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特許7003750タイヤ形状算出方法、タイヤ形状算出装置及び過積載検出システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-06
(45)【発行日】2022-01-21
(54)【発明の名称】タイヤ形状算出方法、タイヤ形状算出装置及び過積載検出システム
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/16 20060101AFI20220114BHJP
   B60C 19/00 20060101ALI20220114BHJP
【FI】
G01B11/16 H
B60C19/00 H
【請求項の数】 29
(21)【出願番号】P 2018043814
(22)【出願日】2018-03-12
(65)【公開番号】P2019158489
(43)【公開日】2019-09-19
【審査請求日】2020-12-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】船渡 美沙紀
(72)【発明者】
【氏名】加世田 匠
【審査官】櫻井 仁
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-272907(JP,A)
【文献】国際公開第2017/187164(WO,A1)
【文献】特開2010-181270(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
B60C 19/00-19/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤの正面画像を用いたタイヤ形状算出方法であって、
前記正面画像から、接地に伴う変形を伴わないタイヤ径に応じた基準値と、前記タイヤの変形に応じた変形値とを直接同定するのに必要な前記タイヤの特徴点のうち特定可能なものの位置を特定する特定ステップ、
前記特定ステップで特定可能ではない未特定特徴点、又は当該未特定特徴点を用いて同定される前記基準値若しくは前記変形値を推定する推定ステップ、
を含むことを特徴とするタイヤ形状算出方法。
【請求項2】
前記推定ステップでは、特定されている前記特徴点から前記推定が不可能な場合には、前記未特定特徴点に応じた他点の位置を補完的に特定して、前記未特定特徴点又は当該未特定特徴点に係る前記基準値若しくは前記変形値を推定することを特徴とする請求項1記載のタイヤ形状算出方法。
【請求項3】
前記特徴点には、前記タイヤの側面外縁のうち接地部分である接地線の両端点が含まれ、
前記推定ステップでは、前記両端点の少なくともいずれかが前記未特定特徴点である場合には、前記側面外縁のうち接地していない円弧部分を含む外径円と前記接地線を含む直線との交点から前記未特定特徴点を推定する
ことを特徴とする請求項1又は2記載のタイヤ形状算出方法。
【請求項4】
前記推定ステップでは、前記両端点のいずれもが前記未特定特徴点に含まれる場合には、前記接地線上の他点の位置を補完的に特定して前記接地線を同定することを特徴とする請求項3記載のタイヤ形状算出方法。
【請求項5】
前記推定ステップでは、前記両端点のうちいずれか一方の端点を特定可能な場合には、前記一方の端点を含む前記円弧部分で特定された3点以上の特定点より前記外径円を同定することを特徴とする請求項3記載のタイヤ形状算出方法。
【請求項6】
前記特徴点には、前記タイヤの側面外縁上で当該タイヤの直径をなす2点が含まれ、
前記推定ステップでは、当該2点のうち少なくともいずれか1点が前記未特定特徴点に含まれる場合には、前記円弧部分で特定された特定点が3点以上となるように他点の位置を補完的に特定して前記外径円を同定する
ことを特徴とする請求項3~5のいずれか一項に記載のタイヤ形状算出方法。
【請求項7】
前記特徴点には、前記両端点と、当該両端点のいずれかと前記タイヤの直径をなす前記円弧部分の点1点とが含まれることを特徴とする請求項3~6のいずれか一項に記載のタイヤ形状算出方法。
【請求項8】
前記特徴点には、前記タイヤの側面外縁のうち接地部分である接地線の中点である接地中点が含まれ、
前記推定ステップでは、前記接地中点が前記未特定特徴点に含まれる場合には、前記タイヤの回転軸位置を通り前記接地線に垂直な垂直線と前記接地線との交点から前記接地中点を推定する
ことを特徴とする請求項1又は2記載のタイヤ形状算出方法。
【請求項9】
前記特徴点には、前記タイヤの側面外縁上で前記接地線から最も離れた上端点が含まれ、
前記垂直線には、前記上端点を通り前記接地線に垂直な線を含む
ことを特徴とする請求項8記載のタイヤ形状算出方法。
【請求項10】
前記推定ステップでは、前記上端点が前記未特定特徴点に含まれる場合には、前記側面外縁のうち接地していない円弧部分を含む外径円を同定し、当該外径円において前記接地線から最も離れた点を前記上端点として推定する
ことを特徴とする請求項9記載のタイヤ形状算出方法。
【請求項11】
前記推定ステップでは、前記上端点が前記未特定特徴点に含まれる場合には、前記側面外縁のうち接地していない円弧部分を含む外径円を同定し、当該外径円の中心を通る垂直線と当該外径円との交点を前記上端点として推定する
ことを特徴とする請求項9記載のタイヤ形状算出方法。
【請求項12】
前記特徴点には、前記側面外縁上で当該タイヤの直径をなす2点が含まれ、
前記推定ステップでは、当該2点のうち少なくともいずれか1点が前記未特定特徴点に含まれる場合には、前記側面外縁のうち接地していない円弧部分で特定された特定点が3点以上となるように他点の位置を補完的に特定して、当該円弧部分を含む外径円を同定する
ることを特徴とする請求項8~11のいずれか一項に記載のタイヤ形状算出方法。
【請求項13】
前記推定ステップでは、前記円弧部分で特定された3点以上の特定点により前記外径円を同定することを特徴とする請求項10又は11記載のタイヤ形状算出方法。
【請求項14】
前記推定ステップでは、前記円弧部分の3点以上が前記特定ステップで特定されていない場合には、前記円弧部分で特定された特定点が3点以上となるように他点の位置を補完的に特定して前記外径円を同定することを特徴とする請求項12記載のタイヤ形状算出方法。
【請求項15】
前記推定ステップでは、前記上端点が前記未特定特徴点に含まれる場合には、前記回転軸位置と、前記側面外縁のうち接地していない円弧部分の1点とに基づいて前記上端点を推定することを特徴とする請求項9記載のタイヤ形状算出方法。
【請求項16】
前記特徴点には、前記タイヤの回転軸位置と前記タイヤの側面外縁のうち接地していない円弧部分における1点とが含まれることを特徴とする請求項2又は8記載のタイヤ形状算出方法。
【請求項17】
前記推定ステップでは、前記回転軸位置が前記未特定特徴点に含まれる場合には、前記円弧部分で同定された3点以上の特定点により当該円弧部分を含む外径円を同定し、当該外径円の中心位置から前記回転軸位置を推定する
ことを特徴とする請求項16記載のタイヤ形状算出方法。
【請求項18】
前記推定ステップでは、前記回転軸位置が前記未特定特徴点に含まれ、かつ前記円弧部分の3点以上が前記特定ステップで特定されていない場合には、該円弧部分で特定された特定点が3点以上となるように他点の位置を補完的に特定することを特徴とする請求項17記載のタイヤ形状算出方法。
【請求項19】
前記推定ステップでは、前記回転軸位置が前記未特定特徴点に含まれ、かつ当該回転軸位置に対する相対方向が定められている1点が特定されている場合には、当該1点と、前記円弧部分における1点とに基づいて前記回転軸位置を推定することを特徴とする請求項16記載のタイヤ形状算出方法。
【請求項20】
前記特徴点には、前記タイヤの側面外縁上で当該タイヤの直径をなす2点が含まれ、
前記特定ステップで当該直径をなす2点を特定可能ではない場合には、前記推定ステップでは、前記タイヤの回転軸位置と前記タイヤの側面外縁のうち接地していない円弧部分における1点とに基づいて、当該1点との間で前記タイヤの直径をなす点を推定する
ことを特徴とする請求項2又は3記載のタイヤ形状算出方法。
【請求項21】
前記推定ステップでは、前記特定ステップで前記直径をなす2点を特定可能でなく、かつ前記回転軸位置が特定可能ではない場合には、前記円弧部分で特定された特定点が3点以上となるように他点の位置を補完的に特定して、当該特定点により前記円弧部分を含む外径円を同定することで、前記回転軸位置を推定することを特徴とする請求項20記載のタイヤ形状算出方法。
【請求項22】
前記推定ステップで前記円弧部分で前記特定点を補完的に特定する場合には、当該補完的な特定点の位置が他の特定点に対して所定角度以上離れた点となるように前記円弧部分における位置を定める
ことを特徴とする請求項6、12、14、18、21のいずれか一項に記載のタイヤ形状算出方法。
【請求項23】
前記推定ステップでは、前記基準値及び前記変形値の算出にそれぞれ必要な数より多い点が特定されている場合には、当該特定されている点について尤もらしい前記基準値及び前記変形値を算出することを特徴とする請求項1~22のいずれか一項に記載のタイヤ形状算出方法。
【請求項24】
前記推定ステップで前記基準値及び前記変形値のうち少なくとも一方が算出できなかった場合に、所定の報知動作を行う報知ステップを含むことを特徴とする請求項1~23のいずれか一項に記載のタイヤ形状算出方法。
【請求項25】
前記所定の報知動作には、所定の表示画面に対する表示動作を含むことを特徴とする請求項24記載のタイヤ形状算出方法。
【請求項26】
前記推定ステップで前記基準値及び前記変形値のうち少なくとも一方が算出できなかった場合に、所定の内容を記録するエラー記録ステップを含むことを特徴とする請求項1~25のいずれか一項に記載のタイヤ形状算出方法。
【請求項27】
前記タイヤに係る複数の正面画像を重ねた多重画像を生成する多重画像生成ステップを含み、
前記特定ステップでは、前記多重画像を用いて前記特徴点のうち特定可能なものの位置を特定する
ことを特徴とする請求項1~26のいずれか一項に記載のタイヤ形状算出方法。
【請求項28】
タイヤの正面画像から、接地に伴う変形を伴わないタイヤ径に応じた基準値と、前記タイヤの変形に応じた変形値とを直接同定するのに必要な前記タイヤの特徴点のうち特定可能なものの位置を特定する特定手段と、
前記特定手段で特定可能ではない未特定特徴点、又は当該未特定特徴点を用いて同定される前記基準値若しくは前記変形値を推定する推定手段と、
を備えることを特徴とするタイヤ形状算出装置。
【請求項29】
請求項28記載のタイヤ形状算出装置と、
前記タイヤの正面画像に係る画像の撮影を行う撮影装置と、
を備えることを特徴とする過積載検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、タイヤ形状算出方法、タイヤ形状算出装置及び過積載検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トラックなどの貨物車両による過積載を検出するシステムがある。車両に規定された積載重量を超過した過積載車両の走行は、安全や道路の保全などにとって好ましくなく、各所で監視が行われている。
【0003】
