(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-06
(45)【発行日】2022-01-21
(54)【発明の名称】ブーツバンド
(51)【国際特許分類】
F16B 2/08 20060101AFI20220113BHJP
F16D 3/84 20060101ALI20220113BHJP
【FI】
F16B2/08 R
F16D3/84 R
(21)【出願番号】P 2018024621
(22)【出願日】2018-02-15
【審査請求日】2021-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】特許業務法人あいち国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100130188
【氏名又は名称】山本 喜一
(74)【代理人】
【識別番号】100089082
【氏名又は名称】小林 脩
(74)【代理人】
【識別番号】100190333
【氏名又は名称】木村 群司
(72)【発明者】
【氏名】久保 康治
【審査官】後藤 健志
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-287642(JP,A)
【文献】実開昭48-097569(JP,U)
【文献】特開2000-018460(JP,A)
【文献】特開2016-223464(JP,A)
【文献】実開昭62-86493(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 2/08
F16D 3/84
B65D 63/02
F16L 33/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジョイント用ブーツの円筒部の外周面に沿って配置された帯状のバンド本体と、
前記バンド本体の第一端側に位置する部位又は前記第一端側に係合された部位である第一部位と、前記バンド本体の第二端側に位置する部位又は前記第二端側に係合された部位である第二部位とを接続し、カシメによって前記第一部位と前記第二部位との離間距離を小さくすることにより前記バンド本体を縮径させるカシメ部と、
を備え、
前記カシメ部は、
前記バンド本体の前記帯状の幅方向の一端より幅方向外側に張り出したU字状に形成され、前記U字状の両端のそれぞれを前記第一部位及び前記第二部位に接続し、前記カシメによって前記U字状の開口の離間距離を小さくすることにより、前記バンド本体を縮径させる第一カシメ部を備える、ブーツバンド。
【請求項2】
前記ブーツバンドは、さらに、
前記バンド本体の前記帯状の幅方向の他端より幅方向外側に張り出したU字状に形成され、前記U字状の両端のそれぞれを前記第一部位及び前記第二部位に接続し、前記カシメによって前記U字状の開口の離間距離を小さくすることにより、前記バンド本体を縮径させる第二カシメ部を備える、請求項1に記載のブーツバンド。
【請求項3】
前記第一部位と前記第二部位との対向領域には、前記第一部位及び前記第二部位の幅方向全範囲に亘って貫通孔が形成されている、請求項1又は2に記載のブーツバンド。
【請求項4】
前記ブーツバンドは、さらに、
前記第一部位と前記第二部位との対向領域において、前記第一部位の幅方向中央部と前記第二部位の幅方向中央部とを接続し、前記第一カシメ部に対する前記カシメに伴って変形可能である中央連結部を備える、請求項1又は2に記載のブーツバンド。
【請求項5】
前記中央連結部は、径方向内方へ突出する凸状部を備え、
前記凸状部は、前記第一カシメ部に対する前記カシメに伴って、径方向内方へ移動する、請求項4に記載のブーツバンド。
【請求項6】
前記第一カシメ部は、前記バンド本体の前記第一端側と同一径に位置する、請求項1-5の何れか一項に記載のブーツバンド。
【請求項7】
前記ブーツバンドは、さらに、
前記バンド本体の前記第一部位から径方向外方へ延び、前記第一カシメ部の前記U字状の一端に接続され、カシメ治具の一方に係合する第一柱部と、
前記バンド本体の前記第二部位から径方向外方へ延び、前記第一カシメ部の前記U字状の他端に接続され、前記カシメ治具の他方に係合する第二柱部と、
を備える、請求項1-5の何れか一項に記載のブーツバンド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブーツバンドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ジョイント用ブーツを締め付けるためのブーツバンドには、種々のタイプが存在する。その一つに、特許文献1,2に記載されているようなΩタイプと呼ばれるタイプが知られている。Ωタイプのブーツバンドは、Ω状に径方向外方に突出するカシメ部をカシメ治具によって変形させることにより、バンド本体を縮径させる構造を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-287642号公報
