003】
内部欠陥の発現状況によっては、一方向からのX線照射ではその欠陥を発見できない場合もあり得る。これは、内部欠陥が薄い層状に発現している場合などには、X線照射の方向によっては、X線画像において層状の内部欠陥が極めて小さい面積でしか映らず、欠陥検出が困難になるためである。しかしながら、そのような場合でも、被検査体であるセラミック球体に対して複数の方向からX線透過検査を行えば、何れかの方向において欠陥が検出されるため、検査精度を著しく向上させることが可能になると考えられる。
【0004】
特許文献1には、X線透過検査を行うものではないが、被検査体であるセラミック球体を所定の位置で自転可能に支持し、セラミック球体に光を照査して、その反射光を検出することで表面層の内部状態を評価するセラミック球体検査装置が開示されている。すなわち、検査中にセラミック球体を自転させることで、セラミック球体に対して複数の方向からの検査を可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のセラミック球体検査装置は、被検査体であるセラミック球体を複数の支持ローラで挟み込むように支持し、該支持ローラの一つを駆動ローラとすることでセラミック球体を自転可能に支持する構成とされている。
【0007】
しかしながら、特許文献1の検査装置では、検査時のセラミック球体が複数の支持ローラで支持されるため、これらの支持ローラが邪魔となって該装置をX線透過検査に用いることは困難である。このため、特許文献1の検査装置は、セラミック球体に光を照射し、その反射光に基づいて検査を実行するものとされている。但し、このような反射光を用いた検査では、表面層の内部状態は検査できても、球全体の内部状態を検査することはできず、セラミック球体の内部欠陥の検査としては不十分である。
【0008】
また、特許文献1の検査装置では、仮にX線透過検査が可能であったとしても、真球度の高いセラミック球でなければ適切な検査を行うことができない。これは、真球度の低い歪んだセラミック球体では、該セラミック球体と複数の支持ローラとが適切に接触せず、セラミック球体を適切に自転させることができないためである。したがって、特許文献1の検査装置は、研磨工程後の最終製品に近い形状のセラミック球体にしか適用できない。X線透過検査を研磨工程後に行う場合、内部欠陥が含まれる不良品のセラミック球体に対しても無駄な研磨が実施されてしまうこととなり、製造効率が低下するといった問題がある。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、簡単な構造であって、研磨工程前のセラミック球体に対しても非破壊検査を複数の角度から行えるセラミック球体検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明のセラミック球体検査装置は、被検査体となるセラミック球体を所定の搬送方向に沿って搬送する搬送部と、前記搬送部の上方に配置され、前記搬送部によって搬送される前記セラミック球体に接触することで搬送中の前記セラミック球体に回転変位を与える球体接触部と、前記搬送部によって搬送される前記セラミック球体に対し、非破壊検査を行う非破壊検査部と、を備えており、前記非破壊検査部は、前記搬送部の搬送方向に沿って複数配置されており、かつ、隣接する非破壊検査部の間には前記球体接触部が配置されていることを特徴としている。
【0011】
上記の構成によれば、セラミック球体検査装置に複数の非破壊検査部が備えられ、かつ、隣接する非破壊検査間には球体接触部が配置される。そのため、セラミック球体は、ある段の非破壊検査部で非破壊検査を受けた後、次段の非破壊検査部で非破壊検査を受ける前に球体接触部によって回転変位が与えられる。これにより、セラミック球体検査装置は、セラミック球体に対して非破壊検査を複数の角度から行うことができ、内部欠陥の検出精度を大幅に向上させることができる。
【0012】
また、球体接触部は、搬送中のセラミック球体に接触するだけの簡単な構成であって他の駆動手段等を必要とせず、セラミック球体検査装置を簡易な構造にて実現できる。
【0013】
さらには、球体接触部との接触によって回転変位が与えられるセラミック球体には高い真球度も要求されない。これにより、非破壊検査を研磨工程前のセラミック球体に対しても実施することができ、この場合は内部欠陥が含まれる不良品のセラミック球体に対して無駄な研磨が実施されることを回避できるため、製造効率の向上に寄与する。
【0014】
