(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-06
(45)【発行日】2022-01-20
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
H01H 13/14 20060101AFI20220113BHJP
H01H 13/52 20060101ALI20220113BHJP
【FI】
H01H13/14 B
H01H13/52 B
(21)【出願番号】P 2016160726
(22)【出願日】2016-08-18
【審査請求日】2019-05-08
【審判番号】
【審判請求日】2020-11-02
(73)【特許権者】
【識別番号】391008559
【氏名又は名称】株式会社トランストロン
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】泉澤 将臣
【合議体】
【審判長】平田 信勝
【審判官】間中 耕治
【審判官】尾崎 和寛
(56)【参考文献】
【文献】特表2002-531735(JP,A)
【文献】特開平7-220567(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 9/04
H01H 13/00 - 13/88
H01H 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部材と、
前記ベース部材に設けられるスイッチと、
前記スイッチを押す操作ボタンと、
前記スイッチと前記操作ボタンとの間に配置され、前記操作ボタンを支持するとともに該操作ボタンを前記スイッチに対して接離させる弾性支持部材と、
前記操作ボタンから突出し、前記弾性支持部材を貫通して前記ベース部材と対向するストッパ部と、
を備え、
前記弾性支持部材は、
前記スイッチを覆うスイッチカバー部と、
前記スイッチカバー部の外周部から前記ベース部材側へ延出し、前記スイッチを囲むスイッチ側周壁部と、
を有し、
前記スイッチカバー部は、
前記ストッパ部が貫通される貫通孔
と、
前記スイッチ側へ突出するとともに該スイッチと対向する突出部と、
を有し、
前記操作ボタンは、前記突出部を介して前記スイッチを押す、
電子機器。
【請求項2】
前記操作ボタンは、前記スイッチカバー部に固定されるとともに前記貫通孔を塞ぐ固定面を有し、
前記ストッパ部は、前記固定面から突出し、前記貫通孔に貫通される、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
ベース部材と、
前記ベース部材に設けられるスイッチと、
前記スイッチを押す操作ボタンと、
前記スイッチと前記操作ボタンとの間に配置され、前記操作ボタンを支持するとともに該操作ボタンを前記スイッチに対して接離させる弾性支持部材と、
前記操作ボタンから突出し、前記弾性支持部材を貫通して前記ベース部材と対向するストッパ部と、
前記操作ボタンが配置されるボタン用開口を有し、前記弾性支持部材に対して前記ベース部材と反対側に配置されるカバーパネル部と、
を備え、
前記弾性支持部材は、
前記スイッチを覆うスイッチカバー部と、
前記スイッチカバー部の外周部から前記ベース部材側へ延出し、前記スイッチを囲むスイッチ側周壁部と、
を有し、
前記スイッチカバー部は、前記ストッパ部が貫通される貫通孔を有する、
電子機器。
【請求項4】
前記スイッチカバー部の外周部から前記カバーパネル部側へ延出し、前記ボタン用開口を囲むボタン側周壁部を有する、
請求項3に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願が開示する技術は、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
ベース部材に設けられるスイッチと、操作者によって押下されることでスイッチを押す操作ボタン(キートップ)とを備える押しボタンスイッチがある(例えば、特許文献1~特許文献4参照)。
【0003】
