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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-06
(45)【発行日】2022-01-20
(54)【発明の名称】地図情報更新方法
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/02 20200101AFI20220113BHJP
   G09B 29/00 20060101ALI20220113BHJP
【FI】
G05D1/02 H
G09B29/00 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2017185075
(22)【出願日】2017-09-26
(65)【公開番号】P2019061452
(43)【公開日】2019-04-18
【審査請求日】2019-12-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】110001117
【氏名又は名称】特許業務法人ぱてな
(72)【発明者】
【氏名】古室 達也
【審査官】大古 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-150473(JP,A)
【文献】特開2015-171933(JP,A)
【文献】特開2009-169845(JP,A)
【文献】特開2014-89740(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/00- 1/12
G09B 23/00-29/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自律移動体が自律移動する移動エリアの地図情報を更新する地図情報更新方法であって、
前記自律移動体に前記移動エリアにおける修正前地図情報を記憶させる第1工程と、
前記自律移動体が前記移動エリアにおける自己の周囲の環境情報を第1環境情報として検出する第2工程と、
前記修正前地図情報と前記第1環境情報とを比較し、前記第1環境情報にのみ含まれる固有情報を追加物品情報として抽出する第3工程と、
前記追加物品情報の全体を囲み、かつ、前記第1環境情報の全範囲よりも狭い追加物品領域を設定する第4工程と、
前記修正前地図情報、前記追加物品情報及び前記追加物品領域を含む第1修正地図情報を生成する第5工程と、
前記自律移動体が前記移動エリア内における自己の周囲の環境情報を第2環境情報として検出する第6工程と、
前記修正前地図情報、前記追加物品領域及び前記第2環境情報に基づき、前記追加物品領域における前記修正前地図情報と前記第2環境情報との相違が第1閾値以下であるか否かを判断する第7工程と、
前記相違が前記第1閾値以下であれば、前記第1修正地図情報から、前記追加物品情報及び前記追加物品領域を削除して第2修正地図情報を生成する第8工程とを備え、
前記第2工程は、前記移動エリアにおける前記自律移動体の走行時間が所定の時間を超えるか、又は、前記移動エリアにおける前記自移動体の走行距離が所定の距離を超えることで行われ
前記第7工程は、前記第2環境情報に前記追加物品領域が全て含まれているか否かを判断する第1判断工程と、
前記第2環境情報に基づき、前記自律移動体と前記追加物品領域との間に障害物が存在するか否かを判断する第2判断工程とを有し、
前記第7工程では、前記追加物品領域の全てが前記第2環境情報に含まれ、かつ、前記自律移動体と前記追加物品領域との間に前記障害物が存在していなければ、前記相違が前記第1閾値以下であるか否かを判断することを特徴とする地図情報更新方法。
【請求項2】
前記第3工程では、前記固有情報が第2閾値以上であれば、前記追加物品情報として抽出する請求項記載の地図情報更新方法。
【請求項3】
前記自律移動体は、自律走行する産業車両である請求項1又は2記載の地図情報更新方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は地図情報更新方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自律移動体に移動エリア内を自律移動させる技術が多々提案されている。自律移動体は、移動エリアにおける自己の周囲の環境情報を検出し、移動エリアの地図情報と環境情報とを基に、移動エリア内における自己の位置を推定しつつ、自律移動する。
【0003】
ところで、移動エリアには、物品が新たに配置されたり、または、物品が除去されたりする。このため、移動エリアの状況は、地図情報に記録されている情報から刻々と変化する。これにより、地図情報と移動エリアの状況との相違が大きくなれば、自律移動体は、移動エリア内における自己の位置を好適に推定することができなくなり、移動エリア内を好適に自律移動することができなくなる。そこで、地図情報を更新する地図情報更新方法についても提案されている。このような地図情報更新方法は、例えば、特許文献1に開示されている。
【0004】
この地図情報更新方法では、在庫管理コンピュータと自律移動体とが通信可能に接続されている。在庫管理コンピュータは、移動エリアに入庫された荷物及び移動エリアから出庫された荷物を在庫データとして記憶する。そして、この地図情報更新方法では、まず、第1工程において、在庫管理コンピュータは、自律移動体に移動エリアにおける修正前地図情報を記憶させる。次に、荷物の入庫又は出庫により在庫データが更新されれば、第2工程において、在庫管理コンピュータは修正前地図情報に在庫データを反映させる。すなわち、荷物の入庫があれば、在庫管理コンピュータは、修正前地図情報に対して荷物の情報を追加することで第1修正地図情報を生成する。また、荷物の出庫があれば、在庫管理コンピュータは、修正前地図情報から荷物の情報を削除することで第2修正地図情報を生成する。そして、第3工程において、在庫管理コンピュータは、第1修正地図情報や第2修正地図情報を自律移動体に送信する。