また、上記セラミック球体検査装置は、複数の前記セラミック球体を載置可能な載置トレイを治具として使用するものであり、前記搬送部は、複数のセラミック球体を前記載置トレイに載置した状態で前記載置トレイごと搬送する構成とすることができる。
【0015】
上記の構成によれば、載置トレイを治具として用いることで、多数のセラミック球体に対して容易に非破壊検査を行うことができ、検査効率が向上する。また、セラミック球体のサイズに合わせて載置トレイを交換することで、様々なサイズのセラミック球体に対して容易に非破壊検査を行うことができる。
【0016】
また、上記セラミック球体検査装置では、前記球体接触部は、その高さ位置を調整可能であり、前記球体接触部の高さ位置を調整することで、搬送中の前記セラミック球体との間の距離を変更可能な構成とすることができる。
【0017】
上記の構成によれば、検査されるセラミック球体のサイズに合わせて球体接触部の高さ位置を調節することで、様々なサイズのセラミック球体に対して容易に非破壊検査を行うことができる。また、球体接触部の高さ位置を微調整することで、セラミック球体の回転量も調節することができる。
【0018】
また、上記セラミック球体検査装置では、前記球体接触部は、搬送される前記セラミック球体に直接接触する部材であって、板バネ形状の接触片を有しており、前記接触片は、搬送される前記セラミック球体が該接触片の下を接触通過する際に、板バネの弾性変形によって上方に逃げることのできる構成とすることができる。
【0019】
上記の構成によれば、搬送されるセラミック球体が球体接触部の下を通過する際に、板バネの弾性変形によって球体接触部が上方に逃げるため、セラミック球体が球体接触部に引っかかることなく、良好な搬送性を得ることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明のセラミック球体検査装置は、簡易な構造によってセラミック球体に対して非破壊検査を複数の角度から行うことができ、内部欠陥の検出精度を大幅に向上させることができるといった効果を奏する。また、本発明のセラミック球体検査装置は、非破壊検査を研磨工程前のセラミック球体に対しても実施することができ、製造効率の向上に寄与するといった効果も併せて奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態を示すものであり、セラミック球体検査装置を斜め上方から見た斜視図である。
【
図2】
図1のセラミック球体検査装置を斜め下方から見た斜視図である。
【
図3】
図1のセラミック球体検査装置の正面図である。
【
図4】
図1のセラミック球体検査装置で使用される載置トレイを示す図であり、(a)は載置トレイの平面図、(b)は載置トレイの一部を拡大した断面図である。
【
図5】搬送中の載置トレイと球体接触部とを示す拡大斜視図である
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0023】
図1は、本実施の形態にかかるセラミック球体検査装置1を斜め上方から見た斜視図である。
図2は、セラミック球体検査装置1を斜め下方から見た斜視図である。
図3は、セラミック球体検査装置1の正面図である。
【0024】
セラミック球体検査装置1は、
図1~3に示すように、大略的に、搬送部11、球体接触部12、X線照射部13、およびX線受光部14を具備しており、これらの機能部がフレームによって所定の位置関係に保持されるように構成されている。また、本実施の形態では、後述する非破壊検査部をX線照射部13およびX線受光部14にて構成しており、すなわち、非破壊検査としてX線透過検査を行う場合を例示している。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、X線透過検査以外の非破壊検査(X線以外の放射線を用いる検査)が行われるものであってもよい。
【0025】
搬送部11は、被検査体となるセラミック球体Bを所定の搬送方向(矢印A方向)に沿って搬送するものである(
図5参照)。具体的には、セラミック球体Bは載置トレイ20上に載置され、搬送部11は、この載置トレイ20ごとセラミック球体Bを搬送する。尚、セラミック球体Bは、具体的には、非破壊検査に用いられる放射線(X線透過検査の場合はX線)を透過するセラミック材料(X線透過検査の場合は、例えばチッ化ケイ素等)からなる。すなわち、本発明の非破壊検査に用いられる放射線の種類は、検査されるセラミック球体の材料に応じて決定されればよい。
【0026】
