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特許7003492カラーフィルタ用着色組成物及びカラーフィルタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-06
(45)【発行日】2022-01-20
(54)【発明の名称】カラーフィルタ用着色組成物及びカラーフィルタ
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/20 20060101AFI20220113BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20220113BHJP
   G03F 7/027 20060101ALI20220113BHJP
   C08F 290/06 20060101ALI20220113BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20220113BHJP
【FI】
G02B5/20 101
G03F7/004 505
G03F7/027 502
C08F290/06
G02F1/1335 500
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2017162989
(22)【出願日】2017-08-28
(65)【公開番号】P2019040109
(43)【公開日】2019-03-14
【審査請求日】2020-06-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】東洋インキSCホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591183153
【氏名又は名称】トーヨーカラー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】横田 洋一郎
(72)【発明者】
【氏名】山口 隆広
【審査官】渡邊 吉喜
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-173549(JP,A)
【文献】特開2006-163084(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/20
G03F 7/004
G03F 7/027
C08F 290/06
G02F 1/1335
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
緑色顔料(A)、樹脂型分散剤、アルカリ可溶性ビニル系樹脂(B)、溶剤(C)、光重合性単量体(D)及び光重合開始剤(E)を含有するカラーフィルタ用着色組成物であって、
光重合性単量体(D)が、少なくとも、一分子内に2つ以上の(メタ)アクリロイル基と2つ以上の水酸基とを含有する光重合性単量体(D1)及び分子内にウレタン結合を有する光重合性単量体(D2)(ただし、アクリロイル基が導入されたウレタンウレア樹脂を除く)を含有し、
光重合性単量体(D1)が、下記一般式(1)~(3)からなる群より選ばれる1種以上の化合物である、カラーフィルタ用着色組成物。
一般式(1)
【化1】
[一般式(1)中、R ~R は、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基を表す。]
一般式(2)
【化2】
[一般式(2)中、R 及びR は、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基を表す。nは1~11の整数を表す。]
一般式(3)
【化3】
[一般式(3)中、R 及びR は、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基を表す。nは1~11の整数を表す。]
【請求項2】
一分子内に2つ以上の(メタ)アクリロイル基と2つ以上の水酸基とを含有する光重合性単量体(D1)の含有量が、光重合性単量体(D)全量に対して、5質量%~80質量%である請求項1に記載のカラーフィルタ用着色組成物。
【請求項3】
光重合性単量体(D1)が、一分子内に3つ以上の(メタ)アクリロイル基と3つ以上の水酸基とを含有する請求項1又は2に記載のカラーフィルタ用着色組成物。
【請求項4】
基板上に、請求項1~3いずれか1項に記載のカラーフィルタ用着色組成物から形成されてなる緑色フィルタセグメントを具備するカラーフィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラー液晶表示装置、及びカラー撮像素子等に用いられるカラーフィルタの製造に使用されるカラーフィルタ用着色組成物、並びにこれを用いて形成されるフィルタセグメントを具備するカラーフィルタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、カラーフィルタは、より濃く鮮やかな色を表示するために高色再現性が求められている。高色再現をするためには、赤色、緑色、青色の各カラーフィルタ画素中に含まれる顔料の量を増やす必要がある。顔料の含有量を増やす方法としては各画素の膜厚を厚くする方法若しくは、着色組成物の顔料濃度を増やす方法がある。
【0003】
カラーフィルタ画素は、その作製工程の中で、着色組成物の塗膜に紫外線を照射し塗膜を硬化させる工程及び、塗膜の重合を促進するため、必要に応じて加熱を施す工程を含む。しかし、カラーフィルタ画素中の顔料量が大きくなると、塗膜の底部まで紫外線が届かず表面は固まっているが、塗膜の底部は固まっていない現象が起きる。この状態で塗膜を加熱すると、紫外線照射で固まっている表面と固まっていない底部の熱収縮差により、塗膜の表面にシワが入る現象が起こってしまう。
【0004】
塗膜の表面にシワが発生すると、カラーフィルタで色を表示する際、色にムラが発生するため好ましくない。特に、緑色画素はシワが発生する傾向が大きく、着色組成物に関して好ましい材料選定を行うことで、シワの発生を抑制する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-212030 号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、シワが発生せずさらに耐薬品性に優れるカラーフィルタを得ることができるカラーフィルタ用着色組成物を提供することにある。また、シワが発生せずさらに耐薬品性に優れたカラーフィルタを提供することにある。
【0007】
本発明者らは、前記諸問題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定の光重合性単量体として、少なくとも、一分子内に2つ以上の(メタ)アクリロイル基と2つ以上の水酸基とを含有する光重合性単量体(D1)及び分子内にウレタン結合を有する光重合性単量体(D2)を含有することにより、カラーフィルタ画素にシワの発生がなく、かつ耐薬品性にも優れるカラーフィルタを得ることができるカラーフィルタ用着色組成物、及び、シワの発生がなくかつ耐薬品性にも優れるカラーフィルタが作製できることを見出し、本発明に至った。
【0008】
すなわち、本発明は、緑色顔料(A)、バインダー樹脂(B)、溶剤(C)、光重合性単量体(D)及び光重合開始剤(E)を含有するカラーフィルタ用着色組成物であって、光重合性単量体(D)が、少なくとも、一分子内に2つ以上の(メタ)アクリロイル基と2つ以上の水酸基とを含有する光重合性単量体(D1)及び分子内にウレタン結合を有する光重合性単量体(D2)を含有するカラーフィルタ用着色組成物に関する。
【0009】
また本発明は、一分子内に2つ以上の(メタ)アクリロイル基と2つ以上の水酸基とを含有する光重合性単量体(D1)の含有量が、光重合性単量体(D)全量に対して、5質量%~80質量%である上記カラーフィルタ用着色組成物に関する。
【0010】
また本発明は、光重合性単量体(D1)が、一分子内に3つ以上の(メタ)アクリロイル基と3つ以上の水酸基とを含有する上記カラーフィルタ用着色組成物に関する。
【0011】
さらに本発明は、基板上に、上記カラーフィルタ用着色組成物から形成されてなる緑色フィルタセグメントを具備するカラーフィルタに関する。
【発明の効果】
【0012】
本発明のカラーフィルタ用着色組成物により、組成物中における緑色顔料の含有量が高い場合においても、シワを発生させることなく、高耐薬品性に優れたカラーフィルタを得ることができるカラーフィルタ用着色組成物、及び、該カラーフィルタ用感光性着色組成物を用いた高品質のカラーフィルタを得ることが出来る。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本願では、「(メタ)アクリロイル」、「(メタ)アクリル」、「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリレート」、又は「(メタ)アクリルアミド」と表記した場合には、特に説明がない限り、それぞれ、「アクリロイル及び/又はメタクリロイル」、「アクリル及び/又はメタクリル」、「アクリル酸及び/又はメタクリル酸」、「アクリレート及び/又はメタクリレート」、又は「アクリルアミド及び/又はメタクリルアミド」を表すものとする。また、本明細書に挙げる「C.I.」は、カラーインデックス(C.I.)を意味する。
【0014】
本発明は、 緑色顔料(A)、バインダー樹脂(B)、溶剤(C)、光重合性単量体(D)及び光重合開始剤(E)を含有するカラーフィルタ用着色組成物であって、光重合性単量体(D)が、少なくとも、一分子内に2つ以上の(メタ)アクリロイル基と2つ以上の水酸基とを含有する光重合性単量体(D1)及び分子内にウレタン結合を有する光重合性単量体(D2)を含有することを特徴とする。
【0015】
<緑色顔料(A)>
本発明の着色組成物に用いることができる緑色顔料としては、従来公知の種々の緑色顔料から任意に選択することができる。これらの顔料は、単独で、又は必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。また、調色のために黄色顔料を併用しても良い。また目的に応じて各種染料を併用することもできる。
【0016】
緑色顔料としては、例えばC.I.ピグメントグリーン1、2、4、7、8、10、13、14、15、17、18、19、26、36、45、48、50、51、54、55、58又は63を挙げることができる。これらの中でも、高コントラスト比、高明度を得る観点から、好ましくはC.I.ピグメントグリーン7、36、58である。また、アルミニウムフタロシアニン顔料を用いることも好ましく、特開2004-333817号公報、特許第4893859号公報等に記載のアルミニウムフタロシアニン顔料等を用いることもできる。
【0017】
<その他顔料>
黄色顔料としては、例えばC.I.ピグメントイエロー1、1:1、2、3、4、5、6、9、10、12、13、14、16、17、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、41、42、43、48、53、55、61、62、62:1、63、65、73、74、75,81、83、87、93、94、95、97、100、101、104、105、108、109、110、111、116、117、119、120、126、127、127:1、128、129、133、134、136、138、139、142、147、148、150、151、153、154、155、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、172、173、174、175、176、180、181、182、183、184、185、188、189、190、191、191:1、192、193、194、195、196、197、198、199、200、202、203、204、205、206、207、208、特許第4993026号公報に記載のキノフタロン系顔料等の黄色顔料を用いることができる。これらの中でも、高コントラスト比、高明度を得る観点から、好ましくはC.I.ピグメントイエロー83、117、129、138、139、150、154、155、180、又は185であり、更に好ましくはC.I.ピグメントイエロー83、138、139、150、又は185である。
【0018】
顔料の含有量は、着色組成物の全不揮発成分を基準(100質量%)として、充分な色再現性を得る観点から10質量%以上が好ましく、より好ましくは15質量%以上であり、最も好ましくは20質量%以上である。また、着色組成物の安定性の観点から、好ましい顔料含有量は90質量%以下であり、より好ましくは80質量%以下であり、最も好ましくは70質量%以下である。
