(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-06
(45)【発行日】2022-01-21
(54)【発明の名称】電源システム
(51)【国際特許分類】
B60L 50/60 20190101AFI20220114BHJP
B60L 1/00 20060101ALI20220114BHJP
B60L 9/18 20060101ALI20220114BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20220114BHJP
【FI】
B60L50/60
B60L1/00 L
B60L9/18 J
H02J7/00 P
(21)【出願番号】P 2018128095
(22)【出願日】2018-07-05
【審査請求日】2020-10-27
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】萩 真博
(72)【発明者】
【氏名】石原 章生
(72)【発明者】
【氏名】谷口 知弘
【審査官】今井 貞雄
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05504655(US,A)
【文献】特開2010-036594(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0292982(US,A1)
【文献】米国特許第09718420(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 50/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力により車両を動作させるための電源システムであって、
前記車両は、
内部に複数の電池セルが内蔵されるバッテリーボックスと、
前記バッテリーボックスの外部に設けられる分岐ボックスと、
電力によって作動可能な補機類と、
電力によって走行可能な走行系統と、を備え、
前記バッテリーボックスは、前記複数の電池セルと電気的に接続され、前記複数の電池セルを充電するための電力の入力、及び、前記複数の電池セルからの電力の出力が可能な第1接続部を有し、
前記分岐ボックスは、
前記第1接続部と電気的に接続される第2接続部と、
前記補機類と電気的に接続され、前記補機類からの電力の入力、又は、前記補機類への電力の出力が可能な第3接続部と、
前記走行系統と電気的に接続され、前記走行系統からの電力の入力、又は、前記走行系統への電力の出力が可能な第4接続部と、
前記第2接続部、前記第3接続部、及び、前記第4接続部を電気的に接続する分岐回路と、を備え
、
前記分岐ボックスは、前記走行系統へ接続される第1分岐ボックスと、前記補機類に接続される第2分岐ボックスとから構成され、
前記分岐回路は、前記第1分岐ボックスに設けられる第1分岐回路と、前記第2分岐ボックスに設けられる第2分岐回路と、前記第1分岐ボックスと前記第2分岐ボックスとの間に設けられ、前記第1分岐回路と前記第2分岐回路とを電気的に接続する連結回路とから構成され、
前記第2接続部、及び、前記第4接続部は、前記第1分岐ボックスに設けられ、前記第1分岐回路は、前記第2接続部、及び、前記第4接続部を電気的に接続し、
前記補機類は、複数設けられ、前記第3接続部は、複数の前記補機類の数に対応して複数設けられており、
複数の前記第3接続部は、前記第2分岐ボックスに設けられ、前記第2分岐回路は、複数の前記第3接続部の間を電気的に接続し、
前記車両は、第1の車両と、前記第1の車両よりも高い電圧で動作する第2の車両と、を含み、
前記第1の車両を動作させるときには、
前記バッテリーボックスは第1のバッテリーボックスとされ、前記第1分岐ボックスは、第1低圧用分岐ボックスとされ、前記第1のバッテリーボックスにおける前記第1接続部における電圧は、電圧V2とされ、
前記第1低圧用分岐ボックスにかかる前記第1分岐回路の電圧、および前記第2分岐ボックスにかかる前記第2分岐回路の電圧は、前記電圧V2と同電位とされ、
前記第2の車両を動作させるときには、
前記バッテリーボックスは、第2のバッテリーボックスとされ、前記第1分岐ボックスは、第1高圧用分岐ボックスとされ、前記第2のバッテリーボックスにかかる前記第1接続部の電圧は、前記電圧V2よりも高い電圧である、電圧V3とされ、