【文献】特開2016-223464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
Ωタイプのブーツバンドは、カシメ治具によってカシメ部を挟む作業によって行うことができるため、作業性は非常に良好である。しかし、カシメ部が、バンド本体から径方向外方に突出しているため、カシメ部が、ジョイント全体の最大回転半径を規定する部位となる。つまり、カシメ部の径方向外方への突出量の分、ジョイント本体の大きさを小さくしなければならない。カシメ部の径方向外方への突出量を小さくすることができれば、ジョイント本体を大きくすることができる。そのため、カシメ部の径方向外方への突出量を小さくすることが求められる。
【0005】
本発明は、作業性が良好なカシメ構造を採用し、カシメ部の径方向外方への突出量を小さくすることができるブーツバンドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るブーツバンドは、ジョイント用ブーツの円筒部の外周面に沿って配置された帯状のバンド本体と、前記バンド本体の第一端側に位置する部位又は前記第一端側に係合された部位である第一部位と、前記バンド本体の第二端側に位置する部位又は前記第二端側に係合された部位である第二部位とを接続し、カシメによって前記第一部位と前記第二部位との離間距離を小さくすることにより前記バンド本体を縮径させるカシメ部と、を備える。前記カシメ部は、前記バンド本体の前記帯状の幅方向の一端より幅方向外側に張り出したU字状に形成され、前記U字状の両端のそれぞれを前記第一部位及び前記第二部位に接続し、前記カシメによって前記U字状の開口の離間距離を小さくすることにより、前記バンド本体を縮径させる第一カシメ部を備える。
【0007】
第一カシメ部は、バンド本体に対して幅方向に張り出すように形成されている。従って、第一カシメ部は、バンド本体に対して径方向外方への突出量を小さくすることができる。その結果、ジョイント全体の径方向において、ブーツバンドの影響分が小さくなるため、ジョイント本体を相対的に大きくすることができる。さらに、ブーツバンドは、第一カシメ部を用いたカシメ構造を採用している。従って、作業性が良好であるため、製造コストを低減することが可能となる。
【0008】
なお、第一部位及び第二部位は、バンド本体の一部分である場合、バンド本体とは別体の場合を含む。第一部位がバンド本体の第一端側に位置する部位は、第一部位がバンド本体の一部分である場合を意味する。第一部位がバンド本体の第一端側に係合された部位である場合は、第一部位がバンド本体とは別部材の場合を意味する。第二部位がバンド本体の第二端側に位置する部位は、第二部位がバンド本体の一部分である場合を意味する。第二部位がバンド本体の第二端側に係合された部位である場合は、第二部位がバンド本体とは別部材の場合を意味する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第一実施形態のブーツバンド全体を軸方向から見た図である。
【
図2】カシメ前のカシメ部近傍の拡大図であって、
図1のII部分の拡大図である。
【
図6】第一実施形態のブーツバンドにおけるカシメ後のカシメ部近傍の拡大図であり、
図1のII部分の拡大図である。
【
図9】第二実施形態のブーツバンドにおけるカシメ前のカシメ部近傍の拡大図であって、ブーツバンドのカシメ部に径方向外方から正対した図である。
【
図11】第二実施形態のブーツバンドにおけるカシメ後のカシメ部近傍の拡大図であって、ブーツバンドのカシメ部に径方向外方から正対した図である。
【
図13】第三実施形態のブーツバンドにおけるカシメ前のカシメ部近傍の拡大図であって、ブーツバンドのカシメ部に径方向外方から正対した図である。
【
図15】第三実施形態のブーツバンドにおけるカシメ後のカシメ部近傍の拡大図であって、ブーツバンドのカシメ部に径方向外方から正対した図である。
【
図17】第四実施形態のブーツバンドにおけるカシメ前のカシメ部近傍の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<1.第一実施形態>
(1-1.ブーツバンド1の概要)
第一実施形態のブーツバンド1について、