【0005】
こうして、この地図情報更新方法によれば、在庫データに基づいた第1修正地図情報や第2修正地図情報によって、地図情報を更新することができる。このため、荷物によって移動エリアの状況が変化しても、自律移動体は、これらの第1修正地図情報や第2修正地図情報と環境情報とを基に、移動エリア内における自己の位置を好適に推定することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第6141782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記従来の地図情報更新方法では、在庫管理コンピュータと通信不能な有人搬送車等によって物品としての荷物が入庫又は出庫された場合には、在庫データは更新されない。このため、実際には物品によって移動エリアの状況が変化していても、第1修正地図情報や第2修正地図情報が生成されず、地図情報が更新されない。
【0008】
また、この地図情報更新方法では、例えば荷物を保管するための保管棚等、荷物以外の物品が移動エリアに搬入又は搬出されることによって、移動エリアの状況が変化しても、第1修正地図情報や第2修正地図情報は生成されない。これらのため、この地図情報更新方法では、地図情報を更新するに当たって、移動エリアの状況を精度高く反映させることができない。
【0009】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、移動エリアの状況をより精度高く反映させつつ、地図情報を更新可能な地図情報更新方法を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の地図情報更新方法は、自律移動体が自律移動する移動エリアの地図情報を更新する地図情報更新方法であって、
前記自律移動体に前記移動エリアにおける修正前地図情報を記憶させる第1工程と、
前記自律移動体が前記移動エリアにおける自己の周囲の環境情報を第1環境情報として検出する第2工程と、
前記修正前地図情報と前記第1環境情報とを比較し、前記第1環境情報にのみ含まれる固有情報を追加物品情報として抽出する第3工程と、
前記追加物品情報の全体を囲み、かつ、前記第1環境情報の全範囲よりも狭い追加物品領域を設定する第4工程と、
前記修正前地図情報、前記追加物品情報及び前記追加物品領域を含む第1修正地図情報を生成する第5工程と、
前記自律移動体が前記移動エリア内における自己の周囲の環境情報を第2環境情報として検出する第6工程と、
前記修正前地図情報、前記追加物品領域及び前記第2環境情報に基づき、前記追加物品領域における前記修正前地図情報と前記第2環境情報との相違が第1閾値以下であるか否かを判断する第7工程と、
前記相違が前記第1閾値以下であれば、前記第1修正地図情報から、前記追加物品情報及び前記追加物品領域を削除して第2修正地図情報を生成する第8工程とを備え、
前記第2工程は、前記移動エリアにおける前記自律移動体の走行時間が所定の時間を超えるか、又は、前記移動エリアにおける前記自移動体の走行距離が所定の距離を超えることで行われ
前記第7工程は、前記第2環境情報に前記追加物品領域が全て含まれているか否かを判断する第1判断工程と、
前記第2環境情報に基づき、前記自律移動体と前記追加物品領域との間に障害物が存在するか否かを判断する第2判断工程とを有し、
前記第7工程では、前記追加物品領域の全てが前記第2環境情報に含まれ、かつ、前記自律移動体と前記追加物品領域との間に前記障害物が存在していなければ、前記相違が前記第1閾値以下であるか否かを判断することを特徴とする。
【0011】
本発明の地図情報更新方法では、修正前地図情報に記録されていない物品が移動エリア内に存在すれば、第2工程において、自律移動体が第1環境情報を検出した際、その物品に基づく情報が第1環境情報に含まれる。そして、この情報は、第1環境情報にのみ含まれる固有情報となるため、第3工程において、追加物品情報として抽出される。また、第4工程において、追加物品領域が設定される。こうして、修正前地図情報に記録されていない物品が移動エリア内に存在する場合には、第5工程において、修正前地図情報、追加物品情報及び追加物品領域を含む第1修正地図情報が生成される。これにより、修正前地図情報から第1修正地図情報に地図情報を更新する。
【0012】
また、この地図情報更新方法では、第6工程において、自律移動体が第2環境情報を検出する。そして、第7工程において、修正前地図情報、追加物品領域及び第2環境情報に基づき、追加物品領域における修正前地図情報と第2環境情報との相違を判断する。ここで、修正前地図情報と第2環境情報との相違が第1閾値以下であれば、自律移動体が第2環境情報を検出した際の移動エリア内には、追加物品情報の基となった物品が存在しないことになる。これにより、第8工程において、第1修正地図情報から、追加物品情報及び追加物品領域を削除した第2修正地図情報を生成する。こうして、移動エリア内において、追加物品情報の基となった物品が存在しなくなった場合、第1修正地図情報から第2修正地図情報に地図情報を更新する。
【0013】
一方、修正前地図情報と第2環境情報との相違が第1閾値を超えていれば、自律移動体が第2環境情報を検出した際の移動エリア内には、追加物品情報の基となった物品が存在していることになる。このため、この地図情報更新方法では、第2修正地図情報の生成を行わない。
【0014】