前記第1高圧用分岐ボックスにかかる前記第1分岐回路の電圧は、前記電圧V3と同電位とされ、前記第2分岐ボックスにかかる前記第2分岐回路の電圧は、前記電圧V3から変圧された電圧である電圧V4とされ、前記電圧V4は、前記電圧V2と同電位である電源システム。
【請求項2】
前記走行系統は、前記車両を走行させる電気モータと、前記電気モータを作動させるインバータを有するパワーコントロールユニットと、を備え、
前記インバータの作動可能な電圧は、前記電圧V3とされ、
前記第1の車両を動作させるときには、前記パワーコントロールユニットは、前記電圧V2を、前記電圧V3と同電位である電圧V1に昇圧する昇圧コンバータをさらに備え、
前記第2の車両を動作させるときには、
前記連結回路は、前記第1分岐回路に電気的に接続される第1連結回路と、前記第2分岐回路に電気的に接続される第2連結回路と、から構成され、
前記第1連結回路と前記第2連結回路とは、前記電圧V3を前記電圧V4に変圧させる変圧装置を介して電気的に接続されている請求項1に記載の電源システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書によって開示される技術は、電源システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電源システムの一例として、下記特許文献1に記載の車両用電装機器接続システムが知られている。この車両用電装機器接続システムは、車両上主電源からの電源電力を分配し、ワイヤハーネスの標準系サブハーネスの複数の電源線それぞれに電力を供給する標準系電源分配ボックスと、車両上主電源からの電源電力を分配し、ワイヤハーネスの拡張系サブハーネスの複数の幹線それぞれに電力を供給する拡張系電源分配ボックスと、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記電装機器接続システムを電気自動車に適用する場合、一般的に、車両上主電源、標準系電源分配ボックス、及び拡張系電源分配ボックスの各機能は、一つのバッテリーボックス内に搭載されることとなる。これにより、機能の増加により、バッテリーボックスに接続される電線の数も増加し、バッテリーボックスが大型化するという問題がある。また、機能が増加することにより、バッテリーボックス内のヒューズやリレー等の部品も増加することとなるが、例えば、バッテリーボックス内の部品が一つ故障すると、バッテリーボックスを車両から取り出して故障した部品を交換する必要があり、メンテナンス性が悪化するという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書で開示される電源システムは、電力により車両を動作させるための電源システムであって、前記車両は、内部に複数の電池セルが内蔵されるバッテリーボックスと、前記バッテリーボックスの外部に設けられる分岐ボックスと、電力によって作動可能な補機類と、電力によって走行可能な走行系統と、を備え、前記バッテリーボックスは、前記複数の電池セルと電気的に接続され、前記複数の電池セルを充電するための電力の入力、及び、前記複数の電池セルからの電力の出力が可能な第1接続部を有し、前記分岐ボックスは、前記第1接続部と電気的に接続される第2接続部と、前記補機類と電気的に接続され、前記補機類からの電力の入力、又は、前記補機類への電力の出力が可能な第3接続部と、前記走行系統と電気的に接続され、前記走行系統からの電力の入力、又は、前記走行系統への電力の出力が可能な第4接続部と、前記第2接続部、前記第3接続部、及び、前記第4接続部を電気的に接続する分岐回路と、を備える。
【0006】
分岐回路はバッテリーボックスの外部に設けられる分岐ボックス内に設けられているため、従来のように、バッテリーボックスの内部に分岐回路が設けられている構成と比較して、バッテリーボックスとその外部に搭載される機能部品(例えば補機類及び走行系統等)とを接続する接続部の数を減らすことができ、バッテリーボックスを小型化することができる。また、分岐ボックス内のヒューズ等の電子部品が故障した際に、分岐ボックスのみを車両から取り外し、電子部品の交換作業を行うことができる。これにより、従来のように、ヒューズ等の電子部品の交換のため、バッテリーボックスを車両から取り外す必要がないことから、メンテナンス性を向上させることができる。
【0007】
