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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-06
(45)【発行日】2022-01-20
(54)【発明の名称】フォークリフトの荷役装置
(51)【国際特許分類】
   B66F 9/08 20060101AFI20220113BHJP
【FI】
B66F9/08 C
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2017239478
(22)【出願日】2017-12-14
(65)【公開番号】P2019104615
(43)【公開日】2019-06-27
【審査請求日】2020-03-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(72)【発明者】
【氏名】谷浦 一正
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-081589(JP,A)
【文献】特開2003-146597(JP,A)
【文献】特開2004-189354(JP,A)
【文献】実開昭62-026395(JP,U)
【文献】実開昭62-147693(JP,U)
【文献】特開2003-073087(JP,A)
【文献】実開平05-014100(JP,U)
【文献】特開平09-058988(JP,A)
【文献】実開昭58-004596(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスト機構が有するアウタマストに形成されたチェーンアンカー部材と、
一端がリフトブラケットに取り付けられたリフトチェーンと、
前記リフトチェーンの他端に設けられ、前記チェーンアンカー部材に固定される取付部材と、を備えたフォークリフトの荷役装置であって、
前記チェーンアンカー部材は、雌ねじ孔を備え、
前記取付部材は、
前記リフトチェーンの他端に備えられるホルダ部材と、
前記ホルダ部材に連結されるボルト頭部および前記雌ねじ孔に螺入可能な雄ねじ部を有するアンカーボルトと、
前記雌ねじ孔に螺入された前記雄ねじ部を前記チェーンアンカー部材に固定し、前記チェーンアンカー部材に当接されるナットと、を有し、
前記ホルダ部材は、
前記リフトチェーンの他端に取り付けられ、前記ボルト頭部が挿入される挿入空間を有するホルダ本体部と、
前記挿入空間に挿入された前記ボルト頭部を保持し、前記ホルダ本体部に溶接部をもって溶接されたリングと、を備え、
前記ボルト頭部は前記リングを遊嵌する環状溝を備え、
前記アンカーボルトは、前記ホルダ部材に対して前記アンカーボルトの軸心を中心に回動可能であることを特徴とするフォークリフトの荷役装置。
【請求項2】
前記ボルト頭部の外周面には、前記アンカーボルトの軸心を中心にして互いに平行な工具係止用の平坦面が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のフォークリフトの荷役装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォークリフトの荷役装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フォークリフトでは、フォークを取り付けたリフトブラケットを昇降させることで荷役作業が行われる。リフトブラケットの昇降には、リフトブラケットに取り付けられたリフトチェーンが用いられる。リフトチェーンは、一端がリフトブラケットに取り付けられ、他端がマストに備えられているチェーンアンカー部材に取り付けられている。また、リフトチェーンは、マストが備えるインナマストに取り付けられたチェーンホイールに懸装されている。インナマストの昇降によってリフトチェーンの一端が昇降することにより、リフトチェーンの一端に取り付けられているリフトブラケットが昇降する。
【0003】
リフトチェーンはアウタマストのチェーンアンカー部材へ取り付けられている。リフトチェーンは荷役作業に耐えられるよう、取り付けの際に張力を調整された後、アウタマストに対して強固に取り付けられる必要がある。そのため、従来では、チェーンアンカー部材へのリフトチェーンの取り付けは、3つのナットを用いてチェーンの張力を調整しつつ締結することで行われる。
リフトチェーンをチェーンホイールに掛け回す際に、リフトチェーンとチェーンホイールとが均一に接触することが望ましい。従って、リフトチェーンがリフトチェーンの長手方向に対して捩じれないように、リフトチェーンをチェーンアンカー部材へ取り付ける必要がある。
