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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-06
(45)【発行日】2022-01-21
(54)【発明の名称】電気駆動車両の冷却装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 11/04 20060101AFI20220113BHJP
   B60K 1/00 20060101ALI20220113BHJP
   B62D 25/20 20060101ALI20220113BHJP
   B60L 9/18 20060101ALI20220113BHJP
   B60L 15/20 20060101ALI20220113BHJP
【FI】
B60K11/04 G
B60K1/00
B62D25/20 C
B60L9/18 J
B60L15/20 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018031962
(22)【出願日】2018-02-26
(65)【公開番号】P2019147425
(43)【公開日】2019-09-05
【審査請求日】2021-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】清見原 辰典
(72)【発明者】
【氏名】平田 宏喜
(72)【発明者】
【氏名】橋野 浩
【審査官】渡邊 義之
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-72385(JP,A)
【文献】特開2013-103585(JP,A)
【文献】国際公開第2012/150629(WO,A1)
【文献】独国特許出願公開第102013204766(DE,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0031308(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 1/00
B60K 11/00- 15/10
B60K 16/00
B62D 17/00- 25/08
B62D 25/14- 29/04
B60L 1/00- 3/12
B60L 7/00- 13/00
B60L 15/00- 58/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室外に設けられたモータルーム内に設置され、複数の電気ユニットと駆動用モータおよびギヤボックスが一体的に組まれてパワーユニットとされており、各電気ユニットと駆動用モータの内部に冷却水を出し入れする冷却水配管と、冷却水を駆動するポンプと、冷却水を外気で冷却する熱交換器を含んでなる電気駆動車両の冷却装置であって、
上記複数の電気ユニットは、車幅方向に複数個配置されると共に上下に重なる位置関係で配置されており、
冷却水配管は各電気ユニットを直列に接続しており、
その第1の配管は、複数の電気ユニットのうち下側に位置する下層ユニットと、略水平かつ車幅方向に隣り合う他の下層ユニットとを接続し、
第2の配管は、当該下層ユニットと上記他の下層ユニットの車幅方向斜め上に位置する上層ユニットとを車幅方向に緩やかに傾斜して延在して接続し、
第3の配管は、当該上層ユニットと上層ユニットの上側に配置されるデガスユニットとを接続することを特徴とする
電気駆動車両の冷却装置。
【請求項2】
上記モータルーム内には車幅方向に延びるパワーユニット用のクロスメンバが設けられ、
該クロスメンバの下部には上記駆動用モータが懸下されると共に、上記ポンプが設けられており、
上記モータルーム前方には平板状の上記熱交換器が配置され、
冷却水配管の第4の配管は、上記ポンプと上記駆動用モータとを接続し、
第5の配管は、上記駆動用モータと上記熱交換器とを接続したことを特徴とする
請求項1に記載の電気駆動車両の冷却装置。
【請求項3】
上記上層ユニットの斜め上方に位置する上記デガスユニットと、上記クロスメンバ下部に位置する上記ポンプとの間には、上下方向の落差が形成されており、
冷却水配管の第6の配管は、上記デガスユニットと上記ポンプとを接続したことを特徴とする