【0019】
[顔料の微細化]
本発明で顔料を用いる場合、微細化して用いることが好ましいが、微細化方法は特に限定されるものではなく、例えば湿式磨砕、乾式磨砕、溶解析出法いずれも使用でき、本発明で例示するように湿式磨砕の1種であるニーダー法によるソルトミリング処理を行うことができる。顔料の一次粒子径は、顔料担体中への分散が良好なことから、20nm以上であることが好ましい。また、コントラスト比が高いカラーフィルタを形成できることから、100nm以下であることが好ましい。特に好ましい範囲は、25~85nmの範囲である。なお、顔料の一次粒子径は、顔料のTEM(透過型電子顕微鏡)による電子顕微鏡写真から一次粒子の大きさを直接計測する方法で行った。具体的には、個々の顔料の一次粒子の短軸径と長軸径を計測し、平均をその顔料粒子の粒径とした。次に、100個以上の顔料粒子について、それぞれの粒子の体積を求めた粒径の立方体と近似して求め、体積平均粒径を平均一次粒子径としている。
【0020】
ソルトミリング処理とは、顔料と水溶性無機塩と水溶性有機溶剤との混合物を、ニーダー、2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミル、アトライター、サンドミル等の混練機を用いて、加熱しながら機械的に混練した後、水洗により水溶性無機塩と水溶性有機溶剤を除去する処理である。水溶性無機塩は、破砕助剤として働くものであり、ソルトミリング時に無機塩の硬度の高さを利用して顔料が破砕される。顔料をソルトミリング処理する際の条件を最適化することにより、一次粒子径が非常に微細であり、また、分布の幅がせまく、シャープな粒度分布をもつ顔料を得ることができる。
【0021】
水溶性無機塩としては、塩化ナトリウム、塩化バリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム等を用いることができるが、価格の点から塩化ナトリウム(食塩)を用いるのが好ましい。水溶性無機塩は、処理効率と生産効率の両面から、顔料100質量部に対し、50~2000質量部用いることが好ましく、300~1,000質量部用いることが最も好ましい。
【0022】
水溶性有機溶剤は、顔料及び水溶性無機塩を湿潤する働きをするものであり、水に溶解(混和)し、かつ用いる無機塩を実質的に溶解しないものであれば特に限定されない。ただし、ソルトミリング時に温度が上昇し、溶剤が蒸発し易い状態になるため、安全性の点から、沸点120℃以上の高沸点溶剤が好ましい。例えば、2-メトキシエタノール、2-ブトキシエタノール、2-(イソペンチルオキシ)エタノール、2-(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、液状のポリエチレングリコール、1-メトキシ-2-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、液状のポリプロピレングリコール等が用いられる。水溶性有機溶剤は、顔料100質量部に対し、5~1,000質量部用いることが好ましく、50~500質量部用いることが最も好ましい。
【0023】
顔料をソルトミリング処理する際には、必要に応じて樹脂を添加してもよい。用いられる樹脂の種類は特に限定されず、天然樹脂、変性天然樹脂、合成樹脂、天然樹脂で変性された合成樹脂等を用いることができる。用いられる樹脂は、室温で固体であり、水不溶性であることが好ましく、かつ上記有機溶剤に一部可溶であることがさらに好ましい。樹脂の使用量は、顔料100質量部に対し、5~200質量部の範囲であることが好ましい。
【0024】
<バインダー樹脂(B)>
本発明のカラーフィルタ用着色組成物に含まれるバインダー樹脂(B)は、顔料を分散又は浸透させるものであって、例えば、熱可塑性樹脂等が挙げられる。バインダー樹脂(B)は、可視光領域の400~700nmの全波長領域において分光透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上の透明樹脂であることが好ましい。また、アルカリ現像型感光性着色組成物の形態で用いる場合には、酸性置換基含有エチレン性不飽和単量体を共重合したアルカリ可溶性ビニル系樹脂を用いることが好ましい。また、さらに光感度を向上させるために、エチレン性不飽和二重結合を有する活性エネルギー線硬化性樹脂を用いることもできる。
【0025】
熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ブチラール樹脂、スチレンーマレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、ビニル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリエチレン(HDPE、LDPE)、ポリブタジエン、及びポリイミド樹脂等が挙げられる。
【0026】
酸性置換基含有エチレン性不飽和単量体を共重合したビニル系アルカリ可溶性樹脂としては、例えば、カルボキシル基、スルホン基等の酸性置換基を有する樹脂が挙げられる。アルカリ可溶性樹脂として具体的には、酸性置換基を有するアクリル樹脂、α-オレフィン/(無水)マレイン酸共重合体、スチレン/スチレンスルホン酸共重合体、エチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、又はイソブチレン/(無水)マレイン酸共重合体等が挙げられる。中でも、酸性置換基を有するアクリル樹脂、及びスチレン/スチレンスルホン酸共重合体から選ばれる少なくとも1種の樹脂、特に酸性置換基を有するアクリル樹脂は、耐熱性、透明性が高いため、好適に用いられる。
【0027】
エチレン性不飽和二重結合を有する活性エネルギー線硬化性樹脂としては、たとえば以下に示す(i)や(ii)の方法によりエチレン性不飽和二重結合を導入した樹脂が挙げられる。
【0028】
[方法(i)]
方法(i)としては、例えば、エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体と、他の1種類以上の単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖エポキシ基に、エチレン性不飽和二重結合を有する不飽和一塩基酸のカルボキシル基を付加反応させ、更に、生成した水酸基に、多塩基酸無水物を反応させ、エチレン性不飽和二重結合及びカルボキシル基を導入する方法がある。
【0029】
エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、2-グリシドキシエチル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシブチル(メタ)アクリレート、及び3,4-エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられ、これらは、単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。次工程の不飽和一塩基酸との反応性の観点で、グリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0030】
不飽和一塩基酸としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、o-、m-、p-ビニル安息香酸、(メタ)アクリル酸のα位ハロアルキル、アルコキシル、ハロゲン、ニトロ、シアノ置換体等のモノカルボン酸等が挙げられ、これらは、単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。
【0031】
多塩基酸無水物としては、テトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸等が挙げられ、これらは単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。カルボキシル基の数を増やす等、必要に応じて、トリメリット酸無水物等のトリカルボン酸無水物を用いたり、ピロメリット酸二無水物等のテトラカルボン酸二無水物を用いて、残った無水物基を加水分解したりすること等もできる。また、多塩基酸無水物として、エチレン性不飽和二重結合を有する、テトラヒドロ無水フタル酸、又は無水マレイン酸を用いると、更にエチレン性不飽和二重結合を増やすことができる。
【0032】
方法(i)の類似の方法として、例えば、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体と、他の1種類以上の単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖カルボキシル基の一部に、エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体を付加反応させ、エチレン性不飽和二重結合及びカルボキシル基を導入する方法がある。
【0033】
[方法(ii)]
方法(ii)としては、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体を使用し、他のカルボキシル基を有する不飽和一塩基酸の単量体や、他の単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖水酸基に、イソシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体のイソシアネート基を反応させる方法がある。
【0034】
水酸基を有するエチレン性不飽和単量体としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-若しくは3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-若しくは3-若しくは4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、又はシクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキルメタアクリレート類が挙げられ、これらは、単独で用いても、2種類以上を併用して用いてもかまわない。また、上記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、及び/又はブチレンオキシド等を付加重合させたポリエーテルモノ(メタ)アクリレートや、ポリγ-バレロラクトン、ポリε-カプロラクトン、及び/又はポリ12-ヒドロキシステアリン酸等を付加したポリエステルモノ(メタ)アクリレートも使用できる。塗膜異物抑制の観点から、2-ヒドロキシエチルメタアクリレート、又はグリセロールメタアクリレートが好ましい。
【0035】
イソシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体としては、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、又は1,1-ビス〔メタアクリロイルオキシ〕エチルイソシアネート等が挙げられるが、これらに限定することなく、2種類以上併用することもできる。
【0036】
顔料を好ましく分散させるためには、バインダー樹脂(B)の重量平均分子量(Mw)は10,000~100,000の範囲が好ましく、より好ましくは10,000~80,000の範囲である。また数平均分子量(Mn)は5,000~50,000の範囲が好ましく、Mw/Mnの値は10以下であることが好ましい。
【0037】
また、顔料の分散性、安定性、現像性、及び耐熱性の観点から、顔料吸着基及び現像時のアルカリ可溶性基として働くカルボキシル基、顔料担体及び溶剤に対する親和性基として働く脂肪族基及び芳香族基のバランスが、顔料の分散性、塗膜における現像液浸透性、未硬化部分の現像液溶解性、さらには耐久性にとって重要であり、酸価20~300mgKOH/gの樹脂を用いることが好ましい。酸価が、20mgKOH/g未満では、現像液に対する溶解性が悪く、微細パターン形成するのが困難である。また300mgKOH/gを超えると、微細パターンが残らなくなる場合がある。
【0038】
バインダー樹脂(B)は、成膜性及び諸耐性が良好なことから、顔料(A)の全重量100質量部に対して、30質量部以上の量で用いることが好ましく、顔料濃度が高く、良好な色特性を発現できることから、500質量部以下の量で用いることが好ましい。より好ましくは100~400質量部。さらに好ましくは160~320質量部である。このような顔料の構成比率により色度領域を広げることができる。
【0039】
<溶剤(C)>