また、前記分岐ボックスは、第1分岐ボックスと、第2分岐ボックスとから構成され、前記分岐回路は、前記第1分岐ボックスに設けられる第1分岐回路と、前記第2分岐ボックスに設けられる第2分岐回路と、前記第1分岐ボックスと前記第2分岐ボックスとの間に設けられ、前記第1分岐回路と前記第2分岐回路とを電気的に接続する連結回路とから構成され、前記第2接続部、及び、前記第4接続部は、前記第1分岐ボックスに設けられ、前記第1分岐回路は、前記第2接続部、及び、前記第4接続部を電気的に接続し、前記補機類は、複数設けられ、前記第3接続部は、複数の前記補機類の数に対応して複数設けられており、複数の前記第3接続部は、前記第2分岐ボックスに設けられ、前記第2分岐回路は、複数の前記第3接続部の間を電気的に接続する構成としても良い。
【0008】
分岐ボックスを、第1分岐ボックス、及び、第2分岐ボックスの2つに分け、さらに、走行系統に接続される第4接続部を第1分岐ボックスに設け、補機類に接続される第3接続部を第2分岐ボックスに設けることで、第1分岐ボックスを走行系、第2分岐ボックスを装備系に分類することができる。ここで、一般的に、分岐ボックスに入力される電圧が高い程、バスバーや接続部のサイズが大きくなり、それに伴い、分岐ボックスの形状も大きくなる。このとき、走行系統に用いられる電圧は、グレードの高い車(高級車)は高い傾向にあり(例えば、最大1000V程度)、グレードの低い車(一般車)は低い傾向にあることから(例えば最大500V程度)、第1分岐ボックスのサイズは高級車の方が大きくなる。一方、装備系に用いられる電圧は、高級車も一般車も同じ(例えば、最大500V程度)電圧であり、高級車も一般車も第2分岐ボックスのサイズは同じとなる。従って、第2分岐ボックスを異なる車両グレード(高級車及び一般車)間で共通化することができ、部品点数を削減することができる。また、第1分岐回路と第2分岐回路とを連結する連結回路を設けることで、バッテリーボックスから第2分岐ボックスに接続する接続部が不要となり、バッテリーボックスと外部の機能部品(例えば補機類及び走行系統等)とを接続する接続部の数をさらに減らすことができる。
【0009】
また、前記走行系統は、前記車両を走行させる電気モータと、前記電気モータを作動させるインバータを有するパワーコントロールユニットと、を備え、前記インバータの作動可能な電圧は、前記バッテリーボックスの前記第1接続部における電圧である第1電圧とされ、前記第2接続部、及び、前記第4接続部における電圧は、前記第1電圧と同電位とされ、前記第3接続部における電圧は、前記第1電圧と異なる第2電圧とされ、前記連結回路は、前記第1分岐回路に電気的に接続される第1連結回路と、前記第2分岐回路に電気的に接続される第2連結回路と、から構成され、前記第1連結回路と前記第2連結回路とは、前記第1電圧を前記第2電圧に変圧させる変圧装置を介して電気的に接続されている構成としても良い。
【0010】
バッテリーボックスの第1接続部における第1電圧は、インバータの作動電圧と同電位であるため、パワーコントロールユニット内で入力電圧をインバータの作動電圧に変換する昇圧コンバータ)が不要となり、パワーコントロールユニットを小型化することができる。
【発明の効果】
【0011】
本明細書に開示される電源システムによれば、バッテリーボックスを小型化するとともにメンテナンス性の優れた電源システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態1に係る電源システムを車両に適用した状態を示す模式図
【
図2】実施形態1に係る電源システムの電気的構成を示すブロック図
【
図3】ボルト締結における第1分岐ボックスと第2分岐ボックスとの接続構造の図
【
図4】コネクタによる第1分岐ボックスと第2分岐ボックスとの接続構造の図
【
図5】バネ接続式コネクタによる第1分岐ボックスと第2分岐ボックスとの接続構造の図
【
図6】実施形態2に係る電源システムの電気的構成を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施形態1>
図1から
図5を参照して本実施形態を説明する。本実施形態に係る電源システム10は、
図1に示すように、車両12に搭載されるものであって、
図2に示すように、バッテリーボックス14から供給される電力を、バッテリーボックス14の外部に設けられた分岐ボックス16の分岐回路18を介して、補機類20、及び、走行系統22にそれぞれ供給するシステムである。