従来の監視システムとしては、道路に重量計を埋め込んで実際に車両の重量を計測する技術が知られている。しかしながら、この監視システムでは、車両に一時停止を強いることから通行の流れを阻害し、手間がかかる。また、車両が通行する路面に設けられるので、重量計測に係る構成のメンテナンス時には通行止めにする必要があるなどの問題がある。これに対し、特許文献1では、通行車両のタイヤを撮影し、その変形量を算出することで過積載を検出する技術が提案されている。変形量としては、ここでは、タイヤが路面に接して水平になっている部分の長さとタイヤ径(直径)との比が挙げられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平10-272907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、車両は屋外を走行することから、しばしばタイヤに泥などの付着物が生じる。また、降雨時や降雪時などには、はねた水しぶきや降雪などが撮影装置の視界を妨げる。これらにより、タイヤの変形量を特徴付ける特定位置が正確に撮影画像から特定できない場合があり、検出動作の継続性や正確性が低下するという課題がある。
【0006】
この発明の目的は、より継続的かつより正確に車両のタイヤ形状を得ることのできるタイヤ形状算出方法、タイヤ形状算出装置及び過積載検出システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、
タイヤの正面画像を用いたタイヤ形状算出方法であって、
前記正面画像から、接地に伴う変形を伴わないタイヤ径に応じた基準値と、前記タイヤの変形に応じた変形値とを直接同定するのに必要な前記タイヤの特徴点のうち特定可能なものの位置を特定する特定ステップ、
前記特定ステップで特定可能ではない未特定特徴点、又は当該未特定特徴点を用いて同定される前記基準値若しくは前記変形値を推定する推定ステップ、
を含むことを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のタイヤ形状算出方法において、
前記推定ステップでは、特定されている前記特徴点から前記推定が不可能な場合には、前記未特定特徴点に応じた他点の位置を補完的に特定して、前記未特定特徴点又は当該未特定特徴点に係る前記基準値若しくは前記変形値を推定することを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載のタイヤ形状算出方法において、
前記特徴点には、前記タイヤの側面外縁のうち接地部分である接地線の両端点が含まれ、
前記推定ステップでは、前記両端点の少なくともいずれかが前記未特定特徴点である場合には、前記側面外縁のうち接地していない円弧部分を含む外径円と前記接地線を含む直線との交点から前記未特定特徴点を推定する
ことを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項3記載のタイヤ形状算出方法において、
前記推定ステップでは、前記両端点のいずれもが前記未特定特徴点に含まれる場合には、前記接地線上の他点の位置を補完的に特定して前記接地線を同定することを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項3記載のタイヤ形状算出方法において、
前記推定ステップでは、前記両端点のうちいずれか一方の端点を特定可能な場合には、前記一方の端点を含む前記円弧部分で特定された3点以上の特定点より前記外径円を同定することを特徴とする。
【0012】
請求項6記載の発明は、請求項3~5のいずれか一項に記載のタイヤ形状算出方法において、
前記特徴点には、前記タイヤの側面外縁上で当該タイヤの直径をなす2点が含まれ、
前記推定ステップでは、当該2点のうち少なくともいずれか1点が前記未特定特徴点に含まれる場合には、前記円弧部分で特定された特定点が3点以上となるように他点の位置を補完的に特定して前記外径円を同定する
ことを特徴とする。
【0013】
請求項7記載の発明は、請求項3~6のいずれか一項に記載のタイヤ形状算出方法において、
前記特徴点には、前記両端点と、当該両端点のいずれかと前記タイヤの直径をなす前記円弧部分の点1点とが含まれることを特徴とする。
【0014】
請求項8記載の発明は、請求項1又は2記載のタイヤ形状算出方法において、
前記特徴点には、前記タイヤの側面外縁のうち接地部分である接地線の中点である接地中点が含まれ、
前記推定ステップでは、前記接地中点が前記未特定特徴点に含まれる場合には、前記タイヤの回転軸位置を通り前記接地線に垂直な垂直線と前記接地線との交点から前記接地中点を推定する
ことを特徴とする。
【0015】
請求項9記載の発明は、請求項8記載のタイヤ形状算出方法において、
前記特徴点には、前記タイヤの側面外縁上で前記接地線から最も離れた上端点が含まれ、
前記垂直線には、前記上端点を通り前記接地線に垂直な線を含む
ことを特徴とする。
【0016】
請求項10記載の発明は、請求項9記載のタイヤ形状算出方法において、
前記推定ステップでは、前記上端点が前記未特定特徴点に含まれる場合には、前記側面外縁のうち接地していない円弧部分を含む外径円を同定し、当該外径円において前記接地線から最も離れた点を前記上端点として推定する
ことを特徴とする。
【0017】
請求項11記載の発明は、請求項9記載のタイヤ形状算出方法において、
前記推定ステップでは、前記上端点が前記未特定特徴点に含まれる場合には、前記側面外縁のうち接地していない円弧部分を含む外径円を同定し、当該外径円の中心を通る垂直線と当該外径円との交点を前記上端点として推定する
ことを特徴とする。
【0018】
請求項12記載の発明は、請求項8~11のいずれか一項に記載のタイヤ形状算出方法において、
前記特徴点には、前記側面外縁上で当該タイヤの直径をなす2点が含まれ、
前記推定ステップでは、当該2点のうち少なくともいずれか1点が前記未特定特徴点に含まれる場合には、前記側面外縁のうち接地していない円弧部分で特定された特定点が3点以上となるように他点の位置を補完的に特定して、当該円弧部分を含む外径円を同定する
ることを特徴とする。
【0019】
請求項13記載の発明は、請求項10又は11記載のタイヤ形状算出方法において、
前記推定ステップでは、前記円弧部分で特定された3点以上の特定点により前記外径円を同定することを特徴とする。
【0020】
請求項14記載の発明は、請求項12記載のタイヤ形状算出方法において、
前記推定ステップでは、前記円弧部分の3点以上が前記特定ステップで特定されていない場合には、前記円弧部分で特定された特定点が3点以上となるように他点の位置を補完的に特定して前記外径円を同定することを特徴とする。
【0021】
請求項15記載の発明は、請求項9記載のタイヤ形状算出方法において、
前記推定ステップでは、前記上端点が前記未特定特徴点に含まれる場合には、前記回転軸位置と、前記側面外縁のうち接地していない円弧部分の1点とに基づいて前記上端点を推定することを特徴とする。
【0022】
請求項16記載の発明は、請求項2又は8記載のタイヤ形状算出方法において、
前記特徴点には、前記タイヤの回転軸位置と前記タイヤの側面外縁のうち接地していない円弧部分における1点とが含まれることを特徴とする。
【0023】
請求項17記載の発明は、請求項16記載のタイヤ形状算出方法において、
前記推定ステップでは、前記回転軸位置が前記未特定特徴点に含まれる場合には、前記円弧部分で同定された3点以上の特定点により当該円弧部分を含む外径円を同定し、当該外径円の中心位置から前記回転軸位置を推定する
ことを特徴とする。
【0024】
請求項18記載の発明は、請求項17記載のタイヤ形状算出方法において、
前記推定ステップでは、前記回転軸位置が前記未特定特徴点に含まれ、かつ前記円弧部分の3点以上が前記特定ステップで特定されていない場合には、該円弧部分で特定された特定点が3点以上となるように他点の位置を補完的に特定することを特徴とする。
【0025】
請求項19記載の発明は、請求項16記載のタイヤ形状算出方法において、
前記推定ステップでは、前記回転軸位置が前記未特定特徴点に含まれ、かつ当該回転軸位置に対する相対方向が定められている1点が特定されている場合には、当該1点と、前記円弧部分における1点とに基づいて前記回転軸位置を推定することを特徴とする。
【0026】
請求項20記載の発明は、請求項2又は3記載のタイヤ形状算出方法において、
前記特徴点には、前記タイヤの側面外縁上で当該タイヤの直径をなす2点が含まれ、
前記特定ステップで当該直径をなす2点を特定可能ではない場合には、前記推定ステップでは、前記タイヤの回転軸位置と前記タイヤの側面外縁のうち接地していない円弧部分における1点とに基づいて、当該1点との間で前記タイヤの直径をなす点を推定する
ことを特徴とする。
【0027】
請求項21記載の発明は、請求項20記載のタイヤ形状算出方法において、
前記推定ステップでは、前記特定ステップで前記直径をなす2点を特定可能でなく、かつ前記回転軸位置が特定可能ではない場合には、前記円弧部分で特定された特定点が3点以上となるように他点の位置を補完的に特定して、当該特定点により前記円弧部分を含む外径円を同定することで、前記回転軸位置を推定することを特徴とする。
【0028】
請求項22記載の発明は、請求項6、12、14、18、21のいずれか一項に記載のタイヤ形状算出方法において、
前記推定ステップで前記円弧部分で前記特定点を補完的に特定する場合には、当該補完的な特定点の位置が他の特定点に対して所定角度以上離れた点となるように前記円弧部分における位置を定める
ことを特徴とする。
【0029】
請求項23記載の請求項1~22のいずれか一項に記載のタイヤ形状算出方法において、
前記推定ステップでは、前記基準値及び前記変形値の算出にそれぞれ必要な数より多い点が特定されている場合には、当該特定されている点について尤もらしい前記基準値及び前記変形値を算出することを特徴とする。
【0030】
請求項24記載の発明は、請求項1~23のいずれか一項に記載のタイヤ形状算出方法において、
前記推定ステップで前記基準値及び前記変形値のうち少なくとも一方が算出できなかった場合に、所定の報知動作を行う報知ステップを含むことを特徴とする。
【0031】
請求項25記載の発明は、請求項24記載のタイヤ形状算出方法において、
前記所定の報知動作には、所定の表示画面に対する表示動作を含むことを特徴とする。
【0032】
請求項26記載の発明は、請求項1~25のいずれか一項に記載のタイヤ形状算出方法において、
前記推定ステップで前記基準値及び前記変形値のうち少なくとも一方が算出できなかった場合に、所定の内容を記録するエラー記録ステップを含むことを特徴とする。
【0033】
請求項27記載の発明は、請求項1~26のいずれか一項に記載のタイヤ形状算出方法において、
前記タイヤに係る複数の正面画像を重ねた多重画像を生成する多重画像生成ステップを含み、
前記特定ステップでは、前記多重画像を用いて前記特徴点のうち特定可能なものの位置を特定する
ことを特徴とする。
【0034】
請求項28記載の発明は、
タイヤの正面画像から、接地に伴う変形を伴わないタイヤ径に応じた基準値と、前記タイヤの変形に応じた変形値とを直接同定するのに必要な前記タイヤの特徴点のうち特定可能なものの位置を特定する特定手段と、
前記特定手段で特定可能ではない未特定特徴点、又は当該未特定特徴点を用いて同定される前記基準値若しくは前記変形値を推定する推定手段と、
を備えることを特徴とするタイヤ形状算出装置である。
【0035】
請求項29記載の発明は、
請求項28記載のタイヤ形状算出装置と、
前記タイヤの正面画像に係る画像の撮影を行う撮影装置と、
を備えることを特徴とする過積載検出システムである。
【発明の効果】
【0036】
本発明に従うと、より継続的かつより正確に車両のタイヤ形状を得ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本実施形態の過積載検出システムの全体構成を示す模式図である。
図2】過積載検出システムの機能構成を示すブロック図である。
図3】タイヤの変形量に係る計測値について説明する図である。
図4】変形量に係るパラメーターの取得について説明する図である。
図5】変形量に係るパラメーターの取得について説明する図である。
