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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-06
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】参拝対象物の保管設備
(51)【国際特許分類】
   E04H 13/00 20060101AFI20220203BHJP
【FI】
E04H13/00 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2017249943
(22)【出願日】2017-12-26
(65)【公開番号】P2019116726
(43)【公開日】2019-07-18
【審査請求日】2019-12-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】新中 秀信
(72)【発明者】
【氏名】有馬 寿哉
【審査官】新井 夕起子
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-013314(JP,A)
【文献】特開2012-246753(JP,A)
【文献】特開2015-204906(JP,A)
【文献】国際公開第2017/026616(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 13/00
A47G 33/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
参拝対象物をそれぞれ保管する複数の保管部と、
参拝者による参拝が行われる参拝部と、
前記保管部と前記参拝部に設けられた参拝用支持位置との間で前記参拝対象物を搬送する搬送装置と、
前記参拝者の参拝位置と前記参拝用支持位置とを仕切るように前記参拝部に配置された仕切壁と、
前記仕切壁に設けられ、前記参拝用支持位置にある前記参拝対象物を前記参拝位置にいる前記参拝者が視認できるように構成された参拝窓部と、を備え、
前記参拝対象物のそれぞれは、前記参拝窓部から視認される対象となる面である視認対象面を少なくとも1つ備え、
前記視認対象面には、大きさが異なる複数種類が存在し、
前記参拝窓部は、前記参拝用支持位置にある前記参拝対象物の前記視認対象面の大きさに応じて、前記参拝者が前記参拝対象物を視認できる視認可能領域の大きさを変更する変更装置を備え、
前記参拝対象物は、収納容器と、当該収納容器に収納される被収納物と、を有し、
前記収納容器は、第1対象壁部と、当該第1対象壁部とは異なる大きさを有する第2対象壁部と、を有する直方体状に形成され、
前記第1対象壁部の外面は、前記視認対象面の1つであり、前記第2対象壁部の外面は、別の前記視認対象面であって、
前記搬送装置は、前記第1対象壁部及び前記第2対象壁部のいずれか一方が前記参拝用支持位置において前記参拝部側を向くように、前記収納容器を搬送し、
前記参拝窓部は、複数の区分領域に区画され、
前記変更装置は、前記複数の区分領域のそれぞれに配置されて光透過率を調節可能な調光部材と、当該調光部材の光透過率を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記視認対象面の大きさに応じて、前記区分領域ごとに前記調光部材の光透過率を制御する、参拝対象物の保管設備。
【請求項2】
前記複数の区分領域は、規定の方向に沿って連続して配置されている、請求項1に記載の参拝対象物の保管設備。
【請求項3】
参拝対象物をそれぞれ保管する複数の保管部と、
参拝者による参拝が行われる参拝部と、
前記保管部と前記参拝部に設けられた参拝用支持位置との間で前記参拝対象物を搬送する搬送装置と、
前記参拝者の参拝位置と前記参拝用支持位置とを仕切るように前記参拝部に配置された仕切壁と、
前記仕切壁に設けられ、前記参拝用支持位置にある前記参拝対象物を前記参拝位置にいる前記参拝者が視認できるように構成された参拝窓部と、を備え、
前記参拝対象物のそれぞれは、前記参拝窓部から視認される対象となる面である視認対象面を少なくとも1つ備え、
前記視認対象面には、大きさが異なる複数種類が存在し、
前記参拝窓部は、前記参拝用支持位置にある前記参拝対象物の前記視認対象面の大きさに応じて、前記参拝者が前記参拝対象物を視認できる視認可能領域の大きさを変更する変更装置を備え、
前記参拝対象物は、収納容器と、当該収納容器に収納される被収納物と、を有し、
前記収納容器は、第1対象壁部と、当該第1対象壁部とは異なる大きさを有する第2対象壁部と、を有する直方体状に形成され、
前記第1対象壁部の外面は、前記視認対象面の1つであり、前記第2対象壁部の外面は、別の前記視認対象面であって、
前記搬送装置は、前記第1対象壁部及び前記第2対象壁部のいずれか一方が前記参拝用支持位置において前記参拝部側を向くように、前記収納容器を搬送し、
前記変更装置は、前記参拝窓部に対して前記参拝位置側及び前記参拝用支持位置側の少なくとも一方に配置され、開口領域の大きさを変更可能な開閉部材と、当該開閉部材の前記開口領域の大きさを制御する制御装置と、を備え、
前記開閉部材は、前記参拝用支持位置において前記参拝部側を向いた状態の前記第1対象壁部と、前記参拝用支持位置において前記参拝部側を向いた状態の前記第2対象壁部とで、長さが異なる辺に沿う開閉方向に移動自在であり、
前記制御装置は、前記視認対象面の大きさに応じて、前記開閉部材を前記開閉方向に移動させることにより、前記開口領域の大きさを制御する、参拝対象物の保管設備。
【請求項4】
前記参拝用支持位置において前記参拝部側を向いた状態の前記第1対象壁部の前記開閉方向の配置領域と、前記参拝用支持位置において前記参拝部側を向いた状態の前記第2対象壁部の前記開閉方向の配置領域とが重なった領域を基準領域として、
一対の前記開閉部材が、前記基準領域に対して互いに近接及び離間するように設けられている、請求項3に記載の参拝対象物の保管設備。
【請求項5】
前記第1対象壁部の前記外面には、前記参拝対象物に関連する情報が記された板状体が取り付けられ、
前記第2対象壁部には、前記収納容器の内部を前記参拝者に視認させるための容器窓部が設けられている、請求項1から4のいずれか一項に記載の参拝対象物の保管設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、参拝対象物をそれぞれ保管する複数の保管部と、参拝者による参拝が行われる参拝部と、保管部と参拝部に設けられた参拝用支持位置との間で参拝対象物を搬送する搬送装置と、を備えた参拝対象物の保管設備に関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1には、被収納物(1)が収納された収納容器(2)を複数保管する保管部(A)と、参拝者による参拝が行われる参拝部(B)と、保管部(A)と参拝部(B)に設けられた参拝用支持位置(D)との間で収納容器(2)を搬送する搬送装置(C)と、を備えた参拝対象物の保管設備が開示されている。特許文献1では、収納容器(2)及びそれに収納される被収納物(1)が参拝対象物とされている。なお、背景技術の説明において括弧内に示す符号は、参照する文献のものである。