そのため、リフトチェーンの取付作業ではリフトチェーンの張力の調整作業と、リフトチェーンのねじれ防止作業の両方を行う必要があり、作業が行いにくく、作業の工数が多く掛かるという問題がある。
【0004】
そこで、例えば特許文献1では、リフトチェーンの長手方向に対して、回転可能なボルト部を備えた構成が開示されている。このボルト部は、リフトチェーンが捩じれた状態でマストに対して固定されることを防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2003-81589号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の構成では、リフトチェーンの固定にはチェーンアンカー部材の上下に配設される3個のナットを用いることからリフトチェーンの取り付けに用いられる部品点数が依然多い。このため、リフトチェーンの張力の調整作業やリフトチェーンの取付作業が行いにくいという問題が依然として残っている。
【0007】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、従来よりも部品点数が少なく、リフトチェーンの張力の調整およびリフトチェーンの取り付けが容易なフォークリフトの荷役装置の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明のフォークリフトの荷役装置は、マスト機構が有するアウタマストに形成されたチェーンアンカー部材と、一端がリフトブラケットに取り付けられたリフトチェーンと、前記リフトチェーンの他端に設けられ、前記チェーンアンカー部材に固定される取付部材と、を備えたフォークリフトの荷役装置であって、前記チェーンアンカー部材は、雌ねじ孔を備え、前記取付部材は、前記リフトチェーンの他端に備えられるホルダ部材と、前記ホルダ部材に連結されるボルト頭部および前記雌ねじ孔に螺入可能な雄ねじ部を有するアンカーボルトと、前記雌ねじ孔に螺入された前記雄ねじ部を前記チェーンアンカー部材に固定し、前記チェーンアンカー部材に当接されるナットと、を有し、前記ホルダ部材は、前記リフトチェーンの他端に取り付けられ、前記ボルト頭部が挿入される挿入空間を有するホルダ本体部と、前記挿入空間に挿入された前記ボルト頭部を保持し、前記ホルダに溶接部をもって溶接されたリングと、を備え、前記ボルト頭部は前記リングを遊嵌する環状溝を備え、前記アンカーボルトは、前記ホルダ部材に対して前記アンカーボルトの軸心を中心に回動可能であることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、リフトチェーンに支持され、軸心を中心に回動可能なアンカーボルトを、チェーンアンカー部材に螺入することにより、リフトチェーンをマストに取り付ける。すなわち、リフトチェーンをマストに取り付ける作業が、取付部材をチェーンアンカー部材に螺入することによって容易にできるほか、リフトチェーンの張力の調整が行いやすい。また、アンカーボルトのチェーンアンカー部材への螺入によって、従来チェーンアンカー部材の下部に配設された2つのナットが有する役割を1つのナットに集約できる。これにより、取付部材の部品点数が削減される。
【0010】
また、上記のフォークリフトの荷役装置において、前記ホルダ部材は、前記リフトチェーンの他端に取り付けられ、前記ボルト頭部が挿入される挿入空間を有するホルダ本体部と、前記挿入空間に挿入された前記ボルト頭部を保持するリングと、を備え、前記ボルト頭部は前記リングを遊嵌する環状溝を備えていてもよい。
【0011】
また、アンカーボルトは簡素な構造で、リフトチェーンの端部に軸心を中心に回動可能に支持されることができる。
【0012】
また、上記のフォークリフトの荷役装置において、前記ボルト頭部の外周面には、前記アンカーボルトの軸心を中心にして互いに平行な工具係止用の平坦面が形成されていてもよい。
【0013】
アンカーボルトの軸心を中心に互いに平行な平坦面を設けることで、取り付け作業者はアンカーボルトの螺入に工具を利用できる。そのため、アンカーボルトのチェーンアンカー部材への螺入作業が行いやすい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、従来よりも部品点数が少なく、リフトチェーンの張力の調整およびリフトチェーンの取り付けが容易なフォークリフトの荷役装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態に係るフォークリフトの側面図である。