このように、この地図情報更新方法では、自律移動体が第1環境情報や第2環境情報を検出した際の移動エリアの状況、すなわち、自律移動体が自律移動する際の移動エリアの状況に即した第1修正地図情報や第2修正地図情報によって、地図情報を更新することができる。また、この地図情報更新方法では、荷物以外の物品によって移動エリアの状況が変化した場合も、第1修正地図情報や第2修正地図情報によって、地図情報を更新することができる。
【0015】
したがって、本発明の地図情報更新方法によれば、移動エリアの状況をより精度高く反映させつつ、地図情報を更新可能である。
【0016】
第7工程は、第2環境情報に追加物品領域が全て含まれているか否かを判断する第1判断工程と、第2環境情報に基づき、自律移動体と追加物品領域との間に障害物が存在するか否かを判断する第2判断工程とを有る。そして、第7工程では、追加物品領域の全てが第2環境情報に含まれ、かつ、自律移動体と追加物品領域との間に障害物が存在していなければ、相違が第1閾値以下であるか否かを判断する
【0017】
れにより、自律移動体が第2環境情報を検出した際、移動エリア内において、追加物品情報の基となった物品が存在するか否かをより精度高く判断することができる。このため、追加物品領域における修正前地図情報と第2環境情報との相違をより精度高く判断することが可能となる。
【0018】
第3工程では、固有情報が第2閾値以上であれば、追加物品情報として抽出することが好ましい。この場合には、第2閾値に至らない軽微な固有情報については追加物品情報として抽出されなくなる。このため、この地図情報更新方法では、仮に修正前地図情報に記録されていない物品が移動エリア内に存在していても、修正前地図情報と移動エリアの状況との相違に対する影響が小さければ、第1修正地図情報を生成せず、地図情報を更新しない。これにより、この地図情報更新方法では、処理負担を軽くすることができる。
【0019】
自律移動体は、自律走行する産業車両であることが好ましい。産業車両が自律走行する移動エリアでは、物品の存否によって、移動エリアの状況が頻繁に変化する。このような場合であっても、この地図情報更新方法によれば、移動エリアの状況に即した第1修正地図情報や第2修正地図情報によって地図情報を更新できるため、産業車両の作業効率を向上させることが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の地図情報更新方法によれば、移動エリアの状況をより精度高く反映させつつ、地図情報を更新可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、実施例の自動搬送車を示す模式図である。
図2図2は、第1修正地図情報を生成して地図情報を更新する制御フローである。
図3図3は、第2修正地図情報を生成して地図情報を更新する制御フローである。
図4図4は、倉庫を示す模式図である。
図5図5は、倉庫の修正前地図情報を示す模式図である。
図6図6は、荷物が存在する倉庫内を自動搬送車が自律走行する状態を示す模式図である。
図7図7は、自動搬送車が検出した第1環境情報を示す模式図である。図7の(A)は、図6のP1地点において、自動搬送車が検出した第1環境情報を示している。図7の(B)は、図6のP2地点において、自動搬送車が検出した第1環境情報を示している。
図8図8は、第1追加レイヤーデータ及び第2追加レイヤーデータを示す模式図である。図8の(A)は第1追加レイヤーデータを示している。図8の(B)は第2追加レイヤーデータを示している。
図9図9は、修正前地図情報に第1追加レイヤーデータ及び第2追加レイヤーデータを合成する状態を示す模式図である。
図10図10は、第1修正地図情報を示す模式図である。
図11図11は、第1修正地図情報が生成された後に倉庫内を自動搬送車が自律走行する状態を示す模式図と、第2環境情報とを示す模式図である。図11の(A)は、荷物が存在する倉庫内を自動搬送車が自律走行する状態を示す模式図である。図11の(B)は、図11の(A)に示すP3地点において、自動搬送車が検出した第2環境情報を示している。
図12図12は、第1修正地図情報が生成された後に倉庫内を自動搬送車が自律走行する状態を示す模式図と、第2環境情報とを示す模式図である。図12の(A)は、荷物及び障害物が存在する倉庫内を自動搬送車が自律走行する状態を示す模式図である。図12の(B)は、図12の(A)に示すP2地点において、自動搬送車が検出した第2環境情報を示している。
図13図13は、第1修正地図情報が生成された後に倉庫内を自動搬送車が自律走行する状態を示す模式図と、第2環境情報とを示す模式図である。図13の(A)は、荷物が存在する倉庫内を自動搬送車が自律走行する状態を示す模式図である。図13の(B)は、図13の(A)に示すP2地点において、自動搬送車が検出した第2環境情報を示している。
図14図14は、第1修正地図情報が生成された後に倉庫内を自動搬送車が自律走行する状態を示す模式図と、第2環境情報とを示す模式図である。図14の(A)は、荷物が存在しない倉庫内を自動搬送車が自律走行する状態を示す模式図である。図14の(B)は、図14の(A)に示すP2地点において、自動搬送車が検出した第2環境情報を示している。
図15図15は、第1修正地図情報から、第1追加レイヤーデータ及び第2追加レイヤーデータを削除する状態を示す模式図である。
図16図16は、第2修正地図情報を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を具体化した実施例を図面を参照しつつ説明する。
【0023】
図1に示すように、実施例の自動搬送車1は、駆動装置3と、外界センサ5と、エンコーダ7と、ROM9と、RAM11と、CPU13とを備えている。また、図示を省略するものの、自動搬送車1は、公知の操舵装置及び電動モータ等を備えている。自動搬送車1は、作業者が運転を行うことなく、図4等に示す倉庫21内を自律走行可能な産業車両であり、本発明における「自律移動体」の一例である。また、倉庫21は本発明における「移動エリア」の一例である。