図6】タイヤ変形量算出処理の制御手順を示すフローチャートである。
図7】特徴点の特定が困難な場合の補完例について説明する図である。
図8】特定困難な特徴量と補完特定の内容との関係を示す図表である。
図9】補完特定処理の制御手順を示すフローチャートである。
図10】特徴点の特定が困難な場合の他の補完例を説明する図である。
図11】特定困難な特徴量と補完特定の内容との関係を示す図表である。
図12】補完特定処理の制御手順を示すフローチャートの他の例である。
図13】特徴点の特定が困難な場合の他の補完例を説明する図である。
図14】特定困難な特徴量と補完特定の内容との関係を示す図表である。
図15】補完特定処理の制御手順を示すフローチャートの他の例である。
図16】撮影画像における特徴量の特定困難に係る要因を説明する図である。
図17】タイヤ変形量算出処理の変形例を示す図である。
図18】補完特定処理の変形例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態の過積載検出システム1の全体構成を示す模式図である。この過積載検出システム1は、撮影装置10と、タイヤ形状算出装置としての処理装置20とを含む。
【0039】
撮影装置10としては、二次元面内で動画撮影を行う装置又は静止画を所定の時間間隔で連続撮影を行うものが挙げられる。撮影装置10における撮影画像は、デジタル撮像である。撮影装置10は、撮影により生成されたデジタル画像データを出力して処理装置20に送る。
【0040】
処理装置20は、撮影装置10から送られたデジタル画像データを解析してタイヤ変形量(タイヤ形状)を算出し、算出されたタイヤ変形量に基づいて積載重量の規定値超過(過積載)有無に係る判定を行う。
【0041】
図2は、過積載検出システム1の機能構成を示すブロック図である。
【0042】
撮影装置10は、撮影部11と、制御部12と、記憶部13と、通信部14などを備える。
撮影部11は、外部から入力された可視光を各画素位置に導く光学装置と、各画素位置でRGB各色の光量を検出する検出部などを備える。検出部は、ここでは、各画素位置の画素値(例えば、RGB各色の光量(輝度値))が取得可能に撮像面上に撮像素子が二次元配列されて、二次元撮影画像データを取得する。制御部12は、撮影部11の撮影タイミングを制御し、撮影部11の動作により得られた光量(輝度値)データは、所定の順番で記憶部13に出力される。制御部12は、適切なタイミングで通信部14を介して記憶部13に一時記憶された画像データを処理装置20に出力する。
【0043】
処理装置20は、演算処理を行うコンピューターであり、制御部21と、記憶部22と、通信部23と、報知動作部24などを備える。
【0044】
制御部21は、処理装置20の動作を統括制御するプロセッサーである。制御部21は、各種演算処理を行うCPU211(Central Processing Unit)と、CPU211に作業用のメモリー空間を提供し、一時データを記憶するRAM212(Random Access Memory)などを備える。
【0045】
記憶部22は、各種プログラム、設定データ、記録画像データやその解析結果などを記憶する。記憶部22としては、読み書き更新可能なフラッシュメモリーなどの不揮発性メモリー、及びHDD(Hard Disk Drive)などが用いられ得る。また、プログラムや初期設定データなどは、マスクROMなどに記憶されていてもよい。
【0046】
プログラムには、撮影装置10から送られた画像データの解析処理プログラムが含まれる。制御部21のCPU211は、記憶部22からプログラムや設定データを読み出してRAM212に記憶させ、プログラムを実行する。設定データには、積載量換算テーブル221と、タイヤ変形量算出設定222と、エラー情報223などが含まれる。
【0047】
積載量換算テーブル221は、処理装置20により算出されたタイヤの変形量(荷重変形量)に係るパラメーターを積載重量に換算するためのテーブルデータ(荷重変形量と車両の積載重量との対応関係)である。このテーブルは、一種類に限られず、タイヤのサイズ、種別や車両の種別などに応じて各々別個に保持されていてよい。ここでいう荷重には、積荷の重量だけではなく、荷台を含む車体重量が含まれる。
【0048】
タイヤ変形量算出設定222は、タイヤ変形量(タイヤ形状)の算出時に用いる各処理に係る設定を記憶する。タイヤ変形量算出設定222には、例えば、画像内のノイズ低減やコントラスト増加のための画像処理に係るパラメーターや、タイヤ外縁の検出時における検出基準値の設定などが含まれ得る。
【0049】
エラー情報223は、タイヤ変形量の算出時に算出エラー、すなわち、算出に失敗した場合の情報(履歴)を記憶する。記憶情報には、エラーの発生日時や発生内容、発生理由などが含まれ得る。
【0050】
通信部23は、外部装置と通信を行うための制御を行う。通信部23は、例えば、ネットワークカードであり、撮影装置10から画像データを受信し、制御部21による画像データの解析結果に応じた信号を外部装置に出力する。出力先の外部装置としては、例えば、過積載の車両の運転手に対して報知動作を行う報知装置、過積載の車両の通行を遮断する遮断機の動作制御装置や、過積載の車両の監視員による監視装置などが挙げられる。
【0051】
報知動作部24は、制御部21の制御に基づいて処理装置20のユーザーや監視員に対して所定の報知動作を行う。報知動作部24が実行する報知動作としては、例えば、所定の表示画面に対する表示動作や、ビープ音の発生動作など、及びこれら複数の組み合わせが挙げられる。
【0052】
次に、本実施形態の処理装置20によるタイヤ変形量(タイヤ形状)の算出動作について説明する。
処理装置20では、撮影装置10から受信した画像データからタイヤを検出し、その接地に係る変形量を算出する。
【0053】
図3は、タイヤの変形量に係る計測値について説明する図である。
タイヤTは、車輪のホイールのリムRに取り付けられている。タイヤTは、正確には、表面に凹部構造などを有するが、ここでは、当該タイヤTの正面画像からこれらを無視したタイヤの外縁Ts(側面外縁)が検出、特定されるものとして説明する。また、ここでは、水平方向をx軸方向、垂直方向をy軸方向とし、路面、すなわちタイヤの接地面は略水平、すなわち、x軸方向に沿って延びている。なお、特には限られないが、以降では、解析対象とされる画像は、矩形状の領域を有し、縦方向及び横方向がそれぞれy軸方向及びx軸方向に沿っているものとして説明する。
【0054】
タイヤの外縁Tsは、車両の重みなどによって圧縮幅dLy垂直方向に圧縮され、当該外縁Tsのうち接地部分が路面に沿って面状に平らに(正面画像では直線状の接地線が)延びる形で変形する。接地線の両端点間の接地幅Lcxは、タイヤの空気圧や材質、構造が一定であれば、重量(積載重量)が大きくなるほど長くなる。これに伴って、タイヤの変形がない場合の本来の中心位置であり、回転軸の位置である軸位置OR(回転軸位置)から接地面までの接地距離Lcyや、タイヤの縦幅L2cyも短くなる。すなわち、タイヤ形状は、底面が接地幅Lcxにわたって直線形状となる接地線と、接地せずに変形が生じない円弧部分との組み合わせになる。したがって、接地部分を示すパラメーター(変形値)と円弧部分を示すパラメーター(基準値)とが得られれば、タイヤ形状が特定される。
【0055】
これらの変形により変化する値(変形に応じた変形値)の絶対値は、積載重量だけではなく、タイヤ径(直径)にも依存する。したがって、積載重量の判断には、通常では、元の(変形を伴わない)タイヤ径L2tやタイヤ半径Ltを基準値(タイヤ径に応じた基準値)として、当該基準値と変形値との比などが特性値として用いられる。すなわち、積載重量の判断には、変形値と基準値の2つのパラメーターの特定が必要となる。
【0056】
図4及び図5は、変形量に係るパラメーターの取得について説明する図である。
図4(a)に示すように、タイヤ変形量(タイヤ形状)に係るパラメーターとして、タイヤ径L2t(基準値)及びタイヤTの外縁Tsの接地幅Lcx(変形値)を取得する場合、これらを直接同定するのに必要な点(特徴点)として、タイヤ径(直径)の両端である(直径をなす)2つの点Pr1、Pr2及び接地幅Lcxの両端である2つの接地端点Pc1、Pc2(両端点)の位置が特定、取得される。直接同定とは、外縁Tsのうち接地しておらず変形のない円弧部分で直径をなす2点Pr1、Pr2の直線距離がタイヤ径(直径)であり、2つの接地端点Pc1、Pc2の間の直線距離が接地幅Lcxである、というように、他の情報を要さずに特定された位置だけで所望の基準値及び接地幅が求められる点であることをいう。
【0057】
平面上で撮影されたタイヤであれば、接地端点Pc1、Pc2は、水平方向に並んで位置し、x軸方向についての位置のみが異なる。点Pr1、Pr2の位置関係は、タイヤ中心位置を挟んで直径をなしていれば、当該直径方向は限られないが、接地端点Pc1、Pc2と同様に、水平方向に並んで定められることで、タイヤ径L2tの算出(x座標の差分のみ)が容易となる。タイヤの軸位置ORの位置が特定されない場合、接地端点Pc1、Pc2は、タイヤの外縁Tsが円弧となる部分と直線となる部分の境界として特定され、点Pr1、Pr2は、タイヤの外縁Tsのx座標が極小(最小)の位置及び極大(最大)の位置として取得され得る。
【0058】
また、図4(b)に示すように、接地端点Pc1、Pc2は、タイヤの外縁Tsの円弧部分(円弧上)の位置でもあるので、接地端点Pc1は、接地線の一端の点と直径をなす点の両方を兼用する特徴点として用いることができる。ここでは、接地端点Pc1と直径をなす円弧上の点Pr3が特徴点として取得される。これによりタイヤの外縁Ts上の3点が特定されることで、タイヤ形状(基準値及び変形値)が算出され、タイヤ変形量に係る特性値が得られる。この場合、接地端点Pc1から外縁Tsの円弧上における最も遠い点が点Pr3となる。したがって、点Pr3の特定には、接地端点Pc1の特定が先に必要となる。
【0059】
一方、タイヤの軸位置ORが特定可能な場合には、図4(c)に示すように、当該タイヤの軸位置ORとタイヤの外縁Tsの円弧上の一点との2点が特徴点として特定されれば、タイヤ半径Ltが特定される。このタイヤ半径Ltの2倍がタイヤ径L2tである。また、特定されている円弧上の位置の軸位置ORに対する対象位置が直径をなすもう一点となる。ここでは、特定されている円弧上の一点として、点Pr2を例示している。点Pr2とタイヤの軸位置ORとは、y軸方向についての位置が等しいので、x軸についての位置(座標)の差分がタイヤ半径Ltとなる。あるいは、点Pr2の代わりに円弧の上端点Pr4(図5参照)などを特定することで、y軸方向についての位置(座標)の差分のみでタイヤ半径Ltが求められてもよいし、円弧上の他の任意の点であってもよい。また、接地端点Pc1、Pc2のいずれかを点Pr2に代用させることで、3点の特定でタイヤ変形量(タイヤ形状)が求められ得る。
【0060】
タイヤの軸位置ORは、タイヤ側面のボルトなどに基づいて特定されてよい。軸位置ORが基準値又は変形値の算出に係る特徴量とされない場合であっても、他の処理に応じて軸位置ORが別途特定される場合があってよい。あるいは、円弧上で直径をなす2点の組が2つ特定される場合には、当該2つの直径の交点がタイヤの軸位置ORである。
【0061】
一方、図5(a)に示すように、変形値としてタイヤの縦幅L2cyを取得する場合には、タイヤ直径をなす2点Pr1、Pr2と、タイヤの上端点Pr4と、タイヤが接地する接地線(接地面を正面画像に投影した線)の中点である接地中点Pccの4点が特徴点として特定、取得される。この場合には、4点は他の点と共用され得ない。点Pr1、Pr2は、上述のように特定可能である。上端点Pr4は、タイヤの外縁Tsのうち接地面(接地線)から最も遠い点である。したがって、上端点Pr4は、外縁Tsのうちy軸方向についての値(y座標)が最大(極大)の位置として求められ得る。接地中点Pccは、上端点Pr4(すなわち、軸位置OR)を通る垂直線(y軸に沿った線、すなわち、接地線に垂直な線)と接地線との交点である。