【0014】
車両12には、外部から給電を行う給電部24が設けられており、給電部24は、家庭用のAC(Alternating Current)電源から給電を行うAC給電部26と、急速充電設備(図示せず)から給電を行うDC(Direct Current)給電部28と、から構成されている。DC給電部28からは、500V、400A(150kW)の電力が供給される。
【0015】
走行系統22は、車輪を駆動させるモータ(電気モータ)30と、モータ30を制御するPCU(Power Control Unit、パワーコントロールユニット)32と、を備えている。PCU32は、入力されたDC電圧を、入力されたDC電圧よりも高いDC電圧V1に昇圧する昇圧コンバータ34と、昇圧されたDC電圧を所定の周波数のAC電圧に変換するインバータ37と、を備えており、インバータ37から出力されたAC電圧は、モータ30に入力される。モータ30の回転速度は、AC電圧の周波数に依存しており、AC電圧の周波数を制御することで、モータ30を制御することができる。
【0016】
モータ30は、FR(Front:フロント)側(
図1及び
図2の左側)のモータ30Aと、RR(Rear:リア)側(
図1及び
図2の右側)のモータ30Bとから構成されている。また、昇圧コンバータ34は、FR側の昇圧コンバータ34Aと、RR側の昇圧コンバータ34Bとから構成されている。また、インバータ37は、FR側のインバータ37Aと、RR側のインバータ37Bとから構成されている。なお、
図2においては、PCU32は、便宜上、FR側とRR側とに分けて図示されているが、一体のユニットであるものとする。
【0017】
バッテリーボックス14の内部には、直列に接続された複数の電池セル(以降、「電池セル群36」とする)が設けられている。電池セル群36は、第1電池セル群36Aと、第2電池セル群36Bとから構成されており、第1電池セル群36Aと第2電池セル群36Bとは、サービスプラグ38を介して直列に接続されている。サービスプラグ38は、外部から抜き差しすることが可能となっており、メンテナンス時にサービスプラグ38を抜くことで、第1電池セル群36Aと第2電池セル群36Bとの間の導通を遮断することができる。
【0018】
バッテリーボックス14には、外部と接続される第1コネクタ(第1接続部)40及び第2コネクタ42が設けられている。第1コネクタ40及び第2コネクタ42には、電源側のプラス端子と、GND(Ground)側のマイナス端子とがそれぞれ備えられている。なお、本実施形態における第1コネクタ40及び第2コネクタ42以外のコネクタ(後述する、第3コネクタ(第2接続部)62、第4コネクタ64、第5コネクタ(第4接続部)66、第6コネクタ76、及び、第7コネクタ(第3接続部)78)においても、同様に、プラス端子及びマイナス端子が備えられているものとする。
【0019】
電池セル群36は、定格電圧が350Vとされ、最大電圧が500Vとされる。本実施形態では、負荷を繋いだ状態における、電池セル群36から出力されるDC電圧V2は、定格電圧の350Vとする。
【0020】
バッテリーボックス14の内部には、家庭用のAC電源からの充電時に用いられるリレーであるACR(Alternating Current Relay)44、及び、システムメインリレーであるSMR(System Main Relay)46が設けられている。ACR44及びSMR46は、図示しない制御部からの制御信号によって、ON(導通)の状態、又は、OFF(開放)の状態のいずれか一方の状態に切替えられる。
【0021】
ACR44は、第1のACR44Aと、第2のACR44Bと、事前充電(プリチャージ)用のリレーである第3のACR44Cとから構成されており、SMR46は、第1のSMR46Aと、第2のSMR46Bと、事前充電用のリレーである第3のSMR46Cとから構成されている。
【0022】
第1のACR44A及び第1のSMR46Aの上流側は、電流を検知する電流センサ48の下流側にそれぞれ電気的に接続されており、さらに、電流センサ48の上流側は、第1電池セル群36Aのプラス側に電気的に接続されている。また、第2のACR44B及び第2のSMR46Bの上流側は、第2電池セル群36Bのマイナス側にそれぞれ電気的に接続されている。