この種の押しボタンスイッチでは、スイッチと操作ボタンとの間に配置される弾性支持部材によって、操作ボタンがスイッチに対して接離可能に支持される。
【0004】
また、押しボタンスイッチには、例えば、操作者によって操作ボタンが過度に押下されたときにベース部材に接触し、操作ボタンの移動量(押し込み量)を制限するストッパ部が設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平07-085751号公報
【文献】実開平06-028952号公報
【文献】実開平07-034534号公報
【文献】特開2009-004252号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、弾性支持部材及びストッパ部が、同じ弾性体によって一体に形成されると、ストッパ部がベース部材に接触したときに、ストッパ部が潰れ易くなる。そのため、ストッパ部によって、操作ボタンの移動量を制限することが困難になる可能性がある。
【0007】
一方、弾性カバー及びストッパ部が、高剛性の樹脂等によって一体に形成されると、ストッパ部がベース部材に接触したときに、ストッパ部が潰れ難くなる。そのため、ストッパ部によって、操作ボタンの移動量を制限することができる。
【0008】
しかしながら、弾性カバーが高剛性の樹脂等によって形成されると、操作者が操作ボタンを押下したときに、弾性カバーが弾性変形し難くなる。そのため、操作者による操作ボタンの操作性が低下する可能性がある。
【0009】
本願が開示する技術は、一つの側面として、操作ボタンの操作性の低下を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願が開示する技術では、電子機器は、ベース部材と、スイッチと、操作ボタンと、弾性支持部材と、ストッパ部とを備える。スイッチは、ベース部材に設けられる。操作ボタンは、スイッチを押す。弾性支持部材は、スイッチと操作ボタンとの間に配置され、操作ボタンを支持するとともに操作ボタンを前記スイッチに対して接離させる。ストッパ部は、操作ボタンから突出し、弾性支持部材を貫通してベース部材と対向する。
【発明の効果】
【0011】
本願が開示する技術によれば、一つの側面として、操作ボタンの操作性の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る押しボタンスイッチが実装された電子機器を前側から見た斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2に示されるフロントカバー、操作ボタン、弾性支持部材、スイッチ、及びプリント基板を後側から見た斜視図である。
【
図4】
図4は、操作ボタンが押下される前の状態を示す
図1の4-4線断面図である。
【
図5】
図5は、
図2に示される弾性支持部材、スイッチ、及びプリント基板を前側から見た前面図(正面図)である。
【
図6】
図6は、操作ボタンが押下された状態を示す
図4に相当する断面図である。
【
図7】
図7は、操作ボタンが押下され、ストッパ部がプリント基板に接触した状態を示す
図4に相当する断面図である。
【
図8】
図8は、比較例に係る押しボタンスイッチが実装された電子機器を示す
図4に相当する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本願が開示する技術の一実施形態について説明する。
【0014】
(電子機器)
図1には、本実施形態に係る押しボタンスイッチ30が実装された電子機器10が示される。電子機器10は、例えば、車両に搭載されるデジタルタコグラフ等の車載器とされる。この電子機器10は、ケース本体12と、フロントカバー14とを有する。
【0015】
図2に示されるように、ケース本体12は、直方体状に形成される。また、ケース本体12には、図示しない制御基板及び記憶装置等が収容される。このケース本体12の前面側(正面側)には、フロントカバー14が取り付けられる。
【0016】