【0062】
タイヤの軸位置ORを特定可能な場合、図5(b)に示すように、変形量に係るパラメーターとしてタイヤ半径Ltと接地距離Lcyの組み合わせを用いてもよい。この場合、タイヤの軸位置ORに対し、外縁Tsの円弧上の一点、例えば、点Pr1と、接地中点Pccとが特定されればよく、すなわち、特徴点として特定される点は3点となる。タイヤの軸位置ORが特定されると、接地中点Pccは、タイヤの外縁Ts上でタイヤの軸位置ORからの距離が最小(極小)の位置として特定され得る。
【0063】
図6は、本実施形態の処理装置20で実行されるタイヤ変形量算出処理の制御部21による制御手順を示すフローチャートである。この処理は、撮影装置10から撮影画像が受信されるごとに起動される。
【0064】
タイヤ変形量算出処理が開始されると、制御部21(CPU211)は、受信した画像データを取得し、画像の前処理を行う(ステップS101)。前処理には、露出やコントラストの調整などが含まれてよい。また、固定的に撮影される背景部分などをマスクする処理などが含まれてもよい。
【0065】
制御部21は、画像におけるエッジ検出を行う(ステップS102)。エッジ検出としては、特には限られないが、例えば、キャニー法などが用いられる。また、エッジ検出は、より単純に、元画像の空間微分を行った微分画像を用いたり、及び/又は二次微分値などを用いたりして行われてもよい。また、制御部21は、エッジとして特定された部分以外をノイズとして、当該ノイズを低減させる処理を行ってもよい。
【0066】
制御部21は、エッジ検出画像からタイヤの輪郭の検出処理を行う(ステップS103)。検出処理には、例えば、円検出に係るハフ変換などが用いられる。制御部21は、エッジ検出画像から車体の形状などを特定し、車体との位置関係に基づいてタイヤの検出範囲を限定してハフ変換などを適用することとしてよい。また、このとき、制御部21は、リムRやホイールボルトなどに基づき、タイヤの軸位置ORを特定したり、リムRの撮影面に対する傾きなどを補正したりしてもよい。また、ハフ変換の代わりにパターンマッチングなどによりタイヤの輪郭を検出してもよい。
なお、ステップS102又はステップS103の処理の後、制御部21は、既に変形量の算出が行われた車両と同一の車両に係る撮影画像であるか否かを判別し、同一の車両であると判別された場合には、以降の処理を行わずにタイヤ変形量算出処理を終了してもよい。また、ここでは、撮影画像においてタイヤTが正面方向から傾いている場合には、正面方向からの画像(正面画像)に座標変換する処理が行われ得る。
【0067】
制御部21は、タイヤの外縁Ts(輪郭)上から、タイヤ変形量の算出に用いられる所定の特徴点を特定する(ステップS104;特定ステップ、特定手段)。特徴点は、上述のように、タイヤ径又はタイヤ半径(変形を伴わないタイヤ径に応じた基準値)の特定に係る直径上の点Pr1、Pr2や軸位置ORなど、及び変形に係るパラメーター(変形に応じた変形値)を求めるための接地端点Pc1、Pc2や接地中点Pccなどである。ここで特定対象とされる直径上の点は、上述のPr1、Pr2など、水平方向に対して特定の位置角度関係(ここでは、0度)のもののみに予め限定されていてもよいし、両端が円弧上にある範囲の任意の角度で2点が特定されるまで水平方向に対する角度を変えながら特定が試みられてもよい。
【0068】
制御部21は、特定を試みたものの特定できなかった特徴点(未特定特徴点)があるか否かを判別する(ステップS105)。特定できなかった点はなかったと判別された場合には(ステップS105で“NO”)、制御部21の処理は、ステップS108に移行する。特定できなかった点があったと判別された場合には(ステップS105で“YES”)、制御部21は、後述する補完特定処理を呼び出して実行する(ステップS106;推定ステップ、推定手段)。
【0069】
制御部21は、補完特定処理で補完エラーの設定がなされたか否かを判別する(ステップS107)。補完エラーの設定がなされていないと判別された場合には(ステップS107で“NO”)、制御部21の処理は、ステップS108に移行する。
【0070】
ステップS108の処理へ移行すると、制御部21は、特徴点及び必要に応じて得られた補完情報に基づいてタイヤ変形量(特性値。基準値と変形値がまだ算出されていない場合にはこれらを先に算出する)を算出して、RAM212又は記憶部22に記憶させる(ステップS108;算出ステップ、算出手段)。そして、制御部21は、タイヤ変形量算出処理を終了する。算出されたタイヤ変形量の値は、別途積載異常の判定に係るプログラムで読み込まれて積載重量の基準超過有無の判定及び報知動作などに用いられればよい。
【0071】
ステップS107の判別処理で、補完エラーの設定がなされていると判別された場合には(ステップS107で“YES”)、制御部21は、エラー情報223(所定の内容)を記憶部22に記録する(記憶させる)(ステップS108;エラー記録ステップ)。制御部21は、報知動作部24に対して所定のエラー報知動作を行わせる(ステップS112;報知ステップ)。そして、制御部21は、タイヤ変形量算出処理を終了する。
【0072】
上述したような撮影画像からタイヤ変形量を算出する処理では、撮影上の問題などにより、全ての特徴点を同定することができない場合がある。特徴点の特定に失敗する原因としては、例えば、タイヤへの付着物、例えば、泥など、撮影範囲内に入り込んだ障害物、例えば、鳥、ゴミや雪など、あるいは、撮影装置10の光入射部分のカバーなどに付着したもの、例えば、泥や雪などが上げられる。
【0073】
図7は、特徴点の特定が困難な場合の補完例について説明する図である。
正面画像中に特定が困難(不可能)な特徴点(未特定特徴点)がある場合には、処理装置20では、取得された画像部分を用いて特定が困難な特徴点又は当該特徴点により定まるパラメーターの値(基準値、変形値)の推定を行う。ここでは、接地幅とタイヤ径に係る3又は4点を特徴点とする場合について説明する。
【0074】
図7(a)に示すように、接地端点Pc1が障害Srにより画像上で直接特定するのが困難である場合、直径に係る点Pr1、Pr2(円弧部分の点)から得られるタイヤの外径円Tsg(円弧部分を含む円)と、接地線を含む直線、すなわち、接地端点Pc2を通る水平線との交点が接地端点Pc1として推定される。外径円Tsgの中心座標である軸位置ORは、点Pr1、Pr2の中点と等しく、外径円Tsgの半径は、点Pr1、Pr2の長さの半分である。
【0075】
また、図7(b)に示すように、直径に係る点Pr1、Pr2の中点が車輪の軸位置ORであるので、当該軸位置ORを通る垂直線と接地線との交点が接地中点Pccである。接地端点Pc1は、他方の接地端点Pc2の接地中点Pccに対する対称な位置として推定される。あるいは、この場合、接地端点Pc1を直接推定せずとも、接地端点Pc2と接地中点Pccの距離(Lcx/2)の2倍の値が接地幅Lcxとして特定される。
【0076】
また、図7(c)に示すように、接地端点Pc1を直径上の点として併用する場合であって、他方の接地端点Pc2の特定が困難な場合には、直径上の他方の点Pr3を通る垂直線と、接地線との交点(すなわち、点Pr3のx座標と接地線のy座標の点)は、他方の接地端点Pc2である。これら図7(a)~図7(c)に示した例では、特定されている特徴点のみから特定が困難な特徴点の位置を推定することができる。
【0077】
図7(d)に示すように、接地端点Pc1に加えて直径に係る2点(ここでは、点Pr1)の特定が困難な場合には、タイヤ円弧で特定された任意の3点(特定点)から外径円Tsg、すなわち、タイヤ半径Lt及びタイヤの外径円Tsgの中心位置である軸位置ORを算出(同定)することができる。円弧上の点には、接地端点Pc2を含んでよい(ここでは、点Pr2、Pr5、接地端点Pc2)。これらの算出では、制御部21は、解析的に得られる計算式、例えば、3点の各平面位置を用いて円の方程式の係数(軸位置OR及びタイヤ半径Lt)を求める行列演算式を予め保持しておき、特定された3点の位置データを入力して計算を行ってもよい。あるいは、数値的に3点から等距離にある点に収束させる収束演算などを行ってもよい。求められたタイヤの外径円Tsgと接地線との交点(接地線上で軸位置ORからの距離がタイヤ半径Ltである点)が接地端点Pc1として推定される。また、軸位置ORに対して点Pr2の対称な位置(外径円Tsgとの交点)が点Pr1として推定され得る。
【0078】
図7(e)に示すように、接地端点Pc1、Pc2の両方(両端点のいずれも)が特定不可である場合であっても、接地線上の任意の1つの点Pc3(他点の位置)が補完的に特定されれば水平な接地線が定まる。したがって、この接地線と上述のように特定されるタイヤの外径円Tsgとの2つの交点が接地端点Pc1、Pc2として推定される。また、タイヤ半径Ltの2倍がタイヤ径L2tである。このように図7(d)、(e)の例では、円弧上の直径とは関係なく補完的に特定された他点を用いてタイヤの外径円Tsgが同定される。また、図7(e)の例では、接地線上の点Pc3が補完的に特定されて、接地端点Pc1、Pc2が推定される。これらによってもタイヤ変形量(タイヤ形状)の算出が可能となる。
【0079】
円弧上の任意の点が補完的に特定される場合、当該円弧上で特定される点が円周方向について分散するように補完的な特定位置を設定することができる。例えば、補完的な特定位置は、他の特定位置に対して所定角度以上離れた位置となるように定められ得る。所定角度としては、円弧部分の円周角の基準値を当該円弧上で特定する点の数-1で除した値に所定の係数、例えば、0.5以上の値(0.7など)を乗じた値とすることができる。あるいは、補完的な特定位置は、既に特定されている複数の点の中で最も角度が広い区間の中で可能な限り中点に近い特定可能な位置とされることができる。
【0080】
図8は、特定困難な特徴量と補完特定の内容との関係を示す図表である。
【0081】
タイヤ径L2tと接地幅Lcxをタイヤ変形量(タイヤ形状)に係るパラメーターとする場合、点Pr1、Pr2や、点Pr3と接地端点Pc1など、直径2点が特定困難な場合には、円弧上の3点を通る外径円Tsgを算出することで、当該外径円Tsgの中心である軸位置OR及びタイヤ半径Ltが求められる。タイヤ径L2tは、タイヤ半径Ltの2倍である。特定されている円弧上の点から軸位置ORを挟んで反対側の円弧上の点を推定することで、直径2点を得ることもできる。
【0082】
接地端点Pc1、Pc2のうちいずれかのみが特定されている場合には、上述のように外径円Tsgを算出し、外径円Tsgと特定されている接地端点を含む接地線との交点により他方の接地端点が推定される。
【0083】
接地端点Pc1、Pc2のいずれも特定困難な場合には、接地線上の任意の点を補完特定して接地線を同定する。そして、上述のように外径円Tsgを算出して当該外径円Tsgと接地線との交点により両方の接地端点が推定される。
【0084】
図9は、図6に示したタイヤ変形量算出処理で呼び出される補完特定処理の制御部21による制御手順を示すフローチャートである。この補完特定処理は、図7で示したように2つの接地端点と直径とを特徴量としてタイヤ変形量を算出する場合に用いられる。
【0085】
補完検出処理が呼び出されると、制御部21は、接地端点Pc1、Pc2が2点ともステップS104の処理で特定されたか否かを判別する(ステップS201)。2つとも特定されていると判別された場合には(ステップS201で“YES”)、直径に係る2点が特定されていないことになる。制御部21は、タイヤ円弧上の任意の点を補完的に特定する(ステップS202)。制御部21は、タイヤ円弧上の点の特定に成功したか否かを判別する(ステップS203)。
