(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-06
(45)【発行日】2022-02-21
(54)【発明の名称】果菜類用ビニル包装材
(51)【国際特許分類】
B65D 33/00 20060101AFI20220214BHJP
B65D 65/40 20060101ALI20220214BHJP
A23B 7/144 20060101ALN20220214BHJP
【FI】
B65D33/00 C
B65D65/40 A
A23B7/144
(21)【出願番号】P 2020044327
(22)【出願日】2020-03-13
【審査請求日】2020-03-31
(31)【優先権主張番号】10-2019-0031678
(32)【優先日】2019-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520089576
【氏名又は名称】イ、ヘ ウン
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】イ、ヘ ウン
【審査官】▲高▼橋 杏子
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-262548(JP,A)
【文献】特開2006-096402(JP,A)
【文献】実開平07-028847(JP,U)
【文献】特開2012-240732(JP,A)
【文献】特開2015-182815(JP,A)
【文献】韓国登録実用新案第20-0252526(KR,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23B 7/00-9/34
B65D 30/00-33/38
B65D 65/00-65/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
果菜類を内部に収容して一側面に0.1μm~0.5μmの直径を有する通気ホールが形成される袋と、
一側面に粘着剤が塗布されて前記通気ホールを閉鎖可能にするように前記袋の一側面に付着される密閉ステッカーと、
前記袋に収容される果菜類に関する前記通気ホールの開閉情報が記載されて、前記袋の一側面または他側面に付着される情報ステッカーと、を含み、
前記通気ホールは複数個が1個の群集であって、前記袋の一側面に多数個の群集で形成され、
前記密閉ステッカーはそれぞれの群集に付着されるように多数個が前記袋の一側面に付着され
、
前記通気ホールの前記開閉情報は、前記袋に収容される果菜類の種類、収穫日、賞味期限経過別の前記密閉ステッカーの除去個数と、前記袋に収容される果菜類の成熟度を調節するための前記密閉ステッカーの除去個数と、前記袋に収容される果菜類の新鮮度を調節するための前記密閉ステッカーの除去個数とのうち、少なくとも一つを含む、果菜類用ビニル包装材。
【請求項2】
前記通気ホールが形成する群集はそれぞれ前記袋の一側面のうち0.5cm
2~1.5cm
2内の面積内で形成される、請求項1に記載の果菜類用ビニル包装材。
【請求項3】
前記袋はジッパーでもって開閉される、請求項1に記載の果菜類用ビニル包装材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は保存特性に応じて果物または野菜を効果的に収容可能な果菜類用ビニル包装材に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、果物または野菜(以下、果菜類)を収穫して消費者に伝達するために、メッシュ型包装材とビニル包装材が使われている。
【0003】
このうちビニル包装材は果菜類を外部の異物から保護するために広く使われており、特に、最近では「そのまま摂取可能な(Ready-To-Eat、RTE)」果菜類の製造および流通に多くの要求が増加している。
【0004】
大韓民国公開実用新案公報第20-1999-0014792号(発明の名称:衛生用包装紙)も果菜類を包装するための包装袋を掲載しており、このような包装紙には新鮮度を維持するための多数個の孔が形成されている。
【0005】
しかし、温度、湿度、空気の質のような外部的要因や果菜類の個別的な特性による内部的要因により、包装袋の孔はかえって内部に収容された果菜類の流通過程で悪影響を及ぼしかねない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は前記のような問題点を解決するために案出されたものであって、本発明の目的は内部に収容される果菜類の特性に応じて新鮮度と成熟度を調節することができ、外部からの異物の流入を防止できる果菜類用ビニル包装材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために本発明は、果物または野菜のような果菜類を内部に収容して一側面に通気ホールが形成される袋;および一側面に粘着剤が塗布されて前記通気ホールを閉鎖するように前記袋の一側面に付着される密閉ステッカー;を含む果菜類用ビニル包装材を提供する。
【0008】
また、前記通気ホールは0.1μm~0.5μmの直径を有するように形成され得る。
【0009】
また、前記通気ホールは複数個が1個の群集であって、前記袋の一側面に多数個の群集で形成され、前記密閉ステッカーはそれぞれの群集に付着されるように多数個が前記袋の一側面に付着され得る。
【0010】
また、前記通気ホールが形成する群集はそれぞれ前記袋の一側面のうち0.5cm2~1.5cm2内の面積内で形成され得る。
【0011】
また、前記袋はジッパーでもって開閉され得る。
【0012】