フロントカバー14は、ケース本体12側が開口された箱状に形成される。また、フロントカバー14は、電子機器10の前面を形成するカバーパネル部14Aを有する。このカバーパネル部14Aには、情報を表示する表示部16と、入力装置としての複数の操作ボタン18が設けられる。また、カバーパネル部14Aには、後述する操作ボタン50を露出させるボタン用開口20が形成される。
【0017】
(押しボタンスイッチ)
図2及び
図3に示されるように、押しボタンスイッチ30は、スイッチ32と、操作ボタン50と、弾性支持部材60とを有する。スイッチ32は、プリント基板(スイッチ基板)40に実装される。
【0018】
(プリント基板)
プリント基板40は、板状に形成される。このプリント基板40は、実装面40Aを有する。実装面40Aには、スイッチ32及び図示しない電子部品が実装される。また、プリント基板40は、実装面40Aをカバーパネル部14A側へ向けた状態で、フロントカバー14内に収容される。このプリント基板40は、図示しないビス等によってケース本体12又はフロントカバー14に固定される。なお、プリント基板40は、ベース部材の一例である。
【0019】
(スイッチ)
図4に示されるように、スイッチ32は、プリント基板40の実装面40Aから突出した状態で、当該実装面40Aに実装される。このスイッチ32は、例えば、タクタイルスイッチとされる。具体的には、スイッチ32は、ケース34と、固定接点36と、可動接点38と、図示しない弾性体とを有する。
【0020】
ケース34は、プリント基板40の実装面40Aに固定される。このケース34内には、固定接点36、可動接点38、及び弾性体が収容される。また、ケース34は、可動接点38を露出させる開口34Aを有する。
【0021】
固定接点36は、ケース34又はプリント基板40に固定される。また、固定接点36は、プリント基板40と電気的に接続される。この固定接点36に対するプリント基板40と反対側には、可動接点38が配置される。
【0022】
可動接点38は、固定接点36に対して接離可能にケース34内に収容される。また、可動接点38の一部は、ケース34の開口34Aから露出される。この可動接点38が固定接点36に接触されることにより、スイッチ32がオン状態(通電状態)となる。一方、可動接点38が固定接点36から離れると、スイッチ32がオフ状態(非通電状態)となる。この可動接点38と固定接点36との間には、図示しない弾性体が配置される。
【0023】
弾性体は、例えば、反転ばね等によって形成される。この弾性体は、可動接点38を固定接点36から離れる方向へ付勢する。この弾性体の付勢力によって、可動接点38が固定接点36から離れたオフ状態で保持される。このオフ状態では、スイッチ32の一部がケース34の開口34Aから突出される。
【0024】
なお、スイッチ32の構造は、適宜変更可能である。したがって、スイッチ32は、例えば、ドームスイッチ等であっても良い。
【0025】
(操作ボタン)
スイッチ32に対するプリント基板40と反対側には、操作ボタン50が配置される。操作ボタン50は、操作者の手等によって操作される押しボタンとされる。この操作ボタン50は、後述する弾性支持部材60によって、スイッチ32に対して接離可能に支持される。また、操作ボタン50は、後述する弾性支持部材60よりも高剛性又は高強度の樹脂等の材料によって形成される。なお、各図に示される矢印Mは、スイッチ32に対する操作ボタン50の移動方向(接離方向)を示す。
【0026】
操作ボタン50は、ボタン本体部52と、延出部54とを有する。ボタン本体部52は、扁平な円柱状に形成される。このボタン本体部52は、操作ボタン50の移動方向(矢印M方向)を、当該ボタン本体部52の軸方向として配置される。また、ボタン本体部52は、カバーパネル部14Aのボタン用開口20内に配置される。
【0027】
ボタン本体部52におけるスイッチ32側の端部には、延出部(フランジ部)54が設けられる。延出部54は、操作ボタン50の移動方向から見て、ボタン本体部52を囲むリング状に形成される。また、延出部54は、ボタン本体部52から外側へ延出し、カバーパネル部14Aと後述するスイッチカバー部66との間に配置される。この延出部54がカバーパネル部14Aの内面14A1に係合と係合することにより、操作ボタン50がボタン用開口20から抜け出すことが抑制される。