【0024】
倉庫21は、自動搬送車1が自律走行する床面23と、床面23を囲む壁面25と、複数の柱26とを有しており、矩形状をなしている。また、倉庫21には、出入口27が設けられている。倉庫21内には、図6等に示す荷物31が保管される。なお、図4等では、説明を容易にするため、倉庫21の四隅に設けられる柱26の図示を省略している。
【0025】
図1に示すように、駆動装置3は、自動搬送車1に設けられた複数の駆動輪15と、操舵装置と、電動モータとによって構成されている。これにより、駆動装置3は、倉庫21内で自動搬送車1を走行させることが可能となっている。
【0026】
外界センサ5は、自動搬送車1の下部に取り付けられている。外界センサ5は、図4図6等のハッチングで示すように、自動搬送車1の周囲における一定の範囲にレーザを照射する。そして、外界センサ5は、倉庫21内の壁面25や荷物31等に反射して自己に戻ってきたレーザを受信する。これにより、外界センサ5は、倉庫21内における自動搬送車1の周囲の環境情報を図7に示す第1環境情報300、301や図11図14の各(B)に示す第2環境情報400~403として検出可能となっている。この際、第1環境情報300、301及び第2環境情報400~403では、倉庫21内における自動搬送車1の周囲の環境情報、すなわち、自動搬送車1の周囲の壁面25や柱26や荷物31が仮想の座標グリッド上に配置したドットデータとして検出される。また、図1に示す外界センサ5は、第1環境情報300、301や第2環境情報400~403を検出すると同時に、壁面25や荷物31等から自動搬送車1までの距離を計測する。
【0027】
エンコーダ7は、各駆動輪15の回転数や操舵装置の舵角を計測することにより、倉庫21内における自動搬送車1の移動量を検出可能となっている。なお、エンコーダ7は、電動モータの回転数を計測することにより、倉庫21内における自動搬送車1の移動量を検出しても良い。
【0028】
ROM9には、自動搬送車1を自律走行させるための走行プログラムが記録されている。走行プログラムは、具体的には、公知のSLAM(Simultaneous Localization and Mapping)アルゴリズムであり、確率的手法としてのパーティクルフィルタを実行する。また、ROM9には、地図情報更新方法を実行するための地図情報更新プログラムが記録されている。
【0029】
RAM11は、図5に示す修正前地図情報200の他、図10に示す第1修正地図情報201や図16に示す第2修正地図情報202を記憶する。また、RAM11は、図1に示すホストコンピュータ41のコンピュータ本体47から送信された経路情報を記憶する。さらに、RAM11は、図7に示す第1環境情報300、301や図11図14の各(B)に示す第2環境情報400~403の他、図8に示す追加物品情報302や追加物品領域α等を記憶する。また、RAM11は、第1閾値、第2閾値及び規定値を記憶する。なお、修正前地図情報200等の詳細は後述する。
【0030】
CPU13は、駆動装置3、外界センサ5、エンコーダ7、ROM9及びRAM11をそれぞれ制御するとともに、走行プログラムを実行することにより、図4等に示す倉庫21内で自動搬送車1を自律走行させる。
【0031】
また、図1に示すように、自動搬送車1は、倉庫21の外部に設けられたホストコンピュータ41と通信可能に接続されている。ホストコンピュータ41は、キーボード等で構成された入力装置43と、ディスプレイ45と、コンピュータ本体47とを有している。
【0032】
入力装置43は、作業者が図4等に示す倉庫21内における自動搬送車1の現在地や目的地等の経路情報を入力することが可能となっている。図1に示すディスプレイ45は、入力装置43から入力された経路情報等が表示される。コンピュータ本体47には、図5に示す修正前地図情報200が記憶されている。図1に示すホストコンピュータ41は、修正前地図情報200や入力装置43から入力された経路情報を自動搬送車1に送信可能となっている。
【0033】
図5に示す修正前地図情報200は、倉庫21の設計図に基づき、倉庫21の構造物である壁面25や柱26の他、出入口27の位置情報が座標データとして記録されている。一方、修正前地図情報200には、倉庫21に保管される荷物31(図6参照)等のように、倉庫21の構造物以外の情報は記録されていない。つまり、図5に示す修正前地図情報200には、壁面25に基づく壁面情報200aと、柱26に基づく柱情報200bと、出入口27に基づく出入口情報200cとによる倉庫21のレイアウトのみが記録されている。なお、図5等では、倉庫21の四隅に設けられる柱26に基づく柱情報200bの図示を省略している。
【0034】
ここで、倉庫21では、荷物31が新たに入庫されたり、入庫されていた荷物31が出庫されたりする。これにより、倉庫21の状況は刻々と変化する。この結果、修正前地図情報200(図5参照)と、自動搬送車1が自律走行する際の倉庫21の状況(図6参照)とに相違が生じることとなる。そこで、図1に示すCPU13は、自動搬送車1が自律走行している際に、地図情報更新方法を実行して、倉庫21の地図情報の更新を行う。
【0035】
以下、荷物31が存在しない倉庫21(図4参照)に、荷物31が1つ入庫された場合(図6参照)と、その荷物31が倉庫21から出庫されて、倉庫21に荷物31が存在しなくなった場合(図14参照)とを例に挙げつつ、地図情報更新方法について、図2及び図3に示す制御フローを基に具体的に説明する。
【0036】
<荷物が存在しない倉庫に荷物が1つ入庫された場合>