図4(a)は載置トレイ20の平面図であり、
図4(b)は載置トレイ20(セラミック球体Bを載置した状態)の一部を拡大した断面図である。載置トレイ20は、
図4(a)に示すように、平面視で略矩形状であり、その主面には複数の凹部21がマトリクス状に形成されている。凹部21は、
図4(b)に示すように、一方の主面(上面)が大開口部となる略半球形状の凹部である。また、凹部21の他方の主面(下面)にも小開口部が形成されており、凹部21は載置トレイ20を貫通するように形成されている。
【0027】
載置トレイ20においては、凹部21のそれぞれに、セラミック球体Bが一つずつ載置される。また、載置トレイ20は、セラミック球体Bをセラミック球体検査装置1にセットするための治具として用いられるものであり、検査対象となるセラミック球体Bのサイズに合わせて、載置トレイ20も凹部21のサイズが適切なものに交換される。すなわち、セラミック球体検査装置1は、セラミック球体Bのサイズに合わせて適切な載置トレイ20を使用することで、様々なサイズのセラミック球体Bに対して非破壊検査を行うことが可能となる。
【0028】
載置トレイ20は、非破壊検査に用いられる放射線を透過可能であると共に、載置されたセラミック球体Bが凹部21内で容易に回転できるよう摩擦係数の小さい材料で形成される。そのような載置トレイ20の材料は特に限定されるものではないが、例えばカーボンが好適に使用される。
【0029】
また、搬送部11は、上述した載置トレイ20に対して、検査用の放射線の透過を阻害しないように載置トレイ20の上方および下方(少なくとも、凹部21の形成領域の上方および下方)を開放しながら搬送することが必要である。そのため、搬送部11は、載置トレイ20の両側端部を支持する搬送レール(図示せず)を備え、該搬送レールに沿って載置トレイ20を搬送できる構成とされている。
【0030】
また、搬送部11は、載置トレイ20に搬送力を与えるための搬送ピン111を有している。搬送ピン111は、無端ベルト112に所定のピッチで取り付けられており、無端ベルト112の回転駆動によって搬送方向Aに移動して、載置トレイ20の後端を押して搬送するようになっている(
図5参照)。載置トレイ20には切欠き22(
図4(a)参照)が形成されており、載置トレイ20の搬送時には、搬送ピン111は切欠き22によって形成されるスペースに挿入されるようになっている。
【0031】
球体接触部12は、搬送部11の上方に配置され、搬送部11によって搬送されるセラミック球体Bに接触して、載置トレイ20上のセラミック球体Bに回転変位を与えるものである。
図5は、搬送中の載置トレイ20と球体接触部12とを示す拡大斜視図である。尚、
図5では、図示を簡略化するため、1枚の載置トレイ20にのみ凹部21を記載し、他の載置トレイ20では凹部21の記載を省略している。また、
図5では、凹部21が記載された載置トレイ20において、載置されるセラミック球体Bを一つのみ記載されているが、実際の検査時には、全て(もしくは殆ど全て)の凹部21においてセラミック球体Bが載置される。
【0032】
球体接触部12は、
図5に示すように、接触片121と、接触片121を支持する支持部122とを有している。
【0033】
接触片121は、搬送されるセラミック球体Bの頂部に直接接触し、この接触によってセラミック球体Bが載置トレイ20の凹部21内で回転できるよう、摩擦係数の高い樹脂材料等(例えば、シリコーン樹脂)で形成される。尚、接触片121は、少なくともセラミック球体Bに接触する面で摩擦係数の高い樹脂が用いられていればよく、例えば、金属製の板バネの表面(セラミック球体Bとの接触側の面)に樹脂層を積層した構造であってもよい。
【0034】
また、接触片121は、例えば板バネの機能を有する形状とされており、搬送されるセラミック球体Bが接触片121の下を通過する際に、板バネの弾性変形によって上方に逃げることのできる構成とされることが好ましい。これにより、セラミック球体Bが接触片121に引っかかることなく、良好な搬送性を得ることができる。具体的には、セラミック球体Bが接触片121に引っかかって搬送が停止したり、セラミック球体Bが載置トレイ20から外れてしまうといった不具合を回避できる。
【0035】
接触片121は、検査されるセラミック球体Bのサイズに合わせて高さ位置が調節されることが好ましい。そのため、支持部122は、接触片121の高さを調節可能とするように接触片121を支持する。接触片121は、セラミック球体Bのサイズが大きい場合には高い位置に調節され、セラミック球体Bのサイズが小さい場合には低い位置に調節される。これにより、セラミック球体Bがどのようなサイズであっても、接触片121とセラミック球体Bとの接触圧を適切に調節することが可能となる。