図2】実施形態に係るフォークリフトの荷役装置の要部を示す斜視図である。
図3】実施形態に係るフォークリフトの荷役装置のチェーンアンカープレートの斜視図である。
図4】実施形態に係るチェーンアンカーボルトの縦断面図である。
図5】実施形態に係るホルダおよびアンカーボルトの要部を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態に係るフォークリフトの荷役装置を図1から図5に基づいて説明する。
【0017】
図1に示すように、産業車両としてのフォークリフト1は、車体2の前部に荷役装置4を備えている。車体2の中央付近には運転席3が設けられている。車体2の前部には前輪としての駆動輪5が設けられ、車体2の後部には後輪としての操舵輪6が設けられている。車体2の後部にはカウンタウエイト7が備えられており、カウンタウエイト7は車両重量の調整と車体2における重量バランスを図るためのものである。
【0018】
荷役装置4は、マスト機構10とフォーク13を備えたリフトブラケット15を備えている。図2に示すように、マスト機構10は、左右一対のアウタマスト11と、左右一対のインナマスト12と、アッパービーム17を備えている。
【0019】
アウタマスト11は、フォークリフト1の車体2の前部に取り付けられている。図2に示すように、左右一対のアウタマスト11の上端部はアッパービーム17により連結されている。左右一対のアウタマスト11の車幅方向の内側には、アウタマスト11に対して昇降可能な左右一対のインナマスト12を備える。アウタマスト11は、図3に示すように、チェーンアンカー部材としてのチェーンアンカープレート18を備えている。チェーンアンカープレート18はアウタマスト11の上端付近に溶接によって取り付けられている。チェーンアンカープレート18は板材で形成される。また、チェーンアンカープレート18は、チェーンアンカープレート18を貫通する雌ねじ孔19を備えている。雌ねじ孔19はチェーンアンカープレート18の車幅方向の内側に形成されている。雌ねじ孔19は、雌ねじ部19Aを備えている。チェーンアンカープレート18は連結ブラケット20によりアッパービーム17と連結されている。
【0020】
図2に示すように、インナマスト12はリフトシリンダ16によって、アウタマスト11に沿って昇降可能である。インナマスト12の上端部12Aは、チェーンホイール21を備えている。チェーンホイール21は、車幅方向に延在する中心軸22を有しており、中心軸22まわりに自由に回動するようになっている。チェーンホイール21にはリフトチェーン24が掛け回されている。
【0021】
リフトブラケット15は、インナマスト12に沿って昇降可能に取り付けられている。リフトチェーン24の移動端としての一端24Aは、リフトブラケット15に接続されている。リフトチェーン24の移動端としての一端24Aは、リフトブラケット15に取り付けるためのブラケット取付部材(図示せず)を備えている。リフトチェーン24の固定端としての他端24Bは、後述する取付部材26を介してチェーンアンカープレート18に接続されている。インナマスト12の昇降により、インナマスト12の上端部に取り付けられているチェーンホイール21が昇降し、チェーンホイール21に掛けられているリフトチェーン24が昇降する。そのため、リフトチェーン24の一端24Aは移動端として機能し、リフトチェーン24の他端24Bが固定端として機能するため、リフトブラケット15が昇降する。従って、リフトブラケット15に取り付けられているフォーク13は、インナマスト12の昇降によって昇降可能となっている。
【0022】
図2に示すように、リフトチェーン24は、インナマスト12の上端付近において、チェーンホイール21により向きを変えられてマスト機構10に取り付けられている。図5に示すように、リフトチェーン24はチェーンプレート39とピン40とを備えている。チェーンプレート39の長手方向の両端部付近にはピン40を挿通可能とするプレート孔(図示せず)が形成されている。複数のチェーンプレート39は、チェーンプレート39に備えられたプレート孔が交互に重なるように配置される。互いに重なり合ったチェーンプレート39がピン40により連結されることで、チェーンプレート39はピン40まわりに回動する。リフトチェーン24の固定端としての他端24Bには、リフトチェーン24をチェーンアンカープレート18へ取り付けるための取付部材26が備えられている。図4に示すように、取付部材26は、雄ねじ部28および頭部29を備えるアンカーボルト27と、ホルダ本体部としてのホルダ36とを備えている。