まず始めに、図2に示すステップS101に示すように、RAM11に修正前地図情報200を記憶させる。具体的には、ホストコンピュータ41のコンピュータ本体47に記憶されている修正前地図情報200を自動搬送車1に送信することにより、RAM11に修正前地図情報200を記憶させる。図2のステップS101が本発明における「第1工程」に相当する。
【0037】
次に、ステップS102として、RAM11に記憶された経路情報を基に、CPU13が駆動装置3を制御し、倉庫21内で自動搬送車1を自律走行させる。この際、自動搬送車1の走行時間が所定の時間を経過したり、走行距離が所定の距離を超えたりする毎に、外界センサ5によって、倉庫21内における自動搬送車1の周囲の環境情報を図7に示す第1環境情報300、301として検出する。これらの第1環境情報300、301は、RAM11に記憶される。図2のステップS102が本発明における「第2工程」に相当する。
【0038】
ここで、図6に示す倉庫21内のP1地点において、自動搬送車1が同図に示す姿勢で第1環境情報300を検出した場合には、図7の(A)に示すように、第1環境情報300には、壁面25を検出した壁面検出情報300aと、柱26を検出した柱検出情報300bとが存在する。そして、CPU13は、第1環境情報300に存在する壁面検出情報300aや柱検出情報300bの座標データを基に、図5に示す修正前地図情報200から、第1環境情報300に対応する領域Xを抽出し、領域Xと第1環境情報300とを比較する。
【0039】
修正前地図情報200の領域Xには、壁面情報200aと柱情報200bが存在する。また、図7の(A)に示すように、第1環境情報300には、壁面検出情報300aと柱検出情報300bとが存在し、それ以外の情報は含まれていない。このため、図2に示すステップS103において、CPU13は、第1環境情報300にのみ含まれる固有情報は存在しないと判断する(ステップS103:NO)。これにより、CPU13は、倉庫21の地図情報の更新を行わずに自動搬送車1を自律走行させる。つまり、CPU13は、パーティクルフィルタを実行し、修正前地図情報200と、第1環境情報300と、エンコーダ7が検出した自動搬送車1の移動量とに基づき、倉庫21内における自動搬送車1の位置を推定しつつ、自動搬送車1を自律走行させる。
【0040】
一方、図6に示す倉庫21内のP2地点において、自動搬送車1が同図に示す姿勢で第1環境情報301を検出した場合には、図7の(B)に示すように、第1環境情報301には、壁面25を検出した壁面検出情報300aと、荷物31を検出した物品検出情報300cとが存在する。そして、CPU13は、図5に示す修正前地図情報200から、第1環境情報301に対応する領域Yを抽出して、領域Yと第1環境情報301とを比較する。
【0041】
修正前地図情報200の領域Yには、壁面情報200aしか存在しない。これに対し、図7の(B)に示す第1環境情報301には、上記のように、壁面検出情報300aと物品検出情報300cとが含まれる。このため、CPU13は、第1環境情報301にのみ含まれる物品検出情報300cを固有情報として認識する。この結果、CPU13は、第1環境情報301に固有情報が存在すると判断する(図2のステップS103:YES)。
【0042】
次に、ステップS104において、CPU13は、物品検出情報300cが予め設定された第2閾値以上であるか否かを判断する。物品検出情報300cが第2閾値以上であるか否については、例えば、第1環境情報301における物品検出情報300cのデータ量によって判断する。これにより、仮に第1環境情報301に物品検出情報300cが存在していても、その物品検出情報300cが第2閾値に至っていない場合(ステップS104:NO)には、CPU13は、以降の処理を行わず、地図情報の更新を終了する。
【0043】
一方、物品検出情報300cは第2閾値以上であるとCPU13が判断した場合(ステップS104:YES)には、次のステップS105に進む。なお、第2閾値は適宜設定することが可能である。
【0044】
ステップS105では、CPU13は、図8の(A)に示すように、第1環境情報301から物品検出情報300cのみを追加物品情報302として抽出する。そして、CPU13は、追加物品情報302のみで構成された第1追加レイヤーデータL1を生成する。この第1追加レイヤーデータL1は、RAM11に記憶される。図2のステップS103~S105が本発明における「第3工程」に相当する。
【0045】
次に、ステップS106において、CPU13は、図8の(B)に示すように、追加物品領域αを設定する。この追加物品領域αは、追加物品情報302の全体を囲み、かつ、図7の(B)に示す第1環境情報301の全範囲よりも狭い範囲で設定される。具体的には、図8の(B)に示すように、追加物品領域αは、追加物品情報302よりも数グリッド離れつつ、追加物品情報302の全体を囲む形状に設定される。そして、CPU13は、追加物品領域αのみで構成された第2追加レイヤーデータL2を生成する。この際、CPU13は、追加物品領域αを図8の(A)に示す追加物品情報302に対して、いわゆる紐付けを行い、第1追加レイヤーデータL1と第2追加レイヤーデータL2とを関連付ける。また、CPU13は、追加物品領域αの座標データを演算する。これらの第2追加レイヤーデータL2及び追加物品領域αの座標データについても、RAM11に記憶される。図2のステップS106が本発明における「第4工程」に相当する。なお、図8の(B)では、説明を容易にするため、追加物品領域αに追加物品情報302を組み合わせて図示している。
【0046】
次に、ステップS107において、CPU13は、図9に示すように、修正前地図情報200に対して、第1追加レイヤーデータL1と第2追加レイヤーデータL2とを合成する。これにより、図10に示すように、修正前地図情報200に対して、追加物品情報302と追加物品領域αとが追記された第1修正地図情報201が生成される。ここで、第1修正地図情報201では、追加物品情報302及び追加物品領域αの近くに存在する壁面情報200aが追加物品領域αに含まれることとなる。図2のステップS107が本発明における「第5工程」に相当する。