【0028】
(弾性支持部材)
操作ボタン50とプリント基板40との間には、弾性支持部材60が配置される。弾性支持部材60は、シリコンゴム等の弾性体によって形成される。この弾性支持部材60を介して操作ボタン50がプリント基板40に弾性支持される。また、弾性支持部材60の弾性変形に伴って、操作ボタン50がスイッチ32に対して接離される。
【0029】
具体的には、弾性支持部材60は、周壁部62と、スイッチカバー部66とを有する。周壁部62は、筒状を成す。また、周壁部62は、軸方向の両端に開口64A,64Bをそれぞれ有する。この周壁部62は、操作ボタン50の移動方向(矢印M方向)を、当該周壁部62の軸方向として、プリント基板40とカバーパネル部14Aとの間に配置される。
【0030】
周壁部62は、プリント基板40とカバーパネル部14Aとの間に挟み込まれる。そのため、周壁部62の軸方向の一端部62E1は、プリント基板40の実装面40Aに圧接される。これと同様に、周壁部62の軸方向の他端部62E2は、カバーパネル部14Aの内面14A1に圧接される。
【0031】
周壁部62の内側には、スイッチ32を覆うスイッチカバー部66が設けられる。周壁部62は、操作ボタン50の移動方向から見て、円形状に形成される。また、スイッチカバー部66は、周壁部62の軸方向の中間部に設けられる。さらに、スイッチカバー部66は、周壁部62の内部空間を、当該周壁部62の軸方向に仕切る隔壁状に形成される。これにより、スイッチカバー部66によって、周壁部62の内側空間がスイッチ32側のスイッチ収容室68と、操作ボタン50側のボタン収容室70とに仕切られる。
【0032】
なお、以下では、スイッチカバー部66の外周部からスイッチ32側へ延出する周壁部62の部位をスイッチ側周壁部62Aとし、スイッチカバー部66の外周部から操作ボタン50側へ延出する周壁部62の部位をボタン側周壁部62Bとする。
【0033】
スイッチ収容室68は、スイッチカバー部66及びスイッチ側周壁部62Aによって区画される。このスイッチ収容室68には、周壁部62の一端側の開口64Aからスイッチ32が収容される。また、前述したように、周壁部62の一端部62E1は、プリント基板40に圧接される。これにより、周壁部62の一端側の開口64Aからスイッチ収容室68に水又は塵等が侵入することが抑制される。
【0034】
ボタン収容室70は、スイッチカバー部66とボタン側周壁部62Bによって区画される。このボタン収容室70には、周壁部62の他端側の開口64Bから操作ボタン50の一部が収容される。また、前述したように、周壁部62の他端部62E2は、カバーパネル部14Aの内面14A1に圧接される。これにより、周壁部62の他端側の開口64Bからボタン収容室70に水又は塵等が侵入することが抑制される。
【0035】
スイッチカバー部66におけるスイッチ32と反対側の外面66Bには、操作ボタン50が固定される。具体的には、操作ボタン50は、固定面50Aを有する。固定面50Aは、ボタン本体部52と延出部54とに亘る平坦面とされる。この固定面50Aは、接着剤又は両面テープ等によって、スイッチカバー部66の外面66Bに固定(接合)される。なお、固定面50Aは、操作ボタン50におけるスイッチカバー部66側の面の少なくとも一部に形成可能である。
【0036】
ここで、操作ボタン50は、スイッチカバー部66によって弾性支持される。これにより、操作者の手等によって操作ボタン50が押下されると、スイッチカバー部66がスイッチ32側へ凸を成すように弾性変形する。この結果、操作ボタン50が、スイッチ32に接近する。一方、操作者が操作ボタン50から手等を離すと、スイッチカバー部66が元の形状に復元する。これにより、操作ボタン50がスイッチ32から離れる。
【0037】