【0003】
特許文献1の参拝対象物の保管設備においては、参拝者が参拝に訪れた際に、所望の収納容器(2)が搬送装置(C)によって保管部(A)から取り出され、参拝者が待つ参拝部(B)に搬送される。収納容器(2)における1つの側面には、故人の家名、故人の家紋、故人の好きな言葉等の参拝対象物に関連する情報が記された板状体(5)が取り付けられており、参拝者は、参拝部(B)の参拝用支持位置(D)に搬送された収納容器(2)の板状体(5)に記された情報を見ながら参拝を行う。なお、以下では、参拝対象物における参拝者によって視認される対象となる面を「視認対象面」と記す。特許文献1の参拝対象物の保管設備においては、板状体(5)が取り付けられた収納容器(2)の1つの側面が「視認対象面」に相当する。
【0004】
ところで、特許文献1の参拝対象物の保管設備では、参拝用支持位置(D)において収納容器(2)の視認対象面を囲むように「装飾部22」が設けられている。しかし、特許文献1の参拝対象物の保管設備は、予め定められた1種類の大きさ及び形状の視認対象面のみに対応しており、大きさや形状が異なる複数種類の視認対象面が存在する場合について考慮されていない。そのため、視認対象面の大きさによっては、参拝部における参拝対象物の見え方が適切ではなくなる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2002-235459号公報(段落0031、図1,7)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、参拝対象物の視認対象面の大きさに関わらず、参拝部における参拝対象物の見え方が適切になるようにすることができる参拝対象物の保管設備の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記に鑑みた、参拝対象物の保管設備の特徴構成は、
参拝対象物をそれぞれ保管する複数の保管部と、
参拝者による参拝が行われる参拝部と、
前記保管部と前記参拝部に設けられた参拝用支持位置との間で前記参拝対象物を搬送する搬送装置と、
前記参拝者の参拝位置と前記参拝用支持位置とを仕切るように前記参拝部に配置された仕切壁と、
前記仕切壁に設けられ、前記参拝用支持位置にある前記参拝対象物を前記参拝位置にいる前記参拝者が視認できるように構成された参拝窓部と、を備え、
前記参拝対象物のそれぞれは、前記参拝窓部から視認される対象となる面である視認対象面を少なくとも1つ備え、
前記視認対象面には、大きさが異なる複数種類が存在し、
前記参拝窓部は、前記参拝用支持位置にある前記参拝対象物の前記視認対象面の大きさに応じて、前記参拝者が前記参拝対象物を視認できる視認可能領域の大きさを変更する変更装置を備え、
前記参拝対象物は、収納容器と、当該収納容器に収納される被収納物と、を有し、
前記収納容器は、第1対象壁部と、当該第1対象壁部とは異なる大きさを有する第2対象壁部と、を有する直方体状に形成され、
前記第1対象壁部の外面は、前記視認対象面の1つであり、前記第2対象壁部の外面は、別の前記視認対象面であって、
前記搬送装置は、前記第1対象壁部及び第2対象壁部のいずれか一方が前記参拝用支持位置において前記参拝部側を向くように、前記収納容器を搬送し、
前記参拝窓部は、複数の区分領域に区画され、
前記変更装置は、前記複数の区分領域のそれぞれに配置されて光透過率を調節可能な調光部材と、当該調光部材の光透過率を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記視認対象面の大きさに応じて、前記区分領域ごとに前記調光部材の光透過率を制御する点にある。
【0008】
この特徴構成によれば、参拝用支持位置にある参拝対象物の視認対象面の大きさに応じて、参拝窓部の視認可能領域の大きさが変更される。そのため、視認対象面の大きさに合せて、参拝窓部の内面と視認対象面の外縁との間の余剰領域が大きくなり過ぎないようにすることができる。したがって、参拝対象物の視認対象面の大きさに関わらず、参拝部における参拝対象物の見え方が適切になるようにすることができる。
また、本特徴構成によれば、視認対象面が四角形状となる。したがって、参拝窓部及び変更装置を簡易な構成としつつ、視認対象面の大きさに合せて、参拝部における参拝対象物の見え方が適切になるようにすることが容易となる。
また、本特徴構成によれば、参拝窓部における複数の区分領域のそれぞれに配置された調光部材の光透過率の制御によって参拝窓部の視認可能領域の大きさが変更される。したがって、参拝窓部に機械的な駆動機構を必要とせずに、参拝窓部の視認可能領域の大きさを変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る参拝対象物の保管設備の平面図
図2】実施形態に係る参拝対象物の保管設備の側面図
図3】参拝対象物の構成を示す斜視図
図4】第1視認対象面が参拝部側を向く様子を示す平面図
図5】第2視認対象面が参拝部側を向く様子を示す平面図
図6】第1視認対象面が参拝部側を向いた状態を示す正面図
図7】第2視認対象面が参拝部側を向いた状態を示す正面図
図8】作業部の平面図
図9】制御ブロック図
図10】別形態に係る参拝対象物の斜視図
図11】別形態に係る参拝対象物の使用態様を示す側面図
図12】別形態に係る参拝対象物の斜視図
図13】別形態に係る参拝対象物の斜視図
図14】別形態に係る搬送装置の平面図
図15】別形態に係る変更装置を備えた参拝窓部において、第1視認対象面が参拝部側を向いた状態を示す正面図
図16】別形態に係る変更装置を備えた参拝窓部において、第2視認対象面が参拝部側を向いた状態を示す正面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下では、参拝対象物の保管設備の実施形態である、参拝対象物1の保管設備100について、図面を参照して説明する。
【0011】
図1及び2に示すように、保管設備100は、参拝対象物1を保管する保管部21を複数有する保管棚2と、参拝者Vによる参拝が行われる参拝部3と、保管部21と参拝部3に設けられた参拝用支持位置P1との間で参拝対象物1を搬送する搬送装置4と、を備えている。
【0012】
まず、参拝対象物1について詳細に説明する。
図3に示すように、参拝対象物1は、収納容器11と、収納容器11に収納される被収納物12と、を有している。被収納物12は、例えば、故人の遺品や写真等の故人に縁の有る物、季節毎の装飾物等、様々な物品である。
【0013】
収納容器11は、内部に被収納物12を収納可能に構成された容器である。本実施形態では、収納容器11は直方体状に形成されている。そのため、収納容器11は、隣接するもの同士が互いに異なる大きさを有する4つの側壁部110を備えている。