また、前記袋に収容された果菜類に関する前記通気ホールの開閉情報が記載されて前記袋の一側面または他側面に付着される情報ステッカーをさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明は特定果菜類の情報が付着されたステッカーを見て需要者が流通期間別に袋の通気ホールを開放したり閉鎖できるため、果菜類の特性に応じて新鮮度と成熟度を調節することができ、外部からの異物の流入を効果的に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施例に係る果菜類用ビニル包装材の斜視図。
【
図2】本発明の実施例に係る果菜類用ビニル包装材に収容されたバナナの外観新鮮度をテストしたグラフ。
【
図3】本発明の実施例に係る果菜類用ビニル包装材に収容されたバナナの内部新鮮度をテストしたグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好ましい実施例を添付された図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
特に定義されない限り、本明細書のすべての用語は当業者が理解する用語の一般的な意味と同じであり、もし、本明細書で使われた用語が当該用語の一般的な意味と衝突する場合には本明細書に使われた定義に従う。
【0017】
ただし、以下に記述される発明は本発明の実施例を説明するためのものに過ぎず、本発明の権利範囲を限定するためのものではなく、明細書の全般にわたって同一に使われた参照番号は同じ構成要素を示す。
【0018】
図1は、本発明の実施例に係る果菜類用ビニル包装材の斜視図である。
【0019】
図1を参照すると、本発明の実施例に係る果菜類用ビニル包装材100は、袋110および密閉ステッカー120を含むことができ、情報ステッカー130をさらに含むことができる。
【0020】
袋110は果物または野菜のような果菜類を内部に収容することができ、一側面に通気ホール111が形成され得る。
【0021】
このような袋110はビニル材質で形成され得、例えば、LLDPE(Linear Low Density Polyethylene、線形低密度ポリエチレン)のような材質で形成され得る。
【0022】
また、前記袋110は内部に果菜類を収容するために内側面にジッパー部112を含み、ジッパーでもって開閉され得る。
【0023】
また、前記袋110の内部に収容された果菜類の呼吸を考慮し外部異物の流入防止を考慮して、前記通気ホール111は0.1μm~0.5μmの直径を有するようにマイクロホールで形成され得る。
【0024】
このような通気ホール111は対応する直径を有するマイクロニードルで前記袋110の一側面を貫通させて形成され得る。
【0025】
また、収容される果菜類の特性を考慮して、前記通気ホール111は複数個が1個の群集であって、前記袋の一側面に多数個の群集で形成され得、これによって、より効果的な通気を図るとともに、内部への異物の流入を効果的に防止することができる。
【0026】
また、前記通気ホール111が形成する群集はそれぞれ前記袋の一側面のうち0.5cm2~1.5cm2内の面積内で形成され得、このような場合、後述する密閉ステッカー120はそれぞれ0.6cm2~2cm2内の面積で形成され得る。
【0027】
密閉ステッカー120は、一側面に粘着剤が塗布されて前記通気ホール111を閉鎖するように前記袋110の一側面に付着され得る。このような密閉ステッカー120により前記袋110が完全に密閉されたり一部開放され得る。
【0028】
粘着剤は接着剤とは異なり、物体の表面に何度も付着したり離したりすることができ、このような粘着剤が塗布された前記密閉ステッカー120は前記袋110の通気ホール111や一側面に自由に付着され得る。
【0029】
また、前記通気ホール111は複数個が前記袋110の一側面に形成され、前記密閉ステッカー120はそれぞれの前記通気ホール111に付着され得る。
【0030】
また、前記通気ホール111が群集で形成される場合に、前記密閉ステッカー120はそれぞれの群集に付着されるように多数個が前記袋110の一側面に付着され得る。
【0031】
前記袋110に収容された果菜類の特性に応じて最適な状態を維持して流通させるために、果菜類により前記密閉ステッカー120が前記通気ホール111または群集から除去されないか一部が除去されて流通され得る。
【0032】
ここで、前記通気ホール111から除去された前記密閉ステッカー120は、前記袋110で通気ホール111の付近に付着され得る。
【0033】
一方、本発明は前記袋110に収容された果菜類に関する前記通気ホール111の開閉情報が記載されて、前記袋110の一側面または他側面に付着される情報ステッカー130をさらに含むことができる。
【0034】
ここで、前記通気ホール111の開閉情報は、前記袋110に収容された果菜類の種類、収穫日、賞味期限経過別密閉ステッカー120の除去個数、前記袋110に収容された果菜類の成熟度を調節するための密閉ステッカー120の除去個数、または前記袋110に収容された果菜類の新鮮度を調節するための密閉ステッカー120の除去個数などが表示され得る。
【0035】
一方、前記通気ホール111の開閉情報は果菜類別実験データにより標準化され得、これは次の通りである。
【0036】
図2は本発明の実施例に係る果菜類用ビニル包装材に収容されたバナナの外観新鮮度をテストしたグラフであり、
図3は本発明の実施例に係る果菜類用ビニル包装材に収容されたバナナの内部新鮮度をテストしたグラフである。
【0037】
図2および
図3を参照して、バナナに対する実験結果を詳察すると次の通りである。
【0038】