【0047】
図10に示す第1修正地図情報201は、RAM11に記憶される(図2のステップS108)。これにより、修正前地図情報200から第1修正地図情報201に地図情報が更新される。こうして、荷物31が存在しない倉庫21に荷物31が1つ入庫された場合における倉庫21の地図情報の更新が完了する。ここで、図10に示すように、第1修正地図情報201に記録されている追加物品情報302は、図7の(B)に示す第1環境情報301の物品検出情報300c、すなわち、自動搬送車1の外界センサ5が検出した荷物31に基づいている。このため、第1修正地図情報201は、修正前地図情報200に比べて、荷物31が1つ入庫された際の倉庫21の状況、つまり、自動搬送車1が自律走行している現在の倉庫21の状況を精度高く反映している。これにより、第1修正地図情報201が生成された以降は、自動搬送車1を自律走行させるに当たって、CPU13は、修正前地図情報200に換えて、第1修正地図情報201を用いつつ、倉庫21内における自動搬送車1の位置を推定する。このため、倉庫21内における自動搬送車1の位置を好適に推定することが可能となり、倉庫21内で自動搬送車1を好適に自律走行させることが可能となる。なお、RAM11に第1修正地図情報201が記憶されても、修正前地図情報200は消去されずに、引き続きRAM11に記憶されている。
【0048】
<第1修正地図情報の生成後、倉庫内に荷物が存在する場合>
第1修正地図情報201の生成後に自動搬送車1が倉庫21内を自動走行する際には、図3のステップS201に示すように、外界センサ5は、倉庫21内における自動搬送車1の周囲の環境情報を図11図13の各(B)に示す第2環境情報400~402として検出する。これらの第2環境情報400~402はRAM11に記憶される。図3のステップS201が本発明における「第6工程」に相当する。なお、第1修正地図情報201の生成後に自動搬送車1が倉庫21内を自動走行する場合とは、例えば、第1修正地図情報201の生成後に自動搬送車1が倉庫21から退出し、所定時間経過後に再び自動搬送車1が倉庫21内に進入した場合等が挙げられる。
【0049】
ここで、図11図13の各(A)に示すように、倉庫21内に荷物31が存在しているため、荷物31の近辺では、図11図13の各(B)に示すように、第2環境情報400~402に物品検出情報300cが含まれることとなる。
【0050】
しかし、例えば、図11の(A)に示すように、自動搬送車1が倉庫21内のP3地点で第2環境情報400を検出した場合には、自動搬送車1の倉庫21内の位置や姿勢がステップS102で第1環境情報301を検出した際とは大きく異なることとなる。このため、図11の(B)に示す第2環境情報400では、たとえ物品検出情報300cが存在していても、CPU13は、その物品検出情報300cは荷物31に基づくものであるのか、又は、荷物31以外の物品に基づくものであるかを判別できない。これにより、CPU13は、荷物31が倉庫21内に真に存在しているか否かが不明となる。このため、図3のステップS202において、CPU13は、ステップS201で検出した第2環境情報400~402に追加物品領域αが全て含まれているか否かを判断する。この判断は、例えば、第2環境情報400~402に追加物品領域αの座標データが全て存在しているか否かを検討したり、第2環境情報400~402に対して、図9の(B)に示す第2追加レイヤーデータL2を重ね合わせたりすることによって行うことができる。
【0051】
この結果、図11の(B)に示す第2環境情報400には、追加物品領域αの一部しか含まれていないことが判明する。このため、CPU13は、第2環境情報400には追加物品領域αが全て含まれていないと判断する(図3のステップS202:NO)。この場合、以降の処理は行わず、引き続き、第1修正地図情報201を用いる。一方、CPU13は、図12及び図13の各(B)に示す第2環境情報401、402には、追加物品領域αが全て含まれていると判断する(図3のステップS202:YES)。つまり、第2環境情報401、402を検出した際の自動搬送車1の倉庫21内の位置及び姿勢と、図2のステップS102で第1環境情報301を検出した際の自動搬送車1の倉庫21内の位置及び姿勢との相違は小さいことになる。この図3に示すステップS202が本発明における「第1判断工程」に相当する。なお、図11図13の各(B)では、説明を容易にするため、第2環境情報400~402に追加物品領域αを組み合わせて図示している。後述する図14の(B)についても同様である。
【0052】
ここで、図12及び図13の各(B)に示す第2環境情報401、402には、追加物品領域αが全て含まれていると判断されても、それによって、CPU13は、荷物31が倉庫21内に真に存在しているとは判断し得ない。例えば、図12の(A)に示すように、倉庫21内において、荷物31と自動搬送車1との間に障害物33が存在すれば、図12の(B)に示す第2環境情報401には、障害物33を検出した障害物検出情報300dが存在することとなる。このように、障害物33が存在することにより、外界センサ5が照射したレーザが障害物33によって遮られる。これにより、第2環境情報401では物品検出情報300cが存在していても、その物品検出情報300cでは荷物31の正確な形状が検出されていないこととなる。このため、この場合も、CPU13は、物品検出情報300cが荷物31に基づくものであるのか、又は、荷物31以外の物品に基づくものであるかを判別できない。なお、障害物33としては、例えば、倉庫21内において、荷物31と自動搬送車1との間に配置された他の荷物や設置物等が挙げられる。