溶剤は、ガラス基板等の基板上に本発明の着色組成物を乾燥膜厚が0.2~5μmとなるように塗布してフィルタセグメントを形成することを容易にするために用いられる。 溶剤は乾燥させる必要があるため、沸点が200℃未満のものを使用する必要がある。溶剤としては、1,2,3-トリクロロプロパン、1,3-ブチレングリコールジアセテート、1,4-ジオキサン、2-ヘプタノン、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノン、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、3-メトキシ-3-メチルブチルアセテート、3-メトキシブタノール、3-メトキシブチルアセテート、4-ヘプタノン、m-キシレン、m-ジエチルベンゼン、m-ジクロロベンゼン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、n-ブチルアルコール、n-ブチルベンゼン、n-プロピルアセテート、o-キシレン、o-クロロトルエン、o-ジエチルベンゼン、o-ジクロロベンゼン、P-クロロトルエン、P-ジエチルベンゼン、sec-ブチルベンゼン、tert-ブチルベンゼン、イソブチルアルコール、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノール、シクロヘキサノールアセテート、シクロヘキサノン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ダイアセトンアルコール、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、メチルイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノール、酢酸n-アミル、酢酸n-ブチル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、酢酸プロピル、及び二塩基酸エステル等が挙げられる。これらの溶剤は、1種を単独で、又は必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
【0040】
<光重合性単量体(D)>
本発明の光重合性単量体は、一分子内に2つ以上の(メタ)アクリロイル基と2つ以上の水酸基とを含有する光重合性単量体(D1)及び分子内にウレタン結合を有する光重合性単量体(D2)を含有することを特徴とする。グリーン画素にシワが入ってしまう現象は、塗膜上部と下部の熱収縮差であることは前述したとおりだが、熱収縮が発生する最大の要因は、二重結合の開裂及び結合である。二重結合は、180℃以上の加熱で開裂し、二重結合同士が結合する。この際に離れている二重結合同士が結合することで、熱収縮が起こると考えられる。しかし、本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、2種類の特定光重合性単量体(D1)及び(D2)を併用することで、塗膜にした際、光重合性単量体(D1)の水酸基の水素原子と、光重合性単量体(D2)のウレタン結合の窒素原子とが水素結合し、光重合性単量体(D1)及び(D2)の分子間距離が近くなるため、加熱時に二重結合の開裂及び結合が起こったとしても二重結合間距離が近く、熱収縮が小さくなりシワの発生を抑制できると考えられる。
【0041】
(一分子内に2つ以上の(メタ)アクリロイル基と2つ以上の水酸基とを含有する光重合性単量体(D1))
本発明の一分子内に2つ以上の(メタ)アクリロイル基と2つ以上の水酸基とを含有する光重合性単量体(D1)の含有量は、光重合性単量体(D)全量に対して、5質量%~80質量%が好ましい。より好ましくは15質量%~60質量%であり、さらに好ましくは30質量%~50質量%である。また、光重合性単量体(D1)一分子内に含まれる水酸基の数は、好ましくは3つ以上である。
【0042】
光重合性単量体(D1)の具体例として下記一般式(1)~(3)を示す。一般式(1)で表される光重合性単量体は、一分子内に3つ以上の(メタ)アクリロイル基と3つ以上の水酸基とを含有することを特徴とし、ナガセケムテックス株式会社製「DA-314」等が挙げられる。一般式(2)又は(3)で表される光重合性単量体は、一分子内に2つの(メタ)アクリロイル基と2つの水酸基とを含有することを特徴とし、ナガセケムテックス株式会社製「DA-212」、「DA-911M」、「DA-920」、「DA-931」等が挙げられる。中でも、一般式(1)で表される光重合性単量体が好ましい。
【0043】
一般式(1)
【化1】

[一般式(1)中、R~Rは、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基を表す。]
【0044】
一般式(2)
【化2】

[一般式(2)中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基を表す。nは1~11の整数を表す。]
【0045】
一般式(3)
【化3】

[一般式()中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基を表す。nは1~11の整数を表す。]
【0046】
(分子内にウレタン結合を有する光重合性単量体(D2))
本発明の分子内にウレタン結合を有する光重合性単量体(D2)は、分子内にエチレン性不飽和結合とウレタン結合を少なくとも1つずつ含有する光重合性化合物であることが好ましい。例えば、水酸基を有する(メタ)アクリレートに多官能イソシアネートを反応させて得られる多官能ウレタンアクリレートや、アルコールに多官能イソシアネートを反応させ、さらに水酸基を有する(メタ)アクリレートを反応させて得られる多官能ウレタンアクリレート等が挙げられる。
【0047】
水酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールエチレンオキサイド変性ペンタ(メタ)アクリレー、ジペンタエリスリトールプロピレンオキサイド変性ペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールアクリレートメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、2-ヒドロキシ-3-アクリロイルプロピルメタクリレート、エポキシ基含有化合物とカルボキシ(メタ)アクリレートの反応物、水酸基含有ポリオールポリアクリレート等が挙げられる。
【0048】
また、多官能イソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ポリイソシアネート等が挙げられる。
【0049】
また、アルコールとしては、構造に制限はないが、多価アルコールを使用した場合、硬化塗膜の架橋度が高くなり、塗膜耐性が上がるため好ましい。多価アルコールとしては、プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。
【0050】
ウレタン結合数は1分子当たり1個以上あればシワの抑制に効果があるが、4個以上あることが好ましい。 これらのウレタン系光重合性単量体(D2)は、1種を単独で、又は必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
【0051】
(その他の光重合性単量体)
光重合性単量体はD1、D2以外にも必要に応じて添加することができる。例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、エステルアクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート等の各種アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0052】
光重合性単量体の含有量は、着色剤100質量部に対し、5~500質量部であることが好ましく、光硬化性及び現像性の観点から10~400質量部であることがより好ましい。
【0053】
<光重合開始剤(E)>
本発明の着色組成物には、該組成物を紫外線照射により硬化させ、フォトリソグラフィー法によりフィルタセグメントを形成するために、光重合開始剤を加えて溶剤現像型あるいはアルカリ現像型感光性着色組成物の形態で調製することができる。
【0054】
光重合開始剤としては、4-フェノキシジクロロアセトフェノン、4-t-ブチル-ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルフォリニル)フェニル]-1-ブタノン、又は2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタン-1-オン等のアセトフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、又はベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系化合物;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4'-メチルジフェニルサルファイド、又は3,3',4,4'-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;チオキサントン、2-クロルチオキサントン、2-メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、又は2,4-ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物;2,4,6-トリクロロ-s-トリアジン、2-フェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-トリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-ピペロニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-スチリル-s-トリアジン、2-(ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシ-ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-トリクロロメチル-(ピペロニル)-6-トリアジン、又は2,4-トリクロロメチル-(4'-メトキシスチリル)-6-トリアジン等のトリアジン系化合物;1,2-オクタンジオン,1-〔4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)〕、又はO-(アセチル)-N-(1-フェニル-2-オキソ-2-(4'-メトキシ-ナフチル)エチリデン)ヒドロキシルアミン等のオキシムエステル系化合物;ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、又は2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のホスフィン系化合物;9,10-フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキノン系化合物; ボレート系化合物; カルバゾール系化合物;イミダゾール系化合物;あるいは、チタノセン系化合物等が用いられる。これらの光重合開始剤は、1種を単独で、又は必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
【0055】
光重合開始剤含有量は、着色剤100質量部に対し、1~500質量部であることが好ましく、光硬化性及び現像性の観点から5~400質量部であることがより好ましい。
【0056】
<増感剤>
さらに、本発明のカラーフィルタ用着色組成物には、増感剤を含有させることができる。増感剤としては、カルコン誘導体やジベンザルアセトン等に代表される不飽和ケトン類、ベンジルやカンファーキノン等に代表される1,2-ジケトン誘導体、ベンゾイン誘導体、フルオレン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、キサンテン誘導体、チオキサンテン誘導体、キサントン誘導体、チオキサントン誘導体、クマリン誘導体、ケトクマリン誘導体、シアニン誘導体、メロシアニン誘導体、オキソノ-ル誘導体等のポリメチン色素、アクリジン誘導体、アジン誘導体、チアジン誘導体、オキサジン誘導体、インドリン誘導体、アズレン誘導体、アズレニウム誘導体、スクアリリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、テトラフェニルポルフィリン誘導体、トリアリールメタン誘導体、テトラベンゾポルフィリン誘導体、テトラピラジノポルフィラジン誘導体、フタロシアニン誘導体、テトラアザポルフィラジン誘導体、テトラキノキサリロポルフィラジン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、サブフタロシアニン誘導体、ピリリウム誘導体、チオピリリウム誘導体、テトラフィリン誘導体、アヌレン誘導体、スピロピラン誘導体、スピロオキサジン誘導体、チオスピロピラン誘導体、金属アレーン錯体、有機ルテニウム錯体、ミヒラーケトン誘導体等が挙げられる。これらの増感剤は、1種を単独で、又は必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