請求項2に記載の電気駆動車両の冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電気駆動車両の冷却装置に関し、詳しくは、車室外に設けられたモータルーム内に設置され、複数の電気ユニットと駆動用モータおよびギヤボックスが一体的に組まれてパワーユニットとされており、各電気ユニットと駆動用モータの内部に冷却水を出し入れする冷却水配管と、冷却水を駆動するポンプと、冷却水を外気で冷却する熱交換器を含んでなる電気駆動車両の冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、前輪駆動型の電気自動車では、車両前部の車室外に設けられたモータルーム内においてパワーユニット用のクロスメンバ下方に駆動用モータが懸下されており、このクロスメンバ上部には通電時に発熱する電気ユニット(インバータ、DC-DCコンバータ、発電機参照)が配置される。
【0003】
上述の電気ユニットを車幅方向に複数個配置すると共に、上下に重なる位置関係に配置した場合、これら複数の電気ユニットを、冷却水配管で連結するにあたり、各電気ユニット内にエアが溜まることなく、エア抜きが円滑に行なえ、かつ、冷却水配管をコンパクトに配置することが求められる。
【0004】
ところで、特許文献1には、複数の電気ユニットを隣接配置(DC-DCコンバータとインバータ、または駆動用モータとジェネレータの配置参照)すると共に、これら電気ユニットを隣接する順に冷却配管で接続した冷却管接続構造が開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、駆動用モータの上部に電気ユニットとしてのインバータを載置し、該インバータの上部に他の電気ユニットとしてのDC-DCコンバータを配置した機能一体化型駆動ユニットにおいて、冷却水を、DC-DCコンバータからインバータに送り、該インバータから配管を介して駆動用モータへと送る冷却水系が開示されている。
【0006】
しかしながら、上記各特許文献1,2に開示された従来構造においては、工場出荷時やサービス工場で冷却水を注入する際に、電気ユニット内のエアを速やかに確実に取り除く点で、改善の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2006-67735号公報
【文献】特許第5888425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、この発明は、冷却水配管の配索構造により、電気ユニット内のエアを速やかにデガスユニットに導いて、当該デガスユニットにて内部エアを取り除くことができる電気駆動車両の冷却装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明による電気駆動車両の冷却装置は、車室外に設けられたモータルーム内に設置され、複数の電気ユニットと駆動用モータおよびギヤボックスが一体的に組まれてパワーユニットとされており、各電気ユニットと駆動用モータの内部に冷却水を出し入れする冷却水配管と、冷却水を駆動するポンプと、冷却水を外気で冷却する熱交換器を含んでなる電気駆動車両の冷却装置であって、上記複数の電気ユニットは、車幅方向に複数個配置されると共に上下に重なる位置関係で配置されており、冷却水配管は各電気ユニットを直列に接続しており、その第1の配管は、複数の電気ユニットのうち下側に位置する下層ユニットと、略水平かつ車幅方向に隣り合う他の下層ユニットとを接続し、第2の配管は、当該下層ユニットと上記他の下層ユニットの車幅方向斜め上に位置する上層ユニットとを車幅方向に緩やかに傾斜して延在して接続し、第3の配管は、当該上層ユニットと上層ユニットの上側に配置されるデガスユニットとを接続するものである。
上記の電気ユニットは、インバータ、充電器、DC-DCコンバータに設定してもよい。
【0010】
上記構成によれば、上述の冷却水配管、特に、第2の配管が、下層ユニットと他の下層ユニットの車幅方向斜め上に位置する上層ユニットとを車幅方向に緩やかに傾斜して延在して接続しており、第3の配管で、上層ユニットとその上側に配置されるデガスユニットとを接続しているので、電気ユニットである下層ユニットおよび上層ユニットの内部エアを速やかにデガスユニットに導き、当該デガスユニットにて内部エアを取り除くことができる。
【0011】
この発明の一実施態様においては、上記モータルーム内には車幅方向に延びるパワーユニット用のクロスメンバが設けられ、該クロスメンバの下部には上記駆動用モータが懸下されると共に、上記ポンプが設けられており、上記モータルーム前方には平板状の上記熱交換器が配置され、冷却水配管の第4の配管は、上記ポンプと上記駆動用モータとを接続し、第5の配管は、上記駆動用モータと上記熱交換器とを接続したものである。
【0012】