【0036】
また、接触片121は、
図5に示すように、セラミック球体検査装置1の正面側から見て、下方に膨らんだ凸面形状を有しており、該凸面の頂部付近でセラミック球体Bと接触する構成とされている。この場合、接触片121の高さ位置を微調整することで、セラミック球体Bの回転量も調節することができる。すなわち、接触片121の高さ位置を高くすれば、セラミック球体Bが接触片121の下を通過する際の接触片121との接触域が短くなり、セラミック球体Bの回転量も減少する。一方、接触片121の高さ位置を低くすれば、接触片121とセラミック球体Bとの接触域が長くなり、セラミック球体Bの回転量も増加する。このような接触片121の高さ微調整も、支持部122によって行うことができる。
【0037】
X線照射部13およびX線受光部14は、一つのX線照射部13と一つのX線受光部14とが組み合わされて1対の非破壊検査部とされ、セラミック球体検査装置1には複数対の非破壊検査部が搬送部11の搬送方向Aに沿って備えられる。尚、本実施の形態では、X線照射部13を搬送部11の下方に配置し、X線受光部14を搬送部11の上方に配置しているが、この配置位置は上下が逆であってもよい。
【0038】
セラミック球体検査装置1では、
図3に示すように、隣接する非破壊検査部(X線照射部13およびX線受光部14)の間に、一つの球体接触部12が配置される。すなわち、セラミック球体検査装置1において、N対の非破壊検査部が備えられる場合、(N-1)個の球体接触部12が備えられる。尚、本実施の形態では、非破壊検査部であるX線照射部13およびX線受光部14の数を3対としているが、本発明はこれに限定されるものではなく、2対、あるいは4対以上であってもよい。
【0039】
セラミック球体Bは、それぞれの非破壊検査部を通過するたびに非破壊検査を受けることになる。この時、内部欠陥を有するセラミック球体Bでは、検査画像(例えばX線画像)において内部欠陥の像(欠陥像)が映るため、画像解析によってその欠陥像を検出することにより内部欠陥を有するセラミック球体Bを抽出することが可能となる。但し、セラミック球体Bにおける内部欠陥の発現状況によっては、一カ所での非破壊検査(例えば、一方向からのX線照射)では、その欠陥を発見できない場合もあり得る。
【0040】
これに対し、本実施の形態に係るセラミック球体検査装置1では、複数対の非破壊検査部が備えられ、かつ、隣接する非破壊検査部間には球体接触部12が配置される。そのため、セラミック球体Bは、ある段の非破壊検査部で非破壊検査を受けた後、次段の非破壊検査部で非破壊検査を受ける前に球体接触部12によって回転変位が与えられる。これにより、セラミック球体検査装置1は、セラミック球体Bに対して非破壊検査を複数の角度から行うことができ、内部欠陥の検出精度を大幅に向上させることができる。
【0041】
また、セラミック球体検査装置1における球体接触部12は、搬送中のセラミック球体Bに接触するだけの簡単な構成であって他の駆動手段等を必要とせず、セラミック球体検査装置1を簡易な構造にて実現できる。
【0042】
さらには、セラミック球体検査装置1では、球体接触部12との接触によって回転変位が与えられるセラミック球体Bには高い真球度も要求されない。これにより、非破壊検査を研磨工程前のセラミック球体Bに対しても実施することができ、この場合は内部欠陥が含まれる不良品のセラミック球体Bに対して無駄な研磨が実施されることを回避できるため、製造効率の向上に寄与する。
【0043】
また、セラミック球体検査装置1は、複数のセラミック球体Bを載置可能な載置トレイ20を治具として使用することで、多数のセラミック球体Bに対して容易に非破壊検査を行うことができ、検査効率を向上させることができる。
【0044】
今回開示した実施形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。従って、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0045】
1 セラミック球体検査装置
11 搬送部
12 球体接触部
121 接触片
122 支持部
13 X線照射部(非破壊検査部)
14 X線受光部(非破壊検査部)
20 載置トレイ
21 凹部
B セラミック球体