【0023】
第3のACR44C及び第3のSMR46Cの上流側は、事前充電時における電流を制限する電流制限抵抗50の下流側にそれぞれ電気的に接続されており、さらに、電流制限抵抗50の上流側は、第2電池セル群36Bのマイナス側に電気的に接続されている。
【0024】
第1のSMR46Aの下流側は、第1コネクタ40のプラス端子に電気的に接続されており、第2のSMR46Bの下流側は、第1コネクタ40のマイナス端子に電気的に接続されている。
【0025】
第1のACR44Aの下流側は、AC充電時における過電流保護用のACヒューズ52の上流側に接続され、さらに、ACヒューズ52の下流側は、第2コネクタ42のプラス端子に電気的に接続されている。また、第2のACR44B及び第3のACR44Cの下流側は、第2コネクタ42のマイナス端子に電気的に接続されている。
【0026】
第2コネクタ42は、バッテリーボックス14の外部に設けられたAC/DCコンバータ54を介して、AC給電部26に接続されている。AC/DCコンバータ54は、AC給電部26から入力されたAC電圧をDC電圧に変換する。AC/DCコンバータ54により変換されたDC電圧は、電池セル群36に印加され、電池セル群36は充電される。このとき、先ず、第1のACR44A及び第3のACR44CがON、並びに、第2のACR44BがOFFの状態で事前充電を行う。次に、電流センサ48で検知された電流が一定以下になった場合に、第2のACR44BをOFFからON、及び、第3のACR44CをONからOFFにし、充電を開始するAC充電制御が行われる。
【0027】
分岐回路18は、第1分岐回路18Aと、第2分岐回路18Bと、第1分岐回路18A及び第2分岐回路18Bを電気的に接続する連結回路60と、から構成されている。
【0028】
分岐ボックス16は、バッテリーボックス14から入力された電力を走行系統22及びDC給電部28(走行・充電系)に分岐して出力する第1分岐ボックス16Aと、第1分岐ボックス16Aから入力された電力を複数の補機類20(装備系)に分岐して出力する第2分岐ボックス16Bとから構成されている。このように、分岐回路18はバッテリーボックス14の外部に設けられる分岐ボックス16内に設けられているため、従来のように、バッテリーボックスの内部に分岐回路が設けられている構成と比較して、バッテリーボックス14と外部の機能部品(例えば補機類20及び走行系統22等)とを接続する接続部の数を減らすことができ、バッテリーボックス14を小型化することができる。
【0029】
第1分岐ボックス16Aには、第1コネクタ40と電気的に接続される第3コネクタ62と、第2分岐ボックス16Bの後述する第6コネクタ76と電気的に接続される第4コネクタ64と、走行系統22のPCU32及びDC給電部28にそれぞれ電気的に接続される3つの第5コネクタ66と、が設けられている。
【0030】
第1分岐回路18Aは、第1分岐ボックス16A内に設けられており、第1分岐ボックス16Aのコネクタ(第3コネクタ62、第4コネクタ64、及び、第5コネクタ66)の、プラス端子間を互いに電気的に接続するプラス側の第1バスバー68Aと、マイナス端子間を互いに電気的に接続するマイナス側の第1バスバー68Bとから構成されている。
【0031】
第5コネクタ66は、DC給電部28と電気的に接続される第5コネクタ66Aと、PCU32のFR側の昇圧コンバータ34Aと電気的に接続される第5コネクタ66Bと、PCU32のRR側の昇圧コンバータ34Bと電気的に接続される第5コネクタ66Cとから構成されている。
【0032】
プラス側の第1バスバー68Aには、第1のDC充電用リレー70、及び、2つのヒューズ72が取付けられており、マイナス側の第1バスバー68Bには、第2のDC充電用リレー74が取付けられている。第3コネクタ62のプラス端子と、第5コネクタ66Aのプラス端子との間は、第1のDC充電用リレー70を介して電気的に接続されており、第3コネクタ62のマイナス端子と、第5コネクタ66Aのマイナス端子との間は、第2のDC充電用リレー74を介して電気的に接続されている。また、第3コネクタ62のプラス端子と第5コネクタ66Bのプラス端子との間、及び、第3コネクタ62のプラス端子と第5コネクタ66Cのプラス端子との間は、ヒューズ72を介してそれぞれ電気的に接続されている。仮に、ヒューズ72が切れた際は、第1分岐ボックス16Aを車両12から取り出し、ヒューズ72の交換作業を行うことができる。このため、従来のように、ヒューズ72がバッテリーボックス内に設けられ、ヒューズ72が切れた際に、バッテリーボックスごと車両から取り出して交換する構成と比較して、メンテナンス性が向上される。