上記構成によれば、第4の配管および第5の配管にて、ポンプ、駆動用モータ、熱交換器が直列に連絡されると共に、第1の配管により車幅方向に隣り合う下層ユニット間を略水平かつ車幅方向に接続した後に、第2の配管にて当該下層ユニットと他の下層ユニットの車幅方向斜め上に位置する上層ユニットとが緩やかに傾斜して延在して接続され、さらに、第3の配管にて上層ユニットとデガスユニットとが接続されている。
【0013】
すなわち、ポンプ、駆動用モータ、熱交換器、隣接する各下層ユニット、上層ユニット、デガスユニットの全てが直列に接続されているので、各要素を並列に接続する構成に対して、冷却水配管を半減させることができる。
【0014】
なお、上述の並列に接続する構成とは、ポンプから駆動用モータに冷却水を導き、該駆動用モータから冷却水をポンプに還流させる系統と、ポンプからインバータ、DC-DCコンバータ、充電器等の電気ユニットに冷却水を導き、該電気ユニットから冷却水をポンプに還流させる系統との合計2系統を有し、これらを並列接続した構造を意味する。
【0015】
この発明の一実施態様においては、上記上層ユニットの斜め上方に位置する上記デガスユニットと、上記クロスメンバ下部に位置する上記ポンプとの間には、上下方向の落差が形成されており、冷却水配管の第6の配管は、上記デガスユニットと上記ポンプとを接続したものである。
【0016】
上記構成によれば、デガスユニットとポンプとの間に落差を形成し、デガスユニットから大きく降下した位置にポンプを配置したので、落差に相当する水頭が確保でき、もし、デガスユニットにエアバブルが短時間に集中的に流入する状況が生じても、これにより、ポンプへのエア侵入によるキャビテーションに起因して、ポンプ停止に至るエアの吸込みを阻止することができる。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、冷却水配管の配索構造により、電気ユニット内のエアを速やかにデガスユニットに導いて、当該デガスユニットにて内部エアを取り除くことができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の電気駆動車両の冷却装置を示す平面図
図2図1の要部斜視図
図3図2の正面図
図4図2の背面図
図5図2の左側面図
図6図2の右側面図
図7】冷却装置の系統を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0019】
冷却水配管の配索構造により、電気ユニット内のエアを速やかにデガスユニットに導いて、当該デガスユニットにて内部エアを取り除くという目的を、車室外に設けられたモータルーム内に設置され、複数の電気ユニットと駆動用モータおよびギヤボックスが一体的に組まれてパワーユニットとされており、各電気ユニットと駆動用モータの内部に冷却水を出し入れする冷却水配管と、冷却水を駆動するポンプと、冷却水を外気で冷却する熱交換器を含んでなる電気駆動車両の冷却装置において、上記複数の電気ユニットは、車幅方向に複数個配置されると共に上下に重なる位置関係で配置されており、冷却水配管は各電気ユニットを直列に接続しており、その第1の配管は、複数の電気ユニットのうち下側に位置する下層ユニットと、略水平かつ車幅方向に隣り合う他の下層ユニットとを接続し、
第2の配管は、当該下層ユニットと上記他の下層ユニットの車幅方向斜め上に位置する上層ユニットとを車幅方向に緩やかに傾斜して延在して接続し、第3の配管は、当該上層ユニットと上層ユニットの上側に配置されるデガスユニットとを接続するという構成にて実現した。
【実施例
【0020】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面は電気駆動車両の冷却装置を示し、図1は当該冷却装置を備えた電気駆動車両の前部の要部を示す平面図、図2図1の要部斜視図、図3図2の正面図、図4図2の背面図、図5図2の車両左側の側面図、図6図2の車両右側の側面図、図7は冷却装置の系統を示す説明図である。但し、図2においては、図示の便宜上、デガスユニット(デガスタンク)を支持する保護カバーの図示を省略している。
【0021】
図1において、モータルーム1と車室とを車両前後方向に仕切るダッシュパネルを設け、上述のモータルーム1を車両前部かつ車室外に設けている。
図1に示すように、モータルーム1の左右両サイドには、車両の前後方向に延びるフロントサイドフレーム2,2を設けている。このフロントサイドフレーム2は、フロントサイドフレームインナとフロントサイドフレームアウタとを接合して車両の前後方向に延びる閉断面を有する車体強度部材である。
【0022】
上述のフロントサイドフレーム2の前端部には、セットプレート3および取付けプレート4を介してクラッシュカン5を取付けており、左右のクラッシュカン5,5相互間には、車幅方向に延びるバンパレインフォースメント6を架設している。