ここで、4つの側壁部110のうち、小さい方の1つの側壁部110を「第1対象壁部111」とし、大きい方の1つの側壁部110を「第2対象壁部112」とする。そして、第1対象壁部111の外面を「第1視認対象面111a」とし、第2対象壁部112の外面を「第2視認対象面112a」とする。また、第1視認対象面111aに沿う水平方向を「第1水平方向H1」とし、第2視認対象面112aに沿う水平方向、つまり、第1水平方向H1に直交する水平方向を「第2水平方向H2」とする。
【0014】
本実施形態では、収納容器11は、容器本体11Aと、容器本体11Aの開口部11Aaを塞ぐ蓋体11Bと、を有している。容器本体11A及び蓋体11Bには、蓋体11Bが容器本体11Aの開口部11Aaを塞いだ状態で双方を固定すると共に、その固定を解除可能なロック機構(図示せず)が設けられている。本例では、容器本体11Aは、上面に開口部11Aaが形成されており、容器本体11Aから分離した蓋体11Bによって開口部11Aaが塞がれるように構成されている。なお、開口部11Aaが、例えば第1対象壁部111又は第2対象壁部112ではない側壁部110に形成された構成であっても良いし、容器本体11Aと蓋体11Bとが、蝶番等の回動部材を介して接続された構成であっても良い。
【0015】
本実施形態では、第2対象壁部112には、収納容器11の内部を参拝者Vに視認させるための容器窓部113が設けられている。容器窓部113は、第2対象壁部112の内面から外面にかけて貫通するように形成された容器窓開口部113aと、容器窓開口部113aを塞ぐように設けられた、ガラス等の容器用透明部材113bと、を有している。容器窓部113は、第2対象壁部112のできるだけ広い範囲に配置することが好ましく、例えば第2対象壁部112の全体を容器窓部113としても良い。また、容器用透明部材113bが設けられず、容器窓開口部113aのみが設けられた構成としても良い。
【0016】
一方、第1対象壁部111の外面である第1視認対象面111aには、参拝対象物1に関連する情報(以下、「表示情報」と記す)が記された板状体13が取り付けられている。表示情報は、文字、図形、記号、又はこれらの組み合わせ等によって表され、板状体13の表面(板状体13が第1視認対象面111aに取り付けられた状態で外側を向く面)に彫刻や印刷等により記される。表示情報としては、例えば、故人の家名、故人の家紋、故人の好きな言葉等を採用することができる。図示の例では、表示情報は故人の家紋である。
【0017】
本実施形態では、板状体13は、保持部14によって保持されている。保持部14は、板状体13の第1水平方向H1の両側の端部を保持する一対の側方保持部材141と、板状体13を下方から支持する下方保持部材142と、を有している。一対の側方保持部材141及び下方保持部材142は、収納容器11の容器本体11Aと一体的に形成され、或いは、締結ボルト等によって容器本体11Aに固定されている。一対の側方保持部材141は、板状体13の第1水平方向H1及び第2水平方向H2の移動を規制した状態で、板状体13の第1水平方向H1の両側の端部を、上下に移動自在に保持するように構成されている。下方保持部材142は、板状体13の下方への移動を規制するように構成されている。
【0018】
本例では、板状体13は、第1視認対象面111aの形状に沿った矩形状の外形を有している。そして、一対の側方保持部材141は、板状体13の両側面にそれぞれ対向し、その対向する側面に沿って形成された一対の側面案内部141aと、板状体13の表面における第1水平方向H1の両側の端部にそれぞれ対向し、第1水平方向H1に沿って延在する一対の表面案内部141bと、を有している。更に、下方保持部材142は、板状体13の下端面に沿って形成され、当該下端面が当接する当接部142aを有している。そのため、板状体13を、一対の側方保持部材141の間の空間へ上方から挿入することで、第1視認対象面111aに取り付けることができる。また、保持部14によって保持された状態の板状体13を、上方へ移動させて一対の側方保持部材141の間の空間から離脱させることで、第1視認対象面111aから取り外すことができる。なお、一対の側方保持部材141と下方保持部材142とは一体的に形成されていても良い。
【0019】
本実施形態では、収納容器11には、収納容器11を保管棚2の保管部21等に対して出し入れする際に、後述する搬送装置4の移載装置41の係合部(図示せず)と係合される被係合部142bが設けられている。本例では、被係合部142bは、第1視認対象面111aから間隔を空けた位置において当接部142aから下方に突出するように形成されている。
【0020】
次に、保管棚2、参拝部3、及び搬送装置4について詳細に説明する。
図1及び2に示すように、保管棚2は、参拝対象物1を保管する保管部21を複数有している。本実施形態では、複数の保管部21は、鉛直方向に複数段、且つ、水平方向に複数列配置されている。
ここで、各段における複数の保管部21の配列方向を「棚幅方向X」とし、棚幅方向Xに直交する水平方向を「棚奥行方向Y」とする。また、鉛直方向を「上下方向Z」とする。
【0021】
本実施形態では、参拝対象物1の第2水平方向H2が棚奥行方向Yに沿うように、保管部21に参拝対象物1が保管される。具体的には、保管棚2は、上下方向Zに延在する複数の支柱22と、棚奥行方向Yに延在する複数の腕木23とを備えている。そして、棚奥行方向Yに並ぶ一対の支柱22に腕木23が固定され、棚幅方向Xに離間して配置された一対の腕木23に跨るように参拝対象物1が載置される。また、本実施形態では、棚奥行方向Yに互いに間隔を空けて対向するように一対の保管棚2が設けられている。
【0022】
保管設備100は、一対の保管棚2の周囲を囲む壁体5を備えており、壁体5によって囲まれた領域内において参拝対象物1が搬送装置4によって搬送される。壁体5は、参拝者Vが参拝を行う位置である参拝位置P2と参拝用支持位置P1とを仕切るように参拝部3に配置された仕切壁51を含んでいる。仕切壁51には、参拝用支持位置P1にある参拝対象物1を参拝位置P2にいる参拝者Vが視認できるように構成された参拝窓部6が設けられている。参拝窓部6は、仕切壁51における参拝用支持位置P1に支持された参拝対象物1が対向する部分に配置されている。参拝部3における仕切壁51の参拝位置P2側には、参拝者Vの識別情報を読み取る第1読取装置64が設けられている。この第1読取装置64は、例えば、参拝者Vが所有するIDカード等の識別票の情報を読み取るカードリーダ等とすることができる。保管設備100の統括制御装置10(図9参照)は、第1読取装置64により読み取られた参拝者Vの識別情報に基づいて、当該参拝者Vに関連付けられた参拝対象物1を搬送装置4によって参拝用支持位置P1に搬送するように、搬送用制御装置10B(図9参照)に指示する。これにより、搬送装置4が、当該参拝者Vに関連付けられた参拝対象物1を保管部21から参拝用支持位置P1に搬送する。
【0023】