【0053】
このため、図3のステップS203において、CPU13は、第2環境情報401、402に基づいて、自動搬送車1と追加物品領域αとの間に障害物33が存在するか否かを判断する。具体的には、CPU13は、第2環境情報401、402を検出したP2地点、つまり、倉庫21内における自動搬送車1の位置と追加物品領域αとの間に障害物検出情報300dが存在するか否かによって判断する。上記のように、第2環境情報401には、障害物検出情報300dが存在することから、CPU13は、自動搬送車1と追加物品領域αとの間に障害物33が存在すると判断する(図3のステップS203:NO)。この場合には、以降の処理は行わず、引き続き、第1修正地図情報201を用いる。
【0054】
一方、図13の(B)に示す第2環境情報402には、障害物検出情報300dが存在していないため、CPU13は、自動搬送車1と追加物品領域αとの間に障害物33が存在していないと判断する(図3のステップS203:YES)。このステップS203が本発明における「第2判断工程」に相当する。
【0055】
このように、図13の(B)に示す第2環境情報402は、ステップS202の条件を満たし、かつ、ステップS203の条件を満たしていることになる。つまり、第2環境情報402の物品検出情報300cでは、荷物31の正確な形状が検出されていることになる。
【0056】
このため、第1修正地図情報201の生成後に倉庫21内に荷物31が存在している場合において、図3のステップS201で図13の(B)に示す第2環境情報402が検出されていれば、図3のステップS204に進む。そして、ステップS204において、CPU13は、修正前地図情報200と第2環境情報402との比較を行う。より具体的には、CPU13は、RAM11に記憶された修正前地図情報200、追加物品領域α及び第2環境情報402に基づき、追加物品領域αにおける修正前地図情報200と第2環境情報402との相違が予め設定された第1閾以下であるか否かを判断する。
【0057】
上記のように、修正前地図情報200の領域Y(図5参照)には、壁面情報200aしか存在しない。これに対し、図13の(B)に示すように、第2環境情報402には、壁面検出情報300aと物品検出情報300cとが存在する。これにより、修正前地図情報200と第2環境情報402との差分として、物品検出情報300cが抽出される。そして、CPU13は、追加物品領域αの座標データ内に存在する物品検出情報300cのデータ量が予め設定された規定値を超えているか否かを判断する。第2環境情報402では、物品検出情報300cが追加物品領域α内のほぼ全域に存在するため、CPU13は、追加物品領域αの座標データ内に存在する物品検出情報300cのデータ量が規定値を超えていると判断する。この結果、CPU13は、追加物品領域αにおける修正前地図情報200と第2環境情報402との相違が第1閾を超えていると判断する(図3のステップS205:NO)。これにより、CPU13は、倉庫21内に荷物31が存在していると判断する。図3のステップS202~S205が本発明における「第7工程」に相当する。このため、倉庫21の地図情報の更新を行わずに、引き続き、第1修正地図情報201を用いる。なお、第1閾及び規定値は適宜設定することができる。
【0058】
<第1修正地図情報生成後、倉庫内の荷物が存在しなくなった場合>
図14の(A)に示すように、倉庫21内に荷物31が存在しない場合、倉庫21内のP2地点において、自動搬送車1が同図に示す姿勢にある状態では、図14の(B)に示す第2環境情報403が検出される(図3のステップS201)。第2環境情報403はRAM11に記憶される。上記のように、倉庫21内に荷物31が存在しないため、図14の(B)に示す第2環境情報403には、物品検出情報300cは存在しない。
【0059】
ここで、第2環境情報403についても、ステップS202の条件を満たし、かつ、ステップS203の条件を満たしているか否かが判断される。この結果、本実施例では、CPU13は、第2環境情報403は、ステップS202及びステップS203の各条件を満たしていると判断した。このため、図3のステップS204において、CPU13は、修正前地図情報200と第2環境情報403との比較を行う。
【0060】
図14の(B)に示すように、第2環境情報403には、壁面検出情報300aのみが存在する。これにより、修正前地図情報200と第2環境情報403との差分として抽出される物品検出情報300cは存在せず、追加物品領域αの座標データ内に物品検出情報300cは存在しない。このため、CPU13は、追加物品領域αの座標データ内に存在する物品検出情報300cのデータ量が規定値以下である判断する。この結果、CPU13は、追加物品領域αにおける修正前地図情報200と第2環境情報403との相違が第1閾以下である判断する(図3のステップS205:YES)。このため、CPU13は、倉庫21内に荷物31が存在していないと判断する。
【0061】
これにより、CPU13は、ステップS206において、図15に示すように、第1修正地図情報201から、第1追加レイヤーデータL1と第2追加レイヤーデータL2とを削除する。上記のように、第1追加レイヤーデータL1と第2追加レイヤーデータL2とは関連付けられているため、第1修正地図情報201から、第1追加レイヤーデータL1が削除されれば、同時に第2追加レイヤーデータL2も削除されることになる。こうして、図16に示す第2修正地図情報202が生成される。ここで、第2修正地図情報202を生成するに当たって、第1修正地図情報201から削除されるものは、第1、2追加レイヤーデータL1、L2、すなわち、追加物品情報302及び追加物品領域αである。このため、第1修正地図情報201において、追加物品領域α内に含まれている壁面情報200aは削除されることはない。図3のステップS206が本発明における「第8工程」に相当する。