【0086】
タイヤ円弧上の点の特定に成功しなかったと判別された場合には(ステップS203で“NO”)、制御部21は、補完エラー設定を行い(ステップS233)、補完特定処理を終了して処理をタイヤ変形量算出処理に戻す。
【0087】
タイヤ円弧上の点の特定に成功したと判別された場合には(ステップS203で“YES”)、制御部21は、当該円弧上の点と、接地端点Pc1、Pc2とを用いて、当該3点が接する円の直径を求めることで、タイヤ径L2tを推定する(ステップS204)。制御部21は、正常補完設定を行い(ステップS205)、補完特定処理を終了して処理をタイヤ変形量算出処理に戻す。
【0088】
ステップS201の判別処理で、接地端点Pc1、Pc2の2点が特定されていないと判別された場合には(ステップS201で“NO”)、制御部21は、接地端点Pc1、Pc2のうちいずれか一点が特定されたか否かを判別する(ステップS211)。接地端点のうち一点が特定されていると判別された場合には(ステップS211で“YES”)、制御部21は、タイヤの外縁Tsの円弧上における直径2点が特定されているか否かを判別する(ステップS212)。
【0089】
2点が特定されていると判別された場合には(ステップS212で“YES”)、制御部21は、当該2点からタイヤ径L2tとその中心位置である軸位置ORを特定する(ステップS213)。制御部21は、タイヤ径L2tと軸位置ORとにより同定される円と、特定されている接地点(ステップS231で補完特定された点を含む)を含む接地線(水平線)との交点から、特定されていない接地端点を推定する(ステップS214)。それから、制御部21の処理は、ステップS205に移行する。
【0090】
ステップS212の判別処理で、円弧上で直径2点が特定されていないと判別された場合には(ステップS212で“NO”)、制御部21は、タイヤ円弧上(接地端点を含む)の特定点が3点となるように不足している点を補完特定する(ステップS221)。制御部21は、不足分の円弧上の点の特定に成功したか否かを判別する(ステップS222)。
【0091】
補完特定に成功したと判別された場合には(ステップS222で“YES”)、制御部21は、当該3点以上が円弧上に並ぶタイヤの外径円Tsgを算出し、タイヤ径L2tを推定する(ステップS223)。3点より多い点が特定されている場合には、当該特定された点のばらつきが最も小さくなる(尤もらしい)外径円Tsgを算出すればよい。タイヤには、接地面の圧縮に伴って、他の部分に若干の膨張などの変形が生じる場合もあるので、このように3点よりも多い多点を用いることで、より適切なタイヤ径を求めることができる。それから、制御部21の処理は、ステップS214に移行する。補完特定に成功しなかったと判別された場合には(ステップS222で“NO”)、制御部21の処理は、ステップS233に移行する。
【0092】
ステップS211の判別処理で、接地端点Pc1、Pc2のうち1点が特定されていない、すなわち、いずれも特定されていないと判別された場合には(ステップS211で“YES”)、制御部21は、接地線上の任意の一点を補完特定する(ステップS231)。制御部21は、接地線上の点の補完特定に成功したか否かを判別する(ステップS232)。補完特定に成功したと判別された場合には(ステップS232で“YES”)、制御部21の処理は、ステップS212に移行する。補完特定に成功していない(失敗した)と判別された場合には(ステップS232で“NO”)、制御部21の処理は、ステップS233に移行する。
【0093】
以上のように、本実施形態の処理装置20で行われるタイヤ形状算出方法は、タイヤTの正面画像を用いたタイヤ形状算出方法であって、正面画像から、接地に伴う変形を伴わないタイヤ径L2tに応じた基準値と、タイヤの変形に応じた変形値、ここでは、接地幅Lcxなどとを直接同定するのに必要なタイヤTの特徴点(ここでは、基準値を求めるのに必要な直径2点である点Pr1、Pr2、及び変形値としての接地幅Lcxを求めるのに必要な接地端点Pc1、Pc2)のうち特定可能なものの位置を特定する特定ステップ(ステップS104)、特定ステップ(ステップS104)で特定可能ではない未特定特徴点、又は当該未特定特徴点を用いて同定される基準値若しくは変形値を推定する推定ステップである補完特定処理(ステップS106)、を含む。
このように、タイヤ形状に係る特性値の算出に必要な基準値や変形値の直接的な算出に必要な3点以上の位置を特定して、当該位置情報に基づいて基準値や変形値を取得する場合、これら3点以上が全て取得できなくても、残りの特定された点や、必要に応じて追加された点などを用いて推定することにより基準値や変形値の算出を可能とする。これにより、タイヤ形状(タイヤの変形量)の算出に失敗する頻度を低減させ、より安定して確実に、タイヤの正面画像からタイヤ形状を算出することができる。すなわち、天気などの撮影条件や、泥などのタイヤの状態の影響を低減させて、タイヤ形状の算出、特定に失敗する可能性を低減させることができる。
【0094】
また、補完特定処理(ステップS106)では、特定されている特徴点から未特定特徴点の推定又は、基準値若しくは変形値の同定(推定)が不可能な場合には、未特定特徴点に応じた他点の位置を補完的に特定して(ステップS231、S221)、未特定特徴点又は当該未特定特徴点に係る基準値若しくは変形値を推定する。このように、当初特定された特徴点だけでは基準値や変形値が得られない場合には、必要に応じて他点を補完的に特定することで、撮影状況や車両(タイヤ)の条件などに応じてこれらの数値が求められない可能性を低減させ、より安定して継続的にタイヤ形状の算出、特定を可能とすることができる。
【0095】
また、特徴点には、タイヤの外縁Tsのうち接地部分である接地線の接地端点Pc1、Pc2が含まれ、補完特定処理(ステップS106)では、接地端点Pc1、Pc2の少なくともいずれかが未特定特徴点である場合には、外縁Tsのうち接地していない円弧部分を含む外径円Tsgと、接地線を含む直線との交点から未特定特徴点を推定する(ステップS213、S223)。
外縁Tsのうち、円弧部分と接地線との境界で折れ曲がる接地端点Pc1、Pc2は、画像のエッジ検出から直接検出のしやすい点であり、特定に係る処理が容易であるが、泥などが付着すると特定しづらい場合もある。このような場合に、円弧部分と接地線との交点から推定することで、より安定して接地幅Lcxを得ることが可能になり、タイヤ形状の算出、特定の失敗頻度を低減させることができる。
【0096】
また、補完特定処理(ステップS106)では、2つの接地端点Pc1、Pc2のいずれもが未特定特徴点に含まれる場合には、接地線上の他点の位置を補完的に特定して接地線を同定する(ステップS231)。すなわち、接地端点Pc1、Pc2が特定しにくい場合でも、接地線上の任意の点であれば特定が可能となりやすいので、これに基づいて接地線を同定することで、容易かつより確実に接地端点Pc1、Pc2を推定し、接地幅Lcxを得ることができる。これにより、タイヤ変形量の算出、特定の失敗をより確実に防ぐことができる。
【0097】
また、補完特定処理(ステップS106)では、接地端点Pc1、Pc2のうちいずれか一方の端点を特定可能な場合には、当該一方の端点を含む円弧部分で特定された3点以上の特定点より外径円Tsgを同定する。すなわち、接地端点Pc1、Pc2も円弧上の点2含まれるので、特定されているのであれば、他の円弧上の点を補完的に追加特定しなくてもそのまま利用して外径円Tsgの同定に利用することができる。すなわち、補完的な特定に係る処理の実行頻度を低減させて、処理負荷を抑制することができる。
【0098】
また、特徴点には、タイヤの外縁Ts上で当該タイヤの直径をなす2点、例えば、点Pr1、Pr2などが含まれ、補完特定処理(ステップS106)では、当該2点のうち少なくともいずれか1点が未特定特徴点に含まれる場合には、外縁Tsの円弧部分で特定された特定点が3点以上となるように他点の位置を補完的に特定して(ステップS221)外径円Tsgを同定する(ステップS223)。すなわち、円弧部分から直接タイヤ径L2tが基準値として同定できない場合でも、任意の3点以上から外径円Tsgを同定することで、間接的にタイヤ半径Lt、すなわちタイヤ径L2tが得られる。また、この同定された外径円Tsgは、接地線を含む直線との交点を求める場合などにも用いられる。よって、円弧上の任意の点を補完特定可能とすることで外径円Tsgの同定成功率を向上させ、より安定してタイヤ形状の算出を行うことを可能とすることができる。
【0099】
また、特徴点には、接地端点Pc1、Pc2と、当該接地端点Pc1、Pc2のいずれか(ここでは、接地端点Pc1)とタイヤの直径をなす円弧部分の点1点(ここでは、点Pr3)とが含まれる。このように、接地端点Pc1が、接地線の端点としての意味と円弧上の点としての意味とを併せて(共通に)保持することで、特定する特徴点の数を1点減らして特定動作に係る負荷を低下させることができる。また、このような場合でも、接地端点Pc1が特定不可の場合には、必要に応じて接地線上の点と円弧上の点を各々別に補完的に特定すればよいので、間接的なタイヤ変形量の算出自体が困難になるわけではない。すなわち、接地端点Pc1の位置は、より安定して確実にタイヤ形状の算出に用いられる。
【0100】
また、特徴点には、タイヤの外縁Ts上で当該タイヤの直径をなす2点が含まれ、特定ステップ(ステップS104)で当該直径をなす2点を特定可能ではない場合には、補完特定処理(ステップS106)では、タイヤの軸位置ORとタイヤの外縁Tsのうち円弧上における1点とに基づいて、当該1点との間でタイヤ径L2t(直径)をなす点を推定する。このように、軸位置ORが特定又は推定されれば、タイヤ半径Ltが定まるので、タイヤ径L2t及び当該タイヤ径L2t(直径)をなす2点も容易に推定することができる。
【0101】
また、補完特定処理(ステップS106)では、特定ステップ(ステップS104)で直径をなす2点を特定可能でなく、かつ軸位置ORが特定可能ではない場合には、円弧上で特定された特定点が3点以上となるように他点の位置を補完的に特定して、当該特定点により円弧部分を含む外径円Tsgを同定することで、軸位置ORを推定する(ステップS223)。このように、特定の特徴量に係る点が特定されなくても他の点から容易に推定が可能である。よって、タイヤ形状の算出、特定をより安定して継続的に行うことが可能となる。
【0102】
また、補完特定処理(ステップS106)において、円弧上で特定点を補完的に特定する場合には、当該補完的な特定点の位置が他の特定点に対して所定角度以上離れた点となるように円弧上における位置を定める。
このように適切な位置配置で円弧上の特徴点を得ることで、より精度よく外径円Tsgの同定を行うことができ、これに応じて、基準値や変形値の算出精度も向上させることができる。
【0103】
また、補完特定処理(ステップS106)で基準値及び変形値のうち少なくとも一方が算出できなかった場合に、所定の報知動作を行う報知ステップ(ステップS112)を含む。このように、報知動作を行うことで、例えば、撮影装置10の撮影面に汚れが生じた場合や、意図的にタイヤを隠して突破するような車両などに対して速やかに適切な処置を行うなどの対策を採ることができる。また、気象条件が悪くなった場合などに、画像処理のパラメーター、例えばエッジ検出やノイズ低減に係る各処理のパラメーターを変更するなどの調整をユーザーが速やかに行うことを可能とし、検出漏れを低減させることができる。
【0104】
また、上述の所定の報知動作には、所定の表示画面に対する表示動作を含む。このように、表示画面に必要な情報を表示させることで、必要十分な情報を積載重量の監視員などが速やかに知得し、最適な処置を選択して行うことが可能となる。