【0033】
第1のDC充電用リレー70、及び、第2のDC充電用リレー74は、図示しない制御部からの制御信号によって、ON(導通)の状態、又は、OFF(開放)の状態のいずれか一方の状態に切替えられる。DC給電部28から給電を行う際は、先ず、第1のDC充電用リレー70、第2のDC充電用リレー74、第1のSMR46A、及び第3のSMR46CがON、並びに、第2のSMR46BがOFFの状態で事前充電を行う。次に、電流センサ48で検知された電流が一定以下になった場合に、第2のSMR46BをOFFからON、及び、第3のSMR46CをONからOFFにし、充電を開始するDC充電制御が行われる。
【0034】
第2分岐ボックス16Bには、第1分岐ボックス16Aの第4コネクタ64と電気的に接続される第6コネクタ76と、補機類20と電気的に接続される6つ(補機類20の数と同数)の第7コネクタ78と、が設けられている。
【0035】
第2分岐回路18Bは、第2分岐ボックス16B内に設けられており、第2分岐ボックス16Bのコネクタ(第6コネクタ76、及び、第7コネクタ78)の、プラス端子間を互いに電気的に接続するプラス側の第2バスバー80Aと、マイナス端子間を互いに電気的に接続するマイナス側の第2バスバー80Bとから構成されている。
【0036】
プラス側の第2バスバー80Aには、第7コネクタ78の数と同数(6つ)のヒューズ72が取付けられており、第6コネクタ76のプラス端子と、6つの第7コネクタ78のプラス端子との間は、ヒューズ72を介してそれぞれ電気的に接続されている。
【0037】
連結回路60は、第4コネクタ64のプラス端子と、第6コネクタ76のプラス端子との間を電気的に接続し、第4コネクタ64のマイナス端子と、第6コネクタ76のマイナス端子との間を電気的に接続する。これにより、プラス側の第1バスバー68Aとプラス側の第2バスバー80Aとは電気的に接続され、また、マイナス側の第1バスバー68Bとマイナス側の第2バスバー80Bとは電気的に接続される。このような連結回路60を設けることで、バッテリーボックス14から第2分岐ボックス16Bに接続する接続部が不要となり、バッテリーボックス14と外部の機能部品とを接続する接続部の数をさらに減らすことができる。
【0038】
連結回路60の一例として、例えば、
図3に示すように、ボルト締結によって、第4コネクタ64と第6コネクタ76とを電気的に接続する構成としても良い。
【0039】
また、
図4に示すように、コネクタ82と電線群84とによって構成されたハーネス86Aによって、第4コネクタ64と第6コネクタ76とを電気的に接続する構成としても良い。なお、
図4においては、第4コネクタ64、及び、第4コネクタ64と接続されるハーネス側のコネクタは図示されていないが、第6コネクタ76側と同様の構成となっている。
【0040】
また、
図5に示すように、バネ接点(図示せず)によって相手側端子(図示せず)と接続するバネ接続式コネクタ88と、バネ接続式コネクタ88から水平方向に横出しされた電線群84とによって構成されたハーネス86Bによって、第4コネクタ64と第6コネクタ76とを電気的に接続する構成としても良い。なお、
図5においては、第4コネクタ64、及び、第4コネクタ64と接続されるハーネス側のコネクタは図示されていないが、第6コネクタ76側と同様の構成となっている。
【0041】
図2に示すように、6つの第7コネクタ78のうち、2つの第7コネクタ78には、エアコンのコンプレッサー(補機類20の一例)90、及び、補機用DC/DCコンバータ(補機類20の一例)92がそれぞれ接続されている。ここで、補機用DC/DCコンバータ92は、入力されたDC電圧V2(350V)を、12VのDC電圧に変換して出力するコンバータであって、図示しないものの、補機用DC/DCコンバータ92の出力側には、12VのDC電圧で作動する12V用補機類に接続される。その他の第7コネクタ78に接続される補機類20の一例として、エアコン、水加熱ヒーター、非接触充電器、AC100Vのコンセント、ソーラー充電器等が挙げられる。
【0042】