【0057】
さらに具体例には、大河原信ら編、「色素ハンドブック」(1986年、講談社)、大河原信ら編、「機能性色素の化学」(1981年、シーエムシー)、池森忠三朗ら編、「特殊機能材料」(1986年、シーエムシー)に記載の増感剤が挙げられるがこれらに限定されるものではない。また、その他、紫外から近赤外域にかけての光に対して吸収を示す増感剤を含有させることもできる。
上記増感剤の中で、特に好適な増感剤としては、チオキサントン誘導体、ミヒラーケトン誘導体、カルバゾール誘導体が挙げられる。さらに具体的には、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、4-イソプロピルチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン、4,4'-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'-ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノン、N-エチルカルバゾール、3-ベンゾイル-N-エチルカルバゾール、3,6-ジベンゾイル-N-エチルカルバゾール等が用いられる。
【0058】
増感剤の含有量は、着色組成物中に含まれる光重合開始剤100質量部に対し、3~60質量部であることが好ましく、光硬化性、現像性の観点から5~50質量部であることがより好ましい。
【0059】
<多官能チオール>
本発明のカラーフィルタ用着色組成物には、多官能チオールを含有することができる。多官能チオールは、チオール(SH)基を2個以上有する化合物である。多官能チオールは上述の光重合開始剤とともに使用することにより、光照射後のラジカル重合過程において、連鎖移動剤として働き、酸素による重合阻害を受けにくいチイルラジカルが発生するので、得られるカラーフィルタ用着色組成物は高感度となる。特にSH基がメチレン、エチレン基等の脂肪族基に結合した多官能脂肪族チオールが好ましい。
【0060】
多官能チオールとしては、例えば、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4-ブタンジオールビスチオプロピオネート、1,4-ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールエタントリス(3-メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-メルカプトプロピオネート)、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4-ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6-トリメルカプト-s-トリアジン、2-(N,N-ジブチルアミノ)-4,6-ジメルカプト-s-トリアジンなどが挙げられる。これらの多官能チオールは、1種を単独で、又は必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
【0061】
多官能チオールの含有量は、着色剤100質量部に対して、0.05~100質量部が好ましく、より好ましくは1.0~50.0質量部である。多官能チオールを0.05質量部以上用いることで、より良い現像耐性を得ることができる。チオール(SH)基が1個の単官能チオールを用いた場合には、このような現像耐性の向上は得られない。
【0062】
<レベリング剤>
本発明の着色組成物には、透明基板上での組成物のレベリング性を良くするため、レベリング剤を添加することが好ましい。レベリング剤としては、主鎖にポリエーテル構造又はポリエステル構造を有するジメチルシロキサンが好ましい。主鎖にポリエーテル構造を有するジメチルシロキサンの具体例としては、東レ・ダウコーニング社製FZ-2122、ビックケミー社製BYK-333などが挙げられる。主鎖にポリエステル構造を有するジメチルシロキサンの具体例としては、ビックケミー社製BYK-310、BYK-370などが挙げられる。主鎖にポリエーテル構造を有するジメチルシロキサンと、主鎖にポリエステル構造を有するジメチルシロキサンとは、併用することもできる。レベリング剤の含有量は通常、着色組成物の全重量100質量部に対し、0.003~1.0質量部用いることが好ましい。
【0063】
レベリング剤として特に好ましいものとしては、分子内に疎水基と親水基を有するいわゆる界面活性剤の一種で、親水基を有しながらも水に対する溶解性が小さく、着色組成物に添加した場合、その表面張力低下能が低いという特徴を有し、さらに表面張力低下能が低いにも拘らずガラス板への濡れ性が良好なものが有用であり、泡立ちによる塗膜の欠陥が出現しない添加量において十分に帯電性を抑止できるものが好ましく使用できる。このような好ましい特性を有するレベリング剤として、ポリアルキレンオキサイド単位を有するジメチルポリシロキサンが好ましく使用できる。ポリアルキレンオキサイド単位としては、ポリエチレンオキサイド単位、ポリプロピレンオキサイド単位があり、ジメチルポリシロキサンは、ポリエチレンオキサイド単位とポリプロピレンオキサイド単位とを共に有していてもよい。
【0064】
また、ポリアルキレンオキサイド単位のジメチルポリシロキサンとの結合形態は、ポリアルキレンオキサイド単位がジメチルポリシロキサンの繰り返し単位中に結合したペンダント型、ジメチルポリシロキサンの末端に結合した末端変性型、ジメチルポリシロキサンと交互に繰り返し結合した直鎖状のブロックコポリマー型のいずれであってもよい。ポリアルキレンオキサイド単位を有するジメチルポリシロキサンは、東レ・ダウコーニング株式会社から市販されており、例えば、FZ-2110、FZ-2122、FZ-2130、FZ-2166、FZ-2191、FZ-2203、FZ-2207が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0065】
レベリング剤には、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、又は両性の界面活性剤を補助的に加えることも可能である。界面活性剤は、2種以上混合して使用しても構わない。
レベリング剤に補助的に加えるアニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン-アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン-アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルなどが挙げられる。
【0066】
レベリング剤に補助的に加えるカオチン性界面活性剤としては、アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物が挙げられる。レベリング剤に補助的に加えるノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレートなどの;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタイン、アルキルイミダゾリンなどの両性界面活性剤、また、フッ素系やシリコーン系の界面活性剤が挙げられる。
【0067】
<紫外線吸収剤、重合禁止剤>
本発明のカラーフィルタ用着色組成物には、紫外線吸収剤又は重合禁止剤を含有することができる。紫外線吸収剤又は重合禁止剤を含有することで、パターンの形状と解像性を制御することができる。
【0068】
紫外線吸収剤としては、例えば2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-(ドデシル及びトリデシル)オキシプロピル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-[1-オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)-4,6-ビス(4-フェニルフェニル)-1,3,5-トリアジン等のヒドロキシフェニルトリアジン系、2-(5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール、2-(3-tブチル-5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-オクトキシベンゾフェノン、2,2',4,4'-テトラヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系、フェニルサリチレート、p-tert-ブチルフェニルサリチレート等のサリチレート系、エチル-2-シアノ-3,3'-ジフェニルアクリレート等のシアノアクリレート系、2,2,6,6,-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(トリアセトン-アミン-N-オキシル)、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-セバケート、ポリ[[6-[(1,1,3,3-テトラブチル)アミノ]-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル][(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)イミノ]等のヒンダードアミン系等が挙げられる。これらの紫外線吸収剤は、1種を単独で、又は必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
【0069】
重合禁止剤としては、例えばメチルハイドロキノン、t-ブチルハイドロキノン、2,5-ジ-t-ブチルハイドロキノン、4-ベンゾキノン、4-メトキシフェノール、4-メトキシ-1-ナフトール、t-ブチルカテコールなどのハイドロキノン誘導体及びフェノール化合物、フェノチアジン、ビス-(1-ジメチルベンジル)フェノチアジン、3,7-ジオクチルフェノチアジン等のアミン化合物、ジブチルジチオカルバミン酸銅、ジエチルジチオカルバミン酸銅、ジエチルジチオカルバミン酸マンガン、ジフェニルジチオカルバミン酸マンガン等の銅及びマンガン塩化合物、4-ニトロソフェノール、N-ニトロソジフェニルアミン、N-ニトロソシクロヘキシルヒドロキシルアミン、N-ニトロソフェニルヒドロキシルアミン等のニトロソ化合物及びそのアンモニウム塩又はアルミニウム塩等が挙げられる。これらの重合禁止剤は、1種を単独で、又は必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
【0070】
紫外線吸収剤及び重合禁止剤は、着色組成物中の着色剤100質量部に対して、0.01~20質量部、好ましくは0.05~10質量部の量で用いることができる。紫外線吸収剤又は重合禁止剤を0.01質量部以上用いることで、より良い解像度を得ることができる。
【0071】
<酸化防止剤>
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、塗膜の透過率を上げるために、酸化防止剤を含むことができる。酸化防止剤は、カラーフィルタ用着色組成物に含まれる光重合開始剤が、熱硬化やITOアニール時の熱工程によって酸化し黄変することを防ぐため、塗膜の透過率を高くすることができる。そのため、酸化防止剤を含むことで、加熱工程時の酸化による黄変を防止し、高い塗膜の透過率を得る事ができる。
【0072】
酸化防止剤として好ましいものとしては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤又はスルフィド系酸化防止剤などが挙げられる。また、より好ましくは、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、又はリン系酸化防止剤である。これらの酸化防止剤は、1種を単独で、又は必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