【0023】
図4および図5に示すように、有底円筒状のホルダ36は挿入空間としての中空部37を備えている。中空部37の直径は頭部29よりも大きく形成されている。また、ホルダ36はピン40を挿入可能なステー孔38Aを備えたステー38を備えており、ホルダ36は、リフトチェーン24のプレート孔とステー孔38Aとが重なるように配置された後、ピン40が重なり合ったステー孔38Aおよびプレート孔に通される。これにより、ホルダ36がリフトチェーン24の他端24Bに取り付けられるだけでなく、ステー孔38Aに挿通されたピン40まわりに回動可能に支持される。
【0024】
アンカーボルト27は、図4および図5に示すように、雌ねじ孔19に螺入可能な雄ねじ部28と、ボルト頭部としての頭部29とを備えている。
雄ねじ部28は、チェーンアンカープレート18に形成された雌ねじ孔19の雌ねじ部19Aの形状と合致する。また、アンカーボルト27には、アンカーボルト27をチェーンアンカープレート18に対して強固に固定するために、ナット41が螺入される。
頭部29は、雄ねじ部28側のハンドル部29Aと先端側となる支持部29Bとを備える。頭部29の外周径は雄ねじ部28の外周径よりも大きい。ハンドル部29Aの外周面は、平行二面部を少なくとも1対(図4および図5においては2対)備えている。平行二面部は、中心軸22を挟むように互いに平行な2つの平坦面34から形成され、雄ねじ部28を螺入する際に用いる工具としてのスパナを掛ける箇所として使用される。
【0025】
図4に示すように、アンカーボルト27の支持部29Bは、ホルダ36に囲撓される。支持部29Bの外周径は、ハンドル部29Aの外周径と略同じ大きさである。
また、ハンドル部29Aと支持部29Bとの間には環状溝としての溝部31が形成され、溝部31にはリングとしてのCリング形状の環状プレート32が嵌められる。環状プレート32の内周径は溝部31の外周径よりも大きく、頭部29の支持部29Bの外周径よりも小さい。また、環状プレート32の外周径は支持部29Bの外周径よりも大きい。従って、環状プレート32は、溝部31に遊嵌する。図4に示すように、アンカーボルト27は、ホルダ36の開口側の端面に溶接部(ビード)Wをもって溶接された環状プレート32により、ホルダ36に対して支持される。具体的には図5に示すように、リフトチェーン24の他端24Bに取り付けられたホルダ36に対して支持部29Bを囲撓させると、アンカーボルト27の溝部31に嵌められた環状プレート32はホルダ36の開口側の端面と接触する位置に配置される。環状プレート32がホルダ36に溶接されることで、アンカーボルト27の支持部29Bが抜け落ちない構成となる。環状プレート32およびホルダ36はホルダ部材に相当する。
【0026】
次に、取付部材26を介したリフトチェーン24の、チェーンアンカープレート18への取り付け作業について説明する。
はじめに作業者は、リフトチェーン24の一端24Aを、マスト機構10の前方に配置されたリフトブラケット15に、ブラケット取付部材によって取り付ける。次に作業者は、リフトチェーン24をインナマスト12のチェーンホイール21に対して、吊り滑車状に掛ける。そして作業者は、チェーンホイール21に掛けられているリフトチェーン24の他端24Bを、チェーンアンカープレート18に取り付ける。ここで、リフトチェーン24の他端24Bの取り付けには、取付部材26が用いられる。作業者は、取付部材26のアンカーボルト27を、チェーンアンカープレート18の雌ねじ孔19に螺入する。取付部材26を構成するアンカーボルト27は、ホルダ36に対してアンカーボルト27の軸心を中心に回動可能である。よって、作業者はアンカーボルト27をチェーンアンカープレート18の雌ねじ孔19に螺入しても、リフトチェーン24を捩らずに取り付けることができる。アンカーボルト27の螺入によって、リフトチェーン24の張力を調整する。リフトチェーン24が規定の張力に達したところで、アンカーボルト27の螺入を止める。そして、チェーンアンカープレート18に螺入されたアンカーボルト27の雄ねじ部28にナット41を装着し、チェーンアンカープレート18と当接させて締結する。これにより、リフトチェーン24の取り付け作業が完了する。
【0027】
本実施形態に係るフォークリフト1の荷役装置4は、以下の作用効果を奏する。