車両12の走行系統22及び補機類20の作動時は、第1のSMR46A及び第2のSMR46BがONの状態となる。これにより、電池セル群36のDC電圧V2は、バッテリーボックス14の第1コネクタ40及び第2分岐ボックス16Bの第3コネクタ62を介して、第1分岐回路18Aに印加され、さらに、連結回路60を介して、第2分岐回路18Bに印加される。
【0043】
第1分岐回路18Aに印加されたDC電圧V2は、第5コネクタ66B、及び、第5コネクタ66Cを介して、走行系統22に電力が供給される。このとき、DC電圧V2は、PCU32のFR側昇圧コンバータ34A、及び、RR側昇圧コンバータ34Bにそれぞれ入力され、DC電圧V1に昇圧される。さらに、昇圧されたDC電圧V1は、FR側インバータ37A、及び、RR側インバータ37Bにそれぞれ入力される。第2分岐回路18Bに印加されたDC電圧V2は、第7コネクタ78を介して、補機類20に入力され、補機類20に電力が供給される。
【0044】
以上のように本実施形態によれば、分岐回路18はバッテリーボックス14の外部に設けられる分岐ボックス16内に設けられているため、従来のように、バッテリーボックスの内部に分岐回路が設けられている構成と比較して、バッテリーボックス14とその外部に搭載される機能部品(例えば補機類20及び走行系統22等)とを接続する接続部の数を減らすことができ、バッテリーボックス14を小型化することができる。また、分岐ボックス内のヒューズ72等の電子部品が故障した際に、分岐ボックス16のみを車両12から取り外し、電子部品の交換作業を行うことができる。これにより、従来のように、ヒューズ72等の電子部品の交換のため、バッテリーボックス14を車両12から取り外す必要がないことから、メンテナンス性を向上させることができる。
【0045】
また、分岐ボックス16を、第1分岐ボックス16A、及び、第2分岐ボックス16Bの2つに分け、さらに、走行系統22に接続される第5コネクタ(第4接続部)を第1分岐ボックス16Aに設け、補機類20に接続される第7コネクタ(第3接続部)78を第2分岐ボックス16Bに設けることで、第1分岐ボックス16Aを走行系、第2分岐ボックス16Bを装備系に分類することができる。ここで、一般的に、分岐ボックス16に入力される電圧が高い程、バスバーや接続部のサイズが大きくなり、それに伴い、分岐ボックス16の形状も大きくなる。このとき、走行系統22に用いられる電圧は、グレードの高い車(高級車)は高い傾向にあり(例えば、最大1000V程度)、グレードの低い車(一般車)は低い傾向にあることから(例えば最大500V程度)、第1分岐ボックス16Aのサイズは高級車の方が大きくなる。一方、装備系に用いられる電圧は、高級車も一般車も同じ(例えば、最大500V程度)電圧であり、高級車も一般車も第2分岐ボックス16Bのサイズは同じとなる。従って、第2分岐ボックス16Bを異なる車両グレード(高級車及び一般車)間で共通化することができ、部品点数を削減することができる。また、第1分岐回路18Aと第2分岐回路18Bとを連結する連結回路60を設けることで、バッテリーボックス14から第2分岐ボックス16Bに接続する接続部が不要となり、バッテリーボックス14と外部の機能部品(例えば補機類20及び走行系統22等)とを接続する接続部の数をさらに減らすことができる。
【0046】
<実施形態2>
図6を参照して本実施形態を説明する。
本実施形態の電源システム10Aは、所謂、高級車に用いられるシステムであって、実施形態1のバッテリーボックス14よりも高い電圧のバッテリーボックス14Aが用いられる。また、本実施形態の連結回路60Aは、第1分岐回路18Cと電気的に接続される第1連結回路94と、第2分岐回路18Bと電気的に接続される第2連結回路96とから構成されており、さらに、第1連結回路94と第2連結回路96との間に、DC/DCコンバータ(変圧装置)98が設けられている。
【0047】
第1電池セル群36C及び第2電池セル群36Dからなる電池セル群36Eは、定格電圧が800Vとされ、最大電圧が1000Vとされる。本実施形態では、負荷を繋いだ状態における、電池セル群36Eから出力されるDC電圧(第1電圧)V3は、定格電圧の800Vとする。また、本実施形態のPCU32Aには、実施形態1のおける昇圧コンバータ34が設けられておらず、DC電圧V3が直接、FR側のインバータ37A、及び、RR側のインバータ37Bに入力される。従って、本実施形態のPCU32Aは、昇圧コンバータ34が設けられていないことから、実施形態1のPCU32よりも小型化を図ることができる。DC給電部28Aからは、1000V、400A(350kW)の電力が供給される。