【0073】
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、2,4-ビス〔(ラウリルチオ)メチル〕-o-クレゾール、1,3,5-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)、及び2,4-ビス-(n-オクチルチオ)-6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート等が挙げられる。
【0074】
ヒンダードアミン系酸化防止剤では、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(N-メチル-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、N,N′-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-1,6-ヘキサメチレンジアミン、2-メチル-2-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)アミノ-N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)プロピオンアミド、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)(1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、ポリ〔{6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)イミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル}{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}ヘキサメチル{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}〕、ポリ〔(6-モルホリノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル){(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}ヘキサメチン{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}〕、コハク酸ジメチルと1-(2-ヒドロキシエチル)-4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジンとの重縮合物、N,N′-4,7-テトラキス〔4,6-ビス{N-ブチル-N-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)アミノ}-1,3,5-トリアジン-2-イル〕-4,7-ジアザデカン-1,10-ジアミン等が挙げられる。
【0075】
リン系酸化防止剤としては、トリス[2-[[2,4,8,10-テトラキス(1,1-ジメチルエチル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン-6-イル]オキシ]エチル]アミン、トリス[2-[(4,6,9,11-テトラ-tert-ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン-2-イル)オキシ]エチル]アミン、亜りん酸エチルビス(2,4-ジtert-ブチル-6-メチルフェニル)が挙げられる。
【0076】
スルフィド系酸化防止剤としては、2,2-チオ-ジエチレンビス〔3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4-ビス〔(オクチルチオ)メチル〕-o-クレゾール、2,4-ビス〔(ラウリルチオ)メチル〕-o-クレゾール等が挙げられる。
【0077】
酸化防止剤の含有量は、カラーフィルタ用着色組成物の固形分の合計100質量%中、0.1~5質量%の量で用いることが好ましい。酸化防止剤が0.1質量%より少ない場合、透過率アップの効果が少なく、5質量%より多い場合、硬度が大きくダウンし、またカラーフィルタ用着色組成物の感度が大きく低下する。
【0078】
<その他の成分>
本発明のカラーフィルタ用着色組成物には、透明基板との密着性を高めるためにシランカップリング剤等の密着向上剤、又は溶存している酸素を還元する働きのあるアミン系化合物等を含有させることができる。
【0079】
シランカップリング剤としては、例えばビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン、ビニルエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン類、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリルシラン類、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン類、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジエトキシシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン類、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のチオシラン類等が挙げられる。
【0080】
シランカップリング剤は、着色組成物中の着色剤100質量部に対して、0.01~10質量部、好ましくは0.05~5質量部の量で用いることができる。
【0081】
アミン系化合物としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4-ジメチルアミノ安息香酸メチル、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2-ジメチルアミノエチル、4-ジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル、N,N-ジメチルパラトルイジン等が挙げられる。
【0082】
《カラーフィルタ用着色組成物の製造方法》
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、着色剤を、樹脂などの着色剤担体および/または溶剤中に、必要に応じて分散助剤と一緒に、ニーダー、2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミル、横型サンドミル、縦型サンドミル、アニュラー型ビーズミル、またはアトライター等の各種分散手段を用いて微細に分散して製造することができる(着色剤分散体)。このとき、2種以上の着色剤等を同時に着色剤担体に分散しても良いし、別々に着色材担体に分散したものを混合しても良い。染料等、着色剤の溶解性が高い場合、具体的には使用する溶剤への溶解性が高く、攪拌により溶解、異物が確認されない状態であれば、上記のような微細に分散して製造する必要はない。
【0083】
また、カラーフィルタ用感光性着色組成物(レジスト材)として用いる場合には、溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色組成物として調製することができる。溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色組成物は、前記着色剤分散体と、光重合性単量体及び/または光重合開始剤と、必要に応じて、溶剤、その他の顔料分散剤、及び添加剤等を混合して調整することができる。光重合開始剤は、着色組成物を調製する段階で加えてもよく、調製した着色組成物に後から加えてもよい。
【0084】
<分散助剤>
着色剤を着色剤担体中に分散する際に、適宜、分散剤、色素誘導体、界面活性剤等の分散助剤を含有してもよい。分散助剤は、分散後の着色剤の再凝集を防止する効果が大きいので、分散助剤を用いて着色剤を着色剤担体中に分散してなる着色組成物は、明度および粘度安定性が良好になる。
【0085】
(分散剤)
分散剤としては、着色剤に吸着する性質を有する着色剤親和性部位と、着色剤担体と相溶性のある部位とを有し、添加着色剤に吸着して着色剤担体への分散を安定化する働きをするものである。分散剤として具体的には、ポリウレタン、ポリアクリレート等のポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステルや、これらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩等の油性分散剤、(メタ)アクリル酸-スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン-マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の水溶性樹脂や水溶性高分子化合物、ポリエステル系、変性ポリアクリレート系、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、リン酸エステル系等が用いられ、これらは単独又は2種以上を混合して用いることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0086】
上記分散剤のうち少量の添加量で分散体の粘度が低くなり高いコントラストを示すという理由から、塩基性官能基を有する高分子分散剤が好ましく、窒素原子含有グラフト共重合体や、側鎖に3級アミノ基、4級アンモニウム塩基、含窒素複素環などを含む官能基を有する、窒素原子含有アクリル系ブロック共重合体及びウレタン系高分子分散剤などが好ましい。樹脂型分散剤は、顔料全量に対して5~200質量%程度使用することが好ましく、成膜性の観点から10~100質量%程度使用することがより好ましい。
【0087】
市販の樹脂型分散剤としては、ビックケミー・ジャパン社製のDsperbyk-101、103、107、108、110、111、116、130、140、154、161、162、163、164、165、166、170、171、174、180、181、182、183、184、185、190、2000、2001、2020、2025、2050、2070、2095、2150、2155又はAnti-Terra-U、203、204、又はBYK-P104、P104S、220S、6919、又はLactimon、Lactimon-WS又はBykumen等、日本ルーブリゾール社製のSOLSPERSE-3000、9000、13000、13240、13650、13940、16000、17000、18000、20000、21000、24000、26000、27000、28000、31845、32000、32500、32550、33500、32600、34750、35100、36600、38500、41000、41090、53095、55000、76500等、BASF社製のEFKA-46、47、48、452、4008、4009、4010、4015、4020、4047、4050、4055、4060、4080、4400、4401、4402、4403、4406、4408、4300、4310、4320、4330、4340、450、451、453、4540、4550、4560、4800、5010、5065、5066、5070、7500、7554、1101、120、150、1501、1502、1503、等、味の素ファインテクノ社製のアジスパーPA111、PB711、PB821、PB822、PB824等が挙げられる。
【0088】
また、本発明の分散剤は、主鎖および側鎖にエステル骨格を有している分散剤も使用することができる。なかでも酸性基を有する分散剤であることが好ましく、特に、芳香族カルボキシル基を有する酸性樹脂型分散剤が好ましい。このような樹脂型分散剤としては、例えば、特許第4020150号公報、特開2007-140487号公報、国際公開2007/007685号、国際公開2008/007776号、特開2010-163500号公報や特開2010-223988号公報等に開示されており、流動性と分散性の両立といった優れた効果を発揮する。中でも片末端に水酸基を有する重合体と、芳香族トリカルボン酸無水物及び/又は芳香族テトラカルボン酸二無水物とを反応させてなる分散剤であることが最も好ましい。
【0089】
(色素誘導体)