【0023】
図1に示すように、上述のモータルーム1内において、左右一対のフロントサイドフレーム2,2間には、マウントブラケット7,7を介して、車幅方向に延びるパワーユニット用のクロスメンバ8を設けている。
【0024】
図1図6に示すように、上述のパワーユニット9は、複数の電気ユニットとしてのインバータ10、ジャンクションボックス20、充電器30、DC-DCコンバータ40と、駆動用モータ50およびギヤボックス60が、クロスメンバ8を介して一体的に組まれたユニットであり、本実施例の電気駆動車両の冷却装置は、冷却を必要とする電気ユニット(インバータ10、充電器30、DC-DCコンバータ40)と駆動用モータ50の内部に冷却水を出し入れする冷却水配管Wと、冷却水を駆動するポンプ70と、冷却水を外気、特に走行風で冷却する熱交換器(いわゆるラジエータ)80とを含んでいる。
【0025】
図3に示すように、駆動用モータ50の左側には減速機を構成する上述のギヤボックス60がボルト締結されており、駆動用モータ50の右側には、モータハウジングの右側開口を塞ぐ閉塞部材51がボルト締結されていて、これら三者50,60,51によりモータユニット52が構成されている。
【0026】
この実施例では、駆動用モータ50を含むモータユニット52は、図3に示すように、上述のクロスメンバ8の下部に懸下されている。すなわち、図3に示すように、車両左側においては、ギヤボックス60の上部とクロスメンバ8の左側下部とが支持装置11にて連結されており、車両右側においては、閉塞部材51の上部とクロスメンバ8の右側下部とかが支持装置12にて連結されており、これにより、クロスメンバ8の下部に上記駆動用モータ50が懸下されたものである。
【0027】
図3に示すように、クロスメンバ8の上部における車幅方向左側には、プレートまたはブラケットを介してインバータ10が載置固定されており、該インバータ10の上部にジャンクションボックス20が締結固定されている。
【0028】
また、同図に示すように、クロスメンバ8の上部における車幅方向右側には、プレートまたはブラケットを介して充電器30が載置固定されており、該充電器30の上部にDC-DCコンバータ40が配置固定されている。
【0029】
すなわち、複数の電気ユニットが、車幅方向に複数個配置されると共に、車幅方向左側においては、ジャンクションボックス20とインバータ10とが上下に重なる位置関係で配置されており、車幅方向右側においては、DC-DCコンバータ40と充電器30とが上下に重なる位置関係で配置されている。
【0030】
ここで、上述のインバータ10は、フロアパネル下部に配設された主バッテリ(図示せず)からの高電圧(例えば、300ボルト)の直流電流を3相交流に変換して、3相ケーブル31を介して駆動用モータ50(詳しくは、3相交流モータ)に供給するための高電圧部品であって、インバータ回路を有している。
【0031】
また、上述のジャンクションボックス20は、電線同士を結合、分岐、中継する際に用いる端子や端末を保護するための所謂接続箱であって、リレー回路を有している。このジャンクションボックス20におけるジャンクションボックス筐体の車両後面部には、図4に示すように、主バッテリ(図示せず)からの直流電力供給用の電力ケーブル32が接続されている。
【0032】
さらに、上述の充電器30は、外部電源から電力を入力して上記主バッテリを充電するもので、該充電器30と主バッテリとは電源ケーブルによって接続されており、また、該充電器30は充電回路を有する所謂普通充電器である 。
【0033】
さらにまた、上述のDC-DCコンバータ40は高電圧を車載機器駆動用の低電圧(例えば、直流12ボルト)に変換する変換機である。
【0034】
一方、上述の熱交換器80は、モータルーム1の前方に位置して平板状に形成されており、該熱交換器80は、ラジエータ本体81の車幅方向左右にサイドタンク82,83を有し、冷却水を外気で冷却するクロスフローラジエータいわゆる放熱器である。
【0035】
ところで、図4図5に示すように、ジャンクションボックス20のジャンクションボックス筐体には車両左側から見て逆L字状の保護カバー33をボルト締結により取付けており、この保護カバー33の上面部にデガスユニット90を取付けている。
【0036】
このデガスユニット90はエア抜きを行なう所謂デガスタンクであって、タンク本体91の上下方向中間部には、車幅方向左側へ突出する支持片92が一体的に設けられており、この支持片92を上述の保護カバー33の上面部にボルト締結にて取付けている。