スイッチカバー部66におけるスイッチ32側の内面66Aには、スイッチ32の可動接点38を押す突出部72が設けられる。突出部72は、スイッチカバー部66の内面66Aの中央部から突起状に突出し、スイッチ32の可動接点38と対向する。この突出部72は、スイッチカバー部66の弾性変形に伴って可動接点38を押し、当該可動接点38を固定接点36に接触させる。これにより、スイッチ32がオン状態となる。一方、スイッチカバー部66が元の形状に復元すると、突出部72が可動接点38から離れる結果、可動接点38が固定接点36から離れる。これにより、スイッチ32がオフ状態となる。
【0038】
また、スイッチカバー部66には、複数の貫通孔74が形成される。各貫通孔74は、スイッチカバー部66を厚み方向に貫通する円形状の孔とされる。これらの貫通孔74には、後述する操作ボタン50のストッパ部56がそれぞれ挿入される。また、各貫通孔74は、操作ボタン50の固定面50Aによって塞がれる。これにより、貫通孔74からスイッチ収容室68に、水又は塵等が侵入することが抑制される。
【0039】
(ストッパ部)
操作ボタン50には、複数のストッパ部56が設けられる。複数のストッパ部56は、操作ボタン50の移動量(押込み量)を制限する。換言すると、複数のストッパ部56は、スイッチカバー部66の弾性変形量を制限する。これらのストッパ部56は、後述する弾性支持部材60よりも高剛性又は高強度の樹脂等の材料によって、操作ボタン50と一体に形成される。
【0040】
各操作ボタン50の固定面50Aから突起状に突出し、スイッチカバー部66の貫通孔74に貫通される。また、複数のストッパ部56は、
図5に示されるように、操作ボタン50を移動方向(矢印M方向)から見て、スイッチ32の外周に配置される。
【0041】
図4に示されるように、複数のストッパ部56の先端部56Tは、プリント基板40の実装面40Aと対向される。これらのストッパ部56は、操作者が操作ボタン50を押下し、スイッチ32がオン状態になった状態で、操作者が操作ボタン50をさらに押下すると、プリント基板40の実装面40Aに接触される。これにより、複数のストッパ部56によって、操作ボタン50の移動量が制限される。
【0042】
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0043】
図5には、操作者によって操作ボタン50が押下される前の状態が示される。この状態では、スイッチカバー部66の突出部72がスイッチ32の可動接点38から離れ、スイッチ32がオフ状態となる。また、操作ボタン50のストッパ部56が、プリント基板40から離れた状態となる。
【0044】
このスイッチ32のオフ状態から、例えば、操作者の手によって操作ボタン50がスイッチ32側へ押下されると、
図6に示されるように、スイッチカバー部66がスイッチ32側へ凸を成すように弾性変形する。これにより、スイッチカバー部66の内面66Aから突出する突出部72によって、スイッチ32の可動接点38が押される。この結果、可動接点38が固定接点36に接触し、スイッチ32がオフ状態からオン状態に切り替わる。
【0045】
次に、操作者が操作ボタン50から手を離すと、スイッチカバー部66が元の形状に復元し、スイッチ32の可動接点38からケース34の突出部72が離れる。これにより、固定接点36から可動接点38が離れ、スイッチ32がオン状態からオフ状態に切り替わる。この際、操作ボタン50の延出部54がカバーパネル部14Aの内面14A1に係合される。これにより、操作ボタン50がカバーパネル部14Aのボタン用開口20から抜け出すことが抑制される。
【0046】
ところで、スイッチ32がオン状態の場合に操作者が操作ボタン50をさらに押下すると、固定接点36に可動接点38が過度に圧接されて、これらの固定接点36及び可動接点38が破損する可能性がある。
【0047】
これに対して本実施形態では、スイッチ32がオン状態の場合に操作者が操作ボタン50をさらに押下すると、
図7に示されるように、操作ボタン50の複数のストッパ部56がプリント基板40の実装面40Aに接触される。これにより、操作ボタン50の移動量(押込み量)が制限される。この結果、固定接点36に対する可動接点38の過度な圧接が抑制される。したがって、固定接点36及び可動接点38等の破損が抑制される。