色素誘導体としては、有機顔料、アントラキノン、アクリドン又はトリアジンに、塩基性置換基、酸性置換基、又は置換基を有していても良いフタルイミドメチル基を導入した化合物があげられ、例えば、特開昭63-305173号公報、特公昭57-15620号公報、特公昭59-40172号公報、特公昭63-17102号公報、特公平5-9469号公報、特開2001-335717号公報、特開2003-128669号公報、特開2004-091497号公報、特開2007-156395号公報、特開2008-094873号公報、特開2008-094986号公報、特開2008-095007号公報、特開2008-195916号公報、特許第4585781号公報等に記載されているものを使用でき、これらは単独又は2種類以上を混合して用いることができる。
【0090】
色素誘導体の含有量は、分散性向上の観点から、着色剤100質量部に対し、好ましくは0.5質量部以上、さらに好ましくは1質量部以上、最も好ましくは3質量部以上である。また、耐熱性、耐光性の観点から、好ましくは40質量部以下、さらに好ましくは35質量部以下である。
【0091】
(界面活性剤)
界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン-アクリル酸共重合体のアルカリ塩、ステアリン酸ナトリウム、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、スチレン-アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル等のアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレート等のノニオン性界面活性剤;アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物等のカオチン性界面活性剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアルキルベタイン、アルキルイミダゾリン等の両性界面活性剤が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0092】
界面活性剤を添加する場合には、着色剤100質量部に対し、好ましくは0.1~55質量部、さらに好ましくは0.1~45質量部である。界面活性剤の含有量が、0.1質量部未満の場合には、添加した効果が得られ難く、含有量が55質量部より多いと、過剰な分散剤により分散に影響を及ぼすことがある。
【0093】
<粗大粒子の除去>
本発明の着色組成物は、遠心分離、焼結フィルタやメンブレンフィルタによる濾過等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.5μm以上の粗大粒子及び混入した塵の除去を行うことが好ましい。このように着色組成物は、実質的に0.5μm以上の粒子を含まないことが好ましい。より好ましくは0.3μm以下であることが好ましい。
【0094】
<カラーフィルタ>
次に、本発明のカラーフィルタについて説明する。本発明のカラーフィルタは、基材上に、赤色フィルタセグメント、緑色フィルタセグメント、及び青色フィルタセグメントを具備するものであり、さらにマゼンタ色フィルタセグメント、シアン色フィルタセグメント、又は黄色フィルタセグメントを具備するものであってもよく、前記少なくとも1つのフィルタセグメントが、本発明の着色組成物から形成されてなるものである。中でも本発明の組成物は、緑色フィルタセグメントの形成に好適に用いることができる。
【0095】
(フィルタセグメント形成に使用できる顔料)
赤色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、12、14、15、16、17、21、22、23、31、32、37、38、41、47、48、48:1、48:2、48:3、48:4、49、49:1、49:2、50:1、52:1、52:2、53、53:1、53:2、53:3、57、57:1、57:2、58:4、60、63、63:1、63:2、64、64:1、68、69、81、81:1、81:2、81:3、81:4、83、88、90:1、1 01、101:1、104、108、108:1、109、112、113、114、122、123、144、146、147、149、151、166、168、169、170、172、173、174、175、176、177、178、179、181、184、185、187、188、190、193、194、200、202、206、207、208、209、210、214、216、220、221、224、230、231、232、233、235、236、237、238、239、242、243、245、247、249、250、251、253、254、255、256、257、258、259、260、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276などを挙げることができる。これらの中でも、高コントラスト比、高明度を得る観点から、好ましくはC.I.ピグメントレッド48:1、122、168、177、202、206、207、209、224、242、又は254であり、更に好ましくはC.I.ピグメントレッド177、209、224、242、又は254である。
【0096】
青色顔料としては、例えばC.I.ピグメントブルー1、1:2、9、14、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17、19、25、27、28、29、33、35、36、56、56:1、60、61、61:1、62、63、66、67、68、71、72、73、74、75、76、78、79などを挙げることができる。これらの中でも、高コントラスト比、高明度を得る観点から、好ましくはC.I.ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、又は15:6であり、更に好ましくはC.I.ピグメントブルー15:6である。また、アルミニウムフタロシアニン顔料を用いることも好ましく、特開2004-333817号公報、特許第4893859号公報等に記載のアルミニウムフタロシアニン顔料等を用いることもできる。
【0097】
紫色顔料としては、例えばC.I.ピグメントバイオレット1、1:1、2、2:2、3、3:1、3:3、5、5:1、14、15、16、19、23、25、27、29、31、32、37、39、42、44、47、49、50などを挙げることができる。これらの中でも、高コントラスト比、高明度を得る観点から、好ましくはC.I.ピグメントバイオレット19、又は23であり、更に好ましくはC.I.ピグメントバイオレット23である。
【0098】
<カラーフィルタの製造方法>
本発明のカラーフィルタは、印刷法又はフォトリソグラフィー法により、製造することができる。
【0099】
印刷法によるフィルタセグメントの形成は、印刷インキとして調製した着色組成物の印刷と乾燥を繰り返すだけでパターン化ができるため、カラーフィルタの製造法としては、低コストで量産性に優れている。さらに、印刷技術の発展により高い寸法精度及び平滑度を有する微細パターンの印刷を行うことができる。印刷を行うためには、印刷の版上にて、あるいはブランケット上にてインキが乾燥、固化しないような組成とすることが好ましい。また、印刷機上でのインキの流動性の制御も重要であり、分散剤や体質顔料によるインキ粘度の調整を行うこともできる。
【0100】
フォトリソグラフィー法によりフィルタセグメントを形成する場合は、上記溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色レジスト材として調製した着色組成物を、透明基板上に、スプレーコートやスピンコート、スリットコート、ロールコート等の塗布方法により、乾燥膜厚が0.2~5μmとなるように塗布する。必要により乾燥された膜には、この膜と接触あるいは非接触状態で設けられた所定のパターンを有するマスクを通して紫外線露光を行う。その後、溶剤又はアルカリ現像液に浸漬するか若しくはスプレーなどにより現像液を噴霧して未硬化部を除去して所望のパターンを形成したのち、同様の操作を他色について繰り返してカラーフィルタを製造することができる。さらに、着色レジスト材の重合を促進するため、必要に応じて加熱を施すこともできる。フォトリソグラフィー法によれば、上記印刷法より精度の高いカラーフィルタが製造できる。
【0101】
現像に際しては、アルカリ現像液として炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液が使用され、ジメチルベンジルアミン、トリエタノールアミン等の有機アルカリを用いることもできる。また、現像液には、消泡剤や界面活性剤を添加することもできる。なお、紫外線露光感度を上げるために、上記着色レジストを塗布乾燥後、水溶性あるいはアルカリ水溶性樹脂、例えばポリビニルアルコールや水溶性アクリル樹脂等を塗布乾燥し酸素による重合阻害を防止する膜を形成した後、紫外線露光を行うこともできる。
【0102】
本発明のカラーフィルタは、上記方法の他に電着法、転写法、インクジェット法などにより製造することができるが、本発明の着色組成物はいずれの方法にも用いることができる。なお、電着法は、基板上に形成した透明導電膜を利用して、コロイド粒子の電気泳動により各色フィルタセグメントを透明導電膜の上に電着形成することでカラーフィルタを製造する方法である。また、転写法は剥離性の転写ベースシートの表面に、あらかじめフィルタセグメントを形成しておき、このフィルタセグメントを所望の基板に転写させる方法である。
【0103】
透明基板あるいは反射基板等の基材上に各色フィルタセグメントを形成する前に、あらかじめブラックマトリクスを形成することができる。ブラックマトリクスとしては、クロムやクロム/酸化クロムの多層膜、窒化チタニウムなどの無機膜や、遮光剤を分散した樹脂膜が用いられるが、これらに限定されない。また、上記の透明基板あるいは反射基板上に薄膜トランジスター(TFT)をあらかじめ形成しておき、その後に各色フィルタセグメントを形成することもできる。また本発明のカラーフィルタ上には、必要に応じてオーバーコート膜や透明導電膜などが形成される。
【0104】
カラーフィルタは、シール剤を用いて対向基板と張り合わせ、シール部に設けられた注入口から液晶を注入したのち注入口を封止し、必要に応じて偏光膜や位相差膜を基板の外側に張り合わせることにより、液晶表示パネルが製造される。
【0105】
かかる液晶表示パネルは、ツイステッド・ネマティック(TN)、スーパー・ツイステッド・ネマティック(STN)、イン・プレーン・スイッチング(IPS)、ヴァーティカリー・アライメント(VA)、オプティカリー・コンベンセンド・ベンド(OCB)等のカラーフィルタを使用してカラー化を行う液晶表示モードに使用することができる。
【0106】
透明基板としては、ソーダ石灰ガラス、低アルカリ硼珪酸ガラス、無アルカリアルミノ硼珪酸ガラスなどのガラス板や、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂板が用いられる。また、ガラス板や樹脂板の表面には、パネル化後の液晶駆動のために、酸化インジウム、酸化錫などからなる透明電極が形成されていてもよい。
【0107】
透明基板上にフィルタセグメントを形成する前に、あらかじめブラックマトリックスを形成しておくと、液晶表示パネルのコントラストを一層高めることができる。ブラックマトリックスとしては、クロムやクロム/酸化クロムの多層膜、窒化チタニウム等の無機膜や、遮光剤を分散した樹脂膜が用いられるが、これらに限定されず、本発明のカラーフィルタ用着色組成物から形成されてなるブラックマトリックスが好ましいものである。又、前記の透明基板又は反射基板上に薄膜トランジスター(TFT)をあらかじめ形成しておき、その後にフィルタセグメントを形成することもできる。TFT基板上にフィルタセグメント及び/又はブラックマトリックスを形成することにより、液晶表示パネルの開口率を高め、輝度を向上させることができる。
【0108】
フィルタセグメント及びブラックマトリックスの乾燥膜厚は、0.2~10μmであることが好ましく、より好ましくは0.2~5μmである。塗布膜を乾燥させる際には、減圧乾燥機、コンベクションオーブン、IRオーブン、ホットプレート等を使用してもよい。
【0109】
フォトリソグラフィー法による各色フィルタセグメント及びブラックマトリックスの形成は、下記の方法で行う。すなわち、溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色カラーフィルタ用着色組成物として調製したカラーフィルタ用着色組成物を、透明基板上に、スプレーコートやスピンコート、スリットコート、ロールコート等の塗布方法により、乾燥膜厚が0.2~10μmとなるように塗布する。必要により乾燥された膜には、この膜と接触あるいは非接触状態で設けられた所定のパターンを有するマスクを通して紫外線露光を行う。