搬送装置4は、保管部21と参拝用支持位置P1との間で参拝対象物1を搬送する。参拝用支持位置P1は、参拝部3に設けられ、参拝者Vが参拝を行う際に参拝対象物1が支持される位置である。つまり、参拝用支持位置P1は、参拝対象物1の搬送経路における最も参拝部3側の位置である。本実施形態では、搬送装置4は、移載装置41と、直線搬送部42と、を備えている。
【0024】
移載装置41は、保管部21との間で参拝対象物1を移載する。本実施形態では、移載装置41は、保管部21との間で参拝対象物1を移載すると共に、直線搬送部42との間でも参拝対象物1を移載する。移載装置41は、棚幅方向Xに沿って一対の保管棚2の間の床面部に設置された走行レール411と、走行レール411に案内されて走行する走行体412と、走行体412に立設された一対のマスト413と、一対のマスト413に案内されて上下方向Zに沿って移動する昇降体414と、昇降体414に支持され参拝対象物1が載置される載置台415と、出退機構416と、を備えている。
【0025】
出退機構416は、参拝対象物1における収納容器11の被係合部142bに係合する係合部(図示せず)を備えており、当該係合部が被係合部142bに係合した状態で移載方向(棚奥行方向Y)に出退移動することで、移載装置41と保管部21との間で参拝対象物1を移載する。そのため、参拝対象物1は、被係合部142bが移載装置41側を向くように保管部21に保管される。ここでは、出退機構416は、載置台415に設けられている。また、本実施形態では、移載装置41は、載置台415及び出退機構416の向きを、昇降体414に対して上下方向Zに沿う軸回りに回転させる移載用回転機構431を備えている。これにより、移載装置41は、保管部21に移載する場合の参拝対象物1の向きが適切な向きとなるように転換できる構成となっている。なお、移載装置41の構成はこれに限定されず、例えば、参拝対象物1を下方から支持しつつ移動させるフォークを備えた構成であっても良い。
【0026】
直線搬送部42は、参拝用支持位置P1に向かって直線的に延在する経路に沿って参拝対象物1を搬送する。直線搬送部42は、棚奥行方向Yに沿って延在するスライドレール421と、スライドレール421上を摺動するスライド部材422と、スライド部材422に支持され参拝対象物1が載置される一対の載置部材423と、を備えている。一対の載置部材423は、水平方向に延在しており、その延在方向が参拝対象物1の第2水平方向H2に沿った状態で移載装置41と直線搬送部42との間で参拝対象物1が移載される。本実施形態では、参拝対象物1の第2水平方向H2が棚奥行方向Yに沿った状態で移載装置41と直線搬送部42との間で参拝対象物1が移載される。直線搬送部42は、移載装置41との間で参拝対象物1の移載が行われる位置と参拝用支持位置P1との間で参拝対象物1を棚奥行方向Yに沿う直線状の経路に沿って搬送する。
【0027】
搬送装置4による搬送経路上には、参拝用支持位置P1において参拝対象物1が複数の異なる向きから選択された選択向きとなるように、参拝対象物1の向きを転換する転換部43が設けられている。本実施形態では、転換部43は、直線搬送部42における一対の載置部材423をスライド部材422に対して上下方向Zに沿う軸回りに回転させる直線搬送用回転機構432を有している。つまり、直線搬送用回転機構432が、参拝対象物1を回転可能な第1回転機構として直線搬送部42に配置されている。
【0028】
本実施形態では、参拝対象物1における収納容器11の第1対象壁部111及び第2対象壁部112のいずれか一方が参拝用支持位置P1において参拝部3側を向くように、直線搬送部42に配置された直線搬送用回転機構432によって参拝対象物1が回転される。換言すれば、第1視認対象面111a及び第2視認対象面112aのいずれか一方が参拝用支持位置P1において参拝窓部6と対向するように、直線搬送用回転機構432によって参拝対象物1が回転される。
【0029】
具体的には、図4に示すように、参拝用支持位置P1において第1視認対象面111aを参拝部3側に向ける場合は、まず、参拝対象物1の第2水平方向H2が棚奥行方向Yに沿うように、参拝対象物1が移載装置41によって直線搬送部42に移載される。そして、第1視認対象面111aが参拝部3側を向いている場合には、参拝対象物1はその姿勢を維持した状態で直線搬送部42によって参拝用支持位置P1まで搬送される。参拝対象物1が移載装置41によって直線搬送部42に移載された際、第1視認対象面111aが参拝部3側とは反対側を向いている場合には、第1視認対象面111aが参拝部3側を向くように、参拝対象物1が直線搬送用回転機構432によって回転された後に参拝用支持位置P1まで搬送される。こうして、参拝用支持位置P1において第1視認対象面111aが参拝窓部6と対向した状態となる。
【0030】
一方、図5に示すように、参拝用支持位置P1において第2視認対象面112aを参拝部3側に向ける場合は、まず、参拝対象物1の第2水平方向H2が棚奥行方向Yに沿うように、参拝対象物1が移載装置41によって直線搬送部42に移載される。次に、第2視認対象面112aが参拝部3側を向くように、参拝対象物1が直線搬送用回転機構432によって回転される。そして、参拝対象物1はその姿勢を維持した状態で直線搬送部42によって参拝用支持位置P1まで搬送される。こうして、参拝用支持位置P1において第2視認対象面112aが参拝窓部6と対向した状態となる。
【0031】
このように、保管設備100では、参拝用支持位置P1において、第1視認対象面111aが参拝部3側を向くか、第2視認対象面112aが参拝部3側を向くかを選択可能となっている。つまり、参拝者Vが、参拝時に板状体13の表示情報を見るか、収納容器11の内部の被収納物12を見るかを選択することができる。参拝者Vは、第1視認対象面111aが参拝部3側を向く向きと、第2視認対象面112aが参拝部3側を向く向きとからいずれか一方を選択向きとして選択する。この選択は、参拝者Vにより事前に設定され、毎回同じ向きで参拝対象物1が参拝用支持位置P1に搬送されるようにしても良いし、参拝者Vが参拝する都度設定し、当該設定した向きで参拝対象物1が参拝用支持位置P1に搬送されるようにしても良い。
【0032】
本実施形態では、参拝対象物1の第2水平方向H2が棚奥行方向Yに沿うように、移載装置41と直線搬送部42との間で参拝対象物1の移載が行われる。そのため、搬送装置4が備える移載用回転機構431と直線搬送用回転機構432との2つの回転機構のうち、直線搬送用回転機構432のみが、第1視認対象面111a及び第2視認対象面112aのいずれか一方を参拝用支持位置P1において参拝部3側に向ける転換部43として機能する。しかし、このような構成に限定されず、例えば、移載用回転機構431が転換部43として機能する構成としても良い。このような構成については、図14を用いて後述する。
【0033】
図4及び5に示すように、参拝窓部6は、仕切壁51の内面から外面にかけて形成された参拝窓開口部61と、参拝窓開口部61を塞ぐように設けられた、ガラス等の参拝窓用透明部材62と、を有している。参拝窓開口部61は、想定され得る最も大きい視認対象面と同一又はそれよりも大きく形成される。本実施形態では、参拝窓開口部61は、参拝対象物1における最も大きい視認対象面である第2視認対象面112aの大きさ及び形状に合わせて形成されている。