【0048】
ここで、
図8には、比較例に係る押しボタンスイッチ100が示される。この押しボタンスイッチ100では、スイッチカバー部66と複数のストッパ部102とが、弾性体によって一体に形成される。そのため、比較例に係る押しボタンスイッチ100では、ストッパ部102の先端部がプリント基板40の実装面40Aに接触したときに、ストッパ部102が潰れ易くなる。したがって、ストッパ部102によって、操作ボタン50の移動量を制限することが困難になる可能性がある。
【0049】
この対策として、例えば、スイッチカバー部及び複数のストッパ部を、高剛性の樹脂等によって一体に形成することが考えられる。この場合、ストッパ部がプリント基板の実装面に接触したときに、ストッパ部が潰れ難くなる。したがって、ストッパ部によって、操作ボタンの移動量を制限することができる。
【0050】
しかしながら、スイッチカバー部が高剛性の樹脂等によって形成されると、操作者が操作ボタンを押下したときに、スイッチカバー部が弾性変形し難くなる。そのため、操作者による操作ボタンの操作性が低下する可能性がある。
【0051】
これに対して本実施形態では、
図4に示されるように、操作ボタン50と複数のストッパ部56とが、高剛性の樹脂等によって一体に形成される。そのため、複数のストッパ部56の先端部56Tがプリント基板40の実装面40Aに接触したときに、ストッパ部56が潰れ難くなる。したがって、ストッパ部56によって、操作ボタン50の移動量を制限することができる。
【0052】
また、複数のストッパ部56は、操作ボタン50の固定面50Aから突出し、スイッチカバー部66の貫通孔74に貫通される。つまり、本実施形態では、スイッチカバー部66とストッパ部56とが別体とされる。これにより、スイッチカバー部66よりも高剛性の樹脂等によってストッパ部56を形成しつつ、シリコンゴム等の弾性体によってスイッチカバー部66を形成することができる。したがって、高剛性のストッパ部56によって、操作ボタン50の移動量を制限しつつ、操作ボタン50の操作性の低下を抑制することができる。
【0053】
また、本実施形態では、スイッチカバー部66によってスイッチ32が覆われる。これにより、例えば、ボタン用開口20からカバーパネル部14Aの内側に侵入した水又は塵等が、スイッチ32に触れることが抑制される。
【0054】
さらに、スイッチ32は、スイッチカバー部66の外周部からプリント基板40側へ延出するスイッチ側周壁部62Aによって囲まれる。換言すると、スイッチ32は、スイッチカバー部66及びスイッチ側周壁部62Aによって区画されたスイッチ収容室68に収容される。これにより、ボタン用開口20からカバーパネル部14Aの内側に侵入した水又は塵等が、スイッチ32に触れることがさらに抑制される。
【0055】
しかも、弾性支持部材60は、カバーパネル部14Aとプリント基板40との間に挟み込まれる。これにより、周壁部62の一端部62E1が、プリント基板40の実装面40Aに圧接される。この結果、周壁部62の一端部62E1とプリント基板40の実装面40Aとの隙間が密閉される。したがって、周壁部62の一端部62E1とプリント基板40の実装面40Aとの隙間から、スイッチ収容室68内に水又は塵等が侵入することが抑制される。
【0056】
これと同様に、周壁部62の他端部62E2は、カバーパネル部14Aの内面14A1に圧接される。この結果、周壁部62の他端部62E2とカバーパネル部14Aの内面14A1との隙間が密閉される。したがって、周壁部62の他端部62E2とカバーパネル部14Aの内面14A1との隙間から、スイッチ収容室68内に水又は塵等が侵入することが抑制される。
【0057】
また、スイッチカバー部66の各貫通孔74は、操作ボタン50の固定面50Aによって塞がれる。これにより、貫通孔74からスイッチ収容室68に水又は塵等が侵入することが抑制される。
【0058】
次に、上記実施形態の変形例について説明する。
【0059】