図1を参照して説明する。ブーツバンド1は、ジョイント用ブーツ7(二点鎖線にて示す)の円筒部の外周面に配置される。ブーツバンド1を縮径することによりジョイント用ブーツ7の円筒部をジョイント部材6(二点鎖線にて示す)に押し付けることにより、ブーツバンド1は、ジョイント用ブーツ7をジョイント部材6に固定するための部材である。なお、ジョイント用ブーツ7は、例えば、自動車のドライブシャフトやプロペラシャフトの等速ジョイントに適用され、ジョイント部材6の開口部を閉塞するために用いられる。
【0011】
ブーツバンド1は、カシメ治具5によるカシメによって縮径される構造を有する。ブーツバンド1は、主として、バンド本体11と、係合部12と、カシメ部13と、延伸部14とを備える。本実施形態においては、ブーツバンド1は、鋼材等の金属材料により1本の帯状に形成された素材を、リング状に湾曲させることにより形成される。その他に、ブーツバンド1は、バンド本体11とカシメ部13とを別体に構成して、両者を係合により一体的に連結することも可能である。
【0012】
バンド本体11は、ほぼリング状且つ帯状に形成されている部分であって、ジョイント用ブーツ7の円筒部の外周面に沿って配置された部分である。バンド本体11の第一端側、すなわち
図1の時計回り方向に延びる端側は、拡径する方向に一段上昇する階段状に形成されている。さらに、バンド本体11の第一端側には、内周面における幅方向中央に周方向に沿った溝11aが形成されている。溝11aは、延伸部14が進入する際に、延伸部14をガイドする機能を有する。さらに、バンド本体11の第二端側、すなわち、
図1の反時計回り方向に延びる端側には、径方向外方に突出する複数の係合爪11bが設けられている。
【0013】
係合部12は、バンド本体11の複数の係合爪11bの径方向外方に配置されている。係合部12は、複数の係合爪11bに対して周方向に係合する複数の係合穴12aを有する。
【0014】
カシメ部13は、バンド本体11の第一端側に位置する部位(第一部位P1)と、バンド本体11の第二端側に係合された係合部12の部位(第二部位P2)とを接続する。つまり、カシメ部13は、バンド本体11の第一端側に一体的に形成されており、バンド本体11とは反対側に係合部12に一体的に形成されている。そして、カシメ治具5を用いたカシメ部13のカシメによって、第一部位P1と第二部位P2との離間距離を小さくすることによりバンド本体11を縮径させる。
【0015】
延伸部14は、バンド本体11の第二端側からバンド本体11の延びる方向に延伸している。延伸部14は、バンド本体11の幅よりも小さい幅に形成されており、バンド本体11の第二端の幅方向中央から延伸している。延伸部14は、バンド本体11の第一端側における溝11aに進入することにより、バンド本体11の両端部がずれることを規制している。
【0016】
なお、本実施形態においては、バンド本体11、係合部12、カシメ部13及び延伸部14が、一体部材として形成される場合を例にあげた。この他に、カシメ部13が、バンド本体11に対して別体に形成され、バンド本体11の第一端側に係合された部位(係合部12に相当する部材)に接続されるようにしてもよい。
【0017】
さらに、本実施形態においては、バンド本体11の第二端には係合部12が係合し、係合部12にカシメ部13が接続されることとした。この他に、バンド本体11の第二端側においても、第一端側と同様に、バンド本体11の第二端側に位置する部位にカシメ部13が直接一体的に形成されるようにしてもよい。この場合、ブーツバンド1は、係合部12を有しない構造となる。つまり、ブーツバンド1が、無端リング状に形成されることになる。
【0018】
(1-2.カシメ前のカシメ部13の形状)
カシメ前のカシメ部13の形状について、
図2-
図5を参照して説明する。
図3及び
図4に示すように、カシメ部13は、第一カシメ部13aと第二カシメ部13bとを備える。
【0019】
第一カシメ部13aは、バンド本体11の帯状の幅方向の一端(
図3の上端)より幅方向外側(
図3の上側)に張り出したU字状に形成されている。特に、第一カシメ部13aは、バンド本体11の第一端側に位置する第一部位P1と同一径に位置する。つまり、第一カシメ部13aは、バンド本体11から径方向外方への突出量が極めて小さい。
【0020】
さらに、
図3において、第一カシメ部13aのU字状の開口側が、バンド本体11側を向くように形成されている。第一カシメ部13aは、U字状の両端のそれぞれを、バンド本体11の第一部位P1及び係合部12の第二部位P2に接続している。第二カシメ部13bは、バンド本体11の帯状の幅方向の他端(
図3の下端)より幅方向外側(
図3の下側)に張り出したU字状に形成されている。つまり、第二カシメ部13bは、第一カシメ部13aに対して、第一カシメ部13aのU字状の開口側に対向している。さらに、第二カシメ部13bは、バンド本体11の第一端側に位置する第一部位P1と同一径に位置する。つまり、第二カシメ部13bは、バンド本体11から径方向外方への突出量が極めて小さい。