【0034】
図6及び7に示すように、参拝窓部6は、参拝用支持位置P1にある参拝対象物1の視認対象面の大きさに応じて、参拝者Vが参拝対象物1を視認できる視認可能領域Sの大きさを変更する変更装置63を備えている。本実施形態では、変更装置63は、光透過率を調節可能な調光部材631を複数(本例では3つ)有している。参拝窓部6(参拝窓用透明部材62)は、複数(本例では3つ)の区分領域6Sに区画され、複数の区分領域6Sのそれぞれに調光部材631が配置されている。
【0035】
本例では、3つの区分領域6Sが水平方向に連続しており、中央の区分領域6Sは第1視認対象面111aと同一の大きさ及び形状に設定されている。そして、シート状又は板状に形成された調光部材631が、3つの区分領域6Sのそれぞれの全域を覆うように、参拝窓用透明部材62の内面(参拝用支持位置P1側の表面)に張り付けられている。なお、このような構成に限定されず、例えば、シート状又は板状に形成された調光部材631が一対の参拝窓用透明部材62によって挟まれた構成としても良い。なお、このような調光部材631としては、例えば、透過型液晶パネル等を用いることができる。
【0036】
図9に示すように、調光部材631は、変更用制御装置10Aと信号(例えば電気信号)を送受信可能に接続され、変更用制御装置10Aによって光透過率が制御される。変更用制御装置10Aは、変更装置63の一部として構成されている。変更用制御装置10Aは、参拝用支持位置P1にある参拝対象物1の視認対象面の大きさに応じて、区分領域6Sごとに調光部材631の光透過率を制御する。具体的には、図4及び6に示すように、参拝用支持位置P1にある参拝対象物1の視認対象面が第1視認対象面111aである場合には、複数の調光部材631のうち、第1視認対象面111aに対向するものが透明となり、それ以外のものが光を透過しないように、変更用制御装置10Aが調光部材631の光透過率を制御する。本例では、3つの調光部材631のうち、中央の区分領域6Sに配置されたものが透明となり、それ以外のものが光を透過しないように、変更用制御装置10Aが調光部材631の光透過率を制御する。このとき、中央の区分領域6Sが視認可能領域Sとなる。
【0037】
一方、図5及び7に示すように、参拝用支持位置P1にある参拝対象物1の視認対象面が第2視認対象面112aである場合には、全ての調光部材631が透明となるように、変更用制御装置10Aが調光部材631の光透過率を制御する。このとき、全ての区分領域6Sが視認可能領域Sとなる。
【0038】
図1及び8に示すように、保管設備100は、作業部7を備えている。作業部7は、参拝対象物1に対する種々の作業を行うために設けられている。作業部7は、参拝部3とは別の場所に配置されている。作業部7には、収納容器11の内部の被収納物12の入れ替え作業(以下、単に「入れ替え作業」と記す)を行う際に収納容器11が支持される作業用支持位置P3が設けられている。
ここで、入れ替え作業とは、収納容器11の内部に被収納物12として様々な物品を収納したり配置したりする作業であり、新旧物品の出し入れ、及び収納容器11に収納されている物品の位置の変更等を含む。入れ替え作業は、参拝者Vの他、保管設備100の管理者、メンテナンス作業者等によって行われる。
【0039】
作業部7は、参拝対象物1が載置される一対の作業用載置部材71と、参拝対象物1における収納容器11の蓋体11Bが載置される蓋体載置台72と、を備えている。一対の作業用載置部材71は、棚奥行方向Yに沿って延在しており、参拝対象物1の第2水平方向H2が棚奥行方向Yに沿った状態で一対の作業用載置部材71に参拝対象物1が載置される。本実施形態では、一対の作業用載置部材71に載置された参拝対象物1の位置が作業用支持位置P3である。参拝対象物1は、作業用支持位置P3と保管部21との間で搬送装置4によって搬送される。本実施形態では、移載装置41によって作業用支持位置P3と保管部21との間で参拝対象物1が搬送される。
【0040】
作業部7において入れ替え作業が行われる際、作業用支持位置P3で支持された参拝対象物1の容器開口部11Aaが露出するように蓋体11Bが開けられる。そして、容器開口部11Aaを通して入れ替え作業が行われる。なお、本実施形態では、容器本体11Aから取り外された蓋体11Bは蓋体載置台72に載置される。蓋体載置台72は、一定の位置に固定されていても良いし、棚幅方向X、棚奥行方向Y及び上下方向Zの少なくとも1つの方向に移動可能に構成されていても良い。また、蓋体載置台72は、一対の作業用載置部材71と一体的に構成されていても良い。
【0041】
作業部7は、外部から区画された作業室7Rの中に配置されている。作業室7Rは、人が作業部7に出入りするための出入口73と、出入口73に開閉可能に設けられた出入口扉74と、作業部7に対して参拝対象物1の入出庫を行うための入出庫口75と、入出庫口75に開閉可能に設けられたシャッタ76と、を備えている。入出庫口75は、壁体5によって囲まれた領域に向けて開口しており、作業用支持位置P3で支持された参拝対象物1に対向するように配置されている。シャッタ76は、作業用支持位置P3と移載装置41との間で参拝対象物1の移載が行われる際にのみ開くように構成されている。このようなシャッタ76の動作は、搬送用制御装置10B(図9参照)により制御される。
【0042】
また、図1及び8に示すように、作業室7Rの外側の出入口扉74に隣接する位置には、参拝者Vの識別情報を読み取る第2読取装置77が設けられている。この第2読取装置77は、第1読取装置64と同じ構成とすることができる。したがって、第2読取装置77は、例えば、参拝者V(保管設備100の管理者やメンテナンス作業者等も含む。以下同じ)が所有するIDカード等の識別票の情報を読み取るカードリーダ等とすることができる。図9に示すように、第2読取装置77及び出入口扉74は、作業部制御装置10Cと信号(例えば電気信号)を送受信可能に接続されている。作業部制御装置10Cは、第2読取装置77により読み取られた参拝者Vの識別情報を統括制御装置10へ送る。統括制御装置10は、これに基づいて、当該参拝者Vに関連付けられた参拝対象物1を作業用支持位置P3に搬送するように、搬送用制御装置10Bに指示する。これにより、搬送装置4が、当該参拝者Vに関連付けられた参拝対象物1を保管部21から作業用支持位置P3に搬送する。なお、上記のような、参拝者Vが自身の識別情報を第2読取装置77に読み取らせることで当該参拝者Vに関連付けられた参拝対象物1が保管部21から作業用支持位置P3に搬送される構成に限定されない。例えば、参拝者Vが自身の識別情報を第1読取装置64に読み取らせた後に、参拝対象物1の搬送先を参拝用支持位置P1又は作業用支持位置P3から選択する構成としても良いし、参拝部3や作業部7から離れた受付等で参拝対象物1を作業用支持位置P3に搬送するように搬送用制御装置10Bに指示する構成としても良い。
【0043】