上記実施形態では、ストッパ部56が突起状に形成される。しかし、ストッパ部は、例えば、壁状又はリブ状に形成されても良い。また、操作ボタン50には、少なくとも一つのストッパ部56を設けることができる。
【0060】
また、上記実施形態では、スイッチカバー部66の貫通孔74に、ストッパ部56が貫通される。しかし、ストッパ部56は、例えば、スイッチカバー部66に形成された切欠き等に貫通されても良い。
【0061】
また、上記実施形態では、ストッパ部56の先端部56Tがプリント基板40と接触することにより、操作ボタン50の移動量が制限される。しかし、例えば、スイッチ32がプリント基板40を介してケース本体12に設ける場合は、ストッパ部56の先端部56Tが、ケース本体12と接触するように構成されても良い。この場合、ケース本体12が、ベース部材の一例となる。つまり、ベース部材には、プリント基板40だけでなく、スイッチ32が設けられる種々の部材が含まれる。
【0062】
また、上記実施形態では、弾性支持部材60の周壁部62が筒状に形成される。つまり、周壁部62の断面形状は、円形状に形成される。しかし、周壁部の断面形状は、矩形状であっても良い。
【0063】
また、上記実施形態では、弾性支持部材60の周壁部62及びスイッチカバー部66が弾性体で形成される。しかし、周壁部62は、例えば、樹脂又は金属等によって形成されても良い。
【0064】
また、上記実施形態では、弾性支持部材60にボタン収容室70が設けられる。しかし、ボタン収容室70は、省略可能である。つまり、ボタン側周壁部62Bは、省略可能である。これと同様に、スイッチ収容室68は、省略可能である。つまり、スイッチ側周壁部62Aは、省略可能である。この場合、弾性支持部材は、例えば、ボタン側周壁部62Bを介してカバーパネル部14Aに固定される。さらに、周壁部62は、省略可能である。この場合、スイッチカバー部66は、例えば、プリント基板40又はカバーパネル部14Aから突出する複数のボス部等に固定される。
【0065】
また、上記実施形態では、操作ボタン50がスイッチカバー部66に固定される。しかし、操作ボタン50は、スイッチカバー部66に固定されず、スイッチカバー部66とカバーパネル部14Aとの間で保持されても良い。
【0066】
また、上記実施形態の操作ボタン50は、スイッチカバー部66の突出部72を介してスイッチ32の可動接点38を押す。しかし、操作ボタン50には、当該操作ボタン50から突出し、スイッチカバー部66を貫通してスイッチ32の可動接点38と対向する突出部が設けられても良い。この場合、操作者によって操作ボタンが押下されると、操作ボタンから突出する突出部によって、スイッチ32の可動接点38が押される。
【0067】
また、上記実施形態では、操作ボタン50に延出部54が設けられる。しかし、延出部54は、省略可能である。また、操作ボタン50の形状は、適宜変更可能である。さらに、操作ボタン50は、スイッチカバー部66よりも高剛性又は高強度の金属等によって形成されても良い。さらに、カバーパネル部14Aは、省略可能である。
【0068】
また、上記実施形態に係る押しボタンスイッチ30は、車載器に限らず、種々の電子機器に適用可能である。したがって、例えば、上記実施形態に係る押しボタンスイッチ30は、パーソナルコンピュータ等のキーボードにも適用可能である。
【0069】
以上、本願が開示する技術の一実施形態について説明したが、本願が開示する技術は上記の実施形態に限定されるものでない。また、上記実施形態及び各種の変形例を適宜組み合わせて用いても良いし、本願が開示する技術の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【0070】
なお、以上の実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0071】
(付記1)
ベース部材と、
前記ベース部材に設けられるスイッチと、
前記スイッチを押す操作ボタンと、
前記スイッチと前記操作ボタンとの間に配置され、前記操作ボタンを支持するとともに該操作ボタンを前記スイッチに対して接離させる弾性支持部材と、