(1)チェーンアンカープレート18に取り付けられるリフトチェーン24の端部に形成されている取付部材26は、リフトチェーン24のホルダ36に対してアンカーボルト27の軸心を中心に回動可能なアンカーボルト27を備えており、チェーンアンカープレート18は雌ねじ孔19を備えている。アンカーボルト27をチェーンアンカープレート18の雌ねじ孔19に螺入し、リフトチェーン24の張力を調整後、アンカーボルト27にナット41を装着して締結することでチェーンアンカープレート18へのリフトチェーン24の取り付け作業が完了する。調整するべき部品の数が少ないため、リフトチェーン24の取り付け作業を行う作業者は、取り付けに必要な工数を削減できるほか、リフトチェーン24の張力の調整も行いやすい。また、リフトチェーン24の取り付け作業におけるリフトチェーン24の捩れを防止することができる。
【0028】
(2)アンカーボルト27は、ホルダ36に対して回動可能であるため、ホルダ36が取り付けられるリフトチェーン24の長手方向に対しても回動可能である。そのため、荷役中に発生したリフトチェーン24の捩れを防止することができる。
【0029】
(3)リフトチェーン24は、アンカーボルト27の雌ねじ孔19の螺入によってリフトチェーン24の張力が調整された後、ナット41がアンカーボルト27の雄ねじ部28に装着されて締結されることで、チェーンアンカープレート18に取り付けられる。これにより、チェーンアンカープレート18とナット41との間にアンカーボルト27の軸力が働く。このため、チェーンアンカープレート18に対するアンカーボルト27の緩み止めの効果が生じ、リフトチェーン24をチェーンアンカープレート18に対して強固に取り付けることができる。
【0030】
(4)取付部材26のホルダ36にはステー38を備えており、リフトチェーン24はピン40の結合によりステー38に取り付けられている。これにより、取付部材26のアンカーボルト27はリフトチェーン24に対して回動可能になっており、リフトチェーン24の他端24Bが変形したり捩れたりすることを防止できる。
【0031】
(5)アンカーボルト27は、ハンドル部29Aと支持部29Bとの間に環状溝としての溝部31が形成されており、溝部31にはリングとしての環状プレート32が嵌められる。環状プレート32は、ホルダ36の開口側の端面に溶接部Wをもって溶接され、アンカーボルト27をホルダ36に対して支持する。この構成により、簡素な構造でアンカーボルト27が支持部29Bから抜け落ちず、アンカーボルト27をリフトチェーン24の他端24Bに、中心軸22を中心に回動可能に支持することができる。
【0032】
(6)アンカーボルト27のハンドル部29Aは、中心軸22を挟むように平行な2つの平坦面34から形成される平行二面部を少なくとも1対備えている。これにより、作業者はアンカーボルト27の螺入作業において、スパナ等の工具を平坦面34に係止させてアンカーボルト27を回動させることができる。そのため、アンカーボルト27のチェーンアンカープレート18への螺入作業が行いやすい。
【0033】
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく発明の趣旨の範囲内で種々の変更が可能であり、例えば、次のように変更してもよい。
【0034】
○上記の実施形態では、リフトブラケット15にフォーク13が取り付けられたが、この限りではない。リフトブラケット15にはフォーク13に限らず、荷役作業するためのアタッチメントとして、例えば、ロールクランプ装置やプッシュプル機構等が取り付けられていてもよい。
【0036】
○上記の実施形態では、アンカーボルト27を回動させ易くする手段として頭部29に平坦面34を形成したが、アンカーボルト27を回動させ易くする手段は平坦面34に限らない。例えば、アンカーボルト27の頭部29に挿入孔を形成しておき、この挿入孔に棒材を挿入して棒材を用いてアンカーボルト27を回転させてもよい。その場合、挿入孔に挿入可能なハンドルを挿入孔に差し込み、ハンドルを回すことにより、アンカーボルト27をチェーンアンカープレート18へ螺入することができる。なお、挿入孔は有底の孔や貫通する孔であってもよい。
【符号の説明】
【0037】
10…マスト機構、11…アウタマスト、12…インナマスト、18…チェーンアンカー部材としてのチェーンアンカープレート、19…雌ねじ孔、24…リフトチェーン、26…取付部材、27…アンカーボルト、28…雄ねじ部、29…ボルト頭部としての頭部、30…支持部、31…環状溝としての溝部、32…リングとしての環状プレート、34…平坦面、36…ホルダ本体部としてのホルダ、37…挿入空間としての中空部、41…ナット。
図1
図2
図3
図4
図5