更に、作業部制御装置10Cは、第2読取装置77により読み取られた参拝者Vの識別情報が登録された情報であるか否かを判別し、登録されていた場合には、出入口扉74を開いて作業室7Rへの入室を許容する。これにより、作業部7に関係者以外の者が入れないようになっている。
【0044】
作業部7は、作業室7Rの中の人の存在を検知する人検知部9Aを備えている。図9に示すように、人検知部9Aは、搬送用制御装置10Bによって制御される。搬送用制御装置10Bは、人検知部9A、移載装置41、及び直線搬送部42と信号(例えば電気信号)を送受信可能に接続されている。搬送用制御装置10Bは、人検知部9Aにより作業室7Rの中に人の存在を検知した場合には、作業用支持位置P3から保管部21への参拝対象物1の搬送を行わないように移載装置41を制御する。つまり、作業室7Rから人が退出するまでは移載装置41によって参拝対象物1が作業部7から搬出されない。なお、人が作業室7Rの中に入ろうとする際にも、移載装置41によって参拝対象物1が作業部7に搬入されている場合には、参拝対象物1が作業用支持位置P3に位置するまで出入口扉74を開放しないように、統括制御装置10を介して作業部制御装置10Cに指示する。
【0045】
また、搬送用制御装置10Bは、蓋装着検知部9B、及び重量検知部9Cと信号(例えば電気信号)を送受信可能に接続されている。蓋装着検知部9Bは、移載装置41により作業用支持位置P3から保管部21へ参拝対象物1を搬送する経路に設けられ、蓋体11Bが容器本体11Aに正しく装着されているか否かを検知する。搬送用制御装置10Bは、蓋装着検知部9Bにより蓋体11Bが容器本体11Aに正しく装着されていないことを検知した場合には、保管部21への参拝対象物1の搬送を行わないように移載装置41を制御する。蓋装着検知部9Bは、例えば、参拝対象物1の搬送経路において参拝対象物1を撮影装置(後述する撮影装置8Aであっても良い)により撮影し、容器本体11Aに対する蓋体11Bのずれを画像認識により判定する画像認識装置を用いて構成することができる。或いは、蓋装着検知部9Bは、参拝対象物1の搬送経路において、搬送面を基準とした蓋体11Bの高さ等を検知する光センサ等を用いて構成することもできる。なお、無駄な搬送動作を無くすため、図1及び8に示すように、蓋装着検知部9Bは作業用支持位置P3に設けられていると好適である。
【0046】
また、重量検知部9Cは、移載装置41により作業用支持位置P3から保管部21へ参拝対象物1を搬送する経路に設けられ、参拝対象物1の重量が予め定められた重量上限値以下であるか否かを検知する。搬送用制御装置10Bは、参拝対象物1の重量が重量上限値を超えていることを検知した場合には、保管部21への参拝対象物1の搬送を行わないように移載装置41を制御する。重量検知部9Cは、例えば、参拝対象物1の搬送経路において参拝対象物1の重量を計測する重量センサ等を用いて構成することができる。なお、無駄な搬送動作を無くすため、重量検知部9Cは作業用支持位置P3に設けられていると好適である。例えば、図1及び8に示すように、一対の作業用載置部材71と床面との間に重量検知部9Cを構成するセンサ等が配置されている と好適である。
【0047】
図8に示すように、本実施形態では、保管設備100は、撮影装置8Aと、記憶装置8Bと、を備えている。図9に示すように、撮影装置8A及び記憶装置8Bは、作業部制御装置10Cと信号(例えば電気信号)を送受信可能に接続されている。撮影装置8Aは、収納容器11の内部を撮影する装置であり、移載装置41により作業用支持位置P3から保管部21へ参拝対象物1を搬送する経路、又は作業部7に設けられている。本例では、撮影装置8Aは、作業部7に設けられている。記憶装置8Bは、撮影装置8Aにより取得した画像データを、当該画像データを取得したときの状況を示す撮影時情報と関連付けて保存する装置である。
【0048】
ここで、撮影時情報は、撮影装置8Aによる撮影日時、作業部7において入れ替え作業等を行った参拝者Vの識別情報、参拝者Vの氏名等である。ここで、参拝者Vの識別情報は、参拝者Vが作業室7Rに入室する際に第2読取装置77により取得された情報が用いられる。参拝者Vの氏名等は、当該参拝者Vの識別情報に関連付けられてデータベース等に登録された情報が用いられる。本実施形態では、撮影装置8Aにより撮影した画像データは作業部制御装置10Cへ送られ、作業部制御装置10Cにおいて撮影時情報との関連付けが行われ、記憶装置8Bに記憶される。記憶装置8Bに記憶された画像データは、統括制御装置10又はこれに接続されたパーソナルコンピュータ等の操作端末による閲覧、及び、撮影時情報に基づく検索が可能とされる。これにより、後日、収納容器11の内部の状態を把握したい場合にも、収納容器11を保管部21から取り出すことなく確認することが可能となっている。
【0049】
〔その他の実施形態〕
(1)参拝対象物1の構成は、上記の実施形態のものに限定されることなく、例えば図10に示す構成としても良い。図10に示す例では、収納容器11の上面(蓋体11B)に上方窓部115が設けられている。上方窓部115は、蓋体11Bの表面を貫通するように形成された上方開口部115aと、上方開口部115aを塞ぐように設けられた、ガラス等の上方窓用透明部材115bと、を有している。図10に示す例では、1つの矩形状の上方窓部115が、収納容器11の蓋体11Bのほぼ全域に亘って設けられている。上方窓部115によれば、収納容器11の内部に光を取り入れることができる。そのため、例えば図11に示すように、参拝用支持位置P1にある参拝対象物1の上方に設置された照明装置116によって収納容器11の内部を照らすことにより、第2視認対象面112aが参拝部3側に向いている場合に、参拝者Vが収納容器11の内部の被収納物12を良好に視認することができるようになっている。なお、図12に示すように、1つの矩形状の上方窓部115が、蓋体11Bの第1水平方向H1における中央部よりも第2視認対象面112a側に設けられていても良い。また、図13に示すように、複数の円形の上方窓部115が、蓋体11Bの第1水平方向H1における中央部よりも第2視認対象面112a側とは反対側に設けられていても良い。このように、上方窓部115の数、配置箇所、及び形状は限定されない。なお、上方窓用透明部材115bが設けられず、上方開口部115aのみが設けられた構成としても良い。また、蓋体11Bが設けられず、容器本体11Aの開口部11Aaが上方開口部115aとして機能する構成としても良い。
【0050】