【0110】
その後、溶剤又はアルカリ現像液に浸漬するか、若しくはスプレーなどにより現像液を噴霧して未硬化部を除去し所望のパターンを形成してフィルタセグメント及びブラックマトリックスを形成することができる。さらに、現像により形成されたフィルタセグメント及びブラックマトリックスの重合を促進するため、必要に応じて加熱を施すこともできる。フォトリソグラフィー法によれば、印刷法より精度の高いフィルタセグメント及びブラックマトリックスが形成できる。
【0111】
現像に際しては、アルカリ現像液として炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液が使用され、ジメチルベンジルアミン、トリエタノールアミン等の有機アルカリを用いることもできる。また、現像液には、消泡剤や界面活性剤を添加することもできる。現像処理方法としては、シャワー現像法、スプレー現像法、ディップ(浸漬)現像法、パドル(液盛り)現像法等を適用することができる。なお、紫外線露光感度を上げるために、上記カラーフィルタ用着色組成物を塗布乾燥後、水溶性あるいはアルカリ可溶性樹脂、例えばポリビニルアルコールや水溶性アクリル樹脂等を塗布乾燥し、酸素による重合阻害を防止する膜を形成した後、紫外線露光を行うこともできる。
【0112】
カラーフィルタ上には、必要に応じてオーバーコート膜や柱状スペーサー、透明導電膜、液晶配向膜等が形成される。
【0113】
カラーフィルタは、シール剤を用いて対向基板と張り合わせ、シール部に設けられた注入口から液晶を注入したのち注入口を封止し、必要に応じて偏光膜や位相差膜を基板の外側に張り合わせることにより、液晶表示パネルが製造される。
【0114】
かかる液晶表示パネルは、ツイステッド・ネマティック(TN)、スーパー・ツイステッド・ネマティック(STN)、イン・プレーン・スイッチング(IPS)、ヴァーティカリー・アライメント(VA)、オプティカリー・コンベンセンド・ベンド(OCB)等のカラーフィルタを使用してカラー化を行う液晶表示モードに使用することができる。
【実施例
【0115】
(樹脂及び分散剤の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn))
樹脂及び分散剤の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)は、TSKgelカラム(東ソー社製)を用い、RI検出器を装備したGPC(東ソー社製、HLC-8120GPC)で、展開溶媒にTHFを用いて測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)である。
【0116】
(樹脂及び分散剤の酸価(mgKOH/g))
樹脂及び分散剤の酸価は、JIS K 0070の電位差滴定法に準拠し、測定した酸価(mgKOH/g)を固形分換算した値である。
【0117】
<微細化顔料の製造>
(微細化PB15:6顔料(PB-1))
フタロシアニン系青色顔料C.I.ピグメント ブルー 15:6(トーヨーカラー株式会社製「LIONOL BLUE ES」、比表面積60m2/g)200部、塩化ナトリウム1400部、及びジエチレングリコール360部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、80℃で6時間混練した。次にこの混練物を8000部の温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、85℃で一昼夜乾燥し、微細化青色顔料(PB-1)を得た。
【0118】
(微細化PV23顔料(PV-1))
ジオキサジン系紫色顔料C.I.ピグメント バイオレット 23(トーヨーカラー株式会社製「LIONOGEN VIOLET RL」)200部、塩化ナトリウム1400部、及びジエチレングリコール360部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、80℃で6時間混練した。次にこの混練物を8000部の温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、85℃で一昼乾燥し、ジオキサジン系の紫色微細化紫色顔料(PV-1)を得た。
【0119】
(微細化PY138顔料(PY-1))
黄色顔料C.I.ピグメント イエロー 138(BASF社製「パリオトールイエローK0961HD」)200部、塩化ナトリウム1400部、及びジエチレングリコール360部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、80℃で6時間混練した。次にこの混練物を8リットルの温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、85℃で一昼夜乾燥し、微細化黄色顔料(PY-1)を得た。
【0120】
(微細化PR177顔料(PR-1)の製造)
アントラキノン系赤色顔料C.I.ピグメント レッド 177(BASF社製「クロモフタルレッド A2B」)200部、塩化ナトリウム1400部、及びジエチレングリコール360部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、80℃で6時間混練した。次にこの混練物を8000部の温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、85℃で一昼夜乾燥し、アントラキノン系の微細化赤色顔料(PR-1)を得た。
【0121】
(微細化PR254顔料(PR-2)の製造)
ジケトピロロピロール顔料C.I.ピグメント レッド 254(BASF社製「B-CF」)200部、塩化ナトリウム1400部、およびジエチレングリコール360部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、80℃で6時間混練した。次にこの混練物を8000部の温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、85℃で一昼夜乾燥し、190部の微細化ジケトピロロピロール顔料(PR-2)を得た。
【0122】
(微細化PG58顔料(PG-1))
フタロシアニン系緑色顔料C.I.ピグメント グリーン 58(DIC株式会社製「FASTOGEN GREEN A110」)200部、塩化ナトリウム1400部、及びジエチレングリコール360部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、80℃で6時間混練した。次にこの混練物を8000部の温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、85℃で一昼夜乾燥し、微細化緑色顔料(PG-1)を得た。
【0123】
<色素誘導体の製造>
(色素誘導体1)
銅フタロシアニン50部をクロロスルホン化した後、アミン成分であるN,N-ジメチルアミノプロピルアミン14部と反応させて、塩基性基を有する色素誘導体1を得た。
【0124】
色素誘導体1
【化4】
[CuPcは、銅フタロシアニン残基を表す。]
【0125】
(色素誘導体2)
銅フタロシアニンをジフェニルジケトピロロピロールに、N,N-ジメチルアミノプロピルアミンをN-アミノプロピルモルホリンに変更した以外は、色素誘導体1の製造と同様にして、塩基性基を有する色素誘導体2を得た。
【0126】
色素誘導体2
【化5】
【0127】
(色素誘導体3)
特開2007-79094号公報の記載に従い、色素誘導体3を得た。
【0128】
色素誘導体3
【化6】
【0129】
(色素誘導体4)
特開2007-156395号公報の記載に従い、色素誘導体4を得た。
【0130】
色素誘導体4
【化7】
【0131】
<樹脂型分散剤溶液の調製>
(樹脂型分散剤1)
BASF社製EFKA4300を、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートを用いて不揮発分20質量%溶液に調製し、樹脂型分散剤1溶液を得た。
【0132】
(樹脂型分散剤2)
ビックケミー・ジャパン社製BYK-LPN6919を、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートを用いて不揮発分20質量%溶液に調製し、樹脂型分散剤2溶液を得た。
【0133】
<顔料分散体の製造>
(顔料分散体(DP-1))
下記の混合物を、固形分で下記の比率になるように配合し、均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM-250 MKII」)で5時間分散した後、5.0μmのフィルタで濾過し青色顔料分散体(DP-1)を得た。顔料分散体はプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートにより固形分20質量%となるように調整した。以下、固形分重量を示す。
微細化顔料(PB-1) : 5.0部
色素誘導体1 : 1.0部
樹脂型分散剤1 : 4.0部
【0134】
(顔料分散体(DP-2~6))
表1に示す組成に変更した以外は、顔料分散体(DP-1)と同様にして、顔料分散体(DP-2~6)を得た。
【0135】
【表1】
【0136】
<顔料組成物の製造>
(青色顔料組成物1)
顔料分散体(DP-1)と、顔料分散体(DP-2)を乾燥塗膜の色度が、顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP-SP100」C光源)測定においてx=0.141、y=0.084となるような配合比にて調整し、1時間ディスパーにて攪拌混合し、青色顔料組成物1を得た。
【0137】
(赤色顔料組成物1)
顔料分散体(DP-4)と、顔料分散体(DP-5)を、乾燥塗膜の色度が、顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP-SP100」C光源)測定においてx=0.655、y=0.325となるような配合比にて調整し、1時間ディスパーにて攪拌混合し、赤色顔料組成物1を得た。
【0138】
(緑色顔料組成物1)
顔料分散体(DP-3)と、顔料分散体(DP-6)を、乾燥塗膜の色度が、顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP-SP100」C光源)測定においてy=0.600、x=0.291となるような配合比にて調整し、1時間ディスパーにて攪拌混合し、緑色顔料組成物1を得た。
【0139】
<バインダー樹脂(B)の製造>
(アクリル樹脂溶液(B-1))
温度計、冷却管、窒素ガス導入管、滴下管及び撹拌装置を備えたセパラブル4口フラスコに、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート70.0部を仕込み、80℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下管よりn-ブチルメタクリレート13.3部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート4.6部、メタクリル酸4.3部、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亞合成株式会社社製「アロニックスM110」)7.4部、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.4部の混合を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間反応を継続し、固形分30質量%、重量平均分子量26000のアクリル樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20質量%になるようにプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートを添加して、アルカリ可溶性樹脂であるアクリル樹脂溶液(B-1)を得た。
【0140】
(アクリル樹脂溶液(B-2))