【0021】
さらに、
図3において、第二カシメ部13bのU字状の開口側が、バンド本体11側を向くように形成されている。第二カシメ部13bは、U字状の両端のそれぞれを、バンド本体11の第一部位P1及び係合部12の第二部位P2に接続している。さらに、カシメ部13は、第一部位P1と第二部位P2との対向領域には、第一部位P1及び第二部位P2の幅方向全範囲に亘って貫通孔13cが形成されている。貫通孔13cは、第一カシメ部13aのU字状の内側領域と第二カシメ部13bのU字状の内側領域とに連通している。
【0022】
(1-3.カシメ動作及びカシメ後のカシメ部13の形状)
カシメ動作及びカシメ後のカシメ部13の形状について、
図2、
図3、
図6-
図8を参照して説明する。カシメ治具5は、
図2及び
図3に示すように、接近離間可能な2つの移動体を有しており、各移動体に、2つずつの爪を備えている。つまり、カシメ治具5は、4つの爪を備えている。カシメ治具5の各爪が、第一カシメ部13aのU字状の開口側の周方向両外方の部位、及び、第二カシメ部13bのU字状の開口側の周方向両外方の部位に当接するように位置決めされる。
【0023】
この状態から、カシメ治具5の2つの移動体を接近させるように移動させる。そうすると、
図6-
図8に示すように、第一カシメ部13aは、カシメによってU字状の開口の離間距離を小さくするように変形する。同様に、第二カシメ部13bは、カシメによってU字状の開口の離間距離を小さくするように変形する。これらの変形に伴って、バンド本体11の第一部位P1と係合部12の第二部位P2との離間距離が小さくなる。その結果、バンド本体11が縮径される。バンド本体11が縮径されることにより、ジョイント用ブーツ7が径方向内方に圧縮され、その結果、ジョイント用ブーツ7がジョイント部材6に固定される。
【0024】
上述したように、第一カシメ部13a及び第二カシメ部13bは、バンド本体11に対して幅方向に張り出すように形成されている。従って、第一カシメ部13a及び第二カシメ部13bは、バンド本体11に対して径方向外方への突出量を小さくすることができる。その結果、ジョイント全体の径方向において、ブーツバンド1の影響分が小さくなるため、ジョイント部材6を相対的に大きくすることができる。さらに、ブーツバンド1は、第一カシメ部13a及び第二カシメ部13bを用いたカシメ構造を採用している。従って、作業性が良好であるため、製造コストを低減することが可能となる。
【0025】
また、カシメ部13は、第一カシメ部13aと第二カシメ部13bとを備える。従って、幅方向のバランスが良く、カシメの際に、バンド本体11が幅方向にずれることを抑制できる。従って、ブーツバンド1は、確実な締め付け力を発揮することができる。なお、カシメ部13が、第一カシメ部13aを有し、第二カシメ部13bを有さない構造とすることもできるが、両者を有する方が良い。
【0026】
<2.第二実施形態>
第二実施形態のブーツバンド2について、
図9-
図12を参照して説明する。
図9及び
図10に示すように、カシメ前のカシメ部13は、第一実施形態に対して、中央連結部13dをさらに備える。つまり、カシメ部13は、第一カシメ部13a、第二カシメ部13b及び中央連結部13dを備える。
【0027】
中央連結部13dは、バンド本体11の第一部位P1と係合部12の第二部位P2との対向領域において、第一部位P1の幅方向中央部と第二部位P2の幅方向中央部とを接続する。中央連結部13dは、バンド本体11の第一端側に位置する第一部位P1と同一径に位置するように円弧状に形成されている。さらに、中央連結部13dは、第一カシメ部13a及び第二カシメ部13bに対するカシメに伴って変形可能である。
【0028】
カシメ治具5によるカシメによって、ブーツバンド2は、
図11及び
図12に示すような形状となる。カシメ治具5によるカシメによって、第一カシメ部13a及び第二カシメ部13bのU字状の開口の離間距離が小さくなる際に、中央連結部13dは、全長の直線距離を短くするように変形する。例えば、中央連結部13dは、
図11に示すように、長手方向の中央部が膨らむように変形する。また、中央連結部13dは、
図12に示すように、撓むように変形する。このとき、中央連結部13dの長手方向中央部が、バンド本体11の第二端側の外面を押圧するようにしている。さらに、中央連結部13dは、長手方向に圧縮変形することもある。
【0029】
以上のように、カシメ部13が、第一カシメ部13a及び第二カシメ部13bに加えて、中央連結部13dを備える。このことにより、カシメ部13による形状保持力、すなわちバンド本体11を縮径させた状態を維持する力が大きくなる。さらに、カシメ部13の剛性が高くなるため、耐久性が向上する。