(2)上記の実施形態では、一対の載置部材423をスライド部材422に対して上下方向Zに沿う軸回りに回転させる直線搬送用回転機構432が転換部43として機能する構成を例として説明した。しかし、これに限定されず、例えば、図14に示すように、移載装置41における載置台415を昇降体414に対して上下方向Zに沿う軸回りに回転させる移載用回転機構431が転換部43として機能する構成としても良い。この場合、移載装置41に配置された移載用回転機構431が、参拝対象物1を回転可能な第2回転機構として機能する。そして、この構成では、直線搬送部42は、参拝対象物1の第2水平方向H2が棚奥行方向Yに沿った状態と、参拝対象物1の第1水平方向H1が棚奥行方向Yに沿った状態との双方で、参拝対象物1を搬送できると共に、これら双方の状態で移載装置41との間で参拝対象物1を移載できるように構成されていると好適である。このような直線搬送部42としては、例えば、移載装置41との間の参拝対象物1の移載において参拝対象物1の向きが限定されない、ローラコンベヤ、ベルトコンベヤ等を用いることができる。なお、直線搬送部42がローラコンベヤやベルトコンベヤ等である場合、直線搬送部42の途中、又は直線搬送部42の上流側端部若しくは下流側端部に直線搬送用回転機構432が配置されていても良い。
【0051】
(3)上記の実施形態では、搬送装置4が移載装置41と直線搬送部42とを有する構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば、搬送装置4が移載装置41のみを有し、移載装置41が参拝対象物1を参拝用支持位置P1に直接搬送する構成としても良い。このような構成では、転換部43として機能する移載用回転機構431が移載装置41に配置される。
【0052】
(4)上記の実施形態では、複数の参拝対象物1のそれぞれが、2つの視認対象面である第1視認対象面111a及び第2視認対象面112aを有している構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば、複数の参拝対象物1のそれぞれが、互いに大きさが異なる複数の視認対象面のうちの1つを有している構成としても良い。このような構成としては、例えば、複数種類の大きさが異なる収納容器11及び被収納物12が参拝対象物1に含まれる場合や、大きさが異なる位牌や仏像等が参拝対象物1に含まれる場合等がある。このような構成では、搬送装置4に転換部43が設けられない場合もある。
【0053】
(5)上記の実施形態では、変更装置63が複数の調光部材631と変更用制御装置10Aとを有する構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば図15及び16に示すように、参拝窓部6(参拝窓用透明部材62)に対して参拝用支持位置P1側及び参拝位置P2側の少なくとも一方(図示の例では、参拝窓用透明部材62に対して参拝位置P2側(参拝部3側))に配置され、開口領域632Aの大きさを変更可能な一対の開閉部材632が、複数の調光部材631の代わりに設けられ、視認対象面の大きさに応じて、一対の開閉部材632の開口領域632Aの大きさが変更用制御装置10Aによって制御される構成としても良い。一対の開閉部材632のそれぞれは、例えば、引戸、カーテン等である。図示の例では、一対の開閉部材632は、参拝窓用透明部材62における参拝位置P2側の表面に沿う水平方向の両側に分かれて配置され、互いに近接及び離間するように構成された一対の引戸である。図15に示すように、参拝用支持位置P1にある参拝対象物1の視認対象面が第1視認対象面111aである場合には、参拝窓用透明部材62における第1視認対象面111aに対向する部分以外の部分が一対の開閉部材632によって覆われるように、変更用制御装置10Aが一対の開閉部材632を移動させる。一方、図16に示すように、参拝用支持位置P1にある参拝対象物1の視認対象面が第2視認対象面112aである場合には、参拝窓用透明部材62の全体が露出するように、変更用制御装置10Aが一対の開閉部材632を移動させる。このような構成では、一対の開閉部材632の開口領域632Aが視認可能領域Sに一致する。なお、1つの開閉部材632が設けられた構成としても良い。また、開閉部材632が上下方向Zに沿って移動する構成であっても良い。この場合、開閉部材632としては、例えば、参拝窓部6(参拝窓用透明部材62)に対して参拝用支持位置P1側及び参拝位置P2側の少なくとも一方に配置された扉体を採用可能である。
【0054】
(6)上記の実施形態では、参拝対象物1が収納容器11と被収納物12とを有する構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば、参拝対象物1が容器に収納されていない位牌、仏像又は卒塔婆であっても良い。
【0055】
(7)上記の実施形態では、参拝部3とは別に作業部7が設けられた構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、作業部7が設けられていない構成としても良い。
【0056】
(8)上記の実施形態では、人検知部9A、蓋装着検知部9B、及び重量検知部9Cが設けられた構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、人検知部9A、蓋装着検知部9B、及び重量検知部9Cが設けられていない構成であっても良いし、人検知部9A、蓋装着検知部9B、及び重量検知部9Cのいずれか1つ又はいずれか2つが設けられた構成であっても良い。
【0057】
(9)上記の実施形態では、撮影装置8A及び記憶装置8Bが設けられた構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、撮影装置8A及び記憶装置8Bが設けられていない構成としても良い。
【0058】
(10)なお、上述した各実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。したがって、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0059】
〔上記実施形態の概要〕
以下、上記において説明した参拝対象物の保管設備の概要について説明する。
【0060】
参拝対象物の保管設備は、
参拝対象物をそれぞれ保管する複数の保管部と、
参拝者による参拝が行われる参拝部と、
前記保管部と前記参拝部に設けられた参拝用支持位置との間で前記参拝対象物を搬送する搬送装置と、
前記参拝者の参拝位置と前記参拝用支持位置とを仕切るように前記参拝部に配置された仕切壁と、
前記仕切壁に設けられ、前記参拝用支持位置にある前記参拝対象物を前記参拝位置にいる前記参拝者が視認できるように構成された参拝窓部と、を備え、
前記参拝対象物のそれぞれは、前記参拝窓部から視認される対象となる面である視認対象面を少なくとも1つ備え、
前記視認対象面には、大きさが異なる複数種類が存在し、
前記参拝窓部は、前記参拝用支持位置にある前記参拝対象物の前記視認対象面の大きさに応じて、前記参拝者が前記参拝対象物を視認できる視認可能領域の大きさを変更する変更装置を備え、
前記参拝対象物は、収納容器と、当該収納容器に収納される被収納物と、を有し、
前記収納容器は、第1対象壁部と、当該第1対象壁部とは異なる大きさを有する第2対象壁部と、を有する直方体状に形成され、
前記第1対象壁部の外面は、前記視認対象面の1つであり、前記第2対象壁部の外面は、別の前記視認対象面であって、
前記搬送装置は、前記第1対象壁部及び第2対象壁部のいずれか一方が前記参拝用支持位置において前記参拝部側を向くように、前記収納容器を搬送し、