1.品種:キャベンディッシュ品種(Dole社から販売されるバナナ)
【0039】
2.入庫日:2018.11.19.に入庫して、状態が同じであるバナナを選別
【0040】
3.試験環境:約18℃~21℃の温度が維持される環境
【0041】
4.テストグループ
1)完全開放(2set)グループ:ジッパーを完全開放した2つの果菜類用ビニル包装材100にバナナをそれぞれ収容
2)通気ホール111を1個開放(2set)グループ:ジッパーを完全閉鎖した2つの果菜類用ビニル包装材100にバナナをそれぞれ収容して通気ホール111は一個のみ開放
3)通気ホール111を2個開放(2set)グループ:ジッパーを完全閉鎖した2つの果菜類用ビニル包装材100にバナナをそれぞれ収容して通気ホール111は2つのみ開放
4)通気ホール111を3個開放(2set)グループ:ジッパーを完全閉鎖した2つの果菜類用ビニル包装材100にバナナをそれぞれ収容して通気ホール111は3個のみ開放
5)通気ホール111を4個開放(2set)グループ:ジッパーを完全閉鎖した2つの果菜類用ビニル包装材100にバナナをそれぞれ収容して通気ホール111は4個のみ開放
6)通気ホール111を5個開放(2set)グループ:ジッパーを完全閉鎖した2つの果菜類用ビニル包装材100にバナナをそれぞれ収容して通気ホール111は5個のみ開放
7)密閉(2set)グループ:ジッパーおよび通気ホール111をすべて閉鎖した2つの果菜類用ビニル包装材100にバナナを収容
【0042】
5.時間の経過による外観新鮮度および内部新鮮度
1)実験は2018.11.28.に開始したし、4日経過後である2018.12.01.に完全開放グループのバナナが非常に徐々に褐変現象が進行された。
2)5日経過後である2018.12.02.に完全開放グループのバナナが明確に褐変現象(黒い斑点)が進行された。
3)6日経過後である2018.12.03.に通気ホール111が5個開放グループのバナナが明確に褐変現象(黒い斑点)が進行された。
4)7日経過後である2018.12.04.に通気ホール111が4個開放グループのバナナが明確に褐変現象(黒い斑点)が進行された。
5)8日経過後である2018.12.05.に通気ホール111が5個開放グループのバナナと通気ホール111が4個開放グループのバナナが肉眼で緩んだ部分と推定される部分が発見された。
6)9日経過後である2018.12.06.に密閉グループのバナナを除いてすべてのグループのバナナで明確に褐変現象(黒い斑点)が進行された。
7)10日経過後である2018.12.07.にはすべてのグループのバナナの外観色相が濃くなり、褐変現象が進行された。
8)12日経過後である2018.12.09.にはそれぞれのグループで1setずつバナナの切断面を確認したし、完全密閉されたグループのバナナは50%程度緩んだ部分が発生したし、通気ホール111が2つグループのバナナは約10%の緩んだ部分が確認されたし、残りは緩んだ部分が見えなかった。
9)13日経過後である2018.12.10.にはそれぞれのテストグループで、残りの1setのバナナの切断面を確認したし、密閉グループのバナナと通気ホール111が3個~5個グループの収容されたバナナは約60%程度緩んだ部分が発生したし、通気ホール111が2つグループのバナナは約10%の緩んだ部分が確認されたし、通気ホール111が一つグループのバナナは約20%の緩んだ部分が確認されたし、完全開放グループのバナナは約5%の緩んだ部分が確認された。
【0043】
すなわち、
図2のように、バナナの外観新鮮度は密閉力が高いほど時間経過に有利であり、
図3のようにバナナの内部新鮮度は開放がよくできるほど時間経過に有利である。
【0044】
したがって、バナナを収容するために使われる時、本発明の実施例に係る果菜類用ビニル包装材100は次のように使用され得、このような情報は前記情報ステッカー130に記載され得る。
【0045】
一般的な場合、通気ホール111を一つまたは2つのみ開放したまま流通した時に外観新鮮度と内部新鮮度がよく維持されるので、バナナを収容して流通時にこのような状態で発売する。
【0046】
消費者は購入したバナナを食べたい日付に合わせて密閉ステッカー120を通気ホール111から離したり付着させて、バナナの新鮮度を調節することができる。
【0047】
このような試験により、保管される果菜類に適合するように前記通気ホール111を群集の形態で前記袋110に形成してもよい。
【0048】
また、前記袋110の内部には前記通気ホール111と対向しないマイクロホールが形成された内部袋(図示されず)がさらに配置され得る。
【0049】
このような場合、前記通気ホール111とマイクロホールは互いに交差して配置されて、前記袋110と内部袋の内外に空気がラビリンス構造で流動するため、外部からの異物の流入がさらに効果的に遮断され得る。
【0050】
要するに、本発明は果菜類の個別的な特性に応じて流通および消費過程で新鮮度と成熟度を調節することができ、微細孔によって外部異物の内部への流入が遮断されて、そのまま摂取が可能な果菜類用ビニル包装材100を提供することができる。
【0051】
以上、前記説明によって、当業者であれば本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で多様な変更および修正ができることが分かるであろうし、本発明の技術的範囲は実施例に記載された内容に限定されず、特許請求の範囲およびそれと均等な範囲によって定められるべきである。
【符号の説明】
【0052】
100:果菜類用ビニル包装材
110:袋
111:通気ホール
112:ジッパー部
120:密閉ステッカー
130:情報ステッカー