【0105】
また、このタイヤ変形量算出処理は、補完特定処理(ステップS106)で基準値及び変形値のうち少なくとも一方が算出できなかった場合に、エラー情報223として記憶部22に記録するエラー記録ステップ(ステップS111)を含む。これにより、どのような状況でどの程度の頻度で同定ができなかったかを容易に監視員などが知得することができる。したがって、通常の処理では特定が難しい気象条件などでは、エッジ検出やノイズ低減のパラメーターを変更したり、後述のように複数の画像を重ねて多重画像を形成したりといった対策を予め採ることが可能になる。あるいは、特定の車種などで算出が困難な場合には、他の積載重量の検出方法と併用させるなどの処理を行わせることも可能となる。
【0106】
また、本実施形態のタイヤ形状算出装置である処理装置20は、制御部21を備える。制御部21は、下記の特定手段及び推定手段として機能する。制御部21は特定手段として、タイヤの正面画像から、接地に伴う変形を伴わないタイヤ径に応じた基準値と、タイヤの変形に応じた変形値とを直接同定するのに必要なタイヤの特徴点のうち特定可能なものの位置を特定する。制御部21は、推定手段として、特定手段で特定可能ではない未特定特徴点、又は当該未特定特徴点を用いて同定される前記基準値若しくは前記変形値を推定する。
これにより、タイヤの正面画像のみを用いて制御部21がより確実かつ継続的にタイヤの形状、すなわち、タイヤの変形量を得ることができる。そして、このタイヤの変形量を用いることで、過積載や空気圧不足などにより危険な状態の車両を同定することができる。したがって、より容易な設備で道路状況の保全や安全性を向上させることができる。
【0107】
また、本実施形態の過積載検出システム1は、上記の処理装置20と、タイヤの正面画像に係る画像の撮影を行う撮影装置10と、を備える。このような過積載検出システム1を用いることで、直接車両の重量を計測せずとも車両の積載重量を見積もることができ、危険な車両の走行や、高速道などへの侵入の検出及び対処を図ることができる。
【0108】
図10は、特徴点の特定が困難な場合の他の補完例を説明する図である。ここでは、特徴点として、直径をなす2点と、上端点Pr4と、接地中点Pccとを用いる場合に、これら特徴点の一部又は全部の特定が不可能な場合について説明する。
【0109】
図10(a)に示すように、接地中点Pccが障害Srにより特定困難な場合には、接地線上の任意の点Pc3を補完特定して接地線を同定することで、当該接地線と、上端点Pr4を通る垂直線との交点から接地中点Pccが推定される。
【0110】
図10(b)に示すように、接地中点Pccに加えて上端点Pr4も障害物Sr2により特定困難な場合には、上端点Pr4は、タイヤの外径円Tsgと軸位置ORを通る垂直な線との交点(外径円Tsg上で軸位置ORと同一のx座標の点でy座標が大きいもの)により推定される。あるいは、上端点Pr4は、外径円Tsg上で最も接地線から離れた点、すなわち、y座標の大きい点として推定されてもよい。また、接地中点Pccは、軸位置ORを通る垂直な線と接地線との交点により求められる。軸位置ORは、直径上の2つの点Pr1、Pr2の中点から求められる。直径上の2つの点のうち一方の点(ここでは、点Pr2)も特定困難な場合には、外縁Tsの円弧上の任意の3点を補完特定し(ここでは、特定されている点Pr1に加えて補完特定される点Pr6、Pr7)、これら3点に基づいて外径円Tsgを求めることでタイヤ半径Lt及びタイヤの軸位置ORが求められる。
【0111】
なお、障害Srにより接地中点Pccの特定が困難な場合であっても、接地端点Pc1、Pc2の両方が特定可能な場合には、図10(c)に示すように、当該接地端点Pc1、Pc2の中点を接地中点Pccとして推定することができる。この場合には、直径をなす点Pr1、Pr2の両方が特定されていない場合でも、接地端点Pc1、Pc2のいずれかに対して直径をなす点、ここでは、接地端点Pc1に対する点Pr3を用いてタイヤ径L2tを特定してよい。
【0112】
また、軸位置ORが特定されている場合には、円弧上の1つの点Pr6が分かればタイヤ半径Ltが定まるので、これら2点に基づき、図10(d)に示すように、軸位置ORから垂直方向上向きにタイヤ半径Ltの位置が上端点Pr4として推定される。タイヤ径L2tは、タイヤ半径Ltの2倍であり、点Pr6と直径をなす点は、軸位置ORに対して点Pr6に対称な点Pr8として推定される。
【0113】
図11は、特定困難な特徴量と補完特定の内容との関係を示す図表である。
タイヤ径L2tとタイヤの縦幅L2cyをタイヤ変形量(タイヤ形状)に係るパラメーターとする場合において、直径2点が特定困難な場合には、外縁Tsの円弧上3点を通る円を求めることで、外径円Tsgの中心である軸位置ORの座標及び外径円Tsgの半径が求められる。
【0114】
上端点Pr4が特定困難な場合には、外径円Tsgの中心位置(すなわち軸位置OR)を算出又は推定し、当該位置から外径円Tsgの半径分上方の位置が上端点Pr4として推定される。
【0115】
接地中点Pccが特定困難な場合には、接地線上の任意の1点を補完特定し、接地線と、軸位置OR又は上端点Pr4を通る垂直線との交点が接地中点Pccとして推定される。軸位置ORも上端点Pr4も特定されていない場合には、上述のように上端点Pr4が推定されてから、当該推定された上端点Pr4を用いて接地中点Pccが推定され得る。また、直径上の2点に両接地端点Pc1、Pc2が含まれる場合には、これら両接地端点Pc1、Pc2の中点が接地中点Pccとして推定される。
【0116】
図12は、タイヤ変形量算出処理で呼び出される補完特定処理の制御部21による制御手順を示すフローチャートの他の例である。この補完特定処理は、図10で示したように上端点Pr4と接地中点Pccと直径に係る2点とを特徴点としてタイヤ変形量を算出する場合に用いられる。
【0117】
補完特定処理が開始されると、制御部21は、接地中点Pccと上端点Pr4がいずれも特定されているか否かを判別する(ステップS301)。いずれも特定されていると判別された場合には(ステップS301で“YES”)、タイヤ径に係る直径2点が特定されていないので、制御部21は、タイヤTの円弧上の特定点が3点となるように補完特定する(ステップS302)。
【0118】
制御部21は、必要な数の補完特定に成功したか否かを判別する(ステップS303)。補完特定に成功していない(失敗した)と判別された場合には(ステップS303で“NO”)、制御部21は、補完エラーの設定を行う(ステップS333)。そして、制御部21は、補完特定処理を終了して処理をタイヤ変形量算出処理に戻す。
【0119】
補完特定に成功したと判別された場合には(ステップS303で“YES”)、制御部21は、外縁Tsの円弧上の点に基づいて外径円Tsgを算出し、タイヤ径L2tを推定する(ステップS304)。制御部21は、正常補完の設定を行い(ステップS305)、補完特定処理を終了して処理をタイヤ変形量算出処理に戻す。
【0120】
ステップS301の判別処理で、接地中点Pccと上端点Pr4の両方が特定されているわけではない、すなわち、少なくとも一方が特定されていないと判別された場合には(ステップS301で“NO”)、制御部21は、接地中点Pccが特定されているか否かを判別する(ステップS311)。接地中点Pccが特定されていると判別された場合には(ステップS311で“YES”)、制御部21の処理は、ステップS312に移行する。
【0121】
接地中点Pccが特定されていないと判別された場合には(ステップS311で“NO”)、制御部21は、接地線上の任意の一点を補完特定する(ステップS331)。制御部21は、接地線上の点の補完特定に成功したか否かを判別する(ステップS332)。補完特定に成功していない(失敗した)と判別された場合には(ステップS332で“NO”)、制御部21の処理は、ステップS333に移行する。補完特定に成功したと判別された場合には(ステップS332で“YES”)、制御部21の処理は、ステップS312に移行する。
【0122】
ステップS311、S332の処理からステップS312の処理に移行すると、制御部21は、タイヤTの直径(タイヤ径)に係る2点が特定されているか否かを判別する(ステップS312)。2点が特定されていると判別された場合には(ステップS312で“YES”)、制御部21は、タイヤ径L2t及び中心となる軸位置ORを特定する(ステップS313)。制御部21の処理は、ステップS314に移行する。
【0123】
ステップS312の判別処理で、タイヤTの直径に係る2点が特定されていないと判別された場合には(ステップS312で“NO”)、制御部21は、外縁Tsの円弧上における特定点が3点となるように補完特定を行う(ステップS321)。制御部21は、円弧上の補完特定が成功したか否かを判別する(ステップS322)。成功しなかった(失敗した)と判別された場合には(ステップS322で“NO”)、制御部21の処理は、ステップS333へ移行する。
【0124】
円弧上の補完特定が成功したと判別された場合には(ステップS322で“YES”)、制御部21は、円弧上の3点を用いて外径円Tsgを算出し、軸位置OR及びタイヤ径L2tを推定する(ステップS323)。制御部21の処理は、ステップS314へ移行する。
【0125】
ステップS313、S323の処理からステップS314の処理に移行すると、制御部21は、上端点Pr4が特定されているか否かを判別する(ステップS314)。上端点Pr4が特定されていないと判別された場合には(ステップS314で“NO”)、制御部21は、上端点Pr4を推定する(ステップS315)。制御部21は、例えば、タイヤの軸位置ORを通る垂直線と、特定又は推定されているタイヤTの外径円Tsgとの交点を上端点Pr4として推定する。それから、制御部21の処理は、ステップS316に移行する。ステップS314の判別処理で、上端点Pr4が特定されていると判別された場合には(ステップS314で“YES”)、制御部21の処理は、ステップS316に移行する。
【0126】
ステップS316の処理に移行すると、制御部21は、接地中点Pccが特定されているか否かを判別する(ステップS316)。接地中点Pccが特定されていると判別された場合には(ステップS316で“YES”)、制御部21の処理は、ステップS305に移行する。
【0127】
接地中点Pccが特定されていないと判別された場合には(ステップS316で“NO”)、制御部21は、接地中点Pccを推定する(ステップS317)。接地中点の推定方法としては、上述のように、特定(補完特定を含む)円弧上の特徴点などによって複数方法から推定され得る。例えば、制御部21は、点Pc3を通る水平線として得られる接地線と、特定又は推定された上端点Pr4を通る垂直線との交点を接地中点Pccとして推定する。あるいは、接地端点Pc1、Pc2がいずれも特定されている場合には、制御部21は、当該接地端点Pc1、Pc2の中点を接地中点Pccとして推定してもよい。それから、制御部21の処理は、ステップS305に移行する。
【0128】
以上の補完特定処理を用いたタイヤ形状算出方法では、特徴点には、タイヤの外縁Tsのうち接地部分である接地線の中点である接地中点Pccが含まれ、補完特定処理(ステップS106)では、接地中点Pccが未特定特徴点に含まれる場合には、タイヤの軸位置ORを通り接地線に垂直な垂直線と接地線との交点から接地中点Pccを推定する(ステップS317)。
このように接地中点Pccを用いることで、1点で接地部分を代表化し、また、接地線から容易に推定してタイヤ形状を算出、取得することができる。
【0129】