温度計、冷却管、窒素ガス導入管、滴下管及び撹拌装置を備えたセパラブル4口フラスコにシクロヘキサノン370部を仕込み、80℃に昇温し、フラスコ内を窒素置換した後、滴下管より、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亜合成社製アロニックスM110)18部、ベンジルメタクリレート10部、グリシジルメタクリレート18.2部、メタクリル酸メチル25部、及び2,2'-アゾビスイソブチロニトリル2.0部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下後、更に100℃で3時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル1.0部をシクロヘキサノン50部で溶解させたものを添加し、更に100℃で1時間反応を続けた。次に、容器内を空気置換に替え、アクリル酸9.3部(グリシジル基の100%)にトリスジメチルアミノフェノール0.5部及びハイドロキノン0.1部を上記容器内に投入し、120℃で6時間反応を続け固形分酸価0.5となったところで反応を終了し、共重合体溶液を得た。更に、引き続きテトラヒドロ無水フタル酸19.5部(生成した水酸基の100%)、トリエチルアミン0.5部を加え120℃で3.5時間反応させカルボキシル基と、共重合体溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20重量%になるようにシクロヘキサノンを添加してアクリル樹脂溶液(B-2)を調製した。重量平均分子量(Mw)は19000であった。
【0141】
<光重合性単量体(D1)の製造>
(光重合性単量体(D-1))
1分子中にアクリレートと水酸基をそれぞれ3つ含有する光重合性単量体である株式会社ナガセケムテックス製DA-314と、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートとを混合して不揮発成分20質量%溶液に調製し、光重合性単量体(D-1)溶液を得た。
【0142】
(光重合性単量体(D-2))
1分子中にアクリレートと水酸基をそれぞれ2つ含有する光重合性単量体である株式会社ナガセケムテックス製DA-911Mと、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートとを混合して不揮発成分20質量%溶液に調製し、光重合性単量体(D-2)溶液を得た。ここで言う不揮発成分とは沸点が200℃以上の液体、若しくは固体のことを言う。
【0143】
(光重合性単量体(D-3))
1分子中にアクリレートと水酸基をそれぞれ2つ含有する光重合性単量体である株式会社ナガセケムテックス製DA-212と、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートとを混合して不揮発成分20質量%溶液に調製し、光重合性単量体(D-3)溶液を得た。ここで言う不揮発成分とは沸点が200℃以上の液体、若しくは固体のことを言う。
【0144】
(光重合性単量体(D-4))
1分子中にアクリレートを2つ、水酸基を1つ含有する光重合性単量体である新中村化学工業株式会社製701Aと、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートとを混合して不揮発成分20質量%溶液に調製し、光重合性単量体(D-4)溶液を得た。ここで言う不揮発成分とは沸点が200℃以上の液体、若しくは固体のことを言う。
【0145】
得られた光重合性単量体(D1)について表2に示す。
【0146】
【表2】
【0147】
<光重合性単量体(D2)の製造>
(ウレタン結合含有光重合性単量体(D-5))
撹拌機、還流冷却管、ドライエアー導入管、温度計を備えた4口フラスコにトリメチロールプロパン5.0g、ヘキサメチレンジイソシアネート18.8g、ペンタエリスリトールトリアクリレート51.3g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート75.1g、メチルヒドロキノン0.02g、次いで触媒としてジオクチル錫0.12gを仕込み、100℃まで昇温した。100℃で3時間反応し、IRでイソシアネートのピークが消失しているのを確認してから、室温まで冷却して反応を終了した。その後、この反応溶液をエバポレーターにて減圧下で溶剤を除去し、重量平均分子量(MW)7,600の無色透明なウレタン結合を含有する光重合性単量体を得た。さらに、合成したウレタン結合を含有する光重合性単量体と、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートとを混合して不揮発成分20質量%溶液に調製し、ウレタン結合を含有する光重合性単量体(D-5)溶液を得た。ここで言う不揮発成分とは沸点が200℃以上の液体、若しくは固体のことを言う。
【0148】
(ウレタン結合含有光重合性単量体(D-6))
撹拌機、還流冷却管、ドライエアー導入管、温度計を備えた4口フラスコにトリメチロールプロパン5.0g、ヘキシルイソシアネート18.8g、ペンタエリスリトールトリアクリレート51.3g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート75.1g、メチルヒドロキノン0.02g、次いで触媒としてジオクチル錫0.12gを仕込み、100℃まで昇温した。100℃で3時間反応し、IRでイソシアネートのピークが消失しているのを確認してから、室温まで冷却して反応を終了した。その後、この反応溶液をエバポレーターにて減圧下で溶剤を除去し、重量平均分子量MW7,000の無色透明なウレタン結合を含有する光重合性単量体を得た。さらに、合成したウレタン結合を含有する光重合性単量体と、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートとを混合して不揮発成分20質量%溶液に調製し、ウレタン結合を含有する光重合性単量体(D-6)溶液を得た。ここで言う不揮発成分とは沸点が200℃以上の液体、若しくは固体のことを言う。
【0149】
(ウレタン結合含有光重合性単量体(D-7))
撹拌機、還流冷却管、ドライエアー導入管、温度計を備えた4口フラスコに2-エチル-2-メチル-1,3-プロパンジオール5.0g、ヘキシルイソシアネート18.8g、ペンタエリスリトールトリアクリレート51.3g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート75.1g、メチルヒドロキノン0.02g、次いで触媒としてジオクチル錫0.12gを仕込み、100℃まで昇温した。100℃で3時間反応し、IRでイソシアネートのピークが消失しているのを確認してから、室温まで冷却して反応を終了した。その後、この反応溶液をエバポレーターにて減圧下で溶剤を除去し、重量平均分子量MW4,800の無色透明なウレタン結合を含有する光重合性単量体(D-7)を得た。
【0150】
得られた光重合性単量体(D2)について表3に示す。
【0151】
【表3】
【0152】
(ウレタン結合を含有しない光重合性単量体(D-8))
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物である東亞合成株式会社製アロニックスM402と、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートとを混合し不揮発成分20質量%溶液に調製して、ウレタン結合を含有しない光重合性単量体(D-8)溶液を得た。ここで言う不揮発成分とは沸点が200℃以上の液体、若しくは固体のことを言う。
【0153】
<カラーフィルタ用着色組成物の製造>
[実施例1]
(感光性着色組成物(RG-1))
下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1.0μmのフィルタで濾過し、感光性着色組成物(RG-1)を作製した。
緑色顔料組成物1 :40.0部
アクリル樹脂溶液(B-2) : 5.6部
光重合性単量体(D-1) : 5.8部
光重合性単量体(D-5) :11.7部
光重合開始剤 : 0.3部
(BASF社製「IRGACURE OXE 02」)
PGMAC :36.6部
【0154】
[実施例2~13、比較例1~4]
(感光性着色組成物(RG-2~17))
表4に示す材料と仕込み量に変えた以外は、感光性着色組成物(RG-1)と同様に感光性着色組成物(RG-2~17)を作製した。
【0155】
<カラーフィルタ用着色組成物の評価>
得られた着色組成物を用いて、塗膜シワ及び耐薬品性の評価を下記方法で行った。表4に評価結果を示す。
【0156】
[シワ]
得られた感光性着色組成物を、100mm×100mm、1.1mm厚のガラス基板上に、スピンコーターを用いて塗布し、次に70℃で20分乾燥し、超高圧水銀ランプを用いて、積算光量150mJ/cm2で紫外線露光を行い、23℃のアルカリ現像液で現像を行った。ついで220℃で30分間加熱、放冷後し、塗膜基板を得た。作製した塗膜基板は、220℃での熱処理後で、膜厚が1.0μm、1.5μm、2.0μm、2.5μm、3.0μmになるようにした。得られた塗膜は光学顕微鏡を用い、200倍の倍率で塗膜表面のシワを観察し、下記基準で評価した。×は使用困難なレベルである。
◎◎:3.0μmでもシワの発生なし
◎:2.5μm以上の塗膜でシワが発生
○:2.0μm以上の塗膜でシワが発生
△:1.5μm以上の塗膜でシワが発生
×:1.0μm以上の塗膜でシワが発生
【0157】
[耐薬品性]
得られた感光性着色組成物を、100mm×100mm、1.1mm厚のガラス基板上に、スピンコーターを用いて塗布し、次に70℃で20分乾燥し、超高圧水銀ランプを用いて、積算光量150mJ/cm2で紫外線露光を行い、23℃のアルカリ現像液で現像を行った。ついで220℃で30分間加熱、放冷後し、塗膜基板を得た。作製した塗膜基板は、220℃での熱処理後で、y=0.600の色度に合うようにした。得られた塗膜のC光源での色度([L*(1)、a*(1)、b*(1)])を顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP-SP100」)を用いて測定した。さらにその後、耐薬品性試験として得られた塗膜を1-メチル-2-ピロリドンに30分浸漬させ、その後純水で1-メチル-2-ピロリドンを洗浄した後、C光源での色度([L*(2)、a*(2)、b*(2)])を測定し、下記計算式により、色差ΔE*abを求め、下記基準で評価した。×は使用困難なレベルである。
ΔE*ab=[[L*(2)-L*(1)]2+[a*(2)-a*(1)]2+[b*(2)-b*(1)]2]1/2
◎:ΔE*abが1.5未満
○:ΔE*abが1.5以上、3.0未満
△:ΔE*abが3.0以上、5.0未満
×:ΔE*abが5.0以上
【0158】
【表4】
【0159】
<カラーフィルタの製造>
(感光性青色組成物(RB-1))
下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1.0μmのフィルタで濾過し、感光性青色組成物(RB-1)を作製した。
青色顔料組成物1 :40.8部
アクリル樹脂(B-1) : 4.9部
光重合性単量体(東亞合成社製「アロニックスM402」) :17.5部
光重合開始剤(BASF社製「イルガキュアー907」) : 0.4部
PGMAC :36.4部
【0160】
(感光性赤色組成物(RR-1))
下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1.0μmのフィルタで濾過し、感光性赤色組成物(RR-1)を作製した。
赤色顔料組成物1 :40.8部
アクリル樹脂(B-1) : 4.9部
光重合性単量体(東亞合成社製「アロニックスM402」) :17.5部
光重合開始剤(BASF社製「イルガキュアー907」) : 0.4部
PGMAC :36.4部
【0161】
(カラーフィルタの作製)
ガラス基板上にブラックマトリクスをパターン加工し、該基板上にスピンコーターで赤色の感光性赤色着色組成物(RR-1)をC光源においてx=0.655、y=0.325になるように塗布し着色被膜を形成した。該被膜にフォトマスクを介して、超高圧水銀ランプを用いて150mJ/cm2の紫外線を照射した。次いで0.2質量%の炭酸ナトリウム水溶液からなるアルカリ現像液によりスプレー現像して未露光部分を取り除いた後、イオン交換水で洗浄し、この基板を220℃で20分加熱して、赤色フィルタセグメントを形成した。同様の方法により、本発明の緑色感光性組成物(RG-1)を用いてC光源においてx=0.291、y=0.600になるように、青色の感光性着色組成物(RB―1)を用いてC光源においてx=0.141、y=0.084になるように緑色フィルタセグメント、青色フィルタセグメントを形成して、カラーフィルタを得た。
【0162】
本発明の感光性着色組成物を用いることにより、シワの発生がなく、優れた耐薬品性のカラーフィルタの作製が可能であり、その他物性にも問題なく好適に使用することができた。