【0037】
図3に示すように、上述のデガスユニット90は、ジャンクションボックス20上部の車幅方向左側で、かつ、DC-DCコンバータ40の斜め上方に位置している。つまり、該デガスユニット90は、インバータ10、ジャンクションボックス20、充電器30、DC-DCコンバータ40に対して、最も高い位置に配設されている。また、該デガスユニット90の内部は冷却水で満たされている。
【0038】
前述の冷却水配管Wは、図7に系統図で示すように、冷却が必要な電気ユニット(インバータ10、充電器30、DC-DCコンバータ40)を含んで、ポンプ70、駆動用モータ50、熱交換器80、デガスユニット90を直列に接続している。
【0039】
図7に示すように、上述の冷却水配管Wは、第1の配管W1、第2の配管W2、第3の配管W3、第4の配管W4、第5の配管W5、第6の配管W6、第7の配管W7を備えている。
【0040】
図1図6に示すように、第1の配管W1は、複数の電気ユニットのうち下側に位置する下層ユニットとしての充電器30と、この充電器30に対して略水平かつ車幅方向に隣り合う他の下層ユニットとしてのインバータ10とを接続している。
【0041】
図4に示すように、上述の充電器30の筐体背面部には、冷却水のアウトレット部30aとインレット部30bとが形成されており、図5に示すように、インバータ10筐体の車幅方向左側の側面部には、冷却水のアウトレット部10aとインレット部10bとが形成されており、上記第1の配管W1は充電器30のアウトレット部30aとインバータ10のインレット部10bとを接続するものである。
【0042】
第1の配管W1は、充電器30の筐体背面部から左右のユニット間を経由してジャンクションボックス20下部の前方に延びた後に、当該前方を車幅方向に延び、インバータ10の車幅方向左側の側面に至るよう配索されている。
【0043】
図1図6に示すように、第2の配管W2は、下層ユニットとしてのインバータ10と当該インバータ10に対して車幅方向斜め上に位置する上層ユニットとしてのDC-DCコンバータ40とを、車幅方向に緩やかに傾斜して延在して接続している。
【0044】
図1に示すように、上述のDC-DCコンバータ40筐体上面部には、冷却水のアウトレット部40aとインレット部40bとが形成されており、上記第2の配管W2はインバータ10のアウトレット部10a(図5参照)とDC-DCコンバータ40のインレット部40b(図1参照)とを接続するものである。
【0045】
第2の配管W2は、インバータ10の車幅方向左側の側面から緩やかに前上に傾斜してジャンクションボックス20の上下方向中間部前方に延びた後に、当該前方を車幅方向に延びてDC-DCコンバータ上面に至るよう配索されている。
【0046】
図1図6に示すように、第3の配管W3は上層ユニットとしてのDC-DCコンバータ40と該DC-DCコンバータ40の上側に配置されるデガスユニット90とを接続している。
【0047】
図3図4に示すように、デガスユニット90の下部には、冷却水のアウトレット部90aとインレット部90bとが形成されており、上記第3の配管W3はDC-DCコンバータ40のアウトレット部40aとデガスユニット90のインレット部90bとを接続するものである。
【0048】
第3の配管W3は、DC-DCコンバータ上面から一旦前方に延びた後に、車両後方側へ折返され、折返し部から車両前後方向の後方に延びてデガスタンク90に至るよう配索されている。
【0049】
図1図6に示すように、第4の配管W4は、クロスメンバ8の下部後方に位置するポンプ70(詳しくは、電動ポンプ)と駆動用モータ50とを接続している。
【0050】
図5に示すように、上述のポンプ70はその上部に冷却水のアウトレット部70aとインレット部70bとを有しており、図2図3に示すように、上述の駆動用モータ50はモータハウジング前部に冷却水のアウトレット部50aとインレット部50bとを有していて、上述の第4の配管W4はポンプ70のアウトレット部70aと駆動用モータ50のインレット部50bとを接続するものである。
【0051】
第4の配管W4は、ポンプ70から一旦下方に延びた後に、ギヤボックス60の車幅方向左側方を経由し、かつギヤボックス60の前方を車幅方向右側に延びて、駆動用モータ50に至るよう配索されている。
【0052】
図1図6に示すように、第5の配管W5は、駆動用モータ50と熱交換器80とを接続している。該熱交換器80の車両右側のサイドタンク83上下には、図2に示すように、冷却水のアウトレット部80aと、インレット部80bとが形成されており、第5の配管W5は、駆動用モータ50のアウトレット部50aと熱交換器80のインレット部80bとを接続するものである。