【0030】
<3.第三実施形態>
第三実施形態のブーツバンド3について、
図13-
図16を参照して説明する。
図13及び
図14に示すように、カシメ部13は、第二実施形態と同様に、第一カシメ部13a、第二カシメ部13b、及び、中央連結部13eを備える。
【0031】
第二実施形態において、中央連結部13dは、第一部位P1と同一径に位置する円弧状に形成した。第三実施形態において、中央連結部13eは、第一部位P1とほぼ同一径に位置するが、長手方向中央部が径方向内方へ突出する凸状部13e1を備える。
【0032】
カシメ治具5によるカシメによって、ブーツバンド3は、
図15及び
図16に示すような形状となる。カシメ治具5によるカシメによって、第一カシメ部13a及び第二カシメ部13bのU字状の開口の離間距離が小さくなる際に、中央連結部13eは、全長の直線距離を短くするように変形する。特に、中央連結部13eの凸状部13e1が、第一カシメ部13a及び第二カシメ部13bに対するカシメに伴って、径方向内方へさらに移動する。
【0033】
以上のように、中央連結部13eが径方向内方に突出する凸状部13e1を備える。これにより、凸状部13e1が径方向内方へ移動しやすい形状となることで、カシメの際に、凸状部13e1が、中央連結部13eを径方向内方への変形するように誘導することができる。従って、中央連結部13eがバンド本体11の第二端側の外面を押さえつける機能を確実に発揮する。
【0034】
<4.第四実施形態>
第四実施形態のブーツバンド4について、
図17-
図20を参照して説明する。第一実施形態に対して、カシメ部13が、第一カシメ部13a及び第二カシメ部13bに加えて、第一柱部13f及び第二柱部13gを備える。
【0035】
第一柱部13fは、バンド本体11の第一部位P1から径方向外方へ延びるように形成されている。第一柱部13fは、バンド本体11の幅と同一の幅を有する。第一柱部13fは、第一カシメ部13aのU字状の一端に接続され、且つ、第二カシメ部13bのU字状の一端に接続される。第二柱部13gは、バンド本体11の第二部位P2から径方向外方へ延びるように形成されている。第二柱部13gは、バンド本体11の幅と同一の幅を有する。第二柱部13gは、第一カシメ部13aのU字状の他端に接続され、且つ、第二カシメ部13bのU字状の他端に接続される。
【0036】
従って、第一カシメ部13a及び第二カシメ部13bは、第一部位P1及び第二部位P2とは異なる径に位置し、第一部位P1及び第二部位P2より径方向外方に突出している。ただし、第一カシメ部13a及び第二カシメ部13bの突出量は、バンド本体11の厚み程度である。従って、本実施形態においても、第一カシメ部13a及び第二カシメ部13bは、バンド本体11に対して径方向外方への突出量は十分に小さくすることができる。
【0037】
次に、カシメ治具5aは、
図17及び
図18に示すように、第一実施形態のカシメ治具5に比べて、幅広に形成されている。カシメ治具5aの一方は、第一柱部13fに係合する部位となり、カシメ治具5aの他方は、第二柱部13gに係合する部位となる。そして、カシメ治具5aの両爪を接近させることにより、第一柱部13fと第二柱部13gとの離間距離が小さくなり、その結果、第一カシメ部13a及び第二カシメ部13bのU字状の開口の離間距離が小さくなる。このようにして、第一カシメ部13a及び第二カシメ部13bが、カシメによって変形する。
【0038】
カシメ部13が第一柱部13f及び第二柱部13gを備えることにより、カシメ治具5aを位置決めしやすくなり、作業性が良好となる。さらに、カシメ治具5aが第一柱部13f及び第二柱部13gに係合し、第一カシメ部13a及び第二カシメ部13bには係合しない。従って、カシメ治具5aが、直接的に、第一カシメ部13a及び第二カシメ部13bに力を付与することがない。そのため、第一カシメ部13a及び第二カシメ部13bに、カシメ治具5aからの過大な力が作用することを抑制できる。
【0039】
なお、第四実施形態のカシメ部13に、第二実施形態又は第三実施形態のカシメ部13の中央連結部13d,13eを設けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0040】
1,2,3,4:ブーツバンド、 5,5a:カシメ治具、 6:ジョイント部材、 7:ジョイント用ブーツ、 11:バンド本体、 11a:溝、 11b:係合爪、 12:係合部、 12a:係合穴、 13:カシメ部、 13a:第一カシメ部、 13b:第二カシメ部、 13c:貫通孔、 13d,13e:中央連結部、 13e1:凸状部、 13f:第一柱部、 13g:第二柱部、 14:延伸部、 P1:第一部位、 P2:第二部位