前記参拝窓部は、複数の区分領域に区画され、
前記変更装置は、前記複数の区分領域のそれぞれに配置されて光透過率を調節可能な調光部材と、当該調光部材の光透過率を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記視認対象面の大きさに応じて、前記区分領域ごとに前記調光部材の光透過率を制御する。
【0061】
この構成によれば、参拝用支持位置にある参拝対象物の視認対象面の大きさに応じて、参拝窓部の視認可能領域の大きさが変更される。そのため、視認対象面の大きさに合せて、参拝窓部の内面と視認対象面の外縁との間の余剰領域が大きくなり過ぎないようにすることができる。したがって、参拝対象物の視認対象面の大きさに関わらず、参拝部における参拝対象物の見え方が適切になるようにすることができる。
また、本構成によれば、視認対象面が四角形状となる。したがって、参拝窓部及び変更装置を簡易な構成としつつ、視認対象面の大きさに合せて、参拝部における参拝対象物の見え方が適切になるようにすることが容易となる。
また、本構成によれば、参拝窓部における複数の区分領域のそれぞれに配置された調光部材の光透過率の制御によって参拝窓部の視認可能領域の大きさが変更される。したがって、参拝窓部に機械的な駆動機構を必要とせずに、参拝窓部の視認可能領域の大きさを変更することができる。
【0062】
ここで、前記複数の区分領域は、規定の方向に沿って連続して配置されていると好適である。
【0063】
参拝対象物の保管設備は、
参拝対象物をそれぞれ保管する複数の保管部と、
参拝者による参拝が行われる参拝部と、
前記保管部と前記参拝部に設けられた参拝用支持位置との間で前記参拝対象物を搬送する搬送装置と、
前記参拝者の参拝位置と前記参拝用支持位置とを仕切るように前記参拝部に配置された仕切壁と、
前記仕切壁に設けられ、前記参拝用支持位置にある前記参拝対象物を前記参拝位置にいる前記参拝者が視認できるように構成された参拝窓部と、を備え、
前記参拝対象物のそれぞれは、前記参拝窓部から視認される対象となる面である視認対象面を少なくとも1つ備え、
前記視認対象面には、大きさが異なる複数種類が存在し、
前記参拝窓部は、前記参拝用支持位置にある前記参拝対象物の前記視認対象面の大きさに応じて、前記参拝者が前記参拝対象物を視認できる視認可能領域の大きさを変更する変更装置を備え、
前記参拝対象物は、収納容器と、当該収納容器に収納される被収納物と、を有し、
前記収納容器は、第1対象壁部と、当該第1対象壁部とは異なる大きさを有する第2対象壁部と、を有する直方体状に形成され、
前記第1対象壁部の外面は、前記視認対象面の1つであり、前記第2対象壁部の外面は、別の前記視認対象面であって、
前記搬送装置は、前記第1対象壁部及び前記第2対象壁部のいずれか一方が前記参拝用支持位置において前記参拝部側を向くように、前記収納容器を搬送し、
前記変更装置は、前記参拝窓部に対して前記参拝位置側及び前記参拝用支持位置側の少なくとも一方に配置され、開口領域の大きさを変更可能な開閉部材と、当該開閉部材の前記開口領域の大きさを制御する制御装置と、を備え、
前記開閉部材は、前記参拝用支持位置において前記参拝部側を向いた状態の前記第1対象壁部と、前記参拝用支持位置において前記参拝部側を向いた状態の前記第2対象壁部とで、長さが異なる辺に沿う開閉方向に移動自在であり、
前記制御装置は、前記視認対象面の大きさに応じて、前記開閉部材を前記開閉方向に移動させることにより、前記開口領域の大きさを制御する。
【0064】
この構成によれば、参拝用支持位置にある参拝対象物の視認対象面の大きさに応じて、参拝窓部の視認可能領域の大きさが変更される。そのため、視認対象面の大きさに合せて、参拝窓部の内面と視認対象面の外縁との間の余剰領域が大きくなり過ぎないようにすることができる。したがって、参拝対象物の視認対象面の大きさに関わらず、参拝部における参拝対象物の見え方が適切になるようにすることができる。
また、本構成によれば、視認対象面が四角形状となる。したがって、参拝窓部及び変更装置を簡易な構成としつつ、視認対象面の大きさに合せて、参拝部における参拝対象物の見え方が適切になるようにすることが容易となる。
また、本構成によれば、参拝窓部における視認可能領域の大きさの変更が、開閉部材の開閉動作によって行われる。したがって、参拝窓部の視認可能領域の大きさの変更のため動作を、例えば荘厳な雰囲気の演出等に用いることができ、参拝者の満足感を高めることが可能となる。
【0065】
ここで、前記参拝用支持位置において前記参拝部側を向いた状態の前記第1対象壁部の前記開閉方向の配置領域と、前記参拝用支持位置において前記参拝部側を向いた状態の前記第2対象壁部の前記開閉方向の配置領域とが重なった領域を基準領域として、
一対の前記開閉部材が、前記基準領域に対して互いに近接及び離間するように設けられていると好適である。
【0066】
また、前記第1対象壁部の前記外面には、前記参拝対象物に関連する情報が記された板状体が取り付けられ、
前記第2対象壁部には、前記収納容器の内部を前記参拝者に視認させるための容器窓部が設けられていると好適である。
【0067】
この構成によれば、第1対象壁部を視認対象面とした場合には、参拝対象物に関連する情報が記された板状体を視認可能な状態で参拝することができ、第2対象壁部を視認対象面とした場合には、容器窓部から収納容器の内部を視認可能な状態で参拝することができる。そして、いずれの場合においても、視認対象面の大きさに応じて、参拝窓部の視認可能領域の大きさが変更される。したがって、いずれが視認対象面とされた場合であっても、参拝部における参拝対象物の見え方が適切になるようにすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本開示に係る参拝対象物の保管設備は、参拝対象物をそれぞれ保管する複数の保管部と、参拝者による参拝が行われる参拝部と、保管部と参拝部に設けられた参拝用支持位置との間で参拝対象物を搬送する搬送装置と、を備えた参拝対象物の保管設備に利用することができる。
【符号の説明】
【0071】
100 :保管設備
1 :参拝対象物
11 :収納容器
111 :第1対象壁部
111a :第1視認対象面(視認対象面)
112 :第2対象壁部
112a :第2視認対象面(視認対象面)
113 :容器窓部
12 :被収納物
13 :板状体
21 :保管部
3 :参拝部
4 :搬送装置
41 :移載装置
42 :直線搬送部
43 :転換部
431 :移載用回転機構(第2回転機構)
432 :直線搬送用回転機構(第1回転機構)
51 :仕切壁
6 :参拝窓部
63 :変更装置
7 :作業部
10A :変更用制御装置(制御装置)
P1 :参拝用支持位置
P2 :参拝位置
P3 :作業用支持位置
V :参拝者
H1 :第1水平方向
H2 :第2水平方向
X :棚幅方向
Y :棚奥行方向
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