【0053】
第5の配管W5は、駆動用モータ50から当該駆動用モータ50および閉塞部材51の前方を車幅方向右側に延びた後に、車両前方へ延びて熱交換器80のサイドタンク83に至るよう配索されている。
【0054】
図4に示すように、上層ユニットとしてのDC-DCコンバータ40の斜め上方に位置するデガスユニット90と、クロスメンバ8下部に位置するポンプ70との間には、上下方向の落差が形成されており、冷却水配管Wの第6の配管W6は、上述のデガスユニット90とポンプとを接続している。つまり、該第6の配管W6はデガスユニット90のアウトレット部90a(図5参照)とポンプ70のインレット部70b(図5参照)とを接続したものである。
第6の配管W6は、デガスユニット90から下方に延びてポンプ70に至るよう配索されている。
【0055】
図1図6に示すように、第7の配管W7は、熱交換器80と下層ユニットとしての充電器30とを接続している。詳しくは、該第7の配管W7は、熱交換器80のアウトレット部80a(図2参照)と、充電器30のインレット部30b(図4参照)とを接続したものである。
第7の配管W7は、熱交換器80のサイドタンク83上部から車両前後方向の後方に延びた後に、充電器30の筐体背面部に至るよう配索されている。
【0056】
ここで、上述のインバータ10、充電器30、DC-DCコンバータ40の各筐体におけるアウトレット部10a,30a,40aとインレット部10b,30b,40bとは、それぞれ同じ面に形成されており、駆動用モータ50のアウトレット部50a、インレット部50bもモータハウジングの同一面に形成されている。
【0057】
要するに、図7に系統図で示すように、ポンプ70、駆動用モータ50、熱交換器80、充電器30、インバータ10、DC-DCコンバータ40、デガスユニット90を冷却水配管Wで接続した閉回路が形成されており、これら各要素を、ポンプ70、駆動用モータ50、熱交換器80、充電器30、インバータ10、DC-DCコンバータ40、デガスユニット90、ポンプ70の順に冷却水を流通させる冷却経路に構成している。
【0058】
また、上述のポンプ70はデガスユニット90と熱交換器80の下部との上下方向中間の高さ位置に配置されており、冷却水の圧力が高いうちにポンプ70で吐出した冷却水を、比較的抵抗が大きい熱交換器を通過させて、その後の流れが滞らないように構成している。
【0059】
なお、図5図6において、53はモータユニット52を支持する下部マウントブラケットである。また、図中、矢印Fは車両前方を示し、矢印Rは車両後方を示し、矢印UPは車両上方を示す。さらに、図1図6において冷却水配管W内を流れる冷却水の流通方向を矢印で示している。
【0060】
このように、上記実施例の電気駆動車両の冷却装置は、車室外に設けられたモータルーム1内に設置され、複数の電気ユニット(インバータ10、充電器30、DC-DCコンバータ40参照)と駆動用モータ50およびギヤボックス60が一体的に組まれてパワーユニット9とされており、各電気ユニットと駆動用モータ50の内部に冷却水を出し入れする冷却水配管Wと、冷却水を駆動するポンプ70と、冷却水を外気で冷却する熱交換器80を含んでなる電気駆動車両の冷却装置であって、上記複数の電気ユニットは、車幅方向に複数個配置されると共に上下に重なる位置関係で配置されており、冷却水配管Wは各電気ユニット(インバータ10、充電器30、DC-DCコンバータ40参照)を直列に接続しており、その第1の配管W1は、複数の電気ユニットのうち下側に位置する下層ユニット(充電器30)と、略水平かつ車幅方向に隣り合う他の下層ユニット(インバータ10)とを接続し、第2の配管W2は、当該下層ユニット(インバータ10)と上記他の下層ユニット(インバータ10)の車幅方向斜め上に位置する上層ユニット(DC-DCコンバータ40)とを車幅方向に緩やかに傾斜して延在して接続し、第3の配管W3は、当該上層ユニット(DC-DCコンバータ40)と上層ユニット(DC-DCコンバータ40)の上側に配置されるデガスユニット90とを接続するものである(図1図4参照)。
【0061】
この構成によれば、上述の冷却水配管W、特に、第2の配管W2が、下層ユニット(インバータ10)と他の下層ユニット(インバータ10)の車幅方向斜め上に位置する上層ユニット(DC-DCコンバータ40)のとを車幅方向に緩やかに傾斜して延在して接続しており、第3の配管W3で、上層ユニット(DC-DCコンバータ40)とその上側に配置されるデガスユニット90とを接続しているので、電気ユニットである下層ユニット(充電器30、インバータ10)および上層ユニット(DC-DCコンバータ40)の内部エアを速やかにデガスユニット90に導き、当該デガスユニット90にて内部エアを取り除くことができる。