また、特徴点には、タイヤの外縁Ts上で接地線から最も離れた上端点Pr4が含まれ、垂直線には、上端点Pr4を通り接地線に垂直な線を含む。すなわち、上端点Pr4と接地中点Pccの組み合わせを用いることで、垂直線により両点を容易に評価し、また、接地中点Pccが特定不可の場合でも、上端点Pr4に応じて容易に推定される。
【0130】
また、補完特定処理(ステップS106)では、上端点Pr4が未特定特徴点に含まれる場合には、外縁Tsのうち円弧部分を含む外径円Tsgを同定し(ステップS313、S323)、当該外径円Tsgにおいて接地線から最も離れた点を上端点Pr4として推定する(ステップS315)。すなわち、円弧上の特徴的な点である上端点Pr4については、外径円Tsgから比較的容易に推定可能であり、より安定して継続的に変形量の算出に用いることができる。
【0131】
また、あるいは、補完特定処理(ステップS106)では、上端点Pr4が未特定特徴点に含まれる場合には、外縁Tsのうち接地していない円弧部分を含む外径円Tsgを同定し(ステップS313、S323)、当該外径円Tsgの中心を通る垂直線と外径円Tsgとの交点を上端点Pr4として推定する(ステップS315)。このような方法でも、上記と同様に容易に上端点Pr4を推定することができる。すなわち、上端点Pr4の推定方法が多数あるので、タイヤの正面画像における特定不可の範囲などに応じて柔軟に選択して安定して推定を行い、変形量の算出に用いることができる。
【0132】
また、特徴点には、外縁Ts上でタイヤの直径をなす2点(例えば点Pr1、Pr2など)が含まれ、補完特定処理(ステップS106)では、当該2点のうち少なくともいずれか1点が未特定特徴点に含まれる場合には、外縁Tsのうち円弧部分で特定された特定点が3点以上となるように他点の位置を補完的に特定して(ステップS221)、当該円弧部分を含む外径円Tsgを同定する(ステップS223)。このように、外径円Tsgが容易に特定可能であり、これに応じて接地中点Pccも接地線上の点Pc3に基づいて容易に推定可能となるので、安定して変形量の算出を成功させることができる。
【0133】
また、補完特定処理(ステップS106)では、円弧部分の3点以上が特定ステップ(ステップS104)で特定されていない場合には、円弧部分で特定された特定点が3点以上となるように他点の位置を補完的に特定して外径円Tsgを同定する。すなわち、直径2点と上端点Pr4のいずれかが特定できなくても、円弧上の任意の一点が特定されることで容易に外径円Tsgが同定され、これに応じて未特定特徴点が推定されるので、複雑な処理が必要なく、より安定して変形量の算出に用いられる。
【0134】
また、補完特定処理(ステップS106)では、上端点Pr4が未特定特徴点に含まれる場合には、軸位置ORと、外縁Tsのうち円弧部分の1点とに基づいて上端点Pr4を推定する。すなわち、これら2点が分かっている場合には、x座標と軸位置ORからの距離(すなわち、タイヤ半径Lt)が分かっているので、外径円Tsgを同定せずとも直線上でより容易に上端点Pr4を推定することができる。したがって、簡略的かつ容易な処理で変形量の算出に必要な特徴点を得ることができる。
【0135】
図13は、特徴点の特定が困難な場合の他の補完例を説明する図である。ここでは、特徴点として、軸位置ORと、円弧上の任意の特徴点1点と、接地中点Pccとを用いる場合にこれら特徴点の一部の特定が不可能な場合について説明する。
【0136】
図13(a)に示すように、接地中点Pccの特定が困難な場合には、接地線上の任意の点Pc3が補完特定される。そして、点Pc3により定まる接地線と、軸位置ORを通る垂直線との交点が接地中点Pccとして推測される。上端点Pr4が特定されている場合には、軸位置ORを通る垂直線の代わりに上端点Pr4を通る垂直線が用いられてもよい。
【0137】
図13(b)に示すように、接地中点Pccに加えて軸位置OR及び上端点Pr4も特定が困難な場合には、接地線上の点Pc3に加えて、円弧上の特定点が3点となるように特徴点以外の他点の補完特定を行う。ここでは、点Pr5、Pr6、Pr7が特定され、これら3点により、外径円Tsgの中心である軸位置OR及びタイヤ半径Ltが求められる。接地中点Pccは、上記と同様に、軸位置ORを通る垂直線と点Pc3を通る接地線(水平線)の交点により推定される。
【0138】
図13(c)に示すように、接地中点Pcc及び軸位置ORが特定困難な場合であり、上端点Pr4が特定されている場合、特定可能な場合には、上述のように、補完的に特定された点Pc3を用いて接地中点Pccを特定可能である。また、上端点Pr4は、軸位置ORに対して垂直方向上側にあるという相対方向が予め定まっている。したがって、上端点Pr4と円弧上の1点(ここでは、点Pr6)とが特定されることで(上端点Pr4又は点Pr6のいずれかが補完特定される)、軸位置ORは、上端点Pr4と接地中点Pccの間であって、当該上端点Pr4からの距離と点Pr6からの距離が等しい点として求められ得る。
【0139】
図13(d)に示すように、軸位置ORのみが特定困難な場合には、予め接地中点Pccが特定されているので、点Pc3の補完特定は必要ない。上記と同様に、上端点Pr4と接地中点Pccの間(直線上)で、上端点Pr4及び点Pr6からの距離が等しい点が軸位置ORとして推定される。その他、円弧上の点Pr6に対して直径をなす点が補完特定可能な場合には、これら2点の中点が軸位置ORとして定められる。
【0140】
図14は、特定困難な特徴量と補完特定の内容との関係を示す図表である。
【0141】
軸位置ORと、円弧上の任意の特徴点1点と、接地中点Pccとが特徴点として用いられる場合において、円弧上の任意の点が特定可能な場合には、他の値の特定有無にかかわらず変形量に係るパラメーターの取得は困難である。
【0142】
軸位置ORが特定困難な場合には、軸位置ORは、外径円Tsgを算出することで、その中心位置から求められる。外径円Tsgは、外縁Ts上の3点から同定可能である。また、上端点Pr4や点Pr1、Pr2などが特定されている場合には、所定の直線上など、より制限された範囲で軸位置ORが特定される。
【0143】
接地中点Pccのみが特定困難な場合には、接地線上の任意の点の補完特定により当該接地線を同定し、接地線と軸位置ORを通る垂直線との交点から接地中点Pccが推定される。
【0144】
軸位置OR及び接地中点Pccが特定困難な場合には、上述のように軸位置ORを推定してから当該軸位置ORを用いて接地中点Pccを推定すればよい。
【0145】
図15は、タイヤ変形量算出処理で呼び出される補完特定処理の制御部21による制御手順を示すフローチャートの他の例である。この補完特定処理は、図13で示したように接地中点Pccと軸位置ORと円弧上の1点とを特徴点としてタイヤ変形量を算出する場合に用いられる。
【0146】
補完特定処理が呼び出されると、制御部21は、タイヤの外縁Tsの円弧上の位置が特定されているか否かを判別する(ステップS401)。特定されていないと判別された場合には(ステップS401で“NO”)、制御部21は、補完エラー設定を行い(ステップS434)、補完特定処理を終了して処理をタイヤ変形量算出処理に戻る。
【0147】
タイヤの外縁Tsの円弧上の位置が特定されていると判別された場合には(ステップS401で“YES”)、制御部21は、軸位置ORが特定されているか否かを判別する(ステップS402)。軸位置ORが特定されていると判別された場合には(ステップS402で“YES”)、制御部21の処理は、ステップS403に移行する。
【0148】
軸位置ORが特定されていないと判別された場合には(ステップS402で“NO”)、制御部21は、タイヤTの直径2点が特定可能であるか否かを判別する(ステップS411)。特定が可能であると判別された場合には(ステップS411で“YES”)、制御部21は、タイヤTの直径をなす円弧上の2点が特定点となるように補完特定を行う(ステップS412)。既に特定されている1点ととともに直径をなす点が特定可能である場合には、制御部21は、当該1点を補完特定すればよい。あるいは、制御部21は、既に特定されている1点とは別に直径をなす2点(例えば、点Pr1、Pr2など)を特定してもよい。
【0149】
制御部21は、直径2点に基づいてタイヤ径L2tと軸位置ORとを特定する(ステップS413)。制御部21は、接地中点Pccが特定されているか否かを判別する(ステップS414)。接地中点Pccが特定されていると判別された場合には(ステップS414で“YES”)、制御部21の処理は、ステップS406に移行する。接地中点Pccが特定されていないと判別された場合には(ステップS414で“NO”)、制御部21の処理は、ステップS403に移行する。
【0150】
ステップS411の判別処理で直径2点が特定可能ではないと判別された場合には(ステップS411で“NO”)、制御部21は、上端点Pr4の特定が可能である(既に特定されている場合を含む)か否かを判別する(ステップS421)。上端点Pr4の特定が可能であると判別された場合には(ステップS421で“YES”)、制御部21は、特定されていない上端点Pr4か又は特定されている上端点Pr4とは別の円弧上の点を補完特定する(ステップS422)。制御部21は、上端点Pr4を通る垂直線上で、上述のように上端点Pr4からの距離と他の点からの距離とが等しい軸位置ORを特定する(ステップS423)。それから、制御部21の処理は、ステップS414に移行する。
【0151】
ステップS421の判別処理で、上端点Pr4の特定が可能ではないと判別された場合には(ステップS421で“NO”)、制御部21は、タイヤTの円弧上の特定点が3点になるように補完特定を行う(ステップS431)。すなわち、制御部21は、既に特定されている1点に加えて2点を補完特定する。
【0152】
制御部21は、補完特定に成功したか否かを判別する(ステップS432)。補完特定に成功しなかったと判別された場合には(ステップS432で“NO”)、制御部21の処理は、ステップS434に移行する。特定に成功したと判別された場合には(ステップS432で“YES”)、制御部21は、当該3点を用いて外径円Tsgを算出し、その中心である軸位置ORとタイヤ径L2tとを推定する(ステップS433)。それから、制御部21の処理は、ステップS414に移行する。
【0153】
なお、ステップS411~S413の処理、及び/又はステップS421~S423の処理は、省略されてもよい。すなわち、特定条件での軸位置ORの推定処理の一部又は全部が省略されてもよい。
【0154】
ステップS402、S414の処理からステップS403の処理に移行すると、制御部21は、接地線上の任意の1点を補完特定する(ステップS403)。制御部21は、接地点上の点の特定に成功したか否かを判別する(ステップS404)。特定に成功したと判別された場合には(ステップS404で“YES”)、制御部21は、接地線と、軸位置ORを通る垂直線との交点から接地中点Pccを推定する(ステップS405)。あるいは、タイヤ円弧上の特定点に2つの接地端点Pc1、Pc2が含まれる場合には、制御部21は、当該2つの接地端点Pc1、Pc2の中点を接地中点Pccとして推定してもよい。それから、制御部21の処理は、ステップS406に移行する。ステップS404の判別処理で、接地線上の点の補完特定に成功していない(失敗した)と判別された場合には(ステップS404で“NO”)、制御部21の処理は、ステップS434に移行する。
【0155】
以上のように、この例の補完特定処理を用いたタイヤ形状算出方法では、特徴点には、タイヤの軸位置ORとタイヤの外縁Tsのうち円弧部分における1点(例えば、点Pr6)とが含まれる。このような方法でも、基準値が容易に定められる。特に、軸位置ORが特定可能な場合には、円弧上の点が任意に特定されればよいので、タイヤ半径Ltを容易に同定することができる。