前記操作ボタンから突出し、前記弾性支持部材を貫通して前記ベース部材と対向するストッパ部と、
を備える電子機器。
(付記2)
前記弾性支持部材は、前記スイッチを覆うとともに前記ストッパ部が貫通されるスイッチカバー部を有する、
付記1に記載の電子機器。
(付記3)
前記スイッチカバー部は、前記ストッパ部が貫通される貫通孔を有する、
付記2に記載の電子機器。
(付記4)
前記操作ボタンは、前記スイッチカバー部に固定されるとともに前記貫通孔を塞ぐ固定面を有し、
前記ストッパ部は、前記固定面から突出し、前記貫通孔に貫通される、
付記3に記載の電子機器。
(付記5)
前記弾性支持部材は、前記スイッチカバー部の外周部から前記ベース部材側へ延出し、前記スイッチを囲むスイッチ側周壁部を有する、
付記2~付記4の何れか1つに記載の電子機器。
(付記6)
前記スイッチ側周壁部は、内側に前記スイッチを収容するスイッチ収容室を有する、
付記5に記載の電子機器。
(付記7)
前記スイッチ側周壁部は、筒状を成す、
付記5又は付記6に記載の電子機器。
(付記8)
前記操作ボタンは、前記弾性支持部材を介して前記ベース部材に支持される、
付記2~付記7の何れか1つに記載の電子機器。
(付記9)
前記スイッチカバー部は、前記スイッチ側へ突出するとともに該スイッチと対向する突出部を有し、
前記操作ボタンは、前記突出部を介して前記スイッチを押す、
付記2~付記8の何れか1つに記載の電子機器。
(付記10)
前記操作ボタンが配置されるボタン用開口を有し、前記弾性支持部材に対して前記ベース部材と反対側に配置されるカバーパネル部を備える、
付記2~付記9の何れか1つに記載の電子機器。
(付記11)
前記スイッチカバー部の外周部から前記カバーパネル部側へ延出し、前記ボタン用開口を囲むボタン側周壁部を有する、
付記10に記載の電子機器。
(付記12)
前記ボタン側周壁部は、内側に前記操作ボタンを収容するボタン収容室を有する、
付記11に記載の電子機器。
(付記13)
前記弾性支持部材は、前記カバーパネル部と前記ベース部材との間に挟み込まれる、
付記10~付記12の何れか1つに記載の電子機器。
(付記14)
前記操作ボタンは、
前記ボタン用開口に配置されるボタン本体部と、
前記ボタン本体部から前記カバーパネル部と前記弾性支持部材との間に延出する延出部と、
を有する、
付記10~付記13の何れか1つに記載の電子機器。
(付記15)
前記ストッパ部は、前記スイッチカバー部よりも高剛性とされる、
付記2~付記14の何れか1つに記載の電子機器。
(付記16)
前記スイッチカバー部は、弾性体で形成される、
付記2~付記15の何れか1つに記載の電子機器。
(付記17)
前記ストッパ部は、前記ベース部材との接触に伴って前記ベース部材に対する前記操作ボタンの接近を制限する、
付記1~付記16の何れか1つに記載の電子機器。
(付記18)
前記ストッパ部は、前記操作ボタンによって前記スイッチが押された後に、前記ベース部材に接触される、
付記1~付記17の何れか1つに記載の電子機器。
(付記19)
前記ベース部材は、前記スイッチが実装されるプリント基板を有する、
付記1~付記18の何れか1つに記載の電子機器。
(付記20)
ベース部材に設けられるスイッチと、
前記スイッチを押す操作ボタンと、
前記スイッチと前記操作ボタンとの間に配置され、前記操作ボタンを支持するとともに該操作ボタンを前記スイッチに対して接離させる弾性支持部材と、
前記操作ボタンから突出し、前記弾性支持部材を貫通して前記ベース部材と対向するストッパ部と、
を備える押しボタンスイッチ。
【符号の説明】
【0072】
10 電子機器
14A カバーパネル部
20 ボタン用開口
30 押しボタンスイッチ
32 スイッチ
40 プリント基板(ベース部材の一例)
50 操作ボタン
50A 固定面(操作ボタンの固定面の一例)
52 ボタン本体部
54 延出部
56 ストッパ部
60 弾性支持部材
62A スイッチ側周壁部
62B ボタン側周壁部
66 スイッチカバー部
68 スイッチ収容室
70 ボタン収容室
72 突出部
74 貫通孔