【0062】
この発明の一実施形態においては、上記モータルーム1内には車幅方向に延びるパワーユニット用のクロスメンバ8が設けられ、該クロスメンバ8の下部には上記駆動用モータ50が懸下されると共に、上記ポンプ70が設けられており、上記モータルーム1前方には平板状の上記熱交換器80が配置され、冷却水配管Wの第4の配管W4は、上記ポンプ70と上記駆動用モータ50とを接続し、第5の配管W5は、上記駆動用モータ50と上記熱交換器80とを接続したものである(図1図4参照)。
【0063】
この構成によれば、第4の配管W4および第5の配管W5にて、ポンプ70、駆動用モータ50、熱交換器80が直列に連絡されると共に、第1の配管W1により車幅方向に隣り合う下層ユニット(充電器30、インバータ10)間を略水平かつ車幅方向に接続した後に、第2の配管W2にて当該下層ユニット(インバータ10)と他の下層ユニット(インバータ10)の車幅方向斜め上に位置する上層ユニット(DC-DCコンバータ40)とが緩やかに傾斜して延在して接続され、さらに、第3の配管W3にて上層ユニット(DC-DCコンバータ40)とデガスユニット90とが接続されている。
【0064】
すなわち、ポンプ70、駆動用モータ50、熱交換器80、隣接する各下層ユニット(充電器30、インバータ10)、上層ユニット(DC-DCコンバータ40)、デガスユニット90の全てが直列に接続されているので、各要素を並列に接続する構成に対して、冷却水配管Wを半減させることができる。
【0065】
なお、上述の並列に接続する構成とは、ポンプから駆動用モータに冷却水を導き、該駆動用モータから冷却水をポンプに還流させる系統と、ポンプからインバータ、DC-DCコンバータ、充電器等の電気ユニットに冷却水を導き、該電気ユニットから冷却水をポンプに還流させる系統との合計2系統を有し、これらを並列接続した構造を意味する。
【0066】
この発明の一実施形態においては、上記上層ユニット(DC-DCコンバータ40)の斜め上方に位置する上記デガスユニット90と、上記クロスメンバ8下部に位置する上記ポンプ70との間には、上下方向の落差が形成されており、冷却水配管Wの第6の配管W6は、上記デガスユニット90と上記ポンプ70とを接続したものである。(図4参照)。
【0067】
この構成によれば、デガスユニット90とポンプ70との間に落差を形成し、デガスユニット90から大きく降下した位置にポンプ70を配置したので、落差に相当する水頭が確保でき、もし、デガスユニット90にエアバブルが短時間に集中的に流入する状況が生じても、これにより、ポンプ70へのエア侵入によるキャビテーションに起因して、ポンプ停止に至るエアの吸込みを阻止することができる。
【0068】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明の電気ユニットは、実施例のインバータ10、充電器30、DC-DCコンバータ40に対応し、
以下同様に、
下層ユニットは、インバータ10、充電器30に対応し、
上層ユニットは、DC-DCコンバータ40に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
例えば、上記実施例においては、熱交換器としてクロスフロー方式のラジエータを例示したが、これはダウンフロー方式のラジエータであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0069】
以上説明したように、本発明は、車室外に設けられたモータルーム内に設置され、複数の電気ユニットと駆動用モータおよびギヤボックスが一体的に組まれてパワーユニットとされており、各電気ユニットと駆動用モータの内部に冷却水を出し入れする冷却配管と、冷却水を駆動するポンプと、冷却水を外気で冷却する熱交換器を含んでなる電気駆動車両の冷却装置について有用である。
【符号の説明】
【0070】
1…モータルーム
8…クロスメンバ
9…パワーユニット
10…インバータ(電気ユニット、下層ユニット)
30…充電器(電気ユニット、下層ユニット)
40…DC-DCコンバータ(電気ユニット、上層ユニット)
50…駆動用モータ
60…ギヤボックス
70…ポンプ
80…熱交換器
90…デガスユニット
W…冷却水配管
W1…第1の配管
W2…第2の配管
W3…第3の配管
W4…第4の配管
W5…第5の配管
W6…第6の配管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7