【0156】
また、補完特定処理(ステップS106)では、軸位置ORが未特定特徴点に含まれる場合には、外縁Tsの円弧上で同定された3点以上の特定点により当該円弧を含む外径円Tsgを同定し、当該外径円Tsgの中心位置から軸位置ORを推定する(ステップS433)。すなわち、外径円Tsgの同定処理でそのまま中心位置である軸位置OR及びタイヤ半径Ltが得られるので、処理が二度手間にならず容易である。
【0157】
また、補完特定処理(ステップS106)では、軸位置ORが未特定特徴点に含まれ、かつ円弧上の3点以上が特定ステップ(ステップS104)で特定されていない場合には、当該円弧部分で特定された特定点が3点以上となるように他点の位置を補完的に特定する。すなわち、円弧上の任意の3点以上(ここでは3点)を得る補完的な特定により外径円Tsgが同定される(ステップS433)ので、容易な処理で、基準値の同定確率を向上させることができる。
【0158】
また、補完特定処理(ステップS106)では、軸位置ORが未特定特徴点に含まれ、かつ当該軸位置ORに対する相対方向が定められている1点、ここでは、上端点Pr4が特定されている場合には、当該1点(上端点Pr4)と、外縁Tsの円弧部分における1点とに基づいて軸位置ORを推定する(ステップS423)。すなわち、円のフィッティングと比較して垂直線の直線上のみでの処理となるので、処理が容易となる。
【0159】
[変形例1]
上記の各例では、一枚の撮影画像に基づいて基準値と変形値の各パラメーターを求めたが、複数の撮影画像を重ねて各パラメーターを求めることもできる。
【0160】
図16は、撮影画像における特徴量の特定困難なパターンを説明する図である。
【0161】
図16(a)に示すように、タイヤの外縁Tsに沿った付着物Sr1により一部の特徴点、ここでは、点Pr1及び接地端点Pc1が特定困難な場合、車両が移動してタイヤが回転すると、特定困難となる位置が変化する。図16(b)のように、タイヤが1/4回転程度したあとの撮影画像では、付着物Sr1が接地端点Pc2と点Pr2の位置と重なる位置に移動しており、接地端点Pc1及び点Pr1は特定可能となっている。すなわち、図16(a)、(b)に示した2枚の撮影画像又は撮影画像から得られた結果を重ねることで、点Pr1、Pr2及び接地端点Pc1、Pc2がいずれも特定可能となる。
【0162】
図16(c)に示すように、車両と撮影装置10との間に障害物Sr2が存在することで一部の特徴点、ここでは、接地端点Pc1が特定困難な場合、車両が移動することで、撮影装置10に対する障害物Sr2と車両との位置関係が変化する。例えば、図16(d)に示すように、車両が図内左方向へ移動することで、障害物Sr2が相対的に図内右方向へ移動し、ここでは、接地端点Pc2の同定が困難となる一方で、接地端点Pc1が特定可能となっている。すなわち、図16(c)、(d)に示した2枚の撮影画像又は撮影画像から得られた結果を重ねることで、接地端点Pc1、Pc2のいずれもが特定可能となる。
【0163】
なお、図16(c)、(d)において、障害物Sr2が静止しているとして説明したが、障害物Sr2と車両とが各々異なる相対速度で撮影装置10の撮影エリアに対して移動していればよい。重ねる画像は、2枚に限られず、3枚以上であってもよい。また、重ねた画像について、なお全ての特徴点が得られない場合には、上述のように補完特定を行えばよい。
【0164】
図17は、タイヤ変形量算出処理の変形例を示す図である。
このタイヤ変形量算出処理は、上述の実施形態のタイヤ変形量算出処理に対してステップS121~S123の処理が追加された点を除いて同一であり、同一の処理内容には同一の符号を付して詳しい説明を省略する。
【0165】
ステップS104の処理の後、制御部21は、特定を試みたものの特定できなかった特徴点があるか否かを判別する(ステップS121)。特定できなかった点はなかったと判別された場合には(ステップS121で“NO”)、制御部21の処理は、ステップS108に移行する。特定できなかった点があったと判別された場合には(ステップS121で“YES”)、制御部21は、他のステップS102、S103の処理で検出されている同一車両に係る複数枚のタイヤの正面画像を重ねて多重画像を生成する(ステップS122;多重画像生成ステップ)。制御部21は、当該多重画像から特徴点を特定する(ステップS123;特定ステップ)。そして、制御部21の処理は、ステップS105に移行する。
【0166】
以上のように、本変形例1のタイヤ変形量算出処理では、所定のタイヤに係る複数の正面画像を重ねた多重画像を生成する多重画像生成ステップ(ステップS122)を含み、特定ステップ(ステップS123)では、多重画像を用いて特徴点のうち特定可能なものの位置を特定する。上述のように、特徴点を特定できない理由は幾つかあるが、車両の走行による位置の移動やタイヤの回転により特定できない場所の位置関係が変化するものが多い。したがって、多重画像を用いて特徴点の特定を試みることで、特徴点が特定可能な可能性を向上させ、より安定して継続的にタイヤ形状を算出、特定することができる。
【0167】
[変形例2]
上記実施の形態では、パラメーターの取得に最低限必要な補完特定を行うこととしたが、より多くの点を補完特定してパラメーターの取得精度を向上させてもよい。また、タイヤTの接地面の変形に伴ってタイヤT全体が歪む場合を考慮して、より多くの点から得られる平均的なパラメーターの値を得ることとしてもよい。
【0168】
図18は、タイヤ変形量算出処理で呼び出される補完特定処理の変形例を示すフローチャートである。
この変形例の補完特定処理では、図9に示した補完特定処理におけるステップS202、S214、S221、S231の処理がそれぞれステップS202a、S214a、S221a、S231aの処理に置き換えられ、ステップS211の処理が削除されてステップS234の処理が追加されている。その他の処理については同一であり、同一の処理内容については同一の符号を付して説明を省略する。
【0169】
ステップS201の判別処理で、接地端点Pc1、Pc2の両方が特定されていると判別された場合には(ステップS201で“YES”)、制御部21は、タイヤの外縁Tsの円弧上の点が3点以上となるように補完特定を行う(ステップS202a)。すなわち、制御部21は、外縁Tsの円弧上の点を3点に限らず、より多くの点が得られるように補完特定することができる。3点の場合に加えて4点以上の円弧上の点が特定された場合には(ステップS203で“YES”)、制御部21は、当該4点以上の点のばらつきが最も小さくなる(尤もらしい)外径円Tsgを算出する(ステップS204)。
【0170】
ステップS201の判別処理で“NO”に分岐した場合、制御部21の処理は、ステップS231aに移行する。制御部21は、接地線上の点を1点に限らず複数補完特定可能である(ステップS231a)。補完特定に成功した場合には(ステップS232で“YES”)、制御部21は、補完特定された点のばらつきが最も小さい接地線を算出する(ステップS234)。このときに求められる接地線には、水平線(y=const.)の条件を含めても含めなくてもよい。それから、制御部21の処理は、ステップS212に移行する。
【0171】
ステップS212の判別処理で“NO”に分岐すると、制御部21は、タイヤTの外縁Tsの円弧上の特定点が3点以上になるように補完特定を行う(ステップS221a)。この処理の内容は、ステップS202aと同一であり、すなわち、4点以上の特定点が得られてよい。4点以上の特定点が得られた場合の外径円Tsgの算出処理(ステップS223)は、ステップS204の処理と同一である。制御部21は、外径円Tsgと接地線との交点から未特定の接地端点を推定する(ステップS214a)。上述のように、接地線が水平線に限られない場合には、外径円Tsgと接地線の交点は、解析解を求める数式に基づいて、又は数値的に収束演算(例えば、接地線上において軸位置ORからの距離のタイヤ半径Ltからのずれが極小となる点)などにより推定される。
【0172】
図12図15に示した補完特定処理においても、補完特定時(ステップS302、S321、S331やステップS403、S421、S431)に、必要最小限以上で可能な多くの点を補完特定し、回帰演算を行うことなどによって得られた直線(直径や接地線など)や外径円Tsgなどを用いることができる。
【0173】
以上のように、変形例2の補完特定処理(ステップS106)では、円弧部分で特定された3点以上の特定点により外径円Tsgを同定する。外径円Tsgを特定するのに必要な最小限度の点数でなくてもよく、これにより、位置の特定誤差の影響を低減させることができる。
【0174】
また、補完特定処理(ステップS106)では、基準値及び変形値の算出にそれぞれ必要な数より多い点が特定されている(ステップS202a、S221a)場合には、当該特定されている点について尤もらしい前記基準値及び前記変形値を算出する(ステップS204、S223)。すなわち、この処理では、基準値及び変形値の算出に必要な3点又は4点以上の点を特徴点として特定し、これらに基づいて、特定誤差の影響を低減させたより精度の高い基準値及び変形値を算出することができる。したがって、特徴点の位置の特定誤差に加えて、接地に伴うタイヤの変形が円弧部分にまでに及んでいる場合に、これらを考慮してより適切なタイヤ径L2tの値を求めることができる。
【0175】
なお、本発明は、上記実施の形態に限られるものではなく、様々な変更が可能である。
例えば、上記実施の形態では、タイヤ径L2tと接地幅Lcxの組み合わせ、タイヤ径L2tと縦幅L2cyの組み合わせ、及びタイヤ半径Ltと接地距離Lcyの組み合わせを例に挙げて説明したが、基準値と変形値の組み合わせは、これら以外であってもよく、例えば、タイヤ半径Ltと接地幅Lcxとが組み合わされてもよい。あるいは、上端点Pr4と接地端点Pc3の距離と、タイヤ半径Ltとが組み合わされても、タイヤ形状を特定することができる。
【0176】
また、特徴点の特定に係る処理が行われる段階で各位置が検出される場合に限られない。最初のエッジ検出やタイヤの輪郭検出の段階で、特定可能な点が全て同定され、そのうち、必要な点を選択することで特徴点の特定がなされてもよい。
【0177】
また、上記実施の形態の変形例1では、一枚の正面画像で特定不可能な特徴点があった場合に複数枚の画像を重ねるものとして説明したが、初めから複数枚の画像を重ねて特徴量の特定を行い、いずれかの特徴点が特定不可能な場合に未特定特徴点の推定を行うこととしてもよい。
【0178】
また、上記実施の形態では、エラー記録及びエラー報知動作を行うこととしたが、これらの一方又は両方は、必ずしもなされなくてもよい。
【0179】
また、上記実施の形態では、制御部21のCPU211がソフトウェア的に全ての処理を行うこととしたが、一部の処理、画像処理などが専用のハードウェア回路などによりなされてもよい。
その他、上記実施の形態で示した処理装置20の構成、制御内容や手順は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0180】
1 過積載検出システム
10 撮影装置
11 撮影部
12 制御部
13 記憶部
14 通信部
20 処理装置
21 制御部
211 CPU
212 RAM
22 記憶部
221 積載量換算テーブル
222 タイヤ変形量算出設定
223 エラー情報
23 通信部
24 報知動作部
L2cy 縦幅
L2t タイヤ径
Lcx 接地幅
Lcy 接地距離
Lt タイヤ半径
OR 軸位置
Pc1、Pc2 接地端点
Pcc 接地中点
Pr4 上端点
R リム
Ts 外縁
Tsg 外径円
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18