【0048】
DC/DCコンバータ98は、第1分岐回路18C側から入力される800VのDC電圧V3を、350VのDC電圧(第2電圧)V4に変換し、第2分岐回路18B側に出力する。第1分岐回路18CにかかるDC電圧V3(800V)は、実施形態1における第1分岐回路18AにかかるDC電圧V2(350V)よりも高いことから、第1分岐回路18Cのプラス側の第1バスバー68C及びマイナス側の第1バスバー68Dは、実施形態1におけるプラス側の第1バスバー68A及びマイナス側の第1バスバー68Bよりも、厚い板材から構成されている。これにより、第1分岐ボックス16Cは、実施形態1における第1分岐ボックス16Aよりも体格が大きくなる。一方、第2分岐ボックス16Bの第2分岐回路18Bには、DC/DCコンバータ98によって、実施形態1におけるDC電圧V2(350V)と同電位であるDC電圧V4(350V)が印加されることから、第2分岐ボックス16Bは、実施形態1と同じものを用いることができる。従って、装備系の第2分岐ボックス16Bは、異なる車両グレード(高級車及び一般車)間で共通化することができるため、部品点数を削減することができる。
【0049】
DC/DCコンバータ98と、第1分岐ボックス16C、及び、第2分岐ボックス16Bとの間の接続は、実施形態1の
図3から
図5に図示する方法と同様の方法で接続される。その他の点は、実施形態1と共通のため、実施形態1と同符号を付して説明を省略する。
【0050】
以上のように本実施形態によれば、バッテリーボックス14の第1コネクタ(第1接続部)40における電圧(第1電圧)V3は、をインバータ37の作動電圧と同電位であるため、PCU(パワーコントロールユニット)32内で入力電圧をインバータ37の作動電圧に変換する昇圧コンバータ34)が不要となり、PCU(パワーコントロールユニット)32を小型化することができる。
【0051】
<他の実施形態>
本明細書によって開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような種々の態様も含まれる。
(1)実施形態1では、走行系の第1分岐ボックス16Aは最大500V、装備系の第2分岐ボックス16Bは最大500Vとし、実施形態2では、走行系の第1分岐ボックス16Aは最大1000V、装備系の第2分岐ボックス16Bは最大500Vである構成としたが、第1分岐ボックス16A及び第2分岐ボックス16Bの電圧は、上記実施形態の電圧よりも高くても良いし、低くても良い。
(2)実施形態1では、バッテリーボックス14と分岐ボックス16との間の電気的な接続は、バッテリーボックス14の第1コネクタ40と第1分岐ボックス16Aの第3コネクタ62とを接続することで行われていたが、バッテリーボックス14と第2分岐ボックス16Bとを電気的に接続する構成としても良い。
(3)上記実施形態では、車両12は、給電部24を有する構成としていたが、例えば、給電部24を有さないハイブリッド車に電源システム10、10Aを適用しても良い。
(4)実施形態1では、分岐ボックス16は、第1分岐ボックス16A及び第2分岐ボックス16Bから構成され、実施形態2では、分岐ボックス16は、第1分岐ボックス16C及び第2分岐ボックス16Bから構成されることとしたが、分岐ボックスは、1つである構成としても良い。
【符号の説明】
【0052】
10,10A:電源システム
12:車両
14,14A:バッテリーボックス
16:分岐ボックス
16A,16C:第1分岐ボックス
16B:第2分岐ボックス
18:分岐回路
18A,18C:第1分岐回路
18B:第2分岐回路
20:補機類
22:走行系統
30:モータ(電気モータ)
32:PCU(パワーコントロールユニット)
36:電池セル群(複数の電池セル)
37:インバータ
40:第1コネクタ(第1接続部)
60,60A:連結回路
62:第3コネクタ(第2接続部)
66:第5コネクタ(第4接続部)
78:第7コネクタ(第3接続部)
94:第1連結回路
96:第2連結回路
98:DC/DCコンバータ(変圧装置)
V3:電圧(第1電圧)
V4:電圧(第2電圧)