【0062】
図16に示す第2修正地図情報202は、RAM11に記憶される(図3のステップS207)。これにより、第1修正地図情報201から第2修正地図情報202に地図情報が更新される。こうして、荷物31が存在しなくなった場合における倉庫21の地図情報の更新が完了する。ここで、第2修正地図情報202は、第1修正地図情報201が生成された後、荷物31が存在しなくなったという倉庫21の状況、つまり、自動搬送車1の外界センサ5が第2環境情報403を検出した際の倉庫21の状況を精度高く反映している。これにより、第2修正地図情報202が生成された以降は、自動搬送車1を自律走行させるに当たって、CPU13は、第2修正地図情報202を用いつつ、倉庫21内における自動搬送車1の位置を推定する。このため、この場合にも、倉庫21内における自動搬送車1の位置を好適に推定することが可能となり、倉庫21内で自動搬送車1を好適に自律走行させることが可能となる。なお、RAM11に第2修正地図情報202が記憶されても、修正前地図情報200は消去されずに、引き続きRAM11に記憶される。
【0063】
ところで、倉庫21内に荷物31が存在していない場合であっても、例えば、第2環境情報403の検出時の誤差等により、第2環境情報403に物品検出情報300cが存在する場合があり得る。この場合、現実には倉庫21内に荷物31が存在していないにもかかわらず、CPU13が倉庫21内に荷物31がまだ存在していると判断し、第2修正地図情報202が生成されないおそれがある。この点、この地図情報更新方法では、CPU13は、たとえ物品検出情報300cが存在しても、そのデータ量が追加物品領域αの座標データ内において規定値以下であれば、追加物品領域αにおける修正前地図情報200と第2環境情報403との相違が第1閾以下であると判断する。このため、この地図情報更新方法では、検出時の誤差等によって第2環境情報403に物品検出情報300cが存在する場合であっても、倉庫21内に荷物31が存在していないとして、第2修正地図情報202を生成することができる。
【0064】
このように、この地図情報更新方法では、自動搬送車1が第1環境情報301や第2環境情報403を検出した際、すなわち、自動搬送車1が自律走行する際の倉庫21の状況に即した第1修正地図情報201や第2修正地図情報202によって、地図情報を更新することが可能となっている。
【0065】
また、本実施例では、荷物31を検出した物品検出情報300cを追加物品情報302として抽出している(図2のステップS105参照)。しかし、これに限らず、保管棚等のような荷物31以外の物品を検出した物品検出情報300cについても、追加物品情報302として抽出することもできる。これにより、この地図情報更新方法では、荷物31以外の物品によって倉庫21の状況が変化した場合も、第1修正地図情報201や第2修正地図情報202によって、地図情報を更新することが可能となっている。
【0066】
したがって、実施例の自動搬送車1が実行する地図情報更新方法によれば、倉庫21の状況をより精度高く反映させつつ、地図情報を更新可能である。
【0067】
特に、CPU13は、物品検出情報300cが第2閾値以上であれば、追加物品情報302として抽出する。このため、たとえ固有情報として物品検出情報300cが存在していても、第2閾値に至らない軽微な物品検出情報300cついては追加物品情報302として抽出されなくなる。これにより、仮に修正前地図情報200には記録されていない荷物31等の物品が倉庫21に存在していても、修正前地図情報200と倉庫21の状況との相違に対する影響が小さければ、CPU13は第1修正地図情報201を生成せず、地図情報を更新しない。これにより、この地図情報更新方法では、CPU13の処理負担を軽くすること可能となっている。
【0068】
また、実施例では、自動搬送車1、より詳細には、自動搬送車1のCPU13が地図情報更新方法を実行している。このため、自動搬送車1とホストコンピュータ41とが通信不可能な場合であっても、自動搬送車1が独自に第1修正地図情報201や第2修正地図情報202を生成して地図情報を更新することが可能となっている。
【0069】
以上において、本発明を実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0070】
例えば、地図情報更新方法をホストコンピュータ41のコンピュータ本体47が実行しても良い。
【0071】
また、実施例では、第1追加レイヤーデータL1と、第2追加レイヤーデータL2を生成し、これらの第1、2追加レイヤーデータL1、L2を修正前地図情報200に合成することで第1修正地図情報201を生成している。しかし、これに限らず、修正前地図情報200と、追加物品情報302と、追加物品領域αとを基に、第1修正地図情報201を個別に生成しても良い。第2修正地図情報202の生成についても同様である。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、自律移動が可能なロボット、自動車及び産業車両等に利用可能である。
【符号の説明】
【0073】
1…自動搬送車(自律移動体、産業車両)
21…倉庫(移動エリア)
33…障害物
200…修正前地図情報
201…第1修正地図情報
202…第2修正地図情報
300、301…第1環境情報
300c…物品検出情報(固有情報)
302…追加物品情報
400~403…第1環境情報
α…追加物品領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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